説明

判別プログラム、判別装置および判別方法

【課題】事前データの採取または分析を必要としたり、特定の場所に限定されたりすることなく、物体に対して他の物体が行った操作を判別することを課題とする。
【解決手段】判別装置50は、属性情報記憶部51と、情報収集部52と、属性取得部53と、操作内容判別部54とを有する。情報収集部52は、各物体に貼付されたタグから、該タグに一意に付与されるタグ識別子および属性情報に一意に付与される属性情報識別子をそれぞれ繰り返し収集する。属性取得部53は、属性情報記憶部51から、情報収集部52により収集された属性情報識別子に対応する属性情報をそれぞれ取得する。操作内容判別部54は、情報収集部52により繰り返し収集された複数のタグ識別子および属性情報識別子の収集履歴推移と、属性取得部53により取得された属性情報とに基づいて、物体に対して他の物体が行った操作内容を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、判別プログラム、判別装置および判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活や業務において、人がモノ(物)に触るという行為をセンシングすることにより、人の行動を推測したり判別したりする技術が提案されている。そして、この技術により得られた人の行動に関する情報は、各種サービスを人に提供する場合に利用される。
【0003】
例えば、人がモノに触れたことを検知する技術や、人がモノに対して行った操作を判別する技術には、以下に説明するような従来技術1〜5が存在する。
【0004】
従来技術1は、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどの「物品識別子」をモノに貼付しておく。そして、従来技術1は、タグから取得される識別情報をインデックスとして、データベースからモノの名称、すなわち「名詞」と、その名詞に関係するユーザの行動、すなわち「動詞」を取得することにより人の行動を推定する。例えば、従来技術1は、データベースから取得したモノの名称について、全ての動詞に対する条件付確率を求めてから、ベイズの定理を用いてモノの名称に対する動詞の確率を求める、いわゆる「確率的手法」により人の行動を推定する。
【0005】
また、従来技術2は、モノに貼付されたタグの読み取りにより、人がある行動を取ったときに触れたモノを検知する。続いて、従来技術2は、人の行動と、この行動に伴って検知されたモノとの因果関係を、ベイジアンネットワーク(Bayesian Network)を用いて解析する。そして、従来技術2は、この解析結果に基づいて、人の行動、人の振る舞いを推定する。
【0006】
また、従来技術3は、タグが貼付されたモノが陳列されている棚に無線タグ読取装置を設置しておく。続いて、従来技術3は、棚に置かれているモノに貼付されているタグを無線タグ読取装置で読み取ることにより検知する。そして、従来技術3は、無線タグ読取装置によるタグの検知履歴の変化に基づいて、例えば、人が「棚からモノを借りた」、「棚にモノを返却した」などというような行動を判別する。
【0007】
また、従来技術4は、人にタグ読取装置を携行させる。次に、従来技術4は、タグ読取装置でタグを読み取ることにより、人が何らかの操作に伴って触れたモノに貼付されたタグを検出する。続いて、従来技術4は、検出されたタグが貼付されているモノと、モノが検出されたときの人の操作の組合せの検出順序を元にして、人の行動パターンを表す特徴量を算出する。そして、従来技術4は、この特徴量の出現頻度を用いて、人の行動、人の振る舞いを判別する。
【0008】
また、従来技術5は、薬瓶、患者、看護師などに対して電界通信タグを貼付しておく。そして、従来技術5は、看護師がモノに触れたときに、看護師が触れたモノに貼付されたタグの情報を読み取る。このようにして、従来技術は、人が触れたモノを判別する。従来技術5には、患者に対して投薬する薬が適切かどうかを照合する、いわゆる三点認証への応用が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−41923号公報
【特許文献2】特開2007−109110号公報
【特許文献3】特開2007−137636号公報
【特許文献4】特開2008−97472号公報
【特許文献5】特開2009−224891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来技術1〜5は、以下のような問題があった。従来技術1および2は、ともに、人の状態推定に利用するための確率値を決定する必要があるので、膨大な事前データを取得して分析する必要があるという問題があった。従来技術3は、無線タグ読取装置を設置可能な「棚」など、人がモノに対して行った操作を判別できる場所が限定されるという問題があった。従来技術4は、人の行動パターンを判別するために、「モノに触った」ときのサンプルデータを用いて、上述した特徴量を予め算出しておく必要があるという問題があった。従来技術5は、人がモノに触れたことを検知するが、人がモノに対して行った操作までは判別できないという問題があった。
【0011】
すなわち、上述した従来技術1〜5を用いて、人がモノに対して行った操作を判別するためには、事前にデータ採取をして分析を必要としたり、特定の場所に限定したりする必要があるという問題があった。
【0012】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、事前にデータ採取をして分析を必要としたり、特定の場所に限定されたりすることなく、物体の操作を判別可能な判別プログラム、判別装置および判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の開示する技術は、一つの態様において、物体の操作を判別するコンピュータに実行させる判別プログラムである。そして、各物体に貼付されたタグから、該タグに一意に付与されるタグ識別子と、物体ごとに予め紐付けられる属性情報に一意に付与される属性情報識別子とをそれぞれ繰り返し収集する情報収集手順をコンピュータに実行させる。また、属性情報と属性情報識別子とを対応付けて記憶する属性情報記憶部から、情報収集手順により収集された属性情報識別子に対応する属性情報をそれぞれ取得する属性取得手順をコンピュータに実行させる。また、情報収集手順により繰り返し収集された複数のタグ識別子および属性情報識別子の収集履歴推移と、属性取得手順により取得された属性情報とに基づいて、物体に対して他の物体が行った操作内容を判定する操作内容判別手順をコンピュータに実行させる。
を実行させる
【発明の効果】
【0014】
本願の開示する技術の一つの態様によれば、事前にデータ採取をして分析を必要としたり、特定の場所に限定されたりすることなく、物体に対して他の物体が行った操作を判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例1に係る判別装置を示す図である。
【図2】図2は、実施例2に係る操作内容判別システムの構成を示す図である。
