説明

切替式ケミカルループ燃焼器

【課題】1つの反応塔1だけを用い、その反応塔に酸化塔としての機能と還元塔としての機能の双方を持たせることで、全体の構成を簡素化しかつ耐久性も向上させた新しい形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aを提供する。
【解決手段】切替式ケミカルループ燃焼器Aは、1つの反応塔1と、反応塔1内に酸化剤と還元剤とを交互に切り替えて供給するガス供給手段(空気供給系統50、燃料供給系統60)と、パージガス供給系統70と、反応塔1内から排ガスを排気する排ガス排気手段(N排気系統80、CO排気系統90)とを備える。N排気系統80とCO排気系統90はそれぞれにパージガス排気管100を備える。反応塔1は内筒5を備える。制御手段は、空気と燃料ガスとを交互に内筒5内に供給するように、また、パージガスを反応塔1内に供給するように、それぞれに備えた遮断弁を切り替える。またそれに応じて、パージガス排気管100に備えた遮断弁101も切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルループ燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
流動性を持つ金属粒子が酸化剤と反応して酸化金属粒子となる酸化反応と、前記酸化金属粒子が還元剤による還元を受ける還元反応とを連続して進行させるようにした、ケミカルループ燃焼法は知られている。ケミカルループ燃焼を実際に行い、そのときに金属粒子の酸化反応によって生じる反応熱を収集して工業用に用いることも、特許文献1などに記載されている。また、ケミカルループ燃焼を実施するための装置も、例えば非特許文献1および非特許文献2等に記載されている。
【0003】
ケミカルループ燃焼では、燃料を直接空気と燃焼させる代わりに、燃焼反応を「金属粒子の酸化」と、「酸化した金属粒子の還元」という2つに分けることで、燃料(還元剤)と空気(酸化剤)の直接接触を行うことなく、金属粒子を媒体として純酸素のやり取りをしている。従来のケミカルループ燃焼装置は、非特許文献1に記載のように、酸化塔と還元塔と別個に設ける形態(外部循環式と呼ばれる)、または酸化塔の内部に還元塔を配置する形態(内部循環式と呼ばれる)であり、いずれの形態においても、酸化塔と還元塔とを物理的な金属粒子の循環で結ぶようにしている。
【0004】
ケミカルループ燃焼では、通常、酸化反応で生じる温度は800〜1200℃程度であり、主にNである排ガスは比較的低温であることからサーマルNOxはほとんど生成しない。また、還元反応系では、燃料としての炭化水素と酸化金属から供給される酸素のみが存在し、そのため、排ガス成分はほぼCOとHOだけとなる。そのために、排出される排ガスを冷却してHOを取り除けばほぼ純粋なCOを容易に収集可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−337168号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Use of NiO/NiAl2O4 Particles in a 10 kW Chemical-Looping Combustor Marcus Johansson, Tobias Mattisson, and Anders Lyngfelt Ind. Eng. Chem. Res. 2006, 45, 5911 5919(外部循環式)
【非特許文献2】Experimental results of chemical-looping combustion with NiO/NiAl2O4 particle circulation at 1200 degrees C Ishida M, Yamamoto M, Ohba T ENERGY CONVERSION AND MANAGEMENT 2002, 43,9-12,1469-1478(内部循環)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、現在、検討されているケミカルループ燃焼装置は、外部循環式と内部循環式の二つの方法があり、いずれも酸化塔と還元塔の間を媒体としての金属粒子が循環することによって酸素を運搬し、反応を継続している。しかし、金属粒子を循環させるためには、外部循環式の場合では酸化塔と還元塔を接続する管が必要であり、表面積が増えて放熱のロスが大きくなる。また、内部循環式では、酸化塔と還元塔を接続する管を省略できることで、装置の小型化が可能となるが、800〜1200℃程度の温度に長時間曝される酸化塔内部に、金属粒子とガス成分とを分離するための複雑な形状の固気分離装置を設置することが必要であり、耐久性に難がある。さらに、いずれの方式にしろ、粒子を連続的に循環させることが必要であるが、高温の粒子を安定的に循環させること、またその量を正確に把握することは難しく、装置設計上の課題となっている。
【0008】
本発明は上記の事情を踏まえてなされたものであり、1つの反応塔だけを用い、その反応塔に酸化塔としての機能と還元塔としての機能の双方を持たせることで、酸化還元反応に寄与する媒体としての金属が循環するのを不要とし、それにより、全体の構成を簡素化しかつ耐久性も向上させた新しい形態のケミカルループ燃焼器、すなわち切替式ケミカルループ燃焼器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器は、基本的に、酸化還元反応に寄与する媒体としての金属(以下、「媒体としての金属」という)が酸化剤と反応して酸化金属となる酸化反応ステージと前記酸化金属が還元剤による還元を受ける還元反応ステージとを繰り返して進行させるケミカルループ燃焼を実施するためのケミカルループ燃焼器であって、前記媒体としての金属を収容する1つの反応塔と、前記反応塔内に酸化剤と還元剤とを交互に切り替えて供給するガス供給手段と、前記反応塔内から排ガスを排気する排ガス排気手段と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0010】
上記の切替式ケミカルループ燃焼器は、1つの反応塔を備えるのみであり、反応塔内の前記媒体としての金属は、前記ガス供給手段が反応塔内に酸化剤を供給する酸化反応ステージでは、供給される酸化剤と反応して酸化金属となり、反応熱を発生する。反応後の高温のNリッチの排ガスは、排ガス排気手段によって反応塔外に排気される。次のステージ、すなわちガス供給手段が塔内に酸化剤ではなく還元剤を供給する還元反応ステージでは、反応塔内の酸化金属は還元剤による還元を受ける。反応後のCOリッチな排ガスは排ガス排気手段によって反応塔外に排気される。次のステージでは、再度、ガス供給手段は反応塔内に酸化剤を供給し、反応塔内は酸化反応ステージとなる。以下、上記の還元反応ステージと酸化反応ステージとが反覆される。
【0011】
上記のように、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器では、1つの反応塔を備えるだけで、ケミカルループ燃焼を継続して行うことが可能となる。また、従来知られた酸化塔と還元塔とを別個に備えたケミカルループ燃焼器のように、金属粒子の酸化塔と還元塔と間の循環を伴わないので、排ガスと金属粒子あるいは酸化した金属粒子とを分離する固気分離装置を反応塔内に設けることも要しない。そのために、燃焼器の構成を簡略化できるとともに、耐久性も向上する。また、装置設計も容易となる。
