説明

制御された温度応答を有する凍結インジケータ

凍結インジケータは、水性液体媒体と、水性液体媒体中に分散された有機材料インジケータ粒子とを有するインジケータ分散液を含むことが可能である。インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有することが可能であり、約−1.9℃以上の凍結開始温度を示すことが可能である。比較的高い凍結開始温度を提供するのに役立つ一部の因子は、タンパク質性氷核形成剤の採用、pHの制御、タンパク質安定化剤の使用、および氷核形成剤に対するタンパク質安定化剤の割合の制御である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第61/238,403号(2009年8月31日出願)の利益を主張する。該出願の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、とりわけ、水性液体媒体中に有機材料インジケータ粒子の分散液を含む凍結インジケータに関する。より具体的には、本発明は、およそ水または別の液体の凍結点、またはそれを下回る温度へのホスト製品の過去の曝露の信頼性のある指標を提供することができる、凍結インジケータに関するが、これに限定されない。本発明は、可能性のある凍結曝露を監視するためのホスト製品に関連付けられた本発明の凍結インジケータの実施形態を有する凍結に敏感なホスト製品を含む。
【背景技術】
【0003】
多くの商業的製品は、凍結に敏感であり、それらが、短時間でも凍結温度付近、またはそれを下回る温度への曝露に見舞われた場合、品質を損なう、悪化させる、または損失する可能性がある。例えば、果実は、茶色になる場合があり、生花、サラダ用野菜、および一部のハーブは、しおれる場合があり、ワクチンは、効力を損失する場合がある。一部の他の凍結に敏感な製品としては、薬学的製品、薬剤、血液製剤、ならびに天然、合成、または組み換えタンパク質およびポリペプチドといった凍結に敏感な製品を含むヘルスケア製品、さらには、食料品、飲料、ならびに一部の産業製品、例えば、エマルジョン、およびラテックス塗料が挙げられる。一部の製品は、過度の冷温への曝露により、いかなる明瞭な外観の変化も伴うことなく、品質の損失に見舞われる可能性がある。
【0004】
そのような不可視的、または隠れた品質の損失の可能性の存在を監視することに助力するために、低コストの凍結インジケータを採用することができる。1つの有用な凍結インジケータは、凍結または凍結温度付近へのホスト製品の過去の曝露の不可逆的な指標を提供することができ、例えば、凍結インジケータをホスト製品に付着することによって、凍結に敏感なホスト製品に関連付けることができる。
【0005】
そのような凍結インジケータに対する種々の提案は既知である。例えば、全て発明者がTaylor、他である、特許文献1および特許文献2、ならびに特許文献3および特許文献4は、多様な凍結インジケータおよび凍結インジケータ技術を開示している。これらの特許および特許出願公開は、「Taylor、他の特許公開」として本明細書において参照される。Lentz、他の特許文献5もまた、多様な凍結インジケータおよび凍結インジケータ技術を開示している。Taylor、他の特許公開およびLentz、他の出願の各々は、本明細書において参照することにより組み込まれる。
【0006】
それらの明細書において説明されるように、Taylor、他の特許公開およびLentz、他の出願は、液体媒体中の固体粒子の分散液を含むインジケータ要素を採用する、凍結インジケータを開示している。インジケータ要素は、凍結温度へ曝露されると、例えば、分散された固体粒子の凝固の結果として、不可逆的に外観を変化させることができ、凍結インジケータが凍結温度に曝露されたという信号を提供する。
【0007】
さらに、Guisingerの特許文献6は、インジケータが水の凍結点付近の温度といった臨界温度に曝露されたという、視覚的で不可逆的な指標をもたらす、臨界温度インジケータを説明している。その明細書に説明されるように、Guisingerの臨界温度インジケータは、水、核形成剤、ラテックス、および核形成剤のための安定化剤の混合物を含む、形質転換可能な材料を含む。また、説明されるように、ラテックスは、ワックスであり得、核形成剤は、氷核形成活性(INA)微生物であり得、水は、酸化ジュウテリウムを含み得る。
【0008】
凍結インジケータに対する前述の提案にもかかわらず、増強された応答特性を有する凍結インジケータを有することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,343,872号明細書
【特許文献2】米国特許第7,490,575号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0110391号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0257251号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0162941号明細書
【特許文献6】米国特許第6,957,623号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
応答が水性媒体の凍結に関連する凍結インジケータでの困難は、水性媒体の凍結点が、過冷却または他の現象によって過度に低下し得るということである。この問題を克服する経済的な凍結インジケータが、一部の目的に対して有用であろう。
【0011】
本発明は、とりわけ、新しい、または改善された温度応答特性を有する凍結インジケータを提供する。
【0012】
本発明はまた、水性液体媒体を有する凍結インジケータであって、比較的高い凍結開始温度を示す、凍結インジケータを提供することができる。
【0013】
さらに、本発明は、水性液体媒体を有する凍結インジケータであって、室温での1週間以上の保存後、比較的高い凍結開始温度を示す、凍結インジケータを提供することができる。
【0014】
加えて、本発明による凍結インジケータは、比較的低コストの成分を採用し、それによって、製造経済に寄与することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、一側面において、本発明は、インジケータ分散液を含む、凍結インジケータを提供し、分散液は、水性液体媒体と、水性液体媒体中に分散された有機インジケータ粒子とを含む。水性液体媒体は、溶融温度および凍結温度を有し、凍結温度は、溶融温度を下回る。また、インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有する。凍結インジケータは、改善された凍結開始温度、例えば、約−1.9℃以上の凍結開始温度を示すことができる。
【0016】
凍結関連の応答温度は、凍結開始温度であり得る。有用に、凍結インジケータは、凍結開始温度で、液体媒体の凍結を示す、明白な外観変化を示すことができる。
【0017】
本発明は、凍結インジケータが、少なくとも−1℃、または少なくとも−0.5℃の温度で、凍結関連の応答を示すことができる、実施形態を含む。例えば、凍結インジケータの一部の実施形態は、約0.0℃の温度で、凍結関連の応答を示すことができる。
【0018】
別の側面において、本発明は、約20℃から約25℃の室温で、少なくとも4週間保存した後、少なくとも約−2.0℃、少なくとも約−1.5℃の凍結開始温度を示すことができる、凍結インジケータを提供する。代替的に、そのような保存の後の凍結開始温度は、分散液が新たに作製された時の凍結インジケータの凍結開始温度よりも0.5℃以内低いことが可能である。
【0019】
なおさらなる側面において、本発明は、インジケータ分散液を含む、凍結インジケータを提供し、凍結インジケータは、水性液体媒体と、水性液体媒体中に分散された有機インジケータ粒子とを含む。水性液体媒体は、溶融温度、および溶融温度を下回る凍結温度を有する。本側面において、凍結インジケータは、凍結温度を上昇させるためのタンパク質性氷核形成剤をさらに含むことができる。凍結インジケータはまた、例えば、凍結インジケータが曝露され得る、高められた温度によって誘導される熱劣化に対して、核形成剤を安定化させるための核形成剤安定化剤を含むことができる。望ましくは、インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有することができる。
【0020】
凍結インジケータは、例えば、約1μgから約2mgの重量の、任意の好適な量のタンパク質性氷核形成剤を含むことができる。所望される場合、凍結インジケータはまた、例えば、インジケータ分散液の重量に基づいて、約0.05重量パーセントから約5重量パーセントの、氷核形成剤に対する好適な濃度の安定化剤を含むことができる。
【0021】
さらに、水性液体媒体は、約pH4から約pH11の範囲内のpHを有することができる。例えば、水性液体媒体は、約pH7.5から約pH8.5の範囲内のpHを有することができる。
【0022】
さらに別の側面において、本発明は、水性液体媒体と、水性液体媒体中に分散された有機インジケータ粒子とを含む、インジケータ分散液を含む、凍結インジケータを提供する。水性液体媒体は、溶融温度、および溶融温度を下回る凍結温度を有する。望ましくは、インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有する。また、液体媒体は、約pH7から約pH9の範囲内のpHを有することができる。
【0023】
本発明は、本発明による凍結インジケータを含む、ホスト製品を含むことができ、凍結インジケータは、例えば、ホスト製品、またはホスト製品のための容器もしくはパッケージングに付着させることによって、ホスト製品に関連付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の一部の実施形態、ならびに本発明の1つ以上の実施形態の作製および使用方法を、本明細書において詳細に、かつ一例として、同様の参照文字が、いくつかの図面にわたり、同様の要素を指定する、添付の図面(図示されるいかなる内部または外部構造に関しても、必ずしも原寸に比例して図示されてはいない)を参照して説明する。
【図1】図1は、本発明による凍結インジケータの例解的な実施形態の平面図である。
【図2】図2は、図1の線2−2の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一部の目的に対して、比較的高められた凍結開始温度を示す、水性凍結インジケータ媒体を採用する凍結インジケータを有することが望ましいであろう。
【0026】
さらに、場合によっては、一定期間の保存後、比較的高められた凍結開始温度を示すことが可能である、凍結インジケータを有することが望ましいであろう。
【0027】
水性媒体中にインジケータ粒子の分散液を採用し、かつ水性媒体の凍結に応答する、既知の凍結インジケータは、しばしば、過冷却によって、インジケータ分散液の組成によって、および他の因子によって、上方に制限された凍結開始温度を有する。凍結開始温度は、凍結時、液体媒体の融点を若干、または有意に下回る場合があり、このため、ある商業的用途に対して望ましいものより有意に低い場合がある。
【0028】
「水」および「水性」という用語は、文脈上別段の指示が無い限り、存在する原則的水素同位体がプロチウムである水だけでなく、酸化ジュウテリウム、DO、または重水、部分的に重水素化された水、DHO、およびこれらの形態の水の混合物もまた含むように、本明細書において使用される。異なる形態の水の間で区別することが所望される場合、「軽水」という用語は、存在する主要な水素同位体がプロチウムである、一般的な、通常の水を指すように使用される。微量のジュウテリウムが、公知のとおり、軽水に存在し得る。
【0029】
凍結された軽水(氷)は、多くの液体と同様に、0℃で溶融するが、比較的純粋な軽水は、その溶融温度を有意に下回る温度、例えば、−10℃と低い温度、またはさらに低い温度で凍結する場合があり、現象は、過冷却として知られる。また、凍結された酸化ジュウテリウムは、軽水よりも高い温度、即ち、約3.8℃で溶融する一方で、軽水と同様に、酸化ジュウテリウムは、過冷却の結果として、その溶融温度よりも有意に低い温度で凍結する。
【0030】
過冷却の程度を低減する、凍結温度を上昇させる、および融点と凍結点との間の範囲を狭めるために、氷核形成剤を水性分散液に添加することができる。しかしながら、核形成剤を使用しても、望ましく高い凍結開始温度を提供しない場合がある。
【0031】
このため、十分に高い凍結または凍結開始温度を有する、水中にインジケータ粒子の分散液を採用する凍結インジケータを提供する際に困難が生じる可能性がある。本発明は、そのような困難を克服または軽減することができる凍結インジケータを提供する。
【0032】
この目的に対して、本発明は、とりわけ、水性媒体中にインジケータ粒子の分散液を含む凍結インジケータであって、水性媒体の凍結に応答して、恐らく凍結された水性媒体の融解後に、不可逆的に外観を変化させ、かつ−2℃を上回る凍結開始温度を示す、凍結インジケータを提供する。例えば、凍結開始温度は、約−1.9℃以上、または約−1℃以上、または約−0.5℃以上、または約0.5℃以上であることが可能である。有用に、凍結開始温度は、約−0.9℃から約0℃の範囲内であることが可能である。
【0033】
「凍結開始温度」という用語は、凍結インジケータ分散液が、視覚的観察によって明確に決定することができる、検出可能な凍結により誘導される外観変化を示す最高温度を指すように、本明細書において使用される。外観変化は、透明から不透明になる変化、氷晶の形成、または混濁であり得る。
