説明

剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより液体を混合するための装置

剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための装置、並びにその装置のための構成要素が開示される。1つの実施形態では、装置は、キャビテーションチャンバの入り口(28)に隣接して位置するオリフィス構成要素(32)のような要素と共に、混合及び/又はキャビテーションチャンバ(26)を含む。装置は、オリフィス構成要素に相対する混合及び/又はキャビテーションチャンバ内部に配置されたブレード、例えばナイフ状のブレードを更に含んでもよい。そのような実施形態の1つのバージョンにおいて、装置は、定位置で洗浄されるよう構成されている。装置には、混合チャンバと流体連通している少なくとも1つの排液管(22C、30B)が設けられていてもよい。装置がブレードを備える場合、装置は可動のブレードホルダー(50)を更に含んでもよく、それにより、ブレードの先端とオリフィスの放出部との間の距離を変更することができる。この実施形態又は別の実施形態において、装置は拡大収縮可能であるように構成される。この実施形態又は別の実施形態では、装置には可動の注入器(42)が設けられ、それにより注入器の放出末端部とオリフィスとの間の距離を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための装置及び方法、並びにその装置のための構成要素を目的とする。
【背景技術】
【0002】
キャビテーションは、液体中に蒸気の泡を形成するプロセスを指す。これは、迅速に移動する固形物の使用を通じて(インペラとして)、流体力学的に、又は高周波数の音波によるなどの数々の方式で行うことができる。
【0003】
キャビテーションを生成するための装置及び方法は、米国特許第3,399,031号、同第4,675,194号、同第5,026,167号、同第5,492,654号、同第5,810,052号、同第5,837,272号、同第5,931,771号、同第5,937,906号、同第5,969,207号、同第5,971,601号、同第6,365,555 B1号、同第6,502,979 B1号、同第6,802,639 B2号、同第6,857,774 B2号、同第7,041,144 B2号、同第7,178,975 B2号、同第7,207,712 B2号、同第7,247,244 B2号、同第7,314,516 B2号、及び同第7,338,551 B2号に記載されている。流体力学キャビテーションを生成するための1つの特定の装置は、液体ホイッスルとして既知である。液体ホイッスルは、Emulsions−Theory and Practice,3rd Ed.,(Paul Becher,American Chemical Society and Oxford University Press,NY,NY,2001)と題された書籍のChapter 12「Techniques of Emulsification」に記載されている。液体ホイッスルの一例は、Stratford,CT,U.S.AのSonic Corp.により製造されているSONOLATOR(登録商標)高圧ホモジナイザーである。液体ホイッスルは、加圧下でオリフィスを通して内部にナイフ状のブレードを有するチャンバ内に液体を指向させる。液体はブレードに指向され、ブレードに対する液体の作用は、ブレードを可聴周波数又は超音波周波数で振動させる。流体力学キャビテーションは、オリフィス下流のチャンバ内の液体中で生成される。
【0004】
液体ホイッスルは長年にわたって使用されており、化学工業、パーソナルケア産業、医薬品産業、並びに食品及び飲料産業において、微細な、均一の、及び安定したエマルション、分散、及びブレンドを即座に作り出すために、単一又は多供給のインラインシステムとして使用されてきた。
【0005】
しかしながら、そのようなデバイスの改良が望ましい場合があることが見出された。詳細には、そのようなデバイスのいくつかは、特にそれらが食品、化粧品、及び医薬品等の微生物感受性を有する(微生物を増殖する傾向がある)製品の加工に使用される場合、より容易に洗浄可能である必要がある。例えば、SONOLATOR(登録商標)高圧ホモジナイザーは、「定置洗浄(clean-in-place)」モデルで入手することができるが、そのような特徴は、オリフィスに対するブレードの間隔を調整するための機構を有さない、非常に単純なモデルでのみ入手可能である。
【0006】
更に、これらのデバイスの少なくともいくつかは、いくつかの転換に関して拡大縮小可能(scalable)ではない。例えば、商業製品用の製造サイズ(production-size)ユニットに「スケールアップ」する前にパイロットサイズユニットが使用されるいくつかの場合において、製造サイズユニットにより製造された完成品の物理的特性(安定性、粘度、外観、及びミクロ構造等)は、同一の操作条件下であっても、パイロットサイズユニットで製造された製品の物理的特性とは非常に異なる場合がある。本明細書で使用されるとき、用語「操作条件」は、圧力低下、背圧、装置内に供給される液体構成成分の温度、及びブレードとオリフィスとの間の距離などの条件を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,399,031号
【特許文献2】米国特許第4,675,194号
【特許文献3】米国特許第5,026,167号
【特許文献4】米国特許第5,492,654号
【特許文献5】米国特許第5,810,052号
【特許文献6】米国特許第5,837,272号
【特許文献7】米国特許第5,931,771号
【特許文献8】米国特許第5,937,906号
【特許文献9】米国特許第5,969,207号
【特許文献10】米国特許第5,971,601号
【特許文献11】米国特許第6,365,555 B1号
【特許文献12】米国特許第6,502,979 B1号
【特許文献13】米国特許第6,802,639 B2号
【特許文献14】米国特許第6,857,774 B2号
【特許文献15】米国特許第7,041,144 B2号
【特許文献16】米国特許第7,178,975 B2号
【特許文献17】米国特許第7,207,712 B2号
【特許文献18】米国特許第7,247,244 B2号
【特許文献19】米国特許第7,314,516 B2号
【特許文献20】米国特許第7,338,551 B2号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Emulsions−Theory and Practice,3rd Ed.,(Paul Becher,American Chemical Society and Oxford University Press,NY,NY,2001)と題された書籍のChapter 12「Techniques of Emulsification」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための改善された装置及び方法、並びにこうした装置のための構成要素への探求が続いている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための装置及び方法、並びに装置のための構成要素を目的とする。本発明の多数の非限定的な実施形態が存在する。
