説明

制御可能な表面積を有するファブリック

調節可能な表面積、外形、及び/又は調節可能な部分を有するファブリック(1)は、織り交ぜられた織物繊維と、電流を受けるとファブリックの表面積を変更する、織物繊維内に編み込みされた少なくとも1つの形状記憶合金繊維(40)と、少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段(100)を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
ファブリックは、織物繊維から形成される。ファブリックは伸縮可能であり、また、しばしば、伸長し且つ元の形に戻ることを可能にするよう弾性成分又は繊維を有する。ファブリックの表面積は通常決まっている。ファブリックの表面積を減少するために、ファブリックは通常畳まれ、曲げられ、又は束にされる。ファブリックの表面積を増加するために、ファブリックは通常ある面積に広げられなければならないか、又は、別の形の抵抗に対して引っ張られなければならない。しばしばファブリックは、何回か伸長された後には元の表面積には戻らない。
【0002】
ファブリックは、伸縮可能であり、また、しばしば、伸長し且つ元の形に戻ることを可能にするようスパンデックス(Spandex)といった弾性成分又は繊維を含む。ファブリックの表面積は通常決まっている。一般的に、ファブリックは、衣服を作るようパターンに縫われる。衣服は、様々なサイズ又は形に製造及び/又は大量生産される。しばしば、同じスタイルの衣服が、様々なサイズの着用者に対応するよう複数のサイズで生産される。
【0003】
ファブリックの外形は、通常、特定のパターンに固定されるか、又は、ワイヤフレームといった埋め込みされた外形支持体によって固定される。ファブリックの表面外形を調整するために、ファブリックは通常畳まれるか、曲げられるか、又はフレームに亘って束にされる。しばしば、ファブリックは、何回かの外形変更の後その元の表面積には戻らない。更に、そのようなファブリックの外形を反復可能な様に調整することは困難である。
【0004】
導電繊維を含むファブリックは一般的に当該技術において周知である。このようなファブリックは、回路を作成するよう織物繊維と織り交ぜられる繊維を含む。電流がスイッチと電源を用いてそのようなファブリック上の領域に選択的に渡されることが可能である。図1は、導電繊維を含む衣服2を示す。衣服2は、その中を電源4からの電流が通されることが可能な導電繊維から形成された3つの電流経路3、3’、3’’を有する。衣服2は更に、衣服の着用者がどの電流経路を選択するかを選択することのできるスイッチ5も含む。例えば、ユーザは、クリップ6において、衣服2に、携帯電話機又は携帯無線機といった携帯可能な電子装置を取り付けることが可能である。着用者が、スイッチ5を、電子装置に電気を供給するよう設定すると、電流が、電源4から電流経路3’’を介してクリップ6に、そして取り付けられた装置内に流れる。電流経路3、3’、及び3’’を構成する導電繊維は更に、高い抵抗を有するよう選択されることも可能である。従って、電流経路は、抵抗器として作用し、また、熱として電気エネルギーを放出する。電流経路3、3’、及び3’’は、衣服2を選択された領域において暖めるよう使用可能である。しかし、これらのファブリックは、衣服2の表面積を選択的に制御するよう使用されない。
【0005】
マッスルワイヤ(Muscle Wire:商標)は、形状記憶合金(SMA)からなる細く高処理されたより糸であり、異なる温度において完全に異なる形状、即ち、「位相」を取ることが可能である。マッスルワイヤは、航空宇宙産業、製造処理の自動化において、及び趣味人及びロボット工学実験者によって世界中で主に使用されている。
【0006】
マッスルワイヤは、室温で、小さな力で簡単に伸ばすことが可能である。しかし、電流を流すとき、ワイヤは加熱され、「伸ばされていない」形状に戻るより硬い形に変化する。ワイヤは使用可能な量の力で長さが短くなり、冷却されると、再び緩み、再活性化のための準備が整う。大きいワイヤは、小さいワイヤより強く、強度は直径に応じて異なる。一部の最小のワイヤは、重力に対して20グラムを持ち上げることが可能であり、最大ワイヤは、最大2,000グラム(4.4ポンド以上)持ち上げることが可能である。冷たいときにワイヤを伸ばすために必要な量は、加熱されたときのワイヤによって使用される力の約6分の1である。マッスルワイヤは、その長さの最大8%まで伸ばされることが可能であり、また、完全に復活するが、これは、数回のサイクルでしかない。追加の強度のために、2つ以上のワイヤが並列に使用可能である。このことは、小さいワイヤの速いサイクル回数を維持しながら必要に応じて大きな強度を与える。
【0007】
マッスルワイヤは、非常に安定して信頼のある性能で何百万回ものサイクルの間作動する。マッスルワイヤは、SMA技術を使用する。形状記憶合金(SMA)は、加熱されたとき又は冷却されたときに形状変化する複合材料である。ニチノール、即ち、ニッケル及びチタンのSMA組合せは、様々な形に加工可能であり、また、電流から動作を得るための代案である。一般的に、モータ又はソレノイドが使用されるが、その機械的単純さ、高い強度対重量比、低音出力、及び正確な制御によってSMAが有利である場合が多くある。形状記憶効果は繰り返し可能であり、また、一般的に、最大8%のひずみ回復をもたらすことが可能である。マッスルワイヤは、直径が150ミクロンまで小さいことが可能であり、また、丸くても四角形/矩形であってもよい。
【0008】
本願に参考として組み込む公開された米国特許出願番号第2002/0061692号は、ファブリックの表面に取り付けられる(即ち、縫い付けられる)か、又は、2層以上のファブリックによって包まれる形状記憶金属を有するフラットファブリックを記載する。形状記憶金属ワイヤは、変形するよう選択的に加熱され、冷却すると真っ直ぐになる。フラットファブリックは、人の付属物(appendage)を囲むよう形成される。人体部(例えば、腕)は、金属ワイヤが冷たいときにはファブリックに自由にはいる。電流を発生させると、形状記憶金属ワイヤは変形して、人の付属物に圧力を選択的に与える。第2002/0061692号は、付属物を囲まないファブリックと形状記憶合金ワイヤから形成されるファブリックは含まない。
【0009】
従って、弾性ファブリックが、その表面積を選択的に制御し、衣服の形状を調整し、及び/又は、衣服の表面外形を選択的に制御し、従来技術の制限を有さない手段を含むことが望ましい。
【0010】
本発明は、従来技術に関連付けられる問題を解決する。1つの面では、調節可能な表面積を有するファブリックは、織り交ぜ合わされた織物繊維と、織物繊維内に編み込まれる表面積を変更する少なくとも1つの形状記憶合金繊維と、外形、即ち、ファブリックの電流を受けると調節可能な部分と、少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段を有する。
【0011】
1つの実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、断面が円形、楕円形、又は矩形である。別の実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、ファブリック内にシヌソイド又はフィッシュボーンのパターンで編み込まれる。
【0012】