【図3】図3は、タグ検出履歴データベース302に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図4】図4は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図5】図5は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図6】図6は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図7】図7は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図8】図8は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図9】図9は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図10】図10は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図11】図11は、あるユーザの「モノ」に対する操作の一例を示す概念図である。
【図12】図12は、図11に示すユーザの操作に伴って記録されるタグの検出履歴データの推移を示す図である。
【図13】図13は、操作履歴データベース410に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図14】図14は、備品検索画面の一例を示す図である。
【図15】図15は、タグ読取装置200による処理の流れを示す図である。
【図16】図16は、操作判別装置304により実行される処理のメインルーチンの流れを示す図である。
【図17】図17は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の基本的な流れを示す図である。
【図18】図18は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例1を示す図である。
【図19】図19は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例2を示す図である。
【図20】図20は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例3を示す図である。
【図21】図21は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例4を示す図である。
【図22】図22は、図21に示す操作内容判別処理の流れの具体例4の補足説明図である。
【図23】図23は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例5を示す図である。
【図24】図24は、判別プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本願の開示する判別プログラム、判別装置および判別方法の一実施形態について詳細に説明する。なお、本願の開示する判別プログラム、判別装置および判別方法の一実施形態として後述する実施例により、本願が開示する技術が限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る判別装置を示す図である。図1に示すように、実施例1に係る判別装置50は、属性情報記憶部51と、情報収集部52と、属性取得部53と、操作内容判別部54とを有する。
【0018】
属性情報記憶部51は、物体ごとに予め紐付けられる属性情報をそれぞれ記憶する。情報収集部52は、各物体に貼付されたタグから、該タグに一意に付与されるタグ識別子および属性情報に一意に付与される属性情報識別子を繰り返し収集する。
【0019】
属性取得部53は、属性情報記憶部51から、情報収集部52により収集された属性情報識別子に対応する属性情報をそれぞれ取得する。操作内容判別部54は、情報収集部52により繰り返し収集された複数のタグ識別子および属性情報識別子の収集履歴推移と、属性取得部53により取得された属性情報とに基づいて、物体に対して他の物体が行った操作内容を判別する。
【0020】
判別装置50は、複数のタグ識別子および属性情報識別子を含むタグの検出履歴の推移と、タグが貼付された物体の属性情報とに基づいて、物体に対して他の物体が行った操作内容を判別する。このようなことから、判別装置50は、事前にデータ採取をして分析を必要としたり、特定の場所に限定されたりすることなく、物体に対して他の物体が行った操作を判別できる。
【実施例2】
【0021】
[情報検索装置の構成(実施例2)]
図2は、実施例2に係る操作内容判別システムの構成を示す図である。図2に示すように、実施例2に係る操作内容判別システムは、タグ読取装置200と、コンピュータシステム300と、サービス提供装置400とを有する。
【0022】
コンピュータシステム300は、無線LAN(Local Area Network)を介して、タグ読取装置200と通信可能な状態に接続される。また、コンピュータシステム300は、ネットワーク5を介して、サービス提供装置400と通信可能な状態に接続される。なお、ネットワーク5は、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、インターネットなどに該当する。
【0023】
タグ読取装置200は、ユーザにより携行される。そして、タグ読取装置200は、物体1〜3のそれぞれに貼付されたタグ100A〜100Cを検出する。タグ読取装置200は、図2に示すように、タグ読取部200Aおよび通信部200Bを有する。
【0024】
例えば、タグ読取部200Aは、0.1秒、0.5秒、1秒、3秒など、任意に定められた時間間隔で、通信可能範囲内にあるタグの検出を繰り返し試みる。そして、タグ読取部200Aは、タグを検出すると、検出したタグから、タグIDおよび属性情報インデックスを取得する。タグIDは、タグに一意に付与される識別子である。属性情報インデックスは、物体に予め紐付けられる属性情報に一意に付与される識別子である。ここで、属性情報とは、例えば、物体が可搬性を有するか否かを示す情報や、他の物体を乗せる・入れる・運ぶなどの物体の役割を示す情報、物体の設置場所に関する情報に該当する。
【0025】
通信部200Bは、コンピュータシステム300との間でやり取りされる各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信部200Bは、タグの検出時刻、タグ読取装置200を携行するユーザ情報、タグ読取部200Aにより取得されたタグIDおよび属性情報インデックスをコンピュータシステム300に送信する。
【0026】
コンピュータシステム300は、図2に示すように、通信装置310、タグ検出履歴データベース302、物体データベース303、操作判別装置304およびサービス提供装置305を有する。通信装置310、タグ検出履歴データベース302、物体データベース303、操作判別装置304およびサービス提供装置305は、ネットワーク5を介して、通信可能な状態で相互に接続される。
【0027】
通信装置301は、タグ読取装置200との間でやり取りされる各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信装置301は、タグ読取装置200から受信したタグの検出時刻、ユーザ情報、タグIDおよび属性情報インデックスをタグ検出履歴データベース302に記録する。
