説明

分離可能なアッパーおよびソール構造を有する履物

【課題】アッパー(20)およびソール構造(30)を含む履物製品の提供。
【解決手段】アッパーは、ソール構造および足を受け入れるように構成された内部空隙を規定する。アッパーの下面は複数の孔(24a〜24f)を規定し、ソール構造は、孔を通過して延び地面係合表面を形成する複数の突起(32a〜32f)を含む。突起は、アッパー内に残る足支持部材(31)に連結される。ロックシステム(25、37、35a〜35f)は、ソール構造をアッパーを固定するためにアッパーおよびソール構造に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、履物の分野に関する。本発明は、より詳細には、アッパーから分離可能なソール構造を有する履物製品に関する。なお、本出願は、2003年1月21日に出願され、その内容が明確に本明細書に組み入れられている、米国特許出願第10/349,398号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の説明
従来の運動靴は一般に、アッパーおよびソール構造という2つの主要要素を含む。アッパーはソール構造に固定され、足を確実にかつ快適に受け入れるための空隙を履物の内部に形成している。アッパーは一般に、足を受け入れるための快適な構造を形成するように一緒に縫い合わされて接着剤によって接着された複数の要素から形成される。従来の運動靴は、たとえば、耐摩耗性を有しかつ履物に特定の審美的要素を与える、革材料およびポリマー生地材料で形成された外部を含むことができる。アッパーの快適さを向上させるようにアッパーの内部に発泡体材料を配置することができ、アッパー内の発汗を制限するように足に隣接して水分吸上げ生地を配置することができる。
【0003】
ソール構造は、履物が地面に接触したときに、地面からの反力を減衰させてエネルギーを吸収し、かつ従来ミッドソールおよびアウトソールと呼ばれている複数の層を組み込んでいることが多い。ミッドソールは、ソールの中層を形成しており、過回内のような、潜在的に有害な足の動きを制御すること、および地面からの過度の反力から足を保護することを含む様々な目的を満たす。アウトソールは、履物の地面接触要素を形成しており、通常は、牽引を改善するための微細構成(texturing)を含む、耐久性および耐摩耗性を有する材料から作られる。ソール構造は、履物の快適さを増大するために足裏に隣接してアッパー内に配置された、薄い緩衝部材であるインソールを含んでもよい。
【0004】
大部分の従来の履物製品のアッパーおよびソール構造は、たとえば接着剤による接着または縫い合せなどによって互いに恒久的に固定されている。したがって、アッパーまたはソール構造のいずれかに磨耗または損傷が起こった場合には、履物製品全体を廃棄しなければならない可能性がある。さらに、ソール構造は一般に、特に運動靴を用いる特定の活動時に使用できるように構成されている。たとえば、ソール構造は、走るのに有利な回内制御要素、コート形式の活動用の安定性要素、または歩行用の比較的柔らかい緩衝要素を組み込みうる。長距離走など、ある競技活動向けに構成されたソール構造は、テニスなどの他の競技活動中に使用するのに適していない場合がある。したがって、アッパーおよびソール構造が互いに恒久的に固定された履物においては、それぞれ異なる種類のソール構造には異なるアッパーが必要である。
【0005】
恒久的に固定されたアッパーおよびソール構造を含む従来の履物製品とは対照的に、アッパーおよび脱着可能なソール構造を組み入れた履物構成が提案されている。Vizyらの米国特許第6,023,857号は、恒久的に取り付けられたアッパー、ならびに、アッパーから取り外すことのできる、分離したミッドソールおよびヒールカウンタ構造を含むアウトソールを有する履物を開示している。Halfordの米国特許第5,083,385号およびChingの米国特許第4,974,344号はどちらも、履物の残りの部分から脱着可能なアウトソール構造を開示している。最後に、Burkeらの米国特許第6,023,859号および第5,799,417号は、ソール構造の下部とアッパーとの間に配置された取外し可能で交換可能な挿入物を有する履物製品を開示している。挿入物は、ソール構造の下部から突き出て、地面接触面を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,023,857号