【0034】
本発明による凍結インジケータの一部の実施形態は、比較的短い期間、例えば、1時間以内の凍結開始温度以下の温度への曝露における、明確な凍結により誘導される外観変化を示すことができる。本発明はまた、より短い期間、例えば、15分、または5分、または約30分未満の別の期間の曝露後、1個の試料から別の試料へ、一貫してかつ確実に、明確な凍結により誘導される外観変化をもたらす、大量生産される凍結インジケータを含む。
【0035】
本発明はまた、高められた凍結開始温度、または凍結曝露に確実に応答することができる、本明細書において説明されるような1つ以上の他の望ましい特性を有する、凍結インジケータを提供する。「確実に」という用語は、本文脈において、1バッチの類似条件に供される類似の凍結インジケータにおいて、有意な割合が、ほぼ同時に同じように応答するということを示すように用いられる。有意な割合とは、任意の適切な割合、例えば、1バッチの凍結インジケータのうちの70パーセント、90パーセント、95パーセント、またはさらには100パーセントであり得る。
【0036】
驚くべきことに、本発明に従って、インジケータ粒子の水性分散液を含む、凍結インジケータの凍結開始温度が、製剤pHに対して敏感であり得るということが、発見されている。
【0037】
本発明に従って、とりわけ、8.0のpHまたはその付近、例えば、液体媒体のpHに関して約7.8から8.2の範囲内で製剤化された場合、インジケータ粒子の水性分散液を含む凍結インジケータが、驚くほど高い凍結開始温度を示すことができるということが発見されている。
【0038】
本明細書におけるpH値とは、文脈上別段の指示が無い限り、凍結インジケータ分散液中の液体媒体で決定される、凍結インジケータ分散液(時折「製剤」)のpHを指すということが理解されるものとする。例えば、本発明の凍結インジケータの実施形態において採用可能なワックス分散液のpHも指す。
【0039】
また、本発明の側面は、採用される水性媒体のpHとは関係なく、0℃に接近する、またはそれ付近の凍結開始温度を有するインジケータ粒子の水性分散液を含む凍結インジケータを提供する。
【0040】
本発明の別の側面は、多くの試料にわたる試験において、約4から約9.5の範囲内のpHと、−1℃またはそれを上回る温度で確実に凍結開始を示すことができる凍結インジケータ分散液の製剤との組み合わせを採用する凍結インジケータの有用な実施形態を提供する。別の製剤は、0℃もしくはその付近の温度、またはそれを上回る温度で、確実に凍結開始を示すことができる。
【0041】
「固体」という用語は、本明細書において、文脈上別段の指示がある場合を除き、「半固体」を含むように使用される。
【0042】
「凝固する」、および「凝固」という用語は、本明細書において、凝集、集塊、凝塊、および、凍結時、または凍結および融解時に、インジケータ粒子の液体分散液によって示され得る他の外観変化現象を含むように使用される。
【0043】
凍結温度への過去の曝露を信号伝達するために、本発明による凍結インジケータは、有用に、凍結前の1つの視覚的外観と、インジケータが凍結された後の異なる視覚的外観とを有することができる。この外観変化は、分散液中のインジケータ粒子の凝固によって提供することができ、望ましくは不可逆的である。
【0044】
本発明に従って、液体媒体が凍結する場合に、液体媒体中に分散された固体粒子は、液体媒体の成長する結晶の中に構造的に組み込まれず、その結果、一般的に、結晶が成長し、未凍結液体の体積が減少するにつれて、残留液体中の固体の濃度が増加し、凝固をもたらすことを理解することができる。
【0045】
本発明を実践する際に採用される凍結インジケータ粒子は、有機材料、例えば、水不溶性の疎水性有機材料の固体または液体粒子を含むことができる。本明細書においてさらに説明されるように、有機材料は、1つ以上のワックスと、任意に、ワックス状材料を軟化させるように、1つ以上のワックスと混成されたワックス軟化剤とを含むことができる。
【0046】
このため、本発明による凍結インジケータの一部の有用な例は、インジケータ分散液を提供するように、水性液体媒体中に分散された有機インジケータ粒子を含み、分散されたインジケータ粒子は、インジケータ分散液の凍結に応答して、視覚的外観における不可逆的な変化を提供するように、凝固することができる。
【0047】
有用に、タンパク質性粒子核形成剤を、インジケータ分散液中に含むことができる。タンパク質性粒子核形成剤は、凍結応答温度を高めることに助力することができる。所望される場合、凍結インジケータ分散液は、氷核形成剤を安定化させるための安定化剤を含むことができる。
【0048】
有利に、本発明による凍結インジケータにおいて、水性液体媒体は、所望される場合、高められた凍結応答温度を提供することに助力するように選択された範囲内のpHを有する。例えば、pH範囲は、約pH4から約pH11、約pH4から約pH9.5、約pH7.5から約pH8.5、および約pH7.8から約pH8.2から成る範囲の群より選択することができる。
【0049】
また、本発明による凍結インジケータは、所望される場合、インジケータ分散液を含むインジケータ体積と、インジケータ体積を規定するポリマーフィルム部材(1つまたは複数)とを含むことができる。ポリマーフィルム部材は、インジケータ分散液に隣接して位置することができ、凍結インジケータの周囲環境に曝露される外面を有することができる。
【0050】
加えて、本発明による凍結インジケータは、所望される場合、インジケータ分散液を観視するための観視窓と、可能性のある凍結曝露に対して監視されるべきホスト製品にインジケータを固着するための付着デバイスとを含むことができる。任意に、そのような凍結インジケータは、付着デバイスを含む基板層と、観視窓を含む観視層と、基板層と観視層との間の水蒸気密閉シールとを含むことができ、インジケータ体積は、基板層と観視層との間で規定され、蒸気密閉シールは、インジケータ体積周囲全体に閉ループにおいて延在する。
【0051】
さらに、本発明による凍結インジケータは、所望される場合、インジケータ体積に近接する参照領域を含むことができ、参照領域は、凍結インジケータのエンドポイントの外観に類似する外観を有することができる。
【0052】
記載されるように、凍結への過去の曝露の指標は、凍結インジケータによって提供される凍結曝露信号に、何らかの永続性を付与するように、不可逆的であることが可能である。例えば、視覚的外観における変化は、振動すること、融解すること、または通常の室温もしくは別の非破壊温度に加熱することによって、取り除かれることを不可能にすることができる。そのような特性は、本発明による凍結インジケータが、薬学的製品、医療製品、食料品、およびある産業製品を含む、幅広い製品で有用に採用されることを可能にすることができる。
【0053】
望ましくは、本発明の凍結インジケータの実施形態は、凍結インジケータの初期の未凍結外観とは異なる、凍結後の視覚的外観を有することができ、外観における相違は、不可逆的である。例えば、一度凍結された後、凍結インジケータの外観は、凍結インジケータが融解したかどうかにかかわらず、初期外観とは永続的に異なることが可能である。恐らく、凍結された、および融解された外観は、互いに異なり得る。好ましくは、凍結された、および融解された外観の両方が、初期外観とは明白に異なる。しかしながら、本発明はまた、凍結された外観が、初期外観と類似し、融解された外観が、初期または凍結された外観のいずれかとは不可逆的に異なる、実施形態を含む。
【0054】
本発明による凍結インジケータの外観は、凍結インジケータを見る、観視者、または光学デバイスに、過去の凍結曝露の不可逆的な指標、または信号を提供することができる。信号の不可逆性は、凍結インジケータ媒体が、その後融解され、液体状態に戻る可能性があることにもかかわらず、観視者が、凍結インジケータが凍結事象に曝露されたかどうかを決定することを可能にすることができる。凍結インジケータ信号は、所望される場合、光学デバイス、例えば、カメラによって読み取り、または捕捉することができる。
【0055】
インジケータ信号の観視者の解釈は、所望される場合、観視者が凍結インジケータの外観を比較することができる、凍結インジケータの活性領域に隣接する1つ以上の参照領域を提供することによって、支援することができる。参照領域は、観視者が、凍結インジケータの外観の意味を判定すること、例えば、外観が、「凍結したことが無い」または「凍結している」を示すかどうかを決定するように、助力することができる。
【0056】
本発明による凍結インジケータは、ホスト製品を監視するために、および任意に、ホスト製品もまた、有害な凍結曝露に見舞われている可能性があることを示唆するために、ホスト製品、例えば、凍結に敏感な製品、または凍結により傷みやすい製品に関連付けることができる。
【0057】
(液体媒体)
「液体媒体」という用語は、本明細書において、20℃の室温で液体である、本発明による凍結インジケータ分散液の成分を指すように使用される。液体媒体は、溶媒ではなく、有機インジケータ粒子に対して、非相溶性である任意の好適な液体媒体、例えば、水性液体媒体とすることができる。
【0058】
望ましくは、水性液体媒体は、液体媒体の重量に基づいて、少なくとも約10パーセントの酸化ジュウテリウム、重水素化水、または酸化ジュウテリウムおよび重水素化水の混合物を含むことができる。所望される場合、より高い比率の酸化ジュウテリウム、例えば、少なくとも約50パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセント、少なくとも約98パーセント、少なくとも約99パーセント、または約100重量パーセントの酸化ジュウテリウムを採用することができる。プロチウム酸化物/酸化ジュウテリウム混合物の凍結点および融点は、一般的に、0.0℃の融点を有するプロチウム酸化物、および3.8℃の酸化ジュウテリウムの、2つの化合物の相対比率に関連する。
【0059】
所望される場合、液体媒体は、本質的に水から成るか、または完全に水から成ることができ、例えば、液体媒体は、完全に酸化ジュウテリウムから成ることができ、即ち、100パーセントが酸化ジュウテリウムであることが可能であるか、または、酸化ジュウテリウムおよび軽水の混合物であることが可能である。
【0060】
所望される場合、水性液体媒体は、凍結インジケータが、曝露されることが予想される可能性が高い周囲温度の範囲内の温度、例えば、約−10℃から約−50℃の範囲内の温度で、液体媒体から分離することができる、いかなる有機液体も欠く、または含まないことが可能である。
【0061】
(タンパク質性氷核形成剤)
所望される場合、任意の好適なタンパク質性氷核形成剤を、本発明による凍結インジケータの実施形態において採用することができる。
【0062】
例えば、タンパク質性氷核形成剤は、採用される場合、シュードモナス種、シュードモナスシリンゲ、シュードモナスシリンゲ株、So、他の米国特許第5,489,521号に説明されるシュードモナスシリンゲ株、シュードモナス・フルオレセンス、シュードモナス・コロナファシエンス、シュードモナス・ピシ、エルウィニア種、エルウィニア・アナス、エルウィニア・ハービコーラ、エシェリヒア・コリ、キサントモナス、氷核形成菌類、および氷核形成原生動物から成る群より選択される微生物から取得可能な無細胞タンパク質性氷核形成剤、または全細胞タンパク質性氷核形成剤を含むことができる。本発明の実践における使用のための無細胞タンパク質性氷核形成剤は、例えば、Wight、他の米国特許第5,223,412号において説明されるような、任意の好適な方法によって、好適な氷核形成微生物から調製することができる。
【0063】
本発明の実践における使用に好適である、1つの微生物由来の氷核形成材料は、Johnson Controls Inc.,Milwaukee Wisconsin,www.johnsoncontrols.com.から入手可能なタンパク質性材料である、SNOMAX(商標)造雪剤である。供給元によって説明されるように、SNOMAX造雪剤の平均組成は、タンパク質材料が細菌シュードモナスシリンゲに由来する、氷核形成タンパク質を含む、約54重量パーセントのタンパク質を含む。SNOMAX造雪剤についてのさらなる情報は、「Snomax FAQ’s」において見出すことができ、この文献は、www.johnsoncontrols.comから入手可能であり、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0064】
本発明はいかなる特定の理論によっても束縛されないが、本出願日現在、細菌シュードモナスシリンゲ、または商標SNOMAXの下に供給される細菌の商業的凍結乾燥形態の氷核形成性質は、特定の氷核形成タンパク質に寄与するということが、当該技術分野において理解されると考えられる。「氷核形成タンパクInaZ」として知られるこのタンパク質は、P.シリンゲのInaZ遺伝子の発現産物として当該技術分野において説明されており、細菌の外部細胞膜上に位置すると考えられている。氷核形成タンパク質は、水分子が氷中に有する空間の倍数で離間する水結合官能基を有するということ、および何らかの先天的核形成能力を提供するということが考えられる。周囲水の凍結点もまた、およそ膜の表面の平面における、時折「結晶度」として知られる、整合された配列での氷核形成タンパク質分子の凝集によって増加されると考えられる。分子配列の分裂または劣化は、核形成の有効性の損失を引き起こすと考えられる。
【0065】