【0012】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の一態様において、前記媒体としての金属は、反応塔内で流動可能な粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物である。また、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の他の態様において、前記媒体としての金属は、前記反応塔に固定されたハニカム状の構造物、または前記反応塔に固定されたハニカム状をなす担体に担持された粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物である。
【0013】
前者の態様では、前記媒体としての金属である粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物は、酸化あるいは還元反応時に反応塔内で流動することができるので、前記媒体としての金属の全体に対して均一に酸化と還元が進行する。後者の態様では、前記媒体としての金属は反応塔内に固定された状態にあり、金属粒子の場合のように外部に飛散することはない。さらに、前記媒体としての金属が、ハニカム状の構造物である場合も、ハニカム状をなす担体に担持された粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物である場合も、ガスの流れは均一な方向の流れとなり、逆混合の少ない流れの中で反応が得られる。
【0014】
なお、本発明において「ハニカム状」とは、所定長さの複数個の連通孔が隙間なく同方向に配列している状態を総称しており、該連通孔の断面形状は正六角形であることが強度の点から好ましいが、これに限らない。そして、前記のように、前記媒体としての金属それ自体がハニカム状の構造物を構成していてもよく、セラミックス等からなるハニカム状の部材を担体とし、該担体の表面に、焼結のような手段によって、前記媒体としての金属である粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物を固定するようにしてもよい。
【0015】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器において、前記反応塔内で流動可能な粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物を前記媒体としての金属として用いる態様にあっては、前記反応塔内に前記媒体としての金属である粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物が循環移動することのできる内筒と該内筒内へガスを噴出するノズルとをさらに備えることは、好ましい態様である。
【0016】
この態様では、前記媒体としての金属(粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物)は前記内筒内を下部から上部に向けて移動するようになり、結果として、反応塔内で前記媒体としての金属の全体を確実に循環させることができるようになり、前記媒体としての金属の酸化反応および還元反応の進行が円滑となる。
【0017】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい形態では、前記反応塔の排ガス出口部に耐熱材料製のフィルターを備える。より好ましくは、サイクロンでは捕捉できないような直径が数μm程度の微粒子を捕捉できる形態の耐熱材料製のフィルターを備える。
【0018】
この形態の切替式ケミカルループ燃焼器では、前記耐熱材料製のフィルターが装置の系外に噴出しようとする固体粒子を捕捉することが可能となり、また、排ガス排気手段を構成する配管等に詰まりが生じる可能性を効果的に低減することができる。前記媒体としての金属が、反応塔内で流動可能な粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物である場合に、それらは外部に飛散し易くなるが、上記形態の切替式ケミカルループ燃焼器では、飛散する粒子を確実に捕捉できることから、特に有効である。
【0019】
上記耐熱材料製のフィルターを備える形態の切替式ケミカルループ燃焼器において、より好ましくは、複数個の耐熱材料製のフィルターが備えられ、そこを通過する排ガスの通過方向を交番的に変えることのできるガス流路換え手段をさらに備える。この態様では、各耐熱材料製のフィルターの逆洗が可能となり、長時間にわたりフィルターとしての効果を維持できるようになる。
【0020】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい形態では、前記反応塔内の前記媒体としての金属を予熱するための予熱用バーナを備える。予熱用バーナを備えることにより、運転開始時での前記媒体としての金属をバーナによって加熱することが可能となり、酸化あるいは還元反応が進行しやすくなる。
【0021】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器において、酸化反応により生成された熱は被加熱流体と熱交換することで系外に取り出される。被加熱流体との熱交換は前記した各排気系統で行ってもよく、反応塔内部で行ってもよく、その双方で行ってもよい。一態様において、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器は、前記反応塔内に、被加熱流体が流れる伝熱管を有する熱交換手段を備える。
【0022】
この形態の切替式ケミカルループ燃焼器では、反応塔内において、前記媒体としての金属の酸化反応で生じた熱は、伝熱管内を流れる被加熱流体と熱交換される。そのために、反応塔から排出されるNリッチ排ガスの温度が大きく上がることがなく、反応塔を通過する気体の平均温度も低くなる。その結果、空塔速度が抑えられるため、反応塔の断面積を小さくでき、結果として、切替式ケミカルループ燃焼器の小型化が可能となり、燃焼量あたりの表面積も抑えることができて、放熱のロスも小さくできる。そのために、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器をオンサイトでのボイラや工業炉などの熱源として用いることも可能となる。
【0023】
上記の切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい態様において、前記熱交換手段は、前記反応塔内に収容される前記媒体としての金属の上面から上方に離れた位置に設置される。そして、前記した予熱用バーナを備える形態であって、前記媒体としての金属として粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物を用いる態様では、前記媒体としての金属の上面と前記熱交換手段の間における前記反応塔の壁面に、前記予熱用バーナが備えられる。この態様では、予熱用バーナとして、通常の空気燃焼用バーナを使用することができ、その燃焼熱により、前記媒体としての金属を直接加熱することが可能となる。同時に、予熱用バーナからの燃焼排ガスは前記熱交換手段を加熱することもでき、熱の有効利用が可能となる。さらに、この形態では、金属粒子溜まり内に予熱用バーナを設置しないため、予熱用バーナに係る諸装置のメンテナンスが容易となる。さらに、加熱された前記媒体としての金属が反応塔内を循環することで、反応塔全体の加熱も進行する。また、予熱用バーナとして空気燃焼用バーナを用いる場合には、該バーナの空気供給口を2次空気(未燃分を2次燃焼させる空気)の投入口として利用することもできるようになる。
【0024】
