制御放出セラミック粒子
【課題】制御放出セラミック粒子、それらの製法、かかる製法によって調製された制御放出セラミック粒子、かかる制御放出セラミック粒子を含む組成物および制御放出セラミック粒子を用いる方法、を提供すること。
【解決手段】1つの形態において、制御放出セラミック粒子の各々は粒子全体に実質的に単分散した活性物質(複数活性物質)を有する。ここで、活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出でき、および該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。
【解決手段】1つの形態において、制御放出セラミック粒子の各々は粒子全体に実質的に単分散した活性物質(複数活性物質)を有する。ここで、活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出でき、および該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子の製法、かかる製法によって調製された実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、本発明による制御放出セラミック粒子を含む組成物および本発明による制御放出セラミック粒子の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
薬物カプセル化および制御放出用の現在の戦略は、典型的には、ポリマー、リポソームおよびミセルのごとき有機溶媒を用いる。
(a)ポリマー系は広く以下のごとく分類することができる:
・ 不活性マトリックス系。ここに、薬物は不活性で非分解性ポリマーマトリックス内部に捕捉され、その放出は多孔性ネットワークを通じる拡散によって制御される。そのような非生分解性ポリマー粒子のイン・ビボ投与は、ポリマーが細胞内「ポケット」(例えば、リポソーム)または組織に濃縮され、非代謝物質の重篤な過剰負荷を誘導するという事実によって制限される。これは、経皮パッチ等に対するそれらの使用を制限する。もう1つの重要な制限は、それが体内の特異的部位によって活性化されないので放出が非特異的であるということである。最後に、薬物分子は、そのようなマトリックス内で固有に小さな拡散係数を呈し、強力な薬物に対するそれらの広い適用を制限する。
・ 貯蔵器系。ここに、有効成分の放出はカプセル化膜、中空繊維等を通じての拡散によって制御される。これらの系の鍵となる制限はそれらの低い機械的強度および化学的抵抗性である。というのは、制御膜は比較的脆く容易に塞がれるからである。
・ 化学的系。ここに、活性な分子は、生分解性マトリックス(例えば、ポリオルトエステルおよびポリアンヒドリドのごときポリマー)の内部に分散される。放出速度、好ましくは、マトリックスの不均一な(表面)溶解/分解によって制御される。これは、ポリ(グリコール酸)、ポリ(DL)乳酸、ポリ(グリコール−共乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキシアノンのごとき生解性ポリマーに対するマトリックスとして使用できるポリマーの範囲を制限する。
溶媒−活性化系(ヒドロゲル)。ここに、マトリックスは特異的溶質/溶媒系の存在下で膨潤し、引き続いてカプセル化種が放出される。しかしながら、そのようなポリマーは、余りにも迅速に膨潤して治療的に有用な放出速度を提供できないことが多く、これらの系の開発は依然としてその幼児期にある。そのような制御された送達系において、送達は、マトリックス構造(例えば、ポアネットワークの湾曲)、粒子サイズ、総じての薬物負荷またはマトリックス溶解性いずれかによって制御される。ポリマー系の制限は、それらが典型的にはこれらの特徴の内1つまたはせいぜい2つを利用するに過ぎず、薬物のいずれかの変化が通常はマトリックス系の再処方を必要とすることである。対照的に、本発明の重要な特徴は、同一の基礎となる化学を用いてこれらの特徴の全てを操作することができることであり、これは、特異的適用のための制御放出マトリックスの設計に対するより上位概念的アプローチを提供する。
さらに、制御薬物放出の能力を有するものとして同定されてきた多くのポリマー材料があるが、ヒトまたは動物医薬製品いずれかで用いるために認可されたものは比較的少ない。
(b)リポソームは最も高度に進化した担体系であるが、イン・ビボ安定性、熟成および制限された保存寿命に関して問題がある。
(c)(温度、濃度、溶液種形成等に依存する)ミセルの熱力学的不安定性は、制御放出に対するそれらの適用性を制限する。また、それらは固有に低い薬物負荷を呈する。
(d)バイオセラミックスは、骨−修復手法(骨の再建を促進する不活性なバイオセラミックス、多孔性活性セラミックス)で用いられる。不活性バイオセラミックスは純粋に機械的適用、例えば(それらの低い摩擦係数による)尻関節−典型的にはAl2O3またはY−TZPを有する。多孔性セラミックス(典型的にはヒドロキシアパタイト)は骨形成のための構造的ブリッジおよび「足場」として働く。生活体性ガラスは、実質的に機械的な力に抵抗する組織成長のための界面層を供する。また、生体活性ガラスは、生体活性物質の制御された送達のためのマトリックスとして提案されてきた。
【0003】
ゾル−ゲルベースのプロセスによって調製されたマトリックスに対して種々の特許が発行されてきた。例えば:
米国特許第5,591,453号(7/1/97発行)は、生物学的活性分子の制御放出用のゾル−ゲルシリカマトリックスを用いることを開示する。引用された適用は骨再建のためのものであり、大きなゲルモノリスまたは顆粒(典型的には0.5ないし5mm)に制限されていた。該放出は、薬物負荷または容量に対する表面の比率を変化させることによって制御される。マトリックスと薬物との間の考えられる相互作用は無視された。
英国特許1 590 574(3/6/81発行)は、ゾル−ゲルマトリックスに生物学的活性成分を一体化させる概念を開示する。数ミクロンないし数ミリメートルのサイズ範囲の実質的に球形粒子としての具体例が考えられた。マトリックスからの生物学的活性な成分の放出速度は、媒質のpH、粒子のサイズおよびゲルの組成/多孔度/構造/水分含量/親水度を含めた多数の因子に依存するであろうと記載されていた。与えられた1つの例は、それから最初にカプセル化されたイミプラミンの全てが5分内に放出されるベーマイトゾルから製造された噴霧乾燥粒子であった。WO 9745367(4/12/97発行)は、予備燒結粒子(1ないし500μm)またはディスクへの含浸によってそれに生物学的活性剤が一体化されたゾル−ゲルプロセスを介して調製された制御可能に溶解可能なシリカキセロゲルを開示する。放出は、キセロゲルの寸法および化学的組成を変化させることによって制御された。WO 0050349(2000年8月31日発行)は、繊維の合成の間に生物学的活性剤がそれに一体化されたゾル−ゲルプロセスを介して調製された制御可能な生分解性シリカ繊維を開示する。放出は、一義的には、繊維の溶解速度を変化させることによって制御された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,591,453号(7/1/97発行)
【特許文献2】英国特許1 590 574(3/6/81発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の目的)
本発明の目的は制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子の製法、かかる製法によって調製された実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、そのような制御放出セラミック粒子を含む組成物およびそのような制御放出セラミック粒子の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の記載)
本発明の具体例によると、制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、該活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出することができる。
制御放出セラミック粒子は機能性化するかまたは誘導体化することができる。
本発明のもう1つの具体例により、制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、ここに:
(a)活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出でき;および
(b)該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで分解から実質的に保護されている。
換言すると、前記具体例において、粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、ここに、活性物質は粒子から放出することができ、および粒子中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように粒子内に一体化されている。
粒子の製造の間に、粒子が約2重量%未満の活性剤、典型的には0.1−2重量%の間、より典型的には0.5−2重量%、なおより典型的には1−2重量%の間の界面活性剤を含むように、界面活性剤は典型的には粒子から除去される。
典型的には、セラミック粒子はシリカ、ジルコニアおよびチタニアよりなる群から選択される酸化物を含む。
本発明の制御放出セラミック粒子は、有利には、ゾルゲルプロセスによって調製することができる。
セラミック粒子は凍結乾燥された粒子の形態とすることができるか、あるいは別法として、それらは溶液中に分散させることができる。典型的には、粒子が凍結乾燥粒子の形態である場合、それらはイオン性塩と混合されるか、または該塩を含むマトリックス中に混合される。
本発明の1つの具体例により、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、およびここに、活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出することができる。
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子は機能性化することができる。
本発明の実質的に単分散された制御放出セラミック粒子は、有利には、ゾルゲルプロセスによって製造することができる。
本発明のもう1つの具体例により、実質的に単分散された制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、ここに:
(c)活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出でき;および
(d)該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。
実質的に単分散された制御放出セラミック粒子は機能性化することができるか、または誘導体化することができる。
該粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出速度は:活性物質(複数活性物質)の性質、粒子特性および外部環境の1以上によって制御される。
活性物質(複数活性物質)が、粒子から、活性物質(複数活性物質)の活性に実質的に影響しない環境に放出される場合、粒子から放出された活性物質(複数活性物質)の活性は実質的に保持される。
貯蔵、輸送および取り扱いについて選択された通常の条件下、使用の環境において、該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。貯蔵、輸送または取り扱いの通常の条件例は、粒子それ自体に対して腐食性でない環境における粒子の貯蔵、輸送または取り扱いを含む。また、貯蔵、輸送または取り扱いの通常の条件は、通常は、(分解性ガスまたは液体のごとき)環境中の分解性物質が粒子に入ることができ、粒子中の活性物質(複数活性物質)を分解できる環境への粒子の暴露は含まない。
また、本発明は、実質的に単分散された制御放出セラミック粒子の製法およびかかる製法によって製造された粒子を提供する。
【0007】
プロセス1
本発明の1つの具体例により:
(a)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0008】
プロセス2
本発明のもう1つの具体例により:
(a’)界面活性剤と非極性溶媒および親水性の第1の(またはいくつかの)活性物質(類)とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b’)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および所望により可溶性の第2の(またはいくつかの)活性物質(類)を、(a’)で用いた非極性溶媒と非混和性の極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c’)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散している。
【0009】
プロセス3
本発明のさらなる具体例により:
(a”)ゲル前駆体、1つの(またはいくつかの)活性物質(類)および所望により溶媒を混合することによって前駆体溶液を調製し;
(b”)触媒、縮合剤および所望により溶媒を混合することによって縮合溶液を調製し、該縮合溶液は該前駆体溶液と実質的に非混和性であり;
(c”)前駆体溶液および縮合溶液を合わせて混合物を形成し、次いで、界面活性剤の不存在下で混合物を自然に乳化することによってエマルジョンを調製し;次いで
(d”)エマルジョン中で前駆体を縮合することによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)は該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。この具体例では、活性物質は、ゲル前駆体中に、または溶媒と一緒にゲル前駆体中に溶解することができるものである。加えて、触媒は、縮合剤中に、または溶媒と共に縮合剤中に溶解できるものである。工程(a”)において言及される溶媒は工程(b”)において言及された溶媒と同一または異なってよい。
【0010】
プロセス4
本発明のさらにもう1つの具体例において:
(a”’)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b”’)触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を極性溶媒に溶解させることによって親水性溶液を調製し;
(c”’)逆ミセル溶液および親水性溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;
(d”’) ゲル前駆体をエマルジョンに添加し;次いで
(e”’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が、該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0011】
プロセス1の生成物
本発明のもう1つの具体例により:
(a)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を非極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散している。
【0012】
プロセス2の生成物
本発明のさらにもう1つの具体例により:
(a’)界面活性剤と非極性溶媒および1つの(またはいくつかの)親水性の第1の活性物質(類)とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b’)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および所望により可溶性の第2の(またはいつくかの)活性物質(類)を、(a’)において用いた非極性溶媒と非混和性の極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c’)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0013】
プロセス3の生成物
本発明のなおさらなる具体例により:
(a”)ゲル前駆体、1つの(またはいくつかの)活性物質(類)および所望により溶媒を混合することによって前駆体溶液を調製し;
(b”)触媒、縮合剤および所望により溶媒を混合することによって縮合溶液を調製し、該縮合溶液は該前駆体溶液と実質的に非混和性であり;
(c”)前駆体溶液および縮合溶液を合わせて混合物を形成させ、次いで、界面活性剤の不存在下で混合物を自然に乳化させることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d”)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)は該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0014】
プロセス4の生成物
本発明のなおもう1つの具体例により;
(a”’)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b”’)触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を極性溶媒に溶解させることによって親水性溶液を調製し;
(c”’)逆ミセル溶液および親水性溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;
(d”’)ゲル前駆体をエマルジョンに添加し;次いで
(e”’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は単分散されている。
【0015】
本発明の製法によって調整された制御放出または実質的に単分散した制御放出セラミック粒子は機能性化することができるか、または誘導体化することができる。
通常、本発明の製法によって調整された制御放出または実質的に単分散された制御放出セラミック粒子において、該粒子中の活性物(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。
本発明の製法は、セラミック粒子を分離し、粒子から、溶媒および(界面活性剤のごとき)もう1つの物質を典型的には含む溶液を除去する工程を含むことができる。分離の工程は、例えば、溶媒および界面活性剤の濾過、洗浄、蒸発またはデカンテーションのごとき公知の技術によって達成することができる。
溶媒(および界面活性剤)の除去は、セラミック粒子を適切な溶媒または溶媒の組み合せですすぎおよび/または洗浄し、続いて粒子から残存する溶媒を取り除くことによって行うことができる。これは、例えば、粒子から残存する溶媒を吸収するごとき公知の技術によって、あるいはセラミック粒子を蒸発および/または乾燥することによって達成することができる。
【0016】
別法として、溶媒(および界面活性剤)の除去は、例えば、粒子から溶媒(および界面活性剤)を吸収することによって、あるいはセラミック粒子を蒸発および/または乾燥することによって分離の後に行うことができる。
溶媒(および界面活性剤)がセラミック粒子から除去されてしまうと、それらは通常は制御放出セラミックキセロゲル粒子という。制御放出シリカキセロゲル粒子は特に好ましい。
典型的には、セラミック粒子がそこに形成された後、NaClまたは他の適切なイオン性塩(最終用途に応じ、例えば、KI、KBr、KCl、NaBr、NaI、LiCl、LiBr、LiI、CaCl2、MgCl2、NH4NO3、NaNO3、KNO3、INO3など)を添加してエマルジョンを脱安定化させる。本発明者らは、NaClのごときイオン性塩の添加なくして、得られたセラミック粒子上の残存する界面活性剤の重量%は、NaClを用いてエマルジョンを破壊した場合よりもかなり高いことを見出した。洗浄/エマルジョン破壊のための(NaCl+CHCl3)の使用は、得られたセラミック粒子上の<1.5重量%の残存する界面活性剤に導いた。
界面活性剤を除去する目的はオプソニ化(オプソニ化:セラミック粒子上への蛋白質および/または抗体の結合)を回避することにある。というのは、粒子が対象から拒絶されるか否かをこれが決定するからである。蛋白質アッセイを用いる本発明のセラミック粒子の予備的テストは:(a)高界面活性剤(11.4重量%)を含む粒子:40.5μgの吸着された蛋白質;および(b)低界面活性剤を含む粒子(2.4重量%:27μgの吸着された蛋白質)を示す。さらに、デカンテーションによって洗浄して、濾過の間の凝集を回避するのが好ましい(臨界的なのは溶液中の平均サイズである)。
凝集を防ぎつつ粒子を乾燥する1つの方法は、粒子を凍結乾燥することである。
本発明者らは、これは、NaClまたは他の適切なイオン性塩(例えば、NaBr、NaI、KI、KBr、KCl、LiI、LiCl、LiBr等)を添加して、凍結乾燥の間に粒子を保護し、NaClの脈石中に粒子をカプセル化することによって達成できることを見出した(図17)。かくして、本発明の製法は、さらに、イオン性塩をエマルジョンに添加することによって、エマルジョンから、形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離し、それにより、粒子が得られた溶液中に分散し、溶液を凍結乾燥して、未凝集セラミック粒子がイオン性塩のマトリックス内に単離された固体を形成する工程を含むことができる。また、この製法は得られた溶液を洗浄する工程を含むことができる。典型的には、洗浄工程を行って、界面活性剤および他の物質の量を実質的に低下させる(典型的には、界面活性剤は2重量%未満まで、典型的には0.5−2重量%まで低下する)。「得られた領域」とは、イオン性塩の添加によってエマルジョンが破壊される場合に形成される溶液を意味する。かくして、典型的には、得られた溶液は水性溶液であり、イオン性塩はNaClである。そのような場合において、水性溶液は典型的には有機溶媒で洗浄する。適切な有機溶媒はクロロホルム、ブロモロホルムおよびヨードホルムを含み、他の適切な有機溶媒は当該分野で知られている。
乾燥プロセスの例は、相互参照によってその内容をここに一体化させるACS Symposium 520, Polymeric delivery systems, properties and applications, I.C. Jacobs およびN.S.Mason, Chapter 1, Polymer Delivery Systems Concepts, pp.1−17, 1993に記載されている。
【0017】
本発明のもう1つの具体例は、許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントと共に、本発明による制御放出セラミック粒子を含む組成物を提供する。
本発明のさらなる具体例は、本発明の制御放出セラミック粒子または本発明による組成物を、遺伝子座を治療するのに有効な量にて遺伝子座に適用することを特徴とする遺伝子座の治療方法を提供する。
本発明のもう1つの具体例は、本発明の制御放出セラミック粒子または本発明による組成物を、対象を治療するのに有効な量にて対象に投与することを特徴とする対象の治療方法を提供する。
本発明のさらなる具体例は、本発明の制御放出セラミック粒子または本発明による組成物を、対象を治療するのに有効な量にて対象に投与することを特徴とする対象の治療方法を提供する。
本発明のセラミックミクロ粒子はゾル−ゲルベースのプロセスによって調製され、ここに、ゲル前駆体の加水分解、続いての縮合によって、活性物質の存在下、(遷移金属、ケイ素等を含めた)適切な金属の部分的に加水分解された酸化物が調製される。ゲル前駆体は、ケイ素酸化物ゲル前駆体、遷移金属酸化物前駆体等を含めた金属酸化物ゲル前駆体であり得る。選択されたゲル前駆体の同一性、すなわち、本発明のプロセスで、ケイ素酸化物ゲル前駆体または特定金属酸化物ゲル前駆体を使用のために選択するかは、セラミック粒子の意図された使用、特に、セラミック粒子の意図した使用のためにゲル前駆体の縮合に由来する最終生成物の適当性に依存するであろう。ゲル前駆体は、典型的には、シリカ−ベースのゲル前駆体、アルミナーベースのゲル前駆体、二酸化チタンーベースのゲル前駆体、鉄酸化物ベースのゲル前駆体、二酸化ジルコニウム−ベースのゲル前駆体またはそれらのいずれかの組合せである。機能性化された、誘導体化されたまたは部分的に加水分解されたゲル前駆体を用いることができる。
シリカでは、便宜のために、4つのカテゴリ−、シリケート(酢酸ケイ素、ケイ酸またはその塩)、シルセキオキサンおよびポリ−シルセキオキサン、(ケイ素メトキシド(C1)ないしケイ素オクタデシルオキシド(C18)までの)ケイ素アルコキシド、および(エチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のごとき)ORMOCER生産のための機能性化アルコキシドに分けることができる優れたケイ素前駆体の長いリストがある。シリカ−ベースのゲル前駆体のさらなる具体的例はテトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、テトラプロコキシシラン(TPOS)、ポリジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、オクチルポリシルセスキオキサンおよびヘキシルポリシルセスキオキサンを含む。
アルミナーベースのゲル前駆体の例はアルミニウムエトキシド、アルミニウムn−またはイソープロポキシド、アルミニウムn−またはsec−またはtert−ブトキシドを含む。また、カルボン酸(酢酸、メタクリル酸、2−エチルヘキサン酸等)またはアセチルアセトン、エチル−アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、または他の錯化剤のごときベータジ−ケトンを用いてアルコキシドを修飾することもできる。加水分解に際しては、ORMOCER(有機的に修飾されたセラミックス)粒子が典型的には形成される。シリカに関しては、それらは、薬物とセラミックマトリックスとの相互作用を防止するのに有用であり得る。
チタンまたはジルコニウムゲル前駆体の例はアルコキシド(エトキシド、プロポキシド、ブトキシド)、金属塩(塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、硝酸塩)および酸およびベータジケトン錯体を含む。
【0018】
シリカゲル前駆体または金属酸化物ゲル酸化剤は、各々が1以上の酸素原子、および1ないし18の炭素原子、より典型的には1ないし5の炭素原子を有する1ないし4のアルコキシド基を含むことができる。アルコキシド基は1以上の適切な修飾基によって置き換えることができるか、あるいは1以上の適切な誘導体化基によって機能性化または誘導体化することができる(相互参照によってその内容をここに一体化させるK.Tsuru et al. ,J.Material Sci,Mater. Medicine, 1997,8参照。