【特許文献2】米国特許第5,083,385号
【特許文献3】米国特許第4,974,344号
【特許文献4】米国特許第6,023,859号
【特許文献5】米国特許第5,799,417号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、アッパーおよびソール構造を有する履物製品である。アッパーは、踝開口部、および踝開口部から下向きに延びる一対の側部を含む。アッパーは、踝開口部の反対側に配置されかつ側部同士の間を延びる、連結要素も含む。連結要素は、アッパーの底部を形成し、孔を規定する。ソール構造は、足支持要素、および足支持要素に連結された突起を含む。ソール構造は、足支持要素が連結要素の上面に隣接して位置しかつ突起が孔を通って延びて地面接触面を提供するように、踝開口部を通して挿入可能である。
【0008】
上述の履物構成により、アッパーおよびソール構造の間の分離可能性が提供されている。すなわち、アッパーおよびソール構造を、履物の2つの別々の構成要素に分離することができる。しかし、使用時には、アッパーおよびソール構造は確実に連結されたままであることが意図される。アッパーおよびソール構造の間の連結を向上させるために、ロックシステムを履物に組み込んでよい。例示的な態様においては、ロックシステムは孔の縁部を受けるくぼみを突起内に含み、それによって効果的にアッパーをソール構造に固定する。くぼみは、たとえば、足支持要素に隣接して位置させることができる。
【0009】
履物は、アウトソール部および生地ライナーを含む、追加的な特徴を含んでもよい。ソール構造は、特に突起中にポリマー発泡体を含んでよい。アウトソール部は、ゴム材料で形成することができ、ソール構造の耐摩耗性および耐久性を向上させるように突起の下面上に位置されうる。同様に、足支持要素を、ポリマー発泡体材料で形成することができる。ソール構造の快適さを向上させるために、足支持部材の上面に生地ライナーを固定してもよい。
【0010】
本発明を新規に特徴付ける利点および特徴は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている。しかし、新規性の利点および特徴の理解を向上させるために、本発明に関する様々な態様および概念を説明し図示する以下の説明事項ならびに添付の図面を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上記の「発明の概要」および「発明の詳細な説明」は、添付の図面と合わせて読んだときに、より良好に理解されよう。
【図1】本発明による分離可能なアッパーおよびソール構造を有する履物製品の側面図である。
【図2】履物の分解側面図である。
【図3】履物の底部および内側側面の斜視図である。
【図4】履物の分解斜視図である。
【図5】図1の線5-5によって規定される履物の断面図である。
【図6】履物の底面図である。
【図7】ソール構造の底面図である。
【図8】アッパーの底面図である。
【図9】他のロックシステムを有する履物製品の側面図である。
【図10】図9の線10-10によって規定される、他のロックシステムを有する履物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
以下の議論および添付の図1〜図8は、本発明による、アッパー20およびソール構造30を有する履物製品10を開示している。恒久的に取り付けられたアッパーおよびソール構造を有する従来の履物製品とは対照的に、アッパー20およびソール構造30は分離可能である。この構造は、従来の分離不能な履物に勝る複数の利点を提供する。たとえば、アッパー20およびソール構造30を、各構成要素を形成するそれぞれの材料に最も適した様式で別々に洗浄することができる。アッパー20およびソール構造30の一方が磨耗するかまたはさもなくば損傷した場合、損傷していない構成要素を交換する必要なく、損傷した構成要素を交換することができる。さらに、アッパー20およびソール構造30は、特定の活動または個人の好みに適するように、他のアッパーまたはソール構造と相互交換することができる。