前記媒体としての金属として、前記反応塔に固定されたハニカム状の構造物、または前記反応塔に固定されたハニカム状をなす担体に担持された粒子状の金属または該金属の酸化物を用いる場合には、前記予熱用バーナは、反応塔における前記ハニカム状部材の下方の領域に配置するのが好ましく、それによりハニカム状部材の予熱効率が向上する。
【0025】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の一態様では、前記酸化反応ステージと還元反応ステージとの間および還元反応ステージと酸化反応ステージとの間に不活性ガスをパージガスとして前記反応塔内に供給するパージガス供給手段をさらに備える。
【0026】
上記形態の切替式ケミカルループ燃焼器では、酸化反応ステージと還元反応ステージとの間、および還元反応ステージと酸化反応ステージとの間に、反応塔内には不活性ガスが供給される。そのために、酸化反応ステージから還元反応ステージへの切り替え時、および還元反応ステージから酸化反応ステージへの切り替え時に、反応塔内で酸化剤と還元剤とが混合するのを確実に回避することができる。それにより、反応塔内で酸化剤と還元剤とが直接接触して燃焼が生じるのを阻止することができ、ケミカルループ燃焼の燃焼効率が向上する。
【0027】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器において、反応塔と排ガス排気手段とを1本の排ガス排気管により接続する形態であってもよい。しかし、この形態では、酸化反応ステージに生じるNリッチ排ガス、パージガス供給ステージに生じるパージガスを含む排ガス、および還元反応ステージに生じるCOリッチ排ガスを、それぞれ分離回収することは容易でない。
【0028】
従って、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい形態では、前記排ガス排気手段は分離した3つの排気系統、すなわち、前記反応塔内での酸化反応ステージに生じるNリッチ排ガスを排気するN排気系統と、前記反応塔内での還元反応ステージに生じるCOリッチ排ガスを排気するCO排気系統と、前記反応塔内にパージガスが供給されているときに生じるパージガスを含む排ガスを排気するパージガス排気系統との3本の排気系統を備えることを特徴とする。そして、各排気系統には遮断弁が備えられ、制御手段は、いずれか1の排気系統に備えた遮断弁が「開」のときは、他の2つの排気系統に備えた遮断弁は「閉」となるように開閉制御する。上記形態の切替式ケミカルループ燃焼器では、各ステージで生じる異なる成分からなる排ガスを、確実に分離して回収できるようになる。
【0029】
また、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい形態では、前記ガス供給手段は、前記反応塔内に酸化剤を供給する酸化剤供給系統と前記反応塔内に還元剤を供給する還元剤供給系統とを備え、前記パージガス供給手段は前記反応塔内にパージガスを供給するパージガス供給系統を備える。そして、各供給系統には遮断弁が備えられ、制御手段は、いずれか1の供給系統に備えた遮断弁が「開」のときは、他の2つの供給系統に備えた遮断弁は「閉」となるように開閉制御する。また。各供給系統はそれぞれの供給配管を通して、反応塔内に、酸化剤、還元剤、パージガスを供給する。この形態では、反応塔への酸化剤、用いる場合でのパージガス、還元剤のそれぞれの供給を、互いに混合させることなく、確実に分離した状態で行うことができる。それにより、燃焼効率が向上する。
【0030】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい形態では、還元反応ステージで生じるCOリッチ排ガスを還元剤供給系統に戻す配管系をさらに備える。ケミカルループ燃焼では、還元剤の供給量は酸化剤の供給量に比べて流量が少ないため、前記媒体としての金属が前記反応塔内で流動可能な粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物である場合に、それを十分に流動化させられない可能性がある。上記形態の切替式ケミカルループ燃焼器では、COリッチ排ガスに含まれるCO、HOを還元剤供給系統に再循環させることで、反応塔に投入する気体の流量を増やし、粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物の流動状態をよくすることができる。また、再循環させた水蒸気は、還元剤による還元反応を促進させる。さらに、COリッチ排ガスの再循環量を調整することで、還元剤の投入量を変えずに、流動化の状態を調整することもできる。
【0031】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい形態では、酸化反応ステージで生じるNリッチ排ガスに含まれるNガスを酸化剤供給系統に戻す配管系をさらに備える。上記形態の切替式ケミカルループ燃焼器では、供給する酸化剤流量を小さくしたい場合でも、Nリッチ排ガスを再循環させることにより、反応塔への見かけの流量を増やすことができる。そのために、外部からの酸化剤投入量が小さくても、反応塔へ投入気体の流量を任意に変えることができる。
【0032】
本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の好ましい形態では、Nリッチ排ガスに含まれるNガスおよびCOリッチ排ガスに含まれるCOガスを前記パージガス供給手段に供給する配管系をさらに備える。反応塔内での酸化反応ステージおよび還元反応ステージで生じる排ガスには高濃度のCOガスまたはNガスが不活性ガスとして含まれるが、上記の形態の切替式ケミカルループ燃焼器ではその不活性ガスをパージガスとして用いることができ、パージガスの自給が可能なことから、運転コストの低減を図ることができる。
【0033】
なお、本発明において、酸化剤としては、空気、酸素リッチ空気、低窒素空気などを用いることができる。還元剤としては、天然ガス、石油、石炭、水素、一酸化炭素、副生ガスなどが利用できる。また、上記の説明からわかるように、前記媒体としての金属は、酸化剤と反応して酸化金属となりうる能力を備えた金属であればよく、金属そのものばかりでなく、さらに酸化する能力を備えた当該金属の酸化物も含まれる。前記媒体としての金属には、Ni、Cu、Co、Feあるいはそれらの酸化物を例示できる。Feを例に取れば、その酸化物であるFeO、Feも、依然としてさらに酸化物となり得る能力を備えているので、本発明でいう「媒体としての金属」に含まれる。
【0034】
したがって、酸化還元の態様としては、例えば前記媒体としての金属がFeの場合、Fe→FeO→Fe→Feのように段階的に酸化が進行するときのいずれの段階の酸化反応も本発明でいう酸化反応ステージに含まれ、また、Fe→Fe→FeO→Feのように段階的に還元が進行するときのいずれの段階の還元反応も発明でいう還元反応ステージに含まれる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、全体の構成を小型かつ簡素化しながら耐久性も向上させた新しい形態の切替式ケミカルループ燃焼器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第1の形態を付設する配管系とともに示す図。
【図2】本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第2の形態を付設する配管系とともに示す図。
【図3】本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第3の形態を付設する配管系とともに示す図。
