説明

剥離可能なメカニカルファスナー装置

本発明が開示するのは、a.第1の雄帯紐の少なくとも一方の側(12)より突出した複数のフック状またはキノコ状素子(11)を有する第1の雄帯紐(1)と;b.ポリマー膜(21)と、ポリマー膜(21)に接合された紡糸結合式不織布(22)と、を含む積層材料(21、22)により形成された第2の部材(2)と;を含み、不織布層(22)が波形の断面形状を有する、剥離可能なメカニカルファスナー装置(1、2)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示するのは、2つの帯紐(strap)等の2つの素子を含み、合わせて押圧することで相互に係合させることができ、引き剥がす動作により剥離することができる、剥離可能なメカニカルファスナー装置である。
【0002】
以下に開示する装置は、例えば、衣料品や、幼児用おむつや尿漏れ防止パッド等の個人的衛生用品の分野に適用されている。
【背景技術】
【0003】
ファスナー装置は、当業界においてはVelcro(登録商標)やMicroplast(登録商標)といった商標名で利用可能であり、これは、相互に係合するための、全般的および/または実質的にフック状またはキノコ状の素子を担持する雄部材と、全般的および/または実質的にループ状の素子を担持する雌部材とを含む。
【0004】
雌帯紐は、特に、係合を容易にするための、特定の繊維配列をもつ不織布を支持膜に着設することにより形成されていることが、知られている。
【0005】
それにも関わらず、雌帯紐を、雄帯紐のフック素子を係合する方法として利用することには、難点がいくつかある。
【0006】
先行技術による、衣料品や、おむつや尿漏れ防止パッド等の個人的衛生用品は、衣料品または個人的衛生用品の所定の位置に、適切なサイズの支持の上に配置された雌材料を使用する必要があり、この配置は特定の製作段階で行われる。
【0007】
こうした側面は、最終製品の製作と、その関連コストにかなりの影響を与える。
【発明の開示】
【0008】
当方のシステムは、上記の問題となる側面を克服し、相当のコスト削減という要件を満足させるのに加えて、操作と使用の両方の点で柔軟性を与える。
【0009】
本発明の雌材料は、限定されておらず、また適用されてもいないが、本装置の支持・作用面を占め、これを成している。このような面を実際に形成しているのは、雌材料なのである。
【0010】
そのため、新規のファスナーシステムを以下に詳述することにしよう。これは、メカニカルな継合部分全体にわたって製品の一体性を保つのに、補強部分を必要としない。
【0011】
さらに、本発明の、上述のような雄材料を雌材料と直接係合すると、かなりの裂断耐性を与えるとともに、その固定効果を減じることなしにファスナー装置を何度も開閉する可能性をもたらすため、ファスナー装置は変わらない状態にとどまる。
【0012】
そうした訳で、本発明は、先行技術の問題点の少なくとも一部、特に上記で明確にした点を取除く、という目的を満足させる。
【0013】
本目的は、請求項1の特徴によるファスナー装置により、また請求項9の特徴による衣料品により、満足される。
【0014】
従属請求項の付加的な特徴により、さらなる利点が得られることもある。
【0015】
では、以下の添付の図面を参照しながら、本発明について説明してゆくことにしよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
添付図面を参照すると、剥離可能なメカニカルファスナー装置は、複数のフック状素子11が少なくとも一方の側12より突出している第1の雄帯紐を含む。
【0017】
フック状素子11は、従来の形態及びサイズを備えたものであってもよい。
【0018】
第2の部材2(雌帯紐)がさらに配され、これは、ポリマーベース膜21と、ポリマー膜21に着設される不織布層22、好ましくは紡糸結合式不織布、とを含む積層材料21、22である。
【0019】
不織布22とポリマーベース膜21とは、低温溶融および/または高温溶融の接着剤、ヒートシール、超音波をもちいて結合してもよい。
【0020】
不織布22と膜21とを結合する方法は従来の方法であるため、これ以上は説明しない。
【0021】
第2の帯紐の不織布22は、波形の断面形状を有するという特異な特性をもつ。
【0022】
望ましい実施形態では、この波形形状は、帯紐1の長手方向に直交して直線的に伸びている。
【0023】
この波形の断面形状は、例えば、本発明の出願人による米国6,499,640 B2に開示されているような装置を用いて得ることもできる。
【0024】
こうして、波形形状は雌部材に弾性を加えることで、製品にさらに良好な適用性を与え、さらに、掛着の係合を支援し、閉鎖効果を促進することにより、(特に衣料品及びおむつで)雄帯紐を剥がす力として働きがちな接線分力を相殺する。
【0025】
波形形状は、先端間のピッチが約1.8mm〜3.5mm、また谷の深さが1.7mm〜4.5mmであることが好ましい。
【0026】
第2の“帯紐”2の基本総重量は、26g/m〜50g/mであることが好ましい。
【0027】
第2の“帯紐”2の基本重量は、35g/m〜45g/mであることが、さらに好ましい。
【0028】
可能な実施形態では、積層材料は、D6701−01規格に基づく少なくとも500(g HO/m)/24hの水蒸気透過性と、ATICELCA MC 18−74及びTAPPI T 460 om−88規格に基づく100min/空気100 cc未満の通気性を有する。
【0029】
(第2の帯紐の)膜21は、本発明の出願人が欧州−B1,226,013で開示しているようなもの等、充填物を伴う、オレフィンベース材料か、あるいは本発明の出願人がWO−2005/051635で開示しているような、充填物を伴う、オレフィンベース材料またはエラストマーベース材料を有していてもよい。
【0030】
本解決策は、第2の部材に高度の弾性を与え、積層材料が裂断する危険を減じるため、特に興味深い。
【0031】
紡糸結合式不織布帯紐22は、伝統的な触媒またはメタロセン触媒により生成されるポリプロピレンにより形成してもよい。
【0032】
