刈払い機用刈刃ガード及びこれを備えた刈払い機
【課題】 櫛ピッチ以上の比較的大きな草を刈ることができ、また用具が嵩張らず、作業の煩雑さを伴わない刈払い機用刈刃ガードを提供すること。
【解決手段】 本発明の刈払い機用刈刃ガードは、芝生刈払い機1の把持棒10の先端にある回転刃11の刃面に沿って固定される、回転刃11よりも大きな最外周の円盤2を具備してなる。そして、円盤2の外周に亘って、所定の櫛ピッチ21pの櫛部21と、櫛ピッチ21pよりも大きな幅の切欠部22とを設けたことを特徴とする。前記切欠部22は、円盤2の外周のうち櫛部21を設けた範囲を除く、一部の所定範囲に設けられ、その幅は、櫛ピッチ21pよりも大きい。
【解決手段】 本発明の刈払い機用刈刃ガードは、芝生刈払い機1の把持棒10の先端にある回転刃11の刃面に沿って固定される、回転刃11よりも大きな最外周の円盤2を具備してなる。そして、円盤2の外周に亘って、所定の櫛ピッチ21pの櫛部21と、櫛ピッチ21pよりも大きな幅の切欠部22とを設けたことを特徴とする。前記切欠部22は、円盤2の外周のうち櫛部21を設けた範囲を除く、一部の所定範囲に設けられ、その幅は、櫛ピッチ21pよりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝生を刈り払う刈払い機に取り付けられ、刈払い機の回転刃による不要な切断をガードする刈払い機用刈刃ガード、及びこれを備えた芝生の刈払い機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、庭園において植木と芝生を配置する場合があるが、この場合のように芝生と芝生以外のものとが入り組んだ状態において、成長に応じて芝生を刈る必要がある。
【0003】
前記状態において、比較的広い平坦な領域の芝は、複数刃を有する大型の芝刈機を使って刈ることができるが、植木周辺などの入り組んだ領域や斜面では大型の芝刈機が入り込めない。そこで前記領域では、比較的小型の刈払い機を使用して刈る必要がある。
【0004】
このような刈払い機は、基本的に、伸張した把持棒の先へ、傾斜軸周りに高速回転する一枚の高速回転刃が取り付けられてなる。そして、把持棒を斜め下に向けて回転刃を水平にしたまま芝を刈り払うものである。芝の回収機構やタイヤ等を備えない比較的単純な構造からなり、比較的軽量で、回転刃のとりまわしが比較的容易なことから、植木周辺の細部まで細かく刈ることができるものである。
【0005】
しかしながら、一枚刃の刈払い機は、回転刃が露出しながら高速回転する。このため、地面より露出した根が成長した芝生に隠されているために、芝生の根を傷つけてしまうことや、或いは操作ミスにより植木の茎を傷つけてしまうことがある。このように誤って芝生の草部分以外の被切削物を傷つけてしまうと、ひどい場合は植木を枯らせてしまう。
【0006】
このような芝生の草部分以外の被切削物の不要な裂傷を防ぐために、従来、刈払い機の回転刃の上もしくは下に設け、回転刃と被切削物との接触を防止するための刈払い機用刈刃ガードが存在した(例えば、非特許文献1参照)。これは、回転刃よりも大きい円盤の周囲を均等な櫛状にしたものである。この櫛部は、回転刃よりも大きい円盤の周囲を、複数の小さいU字状にカットすることで形成され、回転刃よりも周囲に突出してなるため、例えばバリカンの梳き歯のように、回転刃が被切削物に直接触れないようにガードするものとなっている。
【非特許文献1】株式会社小林鉄工所、“刈払機用安全保護カバー あんぜんカバー君”、〔online〕、平成17年、〔平成18年4月18日検索〕、インターネットURL<http://www.kobayashi-tekkosho.co.jp/new/anzen1.jpg>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の刈払い機用刈刃ガードでは、櫛部が、回転刃の周囲を均等にガードすべく、等しい大きさで且つ等間隔の櫛ピッチで設けられており、この櫛ピッチ内に収まる芝のみを回転刃で刈るものである。このため、櫛ピッチ以上の大きな草を刈ることができないものであった。
【0008】
これに対して、櫛ピッチの異なる複数の刈払い機用刈刃ガードを使用することも考えうるが、この場合、櫛ピッチの異なる刈払い機用刈刃ガードの刈払い機への交換取り付けか、或いは櫛ピッチの異なる刈払い機用刈刃ガードを予め取り付けておいた別の刈払い機の交換使用を余儀なくされる。これらは必要な用具が嵩張り、また交換等の作業が煩雑となるものである。
【0009】
そこで本発明においては、櫛ピッチ以上の比較的大きな草を刈ることができ、また用具が嵩張らず、作業の煩雑さを伴わない刈払い機用刈刃ガードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決すべく、下記手段を講じている。
【0011】
(1)本発明の刈払い機用刈刃ガードは、刈払い機1の把持棒10の先端にある回転刃11の刃面に沿って固定される、回転刃11よりも大きな最外周(櫛部の先端同士の最遠距離)の円盤2を具備してなるものであって、円盤2の周囲に亘って、所定の櫛ピッチ21pの櫛部21と、櫛ピッチ21pよりも大きな切欠幅22wの切欠部22とを設けたことを特徴とする。前記切欠部22は、円盤2の外周のうち櫛部21を設けた範囲を除く、一部の所定範囲(好ましくは把持棒寄りの後方位置)に設けられ、その切欠幅22w(外周方向の長さ)は、櫛ピッチ21pよりも大きい。これにより、切欠部22を設けた範囲の回転刃11を雑草へ接触させることで、任意に櫛ピッチ21p以上の雑草を刈ることが出来る。
【0012】
(2)また、切欠部22が円盤2の周囲のうち中心角180度未満の範囲に設けられ、櫛部21が円盤2の周囲のうち残りの範囲に設けられることが好ましい。
【0013】
このようなものであれば、円盤2の外周のうち半周超すなわち中心角180度超の範囲を櫛部21で占めるため、櫛部21によるガード機能をより確実に果たすことができる。すなわち、円盤2の外周の櫛部21が、回転刃11の刃部11Bの周囲の大部分たる半分超の範囲を覆うため、切欠部22の中心角180度未満の小範囲部分を意識するだけで不要な裂傷を防止しうる。一方、櫛ピッチ21p以上の刈り取りの必要な範囲は中心角180度未満の範囲によって十分に確保され、180度未満の当該範囲内に、刈り取りの必要な必要部分を当てて必要に応じて任意の大きさの雑草を刈り取ることができる。
【0014】
(3)また、前記刈払い機用刈刃ガードにおいて、円盤2の内部に櫛ピッチ21pの幅及び櫛長さ21lを含む所定大の開口部23を設けたものとすることが好ましい。このようなものにすることで、回転刃11と(刈払い機用刈刃ガードと)の間に刈草が挟まりにくく、刈草を容易に排出できるものとなる。
【0015】
すなわち、従来の刃物ガードは、刈払い機1が芝生を切断した後の刈草を、刃物の遠心力によって、刃物より外に飛び出させるのであるが、櫛状のガードを設けた場合は、櫛とガードにはさまれた刈草によって回転刃の回転が抑制され、ひいては刈払いができなくなるものであった。これに対して本発明の刈払い機用刈刃ガードは、円盤内部に設けた所定大の開口部から刈り草を排出し、回転刃との間への仮草の挟み込みを抑制しうるものとなる。このとき刃物の開口部は絶えず開いているので、次の被切削物に触れることができ連続して刈ることが出来る。
【0016】
(4)また、本発明の刈払い機1は、少なくとも把持して操作する把持棒10と、把持棒10の先端へ回転可能に設けた略円形の回転刃11と、を具備し、この回転刃11の刃面と平行に沿うようにして前記いずれかの刈払い機用刈刃ガードを取り付けたものである。そして、刈払い機用刈刃ガードが刈払い機1に固定された状態で、円盤2の外周の切欠部22が、回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置にあることを特徴とする。
