説明

券発行装置

【目的】この発明は、データの伝送エラーが発生した際に、エラー券としての白券が誤って発行されてしまうことを防止でき、この白券の不正利用を防止でき、未使用の券と容易に区別ができるエラー券を発行することができることを目的とする。
【構成】この発明は、発行する券の印刷データと磁気データをインターフェース84で受信し、この受信した印刷データを券に黒色印刷部50で印刷し、インターフェース84で受信した磁気データを券に書込ヘッド54で記録し、この書込ヘッド54により記録された券を発行するものにおいて、インターフェース84により受信したデータのエラーを伝送エラー判定部84aで判定した際、エラーを示す印刷データを黒色印刷部50を用いて券に印刷し、エラーを示す磁気データを上記書込ヘッド54を用いて券に記録するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば交通機関で用いられる定期券やストアードフェアカード等を印刷発行する券発行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、定期券(たとえば、鉄道、バス等の交通機関で用いられる)やストアードフェアカードやプリペイドカード等のあらかじめ金額情報が記憶されて利用されるごとに減額されるカード類等を発行する券発行装置が実用化されている。
【0003】このような券発行装置では、定期券を発行する場合に、発駅釦、着駅釦、経由等の発行条件を設定したり、旧券の読取りを行うことにより、定期券の発行内容に対応する印刷データや磁気データを生成し、この生成したデータを券発行部に伝送し、券発行部で定期券を発行するようになっている。
【0004】従来の装置では、券発行部で券ホッパから取出した券紙の表面に定期券の内容である有効期間、発着駅、経由等を印刷するとともに、その裏面の磁気記録部にその発行内容を磁気記録し、その後、印刷と磁気記録がなされた券紙が定期券として発行口から発行されるようになっている。
【0005】また、カード類(券)も上記定期券の場合と同様に、発行内容の印刷データがカードの表面に印刷され、発行内容の磁気データがカードの裏面に記録される。このような装置において、印刷データの伝送エラーにより券発行部から白券(エラー券)、つまり磁気データが記録され、印刷データが印刷されていない券が発行される場合がある。この白券(エラー券、廃券)は、不正利用される可能性があるとともに、未使用の券と区別ができないという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記したように、データの伝送エラーが発生した際に、白券が誤って発行されてしまう可能性があり、その白券が不正利用される可能性があるとともに、その白券が未使用の券と区別ができないという欠点を除去するもので、データの伝送エラーが発生した際に、エラー券としての白券が誤って発行されてしまうことを防止でき、この白券の不正利用を防止でき、未使用の券と容易に区別ができるエラー券を発行することができる券発行装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の券発行装置は、発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段、上記券に印刷データを印刷する印刷手段、上記券に磁気データを記録する記録手段、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段、この判定手段によりデータのエラーを判定しなかった際、上記受信手段により受信した印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、上記受信手段により受信した磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第1の処理手段、および上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷する第2の処理手段から構成されている。
【0008】この発明の券発行装置は、発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段、上記券に印刷データを印刷する印刷手段、上記券に磁気データを記録する記録手段、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段、この判定手段によりデータのエラーを判定しなかった際、上記受信手段により受信した印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、上記受信手段により受信した磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第1の処理手段、および上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷するとともに、エラーを示す磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第2の処理手段から構成されている。
