説明

剛直ポリマーおよびその製造方法

【課題】 電子・電気部品、自動車部品等の広範囲の分野に使用することができ、耐熱性、加工性に優れる剛直ポリマーを提供する。
【解決手段】 生物由来剛直化合物である4-ヒドロキシ桂皮酸やクロロゲン酸、生物由来剛直化合物加水分解物質であるカフェー酸やキナ酸、あるいはポリ乳酸等の物質から選択し、例えば、無水酢酸と触媒としての酢酸ナトリウムを添加し所定温度で所定時間反応させることによってホモポリマーまたは共重合体を製造する。これらは芳香環を有しており、組み合わせによっては液晶性を示すポリマーにもなることから、剛直ポリマーとして、電子・電気部品、自動車部品等に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物由来剛直化合物、生物由来剛直化合物誘導体または生物由来剛直化合物加水分解物質からなる剛直ポリマーおよびその製造方法に関し、特に、電子・電気部品、自動車部品等の広範囲の分野に使用することができる剛直ポリマーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、生物由来のポリマーとしてポリ乳酸が実用化されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
このポリ乳酸は、トウモロコシやサツマイモなどの植物資源から得られたデンプンから製造され、廃棄したときは、加水分解や微生物分解により、水と二酸化炭素に分解される。このポリ乳酸は、農業用フィルム、使い捨て容器、文房具として使用されている。
【非特許文献1】土井義治編集、「生分解プラスチックハンドブック」、初版、株式会社エヌ・ティー・エス、1995年5月26日、第576頁〜第581頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の乳酸からなるポリマーは、熱変形温度が約60℃と低く、自動車用内装部品、外装部品、エンジン関係など耐熱性や機械的強度が必要な部品として使用することができないという問題がある。
【0005】
一方、耐熱性および機械的強度を有するポリマー材料として剛直ポリマーが知られている。剛直ポリマーは、芳香環濃度の高いポリマーであるため、分子が剛直となり耐熱性、機械的強度等に優れるという特徴がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、電子・電気部品、自動車部品等の広範囲の分野に使用することができる生物由来剛直化合物、生物由来剛直化合物の誘導体または生物由来剛直化合物の加水分解物質を使用した剛直ポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体もしくはバイオ資源から抽出された物質のいずれか1種からなるホモポリマー、またはいずれか2種以上からなる共重合体により構成されることを特徴とする剛直ポリマーを提供する。
【0008】
ここで、「剛直」ポリマーとは、芳香環、脂環、2重結合もしくは3重結合のうち少なくとも1つの剛直な構造部位を有するホモポリマーまたは共重合体をいう。
【0009】
また、ホモポリマーは、クロロゲン酸類、クロロゲン酸類の誘導体、クロロゲン酸類の加水分解物質、その加水分解物質の誘導体またはバイオ資源から抽出された物質のいずれか1種からなることが好ましい。
【0010】
また共重合体は、クロロゲン酸類、クロロゲン酸類の誘導体、クロロゲン酸類の加水分解物質、その加水分解物質の誘導体もしくはバイオ資源から抽出された物質のいずれか1種と、4−ヒドロキシ桂皮酸またはポリ乳酸とからなることが好ましい。
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質からなる剛直ポリマーの製造方法において、反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質をアセチル化するアセチル化工程と、前記アセチル化した前記生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質を所定の触媒の存在下でホモポリマー化させる工程とを含むことを特徴とする剛直ポリマーの製造方法を提供する。
【0012】
本発明は、上記目的を達成するため、第1の生物由来剛直化合物、前記第1の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第1の物質、および第2の生物由来剛直化合物、前記第2の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第2の物質とを共重合させる剛直ポリマーの製造方法において、反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ第1の生物由来剛直化合物、前記第1の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第1の物質、および反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ第2の生物由来剛直化合物、前記第2の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第2の生物由来剛直化合物のの誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第2の物質をそれぞれアセチル化するアセチル化工程と、前記アセチル化した前