【0013】
以下の議論における参照を目的として、履物10は、図1に定義されているように、踵部11、中足部12、および前足部13に分割されている。踵部11は一般に、履物10の、個人の踵および踝を受ける領域に対応し、中足部12は一般に、履物10の、土踏まずを受ける領域に対応し、前足部13は一般に、履物10の、爪先を受ける領域に対応している。部分11〜13は、履物10の厳密な領域をはっきり区別することを意図するものではない。むしろ、部分11〜13は、以下の議論を助けるために、履物10の一般的な領域を包含することを意図するものである。
【0014】
アッパー20には、足を受け入れる快適な構造を形成するために、縫い合されるかまたはその他の方法で連結された複数の要素が組み込まれている。各要素は、個々の材料、または、互いに縫い合わされるかもしくは接着剤によって接着された、選択された生地材料、発泡体材料、革材料、およびポリマー材料を含んでよい。たとえば生地材料は、高い通気性および水分吸上げ特性を提供するメッシュ布を含んでよい。発泡体材料は、足の形状に一致して履物10の快適さを向上させる、軽量熱硬化性発泡体であってよい。最後に、革材料およびポリマー材料は、アッパー20の高磨耗部に配置してもよく、またはアッパー20の、追加的な耐伸縮性もしくは支持を必要とする部分に配置してもよい。したがって、アッパー20は、一般に従来の材料から製造されうる。
【0015】
アッパー20を形成する様々な要素は、横側面21a、反対側の内側側面21b、踝開口部22、および連結要素23を規定している。横側面21aおよび内側側面21bは、足の側部、踵部、および甲部を概ね覆い、かつ、アッパー20を足の周囲に締め付けかつ足を履物10内に固定するためのひもまたは他の締付けシステムを含みうる。横側面21aおよび内側側面21bは、踝開口部22を規定し、踝開口部22から下向きに延びて連結要素23に連結されている。踝開口部22は、ソール構造30および足の両方を収容するアッパー20内の空隙への出入りを提供する。したがって、アッパー20は、踝開口部22を通してソール構造30および足を受け入れるように構成されている。したがって、横側面21a、内側側面21b、および踝開口部22は、概ね従来の構成を有している。しかし、従来のアッパーとは対照的に、アッパー20は、横側面21aおよび内側側面21bに固定された連結要素23を含み、アッパー20の底部を横切って延び、アッパー20の下面を形成している。
【0016】
連結要素23は、横側面21aおよび内側側面21bの下部に固定されて、アッパー20の下面を形成している。連結要素23を横側面21aおよび内側側面21bに固定するために、たとえば、縫い合せ、接着剤による接着、熱接着、または縫い合せと接着の組合せを含む、様々な取付け技術を用いることができる。連結要素23は、前足部13内の横側面21aおよび内側側面21bの爪先領域上に延びている。この構成は、履物10に対する足の前方への動きを制限する。連結要素23は、横側面上、内側側面上、または踵部11内を上方へ延びてもよい。
【0017】
連結要素23は、図5および8に示されているように単一の要素であってもよく、または、互いに連結された複数の要素であってもよい。連結要素23の主な目的は、アッパー20の下面に複数の孔24a〜24gを形成することである。連結要素23に適した材料には、ポリエーテルブロックアミド、熱可塑性ポリウレタン、または様々なゴム材料もしくは弾性材料を含む、柔軟で適度に伸縮可能な複数のポリマーが含まれる。材料の組合せを利用してもよい。たとえば、連結要素23の大部分を生地材料または革材料で形成することができ、かつ各孔24a〜24gの周囲の生地または革にポリマーを固定することができる。
【0018】
