切嚢修復装置及び切嚢修復方法
切嚢修復装置の様々な実施形態は電気抵抗の超弾性ワイヤを含み、電気抵抗の超弾性ワイヤはその第1端部と第2端部との間にループを形成する。ループの第1端部及び第2端部は、ループと絶縁部との間に移行ネック部を形成すべく、少なくとも部分的に、ループによって画成された平面から絶縁部へ所定の角度で延在することができる。切嚢修復装置は、裂け目の周りを焼くことによって調整された嚢切開の周囲を形成することによって裂け目を取り除くべく、嚢切開の周囲における裂け目に重なるように眼内において嚢切開の周囲に対して定置されうる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科手術の分野に概して関し、特に、嚢切開を行うための方法及び器具に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障の治療について認容された治療は、(例えば水晶体超音波乳化吸引術によって)外科的に水晶体を取り除いてその水晶体の機能を人工的な眼内レンズ(IOL)に置き換えることである。白内障の水晶体を取り除く前に、前嚢において、穴又は切開が作られうる。水晶体超音波乳化吸引術中、水晶体核が乳化されている間に前嚢切開の切り口に張力が存在しうる。さらに、嚢が多数の小さな嚢の裂け目で開かれる場合、残っている小片(small tag)は径方向の嚢の裂け目を導くことがあり、径方向の嚢の裂け目は後嚢内に延在しうる。斯かる径方向の裂け目は、白内障を更に取り除くことと、手術中に後で水晶体嚢内に眼内レンズを安全に設置することとについて、水晶体を不安定にすることがあるので、合併症を構成しうる。加えて、その後、後嚢に穴が開けられる場合、硝子体液が眼の前房にアクセスしうる。もし、このことが起きると、専用器具を用いた追加処置によって硝子体液を取り除く必要がある。硝子体液の喪失は、眼において後に起きる網膜剥離及び/又は感染症を導くことがある。さらに、いくつかの眼科処置が後嚢切開も必要としうるが、前嚢切開のために設計された電流装置は、後嚢切開を行うために最適な形状を有しないことがある。
【発明の概要】
【0003】
切嚢修復装置の様々な実施形態が抵抗加熱要素を含み、抵抗加熱要素は電気抵抗の超弾性ワイヤを具備し、電気抵抗の超弾性ワイヤはその第1端部と第2端部との間にループを形成する。ループの第1端部及び第2端部は、ループと絶縁部との間に移行ネック部(transitional neck)を形成すべく、少なくとも部分的に、ループによって画成された平面から絶縁部へ所定の角度で延在することができる。切嚢修復装置は眼内において嚢切開の周囲(capsularhexis perimeter)に対して定置されうる。例えば、切嚢修復装置は、嚢切開の周囲において裂け目に重なり、且つ裂け目の周りを焼くことによって裂け目を取り除くことができる(このため、調整された嚢切開の周囲が形成される)。嚢切開修復装置は長円/楕円形状を含むことができる。異なる形状(例えば円形及び放物形(parabolic))のワイヤが、異なる裂け目の外形について使用されてもよい。異なる大きさのループが、異なる裂け目の大きさに適応すべく使用されてもよい。いくつかの実施形態では、移行ネック部は絶縁部における第1端部と第2端部との間の隙間を有し、絶縁部における第1端部と第2端部との間の隙間は移行ネック部の反対側の第1端部と第2端部との間の隙間よりも広い。超弾性ワイヤのループにおける隙間は、ループが眼の嚢において連続的な切断部を形成することができるように十分小さくされうる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1a】図1aは、一つの実施形態に係る嚢切開装置の位置を示す。
【図1b】図1bは、一つの実施形態に係る嚢切開装置の位置を示す。
【図1c】図1cは、嚢切開装置についての移行ネック部の一つ実施形態の正面からの断面図を示す。
【図1d】図1dは、嚢切開装置についての移行ネック部の一つの実施形態の正面からの断面図を示す。
【図1e】図1eは、後嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図1f】図1fは、後嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図1g】図1gは、前嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図1h】図1hは、前嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図2a】図2aは、ハンドピースの一つの実施形態を示す。
【図2b】図2bは、ハンドピースの一つの実施形態を示す。
【図2c】図2cは、露出されたループの一つの実施形態を示す。
【図2d】図2dは、引っ込まされたループの一つの実施形態を示す。
【図3a】図3aは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の展開を示す。
【図3b】図3bは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の展開を示す。
【図3c】図3cは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の格納を示す。
【図3d】図3dは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の格納を示す。
【図4】図4は、一つの実施形態に係る、角度が付けられた嚢切開装置を示す。
【図5】図5は、一つの実施形態に係る、後嚢内に挿入された嚢切開装置の側面図を示す。
【図6a】図6aは、様々な実施形態に係る嚢切開装置において使用されるワイヤの代替形態を示す。
【図6b】図6bは、様々な実施形態に係る嚢切開装置において使用されるワイヤの代替形態を示す。
【図7】図7は、一つの実施形態に係る、切嚢を行うための方法のフローチャートを示す。
【図8】図8は、一つの実施形態に係る、嚢切開装置についてのプロセッサ及びメモリを示す。
【図9】図9は、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を示す。
【図10a】図10aは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、小さな裂け目の修復を示す。
【図10b】図10bは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、小さな裂け目の修復を示す。
【図11a】図11aは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、大きな裂け目の修復を示す。
【図11b】図11bは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、大きな裂け目の修復を示す。
【図12】図12は、一つの実施形態に係る、切嚢修復のための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
参照による取込み
Mikhail Baukhnyによる、2004年11月9日に出願された、発明の名称が「嚢切開装置」の米国特許出願公開第20060100617号明細書(シリアル番号10/984383)が、その全体が、あたかも本明細書において十分且つ完全に説明されたかのように、参照によって本明細書の一部を構成する。
【0006】
Glenn Sussman及びGuangyao Jiaによる、2008年10月13日に出願された、発明の名称が「可撓性を有する加熱要素を備えた嚢切開装置」の米国特許出願シリアル番号12/249982が、その全体が、あたかも本明細書において十分且つ完全に説明されたかのように、参照によって本明細書の一部を構成する。
【0007】
本発明のより完全な理解のために、添付の図面と併せて以下の説明が参照される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が、例であり且つ単なる例示であって、特許請求の範囲に記載された本発明の更なる説明を提供することが意図されていることが理解されるべきである。
図1a及び図1bは、嚢切開装置10のいくつかの実施形態の平面図を示す。様々な特徴をより明確に示すために、図1a及び図1bのようないくつかの他の添付図面では縮尺比が同一ではなく且ついくつかの特徴が誇張されていることが当業者によって理解されるであろう。当業者は、示された構造が単なる例であり限定されるものではないことも理解するであろう。いくつかの実施形態では、嚢切開装置10は抵抗加熱要素12のほぼ円形の可撓ループ23を含むことができ、抵抗加熱要素12のほぼ円形の可撓ループ23は、眼32の水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513(例えば図5参照)上に局所的な加熱を生成すべく通電せしめられるので、ループ23内における嚢36の部分を剥離するために、貫通切断部(through cut)を生成し、又は弱くされた境界線を画成することができる。嚢切開装置10は、嚢切開又は切嚢を行うべく小切開創505を通して前房34内に定置されることができる。この処置は、例えば、白内障水晶体の水晶体超音波乳化吸引術と人工的な眼内レンズ(IOL)の挿入とを促進することができる。
【0008】
図1a〜図1dにおいて見られるように、様々な実施形態では、加熱要素12は、挿入スリーブ19の中心線27よりも上又は下にループ23の平面39をオフセットさせるように、オフセットさせる曲げを有する(例えば(本明細書においてワイヤ端部31として概して言及される)第1ワイヤ端部31a又は31c及び第2ワイヤ端部31b又は31dによって形成される)移行ネック部21を含むことができる。移行ネック部21を形成するワイヤ端部31は、中心線27から離れるように曲げられうる(例えば図1cにおいて示されるような距離29)。中心線27から離れるように曲げることによって、ループ23は前嚢面及び/又は後嚢面に対してより平行に設置されることができる。図5において示されるように、移行ネック部21におけるワイヤ端部31は、後嚢面35との一様な接触のためにループ23を定置すべく、嚢36の深さ33だけループ23をずらすことができる。嚢面に対して垂直な方向のおかげでワイヤ14の熱影響域が嚢上において小さいので、嚢の下部領域への二次的な熱損傷を防ぐための断熱が必要とされない。いくつかの実施形態では、ループ23の直径401(例えば図4参照)は、ループ23が前嚢切開又は(約4〜6mmの範囲内の直径を使用しうる前嚢切開よりも小さな(例えば約2〜4mmの範囲内の)直径401を使用しうる)後嚢切開において使用されるかに応じて調整されることができる。他の直径も考えられる。
【0009】
