説明

分離供給装置及び製品ストック装置

【課題】 ワークを適切に分離して供給することができ、かつ誤動作が起きにくい分離供給装置と製品ストック装置とを提供する。
【解決手段】 原反ロール4は、傾斜されたストック台6上に載置されて転がり、図中左方に搬送される。回転アーム部15は、図に示す停止位置にあるときに第1アーム23aで原反ロール4の転がりを停止させる。制御部18は、第1ロール検出部28で原反ロール4が検出され、第2ロール検出部29で検出されないときにモータ16で回転アーム部15を図中反時計方向に回転させる。第1アーム23a及び第2アーム23bは、先頭の原反ロール4aをストック台6から持ち上げて後続の原反ロール4bから分離し、下流側のストック台6上に原反ロール4aを下ろし、ロール受取り台7に向けて原反ロール4aを転がす。後続の原反ロール4bは、第2アーム23bによってその転がりが停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1列に整列されて搬送路上を搬送されてくる複数のワークから先頭のワークを分離して搬送路の下流側に送り出す分離供給装置と、ストックした製品を分離供給する製品ストック装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定幅を有する帯状の製品、例えばプラスチックフイルム等を製造する際には、製品の複数本分の幅を有する原反フイルムを製造し、これを製品幅に裁断することが行われている。製造後の原反フイルムは、巻芯の外周に巻き付けられて原反ロールとされ、次の裁断工程に搬送されて製品幅に裁断されている。この裁断工程への搬送を待つ間、複数本の原反ロールをストックし、かつ複数本の原反ロールを1本ずつ分離して搬送しやすいように供給する製品ストック装置が用いられている。
【0003】
図7(A)は、従来の製品ストック装置の構成を示す概略図である。製品ストック装置100は、複数本の原反ロール101が1列に整列して載置されるストック台102と、裁断工程に搬送される1本の原反ロール101がストック台102から移載されるロール受取り台103と、ストック台102に載置されている複数本の原反ロール101から1本を分離してロール受取り台103に供給する分離供給部104とから構成されている。ストック台102は、ロール受取り台103に近接する側が下方に下げられて傾斜され、載置された原反ロール101がストック台102上を転がって搬送されるようになっている。
【0004】
分離供給部104は、例えば、特許文献1に従来例として記載されている周知の機構であり、ストック台102上に載置された原反ロール101のうち、先頭の原反ロール101aの外周に当接して転がりを停止させる第1ストッパー107と、次の原反ロール101bの外周に当接して転がりを停止させる第2ストッパー108と、各ストッパー107,108に停止される原反ロール101の存在を検出する透過式の第1及び第2光電センサ109,110とを備えている。ロール受取り台103は、ストック台102から転がってきた原反ロール101を受けるV字状の台面111と、台面111上の原反ロール101を検出する反射式の第3光電センサ112とを備えている。
【0005】
ストック台102上の原反ロール101は、第1ストッパー107及び第2ストッパー108によって保持されている。分離供給部104は、第1光電センサ109によって原反ロール101が検知され、第3光電センサ112によって原反ロール101が検知されないときに、図7(B)に示すように、第1ストッパー107を下降させ、先頭の原反ロール101aをロール受取り台103に送り込む。後続の原反ロール101b,101cは、第2ストッパー108によって保持される。
【0006】
また、第1光電センサ109によって原反ロール101が検知されず、第2光電センサ110によって原反ロール101bが検知されているときには、図8(A)に示すように、第1ストッパー107を上昇させ、次いで第2ストッパー108を下降させて、次の原反ロール101bを第1ストッパー107に保持される位置まで転がす。その後、同図(B)に示すように、第2ストッパー108が上昇され、図7(A)と同様の初期状態に復帰する。ロール受取り台103に移載された原反ロール101aは、台車や搬送装置によって裁断工程に供給される。
【0007】
