説明

制汗用具

【課題】主に顔、胸、腋からの発汗を抑制することができる制汗用具を提供する。
【解決手段】人の胸部に巻き付けて装着される基体12の内面に押圧突起14が配置され、基体を人の胸部に装着したときに、基体が人の胸部を締め付けるとともに、押圧突起が人の胸部における汗止めツボを押圧する制汗用具10とする。押圧突起により押圧する汗止めツボは、人の胸部における左乳首の上方および下方から左腋下に至る左領域ならびに右乳首の上方および下方から右腋下に至る右領域に存在する単数または複数の汗止めツボとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の胸部に装着することにより、主に顔、胸、腋からの発汗を抑制する制汗用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制汗用具として、経糸と緯糸とを用いて作られる織物から成り、使用者の前頭部に当てる部分を中心に織目がその左右両側に向かって漸次小さく設定された鉢巻と、この鉢巻に吸収された汗の蒸発を促すための送風機とを具備して構成されるものが提案されている(特許文献1・請求項1)。
【0003】
特許文献1の制汗用具は、スポーツや肉体労働を行うに際して汗が眼に入ることを心配せずしてスポーツや労働に集中することができるものである(特許文献1・段落0024)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−220762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の制汗用具は、顔、胸、腋からの発汗を抑制する機能を有するものではなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、主に顔、胸、腋からの発汗を抑制することができる制汗用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するため、人の胸部に巻き付けて装着される基体の内面に押圧突起が配置され、前記基体を人の胸部に装着したときに、前記基体が人の胸部を締め付けるとともに、前記押圧突起が人の胸部における汗止めツボを押圧することを特徴とする制汗用具を提供する。
【0008】
顔、胸、腋などからの発汗を抑制する方法として、人の胸部を布などで締め付ける方法や、人の胸部における汗止めツボを押圧する方法がある。本発明の制汗用具は、基体を人の胸部に装着したときに、基体が人の胸部を締め付けるとともに、押圧突起が人の胸部における汗止めツボを押圧するので、基体による締め付けおよび押圧突起による圧迫で生じる相乗的な皮膚圧反射作用によって、主に顔、胸、腋からの発汗を抑制することができる。
【0009】
本発明において、押圧突起により押圧する汗止めツボは、人の胸部における左乳首の上方および下方から左腋下に至る左領域ならびに右乳首の上方および下方から右腋下に至る右領域に存在する単数または複数の汗止めツボとすることができる。
【0010】
本発明において、基体の形状、材質に限定はなく、人の胸部に巻き付けたときに胸部を締め付けることができるものであればどのようなものでもよい。具体的には、後述する実施形態で示したベルト状基体の他、ブラジャー、コルセット等の補正下着類、キャミソール等の下着類、帯・紐・さらし類、リュックサックなどを基体とすることができる。
【0011】
本発明において、押圧突起の形状、材質に限定はなく、人の胸部における汗止めツボを押圧できるものであればどのようなものでもよい。具体的には、形状としては、後述する実施形態で示した半球状や略半楕円球状などの種々の凸型形状、あるいは円筒状や楕円筒状の種々の凹型形状等を挙げることができる。また、材質としては、後述する実施形態で示したシリコーン樹脂の他、種々のプラスチック類、金属類、木質材料等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の制汗用具は、主に顔、胸、腋からの発汗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る制汗用具の第1実施形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は内面図、(c)は外面図である。
【図2】女性の胸部における汗止めツボの存在領域を示す図である。
【図3】男性の胸部における汗止めツボの存在領域を示す図である。
【図4】本発明に係る制汗用具の第2実施形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は内面図、(c)は外面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき図面を参照して詳しく説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る制汗用具の第1実施形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は内面図、(c)は外面図である。
【0016】
