説明

制電性多機能カーペット

【課題】従来のカーペットの制電構造をさらに改善することによって、人体に生じた静電気を効率的に除去する制電機能を向上し、且つ効率的な消臭機能、PHコントロール機能、抗菌機能等を発揮することによって快適な住環境を実現することができる制電性多機能カーペットを提供する。
【解決手段】タフテッドカーペット、フックカーペット又はウィルトンカーペットにおいて、パイル糸に、導電性繊維からなる制電糸を含ませると共に、消臭糸を含ませる。また、ウィルトンカーペットの場合、地たて糸を並列させ、該地たて糸に交差するよこ糸で該地たて糸を上下から挟むと共に上下のよこ糸をシメ糸で結合することにより、1シート中のすべてのよこ糸と地たて糸とが交差した状態となるように接触させ、所定数の地たて糸に対して1本の割合で制電糸を入れると共に、すべてのよこ糸に制電糸をだき合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に帯電した静電気を放電する制電機能の他に、消臭機能、PHコントロール機能、抗菌機能等を有する制電性多機能カーペットに関する。なお、本発明では、絨毯、カーペット、マット等の敷物を総称して「カーペット」と称する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冬季等における乾燥状態のとき、人がカーペットの上を歩いたり運動したりすると、静電気が容易に発生し、人体や履物やカーペット等に帯電する。そして、このような帯電状態にある人がドアノブ等の金属製品に触れたり、人体同士が接触すると、瞬間的に1万kv以上の放電ショックが生じ、人体に大きな痛みやストレスを与えることとなる。
【0003】
また、人体に静電気が帯電していると、血液が酸性となり、血液の粘性が高くなって、生活習慣病にもかかりやすくなる。
【0004】
さらに、静電気の磁力作用で引き寄せられるチリ、ホコリ、細菌、花粉等によって皮膚が不潔となり、アレルギーや婦人病等が起こりやすく、新陳代謝の悪化や、自律神経失調症を起しやすくなる。
【0005】
このため、従来から、静電気の発生又は帯電を防止するようにしたカーペットが開発されている。その例として、特許文献1に記載されている「制電性カーペット」は、次のように構成されている。即ち、ダブルラッシェル経編パイル布帛のバックステッチ面の全面に接着剤を塗布して仕上げられたダブルラッシェル経編カーペットにおいては、全てのパイルが熱可塑性合成繊維を主材とし1重量%未満となる導電性繊維が混在するパイル糸によって構成されている。その導電性繊維としては、硫化銅の導入されたシアノ基を有する熱可塑性合成繊維を使用している。
【0006】
また、タフテッドパイル布帛のバックステッチ面に接着剤を塗布して仕上げられたタフテッドカーペットにおいては、全てのパイルが熱可塑性合成繊維を主材とし1重量%未満となる導電性繊維が混在するパイル糸によって構成されてなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2002−10900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
静電気に対する制電性繊維物質としては、上記のほかに、従来から金属細線や金属メッキ繊維、金属蒸着繊維があり、最近では炭素複合繊維が開発されているが、根本的に静電気を除去するには至っておらず、制電効率の悪いものであった。
【0009】
また、室内の住環境においては、生ゴミ臭、たばこ臭、体臭、汗臭、加齢臭等の生活臭やVOC臭(ホルムアルデヒド、アセトンアルデヒド等の揮発性有機化合物臭)が住環境を悪化する。これらの悪臭は細菌発生のシグナルであり、早期の脱臭対策が必要となる。例えば、尿素は空気に触れたり、皮膚や衣類に付着した雑菌により変化して、アンモニア等の悪臭を発生させるため、早急に臭いの原因を分解し、シックハウス症候群等の様々なアレルゲンを抑制する必要がある。
【0010】
さらに、人の肌は弱酸性であり、カーペット等が中性やアルカリ性であると肌に対する刺激が強く、肌が痛みやすいため、直接肌に触れるカーペットを弱酸性に保つようにPHコントロールすることが重要となる。特に乳幼児の場合、大人の約3倍も発汗する。汗にはアンモニアが含まれているため、一時的に皮膚の表面のPHを上昇させることとなり、皮膚の表面を弱酸性に保つことは、皮膚の細菌等の侵入に対して重要となる。このため、上記のように乳幼児にとってはPHコントロールが重要な要件となるのである。
【0011】
