説明

制御されたサイクル寿命のジョーアセンブリ

圧着工具12と共に使用するためのジョーアセンブリ14であって、アセンブリがジョーアーム16a、16bと側板とを含み、ジョーアームの予想される破損の前に、ジョーアセンブリのユーザに識別可能な方法で側板が破損するように構成されるジョーアセンブリ14が説明される。側板は、そのような破損を保証するために、側板の1つの面に形成された機械加工されたスロットなどの応力ライザ40、80、90、92を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのすべての内容が本明細書内に参照として組み込まれている、2004年9月9日に出願された米国特許仮出願60/608191の優先権を請求する。
【0002】
本発明は一般にパイプのセクションを連結するための取付部品を圧着するための工具に関し、より詳細には、そのような取付部品を圧着するために使用するための改良されたジョーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
圧縮管継手は一般にシールを含む管状スリーブである。管継手は、パイプの端部に係合するために径方向に圧縮される。圧縮管継手はパイプの端部間で漏れ抵抗継手を形成する。継手は相当な機械的な強度をもち自立形である。管継手を圧縮するために、圧着工具が使用される。
【0004】
一般的な圧着工具は作動装置とピボット圧着アームまたはジョーとを含む。作動装置はピストンをもつ液圧式シリンダを含む液圧式作動装置でよい。ピストンは圧着アームまたはジョーと接触するローラを含む。動作では、液圧式ポンプは、そのローラでピストンをアームまたはジョーに抗して押すためにシリンダ内に液圧式圧力を蓄積する。ローラは、ジョーの端部と線形係合で係合し、それらをピボットさせ、ジョーの間に配置された圧縮管継手を圧着させる。
【0005】
ジョーの端部のローラの取り入れ角に応じて、相当の圧着力を生み出すことができる。これらの強い力の結果、アームまたはジョーは圧着のときに強い力を受け、破損することがある。多くの場合、ジョーの破損は、さらなるジョーアセンブリの使用を妨げ、または圧着アセンブリのユーザの目に容易に見えるクラックまたは変形をもたらす。そのような場合、ジョーアセンブリを使用できず、または圧着工具のユーザがクラックまたは変形を観察して、その後ジョーアセンブリが完全な圧着を生み出すには当てにできないと知るので、不完全なまたは不適切な圧着の可能性は一般に回避される。しかし、いくつかの大きさの圧着アセンブリでは、特に小さいサイズの圧着アセンブリでは、ジョーの一方または両方の破損は、ジョーアセンブリが使えないわけではない、かつアセンブリのユーザが容易に観察できない、ジョーに起こるクラックをもたらす可能性がある。そのような状況で、圧着アセンブリのユーザは、クラックのあるジョーアセンブリで圧着を続け、かつ潜在的に低品位の、または不完全な圧着に至る可能性がある。そのような低品位の、または不完全な圧着は望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、クラックの入ったジョーが起こり、かつ/または、それが続けて圧着動作用に使用される状態が発生することを禁止し回避するのに役立つ改良されたジョーアセンブリが対象とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、クラックの入ったジョーが起こり、かつ/または、それが続けて圧着動作用に使用される状態が発生することを禁止し回避するのに役立つ改良されたジョーアセンブリが対象とされる。この開示のいくつかの教示によれば、圧着工具と共に使用するためのジョーアセンブリであって、少なくとも1つのジョーアームと、ジョーアームに連結された側板とを含み、側板が、ジョーアームの予想される破損の前に、ジョーアセンブリのユーザに識別可能な方法で側板が破損することを保証するための応力ライザを含むジョーアセンブリが説明される。さらに別の実施形態では、応力ライザは側板内に形成された鋭いコーナを備える機械加工されたスロットを含む。さらに別の実施形態では、応力ライザは、側板内に形成されたスロットであって、側板の1つの面内のピボットピン開口を横切って延びるスロットを含む。