アッパー20からソール構造30を取り外し、踵開口部22を通じてソール構造30を引き出し、それによってアッパー20内に形成された空隙からソール構造30を取り出すことによって、ソール構造30をアッパー20から分離することができる。ソール構造30の主な要素は、足支持要素31および複数の突起32a〜32gである。足支持要素31は、踵部11から前足部13まで延び、足に接触しかつ足を支持するための上面を提供している。足支持要素31の上面は、踵をはめるための踵部11内のへこみ;土踏まずを支持するための中足部12のアーチ;および爪先を含む足の前部を支持するための前足部13内の領域を含むような輪郭でありうる。足支持要素31の周辺領域を、足支持部材31の上面内に大まかなへこみを形成するように隆起させることができ、それによって足を確実に受け入れる領域が提供される。ソール構造30の快適さを向上させるために、生地ライナー33を、たとえば接着剤による接着によって足支持要素31の上面に取り付けることができる。
【0019】
ソール構造30がアッパー20内の空隙によって受け入れられる際、足支持要素31の下面は連結要素23に接触する。さらに、突起32a〜32gは、それぞれ孔24a〜24gを通って延び、かつアッパー20から下向きに延びて、履物10の地面接触部を形成している。各突起32a〜32gは、耐久性および耐磨耗性の下面を突起32a〜32gに与える複数のアウトソール部34a〜34gの1つを含む。アウトソール部34a〜34gに適した材料には、吹込みゴム、炭素ゴム、または吹込みゴムと炭素ゴムの組合せを含む、履物アウトソールに従来利用されている様々なゴム材料のいずれかが含まれる。
【0020】
主としてライナー33およびアウトソール部34a〜34gを除いて、ソール構造30は、履物10が地面に接触する際に緩衝作用を提供するポリマー発泡体材料で形成されている。より具体的には、ソール構造30は、ソール構造30が足と地面との間で圧縮される際に地面からの反力を減衰させてエネルギーを吸収するよう作用する。これは、たとえば歩行または走行を伴う活動中に起こりうる。したがって、ソール構造30に適した材料は、エチルビニルアセテート発泡体およびポリウレタン発泡体のような運動靴のミッドソールに利用されている従来のポリマー発泡体のいずれかである。また、Marion F. Rudyの米国特許第4,183,156号、第4,219,945号、第4,906,502号、および第5,083,361号ならびにDavid A. Goodwinらの米国特許第5,993,585号および第6,119,371号に開示されたように、ソール構造30は、追加的な緩衝作用を提供するために、流体が充填された空気袋を踵部11内にまたは足支持要素31の全長に沿って組み込んでもよい。
【0021】
突起32a〜32gは、円形、楕円形、三角形、六角形、正方形、または他の任意の幾何学的形状もしくは非幾何学的形状を含む、本発明の範囲内の様々な形状を有してよい。図7に示されているように、突起32a〜32gはそれぞれ、異なる非幾何学的形状を有し、履物10全体にわたって分布している。より具体的には、突起32a〜32bは前足部13に位置し、突起32c〜32eは中足部12に位置し、突起32f〜32gは踵部11に位置している。同様に、突起32a、32c、32e、および32fは履物10の横側面上に位置しており、突起32b、32d、および32gは履物10の内側側面上に位置している。
【0022】
ソール構造30をアッパー20内に適切に配置すると、突起32a〜32gはそれぞれ、下向きかつ孔24a〜24gを通って延びる。突起32a〜32gの形状は、孔24a〜24gの形状に概ね対応し、連結要素23とソール構造30間の固定された連結を提供する。この固定された連結部は、たとえば、ソール構造30が、歩行時、走行時、またはその他の移動性の活動時にアッパー20に対して適切に配置され続けることを確実にする。固定された連結はまた、さらに、ごみ、石、小枝、その他の破片が孔24a〜24gを通してアッパー20に入らないことを確実にする。