【0011】
1つの非限定的な実施形態では、剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための装置が開示される。装置は、入り口、少なくとも1つの注入口、及び少なくとも1つの排出口を有する混合及び/又はキャビテーションチャンバ、並びに中に少なくとも1つのオリフィスを有し、混合及び/又はキャビテーションチャンバの入り口に隣接して位置する少なくとも1つの要素を含む。本実施形態の1つのタイプにおいて、装置は、定位置で洗浄されるように構成されている。装置には、例えば混合及び/又はキャビテーションチャンバと流体連通している少なくとも1つの排液管が設けられていてもよい。装置は、オリフィスを中に有する要素に相対して配置された少なくとも1つのブレードを混合及び/又はキャビテーションチャンバ内に更に備えてもよい。装置が少なくとも1つのブレードを備える場合、装置は可動のブレードホルダーを更に備えてもよく、それにより、ブレード(1つ又は複数)の先端と、オリフィスの放出部との間の距離を変更することができる。混合及び/又はキャビテーションチャンバ、ブレード、ブレードホルダー、及びオリフィス構成要素に対する改良も本明細書に記載される。
【0012】
これらの又は別の実施形態において、装置は拡大縮小可能であるよう構成されてもよい。そのような実施形態の1つのタイプでは、装置には可動の注入器が設けられ、それにより注入器の放出末端部と、少なくとも1つのオリフィスとの間の距離を調整することができる。本実施形態又は別の実施形態において、上流混合チャンバは、注入口の中心線にて測定された直径を有し、注入口の中心線から、上流混合チャンバが注入口の下流の位置において最初に狭まる地点までの測定された寸法は、注入口の中心線にて測定された上流混合チャンバの直径と等しいか又は約1.1倍大きい。
【0013】
流体中に剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するためのプロセスも、本明細書で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の「発明を実施するための形態」は、図面を鑑みることにより更に十分に理解されよう。
【図1】剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための装置の1つの実施形態の斜視図。
【図2】図1の線2−2に沿って取った、図1に示された装置の部分的に断片化した断面図。
【図3】先行技術による液体ホイッスルのオリフィス内への液体の流れの1つの可能な例を示す、計算流体力学モデルの数値解法。
【図4】本明細書に記載する装置の比較的小型のタイプのオリフィス内への液体の流れの1つの可能な例を示す、計算流体力学モデルの数値解法。
【図5】本明細書に記載する、より大型のタイプの装置のオリフィス内への液体の流れの1つの可能な例を示す、計算流体力学モデルの数値解法。
【図6】図1に示された装置中に使用するためのオリフィス構成要素の1つの実施形態の拡大斜視図。
【図7】図6の線7−7に沿って取った、図6に示された要素の断面図。
【図8】図1に示された装置で使用するためのブレードホルダー及びブレードの1つの実施形態の拡大斜視図。
【図9A】異なる形態を有するブレードの代替的実施形態の平面図。
【図9B】異なる形態を有するブレードの代替的実施形態の平面図。
【図10】ブレードホルダーの先導部分の代替的実施形態の正面図。
【図11】装置をフラッシュする方法の1つのタイプを示す概略図。
【図12】図11の線12−12に沿って取った、装置の断面図。
【0015】
図面に示される実施形態は、本質上例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明を限定することを意図するものではない。更に、図及び本発明の各特徴は、詳細な説明に照らし合わせれば、より明確になり理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための装置及び方法を目的とする。特定の実施形態では、剪断力を誘起するための装置及び方法の能力は、混合に有用であり得るだけでなく、液体中の固体粒子の分散のため及び固体粒子を離散させる際にも有用であり得ることを理解すべきである。特定の実施形態では、剪断力を誘起し及び/又はキャビテーションを生成するための装置及び方法の能力は、液滴及び/又は小胞の形成にも有用であり得る。
【0017】
図1及び2は、剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するための装置20の1つの非限定的な実施形態を示す。装置20は、長手方向軸Lを有してもよい。図2に示すように、装置20は、概して参照番号22で示される少なくとも1つの注入口と;予混合チャンバ(即ち「上流混合チャンバ」)24と;入り口28と、概して参照番号30で示される少なくとも1つの排出口とを含む混合チャンバ(即ち「下流混合チャンバ」)26と;中にオリフィス34を有するオリフィス構成要素32のような少なくとも1つの要素又は構造と、を備える。要素32は、下流混合チャンバ26の入り口28に隣接して(近傍に)位置している。装置20は、中にオリフィスを有する要素32に相対して下流混合チャンバ26内に配置されたナイフ状のブレード等の少なくとも1つのブレード40を更に備えてもよいが、必要ではない。
【0018】
装置20は、流体力学キャビテーション装置を備えてもよい。そのような装置の1つの例は、液体ホイッスルである。液体ホイッスルの商業的な1つの例は、Stratford,CT,U.S.AのSonic Corp.から入手可能なSONOLATOR(登録商標)高圧ホモジナイザーである。SONOLATOR(登録商標)高圧ホモジナイザーは、Cottellらに発行された米国特許第3,176,964号、及びD’Ursoに発行された米国特許第3,926,413号に記載されている。本明細書に記載する装置20は、現存する所定のデバイスに対して追加の特徴及び改良を含む。
【0019】
本装置20の構成要素は、注入器構成要素42、注入口ハウジング44、オリフィスハウジング(即ち「オリフィス支持構成要素」)46、オリフィス構成要素32、下流混合チャンバハウジング48、ブレードホルダー50、調節器支持体52、及びブレード40の先端とオリフィス34の放出部との間の距離を調節するための調節構成要素54を含んでもよい。下流混合チャンバ26内の圧力を変化させるために、下流混合チャンバ26の下流に位置する絞り弁(装置20の外部であってもよい)が存在することが望ましい場合もある。注入口ハウジング44、上流混合チャンバハウジング46、及び下流混合チャンバハウジング48は、任意の好適な形状を有してよい。好適な形状には、円筒形、楕円形又は他の好適な形の断面を有する形状を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの構成要素それぞれの形状は、同一でなくてもよい。1つの実施形態において、これらの構成要素は、一般に、実質的に円筒形の内側表面と略円筒形の外側表面とを有する円筒形要素を含む。