いくつかの実施形態では、移行ネック部21は約1〜2mmの長さ(絶縁部17からループ23までの距離)を有することができる(他の長さも考えられる)。いくつかの実施形態では、(例えば図1e及び図1fにおいて見られるような後嚢切開について)移行ネック部21はループ23の平面39に対してほぼ(例えば±20°)垂直である。他の角度も考えられる。例えば、移行ネック部21は、(例えば図1g及び図1hにおいて見られるような前嚢切開について)図1hにおいて見られるように平面の後部に対して測定された約135°又は45°である。他の角度も考えられる(例えば移行ネック部は平面の後部から約30°〜90°の範囲内であってもよい)。いくつかの実施形態では、ワイヤ端部31は、抵抗加熱要素12のワイヤ端部31間の隙間25の大きさを減少させるべく互いの方に向かって曲げられうる。隙間25は、隙間の端部間のショートを防ぐ(すなわち電流がループ23の回りを進む)のに十分な距離を維持するように最小化されうる。例えば、隙間25は約0.076±0.025mm(0.003±0.001インチ)の幅を有することができる。他の直径(例えば0.152mm(0.006インチ)又は別の例として0.051mm(0.002インチ)未満)も考えられる。隙間25は(電流がワイヤ14を通って進み且つ隙間25を横断しないように)ワイヤ端部31を互いから絶縁することができる。中心線27から離れるように曲げることによって、ワイヤ端部31が中心線27に対して平行である場合に可能であろう大きさよりも隙間25の大きさを更に減少させることができる。減少せしめられた隙間の大きさによって、剥離のためのより完全な円形の貫通切断部又は境界線がもたらされうる。(円形のループ23が示されるが、他の形状(例えば楕円形、長方形等)も考えられる。)減少せしめられた隙間の大きさのおかげで、隙間25の周りにおける嚢36とワイヤ14との接触が嚢36においてバイポーラジアテルミー(bipolar diathermy)を提供しうるので、加熱要素12における不連続性(すなわち隙間25)に拘わらずより完全な切嚢が促進される。平面39に対する、移行ネック部21の角度方向によって、完全な(又はほぼ完全な)切開部を有する、より円形なリングを形成すべく、隙間25における嚢36において真っ直ぐな縁が減少せしめられうる。隙間25の減少せしめられた幅のおかげで、隙間25の両側におけるワイヤ14からの隣接熱(neighboring heat)によって、隙間25の間の嚢26の部分が熱的に切断されうる。
【0010】
ワイヤ端部31は曲げられ且つ/又は真っ直ぐであってもよい(図1c及び図1d参照)。ワイヤ端部31についての他の形態も考えられる。「曲げ」の用語が終始使用されるが、ワイヤ端部31a及び31bは、他の方法(例えば型成形、押出成形等)を使用して形成され且つ/又は成形されてもよい。
【0011】
様々な実施形態では、ループ23の形状は、ループ23が後嚢切開(例えば図1e及び図1f参照)又は前嚢切開(例えば図1g及び図1h参照)のいずれについて使用されるかに基づいて調整されうる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、抵抗加熱要素12は、超弾性ワイヤから作られた、少なくとも部分的に剥き出しの抵抗加熱要素を含むことができる。ワイヤ材料の超弾性と比較的高い電気抵抗率とを組み合わせることによって、圧潰可能なリング形状の加熱要素12が、局所加熱によって切嚢を行うように構築されることができる。加熱要素12は、圧潰可能なので、加熱要素12は角膜511における(例えば2mmの)小切開創505を通して眼32内に容易に挿入されうる。他の切開創の大きさ及び位置も考えられる。
【0013】
嚢切開装置10は加熱要素12について極細の超弾性ワイヤ14を含むことができる。いくつかの実施形態では、ワイヤ14はニチノールのようなニッケルチタン合金から形成されることができ、ニチノールは超弾性特性及び形状記憶特性を示しうる。ワイヤ14は、超弾性(この用語は技術的に幾分より正確な用語「擬弾性(pseudoelastic)」についての同意語として本明細書では意図される)を有しうるので、荷重が適用されると、相当な量の変形に耐えることができ、且つ、荷重が取り除かれると、その元の形状に戻ることができる。(「形状記憶」とは、材料の変態温度よりも低い温度において変形される物体が変態温度よりも高い温度に温められるとその前の形状に戻る、いくつかの材料によって示される特性を指し、超弾性が「形状記憶」に関連するが形状記憶とは異なることが当業者によって理解されるであろう。ニチノールは両方の特性を示し、超弾性は変態温度よりも高い温度において示される。)さらに、ニチノールは、抵抗であり、このため電流で加熱されることができ、図1a〜図1cにおいて示される抵抗加熱要素12を形成するのに有用である。当然のことながら、抵抗であり且つ超弾性を有する他の材料がいくつかの実施形態ではニチノールの代わりに使用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0014】
ワイヤ14は、超弾性特性を有するので、挿入中に圧潰されることが可能であり、且つ使用中に予め形成された形状に戻ることができる。いくつかの実施形態では、粘弾性物質が切嚢前に前房34を膨らませるのに使用されうる。粘弾性物質は、十分に低い熱拡散率を有することができるので、加熱要素12の周りで断熱材として働くことができ、このため、加熱要素12の周辺において高度に集中化された、熱的に影響された区画を形成することを促進する。この区画の集中によって、近くの組織への二次的な損傷が低減されうる。実際には、加熱要素と嚢との間に粘弾性材料の薄いフィルムが捕捉されることを回避できないことがあるが、流体フィルムの小さな厚み(例えば約10μm)のおかげで、それでもなお、嚢36上に画成された小さな範囲が加熱要素における温度上昇に十分早く反応するであろうから、二次的損傷は回避される。
【0015】
抵抗加熱要素12は、超弾性ワイヤ14から形成されたループ23を含むことができる。リード区域を形成すべくループ23から離れて延在するワイヤ14の端部は、可撓性を有する電気絶縁部17を用いて、電気的に隔てられた状態に保たれうる。いくつかの実施形態では、絶縁部17はリード区域の一部を囲むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ループ23から離れるように挿入スリーブ19内へ延在する二本のリードが、電流を抵抗加熱要素12のループに通すことができるように電気的に隔てられた状態に保たれうるならば、絶縁部17が、一方のリードのみを囲んでもよく、又はいずれか一方又は両方のリードを部分的にのみ囲んでもよいことが当業者によって理解されるであろう。絶縁部17は、生体適合性及び高い耐熱性を有する材料、例えばポリイミド又はテフロン(登録商標)を含むことができる。いくつかの実施形態では、絶縁部17は可撓性を有することができる。いくつかの実施形態では、一つ以上のクリンプチューブ(crimp tube)(例えば銀のクリンプチューブ)が、ループ23を受容するのに使用されうる(チューブは、ハンドピース内にループ23を繋止すべくループ23上に圧着されうる)。いくつかの実施形態では、絶縁部17は、互いから複数のチューブを電気的に絶縁すべくクリンプチューブの上に延在することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19は平らなチューブ又は円筒チューブを含むことができ、平らなチューブ又は円筒チューブは、絶縁部17を含むリード区域の一部と係合する。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19は絶縁部17と滑合部(slip-fit)を形成することができる。挿入スリーブ19は、嚢切開処置中に眼32内に加熱要素12を挿入し且つ後で加熱要素12を格納するのに使用されることができる。熱可塑性物質から作られうる挿入スリーブ19は、加熱要素12が加熱のための電源に選択的に接続されうるように、電気コネクタ及び/又は接続ワイヤも含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19、絶縁材料17、及びワイヤ14は使い捨てユニットを形成することができ、使い捨てユニットは使用中にハンドピース又は他の器具に選択的に接続されることができ、ハンドピース又は他の器具は電流を供給することができる。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19はハンドピース41に連結されることができ(例えば図2a及び図2b参照)、ハンドピース41は外科用コンソール43(例えば図8参照)に連結されることができる。
【0017】
加熱要素12は、その超弾性特性のおかげで、眼32の前房34内への挿入のために圧潰されることができ、且つ前房34においてその予め画成された形状を取り戻すことができる。したがって、いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19が含まれ又は使用されることができ、加熱要素12は挿入スリーブ19を通して押される。挿入スリーブ19内の格納位置における、圧潰された加熱要素12が図1b及び図2dにおいて示される。加熱要素12は挿入スリーブ19内への格納の際には圧潰可能であり且つ挿入スリーブ19からの取り出しの際にはその元の形状に展開可能でありうる。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19及び絶縁部17は単一の装置(又は別体の装置)内に取り込まれることができる。いくつかの実施形態では、別体のカートリッジが、(例えば挿入スリーブ19とは別に且つ/又は挿入スリーブ19の代わりに)カートリッジを通してループ23を圧潰し/展開するのに使用されてもよい。図2a及び図2bにおいて見られるように、ハンドピース41は格納レバー45を含むことができ、格納レバー45はスロット49に沿って摺動することができる。(挿入スリーブに取り付けられた)格納レバー45がスロット49の端部の方に向かって押されると、ループ23は挿入スリーブ19において包囲されうる(例えば図2d参照)。格納レバー45がスロット49に沿って引き戻されると、ループ23は挿入スリーブ19から抜け出すことができる(図2c参照)。ハンドピースの他の形態も考えられる。様々な実施形態では、ループ23は、処置の前及び/又は後に、挿入スリーブ19内に(例えば図1bにおいて見られるように)部分的に引っ込められ又は(例えば図2dにおいて見られるように)完全に引っ込められうる。いくつかの実施形態では、(図1bにおいて見られるように)部分的に露出されたワイヤは、挿入スリーブ19のようなガイドとして作用することができ、切開創内に挿入される。
【0018】
図3a〜図3dは、一つの実施形態に係る、眼32内への加熱要素12の挿入を示す。処置の前に、加熱要素12のループ23が挿入スリーブ19内に引っ込められうるので、図3aにおいて見られるように、加熱要素12のループ23は挿入スリーブ19内にほぼ完全に包含される。このため、図3aにおいて示されるように、器具の先行先端部が小切開創505(図5参照)を通して眼32の前房34内に挿入されることができる。
【0019】
図3bにおいて示されるように、挿入スリーブ19及び圧潰された加熱要素12は(後方の切嚢のために)水晶体嚢36の内部に(又は前方の切嚢のために水晶体前嚢の近くに)押されることができる。その後、加熱要素12のループ23は、図3cにおいて示されるように、その予め定められた形状を取り戻すことができ、次いで、嚢36に対して定置されることができる。移行ネック部は図3a〜図3dにおける嚢切開装置の上下の眺めからは知覚されることができない。その後、加熱要素12は例えば短パルスの電流又は一連のパルスの電流で通電せしめられうる。上述されたように、この加熱は、嚢36上に滑らかな連続的な切断部を生成すべく嚢36(例えば水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513)を焼き焦がすことができる。その後、加熱要素12は、図3dにおいて示されるように、挿入スリーブ19内に格納されることができ、次いで眼32から取り除かれることができる。嚢36の切断部は、鉗子のような従来の外科手術道具を使用して容易に取り除かれることができる。