固定された連結を増強するために、突起32a〜32gの面積よりわずかに小さい面積を有するように孔24a〜24gを形成することができる。したがって、孔24a〜24gは、突起32a〜32gを受け入れる際に伸長できる。さらに、突起32a〜32gはそれぞれ、突起32a〜32gの周囲の少なくとも一部にわたるくぼみ35a〜35gの1つを規定することができる。孔24a〜24gの縁部を受け入れ、それによってソール構造30をアッパー20に確実に連結するロックシステムを形成するために、くぼみ35a〜35gを用いることができる。くぼみ35a〜35gを含む、孔24a〜24gと突起32a〜32gとの間の係合領域は、固定された連結を確実にするように孔24a〜24gと概ね同じ面積か、わずかに大きな面積を有してよい。
【0023】
孔24a〜24gおよびくぼみ35a〜35gの縁部は、ソール構造30をアッパー20に確実に連結するロックシステムを形成する。固定された連結は、一般に、孔24a〜24gの縁部がくぼみ35a〜35gに入り込んだ際に形成される。しかし、連結は、孔24a〜24gの縁部の形状がくぼみ35a〜35gの形状に概ね対応する場合に増大されうる。したがって、図5に示されているように、孔24fおよび24gの縁部は、くぼみ35fおよび35gの表面に対応しかつ係合する形状を有している。すなわち、孔24fおよび24gの縁部は、くぼみ35fおよび35gの表面によって形成された概ね凹状の形状に係合する、概ね凸状の形状を有している。さらなる態様では、孔24a〜24gおよびくぼみ35a〜35gは、他の対応する形状を形成するように構成されてよい。さらに、くぼみは、孔24a〜24gの縁部に形成されてよく、突起32a〜32gは、孔24a〜24gの縁部のくぼみにはまる突出を形成してよい。
【0024】
くぼみ35a〜35gは、各突起32a〜32gの周囲を全体にわたって延びてよい。しかし、各図面に示されているように、くぼみ35a〜35gは、各突起32a〜32gの周囲の一部にしか延びていない。具体的には、くぼみ35a〜35gは、突起32a〜32gの、履物10から外側を向いた部分上にのみ配置されている。たとえば突起32cに関しては、くぼみ35cが、突起32cの横側面上に位置し、突起32cの前部および後部上に少なくとも部分的に延びている。しかし、くぼみ35cは突起32cの内側側面上には配置されていない。
【0025】
くぼみ35a〜35gは、孔24a〜24gの縁部を受け入れ、ソール構造30をアッパー20に確実に連結するロックシステムを形成する。上述のように、孔24a〜24gの縁部はくぼみ35a〜35gに入り込み、孔24a〜24gの縁部の形状はくぼみ35a〜35gの形状に概ね対応している。孔24a〜24gの、くぼみ35a〜35gに入り込まない部分では、孔24a〜24gの縁部は、連結要素23とソール構造30との間の接触表面積を大きくするために、図5に示されているように丸みのある構成を有してよい。
【0026】
上述のロックシステムにより、履物10に適した機械式ロックシステムの一例が提供される。孔縁部およびくぼみの使用は、ソール構造30とアッパー20との間に固定された連結を形成するのに利用できる唯一の種類の機械式ロックシステムではない。たとえば、図9および図10に示されているように、アッパー20は、連結要素23の周囲に延びる一連の管状構造25を含んでよく、ソール構造30は、アッパー20の管状構造25と整列化し、かつ管状構造25同士の間に嵌る一連の対応する管状構造36を含んでよい。たとえば、様々なピン37を管状構造25および36を通るように配置して、アッパー20とソール構造30を互いに固定することができる。したがって、アッパー20およびソール構造30は、ヒンジの構成に類似した対応する管状構造25および36を有しており、ピン37はヒンジ構造におけるピンの目的を果たす。
【0027】