【0020】
これらの構成要素は、ステンレス鋼、AL6XN、ハステロイ(Hastalloy)、及びチタンを含むがこれらに限定されない、任意の好適な材料(1つ又は複数)から作製されることができる。少なくともブレード40及びオリフィス構成要素32の一部分は、より高い表面硬度、又はより高い硬度を有する材料から作製されることが望ましい場合がある。より高い表面硬度、又はより高い硬度を有する好適な材料は、2007年6月28日出願の米国仮特許出願第60/937,501号に記載されている。装置20の構成要素は、上述した材料の固体ブロックからの構成要素の機械加工を含むがこれに限定されない、任意の好適な方法で作製することができる。構成要素は、任意の好適な方法で接合又は結合することができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される用語「接合された」は、要素を他の要素に直接取付けることによって一方の要素が他方の要素に直接固定される構成、要素を中間体部材(単数又は複数)に取付け、次にそれを他の要素に取付けることによって、一方の要素が他方の要素に間接的に固定される構成、一方の要素が他方の要素によって保持される構成、及び一方の要素が他方の要素と一体である、即ち、一方の要素が他方の要素の一部である構成を含む。所定の実施形態において、本明細書に記載する構成要素の少なくともいくつかに、構成要素を一緒に接合するためのねじ、クランプ、又は押圧接続部が設けられることが望ましい場合がある。本明細書に記載する構成要素の1つ以上は、例えば、締結されること、ピンによって共に保持されること、又は別の構成要素内に嵌るように構成されることが可能である。
【0022】
説明を目的として、装置20(特にその内部)は、いくつかのゾーンを含むと考えることができる。これらはゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4、ゾーン5、ゾーン6及びゾーン7と指定される。ゾーン1は、装置20内に供給される2つ以上の液体流が接触する位置の前である上流混合チャンバ24の部分を含む。液体流の流れは、図2にて矢印で示される。ゾーン1は、流動調整ゾーンとして機能するチャネル部分と考えることができる。このチャネル部分は、上流末端部、下流末端部、及びチャネル部分を通る液体通路を画定する内部壁を有する。液体流は、径方向、接線方向、及び軸方向にて装置20内に供給され得る。ゾーン2は、液体流が互いに接触された後の、オリフィス34への入口の前に位置する上流混合チャンバ24の部分を含む。ゾーン3は、オリフィス34内のゾーンを含む。ゾーン4は、液体がオリフィス34を退出する箇所からブレード40の先導縁84(図8に示す)へ延びる領域内に位置するゾーンを含む。ゾーン5は、ブレード40を包囲するゾーン(即ち、ブレードの境界層)を含む。ゾーン5は、更に、(A)境界層分離ゾーン、及び(B)再循環ゾーンに再分割することができる。ゾーン6は、オリフィス下流のゾーン5の外部の混合チャンバ26の内部の残りの部分を含む。ゾーン7は、概して30で示す放出口を含む。
【0023】
装置20は少なくとも1つの注入口(即ち「注入口導管」)22を含み、一般に、注入口22A、22B及び22C等の2つ以上の注入口を含むため、装置20内に1つを超える材料を供給することができる。装置20は、任意の好適な数の注入口(例えば、1、2、3、4、5、...、等)を含むことができ、それ故、装置20内にそのような数のいずれかの異なる材料を供給することができる。装置20は、少なくとも1つの排液管、又は注入口及び排液管の両方の役割を果たす少なくとも1つの二重目的の二方向流れ導管も含み得る。注入口と任意の排液管は、装置20の残りの部分に対して、任意の好適な配向で配置されてもよい。注入口と任意の排液管は、例えば装置20の残りの部分に対して、軸方向、径方向、又は接線方向に配向されてもよい。注入口と任意の排液管は、装置20の長手方向軸に対して、任意の好適な角度を形成してもよい。注入口と任意の排液管は、装置の側部上に配置されてもよい。注入口と任意の排液管が装置の側部上に配置される場合、それらは装置の残りの部分に対して、任意の好適な配向にあってもよい。任意の排液管は、装置20の重力底部上に配置され、かつ排液管から下方に真っ直ぐ延びる少なくとも1つの初期部分(initial section)を有することが望ましい場合がある。装置20のフラッシュを容易にするために、少なくとも1つの注入口が、排液管に対して、180度の角度で配向されることも望ましい場合がある。
【0024】
図2に示す実施形態において、装置20は、注入器構成要素42の形態の1つの注入口22Aを備え、この注入口22Aは、装置の残りの部分に対して軸方向に配向されている。注入器構成要素42は、第1の材料のための注入口を含む。注入器構成要素42は、上流末端部42Aと下流末端部42Bとを有する。
【0025】
第1の材料は、任意の好適な流体を含んでもよい。流体は、任意の好適な液体又は気体を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体が2つ以上の異なる相、即ち多相を含むことが望ましい場合がある。異なる相は、1つ以上の液相、気相、又は固相を含むことができる。液体の場合には、液体がキャビテーションのために十分な溶解気体を含有することが望ましいことが多い。好適な液体には、水、油、溶媒、液化ガス、スラリー、及び室温では通常固体である溶融材料が挙げられるが、これらに限定されない。溶融固体材料には、ワックス、有機材料、無機材料、ポリマー、脂肪族アルコール、及び脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。第1の材料は、例えば油又は水性材料を含んでもよい。第1の材料は、加熱されても加熱されなくてもよい。装置20の使用プロセスの1つの実施形態において、第1の材料は、加熱された油を含む。
【0026】
流体(単数又は複数)は、中に固体粒子を有することもできる。粒子は、TiO2、ビスマス含有材料、ZnO、CaCO3、Na2SO4、及びNa2CO3が挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な材料を含むことができる。粒子は、巨視的粒子及びナノ粒子を含む、任意の好適なサイズであることができる。ある場合には、これらの固体粒子のうちの少なくともいくつかは非晶質であってもよい。ある場合には、これらの固体粒子のうちの少なくともいくつかは結晶性であってもよい。ある場合には、これらの固体粒子のうちの少なくともいくつかは研磨剤であってもよい。これらの粒子は、液体中に任意の好適な量で存在してもよい。好適な量は、約0.001重量%〜約65重量%又はそれを超えるもの、あるいは約0.01重量%〜40重量%、あるいは約0.1重量%〜約10重量%、あるいは約0.5重量%〜約4重量%が挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な範囲内に入り得る。
