説明

刈払機用回転刃装置

【課題】コードカッターによる小石や泥等の飛散を抑えつつ、つる草等が円盤形状刃に巻き付くのを抑え、市販の刈払機に取り付けることが可能な回転刃装置の提供を目的とする。
【解決手段】円盤形状刃と当該円盤形状刃の下面中央部に設けた収納凹部と当該収納凹部の内側に取り付けたコードカッターからなり、前記コードカッターの外周部から延出したコード刃と前記円盤形状刃の下面との間の隙間が10mm以下であることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は刈払機のヘッド部に取り付ける回転刃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草等の刈払機としては、電動機や小型エンジンの駆動力をパイプ状の操作管に内蔵した伝達軸を介して、この操作管のヘッド部に取り替え可能に回転刃を取り付けたものが用いられている。
このような刈払機に用いられる回転刃には、外形が円盤形状の金属製からなる回転刃とナイロン等の樹脂製からなる紐状のコード刃からなるコードカッターの2種類が主に存在する。
円盤形状刃は鋼材を用いた外形が円盤状の本体の外周部に刃先を形成した丸のこや、この刃先に各種チップを埋設したチップソー等があり、相対的に硬い茎からなる牧草、雑草の刈払いや小さな樹木、小枝、笹等の刈払いに適している。
近年は刈り取る雑草、笹等の対象物に応じて刃先形状、刃数、チップ材質等が選べるようになっていて、比較的高価なものも多いが、石やコンクリート等に刃先が当たってしまうと一瞬にして刃こぼれを起こしてしまう問題があった。
また、円盤形状刃はつる状の雑草が巻き付きやすい問題もあった。
そこで小石やコンクリート等の障害物が多い場合や地形が複雑な形状をしている場合で、比較的やわらかい雑草等の場合にはナイロン製等の紐からなるコード刃を高速回転させ、その遠心力で草を刈るコードカッターを取り付けた刈払機が用いられている。
ところがこのコードカッタータイプはコード刃を約6000rpm以上の高速回転をさせて用いることから刈り屑のみならず、小石や泥等を飛散させるので作業者は全身を防護しなければならないだけでなく、小石等の飛散により、周辺にある窓ガラスを破損したり、器物に傷をつけたりする恐れがあった。
そこで用途に応じて円盤形状刃とコードカッターとを付け替えたり予め2台の刈払機を用意したりして対応していた。
【0003】
このような不便を解消すべく特許文献1は、鉄製の刈り刃の下に紐の刈り刃を取り付けた草刈機の刃を開示する。
しかし、同公報に開示する刃は、鉄製の刈り刃と紐の刈り刃との間隔を3〜4cmに設定しなければならないものであり、これだけ間隔があいていると単に鉄製の刈り刃と紐の刈り刃とを組み合せた効果しかなく、かならずしも実用的でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4113916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コードカッターによる小石や泥等の飛散を抑えつつ、つる草等が円盤形状刃に巻き付くのを抑え、市販の刈払機に取り付けることが可能な回転刃装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る刈払機用の回転刃装置は、円盤形状刃と当該円盤形状刃の下面中央部に設けた収納凹部と当該収納凹部の内側に取り付けたコードカッターからなり、前記コードカッターの外周部から延出したコード刃と前記円盤形状刃の下面との間の隙間が10mm以下であることを特徴とする。
ここで、好ましくは、前記コード刃と円盤形状刃の下面とが概ね接触しているのがよい。
【0007】
本発明に係る回転刃装置に用いる円盤形状刃は丸のこでもチップソーでもよく、この回転刃の下面中央部に収納凹部を設けたことにより、例えば、つば付ハットや麦わら帽子のような形状になり、この収納凹部にコードカッターを取り付けるとコード刃と円盤形状刃のつば状の刃先との間の隙間を10mm以下、好ましくはこの隙間がほぼなくなるように配置することができる。
また、コード刃の摩耗に応じてリール部からコード刃を巻き出すことができる。
ここで、コード刃の巻き出し量はコード刃の先端が円盤形状刃の外周端よりも10〜50mmの範囲となる長さが好ましい。
特にコード刃による小石や泥等の飛散を少なく抑えるには上記コード刃の突出量を10〜30mmに設定するのがよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る回転刃装置は円盤形状刃の下面にコード刃が接触するように、あるいは、その隙間が10mm以下になるようにコードカッターを取り付けたので次のような作用、効果が生じる。
コンクリート等の硬い障害物を有するきわの草刈り時にはコード刃が草を刈り払ってくれるとともにコード刃がコンクリート等に当たる反発力にて、それ以上、円盤形状刃がコンクリート等に当たるのを抑えるので刃こぼれするのを防止する。
また、コード刃に小石等が当たってもこのコード刃のほぼ真上に円盤形状刃が位置しているので小石等の飛散を抑える。
作業者が刈払機のハンドル等を持って操作管を左右に操作し、このヘッド部に取り付けた回転刃装置が地面を這うように草刈り作業をしている状態では小石等が上方に飛び散るのをこの円盤形状刃が防ぐので従来は、作業者が全身を防護しなければならなかったのに対して本発明に係る回転刃装置を用いると足元付近の簡単な防護で済む、従って、コード刃と円盤形状刃の下面との間の隙間は小さい方がより効果的であり、コード刃の突出量も短い方が好ましい。