上述の履物10の構造は、ソールが恒久的にアッパーに取り付けられている従来の履物に勝る、様々な利点をもたらす。たとえば履物を履いて走る際、足が地面に接触したときの足の回内の程度を制限するソール構造を好む人もいる。しかし、同じ人が、バスケットボールやテニスのようなコート形式の活動時には安定性の高いソール構造を好む可能性がある。恒久的に互いに固定された複数対のアッパー-ソール構造の組合せを購入する代わりに、単一のアッパー20および、各々が異なる活動に適した複数のソール構造30を得ることができる。それならば、複数のソール構造30から、アッパー20と共に使用できる1つのソール構造を選択することができる。同様に、単一のソール構造30と共に使用できる複数のアッパー20を得ることができる。
【0028】
アッパー20およびソール構造30は異なる材料から形成される。アッパー20の大部分は生地を含むが、ソール構造30は主としてポリマー発泡体およびゴムから形成される。したがって、アッパー20およびソール構造30は、特にそれぞれの材料に適した洗浄技術の恩恵を受けることができる。したがって、アッパー20をソール構造30から分離することができ、それぞれを適切な方法で洗浄することができる。
【0029】
アウトソール部34a〜34gは、履物10の耐久性のある地面接触要素を提供するようにゴム材料で形成されている。アウトソール部34a〜34gは耐摩耗性を有するが、履物10の使用が激しいと、最終的にアウトソール部34a〜34gの一部を通して磨耗する可能性がある。履物10を処分する代わりに、ソール構造30を適切にリサイクルして他のソール構造30と交換し、それによって履物10の耐用年数を延ばすことができる。同様の考察はアッパー20にも当てはまる。
【0030】
審美的な観点から、アッパー20およびソール構造30の相互交換可能性はまた、履物10の外観をカスタマイズする機能を個人に提供することができる。たとえば、実質的に同じ色を持つアッパー20およびソール構造30を有する履物10を購入することができる。アッパー20を他のアッパー20と相互交換することによって、履物10の色の組合せを個人の好みに合わせてカスタマイズすることができる。たとえば、特定の競技チームへの支持を、その競技チームの色を反映するアッパー20とソール構造30の組合せを選択することによって示すこともできる。
【0031】
本発明は、様々な態様を参照して、上記でおよび添付の図面に開示されている。しかし、本開示によって満たされる目的とは、本発明に関する様々な特徴および概念の一例を提供することであり、本発明の範囲を制限することではない。当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく上述の態様に多数の変形および修正を施せることが認識されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物製品において、
踝開口部、該踝開口部から下向きに延びる一対の側部、および該踝開口部の反対側に配置されかつ該側部同士の間を延びる連結要素を有する、アッパーであって、該連結要素が、該アッパーの底部を形成し、かつ該連結要素を貫通して延びる孔を規定する、アッパー;ならびに
足支持要素、および該足支持要素に連結された突起を有する、ソール構造であって、該足支持要素が該連結要素の上面に隣接して位置し、かつ該突起が該孔を通って延びて地面接触面を提供するように、該踝開口部を通して挿入可能である、ソール構造。
【請求項2】
連結要素が、ロックシステムの第1の部分を形成し、かつソール構造が、該ロックシステムの第2の部分を形成し、該第1の部分が、該ソール構造をアッパーに固定するために該第2の部分に連結可能である、請求項1記載の履物製品。
【請求項3】
ロックシステムが機械式ロックシステムである、請求項2記載の履物製品。
【請求項4】
第1の部分が孔の縁部であり、第2の部分がソール構造内のくぼみであり、該縁部が該くぼみによって受入れ可能である、請求項2記載の履物製品。
【請求項5】
くぼみが、突起の周囲の少なくとも一部にわたる、請求項4記載の履物製品。
【請求項6】
くぼみが、突起の、履物から離れる方向を向いた部分上に配置される、請求項4記載の履物製品。
【請求項7】
くぼみが、突起の周囲の少なくとも一部に、足支持部材に隣接して位置する、請求項4記載の履物製品。
【請求項8】
縁部およびくぼみが、対応する形状を有する、請求項4記載の履物製品。