氷核形成タンパク質InaZは、約118kDaの推定分子量を有する1200を超えるアミノ酸残基から成る、単量体タンパク質であるということが、当該技術分野において理解されているようである。N末端領域のアミノ酸残基は、細菌細胞の外膜におけるリン脂質部分と相互作用すると考えられる。氷核形成タンパク質の中央領域は、氷晶形成のための鋳型として作用する、8、16、および48残基の長さを有する一連の反復アミノ酸配列を含むと考えられる。C末端領域は親水性であり、最外細胞表面で曝露される。氷核形成タンパク質のそのような構造は、Jung,H−C、他,Enzyme Microb.Technol.1998,22:348−354においてさらに説明されており、この開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明の実践において有用なタンパク質性氷核形成剤には、氷核形成タンパク質InaZの氷晶鋳型領域と相同、またはそれに類似する領域を含む、またはそれから成るアミノ酸配列を有し、かつ氷核形成機能性を提供する、天然、合成、および組み換えポリペプチドが含まれる。
【0067】
(タンパク質安定化剤)
タンパク質性材料は、凍結曝露に関して監視することができる一部のホスト製品の保存および流通において直面する通常の周囲温度に敏感であり得、かつそれによって有害な影響を及ぼされ得る。温暖な夏の天気、高温な気候、および他の周囲条件は、タンパク質の劣化を引き起こす可能性があり、タンパク質性氷核形成剤に、その有効性の一部または全てを損失させ得る。
【0068】
さらに、タンパク質性材料を含み、無菌ではない混合物は、タンパク質性氷核形成材料の有効性を有害に低減させる可能性もある、微生物学的活性を許容する可能性がある。
【0069】
したがって、タンパク質性氷核形成剤を採用する、本発明による凍結インジケータ分散液はまた、所望される場合、熱または他の劣化に対して、氷核形成剤を安定化させるための安定化剤を含むことができる。
【0070】
本発明の実践において採用することができる好適な安定化剤の一部の例としては、ホルムアルデヒド、ジアルデヒド、10個以下の炭素原子を有するジアルデヒド、グリオキサル、グルタルアルデヒド(CHO.CHCHCH.CHO)、アジポアルデヒド、塩酸グアニジン、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、およびテレフタルアルデヒドが挙げられる。一部の他の好適な安定化剤としては、種々の架橋剤、例えば、ジブロモアセトンまたはビスマレイミドヘキサンといった、チオール特異性架橋剤、ならびにイソシアネートおよびイソチオシアネートといった、アミノ特異性架橋剤が挙げられる。
【0071】
本発明の実践において採用することができる他の好適な安定化剤は、本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、当該技術が発達するにつれて、将来、既知もしくは明らかとなるであろう。例えば、タンパク質が、経時的に、および/または高められた温度で、より良好にその配座を維持することができるように、氷核形成タンパク質の三次元分子構造を科学的に保持もしくは固定する材料もまた、採用することができる。一部のそのような材料としては、架橋剤、多機能性および二機能性試薬が挙げられ、グルタルアルデヒドはその一例に過ぎない。架橋は、三次構造およびいかなる凝集も安定化させることができる。前述の安定化剤のうちのいずれの相互に適合性がある混合物もまた採用することができる。望ましくは、選択される安定化剤、および採用される濃度は、タンパク質性材料の氷核形成機能、または凍結インジケータの任意の他の機能的側面の妨害を回避するようなものとすることができる。
【0072】
任意に凍結インジケータ分散液に含むことができるさらなる成分は、本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、当該技術が発達するにつれて、将来、既知もしくは明らかとなり、例えば、殺生物剤が挙げられる。場合によっては、殺生物剤は、採用される場合、氷核形成タンパク質の性能に有害な影響を及ぼす可能性がある、潜在的な微生物活性を制御することができる。一部の好適なタンパク質安定化剤はまた、殺生物剤として有用であり、例えば、グリオキサルおよびグルタルアルデヒドである。
【0073】
(インジケータ粒子)
本発明の凍結インジケータの実施形態において採用される、凍結インジケータ分散液は、凍結開始の視覚的信号を提供するように、任意の好適な凍結インジケータ粒子を含むことができる。望ましくは、凍結インジケータ粒子は、例えば、凝固によって、凍結に応答して、明白な外観変化、または他の視覚的信号を提供することができる。
【0074】
また、望ましくは、凍結インジケータ粒子は、非毒性、生体適合性、および経済的である、材料から形成することができる。一部の有用な凍結インジケータ粒子は、水不溶性である、固体、半固体、または液体有機材料、例えば、疎水性有機材料の粒子を含む。
【0075】
好適な有機インジケータ材料としては、当業者に明らかなように、ラテックスにおいて採用されるあるワックス、一部のポリマー材料、および粒子材料、ならびに他の有機材料が挙げられる。好適な有機粒子材料の一部の例としては、天然および合成ゴム、スチレン、ビニル、およびビニリデンポリマーおよびコポリマーといった合成ポリマー、ならびにワックスが挙げられる。「ラテックス」という用語は、本明細書において、任意に乳化によって調製された、水性または他の液体媒体中の固体有機粒子の分散液を含むように使用される。有用なラテックスは、透明または半透明のものもあれば、乳状の外観を有するものもある。本発明の実践において有用な一部のラテックスは、分散液を安定化させるために、表面活性剤または界面活性剤を含むことができる。
【0076】
本発明は、初期には半透明であり、凍結後に不透明になるか、または別の明白な外観変化を表示する、ラテックスインジケータ分散液を採用することができる。代替的に、有用なラテックスインジケータ分散液は、初期には不透明であることが可能であり、恐らく融解後、着色された、または他の明白な背景を観視することができる、分散液の透明領域を提供するように、凍結されると凝固することができる。
【0077】
本発明による凍結インジケータにおいて、有機インジケータ粒子材料としての使用に好適である、ワックス、またはワックス状材料の一部の例としては、パラフィンワックス、微結晶ワックス、カルナバワックス、蜜ろう、中国ろう、セラックろう、鯨ろう、獣脂、ヤシろう、大豆ワックス、ラノリン、羊毛脂、ワックス状ポリマー、ワックス状コポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビニルエステルポリマー、酢酸ビニルポリマー、アクリル化合物を伴うエチレンのコポリマー、アクリル酸を伴うエチレンのコポリマーといった、ワックス状材料、ならびにビニルエステルおよびアクリル材料の混合物を含む、前述のワックス状材料のうちの任意の2つ以上の混合物が挙げられる。他の好適なワックスまたはワックス状材料は、本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、当該技術が発達するにつれて、将来、既知もしくは明らかとなるであろう。
【0078】
好適な範囲内、例えば、約40℃から約80℃の範囲内、または別の好適な範囲内、例えば、約0℃から約100℃の融点を有するワックスは、所望される場合、有機インジケータ材料として採用することができる。望ましくは、ワックスは、液体媒体の凍結された状態において固体であるか、または室温および周囲温度、ならびに媒体の凍結された状態において、固体である。代替的に、または追加的に、好適なワックスは、貫入データ特性によって示される、軟質性を有することができる。例えば、有機材料から形成されるインジケータ粒子は、少なくとも約20dmm、または少なくとも約30dmmの軟質性を有することができる。当業者に明らかなように、他の適切な軟質性、例えば、少なくとも約10dmmの軟質性、または別の試験によって決定される適切な軟質性を伴う材料を採用することができる。本明細書において説明される軟質性は、25℃でASTM D1321針貫入試験に従って決定されることが意図される。
【0079】
「ワックス」という用語は、本明細書において、時折「パラフィン」として知られる、パラフィンワックスを含むように使用される。本発明の実践における採用に好適なワックスには、限定することなく、室温で固体である個々の炭化水素、混合された炭化水素、および混成された炭化水素が含まれ、そのようなワックスは、結晶性または微結晶性であることが可能である。
【0080】
本発明は、いかなる特定の理論によっても限定されることは意図されないが、ワックス、ワックス混成物、および、恐らくワックス混成割合の適切な選択は、所望の外観変化を提供するのに助力することができるということが考えられる。軟質であるワックスおよびワックス混成物は、硬質ワックスまたはワックス混成物よりも容易に凝固し得る。また、ワックス、または何らかの極性機能性を有する他の有機材料は、水を維持し、かつ良好な不透明性特性を有する塊へのインジケータ粒子の凝固を促進すると考えられる。本発明による凍結インジケータの凍結後の状態において、良好な不透明性を有する、インジケータ粒子の大きな塊、集まり、または集塊の存在は、凍結前の外観とは明瞭に区別される、インジケータの凍結後の外観を提供することに助力することができるということが理解されよう。凍結前の外観と凍結後の外観との間の明瞭な相違は、観視者、または観視デバイスが、インジケータを正確に読み取ることに助力することができる。
【0081】
例えば、本明細書において説明される、ワックス、および疎水性ポリマーのうちのいくつかといった、比較的単純で、よく規定された、経済的かつ容易に入手可能な有機粒子材料を採用することは、本発明の凍結インジケータの実施形態の大量生産において役立ち得る。そのようなワックスおよびポリマーの使用は、製品の品質管理、一貫性および経済性を促進することができる。
【0082】
所望される場合、有機粒子材料のための軟化剤が、凍結インジケータの外観変化を増強するように、または別の有用な目的のために、有機材料と混成されることができる。US2010/0162941号において説明および主張されるように、軟化剤は、所望される場合、液体媒体中に分散される固体材料の均質な粒子を提供するように、有機材料と混成、ないしは緊密に混和することができる。凍結されると、比較的軟質な粒子は、インジケータ分散液に、凍結前の初期外観とは明白に異なる凍結後の外観を与える、集合または凝集へと、不可逆的に凝固することができる。
【0083】
本発明による軟化剤の使用は、増強されたインジケータ外観が得られることを可能にすることができる。例えば、軟化した固体有機粒子の凍結後の一部の実施形態は、凍結前のインジケータ分散液の不透明性と比較して、比較的高い不透明性のいくつかの大きな塊、または単一の塊へと凝固することができる。凝固した粒子のそのような高い不透明性の塊(1つまたは複数)は、好適な背景、例えば、白色もしくは淡色の反射性の背景、あるいは、パターン、画像、もしくは図形、チェックマーク、もしくは言葉、または他の所望の外観を有する背景を不明瞭化することによって、強力な視覚的信号を提供することができる。
【0084】
本発明に従って、ワックス軟化剤、または可塑剤等を採用することは、分散液媒体の中へ浸出し、かつ凍結への視覚的応答を妨害し得る、染料または顔料を採用することなく、増強されたインジケータ外観が得られることを可能にすることができる。しかしながら、本発明の一部の実施形態は、所望される場合、1つ以上の染料および/または顔料、あるいは他の着色剤を採用することができる。
【0085】
ワックスインジケータ材料のための軟化剤は、採用される場合、エチレンコポリマー、微結晶ワックス、ポリエチレン、コレステロール、短鎖アルカン、パラフィン油、ナフテン油、芳香油、グリセロール、鉱油、脂肪酸、脂肪酸誘導体、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、水素化された、および部分的に水素化された脂肪酸、親水性軟化剤、ならびに少なくとも1つのエステル基を含む親水性長鎖炭化水素から成る群より選択することができる。軟化剤はまた、好適な可塑剤であり得る。
【0086】
本発明による凍結インジケータは、約5から約50重量パーセント、または約20から約30重量パーセントの比率の軟化剤を含むことができ、軟化剤の両方の範囲の比率は、軟化剤および有機材料の組み合わせた重量に基づく。
【0087】
種々の他の有機材料は、本明細書において既に説明される有機材料の代替として、またはそれとの混和物において、インジケータ材料のために採用することができる。例えば、有機インジケータ材料は、ゴム状ポリマー、スチレンブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、ゴム状ポリウレタン、ゴム状アクリルポリマーおよびコポリマー、ゴム状ニトリルポリマーおよびコポリマー、ゴム状ポリクロロプレン、ゴム状ビニルピリジンポリマー、ゴム状スチレンポリマー、ゴム状スチレン/ブタジエンコポリマー、ゴム状スチレン/アクリル酸コポリマー、ゴム状ビニルトルエン/第三級ブチルスチレンコポリマー、ゴム状塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマー、ならびに前述のポリマー材料のうちの2つ以上の混合物から成る群より選択される、軟質固体または半固体材料を含むことができる。
【0088】
「ゴム状」という用語は、本明細書において、天然ゴム、弾性材料、およびエラストマー材料に類似する材料を含むように使用される。
