説明

分離方法

【課題】分離方法の提供
【解決手段】本発明は、新規で及び進歩性を有する手段で、溶離液の置換物としての分離プロファイルの部分を含むフラクションを利用することによる、ベタイン−含有溶液を分画するためのクロマトグラフィー分離方法に関する。該方法は、ベタイン又は他の生成物の収率又は純度に影響することなく、改善された分離容量及び分離効率を提供する。該方法は特に、逐次的SMB分離システムに適用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィー分離の分野に関し、特に、疑似移動床及びバッチ法による、ベタイン−含有溶液のクロマトグラフィー分画法に関する。本発明の方法は、新規で及び進歩性を有する手段で、分離プロファイルの部分を含むフラクションを戻して分離システムに導入して新たな溶離液の体積を減少し、一方で、ベタイン又は他の生成物の収率及び/又は純度を基本的に維持又はより改善することにより、分離システムの分離効率を改善することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
ベタイン−含有の植物をベースとした溶液からベタイン及び他の成分を分離するためのクロマトグラフィー分離システムは、該システムの分離容量と分離効率を改善するためここ数年の間に発展してきた。しかし、特に、クロマトグラフィーSMB分離システムは、供給物に対する溶離液の比率が一般的にSMBシステムの非常に複雑な性質のせいで高いという欠点を有する。分離システムに戻す溶離液のフラクションを循環させるための種々の調整は既にクロマトグラフィーSMBシステムにおいて使用されている。
【0003】
米国特許第4109075号明細書(CPCインターナショナル インコーポレーテッド)は、糖類を分離するための方法、例えば、分子量が異なる少なくとも3種類の異なる糖フラクションを収集する、バッチクロマトグラフィー法による澱粉転換生成物からの方法を開示する。最初の糖フラクション(最も分子量が大きいフラクション)は、その後次の供給物の溶離のために使用され、続いて水で溶離される。この様式の操作が溶離水の量を最小化し、より低分子量の糖類DP1ないしDP4のどれかを多く含むフラクションを製造することが示されている。
【0004】
米国特許第4267054号明細書(サンマツ工業株式会社)は、多成分混合物から2成分(例えば、グルコースとフルクトース)を分離するためのバッチクロマトグラフィー分離方法であって、分離カラム由来の溶離物が4フラクション(a)、(b)、(c)及び(d)において収集される方法を開示する。フラクション(a)及び(c)は、生成物フラクションであり、フラクション(b)は、目的生成物を比較的多量含む混合フラクションであり、フラクション(d)は、操作の次の循環において使用される、フラクション(c)の尾部の及びフラクション(a)の頂部の希釈フラクションを含む。フラクション(b)及び(d)は、分離カラムの先端にそれらを導入することにより分離システムに戻される。
【0005】
米国特許第4402832号明細書(UOP インコーポレーテッド)は、SMBクロマトグラフィーシステム中のラフィネート成分(グルコース等)から抽出成分(フルクトース等)を分離するための方法であって、希釈抽出フラクション及び混ざりもののあるラフィネートフラクションが、それらが収集される同一のカラムに戻される方法を開示する。該方法は、先行技術の方法と比較して、生成物流から溶離液を回収するために、必要とされるエネルギーをかなり節約することが提供されると示されている。更に、分離ユニットを介する流体循環の減少された速度が達成され、そこではカラムのより密度が高い充填が可能となることが示されている。このことが、ひいては、吸収床を介するチャネリングを最小化し、更には空隙容量を最小化することを示している。
【0006】
米国特許第4487198号明細書(ハヤシバラ)は、第一段階において分離カラム由来の溶離物が、5フラクションA、B、C、D及びEにおいて収集される、糖澱粉溶液からマルトースを分離するための2段階バッチ法を開示する。フラクションAはデキストリ
ンフラクションであり、フラクションCはマルトースフラクションであり及びフラクションEはグルコースフラクションである。フラクションBは、マルトース不純物を伴うデキストリンを含む後方スロープフラクションであり、フラクションDは、グルコース不純物を伴うマルトースを含む前方スロープフラクションである。次の段階において、フラクションB及びDは、この順番で逐次的に新しい供給物と共に分離カラムに適用され、それによりフラクションBは、供給物の前に導入され、フラクションDは供給物の後に導入される。
【0007】
米国特許第6200390号明細書(アマルガメーテッド リサーチ インコーポレーテッド)は、例えば、糖蜜からベタイン及び糖を回収するための連続SMB法を開示する。この方法において、ベタインの“ブロック”は該システムの通常操作に支障をきたすことなく、SMBシステムの循環ループから置き換えられる。実際には、ベタイン−含有フラクションは、連続SMBシステムの循環ループから抜き取られ、一方、同量の水が該循環ループに導入される。該循環ループはその後、中断無しに続けられる。
【0008】
米国特許第6602420号明細書(アマルガメーテッド リサーチ インコーポレーテッド)は、連続的に置き換えられるクロマトグラフィー(連続SMB)と結合された疑似移動床操作を含む、結合されたループを伴う2工程のクロマトグラフィー分離法を開示する。該方法は、高純度のスクロース生成物の順次的な製造を可能とするために、糖蜜のような、スクロース溶液からのベタイン及び/又は転化糖の回収に適用され得る。溶出よりも置換の使用が溶離液量の減少をもたらすことを示している。それは、典型的な糖蜜クロマトグラフィー分離システムが、供給糖蜜(供給物中で60%溶解された固体)の各体積に対して約6.0ないし8.0の水体積の比率を使用し、一方、置き換えクロマトグラフィーの適用は、それに対して有機化合物(ベタインのような)が供給物に対する水の比率2.0未満で分離されることが可能であると提示する。更に、ベタインフラクションの濃度は、1ないし5%溶解された固体の典型的な範囲から8ないし15%溶解された固体の範囲へ上昇することが示されている。
【0009】
米国特許第5127957号明細書(Heikkila他)は、同じサイクル(1つのループ)の間に、糖蜜からベタイン、スクロース及び残りの糖蜜を分離するために少なくとも3つのカラムを有する逐次的SMB法を開示する。本方法の1態様において、供給溶液の新しい1部分が、事前に選択されたカラムの頂部まで、部分的に分離された残りの糖蜜とスクロースフラクションの間のカラム系列に添加される。
【0010】
米国特許第6093326号明細書(ダニスコ フィンランド オイ)は、ベタインフラクションとスクロースフラクションを回収するために、甜菜糖蜜に基づく溶液を加工するための、少なくとも2種の充填材料床を含む2−ループSMB法を開示する。
【0011】
米国特許第6896811号明細書(ダニスコ スイートナーズ オイ)は、1サイクルの間に(次の供給物が分離システムに供給される前に)形成された分離プロファイルを、クロマトグラフィー分離ループを通って、1回よりも多く又は1回よりも少なく循環することにより、溶液を少なくとも2フラクションに分画するためのSMB法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4109075号明細書
【特許文献2】米国特許第4267054号明細書
【特許文献3】米国特許第4402832号明細書
【特許文献4】米国特許第4487198号明細書
【特許文献5】米国特許第6200390号明細書
【特許文献6】米国特許第6602420号明細書
【特許文献7】米国特許第5127957号明細書
【特許文献8】米国特許第6093326号明細書
【特許文献9】米国特許第6896811号明細書
【発明の概要】
【0013】
上記の先行技術から、分離プロファイルの異なる部分を含むフラクションを分離カラムに戻して返還することは既知である。既知の調整が、溶離液の減少された量、生成物流から溶離液を回収するのに必要なエネルギーにおける節約並びに目的成分フラクションのより高い純度もまた提供すると思われる。しかしながら、速く移動する及び遅く移動する異なった成分を含む分離プロファイルの部分が、濃度費用を更に低減するために及び所望の目的フラクション中の成分の回収をさらに可能とするために、溶離液置換物として分離システムの異なる位置に戻して導入され、一方では、生成物成分の収率及び純度が基本的に維持されるか又はより改善されるという、より多用途の分離方法に対する要求が依然として存在する。
【0014】
本発明に関する定義
“生成物フラクション”とは、クロマトグラフィー分離方法から取得され及び生成物成分を含むフラクションである。1以上の生成物フラクションが存在し得る。
“残渣フラクション”又は“残余のフラクション”とは、回収される生成物成分以外の成分(例えば、塩、着色化合物、有機酸、アミノ酸等)を主に含むフラクションである。1以上の残渣フラクションが存在し得る。残余のフラクションの成分はまた“残余の成分”としても言及される。
“再循環フラクション”とは、生成物フラクションよりも低い純度を有し及び分離に戻して再循環されて供給物と合わされる、不完全に分離された生成物化合物を含むフラクションである。再循環フラクションは典型的には供給物の希釈剤として使用される。再循環物をカラムに戻す前に1以上の操作がまた存在し得、例えば、再循環フラクションは蒸発により濃縮され得る。1以上の再循環フラクションが存在し得る。
【0015】
“スクロース再循環フラクション”は、スクロースサブプロファイルの部分である再循環フラクションを言及する。本発明に関連して、スクロース再循環フラクションは、特に、スクロースサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分である。
“シーケンス”又は“分離シーケンス”は、供給成分の生成物フラクション又は他のフラクションへの分離を容易にするのに必要とされる全ての工程を含む逐次的クロマトグラフィー分離法において連続的に繰り返される工程の所定のシーケンスである。