また、住宅や高層建築の高密度化に伴い、湿気の増大や換気不足等の原因によって、細菌、ダニ等が繁殖し、カビが発生しやすい生活環境となっているため、これらの細菌の繁殖を防止し得る抗菌機能を有するカーペットが望まれている。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、従来のカーペットを改善することによって、人体に帯電した静電気を効率的に除去する制電機能を向上し、且つ効率的な消臭機能、PHコントロール機能、抗菌機能等を発揮することによって快適な住環境を実現することができる制電性多機能カーペットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的のため、本発明の請求項1の制電性多機能カーペットは、アクリル繊維又はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸をパイル糸に含ませてなるタフテッドカーペットにおいて、アンモニアやトリメチルアミンをイオン結合で消臭するカルボキシル基を導入した消臭糸をパイル糸に含ませたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2の制電性多機能カーペットは、アクリル繊維又はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸をパイル糸に含ませてなるフックカーペットにおいて、アンモニアやトリメチルアミンをイオン結合で消臭するカルボキシル基を導入した消臭糸をパイル糸に含ませたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の制電性多機能カーペットは、タフテッドカーペット、フックカーペット又はウィルトンカーペットにおいて、夫々のカーペットのパイル糸に、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸を含ませると共に、消臭糸を含ませてなるものである。このような構成により、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に形成された極薄の皮膜層の有する優れた導電性により、金属繊維や炭素繊維に比べて極めてしなやかで軽い風合いを保持した状態で、コロナ放電又はアース放電による高い除電効果を発揮することが可能となる。
【0016】
従って、本発明によるカーペットの上を歩いたり、座ったり、手で触れたりすることによって、人体に帯電した静電気をカーペット側に放電することができ、静電気による放電ショックの発生を防止することが可能となる。また、人体や室内の静電気の減退によって、埃や細菌を吸着することがなく、制電糸の有する抗菌効果によって室内を清潔に保つことが可能となる。
【0017】
また、制電糸の有する消臭効果に相俟って、消臭糸が相乗的に消臭効果を発揮することにより、室内に発生した臭いの原因を効率的に分解し、シックハウス症候群等の様々なアレルゲンを抑制することが可能となる。
【0018】
さらに、人の肌は弱酸性であり、カーペット等が中性やアルカリ性であると肌に対する刺激が強く、肌が痛みやすいため、特に乳幼児等のように敏感な肌で直接触れるカーペットを弱酸性に保つようにPHコントロールすることが可能となる。
【0019】
また、本発明の制電性多機能カーペットにおいて、上記のようにタフテッドカーペット、フックカーペット又はウィルトンカーペットのパイル糸に、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸を含ませると共に、二酸化チタン等の光触媒を付着させてなる消臭糸、或はカルボキシル基が導入されてなる消臭糸を含ませることによって、上記の導電性繊維の有する消臭効果に相俟って、より優れた消臭効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明に係るウィルトンカーペットの部分斜視図であり、(b)はその部分断面図である。
【図2】本発明に係るウィルトンカーペットの部分断面図である。
【図3】本発明に係るタフテッドカーペットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の制電性多機能カーペットは、タフテッドカーペット、フックカーペット又はウィルトンカーペットにおいて、夫々のカーペットのパイル糸に、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸を含ませると共に、消臭糸を含ませたものである。これらの制電糸又は消臭糸をどのような形態でパイル糸に含ませるかは、後述するように、タフテッドカーペット、フックカーペット又はウィルトンカーペットの各形態によって相違するものである。
