説明

制動用制御装置とそれを用いた車いす

【課題】安全性及び操作性に優れた制動用制御装置と、それを用いた車いすとの提供。
【解決手段】この車いす2は、メインフレーム4、車輪10、座シート16、検知装置18及び制動装置22を備えている。検知装置18は、座シート16に利用者が着座している状態と着座していない状態とを検知する。制動装置22は、車輪10の回転を阻止する制動部を備えている。制動部が車輪10の回転を阻止する制動姿勢と車輪10の回転を阻止しない非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされている。座シート16に利用者が着座している状態から着座していない状態に変化したとき、制動部が制動姿勢に変化し、着座していない状態から着座している状態に変化したとき、制動姿勢が維持される。この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動部は制動姿勢と非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされている。この制御装置は、乗り物の他、歩行器などにも適用しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物及び歩行補助具の制動のための制御装置と、この制御装置を備えた車いすとに関する。
【背景技術】
【0002】
車いすは、利用者の移動の目的で使用される。利用者は、車いすに着座した状態で車いすを走行させる。車いすを介助者が押すことによっても、車いすは走行しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−275498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的地点に到着した後、利用者が車いすを降りて、立ち上がることがある。立ち上がるとき、利用者の大腿の背面又は脛の背面が、車いすを後方に押すことがある。立ち上がるとき、利用者が手で車いすを後方に押してしまうこともある。後方に押された車いすは、利用者の意に反し、この利用者から遠ざかる。利用者が自力歩行しない限り、この利用者は後方に移動する車いすに再度座ることができない。
【0005】
また、自力で立ち上がることが困難な利用者には、立ち上がる際の支えとなる車いすが好ましい。そのためには、後方に押されても、車いすは、停止していることが望ましい。更に、利用者が着座する際にも、車いすが支えとなることが好ましい。そのためには、利用者が着座する際にも、車いすが停止していることが望ましい。
【0006】
従来の車いすは、駐車ブレーキを備えている。利用者が着座後にこの駐車ブレーキが解除される。また、利用者が立ち上がる際に、この駐車ブレーキが作動させられる。利用者がこの駐車ブレーキをかけ忘れて立ち上がることがある。この場合、車いすは、後方に移動してしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、安全性及び操作性に優れた制動用制御装置と、それを用いた車いすとの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車いすは、
(1)メインフレーム、
(2)このメインフレームに取り付けられた車輪、
(3)利用者が着座するための座シート、
(4)この座シートに利用者が着座している状態と着座していない状態とを検知する検知装置
及び
(5)車輪の回転を制動する制動装置
を備えている。上記制動装置は、車輪の回転を阻止する制動部を備えている。この制動部が車輪の回転を阻止する制動姿勢と車輪の回転を阻止しない非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされている。この座シートに利用者が着座している状態から着座していない状態に変化したとき、制動部が制動姿勢に変化し、着座していない状態から着座している状態に変化したとき、制動姿勢が維持される。この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動部が制動姿勢から非制動姿勢に姿勢変化可能にされている。
【0009】
好ましくは、この車いすは、上記メインフレームから上方に延びる背フレームと、この背フレームに備えられた押し手と、解除レバーと、解除ワイヤとを備えている。この解除レバーは、背フレームに回動可能に取り付けられている。解除レバーは、押し手に近付く向きに回動させられることにより解除レバーが引かれ、押し手から離れる向きに回動させられることにより解除レバーが戻される。この解除レバーと制動装置とが解除ワイヤで連結されている。利用者が着座していない状態のとき、この解除レバーが引かれると制動部が制動姿勢から非制動姿勢に変化し、この解除レバーが戻されると制動部が非制動姿勢から制動姿勢に戻される。
【0010】
好ましくは、上記制動装置は、制動部による車輪の回転の阻止を制限する制動制限部を備えている。この制動制限部は、非制動姿勢にある制動部を非制動姿勢に維持する制限姿勢と制動部が制動姿勢と非制動姿勢との間の姿勢変化を制限しない非制限姿勢との間で変化可能にされている。この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動制限部が制限姿勢にあり、この座シートに利用者が着座していない状態のとき、制動制限部が非制限姿勢にある。
【0011】
好ましくは、上記制動部は、押圧体及び押圧部を備えている。上記制動姿勢は押圧部が押圧体を車輪に押し付けている姿勢であり、上記非制動姿勢は押圧部が押圧体を車輪から離している姿勢である。
【0012】
好ましくは、上記押圧部は、第一弾性体及びブレーキロッドを有している。上記押圧体は、ブレーキロッドの制動向きの先端に取り付けられている。この第一弾性体の付勢力により、ブレーキロッドが押圧体を車輪に押し付ける向きに付勢している。
【0013】
好ましくは、上記制動制限部は、第二弾性体と、ブレーキロッドに係合しうる制限レバーとを有している。この第二弾性体の付勢力により、制限レバーがブレーキロッドに係合しうる向きに付勢されている。非制限姿勢の制限レバーは、ブレーキロッドに係合しうる向きと逆向きに第二弾性体の付勢力に抗して離されている。
【0014】
好ましくは、上記座シートの左右上方にアームレストを備えている。上記制動部は、利用者により操作され、制動姿勢のブレーキロッドを非制動姿勢のブレーキロッドの位置に移動させうる第一レバーを備えている。この第一レバーは、アームレストの左右側面に位置している。制動部が非制動姿勢でかつ制動制限部が制限姿勢であるときに、第一レバーが非制動姿勢の位置から制動姿勢の位置へ移動するブレーキロッドの移動を阻害しない位置に移動しうるように構成されている。
【0015】
また、本発明に係る他の車いすは、上記制動部がディスク、キャリパ及び摩擦材を備えている。このディスクが車輪に一体に固定されている。上記制動姿勢は、キャリパが摩擦材をディスクに押し付けている姿勢であり、上記非制動姿勢は、キャリパが摩擦材をディスクに押し付けていない姿勢である。
【0016】
好ましくは、この車いすは、第三ワイヤを備えている。上記制動部がリンク機構を備えている。この第三ワイヤは、リンク機構とキャリパとを連結している。このリンク機構は、制動姿勢と非制動姿勢とで姿勢変化可能にされている。上記制動制限部が、第二弾性体と、リンク機構に係合しうる制限レバーとを有している。この第二弾性体の付勢力により、制限レバーがリンク機構に係合しうる向きに付勢されている。非制限姿勢の制限レバーは、リンク機構に係合しうる向きと逆向きに第二弾性体の付勢力に抗して離されている。
【0017】
好ましくは、この車いすは、上記制動部が押圧体及び押圧部を備えている。上記押圧部は、リンク機構を有している。上記押圧体は、リンク機構の一のリンクアームの制動向きの先端に取り付けられている。上記制動姿勢はリンク機構が押圧体を車輪に押し付けている姿勢であり、上記非制動姿勢はリンク機構が押圧体を車輪から離している姿勢である。
【0018】
本発明に係る制御装置は、人を乗せる座シートと車輪とを備える乗り物に用いられる。