【0020】
超弾性ワイヤ14が可撓性を有するので、挿入スリーブ19は、加熱要素12が嚢36に対して設置されると、上向きに曲げられうる。ワイヤ14(及び、いくつかの場合、絶縁部17の変形特性が所与の装置10について定められうるので、加熱要素12の平面に対して形成された曲げ角度は、加熱要素12によって嚢36に適用される力の指標として使用されることができる。このため、許容可能な曲げ角度の範囲が、嚢36の最適な焼灼(cauterization)のための所望の適用力の範囲に対応するように、特定の装置10について定義されることができる。したがって、外科医が、図4において示されるように、予め定められた角度θに一致させ又はほぼ一致させるように曲げ角度を単純に操作することによって、加熱要素12と嚢36との間に所望の接触力を得ることができるのは便利である。いくつかの実施形態では、角度θは、ループ23の平面と、(ループ23の加熱要素12に対して真っ直ぐでありうる)絶縁部17との間の角度として定義されることができる。例えば、角度θはループ23とネック部21との間の移行部における曲げによって特徴付けられうる。
【0021】
いくつかの実施形態では、加熱要素12の近くの組織へのあらゆる潜在的な二次的な損傷を更に低減すべく、断熱層が、嚢切開処置中に嚢36に対して配置されうる底面61が剥き出しのままであるように、抵抗加熱要素12によって形成されたループ23の少なくとも頂面59上に配置されることができる。斯かる一つの実施形態の断面図が図6aにおいて示され、図6aには断熱層55で部分的に囲まれた円形のワイヤ14の断面が示される。いくつかの実施形態では、超弾性ワイヤ14は、図6bにおいて示されるように、正方形又は長方形の断面を有してもよく、この場合、断熱材55はワイヤ14の三つの側部上に配置されうる。いずれかの場合も、断熱材55は、抵抗加熱要素12のループ23の全周又はループ23のほぼ全周においてワイヤ14上に配置されてもよい。
【0022】
上述された装置の形態を考慮すると、図7が、いくつかの実施形態に係る嚢切開装置を利用するための方法を示すことが当業者によって理解されるであろう。フローチャートにおいて提供された要素は、単なる例示である。提供された様々な要素は省かれることができ、追加の要素が加えられ、且つ/又は、様々な要素が、以下に提供された順序とは異なる順序で行われてもよい。
【0023】
701において、挿入スリーブ19が眼32内に定置されうる。加熱要素12は眼内への挿入の前に挿入スリーブ19内に格納されうる。例えば、加熱要素12は外科医によって且つ/又は装置10の製造中に格納されうる。図1bは、格納された加熱要素12の一つの実施形態を示す。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19を眼内に定置することは、挿入スリーブ19を挿入するために角膜511(又は眼32の他の部分)において小切開創505を作ることを含むことができる。
【0024】
703において、加熱要素のループ23が(前嚢切開のために)眼32の前房34内に展開され又は(後嚢切開のために)水晶体嚢において展開されうる。本明細書において説明される加熱要素12が圧潰されうるので、挿入スリーブ19は、加熱要素のループ23の展開された直径401よりも小さい切開創505を通り抜けるような大きさにされうる。
【0025】
705において、加熱要素12のループ23が、一旦眼32内に展開されると、水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513に対して定置されうる。いくつかの実施形態では、加熱要素12と嚢36との間に適用される力は、加熱要素12のリード区域における曲げを算定することによって計測されうる。
【0026】
707において、挿入スリーブ19と、加熱要素12によって形成された平面との間の角度が、正確な力が適用されたかどうか判断すべく、予め定められた角度(例えば図4参照)に適合されうる。
【0027】
709において、加熱要素12が、嚢36に対して定置された後、電流の印加によって通電されうるので、ループ23が、加熱されて、水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513におけるほぼ円形の連続的な切断で水晶体嚢36を「焼く」ことができる。
【0028】
711において、嚢36を焼くことが完了した時点で、加熱要素12が挿入スリーブ19内に格納されることができ、713において、挿入スリーブ19が眼32から取り除かれうる。いくつかの実施形態では、嚢の剥離部は、鉗子のような外科手術道具を使用して取り除かれてもよい。
【0029】
簡単に上述されたように、抵抗加熱要素12を通電することが短パルス(例えば20ms)の電流又は一連のパルス(例えば各1ms)を含むことは有利である。いくつかの実施形態では、パルス化された無線周波電源(pulsed radio-frequency power)が、嚢における二次的な熱損傷を低減し且つ隙間25における電気化学的反応を回避するのに使用されることができる。無線周波電源の周波数、波形、電圧、パルス幅、及び作用時間は、二次的な損傷を低減しつつ嚢36において連続的な貫通切断部を実現するように構成されうる。取り除かれるべき部分を囲んでいる嚢36の部分への二次的損傷を最小化しつつ、嚢36における連続的且つ円形(又は卵形)の貫通切断部が実現されうるように、特定の加熱要素構成について、電源の設定値(例えば、電圧、電流、パルス幅、パルスの数等)が制定されうることが当業者によって理解されるであろう。本明細書において説明される実施形態に係る特定の加熱要素12について電源の設定値を決定するとき、当業者は、複合的な作用メカニズムが嚢36の「切断」に寄与しうると考えることができる。例えば、加熱要素12の急速な加熱によってもたらされる、粘弾性材料及び組織液における蒸気「爆発」が、嚢材料の熱的破壊に加えて、嚢36の貫通切断に寄与しうる。
【0030】
図9は、切嚢修復装置の一つの実施形態を示す。いくつかの実施形態では、より小さな(本明細書では「切嚢修復装置901」として言及される)嚢切開装置10が切嚢(例えば連続環状嚢切開(CCC))を修復するのに使用されてもよい。切嚢の間、破れ目又は裂け目が、切嚢の周囲1041の縁に沿って生じ且つ後嚢内に延在しうる。これら径方向の裂け目は、更なる白内障の除去及び安全な眼内レンズの設置について、水晶体を不安定にすることがある。切嚢修復装置901の抵抗加熱要素のループ23は長円形状を有し且つ水晶体嚢の長さ及び幅よりも小さな長さ及び幅を有することができる。いくつかの実施形態では、長さ及び幅の両方が約10mmよりも小さい(例えば約4〜5mmの範囲内の長さ及び約2〜3mmの範囲内の幅)。他の長さ及び幅も可能である。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901のループ23は切嚢の周囲1041よりも小さな長さ及び幅を有してもよい(例えば、図3a〜図3dにおいて見られるように、切嚢の周囲1041は、水晶体嚢におけるその後の眼内レンズの設置のために水晶体嚢を取り除くように形成されうる)。長円形状/楕円形状が図9〜図11bにおいて示されるが、他の形状が使用されてもよい。例えば、異なる形状のワイヤが、異なる裂け目形状のために使用されてもよい。ワイヤ形状は例えば円形及び放物形を含むことができる。異なる大きさのループと、異なる幅に対する長さの比率とが、異なる裂け目の大きさに適応すべく使用されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は、上述された嚢切開装置10と実質的に同様である構造を有することができる(しかし、いくつかの実施形態では、嚢切開装置10よりも小さな寸法を有してもよい)。例えば、切嚢修復装置901のループ23は、移行ネック部21(例えば図1a参照)を備えた加熱要素を含むことができ、移行ネック部21は、挿入スリーブ19の中心線27よりも上又は下にループ23の平面39をオフセットさせるように、オフセットさせる曲げを有する(移行ネック部21を形成するワイヤ端部31は中心線27から離れるように曲がることができる)。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は移行ネック部を含まなくてもよい(例えば切嚢修復装置901は真っ直ぐなネック部を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は、ループ23の各端部の周りに別体のクリンプチューブを使用することができ、各端部は挿入スリーブ19内において互いから絶縁される。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19は使用されなくてもよい。例えば、ループ23は小径を有することができ、この小径によって、ループ23を挿入スリーブ19内に格納することなく眼内に挿入することができる。
【0032】
図10a及び図10bは、切嚢修復装置を使用する、小さな裂け目の修復の一つの実施形態を示す。上記されたように、ループ23は、眼内に挿入される前に挿入スリーブ19内に格納されてもよい。切嚢修復装置901のループ23は、一旦眼内に位置すると、スリーブ19の外側に延ばされ、ここではその元の形状に展開することができる。図10aにおいて見られるように、ループ23は、側部の小さな裂け目1051(例えば長さが約0〜1mmの裂け目)に重なるように整列されうる。裂け目の他の大きさも可能である。切嚢修復装置901は、主要な嚢切開装置(例えば水晶体嚢の主要な部分を取り除くのに使用される嚢切開装置10又は別の嚢切開装置)を挿入するのに使用される眼内の同じ穴を通して挿入されうる。いくつかの実施形態では、ループ23は、切嚢の周囲1041において、徐々に湾曲する外形を生成すべく、切嚢修復装置901のより広い領域を有する裂け目1051に僅かに重なるように裂け目1051に整列されてもよい。この態様では、修復湾曲部1055の入口点1053a及び出口点1053bは、(それ自体裂け目をもたらしうる応力集中を低減すべく)小さな/湾曲した外形を有することができる。
【0033】
図11a及び図11bは、切嚢修復装置を使用する大きな裂け目の修復の一つの実施形態を示す。図11aは、水晶体嚢内に延在した裂け目1151(例えば長さが約1mm〜2mmの裂け目)の上に整列された切嚢修復装置901のループ23を示す。他の裂け目の長さも可能である。修復湾曲部1155が切嚢の周囲1041と共にほぼ連続的な湾曲外形を形成することができる。切嚢修復装置901の加熱要素の長円形ループ903の狭い領域が、修復中に取り除かれる包囲材料の量を減少すべく、延在された裂け目115について使用されてもよい。上記されたように、いくつかの実施形態では、異なるループ形状が、異なる裂け目の大きさについて使用されてもよい(例えば、より突飛な(eccentric)楕円形状のワイヤが、延在した裂け目について使用されてもよい)。
【0034】