【0028】
タグ検出履歴データベース302は、タグ読取装置200により検出されたタグの検出履歴を蓄積する。例えば、タグ検出履歴データベース302は、タグ読取装置200によるタグの検出時刻、タグ読取装置200のユーザ情報、タグ読取部200Aにより取得されたタグIDおよび属性情報インデックスを対応付けて、タグの検出履歴として記憶する。
【0029】
図3は、タグ検出履歴データベース302に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。例えば、図3に示すように、タグ検出履歴データベース302は、検出時刻「**年*月*日*時*分*秒」およびタグ読取装置の使用者「A」について、複数のタグのIDと属性情報インデックスとの対を記憶する。例えば、図3に示すように、タグ検出履歴データベース302は、タグのID「005」と属性情報インデックス「1」との対、タグのID「012」と属性情報インデックス「2」との対、タグのID「XXX」と属性情報インデックス「N」との対を記憶する。
【0030】
物体データベース303は、タグが貼付された物体についての情報、具体的には、物体に予め紐付けられる属性情報を記憶する。例えば、物体データベース303は、属性情報に一意に付与される属性情報インデックス、物体の名称、物体の可搬性、物体の役割および物体の設置場所の情報を対応付けて記憶する。なお、以下、「モノ」と記述した場合には、ユーザの操作の対象となる、いわゆる物品に該当する。
【0031】
図4〜図10は、物体データベース303に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。例えば、図4に示すように、物体データベース303は、属性情報インデックス「1」、名称「テーブル」、可搬性「固定」、役割「モノを載せる」、設置場所「4A室」を対応付けて記憶する。また、図5に示すように、物体データベース303は、属性情報インデックス「2」、名称「トレイ」、可搬性「可動(手持ち移動可能)」、役割「モノを運ぶ」を対応付けて記憶する。
【0032】
また、図6に示すように、物体データベース303は、属性情報インデックス「3」、名称「箱」、可搬性「可動(手持ち移動可能)」、役割「モノを入れる」を対応付けて記憶する。また、図7に示すように、物体データベース303は、属性情報インデックス「4」、名称「ドアノブ」、可搬性「可動」、役割「ドアの開閉操作を行う」、設置場所「7A室」を対応付けて記憶する。
【0033】
また、図8に示すように、物体データベース303は、属性情報インデックス「5」、名称「鍵」、可搬性「可動」、役割「開錠・施錠する」を対応付けて記憶する。また、図9に示すように、物体データベース303は、属性情報インデックス「6」、名称「鍵穴付きドアノブ」、可搬性「可動」、役割「(1)ドアの開閉操作を行う,(2)ドアをロックする」、設置場所「9A室」を対応付けて記憶する。また、図10に示すように、物体データベース303は、属性情報インデックス「7」、名称「壁」、可搬性「固定」、役割「エリアの仕切り」、設置場所「10A階廊下」を対応付けて記憶する。
【0034】
なお、タグ検出履歴データベース302および物体データベース303は、一般的なPC(personal computer)やサーバ(sever)に該当する。
【0035】
操作判別装置304は、タグ検出履歴データベース302に記憶されるタグの複数の検出履歴の推移と、物体の属性情報とに基づいて、物体に対するユーザの操作内容を判別する。
【0036】
図11は、あるユーザの物体に対する操作の一例を示す概念図である。図11に示す11−1は、タグ読取装置200を携行するユーザを表すモデルである。図11に示す11−2,11−3は、テーブルを表すモデルである。図11に示す11−4は、ユーザ11−1により操作される箱を表すモデルである。図11に示す11Aは、ユーザ11−1により携行されるタグ読取装置を表すモデルである。図11に示す11Bは、テーブル11−2に貼付されたタグを表すモデルである。図11に示す11Cは、テーブル11−3に貼付されたタグを表すモデルである。図11に示す11Dは、箱11−4に貼付されたタグを表すモデルである。図11は、あるユーザが、1101→1102→1103の順に、テーブル11−2に置かれている箱11−4をテーブル11−3に移動させる操作を行う様子を示している。
【0037】
図12は、図11に示すユーザの操作に伴って記録されるタグの検出履歴データの推移を示す図である。なお、検出履歴データとは、タグの検出時刻、タグ読取装置200のユーザ情報、タグIDおよび属性情報インデックスに該当する。
【0038】
図12に示す1201は、図11に示す1101の時点でタグ検出履歴データベース302に記録されるタグの検出履歴データを表す。図12に示す1202は、図11に示す1102の時点でタグ検出履歴データベース302に記録されるタグの検出履歴データを表す。図12に示す1203は、図11に示す1103の時点でタグ検出履歴データベース302に記録されるタグの検出履歴データを表す。
【0039】
図12の1201に示すように、図11に示す1101の時点で、タグ検出履歴データベース302には、「箱のID」と属性情報インデックス「3」との対、および「テーブル11−2のID」と属性情報インデックス「1」との対が記録されている。また、図12の1202に示すように、図11に示す1102の時点で、タグ検出履歴データベース302には、「箱のID」と属性情報インデックス「3」との対のみが記録されている。また、図12の1203に示すように、図11に示す1103の時点で、タグ検出履歴データベース302には、「箱のID」と属性情報インデックス「3」との対、および「テーブル11−3のID」と属性情報インデックス「1」との対が記録されている。
【0040】
すなわち、操作判別装置304は、図11に示すようなユーザの操作内容を、図12に示すタグの検出履歴データの推移と、検出された物体の属性情報とに基づいて判別する。
【0041】
まず、操作判別装置304は、タグ検出履歴データベース302に記録されるタグの検出履歴データから、図12に示す1202の検出履歴データと、1202より時間的に前に記録された図12に示す1201の検出履歴データとを取得する。そして、操作判別装置304は、1202の検出履歴データと1201の検出履歴データとを比較することにより、検出履歴データに変化があるか否かを判定する。
【0042】
判定の結果、検出履歴データに変化がある場合には、操作判別装置304は、属性情報インデックスに基づいて、図12に示す1202の検出履歴データおよび図12に示す1201の検出履歴データに対応する属性情報を物体データベース303から取得する。
【0043】
具体的には、操作判別装置304は、図12に示す1201の検出履歴データに含まれる属性情報インデックスに対応する「1」に対応する属性情報「固定」、「モノを載せる」、「4A室」を取得する。同様に、操作判別装置304は、図12に示す1201の検出履歴データに含まれる属性情報インデックスに対応する「3」に対応する属性情報「可動」、「モノを入れる」を取得する。さらに、操作判別装置304は、図12に示す1202の検出履歴データに含まれる属性情報インデックスに対応する「1」に対応する属性情報「固定」、「モノを載せる」、「4A室」を取得する。