【図4】本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第4の形態を付設する配管系とともに示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器のいくつかの形態を説明する。
【0038】
[第1の形態]
図1は、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第1の形態を付設する配管系とともに示している。第1の形態は、酸化還元反応に寄与する媒体としての金属として、反応塔内で流動可能な粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物(以下では単に金属粒子という)を用いる形態であり、かつ内筒5を有する形態である。
【0039】
図示の切替式ケミカルループ燃焼装置Aは、1つの反応塔1を備える。反応塔1は鋼板と耐火煉瓦の積層体のような耐熱材料で作られる。反応塔1は、好ましくは円筒体であり、この例において、上端は開放しており、下端側は底板3により閉鎖されている。反応塔1の底板3から少し上方に離れた位置には、耐熱材からなる多孔性の分散板4が設置されている。また、図示しないが、反応塔1の周側壁には、金属粒子が酸化反応を開始する温度近くまで反応塔内を予熱するための電気ヒータ等の適宜の予熱手段が備えられている。
【0040】
反応塔1内には、ステンレス鋼などの耐熱材からなる内筒5が、反応塔1と共通の中心軸線を持つようにして収容されている。内筒5は、その下端と前記分散板4との間に隙間6が形成されるようにして、適宜の留め具7により反応塔1内に固定されている。前記した底板3と分散板4とを貫通してノズル8が取り付けてあり、該ノズル8の先端は、固定された内筒5の下端側の内部に開放している。また、前記底板3と分散板4との間の空間には、ガス供給管9が取り付けてあり、前記分散板4の直上における反応塔1の側壁には、適宜の開閉手段を備えた金属粒子取り出し口10が設けてある。
【0041】
前記反応塔1の上端には第1の筒体20がフランジ接合されている。第1の筒体20は反応塔1と同じ材料で作られるとともに、切替式ケミカルループ燃焼器Aにおける反応塔の一部を構成する。第1の筒体20には、その側壁に貫通するようにして予熱用バーナ21が取り付けてある。この例において、予熱用バーナ21は空気燃焼用バーナであり、燃焼ガス供給ノズル22と空気ノズル23とを備える。さらに、第1の筒体20には、検知部が前記反応塔1に達するようにして、測温計24が取り付けられている。
【0042】
前記第1の筒体20の上端には、第2の筒体30がフランジ接合されている。第2の筒体30は反応塔1と同じ材料で作られるとともに、切替式ケミカルループ燃焼器Aにおける反応塔の一部を構成する。第2の筒体30内には、その全長にわたるようにして、被加熱流体(例えば水)が流れる多数本の伝熱管31を備えた熱交換手段32が取り付けてあり、熱交換手段32の下端部には被加熱流体の流入口33が、上端部には流出口34が取り付けてある。
【0043】
前記第2の筒体30の上端には、反応塔内の空間を密封できる材料からなる閉鎖部材40が、その開放している下端側が前記第2の筒体30に連通するようにしてフランジ接合されている。閉鎖部材40内には、その水平断面全体に亘るようにして適数の(この例では3つの)セラミックス製のフィルター41a、41b、41cが備えられており、各フィルターの上方はそれぞれに区画された室42a、42b、42cとされている。また、閉鎖部材40内のフィルター41a、41b、41cより下方の空間には排ガス温度確認用のセンサー40aが取り付けてある。なお、フィルターは、例えばニッケルステンレス合金やクロムステンレス合金のような耐熱材料で作ることもできる。
【0044】
次に、切替式ケミカルループ燃焼装置Aに付設する配管系について説明する。前記したノズル8には、配管51を介して空気供給系統50と、配管61を介して燃料供給系統60が接続している。空気供給系統50は、ブロワ53、遮断弁54、流量計55、調圧弁56および逆止弁57等から構成され、酸化剤として機能する調圧されかつ定量された空気(酸化剤の一例であってこれに限らない)が配管51およびノズル8を通して、前記した内筒5内に供給される。燃料供給系統60は、遮断弁64、流量計65、調圧弁66および逆止弁67等から構成され、還元剤として機能する調圧されかつ定量された都市ガス等の燃料ガス(還元剤の一例であってこれに限らない)が配管61およびノズル8を通して、前記した内筒5内に供給される。
【0045】
空気供給系統50は本発明でいう「酸化剤供給系統」に相当する。燃料供給系統60は反応塔1に還元剤を供給するためのものであり、本発明でいう「還元剤供給系統」に相当する。還元剤としては、メタンガスのような材料が燃料ガスとして供給されるのが普通であることから「燃料供給系統60」という。そして、前記「酸化剤供給系統」と「還元剤供給系統」が本発明でいう「ガス供給手段」を構成する。
【0046】
前記したガス供給管9には、配管71を介してパージガス供給系統70が接続している。パージガス供給系統70は反応塔1内に不活性ガスをパージガスとして供給するためのものであり、本発明でいう「パージガス供給手段」を構成する。パージガス供給系統70は、パージガスタンク73、遮断弁74、流量計75、調圧弁76および逆止弁77等から構成され、パージガスタンク73内に貯蔵されたCO、N等の不活性ガスが配管71およびガス供給管9を通して反応塔1内に供給される。
【0047】
前記した閉鎖部材40の室42a、42b、42cの天板からは配管43a、43b、43cが延出しており、各配管43a、43b、43cには、第1入側ポートと出側ポートが接続するようにして、3方弁44a、44b、44cが介装されている。各3方弁44a、44b、44cの出側ポートはインバータ付きのブロワ45の吸い込み口に接続しており、該ブロワ45の噴き出し側の配管46からの分岐管47は各3方弁44a、44b、44cの第2入り側ポートに接続している。そのために、図示しない制御装置によって各3方弁44a、44b、44cを適宜制御することにより、例えば図1に示すように、2つのフィルター41a、41bを通過した排ガスを、2つの3方弁44a、44bの第1入側ポートおよび出側ポートを通してブロワ45によって吸引し、残りのフィルター41cには、ブロワ45から吹き出される排ガスの一部を前記分岐管47を通して3方弁44cの第2入側ポートに導入して第1入り側ポートから排気するようにセットすることにより、当該フィルター41cを逆洗するような処理が可能となる。これにより、フィルターが目詰まりするのを回避することができる。もちろん、3つのフィルター41a、41b、41cの通過するすべての排ガスをブロワ45によって吸引する操作も当然に可能である。なお、ブロワ45の噴き出し側の配管46には酸素や窒素や炭酸ガスの濃度を検出するガスセンサー48が取り付けられている。
【0048】
ブロワ45の噴き出し側の配管46における前記分岐管47よりも下流には、N排気系統80が接続しており、また、それと平行にCO排気系統90が接続している。そして、前記N排気系統80およびCO排気系統90のそれぞれからはパージガス排気管100が分岐している。N排気系統80、CO排気系統90、およびパージガス排気管100が本発明でいう「排ガス排気手段」を構成する。
【0049】
排気系統80は、この例では、遮断弁81、熱交換器82、排ガスセンサー83、調圧弁84、逆止弁85、N用タンク86を、上流側から下流側にこの順に備えている。CO排気系統90も同様に、この例では、遮断弁91、熱交換器92、排ガスセンサー93、調圧弁94、逆止弁95、CO用タンク96を、上流側から下流側にこの順に備えている。パージガス排気管100には、遮断弁101が取り付けてある。
