説明

剣道具の乾燥消臭装置

【課題】オゾンを含有した温風を剣道具に均一に当てて剣道具をまんべんなく乾燥,消臭することができる剣道具の乾燥,消臭装置を提供する。
【解決手段】ボックス内にヒータと、このヒータで発生する温熱を撹拌するファンと、オゾン発生器とを内蔵し、ボックス内に汗などの悪臭成分を含む剣道具を収納するようにし、ヒータで発生する温熱およびオゾン発生器から発生するオゾンにより剣道具を乾燥させるとともに剣道具を消臭させるので、オゾンを含有した温風を剣道具に均一に当ててまんべんなく乾燥,消臭することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生器を備えた剣道具の乾燥消臭装置に関し、詳しくは装置に収容した剣道具をヒータを用いて乾燥し、オゾンを用いて消臭をする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンとヒータとを備えた乾燥機によって乾燥し、オゾン発生器によってオゾンを発生させて消臭する装置はあった。
特許文献1には、乾燥機本体と乾燥用マットとが可撓ダクトによって連結されたオゾン発生装置付乾燥機が記載されている。乾燥機本体にはヒータと送風装置とが設置され、可撓ダクトの上流側にはオゾン発生器が設けられている。オゾンを含んだ温風が可撓ダクトを介して乾燥用マット内部に供給されて、乾燥用マット内部に収容されたふとん等の被乾燥物が乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−123294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のオゾン発生装置付乾燥機では、乾燥用マットに収容されているふとん等は、乾燥用マットの内面に当接している部分には温風が当たらない。さらに乾燥用マット内に押し込まれた温風は撹拌されることがないので、ふとん等の被乾燥物に均一に温風を当てることができない。
【0005】
本発明の目的は、オゾンを含有した温風を剣道具に均一に当てて、剣道具をまんべんなく乾燥消臭することができる剣道具の乾燥消臭装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ボックス内にヒータと、このヒータで発生する温熱を撹拌するファンと、オゾン発生器とを内蔵し、ボックス内に汗などの悪臭成分を含む剣道具を収納するようにし、前記ヒータで発生する温熱およびオゾン発生器から発生するオゾンにより剣道具を乾燥させるとともに消臭させるものである。
請求項2に記載の発明は、ボックス内底面から浮かした高さ位置に金網が配設され、剣道具は前記金網上に載置されるものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、オゾン発生器から発生するオゾンを含有した温熱はファンによって撹拌されるので、オゾンを含有した温風を剣道具に均一に当てて剣道具をまんべんなく乾燥,消臭することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るオゾン発生装置付き乾燥機の斜視図である。
【図2】扉を開けた状態のオゾン発生装置付き乾燥機の斜視図である。
【図3】蓋板を開けた状態のオゾン発生装置付き乾燥機の斜視図である。
【図4】オゾン発生装置付き乾燥機の構成部品を示す斜視図である。
【図5】リミットスイッチの取り付け状態を示す斜視図である。
【図6】オゾン発生装置付き乾燥機の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1は本発明に係るオゾン発生装置付き乾燥機1の斜視図である。図2は扉10を開けた状態のオゾン発生装置付き乾燥機1の斜視図である。図3は蓋板12を開けた状態のオゾン発生装置付き乾燥機1の斜視図である。図4はオゾン発生装置付き乾燥機1の構成部品を示す斜視図である。図5はリミットスイッチ17の取り付け状態を示す斜視図である。図6はオゾン発生装置付き乾燥機1の回路図である。
【0010】
剣道具の乾燥消臭装置であるオゾン発生装置付き乾燥機1は、ハウジング2と、ハウジング2内に設置されるヒータ3と、ハウジング2内に設置されヒータ3が発生する温熱を撹拌する撹拌ファン4と、ハウジング2内に設置されオゾンを発生するオゾン発生器5と、ハウジング2内の温風をハウジング2の外部に排出する排気ファン6とを備える。