この制御装置は、検知装置及び制動装置を備えている。この検知装置は、座シートに利用者が着座している状態と着座していない状態とを検知するように構成されている。この制動装置は、車輪の回転を阻止する制動部を備えている。この制動部は、車輪の回転を阻止する制動姿勢と車輪の回転を阻止しない非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされている。この座シートに利用者が着座している状態から着座していない状態に変化したとき、制動部が制動姿勢に変化する。着座していない状態から着座している状態に変化したとき、制動部が制動姿勢を維持する。この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動部が制動姿勢と非制動姿勢との間で姿勢変化可能に構成されている。
【0019】
本発明に係る制御装置は、人を支える支持部と車輪とを備える歩行補助具に用いられる。この制御装置は、検知装置及び制動装置を備えている。この検知装置は、支持部に利用者が支えられている状態と支えられていない状態とを検知するように構成されている。この制動装置が車輪の回転を阻止する制動部を備えている。この制動部が車輪の回転を阻止する制動姿勢と車輪の回転を阻止しない非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされている。この支持部に利用者が支えられている状態から支えられていない状態に変化したとき、制動部が制動姿勢に変化する。支えられていない状態から支えられている状態に変化したとき、制動部が制動姿勢を維持する。この支持部に利用者が支えられている状態のとき、制動部が制動姿勢と非制動姿勢との間で姿勢変化可能に構成されている。
【0020】
好ましくは、この制御装置の制動装置は、制動部による車輪の回転の阻止を制限する制動制限部を備えている。この制動制限部は、非制動姿勢にある制動部を非制動姿勢に維持する制限姿勢と、制動部の制動姿勢と非制動姿勢との間の姿勢変化を制限しない非制限姿勢との間で変化可能にされている。この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動制限部が制限姿勢にあり、この座シートに利用者が着座していない状態のとき、制動制限部が非制限姿勢にある。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る車いすでは、利用者が着座していない状態では、解除レバーによって解除されない限り制動装置によって車輪の回転が阻止される。車いすは、後方へと移動しない。利用者は、容易に且つ安全にこの車いすに再度着座できる。利用者が制動装置の解除動作をすることで車輪の回転の阻止が解除される。利用者が立ち上がると車輪の回転が阻止される。また、本発明に係る制御装置を装着することで、乗り物及び歩行補助具は、安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態に係る車いすが示された正面図である。
【図2】図2は、図1の車いすの一部が示された正面図である。
【図3】図3は、図1の車いすの検知装置の一部の使用状態が示された正面図である。
【図4】図4は、図1の車いすの検知装置の一部の他の使用状態が示された正面図である。
【図5】図5は、図1の車いすの制動装置の一部が示された正面図である。
【図6】図6は、図1の車いすの制動装置の一部の使用状態が示された正面図である。
【図7】図7は、図1の車いすの制動装置の一部の他の使用状態が示された正面図である。
【図8】図8は、図1の車いすの制動装置の一部の更に他の使用状態が示された正面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に係る車いすの制動装置の一部がが示された正面図である。
【図10】図10は、図9の制動装置の一部の使用状態が示された正面図である。
【図11】図11は、図9の制動装置の一部の他の使用状態が示された正面図である。
【図12】図12は、図9の制動装置の一部の更に他の使用状態が示された正面図である。
【図13】図13は、本発明のさらに他の実施形態に係る車いすが示された正面図である。
【図14】図14は、図13の車いすの検知装置の一部が示された説明図である。
【図15】図15は、図13の車いすのキャリパが示された説明図である。
【図16】図16は、図13の車いすの制動装置の一部が示された部分拡大図である。
【図17】図17は、図16の制動装置の一部の使用状態が示された説明図である。
【図18】図18は、図16の制動装置の一部の他の使用状態が示された説明図である。
【図19】図19は、図16の制動装置の一部のさらに他の使用状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい一の実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0024】
図1及び図2に示された車いす2は、メインフレーム4、背フレーム6、解除レバーとしての押し手レバー8、一対の車輪10、一対のキャスター14、座シート16、検知装置18、クッション20、一対の制動装置22、一対の第一ケーブル26、一対の第二ケーブル28、一対のフットレスト30及び一対のアームレスト32を備えている。図1において、右方向が車いす2の前進方向であり、左方向が車いす2の後進方向である。
【0025】
背フレーム6は、メインフレーム4に固定されている。背フレーム6は、メインフレーム4から上方に延びている。背フレーム6は、その上端部に押し手34を備えている。介助者が車いす2を押すとき、この押し手34を把持する。背フレーム6には、押し手レバー8が取り付けられている。この押し手レバー8は、背フレーム6に対して回動可能にされている。押し手レバー8は押し手34に近付く向きに回動させられることにより、押し手レバー8は引かれ、押し手レバー8は押し手34から離れる向きに回動させられることにより、押し手レバー8は戻されるように構成されている。この押し手レバー8は、介助者により押し手34と共に握れることにより、押し手34に近づき、介助者が手を離すことにより、押して34から離れるように取り付けられている。
【0026】
それぞれの車輪10は、メインフレーム4に取り付けられている。車輪10は、メインフレーム4の車軸に回転しうるように取り付けられている。それぞれのキャスター14は、キャスターフレーム36、車輪38を備えている。このキャスターフレーム36は、メインフレーム4に取り付けられている。キャスターフレーム36は、メインフレーム4に対して、上下方向を回転軸に回転可能にされている。車輪38は、キャスターフレーム36に取り付けられている。車輪38は、キャスターフレーム36に対して水平方向を回転軸に回転可能にされている。
【0027】
座シート16は、布からなる。他の材料から、座シート16がなってもよい。座シート16は、メインフレーム4に張られている。この座シート16の上に、検知装置18が置かれている。検知装置18は、座シート16に固定されている。この検知装置18の上に、クッション20が置かれている。この座シート16の左右上方にアームレスト32が固定されている。
【0028】
それぞれの第一ケーブル26は、検知装置18と制動装置22とを連結している。この検知装置18と制動装置22とが、この車いす2の制御装置27である。それぞれの第二ケーブル28は、押し手レバー8と制動装置22とを連結している。図2に示されるように、制動装置22は、カバー39を備えている。
【0029】
図3及び4に示されるように、検知装置18は、下プレート40、ヒンジ42、上プレート44及びばね46を備えている。下プレート40は、接着剤により、座シート16に接着されている。ヒンジ42は、下プレート40及び上プレート44に、溶接によって接合されている。上プレート44は、ヒンジ42を中心として回動しうる。ばね46は、下プレート40と上プレート44とに挟まれている。ばね46の下端は下プレート40に固定されており、その上端は上プレート44に固定されている。このばね46は、圧縮コイルである。ばね46は、上プレート44を上方に向けて付勢している。
【0030】
図3及び図4に示されるように、第一ケーブル26は、第一ワイヤ52とこの第一ワイヤ52を覆う第一チューブ54とを備えている。第一ワイヤ52は、下プレート40及び上プレート44を貫通している。第一ワイヤ52の上端56にはストッパー58が取り付けられている。このストッパー58により、第一ワイヤ52の上端56が上プレート44に連結されている。
【0031】
図3では、上プレート44はほぼ水平に延びている。一方図4では、上プレート44は、後上がりに傾斜している。従って、下プレート40と上プレート44との間の第一ワイヤ52の長さに相当する距離Lは、図3において小さく、図4において大きい。