【0009】この発明の券発行装置は、発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段、エラーを示す印刷データと磁気データを記憶している記憶手段、上記券に印刷データを印刷する印刷手段、上記券に磁気データを記録する記録手段、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段、この判定手段によりデータのエラーを判定しなかった際、上記受信手段により受信した印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、上記受信手段により受信した磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第1の処理手段、および上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、上記記憶手段によりエラーを示す印刷データを読出し、上記印刷手段を用いて上記券に印刷するとともに、上記記憶手段によりエラーを示す磁気データを読出し、上記記録手段を用いて上記券に記録する第2の処理手段から構成されている。
【0010】この発明の券発行装置は、発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段と、この受信手段で受信した印刷データを上記券に印刷する印刷手段と、上記受信手段で受信した磁気データを上記券に記録する記録手段と、この記録手段により記録された券を発行する発行手段とからなるものにおいて、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段、および上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、エラーを示す磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する処理手段から構成されている。
【0011】
【作用】この発明は、上記のような構成において、発行する券の印刷データと磁気データを受信手段で受信し、この受信したデータがエラーか否かを判定手段で判定し、この判定によりデータのエラーを判定しなかった際、上記受信手段により受信した印刷データを上記券に印刷し、上記受信手段により受信した磁気データを上記券に記録し、また上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを上記券に印刷するようにしたものである。
【0012】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。図2、図3はこの発明の券発行装置1の外観を示すもので、図2は正面からの図であり、図3は上面からの図である。この券発行装置1は、購入情報の一部が入力される条件設定操作部2、複数の発駅と着駅を設定するための駅名釦と経由を設定するための経由釦とが縦方向、横方向に配列表示されたタッチパネル内蔵のカラー液晶表示部(LCD)によって構成される経由発着駅設定部3、4、入力手順あるいは上記条件設定操作部2、経由発着駅設定部3、4により入力された発行情報やエラー内容等を表示するカラー液晶表示部(LCD)によって構成される表示部5、発行日付を表示する発行日付表示部6、購入客により購入情報が書かれた申込用紙が挿入される申込用紙挿入口7、あらかじめ利用できる区間を有する定期券やあらかじめ金額情報が記憶されて利用されるごとに減額されるカード類(ストアードフェアカードやプリペイドカード等)が発行される券発行口8、旧券、手差し券挿入口9が設けられている。上記条件設定操作部2には、上記カード類の発行を指示するキーとその発行金額(たとえば3千円、5千円、1万円)を指示するキーと、定期券やカード類の発行の指示を行うスタートキー11等を有している。
【0013】次に、上記券発行装置1の制御回路を図4を用いて説明する。すなわち、上記券発行装置1の全体を制御する制御部としてのCPU20が設けられている。このCPU20には、制御プログラムや文字パターン等が記憶されているとともに、種々のデータが記憶されるメモリ21、上記申込用紙挿入口7に対応して設けられている氏名読取部22と氏名転写部23、券発行口8と旧券、手差し券挿入口9に対応して設けられている券発行部24、売上デ―タ等をジャ―ナル(図示しない)に印刷するジャ―ナルプリンタ25、券発行に関する種々の情報たとえば売上デ―タあるいは運賃デ―タ等が記憶されている磁気ディスク(図示しない)を扱う磁気ディスク装置26、図示しない通信回線を介してホストコンピュータ等の外部装置と接続される通信制御部27、上記条件設定操作部2、経由発着駅設定部3、4、および表示部5が、それぞれバス28を介して接続されている。
【0014】上記CPU20は、券発行部24から異常(故障等)の内容とその異常に対しての継続可能な機能が供給された際、その内容を表示部5で案内表示するようになっている。