典型的には、シリカゲル前駆体はケイ素アルコキシドまたはケイ素アルキルアルコキシドである。適切なケイ素アルコキシド前駆体の特別の例はメトキシド、エトキシド、イソープロポキシド、ブロポキシドおよびペンチルオキシオのごときを含む。適切なケイ素または金属アルキル(またはフェニル)アルコキシド前駆体の特別な例はメチルトリメトキシシラン、ジ−メチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ等を含む。別法として、シリカゲル前駆体はケイ素カルボキシレートであり得る。例えば、アセテート、タルトレート、オキサレート、ラクテート、プロピレート、ホルメートまたはシトレート。シリカゲル前駆体に付着した他の官能基の例はエステル、アルキルアミンおよびアミドを含む。
典型的には、金属酸化物ゲル前駆体は、誘導体化または機能性化できる金属アルコキシドである。典型的には、遷移金属酸化物ゲル前駆体は遷移金属アルコキシドであり、ランタニド金属酸化物ゲル前駆体はランタニド金属アルコキシドである。適切な金属酸化物前駆体の例はメトキシド、エトキシド、イソ−プロポキシド、ブチルオキシドおよびペンチルオキシドを含む。別法として、金属酸化物ゲル前駆体は金属カルボキシレートまたは金属β−ジケトネート、例えば、アセテート、タルトレート、オキサレート、ラクテート、プロピレート、ホルメート、シトレートまたはアセチルアセトネートであり得る。金属酸化物前駆体に付着した他の官能基の例はエステル、アルキルアミンおよびアミドを含む。1種類以上の金属イオンまたはランタニドイオンを存在させることができる(例えば、ケイ素チタン酸化物、実施例23参照)。
ゲル−ゾルプロセッシングは適切な前駆体の加水分解および縮合に基づいており、これは、ほとんどの場合、アルコキシド(修飾されたまたは修飾されていないもの)と水との反応を含む(すなわち、加水分解工程)。かくして、水が典型的には縮合剤として用いられる。かくして、典型的な反応スキームは図16に示されるごとく表すことができる。
プロセス3を介して非水ゾル−ゲル経路を用いる場合、水以外の適切な縮合剤を用いることができる。プロセス3を介して考えられるいくつかの非水方法の例は以下の通りである:
・ 非水性系におけるヒドロキシル化。
・ 非プロトン性縮合反応。
・ カルボキシレート官能基でアルコキシドを縮合することによるエステル脱離反応。
・ アルコキシドをアルコキシドで縮合し、かくして、ジアルキルエーテルを遊離させることによるエーテル脱離。
・ ハロゲン化水素またはケトン(Znアルコキシドのごとき塩基性アルコキシドの場合)とアルコキシドとの反応を介する加水分解を含まないオキソ化。
・ ジアルキルエーテルまたはジアルキルケトンのごとき有機酸素ドナーとハロゲン化金属との反応。
後者の2つの反応は多くの適用で不適切であり得る。というのは、それらはハロゲン化金属の使用を含み、該使用は、今度は、きわめて毒性が強く、洗浄によって除去するのは困難であろう塩素化化合物を生じさせるからである。
【0019】
適当な界面活性剤は、例えば、ソルビタン、ポリエーテル、ポリオキシエチレン、スルホスクシネート、ホスフェート、カルボキシレート、スルフェート、アミノまたはアセチルアセトネートのごとき親水性ヘッド基および疎水性テール基を有する直鎖炭化水素である。該テール基は、例えば、約8ないし24の炭素原子、好ましくは約12ないし18の炭素原子を有することができる直鎖または分岐鎖炭化水素であり得る。それは、例えば、イソ−オクチルフェニルのごとき芳香族基を含むことができる。
(A)界面活性剤を分類する第1の方法はそれらのHLBに従う(親水性親油性バランス、相互参照によりその内容(43‐90ページ)を一体化させる「‘Detergents and Cleaners: A Handbook for Cleaners」’, Hanser/Gardner Publications. Inc, Ohio, USA.1994, pp.43−90中のM.F.Coxの論文の第48ページ参照)。
a)HLB>10を持つ界面活性剤は典型的には水中油型エマルジョンで用いる。
b)HLB<10を持つ界面活性剤は典型的には油中水型エマルジョンで用いる。界面活性剤の混合物は、通常、いずれかの海面活性剤単独よりも安定したエマ
ルジョンを形成する。
(B)また、界面活性剤はそれらの電荷、すなわち、カチオン性、アニオン性またはノニオン性に従って分類することもできるが、そのような分類は本発明では重要でない。一般に、ノニオン性界面活性剤が典型的には好ましい。というのは、それらは洗浄によってより容易に除去することができるからである。イオン性タイプは酸化物粒子の表面を複合体化する傾向があるが、表面のpHを変化させることによって(すなわち、酸または塩基での洗浄)除去できることが多い。
【0020】
より重要なのは、サイズによる経験的分類である。エマルジョン中でのセラミック粒子合成に関する文献の広範なレビューは以下のことを示唆する:
1) ソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、モノパルミテート、モノステアレート(商品名Span下で販売)を用いて粒子>1μmを供することができる。
2) 商品名Triton下で販売されているアルキルフェノールエトキシレートとも呼ばれるアルキルアリールポリエーテルを用いて、0.5μmよりも小さな粒子を供することができる。
3) また、アルコールエトキシレートを用いて、油中水型エマルジョン中でナノ粒子を合成する。それらは商品名Brij(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)およびTween(ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート)下で販売されている。典型的には、そのような界面活性剤を用いて、1μm未満の粒子を合成することができる。
4) AOTまたはアエロゾルOTあるいはビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムは、5nmないし1μmの粒子を合成するのに用いられるアニオン性界面活性剤である
また、ブロック−コポリマーのごとき使用できる他の界面活性剤がある。界面活性剤/溶媒の性質の選択は粒子サイズの範囲を決定する。粒子サイズはH(水/金属)と共に増加し、S(界面活性剤/金属)と共に減少する:
−粒子サイズはR(水/界面活性剤)と共に増加する。
−液滴サイズはRと共に増加する。
−より多い水=より大きな液滴=より大きなミクロ−リアクター
【0021】
粒子サイズ範囲の制御は、界面活性剤の選択およびRの調整によって達成される(粒子サイズは、R(水/界面活性剤)および/または界面活性剤/溶媒を変化させることによって、50‐500nmの範囲で仕立てることができる。触媒は酸性もしくは塩基性触媒であってよく、一般には、活性物質と適合するように選択され、すなわち、それは、活性物質を脱活性化しないように選択される。酸性触媒の例は硫酸、リン酸、HClおよびHNO3のごとき鉱酸を含む。酢酸、酒石酸、コハク酸およびサリチル酸のごとき有機酸を用いることができる。塩基性触媒の例はNaOH、KOH、水酸化アンモニウム、Ca(OH)2等を含む。
本質的には、触媒はゲル前駆体および縮合剤の間の反応を触媒する。
加水分解、ミセル形成および熟成が起こる溶液のpHおよびイオン強度は、活性物質の性質に応じて広い範囲にわたって変化することができる。しかしながら、加水分解の速度、熟成の速度または縮合の速度はこれらのパラメーターによって影響され、金属酸化物前駆体に従って変化することができる。一般に、熟成プロセスで用いられるpHは約0−14の範囲とすることができ、典型的には約1‐11の間である。酸性触媒を用いる場合、pHの範囲は典型的には1−6.5であり、なおより典型的には1‐4.5である。塩基性触媒を用いる場合、pHの範囲は典型的には7−14、より典型的には7−11である。縮合が行われるpHは、通常、(活性物質の性質または界面活性剤の安定性に依存するであろう)活性物質の活性に実質的に影響しない値になるように、またはそのようなあるpH範囲内になるように選択される。当業者であれば、例えば、本明細書中に記載された方法を用い、特定のゲル前駆体/活性物質の組合せにつき最適なpHおよびイオン強度を決定することができるであろう。酸性触媒を用いる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得るpHの他の範囲は1−7、1−6、1−5、1−4、1−3、1−2、2−7、2−6、2−5、2−4、2−3、3−7、3−6、3−5、3−4、4−7、4−6、4−5、5−7、5−6または6−7である。酸性触媒を用いる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得る具体的なpHは1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5および7を含む。塩基性触媒が用いられる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得るpHの他の範囲は7−14、7−13、7−12,7−11,7−10,7−9,7−8,8−14,8−13,8−12,8−11,8−10,8−9,9−14,9−12,9−11,9−10,10−14,11−13または11−12である。塩基性触媒が用いられる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得る具体的pHは、7.5,8,8.5,9,9.5,10,10.5,11,11.5,12,12.5,13および13.5を含む。
最大プロセッシングおよび熟成温度は典型的には0−100℃の範囲にあるが、より典型的には室温程度、20−30℃である。プロセッシングおよび熟成の最大温度は用いる溶媒の揮発性に依存する。典型的には、本発明のプロセッシングは1℃−100℃、0℃−75℃、0℃−50℃、1℃−50℃、10℃−100℃、1℃−75℃、より典型的には0℃−40℃、1℃−40℃、5℃−40℃、10℃−40℃、15℃−40℃、20℃−40℃、25℃−40℃、30℃−40℃または35℃−40℃の範囲の温度で行われる。典型的には熟成は0℃−100℃の範囲、より典型的には0℃−75℃、0℃−50℃、0℃−40℃、5℃−40℃、10℃−40℃、15℃−40℃、20℃−40℃、25℃−40℃、30℃−40℃または35℃−40℃の範囲の温度で行われる。
熟成時間は典型的には0−30日の間であるが、より典型的には30分ないし12時間、なおより典型的には1時間である。典型的には、熟成は30分ないし5週間、より典型的には0.5時間−4週間、0.75時間―4週間、1時間―4週間、0.5時間―3週間、0.75時間―3週間、1時間―3週間、0.5時間―2週間、0.75時間―2週間、1時間−2週間、0.5時間―1週間、0.75時間―1週間、1時間−1週間、0.5時間−5日、0.75時間―5日、1時間―5日、0.5時間―3日、0.75時間―3日、1時間―3日、0.5時間―2日、0.75時間―2日、1時間−2日、0.5時間−1日、0.75時間―1日、1時間−1日、0.5時間―20時間、0.75時間―20時間、1時間―20時間、1時間―15時間、2時間―15時間、3時間−15時間、1時間―10時間、2時間−10時間、3時間―10時間、1時間―5時間、2時間―5時間または3時間―5時間の範囲の時間で行われる。
乾燥温度は超臨界乾燥では−196℃(凍結乾燥では液体窒素中)ないし300℃とすることができるが、より典型的には20℃ないし80℃である。最大温度は、粒子中にカプセル化された有効成分(複数有効成分)の熱的安定性によって指示される。典型的には、乾燥は10℃―50℃、より典型的には12℃―40℃、15℃―40℃、17℃―40℃、19℃―40℃、20℃−40℃、25℃―40℃、30℃―40℃または35℃―40℃の範囲の温度で行われる。
乾燥時間は典型的には30分―30日の間であるが、より典型的には1日ないし1週間、なおより典型的には0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6日である。
粒子サイズは、典型的には、1nmおよび100μmの間に仕立てることができるが、より典型的には10nmおよび50μmの間である。制御放出セラミック粒子の粒子サイズは1nm−100μm、1nm−90μm、1nm−80μm、1nm−70μm、1nm−60μm、1nm−50μm、1nm−40μm、1nm−30μm、1nm−20μm、1nm−10μm、1nm−7.5μm、1nm−5μm、1nm−2.5μm、1nm−1.5μm、1nm−1μm、1nm−0.5μm、1nm−0.1μm、10nm−100nm、10nm−50μm、10nm−20μm、100nm−100μm、100nm−50μm、100nm−10μm、100nm−10μm、500nm−100μm、500nm−50μm、500nm−10μm、500nm−1μm、750nm−100μm、750nm−50μm、750nm−10μm、750nm−1μm、1−100μm、1−50μm、1−25μm、1−10μm,10−100μm、10−75μm,10−65μm、10−55μm,10−50μm、10−45μm、10−35μm、10−25μm、10−15μm、1−10μm、1−7.5μm、1−6.5μm、1−5.5μm、1−4.5μm、1−3.5μm、1−2.5μm、1−1.5μmの範囲とすることができる。
【0022】
ミクロ粒子の元素組成はそれらの制御放出特性に影響し得る。かくして、C、Fe、Ti、N、Cl、Mg、P、Ca、Kおよび/またはNaのごとき元素をもたらす添加物またはセラミック粒子に含まれる他の適切な元素を、本発明の製法が行われるいずれかの実質的縮合反応に先立って添加して、所望の粒子の組成を変化させることができる。添加剤の他の例は、相互参照によってその内容をここに一体化させるD.Avnir et al.、Chemistry of Materials,6,1605‐1614,1994
セラミック粒子の特性を制御するのに用いることができる他のパラメーターはゲル前駆体:水比率、ゲル前駆体:混和性溶媒比率、水:混和性溶媒比率、セラミック粒子のサイズ、セラミック粒子の化学的組成、熟成条件および縮合速度を含む。
セラミック粒子からの活性物質の制御放出速度は、本明細書を通じて述べた種々のパラメーターおよび添加物を適切に調整することによって所望の速度に調整することができる。
本発明の組成物および方法における活性物質の性質は意図した使用に依存するであろう。いずれかの有意な程度まで起こる縮合に先立って、有効量の活性物質を適切な混合物に添加する。
1を超える活性物質を本発明のセラミック粒子に配合することができる(例えば、1、2、3、4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上の活性物質)。
活性物質は、有機、無機またはオルガノ金属医薬的活性化合物、アミノ酸、ポリアミノ酸、核酸、ポリペプチド、蛋白質、例えば、ホルモン、酵素およびグロブリン、ならびにビタミンまたはそれらの混合物のようないずれの生物学的に活性な物質であってもよい。リポソームに配合され、相互参照によってその内容をここに一体化させるG.Gregoriadis編集「Liposomes」、Drug Carriers in Biology and Medicine,pp.287‐341,Academic Press, New York,1979に記載された活性物質もまた本発明のセラミック粒子に配合することができる。それから医薬上活性な化合物を選択し、本発明のプロセスを介して本発明のセラミック粒子に配合することができる医薬のクラスの例は抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、麻酔剤、筋肉弛緩剤、抗炎症剤、抗鬱剤、抗凝固剤、坑精神病薬、坑高血圧剤、坑喘息剤、坑痙攣剤、坑ウイルス剤および坑糖尿病剤を含む。医薬上活性な物質の例は、相互参照によってその内容をここに一体化させる米国特許第4,952,402号、第4,474,752号および第5,952,004号に開示されている。活性物質は、放射性標識蛋白質(放射性標識蛋白質の非包括的リストの例については、相互参照によってその内容をここに一体化させる、例えば、米国特許第5,736,120号参照)および放射性標識炭水化物を含めた放射性医薬(放射性医薬の非包括的リストの例については、相互参照によりその内容を一体化させる、例えば米国特許第5,762,907号、第5,550,160号および第5,496,533,号参照)とすることができるか、あるいは活性物質は放射性トレーサーとすることができる。典型的には、生物学的活性物質はヒト使用または動物使用に適する。他のクラスの活性物質は殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺ダニ剤、殺虫剤、農薬、坑微生物剤、香料、フラグランス、着色剤またはそれらの混合物を含む。
【0023】
本発明の製法で用いる極性溶媒は水または極性有機溶媒とすることができる。有機溶媒は、典型的には、加水分解で用いる水に加えて本発明のいくつかのプロセスで用いられる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールまたはtert−ブタノールのごときn−,sec−またはtert−C1−C6アルカノールならびにアセトンおよびメチルエチルケトンのごときケトン、ジプロピルアミンのごときアミン、酢酸メチルのごときエステル、水可溶性エーテル、エチレングリコールまたはジーまたはトリーエチレングリコールのごとき多価アルコールのような水と混和性であって、極性である有機溶媒または水に部分的にしか溶解できない溶媒を用いることができる。本発明のプロセスで用いることができる非極性の溶媒の例はアルカン(ヘキサン(C6)ないしドデカン(C12)およびシクロヘキサンのごときシクロアルカン)、芳香族化合物(例えば、トルエン、ベンゼン)およびケロセンのごとき市販の混合物を含む。本発明の1つのプロセスにおいて、例えば、金属アルコキシドのごとき金属ゲル前駆体を、例えば、エタノールのごとき水混和性極性有機溶媒に溶解させる。水を金属アルコキシド溶液に添加するか、(あるいは、水を最初の例では有機溶媒に含ませることができる)。活性物質を添加して溶液または分散液を得る。活性物質は、有機溶媒または水中の溶液、あるいは有機溶媒および水の混合物として添加することができる。塩基(例えば、NaOH ,KOH、NH3等)または酸(HCl、HNO3、酢酸、ギ酸等)を、活性物質の活性に実質的に悪影響しないように(活性物質の性質に応じて)触媒として添加する。混合物は室温で混合する。次いで、混合物を攪拌しつつ逆ミセル溶液に添加して、エマルジョンを形成させ、(攪拌下で)熟成させて、実質的に単分散したセラミック粒子を形成させる。次いで、典型的には、濾過および洗浄のごとき標準的な技術によって、実質的に単分散した粒子を合わせた混合物から分離する。典型的には、活性物質が実質的に不溶性であるか、またはほとんど溶けない溶媒で洗浄することによって、界面活性剤を除去する。次いで、典型的には、セラミック粒子を乾燥し、乾燥プロセスの間に、いずれの過剰な溶媒もセラミック粒子から除去する。
所望ならば、他の分子を、本発明のセラミック粒子に付着させるか、あるいはそれにカップリングさせるか、あるいはその上にコーティングすることができる。
例えば、抗体または受容体分子のごとき標的化分子を、本発明のセラミック粒子に付着させるか、あるいはそれにカップリングさせるか、あるいはその上にコーティングすることができる。活性な標的化分子の例は、相互参照によりその全ての内容をここに一体化させるF. Carli, La Chimica & Industria, 404−498, 1999年, L.Brannon−Peppas et al.、 Polymer News 22,316−318、 and A.V.Kabanov and V.Y.Lalkhov,J.Controlled Release, 28, 15−35(1994年)に記載されている。
【0024】
本発明の適用は、医薬、ホルモン、蛋白質等の送達および制御放出を含む。肥料、農薬、除草剤、殺虫剤、殺生物剤、香料等の制御放出も本発明の範囲内のものである。
制御放出セラミック粒子を、制御放出セラミック粒子を含む組成物の形態で用いる場合、意図した使用に適した担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントを用いる。かくして、活性物質が(a)肥料である場合、農業上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(b)農薬である場合、農薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(c)除草剤である場合、除草剤上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(d)殺虫剤である場合、殺虫剤上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(e)殺生物剤である場合、殺生物剤上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(f)香料である場合、香料に許容される担体または希釈剤が用いられ;(g)医薬である場合、医薬上許容される担体または希釈剤またはアジュバントが用いられ;(h)動物製品である場合、動物用途に適した担体または希釈剤またはアジュバントが用いられる。
有利には、対象を治療するのに関連した本発明の方法において、対象は哺乳動物または脊椎動物である。哺乳動物または脊椎動物は、典型的にはヒト、ウシ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ウマまたはネコ脊椎動物から選択される。有利には、脊椎動物はヒト、家畜家禽、鳥、ウシ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウマ、ヤギまたはネコ脊椎動物である。別法として、対象は魚類、昆虫または他の適切な対象であり得る。
組成物は、獣医学上許容される組成物または医薬上許容される組成物である。
典型的には、哺乳動物はヒトであり、組成物は、本発明による制御放出セラミック粒子および少なくとも1つの医薬上許容される担体、アジュバントおよび/または賦形剤を含む医薬上許容される組成物である。動物が哺乳動物である場合,組成物は、一般に、本発明の制御放出セラミック粒子と共に少なくとも1つの獣医学上許容される担体、アジュバントおよび/または賦形剤を含む獣医学上許容される組成物である。
非経口投与では、意図した使用のための適切なサイズの本発明の制御放出セラミック粒子は、滅菌した水性または油性溶液または懸濁液中で調製することができる。適当な非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒は、等張塩溶液、水、エタノール、リンゲル溶液、1,3−ブタンジオール、水との混合物中のプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを含む。水性溶液または懸濁液は、さらに、1以上の緩衝剤を含むことができる。緩衝剤の例はクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたは酒石酸ナトリウムを含む。
意図した目的に応じ、組成物の投与形態は0.01重量%ないし99重量%の本発明のセラミック粒子を含むであろう。通常、本発明による投与形態は0.01重量%ないし約20重量%、より典型的には0.05重量%ないし15重量%、なおより典型的には0.1重量%ないし5重量%の本発明のセラミック粒子を含むであろう。
【0025】
本発明の組成物は、選択された賦形剤(類)、担体(類)、アジュバント(類)および/または希釈剤(類)と共にセラミック粒子のブレンディング、ホモゲナイジング、懸濁化、乳化、分散および適切には混合を含めた、(獣医薬および医薬組成物を製造する分野におけるごとき)組成物の製造用の当該分野で公知の手段によって調製することができる。しかしながら、本発明の粒子と賦形剤(類)、担体(類)、アジュバント(類)および/または希釈剤(類)とを合わせるプロセスは、セラミック粒子を破壊するまたは実質的に損傷させるものではならない。
本発明の投与方法において、セラミック粒子または組成物は、経口、局所、非経口、例えば、注射および動脈内注入、直腸または吸入スプレーまたは経皮パッチにより投与することができる。
適切な治療は、単一用量または複数用量輪の適用または投与を含むことができる。もし1を超えるタイプのセラミック粒子が治療に関与するならば。セラミック粒子の各タイプは、同時または(順次を含めた)異なる時点に投与することができる。
示したごとく、セラミック粒子の投与される量は変化し、患者の状態、年齢およびサイズならびに状態の性質および活性物質および活性物質の有効性のごときいくつかの因子に依存するであろう。典型的な投与量範囲は、坑微生物剤が活性物質である場合、1kg当たり0.0001mgないし200mgの活性物質とすることができる。通常、坑微生物剤の用量は、体重1kg当たり0.001mgないし10mgの範囲である。スルホンアミド、抗生物質、抗菌類剤、坑原生動物剤を含めた種種のタイプの坑微生物剤ならびに投与方法のより具体的な詳細については、例えば相互参照によりその全ての内容をここに一体化させる「Pharmacology and Drug Information for Nurses」Society of Hospital Pharmacists of Australia, W.B.Saunders, Harcourt Brace Jovanovich, Publishers, 3rd Edition, V.E.Richardson(edit.) Sydney, 1989年, 「Antibiotics:The Comprehensive Guide」, I.K.M.Morton, J. Halliday, J.M.Hall and A. Fox, Consultants, Bloomsbury Publishing Limited, London 1990年, Remington’s Pharmaceutical Sciences」 , A.R.Gennaro (edit). Mack Publishing Company, Pennsylvania, 1990, Kirk−Othmer 「Concise Enxyclopedia of Chemical Technology John Wiley & Sons, Inc.,New York, New York, USA 1985年, and “The Australian Guide to Prescription Drugs」, M.Goyen, The Watermark Press, Sydney(1971年)参照。
【0026】
経口投与のための懸濁液は、さらに、分散剤、懸濁化剤等のごとき必要とされる添加剤を含むことができる。