“工程”は、供給段階、溶離段階及び循環段階の1つ以上を含む。
供給段階の間に、供給溶液が所定の部分充填床又は所定の部分充填床(複数)の中に導入される。供給段階及び/又は1以上の他の段階の間に、1以上の生成物フラクション及び1以上の残余のフラクションが抜き取られ得る。
溶離段階の間に、溶離液が所定の部分充填床の中に供給される。
循環段階の間、基本的に何らの供給溶液又は溶離液も部分充填床に供給されず、何らの生成物も抜き取られない。
【0016】
“SMB”は、疑似移動床システムを言及する。
連続SMBシステムにおいて、全ての液体流が連続的に流れる。
これらの流れは:供給溶液及び溶離液の供給、分離プロファイルの循環及び生成物の抜き取りである。
逐次的SMBシステムにおいて、全ての流体流(上記で規定される)が連続的に流れるとは限らない。
“供給物”は1シーケンス中に分離カラムに導入される供給溶液の量である。
“サブプロファイル”は、1成分の濃縮プロファイルであり、成分ピークとしても名付けられる。
“分離プロファイル”は、分離シーケンスを遂行する/繰り返すことにより得られる、溶離液及び供給溶液並びに分離カラム中の充填材料床を通る流れのために供給物中に存在する溶解された物質(DS)から形成された乾燥固体プロファイルを言及する。
【0017】
“分離プロファイルの部分”は、このセクションにおける液体及び成分を含み、溶離液置換物として使用される。分離プロファイルのあらゆるセクションを言及する。“部分(part)”又は“部分(PART)”と同じである。
“部分供給段階”は、溶離液置換物として分離システムへの部分の導入を言及する。
“ピーク”とは、成分により引き起こされる検出器応答がおこるクロマトグラムの部分である。
“保持体積”(Rt)とは、樹脂床を通って成分又は分離プロファイルの特定の点を溶離するのに必要な移動相の体積である。成分の保持体積は、樹脂床の体積の%として表され得る。本発明に関連して、保持体積は、特に、カラムを通って成分ピーク(例えば、ベタインピーク)の開始点を溶離するのに必要な体積を言及する。
“テーリング”は、通常のガウスピークが非対称因子>1を有する現象を言及する。テーリングは殆どの場合、溶質のために通常より強力な保持を有する充填時の部位により引き起こされる。
【0018】
本発明に関連する“空隙”又は“空隙体積”は、カラムを通って伝導性ピーク(塩)の開始点を溶離するのに必要な体積を言及する。
“BV”は、カラム、部分充填床又は分離システムの樹脂床体積を言及する。
“ピーク拡大”は、カラムを通って移動しながらの、クロマトグラフィーピーク(分離プロファイル)の分散を言及する。
“工程の体積”(V)は、分離シーケンス中の所定の工程から同じか又はそれに続くシーケンス中の別の所定の工程に、分離カラムを通って成分、分離プロファイル又はその部分を移動する移動相の体積(供給物、溶離液及び循環を含む)を言及する。工程の体積は、各工程中に移動される移動相の体積(供給、溶離及び/又は循環段階の中の各工程にカラムに導入される体積)を集計することにより、段階的に計算される。
“溶離液導入位置”は、溶離液が導入され得るクロマトグラフィーシステム内のあらゆる場所を言及する。
“DS”は、溶解された乾燥物質含量を言及する。“溶解された固体含量”に等しい。
“成分の純度”は、DSに基づく成分の含量を言及する。
“分離容量”は、生成物(kg)/分離樹脂の体積(m3)/時間(h)の量を言及する。再循環は含まれない。
【0019】
発明の簡単な説明
本発明は、溶離液のための置換物として、分離からの分離プロファイルの部分を使用することにより、クロマトグラフィー分離システムにおいてベタイン−含有溶液を分画するための方法を提供する。それらの成分を伴う前記部分が、分離システムにおける的確な工程の的確な位置に向けられ、それにより、その中に含まれる成分は、最後には好適なフラクションの中に落ち着き、一方では、生成物フラクションの純度、生成物成分の収率及び分離容量は必須で、維持又は更に改善されることもまた不可欠である。本発明の目的は、独立請求項中に示されているものにより特徴付けられる方法により達成される。
【0020】
驚くべきことに、溶離液のかわりになる置換物として、速く移動する及び/又は遅く移動するという異なる成分を含む前記部分が、分離システムの分離効率を阻害しないことを見出した。更に、新しい溶離液の体積は、例えば、先行技術において使用される量から10%ないし70%の量が減少され得る。本方法はまた、抜き取られるフラクションの、よ
り高い固体含量もまた提供するが、それは、それに続く濃縮段階において、エネルギー必要量の減少を導く。残余のフラクションの濃縮のための蒸発の必要性は、例えば、5ないし50%又はそれを超える量が削減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1及び2は、実施例2(4−カラムセット、2−プロファイルモード)において記載された甜菜糖蜜の逐次的SMB分離に関する。
【図1】図1はカラム2からの分離プロファイル及び流出フラクションを示す。
【図2】図2はカラム4からの分離プロファイル及び流出フラクションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、分離システム中にベタイン−含有溶液を供給すること、
該ベタイン−含有溶液の成分を溶離するために、該分離システム中に溶離液を導入して、分離プロファイルを形成すること、及び
ベタイン生成物フラクション、1以上の残余のフラクション及び任意の1以上の回収フラクション並びに1以上の他の生成物フラクションを回収すること
を含む、1以上の部分充填床を含む1以上のカラムを含むクロマトグラフィー分離システムにおいてベタイン−含有溶液を分画するための方法に関する。
【0023】
本発明の方法は、1以上の部分供給段階において、該1以上の供給段階以上の分離システムの1以上の溶離液導入位置へ、分離プロファイルの1以上の部分を導入して、前記溶離液の一部を置換し、前記部分は、ベタイン、1以上の他の生成物成分及び1以上の残余の成分から選択される1以上の成分を含み、
工程のシーケンスを使用することにより該分離システムにおいて、それらの成分を伴う前記部分を前方に移動させ、該工程は供給段階、循環段階及び溶離段階の1つ以上を含み、
1以上の残余のフラクションにおいて及び/又は1以上の回収フラクションにおいて及び/又は1以上の生成物フラクションにおいて、同じか又はそれに続く分離シーケンス中に、前記部分の成分を抜き取り、
それにより、前記の同じか又は続く分離シーケンス中に、前記部分の体積、導入位置及び導入工程が、前記部分の成分の維持体積、前記部分の成分が通過する樹脂床の体積及び前記部分の成分を導入位置から成分の計算された目的の抜き取り位置に移動する工程の体積に基づいて決定され、一方、生成物フラクションの純度及び生成物成分の収率は基本的に維持又は改善されることを特徴とする。
【0024】
本発明のクロマトグラフィー分離システムは、1以上の部分充填床を含む1以上の分離カラムを含む。部分充填床は該システムの樹脂床を形成するクロマトグラフィー分離樹脂から構成される。カラム/部分充填床は、1以上のループを形成し得る。分離方法中に、供給物に存在する溶解された物質は、溶離液と一緒に、前方に移動され、分離カラムの部分充填床中で分離され、結果として分離プロファイルが形成される。ベタイン生成物フラクション、1以上の残余のフラクション及び同様に一般に1以上の再循環のフラクション、並びに1以上の他の生成物フラクションが回収される。
【0025】
本発明の方法において、このようにして形成される分離プロファイル1以上の部分は、1以上の部分供給段階における1以上の溶離液導入位置に導入されて、溶離液の一部分と置き換えられる。前記部分は、溶離段階の開始時、中間又は終了時において溶離液を置き換えるために導入され得る。
【0026】
本発明の以降の記載において、便宜上、分離プロファイルの1以上の前記部分は、“分離プロファイルの部分”又は“部分”としても言及される。
前記部分は、溶離液が導入されるところの、あらゆるカラム中に又はカラムのあらゆる部分中に導入され得る。
【0027】
前記分離プロファイルの部分は、ベタイン、1種以上の他の生成物及び1種以上の残余の成分から選択される1種以上の成分を含み得る。本発明のベタイン−含有溶液において、前記部分は、典型的には、ベタイン、スクロース、塩、有機酸及びその塩、アミノ酸並びにグリセロールから選択される成分を含む。
前記部分は、速く移動する及び/又は遅く移動する成分を含み得る。塩は速く移動する成分の例の典型である。有機酸及びスクロースは一般に、ベタインよりも速く移動する。
【0028】
糖蜜分離において、前記部分は、ベタイン、スクロース又は残余の成分のサブプロファイルの前方及び/又は後方スロープであり得る。前記部分は、典型的には、ベタインサブプロファイルの前方スロープ及び/又は後方スロープ部分及び残余のサブプロファイルの1以上の異なる前方スロープ部分である。
本発明の方法において、それらの成分を伴う前記部分は、工程のシーケンスを使用することにより分離システムの前方に移動されるが、この工程は供給段階、循環段階及び溶離段階の1つ以上を含む。
【0029】
逐次的分離システムにおいて、分離プロファイルの異なる部分に由来する前記部分の幾つかは、1つのシーケンス中に溶離液として使用され得る。前記部分の数は、1ないし5であり得、それらは互いに異なり得、及び、それらは、収集されたフラクションとして又は無傷のプロファイルとして移動されるかの何れかでシステムの種々の位置の中へ溶離液として導入される。
【0030】
同じか又はそれに続く分離シーケンス中の前記部分の成分の抜き取りは、残余のフラクション、再循環フラクション及び/又は生成物フラクションにおいて、直接的に又は中間段階の後に行われ得る。
分離システム中の前記部分の成分の移動は、それらの最後の抜き取りの前に、中間段階を介して開始され得る中間段階は、分離プロファイルにおける典型的でないフラクション又は位置であり、そこでは、成分は最終分離及びその最終抜き取りのために分離システムに戻して再導入されるか又は異なる分離システムへ再導入されるよう方向付けられる。