【0044】
そして、操作判別装置304は、ユーザの操作内容の判別を実行する。具体的には、操作判別装置304は、図12に示す1201の検出履歴データから、図12に示す1202の検出履歴データへの推移の内容を確認する。図12に示す1201の検出履歴データでは、可動物である箱11−4と固定物であるテーブル11−2が検出されていることがわかる。一方、図12に示す1202の検出履歴データでは、固定物であるテーブル11−2のみが検出されていることが分かる。よって、操作判別装置304は、「ユーザAにより、4A室に設置された固定物であるテーブル11−2から可動物である箱11−4が持ち上げられた」とユーザの操作内容を判別する。
【0045】
さらに、操作判別装置304は、1203の検出履歴データと1202の検出履歴データとを比較することにより、検出履歴データに変化があるものと判定した場合には、上述したのと同様の手順を踏んで、ユーザの操作内容の判別を実行する。具体的には、図12に示す1202の検出履歴データでは、固定物であるテーブル11−2のみが検出されていることが分かる。一方、図12に示す1203の検出履歴データでは、可動物である箱11−4と固定物であるテーブル11−3が検出されていることがわかる。よって、操作判別装置304は、「ユーザAにより、4A室に設置された固定物であるテーブル11−3の上に、可動物である箱11−4が置かれた」とユーザの操作内容を判別する。
【0046】
また、操作判別装置304は、モノを人に手渡すという操作や、ドアを開閉するという操作についても、上述してきた方法により同様に判別できる。詳細は、処理の流れの説明にて後述する。
【0047】
操作判別装置304は、操作内容の判別が確定する度に、操作内容の判別結果をサービス提供装置400に通知する。判別結果は、例えば、判別時刻、操作者、操作対象物、操作内容の情報を有する。
【0048】
サービス提供装置400は、操作判別装置304から操作内容の判別結果の通知を受信すると、判別結果を操作履歴データベース410に記録する。
【0049】
操作履歴データベース410は、操作判別装置304による判別結果を記憶する。操作履歴データベース410は、例えば、判別時刻、操作者、操作対象物および操作内容の情報を対応付けて記憶する。なお、操作履歴データベース410は、一般的なPC(personal computer)やサーバ(sever)に該当する。
【0050】
図13は、操作履歴データベース410に記憶されるデータのフォーマットの一例を示す図である。例えば、図13に示すように、操作履歴データベース410は、時刻「2010/2/15 15:00:40」、操作者「山田」、対象物「体温計1」および操作「ナースステーションの棚Aからピックアップ」を対応付けて記憶する。また、図13に示すように、操作履歴データベース410は、時刻「2010/2/15 15:05:00」、操作者「山田」、対象物「体温計1」および操作「田中に渡す」を対応付けて記憶する。また、図13に示すように、操作履歴データベース410は、時刻「2010/2/15 16:00:00」、操作者「田中」、対象物「体温計1」および操作「病室201号室の台の上に置く」を対応付けて記憶する。
【0051】
また、サービス提供装置400は、ユーザからの検索要求に応じて、例えば、備品の場所などの情報を操作履歴データベース410から検索し、検索結果をユーザに提供する。
【0052】
例えば、サービス提供装置400は、ユーザに対して備品検索画面を提示する。図14は、備品検索画面の一例を示す図である。サービス提供装置400は、例えば、図14に示す1401のような備品検索画面をユーザに提示する。次に、サービス提供装置400は、備品検索画面内に設けられた「検索」の箇所をユーザから指定されると、「検索品」の入力箇所にユーザにより入力された「体温計1」の場所を、操作履歴データベース410から検索する。そして、サービス提供装置400は、図14の1402に示すように、体温計1の検索結果をユーザに提示する。
【0053】
また、上述した実施例2では、物体に対するユーザの操作内容を判別する場合を説明したが、操作の主体は「人」に限定されるものではない。例えば、移動して、何かしらの操作を物体に対して行うロボットなどについても、同様に、操作内容を判別することができる。
【0054】
また、物体データベース303は、上述した図1に示す属性情報記憶部51に対応する。また、通信装置301およびタグ検出履歴データベース302は、上述した図1に示す情報収集部52に対応する。また、操作判別装置304は、上述した図1に示す属性情報取得部53および操作内容判別部54に対応する。
【0055】
なお、上述した操作判別装置304およびサービス提供装置410は、例えば、一般的なPC(personal computer)やサーバ(sever)に該当する。
【0056】
[実施例2による処理]
図15〜図23を用いて、実施例2による処理の流れを説明する。まず、図15を用いて、タグ読取装置200によるタグ検出処理の流れを説明する。タグ読取装置は、予め設定された所定の時間間隔で通信可能範囲にあるタグの検出を行う。
【0057】
[タグ検出処理]
図15は、タグ読取装置200による処理の流れを示す図である。図15に示すように、タグ読取装置200は、タグを検出すると(ステップS1501,YES)、検出したタグから、タグのID番号および属性情報インデックスを取得する(ステップS1502)。そして、タグ読取装置200は、検出時刻、ユーザ情報、タグのID番号および属性情報インデックスをタグの検出履歴として、コンピュータシステム300に送信する(ステップS1503)。そして、タグ読取装置200は、上述したステップS1501に戻る。なお、タグ読取装置200は、タグが検出されるまで、上述したステップS1501の判定結果を「NO」として同判定を繰り返す。
【0058】
[操作判別装置304のメインルーチン]
次に、図16を用いて、操作判別装置304により実行される処理のメインルーチンの流れを説明する。なお、操作判別装置304は、予め設定された所定の時間周期で以下に説明するメインルーチンを実行する。
【0059】
図16は、操作判別装置304により実行される処理のメインルーチンの流れを示す図である。図16に示すように、操作判別装置304は、タグ検出履歴データベース302に記憶されている最新のタグの検出履歴と、ある指定期間遡ったタグの検出履歴とを逐次比較する(ステップS1601)。
【0060】
そして、操作判別装置304は、最新のタグの検出履歴と、ある指定期間遡ったタグの検出履歴との間に変化があるか否かを判定する(ステップS1602)。判定の結果、検出履歴に変化がある場合には(ステップS1602,YES)、操作判別装置304は、検出履歴に含まれる属性情報インデックスに対応する属性情報を物体データベース303から取得する(ステップS1603)。そして、操作判別装置304は、後述する各操作内容判別処理を実行し(ステップS1604)、処理を終了する。
【0061】
ここで、ステップS1602の説明に戻る。判定の結果、検出履歴に変化がない場合には(ステップS1602,NO)、操作判別装置304は、上述したステップS1601に戻る。
