説明

制御装置、制御システム、制御装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】ネットワーク上の複数の制御装置のうち、1の制御装置が排他的にデバイスと通信可能なシステムにおいて、所定の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、ネットワーク上の全ての制御装置とデバイスとの間で正常な通信が行えるようにする。
【解決手段】レシート用制御装置10aは、プリンター12とコネクションが確立していないときに通信を行う場合、クーポン用制御装置10bに係るコネクションが確立している場合は、切断要求を行うことなく、クーポン用制御装置10bを介してプリンター12と通信するデータ送受信部23aと、プリンター12との間でコネクションが確立しているときに、クーポン用制御装置10bとプリンター12との通信を仲介する通信仲介部24aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスに接続可能な制御装置、当該制御装置と当該デバイスとを含んで構成される制御システム、当該制御装置の制御方法、及び、当該制御装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御装置(ホストコンピューター)と、デバイス(プリンター)との間で、TCP等のコネクション型のプロトコルを用いて通信を行うシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種のシステムでは、LAN等のネットワークを介して、1のデバイスに対し、複数の制御装置が接続されている場合、1のデバイスと、複数の制御装置のうちの1の制御装置との間でプロトコルに準拠したコネクションが確立された上で、当該1のデバイスと、当該1の制御装置との間で、排他的に通信が行われる。
そして、デバイスとの間でコネクションが確立していない制御装置が、デバイスと通信しようとする場合、他の制御装置とデバイスとの間で確立しているコネクションについてプロトコルに準拠した切断要求を出力して当該コネクションを切断した後、改めて、自身とデバイスとの間でコネクションを確立して、通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したシステムでは、デバイスと、1の制御装置との間でコネクションが確立している場合において、他の制御装置がデバイスと通信を試みようとしているような状況であっても、当該1の制御装置に係るコネクションを切断したくないとするケースがあった。例えば、店舗に適用されたPOSシステムにおけるホストコンピューター(制御装置)と、プリンター(デバイス)とにおいて、1のホストコンピューターが店舗の営業時間のほとんどの時間帯において、プリンターを制御してレシートの発行等を行っている一方、他のホストコンピューターは、クーポン等の特殊な紙片を発行するため臨時的にプリンターを使用するような状況では、処理効率の観点から、できれば1のホストコンピューターに係るコネクションを切断したくないとするニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ネットワーク上の複数の制御装置のうち、1の制御装置が排他的にデバイスと通信可能なシステムにおいて、所定の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、ネットワーク上の全ての制御装置とデバイスとの間で正常な通信が行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、デバイスに接続可能な制御装置であって、前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信するデータ送受信部と、前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信する通信仲介部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、他の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況で、1の制御装置がデバイスと通信しようとする場合、当該他の制御装置に係るコネクションを切断することなく当該他の制御装置を介してデバイスとの間で通信に係るデータの送受信を正常に行うことができる。また、上記構成によれば、1の制御装置は、当該1の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況のときに他の制御装置とデバイスとの間の通信を仲介する機能を有するため、当該1の制御装置に係るコネクションの切断を伴うことなく、他の制御装置とデバイスとの間での通信が可能となる。以上により、ネットワーク上の所定の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、ネットワーク上の全ての制御装置とデバイスとの間で正常な通信が行えるようになる。
【0006】
また、上記発明の制御装置であって、本発明は、前記デバイスは、所定の紙片を発行可能な記録装置であり、前記データ送受信部は、前記記録装置との間でコネクションが確立していないときに、前記記録装置に前記所定の紙片を発行させる場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記記録装置との間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求して当該他の制御装置を介して前記記録装置に前記所定の紙片の発行に係るデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記記録装置から前記所定の紙片の発行に係るデータを受信し、前記通信仲介部は、前記記録装置との間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、前記所定の紙片の発行に係るデータの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信した前記所定の紙片の発行に係るデータを前記記録装置に転送し、また、前記デバイスから受信した前記所定の紙片の発行に係るデータを当該他の制御装置に転送することを特徴とする。
ここで、店舗等に適用されたPOSシステムでは、1台の記録装置(プリンター)に、複数台の制御装置(ホストコンピューター)が接続され、いずれかの制御装置の排他的な制御の下、当該記録装置が、レシートや、クーポン等の所定の紙片を発行するものがある。そして、このようなPOSシステムでは、実務上、店舗の営業時間のほとんどの時間帯、1の制御装置が記録装置によってレシートを発行する一方、臨時的、一時的に他の制御装置が記録装置によってクーポンを発行するといった運用が行われることがある。このような場合、処理の効率化という観点から、1の制御装置に係るコネクションをできるだけ切断したくないとするニーズがある。そして、このようなシステムに、上記構成の発明を適用すれば、1の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、他の制御装置が正常に記録装置を利用して所定の紙片を発行することが可能となる。