【0089】
所望される場合、有機インジケータ材料は、約20℃を下回る、または液体媒体の凍結状態融点を下回る、ガラス転移温度を有することができる。
【0090】
代替的に、有機インジケータ材料は、約20℃を上回るガラス転移温度を有することができる。所望される場合、有機材料軟化剤は、可塑剤を含むことができる。
【0091】
有機インジケータ材料はまた、結晶性および非結晶性材料、例えば、本明細書において説明されるような好適なワックスおよび好適なゴム状ポリマーの混合物を含むことができる。
【0092】
また、有機インジケータ材料粒子は、所望される場合、液体、例えば、パラフィン油であり得る。そのような液体有機インジケータ材料粒子は、通常の周囲温度、室温および/または凍結温度で液体である材料、あるいは有機溶媒中の固体有機材料の溶液、例えば、パラフィン油中に溶かされたパラフィンワックス、もしくは別の好適な様態の溶液から形成することができる。
【0093】
有機インジケータ材料は、所望される場合、無機材料が、本明細書において説明されるような本発明の目的を妨害しない限り、少量の無機材料を含むことができる。本発明による凍結インジケータの一部の実施形態は、インジケータ粒子の重量に基づき、約10重量パーセント以下の無機材料を含む有機材料インジケータ粒子を採用する。
【0094】
有機インジケータ材料は、任意の好適な粒径および濃度を有することができる。例えば、有機インジケータ材料の粒径および濃度は、凍結前は比較的透明であり、凍結後、または凍結および融解後は比較的不透明である、凍結インジケータ分散液を提供することに助力するように、選択することができる。インジケータ分散液中に比較的大きな粒子を採用することによって、より不透明な凍結後の外観を、本発明の一部の実施形態において得ることができる。過度に大きな粒子を伴うインジケータ分散液は、不安定であり、かつ凍結前に着定もしくは凝固する傾向があり得るか、または、凍結前に透明性に欠如し得るか、または望ましくない不透明性を有し得る。
【0095】
本発明を実践する際に、多種多様な有機インジケータ材料の粒径を採用することができる。有機インジケータ材料の平均粒径は、インジケータ分散液の所望の初期外観に従って選択することができる。このため、初期は透明であり、凍結された後に不透明になる、インジケータ分散液は、約400nm未満、望ましくは約300nm未満の平均粒径、例えば、約10nmから約100nm、または約20nmから約60nmの範囲内の平均粒径を有する、有機インジケータ粒子を採用することができる。
【0096】
一方、初期は不透明であり、凍結された後に透明性を示す、インジケータ分散液は、約400nm超の平均粒径、例えば、約600nm超の平均粒径を有する、有機インジケータ粒子を採用することができる。
【0097】
(量および比率)
本発明による有用な凍結インジケータ分散液は、任意の好適な比率の成分を採用することができる。
【0098】
例えば、凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、約1パーセントから約50パーセント、約5パーセントから約30パーセント、および約13パーセントから約22パーセントから成る群より選択される範囲内の重量比率の凍結インジケータ粒子を利用することができる。
【0099】
また、凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、約50パーセントから約99パーセント、約70パーセントから約95パーセント、および約77パーセントから約85パーセントから成る群より選択される範囲内の重量比率の水性液体媒体を採用することができる。
【0100】
さらに、所与の体積の凍結インジケータ分散液において、例えば、約1μgから約2mg、または約20μgから約500μg、または約100μgから約250μgの重量の任意の好適な量のタンパク質性氷核形成剤を採用することができる。
【0101】
本発明による凍結インジケータの一部の実施形態において、採用されるタンパク質性氷核形成剤の量は、凍結インジケータにおいて利用されるインジケータ分散液の体積とは無関係である。これは、ある体積の過冷却された液体中で、その体積中のどこかにおける単一の種晶の形成が、結晶化をその体積中にわたって素早く広がらせる可能性があるためだと考えられる。したがって。そのような実施形態において、凍結インジケータ分散液は、多数の凍結インジケータの各々の凍結インジケータの体積において、一貫して、かつ確実に、少なくとも1つの氷核形成部位を生成するという妥当な予想を提供するように、十分な量の氷核形成剤を含むことができる。例えば、各凍結インジケータにおいて、少なくとも3、少なくとも6、または少なくとも10といった、多くの氷核形成部位を生成するという妥当な予想を提供するように、十分な量の氷核形成剤を採用することができる。
【0102】
また、本発明による凍結インジケータにおいては、インジケータ分散液の重量に基づいて、約0.01パーセントから約5パーセント、約0.05パーセントから約1パーセント、および約0.1パーセントから約0.5パーセントから成る群より選択される重量比率の氷核形成剤安定化剤が採用可能である。
【0103】
さらに、安定化剤が採用される場合、以下の安定化剤割合のうちの1つを利用することができる:20未満、10以下の割合、4以下の割合、2以下の割合、または約0.2から約1.5の割合。ここで使用される安定化剤の割合は、インジケータ分散液におけるタンパク質性氷核形成剤の重量比率に対する、氷核形成剤安定化剤の重量比率の割合であり、重量比率は、分散液の重量に基づく。
【0104】
本発明の目的と一致する他の材料もまた、所望される場合、本発明による凍結インジケータにおいて採用される凍結インジケータ分散液に含むことができる。本発明はまた、説明された成分のみから成る、または説明された成分から本質的に成る凍結インジケータの実施形態も含む。
【0105】
(凍結インジケータエンベロープ)
本発明による凍結インジケータはまた、ヒト観視者による、光学デバイスによる、または別のデバイスによる観察のために、好適な体積の凍結インジケータ分散液を収容および表示するためのエンベロープ、または他の収容デバイスを含むことができる。好適なエンベロープおよび他の収容デバイスには、Taylor、他の特許公開において説明されているものもあれば、本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、当該技術が発達するにつれて、将来、既知もしくは明らかとなるであろうものもある。
【0106】
凍結インジケータ分散液を収容および表示するための好適な収容デバイスは、本明細書において、「エンベロープ」と称され、任意の好適な材料(1つまたは複数)から形成される、1つ、2つ、またはそれ以上の構成要素を含むことを理解することができる。
【0107】
例えば、有用な凍結インジケータエンベロープは、凍結インジケータ分散液を収容する、閉鎖された、および密封された凍結インジケータ体積を含むことができる。凍結インジケータエンベロープは、可撓性ポリマーフィルム材料を含むことができるか、または大部分もしくは全体をそれから構成することができる。凍結インジケータエンベロープは、可撓性ポリマーフィルム材料の単一の部品または部材から全体を形成することができる。凍結インジケータエンベロープの別の実施形態は、一緒に接合され、密封される、可撓性ポリマーフィルム材料の2つの部品または部材を含む。例えば、接合部において対向する表面に熱密封可能な材料を採用することによる等、任意の好適な様態で、密封をもたらすことができる。この密封方法の例、および一部の他の好適な密封方法は、Taylor、他のUS2008/0110391号において開示されている。ポリマーフィルム部材(1つまたは複数)は、インジケータ分散液に隣接して位置することができ、所望される場合、凍結インジケータの周囲環境に曝露される外面を有することができる。
【0108】
有用に、凍結インジケータエンベロープの内面の相当な部分、例えば、大部分は、エンベロープに収容される凍結インジケータ分散液と接触し、凍結インジケータエンベロープの外面の相当な部分、例えば、エンベロープ外面の面積の少なくとも20パーセントは、使用中、周囲条件に曝露されることが意図される。例えば、凍結インジケータ分散液は、エンベロープを充填、またはほぼ充填することができ、後者の場合、エンベロープに、任意に空気の小さなガス気泡を残し、これは、凍結曝露を信号伝達することに助力することかできる。
【0109】
観察者が、凍結インジケータ分散液を観察または観視すること、およびインジケータ信号を読み取ることを可能にするために、凍結インジケータエンベロープは、望ましくは、インジケータ信号を読み取ることを可能にするように、十分な透明性を有する窓を含む。所望される場合、窓は、凍結インジケータエンベロープ全体を透明にすることによって、提供することができる。凍結インジケータエンベロープが、一緒に密封された可撓性ポリマーフィルム材料の2つの部品を含む場合、有用に、部品のうちの少なくとも1つは、観視窓を提供するために、透明にすることができる。
【0110】
凍結インジケータの例示的な実施形態を、図1および2に示す。図1および2を参照すると、10で参照される、示される凍結インジケータは、ある体積の凍結インジケータ分散液10を収容する、エンベロープ14を支持する基板12を含む。
【0111】
示されるように、エンベロープ14は、略円形とすることができる。代替的に、エンベロープ14は、任意の他の所望の形状、例えば、楕円形、六角形、正方形、長方形、帯状、または環状を有することができる。エンベロープ14は、示されるように、接着剤20の環によって、または別の好適な様態、例えば、溶解することによって、一緒に接合される内壁16、および外壁18を含む。代替的に、エンベロープ14は、単一部品の密封された嚢とすることができる。エンベロープ14の内壁16は、エンベロープを基板に付着させるように、基板12に接着、被着、ないしは付着されることができる。代替的に、基板12は、基板の一体的な構成要素として、内壁16を提供することができる。例えば、内壁16は、基板12と一体的に形成される水蒸気および水性液体に対して実質的に不浸透性のアルミニウムまたは他の材料の層、または挿入物を含むことができる。
【0112】
エンベロープ14の外壁18は、所望される場合、基板12上のエンベロープ14の設置面積のほぼ全体を占有することができる、透明なゾーン(参照せず)を含む。代替的に、外壁18の透明なゾーンは、より小さな面積を占有することができる。透明なゾーンは、凍結インジケータ10によって生成される光信号、例えば、色における変化が、好適な計器によって、ヒト観視者によって、または別の好適な様態で、外部から受信されることを可能にする。
【0113】
エンベロープ14は、凍結インジケータ分散液15で全体を充填することができる。代替的に、所望される場合、空気またはガス気泡22が収容された分散液が、液体状態であるか固体状態であるかの視覚的指標を提供するように、収容された体積内に含まれることができる。凍結インジケータが傾斜された場合、または振動された場合、分散液が凍結した場合には、ガス気泡は移動しない。
【0114】
示されるように、凍結インジケータ10は、紙の平面にわたり水平に延在する軸周囲で湾曲しており、例えば、接着剤(図示せず)によって、ホスト製品24の凸状外面に付着される。湾曲の軸は、図1では紙の平面の真下にあり、図2では平面内にある。この描写は、例解的なものに過ぎず、本明細書のどこかにおいて記載されるとおり、凍結インジケータ10の種々の他の構成、ホスト製品24の形状、および付着形態が可能である。そのような湾曲した凍結インジケータは、硬質であり得るか、または可撓性であり得、平坦な構成を採用することが可能である。
【0115】
凍結インジケータが、長期の保存期間を有することが望ましい場合、凍結インジケータエンベロープは、例えば、Taylor、他の特許公開において説明および主張されるように、または、本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、当該技術が発達するにつれて、将来、既知もしくは明らかとなるであろう、別の好適な様態において、凍結インジケータ分散液からの水蒸気の損失を制限するように構成することができる。保存の間のインジケータ分散液からの水蒸気の過度の損失は、インジケータの乾燥につながる可能性があり、インジケータが冷温への曝露を信号伝達する能力に悪影響を及ぼす。
【0116】
例えば、凍結インジケータエンベロープは、凍結インジケータ分散液からの水分の損失を制御するように、収容された体積の周囲全体に延在する、水蒸気遮断材料の層を含むか、またはそれから成ることができる。所望される場合、凍結インジケータエンベロープは、多層材料を含むことができ、層のうちの1つ以上は、蒸気遮断材料によって提供される。
【0117】
好適な水蒸気遮断材料、または蒸気遮断層を採用するエンベロープ材料は、所望される場合、低い水蒸気透過率、例えば、約1.0g/m/日以下の水蒸気透過率、または0.50g/m/日のより低い率を有する材料とすることができる。より長い保存期間に対して、または他の理由により、約0.1g/m/日以下の水蒸気透過率を採用することができる。水蒸気透過率に対する値は、38℃(100°F)の温度、および90%の相対湿度での測定値を指すことが理解されるものとする。
【0118】
比較的低い水蒸気透過率を有する透明材料は、より高価であり得、長い保存期間が、例えば、緊急または即時使用を意図していないホスト製品を監視するために、必要ではないことがある場合、比較的高い水蒸気透過率を有する材料を、凍結インジケータに採用することができるということに留意されたい。