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物、前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された物質を所定の触媒の存在下で共重合反応させる共重合工程とを含むことを特徴とする剛直ポリマーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物、この生物由来剛直化合物の誘導体、この生物由来剛直化合物の加水分解物質のうちの1種からなるホモポリマーまたは2種以上からなる共重合体が得られるため、耐熱性、加工性が向上し、電子・電気部品、自動車部品等の広範囲の分野に使用することができる剛直ポリマーを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、4-ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)とカフェー酸との共重合体からなり、以下に示す一般式(1)で表わされる。ここで、4HCAは、反応性官能基を2つ有し、重合性を持つ生物由来剛直化合物であり、カフェー酸は、反応性官能基を3つ有し、重合性を有する生物由来剛直化合物の加水分解物質である。
【0015】
【化1】

【0016】
この第1の実施の形態の剛直ポリマーの製造方法の一例について説明する。まず、四つ口フラスコに、例えば、0.82g(5mmol)の4HCA(以下に示す一般式(2)で表わされる。)と、例えば、1.7g(10mmol)のカフェー酸(以下に示す一般式(3)で表わされる。)とを入れ、これに触媒作用を有する無水酢酸(例えば、10ml)とエステル交換触媒として、例えば、酢酸ナトリウムを添加した。次に、四つ口フラスコを乾燥窒素でパージし、シリコン油槽に浸漬した。次に、遮光材として、例えば、アルミホイルで四つ口フラスコを包むことにより遮光しながら、シリコン油槽を加熱し、重合させた。次に、重合反応に基づく生成物を取出し、ペンタフルオロフェノールに溶解させ、その溶液をエタノールに注ぐことにより再沈殿した。次に、この沈殿物を濾集し、ソックスレー抽出器により、メタノールで不純物を取り除いて共重合体を得た。このようにして得られた4HCAとカフェー酸の共重合体を減圧乾燥後、種々の測定を行なった。尚、製造条件はこの限りではなく、例えば、仕込み量や重合時間、重合温度、触媒や溶媒の量を変化させたり、重合時に真空処理を施す、ポリマーに補強材を投入するといった操作を行う事もできる。
【0017】
【化2】

【0018】
【化3】

【0019】
この第1の実施の形態に係る剛直ポリマーは、以下の性状、物性を備えている。
【0020】
(1)製造条件
表1は、4HCAとカフェー酸共重合体の各製造条件における成形結果を示す。この各製造条件によれば、共重合体とする事によって成形が可能となるのと同時に、強靭となり良好な成形体が得られる。また、重合温度を高くするとカフェー酸の仕込み量にもよるがさらに成形可能温度が上昇すると同時により強靭となり良好な成形体が得られる。また、溶媒量の変更や重合時間の変更によってもポリマー性状の変化が認められる。従って、強靭な共重合体の製造条件としては、カフェー酸の組成は20〜75mol%が好ましく、重合温度は175〜225℃が好ましく、重合時の溶媒量や重合時間も過剰とするのが好ましい。
【0021】
【表1】

【0022】
(2)化学構造
図1は、4HCAとカフェー酸との共重合体、カフェー酸ホモポリマーおよび4HCAポリマーのフーリエ変換赤外分光光度計による構造解析結果を示す図である。これによれば、カフェー酸に起因する1670〜1640cm−1のC=Oピークは出現せずに、エステル(C=O)に起因する1730cm−1のピークが出現している。また、芳香環に起因する1600cm−1のピーク強度および2置換芳香環に起因する1166cm−1のピーク強度は、カフェー酸の組成変化に応じて変化している。これは、カフェー酸ホモポリマーにおいて1600cm−1のピークが弱いこと、また、カフェー酸は、3置換芳香環を有しているため1166cm−1に明確なピークが出現しないことが原因である。また、4HCA/カフェー酸仕込み比によってピーク強度が変化したことから共重合化したポリマーが製造できていると推定することができる。
【0023】
(3)広角X線回折測定の結果
図2は、4HCAとカフェー酸との共重合体、カフェー酸ホモポリマーおよび4HCAホモポリマーの広角X線回折測定の結果を示す図である。この広角X線回折測定の結果によれば、4HCA組成が100%の場合に出現する4.8Åおよび3.7Åのピークが共重合体では消失している。これは、カフェー酸の導入により結晶性が失われていることを示すものであり、4HCAとカフェー酸との共重合体が製造できていると推定することができる。
【0024】
(4)溶解性
表2は、第1の実施の形態に係る剛直ポリマーの溶解性を示す。これは、4HCAおよびカフェー酸の仕込み比と重合温度を変化させて得られた4HCAとカフェー酸共重合体を各種溶媒に浸漬し、共重合体の各種溶媒に対する溶解性を評価したものである。共重合反応は、175℃、185℃および200℃で行った。
【0025】
【表2】

【0026】
表2によれば、製造した剛直ポリマーの溶解性はモノマーと異なる上、製造条件によっても異なることから、剛直ポリマーが得られたことが確認できる。
【0027】
(5)分子量測定