別の実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から曲がった位置に変化する。更に別の実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けるとファブリックの平面において真っ直ぐにされた位置から曲がった位置に変化する。別の実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金繊維の第1の部分は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から第1の曲がった位置に変化し、少なくとも1つの形状記憶合金繊維の第2の部分は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から第2の曲がった位置に変化する。
【0013】
別の実施例では、曲がった位置は、少なくとも1つの形状記憶合金繊維の長さの3乃至8%の曲げを含む。
【0014】
別の実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金は、絶縁層を有する。
【0015】
別の実施例では、織り交ぜ合わされた織物繊維は、少なくとも1つの弾性材料を含む。
【0016】
1つの実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段は、少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流される電流を変更する電流調整器を有する。別の実施例では、選択される最大限は少なくとも1つの形状記憶合金繊維の全長の8%未満である。
【0017】
1つの実施例では、少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、少なくとも1つの織り交ぜ合わされた織物繊維に取り付けられる。
【0018】
別の実施例では、ファブリックの表面積は、インクリメント的に調節可能である。
【0019】
別の面において、調節可能な表面積を有するファブリックを製造する方法は、少なくとも1つの形状記憶合金繊維と共に織物繊維を織り込む段階と、少なくとも1つの形状記憶合金繊維を、少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を通す手段に接続する段階と、表面積、外形、即ち、ファブリックの調節可能な部分が調節されるよう少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流れる電流を制御する段階を有する。
【0020】
本発明は、多くの利点を提供し、その一部を以下の実施例を参照しながら説明する。
【0021】
[発明の詳細な説明]
提案するファブリック及び方法は、調節可能な表面積を有するファブリックを提供する。
【0022】
図2Aは、調節可能な表面積を有するファブリック1の好適な実施例を示す。ファブリック1は、織り込まれた織物繊維(図示せず)と少なくとも1つの形状記憶合金繊維40から形成される。図2Aでは、形状記憶合金繊維40は、ファブリック1の面においてシヌソイドパターンで組み込まれる。形状記憶合金繊維40は、直列、並列、又は個々にアドレス可能に電流発生器100に接続される。電流発生器100は、少なくとも1つの形状記憶合金繊維40に電流を流して繊維を曲げる。電流発生器100は、電池、又は電流を発生する任意の他の周知の手段であることが可能である。更に、電流発生器100は、電流を変更する電流調整器も有しうる。これは、少なくとも1つの形状記憶合金繊維40が選択された最大限に曲げられると好適でありうる。これは、破損又は効果のない長期の使用につながりうる形状記憶合金繊維40の過度の曲げを阻止する。更に、電流調整器は、ファブリック1の表面積を制御する、例えば、異なる量の電流に対応する予め選択された設定に応じて表面積を変更するよう使用することが可能である。この構成では、ユーザは、様々な電流設定に応じて増加的に表面積を変更することが可能である。
【0023】
図3Aは、電流発生器100がどの形状記憶合金繊維40にも電流を流すことを止めたときの図2Aのファブリック1を示す。形状記憶合金繊維40の各湾曲部は真っ直ぐになる。この位置では、ファブリック1は、図2Aに示す湾曲位置におけるよりも大きい表面積を有する。尚、図3Aは、厳密に寸法が合わされて示されているわけではなく、また、真っ直ぐにされた位置も完全に直線である必要はなく、湾曲位置における湾曲より小さい複数の湾曲を含むことが可能である。
【0024】
ファブリック1は、図3Aの部分Aの拡大図である図4Aに示すように、織り交ぜられた織物繊維60から部分的に形成される。形状記憶合金繊維40は、ファブリック1の追加部を形成するよう繊維60内に編み込まれる。形状記憶合金繊維40は、電流発生器100から電流を受けるときに電気又は熱絶縁を与えるよう絶縁材料でコーティングされることが可能である。図4Aでは、電流は、形状記憶合金繊維40を通されない。この真っ直ぐにされた位置では、織物繊維60は、それらの織り方に応じて、又は、真っ直ぐにされた形状記憶合金繊維40によって与えられる機械抵抗に応じて間隔があけられる。
【0025】
図4Bは、湾曲位置にある(例えば、電流発生器100から電流を受ける)形状記憶合金繊維40を示す。この位置では、形状記憶合金繊維40の湾曲は、織物繊維60を動かす。このことは、ファブリック1の表面積を距離d分減少する。織物繊維60は、曲げる、物理的に移動する、又は位置を変更することによって形状記憶合金繊維40における変化に適応するよう選択及び/又は構成される。1つの例として、図4Bには、織物繊維60は、電流発生器100が形状記憶合金繊維40に電流を通すと、個々の繊維60が織りにおいてそれらの位置を変え、それにより、織りを緩くするか又はきつくし、従って、ファブリック1の表面積を減少するよう緩く編み込みされることが可能である。真っ直ぐにされた位置(即ち、図4A)では、織物繊維60は、強制的に互いから離れるようにされ、それにより、ファブリック1の表面積を増加する。織物繊維60は、弾性材料から形成されてもよい。
【0026】
更なる例として、形状記憶合金繊維40は、湾曲位置から真っ直ぐにされる位置までの変化の効果を高めるよう個々の織物繊維60に物理的に接続されうる。この物理的な接続は、例えば、当該技術において一般的に知られている節止め、糸結び、又は接着剤を含むことが可能である。絶縁体が形状記憶合金繊維40を覆う場合、織物繊維60も絶縁体に取り付けられることが可能である。
【0027】
図1Aを再び参照するに、形状記憶合金繊維40の全長は、形状記憶合金繊維の小さな部分から構成され得、各部分は、シヌソイドパターンを生成するよう僅かに異なる湾曲角度を有する。従って、電流発生器100が形状記憶合金繊維40に電流を流すと、各部分は、同じ電流に対して異なるように僅かに湾曲する。例えば、図2Aにおける第1の部分αは、シヌソイドの一部を形成する第1の湾曲角度(例えば、第1の湾曲位置)を有し、第2の部分βは、反対の湾曲を形成する第2の湾曲角度(例えば、第2の湾曲位置)を有しうる。これは、図2Aに示す形状記憶合金繊維40のシヌソイドパターンを与える。
【0028】
図2Aの構成の変形が多く存在する。1つの例として、図2Bは、水平形状記憶合金繊維40が、垂直形状記憶合金繊維50と共に編み込みされるファブリック1を示す。電流発生器100が、各形状記憶合金繊維(即ち、40及び/又は50)を個別にアドレスすると、ファブリック1の表面積は、図3Bに示すように、垂直に、水平に、又は垂直及び水平の両方に選択的に増加可能である。
【0029】