【0032】
図3では、ばね46は収縮している。従って、検知装置18も、高さ方向において収縮している。図4では、ばね46は伸張している。従って、検知装置18も、高さ方向において伸張している。図3における矢印Bの方向に上プレート44が回動することにより、検知装置18が伸張する。図4における矢印Aの方向に上プレート44が回動することにより、検知装置18が収縮する。図3における矢印Bの方向は、「正方向」である。図4における矢印Aの方向は、「逆方向」である。
【0033】
図5は、カバー39が取り外された状態の制動装置22の一部が示されている。図5には、利用者の右側の制動装置22が示されている。左側の制動装置22は、右側の制動装置22の形状が反転した形状を有する。制動装置22は、基板62、ブレーキロッド64、押圧体としてのブレーキ板66、第一弾性体としてのロッドばね67、操作レバーとしての第一レバー68、プッシュロッド70、ばね72、解除アームとしての第一アーム74、制限レバー76、第二弾性体としてのばね78、ピン80、第二アーム82、軸受け84、軸受け86、爪88、突起89及びストッパー90を備えている。この車いす2では、ブレーキロッド64、ロッドばね67及び第一アーム74が、制動部91である。制限レバー76及びばね78が、制動制限部92である。
【0034】
ブレーキロッド64の形状は、前後方向に長い段付き丸棒形状である。ブレーキロッド64の後端には、ブレーキ板66が軸着されている。この後端は、後述する制動向きの先端である。このブレーキ板66は、車輪10の回転軸に平行な回動軸に対して回動可能に取り付けられている。このブレーキ板66は、車輪10の外周面に対向して設けられている。このブレーキロッド64は、第一大径部93、第二大径部94及び第三大径部96を備えている。第一大径部93、第二大径部94及び第三大径部96の順に後方から前方に向かって形成されている。前述の軸受け84は、基板62の後方に位置している。軸受け86は、基板62の前方に位置している。ブレーキロッド64は、その後端と第三大径部96の間で、軸受け84及び86により、前後方向にスライド可能に取り付けられている。
【0035】
爪88は、軸受け86の上部に形成されている。この爪88は、上方に向かって突出している。図5に示されるように、この爪88は、係止面97及びテーパ面98が形成されている。係止面97は、後方に面している。係止面97は、後方に対してほぼ垂直な面である。テーパ面98は、前方から後方に向かって下方から上方に向けて傾斜した面である。
【0036】
第一大径部93と第二大径部94とは、軸受け84と軸受け86との間に位置している。第二大径部94と軸受け86との間には、ロッドばね67が配置されている。このロッドばね67は、軸受け86に対して第二大径部94を後方に付勢している。このブレーキロッド64が後方に常時付勢されている。この付勢向きが制動部91の制動向きであり、この逆向きが非制動向きである。図5では、第三大径部96が軸受86の前面に押しあてられている。図5では、このブレーキロッド64は、スライド方向において後方に位置させられている。
【0037】
第一レバー68は、その下端部を基板62に軸着されている。第一レバー68は、前後方向にその上端部を回動可能に取り付けられている。この第一レバー68は、弾性体としてのばね72により後方に付勢されている。この第一レバー68は、ばね72の付勢力により、ストッパー90に押し付けられている。この第一レバー68が前方に回動されると、第一大径部93が係合するように構成されている。この第一レバー68には、プッシュロッド70がその軸線に沿って移動可能に挿入されている。プッシュロッド70の上端部が第一レバー68の上端面から突出させられている。この第一レバー68は、アームレスト32の左右方向側面に位置している。
【0038】
第一アーム74は、ブレーキロッド64にその後端部を軸着されている。第一アーム74は、その前端部が回動可能にされている。第二ケーブル28は、解除ワイヤとしての第二ワイヤ99とこの第二ワイヤ99を覆う第二チューブとを備えている。第一アーム74の前端部は、この第二ワイヤ99が連結されている。図5の状態において、ピン80は、第一アーム74が反時計回りに回動させられると、第一アーム74と接するように配置されている。第一アーム74の下方には、ラチェット歯100が形成されている。図5の状態において、このラチェット歯100と爪88が係合している。
【0039】
制限レバー76は、その前端と後端との間で基板62に軸着されている。この制限レバー76の前端部及び後端部は、回動可能にされている。制限レバー76の後端部は、第一ワイヤ52が連結されている。ばね78が軸受け86と制限レバー76との間に位置させられている。このばね78の付勢力により、制限レバー76は、時計回りに回動するように構成されている。制限レバー76の軸着された部分から後端部側には、上方に突出した爪102が形成されている。この爪102は、係止面104及びテーパ面106が形成されている。係止面104は、前方に面している。係止面104は、前方に対してほぼ垂直な面である。テーパ面106は、前方から後方に向かって上方から下方に向けて傾斜した面である。
【0040】
第二アーム82は、その前端と後端との間の部分を基板62に軸着されている。この第二アーム82の前端部及び後端部は、回動可能にされている。この第二アーム82の後端部は、ブッシュロッド70の下端と接している。第二アーム82の前端部は、第一アーム74と係合している。
【0041】
図5では、図示されない車輪10にブレーキ板66が押し付けられている。図5の状態では、車輪10が制動されている。第一アーム74のラチェット歯100は、爪88に係合させられている。ブレーキ板66は、ブレーキロッド64に軸着されている。車輪10が回転すると、ブレーキ板66が回動させられる。ブレーキロッド64の前方(図5の右向き)への移動が、ラチェット歯100と爪88との係合により阻止されている。ブレーキ板66が回動して車輪10の外周面にくい込む。これにより、車輪10の回転が阻止される。図5の状態では、車いす2の車輪の回転が阻止されている。制動部91は、制動姿勢にある。この制動姿勢とは、制動部91が車輪の回転が阻止している姿勢である。
【0042】
図6(a)には、ブッシュロッド70が第一レバー68に対して下方に押し込まれた状態が示されている。ブッシュロッド70の下端が第二アーム82の後端部を押し下げている。これにより第二アーム82が反時計回りに回動させられている。第二アーム82の前端部が押し上げられている。これにより、第一アーム74が反時計回りに回動させられている。この第一アーム74のラチェット歯100と爪88との係合が解除されている。図6(a)では、第一ワイヤ52が制限レバー76側に引かれている。ばね78の付勢力より、制限レバー76は、時計回りに回動させられている。制限レバー76がブレーキロッド64に当接させられている。制動制限部92は、制限姿勢にある。ここでいう制限姿勢とは、非制動姿勢にある制動部91を非制動姿勢に維持している姿勢のみならず、非制動姿勢に変化した制動部91を非制動姿勢に維持しうる姿勢も含む。図5では、制限レバー76のテーパ面106が、第二大径部94に当接させられている。
【0043】
図6(b)には、第一レバー68が前方に回動させられた状態が示されている。第一レバー68が、ブレーキロッド64の第一大径部93に当接している。ブレーキロッド64は、前方に移動させられている。制動部91は、非制動姿勢にある。この非制動姿勢とは、正胴部91が車輪の回転を阻止していない姿勢である。制限レバー76の爪102がブレーキロッド64に係合されている。爪102の係止面104が第二大径部94に係合している。この係合により、ブレーキロッド64が後方に移動することが規制されている。制動制限部92は、非制動姿勢にある制動部91を非制動姿勢に維持している。
【0044】
図6(c)には、第一レバー68が後方に回動させられた状態が示されている。第一レバー68がストッパー90に当接している。この第一レバー68は、図6(a)の位置に戻っている。図6(c)では、図6(b)と同様に、爪102の係止面104が第二大径部94に係合している。この係合により、ブレーキロッド64が後方に移動することが規制されている。制動制限部92は、非制動姿勢にある制動部91を非制動姿勢に維持している。
【0045】