【0007】
また、上記発明の制御装置であって、本発明は、前記通信仲介部は、前記他の制御装置と前記記録装置との通信を仲介している場合に、前記他の制御装置から受信したデータについて、当該データの内容の整合性を確認するデータチェック部を備え、前記他の制御装置から前記記録装置への仲介に係るデータを受信した場合、前記データチェック部により当該データの内容について整合性があると判別されたときは、当該データを前記記録装置に送信し、整合性がないと判別されたときは、前記他の制御装置にその旨通知することを特徴とする。
この構成によれば、整合性のないデータが記録装置に送信され、不必要な紙片が発行されることを防止可能となる。
【0008】
また、上記目発明の制御装置であって、本発明は、前記デバイスは、媒体を読み取り可能な読取装置であり、前記データ送受信部は、前記読取装置との間でコネクションが確立していないときに、前記読取装置の読取結果を取得する場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記読取装置との間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求して当該他の制御装置を介して前記読取装置に読取結果の取得に係るデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記読取装置から読取結果に係るデータを受信し、前記通信仲介部は、前記読取装置との間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、読取結果の取得に係るデータの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信した読取結果の取得に係るデータを前記読取装置に転送し、また、前記読取装置から受信した読取結果に係るデータを当該他の制御装置に転送することを特徴とする。
ここで、小切手等の媒体を磁気的、光学的に読み取る読取装置に対して、複数の制御装置が接続され、複数の制御装置のうち1の制御装置が排他的に読取装置と通信して読取結果を取得し、読取結果に基づいて何らかの処理(例えば、読取が成功したか否かの判別に係る処理)を行うシステムがある。このような場合において、実務上、1の制御装置がメインとなって、読取装置が処理した小切手のほとんど全ての読取結果を受信して所定の処理を行い、他の制御装置は、当該1の制御装置が対応していない特殊な小切手(例えば、小切手の磁気インク文字を読み取る場合において、特殊なフォントの磁気インク文字が記録された小切手)を処理する場合にのみ、読取装置と通信する運用が行われる場合がある。
そして、上述したシステムに、上記構成の発明を適用すれば、1の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、他の制御装置が正常に読取装置から読取結果を受信することが可能となる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して、デバイスと、複数の制御装置とが通信可能に接続されると共に、複数の前記制御装置のうち、いずれか1つの前記制御装置が、前記デバイスとの間で、コネクションを確立して排他的に通信可能な構成とされた制御システムであって、前記制御装置は、前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信するデータ送受信部と、前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信する通信仲介部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、他の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況で、1の制御装置がデバイスと通信しようとする場合、当該他の制御装置に係るコネクションを切断することなく当該他の制御装置を介してデバイスとの間で通信に係るデータの送受信を正常に行うことができる。また、上記構成によれば、1の制御装置は、当該1の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況のときに他の制御装置とデバイスとの間の通信を仲介する機能を有するため、当該1の制御装置に係るコネクションの切断を伴うことなく、他の制御装置とデバイスとの間での通信が可能となる。以上により、ネットワーク上の所定の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、ネットワーク上の全ての制御装置とデバイスとの間で正常な通信が行えるようになる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して、デバイスと、複数の制御装置とが通信可能に接続されると共に、複数の前記制御装置のうち、いずれか1つの前記制御装置が、前記デバイスとの間で、コネクションを確立して排他的に通信可能な構成とされた制御システムにおける前記制御装置の制御方法であって、前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信し、一方、前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信することを特徴とする。
この制御方法によれば、他の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況で、1の制御装置がデバイスと通信しようとする場合、当該他の制御装置に係るコネクションを切断することなく当該他の制御装置を介してデバイスとの間で通信に係るデータの送受信を正常に行うことができる。また、上記構成によれば、1の制御装置は、当該1の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況のときに他の制御装置とデバイスとの間の通信を仲介する機能を有するため、当該1の制御装置に係るコネクションの切断を伴うことなく、他の制御装置とデバイスとの間での通信が可能となる。以上により、ネットワーク上の所定の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、ネットワーク上の全ての制御装置とデバイスとの間で正常な通信が行えるようになる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して、デバイスと、複数の制御装置とが通信可能に接続されると共に、複数の前記制御装置のうち、いずれか1つの前記制御装置が、前記デバイスとの間で、コネクションを確立して排他的に通信可能な構成とされた制御システムにおける前記制御装置の各部を制御する制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信するデータ送受信部と、前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信する通信仲介部と、として機能させることを特徴とする。