【0062】
[操作内容判別処理の基本的な流れ]
続いて、図17を用いて、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の基本的な流れを説明する。図17は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の基本的な流れを示す図である。
【0063】
図17に示すように、操作判別装置304は、物体に対して操作「X」が行われたか否かを判定する(ステップS1701)。判定の結果、物体に対して操作「X」が行われた場合には(ステップS1701,YES)、操作判別装置304は、物体に対して操作「X」が行われたものとする判定を行う(ステップS1702)。続いて、操作判別装置304は、サービス提供装置400に判定結果を通知する(ステップS1703)。そして、操作判別装置304は、上述した図16に示すメインルーチンに戻り(ステップS1704)、処理を終了する。
【0064】
ここで、ステップS1701の説明に戻る。操作判別装置304は、判定の結果、物体に対して操作「X」が行われていない場合には(ステップS1701,NO)、次の操作内容判別処理を実行する(ステップS1705)。そして、操作判別装置304は、処理を終了する。
【0065】
[操作内容判別処理の具体例1]
次に、図18を用いて、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例1を説明する。図18は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例1を示す図である。
【0066】
操作判別装置304は、例えば、タグ検出履歴データベース302から最新の検出履歴と一つ前の検出履歴を取得する。そして、図18に示すように、操作判別装置304は、一つ前の検出履歴で「固定物」の属性を有する「モノ」、および「可動物」の属性を有する「モノ」がそれぞれ検出されているか否かを判定する(ステップS1801)。
【0067】
判定の結果、一つ前の履歴で「固定物」および「可動物」の属性を有する「モノ」がそれぞれ検出されている場合には(ステップS1801,YES)、操作判別装置304は、次の判定を行う。すなわち、操作判別装置304は、最新の検出履歴で「固定物」の属性を有する「モノ」が消える一方で、「可動物」の属性を有する「モノ」のみが検出されているか否かを判定する(ステップS1802)。
【0068】
判定の結果、「可動物」の属性を有する「モノ」のみが検出されている場合には(ステップS1802,YES)、操作判別装置304は、次の処理を行う。すなわち、操作判別装置304は、「可動物」の属性を有する「モノ」が「固定物」の属性を有する「モノ」から持ち上げられたものとする判別結果を作成する(ステップS1803)。続いて、操作判別装置304は、判別結果をサービス提供装置400に送信する(ステップS1804)。そして、操作判別装置304は、上述した図16に示すメインルーチンに戻り(ステップS1805)、処理を終了する。
【0069】
ここで、ステップS1801の説明に戻る。判定の結果、一つ前の履歴で「固定物」および「可動物」の属性を有する「モノ」がそれぞれ検出されていない場合には(ステップS1801,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図19を用いて後述する。
【0070】
ここで、ステップS1802の説明に戻る。判定の結果、「可動物」の属性を有する「モノ」のみが検出されていない場合には(ステップS1802,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図19を用いて後述する。
【0071】
[操作内容判別処理の具体例2]
続いて、図19を用いて、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例2を説明する。図19は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例2を示す図である。
【0072】
図19に示すように、操作判別装置304は、一つ前の検出履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」のみが検出されているか否かを判定する(ステップS1901)。判定の結果、一つ前の履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」のみが検出されている場合には(ステップS1901,YES)、操作判別装置304は、次の判定を行う。すなわち、操作判別装置304は、最新の検出履歴で「固定物」の属性を有する「モノ」、および「可動物」の属性を有する「モノ」がそれぞれ検出されているか否かを判定する(ステップS1902)。
【0073】
判定の結果、最新の検出履歴で「固定物」および「可動物」の属性を有する「モノ」がそれぞれ検出されている場合には(ステップS1902,YES)、操作判別装置304は、次の処理を行う。すなわち、操作判別装置304は、「固定物」の属性を有する「モノ」の上に、「可動物」の属性を有する「モノ」が置かれたものとする判別結果を作成する(ステップS1903)。続いて、操作判別装置304は、判別結果をサービス提供装置400に送信する(ステップS1904)。そして、操作判別装置304は、上述した図16に示すメインルーチンに戻り(ステップS1905)、処理を終了する。
【0074】
ここで、ステップS1901の説明に戻る。判定の結果、一つ前の履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」のみが検出されていない場合には(ステップS1901,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図20を用いて後述する。
【0075】
ここで、ステップS1902の説明に戻る。判定の結果、最新の検出履歴で「固定物」および「可動物」の属性を有する「モノ」がそれぞれ検出されていない場合には(ステップS1902,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図20を用いて後述する。
【0076】
[操作内容判別処理の具体例3]
続いて、図20を用いて、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例3を説明する。図20は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例3を示す図である。
【0077】
図20に示すように、操作判別装置304は、一つ前の検出履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」、および別の人がそれぞれ検出されているか否かを判定する(ステップS2001)。ここで、別の人とは、タグが貼付された人を意味する。
【0078】
判定の結果、一つ前の検出履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」、および別の人がそれぞれ検出されている場合には(ステップS2001,YES)、操作判別装置304は、次の判定を行う。すなわち、操作判別装置304は、最新の検出履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」、および別の人がそれぞれ未検出になったか否かを判定する(ステップS2002)。