図7(a)は、図6(c)と同じ状態が示されている。図7(b)では、制限レバー76が、ばね78に抗して反時計回りに回動させられている。制動制限部92は、非制限姿勢である。非制限姿勢とは、制動部91が非制動姿勢と制動姿勢との間で姿勢変化することを阻止していない姿勢である。ブレーキロッド64の第二大径部94と制限レバー76の爪102との係合が解除されている。ブレーキロッド64が後方に移動している。制動部91は、制動姿勢にある。図7(b)では、図示しない車輪10にブレーキ板66が当接している。後方に回動された状態の第一レバー68は、ブレーキロッド64が後方に移動しても、その移動を阻害しない。制動部91が非制動姿勢でかつ制動制限部92が制限姿勢であるときに(図7(a)の状態)、第一レバーが制動姿勢の位置から制動姿勢の位置への移動するブレーキロッドを阻害しない位置に移動されている。
【0046】
図8(a)は、図7(b)と同じ状態が示されている。制動部91が制動姿勢にある。図8(b)では、第二ワイヤ99が、図1の押し手レバー8側に引かれている。第一アーム74が反時計回りに回動している。この第一アーム74のラチェット歯100と爪88との係合が解除されている。第一アーム74は、ピン80に押しあてられつつ回動させられている。これにより、ロッドばね67の付勢力に抗して、ブレーキロッド64が前方に移動している。図8(b)の状態では、制動が解除されている。押し手レバー8が引かれて、制動部91が非制動姿勢にある。
【0047】
図3,図4、図5及び図6が参照されつつ、利用者がこの車いす2に着座して、車輪10の回転の制動を解除する方法が説明される。図5は、利用者が車いす2に着座する前の制動装置22の一部の状態が示されている。図5では、ブレーキロッド64及びブレーキ板66が後方向きに押し出されて、車輪10の回転が制動されている。
【0048】
この車いす2では、図4の検知装置18における距離Lの変化により、利用者が座シート16に着座しているか否かが検知される。この車いす2に利用者が着座すると、この利用者の体重がクッション20を介して検知装置18にかかる。体重を受けた上プレート44は、ばね46を圧縮しつつ、図4における矢印Aの方向に回動する。換言すれば、検知装置18が収縮する。検知装置18は、図4に示された状態から図3に示された状態へと移行する。この移行により、距離Lが縮小する。上プレート44の回動により、第一ワイヤ52が制限レバー76側に、図示しないばねにより引かれる。これにより、図6(a)に示されたように、制限レバー76がブレーキロッド64に当接させられる。制動制限部92は、非制限姿勢から制限姿勢に変化する。
【0049】
利用者が、第一レバー68の上端部を握る。作業者が、プッシュロッド70を下方に押し込む。これにより、第二アーム82が反時計回りに回動させられる。第二アーム82の前端部が、第一アーム74を反時計回りに回動させる。ラチェット歯100と爪88との係合が解除される。この状態が、図6(a)に示されている。
【0050】
利用者が、ロッドばね67及びばね72の付勢力に抗して、第一レバー68を前方に回動させる。ブレーキロッド64及びブレーキ板66が前進させられる。これにより、ブレーキ板66が車輪10から離れて、制動が解除される。制動部91は、制動姿勢から非制動姿勢に変化している。このとき、ブレーキロッド64の第二大径部94が、制動姿勢で制限レバー76の爪102が係合する。この係合により、ブレーキロッド64が、ロッドばね67の付勢力により、後方に移動することが抑制されている。制動制限部92は、制動部91の非制動姿勢を維持している。この状態が、図6(b)に示されている。
【0051】
利用者が、第一レバー68を前方に押すのを止める。第一レバー68がばね72により後方に引き戻される。第一レバー68がストッパー90に当接する位置に戻る。このとき、ブレーキロッド64の第二大径部94と制限レバー76の爪102とが係合しているので、ブレーキロッド64は、前方に位置した状態が保たれる。これにより、ブレーキが解除された状態が保たれる。この状態が、図6(c)に示されている。図6(c)でも、制動制限部92は、制動部91の非制動姿勢を維持している。利用者が、車いす2を走行させる。
【0052】
次に、目的地に着くと利用者が車いす2から立ち上がる。利用者が車いす2から立ち上がると、検知装置18にかかっていた利用者の体重が除かれる。上プレート44は、ばね46に押され、図3における矢印Bの方向に回動する。換言すれば、検知装置18が伸張する。検知装置18は、図3に示された状態から図4に示された状態へと移行する。この移行により、距離Lが伸長する。上プレート44の回動により、第一ワイヤ52が検知装置18の側に引かれる。
【0053】
第一ワイヤ52が検知装置18側に引かれることにより、図7(a)の状態から制限レバー76が反時計回りに回動させられる。ブレーキロッド64の第二大径部94と制限レバー76の爪102との係合が解除される。制動制限部92が制限姿勢から非制限姿勢に変化する。ブレーキロッド64が後方に移動する。図示しない車輪10にブレーキ板66が当接する。制動部91は、非制動姿勢から制動姿勢に変化する。ブレーキロッド64が後方に移動することにより、第一アーム74のラチェット歯100が爪88に係合させられる。このようにして、この制動装置22は、図7(a)の状態から図7(b)の状態に至る。
【0054】
換言すれば、制動装置22が車輪10の回転を阻止する。立ち上がるとき、利用者の大腿の背面又は脛の背面が、車いす2を後方に押すことがある。立ち上がるとき、利用者が手で車いす2を後方に押してしまうこともある。車輪10の回転が阻止されているので、後方に押されても、車いす2はほとんど後進しない。利用者は、車いす2を支えとして立ち上がることができる。利用者が立ち上がった後も、車いす2は利用者から遠ざからない。利用者は、歩行することなく、車いす2に再度着座できる。利用者は健常者に比べて筋力に劣るので、立ち上がった利用者がすぐに後方に転んでしまうこともある。転んだ場合でも、車いす2が利用者を受け止める。
【0055】
利用者が車いす2に着座していないとき、前述の通り、制動装置22によって車輪10の回転が阻止されている。換言すれば、車いす2の意図せぬ前進及び後進が阻止されている。この制動装置22は、駐車ブレーキとして機能しうる。
【0056】
更に、利用者が車いす2に着座して車いす2を走行させている状態で、制動装置22を作動する方法が説明される。制動装置22は、図7(a)の状態である。利用者が、突起108と制限レバー76の後端を近づける向きに、制限レバー76を回動させる。これにより、ブレーキロッド64の第二大径部94と制限レバー76の爪102との係合が解除される。ブレーキロッド64が後方に移動する。図示しない車輪10にブレーキ板66が当接する。ブレーキロッド64が後方に移動することにより、第一アーム74のラチェット歯100が爪88に係合させられる。このようにして、この制動装置22は、図7(a)の状態から図7(b)の状態に至る。
【0057】
この第一レバー68は、ブレーキロッド64と別体である。ブレーキロッド64が前方に位置させられた状態でも、第一レバー68は、ばね72により後方に引き戻されている。制限レバー76が回動させられて、ブレーキロッド64が後方に移動しても、第一レバー68と移動しない。これにより、第一レバー68が利用者の腕などに衝突することが抑制されている。
【0058】
この制動を解除するとき、利用者が、第一レバー68の上端部を握る。作業者が、プッシュロッド70を下方に押し込む。第二アーム82が反時計回りに回動させられる。第一アーム74を反時計回りに回動させる。ラチェット歯100と爪88との係合が解除される。利用者が、ロッドばね67及びばね72の付勢力に抗して、第一レバー68を前方に回動させる。ブレーキロッド64及びブレーキ板66が前進させられる。ブレーキ板66が車輪10から離れる。制動部91は、制動姿勢から非制動姿勢に変化している。ブレーキロッド64の第二大径部94が、制動姿勢で制限レバー76の爪102が係合する。制動制限部92は、制動部91の非制動姿勢を維持する。こうして、制動装置22は、図7(a)の状態に戻される。この車いす2では、利用者が着座している状態のとき、制動部91は制動姿勢と非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされている。
【0059】