【0031】
前記部分の残余の成分は、典型的には1以上の残余の領域(Zone)中の同じか又はそれに続く分離シーケンス中に抜き取られるか又は再循環フラクションへ向けられるか又は循環段階中で循環されてシステムに戻すべく導入され、最終的に1以上の残余のフラクションの領域において抜き取られる。前記部分のベタインは、典型的にはスクロース再循環へ向けられて供給溶液を希釈するために及び供給物のベタイン含量を増加させるために添加され及び最終ベタインフラクション中に抜き取られる。
【0032】
前記部分の体積、導入位置及び導入工程は、前記部分の該成分の保持体積、該部分の成分が通過して通る樹脂床の体積、及び前記同じか又はそれに続く分離シーケンス中の前記部分の該成分が、導入位置から計算された目的の抜き取り位置まで移動する工程の体積に基づいて決定され、一方、基本的に生成物フラクションの純度及び生成物成分の収率は維持される。
【0033】
前記部分の体積、導入位置及び導入工程は、好適となるように決定され、それにより、その抜き取り点での前記部分の成分は、供給物の速く移動する同じような成分の部位に到達するか又は供給物のより速く移動する成分と一緒になって溶離されて維持されるか又は該分離プロファイルの速く移動する成分が、前記部分の遅く移動する成分に追いつけるようになることが必要不可欠である。
【0034】
前記部分の体積、導入位置及び導入工程は、前記部分の成分が抜き取られる目的のフラクション又はフラクション(複数)及びそれらの体積並びにカラム及び工程を最初に決定することにより決定される。例えば、前記部分の主成分がベタイン及び/又はスクロースの場合、ベタイン/スクロース成分は、幾つかの他の生成物成分の再循環フラクションの中で抜き取られるはずであり(例えば、ベタインはスクロース再循環フラクション中に抜き取られる)、該方法の予め決められていた工程において、予め決められていたカラムから抜き取られる。スクロース再循環フラクションは、例えば、スクロースサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分であり得る。これらの再循環フラクションは、その後、ベタイン/スクロースの更なる分離のために及び更なる回収のために、供給物に戻して再循環される。もし前記部分の主成分が塩のような残余の化合物である場合、該塩成分は、次の又はそれに続くシーケンス中に、方法の所定の工程における所定のカラムから抜き取られる残余のフラクションの領域の幾つかの中で抜き取られるはずである。
【0035】
各分離システムのための前記部分の成分の維持体積は、使用における樹脂床のために実験的に決定される。例えば、糖蜜の分離において、ベタインの維持体積は、1価の強酸性陽イオン交換樹脂床(6ないし6.5%のDVB含量を有する)のために使用される樹脂床の体積の約70%(67%と73%の間)であり、スクロースの維持体積は、使用される樹脂床体積の約55%と60%の間である。
同じ樹脂を用いる同じ糖蜜分離における伝導性ピーク(塩及び大きな分子)の開始点の維持体積は、樹脂床体積の約28%と34%の間であるが、それは樹脂床の空隙体積に等しい。異なる成分が分離カラムから溶離される溶離体積を計算する場合、ピークのブロード化現象がまた検討されなければならない。
【0036】
1シーケンス中及び基本的に続く1ないし4シーケンス中、逐次的SMBシステムのような分離方法における前記部分の異なる成分(ベタイン、スクロース及び塩等)の移動は、成分の維持体積(Rt)、部分の成分が通過する樹脂床の体積(BV)及び前記シーケンス中の前記部分の成分を動かす工程の体積(V)に基づいて計算され得る(工程ごとに計算される)。成分は、システムを通って移動させられた工程の体積が、問題になっている成分の維持体積と等しくなる時、分離システム(カラム)から溶出が開始される。このことは、関係している成分の目的とする抜き取り位置を決定する。目的の抜き取り位置が既知の場合、溶離液としての前記部分の導入体積、位置及び工程は、その後、工程ごとに上流に遡って計算され得、それにより前記部分の成分は、続く1ないし4シーケンス中に結局は終了し、及び基本的に目的のフラクション中で抜き取られる。このことは、前記部分の、目的の抜き取り位置から導入位置への工程の体積が、導入から抜き取りへ樹脂床を通る前記部分の成分の維持体積に等しい場合に達成される。工程の体積は、目的の位置をはじめとして、供給、溶離及び循環中の、各工程におけるカラムに導入される体積を加算することにより、工程ごとにカラムからカラムに上流に遡って計算される。
【0037】
流速(m3/h)としての部分の体積は、カラムの入口又は出口の何れかから測定され得る。
所望する成分は、前記同じか又はそれに続く分離シーケンス中で抜き取られる。本発明の1態様において、所望する成分は、基本的に、続く1ないし4の分離シーケンス中で抜き取られる。
クロマトグラフィー分離システムは、連続又は逐次的であり得る、バッチシステム又はSMBシステムであり得る。
【0038】
本発明の好ましい態様において、クロマトグラフィー分離システムは、米国特許第6093326号明細書、米国特許第5127957号明細書、米国特許第6225776号明細書及び米国特許第6896811号明細書中に記載された逐次的SMBシステムであ
る。
逐次的クロマトグラフィーSMBシステムは、システム中に1以上のループを含み得る。システムはまた、ループ中に1以上の分離プロファイルも含み得る。
本発明の1態様において、分離プロファイルは、1サイクル中に、システムの樹脂床を通って1回よりも多く又は1回よりも少なく循環される。
【0039】
分離システムの部分充填床中のクロマトグラフィー分離樹脂は、ベタイン−含有溶液からのベタインの分離のために一般的に使用されるものから選択され得る。特に、有用な樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂(SAC)及び弱酸性陽イオン交換樹脂(WAC)であるが、更に、弱塩基性陰イオン交換樹脂(WBA)及び強塩基性陰イオン交換樹脂(SBA)も使用し得る。陽イオン交換樹脂(SAC及びWAC)は、H+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+又はZn2+形態におけるような、1価又は2価の形態であり得る。
【0040】
樹脂は、1ないし20%、例えば、4ないし10%DVB(ジビニルベンゼン)の範囲における架橋度を有するスチレン樹脂又はアクリル樹脂であり得る。通例、樹脂の架橋度は、樹脂の維持体積に影響する。典型的な樹脂の平均粒子径は、200ないし450μmである。
本発明の1態様において、前記1以上の部分は、非常に低濃度であるものの高いベタイン含量を示す、ベタインサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分である。本発明のこの態様は、ベタインサブプロファイルの前記前方スロープ部分又は後方スロープ部分を前記分離システムに戻して溶離水の1部分を置き換えること、続いて、ベタイン以外の生成物成分の再循環フラクション、例えば、スクロース再循環フラクションにおける次のシーケンス中に、前記前方スロープ部分又は後方スロープ部分のベタインを抜き取ることを含む。再循環フラクションは、ベタインの更なる分離のために、供給物に再循環される。スロープからのベタインは、最終的にベタインフラクション中に回収されるが、それはより高い乾燥固体濃度を有し、スロープの循環が無いよりは、より高いベタイン含量も有し得る。
【0041】
典型的には、ベタインサブプロファイルの前方及び後方スロープ部分は、0.2%ないし8%の乾燥固体濃度及び乾燥固体(DS)に基づいて、80%までのベタイン含量を有する。
典型的には、溶離液置換物としての循環されたベタイン前方スロープ部分又は後方スロープ部分を使用することによるスクロース再循環フラクションに対するベタインの収率は、60%を越え、好ましくは80%を越え、最も好ましくは85%を越える。
【0042】
逐次的SMB法における廃糖蜜の分離における溶離液置換物としてのベタイン前方スロープ部分及び/又は後方スロープ部分の使用は、典型的には、40ないし90%、好ましくは、DSに基づき60ないし90%、最も好ましくはDSに基づき80ないし90%のベタイン純度を有するベタインフラクションを提供する。供給物からのベタインフラクションに対する典型的な総ベタイン収率は、60ないし98%の範囲、好ましくは85ないし98%の範囲である。ベタインフラクションの乾燥固体濃度は、本発明の方法により増加し、そして典型的には、2ないし6%である。
【0043】
本発明の別の態様において、前記1以上の部分は、残余のサブプロファイルの前方スロープ部分及び後方スロープ部分から選択され得る。本発明の方法のこの態様において、残余のサブプロファイルの前記前方スロープ部分又は後方スロープ部分は、前記分離システムに戻して導入されて溶離水の1部分と置き換えられ、その成分は他の残余の成分の部位に移動され、続いて、同じか又はそれに続く1ないし4シーケンス中の1以上の残余のフラクション中に前記スロープ部分の残余の成分を抜き取る。
【0044】
本発明の1態様において、残余のサブプロファイルの前方スロープ及び/又は後方スロープは、溶離液置換物として分離システムに導入される、幾つかのサブプロファイル中に分割され得る。同様に、サブセクションの幾つかのみが溶離液置換物として循環され得るが、一方、それらの幾つかはシステムから抜き取られる。溶離液置換物のためのサブセクションの選択は、分離におけるその維持体積に関する知識に基づいて、その体積及びその導入(カラム及び工程)及び抜き取り位置に従って行われるだろう。溶離液置換のためのサブセクションは、残余のフラクションの、より希釈された終点から、中間から又は最も濃縮された部分から選択され得る。サブセクションの乾燥固体濃度は、0.5%から15%まで変化し得る。
【0045】