【0079】
判定の結果、最新の検出履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」、および別の人がそれぞれ未検出になった場合には(ステップS2002,YES)、操作判別装置304は、次の処理を行う。すなわち、操作判別装置304は、「可動物」の属性を有する「モノ」が別の人に渡ったものとする判別結果を作成する(ステップS2003)。続いて、操作判別装置304は、判別結果をサービス提供装置400に送信する(ステップS2004)。そして、操作判別装置304は、上述した図16に示すメインルーチンに戻り(ステップS2005)、処理を終了する。
【0080】
ここで、ステップS2001の説明に戻る。判定の結果、一つ前の検出履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」、および別の人がそれぞれ検出されていない場合には(ステップS1901,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図21を用いて後述する。
【0081】
ここで、ステップS2002の説明に戻る。判定の結果、最新の検出履歴で「可動物」の属性を有する「モノ」、および別の人がそれぞれ未検出になっていない場合には(ステップS2002,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図21を用いて後述する。
【0082】
[操作内容判別処理の具体例4]
続いて、図21および図22を用いて、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例5を説明する。この例では、タグ読取装置200を携行するユーザは、ドアノブに触れてドアの開閉を行っているとする。図21は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例5を示す図である。図22は、図21に示す操作内容判別処理の流れの具体例4の補足説明図である。
【0083】
操作判別装置304は、例えば、タグ検出履歴データベース302から最新の検出履歴、一つ前の検出履歴および二つ前の検出履歴を取得する。そして、図21に示すように、操作判別装置304は、二つ前の検出履歴で、「ドアノブ」および「ドアに隣接する壁」がそれぞれ検出されているか否かを判定する(ステップS2101)。
【0084】
ステップS2101の判定は、図22に示す2201の状態にあるか否かを判定するものである。図22に示す2201は、ドアを開ける前の状態を表す。なお、図22に示す22Aはタグが貼付された「ドアノブ」を示し、22Bは「ドアに隣接する壁」に貼り付けされたタグを示し、22Cは「ドア」を示す。
【0085】
判定の結果、二つ前の検出履歴で、「ドアノブ」および「ドアに隣接する壁」がそれぞれ検出されている場合には(ステップS2101,YES)、操作判別装置304は、次の判定を行う。すなわち、操作判別装置304は、一つ前の検出履歴で、「ドアノブ」が検出されているか否かを判定する(ステップS2102)。
【0086】
ステップS2102の判定は、図22に示す2201の状態にあるか否かを判定するものである。図22に示す2202は、ドアを開けた状態を表す。
【0087】
判定の結果、一つ前の検出履歴で、「ドアノブ」が検出されている場合には(ステップS2102,YES)、操作判別装置304は、次の判定を行う。すなわち、操作判別装置304は、最新の検出履歴で「ドアノブ」および「ドアに隣接する壁」をそれぞれ検出されているか否かを判定する(ステップS2103)。
【0088】
ステップS2103の判定は、図22に示す2203の状態にあるか否かを判定するものである。図22に示す2203は、開けたドアを再び閉じた状態を表す。
【0089】
判定の結果、最新の検出履歴で「ドアノブ」および「ドアに隣接する壁」をそれぞれ検出されている場合には(ステップS2103,YES)、操作判別装置304は、次の処理を行う。すなわち、操作判別装置304は、ドアを開閉したものとする判別結果を作成する(ステップS2104)。続いて、操作判別装置304は、判別結果をサービス提供装置400に送信する(ステップS2105)。そして、操作判別装置304は、上述した図16に示すメインルーチンに戻り(ステップS2106)、処理を終了する。
【0090】
ここで、ステップS2101の説明に戻る。判定の結果、二つ前の検出履歴で、「ドアノブ」および「ドアに隣接する壁」がそれぞれ検出されていない場合には(ステップS2101,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図23を用いて後述する。
【0091】
ここで、ステップS2102の説明に戻る。一つ前の検出履歴で、「ドアノブ」が検出されていない場合には(ステップS2102,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図23を用いて後述する。
【0092】
ここで、ステップS2103の説明に戻る。最新の検出履歴で「ドアノブ」および「ドアに隣接する壁」をそれぞれ検出されていない場合には(ステップS2103,NO)、操作判別装置304は、次の操作内容判別処理へ移る。なお、次の操作内容判別処理は、図23を用いて後述する。
【0093】
[操作内容判別処理の具体例5]
続いて、図23を用いて、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例6を説明する。図23は、操作判別装置304により実行される操作内容判別処理の流れの具体例6を示す図である。
【0094】
図23に示すように、操作判別装置304は、一つ前の検出履歴で、「鍵」および「鍵穴付きドアノブ」がそれぞれ検出されているか否かを判定する(ステップS2301)。判定の結果、一つ前の検出履歴で、「鍵」および「鍵穴付きドアノブ」がそれぞれ検出されている場合には(ステップS2301,YES)、操作判別装置304は、次の判定を行う。すなわち、操作判別装置304は、最新の検出履歴で「鍵」のみが検出されているか否かを判定する(ステップS2302)。
【0095】
判定の結果、最新の検出履歴で「鍵」のみが検出されている場合には(ステップS2302,YES)、操作判別装置304は、次の判定を行う。すなわち、操作判別装置304は、一つ前の検出履歴から最新の検出履歴までの時間経過がある範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS2303)。例えば、操作判別装置304は、一つ前の検出履歴の検出時刻と、最新の検出履歴の検出時刻とに基づいて、ステップS2303の判定を行う。
【0096】
判定の結果、一つ前の検出履歴から最新の検出履歴が検出されるまでの時間経過がある範囲内に収まっている場合には(ステップS2303,YES)、操作判別装置304は、次の処理を行う。すなわち、操作判別装置304は、鍵の開閉操作を行ったものとする判別結果を作成する(ステップS2304)。続いて、操作判別装置304は、判別結果をサービス提供装置400に送信する(ステップS2305)。そして、操作判別装置304は、上述した図16に示すメインルーチンに戻り(ステップS2306)、処理を終了する。