更に、利用者が車いす2に着座していない状態で、介助者によるブレーキの解除方法が説明される。図8(a)は、利用者が着座していない車いす2の制動装置22の状態が示されている。図8(a)では、車輪10の回転が制動されている。介助者が、この車いす2の後に立つ。介助者が、図1の押し手34を握る。介助者が押し手レバー8を引くと、第二ワイヤ99が引かれる。
【0060】
これにより、第一アーム74が、反時計回りに回動する。第一アーム74は、図8(a)に示された状態から、図8(b)に示された状態へと移行する。図8(b)の状態では、ロッドばね67の付勢力に抗して、車輪10からブレーキロッド64が引き離されている。車輪10の回転の制動が解除されている。
【0061】
換言すれば、押し手レバー8の操作は、車輪10の回転の阻止を解除する。利用者が着座していない、いわゆる「空車状態」の車いす2を、押し手レバー8を引きつつ、介助者が移動させることができる。介助者が押し手レバー8から手を離すと、ブレーキロッド64が、ロッドばね67の付勢力により車輪10にブレーキ板66を押し付ける。押し手レバー8から手を離すことで、車輪10の回転が制動される図8(a)の状態に戻る。
【0062】
この車いす2は、利用者が着座していない状態のとき、押し手レバー8が引かれると制動部91が制動姿勢から非制動姿勢に変化し、この押し手レバー8が戻されると制動部91が非制動姿勢から制動姿勢に戻される。この車いす2では、押し手レバー8が引かれた状態をロックする機構を、車いす2が備えてもよい。この車いす2の制動装置22は、部品点数が少ない。
【0063】
図9は、本発明の他の実施形態に係る車いす110の制動装置112の一部が示されている。ここでは、図1の車いす2の構成と異なる部分が説明される。車いす2の構成と同様の部分は、その説明が省略される。この車いす110には、車いす2の制動装置22に代えて制動装置112が取り付けられている。この車いす110では、検知装置18及び制動装置112が、制御装置113である。
【0064】
この制動装置112は、基板114、第一リンクアーム116、第二リンクアーム118、第三リンクアーム120、押圧体としてのブレーキ板122、操作レバーとしての第二レバー124、係止板126及びストッパー128を備えている。この図9の左向きが後方であり、ブレーキ板122が図示しない車輪10に押し付けられる制動向きである。
【0065】
第一リンクアーム116は、その上端部を基板114に軸着されている。第一リンクアーム116の下端は、下方斜め後方に向けて延びている。第一リンクアーム116の下端部に、ブレーキ板122が軸着されている。このブレーキ板122は、図示されない車輪10の回転軸に平行な回動軸に対して回動可能にされている。
【0066】
第二リンクアーム118は、基板114の前方に軸着されている。第二リンクアーム118は、その前端部と後端部との間の部分を基板114に軸着されている。その前端部に、第二レバー124の下端部が一体に固定されている。第二レバー124は、その下端部から上方に向けて延びている。この第二レバー124と第二リンクアーム118とは、一体で基板114に対して回動可能に取り付けられている。
【0067】
第三リンクアーム120の前端部は、第二リンクアーム118の後端部に軸着されている。第三リンクアーム120の後端部は、第一リンクアーム116の上端部と下端部との間の部分に軸着されている。この基板114、第一リンクアーム116、第二リンクアーム118及び第三リンクアーム120はリンク機構129を構成している。図9に示されるように、この制動装置112は、第一リンクアーム116と第二レバー124とがいわゆるトグルジョイント機構によって連結されたものである。
【0068】
係止板126は、第三リンクアーム120の前端部に取り付けられている。この係止板126には、第一ワイヤ52の下端が連結されている。第一ワイヤ52は、制動装置112の下方に延びている。第一ワイヤ52は、検知装置18に向かって延びている。この第一ワイヤ52の上端は検知装置18に連結されている。この係止板126には、第二ワイヤ99の下端が連結されている。第二ワイヤ99は、制動装置112の上方に延びている。第二ワイヤ99は、押し手レバー8に向かって延びている。この第二ワイヤ99は、押し手レバー8に連結されている。この制動装置112では、第一リンクアーム116、第二リンクアーム118、第三リンクアーム120及び第二レバー124が制動部130として機能している。
【0069】
図10(a)は、ブレーキ板122が図示されない車輪10に押し付けられた状態が示されている。リンク機構129がブレーキ板122を車輪10に押し付けている。制動部130は、制動姿勢にある。検知装置18は、図3に示されるように、ばね46の付勢力に抗して収縮させられている。図10(a)に示されるように、第一ワイヤ52は、制動装置112側に図示しないばねにより引かれている。第一ワイヤ52は、制動装置112側に弛みが発生している。図10(a)の状態では、第二レバー124の前方への回動が許容されている。
【0070】
図10(b)では、第二リンクアーム118と第三リンクアーム120とが一直線上に延ばされている。図10(b)の状態では、図10(a)の状態より、ブレーキ板122が車輪10に押し付けられている。図10(c)の状態では、第二レバー124の上端部が時計回りに回動されている。ブレーキ板122は、車輪10から離されている。リンク機構129がブレーキ板122を車輪10に押し付けていない。制動部130は、非制動姿勢にある。
【0071】
図11(a)には、図10(c)と同様の状態が示されている。即ち、ブレーキ板122は、車輪10から離されている。図11(b)では、第一ワイヤ52が下方に引かれた状態が示されている。これにより、第二レバー124の上端は反時計回りに回動している。第二リンクアーム118と第三リンクアーム120が回動している。第二リンクアーム118は、ストッパー128に当接している。第一リンクアーム116の下端部は、反時計回りに回動している。ブレーキ板122は、車輪10に押し付けられている。
【0072】
この車いす110では、利用者が利用者が着座するまで、検知装置18が図4の状態にある。第一ワイヤ52は、検知装置18側に引かれている。制動装置112は、図9の状態にある。制動装置112は、車輪10の回転を制動している。利用者がこの車いす110に着座する。検知装置18が図4の状態から図3の状態に変化する。第一ワイヤ52が弛められて、制動装置112は、図10(a)に示される状態になる。利用者が着座したとき、車輪10の回転は制動された状態が維持されている。
【0073】
着座した利用者が第二レバー124を時計回りに回動させる。この制動装置112は、図10(a)の状態から図10(b)の状態を経て図10(c)の状態になる。この図10(c)では、制動装置112による車輪10の回転の制動が解除されている。利用者が着座した車いす110が走行させられる。
【0074】
利用者が着座した状態で、第二レバー124を反時計回りに回動させると、図10(c)の状態から図10(a)の状態に変化する。この制動装置112では、図10(a)から(c)に示されるように、利用者が着座した状態で、ブレーキ板122が車輪10に押し付けられた姿勢と、ブレーキ板122が車輪10に押し付けられない姿勢との間で姿勢変化可能にされている。
【0075】
目的地で、車いす110が停止させられる。利用者が、車いす110から立ち上がる。
知装置18が図3の状態から図4の状態に変化する。第一ワイヤ52が引かれて、制動装置112は、図11(a)の状態から図11(b)の状態に変化する。利用者が座シート16に着座している状態から着座していない状態に変化すると、ブレーキ板122が車輪10に押し付けられる。図11(b)に示されるように、制動装置112は、車輪の回転を制動する。
【0076】
この車いす110では、ばね46、第一ワイヤ52、第一リンクアーム116、第二リンクアーム118及び第三リンクアーム120が、ブレーキ板122を車輪10に押し付ける制動向きに常時付勢している。
【0077】
この制動装置112では、図10(b)の状態では、図10(a)の状態よりも、ブレーキ板122が車輪10に押し付けられている。制動装置112は、第二レバー124の操作などの外力を加えなければ、図10(a)の状態が維持される。利用者が車いす110に着座しても、ブレーキ板122が車輪10に押し付けられた姿勢が維持されている。
【0078】