このプログラムを実行すれば、他の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況で、1の制御装置がデバイスと通信しようとする場合、当該他の制御装置に係るコネクションを切断することなく当該他の制御装置を介してデバイスとの間で通信に係るデータの送受信を正常に行うことができる。また、上記構成によれば、1の制御装置は、当該1の制御装置がデバイスと排他的に通信している状況のときに他の制御装置とデバイスとの間の通信を仲介する機能を有するため、当該1の制御装置に係るコネクションの切断を伴うことなく、他の制御装置とデバイスとの間での通信が可能となる。以上により、ネットワーク上の所定の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、ネットワーク上の全ての制御装置とデバイスとの間で正常な通信が行えるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネットワーク上の複数の制御装置のうち、1の制御装置が排他的にデバイスと通信可能なシステムにおいて、所定の制御装置に係るコネクションを維持しつつ、ネットワーク上の全ての制御装置とデバイスとの間で正常な通信が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係るPOSシステムの機能的構成を示すブロック図。
【図2】クーポン制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】POSシステムの各装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係る小切手処理システムの機能的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るPOSシステム1(制御システム)の機能的構成を示すブロック図である。
POSシステム1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に適用され、店舗に来店した顧客の会計に応じてレシート、及び、クーポンを発行することをその機能の1つとするシステムであり、図1に示すように、複数(2台)のレシート用制御装置10a(制御装置)とクーポン用制御装置10b(制御装置)と、POSサーバー11と、1台のプリンター12(デバイス、記録装置)とを備え、これら装置が、例えばイーサネット(登録商標)の規格に準拠した通信ケーブルや、ハブ、ルーター、無線通信機器等のネットワーク機器等を含んで構成されたLAN5(ネットワーク)を介して通信可能に接続されている。
レシート用制御装置10aは、プリンター12を制御してレシートを発行し、一方、クーポン用制御装置10bは、プリンター12を制御してクーポンを発行する。これら制御装置の構成は略同一であり、以下の説明において、これら制御装置を特に区別しない場合は、ホストコンピューター10と称する。
【0015】
POSサーバー11は、ネットワークを介してホストコンピューター10に通信可能に接続されており、店舗で販売している商品の商品コードや、名称、金額等のレシートの発行のために必要となる情報や、クーポンの発行のために必要となる情報を示すデータをデータベースとして記憶する。レシート用制御装置10aは、レシートの発行に際し、適宜、POSサーバー11に記憶されたデータベースを参照して必要な情報を取得し、また、クーポン用制御装置10bは、クーポンの発行に際し、適宜、POSサーバー11にアクセスして必要な情報を取得する。
【0016】
レシート用制御装置10aは、制御部15aと、表示部16aと、入力部17aと、記憶部18aと、ネットワーク通信部19aと、を備えている。
制御部15aは、レシート用制御装置10aの各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPUや、このCPUに実行される基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM、その他の周辺回路等を備えている。図1に示すように、制御部15aは、アプリケーション実行部20aと、デバイスドライバー実行部21aと、を備えているが、これらについては後述する。
表示部16aは、液晶ディスプレーパネルや、有機ELパネル等の表示パネルを備え、制御部15aの制御の下、表示パネルに各種情報を表示する。
入力部17aは、キーボードや、マウス、バーコードリーダー、カードリーダー等の入力デバイスに接続され、これら入力デバイスの出力信号を制御部15aに出力する。バーコードリーダーは商品の包装紙等に記録されたバーコードの読み取りに利用され、カードリーダーはクレジットカードや、会員カード等に記録された情報の読み取りに利用される。バーコードリーダーやカードリーダー等の入力デバイスを用いて取得した情報は、レシートの発行に係る処理や、クーポンの発行に係る処理に用いられる。
記憶部18aは、ハードディスクや、EEPROM等の記憶媒体を備え、各種データを書き換え可能に記憶する。
ネットワーク通信部19aは、ホストコンピューター10に実装されたインターフェイスボードや、ホストコンピューター10に設けられた拡張スロットに接続されたネットワークカード等を含んで構成され、LAN5を介して他の通信端末との間で所定の規格に準拠した通信を行うものであり、所定の通信規格に準拠して信号処理を行うネットワークコントローラー26aと、有線または無線にてLANに接続される通信インターフェイス27aと、を備えている。本実施形態に係るネットワークコントローラー26aは、少なくとも、TCP/IPに準拠した信号処理を実行可能である。
【0017】
クーポン用制御装置10bは、制御部15bと、表示部16bと、入力部17bと、記憶部18bと、ネットワーク通信部19bと、を備えている。これら構成要素は、レシート用制御装置10aの対応する構成要素と同様の機能を有しており、その説明を省略する。
【0018】
プリンター12は、ロール状に巻かれた感熱ロール紙を、ローラー状のプラテンにより搬送し、この感熱ロール紙の記録面に、発熱素子を備えたラインサーマルヘッドによって熱を与えることにより画像を記録した上で、所定の位置で感熱ロール紙を切断することにより、レシート、又は、クーポンを発行するサーマルヘッド式プリンターである。