また、つる状の草が多い場合には、本発明に係る回転刃装置でつる状の草を上から押さえるようにするだけでコード刃がこのつる草を刈り払うので円盤形状刃につる草が巻き付きにくくなる。
従って、地形が複雑な形状を有し、左右方向に回転刃を移動できない場合にも上から草を刈り払うことができる。
これにより円盤形状刃とコードカッターとの単なる組み合せでない優れた効果を得ることができ、コンクリート、小石等の障害物とコード刃で刈り取りできない硬い草等の混在地にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る回転刃装置を刈払機のヘッド部に取り付けた状態の側面視を示す。
【図2】回転刃装置を下面側から見た図を示す。
【図3】刈払機のヘッド部に刃を取り付ける手順を示し、(a)はヘッド部の取付軸の例を示し、(b)は取付軸に円盤形状刃を取り付けた状態を示す。
【図4】(a)は取付軸にコードカッターのケース部を取り付ける状態、(b)はこのケースにリール部を取り付ける状態を示す。
【図5】コードカッターのケース部にカバー部を取り付け、刈払機のヘッド部に本発明に係る回転刃装置を取り付け完了した状態を示す。
【図6】円盤形状刃の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る回転刃装置10の構造例を以下図面に基づいて説明する。
図1に示すように刈払機の操作管1のヘッド部2に回転刃装置10を取り付ける。
取り付け手順例は後述する。
図示を省略したが、操作管1の他端には電動機、小型エンジン等の駆動装置が連結されていて、操作管1の内部には伝達軸が内蔵されていて、ヘッド部2にはギヤが内蔵され、図3(a)に示すように取付軸3が回転制御されている。
この取付軸3に円盤形状刃11とコードカッター12を取り付ける。
本実施例は、図2に示すように円盤形状刃11の外周部の刃先にチップ11dを埋め込んだチップソー(一部のみ図示する)の例を示したが刃先形状に制限はない。
円盤形状刃11は取付部の有する下面11c側中央部を上方に向けて麦わら帽子状に突出させることでコードカッター12を収納するための収納凹部11aを形成した。
円盤形状刃11の断面図を図6に示す。
つば部11bの中心側に設けた収納凹部の深さb及び内径はコードカッター12が納まり、コードカッター12のコード刃12aが円盤形状刃11の下面11cに接触する寸法に設定する。
なお、コード刃12aはナイロン紐等の紐状であるために高速回転による遠心力にて草を刈り取ることから上下方向の多少のずれは許容されることから円盤形状刃11の下面11cとコード刃12aとの間の間隔(隙間)が10mm以下であれば実用上問題はない。
コード刃12aの長さは図2に示すように円盤形状刃11の刃先から外側に突出する長さaが10〜50mmの範囲、好ましくは10〜30mmの範囲に設定する。
【0011】
次に回転刃装置11を刈払機のヘッド部2に取り付ける手順例を説明する。
図3(a)に示すように市販されている一般的な刈払機は、めねじ部3aを有する取付軸3となっている。
これに図3(b)に示すように円盤形状刃11の取付孔11eを取付軸3に挿入し、その上から図4(a)に示すようにコードカッター12のケース部12bを取り付けてボルト4のおねじ部4aを取付軸3のめねじ部3aに螺合し、固定する。
ケース部12bの内側にコード刃12aを巻き付けたリール部12cを装着し、ケース部に設けた爪部112bを介して図5に示すようにカバー部12dを取り付ける。
このように本発明に係る回転刃装置は市販されている刈払機に取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0012】
1 操作管
2 ヘッド部
3 取付軸
10 回転刃装置
11 円盤形状刃
11a 収納凹部
11b つば部
11c 下面
12 コードカッター
12a コード刃
12b ケース部
12c リール部
12d カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤形状刃と当該円盤形状刃の下面中央部に設けた収納凹部と当該収納凹部の内側に取り付けたコードカッターからなり、前記コードカッターの外周部から延出したコード刃と前記円盤形状刃の下面との間の隙間が10mm以下であることを特徴とする刈払機用の回転刃装置。
【請求項2】
前記コード刃と円盤形状刃の下面とが概ね接触していることを特徴とする請求項1記載の刈払機用の回転刃装置。
【請求項3】
前記コードカッターのコード刃の先端が前記円盤形状刃の外周端よりも10〜50mmの範囲で突出していることを特徴とする請求項1又は2記載の刈払機用の回転刃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46577(P2013−46577A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185607(P2011−185607)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(399060171)
【Fターム(参考)】