【0017】
このようなものであれば、刈払い機1の先端側にある回転刃11は露出せず櫛部21に覆われ、刈払い機1の把持棒10に近い側にある回転刃11の一部分のみが切欠部22によって露出することとなる。刈払い機1は通常、把持棒10を前下方へ傾斜させて使用するものであるから、使用時に、回転刃11の刃部11Bの、使用者から遠い先端側への露出を、櫛部21によって確実にガードすることができる。使用者から遠い先端側は、操作ミスが発生したり、遠部の視界が悪くなったりしやすいものであるから、本来の回転刃11のガードが特に必要な部分である。また、櫛ピッチ21p以上の大きな草を刈り取る必要は通常、任意時に限られる。このため、使用者の手前側に切欠部22を設けたものとし、通常の使用においては櫛部21によるガード機能を確実に発揮させることが好ましい。なお使用者の手前側は手元に近く、芝の状態等をより正確に確認しうる。このため、使用者の手前側に切欠部22を設けても、不要な裂傷を伴う確率は高いものではない。
【発明の効果】
【0018】
上記手段を採用することにより、櫛ピッチ以上の比較的大きな草を刈ることができ、また用具が嵩張らず、作業の煩雑さを伴わない刈払い機用刈刃ガードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について、本発明の実施例として示す各図と共に説明する。図1ないし図8は実施例1の刈払い機1及び刈払い機用刈刃ガードを示し、図9及び図10は実施例2の刈払い機1及び刈払い機用刈刃ガードを示し、図11及び図12は実施例3の刈払い機1及び刈払い機用刈刃ガードを示す。
【0020】
いずれの実施例においても、本発明の刈払い機用刈刃ガードは、基本的に、回転刃11よりも大きい外形(最大径)の円盤2と、刈払い機1へ固定されるための固定手段とを具備する。さらに、円盤2には、周囲の一部に設けた櫛部21と、前記周囲の残り部分に設けた切欠部22と、板面内に設けた刈草を排出する排出孔となる開口部23とを具備する。
【0021】
そしていずれの実施例においても、切欠部22は、円盤2の外周のうち櫛部21を設けた範囲を除く所定範囲(把持棒10寄りの後方位置)に設けられる。また、切欠部22が円盤2の周囲のうち、(多くとも)中心角180度未満の範囲に設けられると共に、櫛部21が円盤2の外周のうち残りの範囲に設けられることが好ましい。
【0022】
また、前記刈払い機用刈刃ガードにおいて、円盤2内部に櫛ピッチ21p幅及び櫛長さ21lを含む所定大の開口部23を設けたものとし、回転刃11との間の刈り草を挟まることなく容易に排出できるようにしている。以下、各実施例における構成を詳述する。
【実施例1】
【0023】
本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例1の刈払い機1に関し、図1及び図2に、刈払い機1の先端部分をそれぞれ斜め下方及び斜め上方からみた斜視部分説明図を示す。図3に、実施例1の刈払い機1の前記先端部分の側面視一部断面説明図を示す。図4に、実施例1の刈払い機1の前期先端部分の斜め下方からの斜視分解説明図を示す。
【0024】
そして、本発明の実施例1の刈払い機用刈刃ガードに関し、図5に斜視図を、図6に平面図を、図7に正面図を、そして図8に図6のA−A断面図を、それぞれ示す。底面図は平面図と対称に表れ、左側面図は正面図と左右対称に表れる。右側面図及び背面図は、共に、図7の正面図のうち切欠部22が表れず幅方向に櫛部21が連なって表れる。
【0025】
実施例1の刈払い機用刈刃ガードは、中心角40度の部分扇形の切欠部22を設けてなる。
【0026】
(刈払い機1)
本発明の刈払い機用刈刃ガードが取り付けられる取り付け対象の刈払い機1は、少なくとも把持棒10と、把持棒10の先端へ回転可能に設けた回転刃11とを具備する。
【0027】
実施例1の刈払い機1は、把持棒10と、把持棒10の先端へ回転可能に設けた略円形の回転刃11と、前記回転刃11を回転させる回転機構12と、回転刃11の使用者への接触を防ぐべく把持棒10の先端付近と交わるように設けた安全カバー13とを具備してなり、芝の回収機構やタイヤ等の自走機構を備えない。
【0028】
刈払い機1には、刈払い機用刈刃ガードが回転刃11の円形面と重なるようにして取り付けられる。刈払い機用刈刃ガードを刈払い機1に取り付けた状態で、把持棒10の下方の回転刃11が略水平方向を向くように芝面に対向させたとき、前記切欠部22は、把持棒10の近傍であって左側に偏った左手前寄りの位置に設けられる。刈払い機用刈刃ガードを取り付けた状態で、切欠部22は、回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置、つまり使用者にとって手前側の位置にある。
【0029】
(把持棒10)
把持棒10は操作用の把持部を有して伸張する棒体であり、下端に回転機構12の回転軸12Sが傾斜して取り付けられ、この回転軸12Sに回転刃を固定してこの下端が使用者よりも前方に位置するように把持棒10を傾斜させて使用する。
【0030】
(回転刃11)
回転刃11は略円形でありその外周に亘って刃部11Bが設けられる。パッキン12P及びカップリング12Cを介して、刈払い機用刈刃ガードと共に、把持棒10の先端へ回転可能に取り付けられる。
【0031】
(回転機構12)
回転機構12は、回転刃11を高速回転させる機構であり、把握棒10の先端にて把持棒10の伸張方向に対して30度程度傾斜した回転軸12Sと、これに連通するカップリング12C及びパッキン12Pとを具備する。これらは回転刃11を挟持固定し、図示しない回転動力によって高速回転する。
回転軸12Sの傾斜角度は30度程度である。
【0032】
(安全カバー13)
安全カバー13は、把持棒10の先端付近にて把持棒10と交差するように固定される横長扁平の弯曲板である。この弯曲板は、下方の回転刃11の周囲に沿う略円弧状に緩曲してなり、回転刃11が操作者等を裂傷しないように、操作安全のために回転刃11の操作者側を覆う。
【0033】
(円盤2)
本発明の刈払い機用刈刃ガードは、刈払い機1の把持棒10の先端にある回転刃11の刃面に沿って固定される円盤2を具備する。円盤2は、後述の固定手段(中央部固定手段3及び端部固定手段4)によって、刈払い機1の先端にある回転刃11のいずれかの面に沿って、回転刃11と重なるようにして回転刃と平行に固定される。刃面と略平行に固定されることで、回転刃の下方をガードする。固定された状態では、回転刃11の回転軸12Sと円盤2の中心とが共通する。回転刃11の下方の不要な裂傷をガードするためには、実施例のように回転刃11の下面と対向して固定されることが好ましい。
【0034】
この円盤2には、円盤2の外周に亘って、所定の櫛ピッチ21pの櫛部21と、櫛ピッチ21pよりも大きな幅の切欠部22とが設けられる。また円盤2は、櫛部21を具備した状態で回転刃11よりも大きな最外周(櫛部21の先端同士の最遠距離)となる。
円盤2はまた、周囲全体に亘って櫛部21と切欠部22とを備えてなる。これにより、円盤2の最外形は櫛部21の先端同士の最遠距離となるが、この円盤2の最外形は、回転刃11よりも大きく、これにより円盤2の最外周よりも外へ回転刃11の刃部11Bが突出しないようになっている。
【0035】
円盤の外径は、200ないし300mm程度、例えば230mmや250mmであることが好ましく、円盤2の厚さは、2.0mm以下、例えば1.6mm程度であることが好ましい。