表3は、第1の実施の形態に係る剛直ポリマーの分子量測定結果を示す。尚、測定設備として、TOSOH製HLC−8120GPCを使用し、使用溶媒はDMF、溶媒流速は0.6ml/minとした。これによれば、一部DMFに難溶であり測定困難および測定値の信頼性に欠ける部分はあるものの、製造条件によって分子量に変化が見られ、高分子量ポリマーが得られたことが分かる。
【0028】
【表3】

【0029】
(6)液晶性
図3は、4HCAとカフェー酸共重合体(組成50mol%:50mol%)を加熱し偏光顕微鏡で撮影した写真である。この4HCAとカフェー酸共重合体(組成50mol%:50mol%)は、加熱時にシュリーレン組織が観察できるため、ネマチック液晶の特性を有していることが確認された。
【0030】
(7)熱分析
図4に示差走査熱量分析(DSC)の室温から300℃まで10℃/分で昇温させた結果の一部を示す。175℃で6時間反応させて得られた4HCAとカフェー酸共重合体(組成50mol%:50mol%)および、200℃で6時間反応させた4HCAとカフェー酸共重合体(組成50mol%:50mol%)は、いずれもガラス転移点が高いため、電子・電気部品等に使用することができる。
【0031】
(8)曲げ試験
曲げ試験については、2種類の手法にて行った
【0032】
(i)JISK7171に基づく曲げ試験
175℃で6時間反応させて得られた4HCAとカフェー酸共重合体(組成50mol%:50mol%)を、80℃で1時間予備乾燥する。次にプレス条件を185℃で30kg/cmの圧力を6分間加え、成形品寸法200mm×200mm×3mm厚とし、得られた板を切り出すことによって測定用サンプルを得た。評価設備としてインストロン社製万能材料試験機5528を用い、JIS K 7171に準拠し、温度は23℃、支点間距離は48mm、試験速度は1.5mm/minで行った。
【0033】
(ii)小型材料試験機を用いた曲げ試験
表1に示した各製造条件の異なるポリマーを表1に示した成形条件により6mm×50mm×3mm厚の小片に圧縮成形し、測定用サンプルとした。評価設備は井元製作所製小型材料試験機を用い、JIS K 7171を参考に支持体のRを2mm、圧子のRを5mmとし、支点間距離29mmとして試験用治具を作製し、温度は23℃、試験速度は0.1mm/minで測定を行った。
【0034】
(9)圧縮試験
200℃で6時間反応させて得られた組成の異なる4HCAとカフェー酸共重合体の圧縮試験を以下のように実施した。
【0035】
(i)試験片の作製
250℃にて成形を実施し、圧縮測定用サンプルとした。
(ii)評価設備
島津製作所製、AGS−H/EZシリーズにより評価した。
【0036】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係る剛直ポリマーによれば、下記の効果を奏でる。
(イ)4HCAとカフェー酸共重合体は、加熱時にネマチック液晶を示すため、液晶ポリマーとして分類・使用することができる。
(ロ)4HCAとカフェー酸共重合体は、共重合体とする事によって成形が可能となるのと同時に、強靭となり良好な成形体が得られる。また、重合温度を高くするとカフェー酸の仕込み量にもよるがさらに成形可能温度が上昇すると同時により強靭となる為より良好な成形体が得られる。このように組成の変更や、重合温度の変更によってポリマー性状は変化するが、さらに溶媒量の変更や精製の有無無、さらには真空中での重合、アニール処理といったような操作を行うことによってもポリマー性状の変化が認められる。また、条件によってはエラスティックな性状も示す。従って、強靭な共重合体の製造条件としては、カフェー酸の組成は20〜75mol%が好ましく、重合温度は175〜225℃が好ましく、重合時の溶媒量や重合時間も過剰とするのが好ましい。このようにポリマーの製造条件によって成形性、耐熱性、力学強度に変化を持たせることができる。
(ハ)4HCAとカフェー酸は各種溶媒に溶解する為、湿式紡糸・キャストによる薄膜化および微粒子化が可能となるなどポリマーの加工方法が増加する。
(ニ)4HCAとカフェー酸は、各種溶媒に溶解するため、分子量の測定や光反応性の測定など様々な物性測定や構造解析が可能となる。
(ホ)4HCAとカフェー酸は、その製造条件によって様々な分子量のポリマーを作製する事が可能である。
(へ)JIS K 7171による曲げ試験の結果、曲げ弾性係数は2.93GPaを得た。また表4には小型材料試験機による各製造条件の異なるポリマーの曲げ試験結果を示す。これによれば、ポリマーの製造条件によって曲げ物性が異なることが分かる。また、これら物性が高いポリマーは分子量が高いといった相関も認められる上、繊維といった形態に加工もできる為、フィラーとして利用する事も可能である。
(ト)表5に圧縮試験の結果を示す。4HCAとカフェー酸共重合体の圧縮強度は組成により異なるが30〜100MPa、圧縮弾性率は0.6〜1.6GPaであり、自動車部品、電子・電気部品等に使用することができる。
(チ)表4に示した、小型材料試験機による曲げ試験の測定および表5に示した圧縮試験結果はJISに準拠した試験方法ではないためJISに準拠した試験結果とは比較できず、物性向上の条件検討用として測定したものである。また成形体の大きさや成形の方法によっても物性値に変化が生じる為、表4、表5に示す値はこの限りではない。
【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
なお、上記4HCA、カフェー酸の代わりに反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ
生物由来剛直化合物、反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物誘体または反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物の加水分解物と、
反応性官能基を3つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物、反応性官能基を3つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物誘導体または反応性官能基を3つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物の加水分解物とを組み合わせて用いることも可能である。すなわち生成した重合体中に、エステル基、チオエステル基、アミド基、チオアミド基、ケトン基、チオケト基、カーボネート基、チオカーボネート基、ウレタン基、チオウレタン基、イミド基、チオイミド基、イソイミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミン基、アゾメチン基、アゾ基、ヒドロキサム酸、酸無水物、オキサゾール基、イソオキサゾール基、チアゾール基、イミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、トリアジン基、イミダゾール基、ヒダントイン基、ピラゾール基、オキサジノン基、キナゾロン基、キナゾリンジオン基、キノキサリン基、フタラジノン基といった結合基を有するように、生物由来剛直化合物、生物由来剛直化合物の誘導体または生物由来剛直化合物の加水分解物質を組み合わせて使用することができる。
【0040】
また、反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物と、反応性官能基を3つ以上有し重合性を持ち、脂環,2重結合,3重結合などの剛直な構造部位を有する核酸類,アミノ酸類,糖類,脂肪酸類,テルペン類,ポルフィリン類,フラボノイド類,ステロイド類,クロロゲン酸類もしくはアルカロイド類から選択された1種または2種以上との共重合体、または反応性官能基を3つ以上有し重合性を持ち、脂環,2重結合,3重結合などの剛直な構造部位を有する核酸類,アミノ酸類,糖類,脂肪酸類,テルペン類,ポルフィリン類,フラポノイド類,ステロイド類,クロロゲン酸類およびアルカロイド類から選択された2種以上からなる共重合体であってもよい。
【0041】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、4HCAとカフェー酸との共重合体からなるものであり、第1の実施の形態とは、製造方法が異なるものである。
【0042】
(製造方法)
まず、四つ口フラスコに4HCAもしくはカフェー酸を入れ、ともに無水酢酸の存在下で窒素パージをして、例えば165℃で3時間反応させ、アセチル化4HCAもしくはアセチル化カフェー酸を生成後、精製する。次に得られたアセチル化4HCAとアセチル化カフェー酸を窒素パージして例えば195℃で6時間重合反応させて、共重合体を得る。このようにして得られた4HCAとカフェー酸共重合体について、種々の測定を行った。尚、製造条件はこの限りではなく、例えば、仕込み量や重合時間、重合温度、触媒や溶媒の量を変化させたり、重合時に真空処理を施す、ポリマーに補強材を投入するといった操作を行う事もできる。
【0043】
表6は、得られた共重合体の各種溶媒に対する溶解性を示す。アセチル化モノマーと比較して溶解性が変化していることから、4HCAとカフェー酸共重合体が製造できていると考えられる。なお、アセチル化工程の中で無水酢酸のかわりにトリフルオロ酢酸を用いることもできる。
【0044】
【表6】

【0045】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態によれば、製造方法を変えても、耐熱性および加工性に優れる剛直ポリマーを製造することができる。また、無水酢酸の代わりにトリフルオロ酢酸を用いる事により分子量を増加させることができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、4HCAとクロロゲン酸との共重合体からなるもので、透明性を有する剛直ポリマーである。ここで、クロロゲン酸は、反応性官能基を2つ以上有し、重合性を持つ生物由来剛直化合物である。
【0047】
表7は、4HCAとクロロゲン酸共重合体の各種溶媒に対する溶解性を示す。これによれば、4HCAモノマーとクロロゲン酸モノマーとを、例えば、各50mol%ずつ反応容器に仕込んで窒素パージをして175℃で6時間反応させて得られた共重合体は、ポリ4HCAと比較して各種溶媒に対する溶解性が変化している。また、モノマーと比較した場合の溶解性も異なる。
【0048】
【表7】

【0049】
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施に形態によれば、4HCAモノマーとクロロゲン酸モノマーを反応させることにより、溶媒溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0050】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、4HCAとキナ酸との共重合体からなるものである。ここで、キナ酸は、反応性官能基を2つ以上有し、重合性を持つ生物由来剛直化合物の加水分解物質である。
【0051】
