説明

切削装置

【課題】
磁気ボール盤のような可搬形の切削装置は、工事現場で種々の部材の切削に使用され、本体の使用角度も水平だけに限らず、組み上げた鋼材に穴あけを行うような場合は壁面への穴あけ作業もある。壁面への穴あけの場合、切削液がタンク通気穴を塞ぐと、切削液が回転刃具に円滑に供給されない場合もある。
【解決手段】
モータと、前記モータにより駆動される回転刃具と、切削油を収容するためのオイルタンクと、前記オイルタンクの内部と外気とを連通する通気管を有する切削装置であって、前記通気管が反重力方向へと向くように、前記通気管に質量部を設けたことを特徴とする切削装置により、上記の課題を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ボール盤などを例とする回転刃具へ切削液を供給するオイルタンクを備えた切削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の切削工具の一例を図3に示す。図3は、日立工機株式会社から既に販売されている製品の構造である。
【0003】
図3に示すように電磁石1に取付けられたスタンド2には電動ドリル3が配置され、電磁石1を励磁して被削材である鋼板4に吸着させる。ハンドルレバー5を操作することにより回転刃具6が回転軸心上を移動し、鋼板4に押し付けられ穴あけ切削を行う。この種の切削装置においては、通常、切削時に回転刃具の切削抵抗を減らすとともに刃具の焼付きを防止し刃具寿命向上させる目的に様々な切削液が用いられる。オイルタンク7から切削液10が回転刃具6の回転軸内を通り、切削位置決め用のセンターピン11が鋼板4に当たり回転軸心方向に押し込まれると切削液の流路が開放されて切削液10は回転刃具6先端に供給される。この時、切削液10が円滑に流れるようにオイルタンク7のキャップ8には通気穴9が設けられている。切削液10は切削時の切削抵抗を減らすとともに回転刃具6の焼付きを防止し、回転刃具6の寿命を向上させる効果が期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気ボール盤のような可搬形の切削装置は、工事現場で種々の部材の切削に使用され、本体の使用角度も水平だけに限らず、組み上げた鋼材に穴あけを行うような場合は壁面への穴あけ作業もある。壁面への穴あけの場合、切削液がタンク通気穴を塞ぐと、切削液が回転刃具に円滑に供給されない場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
モータと、前記モータにより駆動される回転刃具と、切削油を収容するためのオイルタンクと、前記オイルタンクの内部と外気とを連通する通気管を有する切削装置であって、前記通気管が反重力方向へと向くように、前記通気管に質量部を設けたことを特徴とする切削装置により、上記の課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0006】
通気管に質量部を設けたので、通気管が反重力方向へと向く。このため、通気管から外気がオイルタンクへと供給される。このため、切削液が回転刃具に円滑に供給されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す切削装置である。
【図2】図1の切削装置を壁面へ吸着させた状態を示す図である。
【図3】従来の切削装置である。
【図4】図1の要部拡大図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す要部拡大図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
(実施例1)
本発明の第1の実施形態の一例を、図1、図2、図4を参照しながら説明する。図1に示すように、鉄心にマグネットコイルが巻装された電磁石1にはスタンド2と、該スタンド2の上部に取付けられた電気ドリル3と、前記スタンド2の上部に取付けられた、切削液を供給するためのオイルタンク7からなる磁気ボール盤は、電磁石1を励磁させて鋼板4に吸着させ、ハンドルレバー5を操作することにより回転刃具部が鋼板4に押し付けられ、切削を行う構造となっている。
【0009】
回転刃具6が切削中はオイルタンク7内の切削液10が回転刃具6の回転軸に設けられた流路を通り、最終的に穴あけ位置の基準合わせ用のセンタピン11が被削材に押しあげられると流路が開放され回転刃具6の先端に達する。
【0010】
図4のように、オイルタンク7のキャップ8にはL形の通気穴を持つ通気管12が方向可変に貫通しており、貫通部にはオイルシール13で通気管の動きを妨げない程度にシールし防水を行っている。この通気管12はオイルタンクの外側にある通気口先端が図2の姿勢でもオイルタンク7内の切削液10の液面よりも上方になるような形状に定めてある。さらに、オイルタンクの外側にある通気口とは反対方向に図4のうに重量大となるように形状を形成し、重心位置が通気口側に対して通気管の回転軸を挟んだ反対側に位置している。
【0011】
このため図2のように電磁石1を壁面へ吸着させて切削を行う場合、通気管12は重心位置が地面側になるよう自転し、その通気口はオイルタンク内の液面よりも上方に位置し、図2の姿勢で切削作業を行ってもオイルタンク7内の切削液10は途切れることなく回転刃具に供給される。
(実施例2)
第2の実施形態において、図5のようにL字型の通気管12を設けることができる。
(実施例3)
第2の実施形態において、L字型の通気管12の重心位置が通気口側に対して通気管の回転軸を挟んだ反対側に位置させるために、図4のような体積差を設けるのではなく、比重の重い異種材との組み合わせでも良い。例えば、図6のように錘を取付けることができる。
【符号の説明】
【0012】
1.電磁石、2.スタンド、3.電気ドリル、4.鋼板、5.ハンドルレバー、6.回転刃具、7.オイルタンク、8.キャップ、9.通気穴、10.切削液、11.センターピン、12.通気管、13.オイルシール、14.錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより駆動される回転刃具と、
切削油を収容するためのオイルタンクと、
前記オイルタンクの内部と外気とを連通する通気管を有する切削装置であって、
前記通気管が反重力方向へと向くように、前記通気管に質量部を設けたことを特徴とする切削装置。
【請求項2】
モータと、
前記モータにより駆動される回転刃具と、
切削油を収容するためのオイルタンクと、
前記オイルタンクの内部と外気とを連通する通気管を有する切削装置であって、
前記通気管をL字型に設けたことを特徴とする切削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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