経口投与用の固体形態は、(制御放出メカニズムに実質的に影響しないように選択された)医薬上または獣医学上許容される甘味剤、バインダー、崩壊剤、フレーバー剤、希釈剤、コーティング剤、防腐剤、滑沢剤および/または時間遅延剤を含むことができる。経口投与用の液体形態は、前記した剤に加えて、液体担体を含有することができる。
経口投与用のエマルジョンは、さらに、1以上の乳化剤を含むことができる。経口投与では、医薬または獣医学組成物は錠剤、ロゼンジ、丸剤、トローチ、カプセル、エリキシル、顆粒を含めた粉末、懸濁液、エマルジョン、シロップおよびチンキの形態とすることができる。徐放または遅延放出形態は、例えば、セラミック粒子の被覆粒子または多層錠剤または徐放カプセルの形態にて調製することもできる。
投与形態の例は以下の通りである:
1.錠剤:坑微生物剤(類)−0.01ないし25mg、一般に0.1ないし15mg;澱粉−5ないし25mg;ラクトース−80ないし280mg;ゼラチン−0ないし10mg;およびステアリン酸マグネシウム−0ないし10mgを有するセラミック粒子。
2.局所クリーム:坑微生物剤(類)0.1−15%(w/w)、脱ミネラル化または蒸留水−0.1−12%(w/w)、界面活性剤1−12%(w/w)、増粘剤0.1−3%(w/w)、パラベン0.1−2%(w/w)、植物油5−22%(w/w)、鉱油0−12%(w/w)、ステアリン酸0−12%(w/w)、およびラノリン0−12%(w/w)を有するセラミック粒子。
本発明は、特に、クリーム、軟膏、ペースト、溶液、エマルジョン、ローション、ミルク、ジェリー、ゲル、スティック、ロール−オンまたはスムース−オンであってよい局所適用に用いられる組成物を含み、ここに、セラミック粒子は組成物の約90重量%まで、より典型的には10重量%、なおより典型的には約0.1重量%ないし約4重量%、例えば、3.5重量%を占め、組成物は典型的には適当な単体、希釈剤、賦形剤、アジュバントおよび他の添加物を含む。
局所適用では、医薬組成物または獣医学組成物はクリーム、軟膏、ゲル、ジェリー、チンキ、懸濁液またはエマルジョンの形態とすることができる。医薬組成物は、前記にて例示した医薬上許容されるバインダー、希釈剤、崩壊剤、防腐剤、滑沢剤、分散剤、懸濁化剤および/または乳化剤を含むことができる。獣医学組成物は前記にて例示した獣医学上許容されるバインダー、希釈剤、崩壊剤、防腐剤、滑沢剤、分散剤、懸濁化剤および/または乳化剤を含むことができる。他の添加剤は典型的には殺菌剤、緩衝剤、増粘剤およびエモリエントを含む。
加えて、本発明の局所組成物は当該分野でよく知られている適当な着色剤および/または香料を含むことができる。適切な香料剤の典型的な例はS.Arctander, 「Perfume and Flavor Chemicals」, Montclair, New Jersey, 1969に供されている。
前記にて言及した例は単に例示的であって、当該分野で知られた他の適切な担体、希釈剤、賦形剤およびアジュバントを本発明の精神を逸脱することなく用いることができるのは認識されるであろう。
【0027】
本発明は、数時間ないし数ヶ月の範囲の期間にわたって生活性物質の放出を制御するための、ゾル−ゲルシリカ(およびアルミナ、ジルコニアまたはチタニア)の合成に対するジェネリックなアプローチを含む。生物学的物質または他の活性物質は、室温にて、または室温近くにてゲル化の間にマトリックスに一体化される。マトリックスおよびカプセル化種の間の相互作用は、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のごとき有機的に修飾されたゾルーゲル前駆体を用いる表面の機能性化によって最小化することができる。
粒子は、典型的には10nmないし50μmの範囲で変化することができる平均サイズを持つ、典型的には球形である実質的に単分散した制御放出セラミック粒子の形態で生産される。
・ カプセル化種の拡散速度は、マトリックスの構造(多孔度、ポアサイズおよび湾曲度)および粒子のサイズを制御することによって変化させることができる。一般に、拡散は法則:[Ct]/[C0]=Dt-1/αに従い、ここに、C0は時刻t=0秒後にセラミック粒子から拡散してしまった活性物質の濃度であり、C1は時刻t後にセラミック粒子から拡散してしまった活性物質の濃度であり、Dは活性物質の実験的拡散係数であって、αは、活性物質の拡散に影響する粒子の特性(例えば、活性物質のポアサイズまたは直径φp、湾曲度およびサイズまたは有効直径φm)に依存するパラメータである。典型的には
φp/φm>10である場合、α≒2であり(すなわち、フィックの第1法則)、
10>φp/φm>2である場合、α≒dt(ここにdtは表面フラクタル(fractal)寸法である)であり、
2>φp/φmである場合、αの値は実験的に決定されなければならない。
・ 放出速度は、マトリックス中のカプセル化種の拡散およびマトリックス溶解の関数である。
・ ゾル−ゲル酸化物の粒子の外部表面は容易に機能性化して、生体接着を促進するか、あるいは粒子のイン・ビボ生体分布を修飾することができる。
・ 本発明は、複数の薬物および他の活性物質の制御された送達に関するジェネリックなアプローチを提供する。同一のマトリックスおよび粒子サイズを、広い範囲の異なる薬物および活性物質に関して用いることができる。
・ 本発明は、同一のジェネリックなゾル−ゲル化学にて、異なる適用に対して異なる粒子サイズを生じる可能性を提供する。
・ 粒子サイズの選択は、薬物または活性物質よりもむしろ、特定の適用によって決定される。
・ マイクロスフィア表面の容易な機能性化は、薬物分子または他の活性分子の活性な標的化を提供する。
・ シリカは生分解性かつ生体適合性である。
・ マトリックスの相対的機械的安定性。リポソームまたは貯蔵器系では起こりかねない爆発またはバースト効果は観察されない。
潜在的適用の例
・ 以下のものの制御送達:
・ ヒト健康管理適用のための医薬―
・ 皮下送達(ミクロ粒子)
・ 筋肉内送達(ミクロ粒子)
・ 鼻孔内および吸入送達系(ミクロ粒子)
・ 膣適用(ミクロ粒子)
・ 直腸適用(ミクロ粒子)
・ 静脈内送達(ナノ粒子)
・ 目送達(ナノ粒子)
・ サイズによる受動的器官標的化(肝臓、肺)
・ 経皮パッチ(コーティングおよびミクロ粒子)、ここに:ミクロ粒子:1ないし50μm、ナノ粒子:10ないし500nm
・ 獣医学適用のための薬物(前記参照);
・ 以下のものの制御放出:
・ 肥料;
・ 農薬;
・ 除草剤;
・ 殺虫剤;
・ 殺生物剤;
・ 香料
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1.1】図1.1は、W=8(W=ケイ素アルコキシドに対する水のモル比)にて合成したゲルからの放出に対するD(D=ケイ素アルコキシドに対するアルコールのモル比)の影響を示す。
【図1.2】図1.2は、メタノールなくして(D=0)合成されたゲルからの放出に対するWの影響を示す。
【図2.1】図2.1は、W=4およびD=4にて合成したゲルについての放出に対するpHの影響を示す。酸領域
【図2.2】図2.2は、W=4およびD=4にて合成したゲルについての放出に対するpHの影響を示す。塩基性領域
【図3】図3は、放出速度に対するMTMS(MTMS=メチルトリメトキシシラン)置換の影響を示す。
【図4】図4は、オレンジII(オレンジII=(4−(2−ヒドロキシ−ナフチルアゾ)ベンゼンスルホン酸、ナトリウム塩)の放出に対する合成時間の影響を示す。
【図5】図5は、W=4およびD=0にて合成したゲルからの放出に対する乾燥の影響を示す。
【図6】図6は、本発明の好ましいプロセス1を示すブロックダイアグラムを示す。
【図7】図7は、放出速度に対する放出媒体の温度の影響を示す。
【図8】図8は、オレンジIIおよびメチルバイオレットを含むゲルの放出の比較を示す。
【図9】図9は、a)へプタン、b)オクタン、c)ドデカンおよびd)シクロヘキサンを用いて合成されたマイクロスフィアを示す。
【図10】図10は、ドデカン、a)ソルビタンモノオレエートおよびb)ソルビタンモノラウレート中で合成されたマイクロスフィアのサイズに対する界面活性剤鎖長の影響を示す。
【図11】図11は、AOT/シクロヘキサンエマルジョン(AOT=アエロゾルOTまたはビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム)を用いて合成したナノスフィアのSEM顕微鏡写真を示す。
【図12.1】図12.1は、マイクロスフィアの放出速度に対するソルーゲル化学の影響を示す。
【図12−2】図12−2は、pH=2およびpH=9にてソルーゲル溶液から合成したマイクロスフィアの表面のSEM顕微鏡写真を示す。
【図13】図13は、それらの放出速度論に対するマイクロスフィアの乾燥温度の影響を示す。
【図14】図14は、シス−プラチンを含む熟成TMOS由来ゲルにおける白金コロイドの沈殿を示すTEM顕微鏡写真である。
【図15−1】図15−1は、シクロヘキシミドの放出速度に対するMTMSの配合の影響を示す。
【図15−2】図15−2は、シス−プラチンの放出速度に対するMTMSの配合の影響を示す。
【図16】図16は、加水分解および縮合の方程式を示す。
【図17−1】図17−1は、塩化ナトリウムの脈石にカプセル化された凍結乾燥ナノ粒子を示す。
【図17−2】図17−2は、水中の再分散したナノ粒子−200nm程度の平均粒子サイズを持つ粒子を示す。
【図17−3】図17−3は、水中の再分散したナノ粒子―狭いサイズ分布を示すグラフである。
【図18−1】図18−1は、それらの直径がほぼ50nmであることを示す乾燥されたCuドープした粒子のTEM顕微鏡写真である。
【図18−2】図18−2は、溶液中の平均粒子サイズが51nmであることを確認する、図18−1の粒子の懸濁液のホトン相関スペクトロスコピーを示す。
【図19】図19は、Sの増加が、粒子サイズの対応する減少に導くことを示すセラミック粒子のSEMを示す。
【図20】図20ハ、ナノ粒子の粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図21】図21は、プロセス3によって調製された粒子のSEM顕微鏡写真である。
【図22】図22は、プロセス1によって調製されたオレンジIIをドープしたTiO2/SiO2混合酸化物粒子のSEM写真である。
【図23】図23は本発明の好ましいプロセス4を示すブロックダイアグラムである。
【図24】図24は、本発明のプロセス4に関連する好ましい洗浄手法を示すブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明を実施するための最良形態および他の形態)
図6は、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、典型的にはマイクロスフィアの好ましい製法をブロックダイアグラムの形で説明する。好ましいプロセスは以下に詳細に記載する。
ゲルマイクロスフィア調製(主としてプロセス1に適用可能)
ゲル−ゾル溶液(溶液A)は、アルコール中のケイ素アルコキシド(または有機的に修飾されたケイ素アルコキシド)の溶液を、生物活性分子が溶解されているアルコール中の水の溶液に添加することによって合成される。得られた混合物を、対応する金属酸化物(すなわち、シリカ)へのアルコキシドの縮合を開始させるように設定する。
溶液(溶液B)は、界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、AOT)と非極性溶媒とを混合することによって調製される。溶液Bは、界面活性剤によって作られた逆ミセルの懸濁液と考えることができる。
AのBへの添加に際して、親水性溶液Aはミセルの内部に移動し、エマルジョンを形成する。水の添加に際して開始した縮合反応はそのような閉じ込めに際して加速される。これは、液滴の大量ゲル化およびポア内部に捕捉された生物活性分子を含有する実質的に単分散した制御放出多孔性シリカマイクロスフィアの生成に導く。次いで、粒子を濾過し、洗浄して界面活性剤を除去し、乾燥する。
制御放出(全てのプロセスに適用可能)
内部マトリックスの構造(特にポアサイズおよび湾曲度)、粒子サイズ、総じての有効成分負荷および/またはマトリックス溶解性が、制御放出系において有効成分の送達速度を決定する。ポリマー制御放出マトリックスの重要な制限は、それらがこれらの特徴の内1つまたはせいぜい2つを利用できるに過ぎず、有効成分(類)のいずれの変化もマトリックス系の重要な再処方を必要とすることである。対照的に、本発明は、同一の基礎的化学を用いてこれらの特徴の全てが利用できるようにする:
・ スフィアの内部ミクロ構造は、水―対―アルコキシド比(W)、pH、アルコール−対―アルコキシド比、アルコキシド濃度、熟成(すなわち、離液)、乾燥時間および温度のごときゾル−ゲル加工パラメーターを変化させることによって(バルクゲルにおけるごとく)性質に仕立てることができる。よって、有効成分(類)の放出速度は、内部ポアネットワークの構造(すなわち、容量、直径および湾曲度)を有効成分分子の物理化学的特性に適合させることによって制御される。
・ セラミック粒子の直径は、界面活性剤、水性相および非極性溶媒の間の親水性−親油性バランスによって決定され、エマルジョン液滴のサイズによって制御される。一定(0次元)放出速度は、有効成分(類)をシリカマトリックス内に十分に捕獲することによって得ることができる。粒子は、容易に変化させることができるサイズを持つ実質的に単分散した球形粒子の形態で生じる。活性物質の放出速度はセラミック粒子のサイズに依存する。
・ マイクロスフィア内の総じての有効成分(類)負荷はマトリックス合成の間に容易に制御される。
・ シリカマイクロスフィアは遅いイン・ビボ溶解(侵食)を受ける。よって、有効成分の放出速度が、多孔性マイクロスフィア内部の有効成分(類)の拡散速度、有効成分負荷およびマイクロスフィアのサイズの関数である。
マトリックスおよび有効成分の間の表面相互作用(および変性)の防止(全てのプロセスに適用可能)
有機的に修飾されたケイ素アルコキシドによる金属アルコキシドの置換は、有機部位(例えば、メチルビニル、グリシジルオキシプロピル基)によるポアの表面でのヒドロキシル基の置換に導く。これが捕獲された生体分子および表面の間の相互作用、および有効成分の潜在的分解を妨げる。これは、シリカゲル中へのシスプラチンのカプセル化によって示される。シスプラチンはシリカマトリックスの表面と反応し、金属白金ナノ粒子の沈殿が生じる(図14)参照。メチルトリメトキシシラン(MTMS)によるテトラメトキシシラン(TMOS)の50%の置換は、いずれのそのような沈殿も防止する。
【0030】
プロセス1
実質的に単分散された制御放出セラミック粒子を調製する1つのプロセスは、典型的には:
(a) 界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の5−30重量%の間であり;
(b) ゲル前駆体、触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を、水およびアルコールを含む極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し、ここに、典型的には、前駆体に対する水のモル比は2および8の間であり、前駆体に対するアルコールの比は0および16の間であり、pHは1および11の間であり、活性物質の割合は最終金属酸化物1g当たり0.1−10mgの間であり;
(c) 逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し、ここに、典型的には、前駆体溶液に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間、より典型的には0.5−2の比率となるように調整され;次いで
(d) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有する実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを含む。
典型的には、ゲル前駆体はシリカ前駆体、アルミナ前駆体およびチタニア前駆体よりなる群から選択され、より典型的には、ゲル前駆体はシリカゲル前駆体である。
典型的には、工程(d)は:
(d) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子から放出でき、かつ粒子中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように配合される実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する:
ことを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e) 該エマルジョンから、該形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに;
(e) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0031】
プロセス2
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を調製する代替プロセスは、典型的には:
(a’) 界面活性剤と非極性溶媒および親水性の第1の(またはいくつかの)活性物質(類)とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の5−30重量%の間にあって、活性物質(類)の割合は最終金属酸化物の0.1−1重量%の間にあり;
(b’) ゲル前駆体、触媒、縮合剤および所望により1つの(またはいくつかの)可溶性の第2の活性物質(類)を、水およびアルコールを含む((a’)における非極性溶媒と非混和性である)極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し、ここに、典型的には、前駆体に対する水のモル比は2および8の間であり、前駆体に対するアルコールのモル比は0および16の間であり、pHは1および11の間であって、第2の活性物質の割合は最終金属酸化物の1g当たり0.1−10mgの間であり;
(c’) 逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;前駆体溶液に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間となり、典型的には、このモル比が0.5−2となるように調整され;次いで
(d’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有する実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを含む。
典型的には、ゲル前駆体はシリカゲル前駆体である。
典型的には、工程(d’)は:
(d’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように配合されている制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成することを含む。
該プロセスは、さらに:
(e’) 該エマルジョンから、形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e’) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0032】
プロセス3
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を調製するもう1つのプロセスは:
(a”) ゲル前駆体(TEOS)、1つの(またはいくつかの)活性物質(類)(活性物質(類)はTEOSそれ自体またはTEOS/溶媒混合物に可溶性である)および所望により少数の溶媒(エタノール)を溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(b”) 触媒(酸または塩基または双方を順次)、縮合剤(水)および所望により少量の溶媒(エタノール)を含む縮合溶液を調製し、該縮合溶液は該前駆体溶液と実質的に非混和性であり:
(c”) 前駆体溶液および縮合溶液を合わせて混合物を形成させ、次いで、界面活性剤の不存在下で混合物を自然に乳化することによってエマルジョンを調製し;
(d”)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出できる実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを含む。
典型的には、ゲル前駆体はシリカゲル前駆体である。
典型的には、工程(d”)は:
(d”) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子の各々から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように配合された制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成することを含む。
該プロセスは、さらに:
(e”) 該エマルジョンから、該形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e”) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0033】
プロセス4
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を調製するもう1つのプロセスは:
(a”’) 界面活性剤と非極性溶媒を混合することによって逆ミセル溶液を調製し、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の1−30重量%の間であり;
(b”’) 触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を、水を含む極性溶媒に溶解させることによって親水性溶液を調製し;
(c”’) 逆ミセル溶液および親水性溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し:
(d”’) ゲル前駆体をこのエマルジョンに添加し、ここに、典型的には、前駆体に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間、より典型的には0.5−2の比率となるように調整され;ついで
(e”’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有する実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する:
ことを含む。
工程(d”’)は:
(d”’) シリカゲル前駆体をエマルジョンに添加することを含む。
典型的には、工程(e”’)は:
(e”’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子の各々から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように該粒子内に配合された制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成することを含む。
該プロセスは、さらに:
(e”’) 該エマルジョンから、該形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e”’) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0034】
図23は、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、典型的にはナノスフィアを調製する好ましいプロセスをブロックダイアグラムの形で示す。好ましいプロセスは以下に詳細に記載する。
ゲルナノスフィア調製(主としてプロセス4に適用可能)
界面活性剤(典型的には、使用される活性物質と実質的に相互作用しない界面活性剤―例えば、Cu(NH3)4+イオン性界面活性剤は洗浄工程においてCu(NH3)4の喪失に導き、他方、1−35重量%のCuのCu(NH3)4+ノニオン性界面活性剤負荷は達成されている)と非極性溶媒と混合することによって逆ミセル溶液が調製され、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の5−30重量%の間である(溶液A)。親水性溶液は、触媒、縮合剤および(医薬または放射性医薬トレーサー、例えばCu、Pt、.....のごとき)1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質を、水を含む極性溶媒に溶解させることによって調製される(溶液B)。エマルジョンは、逆ミセル溶液(溶液A)および親水性溶液(溶液B)を合わせることによって調製される。ゲル前駆体はこのエマルジョンに添加され、ここに、典型的には、前駆体に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間、より典型的には0.5−2の比率となるように調整され、それによりエマルジョン中で前駆体は縮合し、それにより、制御放出セラミックナノ粒子が形成され、それを熟成し、ここに、該粒子の各々は、粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子の各々から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように該粒子内に配合される。
【0035】
図24は、好ましい洗浄手法を示すブロックダイアグラムを示す。本質的には、NaCl溶液のごときイオン性塩(例えば、0.1−10M、典型的には0.5−5M、より典型的には1M)を十分な量で加えて、エマルジョンを脱安定化させる。次いで、この脱安定化されたエマルジョンを有機溶媒(例えば、NaCl+CHCl3および/またはブロモホルムおよび/またはヨードホルム)で多数回洗浄し、これをデカントする。次いで、洗浄した水性懸濁液を凍結乾燥して、未凝集セラミックナノスフィアがNaClのマトリックス内に単離された固体を形成する。
本発明者らは、NaClの存在が凍結乾燥プロセスの間にセラミック粒子を保護することを見出した。前記にて示したごとく、このプロセスの結果、未凝集凍結乾燥粒子は保護的NaClマトリックス中に単離している(他のイオン性塩を特に非生物学的用途で用いることができるがNaClは生物学的適用、特にヒトを含めた哺乳動物に関連するイン・ビボ生物学的適用に特に適する)。ドープされ凍結乾燥されたセラミック粒子に照射し、次いで、適量の水に再度分散させて等張溶液が得られ、必要であれば、該溶液はイン・ビボ治療、診断または実験のために注入することができる。
【実施例】
【0036】
(実施例)
A)オレンジIIの放出に対するゾル−ゲル加工パラメーターの影響
実施例1:オレンジIIの放出速度に対するメタノール/TMOSおよびH2O/TMOSモル比の影響