図2Cは、フィッシュボーン構成にある形状記憶合金繊維40を有するファブリック1を示す。形状記憶合金繊維40の一部は、電流受けたときにファブリック1の表面積に影響を与えるよう互いに向かうよう、互いから離れるよう、又は別の方法で曲がるよう生成されることが可能である。
【0030】
形状記憶合金繊維40は、図5A、図5B、及び図5Cにそれぞれ示すように、断面において、円形、楕円形、又は矩形であることが可能である。図5Aは、形状記憶合金繊維40を囲む絶縁層400を更に示す。
【0031】
ファブリック1は、ファブリックを生成する織物を織る任意の周知の手段によって製造可能である。形状記憶合金繊維40は、上述したように特定のパターンにおいて織物繊維60内に織り込まれることが可能である。形状記憶合金繊維40は、例えば、従来技術において周知であるようにファブリック1内に織り込まれる接続によって、又は、ファブリック1の織りの外側に配置される接続によって形状記憶合金繊維40に電流を流す源に接続されることが可能である。電流発生器100は、ファブリックの表面積が調節されるよう少なくとも1つの形状記憶合金繊維40に流される電流を制御する。
【0032】
図6Aは、選択的に調整可能な形状を有する衣服100の好適な実施例を示す。衣服100は、Tシャツである。衣服100は、少なくとも1つの調節可能な部分200、210、220を有する。調節可能な部分は、衣服100の少なくとも1つの部分200、210、220を調節可能にするよう織物繊維に織り込まれる少なくとも1つの形状記憶合金繊維から構成される。図1の例では、衣服1は、調節可能な襟200、調節可能袖210、及び調節可能な胴領域220を有する。各調節可能部分200、210、及び220は、少なくとも1つの形状記憶合金繊維から形成され、これは、湾曲位置から直線位置に変化する際に、調節可能部分200、210、220の表面積を調整する。衣服100が形成されるファブリックは、織り交ぜられた織物繊維(図示せず)と少なくとも1つの形状記憶合金繊維から構成される。
【0033】
図6Aでは、形状記憶合金繊維は、衣服100におけるその位置に依存して特定のパターンに組み込まれる。例えば、調節可能な襟部分200における形状記憶合金繊維230は、ファブリック100の面において、シヌソイドパターンに形成される。形状記憶合金繊維230の正確なパターンは、様々な調節可能部分の様々な要件に対応して選択可能である。例えば、袖の調節可能部分210における形状記憶合金230のパターンは、調節可能な襟部分200におけるパターンとは異なり得る。付属物又は着用者の体の一部を含む衣服100の任意の部分は、調節可能な部分を含むことが可能である。更に、付属物を含まない衣服100の部分も、調節可能な部分を含むことが可能である。更に、複数の形状記憶合金繊維は、直列で又は並列で接続されてもよい。例えば、衣服100は、並列にされた複数の形状記憶合金繊維から形成される調節可能な同領域220を有する。
【0034】
形状記憶合金繊維230は、直列、並列、又は個別にアドレス可能に電流発生器250に接続される。電流発生器250は、少なくとも1つの形状記憶合金繊維230に電流を流し、それにより、繊維を曲げる。電流発生器250は、電池、又は、電流を発生する任意の他の周知の手段であることが可能である。更に、電流発生器250は、電流を変更する電流調節器を有することが可能である。これは、一旦少なくとも1つの形状記憶合金繊維230が選択された最大限に曲がる場合に望ましい。このことは、破損又は効果のない長期間の使用につながりうる形状記憶合金繊維230の過度の曲げを阻止する。更に、電流調整器は、調節可能な領域を制御するよう、例えば、様々な量の電流に対応する予め選択された設定に応じて表面積を変更するよう使用可能である。この構成において、衣服100の着用者は、様々な電流設定及び所望のサイズに応じて増加的に調節可能部分200、210、220を変更することが可能である。
【0035】
図6Bは、図6Aの衣服100の小さな部分を示す。電流発生器250が、例えば、調節可能な襟部200における形状記憶合金繊維230に電流を流すことを止めると、曲がった部分は、図8にあるように真っ直ぐになる。図8に示す位置では、衣服100の調節可能部分は、図6Aに示す湾曲位置におけるより大きい表面積を有する。尚、図8は、厳密に寸法が測られているわけではなく、また、真っ直ぐにされた位置は、完全に直線である必要はなく、湾曲位置における湾曲より小さい複数の湾曲を含むことが可能である。
【0036】
形状記憶合金繊維230は、一方向又は双方向記憶効果を有するよう選択可能である。一方向記憶効果の場合、形状記憶合金繊維230は機械的に変形され、この変形は、所与の温度以上で変形された形状記憶合金繊維230を加熱することによって戻される。形状記憶合金繊維230の冷却は、形状における任意の更なる変化をもたらさない。形状記憶合金繊維230はある温度を超えると変形するが、この温度は、繊維が構成される材料の材料特性に依存する。一方向記憶効果の形状記憶合金繊維230を含む調節可能部分200、210、220を有する衣服100は、形状及び/又はサイズにおける1回の調節に有用である。例えば、衣服は、大量生産されて、単一のサイズで販売されることが可能である。衣服が購入されると、着用者は、衣服100の少なくとも1つの調節可能部分200、210、及び220を特に加熱することが可能であり、それにより、所望のカスタマイズされた不可逆のフィットを達成する。電流発生器250を配置することが可能である。追加の例として、形状記憶合金繊維230が構成される材料は、着用者の体温が、一方向変形をもたらすよう選択可能である。従って、着用者が一旦衣服100を着ると、調節可能部分200、210、220は、着用者の体の抵抗が機械変更を上回るまで調節する。この例では、衣服100は、着用者の体に対して不可逆で自動カスタマイズする。
【0037】
双方向記憶効果の場合、形状記憶合金繊維230の交互の加熱が、変形及び変形の中止(例えば、2つの変形状態)をもたらす。例えば、衣服100は、着用者の所望のフィットにそれぞれ可逆にカスタマイズされる調節可能部分200、210、220を含むことが可能である。この例では、単一の衣服が、複数の着用者によって着用され、また、望む通り又は電流発生器250における予め設定された設定によって規定されるように調節されることが可能である。
【0038】
衣服100は、図6Bの部分Aの拡大図である図8Bに示すように、織り交ぜられた織物繊維60から部分的に形成される。形状記憶合金繊維230は、繊維600に編み込みされ、それにより、衣服100の調節可能部分を形成する。形状記憶合金繊維230は、電流発生器250からの電流を受けるときの電気又は熱の絶縁を与えるよう絶縁材料でコーティングされることが可能である。図8Aでは、形状記憶合金繊維230には電流が流されていない。この真っ直ぐにされた位置では、織物繊維600は、それらの織りに応じて又は真っ直ぐにされた形状記憶合金繊維230によって与えられる機械抵抗に応じて又は他の手段によって間隔があけられる。
【0039】
図8Bは、湾曲位置(例えば、電流発生器250から電流を受ける)における形状記憶合金繊維230を示す。この位置では、形状記憶合金繊維230の湾曲は、織物繊維600を動かす。これは、衣服100の調節可能部分の表面積を距離d分減少する。織物繊維600は、曲げる、物理的に移動する、又は位置を変更することによって形状記憶合金繊維230における変化に適応するよう選択及び/又は構成される。1つの例として、図8Bには、織物繊維600は、電流発生器250が形状記憶合金繊維230に電流を通すと、個々の繊維600が織りにおいてそれらの位置を変え、それにより、織りを緩くするか又はきつくし、従って、衣服100の調節可能部分の表面積を減少するよう緩く編み込みされることが可能である。真っ直ぐにされた位置(即ち、図8A)では、織物繊維600は、強制的に離れるようにされ、それにより、衣服100の調節可能部分の表面積を増加する。織物繊維600は、弾性材料から形成されてもよい。