糖蜜の分離の1態様において、残余のサブプロファイルの前方スロープは、例えば、断続的に異なるカラムに対する計算された工程において、4つのサブセクション(セクション1ないし4)中に分割され得、それによりセクション1及び3は、分離システムから抜き取られ、セクション2及び4は、それらを導入することにより溶離液置換物として使用される。
【0046】
本発明の更なる態様において、前記1以上の部分は、スクロースサブプロファイルの前方スロープ部分及び後方スロープ部分から選択され得る。本発明のこの態様は、スクロースサブプロファイルの前記前方スロープ部分又は後方スロープ部分を前記分離システムに戻して導入させて溶離水の1部分と置き換え、続いて、再循環フラクションにおける次のシーケンス中に前記前方スロープ部分又は後方スロープ部分のスクロースが抜き取られる。再循環フラクションは、スクロースの更なる分離のために供給物に再循環される。スクロースは、最終的に、スクロースフラクション中に回収される。
【0047】
本発明のより更なる態様において、前記1以上の部分は、(1)ベタインサブプロファイルの前方スロープ部分及び/又は後方スロープ部分のような、ベタインサブプロファイルの1以上の部分、及び(2)残余のサブプロファイルの1以上の部分の両方を含み得る。異なる部分は、同じか又はそれに続くシーケンス中の、好適なフラクション中で該部分の成分の抜き取りを可能とするために、組み合わされ得るか又は異なる溶離液導入位置へ別々に導入され得る。
前記部分の体積は、好ましくは、前記部分の成分が抜き取られる、再循環フラクション又は残余のフラクションの体積よりも小さい。
本発明の1態様において、前記部分は、別のカラムから、連続流としての無傷の分離プロファイルとして、分離システムに導入される。
【0048】
本発明の別の態様として、前記部分は、分離タンク中に収集され、該タンクから分離システムに戻して導入される。
分離システムにおいて溶離液置換のために使用される前記部分の総体積は、1分離シーケンス中で分離プロファイルを前方に移動させる全ての工程の体積の、1ないし50%、有利には5ないし20%である。
前記部分は、典型的には、溶離液の5ないし70%、好ましくは10ないし30%を置き換えるために使用される。置換溶離液の量は、好ましくは、省かれた水溶離液の量と同じである。
本発明の典型的な態様において、該方法は、DSに基づき、40ないし98%、好ましくは60ないし90%のベタイン含量を伴うベタイン生成物フラクションを提供する。
【0049】
本方法は、ベタイン−含有供給溶液中のベタインに基づいて、60%を越える、好ましくは70%を越える、より好ましくは80%を越える、最も好ましくは85%を越える及び特に90%を越えるベタイン収率を提供する。
本発明の1態様において、本方法は、DSに基づき88ないし98%のスクロース含量
を、及びスクロース−含有供給溶液中のスクロースに基づいて80ないし98%の範囲のスクロース収率をスクロース生成物フラクションに提供する。
ベタインを含有する前記溶液は、好ましくは、糖蜜溶液又は結晶化流出若しくはそれらの溶液のような、甜菜由来の溶液である。
【0050】
本発明の更なる態様において、本発明は、以下の特徴:
前記部分は、ベタインサブプロファイルの前方スロープ部分及び後方スロープ部分並びに残余のサブプロファイルの前方スロープ部分及び後方スロープ部分から選択され、
前記部分は、溶離水の1部分を置き換えるために、分離システムに戻して導入され、
前記部分のベタイン及び/又は前記部分の残余の成分は、供給物に再循環される、スクロース再循環フラクションにおける次のシーケンス中に抜き取られ、続いて、
続く分離シーケンス中に、ベタイン生成物フラクション中の前記部分のベタインを回収し及び残余のフラクション中の前記部分の残余の成分を回収すること
を有する方法に関する。
本発明のこの態様において、前記スクロース再循環フラクションは、スクロースサブプロファイルの前方スロープ部分及び後方スロープ部分から選択され得る。
【0051】
糖蜜の分離の1態様において、ベタインサブプロファイルの前記前方スロープ部分及び後方スロープ部分は、典型的には、高いベタイン純度を有するが、低い乾燥個体含量しか有さない。溶離液置換物としての前記ベタイン−含有の前方スロープ部分及び後方スロープ部分の導入位置及び体積は計算され、それにより分離方法中の前記部分におけるベタインはスクロース再循環フラクションに移動する。遅く移動するベタインを含む前記部分は、よって、分離プロファイルの残余の成分(塩)が該部分のベタインを追い越すような位置の中に導入され、該部分からのベタインの新しいピークはスクロース再循環フラクションの収集間隔内となるだろう。該再循環フラクションは、スクロース及び残余の成分(塩)が部分的に重複する点で収集される。この方法において、ベタインは、ベタインサブプロファイルの希薄なベタイン−含有の前方スロープ部分及び後方スロープ部分から効率的に回収され得る。その結果として、ベタイン生成物フラクションの濃度(乾燥物質及びベタイン)は上昇し、希薄なベタイン−含有の前方スロープ部分及び後方スロープ部分中の水は、溶離液として利用される。
【0052】
糖蜜の分離の別の態様において、残余のサブプロファイルの部分は分離システムに戻して導入され、それにより残余の成分(塩)は、スクロースとベタインが部分的に重複し及びそれはループ中で最初のカラムに循環される、例えば、フラクションにおける4−カラム分離システムの最終カラム中で抜き取られる。塩及び他の速く移動する成分は、分離プロファイルにおいてベタイン及び/又はスクロースを追い越し、最終的に、続く1ないし4シーケンス中に、残余のフラクションの幾つかの抜き取り位置においてシステムから抜き取られる。残余のフラクションは、システムの何れのカラムの底部からも抜き取られ得る。
【0053】
ベタインを含有する前記溶液は、ビナス(vinasse)溶液でもあり得る。
前記ビナスは甜菜又は小麦由来のものであり得る。結果として、糖蜜の分離に関係する上述した部分の循環は、ビナスの分離にも適用され得る。
本発明の方法において、分離プロファイルの前記1以上の部分は、典型的には、同じ分離システム内において溶離液置換物として利用される。しかしながら、溶離液置換物としての前記部分を、他の類似の平行分離システム又は異なる分離システムに導入することもまた可能である。
以下に示す実施例は、本発明を如何なる制限もすることなく、本発明を説明する。
【実施例】
【0054】
実施例1
廃糖蜜の2−ループ クロマトグラフィーSMB分離−残渣を含む部分(PARTS)
本方法の装置は、直列に結合された6本のカラム、供給ポンプ、再循環ポンプ、溶離水ポンプ、熱交換器、外来の液体のための流れ制御手段、並びに、種々のプロセスの流れのための入口及び生成物バルブを含んでいた。全てのカラムの高さは4mであり、直径は5.15mであった。SMBシステムの総樹脂体積は、6×83.3m3=500m3であった。カラム1は、各々2mの、2つの部分1a及び1bから構成されていた。カラムはNa+形における強酸性ゲル形の陽イオン交換樹脂(ダウ 樹脂)で充填されていた。樹脂のジビニルベンゼン含量は、6.5%であり、樹脂の平均ビーズ径は、0.35mmであった。
分離の前に、糖蜜は、フィルター補助として珪藻土を使用してプレコート濾過された。オンライン(on−line)希釈が粘度が高い糖蜜のために使用された。供給物は以下で示されるように構成され、それによりパーセンテージが、乾燥物質の質量に基づいて示された。
【表1】

【0055】
分画は、以下に示されるような15−工程のSMBシーケンスを手段とする米国特許第6093326号明細書に従って行われた。分離の目的は、その中に含まれるスクロース及びベタインを分離することであった。供給物及び溶離液は80℃の温度で使用され、イオン交換水が溶離液として使用された。
工程1:供給溶液1.5m3が流速160m3/hで最初のカラム中へ供給され、再循環フラクションが最終カラム(カラム6)から収集された。
工程2:供給溶液5.0m3が流速160m3/hで最初のカラム中へ供給され、ベタインフラクションが4番目のカラムから収集された。同時に、溶離液4.9m3が流速161m3/hで5番目のカラム中へ供給され、再循環フラクションが最終カラム(カラム6)から収集された。
工程1及び2において、カラム1からの残余のフラクション(PART1)の1部分5.1m3を、溶離液置換物として作用させるため及びカラム1,2及び5からの残余のフラクションにおいて、続く1ないし3シーケンス中より後に、システムから取り除くために、カラム2に移動された。対照の実行において、残余のR1がカラム1の底部から収集された。
【0056】
工程3:供給溶液3.0m3が流速160m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R4)が4番目のカラムから収集された。同時に、PART1の3m3がカラム1からカラム2へ移動された。同時に、溶離液3m3が流速164m3/hで5番目のカラム中へ供給され、再循環フラクションが最終カラムから収集された。
工程4:供給物5.6m3が流速94m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R1)が同じカラムから収集された。同時に、溶離水10m3が流速166m3/hで2番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R4)が4番目のカラムから収集された。同様に、同時に、溶離液12.7m3が流速222m3/hで5番目のカラム中へ供給され、スクロースフラクションが最終カラムから収集された。
工程5:供給物5.6m3が流速91m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラ
クション(R1)が同じカラムから収集された。同時に、溶離液11.8m3が流速189m3/hで2番目のカラム中へ供給され、スクロースフラクションが最終カラムから収集された。
工程6:溶離液8.8m3が流速140m3/hで最初のカラム中へ供給され、スクロースフラクションが最終カラムから収集された。
