説明

制御バルブによって制御される開口部を有する充填用注ぎ口

主要バルブ(4)と連動する弁座(3)を形成する開口部が設けられた横断方向の隔壁を有するチューブ状本体(1)を備えた充填用注ぎ口であって、主要バルブ(4)は、制御キャビティ(7)の中を延びるピストン(6)に接続されていて、その制御キャビティ(7)は、排出穴(12)に通じるとともに、制御バルブ(16)が取り付けられた制御用開口部(15)を有する制御用導管(5)に通じており、その制御用導管(5)は、ピストン(6)の1つの面に通じていて、加圧された液体がその制御用導管(5)に供給されたときに主要バルブ(4)を開いた位置に向けて移動させることを特徴とする充填用注ぎ口。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧された液体を供給される充填用注ぎ口に関する。
【背景技術】
【0002】
特に特許文献1により、チューブ状本体を有する充填用注ぎ口が知られている。チューブ状本体の中には、充填用注ぎ口を開閉させるため弁座と連動する主要バルブが取り付けられている。主要バルブは、電磁アクチュエータに接続されている。
【0003】
電磁アクチュエータは、チューブ状本体の壁部を貫通することなく主要バルブを制御できるという利点を有する。そのためこのタイプの充填用注ぎ口は、食料製品の充填に特に適している。
【0004】
【特許文献1】フランス国特許FR-A-2 838 730号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし利用できるスペースが狭いという理由で、大きな磁場を提供する磁性部材を設けることはできない。したがって主要バルブを開くためにこの主要バルブに加えられる力は限られているため、充填用注ぎ口の上流における圧力を調節するためのバッファ容器を一般に設ける必要がある。バッファ容器が存在していると、このバッファ容器が充填設備の近くで占める体積と、バッファ容器に液体食料を保管しておくことによる細菌の問題が制約となる。
【0006】
本発明の1つの目的は、大きな供給圧力で動作させることのできる主要バルブの制御装置を備えた充填用注ぎ口を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を実現するため、本発明により、主要バルブと連動する弁座が内部に設けられたチューブ状本体を備える充填用注ぎ口であって、主要バルブは、制御キャビティの中を延びるピストンに接続されていて、その制御キャビティは、排出穴に通じるとともに、制御バルブが取り付けられた制御用開口部を有する制御用導管に通じており、その制御用導管は、ピストンの1つの面に通じていて、加圧された液体がその制御用導管に供給されたときに主要バルブを開いた位置に向けて移動させることを特徴とする充填用注ぎ口が提案される。
【0008】
サイズの小さな制御バルブを設けることにより、充填する液体が高圧である場合でさえ、電磁アクチュエータを用いてその制御バルブを操作することが容易になり、制御キャビティ内で許される圧力が、主要バルブに対し、ピストンの面積に応じた作用力を及ぼす。したがってピストンを主要バルブのサイズに対して適切なサイズにすることより、液体の供給圧力に関係なく主要バルブの開き方を制御することができる。
【0009】
本発明の好ましい一実施態様によれば、主要バルブは、その主要バルブと同軸で制御用導管を形成するチューブ状接続部材によってピストンに接続されている。したがって得られるこの構造の全体は、特にコンパクトになる。
【0010】
本発明の好ましい別の一実施態様によれば、制御バルブは、制御ロッドにより、主要バルブが開いているときに排出穴を閉じる閉鎖部材に接続されている。そのため主要バルブを素早く開けることができる。
【0011】
本発明の他の特徴と利点は、本発明による充填用注ぎ口の好ましい一実施態様に関する添付の図面を参照した以下の説明を読めば明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を参照すると、充填用注ぎ口は、上記の文献で知られているように、チューブ状本体1を備えている。このチューブ状本体1は、簡単な接続部材(図示せず)によって互いに接続された3つの構成要素1.1、1.2、1.3を備えている。本体の構成要素1.1は、加圧された液体を供給する装置に接続されている。構成要素1.2は、主要バルブ4と連動する弁座を形成する開口部3が中央にある横断方向の隔壁2を備えている。
【0013】