0.25gの4−(2−ヒドロキシー1−ナフチルアゾ)ベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(すなわち、OrangeII, Aldrich)を25mlの0.1M硝酸溶液に溶解させ、脱ミネラル化水で250mlまで希釈することによって、色素の溶液を生成させた。色素溶液の最終pHは2であった。
ゲルは、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、メタノール(MeOH)および色素溶液を合わせることによって合成した。色素放出速度に対するH2O/TMOS比率(W)およびMeOH/TMOS比率(D)の影響は、表1にリストした組成物を用いることによって実験した。
【0037】
【表1】
【0038】
水はオレンジII色素溶液の形態で添加する。
得られた混合物を1時間攪拌した。4mlの溶液のアリコットを5mlのスクリューキャップを付したポリプロピレンバイアルに移し、オーブン中にて60℃に置いてゲル化させた。一旦ゲル化が起これば、試料を60℃にてさらに2日熟成させた。各組成物につき、1つのゲルロッドを話して、湿潤状態の放出を調べ、残りのゲルロッドを60℃にて3日間乾燥した。前記において、湿潤状態で残ったゲルロッドを「湿潤ゲル」といい、60℃で乾燥したものを「乾燥ゲル」という。
ゲルからの色素分子の放出は3mlの脱ミネラル化水中で行い、経時的な吸光度の進展はUV−可視分光光度計(Lambda40, Parkin Elmer,USA)を用い、固定した波長λmax=485nmでモニターした。485nmの波長は、可視スペクトルのオレンジIIの吸収最大に対応する。
放出した色素の分率−対−時間のプロット(図1)は、放出された色素の現実の量をゲル中にカプセル化された色素の合計質量で割ることによって得られた。乾燥ゲルでは、この量は、ゲルロッド中の色素の全量をゲルの質量で割り、それに、放出実験で用いたゲル試料の質量を掛け合わせることによって計算される。湿潤ゲルでは、放出された分率は最終吸光度から実験的に得られた。
色素の放出速度はWを増加させDを現象させるにつれて増加することが判明した。組成物1/8/4および1/4/0では一定の放出速度が得られたことに注意されたい。
【0039】
実施例2:オレンジIIの放出速度に対するpHの影響
pHの影響を調べるために、色素溶液のpHを1、2、4、7、9または11に調整することによってゲルを調製した。
0.10gのオレンジIIの色素を100mlの硝酸(0.1M)または水性アンモニア(0.1M)に溶解させ、さらに、滴定することによってpHを所望の値に調整することによって、異なる色素溶液を生成させた。
5.51mlのTMOS(37ミリモル)、適切なpHの2.67mlの色素溶液(148ミリモルの水)および6mlのメタノール(148ミリモル)を混合することによってゲルを合成した。次いで、実施例1に記載した手法に従い、試料を熟成し、乾燥した。対応する放出曲線を図2に示す。
触媒として酸を用いて合成したゲルでは(図2.1)、放出速度はpHが増大するにつれ増加することが判明した。対照的に、触媒として塩基を用いて合成したゲルでは、放出はpHが増大するにつれ減少することが判明した。最大放出速度はpH=7で観察された。
【0040】
実施例3:MTMS/TMOS比の影響
0−50%のTMOSを等モル量のメチルトリメトキシシラン(MTMS,Fluka)で置きかえる以外は実施例1に記載された手法に従い、ゲルを合成した。WおよびDは共に4に固定し、これはpH=2における2.67mlの色素溶液(H2O=148ミリモル)および6.00mlのメタノール(148ミリモル)に相当する。
【0041】
【表2】
【0042】
対応する放出速度論は図3に示す。放出速度はMTMS含量が増大するにつれ減少することが判明した。
【0043】
実施例4:オレンジIIの放出速度に対する離液時間の影響
離液時間を0ないし30日変化させることによって、一連のゲルを合成した。30.3mlのTMOS(204ミリモル)、14.7mlのpH2のオレンジII色素溶液(815ミリモル)および33.0mlのメタノール(815ミリモル)を含有するストック溶液を1時間攪拌した。この溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きのポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブンに入れてゲル化させた。得られたゲルをさらに60℃にて0、2、3、7、15および30日間熟成した。引き続いて、バイアルのキャップをはずし、熟成したゲルを60℃のオーブン中にて3日間乾燥した。放出実験は、実施例1に記載した手法に従って実行した。対応する放出曲線を図4に示す。放出速度は離液時間と共に増加することが判明した。
【0044】
実施例5:オレンジIIの放出速度に対する乾燥温度および時間の影響
78.6gのTMOS(516ミリモル)および37.3gのpH2のオレンジII色素溶液(2.07モルのH2O)を含有するストック溶液を1時間攪拌した。この溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きのポリプロピレンバイアルに移し、オーブン中で60℃に置いてゲル化させた。得られたゲルをさらに60℃にて2日間熟成させた。次いで、熟成したゲルを雰囲気温度(すなわち、22〜23℃)、60℃または104℃にて1、3または7日間乾燥した。放出実験は、実施例1に記載した手法に従って実行した。対応する放出速度論は図5に示す。
放出速度は時間および温度が増大するにつれ減少することが判明した。
【0045】
B)オレンジIIの放出速度に対する他のパラメータの影響
実施例6:オレンジIIの放出速度に対する環境の影響
ゲルは実施例1に記載した手法に従って合成した。水/アルコキシドおよびメタノール/アルコキシドのモル比は共に4に固定し、これはpH=2の2.67mlの色素溶液(148ミリモルのH2O)および5.51mlのTMOS(37ミリモル)についての6.00mlのメタノール(148ミリモル)に対応する。次いで、ゲルを室温で1日間乾燥した。
放出速度に対する温度の影響を調べるために、既知量のゲルを3mlの脱ミネラル化水に浸漬し、485nmの固定した波長で吸光度をモニターした。1つの試料は雰囲気温度(すなわち、22℃)に保ち、2つの他のものはサーモスタッド付きの水浴中で37℃および60℃に維持した。対応する放出速度論は図7に示す。放出速度は温度を上昇させるに従って増加することが判明した。
【0046】
実施例7:オレンジIIおよびメチルバイオレットの放出速度論の間の比較
0.112gの色素粉末(Aldrich)を5mlのメタノールに溶解させ、得られた溶液を100mlの0.1M硝酸で希釈することによって、メチルバイオレット溶液を調製した。溶液の最終pHを2に調整した。オレンジII色素の溶液は実施例1に記載したごとくに調製した。
2組のゲルは、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、メタノール(MeOH)、および色素溶液の各々を合わせることによって調製した。WおよびDは共に4に固定し、これは、2.67mlの色素溶液(148ミリモルのH2O)、6mlのメタノール(148ミリモル)および5.51mlのTMOS(37ミリモル)に対応した。これらの溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きのポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブンに入れてゲル化させた。得られたゲルをさらに60℃にて15または30日間熟成させ、しかる後60℃にて2日間乾燥した。
オレンジII試料の放出速度は485nmの固定した波長でモニターし、他方、メチルバイオレット試料の放出速度は584nmでモニターした(可視スペクトルにおけるメチルバイオレットの吸収ピークに対応)。対応する放出速度論は図8に示す。
放出速度は、より大きな色素分子(すなわち、メチルバイオレット)ではかなり小さいことが判明した。
【0047】
C)マイクロスフィアのサイズを制御するパラメータ
実施例8:エマルジョン溶媒を変化させることによる異なったサイズを持つマイクロスフィアの合成
ゾル−ゲル溶液(溶液A)は、5.21mlのTMOS(35ミリモル)、pH2の2.52mlのオレンジII色素溶液(実施例1と同様)(140ミリモルのH2O)および6.19mlのメタノール(153ミリモル)を合わせる事によって調製した。得られた溶液を300rpmにて30分間攪拌し、室温にて1日間熟成させた。
15.08gのソルビタンモノオレエートを170mlのケロセンに溶解させ、高速ブレンダー(45秒間の1200rpm)を用いてホモゲナイズして透明な溶液を形成させた(溶液B)。次いで、溶液Aを溶液Bに添加し、得られたエマルジョンを500rpmで1時間攪拌した。次いで、得られたマイクロスフィアの懸濁液を濾過し、シクロヘキサンで3回すすいで界面活性剤を除去した。次いで、得られたマイクロスフィアを室温で1日間乾燥し、しかる後、60℃にて3日間さらに乾燥した。ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよびシクロヘキサンをエマルジョン溶媒として用いて該手法を反復した。これらの溶媒を用いて得られた乾燥マイクロスフィアの選択した走査型電子顕微鏡写真を図9に示す。
マイクロスフィアの平均サイズは、溶媒の極性が低下するにつれ減少することが判明した(すなわち、へプタン>オクタン>ドデカン>シクロヘキサン)。
【0048】
実施例9:マイクロスフィアのサイズに対する界面活性剤の鎖長の影響
マイクロフィアのサイズに対する界面活性剤の鎖長の影響を調べるために、ソルビタンモノオレエートをソルビタンモノラウレート(12.1g)によって置きかえる以外は実施例8に記載した手法に従って試料を調製した。実施例8におけるごとく、ヘキサン、オクタン、デカンおよびドデカンのごとき種々の溶媒を用い、一連の実験を行った。マイクロスフィアのサイズに対する界面活性剤の鎖長の影響の例を図10に示す。この例では、疎水性鎖長を増加させると、マイクロスフィアのサイズを減少させる。しかしながら、この効果が観察されるか否かは用いる特定の界面活性剤/非極性溶媒の組み合わせに依存するであろうことは注意すべきである。効果が特定の界面活性剤/非極性溶媒の組み合わせで存在するか否かは、ルーチン的実験によって容易にチェックすることができる。
【0049】
実施例10:AOTを界面活性剤として用いるナノスフィアの合成
4.46gのAOT(10ミリモル)を100mlのシクロヘキサンに溶解させ、pH=2の1.26gのオレンジII色素溶液(70ミリモルのH2O)と混合して安定なマイクロエマルジョンを形成させた。次いで、2.66gのTMOS(17ミリモル)をマイクロエマルジョンに添加し、得られた混合物を1日間攪拌した。
得られた沈殿を濾過し、シクロヘキサンで洗浄した。次いで、洗浄した固体を室温で乾燥した。対応する走査型電子顕微鏡写真を図11に示す。この場合、マイクロスフィアの代わりにナノスフィアが生じる(すなわち、サイズ≒100nm)。
【0050】
実施例11:異なるゾル−ゲル化学でのマイクロスフィアの合成
3つの異なるゾル−ゲル化学を用いる以外は実施例8に与えられた手法に従い、マイクロスフィアを調製した。各場合、ゾル−ゲル溶液(実施例8における溶液A)は、5.33gのTMOS(35ミリモル)と4.9gのメタノール(153ミリモル)とを混合し、2.52gのオレンジII色素溶液(140ミリモルのH2O)を添加することによって調製した。第一の試料において、色素溶液はpH=2で調製し、他方、第2の試料では、色素溶液はpH=11で調製した。第3の場合において、TMOSをMTMSによって部分的に置き換えた(すなわち、20モル%)。対応する放出曲線は図12−1に示す。マイクロスフィアの内部ミクロ構造に対するpHの影響の例を図12−2に掲げる。pH=2で生じたマイクロスフィアは、ミクロポーラス内部構造に対応する平滑な表面を示し、他方、pH=11で生じたマイクロスフィアは、マソポーラス内部構造を示す粗い表面を有する。図12.1および図13は、スフィアの内部構造がそれらの放出速度に強く影響することを示す。
【0051】
実施例12:マイクロスフィアの放出速度に対する乾燥温度の影響
オレンジII色素を含有するマイクロスフィアは、実施例8に記載した手法に従って合成した。次いで、得られたマイクロスフィアを室温ないし100℃の異なる温度にて2日間乾燥した。対応する放出速度論は図13に示す。実施例5に関しては、放出速度は乾燥温度を上昇させるにつれ減少する。
【0052】
実施例13:表面機能性化による薬物分解の防止
シス−プラチン(シスPt(NH3)2Cl2)の溶液は、50.0mgのシス−プラチンを50mlの0.01M HCl溶液に溶解させ、Branson3200音波処理浴を用いて溶液を15分間音波処理することによって調製した。
20mlのTMOS(134ミリモル)、9.69mlのシス−プラチン溶液(538ミリモルの水)および21.8mlのメタノール(538ミリモル)を含有する溶液を30分間攪拌した。溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブン中に置いてゲル化させた。一旦ゲル化が起こると、試料を60℃にて15日間熟成させた。次いで、キャップを取り外し、試料を60℃にて3日間乾燥させた。
同一の手法を用いて、3mlのTMOS、2.88mlのMTMSおよび2.91mlのシス−プラチン溶液を含有する溶液からゲルを調製した。
【0053】
60℃での熟成の3日後、TMOSから調製したゲルは暗化し始め、最後には、15日間の熟成後に黒色ゲルを生じた。対照的に、MTMS/TMOS混合物から調製したゲルは、60℃での15日間の熟成後でさえ完璧に透明のままであった。引き続いて、JEOL 2010F場発光ガン顕微鏡を用い、透化型電子顕微鏡によって、2つの乾燥ゲルを調べた。黒色ゲルは、シリカマトリックス全体に分散した小さな白金コロイド(サイズは≒50−80nm)を含むことが判明した(図14参照)。MTMS修飾ゲルにはそのようなコロイドが存在することは見出されず、これは、MTMS機能性化ゲルに存在する表面メチル基が、シス−プラチンとマトリックスとの相互作用およびその関連した沈殿を最小化することを示唆する。
【0054】
実施例14:シスープラチンおよびシクロヘキシミドの放出に対するMTMSの存在の影響
シクロヘキシミドの溶液は、25.0mgのシクロヘキシミドを25mlの0.01M HCl溶液(pH=2)に溶解させることによって調製した。シス−プラチンの溶液(1g/l)は、50.0mgのシス−プラチンを50mlの0.1M HCl溶液に溶解させ、得られた溶液を15分間音波処理することによって調製した。
第1の一連の試料は、5.51mlのTMOS(37ミリモル)、2.67mlのいずれかの薬物溶液(148ミリモルのH2O)および6mlのメタノール(148ミリモル)を混合することによって調製した。4mlの溶液のアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブン中においてゲル化させた。一旦ゲル化が起こったならば、試料を60℃にて7日間熟成させた。次いで、キャップを取り外し、試料を60℃にて3日間乾燥させた。
【0055】
第2の一連の試料は、3mlのTMOS(20ミリモル)、2.88mlのMTMS(20ミリモル)および2.91mlの各薬物溶液(161ミリモルのH2O)を合わせることによって調製した。これらの試料を前記したごとく処理した。
既知量のゲルからのシクロヘキシミドの放出は3mlの脱ミネラル化水中で知られ、固定した波長(λmax=201nm)にて吸光度をモニターした。既知量のゲルからのシス−プラチンの放出は3mlの0.9%NaCl中で調べ、吸光度は固定した波長(λmax=300nm)でモニターした。対応する放出速度論は図15−1および15−2に示す。
予測したごとく(比較、実施例7)、放出速度はより小さな薬物分子(すなわち、シスープラチン)ではより大きいことが判明した。オレンジIIに関しては(比較、実施例3)、MTMSによるTMOSの置き換えは双方の薬物の放出速度の減少に導いた。
【0056】
実施例15:プロセス4を用いるCuドープしたシリカナノ粒子の合成
銅テトラミン溶液(すなわち、溶液1)は、Cu(NO3)2・3H2O(4.38g、18ミリモル)を10mlの濃アンモニア溶液に溶解させ、得られた溶液を蒸留水で100mlまで希釈することによって調製した。トリトンX−114(10.72g,20ミリモル)を100mlのトルエンに溶解させ、引き続いて、5.76mlの溶液1(32ミリモル当量のH2O)を添加し、8000rpmにて剪断−混合によって得られた混合物を1分間ホモゲナイズすることによってマイクロエマルジョンを生じさせた。次いで、該エマルジョンを300rpmで攪拌し、0.3mlのTMOS(2ミリモル)を添加した。90分間攪拌した後、50mlのNaClの1M溶液をエマルジョンに添加し、得られた懸濁液をデカンテーション漏斗に移した。12時間後、エマルジョンは2相に分離した。水性(底部)相を抽出し、100mlのトルエンを添加し、しかる後、混合物を透明なデカンテーション漏斗に導入した。頂部有機相が肉眼で透明となるまで、この手法を数回反復した。次いで、最終の洗浄した水性粒子懸濁液を一晩沈降させ、上清みを最後に取り出して、液体の容量を最小化し、引き続いての凍結乾燥で除去した。
懸濁液を含むフラスコを液体窒素中に入れ、10mトールのバックグラウンド圧力にてポンピングすることにより水を昇華させることによって、ナノ粒子懸濁液を凍結乾燥した。得られた乾燥粉末は、塩化ナトリウムのマトリックス中にカプセル化されたナノ粒子よりなるものであった(図17−1参照)。この粉末は容易に水に再分散させることができ、20nm程度の平均粒子サイズ(図17−2参照)および狭いサイズ分布(図17−3参照)を持つ粒子を得た。
【0057】
実施例16:プロセス4を用いるシスープラチンをドープしたナノ粒子の合成
シス−プラチン溶液(溶液2)は、0.16gのシス−プラチン(0.53ミリモル)を100mlの希薄なアンモニア溶液(10重量%)に溶解させることによって調製した。トリトンX−114(10.74g,20ミリモル)および11.52mlの溶液2(32ミリモル当量のH2O)を順次100mlのトルエンに添加し、8000rpmにおける1分間の剪断−混合によって、得られたミクロエマルジョンヲホモゲナイズした。次いで、エマルジョンを300rpmで攪拌し、0.3mlのTMOS(2ミリモル)を添加した。90分間の攪拌の後、50mlの1M NaCl溶液をエマルジョンに添加し、得られた懸濁液をデカンテーション漏斗に移した。次いで、実施例15に記載した手法に従い、懸濁液を洗浄し、凍結乾燥した。
【0058】
実施例17:超小(すなわち、<100nm )銅ドープしたシリカ粒子の合成
銅テトラミン溶液(すなわち、溶液3)は、40mgのCu(NO3)2・3H2O(0.17ミリモル)を5mlの濃アンモニア(28重量%NH3)に溶解させることによって調製した。トリトンNP−9(7.77g,12.6ミリモル)および0.710mlの溶液3(23.5ミリモル当量のH2O)を順次100mlのシクロヘキサンに添加し、得られたマイクロ−エマルジョンを、8000rpmでの1分間の剪断−混合によってホモゲナイズした。次いで、エマルジョンを500rpmで攪拌し、0.796mlのTEOS(3.6ミリモル)を添加した。24時間連続的に攪拌した後、50mlの脱ミネラル化水をエマルジョンに添加し、得られた懸濁液をデカンテーション漏斗に移した。12時間放置した後、エマルジョンは2相に分離した。水性相を抽出し、シクロヘキサン(100ml)と混合し、透明なデカンテーション漏斗に移した。頂部有機相が肉眼で透明になるまで、この手法を反復した。乾燥した粒子のTEM顕微鏡写真(図18−1)は、それらの直径がほぼ50nmであることを示す。粒子懸濁液のホトン相関スペクトロスコピーは、溶液中の平均粒子サイズが51nmであることを確認した(図18−2)。
【0059】
実施例18:Cuドープしたシリカナノ粒子の平均サイズに対する、アルコキシドに対する界面活性剤のモル比(S)の影響
ナノ粒子は、以下のエマルジョン組成物を用い、実施例15における手法に従って合成した。
【0060】
【表3】
【0061】
ここに、SおよびRとは、各々、界面活性剤−対−アルコキシドのモル比および水−対−界面活性剤のモル比を言う。得られた粒子を濾過し、SEMによって分析し(図19参照)、これは、Sの増加は粒子サイズの対応する減少に導くことを明らかにした。
【0062】
実施例19:Cuドープしたシリカナノ粒子の平均サイズに対する、アルコキシドに対する水のモル比の影響
ナノ粒子は、以下のエマルジョン組成物を用い、実施例15における手法に従って合成した。
【0063】
【表4】
【0064】
対応する凍結乾燥粉末を蒸留水に再懸濁し、PCSによって特徴付けた(図20参照)。双方の粒子サイズ分布はほぼ150nmにおいてピークを呈したが、多分散は水−対−界面活性剤のモル比の減少につれて有意に増加した。
【0065】
実施例20:洗浄した粒子上に保持された界面活性剤の量に対するNaClの濃度の影響
ナノ粒子は、21.44gのトリトンX−114(40ミリモル)、0.596mlのTMOS(4ミリモル)および11.53mlの溶液1(640ミリモル当量のH2O)を用い、実施例15に記載した手法に従って合成した。ナノ粒子の形成後、試料を2つのバッチに分けた。蒸留水の50mlのアリコットを第1のバッチに加え、他方、50mlの0.1M NaCl溶液を第2のバッチに加えた。次いで、実施例15に記載した手法に従い、2つの懸濁液を洗浄し、引き続いて、濾過し、60℃にて一晩乾燥した。次いで、熱分析を用い、各乾燥粉末の試料を特徴付けた。界面活性剤の脱着/熱分解に関連する対応する重量喪失を以下の表に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
実施例21:プロセス3による粒子の合成
TEOS(45ミリモル)の10ml試料を40mlのエタノールに溶解させ、次いで、(実施例1に概略を示した手法に従って調製した)pH=2の0.87mlのオレンジII色素溶液を添加した。得られた溶液を90分間攪拌し、しかる後、pH=9.05の0.87mlのオレンジII色素溶液を添加した。200mlの希薄なアンモニア溶液(3重量%)の滴下に先立ち、混合物をさらに90分間攪拌した。得られた懸濁液を静かに12時間熟成させ、次いで、5000rpmにて15分間遠心した。かく得られたオレンジ色固体を最後に60℃にて12時間乾燥した。得られた粉末のSEM顕微鏡写真を図21に示す。
【0068】
実施例22:銅ドープした遷移金属酸化物ナノスフィアの合成
銅テトラアミン溶液(すなわち、溶液4)は、8.45gのCu(NO3)2・3H2O(35ミリモル)を40mlの濃アンモニア溶液(28重量%NH3)に溶解させ、得られた溶液を蒸留水で100mlまで希釈することによって調製した。トリトンNP−9(19.5g,32ミリモル)を150mlのシクロヘキサンに溶解させ、引き続いて、1.125mlの溶液4(62ミリモル当量のH2O)を添加し、8000rpmにおける1分間の剪断−混合によって、得られた混合物をホモゲナイズすることによってマイクロエマルジョンを生じさせた。次いで、500rpmにて攪拌しつつ、マイクロエマルジョンを維持した。
乾燥窒素グローブボックスにおいて、1.83g(6.4ミリモル)のチタンイソプロポキシド(または2.78mlのZr N−プロポキシドまたは1.639mlのAl sec−ブトキシド)を5mlのシクロヘキサンに溶解させた。次いで、この溶液を、グローブボックスの外部にて、攪拌されたNP−9/溶液4/シクロヘキサンエマルジョンに添加し、得られた混合物を500rpmにて2時間攪拌した。次いで、1M NaClの100mlのアリコットを懸濁液に添加し、水性層を洗浄し、実施例15に概略を説明した手法に従って凍結乾燥した。
【0069】
実施例23:プロセス1によるオレンジIIをドープしたTiO2/SiO2混合酸化物粒子の合成
溶液5は、0.05gのオレンジIIを20.0mlの濃(70%)硝酸と混合し、脱ミネラル化水で100mlの合計容量まで希釈することによって調製した。HNO3およびオレンジIIの最終溶液中での濃度は、各々、2.22Mおよび0.5mg/mlであった。
1.53mlのエタノールおよび0.47mlの溶液5(EtOH:H2O:HNO3モル比=1:1:0.04)を含有する溶液を、エタノール(1.53ml)中のTEOS(5.92ml,26.5ミリモル)の混合物に滴下し、得られた混合物をCole Palmerモデル8892超音波浴中で15分間攪拌した。次いで、チタンテトライソプロポキシド(1.53ml,5.2ミリモル)のアリコットを添加し、複合アルコキシド混合物をさらに15分間音波処理し、次いで、4時間還流した。
ソルビタンモノオレエート(23ミリモル)の10g試料を、250mlの円錐フラスコ中にて100mlのケロセンと混合し、磁気フォロアーでほぼ30分間攪拌して、界面活性剤の完全な溶解を保証した。1.40mlの溶液5のアリコットを攪拌溶液に滴下し、続いて複合アルコキシド混合物を添加した。得られた試料を110分間攪拌し、SiO2/TiO2混合酸化物マイクロスフィアを得た。最終生成物を濾過し、ケロセンの三回分の20mlアリコットで洗浄して残存界面活性剤を除去し、雰囲気温度にて24時間乾燥し、次いで、60℃にて一晩乾燥した。得られたマイクロスフィアのSEM顕微鏡写真を図22に示す。
【0070】
本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の他の変形および修飾を記載した具体例に対して成すことができることは認識されるべきである。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子の製法、かかる製法によって調製された実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、本発明による制御放出セラミック粒子を含む組成物および本発明による制御放出セラミック粒子の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
薬物カプセル化および制御放出用の現在の戦略は、典型的には、ポリマー、リポソームおよびミセルのごとき有機溶媒を用いる。
(a)ポリマー系は広く以下のごとく分類することができる:
・ 不活性マトリックス系。ここに、薬物は不活性で非分解性ポリマーマトリックス内部に捕捉され、その放出は多孔性ネットワークを通じる拡散によって制御される。そのような非生分解性ポリマー粒子のイン・ビボ投与は、ポリマーが細胞内「ポケット」(例えば、リポソーム)または組織に濃縮され、非代謝物質の重篤な過剰負荷を誘導するという事実によって制限される。これは、経皮パッチ等に対するそれらの使用を制限する。もう1つの重要な制限は、それが体内の特異的部位によって活性化されないので放出が非特異的であるということである。最後に、薬物分子は、そのようなマトリックス内で固有に小さな拡散係数を呈し、強力な薬物に対するそれらの広い適用を制限する。
・ 貯蔵器系。ここに、有効成分の放出はカプセル化膜、中空繊維等を通じての拡散によって制御される。これらの系の鍵となる制限はそれらの低い機械的強度および化学的抵抗性である。というのは、制御膜は比較的脆く容易に塞がれるからである。