【0040】
更なる例として、形状記憶合金繊維230は、湾曲位置から真っ直ぐにされる位置までの変化の効果を高めるよう個々の織物繊維600に物理的に接続されうる。この物理的な接続は、例えば、当該技術において一般的に知られている節止め、糸結び、又は接着剤を含むことが可能である。絶縁体が形状記憶合金繊維230を覆う場合、織物繊維600も絶縁体に取り付けられることが可能である。
【0041】
図6Bを再び参照するに、形状記憶合金繊維230の全長は、形状記憶合金繊維の小さな部分から構成され得、各部分は、シヌソイドパターンを生成するよう僅かに異なる湾曲角度を有する。従って、電流発生器250が形状記憶合金繊維230に電流を流すと、各部分は、同じ電流に対して異なるように僅かに湾曲する。例えば、図6Bにおける第1の部分は、シヌソイドの一部を形成する第1の湾曲角度(例えば、第1の湾曲位置)を有し、第2の部分は、反対の湾曲を形成する第2の湾曲角度(例えば、第2の湾曲位置)を有しうる。これは、図6Aに示す形状記憶合金繊維230のシヌソイドパターンを与える。
【0042】
図6Aの構成の変形が多く存在する。1つの例として、図6Cは、水平形状記憶合金繊維230が、垂直形状記憶合金繊維330と共に編み込みされる調節可能部分を有する衣服100を示す。電流発生器250が、各形状記憶合金繊維(即ち、230及び/又は330)を個別にアドレスすると、衣服100の調節可能部分の表面積は、図7に示すように、垂直に、水平に、又は垂直及び水平の両方に選択的に増加可能である。
【0043】
衣服100は、パターニングされ衣服を生成するよう互いに接続されるファブリックを生成する織物を織る任意の周知の手段によって製造されることが可能である。形状記憶合金繊維230は、上述したように特定のパターンにおいて織物繊維600内に織り込まれることが可能である。形状記憶合金繊維230は、例えば、従来技術において周知であるようにファブリック内に織り込まれる接続によって、又は、ファブリックの織りの外側に配置される接続によって形状記憶合金繊維230に電流を流す源に接続されることが可能である。電流発生器250は、衣服100の調節可能部分の表面積が調節されるよう少なくとも1つの形状記憶合金繊維230に流される電流を制御する。
【0044】
衣服は全ての型及び形状で入荷される。例えば、図9は、調節可能部分200、210、220、及び610を含むシャツ608を示す。調節可能部分200、210、220、及び610は、具体的に調整可能な部分のパターンから形成され、これは、まとめて、着用者のからだに衣服をフィットさせる手段を構成する。例えば、調節可能な袖部210は、部分210a、210b、210cから形成され、それぞれ、電流発生器250によって独立してアドレス可能であり、少なくとも1つの形状記憶合金繊維230を有する。調節可能な袖部210は、例えば、部分210a及び210bのみの調節を選択することによって増加的に調節可能である。追加の例として、調節可能な襟部200は、部分200a、200b、200c、200d、及び200eを有し、調節可能な胴部220は、部分220a、220b、220c、220d、及び200eを有し、調節可能な腰部610は、部分610a、610b、610c、610d、及び610eを有する。任意の数の個別にアドレス可能な部分が、調節可能部分200、210、220、230、及び610を形成可能である。
【0045】
更に、個別にアドレス可能な部分のグループ分けは、予め選択された構成で行われることが可能である。例えば、着用者Aに対しては、電流発生器250は、部分200a、200c、200e、210a、220d、220e、及び610cにおいてのみ調節可能部分200、210、220、及び610を調節するようプログラム可能である。着用者は、電流発生器250内に含まれるプログラミング装置を用いて調節自体をプログラム可能である。更に、予め設定したサイズを電流発生器250内にプログラムすることが可能であり、それにより、着用者は、特定のサイズ(即ち、スモール、ミディアム、ラージ、エキストララージ)を選択可能であり、対応する部分が適宜調節される。
【0046】
衣服100は、図10に示すように靴下700であることも可能である。靴下700は、調節可能部分710、720、730を有することが可能であり、それぞれ、少なくとも1つの形状記憶合金繊維230を含む。更に、靴下700は、靴下700を、別個の衣服に位置付けられ得る外部の電流発生器に接続する接続手段750を有し得る。接続手段250は、ファブリック内に組み込まれた電子機器間の電気接続を形成する任意の手段であることが可能である。
【0047】
衣服100は、図11に示すようにスカート800であることも可能である。スカート800は、調節可能部分810、820、830、及び840を有する。調節可能な腰部分810は、部分810a−810dから形成される。調節可能な丈部分810は、スカート800の丈の少なくとも一部を横断する少なくとも1つの形状記憶合金繊維230を有することが可能である。従って、衣服100は、部分(例えば810a−810d)から形成される調節可能部分と、部分を有すること形成される調節可能部分の両方を含むよう生成可能である。スカート800は、スリット870も有する。調節可能なスリット部分840に含まれる形状記憶合金繊維230内に電流を流すことによって、スリット870のサイズ、形状、及び/又は幅における変更が実現される。スカート800は、電流発生器250を含むか、又は、外部電流源に接続可能である。
【0048】
衣服100は、図12に示すようにズボン900であることも可能である。ズボン900は、調節可能部分910、920、及び930を有する。調節可能な腰部分910は、部分910a−910gを有する。尚、部分910dは、部分910a−910c、及び910e−910gより実質的に大きいことが可能である。これは、調節可能部分910のこの部分は、着用者の付属物を入れたり出したりするのに最も好適だからである。しかし、部分910dは、ズボン900の周囲のどこにあってもよい。ズボン900は更に、2つの電流発生器250a及び250bを有し、これらはそれぞれ、異なる調節可能部分930に対して電流を発生可能である。
【0049】
衣服100は更に、図13に示すようにネクタイ1000であることも可能である。ネクタイ1000は、調節可能部分1010及び1020を有することが可能である。調節可能部分1010は、部分1010a−1010dを有する。更にネクタイ1000は、電気接続1030を有することが可能であり、この電気接続は、2つの衣服を電気接続する任意の他の周知の手段によって裏面にある電気接続に接触する。
【0050】
衣服100は、図14に示すようにワンピース1100であることも可能である。ワンピースは、調節可能部分1110、1120、1130、1140、1150、及び1160を有する。調節可能な首開口1110は、部分1110a−1110eを有する。調節可能な袖部1120は、部分1120a−1120cを有する。調節可能な胴部1130は、部分1130a−1130fを有する。調節可能な腰部1140は、部分1140a−1140cを有する。ワンピース1100のスカート部は、丈調節可能部分1150及び周囲調節可能部分1160を有する。
【0051】