【0119】
好適な蒸気遮断材料としては、適切な厚さ、例えば、約0.01mmから約0.1mmの厚さのアルミニウムホイル、シート、またはコーティングが挙げられる。アルミニウム、または他の金属の合金を採用することができ、通常、有用な厚さで不透明である。
【0120】
透明な形態で提供される場合、インジケータ分散液の観視を可能にすることができる、有用な蒸気遮断材料の一部の例としては、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ペルフルオロアルキル−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、フッ化ポリビニル、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンターポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンコポリマー、テトラフルオロエチレン−プロピレンコポリマー、およびテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルエーテルコポリマーが挙げられる。
【0121】
所望される場合、構造上または他の目的のために、1つ以上のそのような蒸気遮断材料のフィルムまたはシートは、1つ以上の他のシートまたはフィルム材料、例えば、塩化ポリビニル、ポリエチレン、グリコール化ポリエチレンテレフタル酸、またはエチレン−ビニルアルコールコポリマーを伴う、多層ラミネートに組み込むことができる。
【0122】
そのような多層ラミネート材料の一部の例としては、硬質および可撓性ブリスタパッケージング水分バリアフィルム、Honeywell International Inc.によって商標ACLAR(登録商標)22の下に供給されるものといった、塩化ポリビニルおよびポリクロロトリフルオロエチレンの二重層ラミネート、塩化ポリビニルの0.2mm(7.5ミル)層および商標TEKNIFLEX VA 760の下にTekni−Plex,Somerville,NJによって供給されるものといった、PCTFEの0.015mm(0.6ミル)層を含む、二層ラミネート、ならびに塩化ポリビニルの0.25mm(10ミル層)、ポリエチレンの0.05mm(2ミル)層、および同様に商標TEKNIFLEX VPA 10300の下にTekni−Plexによって供給されるポリクロロトリフルオロエチレンの0.08mm(3ミル)層を含む、三層ラミネートが挙げられる。
【0123】
有用な水蒸気遮断性質を有する、別の好適な多層フィルムラミネートは、印刷可能なポリエステル/ポリ塩化ビニリデン/ポリエチレンラミネートを含む。そのようなラミネートの一例は、ポリ塩化ビニリデンの薄いコーティングで提供される、ポリエチレンテレフタル酸の、比較的薄いラミネート、例えば、約0.012mm(約50ゲージ)を含む、Prairie State Group(Chicago,IL)から入手可能な製品である。ある場合、所望のしるしを、ポリエチレンテレフタル酸表面上にインク印刷することができる。また、所望される場合、直鎖低密度ポリエチレン混成物の比較的厚い層、例えば、厚さ約0.062mm(約250ゲージ)を、接着剤でポリ塩化ビニリデン表面に接着することができる。
【0124】
凍結インジケータエンベロープにおいて採用される蒸気遮断材料は、前述の蒸気遮断材料または多層ラミネート材料のうちの任意の1つ以上を含むか、またはそれから成ることができる。
【0125】
凍結インジケータエンベロープは、凍結インジケータ分散液を収容するように、任意の好適な体積を有することができる。約2mL未満といった、比較的小さな体積が、一部の目的のためには有用であり、採用することができる。好適な体積の一部の例としては、約20μL(マイクロリットル)から約2mLの範囲内の体積、約20μLから約150μLの範囲内の体積、約40μLから約80μLの範囲内の体積、および最大約50μLの体積が挙げられる。
【0126】
(基板)
本発明による凍結インジケータは、所望される場合、凍結インジケータエンベロープを支持する基板を含むことができる。基板は、例えば、ラベルまたはタグとすることができ、凍結インジケータエンベロープの一部となるか、またはそれから成ることができる。
【0127】
そのような基板は、凍結インジケータを監視されるべきホスト製品に、またはホスト製品のためのバルク容器もしくはパッケージングに固着するように採用することができる。基板は、接着剤の層を担持することができるか、あるいは、凍結インジケータをホスト製品に、またはバルク容器もしくはパッケージングに付着するための他の好適な手段を有することができる。所望される場合、接着剤は、付着の前に、剥離ライナで保護することができる。また、基板を含む凍結インジケータは、所望される場合、ホスト製品、バルク容器、またはパッケージングの湾曲した外面に合致するように可撓性とすることができる。
【0128】
任意に、基板は、凍結前後に、インジケータ分散液に、視覚的外観の所望の組み合わせを与えることに助力するように、光反射性の背景を含むことができる。例えば、凍結インジケータ分散液は、凍結前は透明とし、凍結された後、または凍結され融解された後は、不透明とすることができ、光反射性の背景は、凍結後、または凍結および融解後にマスクされる、凍結前の明白な外観を提示するように、明るい色にすることができる。従って、背景および凍結インジケータは、初期は緑色であるか、または別の好適な色を有することができ、凍結後、背景が凝固した分散液によってマスクされた場合には、白色もしくは別の明白に異なる色または外観に変化することができる。
【0129】
所望される場合、凍結インジケータは、凍結インジケータのエンドポイントに類似する外観を有するか、または凍結インジケータ信号の読み取りを促進することができる、別の適切な図形文字を有する、凍結インジケータエンベロープに近接した参照領域を含むことができる。任意に、そのような参照領域は、採用される場合、凍結インジケータ基板上に印刷することができる。
【0130】
採用される場合、基板を含む、多数の凍結インジケータは、所望される場合、シートストックまたは連続したウェブ上に配列することができる。
【0131】
(凍結インジケータの作製)
本発明による凍結インジケータ分散液のアリコートは、任意の好適な方法によって、個々の凍結インジケータへ作製することができる。好適な方法には、凍結インジケータ分散液のアリコートを、大量生産可能なパッケージ、例えば、好適なパッケージング材料のシートまたは1つ以上の連続したフィルムに予形成される、ディンプル状のブリスタの配列に充填すること、ブリスタを閉じること、および配列を個々の凍結インジケータに切断する、ないしは分離することが含まれる。好適な方法には、Taylor、他の特許公開において説明されるものもあれば、本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、当該技術が発達するにつれて、将来、既知もしくは明らかとなるであろうものもある。
【0132】
ここで、本発明の一部の側面の実践の一部の例解的かつ非制限的な例、および1つ以上の比較実施例を説明する。
【0133】
(実施例1〜7 凍結インジケータ分散液のpHの効果)
4.0の酸性pHから11.0のアルカリ性pHに及ぶ、異なるpH値、および表1Aに示されるような他の特性を有する、7つのワックス分散液は、供給元Michelman Inc.,Cincinnati,Ohioから入手され、以下に説明されるように、実施例1〜7に製剤化される。表1Aにおいて、「ワックスpH」は、ワックス分散液のpHを指し、ワックス分散液において利用されるワックスは、パラフィン/合成ワックス混成物であり、ワックス分散液に対する供給元の製品コードは、表に記載されるとおりである。
【0134】
【化1】

採用されるワックス分散液は全て、100cps未満の粘度を有する。これらの7つのワックス分散液は、表1Bに示される成分および比率を使用して、実施例1〜7用に凍結インジケータ分散液に製剤化される。比率は、凍結インジケータ分散液の重量に基づく、重量によるものであり、各実施例に対する成分合計は、比率もまた百分率であるように、100である。実施例は、周囲室温、約20℃から25℃で製剤化される。各製剤のpH値は、製剤中の液体媒体に関して、実験的に決定され、通常、表1Bの「製剤pH」という見出しの下に示される供給元から受領されるワックス分散液のpH値をいくらか下回る。
【0135】
【化2】

酸化ジュウテリウムを、見出し「DO」の下、表1Bに示されるそれぞれの重量比率において、実施例1〜7の各々に対して、適切なワックス分散液に添加し、液体分散液媒体を得る。結果として得られた製剤は、1時間撹拌される。細菌P.シリンゲから供給される平均約54重量パーセントのタンパク質を含有し、氷核形成タンパク質(表1Bにおいて「タンパク質」と標識される)を含む、氷核形成剤、SNOMAX(商標)造雪剤を、実施例1〜7の各々に対して、微粉末に粉砕し、表1Bに示されるように、0.05重量パーセントの比率で、適切な希釈ワックス分散液に添加する。
【0136】
各試料における氷核形成剤の実際の重量は、インジケータ液体の密度が1.0であると仮定し、インジケータの比率値および体積から算出することができる。このため、各ブリスタにおける凍結インジケータ分散液の80μLのアリコートを採用することは、ブリスタ毎に40μgの量の氷核形成剤を提供する。
【0137】
酸化ジュウテリウムと対照的に、50パーセント重量の「軽」水中のグルタルアルデヒド安定化剤(Sigma−Aldrich)の水溶液を、表1Bに示される重量比率で、氷核形成剤含有希釈ワックス分散液の各々に添加し、各分散液を2時間撹拌して、実施例1〜7の凍結インジケータ分散液を得る。タンパク質および安定化剤の相対比率は、表1Bに示されるように、20の安定化剤の割合を提供する。
【0138】
表1Bにおいて(C)と標識される実施例1は、比較実施例である。
【0139】
(試験手順)
実施例1〜7の凍結インジケータ分散液の各々を、製剤によって示される凍結開始温度を決定するための単純な試験に供する。この目的で、分散液の製剤化の2日以下以内に、各分散液の20個の試料は、分散液の80μLのアリコートを、透明なポリプロピレンバイアルにピペットで取ることによって調製される。バイアルにキャップをし、水浴に浸漬し、1時間+2℃の温度で維持する。1時間後、温度を15分毎に0.5℃の増分で下げた。
【0140】
凍結前の初期の透明なまたは若干混濁した外観から、凍結後の不透明な白色、または若干着色した不透明な白色がかった外観への、明確な外観変化が生じる時の、凍結応答の開始の温度を決定するように、試料を慎重に観察する。この手順によって、実施例1〜7に対して取得可能な一部の凍結開始温度を、「初期」凍結開始温度の見出しの下で、表1Bに記載する。各例において、凍結開始温度は、20個全ての試料が、採用される液体媒体の凍結を示す、明白な外観変化を示す温度である。例えば、12個の試料が−1.0℃で応答し、残りの8個が−1.5℃で応答した場合、凍結開始温度は、−1.5℃として記録される。
【0141】
実施例1〜7の各々は、融解後、不透明な外観を維持し、透明または若干混濁した外観から少なくともいくらか不透明な外観への外観変化は、不可逆的である。
【0142】
各分散液のさらに20個の試料を、少なくとも4週間、約20℃から約25℃の室温で保存し、凍結開始温度を、上に説明される手順を使用して再度決定して、表1Bにおける見出し「エージング後」の下に記載されるように、エージング後の凍結開始温度を得る。本明細書において記載されるデータ表全体にわたり、類似の見出しは、類似の意味を有する。
【0143】
実施例1〜7に関して表1Bに示される結果は、凍結開始温度を制御し、かつ比較的高い凍結開始温度を提供するように、説明されたインジケータ分散液のpHの調整をどのように使用することができるかを例解する。表2のデータ(後に説明)が示すように、20での安定化剤割合が、場合によっては、最適ではない場合があるにもかかわらず、適切なpHレベルにより、改善された初期およびエージング後の凍結開始温度が取得可能である。
【0144】
試験試料間での高い凍結開始温度は、8.5のpH、および8.0の製剤pHを有するワックス分散液を採用する、実施例4のインジケータ分散液によって示される。実施例4は、0.0℃の初期凍結開始温度を示す。
【0145】
比較的低い凍結開始温度は、一般的に、高い、または低いpH値を有する試験試料によって示される。より望ましくは、pHは、例えば、約4から約11の中間値を有することができる。
【0146】
室温での少なくとも4週間のエージング後、試験された全ての実施例は、実施例に対する初期凍結開始温度の約0.5℃以内の凍結開始温度を示す。約4から約9.5の範囲内のpH値を有する実施例2〜6は全て、−1.0℃以上の有用なエージング後の凍結開始温度を示す。
【0147】
(実施例8〜27:凍結インジケータ分散液に対する、氷核形成剤および安定化剤濃度の効果)
実施例1〜7において採用される手順を繰り返して、表2に示される成分の比率を使用して、実施例8〜27の凍結インジケータ分散液を得る。表1Bの場合のように、表2において、与えられる比率は、重量によるものであり、各実施例に対する成分合計は、比率もまたパーセントであるように、100である。
【0148】