【0011】
ハウジング2は、たとえば木製の板材を用いて箱形に形成されるが、金属板を用いるもの、あるいは樹脂成型するものであっても良い。ハウジング2の前面には開口部7が形成され、ハウジング2内部であって開口部7の下方には金網8と9とが設置される。金網8の網目は金網9の網目よりも小さく形成されており、金網8と9とは、金網8の上に金網9が重ねられた状態でハウジング2の内側に支持される。開口部7には扉10が開閉自在に取り付けられる。剣道具は開口部7からハウジング2の内部に挿入され、金網8,9に載置される。剣道具としては、たとえば面およびこてが挙げられる。面およびこては家庭の洗濯機で洗濯することが難しく、汗や汚れが付着したまま洗濯しないで長時間使用されることが多いので、悪臭を発し易い。
【0012】
ハウジング2の上端は開口しており、開口部11には蓋板12が開閉自在に取り付けられている。ヒータ3は、蓋板12の裏面側に設置される。本実施の形態においては、ヒータ3として石英管ヒータが用いられる。オゾン発生器5と、撹拌ファン4と、排気ファン6とはハウジング2の底部に設置される。本実施形態においてはオゾン発生器5として、台湾フーフォング有限公司オゾナイザーFHV−DC12V−5が用いられ、ハウジング2の後面13底部に取り付けられる。撹拌ファン4はオゾン発生器5の近傍であって底面14の後側角部に設置される。ハウジング2の内側であって扉10の蝶番側近傍にはリミットスイッチ17が取り付けられる。リミットスイッチ17は扉10の開閉に伴って作動する。
【0013】
図6に基本回路構成を示す。まず、金網8,9に剣道具を載置するためにハウジング2の扉10を開けると、リミットスイッチ17がOFFとなる。リミットスイッチ17がOFFとなると、リミットスイッチ17に接続されたリレー18が無励磁となり、リレー接点19がOFFとなる。タイマー接点20はOFFとなり初期化される。
【0014】
剣道具を金網8,9に載置した後に扉10を閉じると、リミットスイッチ17がONとなり、これに接続されたリレー18が励磁されてリレー接点19がONとなる。タイマー21が通電されるとともに、撹拌ファンモータ22と排気ファンモータ23とが通電されて、撹拌ファン4と排気ファン6とが駆動される。ハウジング2底部には熱伝対24が設けられており、この熱伝対24と連結された温度調節器25がONとなりヒータ3が駆動される。さらに、パワーサプライ26で100Vから12Vに変換された12V電源27によってオゾン発生器5が駆動される。
【0015】
オゾン発生器5が発生するオゾンは、空気よりも比重が大きいためハウジング2の底部に沈降する。撹拌ファン4とハウジング2底面14との間には隙間が設けられており、撹拌ファン4は、この隙間からハウジング2の底部に沈降したオゾンを取り込み、オゾンを含有した上向きの温風を発生させる。これによって、オゾンを含有した温風はハウジング2内に供給される。
【0016】
排気ファン6は、底面14の前側角部に設置されており、排気ファン6と撹拌ファン4とは底面14において概ね対角線上に位置している。なお、排気ファン6の底面14側には、温風を排出するための図示しない排気口が設けられている。撹拌ファン4によって上方に送られた温風はハウジング2の内部を巡った後、排気ファン6によってハウジング2の底面14排気口から排出される。
【0017】
剣道具は、オゾン発生器5,撹拌ファン4および排気ファン6の上方に位置する金網8,9に載置されるので、剣道具の下面側を含んだ全面にオゾンを含有した温風が当てられる。これによって剣道具をまんべんなく効率良く乾燥,消臭されることができる。
【0018】
タイマー21の設定時間が経過すると、タイマー21がタイマー接点20をOFFにして、リレー接点19がOFFとなる。温度調節器25がOFFとなりヒータ3への通電が停止されるとともに、撹拌ファンモータ22および排気ファンモータ23への通電が停止され、撹拌ファン4と排気ファン6との駆動が停止される。さらに、パワーサプライ26への通電が止まり、オゾン発生器5が停止する。
【0019】
【表1】