衣服100は、図15に示すようにブラジャー1200であることも可能である。ブラジャー1200は、調節可能部分1210、1220、1230、及び1240を有する。調節可能なアンダーカップ部1210は、調節可能なアンダーカップ部1210内の形状記憶合金繊維230に電流が流されると着用者が胸のアンダーワイヤサポートを変更することを可能にするよう生成可能である。調節可能なカップ形状1220は、形状記憶合金繊維230に電流が流されると人間の胸周りのフィットを変更するよう着用者が円錐カップ形状を変更することを可能にするよう生成可能である。少なくとも1つの形状記憶合金繊維230は、スパイラルパターンに構成されることが可能であり、それにより、電流を通すことによって、調節可能なカップ部1220の外形が変更する。調節可能なストラップ部1230は、着用者がストラップの長さと形状を変更することが可能であるよう生成可能である。調節可能なストラップ部1240は、着用者がストラップ外周を変更することを可能にするよう生成可能である。更に、ブラジャー1200は、調節可能部分1210−1240内の形状記憶合金繊維を電流発生器に接続する接続手段1250を有する。更に、ブラジャーは、別個の電流発生器(図示せず)を含むことが可能である。
【0052】
衣服100は、図16に示すように下着1300であることも可能である。下着1300は、調節可能部分1310、1320、及び1330を有する。
【0053】
衣服100は、図17に示すように帽子1400であることも可能である。帽子1400は、調節可能部分1410及び1420を有する。調節可能部分1410は、着用者が、帽子1400のフィットを変更することが可能であるよう生成可能である。調節可能部分1420は、着用者が帽子1400のサイズを変更することが可能であるよう生成可能である。
【0054】
衣服100は、図18A及び18Bにそれぞれ示すように、手袋1500又はミトン1510であることも可能である。手袋1500は、指調整可能部分1520と、手首調節可能部分1530を有する。ミトン1510は、調節可能な指形部分1540と、調節可能な親指部分1550を有する。
【0055】
衣服100は、図19に示すように靴1600であることも可能である。靴1600は、調節可能な足根部1610と、調節可能な足首部1630を有する。調節可能な足根部1610は、着用者が、着用者の足の足根を覆う靴1600の部分の曲率を調節することを可能にするよう生成可能である。靴1600は更に、靴1600のかかと内に埋め込みされうる電流発生器250か、又は、歩行の機械的動作から電流を発生する発生器を含み得る。更に、靴1600は、靴1600の調節可能部分1610、1630における形状記憶合金繊維230を、外部の電流発生器に接続する電気接続1640を含むことが可能である。
【0056】
衣服100は、図20に示すようなバッグ1700であることも可能である。バッグ1700は、調節可能なストラップ部1720及び調節可能なファスナー部1710を有することが可能である。
【0057】
衣服100は更に、ショートパンツ、スカーフ、ブーツ、ジャケット、コート、サンダル、スリッパ、ヘッドバンド、ベルト、スポーツコート、スーツ、パジャマ、靴下、髪を集める手段、バックパック、財布、ブリーフケース、ハンドバッグ、サスペンダー、ベスト、リストバンド、靴紐、カツラ、又は任意の他の周知の衣類製品のうちの任意のものであることが可能である。
【0058】
図21は、調節可能な表面外形を有するファブリック1から形成される衣服の好適な実施例を示す。ファブリック1は、織り交ぜられた織物繊維(図示せず)と少なくとも1つの形状記憶合金繊維2100を含むファブリック(即ち、部分I)から形成される。図22は、図21の部分Iの拡大図を示す。図22では、形状記憶合金繊維2100は、ファブリックの面においてスパイラルパターンで組み込まれる。形状記憶合金繊維2100は、直列、並列、又は個々にアドレス可能に電流発生器250に接続される。電流発生器250は、少なくとも1つの形状記憶合金繊維2100に電流を流し、それにより、繊維を曲げる。スパイラルパターンの形状に基づいて、このことは、残りの平らな部分の面の外側にファブリックの外形を調節するよう曲がる。
【0059】
図23は、形状記憶合金繊維2100は何れも電流を受けていないときの図22の側面図を示す。電流発生器250が一旦電流を形状記憶合金繊維2100に流すと、曲げが発生する。形状記憶合金繊維2100のスパイラルパターンによって、電流が流されると、図24に示すように、領域2101がファブリックの面から外側に隆起する。形状記憶合金繊維2100は、電流を受けるとファブリックの外形を湾曲し且つ調整するようスパイラルパターンで織物繊維と共に編み込みされる。
【0060】
電流発生器250は、電池、又は、電流を発生する任意の他の周知の手段であることが可能である。更に、電流発生器250は、電流を変更する電流調整器を有することが可能である。これは、一旦少なくとも1つの形状記憶合金繊維2100が選択された最大限に曲げられる場合に望ましい。これは、破損、又は、効果のない長期の使用をもたらしうる形状記憶合金繊維2100の過度の曲げを阻止する。更に、電流調整器は、ファブリック1の表面積を制御する、例えば、様々な量の電流に対応する予め選択された設定に応じて表面積を変更するよう使用可能である。この構成において、ユーザは、様々な電流設定に応じて増加的に表面積を変更可能である。
【0061】
図6は、電流発生器25が形状記憶合金繊維40に電流を流した時の図5のファブリック1を示す。形状記憶合金繊維40の湾曲部の少なくとも一部は真っ直ぐにされる。この位置では、ファブリック1は、湾曲位置におけるよりも調節された外形を有する。尚、図6は、厳密に寸法を測っているわけではなく、また、真っ直ぐにされた位置は完全に直線である必要はなく、湾曲位置に置ける湾曲より小さい複数の湾曲を含むことが可能である。
【0062】
図25は、湾曲位置(例えば、電流発生器250から電流を受ける)における形状記憶合金繊維2100を示す。この位置では、形状記憶合金繊維2100は、織物繊維2102を動かす。これは、ファブリック1の表面外形を調節し、隆起した領域2101をもたらす。織物繊維2102は、曲げる、物理的に移動する、又は位置を変更することによって形状記憶合金繊維2100における変化に適応するよう選択及び/又は構成される。1つの例として、図25では、織物繊維2102は、電流発生器250が形状記憶合金繊維2100に電流を通すと、個々の繊維2102が織りにおいてそれらの位置を変え、それにより、織りを緩くするか又はきつくし、従って、ファブリック1の表面積を減少するよう緩く編み込みされることが可能である。湾曲位置(即ち、図25)では、織物繊維2102は、動かされ、それにより、ファブリック1の表面外形を調節する。織物繊維2102は、弾性材料から形成されてもよい。
【0063】
更なる例として、形状記憶合金繊維2100は、湾曲位置から真っ直ぐにされる位置までの変化の効果を高めるよう個々の織物繊維2102に物理的に接続されうる。この物理的な接続は、例えば、当該技術において一般的に知られている節止め、糸結び、又は接着剤を含むことが可能である。絶縁体が形状記憶合金繊維2100を覆う場合、織物繊維2102も絶縁体に取り付けられることが可能である。
【0064】
図26は、アーチ状パターンの調節可能な外形領域を有する図21の領域Iの拡大図を示す。この構成では、形状記憶合金繊維2100は、外形調節可能領域2103を形成するよう織物繊維と共に編み込みされる。各外形調節可能領域2103は、電流発生器250によって個々にアドレス可能である。外形調節可能領域2103がアドレスされ電流を受け取ると、調節可能領域2103における形状記憶合金繊維2100は、アーチを形成するよう曲がる。アーチは、図27に示すように、調節可能領域2103が隆起外形2104を形成するようにする。