【0097】
ここで、ステップS2301の説明に戻る。判定の結果、一つ前の検出履歴で、「鍵」および「鍵穴付きドアノブ」がそれぞれ検出されていない場合には(ステップS2301,NO)、操作判別装置304は、ステップS2306に示すメインルーチンに戻る。
【0098】
ここで、ステップS2302の説明に戻る。判定の結果、最新の検出履歴で「鍵」のみが検出されていない場合には(ステップS2302,NO)、操作判別装置304は、ステップS2306に示すメインルーチンに戻る。
【0099】
ここで、ステップS2303の説明に戻る。一つ前の検出履歴から最新の検出履歴までの時間経過がある範囲内に収まっていない場合には(ステップS2303,NO)、操作判別装置304は、ステップS2306に示すメインルーチンに戻る。なお、操作判別装置304は、図18〜図23を用いて上述してきた操作内容判別処理以外に、他の操作内容判別処理を行った後に、メインルーチンに戻ってもよい。
【0100】
[実施例2による効果]
上述してきたように、コンピュータシステム300は、いわゆる「モノ」に貼り付けられたタグのIDの検出履歴の推移だけでなく、「モノ」に対して予め紐付けた属性情報を利用することにより、「モノ」に対する人の操作内容の判別を行う。すなわち、「モノ」に貼付されたタグのIDの検出履歴の推移だけでは、人がタグを貼付された「モノ」と、直接もしくは間接的に接しているかどうかしか分らない。一方、「可動物」あるいは「固定物」のような「モノ」に紐付けられる属性情報を用いることにより、「人が「固定物」から「可動物」を持ち上げた」というようことまでが分かる。このようなことから、実施例2によれば、事前にデータを採取して分析することを必要としたり、特定の場所に限定されたりすることなく、人がモノに対して行った「操作」の内容を判別することが可能になる。
【0101】
また、実施例2によれば、例えば、いわゆる「モノ」の役割および設置場所の情報を属性情報として予め用意しておく。このようなことから、人がモノに対して行った「操作」の内容を詳細に判別することが可能になる。
【0102】
具体的に説明すると、例えば、タグの貼られていない机の上に、タグの貼付されているトレーが置かれているとする。このトレーには、可搬性について「可動物」、および役割について「モノを載せて運ぶ」という属性情報が紐付けられているものとする。そして、このトレーの上に、「可動物」という属性情報が紐付けられている「モノ」が載せられたとする。
【0103】
このような状況下で、いま、Aさんがトレーを持ち上げたとする。このとき、Aさんが携行しているタグリーダにより、トレーに貼付されたタグ、およびトレーに載っているモノのタグが検出される。トレーには「可動物」および「モノを載せて運ぶ」という属性情報があり、トレーに載せられた「モノ」には「可動物」という属性情報があるので、「Aさんが可動物であるモノをトレーに載せて運んでいる」という操作内容の判別が可能となる。
【0104】
また、例えば、トレーを持っているAさんにBさんが近づき、トレーに載っている「モノ」を取り上げたとする。このとき、Bさんがトレーに載っているモノに触れた瞬間、Bさんが携行しているタグリーダにより、Aさんが携行するタグリーダ、Aさんが持つトレー、トレーの上に載っている「モノ」が検知される。次に、Bさんがトレーからモノを持ち上げたとき、Bさんが携行するタグリーダにより、この「モノ」に貼付けられたタグのみが検知される。このような場合には、タグのIDの検出履歴の推移および属性情報から、「モノを運ぶ」役割を持つトレーから「可動物」である「モノ」が持ち上げられたという操作内容の判別が可能となる。
【0105】
また、業務で使用する機材にタグを貼付しておけば、作業者が「モノ」に対して行った操作を判別できる。これを利用すれば、例えば業務記録の自動作成に応用できる。一例として看護業務を考える。いま、体温計、血圧計などの機器にタグが貼られているとする。また、患者にもタグが貼られているとする。患者や機器のタグの検知履歴、および属性情報を用いた機器の操作記録から、どの患者に対してどのような看護を行ったか、自動的に記録することができる。例えば、電子カルテと連携して、看護記録を自動で記録することができる。
【0106】
また、人が携行するタグ読取装置200に、例えば、無線LAN装置などを用いたRTSL(Real Time Location System)機能が内蔵されていれば、人の現在の位置情報が容易に把握できる。この情報も合わせて活用すれば、「誰が」、「どこで」、「何を」、「どうした」ということが分る。この情報を活用すれば、現在の位置だけでなく、誰から誰に手渡されたなどの経過情報も含めた「モノ」の位置を管理するシステムを実現できる。
【実施例3】
【0107】
以下、本願の開示する情報検索装置、情報検索方法および情報検索プログラムの他の実施形態を説明する。
【0108】
(1)装置構成等
例えば、図2に示したコンピュータシステム300の構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、図2に示した操作判別装置304が、タグ検出履歴データベース302および物体データベースを内部的に有してもよい。このように、情報検索装置100の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0109】
(2)判別プログラム
また、例えば、上述の実施例にて説明した操作判別装置304により実行される各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータなどの電子機器で実行することによって実現することもできる。なお、操作判別装置304の各種の処理については、例えば、図15〜23等を参照されたい。
【0110】
そこで、以下では、図24を用いて、上述の実施例にて説明した操作判別装置304により実行される処理と同様の機能を実現する判別プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図24は、判別プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【0111】
図24に示すように、操作判別装置304と同様の機能を実現するコンピュータ500は、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)510と、ユーザからデータの入力を受け付ける入力装置520と、モニタ530とを有する。
【0112】
また、コンピュータ500は、図24に示すように、記憶媒体からプログラム等を読取る媒体読取装置540と、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行うネットワークインターフェース装置550を有する。また、コンピュータ500は、図24に示すように、各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)560と、ハードディスク装置570とを有する。そして、各装置510〜570は、バス580に接続される。