【0036】
(櫛部21)
櫛部21は、円盤2の中心から外周へ向く方向へ放射状に設けられる。櫛部21が設けられる範囲は、円盤2外周のうち、切欠部22の所定範囲を除く残りの範囲である。実施例では、円形外形の円盤2の周囲に、円盤2の径を小さくするようにして複数の半円弧状カットを等間隔をあけて均等に施すことで、円盤2の円形の外周の一部と、その左右の円弧曲線とからなる三方曲線で囲われた櫛が、円盤2周囲へ連続的に形成される。
【0037】
櫛ピッチ21pは、被切削部の断面の最大幅よりも小さい必要がある。また、櫛は、刃物よりも出ている必要がある。
【0038】
この半円弧状のカット深さは例えば2.5mm程度、すなわち半円弧の半径が2.5mm程度であり、回転刃11の刃部11Bの径方向長さよりもわずかに小さい。
【0039】
(切欠部22)
切欠部22は、円盤2の周囲に沿って、円盤2の所定範囲を部分的に切り欠いて設けられる。この切欠部22を設けた所定範囲では、重なった回転刃11の刃部11Bが露出する。この切欠部22は具体的には、円盤2の中央付近を中心角とする扇形曲線と、その両端から円盤2外周に向かう径方向の直線とによって形成される。
【0040】
切欠部22の設けられる所定範囲について、切欠部22の幅(切欠幅22w、すなわち円盤2の円周に沿う方向の長さ)は、少なくとも櫛ピッチ21pよりも大きく、さらに言えば、櫛ピッチ21p2つ分(3本の櫛で形成される2つの櫛間空間)が纏まった幅より大きく、例えば櫛ピッチ21p2つ分ないし5つ分の範囲にあるものが好ましい。本発明の刈払い機用刈刃ガードがガード機能を維持するためには、円盤2の周囲のうち、(多くとも)中心角180度未満の範囲を所定範囲とすることが好ましい。実施例1では円盤2と共通する中心であって、回転刃11の刃部11B3つ分よりもわずかに小さい、中心角40度の円弧を有する。
【0041】
切欠部22の切欠き深さ22l(円盤2の径方向に沿う方向の長さ)は、少なくとも、回転刃11の刃部11Bの径方向の長さよりも大きい。
【0042】
なお、実施例1の切欠部22は中心角40度のもの一つだけであるが、このほか、実施例3のように二つ、或いはそれ以上の複数個設けても良い。例えば複数個の中心角の異なる切欠部22を円盤2の周囲に設けたものとすれば、必要な刈り幅の大きさに応じて適度な大きさの切欠部22を使用することで、櫛ピッチ21pよりも大きな範囲の纏め刈りにおいても、より安全な刈払いを行うことができる。
【0043】
(切欠部22の位置)
刈払い機用刈刃ガードが刈払い機1に固定された状態で、円盤2の外周の切欠部22が、回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置にある。実施例1では、把持棒10の基端側であって、片側(左側)に寄った位置である。実施例2及び3では、把持棒10の基端側であって、把持棒10を中心に左右均等な位置である。このように、切欠部22を把持棒10に対して左右均等な位置に設けることで、例えば障害物の反対側を刈払うために使用者が大きく移動する必要が無くなるなど、操作性が向上する。
【0044】
例えば、ガードレールポストの周りに大きな雑草があった場合、片側しか大きな切欠部22がないと、使用者がガードレールを越えて向こう側に移動し、移動した向こう側から刈らなければならない場合も考えうる。これに対して実施例2(或いは3)のように二つの切欠部22を把持棒10の両側に同じ長さで設けたものとすれば、把持棒10を操作し、回転刃11をうまくまわしこむことで、使用者の足元の移動をほとんどせずにガードレールポストの右側及び左側のいずれも、手前側及び奥側に亘って刈ることができる。
【0045】
(開口部23)
開口部23は、円盤2内部に設けられた刈草を排出する孔であり、複数個(実施例では4つ)が、円盤2中心を対称として設けられる。少なくとも櫛ピッチ21p幅及び櫛長さ21lを含む大きさであれば、開口形状は、円形、長円形、楕円形、方形等、任意の形状とすることができる。実施例では扇形から中心角側を同一中心の円弧曲線によって除いた、部分扇形状からなる。この開口形状に関し、回転中の回転刃11から出てくる刈草を排出すべく、実施例のように外周側及び中心側を円弧曲線で囲まれることが好ましい。
【0046】
開口形状を部分扇形とする場合、扇部分の部分円弧の中心角は、より大きな孔によって刈草を効率的に排出すべく、中心角は35度ないし40度以上、さらには45度以上、またさらには90度程度であることが好ましい。ただし中心角120度程度以下のものを複数個設けることで、ガード機能を発揮するだけの円盤2の強度を確保することが好ましい。実施例では略90度である。
【0047】
なお、前記開口部23と併せて、円盤2がある程度の曲げ弾性機能を有するものとし、かつ円盤2と回転刃11との間に弾性部材を挟設することで、回転刃11との間に刈り草が詰まったときに、円盤と回転刃の間が円盤の曲げ方向の弾性変形によって広がるものとしてもよい(図示せず)。このとき、弾性部材は、例えば回転軸12Sと同軸の円筒状の発泡材を使用することが好ましい(いずれも図示せず)。
【0048】
或いは、前記開口部23と併せて、回転刃11に切起し部を設け、回転刃の回転によって切起し部がフィンの役割を果たすことで開口部23の外へ刈り草を排出するものとしても良い。このとき、切起し部は開口部23の図心を中心として弯曲して伸びる弯曲突条からなることが好ましい(いずれも図示せず)。
【0049】
(固定手段)
固定手段は、第一及び第二の固定孔3H、4Hと、それぞれ第一および第二の固定孔3H、4Hにて、刈払い機1と円盤2とを連結する第一および第二の連結具3C、4Cと、を具備する。具体的には、円盤2の中央部で固定される中央部固定手段3と、円盤2の端部で固定される端部固定手段4と、から構成される。
【0050】
先ず、中央部固定手段3は、円盤2の中央に設けた第一の固定孔3Hと、第一の固定孔3Hにて、刈払い機1の把持棒10と円盤2とを連結する第一の連結具3Cと、を具備してなる。この中央部固定手段3は、把握持棒への固定手段を兼ねる。
【0051】
第一の固定孔3Hは、円盤2の中央の大孔及びその周囲に4つ等間隔に設けた小孔とからなる。大孔は、円形のパッキン12P及び回転刃11を介して把持棒10の先端の回転軸12Sに挿通され、さらにその上側を、第一の固定具3Cたるカップ部材によってボルト固定される。この第一の固定具たるカップ部材は、ベアリング12Bによって、円盤2と一体固定された外周部が自由回転可能となる。これにより、円盤2と第一の固定手段とが固定され、円盤2及び第一の固定手段が回転軸12Sに対して、左右両方向へ自由回転可能に固定される。
【0052】
次に、端部固定手段4は、円盤2の端部寄りの位置に設けた第二の固定孔4Hと、第二の固定孔4Hにて、それぞれ刈払い機1の安全カバー13と円盤2とを連結する第二の連結具4Cと、からなる。
【0053】
第二の固定孔4Hは、円盤2の中心から外れた端部寄りの位置に複数個設けられる。実施例では円盤2の外周付近であって、4本ある十字枠のひとつの幅中心にボルト孔が二つ、円盤2の直径上に並設される。第二の連結具4Cは、90度以上の角度で折れ曲がった折曲板からなり、その一端側が、前記第二の固定孔4Hにて円盤2にボルト固定されるとともに、その多端側が、刈払い機1の把持棒10或いはその付属品へボルト固定される。実施例では、把持棒10の先端付近に固定された、刈払い機1の付属品たる安全カバー13を介して、間接的にボルト固定される。つまり実施例1においては、第一の固定具3Cによって円盤2を回転軸12Sに対して自由回転可能とするとともに、第二の固定具4Cによって円盤2を回転不能の状態で固定している。