工程7:13m3が、カラム1,2及び3で形成される、カラムループ内で、流速180m3/hで循環された。同時に、5.4m3が、カラム4,5及び6で形成される、カラムループ内で、流速72m3/hで循環された。
工程8:8.4m3が、カラム1,2及び3で形成される、カラムループ内で、流速180m3/hで循環された。同時に、溶離水4m3が流速85m3/hで最終カラム(カラム6)中へ供給され、ベタインフラクションが5番目のカラムから収集された。
工程8において、カラム2からの残余のフラクション(PART2)の1部分4.2m3が、溶離液置換物として作用させるため及びカラム4及び6からの残余のフラクションにおいて、続く1ないし3シーケンス中より後に、システムから取り除くために、カラム3に移動された。
【0057】
工程9:溶離水5.5m3が流速175m3/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R2)が2番目のカラムから収集された。同時に、溶離液5.1m3が流速180m3/hで最終カラム中へ供給され、残余のフラクションが5番目のカラムから収集された。
工程10:溶離水8.3m3が流速167m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R2)が2番目のカラムから収集された。同時に、溶離液7.0m3が流速140m3/hで3番目のカラム中へ供給され、ベタインフラクションが同じカラムから収集された。同様に、同時に、溶離液8.1m3が流速163m3/hで最終カラム中へ供給され、残余のフラクション(R5)が5番目のカラムから収集された。
工程11:溶離水19.5m3が流速172m3/hで最初のカラム中へ供給され、ベタインフラクションが2番目のカラムから収集された。同時に、20.0m3が、カラム4,5及び6で形成される、カラムループ内で、流速181m3/hで循環された。
工程12:7.5m3が、カラム1b、2及び3で形成される、カラムループ内で、流速186m3/hで循環された。同時に、7.0m3が、カラム4,5及び6で形成される、カラムループ内で、流速172m3/hで循環された。
工程12において、カラム3からの残余のフラクション(PART3)の1部分12.3m3を、溶離液置換物として作用させるため及び次の1ないし3シーケンス中より後に、システムから取り除くために、カラム1/下方部分(カラム1b)に移動された。
【0058】
工程13:2.0m3が、カラム1b,2及び3で形成される、カラムループ内で、流速186m3/hで循環された。同時に、溶離水2.0m3が流速140m3/hで4番目のカラム中へ供給され、ベタインフラクションが6番目のカラムから収集された。
工程14:溶離水14.5m3が流速140m3/hで4番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R3)が3番目のカラムから収集された。
工程14において、カラム6からの残余のフラクション(PART6)の1部分14.5m3を、溶離液置換物として作用させるため及び工程9及び10におけるカラム2及び5からの残余のフラクション及び工程2における再循環フラクションにおいて、続く1ないし3シーケンス中より後に、システムから取り除くために、カラム1bに移動させた。
工程15:21.6m3が、カラム1,2及び3で形成される、カラムループ内で、流速178m3/hで循環させた。同時に、24.5m3が、カラム4,5及び6で形成される、カラムループ内で、流速200m3/hで循環させた。
【0059】
システムの平衡の後、以下のフラクションがシステムから抜き取られた:カラム1、2、3、4及び5から残余のフラクション、最終カラムから再循環フラクション、最終カラ
ムからスクロース生成物フラクション及びカラム3、4、5及び6からベタイン生成物フラクション。再循環フラクションは、糖蜜の供給濃度に対する希釈のために使用された。合わせたフラクションのためのHPLC分析を含む結果を、以下の表E1−2に示した。試験の実行において、カラム1からの残余のフラクションの1部分である、PART1の5.1m3を工程2及び3において、2番目のカラムに導入した。カラム2から、カラム2からの残余のフラクションの1部分である、PART2の4.2m3を工程8において、3番目のカラムに導入した。カラム3から、カラム3からの残余のフラクションの1部分である、PART3の3.3m3を工程12及び13において、カラム1の後半に導入した。カラム6から、カラム6からの残余のフラクションの1部分である、PART6の14.5m3を工程14において、最初のカラムに導入した。W/F(供給物に対する水、体積/体積(vol/vol))比は4.5ないし4.0に減少した。
【表2】

【0060】
これらのフラクションから計算された総収率は、スクロース91.1%及びベタイン92.2%であった。参照の実行において、全ての残渣はシステムから取り出され、W/F(供給物に対する溶離水、vol/vol)比は4.5であった。
これらの新しい工程は、スクロース又はベタインフラクションの収率又は純度を低下させることなく、残余のフラクションの乾燥物質を上昇させる幾つかのシーケンスの後にバランスが達成される、再循環された乾燥物質のための内的なループを創造する。
種々の部分(PARTS)の化合物が完結するカラム及び工程の計算は、PART化合物(=残余の化合物)の前方が31.2%BVの維持体積を有すると仮定することでなされた。バンドのブロード化も同じように経験的に考慮に入れられた。SMBシステムにおけるPART化合物の移動は、溶離液としての水が、溶離液置換溶液(PART)により置き換えられる工程をはじめとして、カラムからカラムへ、工程ごとに、カラム空隙からカラムに導入される体積を差し引くことにより、計算された。この方法は、残余の化合物のプロファイル前方移動にとって非常に正確である。プロファイルのテーリングは推量であり、ある程度のテーリングが明白であるが、スクロース及びベタインフラクションを悪化させないことが、この実施例により証明された。
【0061】
実施例2
廃糖蜜の2−プロファイル クロマトグラフィーSMB分離−残渣を含む部分(PARTS)
本方法の装置は、直列に結合された4本のカラム、供給ポンプ、再循環ポンプ、溶離水ポンプ、熱交換器、外来の液体のための流れ制御手段、並びに、種々のプロセスの流れのための入口及び生成物バルブを含んでいた。全てのカラムの高さは5.5mであり、直径は5.1mであった。総樹脂床の体積は、4×110m3=440m3であった。全てのカラムは、各々の高さが2.75mの、2つの部分から構成されていた。カラムはNa+
における強酸性ゲル形の陽イオン交換樹脂(樹脂の1部はバイエル(Bayer)により及び1部はフィネックス オイ(Finex Oy)により製造された)で充填されていた。樹脂のジビニルベンゼン含量は、6.5%であり、樹脂の平均ビーズ径は、0.35mmであった。
分離の前に、糖蜜は、フィルター補助として珪藻土を使用してプレコート濾過された。オンライン(on−line)希釈が粘度が高い糖蜜のために使用された。供給物は以下で示されるように構成され、それによりパーセンテージが、乾燥物質の質量に基づいて示された。
【表3】

【0062】
分画は、以下に示されるような16−工程のSMBシーケンスを手段とする米国特許第6224776号明細書に従って行われた。分離の目的は、その中に含まれるスクロース及びベタインを分離及び回収することであった。供給物及び溶離液は80℃の温度で使用され、イオン交換水が溶離液として使用された。溶離水の1部分は、シーケンス中に、種々の段階における幾つかの工程において、幾つかの工程からの残余のフラクションの部分で、PART X(カラムXから持ち出される)と呼ばれる部分で置き換えられた。部分(PARTS)は、主にイオン性の成分、例えば、無機塩、有機酸及びアミノ酸を含み、表中、“その他”として言及された。
【0063】
工程1:供給溶液10m3が流速70m3/hで最初のカラム中へ供給され、再循環フラクションが最終カラム(カラム4)から収集された。
工程2:供給溶液4.8m3が流速75m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R1)が同じカラムから収集された。PART4の成分の1部分はR1中で取り除かれるだろう。同時に、溶離水3.5m3が流速50m3/hで2番目のカラム中へ供給され、スクロースフラクションが最終カラムから収集された。
2シークエンス前の工程7においてカラム1に移動されるPART4の1部分は、カラム1からの残余のフラクション(R1)として工程2において抜き取られた。PART4の残りは、以下の工程において以下の残余のフラクション(R1、R2、R3及びR4)中に抜き取られた。
工程3:供給溶液9.2m3が流速60m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R1)が同じカラムから収集された。同時に、溶離水13.5m3が流速75m3/hで2番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R3)が3番目のカラムから収集された。PART2の成分はR3中に取り除かれるだろう。同様に、同時に、溶離水22.5m3が流速120m3/hで最終カラム中へ供給され、スクロースフラクションが同じカラムから収集された。
R3はPART2の7.8m3を含み、工程9及び12において、カラム3に導入されるより2シーケンス遅れて、工程3において抜き取られるだろう。
工程4:溶離水9.8m3が流速95m3/hで4番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R1)が最初のカラムから収集された。同時に、溶離水8.4m3が流速85m3/hで2番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R3)が3番目のカラムから収集された。
工程5:9.0m3が、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速110m3
/hで循環された。