表7は、4HCAとキナ酸との共重合体の各種溶媒に対する溶解性を示す。これによれば、4HCAモノマーとキナ酸モノマーとを例えば各50mol%ずつ反応容器に仕込んで窒素パージをして、175℃で6時間反応させて得られた共重合体は、ポリ4HCA、4HCAモノマー、およびキナ酸モノマーと比較して溶解性が変化している。
【0052】
(第4の実施の形態の効果)
第4の実施の形態によれば、4HCAモノマーとキナ酸モノマーを反応させることにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0053】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、4HCAとコーヒー豆抽出物とを反応容器に仕込んで窒素パージをして、例えば175℃で6時間反応させて得られた共重合体からなるものである。ここで、コーヒー豆として、ジャワロブスター種を用いた。
【0054】
表8は、4HCAモノマーとコーヒー豆抽出物質モノマーをそれぞれ50重量%仕込んで得られた共重合体の各種溶媒に対する溶解性を示す。これによれば、4HCAモノマーとコーヒー豆抽出物質モノマーとの共重合体の各種溶媒に対する溶解性は、ポリ4HCAおよび4HCAモノマーおよびコーヒー豆抽出物質モノマーと比較して溶解性が変化している。
【0055】
【表8】

【0056】
(第5の実施の形態の効果)
第5の実施の形態によれば、4HCAモノマーとコーヒー豆抽出物質を反応させることにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0057】
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、4口フラスコにカフェー酸モノマーを仕込み、無水酢酸と酢酸ナトリウムの存在下で窒素パージをして、所定温度で6時間反応させて得たカフェー酸ホモポリマーである。
【0058】
この剛直ポリマーであるカフェー酸ホモポリマーの各種溶媒に対する溶解性を表2に示す。これによれば、カフェー酸モノマーと作製した剛直ポリマーの各種溶媒に対する溶解性が変化している。
【0059】
(第6の実施の形態の効果)
第6の実施の形態によれば、カフェー酸モノマーは反応によりポリマー化し、図2に示すように非結晶性ポリマーとなる。そして、その製造条件によって各種溶媒に対する溶解性や加工性に変化を与えることができる。また、表9に示すように、圧縮試験において圧縮強度105MPa、圧縮弾性率1.9GPaを観測し、ポリ4HCAよりも強靭なポリマーを得た。なお、第2の実施の形態で得られたアセチル化カフェー酸モノマーを単独で使用してカフェー酸ホモポリマーを製造することもできる。この場合、表6に示すように各種溶媒に対する溶解性に変化が見られる。
【0060】
【表9】

【0061】
なお、上記カフェー酸の代わりに反応性官能基を3つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物、反応性官能基を3つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物の誘導体または反応性官能基を3つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物の加水分解物用いることも可能である。すなわち生成した重合体中に、エステル基、チオエステル基、アミド基、チオアミド基、ケトン基、チオケト基、カーボネート基、チオカーボネート基、ウレタン基、チオウレタン基、イミド基、チオイミド基、イソイミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミン基、アゾメチン基、アゾ基、ヒドロキサム酸、酸無水物、オキサゾール基、イソオキサゾール基、チアゾール基、イミダゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、トリアジン基、イミダゾール基、ヒダントイン基、ピラゾール基、オキサジノン基、キナゾロン基、キナゾリンジオン基、キノキサリン基、フタラジノン基といった結合基を有するように、生物由来剛直化合物、生物由来剛直化合物の誘導体または生物由来剛直化合物の加水分解物質を組み合わせて使用することができる。
【0062】
また、反応性官能基を3つ以上有し重合性を持ち、脂環,2重結合,3重結合などの剛直な構造部位を有する核酸類,アミノ酸類,糖類,脂肪酸類,テルペン類,ポルフィリン類,フラボノイド類,ステロイド類,クロロゲン酸類もしくはアルカロイド類から選択された1種からなるホモポリマーであってもよい。
【0063】
[第7の実施の形態]
本発明の第7の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーはコーヒー豆抽出物質を使用したポリマーである。なお、コーヒー豆としてジャワロブスタ種を用いた。剛直ポリマーの製造は、第6の実施の形態に係る製造方法と同様である。
【0064】
このコーヒー豆抽出物質を使用したポリマーの各種溶媒に対する溶解性は、表8に示したようにモノマーと異なることからポリマー化したことが分かる。
【0065】
図5にコーヒー豆抽出物質を使用したポリマーのフーリエ変換赤外分光光度計による構造解析結果を示す。これによれば、芳香環に起因するピークが確認されていることからコーヒー豆抽出物質を利用したポリマーは剛直ポリマーと推定できる。
【0066】
(第7の実施の形態の効果)