【0065】
図28は、ブルズアイパターンの調節可能な外形領域を有する図21の領域Iの拡大図を示す。この構成では、形状記憶合金繊維2100は、外形調節可能領域2105を形成するよう織物繊維と共に編み込みされる。各外形調節可能領域2105は、電流発生器250によって個々にアドレス可能である。外形調節可能領域2105がアドレスされ電流を受け取ると、調節可能領域2105における形状記憶合金繊維2100は曲がる。これは、楕円形又は円形リング2106を隆起させる。リング2106及び2107は、形状記憶合金繊維2100によって隆起される。形状記憶合金繊維は、調節可能領域2105が図29に示すように隆起した外形2108を形成するようにする。
【0066】
ファブリック1は、ファブリックを生成する任意の織物を織る周知の手段によって製造可能である。形状記憶合金繊維2100は、上述したように特定のパターンで織物繊維と共に織り込められることが可能である。形状記憶合金繊維2100は、例えば、従来技術において周知であるようにファブリック1内に編み込まれた接続によって、又は、ファブリック1の織りの外側に配置される接続によって形状記憶合金繊維2100に電流を通す源に接続されことが可能である。電流発生器250は、ファブリックの表面積が調節されるよう少なくとも1つの形状記憶合金繊維2100を流れる電流を制御する。
【0067】
ファブリック1は、図30に示すような靴下2130といった衣服を形成可能である。この靴下2130は、超越可能な外形足領域2131といった調節可能部分を有することが可能である。調節可能な外形足領域2131は、スパイラルパターンに織物(図示せず)に編み込まれる少なくとも1つの形状記憶合金繊維2100を含む。更に、靴下2130は、靴下2130を別個の衣服に位置付けられ得る外部電流発生器に接続する接続手段2132を有することが可能である。接続手段2132は、ファブリック内に組み込まれた電子機器間の電気接続を形成する任意の周知の手段であることが可能である。
【0068】
ファブリック1は、図31に示すようなブラジャー2140を形成することも可能である。ブラジャー2140は、調節可能部分2141を有する。調節可能な外形カップ部2141は、形状記憶合金繊維2100に電流が流されたときに人間の胸周りのフィットを変更するよう円錐カップ形状を着用者が変更することを可能にするよう生成可能である。少なくとも1つの形状記憶合金繊維2100は、スパイラルパターンに構成されることが可能であり、それにより、電流を流すことによって、調節可能なカップ部2141の外形を変更する。更に、ブラジャー2140は、調節可能部分2141における形状記憶合金繊維を電流発生器に接続する接続手段2142を有する。更に、ブラジャー2140は、別個の電流発生器(図示せず)を有することが可能である。
【0069】
ファブリック1は、図32に示すような下着2150を形成することも可能である。下着2150は、調節可能な外形部2151を有する。
【0070】
ファブリック1は、図33に示すような靴の中敷き2160を形成することも可能である。靴の中敷き2160は、アーチ状パターンの調節可能な外形領域を有する。この構成では、形状記憶合金繊維2100は、外形調節可能な領域2161を形成するよう織物繊維と共に編み込みされる。各外形調節可能な領域2161は、電流発生器250によって個々にアドレス可能である。外形調節可能領域2161がアドレスされ電流を受け取ると、その領域は、着用者の足下でファブリック1の外形を変更する。このことは、血行及び健康を増加するために着用者にマッサージ効果を与えるよう使用可能である。
【0071】
上述した表現及び例は、例示的であり、本発明の請求項の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】導電繊維を有する従来技術の衣服を示す図である。
【図2A】本発明による湾曲位置にある少なくとも1つの形状記憶合金繊維を有する調節可能な表面積を有するファブリックを示す図である。
【図2B】本発明による湾曲位置にある少なくとも2つの形状記憶合金繊維を有する調節可能な表面積を有するファブリックを示す図である。
【図2C】本発明による少なくとも1つの形状記憶合金を有する調節可能な表面積を有するファブリックの別の実施例を示す図である。
【図3A】本発明による伸ばされた位置にある少なくとも1つの形状記憶合金繊維を有する図1Aのファブリックを示す図である。
【図3B】本発明による伸ばされた位置にある少なくとも2つの形状記憶合金繊維を有する図1Aのファブリックを示す図である。
【図4A】図2Aのファブリックの部分Aを示す拡大図である。
【図4B】図1Aのファブリックの部分Aを示す拡大図である。
【図5A】断面が円形である形状記憶合金繊維を示す図である。
【図5B】断面が楕円形である形状記憶合金繊維を示す図である。
【図5C】断面が矩形である形状記憶合金繊維を示す図である。
【図6A】本発明による湾曲位置にある少なくとも1つの形状記憶合金繊維を有する選択的に調節可能な形状を有する衣服を示す図である。
【図6B】本発明による湾曲位置にある少なくとも1つの形状記憶合金繊維を有する調整可能な形状を有するファブリックから形成される図6Aの衣服の一部を示す図である。
【図6C】本発明による少なくとも2つの形状記憶合金繊維を有する調節可能な形状を有するファブリックから形成される図6Aの衣服の別の実施例を示す図である。
【図7】本発明による伸ばされた位置にある少なくとも2つの形状記憶合金繊維を有する図6Cに示す図6Aの衣服の一部を示す図である。
【図8A】図7の衣服の部分Aを示す拡大図である。
【図8B】図6Bのファブリックの部分Aを示す拡大図である。
【図9】本発明によるシャツを示す図である。
【図10】本発明による靴下を示す図である。
【図11】本発明によるスカートを示す図である。
【図12】本発明によるズボンを示す図である。
【図13】本発明によるネクタイを示す図である。
【図14】本発明によるワンピースを示す図である。
【図15】本発明によるブラジャーを示す図である。
【図16】本発明による下着を示す図である。
【図17】本発明による帽子を示す図である。
【図18A】本発明による手袋を示す図である。
【図18B】本発明によるミトンを示す図である。
【図19】本発明による靴を示す図である。
【図20】本発明によるバッグを示す図である。
【図21】本発明による湾曲位置にある少なくとも1つの形状記憶合金繊維を有する調節可能な表面外形を有するファブリックから形成される衣服を示す図である。
【図22】スパイラルパターンの調節可能な外形領域を有する図21の領域Iを示す拡大図である。
【図23】外形が比較的平らであるよう選択されるときの図22の90度回転された側面図である。
【図24】外形が隆起部を有するよう選択されるときの図22の90度回転された側面図である。
【図25】本発明による湾曲位置にある少なくとも1つの形状記憶合金繊維を有するファブリックを示す図である。
【図26】アーチ状パターンの調節可能な外形領域を有する図21の領域Iを示す拡大図である。
【図27】外形が隆起部を有するよう選択されるときの図26の90度回転された側面図である。
【図28】ブルズアイパターンの調節可能な外形領域を有する図21の領域Iを示す拡大図である。
【図29】外形は隆起部を有するよう選択されるときの図28の90度回転された側面図である。