図1に示すように、プリンター12は、プリンター側制御部28と、記録部26と、を備えている。
プリンター側制御部28は、プリンター12の各部を中枢的に制御するものであり、CPUや、ROM、RAM、その他の周辺回路を備えている。
記録部26は、プリンター側制御部28の制御の下、各種センサーの検出値を監視しながら、上述したラインサーマルヘッドのほか、感熱ロール紙を搬送するプラテンローラーを駆動するための搬送モーターや、切断機構が備えるカッターを駆動するためのカッター駆動モーターを動作させて、感熱ロール紙に画像を記録し、画像を記録した感熱ロール紙を切断することによりレシート、又は、クーポンを発行する。
【0019】
次いで、アプリケーション実行部20a及びデバイスドライバー実行部21aの説明を通して、レシート用制御装置10aの制御の下、プリンター12がレシートを発行する際の基本的な動作について説明する。なお、クーポン用制御装置10bの制御の下、プリンター12がクーポンを発行する場合も、以下説明する動作と同様の動作が行われる。
アプリケーション実行部20aは、レシート用制御装置10aに予めインストールされたPOSアプリケーションを実行することにより、取引毎に、適宜、POSサーバー11にアクセスした上で、取引において購入された商品を示す情報や、商品の単価を示す情報、購入金額を示す情報等のレシートに記載すべき情報を取得し、取得した情報に基づいて、レシートに記録すべき画像に係る記録データを生成し、デバイスドライバー実行部21aに出力する。レシートに記録すべき画像には、商品の名称を示す文字に係る画像や、値段を示す文字に係る画像等の文字に係る画像が含まれている。なお、レシート用制御装置10aには、レシート発行用の専用のPOSアプリケーションがインストールされており、一方、クーポン用制御装置10bには、クーポン発行用の専用のPOSアプリケーションがインストールされている。
デバイスドライバー実行部21aは、レシート用制御装置10aに予めインストールされたプリンタードライバーを実行することにより、アプリケーション実行部20aから入力された記録データに基づいて、プリンター12のコマンド仕様に対応した制御コマンドを生成し、プリンター側制御部28に出力する。この制御コマンドには、搬送機構に感熱ロール紙を搬送させるコマンドや、ラインサーマルヘッドを駆動させるコマンド、切断機構に感熱ロール紙を切断させるコマンド等の、プリンター12にレシートを発行させるための各種コマンドが含まれている。
制御コマンドが入力されたプリンター側制御部28は、この制御コマンドに基づいてプリンター12の各部を制御し、レシートを発行する。
【0020】
本実施形態に係るPOSシステム1では、ホストコンピューター10とプリンター12との間で、少なくともTCPに準拠したデータの送受信が可能である。
ホストコンピューター10とプリンター12との間でTCPに準拠した通信を行う場合、周知のように、まず、スリーウェイハンドシェイクにより、これら装置間でのコネクションが確立され、その後、これら装置間でパケットによる各種データの送受信が行われる。また、コネクションが切断(開放)される際は、ホストコンピューター10とプリンター12との間でコネクションの切断に係る所定の手続きが行われて、コネクションが切断される。切断に係る所定の手続きでは、ホストコンピューター10とプリンター12との間で所定のパケットが所定の手順でやり取りされて、ホストコンピューター10側のコネクションの切断に対する同意、及び、プリンター12側のコネクションの切断に対する同意が確定した後、コネクションの完全な切断が実行される。
また、レシート用制御装置10a、及び、クーポン用制御装置10bのうち、いずれか一方のホストコンピューター10とプリンター12との間でコネクションが確立している場合は、当該ホストコンピューター10のみが排他的にプリンター12と通信可能である。
【0021】
ところで、上述したように、レシート用制御装置10aは、コネクションが確立しているプリンター12を制御してレシートを発行させ、一方、クーポン用制御装置10bはプリンター12を制御してクーポンを発行させる。本実施形態に係るレシートは、顧客の会計の度に発行される一方、本実施形態に係るクーポンは、顧客の会計において、顧客の会計の内容に応じたクーポンの発行に係る所定の条件が満たされた場合にのみ発行される。顧客の会計の内容に応じたクーポンの発行に係る所定の条件とは、例えば、会計に係る顧客が特定の顧客であったり、会計において顧客によって特定の商品が購入されていたり、また、会計における顧客の合計支払金額が所定の額を上回っていたりすることである。
そして、従来のPOSシステム1では、レシート、及び、クーポンの発行に際し、以下のような動作が行われていた。
すなわち、まず、レシート用制御装置10aが、プリンター12を制御してレシートを発行する。次いで、レシート用制御装置10aは、レシートに関する情報であって、クーポンを発行するか否かを決めるために必要な情報として予め定められた情報を、クーポン用制御装置10bに出力する。クーポン用制御装置10bは、入力された情報に基づいて、クーポンを発行するトリガーとなる条件が満たされたか否かを判別する。当該条件が満たされている場合、クーポン用制御装置10bは、レシート用制御装置10aに対して、プリンター12との間で確立しているコネクションの切断要求を行う。当該要求を受けたレシート用制御装置10aは、プリンター12との間で所定のパケットを所定の手順でやり取りして、レシート用制御装置10a側のコネクションの切断に対する同意、及び、プリンター12側のコネクションの切断に対する同意を確定させた後、コネクションを切断する。
レシート用制御装置10aに係るプリンター12間のコネクションが切断された後、クーポン用制御装置10bは、スリーウェイハンドシェイクにより、プリンター12との間でコネクションを確立する。その後、クーポン用制御装置10bは、プリンター12との間で所定の通信を行ってプリンター12を制御し、クーポンを発行する。クーポンの発行に係る処理の終了後、クーポン用制御装置10bは、上述した所定の手続を行って、プリンター12との間のコネクションを切断する。
【0022】
ここで、クーポンは、所定の条件が満たされた場合にのみ発行される紙片である。従って、上述した従来のやり方では、プリンター12との間のコネクションにおいて、クーポンを発行する度に、レシート用制御装置10aに係るコネクションを切断し、クーポン用制御装置10bに係るコネクションを確立し、クーポンの発行後、クーポン用制御装置10bに係るコネクションを切断し、レシート用制御装置10aに係るコネクションを確立するという煩雑な作業が行われることとなり、処理効率の低下を招く可能性があるという問題があった。
以上を踏まえ、本実施形態に係るPOSシステム1は、以下のような動作を実行する。
