説明

分離型無線基地局における伝送システム、伝送方法、ベースバンド処理装置及び無線装置

【課題】必要な伝送情報の容量に比較して伝送容量を増加させずに伝送ができる分離型無線基地局における伝送システム及び伝送方法を提供する。
【解決手段】分離型無線基地局におけるベースバンド処理装置1は、無線装置2にFFT処理及びIFFT処理に必要な制御情報を送信し、無線装置2は、前記制御情報に基づき、FFT処理及びIFFT処理を行い、ベースバンド処理装置1と無線装置2とが、周波数領域で信号を伝送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離型無線基地局における伝送システム及び伝送方法、ベースバンド処理装置及び無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基地局のアーキテクチャとして、ベースバンド処理装置と無線装置とを分離して、両者を光ファイバーで接続する分離型無線基地局が一般的になってきており、インターフェースとしてCPRI(CommonPublic Radio Interface)等の規格が標準化されている(例えば特許文献1)。図10は、分離型無線基地局の代表的な構成例を示している。図10のようにベースバンド処理装置(BBE)8と無線装置(RFE)9とを分離した構成とすることにより、RF処理機能をベースバンド処理機能から数km離れた所に設置することができ、より高い自由度で基地局を設置することが可能になる。また無線装置を図10に示すようにRFE10のようにカスケード接続により接続することができ、より広範囲のエリアをカバーする基地局を設置することができる。
【0003】
図11は従来の分離型無線基地局の構成を表すブロック図である。従来のBBE8は、ネットワーク処理部81からの送信データを、RLC部82、MAC部83を介して物理層84に渡し、ダウンリンクの信号についてはチャンネル符号化部841d、リソースマッパー842dが信号を処理する。そして該処理した信号をIFFT部843dにて周波数領域から時間領域に信号を変換し、インターフェース85を介してRFE9に送信する。
【0004】
RFE9においては、インターフェース91が信号を受信し、DFE部92、DAC93d、RF部94を経由して送信アンテナ95dからRFE9と通信する各端末装置に信号が送信される。アップリンクにおける受信信号の場合は、受信アンテナ95uが受信した信号を、RF部94、ADC93u、DFE部92を経由し、インターフェース91を介してBBE8に送信される。そしてFFT部843uにおいて時間領域から周波数領域に変換し、リソースデマッパー842u、チャンネル復号部841u、MAC部83、RLC部82を経由してネットワーク処理部81に渡される。
【0005】
また、BBE8のスケジューラによりRFE9及びRFE10に割り当てられているリソース構成例をそれぞれ図12(a)、図12(b)に示す。また、CPRI伝送フォーマットの割当例を図12(c)に示す。図12(a)、図12(b)に示すように、BBE8はnサブキャリア分のシステム帯域幅の範囲で、各端末装置に所定の帯域幅を有する通信リソースを割り当て、各無線装置に属する端末装置との無線通信を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−312185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の分離型無線基地局は、有効サブキャリア数のデータをIFFT及びFFT処理を行ってシステム帯域幅で時間領域に変換し、時間領域の信号でベースバンド装置及び無線装置間の伝送を行うため、必要な伝送情報の容量と比較して伝送容量は増加する。具体的には、例えば、システム帯域10MHzにおいて、600個の有効サブキャリア分のデータを伝送する場合、IFFT処理する場合は2のn乗単位のサイズしか処理ができないため時間領域の信号により伝送する場合は1024サブキャリア分のデータと同等のデータ量を伝送する必要があり、伝送容量が約1.7倍増加してしまっていた。
【0008】
また、従来の分離型無線基地局は無線伝送品質上の課題もあった。すなわち従来の分離型無線基地局は、例えば、ベースバンド処理装置と無線装置間を複数のケーブルで接続し伝送していた場合にあるケーブルが断線などにより使用できなくなった場合、または緊急時に1台のベースバンド処理装置に対して無線装置をカスケード接続で増設する場合などの理由によりベースバンド処理装置と無線装置の伝送容量を低減しなければならない場合、伝送する信号に全端末装置への割り当てリソースが畳み込まれているので、システム帯域幅を減少させなければならなかった。具体的には前記理由によりベースバンド処理装置と無線装置間の伝送帯域を半減する必要がある場合、従来の構成では接続している端末数を維持するためには図13(a)及び図13(b)に示すように、システム帯域をn/2キャリアに半減させなければならなかった。そしてシステム帯域を半減させた場合、リソース割り当てをするためのサブキャリアの選択肢が減少するため、周波数選択フェージング等の影響が大きくなり、無線伝送品質が低下、無線伝送容量の低下の課題があった。あるいは、カスケード接続している無線装置が複数存在する場合には、一方の無線装置の通信をすべて中断しなければならなかった。