上記製品ストック装置100は、径の異なる原反ロール116のストックにも兼用できるように、第1,第2ストッパー107,108、及び第1,第2光電センサ109の位置や、第2ストッパー108の突出量等が設定されている。
【特許文献1】特開平06−298351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9(A),(B)に示すように、ストック台102からロール受取り台103に原反ロール101,116を供給する際に、原反ロール101,116がストック台102の上を転がらず、滞留することがあった。これは、原反ロール101,116が歪んで楕円形状になっている場合や、原反ロール101,116の転がる速度を抑える目的でストック台102の傾斜角度を緩くしている場合等に発生することが分かっている。
【0009】
原反ロール101,116が転がらなかった場合には、原反ロール101,116の供給がストップするため、以降の裁断工程にも影響が及び、製造効率が悪化してしまう。また、作業員が製品ストック装置100まで行って原反ロール101,116を転がす等のリカバリー作業も必要となる。これを解決するには、第1ストッパー107によって原反ロール101,116を搬送方向に押せるようにすればよいが、径の異なる原反ロールに対応するためにストッパー107,108の突出量や形状に制約が生じるため採用できない。
【0010】
また、図7(B)に示すように、第1ストッパー107で先頭の原反ロール101aを下流側に供給し、第2ストッパー108で後続の原反ロール101bの転がりを停止させる際に、後続の原反ロール101bが第2ストッパー108を乗り越えてしまい、図10(A)に示すように、先頭の原反ロール101aに当接する位置まで後続の原反ロール101bが転がってしまうことがあった。これは、径の小さな原反ロール116に対応するために、第2ストッパー108の突出量が小さくされていること、第1ストッパー107と第2ストッパー108とが原反ロール101の径に比して近くに配置されているため、先頭の原反ロール101aが送り出された後で後続の原反ロール101bが転がる距離が長くなり、転がる速度が早くなってしまうのが原因と考えられる。
【0011】
上述したように、原反ロールのサイズに起因する問題については、原反ロールのサイズに応じてストッパーの位置や突出量を切り替える機構を設ければ解決可能であるが、コストが大幅にアップしてしまうため、容易に採用することはできない。
【0012】
第1ストッパー107及び第2ストッパー108は、第1〜第3光電センサ109,110,112の検知結果に基づいて上昇及び下降を行うが、例えば、図10(B)に示すように、後続の原反ロール101bが第2ストッパー108を乗り越えてしまうと、原反ロール101が第1の光電センサ109で検出されなくなる瞬間が発生し、そのタイミングで第1ストッパー107が上昇して原反ロール101bを突き上げ、傷をつけることがある。
【0013】
また、図11(A),(B)に示すように、原反ロール101,116から巻き緩んだ原反フイルム120,121が光電センサ109,110等に検出され、ストッパー107,108が誤動作することもあった。
【0014】
本発明は、上記各問題を解決するために、ワークを適切に分離して供給することができ、かつ誤動作が起きにくい分離供給装置と、製品ストック装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明の分離供給装置は、1列に整列されたワークを搬送する搬送路の下方に、ワークの搬送方向に直交する方向に沿って配置された回転軸に取り付けられる軸芯部と、この軸芯部から放射状に突出するように設けられ、該回転軸の回転によって搬送路上に突出してワークの外周に当接する少なくとも第1及び第2のアームとを備えた回転アーム部を設け、この回転アーム部をワークの搬送方向に沿ってモータで回転させる。回転アーム部は、第1のアームを先頭のワークの外周に当接させて搬送路の下流方向への移動を停止させる停止位置と、ワークの搬送方向に沿って回転して第2のアームを先頭のワークと後続のワークとの間に挿入し、該先頭のワークを後続のワークから分離する分離位置と、第2のアームで先頭のワークを押して、該回転アーム部の下流側の搬送路に送り出す供給位置との間を循環的に回転させる。
【0016】