【0027】
装置20は、第2の注入口22Bも備える。第2の注入口22Bは、第1の材料の追加の流れを装置内に導入するのに使用されてもよいし、又は第2の材料を装置内に導入するのに使用されてもよい。第2の材料が装置内に供給される場合、第2の材料は、第1の材料と併せて記載された一般的な種類の任意の材料を含み得る。第2の材料は更に、加熱されても加熱されなくてもよい。装置20の使用プロセスの1つの実施形態において、第2の材料は、加熱されていない水性材料を含む。材料は、ポンプ及びポンプに電力を供給するモーターの使用が挙げられるがこれに限定されない任意の好適な方式によって、装置20に供給され得る。ポンプは、所望の圧力下で材料を装置20に供給することができる。
【0028】
図2に示す実施形態において、装置20は、少なくとも1つの排液管、又は注入口及び排液管の両方の役割を果たし得る二重目的の二方向流れ導管22Cを更に備える。本実施形態では、第2の注入口22B、注入口/排液管の組み合わせ22C、及び注入器構成要素42は高圧接続部を含んでもよく、それにより材料は高圧ポンプ等により高圧下で装置20内に供給されることができる。注入口22A、22B及び22Cは、例えば約0.7〜68.9MPa(100〜10,000psi(約7〜700bar))以上、あるいは約1.4〜34.5MPa(200〜5,000psi(約15〜350bar))の圧力下で液体を操作できる接続部を含んでもよい。この実施形態では、第2の注入口22B及び注入口/排液管の組み合わせ22Cは相対する形態で配置され、それぞれ装置20の重力頂部及び重力底部上に位置している。これは、装置の洗浄時、装置20のより高い排液能力を提供する。
【0029】
装置20には、装置を先行技術による所定の液体ホイッスルと比較して、装置20をより「拡大収縮可能」とする1つ以上の特徴が提供されていてもよい。本明細書で使用されるとき、用語「拡大収縮可能」とは、その器具の使用により実質的に同一の加工条件及び結果を提供し、それによりプロセスを少なくとも1つのサイズユニットから他のサイズユニットにスケールアップできる器具を指す。「スケールアップ」とは、構造の完成後、妥当な期間で、同一(高品質)の製品を製造する目的で、より小さいスケールのプロセスから得られたデータを使用する、製造プロセスの構築に対する方法論的アプローチである。スケールアップは、実験室ベンチトップ(lab bench-top)からパイロットプラントスケールへ、パイロットプラントから「準工場(semi-works)」(又は小生産ユニット)サイズへ、及び「準工場」サイズから大きな全国規模の製造システムへ行うことができる。スケールアップ研究の作業は、異なるスケールの間で同様の操作及び製品が生じる可能性が非常に高いことを理解する程度までの、プロセス中に起こる基本的な転換の分析である。一般に、異なるサイズのユニットの間のスケールアップは、最大流動率が2〜15の任意の数の倍数、あるいは5〜15、例えば10の倍数で異なるユニットの間で実行される。本明細書で使用されるとき、「転換」は、材料(1つ又は複数)の1つの形態から他の形態への変換(物理的、化学的、熱力学的、生物学的、又はそれらの組み合わせ)である。化学的、機械的、及びパッケージ化プロセスにおける転換の例は、乳化、水和、結晶化、接着、切削等を含む。
【0030】
一般に、本明細書に記載する種類の装置のスケールは、装置を通して加工できる液体の量の観点から記載することができる。そのような装置は、例えば3〜15L/分で加工可能なパイロットスケールユニットから準工場、又は30〜200L/分で加工可能な小フルスケール製造ユニットから300〜1,500L/分で加工可能な大フルスケール製造ユニットのサイズにわたり得る。これらの流動率の範囲は、重複しても又は重複しなくてもよい。いくつかの実施形態において、各サイズの装置内で時間及び空間領域において実質的に同一の加工条件を提供する異なるサイズ/スケールの一組の2つ以上の装置を提供することが望ましい場合があり、ここで装置は拡大縮小可能である。そのような加工条件としては、実質的に同一の、上流混合チャンバ内の液体の質量加重(mass weighted)滞留時間及び/又は滞留時間分布、オリフィス内に流れる流体の速度、異なるゾーンそれぞれでの、特にオリフィスの開口部にわたる材料の分布、下流混合チャンバ内の液体の質量加重滞留時間及び/又は滞留時間分布、並びに局所乱流散逸率(local turbulent dissipation rate)が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、これらの加工条件は、各装置に関して加工される特定の組成物若しくは配合物のそれぞれの設計において、又は「中心線」流動率において比較されるであろう。即ち、組成物が1つのスケールの装置上で作製される場合、組成物は一般に、その組成物が所望の性質を有するように所定の流動率で作製されるであろう。異なるサイズ/スケールの第2の装置上で実質的に同一の組成物を作製するために、より高い又は低い中心線流動率が選択されて、第2の装置が操作されるであろう。中心線流動率は、加工される組成物の所望の特性に依存し得ることが理解される。
【0031】
「実質的に同一の」加工条件とは、乱流散逸率を除く前述した加工条件の少なくともいくつかが、1サイズ/スケール小さいか又は大きい装置の約75%〜125%の範囲内にあることを意味する。乱流散逸率に関して、「実質的に同一の」加工条件は、互いに10の倍数(即ち10倍)以内にある乱流散逸率を指す。乱流散逸率は、ゾーン3、4、5及び6内で測定することができる。いくつかの実施形態において、乱流散逸率は互いに5の倍数以内であると指定されてもよい。本パラグラフに記載される加工条件は、流体力学(CFD)を使用して計算され、より詳細には、Lebanon,NH,U.S.A.のFluent,Inc.(ANSYS,Inc.の系列会社)から入手可能なComputational Fluentソフトウェアを使用して計算される。
【0032】
1つの実施形態において、ゾーン1は、より拡大収縮可能な装置20を提供するように細長くてもよい。ゾーン1内の上流混合チャンバ24の第2の注入口22Bの部分は、直径Dを有する。注入口の中心線で測定した上流混合チャンバ24の直径Dの、注入口の直径dに対する比は、2より大きいことが望ましい場合がある。本明細書においてゾーン1が「細長い」と記載される場合、これは注入口22Bの中心線CLから、注入口22の下流の位置において上流混合チャンバ24が最初に狭まる地点まで測定された寸法Eが、約1.1D以上であることを指す。特定の理論により束縛されるものではないが、これらの関係により、注入口22Bから入る液体の流れが、装置20内の更に下流で加速されるのに先だって減速され、略軸対称の形態(例えば、図示する実施形態では略円筒形)に形成されると思われる。これにより、オリフィス34内に流入する液体の状態全体の制御が維持されるであろう。任意の特定の理論により束縛されるものではないが、異なるサイズ/スケールの装置内で液体の流れがより軸対称である場合、この装置は拡大縮小可能度がより高いであろうと思われる。流れの対称性等の液体の流れの特性が、異なるサイズ/スケールの装置の間で有意に変化する場合、そのようなデバイスを、実質的に拡大縮小可能とすることは困難であろう。