【0022】
本発明において、制電糸は、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維から構成されたものである。この導電性繊維は、アクリル繊維或はナイロン繊維に硫化銅の一種であるダイジェナイト(CU)を化学結合して極薄の皮膜層を形成したものである。
【0023】
このような有機導電性繊維の導電層は30〜100ナノメータ、表面の比抵抗値は10〜10−2Ωcmという特性を有する。このような極薄皮膜層の優れた導電性能により、金属繊維や炭素繊維に比べて極めてしなやかで軽い風合いを保持した状態で、コロナ放電又はアース放電による高い除電効果を発揮することが可能となる。即ち、上記の導電性繊維にプラス又はマイナスに帯電した物体の静電気が近づくと、該繊維が逆の電荷を発生して瞬時に中和することにより、放電効果を発揮することが可能となる。
【0024】
さらに、この有機導電性繊維は、比重が小さく、耐摩耗性や風合いにも優れ、さらには抗菌、防臭性能にも優れたものである。即ち、この導電性繊維に含まれる銅金属であるダイジェナイトは、黄色ブドウ状球菌、肺炎桿菌、緑膿菌等に対する抗菌作用を有するものであり、アルカリ臭(アンモニア、トリメチルアミン)、酸性臭(硫化水素、メチルメルカプタン)という4大悪臭を中和する消臭機能を発揮することが可能である。
【0025】
また、上記のように、本発明のカーペットを構成するパイル糸に含まれる制電糸そのものが消臭機能を有するほか、本発明は、パイル糸に、制電糸とは別途消臭糸を含ませることによって、さらに消臭効果を得るようにしている。
【0026】
本発明に使用する消臭糸としては、パイル糸に周知の二酸化チタン等の光触媒を付着させることによって消臭糸としたものを用いることが可能である。このような消臭糸においては、二酸化チタン等の光触媒に紫外線が当ることによって発揮する強力な還元、酸化作用がアンモニアやトリメチルアミンやホルマリン等の臭気成分を分解して無臭成分とすることによって消臭機能を発揮することが可能となる。
【0027】
また、タフテッドカーペット、フックカーペット又はウィルトンカーペットのいずれにおいてもカーペットのパイル糸に強力な消臭効果を有するカルボキシル基(COOH)を導入することによって、例えばアンモニアやホルマリン等の臭気成分が化学的に中和消臭される。また、このようなパイル糸に消臭機能を付与するには、カルボキシル基のようなアニオン基を共重合やグラフト重合等によって導入した消臭繊維としてもよい。
【0028】
なお、人の摂取するたんぱく質の一部は体内でアミノ酸や脂肪酸になり、アミノ酸は分解されて、汗とともに体外に放出され、アンモニアやトリメチルアミン等の悪臭が発生する原因となる。上記のようにカーペットのパイル糸に導入された消臭基であるカルボキシル基(COOH)がアンモニアやトリメチルアミン等をイオン結合することによって素早く消臭することが可能となる。
【実施例1】
【0029】
本発明による実施例1としては、図1(a)、(b)又は図2に示すように、カーペットがウィルトンカーペット1である場合、地たて糸2、2…を並列させ、該地たて糸2、2…に交差するよこ糸3、3…で該地たて糸2、2…を上下から挟むと共に上下のよこ糸3、3…をシメ糸4、4…で結合することにより、1シート中のすべてのよこ糸3、3…と地たて糸2、2…とが交差した状態となるように接触させ、所定数の地たて糸2に対して1本の割合で制電糸を入れると共に、すべてのよこ糸3に制電糸をだき合わせるようにする。
【0030】
本実施例において、より具体的には、麻ジュートからなる地たて糸8本に対して1本の割合で制電糸をだき合せた状態で入れ、すべてのよこ糸3に制電糸をだき合わせた状態で入れるようにする。このような構成によって、1シートのカーペット全体が通電状態となって、制電糸の有する放電効果を効率的に発揮することが可能となる。
【0031】
なお、図1(a)、(b)と図2は共にウィルトンカーペット1を示すものであるが、図1(a)、(b)は各パイル糸5を撚りあわせたものであり、図2は各パイル糸5が全体的に開いて立った状態にしたものである。
【0032】
いずれにもしても、本実施例では、図1(a)、(b)又は図2に示すように、隣設するよこ糸3、3に所定長さのパイル糸5を引掛けた状態で上下のよこ糸3、3…をシメ糸4、4…で結合することにより、各パイル糸5を固定している。
【0033】