カラム1中のPART2−1及びPART2−2は、工程9におけるPART2−1及び工程12におけるPART2−2の導入の後、続くシーケンスにおける工程5において、1つのPART2に広げられた。
【0064】
工程6:溶離水29m3が流速115m3/hで最初のカラム中へ供給され、ベタインフラクションが4番目のカラムから収集された。
工程7:溶離水8m3が流速110m3/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R2)が2番目のカラムから収集された。同時に、PART4の8m3(R4の1部分)が、溶離水と置き換えるためのPARTとして、カラム4からカラム1に移動された。
工程8:溶離水4.7m3が流速100m3/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R4)が4番目のカラムから収集された。カラム1及び2は次の工程を待つ。
工程9:溶離水3m3が流速100m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R4)が4番目のカラムから収集され、全てのカラムは互いに直列に結合された。同時に、PART2−1 3m3(R2の1部分)が、溶離液置換物として、カラム3に移動された。
工程10:溶離水9.5m3が流速105m3/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R2)が2番目のカラムから収集された。同時に、8.3m3が流速75m3/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクションが4番目のカラムから収集された。
工程11:溶離水1.2m3が流速110m3/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R2)が2番目のカラムから収集された。
工程12:27.5m3が、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速120m3/hで循環された。同時に、PART2−2の3m3(R2の1部分)が、溶離液置換物として、カラム2からカラム3に移動された。
【0065】
システムの平衡の後、以下のフラクションがシステムから抜き取られた:カラム1(R1)、2(R2)、3(R3)、4(R4)から残余のフラクション、最終カラムからスクロース前方の再循環フラクション、最終カラムからスクロース生成物フラクション及び最終カラムからベタイン生成物フラクション。スクロース前方の再循環フラクションは、供給物の濃度を調整するために糖蜜の希釈のために使用された。合わせたフラクションのためのHPLC分析を含む結果を、以下の表E2−2に示した。試験の実行において、カラム4からのPART4の8m3を工程7において最初のカラムに導入し、2番目のカラムからのPART2(PART2−1及びPART2−2)の6m3を工程9及び12において、3番目のカラムに導入した。W/F(供給物に対する水、体積/体積(vol/vol))比は6.0ないし5.1に減少した。カラム2及び4からの分離プロファイル及び流出フラクションを図1及び2に示した。
【表4】

【0066】
これらのフラクションから計算された総収率は、スクロース90.5%及びベタイン97.1%であった。参照の実行において、全ての残渣はシステムから取り出され、W/F(供給物に対する溶離水、vol/vol)比は6.0であった。部分(PARTS)の循環を使用することにより、溶離水の量は対照と比べて15%まで削減された。
これらの新しい工程は、スクロース又はベタインフラクションの収率又は純度を低下させることなく、残余のフラクションの乾燥物質を上昇させる幾つかのシーケンスの後にバランスが達成される、再循環された乾燥物質のための内的なループを創造する。
種々の部分(PARTS)(=残余のフラクションの1部分)の化合物が完結する位置(カラム)及び工程の計算は、PART化合物(=残余の化合物)の前方が34.5%BVの空隙を有すると仮定することでなされた。バンドのブロード化も経験的に考慮に入れられた。SMBシステムにおけるPART化合物の移動は、溶離液が、PART溶液により置き換えられる工程をはじめとして、カラムからカラムへ、工程ごとに、カラム空隙からカラムに導入される体積を差し引くことにより、計算された。この方法は、残余の化合物のプロファイル前方移動にとって非常に正確である。プロファイルのテーリングは推量であり、ある程度のテーリングが明白であるが、スクロース及びベタインフラクションを悪化させないことが、この実施例により証明された。
【0067】
実施例3
廃糖蜜のクロマトグラフィーSMB分離−ベタイン含有部分(PARTS)
本方法の装置は、直列に結合された3本のカラム、供給ポンプ、再循環ポンプ、溶離水ポンプ、熱交換器、外来の液体のための流れ制御手段、並びに、種々のプロセスの流れのための入口及び生成物バルブを含んでいた。装置はまた、溶離液置換タンク、ポンプ、ライン(lines)、流れ制御手段及び溶離水置換物として使用されるフラクションのためのバルブも含んでいた。全てのカラムの高さは5.0mであり、直径は0.111mであった。システムの総樹脂体積は、3×48.4L=145.2Lであった。カラムはNa+形における強酸性ゲル形の陽イオン交換樹脂(フィネックス(Finex)により製造された)で充填されていた。樹脂のジビニルベンゼン含量は、5.5%であり、樹脂の平均ビーズ径は、0.33mmであった。
分離の前に、廃糖蜜は、イオン交換水で60質量%に希釈され、DSに基づき炭酸ナトリウム1.5%が添加された。溶液はその後、NaOHを用いて約pH9.7のpHにpH調整され、60℃に加熱され、混合の15時間の間に、40℃に冷却された。その後、廃糖蜜は、フィルター補助として珪藻土を使用してプレコート濾過された。プレコート量は、1kg/m2であり、物体供給量は、DSに基づき0.5%であり、温度は60℃であった。最終のpH調整はHClを用いてpH8.6にされた。
分離試験のために、廃糖蜜は、更に78質量%まで蒸発させ、5μm袋フィルターを通
して濾過された。試験中、供給乾燥物質は、カラムに供給する前に、78質量%の廃糖蜜を分離タンク中に収集された再循環フラクションと混合することにより調整された。供給物は以下で示されるように構成され、それによりパーセンテージが、乾燥物質の質量に基づいて示された。
【表5】

【0068】
分画は、形成された分離プロファイルを逐次的疑似移動床(SMB)システムの樹脂床を通って2回循環し及び以下に示されるような17−工程のSMBシーケンスを使用することにより、米国特許第6896811号明細書中に記載される特定の方法様式を使用することにより、逐次的疑似移動床(SMB)の手段で行われた。分離の目的は、その中に含まれるスクロース及びベタインを分離することであった。供給物及び溶離液は80℃の温度で使用され、イオン交換水が溶離水として使用された。
工程1:供給溶液2.8Lが流速50L/hで最初のカラム中へ供給され、スクロース再循環フラクションが最終カラム(カラム3)から収集された。
工程2:供給溶液10.4Lが流速38L/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R1)が同じカラムから収集された。同時に、溶離水8.7Lが流速79L/hで2番目のカラム中へ供給され、再循環フラクションが最終カラム(カラム3)から収集された。
工程3:最初のカラムからの残余のフラクション(R1)の収集が続けられた。同時に、溶離水11.0Lが流速79L/hで2番目のカラム中へ供給され、スクロースフラクションが最終カラム(カラム3)から収集された。
工程4:供給溶液6.0Lが流速55L/hで最初のカラム中へ供給され、スクロースフラクションが最終カラムから収集された。
工程5:7.6Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速60L/hで循環された。
工程6:溶離水4.9Lが流速60L/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R2)が2番目のカラムから収集された。
工程7:溶離水16.8Lが流速70L/hで3番目のカラム中へ供給され、
最初に、ベタイン−含有PART(B1)2.0L、その後、ベタインフラクション10.8L、及び最後に、ベタイン−含有PART(B2)4.0Lが最終カラムから収集された。PARTフラクションB1及びB2は同じタンク中に収集され、後に工程10において溶離液置換物として使用された。
【0069】
工程8:17.3Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速60L/hで循環された。該循環は、溶離水の置換物としてのPART(R)としてカラム3からの残余のフラクションの1部分を使用するために、対照試験より多い4L続けられた。PART(R)成分(塩、有機酸等)の前方の移動は、30%BVの維持体積を使用することにより計算される。
工程9:溶離水10.6Lが流速60L/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R3)が3番目のカラムから収集された。
工程10:タンクからのベタイン−含有PART(B1+B2)6.0Lが流速60L/hで溶離水置換物として最初のカラム中へ供給され、3番目のカラムからの残余のフラクションの収集が続けられた。
計算:目的は、糖蜜供給物の希釈のために使用されるべき、スクロース再循環フラクションにおける工程1及び2におけるカラム3からのPART(B1+B2)の化合物を、次のシーケンスの後半に、抜き取ることであった。
ベタインの維持体積は、床体積(BV)の66%であった。工程10におけるPART(B1+B2)のベタインは、96L(=0.66×145.21L)が、カラムにおいてPART(B1+B2)のベタインを前方に移動するために使用された時、カラム3の底部からの溶出が開始された。目的の体積は、スクロース再循環フラクションが収集される間に、工程1及び2における次のシーケンスにおいて到達された。