【0009】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、必要な伝送情報の容量に比較して伝送容量を増加させずに、ベースバンド装置及び無線装置間の伝送ができる分離型無線基地局における伝送システム及び伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る伝送システムは、
ベースバンド処理装置と無線装置とを備える分離型無線基地局における伝送システムであって、
前記ベースバンド処理装置は、前記無線装置にFFT処理及びIFFT処理に必要な制御情報を送信し、
前記無線装置は、前記制御情報に基づき、FFT処理及びIFFT処理を行い、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置とが、周波数領域で信号を伝送することを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る伝送システムはさらに、
前記ベースバンド処理装置が、システム帯域の範囲内で所定の周波数帯域幅を有する通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当て、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置との通信における伝送容量が不足した場合、前記ベースバンド処理装置が前記システム帯域を変更せずに、前記通信リソースの割当総量を減少させることを特徴とする。
【0012】
また本発明に係る伝送システムはさらに、
前記ベースバンド処理装置が、前記システム帯域のうち、無線通信品質がより高い周波数帯域における通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当てることを特徴とする。
【0013】
また本発明に係る伝送方法は、
ベースバンド処理装置と無線装置とを備える分離型無線基地局における伝送方法であって、
前記ベースバンド処理装置が、前記無線装置にFFT処理及びIFFT処理に必要な制御情報を送信するステップと、
前記無線装置は、前記制御情報に基づき、FFT処理及びIFFT処理を行うステップと、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置とが、周波数領域で信号を伝送するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明に係る伝送方法はさらに、
前記ベースバンド処理装置が、システム帯域の範囲内で所定の周波数帯域幅を有する通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当てるステップと、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置との通信における伝送容量が不足した場合、前記ベースバンド処理装置が前記システム帯域を変更せずに、前記通信リソースの割当総量を減少させるステップを含むことを特徴とする。
【0015】
また本発明に係る伝送方法は、
前記帯域幅を制御するステップがさらに、
前記ベースバンド処理装置が、前記システム帯域のうち、無線通信品質がより高い周波数帯域における通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当てるように制御することを特徴とする。
【0016】
また本発明に係るベースバンド処理装置は、
分離型無線基地局における無線装置と接続されるベースバンド処理装置であって、
IFFT処理及びFFT処理に必要な制御情報を生成する無線監視制御部と、
前記制御情報を前記無線装置に送信し、前記無線装置と周波数領域の信号により伝送するインターフェースと、
を有することを特徴とする。
【0017】
また本発明に係る無線装置は、
分離型無線基地局におけるベースバンド装置と接続される無線装置であって、
前記ベースバンド装置からIFFT処理及びFFT処理に必要な制御情報を受信するインターフェースと、
前記制御情報に基づきIFFT処理を行うIFFT部と、
前記制御情報に基づきFFT処理を行うFFT部と、
を有し、