第7の実施の形態によれば、コーヒー豆抽出物質を反応させることにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0067】
[第8の実施の形態]
本発明の第8の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)と4HCAとの共重合体からなるものである。
【0068】
この剛直ポリマーは、ポリ乳酸と4HCAモノマーを例えば各50重量%で反応容器に仕込み、無水酢酸および酢酸ナトリウムの存在下で窒素パージをして、例えば175℃で6時間重合反応させることにより得られる。
【0069】
また、各種溶媒に対する溶解性試験によれば、表10に示すように、ポリ乳酸および4HCAと比較して、各種溶媒に対して溶解性が変化していることから、共重合化したことが分かる。
【0070】
【表10】

【0071】
(第8の実施の形態の効果)
第8の実施の形態によれば、4HCAモノマーとポリ乳酸を反応させることにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0072】
[第9の実施の形態]
本発明の第9の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とカフェー酸モノマーとの共重合体からなるものである。
【0073】
この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とカフェー酸モノマーを、例えば、各50重量%で反応容器に入れ、無水酢酸および酢酸ナトリウムの存在下で窒素パージをして、例えば175℃で6時間重合反応させることにより得られる。このときの重量平均分子量を、表11に示す。
【0074】
【表11】

【0075】
図6は、ポリ乳酸とカフェー酸モノマーを各50重量%ずつ仕込んで得られた示差走査型熱量分析(DSC)の結果を示す。比較としてポリ乳酸のDSCの結果を示す。これによれば、ポリ乳酸の結晶化のピーク(105.8℃)が消失している。この結果から、ポリ乳酸の分子構造中に他の物質が共重合し結晶化が阻害されていることが伺える。よって加工性が向上すると思われる。
【0076】
また、各種溶媒に対する溶解性試験によれば、表10に示すように、ポリ乳酸およびカフェー酸モノマーと比較して、溶解性が変化している。
【0077】
(第9の実施の形態の効果)
第9の実施の形態によれば、カフェー酸モノマーとポリ乳酸を反応させることにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0078】
[第10の実施の形態]
本発明の第10の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とキナ酸モノマーとの共重合体からなるものである。
【0079】
この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とキナ酸モノマーを、例えば、各50重量%で反応容器に仕込み、無水酢酸および酢酸ナトリウムの存在下で窒素パージをして、例えば175℃で6時間重合反応させることにより得られる。
【0080】
また、この剛直ポリマーは、各種溶媒に対する溶解性試験によれば、表10に示すように、ポリ乳酸およびキナ酸モノマーと比較して、溶解性が変化している。
【0081】
(第10の実施の形態の効果)
第10の実施の形態によれば、キナ酸モノマーとポリ乳酸を反応させることにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0082】
[第11の実施の形態]
本発明の第11の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とコーヒー豆抽出物質との共重合体からなるものである。コーヒー豆としてジャワロブスター種を用いた。
【0083】
この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とコーヒー豆抽出物質を、例えば、各50重量%で反応容器に仕込み、無水酢酸および酢酸ナトリウムの存在下で窒素パージをして、例えば175℃で6時間重合反応させることにより得られる。
【0084】
また、各種溶媒に対する溶解性試験によれば、表10に示すように、ポリ乳酸およびコーヒー豆抽出物質からなるモノマーと比較して、溶解性が変化している。
【0085】
(第11の実施の形態の効果)
第11の実施の形態によれば、コーヒー豆抽出物質からなるモノマーとポリ乳酸を反応させることにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0086】
[第12の実施の形態]
本発明の第12の実施の形態に係る剛直ポリマーについて説明する。この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とクロロゲン酸との共重合体からなるものである。
【0087】
この剛直ポリマーは、ポリ乳酸とクロロゲン酸を、例えば、各50重量%で反応容器に入れ、無水酢酸および酢酸ナトリウムの存在下で窒素パージをして、例えば175℃で6時間重合皮応させることにより得られる。
【0088】
また、各種溶媒に対する溶解性試験によれば、表10に示すように、ポリ乳酸およびクロロゲン酸モノマーと比較して、溶解性が変化している。
【0089】
(第12の実施の形態の効果)
第12の実施の形態によれば、クロロゲン酸モノマーとポリ乳酸が反応することにより、溶解性に優れ、薄膜化等の加工性の良好な剛直ポリマーが得られる。
【0090】