これによれば、1つの回転アーム部で先頭のワークの分離供給と、後続のワークの停止とを行うことができるので、構成を簡略化してローコストに採用することができる。また、先頭のワークと後続のワークとの間に第2のアームを挿入して分離するようにしたので、ワークを確実に分離しながら後続のワークの移動を抑えることができるので、後続のワークが回転アーム部を乗り越えることはない。更に、第2のアームで先頭のアームを押して送り出すようにしたので、ワークに搬送抵抗がある場合でも分離されたワークを確実に供給することができる。
【0017】
また、回転アーム部は、分離位置において第1及び第2のアームで先頭のワークを搬送路上から持ち上げ、供給位置において搬送路上に下ろすようにしたので、後続のワークとの分離がより確実なものとなる。
【0018】
また、回転アーム部は、サイズの異なる複数種類のワークの分離供給に対応しており、第1及び第2のアームの長さは、最大サイズのワークの分離を開始する際にワークの重心から鉛直方向に伸ばしたワーク重心線に交差する長さ以上としたので、確実にワークを搬送路上から持ち上げて分離することができる。更に、アームの長さは、最小サイズのワークを分離する際に後続のワークに接触する長さ以下としたので、アームが後続のワークに不適切に当接して傷をつけるのを防止することができる。
【0019】
回転アーム部には、軸芯部の外周に等角度で配置された3本以上のアームを設け、隣り合う2本のアームを順に第1アーム及び第2アームとして用いてワークの分離供給を行う。これによれば、回転アームの1回転で複数個のワークの分離供給を行うことができるので、効率的な分離供給処理を行うことができる。
【0020】
なお、ワークが搬送方向に直交する方向に長い場合には、そのワークの幅寸法に応じて、複数個の回転アーム部を回転軸に取り付け、これらの回転アーム部でワークの分離供給を行うとよい。また、ワークとして略円筒形状のワークを用いる場合には、搬送方向下流側の端部が下方に下げられて傾斜された搬送路を使用し、ワークを搬送路上で転がして回転アーム部に搬送するとよい。これによれば、ワークの分離供給に必要な動力が、回転アーム部を回転させるモータだけで得られるので、ローコスト化を図ることができる。また、ワークの停止は回転アーム部によって確実に行うことができるので、搬送路の傾斜角度を大きくして、ワークが転がらないことによる滞留を防止することができる。
【0021】
また、停止位置にあるときの回転アーム部に当接する先頭のワークの有無を検出するワーク検出手段を設け、このワーク検出手段による検出結果に応じてモータを制御してもよい。これによれば、ワークが存在するときにだけ回転アーム部が回転するようにすることができる。
【0022】
また、本発明の製品ストック装置は、ストック台に載置された複数のワークから先頭のワークを分離してワーク受取り部に移載する際に、上述した分離供給装置を用いたものである。これにより、ストックされたワークを1つずつ分離して供給することができる。
【0023】
また、回転アーム部の回転を制御するために、停止位置にあるときの回転アーム部に当接する先頭のワークの有無を検出する第1のワーク検出手段と、ワーク受取り部のワークの有無を検出する第2のワーク検出手段とを設けてもよい。制御手段は、第1のワーク検出手段と第2のワーク検出手段との検出状況の組み合わせに応じてモータを制御する。具体的には、制御手段は、第1のワーク検出手段によって先頭のワークの存在が検出され、かつ第2のワーク検出手段によってワーク受取り部のワークの存在が検出されないときに、回転アーム部を停止位置から回転させる。これにより、適切な間隔でワークを分離して供給することができ、ワークの供給過多や供給遅れ等を防止することができる。
【0024】