すなわち、クーポン用制御装置10bがプリンター12によりクーポンを発行する場合、クーポン用制御装置10bのデバイスドライバー実行部21bのデータ送受信部23b、及び、レシート用制御装置10aのデバイスドライバー実行部21aの通信仲介部24aの機能により、レシート用制御装置10aに係るコネクションが確立された状態を維持しつつ、クーポン用制御装置10bとプリンター12と間で正常にデータの送受信が行えるようにし、これによりプリンター12によってクーポンを発行する。
以下、クーポンを発行する際の、ホストコンピューター10の動作についてフローチャートを用いて詳述する。
【0023】
図2は、クーポン発行時のクーポン用制御装置10bの動作を示すフローチャートである。図2のフローチャートの前提として、プリンター12によるレシートの発行が完了し、レシート用制御装置10aからクーポン用制御装置10bに対して、クーポンを発行するか否かを判別するための所定の情報が出力されているものとする。
また、以下の説明において、データ送受信部23a、23b、及び、通信仲介部24a、24bの機能は、CPUがプリンタードライバーを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
まず、クーポン用制御装置10bのデバイスドライバー実行部21bのデータ送受信部23bは、レシート用制御装置10aから入力された情報に基づいて、クーポンを発行するための所定の条件が満たされたか否か、換言すれば、クーポンを発行するか否かを判別する(ステップSA1)。クーポンを発行しない場合(ステップSA1:NO)、データ送受信部23bは、処理を終了する。
一方、クーポンを発行する場合(ステップSA1:YES)、データ送受信部23bは、レシート用制御装置10aとプリンター12との間でコネクションが確立しているか否かを判別する(ステップSA2)。当該判別は、例えば、レシート用制御装置10aに対して、所定のプロトコルに準拠した問い合わせを行うことにより、行われる。
レシート用制御装置10aとプリンター12との間でコネクションが確立していない場合(ステップSA2:NO)、データ送受信部23bは、プリンター12との間でコネクションを確立した上で、プリンター12との間でクーポンを発行させるための所定のデータを送受信して、クーポンを発行する(ステップSA3)。なお、以下の説明で明らかとなるとおり、本実施形態では、基本的には、レシート用制御装置10aとプリンター12との間でのコネクションが確立した状態が維持されている。ここでのレシート用制御装置10aとプリンター12との間でコネクションが確立していない場合とは、プリンター12によってレシートを発行した後、通信ケーブルの一時的な抜き差しや何らかの通信エラーが発生し、当該コネクションが強制的に切断された場合が考えられる。
【0024】
一方、レシート用制御装置10aとプリンター12との間でのコネクションが確立している場合(ステップSA2:YES)、データ送受信部23bは、レシート用制御装置10aに対して、プリンター12との間で行うデータの送受信の仲介を要求する所定のコマンドを出力する(ステップSA4)。次いで、データ送受信部23bは、レシート用制御装置10aを介して、プリンター12との間でクーポンの発行に係るデータを送受信し、プリンター12によりクーポンを発行する(ステップSA5)。
以下、ステップSA5における、レシート用制御装置10a、クーポン用制御装置10b、及び、プリンター12の動作について詳述する。
【0025】
図3は、ステップSA5における各装置の動作を示すフローチャートであり、(A)はクーポン用制御装置10bの動作を、(B)はレシート用制御装置10aの動作を、(C)はプリンター12の動作をそれぞれ示している。
以下の説明では、説明の便宜のため、クーポン用制御装置10bの制御の下、プリンター12によりクーポンを発行する場合、クーポン用制御装置10bがプリンター12に対して、クーポンの発行に係る一連の制御コマンドを出力し、さらに、プリンター12が、当該制御コマンドに基づいてクーポンを発行した後、クーポンの発行が完了した旨の通知コマンドをクーポン用制御装置10bに出力する、という単純な動作が行われるものとする。
【0026】
まず、クーポン用制御装置10bのデータ送受信部23bは、クーポンの発行に係る制御コマンドを生成し、レシート用制御装置10aに送信する(ステップSB1)。制御コマンドを構成する各コマンドのヘッダーには、各コマンドがプリンター12に転送すべきコマンドであることを示すフラグをセット可能なエリアが形成されており、データ送受信部23bは、制御コマンドの各コマンドについて、当該フラグを立てる。
制御コマンドを受信したレシート用制御装置10aのデバイスドライバー実行部21aの通信仲介部24aのデータチェック部25aは、当該制御コマンドの内容の整合性を確認する(ステップSB2)。詳述すると、当該制御コマンドは、クーポンの発行に係るコマンド群であり、クーポンの記録面に記録すべき画像を示す情報が含まれている。この画像を示す情報は、例えば、ビットマップ等の画像データであり、また例えば、プリンター12の内蔵フォントを利用する場合は、文字コードや、内蔵フォントのアドレスを示す情報である。そして、上述したように本実施形態に係るクーポンは、顧客の会計に際し、顧客の会計の内容に対応して発行されるものであり、そのクーポンの記録面に記録される画像は、顧客の会計の内容を反映した画像となっている。例えば、商品Aを購入した顧客に対して、当該商品Aの割引に係るクーポンを発行することとなっている場合は、当該クーポンの画像は、商品Aの割引に係る画像となっており、また、特定の顧客に対して、商品Bの割引に係るクーポンを発行することとなっている場合は、当該クーポンの画像は、商品Bの割引に係る画像となっている。
【0027】
以上を踏まえ、ステップSB2において、データチェック部25aは、制御コマンドに含まれる、クーポンの記録面に記録すべき画像を示す情報を取得し、当該情報に基づいて、レシートの発行の際に把握される顧客の会計の内容と照らし合わせて、クーポンに記録される画像が、顧客の会計の内容に基づく予め定められた規則に準じたものとなっているか否かを判別する。そして、クーポンに記録される画像が当該規則に準じたものとなっていない場合は、データチェック部25aは、クーポン用制御装置10bから受信した制御コマンドを、プリンター12に送信を行なわず、発行しようとしているクーポンの画像の内容に整合性がない旨を、クーポン用制御装置10bに通知する。当該通知を受けたクーポン用制御装置10bは、クーポンの発行の停止のための各種処理の実行、あるいは、強制的にクーポンを発行する等の予め設定された所定の処理を実行する。
一方、クーポンに記録される画像が、顧客の会計の内容に基づく予め定められた規則に準じたものとなっている場合、データチェック部25aは、処理手順をステップSB3へ移行する。
このように、制御コマンドの内容、より具体的には、発行しようとしているクーポンの画像が示す情報に整合性がない場合は、クーポンの発行が一旦停止されるため、不必要なクーポンが発行されたり、また、整合性のないクーポンが顧客に渡されたりすることを効果的に防止することが可能である。