なお、本発明の剛直ポリマーは、上記の材料に限定されず、要求される条件に応じた剛直ポリマーとすることができ、各種エンジニアリングプラスチックとして使用することができる。また、ガラスやカーボンといった無機物質やセルロースといった有機物質をフィラーとして添加し使用することも可能である。
【0091】
また、ポリマーの溶媒種間に対する溶解性の差異を利用して、溶媒変換による自己組織化を誘導し、微粒子を作製する事も可能である。例えば、共重合体(カフェ酸組成50%)をジメチルホルムアミドに溶解させ、水を数滴加えることにより得られた微粒子の走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。この図から、直径約1マイクロメートルの球状粒子が明確に確認できる。さらに、図8に示すように共重合体(カフェ酸50%)の薄膜に光照射(波長250ナノメートル以上)を実施する事により、薄膜本来の250ナノメートルから400ナノメートルの範囲の波長の光を吸収する特性が時間経過と共に失われて行く様子が確認できた。これは共重合体の構造が光照射によって変化した為である。この性質を利用して、光照射によってポリマーの物質向上や分解性の制御が可能である。
さらに、ポリマーそのものをフィラーなどの添加剤として利用する事もでき、ポリ乳酸のみならず各種ポリマーの力学物性および熱特性を変化させる事もできる。
【0092】
応用部品としては、種々の分野の部品に適用することができる。例えば、自動車部品の分野においては、内装部品としてピラーガーニッシュ、グローブボックス、スイッチパネルなどに適用することができ、外装部品としてリアガーニッシュ、サイドモール、ドアミラーステイなどに適用することができ、エンジン周りにおいては、シリンダーヘッドカバー、インテークマニュホールド、ラジエター等に適用することができる。
【0093】
電気・電子部品の分野においては、VTRデッキメカ、パソコンの筐体、キーボードステイ、トナーカートリッジ、電気冷蔵庫(ドアハンドル、内箱)、ルームエアコン(ハウジング、グリル、ダンパ)、電気洗濯機(コントロールパネル)、電気掃除機(ハウジング、吸い込み口)、電子レンジ、加湿器、食器洗い機ハウジング等に適用することができる。
【0094】
建築・住宅設備の分野においては、サッシ用戸車、サッシ、ドア取手、手摺り、家具部材、シャワーヘッド、エアコンダクト、便座、ユニットパス部材、化粧パネル、洗面化粧台等に適用することができる。
【0095】
生活用品・日用品の分野においては、ファスナー、歯ブラシ、ペンケース、クッション材等に適用することができる。
【0096】
機械工具の分野においては、モーター用ファン、コンベア部品等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態および第6の実施の形態に係る剛直ポリマーである4HCAとカフェー酸との共重合体、カフェー酸ホモポリマーおよび4HCAホモポリマーのフーリエ変換赤外分光光度計による構造解析を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態および第6の実施の形態に係る剛直ポリマーである4HCAとカフェー酸との共重合体、カフェー酸ホモポリマーおよび4HCAホモポリマーの広角X線回折測定の結果を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る剛直ポリマーである4HCAとカフェー酸共重合体の加熱時における液晶写真を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る剛直ポリマーである4HCAとカフェー酸共重合体の示差走査型熱量分析(DSC)の結果を示す図である。
【図5】本発明の第7の実施の形態に係る剛直ポリマーであるコーヒー豆抽出物質を使用したポリマーのフーリエ変換赤外分光光度計による構造解析を示す図である。
【図6】本発明の第9の実施の形態に係る剛直ポリマーであるポリ乳酸とカフェー酸共重合体の示差走査型熱量分析(DSC)の結果を示す図である。
【図7】作製したポリマーを微粒子化させた事を示す図である。
【図8】4HCAとカフェー酸との共重合体に様々な時間で紫外線照射した際の構造変化をUV−Visにより追跡した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された物質のいずれか1種からなるホモポリマー、またはいずれか2種以上からなる共重合体により構成されることを特徴とする剛直ポリマー。
【請求項2】
前記ホモポリマーまたは前記共重合体は、クロロゲン酸類、前記クロロゲン酸類の誘導体、前記クロロゲン酸類の加水分解物質、前記クロロゲン酸類の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された物質からなることを特徴とする請求項1に記載の剛直ポリマー。
【請求項3】
前記ホモポリマーは、クロロゲン酸類、前記クロロゲン酸類の誘導体、前記クロロゲン酸類の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質のいずれか1種からなることを特徴とする請求項1に記載の剛直ポリマー。
【請求項4】
前記ホモポリマーは、カフェー酸またはコーヒー豆抽出物のいずれか1種からなることを特徴とする請求項3に記載の剛直ポリマー。
【請求項5】