【0113】
なお、入力装置520は、例えば、キーボードやマウスなどである。なお、入力装置520がマウスを有する場合には、モニタ530と協働して、ポインティングデバイス機能を実現することもできる。また、入力装置520がタッチパッドなどの他の入力デバイスを有する場合にも、マウスの場合と同様にポインティングデバイス機能を実現できる。
【0114】
また、CPU510の代わりに、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を用いることもできる。また、RAM560の代わりに、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子を用いることもできる。
【0115】
ハードディスク装置570には、上述した操作判別装置304の機能と同様の機能を発揮する判別プログラム571および判別用データ572が記憶されている。なお、この判別プログラム271を適宜分散させて、ネットワークを介して通信可能に接続された他のコンピュータの記憶部に記憶させておくこともできる。
【0116】
そして、CPU510が、判別プログラム571をハードディスク装置570から読み出してRAM560に展開することにより、図24に示すように、判別プログラム571は判別プロセス561として機能する。判別プロセス561は、ハードディスク装置570から読み出した判別用データ572等の各種データを適宜RAM560上の自身に割当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。
【0117】
なお、判別プロセス561は、例えば、図2に示した操作判別装置304にて実行される処理、例えば、図15〜図23に示す処理を有する。
【0118】
なお、判別プログラム571については、必ずしも最初からハードディスク装置570に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ500に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ500がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0119】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ500に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ500がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0120】
50 判別装置
51 属性情報記憶部
52 情報収集部
53 属性取得部
54 操作内容判別部
100A〜100C タグ
200 タグ読取装置
200A タグ読取部
200B 通信部
300 コンピュータシステム
301 通信装置
302 タグ検出履歴データベース
303 物体データベース
304 操作判別装置
400 サービス提供装置
410 操作履歴データベース
500 コンピュータ
510 CPU
520 入力装置
530 モニタ
540 媒体読取装置
550 ネットワークインターフェース装置
560 RAM
561 判別プロセス
570 ハードディスク装置
571 判別プログラム
572 判別用データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の操作を判別するコンピュータに実行させる判別プログラムであって、
前記コンピュータに、
各物体に貼付されたタグから、該タグに一意に付与されるタグ識別子と、物体ごとに予め紐付けられる属性情報に一意に付与される属性情報識別子とをそれぞれ繰り返し収集する情報収集手順と、
前記属性情報と前記属性情報識別子とを対応付けて記憶する属性情報記憶部から、前記情報収集手順により収集された属性情報識別子に対応する属性情報をそれぞれ取得する属性取得手順と、
前記情報収集手順により繰り返し収集された複数のタグ識別子および属性情報識別子の収集履歴推移と、前記属性取得手順により取得された属性情報とに基づいて、物体に対して他の物体が行った操作内容を判定する操作内容判別手順と
を実行させることを特徴とする判別プログラム。
【請求項2】
前記属性取得手順は、前記物体が可動物または固定物のいずれに該当するかを示す情報を前記属性情報として該物体ごとに記憶する属性情報記憶部から、前記情報収集手順により収集された属性情報識別子に対応する属性情報をそれぞれ取得し、
前記操作内容判定手順は、複数の前記タグ識別子および前記属性情報識別子の推移と、前記物体が可動物または固定物のいずれに該当するかを示す情報とに基づいて、前記操作内容を判別することを特徴とする請求項1に記載の判別プログラム。
【請求項3】
前記属性取得手順は、前記物体の役割および/または設置場所を示す情報を前記属性情報として該物体ごとに記憶する属性情報記憶部から、前記情報収集手順により収集された前記属性情報識別子に対応する属性情報をそれぞれ取得し、
前記操作内容判定手順は、複数の前記タグ識別子および前記属性情報識別子の推移と、前記物体の用途や物体の設置場所を示す情報とに基づいて、前記操作内容を判別することを特徴とする請求項2に記載の判別プログラム。
【請求項4】
物体ごとに予め紐付けられる属性情報と、該属性情報に一意に付与される属性情報識別子とを対応付けて記憶する属性情報記憶部と、
各物体に貼付されたタグから、該タグに一意に付与されるタグ識別子と、前記属性情報識別子とをそれぞれ繰り返し収集する情報収集部と、
前記情報収集部により収集された属性情報識別子に対応する属性情報を前記属性情報記憶部からそれぞれ取得する属性取得部と、
前記情報収集部により繰り返し収集された複数のタグ識別子および属性情報識別子の収集履歴推移と、前記属性取得部により取得された属性情報とに基づいて、物体に対して他の物体が行った操作内容を判別する操作内容判別部と
を有することを特徴とする判別装置。
【請求項5】
各物体に貼付されたタグを検出する検出装置と、物体の操作を判別する判別装置とを有するシステムに適用される判別方法であって、
前記検出装置は、
通信可能範囲内にあるタグを検出した場合に、各物体に貼付されたタグから、該タグに一意に付与されるタグ識別子および物体ごとに予め紐付けられる属性情報に一意に付与される属性情報識別子を取得する情報取得工程を含み、
前記判別装置は、
前記情報取得工程により取得されたタグ識別子および属性情報識別子をそれぞれ繰り返し収集する情報収集工程と、
前記属性情報と前記属性情報識別子とを対応付けて記憶する属性情報記憶部から、前記情報収集工程により収集された属性情報識別子に対応する属性情報をそれぞれ取得する属性取得工程と、
前記情報収集工程により繰り返し収集された複数のタグ識別子および属性情報識別子の収集履歴推移と、前記属性取得工程により取得された属性情報とに基づいて、物体に対して他の物体が行った操作内容を判別する操作内容判別工程と
を含むことを特徴とする判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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