説明

切替式電波暗室

【課題】本発明は、切替式電波暗室を提供する。
【解決手段】本発明の切替式電波暗室は、ハウジングと、ハウジングを覆うカバーと、複数の調節板と、駆動部と、を備え、複数の調節板は、反射面及び反射面の反対側に位置する電波吸収面を形成することができ、駆動部は、主動軸、複数の調節板に対応する複数の連動軸及び複数の伝送ベルトを備え、主動軸及び複数の連動軸は、ハウジングに回動可能に装着され、複数の伝送ベルトは、主動軸及び複数の連動軸を接続し、調節板は、ハウジングに回動可能に装着され且つ連動軸に固定接続され、主動軸が回動するとともに複数の伝送ベルトを連動して動かし、複数の伝送ベルトが動くとともに複数の連動軸を連動して回動させ、複数の連動軸は回動するとともに複数の調節板を連動して回動させて、反射面及び電波吸収面を切り替えることにより、電波暗室の全無響室と半無響室との間の切替を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波暗室に関するものであり、特に携帯電話の輻射をテストするために用いられる切替式電波暗室に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パーソナルコンピューターなどの電子製品は、開発過程で電波暗室を利用してさまざまな異なる輻射テストを行う。電波暗室は、全無響室及び半無響室に分けられ、異なる輻射テストは、全無響室と半無響室との間で交互に行われる。携帯電話に対して異なるテストを行う場合、全無響室と半無響室との間でテスト設備及び携帯電話を移動させなければならないので、設備、人力、時間が追加的に必要となり、製品コストを高めるばかりでなく、且つテストの安定性に影響する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前記課題を解決し、テストの安定性を確保し、且つコストが低い切替式電波暗室を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る切替式電波暗室は、ハウジングと、前記ハウジングを覆うカバーと、複数の調節板と、駆動部と、を備え、複数の前記調節板は、反射面及び前記反射面の反対側に位置する電波吸収面を形成することができ、前記駆動部は、主動軸、複数の前記調節板に対応する複数の連動軸及び複数の伝送ベルトを備え、前記主動軸及び複数の前記連動軸は、前記ハウジングに回動可能に装着され、複数の前記伝送ベルトは、前記主動軸と複数の前記連動軸とを接続し、前記調節板は、前記ハウジングに回動可能に装着され且つ前記連動軸に固定接続され、前記主動軸が回動するとともに複数の前記伝送ベルトを連動して動かし、複数の前記伝送ベルトが動くとともに複数の前記連動軸を連動して回動させ、複数の前記連動軸が回動するとともに複数の前記調節板を連動して回動させて、前記反射面及び前記電波吸収面を切り替えることにより、電波暗室の全無響室と半無響室との間の切替を実現する。
【発明の効果】
【0005】
従来の技術に比べて、本発明の切替式電波暗室の調節板には、反射面及び電波吸収面が形成されているので、前記駆動部の駆動によって前記調節板を回転させて、前記切替式電波暗室を全無響室から半無響室に切り替えることができ、従って1つの電波暗室で異なるテストを行うことができ、テスト時間を短縮し、且つテストの安定性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る切替式電波暗室の概略図である。
【図2】図1に示す切替式電波暗室の切替状態を示す図である。
【図3】図1に示す切替式電波暗室の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施形態に係わる切替式電波暗室100は、箱体であり、アンテナ40を収納して携帯電話(図示せず)に対して輻射テストを行うために用いられる。前記切替式電波暗室100は、ハウジング10と、前記ハウジング10を覆う電波吸収材が塗布されたカバー101と、積載台15と、複数の調節板20と、駆動部30(図3を参照)と、を備える。前記ハウジング10は、底壁11と、前記底壁11に対向して設置される頂壁12と、前記底壁11と前記頂壁12との間に設置されて前記頂壁12を支持する2つの側壁13と、を備える。前記頂壁12、前記側壁13及び前記底壁11が囲んで収容室14を形成する。前記頂壁12は、前記底壁11に離間する表面121及び前記頂壁12の中央部に設けられて前記収容室14に連通される貫通スロット122を備える。前記表面121の前記貫通スロット122の周縁には、電波吸収材が塗布される。前記アンテナ40及び前記積載台15は、前記頂壁12の表面121における前記貫通スロット122の両側にそれぞれに設置される。前記積載台15は、テストしようとする携帯電話を載置するために用いられる。
【0009】
本実施形態において、前記切替式電波暗室100は、3つの前記調節板20を備える。前記調節板20は、矩形板である。前記調節板20の片側には、電磁波の反射材料からなる反射平板21が設置され、本実施形態において、前記反射平板21はステンレス板である。前記調節板20の前記反射平板21の反対側に位置する片側には、電波吸収層22が設置される。3つの前記調節板20は、前記頂壁12の貫通スロット122に並列に設置され、前記反射平板21及び前記電波吸収層22は、前記頂壁12の厚さ方向に前記貫通スロット122から突出する。
【0010】
図3に示されたように、前記駆動部30は、モーター31と、主動軸32と、3つの連動軸33と、前記主動軸32と3つの前記連動軸33とを接続する3つの伝送ベルト34と、を備える。前記モーター31は、1つの側壁13に近接して配置されるように、前記底壁11に装着される。前記主動軸32は、前記モーター31と1つの前記側壁13との間に回動可能に接続される。前記主動軸32には、3つの伝送ローラー321が互いに離間して設置される。3つの前記連動軸33は、前記主動軸32を装着した前記側壁13に互いに離間し且つ互いに平行となるように回動可能に装着されており、且つ前記頂壁12に近接して配置される。本実施形態において、前記主動軸32及び3つの前記連動軸33は、全てヒンジによって前記側壁13に対する回動を実現する。各々の前記連動軸33には、連動ローラー331が設置される。各々の前記伝送ベルト34は、1つの前記伝送ローラー321と対応する前記連動ローラー331に取り付けられ、3つの前記伝送ベルト34は互いに干渉せず、前記伝送ベルト34によって、前記伝送ローラー321が回動するとともに前記連動ローラー331を連動して回動させる。