【0008】
本発明の別の実施形態では、圧着工具アセンブリであって、第1ジョー部材および第2ジョー部材と、第1および第2ピボットピンと、ピボットピン開口をもつ少なくとも1つの側板とを含む圧着工具アセンブリが説明され、第1および第2ジョー部材が互いに対向する方向に向けられ、第1および第2ジョー部材が、第1および第2ピボットピンを介して側板に連結され、側板が、ジョーアームの予想される破損の前に、ジョーアセンブリのユーザに識別可能な方法で側板が破損することを保証するための応力ライザを含む。さらに別の実施形態では、応力ライザは側板内に形成された鋭いコーナを備えるスロットを含む。さらに別の実施形態では、応力ライザは、側板の1つの面内のピボットピン開口を横切って延びるスロットを含む。
【0009】
前述のまとめ、好ましい実施形態の説明および本発明の他の態様は、以下に続く本発明の特定の実施形態の詳細の説明に関連して、添付の図面と併せて読むとき、最もよく理解されるであろう。
【0010】
本発明は様々な修正および別の形状の影響を受けやすいが、特定の実施形態が、図面内に例だけとして示されたが、本明細書内で詳細に説明される。しかし、本発明が、開示された特定の形状に限られるものでないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内にあるすべての修正、等価物および代替物を含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書内で開示された本発明を組み込んだ1つまたは複数の実施形態が、以下に提示される。実際の実装の特徴は、はっきりとさせるために本願ではそのすべては説明または示されない。本発明を組み込んだ実際の実施形態を展開する場合、開発者の目的を達成するために、実装によって時々変化する、システム関連の、ビジネス関連の、政府関連の、または他の制約への遵守などの多くの実装に特有の決定がされなければならないことが理解される。開発者の作業は複雑であり時間がかかることがあるが、それにもかかわらず、そのような作業は、この開示の利益を受ける当分野の技術者には定常な仕事であろう。
【0012】
一般的に、出願人は、その中に応力ライザをもつ圧着工具などの圧縮アセンブリに関連して側板を使用する装置および方法を考え、それらを開発し、そのような応力ライザは圧縮アセンブリのユーザにわかる形で側板が破損することを保証するために、それだけには限らないがスロット、部分的なスロットおよび幾何学的破裂を含む。装置および方法は、圧縮アセンブリ共に使用される独創的な装置ならびに既存の圧縮アセンブリおよび装置を修正するための改装装置とを含む。
【0013】
図面、詳細には図1および2に戻ると、例示的な圧着工具アセンブリ10が示される。アセンブリ10は、圧着工具12とジョーアセンブリ14とを含む。
【0014】
圧着工具12は、当分野の技術者には知られた方法でジョーアセンブリ14を作動させるために使用される液圧作動式ピストンアセンブリ(図1または2には図示せず)を備える一般にガンの形状の装置を含む。圧着工具12は、電池でまたはコードを使って動力を得ることができる。本開示の主題を実行するために使用できる、知られている圧着工具の例は、Ridge Tool Company(オハイオ州のElyria市)から入手可能なModel CT−400およびMODEL 320―E圧着工具を含む。
【0015】