実施例1〜7と同様に、各試料における氷核形成剤の実際の重量は、インジケータ液体の密度が1.0であると仮定し、インジケータの比率値および体積から算出することができる。このため、各ブリスタにおける凍結インジケータ分散液の80μLのアリコートを採用することは、40μg(実施例8〜10および17〜19)、120μg(実施例11〜13および20〜23)、ならびに200μg(実施例14〜16および24〜27)のそれぞれの量の氷核形成剤を提供する。
【0149】
実施例8〜27は、採用されるワックス分散液のpHに従って、2つの群に配置される。一方の群、実施例8〜16は、11のpHを有する、実施例1で使用されるワックス分散液を採用する。11のワックス分散液pH(実施例1における製剤においてpH10.7)は、実施例1に関する試験結果によって示されるように、あまり望ましくない凍結開始温度と関連付けられる。他方の群、実施例17〜27は、8.5のpHを有する、実施例4で使用されるワックス分散液を採用する。8.5のワックス分散液pH(実施例4における製剤においてpH7.7)は、実施例4に関する試験結果によって示されるように、表1Bに記載される最良の凍結開始温度と関連付けられる。実施例の各群は、対照実施例、それぞれ実施例8または実施例17を含む。
【0150】
実施例1〜7に関して説明される試験手順を使用して、実施例8〜27の凍結インジケータ分散液の各々を試験して、凍結開始温度を決定する。実施例8〜27に関して取得可能な一部の凍結開始温度を表2に記載する。
【0151】
【化3】

「(C)」とマークされる実施例8および17は、製剤において安定化剤を採用しない、対照である。
【0152】
ワックスインジケータ固体の重量比率は、実施例1〜27の各々において採用される、凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、表1A、1B、および2のデータから、約14.5から約17.5パーセントの範囲内にあると算出することができる。同様に、液体媒体の重量比率は、実施例1〜27の各々いて採用される、凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、表1A、1B、および2のデータから、約82.5から約85パーセントの範囲内にあると算出することができる。
【0153】
約11のpHを有するワックス分散液を採用する実施例9から16、および約8.5のpHを有するワックス分散液を採用する実施例18から27は、凍結開始温度に対する、氷核形成剤の比率、安定化剤溶液の比率、および安定化剤の割合の効果を例解する。
【0154】
安定化剤の割合は、氷核形成剤に対する、安定化剤溶液の重量割合である。採用される安定化剤溶液は、50重量パーセントの安定化剤を含有し、氷核形成剤は、平均約54重量パーセントのタンパク質を含有し、タンパク質化合物に対する安定化剤化合物の割合は、表に記載される数字よりも若干低いであろうことに留意されたい。これは、表中の安定化剤割合が、(タンパク質ではなくむしろ)氷核形成剤に対する、(安定化剤ではなくむしろ)安定化剤溶液の重量割合に関連するためである。
【0155】
(氷核形成剤の量)
試料が類似の体積(80μL)を有することを考慮すると、各試料における氷核形成剤の量は、表2に示されるように、濃度に直接関連する。表2を参照すると、表に示されるように、種々の量の氷核形成剤、特に重量で0.05、0.15、または0.25を採用するが、実施例9および11〜16は全て、−0.5℃の比較的高い初期凍結開始温度を示す。
【0156】
8.5のより好ましいpHを有するワックス分散液を採用するため、高い実施例、実施例17(対照)、20、21、24、および25は、0.0℃の良好な初期凍結開始温度を示し、これは、pH11のワックス分散液を使用する実施例8〜16のうちのいずれよりも高い。重ねて、種々の量の氷核形成剤が採用される。これらの結果は、氷核形成現象が、氷核形成剤の濃度のみに依存するわけではないという仮説と一致する。
【0157】
より高い濃度の氷核形成剤溶液または分散液を含むインジケータ分散液のバルク製剤は、有意な濁度を示すことができ、若干桃色または他の着色を有し得る。場合によっては、可視的濁度は、最終製品の凍結インジケータにおいては望ましくない場合があり、インジケータが観察者に送る、可視的信号を混乱させる場合がある。
【0158】
しかしながら、驚くべきことに、氷核形成剤の濃度が、約3から5倍、例えば、0.05もしくは0.15パーセントの濃度を上回る、または0.25パーセントを上回るレベルまで増加される製剤において、製剤が、試験のために個々の80μLの試料に分量される場合、本明細書において説明されるように、試料の透明度は、悪影響を受けないと思われる。試験後、実施例1〜7の各々は、若干の混濁から不透明な白色への明確な変化を示す。観察可能な若干の濁度は、インジケータ信号を混乱させるには不十分であると思われる。
【0159】
(安定化剤の濃度)
再度、表2を参照すると、実施例10、23、および27は、より高い比率の安定化剤(実施例においてはグルタルアルデヒド)が、新たに作製された製剤の凍結応答温度に悪影響を与える可能性があることを示唆する。このため、約3重量パーセントの比率の安定化剤溶液を採用する実施例10、および約5重量パーセントの比率の安定化剤溶液を採用する実施例27の両方は、約−1.5℃の比較的低い凍結開始温度を示す。
【0160】
実施例10と対照的に、同一の量の氷核形成剤(0.05重量パーセント)を採用するが、より少ないグルタルアルデヒド安定化剤溶液(0.075重量パーセント)を採用する、実施例9は、約−0.5℃の比較的高い凍結開始温度を示す。同一の量の氷核形成剤(0.25重量パーセント)を採用するが、実施例27よりも少ないグルタルアルデヒド安定化剤溶液(0.99重量パーセント)を採用する、実施例26もまた、約−0.5℃の比較的高い凍結開始温度を示す。
【0161】
(安定化剤割合)
表2に説明される結果のうちの一部は、比較的低い安定化剤割合が、比較的高い凍結開始温度を提供する上で役立つことができるという仮説を裏付けする。このため、実施例9、10〜16、18〜22、および24〜26は、20をはるかに下回る、比較的低い安定化剤割合を有し、−0.5℃または0.0℃の凍結開始温度を示す。対照的に、実施例10、23、および27は、20以上の安定化剤割合を採用し、約−1.5℃(実施例10および27)または約−1.0℃(実施例23)の比較的低い初期凍結開始温度を示す。これらのデータから、20を下回る安定化剤割合は、−1.0℃を上回る、例えば、−0.9℃以上の凍結開始温度を提供する上で役立つことができると思われる。
【0162】
さらに、約0.5パーセントの安定化剤濃度を採用する、実施例15では、エージング後、観察可能な凍結開始温度に対して有害な影響を示すことを見ることができる。表2に示されるように、実施例15の凍結開始温度は、室温での4週間のエージング後、−0.5℃の初期値から、−2.5℃に下降する。
【0163】
実施例15を実施例14と比較すると、(推定上、安定性を増加するために、安定化剤の比率を増加させるのではなくむしろ)直感的にはわかりにくい安定化剤割合における低減(安定化剤の比率を0.5から0.2に低減することによって得られる、この場合、2から0.8である)が、エージング後、凍結開始温度を−2.5℃から−0.5℃に上昇させるということを示す。この凍結開始温度上昇は、有意な相違である。
【0164】
対照的に、実施例16を実施例15と比較すると、安定化剤の比率を0.5から約1に増加させる一方で、安定化剤の割合を2から4に増加させることにより、−1.5℃のいくらか改善されているが、安定化剤の割合および安定化剤の量を低減することによって、実施例14で得られるものほど高くはない、エージング後の凍結開始温度をもたらすということを示す。
【0165】
約4以下の安定化剤の割合を採用する実施例は、一般的に、良好な結果を示し、本発明の1つ以上の側面の実践において有用である。
【0166】
さらに、約2以下の安定化剤の割合を採用する実施例、即ち、実施例9、13、15、18、20、24、および25は、各々、−0.5℃または0.0℃の高い凍結開始温度を示す。そのような実施例には、例えば、−0.9℃以上の凍結開始温度が所望される用途におけるさらなる使用法があり得る。
【0167】
7.9から8.1の範囲内の製剤pHを採用する、この第2の群の実施例は全て、それらの初期凍結開始温度の0.5℃以内である、エージング後の凍結開始温度を示す。対照実施例17(C)は、エージング後の凍結開始温度において下降を示さない。可能な説明としては、出発成分における少量の殺生物剤の存在が、タンパク質性氷核形成剤の微生物劣化を阻止し得るということ、および、他の実施例において採用され、かつ熱安定性のために有用である安定化剤が、氷核形成剤の効率性を時折低減する可能性があるということが挙げられる。高められた周囲温度によって生じる可能性のある熱劣化に対して、タンパク質性氷核形成剤を保護するための安定化剤の使用は、本発明の一部の凍結インジケータの実施形態において望ましい。
【0168】
(実施例28〜32:機械プロトタイプ)
実施例1〜7において採用される手順を繰り返して、表3に示される成分の比率を使用して、実施例28〜32の凍結インジケータ分散液を得る。表1の場合のように、表3において、与えられる比率は、重量によるものであり、各実施例に対する成分合計は、比率もまたパーセントであるように、100である。
【0169】
ワックスインジケータ固体の重量比率は、実施例28〜32の各々において採用される、凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、表1Aおよび3のデータから、約14.85パーセントから約20.95パーセントの範囲内にあると算出することができる。同様に、液体媒体の重量比率は、実施例28〜32の各々において採用される、凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、表1Aおよび3のデータから、約78.8から約84.1パーセントの範囲内にあると算出することができる。
【0170】
実施例28〜32において、実施例1〜7において説明されるようなポリプロピレンバイアルを使用するのではなくむしろ各々よく混合された実施例の約80μLのアリコートを、液体ポンピングシステムを使用して、機械ベースの大量生産のための実験室プロトタイプとして機能する、予形成されたブリスタパックディンプルの中に送達する。ブリスタパックディンプルは、ポリエチレン/ポリエステルラミネートフィルムで予形成され、熱密封接着剤コーティングを有する。凍結インジケータ分散液のアリコートで充填した後、次いで、ブリスタ熱密封機械を使用して、ブリスタパックディンプルを熱密封し、個々のブリスタにダイカットする。
【0171】
【化4】

表3を参照すると、実施例28は、実施例1と同一の組成を有し、バルク製剤においては、若干混濁した分散液に見える。実施例29のバルク製剤は、実施例28よりも混濁しており、桃色がかった色である。実施例30、31、および32のバルク製剤は、実施例28のバルク製剤よりも若干混濁しており、いくから桃色に着色されている。しかしながら、ブリスタパックディンプルにおいて、各製剤は、透明であるか、若干混濁しているだけである。
【0172】
実施例1〜7に関して説明される試験手順を使用して、実施例28〜32の凍結インジケータ分散液の各々を試験して、凍結開始温度を決定する。各実施例に対して100個の機械プロトタイプ試料を試験する。
【0173】
必要な場合、例えば、氷核形成剤の着定が生じた可能性があるため、分散液は、ブリスタに分注する前に完全に混合されることができる。一般的に、ブリスタにおける氷核形成剤の一部の着定は、許容可能であり、凍結インジケータの外観または性能のいずれにも有害な影響を及ぼす可能性は低い。氷核形成剤の着定が、凍結インジケータ分散液のバルク製剤において生じた場合、完全な混合が、氷核形成剤の適切なアリコートが、各ブリスタに送達されることを確実にすることができる。通常、分散されたワックス粒子は、凍結インジケータの有効期間において、認め得るほどには着定しないことが望ましい。
【0174】
本明細書において説明される試験によって、製造から数日以内に、実施例28〜32に関して取得可能な一部の初期凍結開始温度を表4に示す。
【0175】
【化5】

実施例28〜32の製剤における機械プロトタイプ試験に関する、表4の実験データは、氷核形成剤、安定化剤溶液の量、および氷核形成剤に対する安定化剤の割合を調整することが、凍結開始温度に影響を及ぼす可能性があるということを実証する。このため、実施例29から32は、各々、比較製剤28よりも3から11倍多い氷核形成タンパク質、および実施例28よりも10から20倍低い安定化剤の割合を採用する。さらに、実施例29から32の各々に関する100の試験試料の各々は、実施例28の試料のうちの95パーセントによって示された凍結開始温度よりも低い凍結開始温度を示す。
【0176】
驚くべきことに、実施例28と比較して、実施例29の場合、氷核形成剤の量をほぼ11倍に多く増加させることは、機械プロトタイプブリスタの製造、またはブリスタの外観に対して、有害な影響を及ぼすとは思われない。タンパク質性氷核形成剤のゲル化効果、および安定化剤に起因する粘度増加にもかかわらず、新しい製剤は、通常、システムへの微調整を行うことによって、生産設備において採用される液体ポンピングシステムによって、適切に対処されることができる。
【0177】
実施例29の場合、着定は、桃色に着色された沈渣を生成する。試験において、全ての試料ブリスタは、若干の混濁から不透明な白色への明確な変化である、凍結開始応答をもたらす。分散液における、比較的高い比率のワックスインジケータ粒子は、凍結されたインジケータ材料の不透明性に有益に寄与する。
【0178】