なお、ワークとして、長尺のウエブが巻かれたロールを用いる場合には、第1及び第2のワーク検出手段として、ワークの重量によって作動して該ワークの有無を検出する検出手段を用いるとよい。これによれば、ロールから巻き緩んだウェブによってロールの有無が誤検出されるのを防止することができる。また、第1及び第2のワーク検出手段は、ワークが載置されて変位する変位レバーと、この変位レバーの変位を検出するスイッチというシンプルで少ない部品点数で構成されているので、ローコストに採用することができ、高い動作信頼性も得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の分離供給装置及び製品ストック装置によれば、回転アーム部によって先頭のワークを分離しながら後続のワークの移動を抑えるので、ワークの分離を確実に行うことができる。また、分離されたワークを回転アーム部で送り出すようにしたので、ワークに搬送抵抗があっても確実に供給することができる。更に、ワークの有無は、ワークの重量によって検出するようにしたので、誤検出による誤動作を防止することができる。また、他種類のワークに対する対応が、構成部品の位置等を変更するサイズチェンジ機構を用いずに行うことができるので、大きなコストアップも生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明を実施した製品ストック装置の構成を示す概略図である。この製品ストック装置2は、長尺の原反フイルム3をロール状に巻いた直径D1の原反ロール4や、この原反ロール4よりも小さい直径D2の原反ロール5等、径や長さの異なる原反ロールがストックされる装置であって、複数本の原反ロール4,5が1列に整列して載置されるストック台6と、裁断工程に搬送される1本の原反ロール4,5がストック台6から移載されるロール受取り台7と、ストック台6に載置されている複数本の原反ロール4,5から1本を分離してロール受取り台7に供給する分離供給部8とから構成されている。
【0027】
ストック台6は、ロール受取り台7に近接する側が下方に下げられて、角度θの傾斜が付与されており、載置された原反ロール4,5はストック台6の上を転がって図中左方に搬送される。ロール受取り台7は、ストック台6から転がってきた原反ロール4,5を受け取る略V字状の台面11を備えている。
【0028】
分離供給部8は、ストック台6の下方に回転自在に配置される回転アーム部15と、この回転アーム部15を図中反時計方向に回転させるモータ16と、回転アーム部15の絶対的な回転位置を検出するロータリーエンコーダ17と、このロータリーエンコーダ17の検出信号に基づいてモータ16の回転を制御する制御部18とを備えている。モータ16には、例えば、減速ギヤユニットと、クラッチ及びブレーキを備えたインダクションモータが用いられている。モータ16は、製品ストック装置2の稼働開始とともに回転され、回転アーム部15は、クラッチとブレーキとが適宜作動されることによってに回転及び停止される。制御部18には、例えば、プログラマブルコントローラが用いられている。
【0029】
回転アーム部15は、原反ロール4,5の搬送方向に直交する回転軸21に取り付けられる略円筒形状の軸芯部22と、この軸芯部22の外周に90°間隔で設けられた4本のアーム23とから構成されている。アーム23は、先端の一方の側面が半径Rの円弧形状に形成され、原反ロール4,5に傷をつけないようになっている。製品ストック装置2の上面図である図2に示すように、回転アーム部15は、原反ロール4,5の長さに合せて複数個が回転軸21に取り付けられている。これにより、長さの異なる原反ロール4,5がストックされても、バランスよく分離供給が行えるようにされている。なお、ストック台6の上面には、原反ロール4,5の端面に当接して位置合せを行うガイド板25が設けられている。
【0030】
回転アーム部15は、1本のアーム(以下、同様に機能するアームを第1アームと呼ぶ)23aをストック台6上に突出させ、先頭の原反ロール4a,5aに当接させてストック台6上での転がりを停止させる停止位置と、図3(A)に示すように、図中反時計方向に回転して、第1アーム23aと、この第1アーム23aの隣のアーム(以下、同様に機能するアームを第2アームと呼ぶ)23bとで原反ロール4a,5aをストック台6上から持ち上げ、後続の原反ロール4b,5bから分離させる分離位置と、同図(B)に示すように、更に反時計方向に回転して、先頭の原反ロール4a,5aを分離供給部8の下流側のストック台6上に下ろし、ロール受取り台7に向けて転がす供給位置と、第2アーム23bとして機能していたアーム23を第1アーム23aとして機能させ、次の原反ロール4a,5aを停止させる停止位置との間で回転される。4本のアーム23は、その回転位置において順に第1アーム23a及び第2アーム23bとして機能する。
【0031】