【0033】
そのような実施形態のいくつかのタイプにおいて、注入器構成要素42は、ゾーン1内の液体の滞留時間及び/又は滞留時間分布を変化させるよう再構成可能/調整可能である。注入器構成要素42は、例えば代替可能/交換可能であってもよく、又は可動であってもよい(例えば、内部及び/若しくは外部に移動するためのねじ機構が設けられるか、又は摺動可能であってもよい)。再構成可能/調整可能な注入器構成要素42を提供することにより、ゾーン1内の液体の滞留時間及び/又は滞留時間分布を、異なるスケールの装置間で一致させるように調整することが可能となり得る。
【0034】
上流混合チャンバ24は、上流末端部24A、下流末端部24B、及び内部壁24Cを有する。所定の実施形態において、上流混合チャンバ24の少なくとも一部に、ゾーン1内で(注入器42の下流末端部の42Bの位置の前で)テーパが付けられた初期は軸方向に対称である収縮ゾーン24Dが設けられて、上流混合チャンバ24のサイズ(例えば、直径)が、オリフィス34が接近するにつれて上流混合チャンバ24の下流末端部24Bに向かってより小さくなることが更に望ましい場合がある。上流混合チャンバ24の部分24Dにテーパが付けられている場合のいくつかにおいて、上流混合チャンバ24の壁のテーパ部分は、互いに関連して約11°以上かつ約135°未満の夾角Aを形成し得る。夾角Aは、例えば約90°以下であってもよい。これもまた、オリフィス34内に軸対称形態で流入する液体流を形成するのを補助し得る。
【0035】
図4及び5は、2つの異なるサイズ/スケールの装置内で実質的に軸対称形態でオリフィス34内に流入する液体流を示す。図4は、本明細書に記載する装置の比較的小型のタイプのオリフィス内への液体の流れの1つの可能な例を示す、計算流体力学モデルの数値解法である。図5は、本明細書に記載する装置のより大型のタイプのオリフィス内への液体の流れの1つの可能な例を示す、計算流体力学モデルの数値解法である。
【0036】
これは、図3に示した先行技術によるデバイスと対比することができる。先行技術によるデバイスでは、注入口Iの直径が、上流混合チャンバの直径以上である。その結果、先行技術によるデバイスでは、注入口Iを通って上流混合チャンバ内に流入する液体の速度は、液体が上流混合チャンバ内に入る際に維持される(遅くなる又は「調整される」代わりに)であろう。この液体流が上流混合チャンバ内を流れる液体流に直角で入る場合、上流混合チャンバ内を流れる液体流の勢いが突然変化するであろう。このことは、注入口Iから来る液体流を上流混合チャンバの壁から離すように逸らす傾向を有し、一緒になった液体流の方向の変化を生じさせるであろう。それ故、図3に示すように、オリフィス34’内に流入する液体流は、軸対称ではない。先行技術によるこのデバイスは、オリフィス34内に流入する液体流の様々な部分に、均一ではない混合物が形成される欠点を有する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する装置20は、装置20の洗浄が容易であるように、オリフィス34内への液体通路内に液体バッフル又は案内羽根(turning vane)を実質的に有さないことが望ましい。代替的な実施形態では、バッフル又は案内羽根を使用して軸対称の流れを作り出すが、これは装置の洗浄をより困難にするであろう。
【0038】
ゾーン3は、オリフィス34におけるゾーンを含む。オリフィス34を中に有する要素32は、任意の好適な構成であることができる。いくつかの実施形態において、オリフィス34を中に有する要素32は、単一の構成要素を含んでもよい。別の実施形態では、オリフィス34を中に有する要素32は、オリフィス構成要素システムの1つ以上の構成要素を含むことができる。図6及び7に、オリフィス構成要素32システムの非限定的な1つの実施形態をより詳細に示す。
【0039】
図6及び7に示す実施形態において、オリフィス構成要素32システムは、オリフィス構成要素ハウジング(即ち「オリフィスケーシング」)66、ノズルバッキング68、オリフィス挿入物70、及びノズル72を含む。これらの構成要素をより詳細に見ると、オリフィス構成要素ハウジング66は、側壁と、開かれた上流末端部66Aと、実質的に閉鎖された(オリフィス34の開口部を除いて)下流末端部66Bとを有する略円筒形の構成要素である。オリフィス構成要素ハウジング66は、その上流末端部66Aに隣接してフランジ67を含む。ノズルバッキング68は、ノズル72及びオリフィス挿入物70に隣接してオリフィス構成要素ハウジング66内に嵌るような大きさ及び構成にされて、ノズル及びオリフィス挿入物70をオリフィス構成要素ハウジング内の定位置に保持する。ノズルバッキング68は、ノズルバッキング、上流末端部、及び下流末端部を通る通路を画定する内部壁を有する。オリフィス挿入物70は、オリフィス構成要素ハウジング66の下流末端部66Bに隣接してオリフィス構成要素ハウジング66内に嵌る円筒形の環を含む。ノズル72は、略円筒形の外部壁と、該ノズルの中心を通る通路74と、を有する別個の構成要素を含む。通路74は、ノズル72の上流末端部72Aにて拡大開口部74Aを形成し、ノズル72の下流末端部72Bに接近するにつれて丸みを帯びた表面74Bを形成するようにテーパが付けられた側壁を有する。通路74は、該通路の下流末端部74Bにてオリフィス34内に開いている。オリフィス構成要素システム32の構成要素は、実質的に連続する内側表面を有する壁により画定されたチャネル76を形成する。その結果、オリフィス構成要素システム32は、構成要素の間のすきまが、もし存在したとしても殆ど存在せず、先行デバイスよりも洗浄が容易であり得る。隣接する構成要素の間のいずれの接合部も、電気研磨又はラップ仕上げ等の機械的なシーム技術により高度に機械加工されることができ、それにより、液体は、高圧下でもそれらの構成要素の間の継ぎ目に入ることができない。
【0040】
更に、図6及び7に示すように、オリフィス構成要素32は、幅(即ち直径)と等価な又は幅よりも大きい長さを有し得る(フランジ67の下流末端部(即ち、フランジ67末端部)とオリフィス構成要素ハウジングの下流末端部66Bとの間で測定して)。(そのような実施形態において、オリフィス構成要素システム32は、該システムの外側部分に比較的大きい接触表面を提供し、装置内でオリフィス構成要素32をより正確に整合させる(平らな、板様のオリフィス構成要素を有する先行デバイスと比較して)。オリフィス構成要素32システムの構成要素に関しては、多数の他の形態も可能である。
【0041】