【0015】上記氏名転写部23は、CCD等により構成され、申込用紙挿入口7から挿入される申込用紙上の(購入者による自筆の)氏名を読取り、画素デ―タ(イメ―ジパタ―ンデ―タ)に変換するものである。
【0016】上記券発行部24は、定期券用紙の購入情報に対応した印刷データや旧券、手差し券挿入口9から挿入された旧券に対応した印刷データを印刷したり磁気情報を記録し、この新規な定期券を券発行口8から発行したり、利用金額等を印刷するとともにその利用金額、発行駅、発行機体番号等を磁気記録した新規なカード類(ストアードフェアカードやプリペイドカード等)を券発行口8から発行するものである。
【0017】次に、上記券発行部24の内部構成を、図5に示す断面図を参照しつつ説明する。すなわち、本体31の上面左側(フロント側)には、上記券発行口8と旧券、手差し券挿入口9とが設けられている。
【0018】本体31内の上方には、発行する定期券とカード類に対する印刷を行うとともに、磁気記録を行う発行処理部32が設けられ、本体31内の下方には、未印刷、未磁気記録の券紙S、S´が収納されている券紙収納部33が設けられている。
【0019】上記券紙収納部33には、それぞれ所定枚数の券紙S、…、S´、…が収納されている2つの券紙ホッパ34、35が上下に設けられている。たとえば、券紙ホッパ34の券紙Sは定期券用であり、券紙ホッパ35の券紙S´はカード類用であり、感熱破壊により印刷されるものである。あらかじめ所定の印刷がなされているものであっても良い。
【0020】上記券紙ホッパ34の券紙Sは給紙ローラ36によって1通ずつ給紙され、取出しローラ37、38によって取出し搬送路39を搬送され、搬送路40に導かれるようになっている。
【0021】上記券紙ホッパ35の券紙S´は給紙ローラ41によって1通ずつ給紙され、取出しローラ42、43によって取出し搬送路44を搬送され、搬送路40に導かれるようになっている。
【0022】上記取出し搬送路39の取出しローラ37の近傍と、取出し搬送路44の取出しローラ42の近傍には、それぞれ券紙の取出しを光学的に検知する取出しセンサ45、46が設けられている。
【0023】取出し時に、取出しローラ37(42)を所定時間動かした際に、取出しセンサ45(46)がオンされなかった場合に、取出し異常を判定するようになっている。
【0024】この搬送路40の他端は上記発行処理部32内の主搬送路47と合流部48で合流し、上記券紙ホッパ34あるいは35から上記搬送路40に導かれた券紙S、S´は上方へ搬送され、発行処理部32内の主搬送路47に導かれるようになっている。
【0025】上記発行処理部32内の主搬送路47の一端は、上記券発行口8に対応し、他端にはスイッチバック部49が設けられている。この主搬送路47の合流部48の後方には、有効期間、発着駅、経由、発行駅等の発行内容を黒色で印刷する黒色印刷部(印刷手段)50と、発行内容の一部を赤色で印刷する赤色印刷部51とが設けられている。赤色印刷部51は、定期券上の印刷内容を黒色で印刷した部分より強調したい場合に用いるものであり、たとえば、学割り定期の場合の「学」、あるいはバス等での目視確認用に有効期限が赤色で印刷されるようになっている。上記黒色印刷部50と赤色印刷部51は定期券用の券紙Sに対してのみ作動するようになっている。
【0026】上記スイッチバック部49と上記合流部48との間に、副搬送路52が設けられている。副搬送路52上には、旧券に入鋏を行う旧券入鋏部53、券紙S、S´の裏面の磁気記録部に磁気情報(有効期間、発着駅、経由、発行駅等、あるいは利用金額、発行駅、発行機体番号等)を記録する書込ヘッド(記録手段)54、書込ヘッド54で書込んだ券紙S、S´の裏面の磁気記録部の磁気情報を読取ったり、旧券の裏面の磁気記録部の磁気情報を読取る読取ヘッド55が設けられている。
【0027】上記黒色印刷部50の後方で主搬送路47と分岐し、上記副搬送路52の一部を介してスイッチバック部49で再び主搬送路47に合流する黒単色バイパスとしての分岐搬送路56が設けられている。
【0028】また、上記合流部48から上記券発行口8に発行される定期券(券紙S)やカード類(券紙S´)が搬送される搬送路57が設けられ、上記旧券、手差し券挿入口9と上記搬送路57との間に、旧券、あるいは手差し券が搬送される搬送路58が設けられている。
【0029】また、上記スイッチバック部49には、上記旧券を主搬送路47から分岐搬送する搬送路59が設けられている。この搬送路59の一端の搬送先には図示しない屑箱が設けられ、旧券が回収されるようになっている。
【0030】また、上記スイッチバック部49には、カード類に対応する券紙S´に利用金額等の発行内容を印刷する印刷部65としての熱転写形のサーマルヘッド65が設けられている。印刷部65により券紙S´の印刷面の感熱破壊により印刷が行われるようになっている。
【0031】上記合流部48の左側には、種々の券(一括券、旧券、エラー券)を回収する回収箱60が設けられている。上記合流部48の近傍、上記合流部48と黒色印刷部50との間の主搬送路47と副搬送路52の合流部の近傍、主搬送路47から分岐搬送路56への分岐部の近傍、スイッチバック部49の搬送路59への分岐部の近傍には、それぞれゲート61、62、63、64が設けられている。