本発明の第1の実施例を表1に示す。臭度測定は1月の下旬から2月に掛けて行った。まず剣道の稽古終了時(処理前)に剣道具の臭気を測定し、稽古終了から14時間経過後に剣道具をオゾン発生装置付き乾燥機1に収容し、乾燥,消臭を行った。乾燥,消臭は、ハウジング2内の温度を40℃に設定して4時間行った。乾燥,消臭が終了した時点(処理直後)でハウジング2から取り出し、臭気を測定した。さらに処理後2時間経過した時点(処理2時間後)で臭気を測定した。臭気測定具として、新コスモス電機製ニオイセンサXP−329111を用いた。なお、稽古が終了した直後から剣道具をオゾン発生装置付き乾燥機1に収容せず、14時間経過後に行ったのは、オゾン発生装置付き乾燥機1を無人の状態で夜中に稼働させることを避けて、翌朝から行ったためである。
【0020】
評価として、臭いが非常に良く取れており殆ど臭わないものをAとし、臭いがかなり良く取れているものをBとし、臭いが少し取れたものをCとし、臭いに殆ど変化がなかったものをDとし、臭いが強くなったものをEとした。9つのサンプルのうちの3つがA評価、6つがB評価という結果を得ており、C評価,D評価あるいはE評価のものはなかった。
【0021】
【表2】

本発明の第2の実施例を表2に示す。表2は、剣道具をオゾン発生装置付き乾燥機1に収容し、乾燥,消臭を行った剣道具について、JISL1902(繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果)に基づいた測定結果を示す。殺菌活性値が0以上の場合に抗菌,消臭効果が認められ、精菌活性値が2.2以上の場合に抗菌,消臭効果が認められるものである。
【0022】
黄色ぶどう球菌,肺炎かん球菌,MRSR,大腸菌および緑膿菌において、殺菌活性値については2.8以上の数値が得られ、精菌活性値については5.2以上の数値が得られており、明らかに抗菌,消臭効果があることが解かる。
【0023】
このように、ボックスであるハウジング2内にヒータ3と、このヒータ3で発生する温熱を撹拌する撹拌ファン4と、オゾン発生器5とを内蔵し、ハウジング2内に汗などの悪臭成分を含む剣道具を収納するようにし、ヒータ3で発生する温熱およびオゾン発生器5から発生するオゾンにより剣道具を乾燥させるとともに剣道具を消臭させるので、オゾンを含有した温風を剣道具に均一に当ててまんべんなく乾燥,消臭することができる。
【0024】
さらに、ハウジング2底面14から浮かした高さ位置に金網8,9が配設され、剣道具は金網8,9上に載置されるので、剣道具をさらにまんべんなく乾燥,消臭することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 オゾン発生装置付き乾燥機
2 ハウジング
3 ヒータ
4 撹拌ファン
5 オゾン発生器
6 排気ファン
7,11 開口部
8,9 金網
10 扉
12 蓋板
13 後面
14 底面
15 運転スイッチ
17 リミットスイッチ
18 リレー
19 リレー接点
20 タイマー接点
21 タイマー
22 撹拌ファンモータ
23 排気ファンモータ
24 熱伝対
25 温度調節器
26 パワーサプライ
27 12V電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス内にヒーターと、このヒーターで発生する温熱を撹拌するファンと、オゾン発生器とを内蔵し、ボックス内に汗などの悪臭成分を含む剣道具を収納するようにし、前記ヒーターで発生する温熱およびオゾン発生器から発生するオゾンにより剣道具を乾燥させるとともに消臭させるように構成したことを特徴とする剣道具の乾燥消臭装置。
【請求項2】
ボックス内底面から浮かした高さ位置に金網が配設され、剣道具は前記金網上に載置されることを特徴とする剣道具の乾燥消臭装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−39240(P2013−39240A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178167(P2011−178167)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(511200993)株式会社奥野精密工業 (1)
【Fターム(参考)】