【請求項9】
縁部が凸状表面を形成し、くぼみが凹状表面を形成する、請求項4記載の履物製品。
【請求項10】
第1の部分が第1の管状構造であり、かつ第2の部分が、該第1の管状構造と軸方向に整列化した第2の管状構造であり、ロックシステムが、アッパーをソール構造に固定するために該第1の管状構造および該第2の管状構造を通って延びる、要素を含む、請求項2記載の履物製品。
【請求項11】
アッパーが複数の孔を含み、ソール構造が複数の突起を含む、請求項1記載の履物製品。
【請求項12】
足支持要素および突起の少なくとも一部がポリマー発泡体材料で形成される、請求項1記載の履物製品。
【請求項13】
アウトソール部が突起の下面に固定される、請求項12記載の履物製品。
【請求項14】
足支持要素の上面が輪郭付けされる、請求項1記載の履物製品。
【請求項15】
足支持要素の上面の周囲の少なくとも一部が、該足支持要素の該上面の中央領域に対して隆起している、請求項1記載の履物製品。
【請求項16】
足支持要素の上面の踵部が、足の踵を受け入れるためのへこみを含む、請求項1記載の履物製品。
【請求項17】
足支持要素の上面に生地が固定される、請求項1記載の履物製品。
【請求項18】
踝開口部、該踝開口部から下向きに延びる一対の側部、および該踝開口部の反対側に配置されかつ該側部同士の間を延びる連結要素を有する、アッパーであって、該連結要素が、該アッパーの底部を形成しかつ該連結要素を貫通して延びる複数の孔を規定する、アッパー;ならびに
足支持要素、および該足支持要素に連結された複数の突起を有するソール構造であって、該足支持要素が該連結要素の上面に隣接して位置し、かつ該突起が該孔を通って延びて地面接触面を提供するように、踝開口部を通して挿入可能である、ソール構造
を含む、履物製品であって、
該連結要素が、ロックシステムの第1の部分を含み、かつ該ソール構造が、該ロックシステムの第2の部分を含み、該第1の部分が、該ソール構造を該アッパーに固定するために該第2の部分に連結可能である、履物製品。
【請求項19】
ロックシステムが機械式である、請求項18記載の履物製品。
【請求項20】
第1の部分が孔の縁部であり、第2の部分がソール構造内のくぼみであり、該縁部が該くぼみによって受入れ可能である、請求項18記載の履物製品。
【請求項21】
くぼみが、突起の周囲の少なくとも一部にわたる、請求項20記載の履物製品。
【請求項22】
くぼみが、突起の周囲の少なくとも一部に、足支持部材に隣接して位置する、請求項20記載の履物製品。
【請求項23】
くぼみが、突起の、履物から離れる方向を向いた部分上に配置される、請求項20記載の履物製品。
【請求項24】
縁部およびくぼみが、対応する形状を有する、請求項20記載の履物製品。
【請求項25】
縁部が凸状表面を有し、くぼみが凹状表面を形成する、請求項20記載の履物製品。
【請求項26】
足支持要素および突起の少なくとも一部がポリマー発泡体材料で形成される、請求項18記載の履物製品。
【請求項27】
アウトソール部が突起の下面に固定される、請求項26記載の履物製品。
【請求項28】
足支持要素の上面が輪郭付けされる、請求項18記載の履物製品。
【請求項29】
足支持要素の上面の周囲の少なくとも一部が、該足支持要素の該上面の中央領域に対して隆起している、請求項18記載の履物製品。
【請求項30】
足支持要素の上面の踵部が、足の踵を受け入れるためのへこみを含む、請求項18記載の履物製品。
【請求項31】
足支持要素の上面に生地が固定される、請求項18記載の履物製品。
【請求項32】
第1の部分が第1の管状構造であり、第2の部分が、該第1の管状構造と軸方向に整列化した第2の管状構造であり、ロックシステムが、アッパーをソール構造に固定するために該第1の管状構造および該第2の管状構造を通って延びる要素を含む、請求項18記載の履物製品。
【請求項33】
踝開口部、該踝開口部から下向きに延びる一対の側部、および該踝開口部の反対側に配置されかつ該側部同士の間を延びる連結要素を有する、アッパーであって、該連結要素が、該アッパーの底部を形成しかつ該連結要素を貫通して延びる複数の孔を規定するアッパー;ならびに