バルクに製剤化された時の実施例28と比較して、実施例29の製剤の増加した濁度および桃色がかった色相にもかかわらず、凍結時の実施例28および29の小さな体積の機械プロトタイプ試料間の相違は、ごくわずかである。未凍結状態において、実施例28および29の機械プロトタイプ間の小さな相違は、精密な検査をすると、実施例29の試料のブリスタの内側のかすかに桃色がかったゲルの存在として明らかである。そのようなわずかな着色は、凍結インジケータの外観を著しくは損なわず、透明から不透明への強力で明確な視覚的変化を伴う、インジケータが凍結事象を信号伝達する能力を妨害しない。
【0179】
融解後、全ての試料は、凍結時とほぼ同一の不透明な外観を示す。融解されたインジケータ試料は、凍結されたものよりも少し白色であるように見える場合がある。
【0180】
実施例30、31、および32の機械プロトタイプ試料を、室温で少なくとも4週間保存した後、再試験し、取得可能な一部の凍結開始温度を表5に説明する。
【0181】
【化6】

表5を参照すると、各例において、初期凍結応答温度は、約0.5℃以内でかなり近く維持されることが見られる。
【0182】
表4および5のデータから、実施例30および32は、少なくとも約−0.5℃の比較的高い凍結開始温度をもたらし、かつ経時的に一貫して機能することが見られる。特に、4週間の保存後の凍結開始温度における有意な減少は明らかではない。また、実施例29〜32の各々について、100個の試料のうちの100個が、約−0.5℃以上の温度で明瞭な凍結信号をもたらし、これは、製剤の商業的に有用な一貫性および信頼性を実証する。
【0183】
本発明は、液体媒体が凍結された状態の融点、またはその近傍の温度へのホスト製品の可能性のある曝露を示すために、ホスト製品に関連付けられた、本発明の凍結インジケータの実施形態を有する凍結に敏感なホスト製品、例えば、ワクチン、薬剤、または食料品を含む。ホスト製品は、本明細書において説明される凍結に敏感な製品、Taylor、他の特許公開において説明される他の凍結に敏感な製品、あるいは本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、将来、既知もしくは明らかとなるであろう任意の他の凍結に敏感な製品を含む、任意の凍結に敏感な製品であることができる。
【0184】
好適なホスト製品の一部の例としては、凍結によって傷みやすいヘルスケア製品、例えば、ワクチン、薬物、薬剤、医薬、医療デバイス、予防薬、ワクチンバイアル、傷みやすい生物製剤を収容する注射器、または他の凍結に敏感なヘルスケア製品、治療用途がある生物学的材料、培養物、臓器、ならびに他のヒトもしくは動物の身体部分、血液および傷みやすい血液製剤;診断デバイス、キット、および凍結によって傷みやすいものを含有する成分;産業用途のための凍結に敏感な生物学的材料;ラテックス塗料等を含む凍結に敏感な産業製品;ならびに官能的品質が凍結によって損なわれる場合がある、凍結に敏感な食品、果実、トリュフ、グルメな肉、魚、および他の食品が挙げられる。
【0185】
好適なホスト製品の他の例は、本開示を鑑みて、当業者に既知もしくは明らかであるか、または、将来、既知もしくは明らかとなるであろう。
【0186】
一例として、凍結インジケータは、凍結インジケータを支持する接着剤で被覆された基板によって、ホスト製品に付着させることができる。可撓性凍結インジケータを含む、凍結インジケータのそのような構造および他の構造、およびホスト製品との関連付け、またはホスト製品への凍結インジケータの付着のための手段、ならびに多様なホスト製品は、全て、Taylor、他の特許公開に説明されている。所望される場合、そのような構造、配置、および方法を、本発明を実践する際に採用することができる。
【0187】
(取得可能な利益)
本発明の種々の有用な凍結インジケータの実施形態は、種々の利益、例えば、比較的高い初期凍結開始温度;約−1℃の初期凍結開始温度;0℃近傍、または0℃、または−1℃と0℃との間の初期凍結開始温度;約0.5℃の初期凍結開始温度;例えば、4週間以上の保存後の比較的高い凍結開始温度;ならびに信頼性および一貫性のあるインジケータ応答を提供することができる。
【0188】
本発明による凍結インジケータの実施形態で取得可能であり得る、追加の利益としては、凍結に応答した、不可逆的な外観変化;低コストでの大量生産に対する適合性;凍結状態に対する過去の曝露の明瞭で容易に読み取れる信号、もしくは指標;ならびにインジケータ分散液の後方にある任意の反射性背景が、観視者によって知覚されることを可能にし、かつ凝固したインジケータ分散液によって、凍結後、覆隠される、凍結前の光透過外観を有する、インジケータ分散液が挙げられる。
【0189】
要約すると、本発明は、とりわけ、凍結曝露の、信頼性がありかつ再現可能な信号を提供するように、比較的高い温度で応答することができ、良好な視覚的強度を有する過去の凍結曝露の視覚的信号を提供することができ、低率の偽陽性および/または偽陰性を提供することができる、凍結インジケータの実施形態を提供する。
【0190】
(組み込まれる開示)
本明細書において具体的に参照される、各および全米国特許および特許出願、各外国および国際特許公開、各他の公開、ならびに各非公開特許出願の開示全体は、参照することによって、その全体として、本明細書に組み込まれる。本明細書における本発明の説明において採用される用語の意味と、別の文献から参照することによって組み込まれる資料における用法との間に矛盾があると思われる場合、本明細書において使用される意味を優先することが意図される。
【0191】
(記載に関して)
前述の発明を実施するための形態は、先行する背景技術および発明の概要の説明を鑑みて、およびそれらを組み合わせて読まれるものとし、本発明の最良の実践形態に関する、または本発明の修正、代替、もしくは有用な実施形態に関する、部分的もしくは完全な情報もまた、当業者に明らかであるように、記載もしくは示唆され得る。
【0192】
「含む」、「有する」、および「含有する」という用語、ならびにそれらの種々の文法的形態は、変更可能なものであり、かつ追加の、列挙されていない要素または方法ステップを除外しないとして理解されるものとする。
【0193】
本明細書における単数の使用は、文脈上別段の指示が無い限り、複数を含む(逆の場合も同様)ことが意図される。加えて、「約」という用語が、数量的値の前に使用される場合、別段の特定の記載が無い限り、特定の数量的値自体が含まれることが意図される。
【0194】
説明全体にわたり、組成計器、デバイス装置、システム、またはプロセスが、特定の構成要素もしくは要素、あるいは、プロセスの場合、特定のステップを有する、含む、または備えるとして説明される場合、本発明による組成計器、デバイス装置、システム、またはプロセスはまた、列挙された構成要素、要素、もしくはステップから本質的に成る、またはそれらのみから成ることが可能であるということも企図される。
【0195】
本明細書において、要素もしくは構成要素が、列挙された要素もしくは構成要素の一覧または群に含まれる、および/またはそれらより選択されると言われる場合、要素もしくは構成要素は、列挙された要素もしくは構成要素のうちのいずれでもあり得るか、または列挙された要素もしくは構成要素のうちの2つ以上から成る群より選択され得る。
【0196】
プロセスに関して、ステップの順序、またはある行為を実行するための順序は、説明されるプロセスが、動作可能なままである限り、重要ではないことが理解されるものとする。さらに、文脈上別段の指示が無い限り、2つ以上のステップまたは行為は、同時に行われ得る。加えて、文脈上別段の指示が無い限り、本明細書において列挙されるいずれの比率も、関連組成物の重量に基づいて、重量による比率であることが理解されるものとする。
【0197】
本発明の説明は、当業者に明らか、もしくは明らかとなるように、本発明の目的と適合性が無い、またはそれに反する、要素の群化もしくは組み合わせを除き、本発明の種々の要素、および、ある場合、本明細書もしくは図面において説明される種々の方法、製品、組成物、システム、装置、計器、側面、実施形態、実施例のうちの任意の1つ以上において、開示、黙示、もしくは示唆される代替物を含む、それらの開示または示唆された代替物の組み合わせを含むものとして理解され、かつ本発明の要素または本発明の可能な実践の任意の他の書かれた、もしくは例解された組み合わせまたは群化を含むことが理解される。
【0198】
本明細書における背景技術の説明は、本発明に先立ち関連技術分野に既知ではないが、本発明によって提供される、見識、発見、理解、もしくは開示、または開示の関連を含み得る。本発明の一部のそのような寄与は、本明細書において具体的に指摘された可能性もあるが、本発明の他のそのような寄与は、それらの文脈から明らかであろう。ある文献が本明細書において引用されたという理由だけで、本発明の分野とはかなり異なる文献の分野が、本発明の分野(1つまたは複数)に類似するということは認められない。
【0199】
(本発明の範囲)
本発明は、本明細書において説明される実施例および実施形態、ならびに、本発明またはそれぞれの説明された実施例もしくは実施形態の精神もしくは本質的特性を具現化する、本発明の他の特定の形態を含む。前述の実施例および実施形態は、全ての点において、本明細書において説明される本発明の例解となるものであることが意図される。本発明、または本明細書において説明される本発明の実施例もしくは実施形態の多くのおよび種々の修正は、関連技術分野における当業者に明らかであろうこと、または前述の説明を鑑みて、当該技術が発達するにつれて、明らかとなり得ることが理解されるものとする。そのような修正は、本発明または本明細書において開示される発明の精神および範囲内であるとして企図される。
【0200】
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
インジケータ分散液を含む凍結インジケータであって、
前記インジケータ分散液は、
溶融温度および凍結温度を有する水性液体媒体であって、前記凍結温度は、前記溶融温度を下回る、水性液体媒体と、
前記水性液体媒体中に分散された有機材料インジケータ粒子と
を含み、
前記インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有し、前記凍結インジケータは、約−1.9℃以上の凍結開始温度を示すことが可能である、
凍結インジケータ。
(項目2)
前記凍結インジケータは、前記凍結開始温度で、前記水性液体媒体の凍結を示す明白な外観変化を示すことが可能である、項目1に記載の凍結インジケータ。
(項目3)
前記凍結インジケータは、少なくとも−1℃の凍結開始温度を示すことが可能である、項目1に記載の凍結インジケータ。
(項目4)
前記凍結インジケータは、少なくとも−0.9℃、または少なくとも−0.5℃の凍結開始温度を示すことが可能である、項目1に記載の凍結インジケータ。
(項目5)
前記凍結インジケータは、約0.0℃の凍結開始温度を示すことが可能である、項目1に記載の凍結インジケータ。
(項目6)
前記凍結インジケータは、約0.5℃の凍結開始温度を示すことが可能である、項目1に記載の凍結インジケータ。
(項目7)
前記凍結インジケータは、約20℃から約25℃の室温で少なくとも4週間保存した後に、少なくとも約−2.0℃の凍結開始温度を示すことが可能である、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目8)
約20℃から約25℃の室温で少なくとも4週間保存した後に、前記凍結インジケータは、新鮮時の凍結開始温度よりも0.5℃以内低い凍結開始温度を示すことが可能である、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目9)
前記水性液体媒体は、約pH4から約pH11、約pH4から約pH9.5、約pH7.5から約pH8.5、および約pH7.8から約pH8.2から成る範囲の群より選択される範囲内のpHを有する、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目10)
前記インジケータ粒子は、疎水性有機材料の固体粒子を含む、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目11)
前記有機材料は、1つ以上のワックス、および任意に、前記1つ以上のワックスと混成されたワックス軟化剤を含む、項目10に記載の凍結インジケータ。
(項目12)
前記凍結温度を上昇させるためのタンパク質性氷核形成剤を含む、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目13)
約1μgから約2mg、約20μgから約500μg、および約100μgから約250μgから成る群より選択される量のタンパク質性氷核形成剤を含む、項目12に記載の凍結インジケータ。
(項目14)
前記氷核形成剤を安定化させるための安定化剤を含む、項目12に記載の凍結インジケータ。
(項目15)
前記インジケータ分散液の重量に基づいて、約0.01パーセントから約5パーセント、約0.05パーセントから約1パーセント、および約0.1パーセントから約0.5パーセントから成る群より選択される重量による比率の氷核形成剤安定化剤を含む、項目14に記載の凍結インジケータ。
(項目16)
20未満、10以下の割合、4以下の割合、2以下の割合、および約0.2から約1.5から成る割合の群より選択される割合の安定化剤を含み、前記安定化剤の割合は、前記インジケータ分散液中のタンパク質性氷核形成剤の重量比率に対する氷核形成剤安定化剤の重量比率の割合であり、前記重量比率は、前記分散液の重量に基づく、項目14に記載の凍結インジケータ。