ジョーアセンブリ14は、第1および第2側板18Aおよび18B(図1および2では、側板18Aだけが見える)を介して、互いに連結される第1および第2ジョー部材またはアーム16Aおよび16Bを含む。ジョー16Aおよび16Bは、側板18Aおよび18Bによって画定されたピボットピン開口21A、21B、21Cおよび21D内に配置された第1および第2ピボットピン20Aおよび20Bを介して、側板18Aおよび18Bに連結される。ピボットピンは、保持リング22A、22B、22Cおよび22Dを使用して所定位置に保持される。図1に示されるように、側板18Aおよび18Bは、図2に示すように、ジョーアセンブリ14を圧着工具12に(例えば回転可能な連結で)連結するための保持ピン26を受けるための開口24を画定する。図4に示されるばねアセンブリ19は、ジョーを開かせるバイアスをかけるのに使用することができる。公告された米国特許出願第20040154371号の「Compression Tool Jaw Member」および/または本明細書内に参照によって組み込まれている米国特許出願第20030046973号の「Crimping Assembly」の教示に従って、ジョーを構成することができる。
【0016】
図3は図1および図2に示されたアセンブリ10の側部切断図を一般的に示す図である。図に示されるように、ジョーアセンブリ14は、その周辺端15に、ジョーアセンブリが作動されたとき、圧着取付部品に係合し、そのような取付部品に圧着をもたらすような大きさと形状に作られた開口34を画定する。図にさらに示されるように、圧着工具12は、ローラ32Aおよび32Bを備える液圧作動式ピストンアセンブリ30を含む。圧着工具14が、例えばトリガまたはスイッチを押し下げることで作動されたとき、液圧作動式ピストンアセンブリ30は、(矢印によって示された)移動経路に沿って、ジョーアセンブリ14に向かって動かされ、ローラ32Aおよび32Bをジョー16Aおよび16Bの遠位端17に係合させ、ジョー14Aおよび14Bを閉じることを、また、圧着取付部品が開口34内に配置されている場合には、取付部品の圧着をもたらす。
【0017】
液圧作動式ピストンアセンブリ34によってジョー16Aおよび16Bに圧力を加えること、ならびに開口34内部で任意の圧着取付部品とのそれらの接触によってジョーの上に置かれた合成した圧力は、ジョーアーム16Aおよび16B上に相当の応力および圧力をもたらす。時間の経過にともなって、ジョー16Aおよび/または16Bおよび/または側板18Aおよび/または18Bが破損する可能性がある。
【0018】
ジョー16Aおよび16Bの破損は、通常、ジョー内にクラックの形成および/またはジョーの変形をもたらす。多くの場合、ジョーの破損は、さらなるジョーアセンブリの使用を妨げ、または圧着アセンブリ10のユーザの目に容易に見えるクラックまたは変形をもたらす。そのような場合、ジョーアセンブリ14は使用できないと、または圧着工具のユーザがクラックまたは変形を観察して、その後ジョーアセンブリ14が完全な圧着を生み出すには当てにできないと知るので、不完全なまたは不適切な圧着の可能性は一般に回避される。いくつかの大きさの圧着アセンブリ10では、特に小さいサイズの圧着アセンブリ10では、ジョー16Aおよび16Bの一方または両方の破損は、ジョーアセンブリ14が使えないわけではない、かつクラックが完全にまたは部分的に1つまたは複数の側板18Aおよび18Bによって視界から隠されるために、アセンブリのユーザの視界から遮られる、ジョー16Aおよび16Bに起こるクラックをもたらす可能性がある。そのような状況で、圧着アセンブリのユーザは、クラックのあるジョーアセンブリ14で圧着を続け、かつ潜在的に低品位の、または不完全な圧着に至る可能性がある。そのような低品位の、または不完全な圧着は望ましくない。
【0019】
本開示の1つの実施形態によれば、ジョー16Aおよび16Bの任意の妥当に予想される破損の前に、明白な、目に見える方法で破損するように特別に構成された側板18Aおよび18Bを使用することによって、望ましくない、低品位の、または不完全な圧着は低減されまたは回避される。
【0020】
1つの実施形態では、この開示のいくつかの教示に従って構成されるジョーアセンブリ内で使用される側板のための予想されるサイクル寿命は、ジョーアームのための最小の妥当であると予想されるサイクル寿命の約50%と約80%との間にあるべきであると決定された。したがって、10000サイクルを越えると予想されるサイクル寿命を備えるジョーアームをもつジョーアセンブリに対して、側板のための望ましいサイクル寿命は、約5000と約8000サイクルとの間であろう。そのようなサイクル寿命の範囲は、ジョーアームが破損する前に、側板が常に破損することを保証することになり、またジョーアセンブリが適切なサイクル寿命を有することを保証することにもなる。