図12は、切嚢修復のための方法の一つの実施形態のフローチャートを示す。フローチャートにおいて提供された要素は、単なる例示である。提供された様々な要素は省かれることができ、追加の要素が加えられ、且つ/又は、様々な要素が、以下に提供された順序とは異なる順序で行われてもよい。
【0035】
1201において、(例えば図7において説明された方法に従って)嚢切開が行われうる。嚢切開を行う他の方法(例えば外科用ナイフを使用すること)も考えられる。切嚢は後方の切嚢又は前方の切嚢を含むことができる。嚢切開の間、裂け目1051/1151が切嚢の周囲1041において形成されうる。
【0036】
1203において、切嚢修復装置901が、元の嚢切開装置10を挿入するのに使用される穴に挿入されうる。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は、異なる穴(例えば切嚢修復のために形成された新しい穴)に挿入されてもよい。切嚢修復装置901のループ23は、挿入の間、挿入スリーブ19内に格納されてもよい。
【0037】
1205において、切嚢修復装置901のループ23が水晶体嚢内にスリーブ19から押し出されてその元の形状に展開することができる(上記されたように、ループ23は超弾性ニチノールワイヤ又は他のいくつかの形状記憶材料から形成されうる)。いくつかの実施形態では、ループ23は挿入スリーブ19から押し出され、又は挿入スリーブ19は、ループ23を露出すべく(例えば図2a及び図2bにおいて見られるようなレバー45を使用して)引き戻されてもよい。他の延在方法(例えばバネ又ソレノイドを使用すること)も可能である。
【0038】
1207において、ループ23が、裂け目1051/1151に重なるように切嚢の周囲1041上に設置されうる。
【0039】
1209において、電流がループ23に印加され、ループ23が、切嚢の周囲1041と共にほぼ連続的な湾曲外形を形成すべく下部の水晶体嚢材料を通して焼くことができる(例えば図10b及び11b参照)。
【0040】
1211において、ループ23がスリーブ19内に格納され、切嚢修復装置901が眼から引き出されうる。いくつかの実施形態では、ループ23が挿入スリーブ19内に引き込まれ又は挿入スリーブ19が(例えば図2a及び図2bにおいて見られるようなレバー45を使用して)ループ23の上に押されてもよい。他の格納方法(例えばバネ又はソレノイドを使用すること)も可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、(切嚢修復装置901を含む)嚢切開装置10及び/又は嚢切開装置10のための管理システム(例えばハンドピース41及び/又はコンソール43)は一つ以上のプロセッサ(例えばプロセッサ1001)及び/又はメモリ1003を含むことができる(例えば図8参照)。プロセッサ1001は単一の演算処理装置又は複数の演算処理装置を含むことができる。斯かる演算処理装置は、マイクロプロセッサ、コントローラ(マイクロコントローラであってもよい)、デジタル・シグナル・プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央演算処理ユニット、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブル・ロジック・デバイス、ステートマシン、論理回路、制御回路、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は操作指令に基づいて(アナログ及び/又はデジタル)信号を処理する任意の装置である。プロセッサ1001に連結され且つ/又は組み込まれたメモリ1003は単一のメモリ装置又は複数のメモリ装置である。斯かるメモリ装置は、ROM、RAM、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又はデジタル情報を記憶する任意の装置である。プロセッサ1001が、ステートマシン、アナログ回路、デジタル回路、及び/又はロジック回路を介してその一つ以上の機能を実施するとき、対応する操作指令を記憶するメモリ1003が、ステートマシン、アナログ回路、デジタル回路、及び/又はロジック回路を含む回路内に又は回路の外部に組み込まれうることに留意されたい。図に関連して示され且つ説明された要素の少なくともいくつかに対応する操作指令を、メモリ1003が記憶し且つプロセッサ1001が実行することができる。
【0042】
与えられた実施形態に対して様々な修正が当業者によってなされうる。例えば、いくつかの実施形態が、嚢切開装置10と関連して上述されたが、他の熱的な外科装置を用いて使用されることもできる。本明細書を考慮し且つ本明細書において開示された本発明を実施することによって、本発明の他の実施形態が当業者にとって明らかであるだろう。本明細書及び例が単なる例示としてみなされ、本発明の真の範囲及び思想が以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示されることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科手術の分野に概して関し、特に、嚢切開を行うための方法及び器具に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障の治療について認容された治療は、(例えば水晶体超音波乳化吸引術によって)外科的に水晶体を取り除いてその水晶体の機能を人工的な眼内レンズ(IOL)に置き換えることである。白内障の水晶体を取り除く前に、前嚢において、穴又は切開が作られうる。水晶体超音波乳化吸引術中、水晶体核が乳化されている間に前嚢切開の切り口に張力が存在しうる。さらに、嚢が多数の小さな嚢の裂け目で開かれる場合、残っている小片(small tag)は径方向の嚢の裂け目を導くことがあり、径方向の嚢の裂け目は後嚢内に延在しうる。斯かる径方向の裂け目は、白内障を更に取り除くことと、手術中に後で水晶体嚢内に眼内レンズを安全に設置することとについて、水晶体を不安定にすることがあるので、合併症を構成しうる。加えて、その後、後嚢に穴が開けられる場合、硝子体液が眼の前房にアクセスしうる。もし、このことが起きると、専用器具を用いた追加処置によって硝子体液を取り除く必要がある。硝子体液の喪失は、眼において後に起きる網膜剥離及び/又は感染症を導くことがある。さらに、いくつかの眼科処置が後嚢切開も必要としうるが、前嚢切開のために設計された電流装置は、後嚢切開を行うために最適な形状を有しないことがある。
【発明の概要】
【0003】
切嚢修復装置の様々な実施形態が抵抗加熱要素を含み、抵抗加熱要素は電気抵抗の超弾性ワイヤを具備し、電気抵抗の超弾性ワイヤはその第1端部と第2端部との間にループを形成する。ループの第1端部及び第2端部は、ループと絶縁部との間に移行ネック部(transitional neck)を形成すべく、少なくとも部分的に、ループによって画成された平面から絶縁部へ所定の角度で延在することができる。切嚢修復装置は眼内において嚢切開の周囲(capsularhexis perimeter)に対して定置されうる。例えば、切嚢修復装置は、嚢切開の周囲において裂け目に重なり、且つ裂け目の周りを焼くことによって裂け目を取り除くことができる(このため、調整された嚢切開の周囲が形成される)。嚢切開修復装置は長円/楕円形状を含むことができる。異なる形状(例えば円形及び放物形(parabolic))のワイヤが、異なる裂け目の外形について使用されてもよい。異なる大きさのループが、異なる裂け目の大きさに適応すべく使用されてもよい。いくつかの実施形態では、移行ネック部は絶縁部における第1端部と第2端部との間の隙間を有し、絶縁部における第1端部と第2端部との間の隙間は移行ネック部の反対側の第1端部と第2端部との間の隙間よりも広い。超弾性ワイヤのループにおける隙間は、ループが眼の嚢において連続的な切断部を形成することができるように十分小さくされうる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1a】図1aは、一つの実施形態に係る嚢切開装置の位置を示す。
【図1b】図1bは、一つの実施形態に係る嚢切開装置の位置を示す。
【図1c】図1cは、嚢切開装置についての移行ネック部の一つ実施形態の正面からの断面図を示す。
【図1d】図1dは、嚢切開装置についての移行ネック部の一つの実施形態の正面からの断面図を示す。
【図1e】図1eは、後嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図1f】図1fは、後嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図1g】図1gは、前嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図1h】図1hは、前嚢切開についてのループの一つの実施形態を示す。
【図2a】図2aは、ハンドピースの一つの実施形態を示す。
【図2b】図2bは、ハンドピースの一つの実施形態を示す。
【図2c】図2cは、露出されたループの一つの実施形態を示す。
【図2d】図2dは、引っ込まされたループの一つの実施形態を示す。
【図3a】図3aは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の展開を示す。
【図3b】図3bは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の展開を示す。
【図3c】図3cは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の格納を示す。
【図3d】図3dは、一つの実施形態に係る、挿入スリーブを通した嚢切開装置の格納を示す。
【図4】図4は、一つの実施形態に係る、角度が付けられた嚢切開装置を示す。
【図5】図5は、一つの実施形態に係る、後嚢内に挿入された嚢切開装置の側面図を示す。
【図6a】図6aは、様々な実施形態に係る嚢切開装置において使用されるワイヤの代替形態を示す。
【図6b】図6bは、様々な実施形態に係る嚢切開装置において使用されるワイヤの代替形態を示す。
【図7】図7は、一つの実施形態に係る、切嚢を行うための方法のフローチャートを示す。
【図8】図8は、一つの実施形態に係る、嚢切開装置についてのプロセッサ及びメモリを示す。
【図9】図9は、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を示す。
【図10a】図10aは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、小さな裂け目の修復を示す。
【図10b】図10bは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、小さな裂け目の修復を示す。
【図11a】図11aは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、大きな裂け目の修復を示す。
【図11b】図11bは、一つの実施形態に係る切嚢修復装置を使用する、大きな裂け目の修復を示す。
【図12】図12は、一つの実施形態に係る、切嚢修復のための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
参照による取込み
Mikhail Baukhnyによる、2004年11月9日に出願された、発明の名称が「嚢切開装置」の米国特許出願公開第20060100617号明細書(シリアル番号10/984383)が、その全体が、あたかも本明細書において十分且つ完全に説明されたかのように、参照によって本明細書の一部を構成する。