停止位置では、原反ロール4,5を確実に停止することができるようにストック台6上にアーム23が突出されるので、原反ロール4,5がアーム23を乗り越えてストック台6上を転がっていくことはない。また、分離位置では、第1アーム23a及び第2アーム23bが先頭の原反ロール4a,5aを持ち上げるので、原反ロール4a,5aが歪んで楕円形になっていたり、ストック台6の傾斜が緩くても、確実に先頭の原反ロール4a,5aを後続のロール4b,5bから分離することができる。更に、後続の原反ロール4b,5bは、停止位置から供給位置まで先頭の原反ロール4a,5aに追従して移動するので、後続の原反ルール4b,5bの転がる速度が加速することはない。また、供給位置では、回転アーム部15が先頭の原反ロール4a,5aをストック台6上に下ろすと同時に、第1アーム23aで後続の原反ロール4b,5bの転がりを停止させるので、後続の原反ロール4b,5bがアーム23を乗り越えてストック台6上を転がっていくことはない。
【0032】
図4に示すように、回転アーム部15は、ストック台6の台面から距離L1の位置に配置されている。この距離L1は、停止位置にあるときに、第1アーム23aが先頭の原反ロール4a,5aを適切に停止できるようにストック台6上に突出でき、かつ第2アーム23bがストック台6の上面から突出して原反ロール4,5の転がりを阻害しない距離以上とされている。
【0033】
また、回転アーム部15の中心からアーム23の先端までの長さL2は、第2アーム23bが大径の原反ロール4の分離を開始するとき、すなわち回転アーム部15が停止位置にあるときに、先頭の原反ロール4の重心位置Gから鉛直方向に伸ばした重心線Sと交差する長さ以上であって、かつ第2アーム23bが小径の原反ロール5aを分離するときに、後続の原反ロール5bの外周に当接しない長さ以下とされている。これにより、大径の原反ロール4であっても適切に分離することができ、小径の原反ロール5の分離時にアーム23によって原反ロール5が傷つけられるのを防止することができる。
【0034】
回転アーム部15が停止位置にあるときに先頭の原反ロール4a,5aが停止される先頭ロール位置と、ロール受取り台7とには、原反ロール4,5の有無を検出する第1及び第2のロール検出部28,29が設けられている。第1ロール検出部28及び第2ロール検出部29は、ストック台6またはロール受取り台7の上に突出される突出位置と、原反ロール4,5に乗られて引っ込む引込み位置との間で回動自在とされた変位レバー30,31と、この変位レバー30,31が引込み位置にあるときに、該変位レバー30,31にスイッチ接片32a,33aが押圧されてオンし、突出位置にあるときにオフされるリミットスイッチ32,33とからなり、原反ロール4,5の重量によって作動してその有無を検出する。リミットスイッチ32,33の検出信号は、制御部18に入力される。
【0035】
制御部18は、第1ロール検出部28によって原反ロール4,5が検出され、第2ロール検出部29で検出されないときに回転アーム部15を停止位置から次の停止位置まで回転させ、先頭の原反ロール4a,5aをロール受取り台7に供給する。これにより、原反ロール4,5から巻き緩んだ原反フイルム3が第1ロール検出部28及び第2ロール検出部29の上に乗っても、原反ロール4,5が誤検出されることはない。なお、図2に示すように、第1ロール検出部28及び第2ロール検出部29は、原反ロール4,5の長さに合せて複数個が設けられているので、これらの検出結果に基づいて原反ロールの長さを判定し、その長さに合致する原反ロールの径を特定することもできる。
【0036】
次に、上記実施形態の作用について説明する。製造ラインによって製造された原反フイルム3は、ロール状に巻かれて原反ロール4にされる。この原反ロール4は、次の裁断工程に搬送されるまでの間、図1に示す製品ストック装置2のストック台6上に載置される。ストック台6に載置された原反ロール4は、ストック台6の傾斜によって転がり、先頭の原反ロール4aは回転アーム部15の第1アーム23aに当接して先頭ロール位置に停止される。モータ16は、製品ストック装置2の稼働とともに回転を開始されるが、クラッチによってその回転力は回転アーム部に伝達されないため、回転アーム部15は停止位置で停止している。
【0037】