・ 化学的系。ここに、活性な分子は、生分解性マトリックス(例えば、ポリオルトエステルおよびポリアンヒドリドのごときポリマー)の内部に分散される。放出速度、好ましくは、マトリックスの不均一な(表面)溶解/分解によって制御される。これは、ポリ(グリコール酸)、ポリ(DL)乳酸、ポリ(グリコール−共乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキシアノンのごとき生解性ポリマーに対するマトリックスとして使用できるポリマーの範囲を制限する。
溶媒−活性化系(ヒドロゲル)。ここに、マトリックスは特異的溶質/溶媒系の存在下で膨潤し、引き続いてカプセル化種が放出される。しかしながら、そのようなポリマーは、余りにも迅速に膨潤して治療的に有用な放出速度を提供できないことが多く、これらの系の開発は依然としてその幼児期にある。そのような制御された送達系において、送達は、マトリックス構造(例えば、ポアネットワークの湾曲)、粒子サイズ、総じての薬物負荷またはマトリックス溶解性いずれかによって制御される。ポリマー系の制限は、それらが典型的にはこれらの特徴の内1つまたはせいぜい2つを利用するに過ぎず、薬物のいずれかの変化が通常はマトリックス系の再処方を必要とすることである。対照的に、本発明の重要な特徴は、同一の基礎となる化学を用いてこれらの特徴の全てを操作することができることであり、これは、特異的適用のための制御放出マトリックスの設計に対するより上位概念的アプローチを提供する。
さらに、制御薬物放出の能力を有するものとして同定されてきた多くのポリマー材料があるが、ヒトまたは動物医薬製品いずれかで用いるために認可されたものは比較的少ない。
(b)リポソームは最も高度に進化した担体系であるが、イン・ビボ安定性、熟成および制限された保存寿命に関して問題がある。
(c)(温度、濃度、溶液種形成等に依存する)ミセルの熱力学的不安定性は、制御放出に対するそれらの適用性を制限する。また、それらは固有に低い薬物負荷を呈する。
(d)バイオセラミックスは、骨−修復手法(骨の再建を促進する不活性なバイオセラミックス、多孔性活性セラミックス)で用いられる。不活性バイオセラミックスは純粋に機械的適用、例えば(それらの低い摩擦係数による)尻関節−典型的にはAl2O3またはY−TZPを有する。多孔性セラミックス(典型的にはヒドロキシアパタイト)は骨形成のための構造的ブリッジおよび「足場」として働く。生活体性ガラスは、実質的に機械的な力に抵抗する組織成長のための界面層を供する。また、生体活性ガラスは、生体活性物質の制御された送達のためのマトリックスとして提案されてきた。
【0003】
ゾル−ゲルベースのプロセスによって調製されたマトリックスに対して種々の特許が発行されてきた。例えば:
米国特許第5,591,453号(7/1/97発行)は、生物学的活性分子の制御放出用のゾル−ゲルシリカマトリックスを用いることを開示する。引用された適用は骨再建のためのものであり、大きなゲルモノリスまたは顆粒(典型的には0.5ないし5mm)に制限されていた。該放出は、薬物負荷または容量に対する表面の比率を変化させることによって制御される。マトリックスと薬物との間の考えられる相互作用は無視された。
英国特許1 590 574(3/6/81発行)は、ゾル−ゲルマトリックスに生物学的活性成分を一体化させる概念を開示する。数ミクロンないし数ミリメートルのサイズ範囲の実質的に球形粒子としての具体例が考えられた。マトリックスからの生物学的活性な成分の放出速度は、媒質のpH、粒子のサイズおよびゲルの組成/多孔度/構造/水分含量/親水度を含めた多数の因子に依存するであろうと記載されていた。与えられた1つの例は、それから最初にカプセル化されたイミプラミンの全てが5分内に放出されるベーマイトゾルから製造された噴霧乾燥粒子であった。WO 9745367(4/12/97発行)は、予備燒結粒子(1ないし500μm)またはディスクへの含浸によってそれに生物学的活性剤が一体化されたゾル−ゲルプロセスを介して調製された制御可能に溶解可能なシリカキセロゲルを開示する。放出は、キセロゲルの寸法および化学的組成を変化させることによって制御された。WO 0050349(2000年8月31日発行)は、繊維の合成の間に生物学的活性剤がそれに一体化されたゾル−ゲルプロセスを介して調製された制御可能な生分解性シリカ繊維を開示する。放出は、一義的には、繊維の溶解速度を変化させることによって制御された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,591,453号(7/1/97発行)
【特許文献2】英国特許1 590 574(3/6/81発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の目的)
本発明の目的は制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子の製法、かかる製法によって調製された実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、そのような制御放出セラミック粒子を含む組成物およびそのような制御放出セラミック粒子の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の記載)
本発明の具体例によると、制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、該活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出することができる。
制御放出セラミック粒子は機能性化するかまたは誘導体化することができる。
本発明のもう1つの具体例により、制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、ここに:
(a)活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出でき;および
(b)該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで分解から実質的に保護されている。
換言すると、前記具体例において、粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、ここに、活性物質は粒子から放出することができ、および粒子中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように粒子内に一体化されている。
粒子の製造の間に、粒子が約2重量%未満の活性剤、典型的には0.1−2重量%の間、より典型的には0.5−2重量%、なおより典型的には1−2重量%の間の界面活性剤を含むように、界面活性剤は典型的には粒子から除去される。
典型的には、セラミック粒子はシリカ、ジルコニアおよびチタニアよりなる群から選択される酸化物を含む。
本発明の制御放出セラミック粒子は、有利には、ゾルゲルプロセスによって調製することができる。
セラミック粒子は凍結乾燥された粒子の形態とすることができるか、あるいは別法として、それらは溶液中に分散させることができる。典型的には、粒子が凍結乾燥粒子の形態である場合、それらはイオン性塩と混合されるか、または該塩を含むマトリックス中に混合される。
本発明の1つの具体例により、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、およびここに、活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出することができる。
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子は機能性化することができる。
本発明の実質的に単分散された制御放出セラミック粒子は、有利には、ゾルゲルプロセスによって製造することができる。
本発明のもう1つの具体例により、実質的に単分散された制御放出セラミック粒子が提供され、ここに、該粒子の各々は粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、ここに:
(c)活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出でき;および
(d)該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。
実質的に単分散された制御放出セラミック粒子は機能性化することができるか、または誘導体化することができる。
該粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出速度は:活性物質(複数活性物質)の性質、粒子特性および外部環境の1以上によって制御される。
活性物質(複数活性物質)が、粒子から、活性物質(複数活性物質)の活性に実質的に影響しない環境に放出される場合、粒子から放出された活性物質(複数活性物質)の活性は実質的に保持される。
貯蔵、輸送および取り扱いについて選択された通常の条件下、使用の環境において、該粒子中の活性物質(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。貯蔵、輸送または取り扱いの通常の条件例は、粒子それ自体に対して腐食性でない環境における粒子の貯蔵、輸送または取り扱いを含む。また、貯蔵、輸送または取り扱いの通常の条件は、通常は、(分解性ガスまたは液体のごとき)環境中の分解性物質が粒子に入ることができ、粒子中の活性物質(複数活性物質)を分解できる環境への粒子の暴露は含まない。
また、本発明は、実質的に単分散された制御放出セラミック粒子の製法およびかかる製法によって製造された粒子を提供する。
【0007】
プロセス1
本発明の1つの具体例により:
(a)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0008】
プロセス2
本発明のもう1つの具体例により:
(a’)界面活性剤と非極性溶媒および親水性の第1の(またはいくつかの)活性物質(類)とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b’)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および所望により可溶性の第2の(またはいくつかの)活性物質(類)を、(a’)で用いた非極性溶媒と非混和性の極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c’)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散している。
【0009】
プロセス3
本発明のさらなる具体例により:
(a”)ゲル前駆体、1つの(またはいくつかの)活性物質(類)および所望により溶媒を混合することによって前駆体溶液を調製し;
(b”)触媒、縮合剤および所望により溶媒を混合することによって縮合溶液を調製し、該縮合溶液は該前駆体溶液と実質的に非混和性であり;
(c”)前駆体溶液および縮合溶液を合わせて混合物を形成し、次いで、界面活性剤の不存在下で混合物を自然に乳化することによってエマルジョンを調製し;次いで
(d”)エマルジョン中で前駆体を縮合することによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)は該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。この具体例では、活性物質は、ゲル前駆体中に、または溶媒と一緒にゲル前駆体中に溶解することができるものである。加えて、触媒は、縮合剤中に、または溶媒と共に縮合剤中に溶解できるものである。工程(a”)において言及される溶媒は工程(b”)において言及された溶媒と同一または異なってよい。
【0010】
プロセス4
本発明のさらにもう1つの具体例において:
(a”’)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b”’)触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を極性溶媒に溶解させることによって親水性溶液を調製し;
(c”’)逆ミセル溶液および親水性溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;
(d”’) ゲル前駆体をエマルジョンに添加し;次いで
(e”’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が、該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを特徴とする制御放出セラミック粒子の製法が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0011】
プロセス1の生成物
本発明のもう1つの具体例により:
(a)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を非極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散している。
【0012】
プロセス2の生成物
本発明のさらにもう1つの具体例により:
(a’)界面活性剤と非極性溶媒および1つの(またはいくつかの)親水性の第1の活性物質(類)とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b’)ゲル前駆体、触媒、縮合剤および所望により可溶性の第2の(またはいつくかの)活性物質(類)を、(a’)において用いた非極性溶媒と非混和性の極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(c’)逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0013】
プロセス3の生成物
本発明のなおさらなる具体例により:
(a”)ゲル前駆体、1つの(またはいくつかの)活性物質(類)および所望により溶媒を混合することによって前駆体溶液を調製し;
(b”)触媒、縮合剤および所望により溶媒を混合することによって縮合溶液を調製し、該縮合溶液は該前駆体溶液と実質的に非混和性であり;
(c”)前駆体溶液および縮合溶液を合わせて混合物を形成させ、次いで、界面活性剤の不存在下で混合物を自然に乳化させることによってエマルジョンを調製し;次いで
(d”)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)は該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は実質的に単分散されている。
【0014】
プロセス4の生成物
本発明のなおもう1つの具体例により;
(a”’)界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し;
(b”’)触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を極性溶媒に溶解させることによって親水性溶液を調製し;
(c”’)逆ミセル溶液および親水性溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;
(d”’)ゲル前駆体をエマルジョンに添加し;次いで
(e”’)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)が該粒子の各々から放出できる制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことによって調製された制御放出セラミック粒子が提供される。
通常、粒子は単分散されている。
【0015】
本発明の製法によって調整された制御放出または実質的に単分散した制御放出セラミック粒子は機能性化することができるか、または誘導体化することができる。
通常、本発明の製法によって調整された制御放出または実質的に単分散された制御放出セラミック粒子において、該粒子中の活性物(複数活性物質)は、粒子からの活性物質(複数活性物質)の放出まで実質的に分解から保護されている。
本発明の製法は、セラミック粒子を分離し、粒子から、溶媒および(界面活性剤のごとき)もう1つの物質を典型的には含む溶液を除去する工程を含むことができる。分離の工程は、例えば、溶媒および界面活性剤の濾過、洗浄、蒸発またはデカンテーションのごとき公知の技術によって達成することができる。
溶媒(および界面活性剤)の除去は、セラミック粒子を適切な溶媒または溶媒の組み合せですすぎおよび/または洗浄し、続いて粒子から残存する溶媒を取り除くことによって行うことができる。これは、例えば、粒子から残存する溶媒を吸収するごとき公知の技術によって、あるいはセラミック粒子を蒸発および/または乾燥することによって達成することができる。
【0016】
別法として、溶媒(および界面活性剤)の除去は、例えば、粒子から溶媒(および界面活性剤)を吸収することによって、あるいはセラミック粒子を蒸発および/または乾燥することによって分離の後に行うことができる。
溶媒(および界面活性剤)がセラミック粒子から除去されてしまうと、それらは通常は制御放出セラミックキセロゲル粒子という。制御放出シリカキセロゲル粒子は特に好ましい。
典型的には、セラミック粒子がそこに形成された後、NaClまたは他の適切なイオン性塩(最終用途に応じ、例えば、KI、KBr、KCl、NaBr、NaI、LiCl、LiBr、LiI、CaCl2、MgCl2、NH4NO3、NaNO3、KNO3、INO3など)を添加してエマルジョンを脱安定化させる。本発明者らは、NaClのごときイオン性塩の添加なくして、得られたセラミック粒子上の残存する界面活性剤の重量%は、NaClを用いてエマルジョンを破壊した場合よりもかなり高いことを見出した。洗浄/エマルジョン破壊のための(NaCl+CHCl3)の使用は、得られたセラミック粒子上の<1.5重量%の残存する界面活性剤に導いた。
界面活性剤を除去する目的はオプソニ化(オプソニ化:セラミック粒子上への蛋白質および/または抗体の結合)を回避することにある。というのは、粒子が対象から拒絶されるか否かをこれが決定するからである。蛋白質アッセイを用いる本発明のセラミック粒子の予備的テストは:(a)高界面活性剤(11.4重量%)を含む粒子:40.5μgの吸着された蛋白質;および(b)低界面活性剤を含む粒子(2.4重量%:27μgの吸着された蛋白質)を示す。さらに、デカンテーションによって洗浄して、濾過の間の凝集を回避するのが好ましい(臨界的なのは溶液中の平均サイズである)。
凝集を防ぎつつ粒子を乾燥する1つの方法は、粒子を凍結乾燥することである。
本発明者らは、これは、NaClまたは他の適切なイオン性塩(例えば、NaBr、NaI、KI、KBr、KCl、LiI、LiCl、LiBr等)を添加して、凍結乾燥の間に粒子を保護し、NaClの脈石中に粒子をカプセル化することによって達成できることを見出した(図17)。かくして、本発明の製法は、さらに、イオン性塩をエマルジョンに添加することによって、エマルジョンから、形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離し、それにより、粒子が得られた溶液中に分散し、溶液を凍結乾燥して、未凝集セラミック粒子がイオン性塩のマトリックス内に単離された固体を形成する工程を含むことができる。また、この製法は得られた溶液を洗浄する工程を含むことができる。典型的には、洗浄工程を行って、界面活性剤および他の物質の量を実質的に低下させる(典型的には、界面活性剤は2重量%未満まで、典型的には0.5−2重量%まで低下する)。「得られた領域」とは、イオン性塩の添加によってエマルジョンが破壊される場合に形成される溶液を意味する。かくして、典型的には、得られた溶液は水性溶液であり、イオン性塩はNaClである。そのような場合において、水性溶液は典型的には有機溶媒で洗浄する。適切な有機溶媒はクロロホルム、ブロモロホルムおよびヨードホルムを含み、他の適切な有機溶媒は当該分野で知られている。
乾燥プロセスの例は、相互参照によってその内容をここに一体化させるACS Symposium 520, Polymeric delivery systems, properties and applications, I.C. Jacobs およびN.S.Mason, Chapter 1, Polymer Delivery Systems Concepts, pp.1−17, 1993に記載されている。
【0017】
本発明のもう1つの具体例は、許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントと共に、本発明による制御放出セラミック粒子を含む組成物を提供する。
本発明のさらなる具体例は、本発明の制御放出セラミック粒子または本発明による組成物を、遺伝子座を治療するのに有効な量にて遺伝子座に適用することを特徴とする遺伝子座の治療方法を提供する。
本発明のもう1つの具体例は、本発明の制御放出セラミック粒子または本発明による組成物を、対象を治療するのに有効な量にて対象に投与することを特徴とする対象の治療方法を提供する。
本発明のさらなる具体例は、本発明の制御放出セラミック粒子または本発明による組成物を、対象を治療するのに有効な量にて対象に投与することを特徴とする対象の治療方法を提供する。
本発明のセラミックミクロ粒子はゾル−ゲルベースのプロセスによって調製され、ここに、ゲル前駆体の加水分解、続いての縮合によって、活性物質の存在下、(遷移金属、ケイ素等を含めた)適切な金属の部分的に加水分解された酸化物が調製される。ゲル前駆体は、ケイ素酸化物ゲル前駆体、遷移金属酸化物前駆体等を含めた金属酸化物ゲル前駆体であり得る。選択されたゲル前駆体の同一性、すなわち、本発明のプロセスで、ケイ素酸化物ゲル前駆体または特定金属酸化物ゲル前駆体を使用のために選択するかは、セラミック粒子の意図された使用、特に、セラミック粒子の意図した使用のためにゲル前駆体の縮合に由来する最終生成物の適当性に依存するであろう。ゲル前駆体は、典型的には、シリカ−ベースのゲル前駆体、アルミナーベースのゲル前駆体、二酸化チタンーベースのゲル前駆体、鉄酸化物ベースのゲル前駆体、二酸化ジルコニウム−ベースのゲル前駆体またはそれらのいずれかの組合せである。機能性化された、誘導体化されたまたは部分的に加水分解されたゲル前駆体を用いることができる。
シリカでは、便宜のために、4つのカテゴリ−、シリケート(酢酸ケイ素、ケイ酸またはその塩)、シルセキオキサンおよびポリ−シルセキオキサン、(ケイ素メトキシド(C1)ないしケイ素オクタデシルオキシド(C18)までの)ケイ素アルコキシド、および(エチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のごとき)ORMOCER生産のための機能性化アルコキシドに分けることができる優れたケイ素前駆体の長いリストがある。シリカ−ベースのゲル前駆体のさらなる具体的例はテトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、テトラプロコキシシラン(TPOS)、ポリジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、オクチルポリシルセスキオキサンおよびヘキシルポリシルセスキオキサンを含む。
アルミナーベースのゲル前駆体の例はアルミニウムエトキシド、アルミニウムn−またはイソープロポキシド、アルミニウムn−またはsec−またはtert−ブトキシドを含む。また、カルボン酸(酢酸、メタクリル酸、2−エチルヘキサン酸等)またはアセチルアセトン、エチル−アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、または他の錯化剤のごときベータジ−ケトンを用いてアルコキシドを修飾することもできる。加水分解に際しては、ORMOCER(有機的に修飾されたセラミックス)粒子が典型的には形成される。シリカに関しては、それらは、薬物とセラミックマトリックスとの相互作用を防止するのに有用であり得る。
チタンまたはジルコニウムゲル前駆体の例はアルコキシド(エトキシド、プロポキシド、ブトキシド)、金属塩(塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、硝酸塩)および酸およびベータジケトン錯体を含む。
【0018】
シリカゲル前駆体または金属酸化物ゲル酸化剤は、各々が1以上の酸素原子、および1ないし18の炭素原子、より典型的には1ないし5の炭素原子を有する1ないし4のアルコキシド基を含むことができる。アルコキシド基は1以上の適切な修飾基によって置き換えることができるか、あるいは1以上の適切な誘導体化基によって機能性化または誘導体化することができる(相互参照によってその内容をここに一体化させるK.Tsuru et al. ,J.Material Sci,Mater. Medicine, 1997,8参照。
典型的には、シリカゲル前駆体はケイ素アルコキシドまたはケイ素アルキルアルコキシドである。適切なケイ素アルコキシド前駆体の特別の例はメトキシド、エトキシド、イソープロポキシド、ブロポキシドおよびペンチルオキシオのごときを含む。適切なケイ素または金属アルキル(またはフェニル)アルコキシド前駆体の特別な例はメチルトリメトキシシラン、ジ−メチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ等を含む。別法として、シリカゲル前駆体はケイ素カルボキシレートであり得る。例えば、アセテート、タルトレート、オキサレート、ラクテート、プロピレート、ホルメートまたはシトレート。シリカゲル前駆体に付着した他の官能基の例はエステル、アルキルアミンおよびアミドを含む。
典型的には、金属酸化物ゲル前駆体は、誘導体化または機能性化できる金属アルコキシドである。典型的には、遷移金属酸化物ゲル前駆体は遷移金属アルコキシドであり、ランタニド金属酸化物ゲル前駆体はランタニド金属アルコキシドである。適切な金属酸化物前駆体の例はメトキシド、エトキシド、イソ−プロポキシド、ブチルオキシドおよびペンチルオキシドを含む。別法として、金属酸化物ゲル前駆体は金属カルボキシレートまたは金属β−ジケトネート、例えば、アセテート、タルトレート、オキサレート、ラクテート、プロピレート、ホルメート、シトレートまたはアセチルアセトネートであり得る。金属酸化物前駆体に付着した他の官能基の例はエステル、アルキルアミンおよびアミドを含む。1種類以上の金属イオンまたはランタニドイオンを存在させることができる(例えば、ケイ素チタン酸化物、実施例23参照)。
ゲル−ゾルプロセッシングは適切な前駆体の加水分解および縮合に基づいており、これは、ほとんどの場合、アルコキシド(修飾されたまたは修飾されていないもの)と水との反応を含む(すなわち、加水分解工程)。かくして、水が典型的には縮合剤として用いられる。かくして、典型的な反応スキームは図16に示されるごとく表すことができる。
プロセス3を介して非水ゾル−ゲル経路を用いる場合、水以外の適切な縮合剤を用いることができる。プロセス3を介して考えられるいくつかの非水方法の例は以下の通りである:
・ 非水性系におけるヒドロキシル化。
・ 非プロトン性縮合反応。
・ カルボキシレート官能基でアルコキシドを縮合することによるエステル脱離反応。
・ アルコキシドをアルコキシドで縮合し、かくして、ジアルキルエーテルを遊離させることによるエーテル脱離。
・ ハロゲン化水素またはケトン(Znアルコキシドのごとき塩基性アルコキシドの場合)とアルコキシドとの反応を介する加水分解を含まないオキソ化。
・ ジアルキルエーテルまたはジアルキルケトンのごとき有機酸素ドナーとハロゲン化金属との反応。
後者の2つの反応は多くの適用で不適切であり得る。というのは、それらはハロゲン化金属の使用を含み、該使用は、今度は、きわめて毒性が強く、洗浄によって除去するのは困難であろう塩素化化合物を生じさせるからである。
【0019】
適当な界面活性剤は、例えば、ソルビタン、ポリエーテル、ポリオキシエチレン、スルホスクシネート、ホスフェート、カルボキシレート、スルフェート、アミノまたはアセチルアセトネートのごとき親水性ヘッド基および疎水性テール基を有する直鎖炭化水素である。該テール基は、例えば、約8ないし24の炭素原子、好ましくは約12ないし18の炭素原子を有することができる直鎖または分岐鎖炭化水素であり得る。それは、例えば、イソ−オクチルフェニルのごとき芳香族基を含むことができる。
(A)界面活性剤を分類する第1の方法はそれらのHLBに従う(親水性親油性バランス、相互参照によりその内容(43‐90ページ)を一体化させる「‘Detergents and Cleaners: A Handbook for Cleaners」’, Hanser/Gardner Publications. Inc, Ohio, USA.1994, pp.43−90中のM.F.Coxの論文の第48ページ参照)。
a)HLB>10を持つ界面活性剤は典型的には水中油型エマルジョンで用いる。
b)HLB<10を持つ界面活性剤は典型的には油中水型エマルジョンで用いる。界面活性剤の混合物は、通常、いずれかの海面活性剤単独よりも安定したエマ
ルジョンを形成する。
(B)また、界面活性剤はそれらの電荷、すなわち、カチオン性、アニオン性またはノニオン性に従って分類することもできるが、そのような分類は本発明では重要でない。一般に、ノニオン性界面活性剤が典型的には好ましい。というのは、それらは洗浄によってより容易に除去することができるからである。イオン性タイプは酸化物粒子の表面を複合体化する傾向があるが、表面のpHを変化させることによって(すなわち、酸または塩基での洗浄)除去できることが多い。
【0020】
より重要なのは、サイズによる経験的分類である。エマルジョン中でのセラミック粒子合成に関する文献の広範なレビューは以下のことを示唆する:
1) ソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、モノパルミテート、モノステアレート(商品名Span下で販売)を用いて粒子>1μmを供することができる。
2) 商品名Triton下で販売されているアルキルフェノールエトキシレートとも呼ばれるアルキルアリールポリエーテルを用いて、0.5μmよりも小さな粒子を供することができる。
3) また、アルコールエトキシレートを用いて、油中水型エマルジョン中でナノ粒子を合成する。それらは商品名Brij(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)およびTween(ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート)下で販売されている。典型的には、そのような界面活性剤を用いて、1μm未満の粒子を合成することができる。
4) AOTまたはアエロゾルOTあるいはビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムは、5nmないし1μmの粒子を合成するのに用いられるアニオン性界面活性剤である
また、ブロック−コポリマーのごとき使用できる他の界面活性剤がある。界面活性剤/溶媒の性質の選択は粒子サイズの範囲を決定する。粒子サイズはH(水/金属)と共に増加し、S(界面活性剤/金属)と共に減少する:
−粒子サイズはR(水/界面活性剤)と共に増加する。
−液滴サイズはRと共に増加する。
−より多い水=より大きな液滴=より大きなミクロ−リアクター
【0021】
粒子サイズ範囲の制御は、界面活性剤の選択およびRの調整によって達成される(粒子サイズは、R(水/界面活性剤)および/または界面活性剤/溶媒を変化させることによって、50‐500nmの範囲で仕立てることができる。触媒は酸性もしくは塩基性触媒であってよく、一般には、活性物質と適合するように選択され、すなわち、それは、活性物質を脱活性化しないように選択される。酸性触媒の例は硫酸、リン酸、HClおよびHNO3のごとき鉱酸を含む。酢酸、酒石酸、コハク酸およびサリチル酸のごとき有機酸を用いることができる。塩基性触媒の例はNaOH、KOH、水酸化アンモニウム、Ca(OH)2等を含む。
本質的には、触媒はゲル前駆体および縮合剤の間の反応を触媒する。
加水分解、ミセル形成および熟成が起こる溶液のpHおよびイオン強度は、活性物質の性質に応じて広い範囲にわたって変化することができる。しかしながら、加水分解の速度、熟成の速度または縮合の速度はこれらのパラメーターによって影響され、金属酸化物前駆体に従って変化することができる。一般に、熟成プロセスで用いられるpHは約0−14の範囲とすることができ、典型的には約1‐11の間である。酸性触媒を用いる場合、pHの範囲は典型的には1−6.5であり、なおより典型的には1‐4.5である。塩基性触媒を用いる場合、pHの範囲は典型的には7−14、より典型的には7−11である。縮合が行われるpHは、通常、(活性物質の性質または界面活性剤の安定性に依存するであろう)活性物質の活性に実質的に影響しない値になるように、またはそのようなあるpH範囲内になるように選択される。当業者であれば、例えば、本明細書中に記載された方法を用い、特定のゲル前駆体/活性物質の組合せにつき最適なpHおよびイオン強度を決定することができるであろう。酸性触媒を用いる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得るpHの他の範囲は1−7、1−6、1−5、1−4、1−3、1−2、2−7、2−6、2−5、2−4、2−3、3−7、3−6、3−5、3−4、4−7、4−6、4−5、5−7、5−6または6−7である。酸性触媒を用いる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得る具体的なpHは1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5および7を含む。塩基性触媒が用いられる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得るpHの他の範囲は7−14、7−13、7−12,7−11,7−10,7−9,7−8,8−14,8−13,8−12,8−11,8−10,8−9,9−14,9−12,9−11,9−10,10−14,11−13または11−12である。塩基性触媒が用いられる場合に加水分解、ミセル形成および熟成が起こり得る具体的pHは、7.5,8,8.5,9,9.5,10,10.5,11,11.5,12,12.5,13および13.5を含む。
最大プロセッシングおよび熟成温度は典型的には0−100℃の範囲にあるが、より典型的には室温程度、20−30℃である。プロセッシングおよび熟成の最大温度は用いる溶媒の揮発性に依存する。典型的には、本発明のプロセッシングは1℃−100℃、0℃−75℃、0℃−50℃、1℃−50℃、10℃−100℃、1℃−75℃、より典型的には0℃−40℃、1℃−40℃、5℃−40℃、10℃−40℃、15℃−40℃、20℃−40℃、25℃−40℃、30℃−40℃または35℃−40℃の範囲の温度で行われる。典型的には熟成は0℃−100℃の範囲、より典型的には0℃−75℃、0℃−50℃、0℃−40℃、5℃−40℃、10℃−40℃、15℃−40℃、20℃−40℃、25℃−40℃、30℃−40℃または35℃−40℃の範囲の温度で行われる。
熟成時間は典型的には0−30日の間であるが、より典型的には30分ないし12時間、なおより典型的には1時間である。典型的には、熟成は30分ないし5週間、より典型的には0.5時間−4週間、0.75時間―4週間、1時間―4週間、0.5時間―3週間、0.75時間―3週間、1時間―3週間、0.5時間―2週間、0.75時間―2週間、1時間−2週間、0.5時間―1週間、0.75時間―1週間、1時間−1週間、0.5時間−5日、0.75時間―5日、1時間―5日、0.5時間―3日、0.75時間―3日、1時間―3日、0.5時間―2日、0.75時間―2日、1時間−2日、0.5時間−1日、0.75時間―1日、1時間−1日、0.5時間―20時間、0.75時間―20時間、1時間―20時間、1時間―15時間、2時間―15時間、3時間−15時間、1時間―10時間、2時間−10時間、3時間―10時間、1時間―5時間、2時間―5時間または3時間―5時間の範囲の時間で行われる。
乾燥温度は超臨界乾燥では−196℃(凍結乾燥では液体窒素中)ないし300℃とすることができるが、より典型的には20℃ないし80℃である。最大温度は、粒子中にカプセル化された有効成分(複数有効成分)の熱的安定性によって指示される。典型的には、乾燥は10℃―50℃、より典型的には12℃―40℃、15℃―40℃、17℃―40℃、19℃―40℃、20℃−40℃、25℃―40℃、30℃―40℃または35℃―40℃の範囲の温度で行われる。
乾燥時間は典型的には30分―30日の間であるが、より典型的には1日ないし1週間、なおより典型的には0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6日である。
粒子サイズは、典型的には、1nmおよび100μmの間に仕立てることができるが、より典型的には10nmおよび50μmの間である。制御放出セラミック粒子の粒子サイズは1nm−100μm、1nm−90μm、1nm−80μm、1nm−70μm、1nm−60μm、1nm−50μm、1nm−40μm、1nm−30μm、1nm−20μm、1nm−10μm、1nm−7.5μm、1nm−5μm、1nm−2.5μm、1nm−1.5μm、1nm−1μm、1nm−0.5μm、1nm−0.1μm、10nm−100nm、10nm−50μm、10nm−20μm、100nm−100μm、100nm−50μm、100nm−10μm、100nm−10μm、500nm−100μm、500nm−50μm、500nm−10μm、500nm−1μm、750nm−100μm、750nm−50μm、750nm−10μm、750nm−1μm、1−100μm、1−50μm、1−25μm、1−10μm,10−100μm、10−75μm,10−65μm、10−55μm,10−50μm、10−45μm、10−35μm、10−25μm、10−15μm、1−10μm、1−7.5μm、1−6.5μm、1−5.5μm、1−4.5μm、1−3.5μm、1−2.5μm、1−1.5μmの範囲とすることができる。
【0022】
ミクロ粒子の元素組成はそれらの制御放出特性に影響し得る。かくして、C、Fe、Ti、N、Cl、Mg、P、Ca、Kおよび/またはNaのごとき元素をもたらす添加物またはセラミック粒子に含まれる他の適切な元素を、本発明の製法が行われるいずれかの実質的縮合反応に先立って添加して、所望の粒子の組成を変化させることができる。添加剤の他の例は、相互参照によってその内容をここに一体化させるD.Avnir et al.、Chemistry of Materials,6,1605‐1614,1994
セラミック粒子の特性を制御するのに用いることができる他のパラメーターはゲル前駆体:水比率、ゲル前駆体:混和性溶媒比率、水:混和性溶媒比率、セラミック粒子のサイズ、セラミック粒子の化学的組成、熟成条件および縮合速度を含む。
セラミック粒子からの活性物質の制御放出速度は、本明細書を通じて述べた種々のパラメーターおよび添加物を適切に調整することによって所望の速度に調整することができる。
本発明の組成物および方法における活性物質の性質は意図した使用に依存するであろう。いずれかの有意な程度まで起こる縮合に先立って、有効量の活性物質を適切な混合物に添加する。
1を超える活性物質を本発明のセラミック粒子に配合することができる(例えば、1、2、3、4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上の活性物質)。
活性物質は、有機、無機またはオルガノ金属医薬的活性化合物、アミノ酸、ポリアミノ酸、核酸、ポリペプチド、蛋白質、例えば、ホルモン、酵素およびグロブリン、ならびにビタミンまたはそれらの混合物のようないずれの生物学的に活性な物質であってもよい。リポソームに配合され、相互参照によってその内容をここに一体化させるG.Gregoriadis編集「Liposomes」、Drug Carriers in Biology and Medicine,pp.287‐341,Academic Press, New York,1979に記載された活性物質もまた本発明のセラミック粒子に配合することができる。それから医薬上活性な化合物を選択し、本発明のプロセスを介して本発明のセラミック粒子に配合することができる医薬のクラスの例は抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、麻酔剤、筋肉弛緩剤、抗炎症剤、抗鬱剤、抗凝固剤、坑精神病薬、坑高血圧剤、坑喘息剤、坑痙攣剤、坑ウイルス剤および坑糖尿病剤を含む。医薬上活性な物質の例は、相互参照によってその内容をここに一体化させる米国特許第4,952,402号、第4,474,752号および第5,952,004号に開示されている。活性物質は、放射性標識蛋白質(放射性標識蛋白質の非包括的リストの例については、相互参照によってその内容をここに一体化させる、例えば、米国特許第5,736,120号参照)および放射性標識炭水化物を含めた放射性医薬(放射性医薬の非包括的リストの例については、相互参照によりその内容を一体化させる、例えば米国特許第5,762,907号、第5,550,160号および第5,496,533,号参照)とすることができるか、あるいは活性物質は放射性トレーサーとすることができる。典型的には、生物学的活性物質はヒト使用または動物使用に適する。他のクラスの活性物質は殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺ダニ剤、殺虫剤、農薬、坑微生物剤、香料、フラグランス、着色剤またはそれらの混合物を含む。
【0023】
本発明の製法で用いる極性溶媒は水または極性有機溶媒とすることができる。有機溶媒は、典型的には、加水分解で用いる水に加えて本発明のいくつかのプロセスで用いられる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールまたはtert−ブタノールのごときn−,sec−またはtert−C1−C6アルカノールならびにアセトンおよびメチルエチルケトンのごときケトン、ジプロピルアミンのごときアミン、酢酸メチルのごときエステル、水可溶性エーテル、エチレングリコールまたはジーまたはトリーエチレングリコールのごとき多価アルコールのような水と混和性であって、極性である有機溶媒または水に部分的にしか溶解できない溶媒を用いることができる。本発明のプロセスで用いることができる非極性の溶媒の例はアルカン(ヘキサン(C6)ないしドデカン(C12)およびシクロヘキサンのごときシクロアルカン)、芳香族化合物(例えば、トルエン、ベンゼン)およびケロセンのごとき市販の混合物を含む。本発明の1つのプロセスにおいて、例えば、金属アルコキシドのごとき金属ゲル前駆体を、例えば、エタノールのごとき水混和性極性有機溶媒に溶解させる。水を金属アルコキシド溶液に添加するか、(あるいは、水を最初の例では有機溶媒に含ませることができる)。活性物質を添加して溶液または分散液を得る。活性物質は、有機溶媒または水中の溶液、あるいは有機溶媒および水の混合物として添加することができる。塩基(例えば、NaOH ,KOH、NH3等)または酸(HCl、HNO3、酢酸、ギ酸等)を、活性物質の活性に実質的に悪影響しないように(活性物質の性質に応じて)触媒として添加する。混合物は室温で混合する。次いで、混合物を攪拌しつつ逆ミセル溶液に添加して、エマルジョンを形成させ、(攪拌下で)熟成させて、実質的に単分散したセラミック粒子を形成させる。次いで、典型的には、濾過および洗浄のごとき標準的な技術によって、実質的に単分散した粒子を合わせた混合物から分離する。典型的には、活性物質が実質的に不溶性であるか、またはほとんど溶けない溶媒で洗浄することによって、界面活性剤を除去する。次いで、典型的には、セラミック粒子を乾燥し、乾燥プロセスの間に、いずれの過剰な溶媒もセラミック粒子から除去する。
所望ならば、他の分子を、本発明のセラミック粒子に付着させるか、あるいはそれにカップリングさせるか、あるいはその上にコーティングすることができる。
例えば、抗体または受容体分子のごとき標的化分子を、本発明のセラミック粒子に付着させるか、あるいはそれにカップリングさせるか、あるいはその上にコーティングすることができる。活性な標的化分子の例は、相互参照によりその全ての内容をここに一体化させるF. Carli, La Chimica & Industria, 404−498, 1999年, L.Brannon−Peppas et al.、 Polymer News 22,316−318、 and A.V.Kabanov and V.Y.Lalkhov,J.Controlled Release, 28, 15−35(1994年)に記載されている。
【0024】
本発明の適用は、医薬、ホルモン、蛋白質等の送達および制御放出を含む。肥料、農薬、除草剤、殺虫剤、殺生物剤、香料等の制御放出も本発明の範囲内のものである。
制御放出セラミック粒子を、制御放出セラミック粒子を含む組成物の形態で用いる場合、意図した使用に適した担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントを用いる。かくして、活性物質が(a)肥料である場合、農業上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(b)農薬である場合、農薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(c)除草剤である場合、除草剤上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(d)殺虫剤である場合、殺虫剤上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(e)殺生物剤である場合、殺生物剤上許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントが用いられ;(f)香料である場合、香料に許容される担体または希釈剤が用いられ;(g)医薬である場合、医薬上許容される担体または希釈剤またはアジュバントが用いられ;(h)動物製品である場合、動物用途に適した担体または希釈剤またはアジュバントが用いられる。
有利には、対象を治療するのに関連した本発明の方法において、対象は哺乳動物または脊椎動物である。哺乳動物または脊椎動物は、典型的にはヒト、ウシ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ウマまたはネコ脊椎動物から選択される。有利には、脊椎動物はヒト、家畜家禽、鳥、ウシ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウマ、ヤギまたはネコ脊椎動物である。別法として、対象は魚類、昆虫または他の適切な対象であり得る。
組成物は、獣医学上許容される組成物または医薬上許容される組成物である。
典型的には、哺乳動物はヒトであり、組成物は、本発明による制御放出セラミック粒子および少なくとも1つの医薬上許容される担体、アジュバントおよび/または賦形剤を含む医薬上許容される組成物である。動物が哺乳動物である場合,組成物は、一般に、本発明の制御放出セラミック粒子と共に少なくとも1つの獣医学上許容される担体、アジュバントおよび/または賦形剤を含む獣医学上許容される組成物である。
非経口投与では、意図した使用のための適切なサイズの本発明の制御放出セラミック粒子は、滅菌した水性または油性溶液または懸濁液中で調製することができる。適当な非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒は、等張塩溶液、水、エタノール、リンゲル溶液、1,3−ブタンジオール、水との混合物中のプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを含む。水性溶液または懸濁液は、さらに、1以上の緩衝剤を含むことができる。緩衝剤の例はクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたは酒石酸ナトリウムを含む。
意図した目的に応じ、組成物の投与形態は0.01重量%ないし99重量%の本発明のセラミック粒子を含むであろう。通常、本発明による投与形態は0.01重量%ないし約20重量%、より典型的には0.05重量%ないし15重量%、なおより典型的には0.1重量%ないし5重量%の本発明のセラミック粒子を含むであろう。
【0025】
本発明の組成物は、選択された賦形剤(類)、担体(類)、アジュバント(類)および/または希釈剤(類)と共にセラミック粒子のブレンディング、ホモゲナイジング、懸濁化、乳化、分散および適切には混合を含めた、(獣医薬および医薬組成物を製造する分野におけるごとき)組成物の製造用の当該分野で公知の手段によって調製することができる。しかしながら、本発明の粒子と賦形剤(類)、担体(類)、アジュバント(類)および/または希釈剤(類)とを合わせるプロセスは、セラミック粒子を破壊するまたは実質的に損傷させるものではならない。
本発明の投与方法において、セラミック粒子または組成物は、経口、局所、非経口、例えば、注射および動脈内注入、直腸または吸入スプレーまたは経皮パッチにより投与することができる。
適切な治療は、単一用量または複数用量輪の適用または投与を含むことができる。もし1を超えるタイプのセラミック粒子が治療に関与するならば。セラミック粒子の各タイプは、同時または(順次を含めた)異なる時点に投与することができる。
示したごとく、セラミック粒子の投与される量は変化し、患者の状態、年齢およびサイズならびに状態の性質および活性物質および活性物質の有効性のごときいくつかの因子に依存するであろう。典型的な投与量範囲は、坑微生物剤が活性物質である場合、1kg当たり0.0001mgないし200mgの活性物質とすることができる。通常、坑微生物剤の用量は、体重1kg当たり0.001mgないし10mgの範囲である。スルホンアミド、抗生物質、抗菌類剤、坑原生動物剤を含めた種種のタイプの坑微生物剤ならびに投与方法のより具体的な詳細については、例えば相互参照によりその全ての内容をここに一体化させる「Pharmacology and Drug Information for Nurses」Society of Hospital Pharmacists of Australia, W.B.Saunders, Harcourt Brace Jovanovich, Publishers, 3rd Edition, V.E.Richardson(edit.) Sydney, 1989年, 「Antibiotics:The Comprehensive Guide」, I.K.M.Morton, J. Halliday, J.M.Hall and A. Fox, Consultants, Bloomsbury Publishing Limited, London 1990年, Remington’s Pharmaceutical Sciences」 , A.R.Gennaro (edit). Mack Publishing Company, Pennsylvania, 1990, Kirk−Othmer 「Concise Enxyclopedia of Chemical Technology John Wiley & Sons, Inc.,New York, New York, USA 1985年, and “The Australian Guide to Prescription Drugs」, M.Goyen, The Watermark Press, Sydney(1971年)参照。
【0026】
経口投与のための懸濁液は、さらに、分散剤、懸濁化剤等のごとき必要とされる添加剤を含むことができる。
経口投与用の固体形態は、(制御放出メカニズムに実質的に影響しないように選択された)医薬上または獣医学上許容される甘味剤、バインダー、崩壊剤、フレーバー剤、希釈剤、コーティング剤、防腐剤、滑沢剤および/または時間遅延剤を含むことができる。経口投与用の液体形態は、前記した剤に加えて、液体担体を含有することができる。
経口投与用のエマルジョンは、さらに、1以上の乳化剤を含むことができる。経口投与では、医薬または獣医学組成物は錠剤、ロゼンジ、丸剤、トローチ、カプセル、エリキシル、顆粒を含めた粉末、懸濁液、エマルジョン、シロップおよびチンキの形態とすることができる。徐放または遅延放出形態は、例えば、セラミック粒子の被覆粒子または多層錠剤または徐放カプセルの形態にて調製することもできる。
投与形態の例は以下の通りである:
1.錠剤:坑微生物剤(類)−0.01ないし25mg、一般に0.1ないし15mg;澱粉−5ないし25mg;ラクトース−80ないし280mg;ゼラチン−0ないし10mg;およびステアリン酸マグネシウム−0ないし10mgを有するセラミック粒子。
2.局所クリーム:坑微生物剤(類)0.1−15%(w/w)、脱ミネラル化または蒸留水−0.1−12%(w/w)、界面活性剤1−12%(w/w)、増粘剤0.1−3%(w/w)、パラベン0.1−2%(w/w)、植物油5−22%(w/w)、鉱油0−12%(w/w)、ステアリン酸0−12%(w/w)、およびラノリン0−12%(w/w)を有するセラミック粒子。
本発明は、特に、クリーム、軟膏、ペースト、溶液、エマルジョン、ローション、ミルク、ジェリー、ゲル、スティック、ロール−オンまたはスムース−オンであってよい局所適用に用いられる組成物を含み、ここに、セラミック粒子は組成物の約90重量%まで、より典型的には10重量%、なおより典型的には約0.1重量%ないし約4重量%、例えば、3.5重量%を占め、組成物は典型的には適当な単体、希釈剤、賦形剤、アジュバントおよび他の添加物を含む。
局所適用では、医薬組成物または獣医学組成物はクリーム、軟膏、ゲル、ジェリー、チンキ、懸濁液またはエマルジョンの形態とすることができる。医薬組成物は、前記にて例示した医薬上許容されるバインダー、希釈剤、崩壊剤、防腐剤、滑沢剤、分散剤、懸濁化剤および/または乳化剤を含むことができる。獣医学組成物は前記にて例示した獣医学上許容されるバインダー、希釈剤、崩壊剤、防腐剤、滑沢剤、分散剤、懸濁化剤および/または乳化剤を含むことができる。他の添加剤は典型的には殺菌剤、緩衝剤、増粘剤およびエモリエントを含む。