オリフィス構成要素32システム及びその構成要素は、任意の好適な材料(1つ又は複数)から作製されることができる。好適な材料には、これらに限定されないが、ステンレス鋼、工具鋼、チタン、焼結炭化タングステン、ダイヤモンド(例えば、バルクダイヤモンド)(天然及び人工)、及びダイヤモンドコーティングされた材料(ただしこれに限定されない)を含む上記材料のいずれかによるコーティングが挙げられる。挿入物70及び/又はノズル72は、オリフィス構成要素システム32を含む構造体の他の部分又は構成要素よりも硬質の材料から作製されることができる。挿入物70及びノズル構成要素は、オリフィス構成要素システム32の他のより大きい部分又は構成要素が、より硬度の低い、より安価な材料で、又は硬質の裏当て(lining)を含む材料を使用することなく、作製されることができるように、使用される。
【0042】
図6及び7に示す実施形態では、少なくともノズル72は、液体及び/又は他の材料がオリフィス34を通して吹き付けられるときに最大の力を受けるオリフィス構成要素システム32の部分であるため、約20GPa以上のビッカース硬度を有する材料から作製されることが望ましい場合がある。約20GPa以上のビッカース硬度を有する様々な材料が、2007年6月28日出願の米国仮特許出願第60/937,501号に記載されている。
【0043】
オリフィス構成要素システム32、及びその構成要素は、任意の好適な方法にて形成することができる。オリフィス構成要素システム32の構成要素のいずれかは、バルク形態で入手可能である上記の材料の固体片から形成されることができる。構成要素はまた、上記指定の1つ以上の異なる材料でその表面の少なくとも一部分にわたってコーティングされている、上記指定の材料のうちの1つの固体片から形成されてもよい。上記したように、図に示すオリフィス構成要素システム32の構成要素は、1つを超える部品から形成されている。図に示す実施形態の1つのタイプでは、ノズル72は合成バルクダイヤモンドから作製される。オリフィス34は、レーザー若しくは熱ワイヤダイヤモンドカッター、又はダイヤモンドベースの切削工具を使用して切削することにより、ノズル72内に提供される。ノズル72は、場合により、ダイヤモンドダストを使用して研磨される。オリフィス挿入物70は、炭化タングステンから作製される。ハウジング66及びノズルバッキング68を含むオリフィス構成要素システム32のその他の部分は、ステンレス鋼から作製される。
【0044】
別の実施形態において、中にオリフィス34を含む要素32は、図6及び7に示すオリフィス構成要素システムの形態のような任意の好適な形態を有する単一の構成要素を含んでもよい。そのような単一の構成要素は、ステンレス鋼を含むがこれに限定されない任意の好適な材料から作製されてもよい。別の実施形態では、上述したオリフィス構成要素システム32の2つ以上の構成要素が、単一の構成要素として形成されてもよい。なお別の実施形態では、上述したオリフィス構成要素システム32の1つ以上の構成要素により提供される機能(テーパ部分24Dにより提供される機能など)は、オリフィス構成要素システム32の一部ではない別個の構成要素により実行されてもよい。
【0045】
オリフィス34は、単独で又は何らかの他の構成要素との組み合わせのいずれかにより、流体を混合する、並びに/あるいは流体(単数又は複数)若しくは流体の混合物の中に剪断力及び/又はキャビテーションを生成するように構成される。オリフィス34は、任意の好適な構成であることができる。好適な構成には、スロット形、眼形、猫目形、楕円形、三角形、正方形、矩形、任意の他の多角形の形状、又は円形が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、オリフィスの幅Wがオリフィスの高さを超えることは望ましい場合がある。そのような実施形態では、オリフィス34は、液体を噴霧物の平らなリボンの形態で噴流にて長手方向に吹き付けることができる。オリフィス34の幅は、オリフィスの高さの1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、...、2.5、3、3.5倍...等、100倍まで又はそれを超える倍数が挙げられるがこれらに限定されない任意の倍数であってよい。オリフィス34は、約2.54cm(1インチ)まで、又はそれを超えるものが挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な幅であってよい。オリフィス34は、約1.3cm(約0.5インチ)まで、又はそれを超えるものが挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な高さを有することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、異なるサイズのオリフィス及び/又は装置の間でオリフィス34の形状を一致させて、装置20の操作中、オリフィス34の開口部にわたって実質的に同一の材料(即ち「種」)の分布を提供してもよい。これは、オリフィス34の面積に対するオリフィス34の周囲の比を実質的に同一に維持することにより行われることができる。所定の実施形態では、2つの異なるサイズ/スケールの装置におけるオリフィス34の開口部にわたる材料の分布の平均及び標準偏差は、互いの少なくとも20%以内であることが望ましい。このことは、スケールアップに必要な物理的パラメータ(オリフィスの周囲及び幾何学的形状を含むがこれらに限定されない)の一貫性を維持する一方で、異なるサイズのオリフィス及び/又は装置上で実質的に同一の転換を実行することを可能にする。
【0047】
場合によっては、装置20は、ブレード40を含んでもよい。例えば、ブレードが存在しない場合より小さい平均液滴直径を有するエマルションを形成するために装置20を使用することが所望される場合には、ブレード40が使用されてもよい。図2に示すように、ゾーン4は、液体がオリフィス34を退出する箇所からブレード40の先導縁84へ延びる領域内に位置するゾーンを含む。ゾーン5は、ブレード40の周囲の境界層を含む。
【0048】
図8に示すように、ブレード40は、先導縁(即ち「先端」)84を含む前方部分82、及び追従縁88を含む後方部分86を有する。ブレード40はまた、上面90、下面92、及び上面と下面との間で測定される厚さTを有する。更に、ブレード40は、一対の側方縁94、及び側方縁の間で測定される幅WBを有する。
【0049】
ブレード40は、任意の好適な構成を有することができる。図8に示されるように、ブレード40は、ブレードの厚さTが、先導縁と追従縁との間の距離の一部分に沿って先導縁84から追従縁88に向かう方向に先導縁84から増加する、テーパ部分96を含むことができる。図8に示されるブレード40は、その先導縁84を形成する単一のテーパが付けられた又は尖った縁部を有する。ブレード40の先導縁84は尖っていてもよいが、別の実施形態では尖っている必要はない。別の実施形態では、ブレード40は2つ、3つ、4つ又はそれ以上のテーパが付けられた又は尖った縁部を有してもよく、それにより任意の尖った縁部がブレード40の先導縁84を形成するよう配向されて、ブレード40を装置20内に挿入することができることを理解するべきである。これは、ブレードを修理又は交換することが必要になるまでのブレードの耐用年数を増やすことになる。更に、図8に示すように、ブレード40の前方角部80を切り取り、又は別様に鈍らせ若しくは切り欠いてもよく、それによりブレード40の角部の異なる縁部(例えば、縁部84及び94)により形成される角度が90°を超える。