工程11:16.8Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速70L/hで循環された。
工程12:ループが開放され、溶離水7.6Lが流速65L/hで2番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R1)が最初のカラムから収集された。
工程13:13.3Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速60L/hで循環された。
工程14:溶離水12.5Lが流速60L/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R2)が2番目のカラムから収集された。
工程15:13.2Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速65L/hで循環された。
工程16:溶離水15.0Lが流速65L/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクション(R3)が3番目のカラムから収集された。
工程17:10.7Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速65L/hで循環された。
【0070】
システムの平衡の後、以下のフラクションがシステムから抜き取られた:全てのカラムから2つの残余のフラクション、3番目のカラムから溶離液置換物として使用するためのベタイン−含有PARTフラクションB1及びB2、3番目のカラムから再循環フラクション、3番目のカラムからスクロース生成物フラクション及び3番目のカラムからベタイン生成物フラクション。合わせた残渣、再循環、スクロース、ベタイン及びPARTフラクションのためのHPLC分析を含む結果を、以下の表に示した。
【表6】

【0071】
これらのフラクションから計算された総収率は、スクロース97.2%及びベタイン8
9.3%であった。分離のための水/供給物(vol/vol)W/F比は4.5であった。実験において、ベタインフラクション中のベタイン含量は、ベタイン含有PARTフラクション(B1+B2)からスクロース再循環フラクションへベタインを循環し及び供給溶液に戻すことにより、増加された。合わせた残余のフラクションの濃度は、工程8及び11において分離システム内で残渣の最初の部分を循環することにより増加した。ベタイン及びベタイン含有PARTフラクションの循環を伴わない対照の実行において、ベタインの収率は73.1%であり、ベタイン含量はベタインフラクション中DSに基づき79.5%であり、合わせた残余のフラクションの体積は73.7Lであり、分離W/F(vol/vol)比は4.9であった。実験において使用された新しい溶離液の減少は、対照の実行と比べて9%であった。
【0072】
実施例4
廃糖蜜のクロマトグラフィーSMB分離−ベタイン含有部分(PARTS)
本方法の装置、SMBカラム、樹脂及び廃糖蜜の前処理は、実施例3におけるものと同様であった。試験における供給物は以下で示されるように構成され、それによりパーセンテージが、乾燥物質の質量に基づいて示された。
【表7】

【0073】
分画は、形成された分離プロファイルを逐次的疑似移動床(SMB)システムの樹脂床を通って2回循環し及び以下に示されるような16−工程のSMBシーケンスを使用することにより、米国特許第6896811号明細書中に記載される特定の方法様式を使用することにより、逐次的疑似移動床(SMB)の手段で行われた。分離の目的は、その中に含まれるスクロース及びベタインを分離することであった。供給物及び溶離液は80℃の温度で使用され、イオン交換水が溶離水として使用された。
【0074】
工程1:供給溶液2.8Lが流速50L/hで最初のカラム中へ供給され、スクロース再循環フラクションが最終カラム(カラム3)から収集された。
工程2:供給溶液10.4Lが流速33L/hで最初のカラム中へ供給され、最初に、ベタイン−含有PART(B1+R1)4.0L、その後、残余のフラクション6.4Lが同じカラムから収集された。同時に、溶離水19.4Lが流速79L/hで2番目のカラム中へ供給され、最初に、再循環フラクション8.7L、その後、スクロース再循環フラクション10.7Lが最終カラムから収集された。
工程3:供給溶液6.0Lが流速55L/hで最初のカラム中へ供給され、スクロースフラクションが最終カラムから収集された。
工程4:7.6Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速60L/hで循環された。
工程5:溶離水4.5Lが流速60L/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクションが2番目のカラムから収集された。
工程6:溶離水14.8Lが流速70L/hで3番目のカラム中へ供給され、
最初に、ベタイン−含有PART(B2)2.0L、その後、ベタインフラクション10
.8L、及び最後に、ベタイン−含有PART(B3)2.0Lが最終カラムから収集された。PARTフラクションは別のタンク中に収集され、溶離液置換物として使用された。
工程7:17.3Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速65L/hで循環された。該循環は、溶離水の置換物として濃度を薄める際にPART(R3)としてカラム3からの残余のフラクションの1部分を使用するために、対照試験より多い4L続けられた。PART(R3)成分(塩、有機酸等)の前方の移動は、30%BVの維持体積を使用することにより計算される。
【0075】
工程8:溶離水7.5Lが流速65L/hで最初のカラム中へ供給され、残余のフラクションが3番目のカラムから収集された。
工程9:ベタイン及び残余の成分を含むPART(B1+R1、B2、B3、B4+R3)11.0Lが流速60L/hで溶離水置換物として最初のカラム中へ供給され、3番目のカラムからの残余のフラクションの収集が続けられた。部分(PARTS)中の成分の移動の計算は、前の実施例におけるものと同様の方法で行われた。
工程10:16.8Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速70L/hで循環された。
工程11:溶離水4.1Lが流速65L/hで2番目のカラム中へ供給され、残余のフラクションが最初のカラムから収集された。
工程12:13.3Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速60L/hで循環された。
工程13:溶離水15.0Lが流速60L/hで3番目のカラム中へ供給され、残余のフラクションが2番目のカラムから収集された。
工程14:13.2Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速70L/hで循環された。
工程15:溶離水15.0Lが流速65L/hで最初のカラム中へ供給され、
最初に、ベタイン−含有PART(B4+R3)3.0L、その後、残余のフラクション12.0Lが3番目のカラムから収集された。PART(B4+R3)フラクションは別のタンク中に収集され、工程9において、溶離液置換物として使用された。
工程16:10.7Lが、全てのカラムで形成される、カラムループ内で、流速65L/hで循環された。
【0076】
システムの平衡の後、以下のフラクションがシステムから抜き取られた:全てのカラムから2つの残余のフラクション、最初の及び最終カラムから溶離液置換物として使用されるベタイン−含有PARTフラクション、最終カラムから再循環フラクション、最終カラムからスクロース生成物フラクション及び最終カラムからベタイン生成物フラクション。
合わせた残渣、再循環、スクロース、ベタイン及びPARTフラクションのためのHPLC分析を含む結果を、以下の表に示した。
【表8】

【0077】
これらのフラクションから計算された総収率は、スクロース96.9%及びベタイン88.4%であった。分離のためのW/F比(vol/vol)は4.2であった。実験において、ベタインフラクション中の濃度及びベタイン含量は、ベタイン含有PARTフラクション(4つの異なるPARTSとして)から再循環フラクションへベタインを循環し及び供給溶液に戻して循環することにより、増加された。実験において、残余のフラクションの濃度は、残余の成分をPARTフラクションから残余のフラクションへ循環することにより、増加した。残余のフラクションは、残余の成分の最初の部分を、工程7及び10において、分離システムの内部で循環させることにより更に濃縮された。ベタイン及び残渣を含有するPARTフラクションの取得及び再循環を伴わない対照の分離方法において、ベタインフラクション中のベタインの収率は73.1%のみであり、ベタイン含量はDSに基づき79.5%であり、合わせた残余の体積は73.7Lであり、分離W/F比は4.9であった。
部分(PARTS)の循環を使用することによる溶離液の量は、対照の実行と比べて18%削減された。
工業的スケールにおいて、部分(PARTS)のための別の仲介のタンクは、同じ供給糖蜜を用いる幾つかのSMBシステム操作に供給され得る。PARTフラクション中に存在する成分が、所望の生成物又は残余のフラクションの中に抜き取られ得る限りにおいて、異なる分離から収集されたPARTフラクションを使用することも可能である。例えば、他のベタイン糖蜜分離からのベタイン−含有の残余のフラクションは、PARTフラクションとしてここで使用され得る。
技術の進展として、発明の概念が種々の手段において実施され得ることは、当業者には自明である。本発明及びその態様は、上記の実施例に限定されるものでなく、請求の範囲内において変り得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離システム中にベタイン−含有溶液を供給すること、
該ベタイン−含有溶液の成分を溶離するために、該分離システム中に溶離液を導入して、分離プロファイルを形成すること、及び