加えて、本発明の局所組成物は当該分野でよく知られている適当な着色剤および/または香料を含むことができる。適切な香料剤の典型的な例はS.Arctander, 「Perfume and Flavor Chemicals」, Montclair, New Jersey, 1969に供されている。
前記にて言及した例は単に例示的であって、当該分野で知られた他の適切な担体、希釈剤、賦形剤およびアジュバントを本発明の精神を逸脱することなく用いることができるのは認識されるであろう。
【0027】
本発明は、数時間ないし数ヶ月の範囲の期間にわたって生活性物質の放出を制御するための、ゾル−ゲルシリカ(およびアルミナ、ジルコニアまたはチタニア)の合成に対するジェネリックなアプローチを含む。生物学的物質または他の活性物質は、室温にて、または室温近くにてゲル化の間にマトリックスに一体化される。マトリックスおよびカプセル化種の間の相互作用は、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のごとき有機的に修飾されたゾルーゲル前駆体を用いる表面の機能性化によって最小化することができる。
粒子は、典型的には10nmないし50μmの範囲で変化することができる平均サイズを持つ、典型的には球形である実質的に単分散した制御放出セラミック粒子の形態で生産される。
・ カプセル化種の拡散速度は、マトリックスの構造(多孔度、ポアサイズおよび湾曲度)および粒子のサイズを制御することによって変化させることができる。一般に、拡散は法則:[Ct]/[C0]=Dt-1/αに従い、ここに、C0は時刻t=0秒後にセラミック粒子から拡散してしまった活性物質の濃度であり、C1は時刻t後にセラミック粒子から拡散してしまった活性物質の濃度であり、Dは活性物質の実験的拡散係数であって、αは、活性物質の拡散に影響する粒子の特性(例えば、活性物質のポアサイズまたは直径φp、湾曲度およびサイズまたは有効直径φm)に依存するパラメータである。典型的には
φp/φm>10である場合、α≒2であり(すなわち、フィックの第1法則)、
10>φp/φm>2である場合、α≒dt(ここにdtは表面フラクタル(fractal)寸法である)であり、
2>φp/φmである場合、αの値は実験的に決定されなければならない。
・ 放出速度は、マトリックス中のカプセル化種の拡散およびマトリックス溶解の関数である。
・ ゾル−ゲル酸化物の粒子の外部表面は容易に機能性化して、生体接着を促進するか、あるいは粒子のイン・ビボ生体分布を修飾することができる。
・ 本発明は、複数の薬物および他の活性物質の制御された送達に関するジェネリックなアプローチを提供する。同一のマトリックスおよび粒子サイズを、広い範囲の異なる薬物および活性物質に関して用いることができる。
・ 本発明は、同一のジェネリックなゾル−ゲル化学にて、異なる適用に対して異なる粒子サイズを生じる可能性を提供する。
・ 粒子サイズの選択は、薬物または活性物質よりもむしろ、特定の適用によって決定される。
・ マイクロスフィア表面の容易な機能性化は、薬物分子または他の活性分子の活性な標的化を提供する。
・ シリカは生分解性かつ生体適合性である。
・ マトリックスの相対的機械的安定性。リポソームまたは貯蔵器系では起こりかねない爆発またはバースト効果は観察されない。
潜在的適用の例
・ 以下のものの制御送達:
・ ヒト健康管理適用のための医薬―
・ 皮下送達(ミクロ粒子)
・ 筋肉内送達(ミクロ粒子)
・ 鼻孔内および吸入送達系(ミクロ粒子)
・ 膣適用(ミクロ粒子)
・ 直腸適用(ミクロ粒子)
・ 静脈内送達(ナノ粒子)
・ 目送達(ナノ粒子)
・ サイズによる受動的器官標的化(肝臓、肺)
・ 経皮パッチ(コーティングおよびミクロ粒子)、ここに:ミクロ粒子:1ないし50μm、ナノ粒子:10ないし500nm
・ 獣医学適用のための薬物(前記参照);
・ 以下のものの制御放出:
・ 肥料;
・ 農薬;
・ 除草剤;
・ 殺虫剤;
・ 殺生物剤;
・ 香料
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1.1】図1.1は、W=8(W=ケイ素アルコキシドに対する水のモル比)にて合成したゲルからの放出に対するD(D=ケイ素アルコキシドに対するアルコールのモル比)の影響を示す。
【図1.2】図1.2は、メタノールなくして(D=0)合成されたゲルからの放出に対するWの影響を示す。
【図2.1】図2.1は、W=4およびD=4にて合成したゲルについての放出に対するpHの影響を示す。酸領域
【図2.2】図2.2は、W=4およびD=4にて合成したゲルについての放出に対するpHの影響を示す。塩基性領域
【図3】図3は、放出速度に対するMTMS(MTMS=メチルトリメトキシシラン)置換の影響を示す。
【図4】図4は、オレンジII(オレンジII=(4−(2−ヒドロキシ−ナフチルアゾ)ベンゼンスルホン酸、ナトリウム塩)の放出に対する合成時間の影響を示す。
【図5】図5は、W=4およびD=0にて合成したゲルからの放出に対する乾燥の影響を示す。
【図6】図6は、本発明の好ましいプロセス1を示すブロックダイアグラムを示す。
【図7】図7は、放出速度に対する放出媒体の温度の影響を示す。
【図8】図8は、オレンジIIおよびメチルバイオレットを含むゲルの放出の比較を示す。
【図9】図9は、a)へプタン、b)オクタン、c)ドデカンおよびd)シクロヘキサンを用いて合成されたマイクロスフィアを示す。
【図10】図10は、ドデカン、a)ソルビタンモノオレエートおよびb)ソルビタンモノラウレート中で合成されたマイクロスフィアのサイズに対する界面活性剤鎖長の影響を示す。
【図11】図11は、AOT/シクロヘキサンエマルジョン(AOT=アエロゾルOTまたはビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム)を用いて合成したナノスフィアのSEM顕微鏡写真を示す。
【図12.1】図12.1は、マイクロスフィアの放出速度に対するソルーゲル化学の影響を示す。
【図12−2】図12−2は、pH=2およびpH=9にてソルーゲル溶液から合成したマイクロスフィアの表面のSEM顕微鏡写真を示す。
【図13】図13は、それらの放出速度論に対するマイクロスフィアの乾燥温度の影響を示す。
【図14】図14は、シス−プラチンを含む熟成TMOS由来ゲルにおける白金コロイドの沈殿を示すTEM顕微鏡写真である。
【図15−1】図15−1は、シクロヘキシミドの放出速度に対するMTMSの配合の影響を示す。
【図15−2】図15−2は、シス−プラチンの放出速度に対するMTMSの配合の影響を示す。
【図16】図16は、加水分解および縮合の方程式を示す。
【図17−1】図17−1は、塩化ナトリウムの脈石にカプセル化された凍結乾燥ナノ粒子を示す。
【図17−2】図17−2は、水中の再分散したナノ粒子−200nm程度の平均粒子サイズを持つ粒子を示す。
【図17−3】図17−3は、水中の再分散したナノ粒子―狭いサイズ分布を示すグラフである。
【図18−1】図18−1は、それらの直径がほぼ50nmであることを示す乾燥されたCuドープした粒子のTEM顕微鏡写真である。
【図18−2】図18−2は、溶液中の平均粒子サイズが51nmであることを確認する、図18−1の粒子の懸濁液のホトン相関スペクトロスコピーを示す。
【図19】図19は、Sの増加が、粒子サイズの対応する減少に導くことを示すセラミック粒子のSEMを示す。
【図20】図20ハ、ナノ粒子の粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図21】図21は、プロセス3によって調製された粒子のSEM顕微鏡写真である。
【図22】図22は、プロセス1によって調製されたオレンジIIをドープしたTiO2/SiO2混合酸化物粒子のSEM写真である。
【図23】図23は本発明の好ましいプロセス4を示すブロックダイアグラムである。
【図24】図24は、本発明のプロセス4に関連する好ましい洗浄手法を示すブロックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明を実施するための最良形態および他の形態)
図6は、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、典型的にはマイクロスフィアの好ましい製法をブロックダイアグラムの形で説明する。好ましいプロセスは以下に詳細に記載する。
ゲルマイクロスフィア調製(主としてプロセス1に適用可能)
ゲル−ゾル溶液(溶液A)は、アルコール中のケイ素アルコキシド(または有機的に修飾されたケイ素アルコキシド)の溶液を、生物活性分子が溶解されているアルコール中の水の溶液に添加することによって合成される。得られた混合物を、対応する金属酸化物(すなわち、シリカ)へのアルコキシドの縮合を開始させるように設定する。
溶液(溶液B)は、界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、AOT)と非極性溶媒とを混合することによって調製される。溶液Bは、界面活性剤によって作られた逆ミセルの懸濁液と考えることができる。
AのBへの添加に際して、親水性溶液Aはミセルの内部に移動し、エマルジョンを形成する。水の添加に際して開始した縮合反応はそのような閉じ込めに際して加速される。これは、液滴の大量ゲル化およびポア内部に捕捉された生物活性分子を含有する実質的に単分散した制御放出多孔性シリカマイクロスフィアの生成に導く。次いで、粒子を濾過し、洗浄して界面活性剤を除去し、乾燥する。
制御放出(全てのプロセスに適用可能)
内部マトリックスの構造(特にポアサイズおよび湾曲度)、粒子サイズ、総じての有効成分負荷および/またはマトリックス溶解性が、制御放出系において有効成分の送達速度を決定する。ポリマー制御放出マトリックスの重要な制限は、それらがこれらの特徴の内1つまたはせいぜい2つを利用できるに過ぎず、有効成分(類)のいずれの変化もマトリックス系の重要な再処方を必要とすることである。対照的に、本発明は、同一の基礎的化学を用いてこれらの特徴の全てが利用できるようにする:
・ スフィアの内部ミクロ構造は、水―対―アルコキシド比(W)、pH、アルコール−対―アルコキシド比、アルコキシド濃度、熟成(すなわち、離液)、乾燥時間および温度のごときゾル−ゲル加工パラメーターを変化させることによって(バルクゲルにおけるごとく)性質に仕立てることができる。よって、有効成分(類)の放出速度は、内部ポアネットワークの構造(すなわち、容量、直径および湾曲度)を有効成分分子の物理化学的特性に適合させることによって制御される。
・ セラミック粒子の直径は、界面活性剤、水性相および非極性溶媒の間の親水性−親油性バランスによって決定され、エマルジョン液滴のサイズによって制御される。一定(0次元)放出速度は、有効成分(類)をシリカマトリックス内に十分に捕獲することによって得ることができる。粒子は、容易に変化させることができるサイズを持つ実質的に単分散した球形粒子の形態で生じる。活性物質の放出速度はセラミック粒子のサイズに依存する。
・ マイクロスフィア内の総じての有効成分(類)負荷はマトリックス合成の間に容易に制御される。
・ シリカマイクロスフィアは遅いイン・ビボ溶解(侵食)を受ける。よって、有効成分の放出速度が、多孔性マイクロスフィア内部の有効成分(類)の拡散速度、有効成分負荷およびマイクロスフィアのサイズの関数である。
マトリックスおよび有効成分の間の表面相互作用(および変性)の防止(全てのプロセスに適用可能)
有機的に修飾されたケイ素アルコキシドによる金属アルコキシドの置換は、有機部位(例えば、メチルビニル、グリシジルオキシプロピル基)によるポアの表面でのヒドロキシル基の置換に導く。これが捕獲された生体分子および表面の間の相互作用、および有効成分の潜在的分解を妨げる。これは、シリカゲル中へのシスプラチンのカプセル化によって示される。シスプラチンはシリカマトリックスの表面と反応し、金属白金ナノ粒子の沈殿が生じる(図14)参照。メチルトリメトキシシラン(MTMS)によるテトラメトキシシラン(TMOS)の50%の置換は、いずれのそのような沈殿も防止する。
【0030】
プロセス1
実質的に単分散された制御放出セラミック粒子を調製する1つのプロセスは、典型的には:
(a) 界面活性剤と非極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の5−30重量%の間であり;
(b) ゲル前駆体、触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を、水およびアルコールを含む極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し、ここに、典型的には、前駆体に対する水のモル比は2および8の間であり、前駆体に対するアルコールの比は0および16の間であり、pHは1および11の間であり、活性物質の割合は最終金属酸化物1g当たり0.1−10mgの間であり;
(c) 逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し、ここに、典型的には、前駆体溶液に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間、より典型的には0.5−2の比率となるように調整され;次いで
(d) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有する実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを含む。
典型的には、ゲル前駆体はシリカ前駆体、アルミナ前駆体およびチタニア前駆体よりなる群から選択され、より典型的には、ゲル前駆体はシリカゲル前駆体である。
典型的には、工程(d)は:
(d) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子から放出でき、かつ粒子中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように配合される実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する:
ことを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e) 該エマルジョンから、該形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに;
(e) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0031】
プロセス2
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を調製する代替プロセスは、典型的には:
(a’) 界面活性剤と非極性溶媒および親水性の第1の(またはいくつかの)活性物質(類)とを混合することによって逆ミセル溶液を調製し、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の5−30重量%の間にあって、活性物質(類)の割合は最終金属酸化物の0.1−1重量%の間にあり;
(b’) ゲル前駆体、触媒、縮合剤および所望により1つの(またはいくつかの)可溶性の第2の活性物質(類)を、水およびアルコールを含む((a’)における非極性溶媒と非混和性である)極性溶媒に溶解させることによって前駆体溶液を調製し、ここに、典型的には、前駆体に対する水のモル比は2および8の間であり、前駆体に対するアルコールのモル比は0および16の間であり、pHは1および11の間であって、第2の活性物質の割合は最終金属酸化物の1g当たり0.1−10mgの間であり;
(c’) 逆ミセル溶液および前駆体溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し;前駆体溶液に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間となり、典型的には、このモル比が0.5−2となるように調整され;次いで
(d’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有する実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを含む。
典型的には、ゲル前駆体はシリカゲル前駆体である。
典型的には、工程(d’)は:
(d’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように配合されている制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成することを含む。
該プロセスは、さらに:
(e’) 該エマルジョンから、形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e’) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0032】
プロセス3
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を調製するもう1つのプロセスは:
(a”) ゲル前駆体(TEOS)、1つの(またはいくつかの)活性物質(類)(活性物質(類)はTEOSそれ自体またはTEOS/溶媒混合物に可溶性である)および所望により少数の溶媒(エタノール)を溶解させることによって前駆体溶液を調製し;
(b”) 触媒(酸または塩基または双方を順次)、縮合剤(水)および所望により少量の溶媒(エタノール)を含む縮合溶液を調製し、該縮合溶液は該前駆体溶液と実質的に非混和性であり:
(c”) 前駆体溶液および縮合溶液を合わせて混合物を形成させ、次いで、界面活性剤の不存在下で混合物を自然に乳化することによってエマルジョンを調製し;
(d”)エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有し、かつ活性物質(複数活性物質)は該粒子から放出できる実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する;
ことを含む。
典型的には、ゲル前駆体はシリカゲル前駆体である。
典型的には、工程(d”)は:
(d”) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子の各々から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように配合された制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成することを含む。
該プロセスは、さらに:
(e”) 該エマルジョンから、該形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e”) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0033】
プロセス4
実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を調製するもう1つのプロセスは:
(a”’) 界面活性剤と非極性溶媒を混合することによって逆ミセル溶液を調製し、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の1−30重量%の間であり;
(b”’) 触媒、縮合剤および1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質(類)を、水を含む極性溶媒に溶解させることによって親水性溶液を調製し;
(c”’) 逆ミセル溶液および親水性溶液を合わせることによってエマルジョンを調製し:
(d”’) ゲル前駆体をこのエマルジョンに添加し、ここに、典型的には、前駆体に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間、より典型的には0.5−2の比率となるように調整され;ついで
(e”’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質(複数活性物質)を有する実質的に単分散した制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成する:
ことを含む。
工程(d”’)は:
(d”’) シリカゲル前駆体をエマルジョンに添加することを含む。
典型的には、工程(e”’)は:
(e”’) エマルジョン中で前駆体を縮合させることによって、当該粒子の各々が粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子の各々から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように該粒子内に配合された制御放出セラミック粒子を形成し、それを熟成することを含む。
該プロセスは、さらに:
(e”’) 該エマルジョンから、該形成され熟成された制御放出セラミック粒子を分離することを含むことができる。
該プロセスは、さらに:
(e”’) 該形成され熟成された制御放出セラミック粒子から界面活性剤を除去することを含むことができる。
【0034】
図23は、実質的に単分散した制御放出セラミック粒子、典型的にはナノスフィアを調製する好ましいプロセスをブロックダイアグラムの形で示す。好ましいプロセスは以下に詳細に記載する。
ゲルナノスフィア調製(主としてプロセス4に適用可能)
界面活性剤(典型的には、使用される活性物質と実質的に相互作用しない界面活性剤―例えば、Cu(NH3)4+イオン性界面活性剤は洗浄工程においてCu(NH3)4の喪失に導き、他方、1−35重量%のCuのCu(NH3)4+ノニオン性界面活性剤負荷は達成されている)と非極性溶媒と混合することによって逆ミセル溶液が調製され、ここに、典型的には、界面活性剤の量は溶媒の5−30重量%の間である(溶液A)。親水性溶液は、触媒、縮合剤および(医薬または放射性医薬トレーサー、例えばCu、Pt、.....のごとき)1つの(またはいくつかの)可溶性活性物質を、水を含む極性溶媒に溶解させることによって調製される(溶液B)。エマルジョンは、逆ミセル溶液(溶液A)および親水性溶液(溶液B)を合わせることによって調製される。ゲル前駆体はこのエマルジョンに添加され、ここに、典型的には、前駆体に対する逆ミセル溶液の割合は、酸化物ゲル前駆体に対する界面活性剤のモル比が0.1−10の間、より典型的には0.5−2の比率となるように調整され、それによりエマルジョン中で前駆体は縮合し、それにより、制御放出セラミックナノ粒子が形成され、それを熟成し、ここに、該粒子の各々は、粒子全体に実質的に均一に分散した活性物質を有し、活性物質は該粒子の各々から放出でき、かつ該粒子の各々中の活性物質は、粒子からの活性物質の放出まで実質的に分解から保護されるように該粒子内に配合される。
【0035】
図24は、好ましい洗浄手法を示すブロックダイアグラムを示す。本質的には、NaCl溶液のごときイオン性塩(例えば、0.1−10M、典型的には0.5−5M、より典型的には1M)を十分な量で加えて、エマルジョンを脱安定化させる。次いで、この脱安定化されたエマルジョンを有機溶媒(例えば、NaCl+CHCl3および/またはブロモホルムおよび/またはヨードホルム)で多数回洗浄し、これをデカントする。次いで、洗浄した水性懸濁液を凍結乾燥して、未凝集セラミックナノスフィアがNaClのマトリックス内に単離された固体を形成する。
本発明者らは、NaClの存在が凍結乾燥プロセスの間にセラミック粒子を保護することを見出した。前記にて示したごとく、このプロセスの結果、未凝集凍結乾燥粒子は保護的NaClマトリックス中に単離している(他のイオン性塩を特に非生物学的用途で用いることができるがNaClは生物学的適用、特にヒトを含めた哺乳動物に関連するイン・ビボ生物学的適用に特に適する)。ドープされ凍結乾燥されたセラミック粒子に照射し、次いで、適量の水に再度分散させて等張溶液が得られ、必要であれば、該溶液はイン・ビボ治療、診断または実験のために注入することができる。
【実施例】
【0036】
(実施例)
A)オレンジIIの放出に対するゾル−ゲル加工パラメーターの影響
実施例1:オレンジIIの放出速度に対するメタノール/TMOSおよびH2O/TMOSモル比の影響
0.25gの4−(2−ヒドロキシー1−ナフチルアゾ)ベンゼンスルフォン酸のナトリウム塩(すなわち、OrangeII, Aldrich)を25mlの0.1M硝酸溶液に溶解させ、脱ミネラル化水で250mlまで希釈することによって、色素の溶液を生成させた。色素溶液の最終pHは2であった。
ゲルは、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、メタノール(MeOH)および色素溶液を合わせることによって合成した。色素放出速度に対するH2O/TMOS比率(W)およびMeOH/TMOS比率(D)の影響は、表1にリストした組成物を用いることによって実験した。
【0037】
【表1】
【0038】
水はオレンジII色素溶液の形態で添加する。
得られた混合物を1時間攪拌した。4mlの溶液のアリコットを5mlのスクリューキャップを付したポリプロピレンバイアルに移し、オーブン中にて60℃に置いてゲル化させた。一旦ゲル化が起これば、試料を60℃にてさらに2日熟成させた。各組成物につき、1つのゲルロッドを話して、湿潤状態の放出を調べ、残りのゲルロッドを60℃にて3日間乾燥した。前記において、湿潤状態で残ったゲルロッドを「湿潤ゲル」といい、60℃で乾燥したものを「乾燥ゲル」という。
ゲルからの色素分子の放出は3mlの脱ミネラル化水中で行い、経時的な吸光度の進展はUV−可視分光光度計(Lambda40, Parkin Elmer,USA)を用い、固定した波長λmax=485nmでモニターした。485nmの波長は、可視スペクトルのオレンジIIの吸収最大に対応する。
放出した色素の分率−対−時間のプロット(図1)は、放出された色素の現実の量をゲル中にカプセル化された色素の合計質量で割ることによって得られた。乾燥ゲルでは、この量は、ゲルロッド中の色素の全量をゲルの質量で割り、それに、放出実験で用いたゲル試料の質量を掛け合わせることによって計算される。湿潤ゲルでは、放出された分率は最終吸光度から実験的に得られた。
色素の放出速度はWを増加させDを現象させるにつれて増加することが判明した。組成物1/8/4および1/4/0では一定の放出速度が得られたことに注意されたい。
【0039】
実施例2:オレンジIIの放出速度に対するpHの影響
pHの影響を調べるために、色素溶液のpHを1、2、4、7、9または11に調整することによってゲルを調製した。
0.10gのオレンジIIの色素を100mlの硝酸(0.1M)または水性アンモニア(0.1M)に溶解させ、さらに、滴定することによってpHを所望の値に調整することによって、異なる色素溶液を生成させた。
5.51mlのTMOS(37ミリモル)、適切なpHの2.67mlの色素溶液(148ミリモルの水)および6mlのメタノール(148ミリモル)を混合することによってゲルを合成した。次いで、実施例1に記載した手法に従い、試料を熟成し、乾燥した。対応する放出曲線を図2に示す。