【0054】
なお、この安全カバー13は、前記したとおり、下方の回転刃11の周囲に沿うように固定された略円弧状の弯曲板からなり、回転刃11が操作者等を裂傷しないように、操作安全のために回転刃11の操作者側を覆う。
【実施例2】
【0055】
実施例2の刈払い機1は、安全カバー13を備えず、より軽量で、安全カバー13部分すなわち回転刃11の把持棒10寄り(手前側)の視界を良好なものとしている。実施例2の刈払い機1は、刈払い機用刈刃ガードの切欠部22を、使用者の手前寄りであって、切欠幅22wの中央に把持棒10が位置するように、左右対称に取り付けてなる。具体的には、第二の固定手段を構成する第二の固定孔4Hを、切欠部22の中心角を等分した位置の半径上に設け、刈払い機用刈刃ガードを刈払い機1に取り付けた取り付け状態において、切欠部22を左右に均等な位置に設けたものとしている。
【0056】
実施例2の切欠部22は、直線の両端に4分の一円が連なってなる、長手方向に分断した半長円の切欠線、すなわち横長扁平の略U字状の切欠線から構成される。円盤の仮想円周線を考慮したとき、切欠深さ22lが、切欠部の両端から中央に行くにしたがって長いものとなる。これにより、刃物によって円盤から押し出される刈草を抱え込むような形となり、切削効率の高いものとなる。
【0057】
実施例2の端部固定手段3のうち第二の連結具3Cは、90度で一回折曲した長板からなり、一端が円盤2の第二の固定孔3Hを介して固定されると共に、多端が把持棒10の先端近傍を挿通させて把持棒10に直接取り付けられる。これにより、第二の連結具3Cは実施例1の安全カバー13の役割をも果たすこととなり、また、使用者から見て回転刃11の手前側の視界が安全カバー13等によってさえぎられないため、この手前寄りの刈払いが容易なものとなる。
【0058】
特記しないその他の構成は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0059】
実施例3の刈払い機1は、安全カバー13及び端部固定手段4を備えず、より軽量なものとすると共に、手前側の刈り払いをより容易に行えるものとしている。また、実施例1のような第二の連結具4Cを設けず、その代わりに、第一の連結具3Cとして、円盤2の中央下部に、山形錐状体の回転カップを、回転軸12Sの回転方向に対して逆回転可能に取り付けてなる。第一の連結具3Cたる回転カップは円盤2に固定されるため、この回転カップが回転軸12Sと逆方向に相対回転したとき、円盤2は非回転となる。
【0060】
このような回転カップは例えば、回転刃11の回転軸12Sの周囲へ同軸回転する外歯ギヤ31Gを設け、この外歯ギヤ31Gに噛合する遊星ギヤ31Gを介して、回転軸12Sと同軸の内歯ギヤ33Gを回転カップ内に固定することでも成立しうる。ここで円盤は第一の連結具3Cたる回転カップと固定される。
【0061】
回転軸12Sが高速回転したとき、第一の連結具3Cたる回転カップが地面と接することで遊星ギヤ31Gが回転駆動し、回転カップが回転軸12Sに対して、回転軸12Sと反対方向に同回転数で回転する。回転刃11は非回転の把持棒に対して回転し、回転カップがその回転刃11に対して反対方向へ回転するため、回転カップ円盤は回転せずのみが回転することになる。ここで、回転カップを非回転にさせるべく回転カップを芝面に接触させたとき、遊星ギヤ32Gのギヤ抵抗力によって、回転刃を走行させる走行力が働く。すなわち、回転カップが地面と接することで、接した点の接線方向に走行力が働き、切り込み動力に使える。刃物の傾きにより接触点が変わり、走行する向きが変わる。また、接触点と刃物までに高さ方向に距離があるため、ある程度刈高さを維持できる利点がある。これは、本発明の刈払い機用刈刃ガードをつけることで、支える重さが増すことと、切削抵抗が増えるという課題を解決するものである。
【0062】
(切欠部22の数と位置)
実施例3の切欠部22は、中心角40度のものが2つ、互いに近接した位置へ併設される。これら切欠部2はいずれも円盤回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置であって、把持棒10を中心とした左右に均等な位置である。
【0063】
特記しないその他の構成は、実施例1と同様である。
【0064】
その他、本発明は上述した実施例の構成に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形、組み合わせが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
このようにして得られた各実施例の刈払い機用刈刃ガード及びこれを備えた刈払い機1は、櫛ピッチ21p以上の雑草や不要材を刈ること、或いは櫛ピッチ21p以上の領域の草をまとめて効率的に刈ることが可能である。このため、特に芝内に植木やオブジェを配置した場合など、入り組んだ領域や傾斜面の芝払いとして好適に使用されるが、その他、芝刈りの範囲や刈高の精度など、必要な任意の状況に応じた芝の刈払いとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例1の刈払い機1を示す斜め下方からの斜視部分説明図である。
【図2】図1に示す刈払い機1の斜め上方からの斜視部分説明図である。
【図3】図1に示す刈払い機1の先端部分の側面視一部断面説明図である。
【図4】図1に示す刈払い機1の先端部分の斜め下方からの斜視分解説明図である。
【図5】本発明の実施例1の刈払い機用刈刃ガードの斜視図である。
【図6】図5に示す実施例1の刈払い機用刈刃ガードの平面視説明図である。
【図7】図5に示す実施例1の刈払い機用刈刃ガードの正面視説明図である。
【図8】図5に示す実施例1の刈払い機用刈刃ガードのA−A断面図である。
【図9】本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例2の刈払い機1を示す斜め下方からの斜視部分説明図である。
【図10】図9に示す刈払い機1の先端部分の側面視一部断面説明図である。
【図11】本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例3の刈払い機1の先端部分の側面視一部断面説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 刈払い機
10 把持棒
11 回転刃
11B 刃部
12 回転機構
12B ベアリング
12S 回転軸
12C カップリング
12P パッキン
13 安全カバー
2 円盤
21 櫛部
21p 櫛ピッチ
21l 櫛長さ
22 切欠部
22l 切欠深さ
22w 切欠幅
23 開口部
3 中央部固定手段
3H 第一の固定孔
3C 第一の連結具
31G 外歯ギヤ
32G 遊星ギヤ
33G 内歯ギヤ
4 端部固定手段
4H 第二の固定孔
4C 第二の連結具
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝生を刈り払う刈払い機に取り付けられ、刈払い機の回転刃による不要な切断をガードする刈払い機用刈刃ガード、及びこれを備えた芝生の刈払い機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、庭園において植木と芝生を配置する場合があるが、この場合のように芝生と芝生以外のものとが入り組んだ状態において、成長に応じて芝生を刈る必要がある。
【0003】
前記状態において、比較的広い平坦な領域の芝は、複数刃を有する大型の芝刈機を使って刈ることができるが、植木周辺などの入り組んだ領域や斜面では大型の芝刈機が入り込めない。そこで前記領域では、比較的小型の刈払い機を使用して刈る必要がある。