【0021】
ジョー16Aおよび16Bの予想される破損の前に、明らかな、目に見える方法で破損する側板の上記の目標を達成する1つの例示的なジョーアセンブリは、図4、5Aおよび5Bに示される。図に示されるように、技術設計された応力ライザを備える側板18Aおよび18Bは、鋭いコーナの機械加工された、側板の1つの側(または面)に配置される、スロット40A、40B、40Cおよび40Dの形状で形成される。図示された実施形態では、機械加工されたスロット40Aから40Dの寸法および位置決めは、ジョーアーム16Aおよび16Bの予想される疲労破損の前に、側板が割れ、または破損することを保証するために選択された。
【0022】
図4および5の例示的な実施形態では、側板18Aおよび18Bは、ブランク加工されて側板を形成し、それから知られている技術を使用して機械加工されてスロット40Aから40Dに製作され、ファインブランク加工されたX42NiCrMo4の6mmの厚さのスチール材料などのスチールから構成される。当分野の技術者に知られている他の材料および方法を、側板18Aおよび/または18Bを製作するために使用することができる。側板18Aおよび18Bの構成に使用するのに適した他の材料は、これらには限らないが、CrMoV、CoCrWV、NiCrMoV、NiCrTi、WCrV他などの熱間加工スチールと、X100CrMoVを含む冷間加工スチールと、21MnCrMo4Grade鋼などのMnCrMoスチールと、ステンレスマルテンサイト系スチールと、ステンレスフェライト系/オーステナイト系スチールと、ステンレスオーステナイト系スチールと、コバルトベースの合金と、高温オーステナイト系スチールと、それらの組合せとを含む。1つの例として、側板は、ほぼ2.008インチの幅で、1.083インチの高さでよい。
【0023】
図4および図5で気づくように、図4および図5の例示的な実施形態における、機械加工されたスロット40Aから40Dはそれらがピボットピン開口を横切るように配置される。これは、応力ライザがない場合、ジョーアセンブリの繰り返しサイクルが、ピボットピン開口で始まり、最終的に部品が破損するまで(上または下に)伝搬する疲労のクラックの発達をもたらすとき、図4および図5に示されたジョーアセンブリのための側板の破損は一般に起こることがわかったためである。それらが部分的に、あるいは図示されたように完全に、クラックが自然に始まる傾向がある領域であるピボットピン開口を越えて横切るように機械加工されたスロット応力ライザ40Aから40Dを配置することによって、いつまたどこでクラックが始まるかを制御し、したがって、気が付き、識別可能な形で、動作サイクルの比較的狭いバンド内で破損する側板を構成することができ、このことは、ジョーアーム16Aおよび16Bの任意の妥当であると予想される破損の前に、側板が破損することを保証するために有益である。
【0024】
一般に、図4、5Aおよび5Bに示される側板をもつジョーアセンブリの繰り返された使用は、明白な、目に見える方法で側板の破損をもたらす。1つの例として、図6は破損した、機械加工されたスロットをもつ側板を示す。わかるように、機械加工されたスロットを含むことが、大きな、識別可能なクラック45を生み出す破損をもたらした。
【0025】
機械加工されたスロット40Aから40Dの形状の応力ライザの使用は、一般に有益であるが、スロットの深さおよび幅を制御することによって追加の利点を得られることがわかった。1つの例として、機械加工されたスロットの深さおよび幅における変化は、側板およびその上で側板が破損すると予想できる様々なバンドに対して様々な予想有効寿命を生み出すことができることが見いだされた。
【0026】
分析から、図5に関連して上述の寸法および材料組成で構成された側板に対して、5000から8000サイクルの間の望ましいサイクル寿命を得るための目標応力が350000から380000psiの範囲であると決定された。この分析に基づいて、いくつかの異なるスロットの寸法が試験された。