【0032】ゲート61により、副搬送路52から搬送されてきた券紙S、S´は搬送路57で搬送され券発行口8へ導かれ、副搬送路52から搬送されてきた一括券、旧券、エラー券は回収箱59へ導かれるように分岐されるものである。
【0033】ゲート62により、合流部48から搬送されてきた券紙S、S´は主搬送路47で搬送され黒色印刷部50へ導かれ、合流部48から搬送されてきた旧券は副搬送路52で搬送され読取ヘッド55へ導かれるように分岐されるものである。
【0034】ゲート63により主搬送路47により搬送される券紙S、S´をそのまま主搬送路47で搬送し赤色印刷部51へ導くか、分岐搬送路56へ分岐するかを切換えるものである。
【0035】ゲート64により主搬送路47により搬送される券紙S、S´をスイッチバック部49に導かれ、主搬送路47により搬送される旧券をスイッチバック部49へ導くか搬送路59へ導くかを切換えるものである。
【0036】また、各搬送路40、47、52、56、〜59には図示しない搬送検知センサ(光学センサ)が設けられており、搬送異常が検知されるようになっている。上記黒色印刷部50は、熱転写型のサーマルヘッド50a、インクリボン50bによって構成されている。
【0037】上記赤色印刷部51は、熱転写型のサーマルヘッド51a、インクリボン51bによって構成されている。上記印刷部65は、熱転写型のサーマルヘッド65aによって構成されている。
【0038】なお、カード類用の券紙S´は、主搬送路47を通過してスイッチバック部49へ導かれたが、副搬送路52を通過してスイッチバック部49へ導かれるようにしても良い。この場合、ゲート62の作動が異なったものとなる。
【0039】次に、上記券発行部24の制御回路を図1を用いて説明する。すなわち、上記券発行部24の全体を制御する制御部としてのCPU70が設けられている。このCPU70には、制御プログラム等が記憶されているとともに、種々のデータが記憶されるメモリ71、上記各搬送路の搬送ローラ等を駆動する搬送系駆動機構72を制御する駆動回路73、上記読取ヘッド55の読取り内容を再生する再生回路74、上記書込ヘッド54を駆動する駆動回路75、上記取出しローラ37等の券紙ホッパ34に対する取出し機構76を駆動する駆動回路77、上記取出しローラ42等の券紙ホッパ35に対する取出し機構78を駆動する駆動回路79、上記旧券入鋏部53を駆動する駆動回路80、上記ゲート61、62、63、64を駆動する駆動回路81、上記黒色印刷部50を駆動する駆動回路82、上記赤色印刷部51を駆動する駆動回路83、上記印刷部を駆動する駆動回路85、上記バス28を介してCPU20やメモリ21等と接続されるインターフェース(受信手段)84、および取出しセンサ45、46が接続されている。
【0040】上記メモリ71には、エラー券、廃券を示す印刷データが記憶されている記憶部71a、エラー券、廃券を示す磁気データが記憶されている記憶部71bが設けられている。たとえば、図6に示すように、発行内容の印刷データに重ねて、太字の「エラー」とこの文字を囲む矩形太枠を印刷するようになっている。
【0041】また、図7に示すように、全面をほぼ黒色で、中心部に白抜きで「エラー」を表示するように印刷しても良い。また、カードの場合、図8に示すように、発行内容の印刷データとは別領域に、太字の「エラー」とこの文字を囲む矩形枠を印刷するようにしても良い。
【0042】また、上記インターフェース84には伝送エラー判定部84aが設けられており、伝送エラー判定部84aは、インターフェース84により受け入れた印刷データや磁気データをチェックサムやパリティチェックにより伝送エラーのチェックを行うようになっている。この判定結果はCPU70へ出力されるようになっている。このチェックの結果、伝送エラーが判定された場合、CPU70はメモリ70の記憶部71aに記憶されているエラー券、廃券を示す印刷データを読出し、現在受信している印刷データに重畳して記憶し、その記憶内容を黒色印刷部50の駆動回路82へ出力するとともに、記憶部71bに記憶されているエラー券、廃券を示す磁気データ、全て「0」データを読出し、書込ヘッド54の駆動回路75へ出力するようになっている。
【0043】これにより、CPU70は、伝送エラーを検知した場合(券発行部24が発券中に伝送エラーが生じ、制御不能になった場合)に、単独でボイド処理、つまり上述したように、印刷面、全てに黒印刷を行ったり、または廃券、エラー券などの表示印刷を行い、券面を見ただけでその券がエラー券であることを確認できるような印刷を行い、さらに、磁気データとして、全て「0」のデータを書き込んだり、券有効、無効ビットを無効のビットにする処理である。
【0044】また、CPU70は、正常に発行された定期券やカードの枚数と、エラー券の枚数とをメモリ71で計数記憶し、不正利用されないようにする。上記のような構成において、定期券の発行動作を説明する。