【0006】
Glenn Sussman及びGuangyao Jiaによる、2008年10月13日に出願された、発明の名称が「可撓性を有する加熱要素を備えた嚢切開装置」の米国特許出願シリアル番号12/249982が、その全体が、あたかも本明細書において十分且つ完全に説明されたかのように、参照によって本明細書の一部を構成する。
【0007】
本発明のより完全な理解のために、添付の図面と併せて以下の説明が参照される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が、例であり且つ単なる例示であって、特許請求の範囲に記載された本発明の更なる説明を提供することが意図されていることが理解されるべきである。
図1a及び図1bは、嚢切開装置10のいくつかの実施形態の平面図を示す。様々な特徴をより明確に示すために、図1a及び図1bのようないくつかの他の添付図面では縮尺比が同一ではなく且ついくつかの特徴が誇張されていることが当業者によって理解されるであろう。当業者は、示された構造が単なる例であり限定されるものではないことも理解するであろう。いくつかの実施形態では、嚢切開装置10は抵抗加熱要素12のほぼ円形の可撓ループ23を含むことができ、抵抗加熱要素12のほぼ円形の可撓ループ23は、眼32の水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513(例えば図5参照)上に局所的な加熱を生成すべく通電せしめられるので、ループ23内における嚢36の部分を剥離するために、貫通切断部(through cut)を生成し、又は弱くされた境界線を画成することができる。嚢切開装置10は、嚢切開又は切嚢を行うべく小切開創505を通して前房34内に定置されることができる。この処置は、例えば、白内障水晶体の水晶体超音波乳化吸引術と人工的な眼内レンズ(IOL)の挿入とを促進することができる。
【0008】
図1a〜図1dにおいて見られるように、様々な実施形態では、加熱要素12は、挿入スリーブ19の中心線27よりも上又は下にループ23の平面39をオフセットさせるように、オフセットさせる曲げを有する(例えば(本明細書においてワイヤ端部31として概して言及される)第1ワイヤ端部31a又は31c及び第2ワイヤ端部31b又は31dによって形成される)移行ネック部21を含むことができる。移行ネック部21を形成するワイヤ端部31は、中心線27から離れるように曲げられうる(例えば図1cにおいて示されるような距離29)。中心線27から離れるように曲げることによって、ループ23は前嚢面及び/又は後嚢面に対してより平行に設置されることができる。図5において示されるように、移行ネック部21におけるワイヤ端部31は、後嚢面35との一様な接触のためにループ23を定置すべく、嚢36の深さ33だけループ23をずらすことができる。嚢面に対して垂直な方向のおかげでワイヤ14の熱影響域が嚢上において小さいので、嚢の下部領域への二次的な熱損傷を防ぐための断熱が必要とされない。いくつかの実施形態では、ループ23の直径401(例えば図4参照)は、ループ23が前嚢切開又は(約4〜6mmの範囲内の直径を使用しうる前嚢切開よりも小さな(例えば約2〜4mmの範囲内の)直径401を使用しうる)後嚢切開において使用されるかに応じて調整されることができる。他の直径も考えられる。
【0009】
いくつかの実施形態では、移行ネック部21は約1〜2mmの長さ(絶縁部17からループ23までの距離)を有することができる(他の長さも考えられる)。いくつかの実施形態では、(例えば図1e及び図1fにおいて見られるような後嚢切開について)移行ネック部21はループ23の平面39に対してほぼ(例えば±20°)垂直である。他の角度も考えられる。例えば、移行ネック部21は、(例えば図1g及び図1hにおいて見られるような前嚢切開について)図1hにおいて見られるように平面の後部に対して測定された約135°又は45°である。他の角度も考えられる(例えば移行ネック部は平面の後部から約30°〜90°の範囲内であってもよい)。いくつかの実施形態では、ワイヤ端部31は、抵抗加熱要素12のワイヤ端部31間の隙間25の大きさを減少させるべく互いの方に向かって曲げられうる。隙間25は、隙間の端部間のショートを防ぐ(すなわち電流がループ23の回りを進む)のに十分な距離を維持するように最小化されうる。例えば、隙間25は約0.076±0.025mm(0.003±0.001インチ)の幅を有することができる。他の直径(例えば0.152mm(0.006インチ)又は別の例として0.051mm(0.002インチ)未満)も考えられる。隙間25は(電流がワイヤ14を通って進み且つ隙間25を横断しないように)ワイヤ端部31を互いから絶縁することができる。中心線27から離れるように曲げることによって、ワイヤ端部31が中心線27に対して平行である場合に可能であろう大きさよりも隙間25の大きさを更に減少させることができる。減少せしめられた隙間の大きさによって、剥離のためのより完全な円形の貫通切断部又は境界線がもたらされうる。(円形のループ23が示されるが、他の形状(例えば楕円形、長方形等)も考えられる。)減少せしめられた隙間の大きさのおかげで、隙間25の周りにおける嚢36とワイヤ14との接触が嚢36においてバイポーラジアテルミー(bipolar diathermy)を提供しうるので、加熱要素12における不連続性(すなわち隙間25)に拘わらずより完全な切嚢が促進される。平面39に対する、移行ネック部21の角度方向によって、完全な(又はほぼ完全な)切開部を有する、より円形なリングを形成すべく、隙間25における嚢36において真っ直ぐな縁が減少せしめられうる。隙間25の減少せしめられた幅のおかげで、隙間25の両側におけるワイヤ14からの隣接熱(neighboring heat)によって、隙間25の間の嚢26の部分が熱的に切断されうる。
【0010】
ワイヤ端部31は曲げられ且つ/又は真っ直ぐであってもよい(図1c及び図1d参照)。ワイヤ端部31についての他の形態も考えられる。「曲げ」の用語が終始使用されるが、ワイヤ端部31a及び31bは、他の方法(例えば型成形、押出成形等)を使用して形成され且つ/又は成形されてもよい。
【0011】
様々な実施形態では、ループ23の形状は、ループ23が後嚢切開(例えば図1e及び図1f参照)又は前嚢切開(例えば図1g及び図1h参照)のいずれについて使用されるかに基づいて調整されうる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、抵抗加熱要素12は、超弾性ワイヤから作られた、少なくとも部分的に剥き出しの抵抗加熱要素を含むことができる。ワイヤ材料の超弾性と比較的高い電気抵抗率とを組み合わせることによって、圧潰可能なリング形状の加熱要素12が、局所加熱によって切嚢を行うように構築されることができる。加熱要素12は、圧潰可能なので、加熱要素12は角膜511における(例えば2mmの)小切開創505を通して眼32内に容易に挿入されうる。他の切開創の大きさ及び位置も考えられる。
【0013】
嚢切開装置10は加熱要素12について極細の超弾性ワイヤ14を含むことができる。いくつかの実施形態では、ワイヤ14はニチノールのようなニッケルチタン合金から形成されることができ、ニチノールは超弾性特性及び形状記憶特性を示しうる。ワイヤ14は、超弾性(この用語は技術的に幾分より正確な用語「擬弾性(pseudoelastic)」についての同意語として本明細書では意図される)を有しうるので、荷重が適用されると、相当な量の変形に耐えることができ、且つ、荷重が取り除かれると、その元の形状に戻ることができる。(「形状記憶」とは、材料の変態温度よりも低い温度において変形される物体が変態温度よりも高い温度に温められるとその前の形状に戻る、いくつかの材料によって示される特性を指し、超弾性が「形状記憶」に関連するが形状記憶とは異なることが当業者によって理解されるであろう。ニチノールは両方の特性を示し、超弾性は変態温度よりも高い温度において示される。)さらに、ニチノールは、抵抗であり、このため電流で加熱されることができ、図1a〜図1cにおいて示される抵抗加熱要素12を形成するのに有用である。当然のことながら、抵抗であり且つ超弾性を有する他の材料がいくつかの実施形態ではニチノールの代わりに使用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0014】
ワイヤ14は、超弾性特性を有するので、挿入中に圧潰されることが可能であり、且つ使用中に予め形成された形状に戻ることができる。いくつかの実施形態では、粘弾性物質が切嚢前に前房34を膨らませるのに使用されうる。粘弾性物質は、十分に低い熱拡散率を有することができるので、加熱要素12の周りで断熱材として働くことができ、このため、加熱要素12の周辺において高度に集中化された、熱的に影響された区画を形成することを促進する。この区画の集中によって、近くの組織への二次的な損傷が低減されうる。実際には、加熱要素と嚢との間に粘弾性材料の薄いフィルムが捕捉されることを回避できないことがあるが、流体フィルムの小さな厚み(例えば約10μm)のおかげで、それでもなお、嚢36上に画成された小さな範囲が加熱要素における温度上昇に十分早く反応するであろうから、二次的損傷は回避される。
【0015】
抵抗加熱要素12は、超弾性ワイヤ14から形成されたループ23を含むことができる。リード区域を形成すべくループ23から離れて延在するワイヤ14の端部は、可撓性を有する電気絶縁部17を用いて、電気的に隔てられた状態に保たれうる。いくつかの実施形態では、絶縁部17はリード区域の一部を囲むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ループ23から離れるように挿入スリーブ19内へ延在する二本のリードが、電流を抵抗加熱要素12のループに通すことができるように電気的に隔てられた状態に保たれうるならば、絶縁部17が、一方のリードのみを囲んでもよく、又はいずれか一方又は両方のリードを部分的にのみ囲んでもよいことが当業者によって理解されるであろう。絶縁部17は、生体適合性及び高い耐熱性を有する材料、例えばポリイミド又はテフロン(登録商標)を含むことができる。いくつかの実施形態では、絶縁部17は可撓性を有することができる。いくつかの実施形態では、一つ以上のクリンプチューブ(crimp tube)(例えば銀のクリンプチューブ)が、ループ23を受容するのに使用されうる(チューブは、ハンドピース内にループ23を繋止すべくループ23上に圧着されうる)。いくつかの実施形態では、絶縁部17は、互いから複数のチューブを電気的に絶縁すべくクリンプチューブの上に延在することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19は平らなチューブ又は円筒チューブを含むことができ、平らなチューブ又は円筒チューブは、絶縁部17を含むリード区域の一部と係合する。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19は絶縁部17と滑合部(slip-fit)を形成することができる。挿入スリーブ19は、嚢切開処置中に眼32内に加熱要素12を挿入し且つ後で加熱要素12を格納するのに使用されることができる。熱可塑性物質から作られうる挿入スリーブ19は、加熱要素12が加熱のための電源に選択的に接続されうるように、電気コネクタ及び/又は接続ワイヤも含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19、絶縁材料17、及びワイヤ14は使い捨てユニットを形成することができ、使い捨てユニットは使用中にハンドピース又は他の器具に選択的に接続されることができ、ハンドピース又は他の器具は電流を供給することができる。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19はハンドピース41に連結されることができ(例えば図2a及び図2b参照)、ハンドピース41は外科用コンソール43(例えば図8参照)に連結されることができる。