利用者が車いす110に着座していない状態で、介助者によるブレーキの解除方法が説明される。図12(a)は、利用者が着座していない車いす110の制動装置112の状態が示されている。図12(a)では、車輪10にブレーキがかけられている。介助者が、この車いす110の後に立つ。介助者が、図1の押し手34を握る。介助者が押し手レバー8を引くと、第二ワイヤ99が引かれる。
【0079】
これにより、ばね46の付勢力に抗して、第三リンクアーム120の前端部が、上方に回動する。これにより、第一リンクアーム116、第二リンクアーム118及び第三リンクアーム120は、図12(a)に示された状態から、図12(b)に示された状態へと移行する。図12(b)の状態では、図示されないばねの付勢力に抗して、車輪10からブレーキ板122が引き離されている。車輪10のブレーキが解除されている。
【0080】
換言すれば、押し手レバー8の操作は、車輪10の回転の阻止を解除する。利用者が着座していない、いわゆる「空車状態」の車いす110を、押し手レバー8を引きつつ、介助者が移動させることができる。介助者が押し手レバー8から手を離すと、ばね46の付勢力により車輪10にブレーキ板122を押し付ける。押し手レバー8から手を離すことで、ブレーキがかけられている図12(a)の状態に戻る。
【0081】
この車いす110の制動装置112は、トグルジョイント機構を備えている。このトグルジョイント機構が、第一ワイヤ52に接続されることで、制動部130がブレーキ板122を付勢している。これにより、座シート16に利用者が着座している状態から着座していない状態への変化したとき、ブレーキ板122が車輪10に押し付けられる。この車いす110では、検知装置18と第一ワイヤ52を備えることで、駐車ブレーキが自動でかけられている。この車いす110は、簡素な部品の追加で、駐車ブレーキが自動でかけられている。
【0082】
図13には、本発明に係るさらに他の実施形態の車いす132が示されている。ここでは、車いす2と異なる構成が説明される。車いす2と同様の構成の説明は省略される。この車いす132は、検知装置134、一対の制動装置136、第一ケーブル138、一対の第二ケーブル140及び一対の第三ケーブル142を備えている。制動装置136は、ディスク144及びキャリパ145を備えている。この検知装置134と制動装置136とが、制御装置146である。この第二ケーブル140は、第二ワイヤ155と、第二ワイヤ155が通されている第二チューブとからなる。第二ワイヤ155の一端が押し手レバー8に連結されている。
【0083】
図14(a)は、図13の矢印XIVで示された向きの説明図である。この検知装置134は、センサーワイヤ147、枠148、クッション149及びアーム150を備えている。枠148は、座シート16に固定される底板151と、左右側面に上方に延びる側板152とを備えている。検査装置134は、座シート16に固定されている。この枠148は、ばね鋼が用いられている。この枠148は、弾力性に優れた材料が用いられる。アーム150の中央部は、メインフレーム4に固定された軸153に回動可能に取り付けられている。図示されないばねの付勢力により、このアーム150は、図14において反時計回りに付勢されている。
【0084】
第一ケーブル138は、第一ワイヤ154と、第一ワイヤ154が通されている第一チューブとからなる。第一ワイヤ154の一端がアーム150の一端部に連結されている。センサワイヤ147の一端が一方の側板152を通されて、他方の側板152に連結されている。このセンサワイヤ147が側板152の間を架け渡されている。この車いす132では、このセンサワイヤ147がクッション149を貫通している。センサワイヤ147の他端は、アーム150の他端部に連結されている。このアーム150は、センサーワイヤ147が側板152側に引かれると第一ワイヤ154が弛められるように機能し、第一ワイヤ154がその他端側に引かれるとセンサーワイヤ147が弛められるように機能している。
【0085】
図15(a)に示されるように、キャリパ145は、本体157、アーム158及び図示されない摩擦材を備えている。第三ケーブル142は、第三ワイヤ160と、第三ワイヤ160が通されている第三チューブとからなる。この本体157の端部162を第三ワイヤ160が通されている。第三ワイヤ160の他端がアーム158の他端部164に連結されている。このアーム158は、本体157に取り付けられている。アーム158は、一端部166を回転中心として、他端部164が回動可能にされている。
【0086】
図15(a)では、この本体157に取り付けられている一方の摩擦材とアーム158に取り付けられている他方の摩擦材が、ディスク144を挟み込んでいる。これにより、キャリパ145が、ディスク144の回転を制動している。
【0087】
図16(a)及び16(b)は、カバーが取り外された制動装置136の一部が示されている。制動装置136は、基板166、第一リンクアーム168、第二リンクアーム170、第三リンクアーム172、操作レバーとしての第三レバー174、第一弾性体としてのばね176、制限レバーとしての第四レバー178、第二弾性体としてのばね180及び係合軸181を備えている。
【0088】
第一リンクアーム168の一端部は、基板166から起立する軸186に取り付けられている。第一リンクアーム168の他端部は、軸186を回動軸として回動可能にされている。第一リンクアーム168の他端部には、第二ワイヤ155及び第三ワイヤ160が連結されている。第一リンクアーム168の他端部は、ばね176の付勢力により、時計回りに付勢されている。これにより、第二ワイヤ155及び第三ワイヤ160は、第一リンクアーム168の側に引かれている。
【0089】
第二リンクアーム170の一端部と第三レバー174の下端部とが固定されている。第三レバー174及び第二リンクアーム170は、基板166から起立する軸188に取り付けられている。第三レバー174の上端部が回動可能にされている。第二リンクアーム170の他端部が回動可能にされている。この第二リンクアーム170の他端部と第三リンクアーム172の一端部が軸着されている。第三リンクアーム172の他端部と第一リンクアーム168とが係合軸181により軸着されている。この係合軸181は、第一リンクアーム168の一端部と他端部との間に配置されている。この制動装置136では、基板166、第一リンクアーム168、第二リンクアーム170及び第三リンクアーム172がリンク機構182である。第一リンクアーム168、第二リンクアーム170、第三リンクアーム172、第三レバー174及びキャリパ145が制動部183である。
【0090】
第四レバー178の他端部は、基板166から起立する軸190に取り付けられている。この第四レバー178の他端部は、軸190を回動軸として回動可能にされている。第四レバー178の一端部は、他端部の上方に延びている。第四レバー178の一端部と他端部との間には、係合溝191が形成されている。この第四レバー178は、ばね180の付勢力により、反時計回りに付勢されている。この第四レバー178には、第一ワイヤ154が連結されている。この第一ワイヤ154が引かれると、この第四レバー178の一端部は、時計回りに回動するようにされている。この制動装置136では、第四レバー178及びばね180が制動制限部184である。
【0091】
図17(a)は、図16(a)の部分拡大図である。ばね176の付勢力により、第一リンクアーム168の他端部が時計回りに回動させられている。これにより、第三レバー174は反時計回りに回動させられている。制動部183は、制動姿勢にある。第三ワイヤ160は、第一リンクアーム168側に引かれている。図17(a)では、第一ワイヤ154が、検知装置134側に引かれている。第四レバー178の一端部は、ばね180の付勢力に抗して時計回りに回動させられている。制動制限部184は、非制限姿勢にある。
【0092】
図17(b)では、この第一ワイヤ154が弛められている。ばね180の付勢力により、第四レバー178の一端部が反時計回りに回動させられている。この第四レバー178が、係合軸181に当接している。制動部183は、制動姿勢にあり、制動制限部184は、制限姿勢にある。
【0093】
図17(c)では、第三レバー174の上端部が時計回りに回動されている。第一リンクアーム168の他端部が反時計回りに回動させられている。第三ワイヤ160が弛められている。係合軸181は、軸186を中心にして反時計回りに回動させられている。回動した係合軸181は、係合溝191に係合している。制動部183は、非制動姿勢にあり、制動制限部184は、制限姿勢にある。
【0094】