ベタイン生成物フラクション、1以上の残余のフラクション及び任意の1以上の再循環フラクション並びに1以上の他の生成物フラクションを回収すること
を含む、1以上の部分充填床を含む1以上のカラムを含むクロマトグラフィー分離システムにおいてベタイン−含有溶液を分画するための方法であって、
1以上の部分供給段階において、該分離システムの1以上の溶離液導入位置へ分離プロファイルの1以上の部分を導入して、前記溶離液の一部を置換し、前記部分は、ベタイン、1以上の他の生成物成分及び1以上の残余の成分から選択される1以上の成分を含み、
工程のシーケンスを使用することにより該分離システムにおいて、それらの成分と共に前記部分を前方に移動させ、該工程は供給段階、循環段階及び溶離段階の1つ以上を含み、
1以上の残余のフラクションにおいて及び/又は1以上の回収フラクションにおいて及び/又は1以上の生成物フラクションにおいて、同じか又は続く分離シーケンス中に、前記部分の成分を抜き取り、
それにより、前記の同じか又は続く分離シーケンス中に、前記部分の体積、導入位置及び導入工程が、前記部分の前記成分の維持体積、前記部分の前記成分が通過する樹脂床の体積及び前記部分の前記成分を導入位置から前記成分の計算された目的の抜き取り位置に移動する工程の体積に基づいて決定され、一方、生成物フラクションの純度及び生成物成分の収率は基本的に維持又は改善されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記部分の成分は、基本的にそれに続く1ないし4の分離シーケンス中に抜き取られることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記クロマトグラフィー分離システムはバッチシステムであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記クロマトグラフィー分離システムは逐次的疑似移動床(SMB)システムであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記逐次的疑似移動床(SMB)システムは該システム中に1以上のループを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記逐次的疑似移動床(SMB)システムは1ループ内に1以上の分離プロファイルを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記分離プロファイルは1サイクルの間に、該システムの樹脂床を通って1回よりも多く又は1回よりも少なく循環されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記1以上の部分は、ベタイン、スクロース、塩、有機酸及びその塩、アミノ酸、及びグリセロールから選択される成分を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記1以上の部分は、ベタインサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
ベタインサブプロファイルの前記前方スロープ部分及び/又は後方スロープ部分のベタイン含量は、DSに基づき最大80%迄であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
ベタインサブプロファイルの前記前方スロープ部分及び/又は後方スロープ部分の乾燥固体濃度は、0.2%ないし8%であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
ベタインサブプロファイルの前記前方スロープ部分及び/又は後方スロープ部分は、前記分離システムに戻して導入されて溶離水の一部分と置き換えられ、及び、次のシーケンス中に前記前方スロープ部分及び/又は後方スロープ部分のベタイン
は、スクロース再循環フラクション中に抜き取られて供給物に再循環され及びベタインフラクション中に回収されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項13】
循環されたベタインの前方スロープ部分及び/又は後方スロープ部分からスクロース再循環フラクションまでのベタイン収率は、60%を越え、好ましくは80%を越え、より好ましくは85%を越えるものことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記1以上の部分は、残余のサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
残余のサブプロファイルの前方スロープ部分の前記乾燥固体濃度は、0.5%ないし10%であることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
残余のサブプロファイルの前記前方スロープ部分又は後方スロープ部分は、前記分離プロファイルに戻して導入されて溶離水の一部分と置き換えられ、及び、前記前方スロープ部分又は後方スロープ部分の残余の成分は、前記同じか又はそれに続く1ないし4の分離シーケンス中に、1以上の残余のフラクション内で抜き取られることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記1以上の部分は、スクロースサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記部分の体積は、1つの分離シーケンス中に分離プロファイルを前方に移動する全ての工程の体積の1ないし50%であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記部分の体積は、好ましくは前記部分の成分が抜き取られるであろう再循環フラクション又は残余のフラクションの体積よりも少ないことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記部分は、損なわれていない分離プロファイルとして前記分離システムに導入されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記部分は、分離タンク中に収集され、前記タンクから分離システムに導入されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記部分は、ベタインサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分及び残余のサブプロファイルの前方スロープ部分又は後方スロープ部分から選択され、
前記部分は、前記分離システムに戻して導入されて溶離水の一部分と置き換えられ、
前記部分及び/又は前記部分の残余の成分のベタインは、供給物に再循環されるスクロース再循環フラクションにおける次のシーケンス中抜き取られ、続いて、
続く分離シーケンス中に、ベタイン生成物フラクション中に前記部分のベタインを回収する及び/又は残余のフラクション中に前記部分の残余の成分を回収することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記スクロース再循環フラクションは、スクロースサブプロファイルの前方スロープ部分及び後方スロープ部分から選択されることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記ベタイン含有溶液は、甜菜由来溶液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記ベタイン含有溶液は、糖蜜溶液又は結晶化流出液又はその溶液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記ベタイン含有溶液は、蒸留残渣溶液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記蒸留残渣は、甜菜又は小麦から誘導されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記部分は、溶離水の5%ないし70%を置き換えるために使用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、DSに基づき40%ないし98%のベタイン含量を伴
うベタインフラクションを提供することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記方法は、ベタイン−含有供給溶液中のベタインに基づいて60%ないし98%の範囲の収率でベタインを提供することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、DSに基づき88%ないし98%のスクロース含量を伴うスクロースフラクションを提供することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、スクロース−含有供給溶液中のスクロースに基づいて80ないし98%の範囲の収率でスクロースを提供することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項33】
分離プロファイルの前記1以上の部分は、同一の分離システム内の1以上の溶離液導入位置に導入されるか又は他の類似の並列分離システム内又は異なる分離システム内の1以上の溶離液導入位置に導入されることを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−518536(P2012−518536A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551505(P2011−551505)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050127
【国際公開番号】WO2010/097511
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(504273748)
【Fターム(参考)】