【0017】
加熱要素12は、その超弾性特性のおかげで、眼32の前房34内への挿入のために圧潰されることができ、且つ前房34においてその予め画成された形状を取り戻すことができる。したがって、いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19が含まれ又は使用されることができ、加熱要素12は挿入スリーブ19を通して押される。挿入スリーブ19内の格納位置における、圧潰された加熱要素12が図1b及び図2dにおいて示される。加熱要素12は挿入スリーブ19内への格納の際には圧潰可能であり且つ挿入スリーブ19からの取り出しの際にはその元の形状に展開可能でありうる。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19及び絶縁部17は単一の装置(又は別体の装置)内に取り込まれることができる。いくつかの実施形態では、別体のカートリッジが、(例えば挿入スリーブ19とは別に且つ/又は挿入スリーブ19の代わりに)カートリッジを通してループ23を圧潰し/展開するのに使用されてもよい。図2a及び図2bにおいて見られるように、ハンドピース41は格納レバー45を含むことができ、格納レバー45はスロット49に沿って摺動することができる。(挿入スリーブに取り付けられた)格納レバー45がスロット49の端部の方に向かって押されると、ループ23は挿入スリーブ19において包囲されうる(例えば図2d参照)。格納レバー45がスロット49に沿って引き戻されると、ループ23は挿入スリーブ19から抜け出すことができる(図2c参照)。ハンドピースの他の形態も考えられる。様々な実施形態では、ループ23は、処置の前及び/又は後に、挿入スリーブ19内に(例えば図1bにおいて見られるように)部分的に引っ込められ又は(例えば図2dにおいて見られるように)完全に引っ込められうる。いくつかの実施形態では、(図1bにおいて見られるように)部分的に露出されたワイヤは、挿入スリーブ19のようなガイドとして作用することができ、切開創内に挿入される。
【0018】
図3a〜図3dは、一つの実施形態に係る、眼32内への加熱要素12の挿入を示す。処置の前に、加熱要素12のループ23が挿入スリーブ19内に引っ込められうるので、図3aにおいて見られるように、加熱要素12のループ23は挿入スリーブ19内にほぼ完全に包含される。このため、図3aにおいて示されるように、器具の先行先端部が小切開創505(図5参照)を通して眼32の前房34内に挿入されることができる。
【0019】
図3bにおいて示されるように、挿入スリーブ19及び圧潰された加熱要素12は(後方の切嚢のために)水晶体嚢36の内部に(又は前方の切嚢のために水晶体前嚢の近くに)押されることができる。その後、加熱要素12のループ23は、図3cにおいて示されるように、その予め定められた形状を取り戻すことができ、次いで、嚢36に対して定置されることができる。移行ネック部は図3a〜図3dにおける嚢切開装置の上下の眺めからは知覚されることができない。その後、加熱要素12は例えば短パルスの電流又は一連のパルスの電流で通電せしめられうる。上述されたように、この加熱は、嚢36上に滑らかな連続的な切断部を生成すべく嚢36(例えば水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513)を焼き焦がすことができる。その後、加熱要素12は、図3dにおいて示されるように、挿入スリーブ19内に格納されることができ、次いで眼32から取り除かれることができる。嚢36の切断部は、鉗子のような従来の外科手術道具を使用して容易に取り除かれることができる。
【0020】
超弾性ワイヤ14が可撓性を有するので、挿入スリーブ19は、加熱要素12が嚢36に対して設置されると、上向きに曲げられうる。ワイヤ14(及び、いくつかの場合、絶縁部17の変形特性が所与の装置10について定められうるので、加熱要素12の平面に対して形成された曲げ角度は、加熱要素12によって嚢36に適用される力の指標として使用されることができる。このため、許容可能な曲げ角度の範囲が、嚢36の最適な焼灼(cauterization)のための所望の適用力の範囲に対応するように、特定の装置10について定義されることができる。したがって、外科医が、図4において示されるように、予め定められた角度θに一致させ又はほぼ一致させるように曲げ角度を単純に操作することによって、加熱要素12と嚢36との間に所望の接触力を得ることができるのは便利である。いくつかの実施形態では、角度θは、ループ23の平面と、(ループ23の加熱要素12に対して真っ直ぐでありうる)絶縁部17との間の角度として定義されることができる。例えば、角度θはループ23とネック部21との間の移行部における曲げによって特徴付けられうる。
【0021】
いくつかの実施形態では、加熱要素12の近くの組織へのあらゆる潜在的な二次的な損傷を更に低減すべく、断熱層が、嚢切開処置中に嚢36に対して配置されうる底面61が剥き出しのままであるように、抵抗加熱要素12によって形成されたループ23の少なくとも頂面59上に配置されることができる。斯かる一つの実施形態の断面図が図6aにおいて示され、図6aには断熱層55で部分的に囲まれた円形のワイヤ14の断面が示される。いくつかの実施形態では、超弾性ワイヤ14は、図6bにおいて示されるように、正方形又は長方形の断面を有してもよく、この場合、断熱材55はワイヤ14の三つの側部上に配置されうる。いずれかの場合も、断熱材55は、抵抗加熱要素12のループ23の全周又はループ23のほぼ全周においてワイヤ14上に配置されてもよい。
【0022】
上述された装置の形態を考慮すると、図7が、いくつかの実施形態に係る嚢切開装置を利用するための方法を示すことが当業者によって理解されるであろう。フローチャートにおいて提供された要素は、単なる例示である。提供された様々な要素は省かれることができ、追加の要素が加えられ、且つ/又は、様々な要素が、以下に提供された順序とは異なる順序で行われてもよい。
【0023】
701において、挿入スリーブ19が眼32内に定置されうる。加熱要素12は眼内への挿入の前に挿入スリーブ19内に格納されうる。例えば、加熱要素12は外科医によって且つ/又は装置10の製造中に格納されうる。図1bは、格納された加熱要素12の一つの実施形態を示す。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19を眼内に定置することは、挿入スリーブ19を挿入するために角膜511(又は眼32の他の部分)において小切開創505を作ることを含むことができる。
【0024】
703において、加熱要素のループ23が(前嚢切開のために)眼32の前房34内に展開され又は(後嚢切開のために)水晶体嚢において展開されうる。本明細書において説明される加熱要素12が圧潰されうるので、挿入スリーブ19は、加熱要素のループ23の展開された直径401よりも小さい切開創505を通り抜けるような大きさにされうる。
【0025】
705において、加熱要素12のループ23が、一旦眼32内に展開されると、水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513に対して定置されうる。いくつかの実施形態では、加熱要素12と嚢36との間に適用される力は、加熱要素12のリード区域における曲げを算定することによって計測されうる。
【0026】
707において、挿入スリーブ19と、加熱要素12によって形成された平面との間の角度が、正確な力が適用されたかどうか判断すべく、予め定められた角度(例えば図4参照)に適合されうる。
【0027】
709において、加熱要素12が、嚢36に対して定置された後、電流の印加によって通電されうるので、ループ23が、加熱されて、水晶体前嚢509及び/又は水晶体後嚢513におけるほぼ円形の連続的な切断で水晶体嚢36を「焼く」ことができる。
【0028】
711において、嚢36を焼くことが完了した時点で、加熱要素12が挿入スリーブ19内に格納されることができ、713において、挿入スリーブ19が眼32から取り除かれうる。いくつかの実施形態では、嚢の剥離部は、鉗子のような外科手術道具を使用して取り除かれてもよい。
【0029】
簡単に上述されたように、抵抗加熱要素12を通電することが短パルス(例えば20ms)の電流又は一連のパルス(例えば各1ms)を含むことは有利である。いくつかの実施形態では、パルス化された無線周波電源(pulsed radio-frequency power)が、嚢における二次的な熱損傷を低減し且つ隙間25における電気化学的反応を回避するのに使用されることができる。無線周波電源の周波数、波形、電圧、パルス幅、及び作用時間は、二次的な損傷を低減しつつ嚢36において連続的な貫通切断部を実現するように構成されうる。取り除かれるべき部分を囲んでいる嚢36の部分への二次的損傷を最小化しつつ、嚢36における連続的且つ円形(又は卵形)の貫通切断部が実現されうるように、特定の加熱要素構成について、電源の設定値(例えば、電圧、電流、パルス幅、パルスの数等)が制定されうることが当業者によって理解されるであろう。本明細書において説明される実施形態に係る特定の加熱要素12について電源の設定値を決定するとき、当業者は、複合的な作用メカニズムが嚢36の「切断」に寄与しうると考えることができる。例えば、加熱要素12の急速な加熱によってもたらされる、粘弾性材料及び組織液における蒸気「爆発」が、嚢材料の熱的破壊に加えて、嚢36の貫通切断に寄与しうる。
【0030】