前記ベースバンド装置と周波数領域の信号により伝送を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明における伝送システム及び伝送方法によれば、分離型無線基地局において、必要な伝送情報の容量に比較して伝送容量を増加させずに、ベースバンド装置及び無線装置間の伝送ができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る分離型無線基地局の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る分離型無線基地局の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例1に係る分離型無線基地局の接続構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る分離型無線基地局のリソース割当て例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る伝送容量が不足した場合の分離型無線基地局のリソース割当て例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る伝送容量が不足した場合の分離型無線基地局のリソース割当ての変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る分離型無線基地局の接続構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例2に係る分離型無線基地局のリソース割当て例を示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係る伝送容量が不足した場合の分離型無線基地局のリソース割当て例を示す図である。
【図10】従来の分離型無線基地局の接続構成を示す図である。
【図11】従来の分離型無線基地局の構成を表すブロック図である。
【図12】従来の分離型無線基地局のリソース割当て例を表す図である。
【図13】従来の分離型無線基地局の伝送容量が不足した場合のリソース割当て例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施形態に係る分離型無線基地局における伝送システムのブロック図である。本発明の実施の形態1に係る分離型無線基地局における伝送システムは、ベースバンド処理装置(BBE)1と、無線装置(RFE)2とを備える。BBE1とRFE2とは、光ファイバーケーブルにより接続されている。
【0022】
BBE1は、ネットワーク処理部11と、Radio Link Control(RLC)部12と、Media Access Control(MAC)部13と、物理層14とインターフェース15と、監視制御部16とを備える。
【0023】
ネットワーク処理部11は、BBE1のネットワークに係る各種処理を行い、具体的には、ダウンリンクで送信するデータ及びアップリンクで受信するデータの各種処理を行う。
【0024】
RLC部12は無線リンク制御を行い、MAC部13は、無線リソース割当制御等のメディアアクセス制御を行い、チャンネル符号化部141dにデータを渡す。MAC部13はスケジューラ131を有し、スケジューラ131は、後述する監視制御部16からの指示に基づき、無線リソース割当ての指示をリソースマッパー142dに対し行う。
【0025】
物理層14は、物理レイヤーの処理を行う。ここで、本発明においてBBE1で行われる物理レイヤーの処理は、ダウンリンク処理ではリソースマッピングまで、アップリンク処理ではリソースデマッピングからの処理となり、IFFT処理及びFFT処理を含まない。物理層14は、チャンネル符号化部141dと、チャンネル復号部141uと、リソースマッパー142dと、リソースデマッパー142uとを備える。
【0026】
チャンネル符号化部141dは、MAC部から受取ったデータのチャンネル符号化を行う。チャンネル符号化は、データに応じた符号化率の符号化方式により符号化し、符号化した信号をリソースマッパー142dに渡す。
【0027】
チャンネル復号部141uは、リソースデマッパー142uから受取った信号のチャンネル復号を行いMAC部13にデータを渡す。
【0028】
リソースマッパー142dは、符号化された信号を、各サブキャリアにそれぞれリソース割当て、すなわちリソースマッピングをする。当該リソースの割当は、スケジューラ131の指示に基づき行う。リソースマッパー142dはリソース割当した信号をインターフェース15に渡す。
【0029】
リソースデマッパー142uは、リソース割当てされている信号から所望の信号を取り出すリソースデマッピングをし、取り出した信号をチャンネル復号部141uに渡す。
【0030】
インターフェース15は、リソースマッパー142dから受取った信号、制御信号、及び基準タイミング信号を、RFE2に送信する。リソースマッパー142dから受取った信号は、IFFT処理がされていないため、周波数領域の信号である。すなわちインターフェース15は周波数領域の信号をRFE2に送信する。インターフェース15は、好ましくはCPRIプロトコルにより各信号を送信する。伝送する信号は有効サブキャリア数のみとする。システム帯域毎にサブキャリア数は異なるので、適宜伝送データを調整する。
【0031】