【0050】
図9A及び9Bは、ブレード40が多数の他の形態を有し得ることを示す。図9A及び9Bに示すように、ブレードの先導縁84は、上方から見た際、直線状セグメント、曲線状セグメント、又はそれらの組み合わせからなることができる。図9Aは、凸状の曲線状先導縁84を含むブレード40の代替的な実施形態を示す。図9Bは、直線状セグメントを含む先導縁84を含むブレード40の代替的な実施形態を示す。
【0051】
ブレード40は、任意の好適な寸法を有することができる。特定の実施形態では、ブレード40は、長さ1mm及び厚さ7マイクロメートルほどの小さいサイズから長さ50cm及び厚さ100mmを超える大きいサイズまでの範囲であり得る。小さいブレードの1つの非限定的な例は、長さ約5mm及び厚さ0.2mmである。より大きいブレードの非限定的な例は、長さ100mm及び厚さ100mmである。
【0052】
図8に示されるように、ブレード40が装置の中に挿入されると、ブレード40の後方部分86の一部分はクランプ固定されるか、ないしは別の方法で、その部分が固定されるように装置内部に接合される。ブレード40は、それが装置内部に接合されることができるように、任意の好適な方式で構成され得る。図8に示すように、1つの非限定的な実施形態において、ブレードの後方部分86は、穴98を通過する要素を受容するための少なくとも1つの穴98を中に有する。この穴98及び要素は、装置内部の定位置にブレード40を維持するのに使用される機構の少なくとも一部としての機能を果たす。ブレード40はまた、金属又は他の好適な材料から構成され得るホルダー50に接合されることができる。ブレード40の前方部分82を含むブレード40の残りの部分は自由であり、固定された部分に対して片持ちになっている。
【0053】
ブレード40は、任意の好適な材料(単数又は複数)を含むことができる。ブレード40は、加工される流体と化学的に適合する材料(1つ又は複数)を含むことが望ましい。(同一のことが、オリフィス構成要素システム32の構成要素にも望ましい場合がある。)ブレード40が次の条件:低いpH(約5未満のpH)、高いpH(約9を超えるpH)、塩(クロライドイオン)、及び酸化のうちの1つ以上に対して化学的に耐性がある材料から少なくとも部分的に構成されることが望ましい場合がある。
【0054】
ブレード40に好適な材料には、オリフィス構成要素システム32及びその構成要素で使用するのに好適であるとして本明細書で記載される任意の材料(単数又は複数)が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、本明細書で指定された材料が所望の耐化学性のすべてを必ずしも有さないことを理解すべきである。
【0055】
ブレード40全体が、ステンレス鋼又はダイヤモンド等の上記の材料のうちの1つからなってもよい。あるいは、ブレード40の一部分が、オリフィス構成要素システム32で使用するのに好適であるとして本明細書で記載される材料のうちの1つを含んでもよく、またブレード40の別の部分(又は複数の部分)が、これらの材料のうちの異なる1つを含んでもよい。例えば、ある場合によっては、テーパ部分96のようなブレード40の一部分が、ブレード40の残りの部分より硬質の材料(ダイヤモンド等)を含むことは望ましい場合がある。これは、テーパ部分96は、ブレード40の先導縁84を形成し、使用中に最大の磨耗を受けるブレードの部分となるため、望ましい場合がある。ブレード40の残りの部分(ブレードの先導縁以外)は、例えば次の性質:テーパ部分96より硬質でない、より高価でない、より延性である、又はより脆性でないという性質のうちの1つ以上を有する材料などの、いくつかの他の材料から構成され得る。
【0056】
ブレード40、又はその様々な部分は、任意の好適な硬度を有してよい。1つの非限定的な実施形態では、ブレードの少なくともテーパ部分96は、約20GPa以上のビッカース硬度を有する材料から形成される。こうした実施形態では、ブレード40の残りの部分は、20GPa未満のビッカース硬度を有する材料を含むことができる。例えば、ブレード40のテーパ部分96の少なくとも一部はダイヤモンドの挿入物102(ブレードの先導縁84の中心内など)を含んでもよく、ブレードの残りの部分は、ステンレス鋼から形成されてもよい。そのような挿入物は、任意の好適な方法で、例えば挿入物をブレードの残りの部分に接着させること、又は挿入物をブレードの残りの部分上に熱収縮させることにより、ブレードの残りの部分に接合されてもよい。あるいは、ブレード40のテーパ部分96にダイヤモンドコーティングを設けてもよく、ブレードの残りの部分は、ステンレス鋼から形成されてもよい。
【0057】
ブレードを形成する方法のいくつかの非限定的な例が可能である。ブレード40は、バルクダイヤモンド材料などのバルク材料を含むことができる。こうした材料は、コバルト、ニッケル、又は鉄のような結合要素の存在下で、ダイヤモンドダストから合成ダイヤモンドを形成するプレスを使用する高圧及び高温焼結によるなど、任意の好適な手段によって形成されることができる。別の実施形態では、ブレード40は、コーティングされた複合体構造を形成すること、又は材料の層をコーティングして最終的なブレード構造を形成若しくは構築することにより、形成することができる。同一の技術を使用して、オリフィス構成要素システム32の構成要素を形成することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なるサイズ/スケールの混合デバイス(パイロットスケールユニット及び商業的スケールユニット等)において、ブレード40の先端84とオリフィス34の放出部との間の距離を実質的に同一に維持し、ゾーン4(液体がオリフィス34を退出してブレードの先導縁84に至る領域)及びゾーン5(ブレードの周囲の境界層)内で圧力場分布及び乱流エネルギー散逸を実質的に同一に維持することが望ましい。これらの実施形態のいくつかにおいて、全てのサイズ/スケールの混合デバイスにわたり、ブレードの先端とオリフィスの放出部との間の距離を同一に維持し、ゾーン4及び5内で圧力場分布及び乱流エネルギー散逸を実質的に同一に維持することが望ましい。このことは、異なるサイズ/スケールの装置の間でのスケールアップの能力を向上させることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ブレード40(ゾーン5内)の形態を変化させて、異なるスケールの装置内で使用されるブレード40の周囲の液体噴流の容積及び容積形状因子(volumetric shape factor)の観点から定義される境界層形態を実質的に同一にすることが望ましい場合がある。
【0060】