【0027】
図7は、様々な寸法の機械加工されたスロット40Aから40Dを備えて構成されたジョーアセンブリに対する寿命サイクル試験を一般に示す。特に、図7は、(a)(「.015Slot」と呼ばれる)深さ0.015インチX幅0.250インチのスロット;(b)(「.030Slot」と呼ばれる)深さ0.030インチX幅0.276インチのスロット;(c)(「.045Slot」と呼ばれる)深さ0.045インチX幅0.276インチのスロット;(d)(「.045Slot」と呼ばれる)深さ0.060インチX幅0.276インチのスロットをもつジョーアセンブリの寿命サイクルを示す。一般に、これらのスロットの寸法は一般に入手できる機械加工工具に基づいて選択された。
【0028】
図7に示されるように、機械加工されたスロットの寸法は、側板アセンブリの寿命サイクルの特徴に相当の影響を与えることができる。例えば.015Slotで形成された側板は、7023サイクルから7661サイクルの妥当な狭い範囲内で初期には破損する。しかし、より多くの側板が工具から形成され、それらの側板が試験されるならば、部品のサイクル寿命が増加しはじめ、側板の予想されるサイクル寿命とジョーアームの予想されるサイクル寿命との間の必ずしも望ましい分離度を提供しないであろう、16000サイクルに最終的に達しそれを越える。側板の予想されるサイクル寿命におけるこの増加は、スロットを形成するために現在使用されている機械加工が摩耗していったことを示唆する。スロットのエッジを画定するコーナ半径が約0.004インチより小さく維持される限り、サイクル寿命は望ましく、比較的狭い範囲内にあった。切削工具は摩耗にさらされ、半径が増大するので、側板のサイクル寿命も同様に増加する。この属性は、製造の観点からは必ずしも望ましくはない。
【0029】
図7にさらに示されているように、スロットの寸法を.030Slotの寸法に増加させることは異なった結果をもたらした。特に、.030Slotを使用することは、すべてが4536と7904サイクルの間の比較的狭い、望ましいサイクル寿命バンド内部で破損する側板をもたらす結果になることがわかった。さらに、より深いスロットのために、スロットを形成するために使用される機械切削工具の摩耗から起こる、スロットのエッジを画定するコーナ半径の変化は予想されるサイクル寿命に必ずしも大幅な変化をもたらさなかった。このことは、.030設計は、より容易で、より一貫した製造可能な設計であり、.015Slot設計と比べて切削工具の摩耗に、より影響を受けにくいことを示す。.045および.060Slotの寿命サイクルのデータも、図6に提供にされる。
【0030】
上の例は機械加工されたスロットのコーナ半径における変化を許容できることを示しているが、一般にコーナ半径は実用的な限り小さく、かつスロットが狭くまたは鋭いコーナをもつことを保証することが望ましい。
【0031】
スロットの寸法および図7に示されたサイクル寿命の結果は例示のためだけであり、図4、5Aおよび5Bに一般的に示された側板と類似した寸法および材料パラメータをもつ側板のための寿命サイクルを示すことを理解すべきである。異なる全体寸法または異なる材料組成をもつ側板は、異なるスロットの寸法に対して異なるサイクル寿命を生み出すであろう。しかし、様々な寸法および複数の側板を試験する上述のプロセスは、任意の寸法および材料組成の側板のための望ましいスロットの寸法を決定するために、使用することができる。
【0032】
上述の機械加工されたスロットは、ジョーアームの予想される破損の前に、側板が目に見える破損をこうむることを保証するために、側板内に応力ライザを導入することを取り入れることができる1つの解決手法にすぎないことを理解すべきである。他の解決手法も同じ結果を達成することができる。1つのそのような別の解決手法は、側板の適切な破損を保証するために、側板が形成されている材料の柔らかさを調節することであろう。別の解決手法は、上述の完全なスロットではなく、ピボットピン開口から1方向にのみ延びる部分的スロットである(機械加工された、またはそうでない)スロットを使用することであろう。そのような別の設計の1つの例が、側板の面のピボットピン開口21Aおよび21Bから1方向にのみ外向きに延びる部分的スロット80Aおよび80Bを示す図8Aおよび8Bに提供されている。