【図30】少なくとも1つの調節可能な外形部を有する靴下を示す図である。
【図31】少なくとも1つの調節可能な外形部を有するブラジャーを示す図である。
【図32】少なくとも1つの調節可能な外形部を有する下着を示す図である。
【図33】少なくとも1つの調節可能な外形部を有する靴の中敷きを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能な表面積を有するファブリックであって、
織り交ぜられた織物繊維と、
電流を受けると前記ファブリックの表面積を変更する、前記織物繊維に編み込みされた少なくとも1つの形状記憶合金繊維と、
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段と、
を有するファブリック。
【請求項2】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、断面において、円形、楕円形、又は矩形である請求項1記載のファブリック。
【請求項3】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、前記ファブリックにおいてシヌソイド又はフィッシュボーンパターンで編み込まれる請求項1記載のファブリック。
【請求項4】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から湾曲位置に変化する請求項1記載のファブリック。
【請求項5】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けると前記ファブリックの面において真っ直ぐにされた位置から湾曲位置に変化する請求項4記載のファブリック。
【請求項6】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の第1の部分は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から第1の湾曲位置に変化し、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の第2の部分は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から第2の湾曲位置に変化する請求項4記載のファブリック。
【請求項7】
前記湾曲位置は、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の長さの3乃至8パーセントの曲げを有する請求項4記載のファブリック。
【請求項8】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は更に、絶縁層を有する請求項1記載のファブリック。
【請求項9】
前記織り交ぜられた織物繊維は更に、少なくとも1つの弾性材料を有する請求項1記載のファブリック。
【請求項10】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段は更に、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流れる電流を変更する電流調整器を有する請求項1記載のファブリック。
【請求項11】
選択された最大電流は、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の全長の8パーセント未満の湾曲角度を生成する請求項10記載のファブリック。
【請求項12】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、前記織り交ぜられた織物繊維の少なくとも1つに取り付けられる請求項1記載のファブリック。
【請求項13】
前記ファブリックの前記表面積は、増加的に調節可能である請求項5記載の方法。
【請求項14】
調節可能な表面積を有するファブリックを生成する方法であって、
織物繊維を、少なくとも1つの形状記憶合金繊維と共に編み込む段階と、
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維を、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段に接続する段階と、
前記ファブリックの表面積が調節されるよう前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流れる電流の制御を可能にする段階と、
を有する方法。
【請求項15】
少なくとも1つの調節可能な部分を有する衣服であって、
織り交ぜられた繊維と、電流を受けると前記ファブリックの表面積を変更する、前記織物繊維内に編み込みされた少なくとも1つの形状記憶合金繊維と、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段とを有するファブリックを有する衣服。
【請求項16】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から湾曲位置に変化する請求項15記載の衣服。
【請求項17】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けると前記ファブリックの面において真っ直ぐにされた位置から湾曲位置に変化する請求項16記載の衣服。
【請求項18】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、前記衣服の調節可能部分を囲むよう前記織物繊維に編み込みされる請求項15記載の衣服。
【請求項19】
前記衣服の前記調節可能部分は、付属物用の開口である請求項18記載の衣服。
【請求項20】
前記衣服の前記調節可能部分は、着用者の体に前記衣服をフィットさせる手段を有する請求項18記載の衣服。
【請求項21】
前記衣服の前記少なくとも1つの調節可能部分は更に、前記衣服を着用者の所望の周囲にフィットさせる手段を有する請求項15記載の衣服。
【請求項22】
前記衣服の前記少なくとも1つの調節可能部分は更に、前記衣服を着用者の所望の丈にフィットさせる手段を有する請求項15記載の衣服。
【請求項23】
前記衣服の前記少なくとも1つの調節可能部分は更に、個別に調節可能な部分のパターンを有し、該部分は合わせられて、前記衣服を着用者の体にフィットさせる手段を構成する請求項15記載の衣服。
【請求項24】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は更に、一方向記憶効果を有する請求項15記載の衣服。
【請求項25】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は更に、双方向記憶効果を有する請求項15記載の衣服。
【請求項26】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は更に、絶縁層を有する請求項15記載の衣服。
【請求項27】
前記織り交ぜられた織物繊維は更に、少なくとも1つの弾性材料を有する請求項15記載の衣服。
【請求項28】
前記調節可能部分における第1及び第2の個々にアドレス可能な形状記憶合成繊維を更に有し、
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段は更に、制御部を有する請求項16記載の衣服。
【請求項29】
着用者は、前記制御部を作動させて、前記衣服の前記調節可能部分を変更するよう前記第1の又は前記第2の個々にアドレス可能な形状記憶合金繊維を選択する請求項28記載の衣服。