図示した本発明の実施態様によれば、主要バルブ4には、この主要バルブ4と同軸の制御用開口部15が設けられている。さらに、主要バルブ4は、この主要バルブ4と同軸に延びるチューブ状の制御用導管5により、断面が円形のピストン6に接続されている。このピストン6は、コア部8の周囲を液体が流れられるようにする細長い中空部10を有する環状部9により、構成要素1.2の内部に固定されたコア部8の上端に設けられた円筒形制御キャビティ7の中を滑る。制御キャビティ7はコア部8の上部とつながっているため、コア部8は、主要バルブ4が開いた位置に向かって移動するときにピストンを制御キャビティから出すことのできる開口部を有することになる。
【0014】
断面が円形の排出路11が、コア部8を、チューブ状の制御用導管5と同軸に鉛直方向に貫通している。排出路11は、上端がキャビティ7の底部に通じており、下端に排出穴12を備えている。排出穴12には、断面が正方形の制御ロッド14の下端(図3)に固定された閉鎖部材13が連動しており、この制御ロッド14の鉛直方向に延びる稜部15が、排出路11の内壁によってガイドされる。
【0015】
制御ロッド14は、コア部8の中と主要バルブ4の制御用開口部15の中を鉛直方向に延びている。制御バルブ16が、制御ロッド14の上端に固定されている。制御バルブ16は、アクチュエータ(図示せず)に接続された制御ロッド17に取外し可能に接続されている。
【0016】
図1に示した状態では、充填用注ぎ口は閉じた位置にある。すなわち主要バルブ4が弁座3に支持されると同時に制御バルブ16が制御用開口部15を塞いでいる一方で、閉鎖部材13は排出穴12から離れている。したがって主要バルブ4と制御バルブ16が、構成要素1.1によって区画されている供給チェンバー18と、構成要素1.2および1.3によって区画されている分配チェンバー19との間を気密状態で分離している。分配チェンバー19は、閉鎖部材13を設けることによって液体が満たされた状態に維持されることが好ましい。閉鎖部材13の下面は、主要バルブ4と制御バルブ16が閉じた位置にあるとき、分配チェンバー19の中に収容されている液体を毛管現象によって保持するのにぴったりの遊びがある状態で、チューブ状本体1の下端に位置する制限部20と協働する。この状態では、ピストン6は、制御キャビティ7の底部近くまで延びている。
【0017】
図2に示したように充填用注ぎ口を開けるには、制御用ロッド17を上方に引き上げる。するとそれと同時に制御バルブ16が上方に引き上げられて制御用開口部15を開かせ、閉鎖部材13が排出穴12を閉じる。制御バルブ16のサイズは小さいため、最小の力で制御バルブ16を操作できることがわかるであろう。すると供給チェンバー18に収容されている液体は、制御用開口部15と制御用導管5を通って流れて排出路11を満たした後、ピストン6の下面に圧力を及ぼす。制御ロッド14の両側の2つの面に長手方向の溝21(図3)があることにより、制御用導管5と排出路11に素早く液体が満たされる。
【0018】
主要バルブ4に対するピストン6のサイズは、キャビティ7内で液体がピストン6に及ぼす上向きの力が、供給チェンバー18に収容されている液体が主要バルブ4に及ぼす下向きの力よりも大きくなるようにする。制御バルブ16が開いたとき、主要バルブ4は、図2に示したように開いた位置に向かって移動する。ピストン6がキャビティ7の上縁部に到達すると、キャビティ7に捕らえられている液体は流出することができ、そのとき主要バルブ4は安定な開いた状態に維持される。この位置は、充填用注ぎ口の出口で流れが層流となるように計算されていることが好ましい。充填用注ぎ口の出口における層流は、円錐形の外面22を有するコア部8を設けることによってさらに促進される。外面22の円錐度は、向かい合っている構成要素1.3の内面に対応する。閉鎖部材13はさらに、図2に示してあるように、制御バルブが開いた位置にあるときに閉鎖部材13の下面がコア部8の外面へと滑らかにつながる形状であることが好ましい。
【0019】
充填用注ぎ口を閉じるには、制御バルブ16を下方に移動させて制御用開口部15を再び閉じる。この運動の間に排出穴12が開き、ピストン6の下面に対する圧力が低下する。可動部全体の重量の効果と、供給チェンバー18に収容されている液体が及ぼす圧力の効果により、主要バルブ4が再び閉じられる。
【0020】
もちろん、本発明がここに説明した実施態様に限定されることはなく、請求項に規定されている本発明の範囲内でさまざまな変更を実現できる。
【0021】
特に、制御バルブと制御用導管が主要バルブ4およびチューブ状本体1と同軸である装置に関して本発明を説明したが、偏心した制御バルブを設け、キャビティ7の底部に横から出てくる制御用導管と連動させることもできる。