前記共重合体は、クロロゲン酸類、前記クロロゲン酸類の誘導体、前記クロロゲン酸類の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質のいずれか1種と4-ヒドロキシ桂皮酸からなることを特徴とする請求項1に記載の剛直ポリマー。
【請求項6】
前記共重合体は、クロロゲン酸、カフェー酸、キナ酸またはコーヒー豆抽出物のいずれか1種と4-ヒドロキシ桂皮酸からなることを特徴とする請求項5に記載の剛直ポリマー。
【請求項7】
前記コーヒー豆抽出物は、ロブスター種のコーヒー豆から抽出して得られたものであることを特徴とする請求項6に記載の剛直ポリマー。
【請求項8】
前記共重合体は、クロロゲン酸類、前記クロロゲン酸類の誘導体または前記クロロゲン酸類の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質のいずれか1種とポリ乳酸からなることを特徴とする請求項1に記載の剛直ポリマー。
【請求項9】
前記共重合体は、クロロゲン酸、カフェー酸、キナ酸、4-ヒドロキシ桂皮酸またはコーヒー豆抽出物のいずれか1種とポリ乳酸からなることを特徴とする請求項8に記載の剛直ポリマー。
【請求項10】
前記ホモポリマーまたは共重合体は、反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ芳香環、脂環、2重結合もしくは3重結合のうち少なくとも1つの剛直な構造部位を有することを特徴とする請求項1に記載の剛直ポリマー。
【請求項11】
溶媒に溶解でき、薄膜や微粒子といった形状に形成可能であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の剛直ポリマー。
【請求項12】
生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質からなる剛直ポリマーの製造方法において、
反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質をアセチル化するアセチル化工程と、
前記アセチル化した前記生物由来剛直化合物、前記生物由来剛直化合物の誘導体、前記生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記加水分解物質の誘導体、またはバイオ資源から抽出された物質を所定の触媒の存在下でホモポリマー化させる工程とを含むことを特徴とする剛直ポリマーの製造方法。
【請求項13】
前記生物由来剛直化合物または前記加水分解物質は、クロロゲン酸、カフェー酸、キナ酸、またはコーヒー抽出物のいずれか1種であることを特徴とする請求項12に記載の剛直ポリマーの製造方法。
【請求項14】
第1の生物由来剛直化合物、前記第1の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第1の物質、および第2の生物由来剛直化合物、前記第2の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第2の物質とを共重合させる剛直ポリマーの製造方法において、
反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ第1の生物由来剛直化合物、前記第1の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第1の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第1の物質、および反応性官能基を2つ以上有し重合性を持つ第2の生物由来剛直化合物、前記第2の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第2の生物由来剛直化合物の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された第2の物質をそれぞれアセチル化するアセチル化工程と、
前記アセチル化した前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物、前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物の誘導体、前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質、前記第1もしくは第2の生物由来剛直化合物の加水分解物質の誘導体、もしくはバイオ資源から抽出された物質を所定の触媒の存在下で共重合反応させる共重合工程とを含むことを特徴とする剛直ポリマーの製造方法。
【請求項15】
前記第1の生物由来剛直化合物は、4-ヒドロキシ桂皮酸であり、前記第2の生物由来剛直化合物またはその加水分解物質は、クロロゲン酸、カフェー酸、キナ酸もしくはコーヒー抽出物のいずれか1種であることを特徴とする請求項14に記載の剛直ポリマーの製造方法。
【請求項16】
前記アセチル化工程において、無水酢酸・トリフルオロ酢酸を使用することを特徴とする請求項12または請求項14に記載の剛直ポリマーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−63316(P2006−63316A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173896(P2005−173896)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000244143)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】