図18(a)は、図17(c)と同じ使用状態の制動装置136の一部が示されている。図18(b)では、第一ワイヤ154が下方に引かれている。第四レバー178の一端は、ばね180の付勢力に抗して時計回りに回動させられている。係合軸181と係合溝191との係合が解除されている。制動部183は、非制動姿勢にあり、制動制限部184は、非制限姿勢にある。図18(c)は、図17(a)の使用状態と同様であり、その状態の説明は省略される。
【0095】
利用者が車いす132に着座するまで、検知装置134は図14(a)の状態にある。センサーワイヤ147が弛められている。第一ワイヤ154は、アーム150側に引かれている。図17(a)に示されるように、制動装置136では、第一ワイヤ154が引かれた状態にある。第一リンクアーム168の他端は、時計回りに回動している。第三ワイヤ160が第一リンクアーム168側に引かれている。図15(a)に示されるように、キャリパ145は、アーム158の他端部が時計回りに回動させられている。図示しない摩擦材がディスク144を挟み込んでいる。この車いす132の車輪10の回転が制動されている。制動部183は、制動姿勢にある。
【0096】
利用者が車いす132に着座する。図14(b)に示されるように、座シート16、クッション149及び底板151が撓む。センサーワイヤ147がアーム150側から枠148側に引かれる。アーム150が回動して、第一ワイヤ154が弛められる。図17(b)に示されるように、第四レバー178の一端部が反時計回りに回動させられる。この第四レバー178が、係合軸181に当接している。制動制限部184が非制限姿勢から制限姿勢に変化している。図17(b)では、制動装置136は、車輪10の回転を制動している。
【0097】
利用者が、第三レバー174の上端部を時計回りに回動させる。第一リンクアーム168の他端が反時計回りに回動する。係合軸181は、係合溝191に係合する。これにより、第一リンクアーム168は、反時計回りに回動した姿勢が保持される。第三ワイヤ160が弛められる。キャリパ145のアーム158の他端164を時計回りに回動する付勢力が解除される。図15(b)に示されるように、アーム158は、反時計回りに回動する。摩擦材がディスク144に押し付けられる力が解除される。これにより、車輪10の回転の制動が解除される。制動部183は、制動姿勢から非制動姿勢に変化する。利用者がハンドリムを操作して、この車いす132を走行させる。
【0098】
目的地で、利用者がこの車いす132から立ち上がる。アーム150を引いていたセンサーワイヤ147が弛められる。アーム150が回動して第一ワイヤ154がアーム150側に引かれる。図18(a)の第四レバー178の一端部が時計回りに回動させられる。係合軸181と係合溝191との係合が解除される。この制動装置136は、図18(a)の状態から図18(b)の状態になる。制動制限部184が制限姿勢から非制限姿勢に変化する。係合軸181と係合溝191との係合が解除されているので、第一リンクアーム168の他端が時計回りに回動させられる。第三ワイヤ160が引かれる。図15(b)のキャリパ145では、アーム158の他端が時計回りに回動させられる。キャリパ145は、図15(b)の状態から図15(a)の状態に変化する。制動装置136が車輪10の回転を制動する。制動部183が非制動姿勢から制動姿勢に変化する。
【0099】
この車いす132では、利用者が立ち上がると車輪10の回転が制動される。この車いす132では、車輪10の回転が制動された状態が維持されている。利用者は、この車いす132に安全に乗り降りできる。また、図18(a)のように、非制動姿勢にある制動制限部184に係合して、非制動姿勢が維持される。また、図18(a)に示された制動183の姿勢で走行可能な状態の車いす132で、利用者が着座したまま第四レバー178を操作することができる。第四レバー178の一端部が握られて時計回りに回動させられる。前述の利用者が立ち上がったときと、同様にして車輪10の回転が制動される。利用者が着座したままで、この制動装置136は車輪10を制動できる。
【0100】
この車いす132では、利用者が着座した後に、車輪10の回転の制動が解除可能にされている。利用者が着座していない状態では、制動装置136が車輪10の回転を制動するようにされている。一方で、利用者が着座している状態では、制動装置136による車輪10の回転の制動が解除された状態が保持されうるようにされている。
【0101】
更に、利用者が車いす132に着座していない状態で、介助者による制動の解除方法が説明される。図19(a)は、利用者が着座していない車いす132の制動装置136の状態が示されている。図19(a)は、図18(c)と同様の状態にある。車輪10の回転が制動されている。介助者が、この車いす132の後に立つ。介助者が、押し手34と共に押し手レバー8を握る。第二ワイヤ155が引かれる。
【0102】
これにより、第一リンクアーム168の他端部が、反時計回りに回動する。第一リンクアーム168は、図19(a)に示された状態から、図19(b)に示された状態へと移行する。図19(b)の状態は、図18(b)と同様の状態にある。ばね176の付勢力に抗して、第一リンクアーム168の他端部が反時計回りに回動させられる。車輪10の回転の制動が解除されている。制動部183は、制動姿勢から非制動姿勢に変化している。
【0103】
換言すれば、押し手レバー8の操作は、車輪10の回転の阻止を解除する。利用者が着座していない、いわゆる「空車状態」の車いす132を、押し手レバー8を引きつつ、介助者が移動させることができる。介助者が押し手レバー8から手を離すと、第一リンクアーム172が、ばね176の付勢力により車輪10にブレーキ板66を押し付ける。押し手レバー8から手を離すことで、制動されている図19(a)の状態に戻る。
【0104】
ここでは、車いすの制御装置について説明がされたが、この制御装置は、人を乗せる座シートと車輪とを備える乗り物に用いられうる。このような乗り物としては、車いすの他、自転車及びベビーカーが例示される。この制動装置は、人を支える支持部と車輪とを備える歩行補助具に用いられうる。このような歩行補助具としては、歩行器、シルバーカー(老人用歩行車)及びカート(荷車)が例示される。
【0105】
例えば、歩行器は、人を支える支持部を備えている。人は、この支持部に体重をかけた状態で歩行する。言いかえると、人がこの支持部に支えられた状態で歩行する。この制御装置の検知装置は、支持部が人を支えている状態と人を支えていない状態とを検知する。この制御装置の制動装置の構成は、前述の車いすの制御装置と同様であり、その説明が省略される。歩行器に限らず、シルバーカー及びカートにも人の体重を支える支持部が設けられうる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
この制御装置は、座シート又は支持部を備え、かつ車輪を備える、乗り物及び歩行補助具に広く用いられうる。
【符号の説明】
【0107】
2、110、132・・・車いす
4・・・メインフレーム
6・・・背フレーム
8・・・押し手レバー
10・・・車輪
14・・・キャスター
16・・・座シート
18、134・・・検知装置
20、149・・・クッション
22、112、136・・・制動装置
26・・・第一ケーブル
28・・・第二ケーブル
27、113、146・・・制御装置
34・・・押し手
36・・・キャスターフレーム
39・・・カバー
40・・・下プレート
42・・・ヒンジ
44・・・上プレート
46、72、78・・・ばね
52・・・第一ワイヤ
54・・・第一チューブ
58、90、128・・・ストッパー
62、114・・・基板
64・・・ブレーキロッド
66、122・・・ブレーキ板
67・・・ロッドばね
68・・・第一レバー
70・・・プッシュロッド
74・・・第一アーム
76・・・制限レバー
80・・・ピン
82・・・第二アーム
84、86・・・軸受け
88、102・・・爪
89、108・・・突起
91、130・・・制動部
92、184・・・制動制限部
93・・・第一大径部
94・・・第二大径部
96・・・第三大径部
97、104・・・係止面
98、106・・・テーパ面
99・・・第二ワイヤ
100・・・ラチェット歯
116・・・第一リンクアーム
118・・・第二リンクアーム
120・・・第三リンクアーム
124・・・第二レバー
126・・・係止板
138・・・第一ケーブル
140・・・第二ケーブル