【0011】
図1を参照すると、各々の前記調節板20の一端は、対応する前記連動軸33の端部に固定され、各々の前記調節板20の他端は、ヒンジによって、連動軸33が装着されている一方の側壁13の反対側に位置する他方の前記側壁13に回動可能に装着される。3つの前記反射平板21が同じ平面に位置すると、3つの前記反射平板21が反射面25を形成し且つ前記貫通スロット122から突出する。3つの前記電波吸収層22が同じ平面に位置すると、3つの前記電波吸収層22が電波吸収面26を形成し且つ前記表面121から突出する。前記表面121及び前記カバー101に電波吸収材が塗布されているので、前記電波吸収面26、前記表面121及び前記カバー101が囲んで電波暗室の全無響室を形成する。
【0012】
前記切替式電波暗室100を全無響室から半無響室に切り替える場合、前記主動軸32は、前記モーター31の駆動によって回動するとともに3つの前記伝送ベルト34を連動して動かし、3つの前記伝送ベルト34が動くとともに3つの前記連動軸33を連動して回動させ、3つの前記連動軸33が回動するとともに3つの前記調節板20を連動して回動させて、3つの前記調節板20が180度回転し、即ち前記反射面25が前記表面121上に露出し、前記反射面25及び前記カバー101は、電波暗室の半無響室を形成する。
【0013】
前記切替式電波暗室100の調節板20には、反射面25及び電波吸収面26が形成され、前記駆動部30の駆動によって、前記調節板20を180度回転させて、前記反射面25と前記電波吸収面26との切替を実現して、前記切替式電波暗室100を全無響室から半無響室に切り替える。このように、テストしようとする携帯電話を異なる電波暗室に移動させなくてもよく、テスト時間を短縮し、且つテストの安定性を確保する。
【0014】
以上、本発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であることは勿論であって、本発明の技術的範囲は、以下の特許請求の範囲から決まる。
【符号の説明】
【0015】
10 ハウジング
11 底壁
12 頂壁
13 側壁
14 収容室
15 積載台
20 調節板
21 反射平板
22 電波吸収層
25 反射面
26 電波吸収面
30 駆動部
31 モーター
32 主動軸
33 連動軸
34 伝送ベルト
40 アンテナ
100 切替式電波暗室
101 カバー
121 表面
122 貫通スロット
321 伝送ローラー
331 連動ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングを覆うカバーと、複数の調節板と、駆動部と、を備えてなる切替式電波暗室であって、
複数の前記調節板は、反射面及び前記反射面の反対側に位置する電波吸収面を形成することができ、前記駆動部は、主動軸、複数の前記調節板に対応する複数の連動軸及び複数の伝送ベルトを備え、前記主動軸及び複数の前記連動軸は、前記ハウジングに回動可能に装着され、複数の前記伝送ベルトは、前記主動軸と複数の前記連動軸とを接続し、前記調節板は、前記ハウジングに回動可能に装着され且つ前記連動軸に固定接続され、
前記主動軸が回動するとともに複数の前記伝送ベルトを連動して動かし、複数の前記伝送ベルトが動くとともに複数の前記連動軸を連動して回動させ、複数の前記連動軸が回動するとともに複数の前記調節板を連動して回動させて、前記反射面及び前記電波吸収面を切り替えることにより、電波暗室の全無響室と半無響室との間の切替を実現することを特徴とする切替式電波暗室。
【請求項2】
前記駆動部は、前記主動軸に接続されたモーターをさらに備え、各々の前記連動軸には、連動ローラーが設置され、前記主動軸には、複数の前記連動ローラーに対応する複数の伝送ローラーが設置され、前記伝送ベルトは、前記伝送ローラー及び前記連動ローラーに接続されることを特徴とする請求項1に記載の切替式電波暗室。
【請求項3】
前記ハウジングは、底壁と、前記底壁に対向して設置される頂壁と、前記底壁と前記頂壁との間に設置されて前記頂壁を支持する2つの側壁と、を備え、前記頂壁、2つの前記側壁及び前記底壁が囲んで収容室を形成し、前記駆動部は、前記収容室に収容され、前記主動軸及び複数の前記連動軸は、同じ側壁に回動可能に装着され且つ前記底壁及び頂壁にそれぞれ近接して配置され、複数の前記連動軸は互いに平行となるように配列され、前記モーターは、前記底壁に装着されることを特徴とする請求項2に記載の切替式電波暗室。
【請求項4】
前記頂壁は、前記底壁に離間する表面及び前記頂壁の中央部に設けられて前記収容室に連通される貫通スロットを備え、前記調節板は、前記貫通スロットに収容され、前記反射面が前記表面から露出する場合、前記カバー、前記表面及び前記反射面は、電波暗室の半無響室を形成し、前記電波吸収面が前記表面から露出する場合、前記カバー、前記表面及び前記電波吸収面は、電波暗室の全無響室を形成することを特徴とする請求項3に記載の切替式電波暗室。
【請求項5】
各々の前記調節板の互いに反対側に位置する両側には、反射平板及び電波吸収層が設置され、複数の前記調節板は互いに平行となるように配列され、複数の前記反射平板が前記反射面を形成し、複数の前記電波吸収層が前記電波吸収面を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の切替式電波暗室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−98544(P2013−98544A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226771(P2012−226771)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】