なお、データチェック部25aは、クーポンの記録面に記録すべき画像を示す情報について、パターンマッチングを利用した文字認識や、特定の文字列検索等、既存の技術を利用して当該情報を分析して、上記整合性の確認に係る処理を実行する。
以下の説明では、説明の便宜のため、データチェック部25aによって制御コマンドの整合性があると判別されたものとする。
【0028】
ステップSB3において、レシート用制御装置10aの通信仲介部24aは、制御コマンドを、プリンター12に対して転送する。当該制御コマンドの転送に際し、通信仲介部24aは、転送した制御コマンドに対する各種応答が自身に対して行われるように、必要なコマンドを付加し、また、制御コマンドを構成する各コマンドのヘッダーの情報を加工した上で、自身とプリンター12との間で確立しているコネクションを利用して制御コマンドを送信する。なお、通信仲介部24aは、クーポン用制御装置10bから受信した制御コマンドについて、プリンター12に対して転送すべきコマンドであるか否かを、当該コマンドのヘッダーに形成された転送すべきコマンドであることを示すフラグの状態によって管理する。
【0029】
制御コマンドを受信したプリンター12のプリンター側制御部28は、制御コマンドに基づいて記録部26を制御して、クーポンを発行する(ステップSB4)。
クーポンの発行が完了すると、プリンター側制御部28は、クーポンの発行が完了した旨のコマンドを生成し、レシート用制御装置10aとの間で確立しているコネクションを利用して、当該コマンドをレシート用制御装置10aに送信する(ステップSB5)。
クーポンの発行が完了した旨のコマンドを受信したレシート用制御装置10aの通信仲介部24aは、データの転送に係る必要なデータ処理を施した上で、当該コマンドを、クーポン用制御装置10bに送信する(ステップSB6)。
当該コマンドを受信したクーポン用制御装置10bのデータ送受信部23bは、対応する処理を実行する(ステップSB7)。例えば、データ送受信部23bは、表示部16bにクーポンの発行が完了した旨の表示を実行する。
【0030】
なお、図1に示すように、レシート用制御装置10aは、データ送受信部23aも備えており、また、クーポン用制御装置10bは、通信仲介部24bも備えている。データ送受信部23aは、クーポン用制御装置10bのデータ送受信部23bと同様の機能を有する機能ブロックであり、また、通信仲介部24bは、レシート用制御装置10aの通信仲介部24aと同様の機能を有する機能ブロックである。
そして、クーポン用制御装置10bとプリンター12との間でのコネクションが確立した状態を維持する、といった運用がとられた場合は、レシート用制御装置10aのデータ送受信部23aと、クーポン用制御装置10bの通信仲介部24bとが協働して、図2、図3のフローチャートに準じた処理を行い、クーポン用制御装置10bに係るコネクションを維持しつつ、レシート用制御装置10aとプリンター12との間でクーポン用制御装置10bを介したデータの送受信が行われる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るホストコンピューター10と、プリンター12とは、コネクション型のプロトコルに準拠した通信を行い、1のホストコンピューター10が、プリンター12との間で、コネクションを確立して排他的に通信を行う。そして、ホストコンピューター10は、プリンター12との間でコネクションが確立していないときにプリンター12との間で通信を行う場合、LAN5上の他のホストコンピューター10とプリンター12との間でコネクションが確立しているか否かを判別し、当該他のホストコンピューター10に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他のホストコンピューター10に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求して当該他のホストコンピューター10を介してプリンター12にデータを送信し、また、当該他のホストコンピューター10を介してプリンター12からデータを受信するデータ送受信部23と、プリンター12との間でコネクションが確立しているときに、LAN5上の前記他のホストコンピューター10から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他のホストコンピューター10から受信したデータをプリンター12に転送し、また、プリンター12から受信したデータを当該他のホストコンピューター10に転送する通信仲介部24と、を備えている。
これによれば、本実施形態に係るPOSシステム1のように、複数のホストコンピューター10のうち、1のホストコンピューター10について、処理効率の向上という観点から、できるだけコネクションを維持しつつ、一方で、他のホストコンピューター10とプリンター12との間で正常に通信を行いたいとするニーズがある場合に、当該ニーズに適切に応えることが可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、通信仲介部24a、24bは、他のホストコンピューター10とプリンター12との通信を仲介している場合に、当該他のホストコンピューター10から受信したデータについて、当該データの内容の整合性を確認するデータチェック部25a、25bを備え、他のホストコンピューター10からプリンター12への仲介に係るデータを受信した場合、データチェック部25a、25bにより当該データの内容について整合性があると判別されたときは、当該データをプリンター12に送信し、整合性がないと判別されたときは、前記他のホストコンピューター10にその旨通知する。
これによれば、整合性のないデータがプリンター12に送信され、不必要な紙片(本実施形態の例ではクーポン)が発行されることを防止可能となる。
【0033】
<第2実施形態>
次いで、第2実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る小切手処理システム50(制御システム)の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、小切手処理システム50は、3台のホストコンピューター51a〜51cと、小切手処理装置52(デバイス、読取装置)とを備え、これら各装置がLAN5を介してコネクション型のプロトコルであるTCPに準拠した通信可能に接続されている。
ホストコンピューター51aは、制御部55aと、表示部56aと、入力部57aと、記憶部58aと、ネットワーク通信部59aと、を備えており、制御部55aは、アプリケーション実行部60aと、デバイスドライバー実行部61aとを備えている。このデバイスドライバー実行部61aは、さらに、データ送受信部63aと、通信仲介部64aと、を備えている。図4に示すように、ホストコンピューター51b、51cも、ホストコンピューター51aと同様の構成要素を備えている。以下の説明において、ホストコンピューター51a〜51cのそれぞれについて特に区別しない場合は、ホストコンピューター51と表現する。