【0004】
このような刈払い機は、基本的に、伸張した把持棒の先へ、傾斜軸周りに高速回転する一枚の高速回転刃が取り付けられてなる。そして、把持棒を斜め下に向けて回転刃を水平にしたまま芝を刈り払うものである。芝の回収機構やタイヤ等を備えない比較的単純な構造からなり、比較的軽量で、回転刃のとりまわしが比較的容易なことから、植木周辺の細部まで細かく刈ることができるものである。
【0005】
しかしながら、一枚刃の刈払い機は、回転刃が露出しながら高速回転する。このため、地面より露出した根が成長した芝生に隠されているために、芝生の根を傷つけてしまうことや、或いは操作ミスにより植木の茎を傷つけてしまうことがある。このように誤って芝生の草部分以外の被切削物を傷つけてしまうと、ひどい場合は植木を枯らせてしまう。
【0006】
このような芝生の草部分以外の被切削物の不要な裂傷を防ぐために、従来、刈払い機の回転刃の上もしくは下に設け、回転刃と被切削物との接触を防止するための刈払い機用刈刃ガードが存在した(例えば、非特許文献1参照)。これは、回転刃よりも大きい円盤の周囲を均等な櫛状にしたものである。この櫛部は、回転刃よりも大きい円盤の周囲を、複数の小さいU字状にカットすることで形成され、回転刃よりも周囲に突出してなるため、例えばバリカンの梳き歯のように、回転刃が被切削物に直接触れないようにガードするものとなっている。
【非特許文献1】株式会社小林鉄工所、“刈払機用安全保護カバー あんぜんカバー君”、〔online〕、平成17年、〔平成18年4月18日検索〕、インターネットURL<http://www.kobayashi-tekkosho.co.jp/new/anzen1.jpg>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の刈払い機用刈刃ガードでは、櫛部が、回転刃の周囲を均等にガードすべく、等しい大きさで且つ等間隔の櫛ピッチで設けられており、この櫛ピッチ内に収まる芝のみを回転刃で刈るものである。このため、櫛ピッチ以上の大きな草を刈ることができないものであった。
【0008】
これに対して、櫛ピッチの異なる複数の刈払い機用刈刃ガードを使用することも考えうるが、この場合、櫛ピッチの異なる刈払い機用刈刃ガードの刈払い機への交換取り付けか、或いは櫛ピッチの異なる刈払い機用刈刃ガードを予め取り付けておいた別の刈払い機の交換使用を余儀なくされる。これらは必要な用具が嵩張り、また交換等の作業が煩雑となるものである。
【0009】
そこで本発明においては、櫛ピッチ以上の比較的大きな草を刈ることができ、また用具が嵩張らず、作業の煩雑さを伴わない刈払い機用刈刃ガードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決すべく、下記手段を講じている。
【0011】
(1)本発明の刈払い機用刈刃ガードは、刈払い機1の把持棒10の先端にある回転刃11の刃面に沿って固定される、回転刃11よりも大きな最外周(櫛部の先端同士の最遠距離)の円盤2を具備してなるものであって、円盤2の周囲に亘って、所定の櫛ピッチ21pの櫛部21と、櫛ピッチ21pよりも大きな切欠幅22wの切欠部22とを設けたことを特徴とする。前記切欠部22は、円盤2の外周のうち櫛部21を設けた範囲を除く、一部の所定範囲(好ましくは把持棒寄りの後方位置)に設けられ、その切欠幅22w(外周方向の長さ)は、櫛ピッチ21pよりも大きい。これにより、切欠部22を設けた範囲の回転刃11を雑草へ接触させることで、任意に櫛ピッチ21p以上の雑草を刈ることが出来る。
【0012】
(2)また、切欠部22が円盤2の周囲のうち中心角180度未満の範囲に設けられ、櫛部21が円盤2の周囲のうち残りの範囲に設けられることが好ましい。
【0013】
このようなものであれば、円盤2の外周のうち半周超すなわち中心角180度超の範囲を櫛部21で占めるため、櫛部21によるガード機能をより確実に果たすことができる。すなわち、円盤2の外周の櫛部21が、回転刃11の刃部11Bの周囲の大部分たる半分超の範囲を覆うため、切欠部22の中心角180度未満の小範囲部分を意識するだけで不要な裂傷を防止しうる。一方、櫛ピッチ21p以上の刈り取りの必要な範囲は中心角180度未満の範囲によって十分に確保され、180度未満の当該範囲内に、刈り取りの必要な必要部分を当てて必要に応じて任意の大きさの雑草を刈り取ることができる。
【0014】
(3)また、前記刈払い機用刈刃ガードにおいて、円盤2の内部に櫛ピッチ21pの幅及び櫛長さ21lを含む所定大の開口部23を設けたものとすることが好ましい。このようなものにすることで、回転刃11と(刈払い機用刈刃ガードと)の間に刈草が挟まりにくく、刈草を容易に排出できるものとなる。
【0015】
すなわち、従来の刃物ガードは、刈払い機1が芝生を切断した後の刈草を、刃物の遠心力によって、刃物より外に飛び出させるのであるが、櫛状のガードを設けた場合は、櫛とガードにはさまれた刈草によって回転刃の回転が抑制され、ひいては刈払いができなくなるものであった。これに対して本発明の刈払い機用刈刃ガードは、円盤内部に設けた所定大の開口部から刈り草を排出し、回転刃との間への仮草の挟み込みを抑制しうるものとなる。このとき刃物の開口部は絶えず開いているので、次の被切削物に触れることができ連続して刈ることが出来る。
【0016】
(4)また、本発明の刈払い機1は、少なくとも把持して操作する把持棒10と、把持棒10の先端へ回転可能に設けた略円形の回転刃11と、を具備し、この回転刃11の刃面と平行に沿うようにして前記いずれかの刈払い機用刈刃ガードを取り付けたものである。そして、刈払い機用刈刃ガードが刈払い機1に固定された状態で、円盤2の外周の切欠部22が、回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置にあることを特徴とする。
【0017】
このようなものであれば、刈払い機1の先端側にある回転刃11は露出せず櫛部21に覆われ、刈払い機1の把持棒10に近い側にある回転刃11の一部分のみが切欠部22によって露出することとなる。刈払い機1は通常、把持棒10を前下方へ傾斜させて使用するものであるから、使用時に、回転刃11の刃部11Bの、使用者から遠い先端側への露出を、櫛部21によって確実にガードすることができる。使用者から遠い先端側は、操作ミスが発生したり、遠部の視界が悪くなったりしやすいものであるから、本来の回転刃11のガードが特に必要な部分である。また、櫛ピッチ21p以上の大きな草を刈り取る必要は通常、任意時に限られる。このため、使用者の手前側に切欠部22を設けたものとし、通常の使用においては櫛部21によるガード機能を確実に発揮させることが好ましい。なお使用者の手前側は手元に近く、芝の状態等をより正確に確認しうる。このため、使用者の手前側に切欠部22を設けても、不要な裂傷を伴う確率は高いものではない。
【発明の効果】
【0018】
上記手段を採用することにより、櫛ピッチ以上の比較的大きな草を刈ることができ、また用具が嵩張らず、作業の煩雑さを伴わない刈払い機用刈刃ガードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について、本発明の実施例として示す各図と共に説明する。図1ないし図8は実施例1の刈払い機1及び刈払い機用刈刃ガードを示し、図9及び図10は実施例2の刈払い機1及び刈払い機用刈刃ガードを示し、図11及び図12は実施例3の刈払い機1及び刈払い機用刈刃ガードを示す。
【0020】