第1ロール検出部28の変位レバー30は、原反ロール4の重みによって回動し、リミットスイッチ32をオンさせる。制御部18は、第1ロール検出部28によって原反ロール4が検出され、第2ロール検出部29によって検出されないときにクラッチをつなぎ、回転アーム部15を回転させる。図2に示すように、第1アーム23a及び第2アーム23bはストック台6上から先頭の原反ロール4aを持ち上げて後続の原反ロール4bから分離し、分離供給部8の下流側のストック台6上に下ろす。ストック台6に下ろされた原反ロール4aは、転がってロール受取り台7に供給される。また、後続の原反ロール4bがストック台6を転がって回転アーム部15に当接し、先頭ロール位置で停止され、先頭の原反ロール4aとなる。このときに、第1ロール検出部28及び第2ロール検出部29がオンされるため、制御部18はクラッチ及びブレーキを動作させて回転アーム部15を停止位置で停止させる。
【0038】
ロール受取り台7に移載された原反ロール4aは、台車や搬送装置によって裁断工程に供給される。これにより、第2ロール検出部29がオフするため、制御部18は再び回転アーム部15を回転させて先頭の原反ロール4aをロール受取り台7に供給する。
【0039】
回転アーム部15は、停止位置から次の停止位置まで回転する間、第1アーム23a及び第2アーム23bによって原反ロール4の転がりを適切にコントロールすることができるので、原反ロール4が転がらなかったり、転がりすぎて分離供給部8を乗り越える等の誤動作は発生しない。また、重量によって原反ロール4の有無を検出するようにしたので、巻き緩んだ原反フイルム3による誤検出も発生しない。更に、回転アーム部15は、径の異なる原反ロール5であっても同様に誤動作なく分離供給を行うことができる。
【実施例】
【0040】
大径の原反ロール4の直径D1が例えば150mm、小径の原反ロール5の直径が例えば90mmである場合に、回転アーム部15は、これらの原反ロール4,5を持ち上げることのできる強度を有することが必要である。そこで、回転アーム部15をステンレス等の金属で形成し、かつ各アーム23の幅Wを20mmとした。また、アーム23によって原反ロール4,5に傷がつくのを防止するため、各アーム23の先端に半径20mmの円弧形状を設けた。更に、アーム23が適性な強度で取り付けられる軸芯部22を得るために、軸芯部22の外径dをφ50mm程度とし、この軸芯部22がストック台6上から突出しないように、回転アーム部15の取り付け位置L1を25mmとした。
【0041】
上述したように、複数サイズの原反ロールに対応可能な回転アーム部のアームの最小長さ及び最大長さは、最大径の原反ロールと最小径の原反ロールとの関係から規定される。図5は、最小長さのアーム41を有する回転アーム部40を示している。例えば、大径の原反ロール4の直径D1が150mmであって、ストック台6の傾斜角度θが2°であるとき、原反ロール4の重心位置Gから鉛直方向に伸ばした重心線Sに交差するアーム41の長さL2’は、50mmとなる。すなわち、アーム41の長さが50mm以上であれば、直径150mmの原反ロール4を分離供給することができる。
【0042】
また、図6は、最大長さのアーム46を有する回転アーム部45を示している。小径の原反ロール5aの直径D2が90mmであるとき、アーム46で先頭の原反ロール5aを後続の原反ロール5bから分離する際に、後続の原反ロール5bに当接するアーム23の長さL2’’は、88mmである。すなわち、アーム23の長さL2’’88mm以下であれば、小径の原反ロール5に傷を付けることなく分離することができる。
【0043】
本出願人は、以下に記す諸元で製品ストック装置を作成し、大径及び小径の原反ロールの分離供給の実験を行った。この実験の結果、大径、小径の原反ロールのいずれでも適切に分離供給を行うことができた。具体的には、原反ロールがストック台上で滞留したり、後続の原反ロールが分離供給部を乗り越えてロール受取り台まで転がっていくような誤動作は発生しなかった。また、アームが短すぎることによる大径の原反ロールの持ち上げミスや、アームが長すぎることによる小径の原反ロールへの傷付けなども発生しなかった。更に、原反フイルムが巻き緩んで先頭ロール位置やロール受取り台上にかかってしまう場面でも、原反ロールが誤検出されることはなかった。
θ:2°
D1:φ150mm
D2:φ90mm
L1:25mm
L2:70mm
W:20mm
R:20mm
回転アーム部の回転速度:1.5秒/90°
【0044】