さらに、本実施例においては、上記のウィルトンカーペットのパイル糸に、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸を0.4%含ませると共に、消臭糸を20%含ませたものとしている。この消臭糸としては、上記のように、二酸化チタン等の光触媒を付着させてなる消臭糸、或はカルボキシル基が導入されてなる消臭糸等を用いることが可能である。
【0034】
このウィルトンカーペットは後述するタフテッドカーペットに比して高級な構造であるため、制電糸及び消臭糸の含有率をタフテッドカーペットよりも高くすることにより、制電効果及び消臭効果等の面でも優良なものとしている。
【0035】
以下、本実施例のウィルトンカーペットに関する試験結果について述べる。なお、以下の[表1]〜[表5]に関する試験内容は、財団法人:日本化学繊維検査協会によるものである。
【0036】
まず、[表1]に示す試験結果は、本実施例のウィルトンカーペットの制電性試験及びPHコントロール試験に関するものである。この試験に用いたウィルトンカーペットは全厚(パイル糸の平均長さ)が10mmのものを使用している。また、制電性試験としては、垂直電気抵抗と人体耐電圧について試験をした。
【0037】
【表1】

【0038】
上記の[表1]中の※1は、本実施例のウィルトンカーペットに関する表面のPHの試験方法に関するものである。その内容は、1.5cm×1.5cmの試料表面に酢酸水溶液(PH4)又はアンモニア水溶液(PH10)を0.1mL滴下し、5分後の資料表面のPHを測定したものである。なお、比較のために、JIS L 0803に規定する綿添付白布、ポリエステル添付白布についても同様の試験を行なった。
【0039】
また、下記の[表2]は、本実施例のウィルトンカーペットの消臭試験の結果について記載したものである。
【0040】
【表2】

【0041】
上記の[表2]中の※2は、本実施例のウィルトンカーペットに関する消臭性試験の試験方法に関し、(社)繊維評価技術協議会が定める方法である。( )内はブランク(試料を入れない状態)の濃度を示す。
減少率(%)={(A−B)/A}×100(ただし、A=空試験の測定値、B=試料の測定値)
【0042】
また、上記の[表2]中の※3は、本実施例のウィルトンカーペットに関する消臭性試験の試験方法に関し、(社)繊維評価技術協議会が定める方法である。
減少率(%)={(C−D)/C}×100(ただし、C=空試験のピーク面積、D=試料のピーク面積)
【0043】
さらに、上記の[表2]中の※4は、本実施例のウィルトンカーペットに関する消臭性試験の試験方法に関する放散試験チャンバー条件である。
チャンバー容積:20L、温度:28±1℃、相対湿度:50±5%、換気回数:0.5回/h、シール工程:シールボックス使用、試験片の表面積:0.0438m2、試料負荷率:2.2m2/mである。
サンプリング条件は、捕集管:Presep−C DNPH、流量:0.167L/min、捕集量:15Lである。
【実施例2】
【0044】
本発明による実施例2として、カ−ペットがタフテッドカーペット6である場合、その構造は、図3に示すように、不図示のタフト機に仕掛けられた第1基布7の上からパイル糸8を通した針(不図示)を差し込み、さらに第1基布7の下面に接着剤9で第2基布10を張り合わせることによってパイル糸8を固定し、カーペット全体に皺やたるみが生じないものとする。なお、他の構造としては、第1基布7の下面に第2基布10を張り合わせることなく、接着剤9だけで処理する場合もある。
【0045】
このようなタフテッドカーペットは、実施例1のウィルトンカーペットのように地たて糸やよこ糸等を有しないものであり、本実施例では、パイル糸に、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸を0.2%含ませると共に、消臭糸を10%含ませたものとしている。なお、この消臭糸としては、上記のように、二酸化チタン等の光触媒を付着させてなる消臭糸、或はカルボキシル基が導入されてなる消臭糸等を用いることが可能である。
【0046】
本実施例における制電性多機能カーペットの試験結果については、以下の通りである。まず、[表3]に示す試験結果は、本実施例のタフテッドカーペットの制電性試験及びPHコントロール試験に関するものである。この試験に用いたタフテッドカーペットは全厚(パイル糸の平均長さ)が7mmのものを使用している。また、制電性試験としては、垂直電気抵抗と人体耐電圧について試験をした。
【0047】
【表3】

【0048】