【0045】まず、券紙ホッパ34から給紙ローラ36によって給紙された券紙Sは、取出し搬送路39、搬送路40、主搬送路47を介してスイッチバック部49に導かれる。この主搬送路47を搬送される際に、黒色印刷部50で黒色の印刷がなされるとともに、赤色印刷部51で赤色の印刷がなされる。
【0046】ただし、黒色の印刷だけの場合、券紙Sは、黒色印刷部50での印刷がなされた後、分岐搬送路56を介してスイッチバック部49に導かれる。スイッチバック部49で搬送方向が逆転した印刷済みの券紙Sは、副搬送路52を介して搬送され、この搬送の際に、書込ヘッド54によりその券紙Sの裏面の磁気記録部に磁気情報を書込み、その記録内容を確認用に読取ヘッド55により読取る。
【0047】この読取ヘッド55による読取り結果が正しかった場合、副搬送路52からの券紙Sはゲート61により搬送路57を介して券発行口8に搬送され、定期券として券発行口8から発行される。
【0048】上記読取ヘッド55による読取り結果が誤ってエラーとなった場合、副搬送路52からの券紙Sはゲート61により回収箱59へ導かれる。旧券、手差し券挿入口9から挿入された旧券は、搬送路58、57、副搬送路52を介して搬送され、その裏面の磁気記録部の磁気情報が読取ヘッド55により読取られる。その後、旧券は旧券入鋏部53で入鋏され、ゲート64により搬送路59を搬送され、屑箱(図示しない)に回収されるか、あるいはゲート64によりスイッチバック部49で搬送され、搬送方向が逆転し、副搬送路52を介して搬送され、ゲート61により回収箱59へ導かれ、回収される。
【0049】また、旧券、手差し券挿入口9に手差しで券紙Sが挿入されると、搬送路58、57、主搬送路47を介してスイッチバック部49に導かれ、券紙ホッパ34からの場合と同様に処理される。
【0050】また、上記のような構成において、カード類の発行動作を説明する。まず、券紙ホッパ35から給紙ローラ41によって給紙された券紙S´は、取出し搬送路44、搬送路40、主搬送路47を介してスイッチバック部49に導かれる。
【0051】このスイッチバック部49を搬送される際に、印刷部65のサーマルヘッド65aで券紙S´の印刷面の感熱破壊により、利用金額の印刷がなされる。スイッチバック部49で搬送方向が逆転した印刷済みの券紙S´は、副搬送路52を介して搬送され、この搬送の際に、書込ヘッド54によりその券紙S´の裏面の磁気記録部に磁気情報を書込み、その記録内容を確認用に読取ヘッド55により読取る。
【0052】この読取ヘッド55による読取り結果が正しかった場合、副搬送路52からの券紙S´はゲート61により搬送路57を介して券発行口8に搬送され、カードとして券発行口8から発行される。
【0053】上記読取ヘッド55による読取り結果が誤ってエラーとなった場合、副搬送路52からの券紙S´はゲート61により回収箱59へ導かれる。また、旧券、手差し券挿入口9に手差しで券紙S´が挿入されると、搬送路58、57、主搬送路47を介してスイッチバック部49に導かれ、券紙ホッパ34からの場合と同様に処理される。
【0054】また、CPU70は、インターフェース84内の伝送エラー判定部84aで受信したデータ(印刷データ、磁気データ)のエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを黒色印刷部50を用いて券に印刷し、エラーを示す磁気データを上記書込ヘッド54を用いて券に記録し、メモリ71内のエラー券の発行枚数をカウントアップするようになっている。
【0055】次に、このような構成において、定期券の発行動作を説明する。すなわち、申込用紙による定期券の購入申込みにより、係員は、経由発着駅設定部3、4により発駅(A駅)、着駅(B駅)(利用区間)、経由を入力する。この際、入力された発駅、着駅、経由に対応する駅名釦部は表示色が変更される。
【0056】ついで、係員は発着駅と経由以外の購入申込み内容に基づく所定のデ―タ(たとえば、通用箇月、性別、年齢、発行年月日等の購入情報)を条件設定操作部2を用いて入力する。
【0057】また、係員は申込用紙を申込用紙挿入口7に挿入し、氏名読取部22により申込用紙に記載された氏名の読取処理を行う。すると、CPU20は上記入力デ―タに応じた発行内容と料金等を図9に示すように、表示部5で表示する。
【0058】また、CPU20は上記入力デ―タに基づきメモリ21から文字パタ―ンを読出し、この文字パタ―ンと氏名転写部23によって読取った購入客による自筆の氏名に対応する画素デ―タとにより、対応する定期券の表面の印刷デ―タを編集作成し、表示部5で表示する。
【0059】そして、上記表示部5に表示された発行内容が満足するものであった場合、係員はスタートキー11を投入する。すると、CPU20は券発行部24を制御し、上記発行内容を券紙Sに磁気記録するとともに、購入者の氏名のイメージパターンデータに基づいた氏名転写と、購入内容を印刷して券発行口8から発行する。また、CPU20は定期券料金も表示部5で表示する。
【0060】また、CPU20は、上記取引結果を磁気ディスク装置26により磁気ディスクに記憶するとともに、ジャーナルに印字する。この結果、係員は購入客から表示部5に表示されている定期券料金を受取り、発行された定期券を購入客に渡す。