【0033】
機械加工動作を必要とせず、応力ライザがスタンピングまたは細かいブランキングプロセスによって形成される、さらに別の実施形態が考えられる。例えば、孔、開口、押圧刻線が、側板の所望のサイクル寿命を達成するために、ファインブランキング工程の間に、側板上に(機械加工されたスロットに関連した上述の位置または別の位置に)配置することができる。これらの線に沿った別の実施形態の例を図9および10に見いだすことができる。
【0034】
図9は望ましいサイクル寿命を達成するためにコーナ半径90Aおよび90Bが調節され制御された別の側板設計を一般的に示す。図10Aおよび10Bは、丸くはないが、ほぼ円形の開口をもち、応力ライザとして働く小さい幾何学的破裂92Aおよび92Bをもつピボットピン開口を生み出すためにファインブランキングプロセスが使用される設計を一般的に示す。図10Aに、ほぼ半円の形状として示されているが、そのような幾何学的破裂92Aおよび92Bは、応力ライザとして働くために、任意の適切な望ましい形状でよい。
【0035】
側板の全体の厚さを(例えば、6mmから5mmに)低減させるなどの他の技術を、応力ライザを導入するために使用することもできる。さらにまた、上述の解決手法の組合せ、(例えば、機械加工されたスロット用の上述の位置に刻まれた線と組み合わせた、図10Aおよび10Bに示されたファインブランキングされたピボットピン開口の使用)を使用することもできる。
【0036】
ジョーアセンブリのためのジョーアームの破損の前に、側板の破損を保証するために、上記は技術設計された応力ライザを備える側板の使用を論じている。側板の技術設計を通してそのような初期の側板の破損を保証するのに加えて、あるいはその代わりに、ジョーアセンブリ内で使用されるジョーアームの予想されるサイクル寿命を延ばすことによって、側板が最初に破損することを保証することを可能にしてもよい。ジョーアームのサイクル寿命を延ばすための解決手法は、ジョーアームの寸法または材料を調節し、かつ/あるいは最も疲労しやすいアームの部分をショットピーニングに当てることを含む。1つの例として、ショットピーニングがジョーアームの予想されるサイクル寿命を2000から5000サイクルに増加させることがわかった。
【0037】
本明細書内で開示された本発明の様々な実施形態が、好ましい実施形態に関連して説明されたが、明らかな修正および変更が可能であることが関連分野の技術者には理解できるであろう。したがって、本発明は、それらが添付の特許請求の範囲またはその等価物の範囲内にある完全な範囲にまで、すべてのそのような修正および変更を含む意向である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】圧着工具12と、本開示のいくつかの教示に従って構成されたジョーアセンブリ14とを含む例示的な圧着工具アセンブリ10を一般的に示す図である。
【図2】保持ピン26によって圧着工具12に取り外し可能に取り付けられたジョーアセンブリ14を示す図1の例示的な圧着工具アセンブリ10を一般的に示す図である。
【図3】図1および図2に示されたアセンブリ10の側部切断図を一般的に示す図である。
【図4】本発明による側板の実施形態による圧着ジョーアセンブリ14の分解図を示す図である。
【図5A】本発明の態様によるピボットピン開口を越えて完全に横切る機械加工されたスロット応力ライザ40Aから40Dをもつ側板の上面図を一般的に示す図である。
【図5B】図5Aの側板の側面図を示す図である。
【図6】アセンブリで使用されたジョーの予想される破損の前に、明白な、目に見える方法で破損した本発明の態様による機械加工されたスロットをもつ側板を一般的に示す図である。
【図7】この開示のいくつかの教示に従って構成されたジョーアセンブリのための寿命サイクル試験を一般的に示す図である。