小切手処理装置52は、小切手を処理する装置であり、磁気読取部53と、光学読取部54とを備えている。
磁気読取部53は、磁気インクヘッドにより、小切手に記録された磁気インク文字を読み取る。また、光学読取部54は、コンタクトイメージスキャナーにより、小切手の表面を光学的に読み取る。以下の説明において、「小切手を処理する」とは、当該小切手について磁気読取部53によって磁気インク文字を読み取ると共に、光学読取部54によって小切手の表面を読み取り、各読取結果をコネクションが確立されたホストコンピューター51に送信することをいう。当該読取結果を受信したホストコンピューター51では、受信した読取結果に基づいて対応する処理、例えば、読取結果が正常か否かを判別したり、また、読取結果を所定の記憶領域に記憶したりする処理を行う。
【0034】
本実施形態に係る小切手処理装置52は、図示せぬ搬送機構の機能により、連続して複数枚の小切手を、自動で、処理可能である。そして、ホストコンピューター51a〜51cのうち、ホストコンピューター51aが、小切手を連続して処理している間、小切手処理装置52とのコネクションを確立して、小切手処理装置52を制御する構成となっている。このように、基本的に1台のホストコンピューター51が占有的に小切手処理装置52を制御して、連続して小切手を処理させる構成とすることにより、処理効率の向上を図ることが可能である。
一方で、ホストコンピューター51bには、ホストコンピューター51aが対応していない特殊なフォントの磁気インク文字の読取結果を処理可能なアプリケーションがインストールされており、当該磁気インク文字が記録された小切手を処理する場合は、ホストコンピューター51bと小切手処理装置52との間で通信を行い、ホストコンピューター51bが小切手処理装置52を制御する必要がある。
また、ホストコンピューター51cには、ホストコンピューター51aが対応していない特殊なサイズの小切手に係る読取結果を処理可能なアプリケーションがインストールされており、当該小切手を処理する場合は、ホストコンピューター51cと小切手処理装置52との間で通信を行い、ホストコンピューター51cが小切手処理装置52を制御する必要がある。
そして、処理すべき複数の小切手の中に、特殊なフォントの磁気インク文字が記録された小切手や、特殊なサイズの小切手が含まれていることは稀であり、このような小切手に対する処理が発生する度に、ホストコンピューター51aに係るコネクションの切断を行いたくないとするニーズがある。
これを踏まえ、本実施形態に係るホストコンピューター51は、以下の動作を行う。
【0035】
すなわち、特殊なフォントの磁気インク文字が記録された小切手を処理する場合、ホストコンピューター51aと小切手処理装置52との間のコネクションを切断することなく、ホストコンピューター51aの通信仲介部64aと、ホストコンピューター51bのデータ送受信部63bとの協働により、ホストコンピューター51aを介して、ホストコンピューター51bと小切手処理装置52とが通信し、これにより、ホストコンピューター51bの制御の下、小切手処理装置52が小切手を処理し、各読取部の読取結果がホストコンピューター51bに送信される。ホストコンピューター51bは、専用のアプリケーションの機能により、受信した読取結果に基づいて適切な処理を行う。
同様に、特殊なサイズの小切手を処理する場合、ホストコンピューター51aと小切手処理装置52との間のコネクションを切断することなく、ホストコンピューター51aの通信仲介部64aと、ホストコンピューター51cのデータ送受信部63cとの協働により、ホストコンピューター51aを介して、ホストコンピューター51cと小切手処理装置52とが通信し、これにより、ホストコンピューター51cの制御の下、小切手処理装置52が小切手を処理し、各読取部の読取結果がホストコンピューター51cに送信される。ホストコンピューター51cは、専用のアプリケーションの機能により、受信した読取結果に基づいて適切な処理を行う。
このように、本実施形態では、ホストコンピューター51aに係るコネクションを維持しつつ、必要に応じて、ホストコンピューター51b、51cが、ホストコンピューター51aを介して、小切手処理装置52と通信する。これにより、コネクションの切断、確立の発生に伴う処理効率の低下を効果的に抑制することが可能となる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、データ送受信部63a、63b、63c、及び、通信仲介部64a、64b、64cの協働により、1のホストコンピューター51と、小切手処理装置52とのコネクションを維持しつつ、他のホストコンピューター51が、正常に小切手処理装置52と通信できる。このため、処理すべき複数の小切手の中に、特殊なフォントの磁気インク文字が記録された小切手や、特殊なサイズの小切手が含まれていることは稀であり、このような小切手に対する処理が発生する度に、ホストコンピューター51aに係るコネクションの切断を行いたくないとするニーズに適切に応えることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した第1実施形態では、プリンター12は、サーマル式であったが、記録形式はこれに限らず、インクジェットプリンター、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンター等であってもよい。また、上述した第2実施形態では、読取装置として小切手処理装置52を例としたが、読取装置はこれに限らず、例えば、スキャナー専用機であってもよい。すなわち、本発明は、制御装置と、制御装置に制御され、所定の機能を有するデバイスとが、コネクション型の通信を行う場合に広く適用可能である。
また例えば、図1、4に示す各機能ブロックはハードウェアとソフトウェアの協働により任意に実現可能であり、特定のハードウェア構成を示唆するものではない。
また例えば、装置の外部の記憶媒体に記憶させたプログラムを実行することにより、本発明に係る各機能を実現するようにしてもよく、また、図で示した各フローチャートの各ステップを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…POSシステム(制御システム)、5…LAN(ネットワーク)、10a…レシート用制御装置(制御装置)、10b…クーポン用制御装置(制御装置)、12…プリンター(デバイス、記録装置)、15a、15b…制御部、23a、23b…データ送受信部、24a、24b…通信仲介部、25a、25b…データチェック部、50…小切手処理システム(制御システム)、51a、51b、51c…ホストコンピューター、52…小切手処理装置(デバイス、読取装置)、55a、55b、55c…制御部、63a、63b、63c…データ送受信部、64a、64b、64c…通信仲介部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに接続可能な制御装置であって、