制御信号は、具体的にはIFFT及びFFT処理に必要な情報、CP(Cyclic Prefix)種別、シンボル番号、スロット番号、IQ種別、システム帯域、受信タイミング調整値等の制御情報により構成される。制御信号は、好ましくは、CPRIにおける、Vendor Specific等の空きチャンネルを使用して送信される。
【0032】
なお、制御信号に係る制御情報のうち、システム動作中に変更が無い制御情報は、装置立ち上げ時のみ予め送信するだけでよい。また伝送データの送信順序を予め決めておき、前記情報を低減してもよい。例えば、アンテナ2本を使用する場合、アンテナAのシンボルa、アンテナBのシンボルa、アンテナAのシンボルb、アンテナBのシンボルbの順番に信号を送信すると予め決めておくことにより、制御信号の低減化は適宜可能である。
【0033】
また基準タイミング信号は、BBE1とRFE2の基準タイミングを同期させる信号であり、監視制御部16により生成される。基準タイミング信号はBBE1とRFE2間の光ケーブル等による伝送遅延も考慮して送信タイミングを補正して送信する。すなわち、BBE1から早出しで送信された基準タイミング信号はRFE2で受信した時にBBE1内の基準タイミング信号と時間軸で同タイミングになる。なお、光ケーブルなどの伝送遅延の測定はCPRIの仕様に記述されている方法などを用いる。これらの信号は、好ましくは、CPRIにおける、Vendor Specific等の空きチャンネルや、BFN(NodeB Frame Number)を使用して行う。
【0034】
監視制御部16は、制御信号及び基準タイミング信号を生成する。また、監視制御部16は、BBE1とRFE2との間の伝送容量において、接続している無線装置に対する伝送容量が不足する場合は、その不足容量に応じてMAC部13にその無線装置と通信をしている端末装置のリソース割り当てを減らすように指示をする。
【0035】
RFE2は、インターフェース21と、メモリ22dと、メモリ22uと、IFFT部23dと、FFT部23uと、タイミング調整部24と、タイミング制御部25と、Digital Front End(DFE)部26と、デジタルアナログ変換器(DAC)27dと、アナログデジタル変換器(ADC)27uと、RF部28と、送信アンテナ29dと、受信アンテナ29uとを備える。
【0036】
インターフェース21は、周波数領域の信号、制御信号、及び基準タイミング信号を受信し、受信した周波数領域の信号をメモリ22dに格納する。また、受信した基準タイミング信号及び制御信号に含まれる受信タイミング調整値をタイミング調整部25に渡す。さらに制御信号のうちIFFT処理及びFFT処理に必要な制御情報を夫々IFFT部23d及びFFT部23uに渡す。
【0037】
メモリ22dは、インターフェース21が受信した周波数領域の信号を格納する。メモリ22uは、FFT部23uが生成した周波数領域の信号を格納する。
【0038】
IFFT部23dは、メモリ22dから取り出した周波数領域の信号にIFFT処理をする。すなわちIFFT部23dは周波数領域の信号を時間領域の信号に変換し、変換した信号をタイミング調整部24に渡す。IFFT処理に必要な情報は、BBE1から受信した制御信号に基づき行う。例えば、CP付加処理において、制御信号におけるCP種別を用いる。
【0039】
FFT部23uは、タイミング調整部24から所定のタイミングで信号を受信し、FFT処理をする。すなわちFFT部23uは、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、メモリ22uに格納する。またFFT処理に必要な情報は、BBE1から受信した制御信号に基づき行う。例えば、CP削除処理において、制御信号におけるCP種別を用いる。
【0040】
タイミング調整部24は、RFE2のアンテナ29d及びアンテナ29uにおける送信タイミング及び受信タイミングを調整する。具体的には、ダウンリンクの場合、タイミング調整部24は、タイミング制御部25から受取るタイミング信号に従い送信データを送信する。なお、BBE1で送信タイミングを調整し、無線装置では調整しない構成でもよい。その場合、システム帯域、CP種別など考慮した無線装置で処理するIFFT処理遅延時間の情報をBBE1、またはRFE2で持ち(この場合は無線装置からベースバンド処理装置に情報を提供する)、BBE1から前記遅延時間を考慮し送信データを送信する。アップリンクの場合は受信したデータを一旦メモリ(不図示)に保存し、適宜FFT部23uから読み出される。
【0041】
タイミング制御部25は、BBE1とRFE2の処理タイミング同期させるための制御を行う。具体的にはタイミング制御部25は、BBE1から送信された基準タイミング信号に基づき、RFE2の基準タイミングを同期させ、タイミング信号をタイミング調整部24に供給する。ダウンリンクの場合、タイミング調整部24に供給するタイミング信号は前記ベースバンド処理装置と同期した基準タイミングに対してDFE26から送信アンテナ29dまでの遅延時間を考慮し、その遅延時間分前に進めたタイミングで生成する。アップリンクの場合、FFT部23uに提供するタイミング信号は、受信アンテナ29uからDFE26までの遅延時間とベースバンド処理装置から送信された受信タイミング調整値などを考慮し生成する。