【0022】
同様に、分配用チェンバー19が満たされた状態を維持する補助バルブの機能がなく、排出穴の開閉を保証する機能だけを持つ閉鎖部材13を設けることもできる。
【0023】
本発明を断面が正方形の制御ロッドに関して説明したが、制御ロッドは、一般に多角形の断面を持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】閉じた位置にある本発明の充填用注ぎ口の軸方向断面の斜視図である。
【図2】開いた位置にある充填用注ぎ口に関する図1と同様の断面図である。
【図3】図2の線III-IIIに沿って切断した断面を拡大した部分図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要バルブ(4)と連動する弁座(3)を形成する開口部が設けられた横断方向の隔壁を有するチューブ状本体(1)を備えた充填用注ぎ口において、前記主要バルブ(4)は、制御キャビティ(7)の中を延びるピストン(6)に接続されていて、その制御キャビティ(7)は、排出穴(12)に通じるとともに、制御バルブ(16)が取り付けられた制御用開口部(15)を有する制御用導管(5)に通じており、その制御用導管(5)は、前記ピストン(6)の1つの面に通じていて、加圧された液体がその制御用導管(5)に供給されたときに前記主要バルブ(4)を開いた位置に向けて移動させることを特徴とする充填用注ぎ口。
【請求項2】
前記主要バルブ(4)が、この主要バルブと同軸で前記制御用導管を形成するチューブ状接続部材(5)によって前記ピストン(6)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の充填用注ぎ口。
【請求項3】
前記排出穴(12)が、前記制御用導管と同軸であることと、前記制御バルブ(16)が、制御ロッド(14)により、前記制御用開口部(15)が開いているときに前記排出穴(12)を閉じさせる閉鎖部材(13)に接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の充填用注ぎ口。
【請求項4】
前記制御キャビティ(7)が、前記チューブ状本体(1)に固定されたコア部(8)に設けられていて、このコア部(8)の中を、この制御キャビティ(7)と前記排出穴(12)を接続する排出路(11)が貫通していることを特徴とする、請求項3に記載の充填用注ぎ口。
【請求項5】
前記排出路(11)が円形断面を持ち、前記制御ロッド(14)が多角形の断面を持つことを特徴とする、請求項4に記載の充填用注ぎ口。
【請求項6】
前記制御ロッド(14)が、その制御ロッドの1つの面に少なくとも1つの長手方向の溝(21)を有することを特徴とする、請求項5に記載の充填用注ぎ口。
【請求項7】
前記閉鎖部材(13)が、前記チューブ状本体の制限部(20)と協働する下面を備えていて、前記主要バルブ(4)が閉じた位置にあるときにそのチューブ状本体の中に収容された液体を毛管現象によって保持することを特徴とする、請求項3に記載の充填用注ぎ口。
【請求項8】
前記コア部(8)が円錐形の外面(22)を備えていて、その円錐度が、向かい合った前記チューブ状本体の内面(23)に対応していることを特徴とする、請求項4に記載の充填用注ぎ口。
【請求項9】
前記制御バルブ(16)が開いた位置では、前記閉鎖部材(13)の下面が、前記コア部の外面(22)へと滑らかにつながっていることを特徴とする、請求項7に記載の充填用注ぎ口。
【請求項10】
前記キャビティ(7)が、前記主要バルブ(4)が開いた位置に向かって移動するときに前記ピストンをそのキャビティの外に出すことのできる開口部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の充填用注ぎ口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−500259(P2009−500259A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520906(P2008−520906)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001539
【国際公開番号】WO2007/010104
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(398036346)
【Fターム(参考)】