【図8A】ピボットピン開口から1方向のみに延び、かつ応力ライザとして提供される部分的スロットをもつ側板の別の実施形態を一般的に示す図である。
【図8B】線A―Aに沿って取られた図8Aの側板の側面図を一般的に示す図である。
【図9】望ましいサイクル寿命を達成するためにコーナ半径が調節され制御された別の側板設計を一般的に示す図である。
【図10A】丸くなく、応力ライザとして働く小さな破裂をもつピボットピン開口を生み出すためにファインブランキングプロセスが使用されるさらに別の側板設計を一般的に示す図である。
【図10B】図10Aの側板の側面図を一般的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着工具と共に使用するためのジョーアセンブリであって、
少なくとも1つのジョーアームと、
少なくとも1つのジョーアームに連結され、かつ少なくとも1つのピボットピン開口をもつ側板とを含み、
側板が、ジョーアームの予想される破損の前に、ジョーアセンブリのユーザに識別可能な方法で側板が破損することを保証するための応力ライザを含む、ジョーアセンブリ。
【請求項2】
応力ライザが側板内に形成されたスロットを含む、請求項1に記載のジョーアセンブリ。
【請求項3】
スロットがピボットピン開口を越えて完全に横切る、請求項2に記載のジョーアセンブリ。
【請求項4】
スロットがピボットピン開口から外向きに延びる部分的スロットである、請求項2に記載のジョーアセンブリ。
【請求項5】
側板内の少なくとも1つのピボットピン開口が応力ライザとして働く幾何形状的破裂をもつ、請求項1に記載のジョーアセンブリ。
【請求項6】
側板が機械加工されたスチールから構成される、請求項1に記載のジョーアセンブリ。
【請求項7】
側板がジョーアームに対する予想される寿命サイクルの約50%と約80%との間の寿命サイクルをもつ、請求項1に記載のジョーアセンブリ。
【請求項8】
側板の寿命サイクルが約5000サイクルから約8000サイクルに及ぶ、請求項7に記載のジョーアセンブリ。
【請求項9】
圧着工具アセンブリであって、
第1ジョー部材および第2ジョー部材と、
第1および第2ピボットピンと、
ピボットピン開口をもつ少なくとも1つの側板とを含み、
第1および第2ジョー部材が互いに対向する方向に向けられ、
第1および第2ジョー部材が、第1および第2ピボットピンを介して少なくとも1つの側板に連結され、
少なくとも1つの側板が、ジョーアームの予想される破損の前に、ジョーアセンブリのユーザに識別可能な方法で側板が破損することを保証するための応力ライザを含む、圧着工具アセンブリ。
【請求項10】
応力ライザが側板内に形成されたスロットを含む、請求項9に記載のジョーアセンブリ。
【請求項11】
スロットがピボットピン開口を越えて完全に横切る、請求項10に記載のジョーアセンブリ。
【請求項12】
スロットがピボットピン開口から外向きに延びる部分的スロットである、請求項10に記載のジョーアセンブリ。
【請求項13】
少なくとも1つのピボットピン開口が応力ライザとして働く幾何形状的破裂をもつ、請求項9に記載のジョーアセンブリ。
【請求項14】
側板が第1および第2ジョーアームのための予想される寿命サイクルの約50%と約80%との間の寿命サイクルをもつ、請求項9に記載のジョーアセンブリ。
【請求項15】
側板がNiCrMoスチール材料から構成される、請求項9に記載のジョーアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2008−512265(P2008−512265A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531287(P2007−531287)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/031799
【国際公開番号】WO2006/031548
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(500510010)エマーソン エレクトリック カンパニー (73)
【Fターム(参考)】