【0042】
DFE部26は、アップリンク及びダウンリンクにおける信号のアップコンバート、ダウンコンバート、フィルタリングの処理を行う。DAC27dは、送信信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。ADC27uは、受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0043】
RF部28は、DAC27dから受取ったアナログ信号を、送信アンテナ29dにより送信する。また、受信アンテナ29uにより受信したアナログ信号を、ADC27uに渡す。
【0044】
次に、本発明の一実施形態に係る伝送システムについて、図2に示すフローチャートによりその動作を説明する。なお、図2に示すフローチャートにおいては、ダウンリンクの動作(ステップS11〜ステップS18)と、アップリンクの動作(ステップS19〜ステップS26)を組合せ、ダウンリンク及びアップリンクの伝送が連続して動作する例を示すがこれに限られず、アップリンクとダウンリンクの動作を独立して行ってもよい。
【0045】
はじめにネットワーク処理部11からアップリンクの伝送データをRLC部12が受けると、RLC部12は、無線リンク制御をする(ステップS11)。続いてMAC部13は、無線リソース割当制御等のメディアアクセス制御を行いチャンネル符号化部141dにデータを渡す(ステップS12)。MAC部13はスケジューラ131を有し、スケジューラ131は、監視制御部16からの指示に基づき、無線リソース割当ての指示をリソースマッパー142dに対し行う。
【0046】
続いてチャンネル符号化部141dは、MAC部から受取ったデータのチャンネル符号化を行う(ステップS13)。チャンネル符号化は、データに応じた符号化率の符号化方式により符号化し、符号化した信号をリソースマッパー142dに渡す。
【0047】
続いてリソースマッパー142dは、符号化された信号を、各サブキャリアにそれぞれリソース割当てをする(ステップS14)。当該リソースの割当は、スケジューラ131の指示に基づき行う。リソースマッパー142dはリソース割当した信号をインターフェース15に渡す。
【0048】
続いてインターフェース15は、リソースマッパー142dから受取った信号、制御信号、及び基準タイミング信号を、光ケーブルで接続されたRFE2に送信する(ステップS15)。リソースマッパー142dから受取った信号は、IFFT処理がされていないため、周波数領域の信号である。すなわちインターフェース15は、周波数領域の信号をRFE2に送信する。インターフェース15は、好ましくはCPRIプロトコルにより各信号を送信する。伝送する信号は有効サブキャリア数のみとする。システム帯域毎にサブキャリア数は異なるので、適宜伝送データを調整する。
【0049】
続いてRFE2のインターフェース21は、周波数領域の信号、制御信号、及び基準タイミング信号を受信する(ステップS16)。インターフェース21は受信した周波数領域の信号をメモリ22dに格納する。また、受信した基準タイミング信号及び受信タイミング調整値をタイミング調整部25に渡す。さらに制御信号のうちIFFT処理及びFFT処理に必要な制御情報を夫々IFFT部23d及びFFT部23uに渡す。
【0050】
続いてIFFT部23dは、メモリ22dから取り出した周波数領域の信号にIFFT処理をし、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換し、変換した信号をタイミング調整部24に渡す(ステップS17)。IFFT処理に必要な情報は、BBE1から受信した制御信号に基づき行う。例えば、CP付加処理において、制御信号におけるCP種別を用いる。
【0051】
続いてRFE2は、RFE2に属する端末装置に信号を送信する。(ステップS18)。具体的には、タイミング調整部24が、タイミング制御部25から受信したタイミング信号に基づき、送信する信号をDFE26に渡す。続いてDFE26が送信信号をアップコンバートし、所定のフィルタリングを行う。続いてDAC27dがデジタル信号をアナログ信号に変換し、RF部28が、送信アンテナ29dにより当該アナログ信号を送信する。
【0052】
次にダウンリンクの動作を説明する。まずRFE2は、RFE2に属する端末装置からダウンリンクの信号を受信する(ステップS19)。具体的には、RF部28が、受信アンテナ29uにより端末装置からのアナログ信号を受信し、ADC27uがアナログ信号をデジタル信号に変換する。続いてDFE26が信号をダウンコンバートし、所定のフィルタリングを行い、タイミング調整部24に信号を渡す。
【0053】