いずれの実施例においても、本発明の刈払い機用刈刃ガードは、基本的に、回転刃11よりも大きい外形(最大径)の円盤2と、刈払い機1へ固定されるための固定手段とを具備する。さらに、円盤2には、周囲の一部に設けた櫛部21と、前記周囲の残り部分に設けた切欠部22と、板面内に設けた刈草を排出する排出孔となる開口部23とを具備する。
【0021】
そしていずれの実施例においても、切欠部22は、円盤2の外周のうち櫛部21を設けた範囲を除く所定範囲(把持棒10寄りの後方位置)に設けられる。また、切欠部22が円盤2の周囲のうち、(多くとも)中心角180度未満の範囲に設けられると共に、櫛部21が円盤2の外周のうち残りの範囲に設けられることが好ましい。
【0022】
また、前記刈払い機用刈刃ガードにおいて、円盤2内部に櫛ピッチ21p幅及び櫛長さ21lを含む所定大の開口部23を設けたものとし、回転刃11との間の刈り草を挟まることなく容易に排出できるようにしている。以下、各実施例における構成を詳述する。
【実施例1】
【0023】
本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例1の刈払い機1に関し、図1及び図2に、刈払い機1の先端部分をそれぞれ斜め下方及び斜め上方からみた斜視部分説明図を示す。図3に、実施例1の刈払い機1の前記先端部分の側面視一部断面説明図を示す。図4に、実施例1の刈払い機1の前期先端部分の斜め下方からの斜視分解説明図を示す。
【0024】
そして、本発明の実施例1の刈払い機用刈刃ガードに関し、図5に斜視図を、図6に平面図を、図7に正面図を、そして図8に図6のA−A断面図を、それぞれ示す。底面図は平面図と対称に表れ、左側面図は正面図と左右対称に表れる。右側面図及び背面図は、共に、図7の正面図のうち切欠部22が表れず幅方向に櫛部21が連なって表れる。
【0025】
実施例1の刈払い機用刈刃ガードは、中心角40度の部分扇形の切欠部22を設けてなる。
【0026】
(刈払い機1)
本発明の刈払い機用刈刃ガードが取り付けられる取り付け対象の刈払い機1は、少なくとも把持棒10と、把持棒10の先端へ回転可能に設けた回転刃11とを具備する。
【0027】
実施例1の刈払い機1は、把持棒10と、把持棒10の先端へ回転可能に設けた略円形の回転刃11と、前記回転刃11を回転させる回転機構12と、回転刃11の使用者への接触を防ぐべく把持棒10の先端付近と交わるように設けた安全カバー13とを具備してなり、芝の回収機構やタイヤ等の自走機構を備えない。
【0028】
刈払い機1には、刈払い機用刈刃ガードが回転刃11の円形面と重なるようにして取り付けられる。刈払い機用刈刃ガードを刈払い機1に取り付けた状態で、把持棒10の下方の回転刃11が略水平方向を向くように芝面に対向させたとき、前記切欠部22は、把持棒10の近傍であって左側に偏った左手前寄りの位置に設けられる。刈払い機用刈刃ガードを取り付けた状態で、切欠部22は、回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置、つまり使用者にとって手前側の位置にある。
【0029】
(把持棒10)
把持棒10は操作用の把持部を有して伸張する棒体であり、下端に回転機構12の回転軸12Sが傾斜して取り付けられ、この回転軸12Sに回転刃を固定してこの下端が使用者よりも前方に位置するように把持棒10を傾斜させて使用する。
【0030】
(回転刃11)
回転刃11は略円形でありその外周に亘って刃部11Bが設けられる。パッキン12P及びカップリング12Cを介して、刈払い機用刈刃ガードと共に、把持棒10の先端へ回転可能に取り付けられる。
【0031】
(回転機構12)
回転機構12は、回転刃11を高速回転させる機構であり、把握棒10の先端にて把持棒10の伸張方向に対して30度程度傾斜した回転軸12Sと、これに連通するカップリング12C及びパッキン12Pとを具備する。これらは回転刃11を挟持固定し、図示しない回転動力によって高速回転する。
回転軸12Sの傾斜角度は30度程度である。
【0032】
(安全カバー13)
安全カバー13は、把持棒10の先端付近にて把持棒10と交差するように固定される横長扁平の弯曲板である。この弯曲板は、下方の回転刃11の周囲に沿う略円弧状に緩曲してなり、回転刃11が操作者等を裂傷しないように、操作安全のために回転刃11の操作者側を覆う。
【0033】
(円盤2)
本発明の刈払い機用刈刃ガードは、刈払い機1の把持棒10の先端にある回転刃11の刃面に沿って固定される円盤2を具備する。円盤2は、後述の固定手段(中央部固定手段3及び端部固定手段4)によって、刈払い機1の先端にある回転刃11のいずれかの面に沿って、回転刃11と重なるようにして回転刃と平行に固定される。刃面と略平行に固定されることで、回転刃の下方をガードする。固定された状態では、回転刃11の回転軸12Sと円盤2の中心とが共通する。回転刃11の下方の不要な裂傷をガードするためには、実施例のように回転刃11の下面と対向して固定されることが好ましい。
【0034】
この円盤2には、円盤2の外周に亘って、所定の櫛ピッチ21pの櫛部21と、櫛ピッチ21pよりも大きな幅の切欠部22とが設けられる。また円盤2は、櫛部21を具備した状態で回転刃11よりも大きな最外周(櫛部21の先端同士の最遠距離)となる。
円盤2はまた、周囲全体に亘って櫛部21と切欠部22とを備えてなる。これにより、円盤2の最外形は櫛部21の先端同士の最遠距離となるが、この円盤2の最外形は、回転刃11よりも大きく、これにより円盤2の最外周よりも外へ回転刃11の刃部11Bが突出しないようになっている。
【0035】
円盤の外径は、200ないし300mm程度、例えば230mmや250mmであることが好ましく、円盤2の厚さは、2.0mm以下、例えば1.6mm程度であることが好ましい。
【0036】
(櫛部21)
櫛部21は、円盤2の中心から外周へ向く方向へ放射状に設けられる。櫛部21が設けられる範囲は、円盤2外周のうち、切欠部22の所定範囲を除く残りの範囲である。実施例では、円形外形の円盤2の周囲に、円盤2の径を小さくするようにして複数の半円弧状カットを等間隔をあけて均等に施すことで、円盤2の円形の外周の一部と、その左右の円弧曲線とからなる三方曲線で囲われた櫛が、円盤2周囲へ連続的に形成される。
【0037】
櫛ピッチ21pは、被切削部の断面の最大幅よりも小さい必要がある。また、櫛は、刃物よりも出ている必要がある。
【0038】
この半円弧状のカット深さは例えば2.5mm程度、すなわち半円弧の半径が2.5mm程度であり、回転刃11の刃部11Bの径方向長さよりもわずかに小さい。
【0039】
(切欠部22)
切欠部22は、円盤2の周囲に沿って、円盤2の所定範囲を部分的に切り欠いて設けられる。この切欠部22を設けた所定範囲では、重なった回転刃11の刃部11Bが露出する。この切欠部22は具体的には、円盤2の中央付近を中心角とする扇形曲線と、その両端から円盤2外周に向かう径方向の直線とによって形成される。
【0040】
切欠部22の設けられる所定範囲について、切欠部22の幅(切欠幅22w、すなわち円盤2の円周に沿う方向の長さ)は、少なくとも櫛ピッチ21pよりも大きく、さらに言えば、櫛ピッチ21p2つ分(3本の櫛で形成される2つの櫛間空間)が纏まった幅より大きく、例えば櫛ピッチ21p2つ分ないし5つ分の範囲にあるものが好ましい。本発明の刈払い機用刈刃ガードがガード機能を維持するためには、円盤2の周囲のうち、(多くとも)中心角180度未満の範囲を所定範囲とすることが好ましい。実施例1では円盤2と共通する中心であって、回転刃11の刃部11B3つ分よりもわずかに小さい、中心角40度の円弧を有する。
【0041】