【0061】また、旧券を用いた継続券の発行を行う場合、旧券による発行(継続)を指示するとともに、旧券を旧券、手差し券挿入口9に挿入する。すると、旧券は券発行部24内に受入れられ、旧券の裏面の磁気記録部に記録されている発行条件としての発着駅、経由、氏名等が読取られ、CPU20に出力される。これにより、CPU20は表示部5でその内容と標準の有効期間とによる発行内容と料金とを表示部5で表示する。その後、発行日付、月数等の発行内容を確認後、発行の指示を入力する。この際、条件設定操作部2を用いて変更等を行っても良い。上記発行指示により、券発行部24により作成された定期券が券発行口8から発行される。
【0062】また、カード類の発行動作を説明する。すなわち、係員は条件設定操作部2を用いて、カードの発行の指示とその金額の指示とを入力し、スタートキー11を投入する。すると、CPU20は券発行部24を制御する。これにより、券発行部24は、上記したように、券紙S´に対して利用料金を印刷するとともに、利用料金等を磁気記録してカードとして券発行口8から発行する。また、CPU20はカード類の発行料金も表示部5で表示する。
【0063】また、CPU20は、上記取引結果を磁気ディスク装置26により磁気ディスクに記憶するとともに、ジャーナルに印字する。この結果、係員は購入客から表示部5に表示されているカードの発行料金を受取り、発行されたカードを購入客に渡す。
【0064】上記のような定期券やカード類が発行される状態において、券発行部24のCPU70は、インターフェース84内の伝送エラー判定部84aで受信したデータ(印刷データ、磁気データ)のエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを黒色印刷部50を用いて券に印刷し、エラーを示す磁気データを上記書込ヘッド54を用いて券に記録し、メモリ71内のエラー券の発行枚数をカウントアップする。
【0065】これにより、券紙ホッパ34から取出された券紙Sに対して、図6、図7に示すようなエラー券を示すパターンが印刷された券紙Sは、回収箱59へ回収されたり、あるいは券発行口8から返却される。
【0066】また、券紙ホッパ35から取出された券紙S´に対して、図8に示すようなエラー券を示すパターンが印刷された券紙S´は、回収箱59へ回収されたり、あるいは券発行口8から返却される。
【0067】また、旧券、手差し券挿入口9から挿入された券紙Sに対して、図6、図7に示すようなエラー券を示すパターンが印刷された券紙Sは、券発行口8から返却されたり、あるいは回収箱59へ回収される。
【0068】また、旧券、手差し券挿入口9から挿入された券紙S´に対して、図8に示すようなエラー券を示すパターンが印刷された券紙S´は、券発行口8から返却されたり、あるいは回収箱59へ回収される。
【0069】なお、上記券発行部24の発券処理は、図10に示すフローチャートのようになっている。また、CPU70からのエラー券の発行がCPU20へ出力される。これにより、CPU20は定期券あるいはカードの再発行を、表示部5の下部で「券紙の再発行」と案内表示する(図9)。
【0070】上記したように、発行する券の印刷データと磁気データをインターフェースで受信し、この受信した印刷データを券に黒色印刷部で印刷し、インターフェースで受信した磁気データを券に書込ヘッドで記録し、この書込ヘッドにより記録された券を発行するものにおいて、インターフェースにより受信したデータのエラーを伝送エラー判定部で判定した際、エラーを示す印刷データを黒色印刷部を用いて券に印刷し、エラーを示す磁気データを上記書込ヘッドを用いて券に記録するようにしたものである。
【0071】これにより、データの伝送エラーが発生した際に、エラー券としての白券が誤って発行されてしまうことを防止でき、この白券の不正利用を防止でき、未使用の券と容易に区別ができるエラー券を発行することができる。
【0072】すなわち、ボイド処理された券紙は、一目で廃券、エラー券がわかり(視覚的にエラー券を見分けることができ)、正規券、旧券との区別が容易に行える。また、上記磁気データの内容では、自動改札を通過できないので、不正利用されない。なお、前記実施例では、交通機関の一例として電車の場合について説明したが、これに限らず、バス等で用いる場合であっても良い。
【0073】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、データの伝送エラーが発生した際に、エラー券としての白券が誤って発行されてしまうことを防止でき、この白券の不正利用を防止でき、未使用の券と容易に区別ができるエラー券を発行することができる券発行装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における券発行装置の券発行部の制御回路の要部を示すブロック図
【図2】券発行装置の外観を示す正面図。
【図3】券発行装置の外観を示す上面図。
【図4】券発行装置の制御回路の要部を示すブロック図。