続いてFFT部23uは、タイミング調整部24から所定のタイミングで信号を受信し、FFT処理をして時間領域の信号を周波数領域の信号に変換し、メモリ22uに格納する(ステップS20)。該タイミングは、タイミング調整部24がタイミング制御部25から受信したタイミング信号に基づき適宜調整される。またFFT処理に必要な情報は、BBE1から受信した制御信号に基づき行う。例えば、CP削除処理において、制御信号におけるCP種別を用いる。
【0054】
続いてインターフェース21は、メモリ22uから周波数領域の信号を取り出し、当該周波数領域の信号を、BBE1に送信する(ステップS21)。伝送する信号は有効サブキャリア数のみとする。BBE1は当該周波数領域の信号を受信する(ステップS22)。
【0055】
続いてリソースデマッパー142uは、リソース割当てされている信号から所望の信号を取り出し、取り出した信号をチャンネル復号部141uに渡す(ステップS23)。
【0056】
続いてチャンネル復号部141uは、リソースデマッパー142uから受取った信号のチャンネル復号を行いMAC部13にデータを渡す(ステップS24)。
【0057】
続いてMAC部13がメディアアクセス制御をし(ステップS25)、RLC部12が、無線リンク制御をし(ステップS26)、ネットワーク処理部11にダウンリンクのデータが渡されて処理が終了する。
【0058】
このように本発明によれば、BBE1とRFE2とが周波数領域で伝送をするため、分離型無線基地局において、必要な伝送情報の容量に比較して伝送容量を増加させずに、ベースバンド処理装置及び無線装置間の伝送ができる。
【0059】
具体的には、例えばシステム帯域10MHzにおいて、600個の有効サブキャリア分のデータを伝送する場合、周波数領域の信号により伝送する場合は600サブキャリア分のデータで伝送すればよく、伝送容量は増加しない。従って、時間領域で伝送する従来技術と比較して約0.6倍の伝送容量になり、インターフェースの低速化することができ、低消費電力・回路コスト低減などの利点がある。また、近年の広帯域化により伝送容量が増加するに従い、インターフェースの高速伝送が必要となっているが、高速伝送が可能なデバイスの開発が追従できない場合などに有効となる。また、ベースバンド処理装置にカスケード接続する無線装置を増やす事が可能となるので、ケーブル施設の設置費やコストの低減、設置期間も短縮可能となる。
【0060】
(実施例1)
次に、本実施の形態に係る伝送システムの実施例(実施例1)を図3〜図6により示す。
【0061】
図3は、無線装置としてRFE2a及びRFE2bの2つをBBE1にカスケード接続した構成例である。なお図中では2つの無線装置を“RFE1”、“RFE2”として表し、図4及び図5におけるCPRIフォーマットにおいては当該表記を用いて各無線装置の割当を記載している。なお、RFE2aとRFE2bの構成は、図1に示すRFE2と同一の構成である。RFE2aは端末装置“UE11”〜“UE16”と通信し、RFE2bは、端末装置“UE21”〜“UE26”と通信する。また、RFE2a及びRFE2bにおいて、各スケジューラ131により割り当てられているリソース構成例をそれぞれ図4(a)及び図4(b)に示す。また、CPRI伝送フォーマットの割り当て例を図4(c)に示す。このようにBBE1は、nサブキャリア分のシステム帯域の範囲内で、所定周波数帯域幅を有する通信リソースを、RFE2a及びRFE2bに属する端末装置に割り当てる。
【0062】
ここで、何らかの原因でBBE1とRFE2aとの間の通信にリンクエラーが起こり、伝送速度が当初想定した速度に対して半減した場合の処理について説明する。CPRIの通信はリンク確立時に伝送速度をネゴシエーションし設定する。主な設定速度として、614.4Mbit/s、1228.8Mbit/s、2457.6Mbit/s等があり、ここでは当初の伝送速度2457.6Mbit/sから伝送速度1228.8Mbit/sに半減したとして説明する。
【0063】
監視制御部16にて、CPRIのリンクエラー、伝送速度が半減した事が分かると、MAC部13のスケジューラ131に、RFE2aとRFE2bに接続する端末装置の割り当てリソースの総量を半減させることと、システム帯域はそのままであること(割り当てサブキャリアの範囲は変更なし)の条件を指示する。なお、前記条件以外は従来のスケジューラの方法で各端末装置にリソースを割り当てる。このときのリソース構成例はRFE2a及びRFE2bについてそれぞれ図5(a)、図5(b)である。また、CPRI伝送フォーマットの割り当て例は図5(c)である。なおBBE1とRFE2aとの通信を周波数領域で伝送しているため、システム帯域をそのままにすることが可能である。
【0064】