例えば、この不織布を、Innovene社が100−ZA25及び100−ZA35として現在販売しているポリプロピレンや、あるいはBASELL社がHP651S及びHM562Sとして現在販売しており、BREALIS社がHF420FB,HG420FB,HG455FB,HH420FB及びHH450FBとして最終的に販売しているポリプロピレンや、あるいは同様の特性をもつポリプロピレン(MFRsが25g/10分〜35g/10分で、融点が160°C〜165°Cのポリプロピレン・ホモポリマー)により生成してもよい。
【0033】
不織布の繊維の細さは、1.5〜2.5デニールであることが好ましい。
【0034】
(ポリマーベース膜21と波形不織布層22とを含む)上記の積層材料21、22を、衣料品や個人的衛生用品の形成材料として直接使ってもよい。
【0035】
例えば、幼児用おむつや尿漏れ防止パッドで、積層材料21、22により、吸収材料用の支持層を形成してもよい。
【0036】
この場合、製品表面が、雌部材の役割を果たし、雄帯紐1のフック状またはキノコ状素子11の係合のためのベースとして働くよう適応されるため、製品に使用する必要があるのは雄帯紐1のみである。
【0037】
この場合、積層材料が上記の通気性及び水蒸気透過性を備えているのであれば、言うまでもなく好ましい。
【0038】
衣料品または個人的衛生用品では、ポリマー膜21をエラストマーおよび/またはオレフィンの混合物で形成した支持構造を使用すると、ファスナー装置の調整が改善されるため、とりわけ好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ファスナー装置の雌面の横断面図である。
【図2】雌帯紐と係合される雄帯紐の拡大詳細図である。
【図3】雄側の帯紐状部材をともなうファスナー装置の斜視図で、これにおいて、雌部材は仕上がり品の支持層を成している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離可能なメカニカルファスナー装置であり、
a. 第1の雄帯紐の少なくとも一方の側(12)より突出した複数のフック状またはキノコ状素子(11)を有する前記第1の雄帯紐(1)と、
b. ポリマー膜(21)と、前記ポリマー膜(21)に結合された紡糸結合式不織布(22)と、を含む積層材料(21、22)により形成された第2の部材(2)と、
を含む装置において、
前記不織布層(22)が波形の断面形状を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記不織布(22)の前記波形形状の先端間のピッチが1.8mm〜3.5mmである、請求項1に記載の剥離可能なメカニカルファスナー装置。
【請求項3】
前記波形形状の谷の深さが1.7mm〜4.5mmである、請求項1または2に記載の剥離可能なメカニカルファスナー装置。
【請求項4】
前記不織布(22)の繊維の細さが1.5デニール〜2.5デニールである、請求項1、2、または3に記載の剥離可能なメカニカルファスナー装置。
【請求項5】
前記積層材料(21、22)の基本総重量が26g/m〜50g/mである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の剥離可能なメカニカルファスナー装置。
【請求項6】
前記不織布層(22)がポリプロピレンで形成されている、剥離可能なメカニカルファスナー装置。
【請求項7】
ASTM D6701−01規格に基づく少なくとも500(g HO/m)/24 hの水蒸気透過性と、ATICELCA MC 18−74及びTAPPI T 460 om−88規格に基づく100min/空気100 cc未満の通気性を有することを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ポリマー膜(21)が、充填物を伴う、エラストマーおよび/またはオレフィンの混合物により形成される、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の剥離可能なメカニカルファスナー装置。
【請求項9】
支持層の機能を有する積層材料(21、22)、を含み、特に幼児用おむつまたは尿漏れ防止パッドなどの、衣料品または個人的衛生用品であって、
前記層材料がポリマーベース膜(21)と波形の不織布層(22)とを含み、前記衣料品または個人的衛生用品が、複数のフック状またはキノコ状素子(11)が前記帯紐(1)の少なくとも一方の側より突出している少なくとも1つの帯紐(1)、により形成される、剥離可能なメカニカルファスナー装置、を含み、
前記帯紐(1)が、前記波形不織布層(22)と係合するよう適応されている、
衣料品または個人的衛生用品。
【請求項10】
前記不織布(22)の前記波形形状の先端間のピッチが1.8mm〜3.5mmである、請求項9に記載の衣料品または個人的衛生用品。
【請求項11】
前記波形形状の谷の深さが1.7mm〜4.5mmである、請求項9または10に記載の衣料品または個人的衛生用品。
【請求項12】
前記不織布(22)の繊維の細さが1.5デニール〜2.5デニールである、請求項9、10または11に記載の衣料品または個人的衛生用品。
【請求項13】
前記積層材料が、ASTM D6701−01規格に基づく少なくとも500(g HO/m)/24hの水蒸気透過性と、ATICELCA MC 18−74及びTAPPI T 460 om−88規格に基づく100min/空気100 cc未満の通気性を有する、請求項9〜12のうちのいずれか1項に記載の衣料品または個人的衛生用品。
【請求項14】
前記積層材料(21、22)の基本総重量が26g/m〜50g/mである、請求項9〜13のうちのいずれか1項に記載の衣料品または個人的衛生用品。
【請求項15】
前記ポリマーベース膜(21)が、充填物を伴う、オレフィンベース材料および/またはエラストマーベース材料である、請求項9〜14のうちのいずれか1項に記載の衣料品または個人的衛生用品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−540983(P2009−540983A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517013(P2009−517013)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005822
【国際公開番号】WO2008/003438
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508149917)
【Fターム(参考)】