図9は、切嚢修復装置の一つの実施形態を示す。いくつかの実施形態では、より小さな(本明細書では「切嚢修復装置901」として言及される)嚢切開装置10が切嚢(例えば連続環状嚢切開(CCC))を修復するのに使用されてもよい。切嚢の間、破れ目又は裂け目が、切嚢の周囲1041の縁に沿って生じ且つ後嚢内に延在しうる。これら径方向の裂け目は、更なる白内障の除去及び安全な眼内レンズの設置について、水晶体を不安定にすることがある。切嚢修復装置901の抵抗加熱要素のループ23は長円形状を有し且つ水晶体嚢の長さ及び幅よりも小さな長さ及び幅を有することができる。いくつかの実施形態では、長さ及び幅の両方が約10mmよりも小さい(例えば約4〜5mmの範囲内の長さ及び約2〜3mmの範囲内の幅)。他の長さ及び幅も可能である。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901のループ23は切嚢の周囲1041よりも小さな長さ及び幅を有してもよい(例えば、図3a〜図3dにおいて見られるように、切嚢の周囲1041は、水晶体嚢におけるその後の眼内レンズの設置のために水晶体嚢を取り除くように形成されうる)。長円形状/楕円形状が図9〜図11bにおいて示されるが、他の形状が使用されてもよい。例えば、異なる形状のワイヤが、異なる裂け目形状のために使用されてもよい。ワイヤ形状は例えば円形及び放物形を含むことができる。異なる大きさのループと、異なる幅に対する長さの比率とが、異なる裂け目の大きさに適応すべく使用されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は、上述された嚢切開装置10と実質的に同様である構造を有することができる(しかし、いくつかの実施形態では、嚢切開装置10よりも小さな寸法を有してもよい)。例えば、切嚢修復装置901のループ23は、移行ネック部21(例えば図1a参照)を備えた加熱要素を含むことができ、移行ネック部21は、挿入スリーブ19の中心線27よりも上又は下にループ23の平面39をオフセットさせるように、オフセットさせる曲げを有する(移行ネック部21を形成するワイヤ端部31は中心線27から離れるように曲がることができる)。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は移行ネック部を含まなくてもよい(例えば切嚢修復装置901は真っ直ぐなネック部を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は、ループ23の各端部の周りに別体のクリンプチューブを使用することができ、各端部は挿入スリーブ19内において互いから絶縁される。いくつかの実施形態では、挿入スリーブ19は使用されなくてもよい。例えば、ループ23は小径を有することができ、この小径によって、ループ23を挿入スリーブ19内に格納することなく眼内に挿入することができる。
【0032】
図10a及び図10bは、切嚢修復装置を使用する、小さな裂け目の修復の一つの実施形態を示す。上記されたように、ループ23は、眼内に挿入される前に挿入スリーブ19内に格納されてもよい。切嚢修復装置901のループ23は、一旦眼内に位置すると、スリーブ19の外側に延ばされ、ここではその元の形状に展開することができる。図10aにおいて見られるように、ループ23は、側部の小さな裂け目1051(例えば長さが約0〜1mmの裂け目)に重なるように整列されうる。裂け目の他の大きさも可能である。切嚢修復装置901は、主要な嚢切開装置(例えば水晶体嚢の主要な部分を取り除くのに使用される嚢切開装置10又は別の嚢切開装置)を挿入するのに使用される眼内の同じ穴を通して挿入されうる。いくつかの実施形態では、ループ23は、切嚢の周囲1041において、徐々に湾曲する外形を生成すべく、切嚢修復装置901のより広い領域を有する裂け目1051に僅かに重なるように裂け目1051に整列されてもよい。この態様では、修復湾曲部1055の入口点1053a及び出口点1053bは、(それ自体裂け目をもたらしうる応力集中を低減すべく)小さな/湾曲した外形を有することができる。
【0033】
図11a及び図11bは、切嚢修復装置を使用する大きな裂け目の修復の一つの実施形態を示す。図11aは、水晶体嚢内に延在した裂け目1151(例えば長さが約1mm〜2mmの裂け目)の上に整列された切嚢修復装置901のループ23を示す。他の裂け目の長さも可能である。修復湾曲部1155が切嚢の周囲1041と共にほぼ連続的な湾曲外形を形成することができる。切嚢修復装置901の加熱要素の長円形ループ903の狭い領域が、修復中に取り除かれる包囲材料の量を減少すべく、延在された裂け目115について使用されてもよい。上記されたように、いくつかの実施形態では、異なるループ形状が、異なる裂け目の大きさについて使用されてもよい(例えば、より突飛な(eccentric)楕円形状のワイヤが、延在した裂け目について使用されてもよい)。
【0034】
図12は、切嚢修復のための方法の一つの実施形態のフローチャートを示す。フローチャートにおいて提供された要素は、単なる例示である。提供された様々な要素は省かれることができ、追加の要素が加えられ、且つ/又は、様々な要素が、以下に提供された順序とは異なる順序で行われてもよい。
【0035】
1201において、(例えば図7において説明された方法に従って)嚢切開が行われうる。嚢切開を行う他の方法(例えば外科用ナイフを使用すること)も考えられる。切嚢は後方の切嚢又は前方の切嚢を含むことができる。嚢切開の間、裂け目1051/1151が切嚢の周囲1041において形成されうる。
【0036】
1203において、切嚢修復装置901が、元の嚢切開装置10を挿入するのに使用される穴に挿入されうる。いくつかの実施形態では、切嚢修復装置901は、異なる穴(例えば切嚢修復のために形成された新しい穴)に挿入されてもよい。切嚢修復装置901のループ23は、挿入の間、挿入スリーブ19内に格納されてもよい。
【0037】
1205において、切嚢修復装置901のループ23が水晶体嚢内にスリーブ19から押し出されてその元の形状に展開することができる(上記されたように、ループ23は超弾性ニチノールワイヤ又は他のいくつかの形状記憶材料から形成されうる)。いくつかの実施形態では、ループ23は挿入スリーブ19から押し出され、又は挿入スリーブ19は、ループ23を露出すべく(例えば図2a及び図2bにおいて見られるようなレバー45を使用して)引き戻されてもよい。他の延在方法(例えばバネ又ソレノイドを使用すること)も可能である。
【0038】
1207において、ループ23が、裂け目1051/1151に重なるように切嚢の周囲1041上に設置されうる。
【0039】
1209において、電流がループ23に印加され、ループ23が、切嚢の周囲1041と共にほぼ連続的な湾曲外形を形成すべく下部の水晶体嚢材料を通して焼くことができる(例えば図10b及び11b参照)。
【0040】
1211において、ループ23がスリーブ19内に格納され、切嚢修復装置901が眼から引き出されうる。いくつかの実施形態では、ループ23が挿入スリーブ19内に引き込まれ又は挿入スリーブ19が(例えば図2a及び図2bにおいて見られるようなレバー45を使用して)ループ23の上に押されてもよい。他の格納方法(例えばバネ又はソレノイドを使用すること)も可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、(切嚢修復装置901を含む)嚢切開装置10及び/又は嚢切開装置10のための管理システム(例えばハンドピース41及び/又はコンソール43)は一つ以上のプロセッサ(例えばプロセッサ1001)及び/又はメモリ1003を含むことができる(例えば図8参照)。プロセッサ1001は単一の演算処理装置又は複数の演算処理装置を含むことができる。斯かる演算処理装置は、マイクロプロセッサ、コントローラ(マイクロコントローラであってもよい)、デジタル・シグナル・プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央演算処理ユニット、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブル・ロジック・デバイス、ステートマシン、論理回路、制御回路、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は操作指令に基づいて(アナログ及び/又はデジタル)信号を処理する任意の装置である。プロセッサ1001に連結され且つ/又は組み込まれたメモリ1003は単一のメモリ装置又は複数のメモリ装置である。斯かるメモリ装置は、ROM、RAM、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又はデジタル情報を記憶する任意の装置である。プロセッサ1001が、ステートマシン、アナログ回路、デジタル回路、及び/又はロジック回路を介してその一つ以上の機能を実施するとき、対応する操作指令を記憶するメモリ1003が、ステートマシン、アナログ回路、デジタル回路、及び/又はロジック回路を含む回路内に又は回路の外部に組み込まれうることに留意されたい。図に関連して示され且つ説明された要素の少なくともいくつかに対応する操作指令を、メモリ1003が記憶し且つプロセッサ1001が実行することができる。
【0042】
与えられた実施形態に対して様々な修正が当業者によってなされうる。例えば、いくつかの実施形態が、嚢切開装置10と関連して上述されたが、他の熱的な外科装置を用いて使用されることもできる。本明細書を考慮し且つ本明細書において開示された本発明を実施することによって、本発明の他の実施形態が当業者にとって明らかであるだろう。本明細書及び例が単なる例示としてみなされ、本発明の真の範囲及び思想が以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示されることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気抵抗の超弾性ワイヤを具備する抵抗加熱要素であって、前記超弾性ワイヤが、第1端部及び第2端部を有し、且つ該第1端部と該第2端部との間に隙間を有するループを形成する、抵抗加熱要素と、
前記超弾性ワイヤの第1端部と第2端部とを隔てる電気絶縁材料を具備する絶縁部であって、前記第1端部及び第2端部が、前記ループと当該絶縁部との間に移行ネック部を形成すべく、互いに近接し、且つ、少なくとも部分的に、前記ループによって画成された平面から当該絶縁部へ所定の角度で延在する、絶縁部と
を具備する、切嚢修復装置であって、
前記抵抗加熱要素が、嚢切開の周囲の修復のために該嚢切開の周囲における裂け目に重なるべく構成されるように、修復されるべき前記嚢切開の周囲の長さ及び幅よりも小さい長さ及び幅を有する、切嚢修復装置。
【請求項2】
前記抵抗加熱要素が横長の楕円形状を含む、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項3】
前記抵抗加熱要素によって形成されたループの長さ及び幅が10mmよりも小さい、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項4】
前記抵抗加熱要素によって形成されたループの長さ及び幅が約3mm〜7mmの範囲内にある、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項5】
少なくとも部分的に、前記ループによって画成された前記平面から所定の角度で延在することが、前記ループによって画成された前記平面からほぼ垂直に延在することを含む、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項6】
前記絶縁部の周りに収まり、且つ前記抵抗加熱要素が格納位置にあるときに実質的に該抵抗加熱要素を包含するように構成された挿入スリーブを更に具備する、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項7】
前記絶縁部における、前記移行ネック部の一方の側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が、前記ループにおける、前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間よりも広い、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項8】