【0050】
図示の切替式ケミカルループ燃焼器Aにおいて、ブロワ45の噴き出し側の配管46は、遮断弁110、調圧弁111、逆止弁112を介して、燃料供給系統60の配管61にも接続している。さらに、前記した熱交換手段32の被加熱流体の流出口34からの配管120からの分岐管121も、遮断弁122、調圧弁123、逆止弁124を介して、燃料供給系統60の配管61に接続している。
【0051】
排気系統80に配置した前記N用タンク86には配管87が取り付けられており、該配管87は遮断弁88、逆止弁89を介して、パージガス供給系統70の配管71に接続している。また、配管87の分岐管87aは、空気供給系統50の配管51にも接続している。また、前記N用タンク86には、遮断弁を介してN取り出し用配管も接続している。
【0052】
CO排気系統90に配置した前記CO用タンク96にも配管97が取り付けられており、該配管97の出側は、遮断弁98、逆止弁99を介して、前記した配管87に接続している。また、前記CO用タンク96には、遮断弁を介してCO取り出し用配管も接続している。
【0053】
上記の切替式ケミカルループ燃焼器Aにおいて、前記熱交換手段32の下端部に設けた被加熱流体の流入口33には、給水配管130を介して例えば水である被加熱流体が供給される。該給水配管130は、N排気系統80に設けた熱交換器82、CO排気系統90に設けた熱交換器92、および前記した閉鎖部材40の室42a、42b、42cの天板から延出する排ガス配管である配管43a、43b、43cに設けた熱交換器49を通るようにして設けてあり、それらの熱交換器と熱交換することで次第に昇温する。昇温した被加熱流体は、熱交換器32の伝熱管31内を流れることで、反応塔1からの排ガスとさらに熱交換してさらに昇温し、前記した流出口34から配管120を介して、図示しない外部熱負荷の蒸気ヘッダーに送られる。そこで熱交換した後の被加熱流体は再度給水配管130に戻される。また、前記した熱交換器82、92において、熱交換の結果として生成された水は、配管131を通して給水タンク等へ戻される。
【0054】
上記した切替式ケミカルループ燃焼器Aの作動を説明する。事前に、反応塔1の内に、金属粒子Mを、前記した内筒5の上端を超えた位置まで充填する。金属粒子Mの好ましいものとしては、Ni、Cu、Co、Feあるいはそれらの酸化物を例示できる。充填後、前記した予熱用バーナ21を着火して、また図示しないは電気ヒータ等の予熱手段により反応塔1内を予熱して、金属粒子Mを酸化反応を開始できる温度近くまで加熱する。
【0055】
図示しない制御手段は、ガス供給手段における燃料供給系統60に設けた遮断弁64、およびパージガス供給系統70に設けた遮断弁74を閉じ、空気供給系統50の遮断弁54を開とする。また、排ガス排気手段におけるCO排気系統90に設けた遮断弁91を閉じ、N排気系統80に設けた遮断弁81を開とする。N排気系統80におけるパージガス排気管100に設けた遮断弁101は閉じておく。そして、空気供給系統50に設けたブロワ53を稼働し、所定量の空気(環境温度の空気であってよい)をノズル8に送給する。送給された空気はノズル8から前記した内筒5内を上昇する。その上昇によって、反応塔1内に収容した金属粒子Mは、内筒5内を上昇し、内筒5の上端から反応塔1内に噴出し、反応塔1内を降下し、再び内筒5内に流入する循環移動を繰り返す。すなわち、金属粒子Mは内筒5と反応塔1との間で循環するようになる。その作業と並行して、給水配管130内に被加熱流体を送り込む。
【0056】
内筒5内に供給された空気中の酸素が酸化剤として機能することで、内筒5内では酸化反応ステージが始まり、内筒5内の金属粒子Mは酸化金属粒子MOとなる。その際に酸化反応による反応熱が発生し、その熱によって昇温した高温の排ガスは、熱交換器32を通過する。そのときに、熱交換器32の伝熱管31内を流れる被加熱流体を加熱する。酸化反応に寄与した後の高温の排ガスは、次いで、閉鎖部材40の室42a、42b、42cに設けたフィルター41a、41b、41cを通過し、ブロワ45によって、その噴き出し側の配管46に送られる。フィルター41a、41b、41cを通過することで排ガス中に含まれる金属粒子等の固形分は直径が数μm程度の微粒子まで捕捉され、排出される排ガスは固形分を含まないものとなる。
【0057】
次いで、排ガスは配管46から、N排気系統80内を通過する。Oが酸化反応により除去された排ガスの主成分は高濃度のNガスであるが、Oが残存している場合もあるので、排ガスセンサー83を通過させることで成分分析が行われる。その後、排ガスは、熱交換器82内を通過することで、給水配管130内を流れる被加熱流体との熱交換を行うと共に、水蒸気を凝縮して水として分離する。熱交換後の排ガスは、N用タンク86内に送られて高濃度のNガスとして貯留される。反応熱と熱交換することで昇温した被加熱流体は前記のように適宜の蒸気ヘッダーに送られ、例えばオンサイトでのボイラや工業炉などの熱源として用いられる。
【0058】
内筒5内への空気の供給を継続することで、金属粒子Mの酸化反応は連続して進行する。酸化反応ステージを所定時間にわたって継続した後、制御手段は、空気供給系統50の遮断弁54を閉じ、パージガス供給系統70に設けた遮断弁74を開く。その時点では、燃料供給系統60に設けた遮断弁64は閉じたままにおく。それにより、反応塔1内には、空気に代えて、パージガスタンク73に貯留された不活性ガス(好ましくはNガス)がパージガスとして送給される。そのときに、排ガス排気手段におけるN排気系統80に設けたパージガス排気管100に取り付けた遮断弁101を開くようにする。
【0059】
パージガスの送給により、反応塔1内に残存している前記酸化反応ステージで生成された高濃度のNを含む排ガス(前記したようにOを含む場合がある)はパージガスとともに反応塔1から配管46に向けて排出され、排ガスセンサー48あるいは83を通過することで成分分析が行われた後、N排気系統80に設けたパージガス排気管100から系外に排出される。
【0060】
排ガスセンサー83が酸化反応ステージで生成された排ガス中のOを検知しなくなった後に、制御手段は、ガス供給手段におけるパージガス供給系統70に設けた遮断弁74を閉じ、燃料供給系統60に設けた遮断弁64を開く。空気供給系統50の遮断弁54は閉じたままにおく。また、CO排気系統90に設けた遮断弁91を開くとともに、そこに設けたパージガス排気管100の遮断弁101は閉じておく。N排気系統80に設けた遮断弁81は閉じる。
【0061】
それにより、反応塔1内に収容された内筒5には、パージガスに代えて、還元剤として機能するメタン等の燃料ガスが送給される。送給された燃料ガスはノズル8から前記した内筒5内を上昇する。その上昇によって、反応塔1内に収容された酸化金属粒子MOは、酸化反応ステージにおける金属粒子Mの場合と同様に、内筒5内を上昇し、内筒5の上端から反応塔1内に噴出し、反応塔1内を降下し、再び内筒5内に流入する移動を繰り返す。すなわち、酸化金属粒子MOは内筒5と反応塔1との間で循環するようになる。その過程で、供給される燃料ガスと酸化金属粒子MOとが還元反応する還元反応ステージが進行し、酸化金属粒子MOを金属粒子Mに戻す(還元する)。なお、この段階では、前記パージガスの供給により、反応塔1内にOは存在しない状態となっており、燃料ガスが空気と直接燃焼するのは回避される。
【0062】