上記の[表3]中の※1は、本実施例のタフテッドカーペットに関する表面のPHの試験方法に関するものである。その内容は、1.5cm×1.5cmの試料表面に酢酸水溶液(PH4)又はアンモニア水溶液(PH10)を0.1mリットル滴下し、5分後の資料表面のPHを測定したものである。なお、比較のために、JIS L 0803に規定する綿添付白布、ポリエステル添付白布についても同様の試験を行なった。
【0049】
また、下記の[表4]及び[表5]には、本実施例のタフテッドカーペットの消臭試験に関するものであり、各試料の除去性能評価試験とし、その結果について記載してある。なお、[表4]及び[表5]においては、「タフテッドカーペット」を「タフトカーペット」と略称して記載している。
【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
上記の[表4]、[表5]の試験は、(社)繊維評価技術協議会が定める方法を準用したものである。ただし、1時間と4時間後の測定も行なった。
1)〜7)減少率(%)={(A−B)/A}×100(ただし、A=空試験の測定値、B=試料の測定値)
8)〜10)減少率(%)={(C−D)/C}×100(ただし、C=空試験のピーク面積、D=試料のピーク面積)
【実施例3】
【0053】
本発明による実施例3として、カーペットがフックカーペットである場合、実施例1のウィルトンカーペットのように地たて糸やよこ糸等を有しないため、この点では実施例2のタフテッドカーペットと同様であるが、フックカーペットはタフト機を使用せずに手作業でパイル糸を打ち込んでいくものである。従って、フックカーペットはタフテッドカーペットよりも高級な作りとなるため、本実施例ではパイル糸に含ませる制電糸と消臭糸の含有率をウィルトンカーペットと同様のものとしている。
【0054】
即ち、本実施例のフックカーペットの場合、該カーペットのパイル糸に、アクリル繊維或はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸を0.4%含ませると共に、消臭糸を20%含ませたものとしている。従って、このフックカーペットの垂直電気抵抗、人体帯電圧、消臭性、PHについての試験結果は、ウィルトンカーペットとほぼ同様のものとなる。ただし、これらの特性は、フックカーペットの場合、地たて糸やよこ糸を有しないため、ウィルトンカーペットよりは低下したものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の制電性多機能カーペットは、人体に生じた静電気を効率的に除去する制電機能を向上し、且つ効率的な消臭機能、PHコントロール機能、抗菌機能等を発揮することによって快適な住環境を提供することができる制電性多機能カーペットとして利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 ウィルトンカーペット
2 地たて糸
3 よこ糸
4 シメ糸
5 パイル糸
6 タフテッドカーペット
7 第1基布
8 パイル糸
9 接着剤
10 第2基布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル繊維又はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸をパイル糸に含ませてなるタフテッドカーペットにおいて、
アンモニアやトリメチルアミンをイオン結合で消臭するカルボキシル基を導入した消臭糸をパイル糸に含ませたことを特徴とする制電性多機能カーペット。
【請求項2】
アクリル繊維又はナイロン繊維の表面に硫化銅を被膜して形成した導電性繊維からなる制電糸をパイル糸に含ませてなるフックカーペットにおいて、
アンモニアやトリメチルアミンをイオン結合で消臭するカルボキシル基を導入した消臭糸をパイル糸に含ませたことを特徴とする制電性多機能カーペット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−139908(P2011−139908A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36862(P2011−36862)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【分割の表示】特願2009−186390(P2009−186390)の分割
【原出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(506267695)株式会社ユニバーサルトレジャー (3)
【Fターム(参考)】