切欠部22の切欠き深さ22l(円盤2の径方向に沿う方向の長さ)は、少なくとも、回転刃11の刃部11Bの径方向の長さよりも大きい。
【0042】
なお、実施例1の切欠部22は中心角40度のもの一つだけであるが、このほか、実施例3のように二つ、或いはそれ以上の複数個設けても良い。例えば複数個の中心角の異なる切欠部22を円盤2の周囲に設けたものとすれば、必要な刈り幅の大きさに応じて適度な大きさの切欠部22を使用することで、櫛ピッチ21pよりも大きな範囲の纏め刈りにおいても、より安全な刈払いを行うことができる。
【0043】
(切欠部22の位置)
刈払い機用刈刃ガードが刈払い機1に固定された状態で、円盤2の外周の切欠部22が、回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置にある。実施例1では、把持棒10の基端側であって、片側(左側)に寄った位置である。実施例2及び3では、把持棒10の基端側であって、把持棒10を中心に左右均等な位置である。このように、切欠部22を把持棒10に対して左右均等な位置に設けることで、例えば障害物の反対側を刈払うために使用者が大きく移動する必要が無くなるなど、操作性が向上する。
【0044】
例えば、ガードレールポストの周りに大きな雑草があった場合、片側しか大きな切欠部22がないと、使用者がガードレールを越えて向こう側に移動し、移動した向こう側から刈らなければならない場合も考えうる。これに対して実施例2(或いは3)のように二つの切欠部22を把持棒10の両側に同じ長さで設けたものとすれば、把持棒10を操作し、回転刃11をうまくまわしこむことで、使用者の足元の移動をほとんどせずにガードレールポストの右側及び左側のいずれも、手前側及び奥側に亘って刈ることができる。
【0045】
(開口部23)
開口部23は、円盤2内部に設けられた刈草を排出する孔であり、複数個(実施例では4つ)が、円盤2中心を対称として設けられる。少なくとも櫛ピッチ21p幅及び櫛長さ21lを含む大きさであれば、開口形状は、円形、長円形、楕円形、方形等、任意の形状とすることができる。実施例では扇形から中心角側を同一中心の円弧曲線によって除いた、部分扇形状からなる。この開口形状に関し、回転中の回転刃11から出てくる刈草を排出すべく、実施例のように外周側及び中心側を円弧曲線で囲まれることが好ましい。
【0046】
開口形状を部分扇形とする場合、扇部分の部分円弧の中心角は、より大きな孔によって刈草を効率的に排出すべく、中心角は35度ないし40度以上、さらには45度以上、またさらには90度程度であることが好ましい。ただし中心角120度程度以下のものを複数個設けることで、ガード機能を発揮するだけの円盤2の強度を確保することが好ましい。実施例では略90度である。
【0047】
なお、前記開口部23と併せて、円盤2がある程度の曲げ弾性機能を有するものとし、かつ円盤2と回転刃11との間に弾性部材を挟設することで、回転刃11との間に刈り草が詰まったときに、円盤と回転刃の間が円盤の曲げ方向の弾性変形によって広がるものとしてもよい(図示せず)。このとき、弾性部材は、例えば回転軸12Sと同軸の円筒状の発泡材を使用することが好ましい(いずれも図示せず)。
【0048】
或いは、前記開口部23と併せて、回転刃11に切起し部を設け、回転刃の回転によって切起し部がフィンの役割を果たすことで開口部23の外へ刈り草を排出するものとしても良い。このとき、切起し部は開口部23の図心を中心として弯曲して伸びる弯曲突条からなることが好ましい(いずれも図示せず)。
【0049】
(固定手段)
固定手段は、第一及び第二の固定孔3H、4Hと、それぞれ第一および第二の固定孔3H、4Hにて、刈払い機1と円盤2とを連結する第一および第二の連結具3C、4Cと、を具備する。具体的には、円盤2の中央部で固定される中央部固定手段3と、円盤2の端部で固定される端部固定手段4と、から構成される。
【0050】
先ず、中央部固定手段3は、円盤2の中央に設けた第一の固定孔3Hと、第一の固定孔3Hにて、刈払い機1の把持棒10と円盤2とを連結する第一の連結具3Cと、を具備してなる。この中央部固定手段3は、把握持棒への固定手段を兼ねる。
【0051】
第一の固定孔3Hは、円盤2の中央の大孔及びその周囲に4つ等間隔に設けた小孔とからなる。大孔は、円形のパッキン12P及び回転刃11を介して把持棒10の先端の回転軸12Sに挿通され、さらにその上側を、第一の固定具3Cたるカップ部材によってボルト固定される。この第一の固定具たるカップ部材は、ベアリング12Bによって、円盤2と一体固定された外周部が自由回転可能となる。これにより、円盤2と第一の固定手段とが固定され、円盤2及び第一の固定手段が回転軸12Sに対して、左右両方向へ自由回転可能に固定される。
【0052】
次に、端部固定手段4は、円盤2の端部寄りの位置に設けた第二の固定孔4Hと、第二の固定孔4Hにて、それぞれ刈払い機1の安全カバー13と円盤2とを連結する第二の連結具4Cと、からなる。
【0053】
第二の固定孔4Hは、円盤2の中心から外れた端部寄りの位置に複数個設けられる。実施例では円盤2の外周付近であって、4本ある十字枠のひとつの幅中心にボルト孔が二つ、円盤2の直径上に並設される。第二の連結具4Cは、90度以上の角度で折れ曲がった折曲板からなり、その一端側が、前記第二の固定孔4Hにて円盤2にボルト固定されるとともに、その多端側が、刈払い機1の把持棒10或いはその付属品へボルト固定される。実施例では、把持棒10の先端付近に固定された、刈払い機1の付属品たる安全カバー13を介して、間接的にボルト固定される。つまり実施例1においては、第一の固定具3Cによって円盤2を回転軸12Sに対して自由回転可能とするとともに、第二の固定具4Cによって円盤2を回転不能の状態で固定している。
【0054】
なお、この安全カバー13は、前記したとおり、下方の回転刃11の周囲に沿うように固定された略円弧状の弯曲板からなり、回転刃11が操作者等を裂傷しないように、操作安全のために回転刃11の操作者側を覆う。
【実施例2】
【0055】
実施例2の刈払い機1は、安全カバー13を備えず、より軽量で、安全カバー13部分すなわち回転刃11の把持棒10寄り(手前側)の視界を良好なものとしている。実施例2の刈払い機1は、刈払い機用刈刃ガードの切欠部22を、使用者の手前寄りであって、切欠幅22wの中央に把持棒10が位置するように、左右対称に取り付けてなる。具体的には、第二の固定手段を構成する第二の固定孔4Hを、切欠部22の中心角を等分した位置の半径上に設け、刈払い機用刈刃ガードを刈払い機1に取り付けた取り付け状態において、切欠部22を左右に均等な位置に設けたものとしている。
【0056】
実施例2の切欠部22は、直線の両端に4分の一円が連なってなる、長手方向に分断した半長円の切欠線、すなわち横長扁平の略U字状の切欠線から構成される。円盤の仮想円周線を考慮したとき、切欠深さ22lが、切欠部の両端から中央に行くにしたがって長いものとなる。これにより、刃物によって円盤から押し出される刈草を抱え込むような形となり、切削効率の高いものとなる。
【0057】
実施例2の端部固定手段3のうち第二の連結具3Cは、90度で一回折曲した長板からなり、一端が円盤2の第二の固定孔3Hを介して固定されると共に、多端が把持棒10の先端近傍を挿通させて把持棒10に直接取り付けられる。これにより、第二の連結具3Cは実施例1の安全カバー13の役割をも果たすこととなり、また、使用者から見て回転刃11の手前側の視界が安全カバー13等によってさえぎられないため、この手前寄りの刈払いが容易なものとなる。
【0058】
特記しないその他の構成は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0059】