還元反応に寄与した後の排ガスは高濃度のCOガスとHO(水蒸気)であり、排ガスは前記配管46からCO排気系統90内を通過する。すなわち、排ガスは、フィルター41a、41b、41cを通過することで排ガス中に含まれる固形分は除去された後、排ガスセンサー48、93を通過することで成分分析が行われる。さらに、排ガスは、熱交換器92内を通過することで、給水配管130内を流れる被加熱流体との熱交換を行うと共に、水蒸気を凝縮して水として分離する。分離後の高濃度のCOガスとされた排ガスはCO用タンク96内に送られて貯留される。
【0063】
排ガスセンサー93からの情報により、酸化金属粒子MOの金属粒子Mへの還元がほぼ終了したことを検知したときに(酸化金属粒子MOの金属粒子Mへの還元がほぼ終了したかどうかは、排ガス中に含まれる例えばメタンである還元剤の量を測定することで知ることができる)、制御手段は、ガス供給手段における燃料供給系統60に設けた遮断弁64を閉じ、パージガス供給系統70に設けた遮断弁74を再び開く。空気供給系統50の遮断弁34は閉じたままにおく。また、CO排気系統90に設けたパージガス排気管100の遮断弁101を開く。
【0064】
それにより、反応塔1内には、燃料ガスに代えて、パージガスタンク73に貯留された不活性ガス(好ましくはCOガス)がパージガスとして送給される。パージガスの送給により、反応塔1内に残存しているメタン等の燃料ガスはパージガスとともに反応塔1から配管46に向けて排出され、排ガスセンサー48あるいは93を通過することで成分分析が行われた後、CO排気系統90に設けたパージガス排気管100から大気に放出される。
【0065】
排ガスセンサー93がメタン等である還元剤を検知しなくなった後に、制御手段は、ガス供給手段におけるパージガス供給系統70に設けた遮断弁74を閉じ、空気供給系統50の遮断弁54を開く。燃料供給系統60に設けた遮断弁64は閉じたままにおく。また、CO排気系統90に設けた遮断弁91を閉じ、N排気系統80に設けた遮断弁81を開く。N排気系統80に取り付けたパージガス排気管100に設けた遮断弁101は閉とする。この状態は、前記した酸化反応ステージ開始のときと同じ状態であり、以下、酸化反応ステージ、パージガス供給、還元反応ステージ、パージガス供給とを繰り返し進行させることで、ケミカルループ燃焼が1つの反応塔1内で継続する。
【0066】
上記した配管系を持つ切替式ケミカルループ燃焼器Aでは、熱交換手段32の流出口34から流出する被加熱流体の一部を、配管121、遮断弁122、調圧弁123、逆止弁124を介して、選択的に、燃料供給系統60の配管61内に供給できるようになっている。これにより、燃料ガス中の還元剤と酸化金属粒子MOとの間の還元反応を促進させることができ、Feのような比較して安価な金属を、ケミカルループ燃焼に有効な金属粒子として用いることが可能となる。さらに、メタンなどの反応性が遅い炭化水素を含む都市ガスを高い反応性を持つ還元剤として有効に用いることもできるようになる。
【0067】
さらに、図示の切替式ケミカルループ燃焼器Aでは、配管46を流れる排ガスの一部を、遮断弁110、調圧弁111、逆止弁112を介して、選択的に、燃料供給系統60の配管61内に供給できるようになっている。ケミカルループ燃焼では、一般に、還元剤である燃料ガスの供給量は酸化剤である空気の供給量に比べて流量が少ないので、還元反応ステージにおいて、酸化金属粒子MOを十分に流動化させられない可能性があるが、上記の切替式ケミカルループ燃焼器Aでは、排ガス(すなわち、CO、HO)を燃料供給系統60の配管61を通して再循環させることで、反応塔1に投入する気体の流量を増やし、粒子の流動状態を改善することができる。また、再循環量を調整することで、燃料ガスの投入量を変えずに、流動化の状態を調整することもできる。
【0068】
また、上記した配管系を持つ切替式ケミカルループ燃焼器Aでは、N排気系統80に配置したN用タンク86には、貯留したNを外部に取り出す配管とともに、貯留したNの一部を、配管87を介してパージガス供給系統70と反応塔1とを接続する配管71内に選択的に供給できるようになっている。さらに、分岐配管87aを介して、貯留したNの一部を空気供給系統50と反応塔1に取り付けたノズル8とを接続する配管51内に選択的に供給できるようになっている。
【0069】
さらに、CO排気系統90に設けたタンク96にも、貯留したCOを外部に取り出す配管とともに、配管97を介して、貯留したCOの一部をパージガス供給系統70と反応塔1とを接続する配管71内に選択的に供給できるようになっている。
【0070】
前記したように、N排気系統80を流れるNガスを反応塔1(内筒5)内に供給する空気に添加することで、供給する空気流量を小さくしたい場合でも、反応塔1(内筒5)への見かけの流量を増やすことができ、外部からの空気投入量が小さくても、反応塔1(内筒5)へ投入気体の流量を任意に変えることが可能となる。さらに、N排気系統80を流れるNガスおよびCO排気系統90を流れるCOガスをパージガス用の配管71内に供給することで、パージガスとしての不活性ガスの供給を自給することが可能となり、外部からの不活性ガスの供給を無くすことも可能となる。
【0071】
なお、上記した切替式ケミカルループ燃焼器Aの運転に際して、CO排気系統90からCOガスをなるべく高濃度で取り出すために、燃料ガスを供給している時間(燃料ガスの供給開始から終了まで)の内、CO濃度が高濃度になる時間だけCO排気系統90から排気を行うように、CO排気系統90に設けた遮断弁91の開タイミングを遅らせる運転方法、また、N排気系統80からNガスをなるべく高濃度に取り出すため、空気を供給している時間(空気供給開始から終了まで)の内、N濃度が高濃度になる時間だけN排気系統80から排気を行うように、N排気系統80に設けた遮断弁81の開タイミングを遅らせる運転方法、を採用することもできる。
【0072】
なお、このような運転方法を採用するときには、酸化反応ステージでありながらN排気系統80に設けた遮断弁81を閉じている間は、CO排気系統90に設けた遮断弁91およびそこに設けたパージガス排気管100に取り付けた遮断弁101を開とすることで、また、還元反応ステージでありながらCO排気系統90に設けた遮断弁91を閉じている間は、N排気系統80に設けた遮断弁81およびそこにも受けたパージガス排気管100に取り付けた遮断弁101を開とすることで、ケミカルループ燃焼を継続して行うことが可能となる。
【0073】
上記の切替式ケミカルループ燃焼器Aにおいて、継続して運転を行うことにより、セラミックス製のフィルター41a、41b、41cに目詰まりが生じることが起こり得る。その際には、前記したように、制御装置によって各3方弁44a、44b、44cの開閉を適宜制御して、目詰まりしたフィルター41a、41b、41における排ガスの流れ方向を逆転させることで、自動的に目詰まりを解消することができる。
【0074】
[第2の形態]
図2は、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第2の形態を付設する配管系とともに示している。第2の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Bは、図1に示した第1の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aとは、その内筒5およびノズル8を備えない点で相違している。配管系は、一部を除き第1の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aの場合と同じであり、同じ符号を付すことで、同じ部分についての説明は省略する。
【0075】