142・・・第三ケーブル
144・・・ディスク
145・・・キャリパ
147・・・センサーワイヤ
148・・・枠
150・・・アーム
151・・・底板
152・・・側板
153・・・軸
154・・・第一ワイヤ
155・・・第二ワイヤ
157・・・本体
158・・・アーム
160・・・第三ワイヤ
168・・・第一リンクアーム
170・・・第二リンクアーム
172・・・第三リンクアーム
174・・・第三レバー
176・・・ばね
178・・・第四レバー
180・・・ばね
181・・・係合軸
182・・・リンク機構
183・・・制動部
184・・・制動制限部
186、188、190・・・軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)メインフレーム、
(2)このメインフレームに取り付けられた車輪、
(3)利用者が着座するための座シート、
(4)この座シートに利用者が着座している状態と着座していない状態とを検知する検知装置
及び
(5)車輪の回転を制動する制動装置
を備えており、
この制動装置が車輪の回転を阻止する制動部を備えており、
この制動部が車輪の回転を阻止する制動姿勢と車輪の回転を阻止しない非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされており、
この座シートに利用者が着座している状態から着座していない状態に変化したとき、制動部が制動姿勢に変化し、着座していない状態から着座している状態に変化したとき、制動姿勢が維持され、
この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動部が制動姿勢から非制動姿勢に姿勢変化可能に構成されている車いす。
【請求項2】
上記メインフレームから上方に延びる背フレームと、この背フレームに備えられた押し手と、解除レバーと、解除ワイヤとを備えており、
この解除レバーが背フレームに回動可能に取り付けられており、押し手に近付く向きに回動させられることにより解除レバーが引かれ、押し手から離れる向きに回動させられることにより解除レバーが戻されるように構成されており、
この解除レバーと制動装置とが解除ワイヤで連結されており、
利用者が着座していない状態のとき、この解除レバーが引かれると制動部が制動姿勢から非制動姿勢に変化し、この解除レバーが戻されると制動部が非制動姿勢から制動姿勢に戻される請求項1に記載の車いす。
【請求項3】
上記制動装置が制動部による車輪の回転の阻止を制限する制動制限部を備えており、
この制動制限部が非制動姿勢にある制動部を非制動姿勢に維持する制限姿勢と制動部が制動姿勢と非制動姿勢との間の姿勢変化を制限しない非制限姿勢との間で変化可能にされており、
この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動制限部が制限姿勢にあり、
この座シートに利用者が着座していない状態のとき、制動制限部が非制限姿勢にある請求項1又は2に記載の車いす。
【請求項4】
上記制動部が押圧体及び押圧部を備えており、
上記制動姿勢が押圧部が押圧体を車輪に押し付けている姿勢であり、
上記非制動姿勢が押圧部が押圧体を車輪から離している姿勢である請求項1から3のいずれかに記載の車いす。
【請求項5】
上記押圧部が、第一弾性体及びブレーキロッドを有しており、
上記押圧体がブレーキロッドの制動向きの先端に取り付けられており、
この第一弾性体の付勢力により、ブレーキロッドが押圧体を車輪に押し付ける向きに付勢している請求項4に記載の車いす。
【請求項6】
上記制動制限部が、第二弾性体と、ブレーキロッドに係合しうる制限レバーとを有しており、
この第二弾性体の付勢力により、制限レバーがブレーキロッドに係合しうる向きに付勢されており、
非制限姿勢の制限レバーが、ブレーキロッドに係合しうる向きと逆向きに第二弾性体の付勢力に抗して離されている請求項5に記載の車いす。
【請求項7】
上記座シートの左右上方にアームレストを備えており、
上記制動部が、利用者により操作され、制動姿勢のブレーキロッドを非制動姿勢のブレーキロッドの位置に移動させうる第一レバーを備えており、
この第一レバーがアームレストの左右側面に位置しており、
制動部が非制動姿勢でかつ制動制限部が制限姿勢であるときに第一レバーが非制動姿勢の位置から制動姿勢の位置へ移動するブレーキロッドの移動を阻害しない位置に移動しうるように構成されている請求項5に記載の車いす。
【請求項8】
上記制動部がディスク、キャリパ及び摩擦材を備えており、
このディスクが車輪に一体に固定されており、
上記制動姿勢がキャリパが摩擦材をディスクに押し付けている姿勢であり、
上記非制動姿勢がキャリパが摩擦材をディスクに押し付けていない姿勢である請求項1から3のいずれかに記載の車いす。
【請求項9】
第三ワイヤを備えており、
上記制動部がリンク機構を備えており、
この第三ワイヤがリンク機構とキャリパとを連結しており、
このリンク機構が制動姿勢と非制動姿勢とで姿勢変化可能にされており、
上記制動制限部が、第二弾性体と、リンク機構に係合しうる制限レバーとを有しており、
この第二弾性体の付勢力により、制限レバーがリンク機構に係合しうる向きに付勢されており、
非制限姿勢の制限レバーが、リンク機構に係合しうる向きと逆向きに第二弾性体の付勢力に抗して離されている請求項8に記載の車いす。
【請求項10】
上記制動部が押圧体及び押圧部を備えており、
上記押圧部が、リンク機構を有しており、
上記押圧体がリンク機構の一のリンクアームの制動向きの先端に取り付けられており、 上記制動姿勢がリンク機構が押圧体を車輪に押し付けている姿勢であり、
上記非制動姿勢がリンク機構が押圧体を車輪から離している姿勢である請求項1又は2に記載の車いす。
【請求項11】
人を乗せる座シートと車輪とを備える乗り物に用いられる制御装置であって、
検知装置及び制動装置を備えており、
この検知装置が座シートに利用者が着座している状態と着座していない状態とを検知するように構成されており、
この制動装置が車輪の回転を阻止する制動部を備えており、
この制動部が車輪の回転を阻止する制動姿勢と車輪の回転を阻止しない非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされており、
この座シートに利用者が着座している状態から着座していない状態に変化したとき、制動部が制動姿勢に変化し、着座していない状態から着座している状態に変化したとき、制動姿勢が維持され
この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動部が制動姿勢と非制動姿勢との間で姿勢変化可能に構成されている制御装置。
【請求項12】
人を支える支持部と車輪とを備える歩行補助具に用いられる制御装置であって、
検知装置及び制動装置を備えており、
この検知装置が支持部に利用者が支えられている状態と支えられていない状態とを検知するように構成されており、
この制動装置が車輪の回転を阻止する制動部を備えており、
この制動部が車輪の回転を阻止する制動姿勢と車輪の回転を阻止しない非制動姿勢との間で姿勢変化可能にされており、
この支持部に利用者が支えられている状態から支えられていない状態に変化したとき、制動部が制動姿勢に変化し、支えられていない状態から支えられている状態に変化したとき、制動姿勢が維持され
この支持部に利用者が支えられている状態のとき、制動部が制動姿勢と非制動姿勢との間で姿勢変化可能に構成されている制御装置。
【請求項13】
上記制動装置が制動部による車輪の回転の阻止を制限する制動制限部を備えており、
この制動制限部が、非制動姿勢にある制動部を非制動姿勢に維持する制限姿勢と、制動部の制動姿勢と非制動姿勢との間の姿勢変化を制限しない非制限姿勢との間で変化可能にされており、
この座シートに利用者が着座している状態のとき、制動制限部が制限姿勢にあり、
この座シートに利用者が着座していない状態のとき、制動制限部が非制限姿勢にある請求項11又は12に記載の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2011−87901(P2011−87901A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284908(P2009−284908)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(598026851)株式会社カワムラサイクル (42)