図5に示す割り当てでは、各端末装置に割り当てるリソースの帯域幅が半減し、無線リソースの割当総量は半減するが、周波数選択フェージングなどの影響でサブキャリアのリソース割り当てを変更する場合においても、サブキャリアの選択肢はCPRIの伝送速度が半減する前と変わらないので無線伝送品質や無線伝送容量の低下は起こらない。例えば、あるサブキャリアの無線通信品質が劣化した場合のリソース割り当て変更例をRFE2a及びRFE2bについてそれぞれ、図6(a)及び図6(b)に示す。無線通信品質が劣化したサブキャリアを回避するように、図6(a)では“UE12”、“UE15”等、図6(b)では“UE25”、“UE26”等に割り当てるサブキャリアの帯域を変更している。
【0065】
このように本発明によれば、BBE1と各無線装置(RFE2a及びRFE2b)間の伝送容量が何らかの理由で低減した場合、割り当てリソースは減らすが、周波数領域で信号を伝送するので、システム帯域を変更する必要がないためサブキャリアの選択範囲は変わらず、周波数選択フェージングなどの影響による無線伝送品質や無線伝送容量の低下を防止することができる。
【0066】
(実施例2)
次に、本実施の形態に係る伝送システムの実施例(実施例2)を図7〜図9により示す。
【0067】
図7は、ベースバンド処理装置のBBE1aに対し、無線装置としてRFE2a、RFE2bの2つをカスケード接続により接続し、ベースバンド処理装置のBBE1bに対し、無線装置としてRFE2c及びRFE2dの2つをカスケード接続により接続した構成例である。また、RFE2bとRFE2dとは光ケーブルにより接続されている。なお図中では2つのベースバンド処理装置を“BBE1”、“BBE2”、4つの無線装置を“RFE1”、“RFE2”、“RFE3”、“RFE4”として表し、図8及び図9におけるCPRIフォーマットにおいては当該表記を用い各無線装置の割当を記載している。BBE1a及びBBE1bの構成は、図1のBBE1の構成と同一であり、RFE2a、RFE2b、RFE2c、及びRFE2dの構成は、図1に示すRFE2の構成と同一である。
【0068】
このとき、RFE2a及びRFE2bにおいて、各スケジューラ131により割り当てられている構成例は、それぞれ図4(a)、図4(b)であり、CPRI伝送フォーマットの割当例は図4(c)である。一方、RFE2c、RFE2dにおいて各スケジューラ131により割り当てられている構成例は、それぞれ図8(a)、図8(b)であり、CPRI伝送フォーマットの割当例は図8(c)である。このようにBBE1a及びBBE1bは、nサブキャリア分のシステム帯域の範囲内で、所定周波数帯域幅を有する通信リソースを、それぞれRFE2a及びRFE2b、RFE2c及びRFE2dに属する端末装置に割り当てる。
【0069】
ここで、何らかの原因でBBE1bとRFE2cの通信ができなくなった場合において、RFE2dとRFE2b間の光ケーブルによりRFE2c、RFE2dをBBE1aにカスケード接続する場合の処理について説明する。
【0070】
まず、BBE1aとRFE2c及びRFE2dとの接続を有効にする。ここでBBE1aに接続する無線装置を増やす場合は、センター局からネットワーク経由で無線装置が増加した事を監視制御部16に通知する。なお、RFE2cとRFE2dに接続する端末装置は再度接続処理を行うことになる。
【0071】
監視制御部16にてMAC部13のスケジューラ131に、すでに接続している無線装置FRE2aとRFE2bに接続する端末装置の割り当てリソースの総量を半減させることとシステム帯域はそのままであること(割り当てサブキャリアの範囲は変更なし)の条件を指示する。なお、前記条件以外は従来のスケジューラの方法で各端末装置にリソースを割り当てる。割り当てられたリソース構成例を、RFE2a及びRFE2bはそれぞれ図5(a)及び図5(b)、RFE2c及びRFE2dはそれぞれ図9(a)及び図9(b)に示す。またCPRI伝送フォーマットの割り当て例を図9(c)に示す。なおBBE1aとRFE2aとの通信を周波数領域で伝送しているため、システム帯域をそのままにすることが可能である。
【0072】
このように本発明によれば、BBE1と各無線装置(RFE2a、RFE2b、RFE2c、及びRFE2d)の伝送容量を低減する場合、周波数領域で信号を伝送するためシステム帯域を変更せずに割り当てリソースを減らす事ができ、システム帯域を変更しないためサブキャリアの選択範囲は変わらず、周波数選択フェージングなどの影響による無線伝送品質や無線伝送容量の低下を防止することができる。
【0073】
なお、BBE1におけるネットワーク処理部11、RLC部12、MAC部13、物理層14、監視制御部16は、複数並列に備えてベースバンド処理を並列処理により行ってもよい。この場合、ベースバンド処理を高速化することができる。
【0074】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1、1a、1b ベースバンド処理装置
11 ネットワーク処理部
12 RLC部
13 MAC部
131 スケジューラ
14 物理層
141d チャンネル符号化部
141u チャンネル復号部
142d リソースマッパー
142u リソースデマッパー
15 インターフェース