第2の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Bでは、内筒5を備えないことから、反応塔1内への酸化剤ガス(空気)、還元剤ガス(燃料ガス)、パージガス(N、CO)の供給は、すべて、反応塔1の底板3と分散板4との間の空間に出口部を持つ前記したガス供給管9を介して行われる。すなわち、第2の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Bでは、ガス供給管9に接続する配管9aに対して、前記燃料供給系統60の出口側配管61、パージガス供給系統70における出口側配管71、および空気供給系統50の出口側配管51が接続している。なお、各ガスの供給開始および供給停止のタイミング等は、第1の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aの場合と同じである。
【0076】
[第3の形態]
図3は、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第3の形態を付設する配管系とともに示している。第3の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Cは、第1の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aとは、閉鎖部材40内にセラミックス製のフィルター41a、41b、41cが備えられてなく、したがって、3方弁44a、44b、44c等も備えない点で相違している。配管系は、前記3方弁44a、44b、44c等に係る配管部分を除き第1の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aの場合と同じであり、同じ符号を付すことで、同じ部分についての説明は省略する。
【0077】
第3の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Cでは、閉鎖部材40は単に反応塔の上方端を閉鎖するだけのものであり、その天面から一本の配管43だけが延出しており、該配管43の他端は固気分離型サイクロン140の入口側に接続している。そして、固気分離型サイクロン140の排気側が前記したブロワ45の吸い込み口に接続している。第3の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Cでは、セラミックス製のフィルター41を有しないことから、反応塔から排出される排ガス中に金属粒子Mあるいは酸化金属粒子MO等の固形物が含まれる恐れがある。しかし、含まれる固形物は固気分離型サイクロン140によって除去されるので、配管に詰まりが生じることは回避できる。
【0078】
[第4の形態]
図4は、本発明による切替式ケミカルループ燃焼器の第4の形態を付設する配管系とともに示している。第4の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Dは、酸化還元反応に寄与する媒体としての金属Mが、反応塔1内で流動可能な粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物ではなく、ハニカム状をなす担体に担持された粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物(以下、媒体金属粒子という)である点で、上記した切替式ケミカルループ燃焼器A〜Cの場合と相違している。
【0079】
担体となるハニカム状の構造物は、前記媒体金属粒子を担持できかつ耐熱性と所要の機械的強度を備えた材料であれば任意の材料で作ることができる。好適な材料としては、アルミナ(Al)や炭化珪素(SiC)などのセラミックスが挙げられる。これらの材料を、所定長さの複数個の連通孔が隙間なく同方向に配列するように押し出し成形し、それを焼成することで得ることができる。各連通孔の口径は、小さい方が全体の表面積(反応面積)が大きくなり好ましいが、反面、圧損が大きくなる不都合がある。切替式ケミカルループ燃焼器Dの設計出力にもよるが、600〜1200cpsi(1インチ角当たりのセル数)程度が好適である。
【0080】
このようにハニカム状の構造物の例としては、自動車の排ガス処理に用いられている三元触媒用のハニカム状の構造物を挙げることができる。前記ハニカム状の構造物に媒体金属粒子を担持させる手法も従来知られた担持手法で行えばよく、例えば、目的の媒体金属粒子が含まれる溶液にハニカム状の構造物を浸して、媒体金属粒子を溶液と一緒に付着させ、その後、乾燥させた後に、焼成することで担持させることができる。
【0081】
切替式ケミカルループ燃焼器Dでは、そのようにして製造した媒体金属粒子を担持したハニカム状の構造物150が反応塔1内に固定状態で配置される。図4に示す例では、反応塔1の水平断面をカバーできる平面積を持つ平板状の前記ハニカム状の構造物150が所要段数だけ積層されることで、「媒体としての金属M」が形成されている。なお、前記ハニカム状の構造物150多段に積層するときに、それぞれの連通孔がガスの流れ方向に連続した状態となるように配置することは必要である。
【0082】
より詳細には、第4の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Dでは、反応塔1内への酸化剤ガス(空気)、還元剤ガス(燃料ガス)、パージガス(N、CO)の供給は、すべて、図2に示した第2の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Bと同様に、反応塔1の底板3と分散板4との間の空間に出口部を持つガス供給管9を介して行われる。そして、反応塔1内における前記分散板4から一定距離離れた上方位置に、前記したハニカム状の構造物150からなる媒体としての金属Mが固定される。また、前記分散板4と前記ハニカム状の構造物150からなる媒体としての金属Mの下端部との間における反応塔1の周壁には、前記したと同じ予熱用バーナ21が取り付けられる。
【0083】
また、第4の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Dでは、媒体としての金属として、反応塔1内で流動する粒子状の金属を用いないので、金属粒子が反応塔内に飛散することはない。そのために、図示のように、閉鎖部材40は、図3に示した第3の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Cの場合のように、単に反応塔の上方端を閉鎖する機能を備えた部材であってよく、第1の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aあるいは第2の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Bのように、セラミックス製のフィルター41を用いることを要しない。そして、閉鎖部材40の天面から一本の配管43を延出させ、それをブロワ45の吸い込み口に接続するだけでよい。そのために、構成も簡素化される。もちろん、図示のように、前記配管43の排気端を固気分離型サイクロン140に接続し、固気分離型サイクロン140の排気側が前記ブロワ45の吸い込み口に接続させることで、配管に詰まりが生じるのを一層確実に回避することができる。
【0084】
切替式ケミカルループ燃焼器Dの運転態様、各ガスの供給開始および供給停止のタイミング等は、第1の形態の切替式ケミカルループ燃焼器Aの場合と実質的に同じであり、同じ符号を付すことで、同じ部分についての説明は省略する。切替式ケミカルループ燃焼器Dでは、媒体金属粒子を担持したハニカム状の構造物150に形成されている貫通孔内を、ガス供給管9から供給される酸化剤ガス(空気)が通過するときに、そこに担持されている媒体金属粒子の酸化反応が進行し、還元剤ガス(燃料ガス)が通過するときに、酸化した媒体金属粒子の還元反応が進行する。また、パージガス(N、CO)が通過するときに、貫通孔内に残存する酸化剤ガスあるいは還元剤ガスのパージが進行する。それにより、反応塔1内で流動する粒子状の金属を媒体としての金属とて用いる場合と同様に、ケミカルループ燃焼を連続的に進行させることができる。