【図5】券発行部の内部構成を示す断面図。
【図6】エラー券の印刷内容を説明するための図。
【図7】エラー券の印刷内容を説明するための図。
【図8】エラー券の印刷内容を説明するための図。
【図9】表示部により表示される発行内容を示す図。
【図10】券発行部の発券処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
24…券発行部
50…黒色印刷部
50a、51a、65a…サーマルヘッド
50b、51b…インクリボン
51…赤色印刷部
54…書込ヘッド
55…読取ヘッド
65…印刷部
70…CPU
71…メモリ
71a、71b…記憶部
84…インターフェース
84a…伝送エラー判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段と、上記券に印刷データを印刷する印刷手段と、上記券に磁気データを記録する記録手段と、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段と、この判定手段によりデータのエラーを判定しなかった際、上記受信手段により受信した印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、上記受信手段により受信した磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第1の処理手段と、上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷する第2の処理手段と、を具備したことを特徴とする券発行装置。
【請求項2】 発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段と、上記券に印刷データを印刷する印刷手段と、上記券に磁気データを記録する記録手段と、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段と、この判定手段によりデータのエラーを判定しなかった際、上記受信手段により受信した印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、上記受信手段により受信した磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第1の処理手段と、上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷するとともに、エラーを示す磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第2の処理手段と、を具備したことを特徴とする券発行装置。
【請求項3】 発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段と、エラーを示す印刷データと磁気データを記憶している記憶手段と、上記券に印刷データを印刷する印刷手段と、上記券に磁気データを記録する記録手段と、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段と、この判定手段によりデータのエラーを判定しなかった際、上記受信手段により受信した印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、上記受信手段により受信した磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する第1の処理手段と、上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、上記記憶手段によりエラーを示す印刷データを読出し、上記印刷手段を用いて上記券に印刷するとともに、上記記憶手段によりエラーを示す磁気データを読出し、上記記録手段を用いて上記券に記録する第2の処理手段と、を具備したことを特徴とする券発行装置。
【請求項4】 発行する券の印刷データと磁気データを受信する受信手段と、この受信手段で受信した印刷データを上記券に印刷する印刷手段と、上記受信手段で受信した磁気データを上記券に記録する記録手段と、この記録手段により記録された券を発行する発行手段とからなる券発行装置において、上記受信手段により受信したデータがエラーか否かを判定する判定手段と、上記判定手段によりデータのエラーを判定した際、エラーを示す印刷データを上記印刷手段を用いて上記券に印刷し、エラーを示す磁気データを上記記録手段を用いて上記券に記録する処理手段と、を具備したことを特徴とする券発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開平7−320093
【公開日】平成7年(1995)12月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−115460
【出願日】平成6年(1994)5月27日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)