前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信するデータ送受信部と、
前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信する通信仲介部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記デバイスは、所定の紙片を発行可能な記録装置であり、
前記データ送受信部は、
前記記録装置との間でコネクションが確立していないときに、前記記録装置に前記所定の紙片を発行させる場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記記録装置との間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求して当該他の制御装置を介して前記記録装置に前記所定の紙片の発行に係るデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記記録装置から前記所定の紙片の発行に係るデータを受信し、
前記通信仲介部は、
前記記録装置との間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、前記所定の紙片の発行に係るデータの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信した前記所定の紙片の発行に係るデータを前記記録装置に転送し、また、前記デバイスから受信した前記所定の紙片の発行に係るデータを当該他の制御装置に転送することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記通信仲介部は、
前記他の制御装置と前記記録装置との通信を仲介している場合に、前記他の制御装置から受信したデータについて、当該データの内容の整合性を確認するデータチェック部を備え、
前記他の制御装置から前記記録装置への仲介に係るデータを受信した場合、前記データチェック部により当該データの内容について整合性があると判別されたときは、当該データを前記記録装置に送信し、整合性がないと判別されたときは、前記他の制御装置にその旨通知することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記デバイスは、媒体を読み取り可能な読取装置であり、
前記データ送受信部は、
前記読取装置との間でコネクションが確立していないときに、前記読取装置の読取結果を取得する場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記読取装置との間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求して当該他の制御装置を介して前記読取装置に読取結果の取得に係るデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記読取装置から読取結果に係るデータを受信し、
前記通信仲介部は、
前記読取装置との間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、読取結果の取得に係るデータの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信した読取結果の取得に係るデータを前記読取装置に転送し、また、前記読取装置から受信した読取結果に係るデータを当該他の制御装置に転送することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
ネットワークを介して、デバイスと、複数の制御装置とが通信可能に接続されると共に、複数の前記制御装置のうち、いずれか1つの前記制御装置が、前記デバイスとの間で、コネクションを確立して排他的に通信可能な構成とされた制御システムであって、
前記制御装置は、
前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信するデータ送受信部と、
前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信する通信仲介部と、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項6】
ネットワークを介して、デバイスと、複数の制御装置とが通信可能に接続されると共に、複数の前記制御装置のうち、いずれか1つの前記制御装置が、前記デバイスとの間で、コネクションを確立して排他的に通信可能な構成とされた制御システムにおける前記制御装置の制御方法であって、
前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信し、一方、
前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信することを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項7】
ネットワークを介して、デバイスと、複数の制御装置とが通信可能に接続されると共に、複数の前記制御装置のうち、いずれか1つの前記制御装置が、前記デバイスとの間で、コネクションを確立して排他的に通信可能な構成とされた制御システムにおける前記制御装置の各部を制御する制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記デバイスとの間でコネクションが確立していないときに、前記デバイスとの間で通信を行う場合、ネットワーク上の前記他の制御装置と前記デバイスとの間でコネクションが確立しているか否かを判別し、前記他の制御装置に係るコネクションが確立している場合は、当該コネクションの切断要求を行うことなく、当該他の制御装置に対してデータの仲介に係る処理の実行を要求し、当該他の制御装置を介して前記デバイスにデータを送信し、また、前記他の制御装置を介して前記デバイスからデータを受信するデータ送受信部と、
前記デバイスとの間でコネクションが確立しているときに、ネットワーク上の前記他の制御装置から、データの仲介に係る処理の実行の要求があった場合、当該他の制御装置から受信したデータを前記デバイスに送信し、また、前記デバイスから受信したデータを当該他の制御装置に送信する通信仲介部と、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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