実施例3の刈払い機1は、安全カバー13及び端部固定手段4を備えず、より軽量なものとすると共に、手前側の刈り払いをより容易に行えるものとしている。また、実施例1のような第二の連結具4Cを設けず、その代わりに、第一の連結具3Cとして、円盤2の中央下部に、山形錐状体の回転カップを、回転軸12Sの回転方向に対して逆回転可能に取り付けてなる。第一の連結具3Cたる回転カップは円盤2に固定されるため、この回転カップが回転軸12Sと逆方向に相対回転したとき、円盤2は非回転となる。
【0060】
このような回転カップは例えば、回転刃11の回転軸12Sの周囲へ同軸回転する外歯ギヤ31Gを設け、この外歯ギヤ31Gに噛合する遊星ギヤ31Gを介して、回転軸12Sと同軸の内歯ギヤ33Gを回転カップ内に固定することでも成立しうる。ここで円盤は第一の連結具3Cたる回転カップと固定される。
【0061】
回転軸12Sが高速回転したとき、第一の連結具3Cたる回転カップが地面と接することで遊星ギヤ31Gが回転駆動し、回転カップが回転軸12Sに対して、回転軸12Sと反対方向に同回転数で回転する。回転刃11は非回転の把持棒に対して回転し、回転カップがその回転刃11に対して反対方向へ回転するため、回転カップ円盤は回転せずのみが回転することになる。ここで、回転カップを非回転にさせるべく回転カップを芝面に接触させたとき、遊星ギヤ32Gのギヤ抵抗力によって、回転刃を走行させる走行力が働く。すなわち、回転カップが地面と接することで、接した点の接線方向に走行力が働き、切り込み動力に使える。刃物の傾きにより接触点が変わり、走行する向きが変わる。また、接触点と刃物までに高さ方向に距離があるため、ある程度刈高さを維持できる利点がある。これは、本発明の刈払い機用刈刃ガードをつけることで、支える重さが増すことと、切削抵抗が増えるという課題を解決するものである。
【0062】
(切欠部22の数と位置)
実施例3の切欠部22は、中心角40度のものが2つ、互いに近接した位置へ併設される。これら切欠部2はいずれも円盤回転刃11を固定する把持棒10寄りの位置であって、把持棒10を中心とした左右に均等な位置である。
【0063】
特記しないその他の構成は、実施例1と同様である。
【0064】
その他、本発明は上述した実施例の構成に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形、組み合わせが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
このようにして得られた各実施例の刈払い機用刈刃ガード及びこれを備えた刈払い機1は、櫛ピッチ21p以上の雑草や不要材を刈ること、或いは櫛ピッチ21p以上の領域の草をまとめて効率的に刈ることが可能である。このため、特に芝内に植木やオブジェを配置した場合など、入り組んだ領域や傾斜面の芝払いとして好適に使用されるが、その他、芝刈りの範囲や刈高の精度など、必要な任意の状況に応じた芝の刈払いとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例1の刈払い機1を示す斜め下方からの斜視部分説明図である。
【図2】図1に示す刈払い機1の斜め上方からの斜視部分説明図である。
【図3】図1に示す刈払い機1の先端部分の側面視一部断面説明図である。
【図4】図1に示す刈払い機1の先端部分の斜め下方からの斜視分解説明図である。
【図5】本発明の実施例1の刈払い機用刈刃ガードの斜視図である。
【図6】図5に示す実施例1の刈払い機用刈刃ガードの平面視説明図である。
【図7】図5に示す実施例1の刈払い機用刈刃ガードの正面視説明図である。
【図8】図5に示す実施例1の刈払い機用刈刃ガードのA−A断面図である。
【図9】本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例2の刈払い機1を示す斜め下方からの斜視部分説明図である。
【図10】図9に示す刈払い機1の先端部分の側面視一部断面説明図である。
【図11】本発明の刈払い機用刈刃ガードを取り付けた実施例3の刈払い機1の先端部分の側面視一部断面説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 刈払い機
10 把持棒
11 回転刃
11B 刃部
12 回転機構
12B ベアリング
12S 回転軸
12C カップリング
12P パッキン
13 安全カバー
2 円盤
21 櫛部
21p 櫛ピッチ
21l 櫛長さ
22 切欠部
22l 切欠深さ
22w 切欠幅
23 開口部
3 中央部固定手段
3H 第一の固定孔
3C 第一の連結具
31G 外歯ギヤ
32G 遊星ギヤ
33G 内歯ギヤ
4 端部固定手段
4H 第二の固定孔
4C 第二の連結具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払い機の先端にある回転刃の刃面に沿って固定される、回転刃よりも大きな最外周の円盤を具備してなるものであって、円盤の周囲に亘って、所定の櫛ピッチの櫛部と、櫛ピッチよりも大きな切欠幅の切欠部とを設けたことを特徴とする刈払い機用刈刃ガード。
【請求項2】
切欠部が円盤の周囲のうち中心角180度未満の範囲に設けられ、櫛部が円盤周囲のうち残りの範囲に設けられる請求項1記載の刈払い機用刈刃ガード。
【請求項3】
円盤内部に櫛ピッチの幅及び櫛長さを含む所定大の開口部を設けた請求項1または2記載の刈払い機用刈刃ガード。
【請求項4】
把持棒と、把持棒の先端へ回転可能に設けた略円形の回転刃とを具備し、この回転刃の円形面に沿って請求項1、2、または3のいずれか記載の刈払い機用刈刃ガードを取り付けてなる刈払い機であって、刈払い機用刈刃ガードが刈払い機に固定された状態で、円盤の外周の切欠部が、回転刃を固定する把持棒寄りの位置にあることを特徴とする刈払い機。
【請求項1】
刈払い機の先端にある回転刃の刃面に沿って固定される、回転刃よりも大きな最外周の円盤を具備してなるものであって、円盤の周囲に亘って、所定の櫛ピッチの櫛部と、櫛ピッチよりも大きな切欠幅の切欠部とを設けたことを特徴とする刈払い機用刈刃ガード。
【請求項2】
切欠部が円盤の周囲のうち中心角180度未満の範囲に設けられ、櫛部が円盤周囲のうち残りの範囲に設けられる請求項1記載の刈払い機用刈刃ガード。
【請求項3】
円盤内部に櫛ピッチの幅及び櫛長さを含む所定大の開口部を設けた請求項1または2記載の刈払い機用刈刃ガード。
【請求項4】
把持棒と、把持棒の先端へ回転可能に設けた略円形の回転刃とを具備し、この回転刃の円形面に沿って請求項1、2、または3のいずれか記載の刈払い機用刈刃ガードを取り付けてなる刈払い機であって、刈払い機用刈刃ガードが刈払い機に固定された状態で、円盤の外周の切欠部が、回転刃を固定する把持棒寄りの位置にあることを特徴とする刈払い機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−295850(P2007−295850A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126827(P2006−126827)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(599157930)有限会社 ヤブタ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(599157930)有限会社 ヤブタ (6)
【Fターム(参考)】
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