前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が約0.076mmである、請求項8に記載の切嚢修復装置。
【請求項9】
前記超弾性ワイヤのループにおける前記隙間は、前記ループが、眼の嚢に接触して定置されている間に電流が当該ループに印加されると前記眼の嚢において円形の連続的な切断部を形成することができるように十分小さい、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項10】
眼内において切嚢を修復するための方法において、
前記眼の水晶体嚢において嚢切開の周囲を形成すべく嚢切開を行うステップであって、該嚢切開によって前記嚢切開の周囲において少なくとも一つの裂け目が生じる、ステップと、
前記眼から前記嚢切開装置を引き出すステップと、
前記眼内に切嚢修復装置を挿入するステップと、
前記眼内において前記切嚢修復装置の加熱ループを前記嚢切開の周囲における前記裂け目に重ねるように定置するステップと、
前記ループに沿って前記水晶体嚢を焼くべく前記抵抗加熱要素を電気的に加熱するステップと、
前記眼から前記切嚢修復装置を引き出すステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記加熱ループが、延在した二つの側部と、狭い先端領域とを有する長円形であり、
前記裂け目が小さな裂け目であり、前記加熱ループを定置するステップが、延在した一つの側部を前記小さな裂け目に重ねるように定置することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱ループが、延在した二つの側部と、狭い先端領域とを有する長円形であり、
前記裂け目が大きな裂け目であり、前記加熱ループを定置するステップが、前記先端を前記大きな裂け目に重ねるように定置することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記切嚢修復装置が挿入スリーブを具備し、当該方法が、さらに、
前記眼内において前記挿入スリーブから前記抵抗加熱要素のループを取り出すステップと、
前記眼から前記切嚢修復装置を取り除く前に、前記挿入スリーブ内に前記抵抗加熱要素のループを格納するステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱ループが、第1端部及び第2端部を有する電気抵抗の超弾性ワイヤを具備し、該超弾性ワイヤが、ループと、前記第1端部と前記第2端部との間の隙間とを備えて形成され、前記第1端部及び第2端部が、前記ループと、前記第1端部及び第2端部を保持する絶縁部との間に移行ネック部を形成すべく、互いに近接し、且つ、少なくとも部分的に、前記ループによって画成された平面から所定の角度で延在する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも部分的に、前記ループによって画成された前記平面から所定の角度で延在することが、前記ループによって画成された前記平面からほぼ垂直に延在することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ループによって画成された前記平面から所定の角度で部分的に延在することが、前記ループによって画成された前記平面の後側に対して測定されたときに約45°で延在することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記絶縁部における、前記移行ネック部の一方の側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が、前記ループにおける、前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間よりも広い、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が少なくとも0.076mmである、請求項14に記載の方法。
【請求項1】
電気抵抗の超弾性ワイヤを具備する抵抗加熱要素であって、前記超弾性ワイヤが、第1端部及び第2端部を有し、且つ該第1端部と該第2端部との間に隙間を有するループを形成する、抵抗加熱要素と、
前記超弾性ワイヤの第1端部と第2端部とを隔てる電気絶縁材料を具備する絶縁部であって、前記第1端部及び第2端部が、前記ループと当該絶縁部との間に移行ネック部を形成すべく、互いに近接し、且つ、少なくとも部分的に、前記ループによって画成された平面から当該絶縁部へ所定の角度で延在する、絶縁部と
を具備する、切嚢修復装置であって、
前記抵抗加熱要素が、嚢切開の周囲の修復のために該嚢切開の周囲における裂け目に重なるべく構成されるように、修復されるべき前記嚢切開の周囲の長さ及び幅よりも小さい長さ及び幅を有する、切嚢修復装置。
【請求項2】
前記抵抗加熱要素が横長の楕円形状を含む、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項3】
前記抵抗加熱要素によって形成されたループの長さ及び幅が10mmよりも小さい、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項4】
前記抵抗加熱要素によって形成されたループの長さ及び幅が約3mm〜7mmの範囲内にある、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項5】
少なくとも部分的に、前記ループによって画成された前記平面から所定の角度で延在することが、前記ループによって画成された前記平面からほぼ垂直に延在することを含む、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項6】
前記絶縁部の周りに収まり、且つ前記抵抗加熱要素が格納位置にあるときに実質的に該抵抗加熱要素を包含するように構成された挿入スリーブを更に具備する、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項7】
前記絶縁部における、前記移行ネック部の一方の側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が、前記ループにおける、前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間よりも広い、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項8】
前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が約0.076mmである、請求項8に記載の切嚢修復装置。
【請求項9】
前記超弾性ワイヤのループにおける前記隙間は、前記ループが、眼の嚢に接触して定置されている間に電流が当該ループに印加されると前記眼の嚢において円形の連続的な切断部を形成することができるように十分小さい、請求項1に記載の切嚢修復装置。
【請求項10】
眼内において切嚢を修復するための方法において、
前記眼の水晶体嚢において嚢切開の周囲を形成すべく嚢切開を行うステップであって、該嚢切開によって前記嚢切開の周囲において少なくとも一つの裂け目が生じる、ステップと、
前記眼から前記嚢切開装置を引き出すステップと、
前記眼内に切嚢修復装置を挿入するステップと、
前記眼内において前記切嚢修復装置の加熱ループを前記嚢切開の周囲における前記裂け目に重ねるように定置するステップと、
前記ループに沿って前記水晶体嚢を焼くべく前記抵抗加熱要素を電気的に加熱するステップと、
前記眼から前記切嚢修復装置を引き出すステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記加熱ループが、延在した二つの側部と、狭い先端領域とを有する長円形であり、
前記裂け目が小さな裂け目であり、前記加熱ループを定置するステップが、延在した一つの側部を前記小さな裂け目に重ねるように定置することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱ループが、延在した二つの側部と、狭い先端領域とを有する長円形であり、
前記裂け目が大きな裂け目であり、前記加熱ループを定置するステップが、前記先端を前記大きな裂け目に重ねるように定置することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記切嚢修復装置が挿入スリーブを具備し、当該方法が、さらに、
前記眼内において前記挿入スリーブから前記抵抗加熱要素のループを取り出すステップと、
前記眼から前記切嚢修復装置を取り除く前に、前記挿入スリーブ内に前記抵抗加熱要素のループを格納するステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱ループが、第1端部及び第2端部を有する電気抵抗の超弾性ワイヤを具備し、該超弾性ワイヤが、ループと、前記第1端部と前記第2端部との間の隙間とを備えて形成され、前記第1端部及び第2端部が、前記ループと、前記第1端部及び第2端部を保持する絶縁部との間に移行ネック部を形成すべく、互いに近接し、且つ、少なくとも部分的に、前記ループによって画成された平面から所定の角度で延在する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも部分的に、前記ループによって画成された前記平面から所定の角度で延在することが、前記ループによって画成された前記平面からほぼ垂直に延在することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ループによって画成された前記平面から所定の角度で部分的に延在することが、前記ループによって画成された前記平面の後側に対して測定されたときに約45°で延在することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記絶縁部における、前記移行ネック部の一方の側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が、前記ループにおける、前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間よりも広い、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記移行ネック部の反対側の前記第1端部と前記第2端部との間の隙間が少なくとも0.076mmである、請求項14に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【公表番号】特表2012−528675(P2012−528675A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513955(P2012−513955)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033893
【国際公開番号】WO2010/141179
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033893
【国際公開番号】WO2010/141179
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
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