触媒として酸を用いて合成したゲルでは(図2.1)、放出速度はpHが増大するにつれ増加することが判明した。対照的に、触媒として塩基を用いて合成したゲルでは、放出はpHが増大するにつれ減少することが判明した。最大放出速度はpH=7で観察された。
【0040】
実施例3:MTMS/TMOS比の影響
0−50%のTMOSを等モル量のメチルトリメトキシシラン(MTMS,Fluka)で置きかえる以外は実施例1に記載された手法に従い、ゲルを合成した。WおよびDは共に4に固定し、これはpH=2における2.67mlの色素溶液(H2O=148ミリモル)および6.00mlのメタノール(148ミリモル)に相当する。
【0041】
【表2】
【0042】
対応する放出速度論は図3に示す。放出速度はMTMS含量が増大するにつれ減少することが判明した。
【0043】
実施例4:オレンジIIの放出速度に対する離液時間の影響
離液時間を0ないし30日変化させることによって、一連のゲルを合成した。30.3mlのTMOS(204ミリモル)、14.7mlのpH2のオレンジII色素溶液(815ミリモル)および33.0mlのメタノール(815ミリモル)を含有するストック溶液を1時間攪拌した。この溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きのポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブンに入れてゲル化させた。得られたゲルをさらに60℃にて0、2、3、7、15および30日間熟成した。引き続いて、バイアルのキャップをはずし、熟成したゲルを60℃のオーブン中にて3日間乾燥した。放出実験は、実施例1に記載した手法に従って実行した。対応する放出曲線を図4に示す。放出速度は離液時間と共に増加することが判明した。
【0044】
実施例5:オレンジIIの放出速度に対する乾燥温度および時間の影響
78.6gのTMOS(516ミリモル)および37.3gのpH2のオレンジII色素溶液(2.07モルのH2O)を含有するストック溶液を1時間攪拌した。この溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きのポリプロピレンバイアルに移し、オーブン中で60℃に置いてゲル化させた。得られたゲルをさらに60℃にて2日間熟成させた。次いで、熟成したゲルを雰囲気温度(すなわち、22〜23℃)、60℃または104℃にて1、3または7日間乾燥した。放出実験は、実施例1に記載した手法に従って実行した。対応する放出速度論は図5に示す。
放出速度は時間および温度が増大するにつれ減少することが判明した。
【0045】
B)オレンジIIの放出速度に対する他のパラメータの影響
実施例6:オレンジIIの放出速度に対する環境の影響
ゲルは実施例1に記載した手法に従って合成した。水/アルコキシドおよびメタノール/アルコキシドのモル比は共に4に固定し、これはpH=2の2.67mlの色素溶液(148ミリモルのH2O)および5.51mlのTMOS(37ミリモル)についての6.00mlのメタノール(148ミリモル)に対応する。次いで、ゲルを室温で1日間乾燥した。
放出速度に対する温度の影響を調べるために、既知量のゲルを3mlの脱ミネラル化水に浸漬し、485nmの固定した波長で吸光度をモニターした。1つの試料は雰囲気温度(すなわち、22℃)に保ち、2つの他のものはサーモスタッド付きの水浴中で37℃および60℃に維持した。対応する放出速度論は図7に示す。放出速度は温度を上昇させるに従って増加することが判明した。
【0046】
実施例7:オレンジIIおよびメチルバイオレットの放出速度論の間の比較
0.112gの色素粉末(Aldrich)を5mlのメタノールに溶解させ、得られた溶液を100mlの0.1M硝酸で希釈することによって、メチルバイオレット溶液を調製した。溶液の最終pHを2に調整した。オレンジII色素の溶液は実施例1に記載したごとくに調製した。
2組のゲルは、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、メタノール(MeOH)、および色素溶液の各々を合わせることによって調製した。WおよびDは共に4に固定し、これは、2.67mlの色素溶液(148ミリモルのH2O)、6mlのメタノール(148ミリモル)および5.51mlのTMOS(37ミリモル)に対応した。これらの溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きのポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブンに入れてゲル化させた。得られたゲルをさらに60℃にて15または30日間熟成させ、しかる後60℃にて2日間乾燥した。
オレンジII試料の放出速度は485nmの固定した波長でモニターし、他方、メチルバイオレット試料の放出速度は584nmでモニターした(可視スペクトルにおけるメチルバイオレットの吸収ピークに対応)。対応する放出速度論は図8に示す。
放出速度は、より大きな色素分子(すなわち、メチルバイオレット)ではかなり小さいことが判明した。
【0047】
C)マイクロスフィアのサイズを制御するパラメータ
実施例8:エマルジョン溶媒を変化させることによる異なったサイズを持つマイクロスフィアの合成
ゾル−ゲル溶液(溶液A)は、5.21mlのTMOS(35ミリモル)、pH2の2.52mlのオレンジII色素溶液(実施例1と同様)(140ミリモルのH2O)および6.19mlのメタノール(153ミリモル)を合わせる事によって調製した。得られた溶液を300rpmにて30分間攪拌し、室温にて1日間熟成させた。
15.08gのソルビタンモノオレエートを170mlのケロセンに溶解させ、高速ブレンダー(45秒間の1200rpm)を用いてホモゲナイズして透明な溶液を形成させた(溶液B)。次いで、溶液Aを溶液Bに添加し、得られたエマルジョンを500rpmで1時間攪拌した。次いで、得られたマイクロスフィアの懸濁液を濾過し、シクロヘキサンで3回すすいで界面活性剤を除去した。次いで、得られたマイクロスフィアを室温で1日間乾燥し、しかる後、60℃にて3日間さらに乾燥した。ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよびシクロヘキサンをエマルジョン溶媒として用いて該手法を反復した。これらの溶媒を用いて得られた乾燥マイクロスフィアの選択した走査型電子顕微鏡写真を図9に示す。
マイクロスフィアの平均サイズは、溶媒の極性が低下するにつれ減少することが判明した(すなわち、へプタン>オクタン>ドデカン>シクロヘキサン)。
【0048】
実施例9:マイクロスフィアのサイズに対する界面活性剤の鎖長の影響
マイクロフィアのサイズに対する界面活性剤の鎖長の影響を調べるために、ソルビタンモノオレエートをソルビタンモノラウレート(12.1g)によって置きかえる以外は実施例8に記載した手法に従って試料を調製した。実施例8におけるごとく、ヘキサン、オクタン、デカンおよびドデカンのごとき種々の溶媒を用い、一連の実験を行った。マイクロスフィアのサイズに対する界面活性剤の鎖長の影響の例を図10に示す。この例では、疎水性鎖長を増加させると、マイクロスフィアのサイズを減少させる。しかしながら、この効果が観察されるか否かは用いる特定の界面活性剤/非極性溶媒の組み合わせに依存するであろうことは注意すべきである。効果が特定の界面活性剤/非極性溶媒の組み合わせで存在するか否かは、ルーチン的実験によって容易にチェックすることができる。
【0049】
実施例10:AOTを界面活性剤として用いるナノスフィアの合成
4.46gのAOT(10ミリモル)を100mlのシクロヘキサンに溶解させ、pH=2の1.26gのオレンジII色素溶液(70ミリモルのH2O)と混合して安定なマイクロエマルジョンを形成させた。次いで、2.66gのTMOS(17ミリモル)をマイクロエマルジョンに添加し、得られた混合物を1日間攪拌した。
得られた沈殿を濾過し、シクロヘキサンで洗浄した。次いで、洗浄した固体を室温で乾燥した。対応する走査型電子顕微鏡写真を図11に示す。この場合、マイクロスフィアの代わりにナノスフィアが生じる(すなわち、サイズ≒100nm)。
【0050】
実施例11:異なるゾル−ゲル化学でのマイクロスフィアの合成
3つの異なるゾル−ゲル化学を用いる以外は実施例8に与えられた手法に従い、マイクロスフィアを調製した。各場合、ゾル−ゲル溶液(実施例8における溶液A)は、5.33gのTMOS(35ミリモル)と4.9gのメタノール(153ミリモル)とを混合し、2.52gのオレンジII色素溶液(140ミリモルのH2O)を添加することによって調製した。第一の試料において、色素溶液はpH=2で調製し、他方、第2の試料では、色素溶液はpH=11で調製した。第3の場合において、TMOSをMTMSによって部分的に置き換えた(すなわち、20モル%)。対応する放出曲線は図12−1に示す。マイクロスフィアの内部ミクロ構造に対するpHの影響の例を図12−2に掲げる。pH=2で生じたマイクロスフィアは、ミクロポーラス内部構造に対応する平滑な表面を示し、他方、pH=11で生じたマイクロスフィアは、マソポーラス内部構造を示す粗い表面を有する。図12.1および図13は、スフィアの内部構造がそれらの放出速度に強く影響することを示す。
【0051】
実施例12:マイクロスフィアの放出速度に対する乾燥温度の影響
オレンジII色素を含有するマイクロスフィアは、実施例8に記載した手法に従って合成した。次いで、得られたマイクロスフィアを室温ないし100℃の異なる温度にて2日間乾燥した。対応する放出速度論は図13に示す。実施例5に関しては、放出速度は乾燥温度を上昇させるにつれ減少する。
【0052】
実施例13:表面機能性化による薬物分解の防止
シス−プラチン(シスPt(NH3)2Cl2)の溶液は、50.0mgのシス−プラチンを50mlの0.01M HCl溶液に溶解させ、Branson3200音波処理浴を用いて溶液を15分間音波処理することによって調製した。
20mlのTMOS(134ミリモル)、9.69mlのシス−プラチン溶液(538ミリモルの水)および21.8mlのメタノール(538ミリモル)を含有する溶液を30分間攪拌した。溶液の4mlアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブン中に置いてゲル化させた。一旦ゲル化が起こると、試料を60℃にて15日間熟成させた。次いで、キャップを取り外し、試料を60℃にて3日間乾燥させた。
同一の手法を用いて、3mlのTMOS、2.88mlのMTMSおよび2.91mlのシス−プラチン溶液を含有する溶液からゲルを調製した。
【0053】
60℃での熟成の3日後、TMOSから調製したゲルは暗化し始め、最後には、15日間の熟成後に黒色ゲルを生じた。対照的に、MTMS/TMOS混合物から調製したゲルは、60℃での15日間の熟成後でさえ完璧に透明のままであった。引き続いて、JEOL 2010F場発光ガン顕微鏡を用い、透化型電子顕微鏡によって、2つの乾燥ゲルを調べた。黒色ゲルは、シリカマトリックス全体に分散した小さな白金コロイド(サイズは≒50−80nm)を含むことが判明した(図14参照)。MTMS修飾ゲルにはそのようなコロイドが存在することは見出されず、これは、MTMS機能性化ゲルに存在する表面メチル基が、シス−プラチンとマトリックスとの相互作用およびその関連した沈殿を最小化することを示唆する。
【0054】
実施例14:シスープラチンおよびシクロヘキシミドの放出に対するMTMSの存在の影響
シクロヘキシミドの溶液は、25.0mgのシクロヘキシミドを25mlの0.01M HCl溶液(pH=2)に溶解させることによって調製した。シス−プラチンの溶液(1g/l)は、50.0mgのシス−プラチンを50mlの0.1M HCl溶液に溶解させ、得られた溶液を15分間音波処理することによって調製した。
第1の一連の試料は、5.51mlのTMOS(37ミリモル)、2.67mlのいずれかの薬物溶液(148ミリモルのH2O)および6mlのメタノール(148ミリモル)を混合することによって調製した。4mlの溶液のアリコットを、5mlのスクリューキャップ付きポリプロピレンバイアルに移し、60℃のオーブン中においてゲル化させた。一旦ゲル化が起こったならば、試料を60℃にて7日間熟成させた。次いで、キャップを取り外し、試料を60℃にて3日間乾燥させた。
【0055】
第2の一連の試料は、3mlのTMOS(20ミリモル)、2.88mlのMTMS(20ミリモル)および2.91mlの各薬物溶液(161ミリモルのH2O)を合わせることによって調製した。これらの試料を前記したごとく処理した。
既知量のゲルからのシクロヘキシミドの放出は3mlの脱ミネラル化水中で知られ、固定した波長(λmax=201nm)にて吸光度をモニターした。既知量のゲルからのシス−プラチンの放出は3mlの0.9%NaCl中で調べ、吸光度は固定した波長(λmax=300nm)でモニターした。対応する放出速度論は図15−1および15−2に示す。
予測したごとく(比較、実施例7)、放出速度はより小さな薬物分子(すなわち、シスープラチン)ではより大きいことが判明した。オレンジIIに関しては(比較、実施例3)、MTMSによるTMOSの置き換えは双方の薬物の放出速度の減少に導いた。
【0056】
実施例15:プロセス4を用いるCuドープしたシリカナノ粒子の合成
銅テトラミン溶液(すなわち、溶液1)は、Cu(NO3)2・3H2O(4.38g、18ミリモル)を10mlの濃アンモニア溶液に溶解させ、得られた溶液を蒸留水で100mlまで希釈することによって調製した。トリトンX−114(10.72g,20ミリモル)を100mlのトルエンに溶解させ、引き続いて、5.76mlの溶液1(32ミリモル当量のH2O)を添加し、8000rpmにて剪断−混合によって得られた混合物を1分間ホモゲナイズすることによってマイクロエマルジョンを生じさせた。次いで、該エマルジョンを300rpmで攪拌し、0.3mlのTMOS(2ミリモル)を添加した。90分間攪拌した後、50mlのNaClの1M溶液をエマルジョンに添加し、得られた懸濁液をデカンテーション漏斗に移した。12時間後、エマルジョンは2相に分離した。水性(底部)相を抽出し、100mlのトルエンを添加し、しかる後、混合物を透明なデカンテーション漏斗に導入した。頂部有機相が肉眼で透明となるまで、この手法を数回反復した。次いで、最終の洗浄した水性粒子懸濁液を一晩沈降させ、上清みを最後に取り出して、液体の容量を最小化し、引き続いての凍結乾燥で除去した。
懸濁液を含むフラスコを液体窒素中に入れ、10mトールのバックグラウンド圧力にてポンピングすることにより水を昇華させることによって、ナノ粒子懸濁液を凍結乾燥した。得られた乾燥粉末は、塩化ナトリウムのマトリックス中にカプセル化されたナノ粒子よりなるものであった(図17−1参照)。この粉末は容易に水に再分散させることができ、20nm程度の平均粒子サイズ(図17−2参照)および狭いサイズ分布(図17−3参照)を持つ粒子を得た。
【0057】
実施例16:プロセス4を用いるシスープラチンをドープしたナノ粒子の合成
シス−プラチン溶液(溶液2)は、0.16gのシス−プラチン(0.53ミリモル)を100mlの希薄なアンモニア溶液(10重量%)に溶解させることによって調製した。トリトンX−114(10.74g,20ミリモル)および11.52mlの溶液2(32ミリモル当量のH2O)を順次100mlのトルエンに添加し、8000rpmにおける1分間の剪断−混合によって、得られたミクロエマルジョンヲホモゲナイズした。次いで、エマルジョンを300rpmで攪拌し、0.3mlのTMOS(2ミリモル)を添加した。90分間の攪拌の後、50mlの1M NaCl溶液をエマルジョンに添加し、得られた懸濁液をデカンテーション漏斗に移した。次いで、実施例15に記載した手法に従い、懸濁液を洗浄し、凍結乾燥した。
【0058】
実施例17:超小(すなわち、<100nm )銅ドープしたシリカ粒子の合成
銅テトラミン溶液(すなわち、溶液3)は、40mgのCu(NO3)2・3H2O(0.17ミリモル)を5mlの濃アンモニア(28重量%NH3)に溶解させることによって調製した。トリトンNP−9(7.77g,12.6ミリモル)および0.710mlの溶液3(23.5ミリモル当量のH2O)を順次100mlのシクロヘキサンに添加し、得られたマイクロ−エマルジョンを、8000rpmでの1分間の剪断−混合によってホモゲナイズした。次いで、エマルジョンを500rpmで攪拌し、0.796mlのTEOS(3.6ミリモル)を添加した。24時間連続的に攪拌した後、50mlの脱ミネラル化水をエマルジョンに添加し、得られた懸濁液をデカンテーション漏斗に移した。12時間放置した後、エマルジョンは2相に分離した。水性相を抽出し、シクロヘキサン(100ml)と混合し、透明なデカンテーション漏斗に移した。頂部有機相が肉眼で透明になるまで、この手法を反復した。乾燥した粒子のTEM顕微鏡写真(図18−1)は、それらの直径がほぼ50nmであることを示す。粒子懸濁液のホトン相関スペクトロスコピーは、溶液中の平均粒子サイズが51nmであることを確認した(図18−2)。
【0059】
実施例18:Cuドープしたシリカナノ粒子の平均サイズに対する、アルコキシドに対する界面活性剤のモル比(S)の影響
ナノ粒子は、以下のエマルジョン組成物を用い、実施例15における手法に従って合成した。
【0060】
【表3】
【0061】
ここに、SおよびRとは、各々、界面活性剤−対−アルコキシドのモル比および水−対−界面活性剤のモル比を言う。得られた粒子を濾過し、SEMによって分析し(図19参照)、これは、Sの増加は粒子サイズの対応する減少に導くことを明らかにした。
【0062】
実施例19:Cuドープしたシリカナノ粒子の平均サイズに対する、アルコキシドに対する水のモル比の影響
ナノ粒子は、以下のエマルジョン組成物を用い、実施例15における手法に従って合成した。
【0063】
【表4】
【0064】
対応する凍結乾燥粉末を蒸留水に再懸濁し、PCSによって特徴付けた(図20参照)。双方の粒子サイズ分布はほぼ150nmにおいてピークを呈したが、多分散は水−対−界面活性剤のモル比の減少につれて有意に増加した。
【0065】
実施例20:洗浄した粒子上に保持された界面活性剤の量に対するNaClの濃度の影響
ナノ粒子は、21.44gのトリトンX−114(40ミリモル)、0.596mlのTMOS(4ミリモル)および11.53mlの溶液1(640ミリモル当量のH2O)を用い、実施例15に記載した手法に従って合成した。ナノ粒子の形成後、試料を2つのバッチに分けた。蒸留水の50mlのアリコットを第1のバッチに加え、他方、50mlの0.1M NaCl溶液を第2のバッチに加えた。次いで、実施例15に記載した手法に従い、2つの懸濁液を洗浄し、引き続いて、濾過し、60℃にて一晩乾燥した。次いで、熱分析を用い、各乾燥粉末の試料を特徴付けた。界面活性剤の脱着/熱分解に関連する対応する重量喪失を以下の表に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
実施例21:プロセス3による粒子の合成
TEOS(45ミリモル)の10ml試料を40mlのエタノールに溶解させ、次いで、(実施例1に概略を示した手法に従って調製した)pH=2の0.87mlのオレンジII色素溶液を添加した。得られた溶液を90分間攪拌し、しかる後、pH=9.05の0.87mlのオレンジII色素溶液を添加した。200mlの希薄なアンモニア溶液(3重量%)の滴下に先立ち、混合物をさらに90分間攪拌した。得られた懸濁液を静かに12時間熟成させ、次いで、5000rpmにて15分間遠心した。かく得られたオレンジ色固体を最後に60℃にて12時間乾燥した。得られた粉末のSEM顕微鏡写真を図21に示す。
【0068】
実施例22:銅ドープした遷移金属酸化物ナノスフィアの合成
銅テトラアミン溶液(すなわち、溶液4)は、8.45gのCu(NO3)2・3H2O(35ミリモル)を40mlの濃アンモニア溶液(28重量%NH3)に溶解させ、得られた溶液を蒸留水で100mlまで希釈することによって調製した。トリトンNP−9(19.5g,32ミリモル)を150mlのシクロヘキサンに溶解させ、引き続いて、1.125mlの溶液4(62ミリモル当量のH2O)を添加し、8000rpmにおける1分間の剪断−混合によって、得られた混合物をホモゲナイズすることによってマイクロエマルジョンを生じさせた。次いで、500rpmにて攪拌しつつ、マイクロエマルジョンを維持した。
乾燥窒素グローブボックスにおいて、1.83g(6.4ミリモル)のチタンイソプロポキシド(または2.78mlのZr N−プロポキシドまたは1.639mlのAl sec−ブトキシド)を5mlのシクロヘキサンに溶解させた。次いで、この溶液を、グローブボックスの外部にて、攪拌されたNP−9/溶液4/シクロヘキサンエマルジョンに添加し、得られた混合物を500rpmにて2時間攪拌した。次いで、1M NaClの100mlのアリコットを懸濁液に添加し、水性層を洗浄し、実施例15に概略を説明した手法に従って凍結乾燥した。
【0069】
実施例23:プロセス1によるオレンジIIをドープしたTiO2/SiO2混合酸化物粒子の合成
溶液5は、0.05gのオレンジIIを20.0mlの濃(70%)硝酸と混合し、脱ミネラル化水で100mlの合計容量まで希釈することによって調製した。HNO3およびオレンジIIの最終溶液中での濃度は、各々、2.22Mおよび0.5mg/mlであった。
1.53mlのエタノールおよび0.47mlの溶液5(EtOH:H2O:HNO3モル比=1:1:0.04)を含有する溶液を、エタノール(1.53ml)中のTEOS(5.92ml,26.5ミリモル)の混合物に滴下し、得られた混合物をCole Palmerモデル8892超音波浴中で15分間攪拌した。次いで、チタンテトライソプロポキシド(1.53ml,5.2ミリモル)のアリコットを添加し、複合アルコキシド混合物をさらに15分間音波処理し、次いで、4時間還流した。
ソルビタンモノオレエート(23ミリモル)の10g試料を、250mlの円錐フラスコ中にて100mlのケロセンと混合し、磁気フォロアーでほぼ30分間攪拌して、界面活性剤の完全な溶解を保証した。1.40mlの溶液5のアリコットを攪拌溶液に滴下し、続いて複合アルコキシド混合物を添加した。得られた試料を110分間攪拌し、SiO2/TiO2混合酸化物マイクロスフィアを得た。最終生成物を濾過し、ケロセンの三回分の20mlアリコットで洗浄して残存界面活性剤を除去し、雰囲気温度にて24時間乾燥し、次いで、60℃にて一晩乾燥した。得られたマイクロスフィアのSEM顕微鏡写真を図22に示す。
【0070】
本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の他の変形および修飾を記載した具体例に対して成すことができることは認識されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の各々は球状であり、粒子全体に均一に分散した活性物質を有し、該活性物質は該粒子から放出することができることを特徴とする制御放出セラミック粒子。
【請求項2】
前記粒子中の前記活性物質は該粒子から活性物質が放出されるまで化学的劣化から保護されるように該粒子内に配合されることを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【請求項3】
前記粒子は2重量%未満の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【請求項4】
前記セラミック粒子はシリカ、ジルコニア、アルミナおよびチタニアよりなる群から選択される酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【請求項5】
前記セラミック粒子はシリカを含むことを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【請求項1】
粒子の各々は球状であり、粒子全体に均一に分散した活性物質を有し、該活性物質は該粒子から放出することができることを特徴とする制御放出セラミック粒子。
【請求項2】
前記粒子中の前記活性物質は該粒子から活性物質が放出されるまで化学的劣化から保護されるように該粒子内に配合されることを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【請求項3】
前記粒子は2重量%未満の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【請求項4】
前記セラミック粒子はシリカ、ジルコニア、アルミナおよびチタニアよりなる群から選択される酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【請求項5】
前記セラミック粒子はシリカを含むことを特徴とする請求項1記載の制御放出セラミック粒子。
【図1.1】
【図1.2】
【図2.1】
【図2.2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12.1】
【図12−2】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図17−3】
【図18−1】
【図18−2】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図1.2】
【図2.1】
【図2.2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12.1】
【図12−2】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図17−3】
【図18−1】
【図18−2】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−72194(P2012−72194A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6654(P2012−6654)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2001−561299(P2001−561299)の分割
【原出願日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【出願人】(500461941)オーストラリアン ニュークリア サイエンス アンド テクノロジー オーガニゼーション (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2001−561299(P2001−561299)の分割
【原出願日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【出願人】(500461941)オーストラリアン ニュークリア サイエンス アンド テクノロジー オーガニゼーション (11)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]