【0085】
[第5の形態]
図示しないが、切替式ケミカルループ燃焼器Dの変形例として、「媒体としての金属」として、前記した反応塔内で流動可能な粒子状の金属と同種の金属または金属酸化物によって、ハニカム状の構造物を作り、それを前記した切替式ケミカルループ燃焼器Dにおける媒体金属収支を担持したハニカム状をなす担体の代わりに、反応塔1内に固定した形態も存在する。この場合でも、切替式ケミカルループ燃焼器Dと同様にして、切替式ケミカルループ燃焼器としての所期の目的を達成することができることは説明を要しない。
【0086】
[第6の形態]
図示しないが、図2に示した切替式ケミカルループ燃焼器Bの変形例として、セラミックス製のフィルター41とを備えない形態も挙げることができる。この形態であっても、所期の目的が達成可能であることは説明を要しない。
【0087】
[第7の形態]
図示しないが、切替式ケミカルループ燃焼器A〜Cの変形例として、熱交換器32を反応塔1の金属粒子が存在しない上方空間に位置させる形態ではなく、非加熱流体の通過する伝熱管を金属粒子が存在する反応塔1内に配置するようにしてもよい。この態様でも、切替式ケミカルループ燃焼器としての所期の目的を達成することが可能であることは説明を要しない。
【0088】
[第8の形態]
図示しないが、上記したすべての形態の切替式ケミカルループ燃焼器において、前記したパージガス供給手段を省略することもできる。その場合、燃焼効率の低下、排ガスからのCOガス、Nガスの分離回収効率の低下が起こるのは避けられないが、装置として簡素化できる利点がある。
【符号の説明】
【0089】
A〜D…切替式ケミカルループ燃焼器、
1…反応塔、
5…内筒、
8…ノズル、
9…ガス供給管、
10…金属粒子取り出し口、
21…予熱用バーナ、
31…伝熱管、
32…熱交換手段、
33…被加熱流体の流入口、
34…被加熱流体の流出口、
40…閉鎖部材、
41…セラミックス製のフィルター、
44…3方弁、
45…ブロワ、
50…空気供給系統、
60…燃料供給系統、
70…パージガス供給系統、
80…N排気系統、
86…N用タンク、
90…CO排気系統、
96…CO用タンク、
100…パージガス排気管、
130…給水配管、
150…粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物を担持したハニカム状をなす担体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元反応に寄与する媒体としての金属が酸化剤と反応して酸化金属となる酸化反応ステージと前記酸化金属が還元剤による還元を受ける還元反応ステージとを繰り返して進行させるケミカルループ燃焼を実施するためのケミカルループ燃焼器であって、
前記媒体としての金属を収容する1つの反応塔と、
前記反応塔内に酸化剤と還元剤とを交互に切り替えて供給するガス供給手段と、
前記反応塔内から排ガスを排気する排ガス排気手段と、
を少なくとも備えることを特徴とする切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項2】
前記媒体としての金属は、前記反応塔内で流動可能な粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項3】
前記反応塔内に前記媒体としての金属である粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物が循環移動することのできる内筒と該内筒内へガスを噴出するノズルとをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項4】
前記媒体としての金属は、前記反応塔に固定されたハニカム状の構造物、または前記反応塔に固定されたハニカム状をなす担体に担持された粒子状の金属または該粒子状の金属の酸化物であることを特徴とする請求項3に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項5】
前記反応塔の排ガス出口部に耐熱材料製のフィルターを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項6】
前記反応塔内の前記媒体としての金属を予熱するための予熱用バーナを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項7】
前記反応塔内に被加熱流体が流れる伝熱管を有する熱交換手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項8】
前記熱交換手段は、前記反応塔内に収容される前記媒体としての金属の上面から上方に離れた位置に設置されていることを特徴とする請求項7に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項9】
前記酸化反応ステージと還元反応ステージとの間および還元反応ステージと酸化反応ステージとの間に不活性ガスをパージガスとして前記反応塔内に供給するパージガス供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項10】
前記排ガス排気手段は、前記反応塔内での酸化反応ステージに生じるNリッチ排ガスを排気するN排気系統と、前記反応塔内での還元反応ステージに生じるCOリッチ排ガスを排気するCO排気系統と、前記反応塔内にパージガスが供給されているときに生じるパージガスを含む排ガスを排気するパージガス排気系統との3つの排気系統を備えることを特徴とする請求項9に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項11】
前記ガス供給手段は、前記反応塔内に酸化剤を供給する酸化剤供給系統と前記反応塔内に還元剤を供給する還元剤供給系統とを備え、前記パージガス供給手段は前記反応塔内にパージガスを供給するパージガス供給系統を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項12】
還元反応ステージで生じるCOリッチ排ガスを還元剤供給系統に戻す配管系をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項13】
酸化反応ステージで生じるNリッチ排ガスに含まれるNガスを酸化剤供給系統に戻す配管系をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。
【請求項14】
リッチ排ガスに含まれるNガスおよびCOリッチ排ガスに含まれるCOガスを前記パージガス供給手段に供給する配管系をさらに備えることを特徴とする請求項9ないし13のいずれか一項に記載の切替式ケミカルループ燃焼器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−53803(P2013−53803A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191921(P2011−191921)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(391022614)学校法人幾徳学園 (19)