足支持要素、および該足支持要素に連結された複数の突起を有するソール構造であって、該足支持要素が該連結要素の上面に隣接して位置し、かつ該突起が該孔を通って延びて地面接触面を提供するように、該踝開口部を通して挿入可能である、ソール構造
を含む、履物製品であって、
少なくとも一部の該孔の縁部および少なくとも一部の該突起内のくぼみがロックシステムを形成し、該縁部が、該ソール構造を該アッパーに固定するために該くぼみに連結可能である、履物製品。
【請求項34】
くぼみが、突起の周囲の少なくとも一部にわたる、請求項33記載の履物製品。
【請求項35】
くぼみが、少なくとも一部の突起の少なくとも一部の周囲に、足支持部材に隣接して位置する、請求項33記載の履物製品。
【請求項36】
縁部およびくぼみが、対応する形状を有する、請求項33記載の履物製品。
【請求項37】
縁部が凸状表面を形成し、くぼみが凹状表面を形成する、請求項33記載の履物製品。
【請求項38】
足支持要素および突起の少なくとも一部がポリマー発泡体材料で形成される、請求項33記載の履物製品。
【請求項39】
アウトソール部が突起の下面に固定される、請求項38記載の履物製品。
【請求項40】
足支持要素の上面が輪郭付けされる、請求項33記載の履物製品。
【請求項41】
足支持要素の上面の周囲の少なくとも一部が、該足支持要素の該上面の中央領域に対して隆起している、請求項33記載の履物製品。
【請求項42】
足支持要素の上面の踵部が、足の踵を受け入れるためのへこみを含む、請求項33記載の履物製品。
【請求項43】
足支持要素の上面に生地が固定される、請求項33記載の履物製品。
【請求項44】
くぼみが、突起の、履物から離れる方向を向いた部分上に配置される、請求項33記載の履物製品。
【請求項45】
分離可能なアッパーおよびソール構造を含む履物製品であって、
該アッパーが、該アッパーの内部に配置された空隙を規定し、該空隙が、該ソール構造および足の両方を収容する形状およびサイズを有し、かつ、該アッパーが、該アッパーの底部を貫通して延びる複数の孔を規定し、該ソール構造が、該アッパーの内部に位置する足支持要素を有し、かつ、該ソール構造が、該足支持要素に固定された複数の突起を有し、該突起が、該孔を通って延び地面係合(ground-engaging)表面を形成し、ここで、
該アッパーが、ロックシステムの第1の部分を含み、かつ該ソール構造が、該ロックシステムの第2の部分を含み、該第1の部分が、該ソール構造を該アッパーに固定するために該第2の部分に連結可能である、履物製品。
【請求項46】
ロックシステムが機械式である、請求項45記載の履物製品。
【請求項47】
第1の部分が孔の縁部であり、かつ第2の部分がソール構造内のくぼみであり、該縁部が該くぼみによって受入れ可能である、請求項45記載の履物製品。
【請求項48】
くぼみが、突起の周囲の少なくとも一部にわたる、請求項47記載の履物製品。
【請求項49】
くぼみが、突起の周囲の少なくとも一部に、該足支持部材に隣接して位置する、請求項47記載の履物製品。
【請求項50】
くぼみが、突起の、履物から離れる方向を向いた部分上に配置される、請求項47記載の履物製品。
【請求項51】
縁部およびくぼみが、対応する形状を有する、請求項47記載の履物製品。
【請求項52】
縁部が凸状表面を有し、くぼみが凹状表面を形成する、請求項47記載の履物製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210502(P2012−210502A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174492(P2012−174492)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2009−184009(P2009−184009)の分割
【原出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】