本例の制汗用具10において、12は基体、14は押圧突起を示す。基体12は、ベルト状のもので、その寸法に制限はないが、通常、長さaは700〜1100mm程度、幅bは10〜30mm程度、厚さcは0.5〜2mm程度である。基体12の材質に限定はなく、例えばプラスチック類、布類、皮革類等で形成することができるが、適度な柔軟性および伸縮性を有する点で、ポリエステル系繊維織布あるいはシリコーン樹脂で形成することが好適である。
【0017】
また、基体12の内面端部にはオス面ファスナー16、外面端部にはメス面ファスナー18が固着されており、これら面ファスナー16、18を係合させることにより、基体12を人の胸部に巻き付けて装着し、基体12で人の胸部を締め付けることができるようになっている。
【0018】
押圧突起14は、略半球状のもので、平面部20を基体12の内面に接着することにより、基体12に固定されている。本例では、押圧突起14は、基体12の中央部の左右にそれぞれ3個ずつ固定されているが、押圧突起の数や配置箇所はこれに限定されるものではない。また、押圧突起14の外径dは5〜15mm、より好ましくは8〜12mm、厚さeは3〜10mm、より好ましくは5〜8mmとすることが適当である。ただし、押圧突起14の形状は半球状に限定されるものではなく、汗止めツボを押圧して圧迫することができるものであればどのような形状でもよい。押圧突起14の材質に限定はないが、適度な柔軟性を有する点で、シリコーン樹脂を好適に用いることができる。
【0019】
本例の制汗用具10は、基体12を人の胸部に装着したときに、基体12が人の胸部を締め付けるとともに、押圧突起14が人の胸部における汗止めツボを押圧することにより、皮膚圧反射作用によって主に顔、胸、腋からの発汗を抑制するものである。この場合、汗止めツボは、人によって位置は異なることがあるが、通常、図2(女性)、図3(男性)に示すように、人の胸部における左乳首の上方および下方から左腋下に至る左領域30ならびに右乳首の上方および下方から右腋下に至る右領域32に存在する。したがって、押圧突起14により押圧する汗止めツボは、上記領域30、32から選択すればよい。
【0020】
(第2実施形態)
図4は本発明に係る制汗用具の第2実施形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は内面図、(c)は外面図である。
【0021】
本例の制汗用具40において、42は基体、44は押圧突起を示す。基体42は、第1実施形態の基体12と同様の材質、寸法もので、中央部の左右にそれぞれ複数(本例では6個ずつ)の取付孔45が形成されている。
【0022】
また、基体42の内面端部にはオス面ファスナー46、外面端部にはメス面ファスナー48が固定されており、これら面ファスナー46、48を係合させることにより、基体42を人の胸部に巻き付けて装着し、基体42で人の胸部を締め付けることができるようになっている。
【0023】
押圧突起44は、柔軟性を有するシリコーン樹脂からなるもので、実施形態1の押圧突起14と同様の寸法の略半球状頭部44aと、円柱状軸部44bと、円板状抜け止め部44cとが一体に成形されたものである。押圧突起44は、軸部44bを基体42の取付孔45に挿入することにより、基体42に着脱可能に取り付けることができるものであり、本例の制汗用具40では、押圧突起44を取り付ける取付孔45を選択することにより、汗止めツボを選択的かつ効果的に押圧することが可能となる。なお、本例において、押圧突起44および取付孔45の数に限定はない。
【0024】
本例の制汗用具40は、基体42を人の胸部に装着したときに、基体42が人の胸部を締め付けるとともに、押圧突起44が人の胸部における汗止めツボを押圧することにより、皮膚圧反射作用によって主に顔、胸、腋からの発汗を抑制するものである。この場合、汗止めツボは、前述した領域30、32から選択すればよい。
【符号の説明】
【0025】
10 制汗用具
12 基体
14 押圧突起
30 左領域
32 右領域
40 制汗用具
42 基体
44 押圧突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の胸部に巻き付けて装着される基体の内面に押圧突起が配置され、前記基体を人の胸部に装着したときに、前記基体が人の胸部を締め付けるとともに、前記押圧突起が人の胸部における汗止めツボを押圧することを特徴とする制汗用具。
【請求項2】
前記汗止めツボは、人の胸部における左乳首の上方および下方から左腋下に至る左領域ならびに右乳首の上方および下方から右腋下に至る右領域に存在する単数または複数の汗止めツボであることを特徴とする請求項1に記載の制汗用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−378(P2012−378A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140559(P2010−140559)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(506266481)株式会社アドフィールド (4)
【Fターム(参考)】