本発明の回転アーム部の寸法等は、上記実施例に限定されるものではなく、取り扱うワークの種類,寸法や、ストック台のサイズ,傾斜角度等に応じて適宜変更される。また、上記実施形態では、アームの本数を4本としたが、第1アーム及び第2アームとして使用することができる2本以上のアームがあればよい。また、ストック台に対する回転アーム部の取付位置を固定しているが、上下方向、及び搬送方向などで位置を調整できるようにしてもよい。また、ワークのサイズに合せてアームを長さの異なるものに交換できるようにしてもよい。
【0045】
更に、本願発明の分離供給装置及び製品ストック装置は、サイズの異なるワークに対応するために回転アーム部をストック台の下方に配置したが、サイズが限定される場合には、ストック台の上方に回転アーム部を配置してワークの分離供給を行ってもよい。なお、回転アーム部を上下方向で位置調整できるようにすれば、サイズの異なるワークに対応することもできる。
【0046】
また、2種類の原反ロールを1台の製品ストック装置で分離供給する例について説明したが、更に他種類の原反ロールに対応できるようにしてもよい。また、原反ロールの分離供給を例に説明したが、本発明の分離供給装置は、その他の製品ストック装置や、製品ストック装置以外の装置に使用することもできる。更に、ロール以外の円柱形状及び円筒形状のワーク、矩形形状、多角形状のワークにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施した製品ストック装置の構成を示す概略図である。
【図2】製品ストック装置の上面図である。
【図3】分離供給部によって先頭の原反ロールを分離して供給する手順を示す説明図である。
【図4】分離供給部の取付位置及び形状等を示す説明図である。
【図5】最小サイズのアームを有する回転アーム部を示す説明図である。
【図6】最大サイズのアームを有する回転アーム部を示す説明図である。
【図7】従来の製品ストック装置における原反ロールの分離供給手順を示す説明図である。
【図8】従来の製品ストック装置における先頭の原反ロールの補充及び初期状態への復帰手順を示す説明図である。
【図9】従来の製品ストック装置において、原反ロールが転がらずに滞留した状態を示す説明図である。
【図10】従来の製品ストック装置において、原反ロールがストッパーを乗り越えて転がっている状態を示す説明図である。
【図11】従来の製品ストック装置において、原反フイルムが巻き緩んで誤検出される状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
2 製品ストック装置
3 原反フイルム
4,5 原反ロール
6 ストック台
7 ロール受取り台
8 分離供給部
15 回転アーム部
16 モータ
17 ロータリーエンコーダ
18 制御部
21 回転軸
23 アーム
28 第1ロール検出部
29 第2ロール検出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1列に整列されて搬送路上を搬送されてくる複数のワークに対し、先頭のワークを後続のワークから分離し、該後続のワークを停止させた状態で先頭のワークを搬送路の下流側に送り出す分離供給装置において、
前記搬送路の下方に設けられ、ワークの搬送方向に直交する方向に沿って配置された回転軸に取り付けられる軸芯部と、この軸芯部から放射状に突出するように設けられ、該回転軸の回転によって搬送路上に突出してワークの外周に当接する少なくとも第1及び第2のアームとを備えた回転アーム部と、
この回転アーム部をワークの搬送方向に沿って回転させるモーターとを備え、
前記回転アーム部は、第1のアームを先頭のワークの外周に当接させて搬送路の下流方向への移動を停止させる停止位置と、
該ワークの搬送方向に沿って回転して第2のアームを先頭のワークと後続のワークとの間に挿入し、該先頭のワークを後続のワークから分離する分離位置と、
第2のアームで先頭のワークを押して、該回転アーム部の下流側の搬送路に送り出す供給位置との間を循環的に回転されることを特徴とする分離供給装置。
【請求項2】
前記回転アーム部は、分離位置において第1及び第2のアームで先頭のワークを搬送路上から持ち上げ、供給位置において搬送路上に下ろすことを特徴とする請求項1記載の分離供給装置。
【請求項3】