16 制御監視部
2、2a、2b、2c、2d 無線装置
21 インターフェース
22d、2du メモリ
23d IFFT部
23u FFT部
24 タイミング調整部
25 タイミング制御部
26 DFE
27d DAC
27u ADC
28 RF部
29d 送信アンテナ
29u 受信アンテナ
8 ベースバンド処理装置
9、10 無線装置
81 ネットワーク処理部
82 RLC部
83 MAC部
84 物理層
841d チャンネル符号化部
841u チャンネル復号部
842d リソースマッパー
842u リソースデマッパー
843d IFFT部
844u FFT部
85 インターフェース
91 インターフェース
92 DFE
93d DAC
93u ADC
94 RF部
95d 送信アンテナ
95u 受信アンテナ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースバンド処理装置と無線装置とを備える分離型無線基地局における伝送システムであって、
前記ベースバンド処理装置は、前記無線装置にFFT処理及びIFFT処理に必要な制御情報を送信し、
前記無線装置は、前記制御情報に基づき、FFT処理及びIFFT処理を行い、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置とが、周波数領域で信号を伝送することを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記伝送システムはさらに、
前記ベースバンド処理装置が、システム帯域の範囲内で所定の周波数帯域幅を有する通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当て、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置との通信における伝送容量が不足した場合、前記ベースバンド処理装置が前記システム帯域を変更せずに、前記通信リソースの割当総量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
前記伝送システムはさらに、
前記ベースバンド処理装置が、前記システム帯域のうち、無線通信品質がより高い周波数帯域における通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当てることを特徴とする請求項2に記載の伝送システム。
【請求項4】
ベースバンド処理装置と無線装置とを備える分離型無線基地局における伝送方法であって、
前記ベースバンド処理装置が、前記無線装置にFFT処理及びIFFT処理に必要な制御情報を送信するステップと、
前記無線装置は、前記制御情報に基づき、FFT処理及びIFFT処理を行うステップと、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置とが、周波数領域で信号を伝送するステップと、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項5】
前記伝送方法はさらに、
前記ベースバンド処理装置が、システム帯域の範囲内で所定の周波数帯域幅を有する通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当てるステップと、
前記ベースバンド処理装置と前記無線装置との通信における伝送容量が不足した場合、前記ベースバンド処理装置が前記システム帯域を変更せずに、前記通信リソースの割当総量を減少させるステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の伝送方法。
【請求項6】
前記帯域幅を制御するステップはさらに、
前記ベースバンド処理装置が、前記システム帯域のうち、無線通信品質がより高い周波数帯域における通信リソースを前記無線装置に属する端末装置に割り当てるように制御することを特徴とする請求項5に記載の伝送方法。
【請求項7】
分離型無線基地局における無線装置と接続されるベースバンド処理装置であって、
IFFT処理及びFFT処理に必要な制御情報を生成する無線監視制御部と、
前記制御情報を前記無線装置に送信し、前記無線装置と周波数領域の信号により伝送するインターフェースと、
を有することを特徴とするベースバンド処理装置。
【請求項8】
分離型無線基地局におけるベースバンド装置と接続される無線装置であって、
前記ベースバンド装置からIFFT処理及びFFT処理に必要な制御情報を受信するインターフェースと、
前記制御情報に基づきIFFT処理を行うIFFT部と、
前記制御情報に基づきFFT処理を行うFFT部と、
を有し、
前記ベースバンド装置と周波数領域の信号により伝送を行うことを特徴とする無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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