(項目17)
前記凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、約1パーセントから約50パーセント、約5パーセントから約30パーセント、および約13パーセントから約22パーセントから成る群より選択される範囲内の重量比率の凍結インジケータ粒子を含む、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目18)
前記凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、約50パーセントから約99パーセント、約70パーセントから約95パーセント、および約77パーセントから約85パーセントから成る群より選択される範囲内の重量比率の水性液体媒体を含む、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目19)
最大約2mL、約20μLから約2mL、約20μLから約150μLの範囲内の体積、約40μLから約80μLの範囲内の体積、および最大約50μLの体積から成る群より選択される範囲内の体積のインジケータ分散液を含む、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目20)
前記分散されたインジケータ粒子は、前記インジケータ分散液の凍結に応答して、凝固することにより、視覚的外観における不可逆的な変化を提供することが可能であり、
前記凍結インジケータは、
前記インジケータ分散液を収容するインジケータ体積と、
前記インジケータ体積を規定する少なくとも1つのポリマーフィルム部材であって、前記ポリマーフィルム部材は、前記インジケータ分散液に隣接して位置し、前記凍結インジケータの周囲環境に曝露される外面を有する、ポリマーフィルム部材と、
前記インジケータ分散液を観視するための観視窓と、
可能性のある凍結曝露に対して監視されるべきホスト製品に、前記インジケータを固着するための付着デバイスと
を含む、項目1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
(項目21)
前記付着デバイスを含む基板層と、前記観視窓を含む観視層と、前記基板層と前記観視層との間の蒸気密閉シールとを含み、前記インジケータ体積は、前記基板層と前記観視層との間で規定され、前記蒸気密閉シールは、前記インジケータ体積周囲全体に閉ループになって延在する、項目20に記載の凍結インジケータ。
(項目22)
前記インジケータ体積に近接する参照領域を含み、前記参照領域は、前記凍結インジケータのエンドポイントに類似する外観を有する、項目20に記載の凍結インジケータ。
(項目23)
インジケータ分散液を含む凍結インジケータであって、
前記インジケータ分散液は、
溶融温度および凍結温度を有する水性液体媒体であって、前記凍結温度は、前記溶融温度を下回る、水性液体媒体と、
前記水性液体媒体中に分散された有機材料インジケータ粒子と、
前記凍結温度を高めるためのタンパク質性氷核形成剤と、
前記核形成剤の熱安定性を増強するための核形成剤安定化剤と
を含み、
前記インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有し、約1μgから約2mgの重量のタンパク質性氷核形成剤と、前記インジケータ分散液の重量に基づいて、約0.05重量パーセントから約5重量パーセントの比率の前記氷核形成剤に対する安定化剤とを含む、
凍結インジケータ。
(項目24)
前記水性液体媒体は、約pH4.0から約pH11の範囲内のpHを有する、項目23に記載の凍結インジケータ。
(項目25)
前記水性液体媒体は、約pH7.5から約pH8.5の範囲内のpHを有する、項目23に記載の凍結インジケータ。
(項目26)
約20μLと80μLとの間の体積のインジケータ分散液を含む、項目23に記載の凍結インジケータ。
(項目27)
約1μgから約2mg、約20μgから約500μg、および約100μgから約250μgから成る群より選択される重量のタンパク質性氷核形成剤を含む、項目23、24、または25に記載の凍結インジケータ。
(項目28)
約100μgから約250μgから成る群より選択される重量のタンパク質性氷核形成剤と、前記インジケータ分散液の重量に基づいて、約0.07重量パーセントから約1重量パーセントの比率の前記氷核形成剤に対する安定化剤とを含む、項目23、24、または25に記載の凍結インジケータ。
(項目29)
インジケータ分散液を含む凍結インジケータであって、
前記インジケータ分散液は、
溶融温度および凍結温度を有する水性液体媒体であって、前記凍結温度は、前記溶融温度を下回る、水性液体媒体と、
前記水性液体媒体中に分散された有機材料インジケータ粒子と
を含み、
前記インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有し、前記水性液体媒体は、約pH7.5から約pH8.5の範囲内のpHを有する、
凍結インジケータ。
(項目30)
前記凍結温度を上昇させるためのタンパク質性氷核形成剤と、前記氷核形成剤を安定化させるための安定化剤とを含み、前記凍結インジケータは、20未満の割合の安定化剤を有し、前記安定化剤の割合は、前記インジケータ分散液におけるタンパク質性氷核形成剤の重量比率に対する氷核形成剤安定化剤の重量比率の割合であり、前記重量比率は、前記分散液の重量に基づく、項目29に記載の凍結インジケータ。
(項目31)
ホスト製品であって、前記ホスト製品は、前記ホスト製品に関連付けられた項目1に記載の凍結インジケータを含む、ホスト製品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジケータ分散液を含む凍結インジケータであって、
前記インジケータ分散液は、
溶融温度および凍結温度を有する水性液体媒体であって、前記凍結温度は、前記溶融温度を下回る、水性液体媒体と、
前記水性液体媒体中に分散された有機材料インジケータ粒子と、
タンパク質性氷核形成剤と
を含み、
前記インジケータ分散液は、凍結前の初期外観と、凍結後の不可逆的に異なる外観とを有し、前記水性液体媒体は、約4から約9.5の範囲内のpHを有し、前記凍結インジケータは、約−1℃以上の凍結開始を示すことが可能である、
凍結インジケータ。
【請求項2】
前記凍結インジケータは、前記凍結開始温度で、前記水性液体媒体の凍結を示す明白な外観変化を示すことが可能である、請求項1に記載の凍結インジケータ。
【請求項3】
前記水性液体媒体は、前記液体媒体の重量に基づいて、少なくとも約10パーセントの酸化ジュウテリウム、重水素化水、または酸化ジュウテリウムおよび重水素化水の混合物を含む、請求項2に記載の凍結インジケータ。
【請求項4】
前記凍結インジケータは、少なくとも−0.9℃、または少なくとも−0.5℃の凍結開始温度を示すことが可能である、請求項3に記載の凍結インジケータ。
【請求項5】
前記凍結インジケータは、約0.0℃の凍結開始温度を示すことが可能である、請求項3に記載の凍結インジケータ。
【請求項6】
前記凍結インジケータは、約0.5℃の凍結開始温度を示すことが可能である、請求項3に記載の凍結インジケータ。
【請求項7】
前記凍結インジケータは、約20℃から約25℃の室温で少なくとも4週間保存した後に、少なくとも約−2.0℃の凍結開始温度を示すことが可能である、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項8】
約20℃から約25℃の室温で少なくとも4週間保存した後に、前記凍結インジケータは、新鮮時の凍結開始温度よりも0.5℃以内低い凍結開始温度を示すことが可能である、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項9】
前記水性液体媒体は、約pH7.5から約pH8.5の範囲内のpHを有する、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項10】
前記インジケータ粒子は、疎水性有機材料の固体粒子を含む、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項11】
前記有機材料は、1つ以上のワックス、または、1つ以上のワックスと混成されたワックス軟化剤を含む、請求項10に記載の凍結インジケータ。
【請求項12】
前記水性液体媒体は、約7.8から約8.2の範囲内のpHを有する、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項13】
約1μgから約2mg、約20μgから約500μg、および約100μgから約250μgから成る群より選択される量のタンパク質性氷核形成剤を含む、請求項12に記載の凍結インジケータ。
【請求項14】
前記氷核形成剤を安定化させるための安定化剤を含む、請求項12に記載の凍結インジケータ。
【請求項15】
前記インジケータ分散液の重量に基づいて、約0.01パーセントから約5パーセント、約0.05パーセントから約1パーセント、および約0.1パーセントから約0.5パーセントから成る群より選択される重量による比率の氷核形成剤安定化剤を含む、請求項14に記載の凍結インジケータ。
【請求項16】
20未満、10以下の割合、4以下の割合、2以下の割合、および約0.2から約1.5から成る割合の群より選択される割合の安定化剤を含み、前記安定化剤の割合は、前記インジケータ分散液中のタンパク質性氷核形成剤の重量比率に対する氷核形成剤安定化剤の重量比率の割合であり、前記重量比率は、前記分散液の重量に基づく、請求項14に記載の凍結インジケータ。
【請求項17】
前記インジケータ分散液の重量に基づいて、約1パーセントから約50パーセント、約5パーセントから約30パーセント、および約13パーセントから約22パーセントから成る群より選択される範囲内の重量比率のインジケータ粒子を含む、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項18】
前記凍結インジケータ分散液の重量に基づいて、約50パーセントから約99パーセント、約70パーセントから約95パーセント、および約77パーセントから約85パーセントから成る群より選択される範囲内の重量比率の水性液体媒体を含む、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項19】
最大約2mL、約20μLから約2mL、約20μLから約150μLの範囲内の体積、約40μLから約80μLの範囲内の体積、および最大約50μLの体積から成る群より選択される範囲内の体積のインジケータ分散液を含む、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項20】
前記分散されたインジケータ粒子は、前記インジケータ分散液の凍結に応答して、凝固することにより、視覚的外観における不可逆的な変化を提供することが可能であり、
前記凍結インジケータは、
前記インジケータ分散液を収容するインジケータ体積と、
前記インジケータ体積を規定する少なくとも1つのポリマーフィルム部材であって、前記ポリマーフィルム部材は、前記インジケータ分散液に隣接して位置し、前記凍結インジケータの周囲環境に曝露される外面を有する、ポリマーフィルム部材と、
前記インジケータ分散液を観視するための観視窓と、
可能性のある凍結曝露に対して監視されるべきホスト製品に、前記インジケータを固着するための付着デバイスと
を含む、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項21】
前記付着デバイスを含む基板層と、前記観視窓を含む観視層と、前記基板層と前記観視層との間の蒸気密閉シールとを含み、前記インジケータ体積は、前記基板層と前記観視層との間で規定され、前記蒸気密閉シールは、前記インジケータ体積周囲全体に閉ループになって延在する、請求項20に記載の凍結インジケータ。
【請求項22】
前記インジケータ体積に近接する参照領域を含み、前記参照領域は、前記凍結インジケータのエンドポイントに類似する外観を有する、請求項20に記載の凍結インジケータ。
【請求項23】
前記凍結インジケータは、可撓性である、請求項20に記載の凍結インジケータ。
【請求項24】
前記インジケータ分散液の重量に基づいて、約5パーセントから約30パーセントの重量比率のインジケータ粒子と、4以下の割合の安定化剤とを含み、前記水性液体媒体は、約7.5から約8.5の範囲内のpHを有する、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータ。
【請求項25】
請求項1、2、3、4、5、または6に記載の凍結インジケータを含むホスト製品であって、前記凍結インジケータは、可能性のある凍結暴露に対して前記ホスト製品を監視するために、前記ホスト製品に関連付けられている、ホスト製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503350(P2013−503350A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527064(P2012−527064)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/047121
【国際公開番号】WO2011/026020
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(502318881)テンプタイム コーポレイション (5)