【請求項30】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段は更に、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流れる電流を変更する電流調整器を有する請求項15記載の衣服。
【請求項31】
選択された最大電流は、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の全長の8パーセント未満の湾曲角度を生成する請求項15記載の衣服。
【請求項32】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、前記織り交ぜられた織物繊維の少なくとも1つに取り付けられる請求項15記載の衣服。
【請求項33】
前記衣服の前記少なくとも1つの調整可能部分は、増加的に調節可能である請求項15記載の衣服。
【請求項34】
前記衣服は、靴下、ズボン、スカート、ワンピース、シャツ、ネクタイ、ブレザー、下着、ブラウス、コート、ジャケット、帽子、手袋、ミトン、ショーツ、スカーフ、靴、サンダル、スリッパ、ヘッドバンド、ベルト、スポーツコート、スーツ、パジャマ、靴下、髪を集める手段、バックパック、財布、ブリーフケース、ハンドバッグ、サスペンダー、ベスト、リストバンド、靴紐、及びカツラから構成される群から選択される請求項15記載の衣服。
【請求項35】
少なくとも1つの調節可能部分を有する衣服を生成する方法であって、
織物繊維を、少なくとも1つの形状記憶合金繊維と共に編み込むことによってファブリックを形成する段階と、
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維を、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段に接続する段階と、
前記ファブリックの少なくとも一部分を使用して衣服を形成する段階と、
前記衣服の前記調節可能部分の表面積が調節されるよう前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流れる電流の制御を可能にする段階と、
を有する方法。
【請求項36】
調節可能な外形を有するファブリックであって、
織り交ぜられた織物繊維と、
電流を受けると前記ファブリックの前記外形を変更する、前記織物繊維に編み込みされた少なくとも1つの形状記憶合金繊維と、
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段と、
を有するファブリック。
【請求項37】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、断面において、円形、楕円形、又は矩形である請求項36記載のファブリック。
【請求項38】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、前記ファブリック内にスパイラル、ブルズアイ、又はアーチ状パターンに編み込みされる請求項36記載のファブリック。
【請求項39】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から湾曲位置に変化する請求項36記載のファブリック。
【請求項40】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、電流を受けると前記ファブリックの面以外の方向において真っ直ぐにされた位置から湾曲位置に変化する請求項39記載のファブリック。
【請求項41】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の第1の部分は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から第1の湾曲位置に変化し、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の第2の部分は、電流を受けると真っ直ぐにされた位置から第2の湾曲位置に変化する請求項39記載のファブリック。
【請求項42】
前記湾曲位置は、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の長さの3乃至8パーセントの曲げを有する請求項39記載のファブリック。
【請求項43】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は更に、絶縁層を有する請求項36記載のファブリック。
【請求項44】
前記織り交ぜられた織物繊維は更に、少なくとも1つの弾性材料を有する請求項1記載のファブリック。
【請求項45】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段は更に、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流れる電流を変更する電流調整器を有する請求項36記載のファブリック。
【請求項46】
選択された最大電流は、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維の全長の8パーセント未満の湾曲角度を生成する請求項45記載のファブリック。
【請求項47】
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維は、前記織り交ぜられた織物繊維の少なくとも1つに取り付けられる請求項36記載のファブリック。
【請求項48】
前記ファブリックの前記表面積は、増加的に調節可能である請求項40記載の方法。
【請求項49】
調節可能な外形を有するファブリックを生成する方法であって、
織物繊維を、調節可能な外形を可能にするパターンで少なくとも1つの形状記憶合金繊維と共に編み込む段階と、
前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維を、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段に接続する段階と、
前記ファブリックの前記表面外形が調節されるよう前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に流れる電流の制御を可能にする段階と、
を有する方法。
【請求項50】
少なくとも1つの調節可能な外形領域を有するファブリックであって、
織り交ぜられた織物繊維と、電流を受けると前記ファブリックの外形を変更する、前記織物繊維に編み込みされた少なくとも1つの形状記憶合金繊維と、前記少なくとも1つの形状記憶合金繊維に電流を流す手段とを有するファブリックを有し、
前記衣服は更に、前記電流を流す手段を選択的に制御する制御手段を有する衣服。
【請求項51】
前記衣服は、靴下、ブラジャー、シャツ、下着、及び靴紐から構成される群から選択される請求項50記載の衣服。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2007−510815(P2007−510815A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537548(P2006−537548)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052316
【国際公開番号】WO2005/045112
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】