前記回転アーム部は、サイズの異なる複数種類のワークの分離供給に対応しており、前記第1及び第2のアームの長さは、最大サイズのワークの分離を開始する際に該ワークの重心から鉛直方向に伸ばしたワーク重心線に交差する長さ以上で、かつ最小サイズのワークを分離する際に後続のワークに接触する長さ以下であることを特徴とする請求項1または2記載の分離供給装置。
【請求項4】
前記回転アーム部は、軸芯部の外周に配置された3本以上のアームを有し、隣り合う2本のアームを順に前記第1アーム及び第2アームとして用いてワークの分離供給を行うことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の分離供給装置。
【請求項5】
前記回転アーム部は、搬送方向に直交するワークの幅寸法に応じて、複数個が回転軸に取り付けられて一体に回転することを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の分離供給装置。
【請求項6】
前記ワークは、略円筒形状であり、搬送方向下流側の端部が下方に下げられて傾斜された前記搬送路上を転がって前記回転アーム部に搬送されることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の分離供給装置。
【請求項7】
前記回転アーム部の回転位置を検出し、回転位置に応じた検出信号を出力する回転位置検出手段と、
この回転位置検出手段から入力された検出信号に基づいてモーターを制御する制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の分離供給装置。
【請求項8】
前記停止位置にあるときの回転アーム部に当接する先頭のワークの有無を検出するワーク検出手段を設け、前記制御手段は、該ワーク検出手段による検出結果に応じて前記モーターを制御することを特徴とする請求項7記載の分離供給装置。
【請求項9】
複数のワークが1列に整列された状態で載置され、搬送されるストック台と、
このストック台の上流側から搬送されてきた先頭のワークを後続のワークから分離し、後続のワークを停止させた状態で該先頭のワークをストック台の下流側に送り出す分離供給手段と、
この分離供給手段によって分離されたワークがストック台から移載されるワーク受取り部とを備えた製品ストック装置において、
前記分離供給手段として、請求項1ないし5いずれか記載の分離供給装置を用いたことを特徴とする製品ストック装置。
【請求項10】
前記回転アーム部の回転位置を検出し、回転位置に応じた検出信号を出力する回転位置検出手段と、
この回転位置検出手段から入力された検出信号に基づいて、モーターを制御する制御手段とを設けたことを特徴とする請求項9記載の製品ストック装置。
【請求項11】
前記停止位置にあるときの回転アーム部に当接する先頭のワークの停止位置に設けられ、該先頭のワークの有無を検出する第1のワーク検出手段と、前記ワーク受取り部に設けられ、ストック台から移載されたワークの有無を検出する第2のワーク検出手段とを設け、前記制御手段は、第1のワーク検出手段と第2のワーク検出手段との検出状況の組み合わせに応じて前記モーターを制御することを特徴とする請求項10記載の製品ストック装置。
【請求項12】
前記制御手段は、第1のワーク検出手段によって先頭のワークの存在が検出され、かつ第2のワーク検出手段によってワーク受取り部のワークの存在が検出されないときに、前記回転アーム部を回転させることを特徴とする請求項11記載の製品ストック装置。
【請求項13】
前記ワークは略円筒形状であり、前記ストック台はワーク受取り台に向けて傾斜されることにより該ワークを転がして搬送することを特徴とする請求項9ないし12いずれか記載の製品ストック装置。
【請求項14】
前記ワークは、長尺のウエブが巻かれてなるロールであることを特徴とする請求項13記載の製品ストック装置。
【請求項15】
前記第1及び第2のワーク検出手段は、ワークの重量によって作動して該ワークの有無を検出することを特徴とする請求項14記載の製品ストック装置。
【請求項16】
前記第1及び第2のワーク検出手段は、ワークが載置されて変位する変位レバーと、この変位レバーの変位を検出するスイッチとからなることを特徴とする請求項15記載の製品ストック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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