図8に示すように、いくつかの実施形態では、装置20は、その先導部分110のような少なくとも1つの部分を有するブレードホルダー50を備えてもよく、前記先導部分は、軸対称の、径方向に非対称の好適な断面を有する。好適な断面形態には、矩形、楕円形、平坦な楕円形、トラック形(即ち、直線状の側部縁と、丸形の末端部とを有する形態)、及び長軸と短軸とを有し、両方の軸に関して対称的な多角形が挙げられるが、これらに限定されない。好適な多角形断面形状の非限定的な1つの例を、図10に示す。図8に示す実施形態では、ブレードホルダーの一部は、楕円形の断面を有する。そのような形態をブレードホルダー50の先導部分110に付与することによって、装置の使用時にブレード40上の液体の対称的な流れの維持が確実となり得る。ブレードホルダー50の先導部分110は、先導部分110の周囲のまわりに小さい面取り112も有して、下流混合チャンバ26内の再循環を改善してもよい。
【0061】
ゾーン6は、下流混合チャンバ26を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なるサイズ/スケールの装置(パイロットスケールユニット及び商業的スケールユニット等)において、ゾーン6内で実質的に同一のフローパターンと滞留時間(即ち、質量加重滞留時間)及び/又は滞留時間分布とを維持することが望ましい。これらの実施形態のいくつかでは、全てのサイズ/スケールの装置にわたって、ゾーン6内で同一のフローパターンと質量加重滞留時間とを維持して、異なるサイズ/スケールの装置の間でスケールアップの能力を向上させることが望ましい。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なるサイズ/スケールの装置において、所定の圧力範囲にてゾーン6内の全流量の割合として、実質的に同一の等容百分率の容積を維持することも望ましい。
【0062】
装置20は、ゾーン7内に少なくとも1つの排出口又は放出口30を備える。図に示す実施形態では、装置20は、1つの排出口30A及び1つの排出口/排液管の組み合わせ30Bを備える。この実施形態では、放出口の1つである排出口30Aがブレード40の上面90に隣接して整合され、放出口の1つである排出口/排液管の組み合わせ30Bがブレード40の下面92と整合されている。排出口30Aは、洗浄中、装置20をフラッシュするための注入口としての役割も果たし得るため、排出口/フラッシュ注入口の組み合わせと称され得る。排出口/排液管の組み合わせ30Bは、装置20の重力底部上に存在する。排出口/排液管の組み合わせ30Bが、少なくとも、垂直に下方に配向された初期部分(この配向はブレード40の表面90及び92に直角であり得るか、又は例えばブレードが存在しない場合、オリフィス34の高さ寸法に略平行であるとして記載され得る)を含むことが望ましい場合がある。ブレード40の上方及び下方の放出口30A及び30Bの位置は、それぞれ、使用中、ブレード40上の液体の対称的な流れの存在を確実にすることを補助するであろう。
【0063】
使用中に装置20からの混合液体用の排出口を提供することに加えて、放出口30A及び30Bを通して水(又は他の洗浄液)を装置20内にフラッシュして、使用間に装置20を洗浄してもよい。上述したブレードホルダー50の形態は、下流混合チャンバ26がフラッシュされる際に、装置20の洗浄に使用される液体を、下流混合チャンバ26全体により良好に分配すると思われる構造を提供する。図12は、フラッシュ操作中のブレードホルダー50の先導部分110の周囲の液体の流れの1つの非限定的な例を示す。洗浄液の流れの方向は、矢印で示される。図12に示すように、フラッシュ操作中、ブレードホルダーの両側の周囲に幾分かの空間が存在して洗浄液が流れるように、ブレードホルダー50の大きさが定められ構成されることが望ましい。図12に示すように、混合チャンバ26は少なくとも1つの幅を有し、ブレードホルダー50の先導部分110の幅(ブレードと平行に測定)は、ブレードホルダー50の先導部分110の断面に対応する下流混合チャンバ26の部分の幅の90%以下である。換言すれば、ブレードホルダー50は、ブレードホルダー50の先導部分110に対応する下流混合チャンバ26の部分において、ブレードホルダー50の両側に少なくとも約5%の間隙が存在する大きさに定められ構成されてよい。
【0064】
ブレードホルダー50の断面は、ブレードホルダー50の幅がブレードホルダーの高さよりも大きく、下流混合チャンバ26のフラッシュを補助するように、非円形形態であることも望ましい場合がある。ブレードホルダー50の断面が円形の場合、装置20の洗浄に使用される液体は、ブレード40の上面及び下面上に分配されずに、ブレードホルダー50の側部の周囲に流れる傾向を有するであろう。ブレードホルダー50が非円形の断面を有し、下流混合チャンバ26の頂部及び底部において下流混合チャンバ26とブレードホルダー50との壁の間に、下流混合チャンバの側部に沿ってブレードホルダー50と下流混合チャンバ26の壁との間に存在する空間より大きい空間を有する場合、ブレード40の上面及び下面上に洗浄液が強制的に流されるのを助けるであろう。
【0065】
装置20の内部にすきま、凹部、及び割れ目のいずれも実質的に存在せず、使用間での装置20の洗浄がより容易になることも望ましい。先行技術による1つのデバイスは、例えば、中にオリフィスを有する構成要素を定位置に保持する金属バッキングブロックを有する。金属と金属との接触地点における間隙は、それらの間にすきまを形成し、液体がそのすきま内に入り、装置の使用間に残留する可能性がある。更に、この先行技術によるデバイスは、デバイスの使用中、液体が出口孔から流出する前にデバイスを通して通過させるための追加の内部孔を有する。本明細書に記載する装置20の1つの実施形態では、オリフィス構成要素32は、一体的な構造に形成される数個のサブ構成要素を含む。この一体的なオリフィス構成要素32構造体は、ユニットとして上流混合チャンバハウジング46内に嵌り、オリフィス構成要素32構造体を定位置に保持するバッキングブロックを必要とせず、そのようなすきまが排除される。図に示す装置20の実施形態では、排出口30A及び30Bはまた下流混合チャンバ26の直近に配置され、下流混合チャンバ26と直接流体連通しているため、液体は下流混合チャンバ26から直接、排出口30A及び30Bを介して装置外へと通過する。このように、排出口30及び30Bは下流混合チャンバ26と一体化しており、液体が排出口30A及び30Bから流出する前に液体を通過させるためのいずれの追加の内部孔も存在しない。装置20を洗浄する能力に、導管内に液体を流すが排液できない終点(「行き止まり」又は「デッドレッグ(dead leg))にて終結する導管が存在しないことも望ましい場合がある。
【0066】
図2及び8に示すように、いくつかの実施形態において、装置20は、ブレード40をより正確にオリフィス34に整合させ、及び/又はブレード40をオリフィス34と整合させて維持する、改良された構造を備えてもよい。この構造は、オリフィス34から来る液体噴流に対してブレード40を位置決めし(例えば、中心へ)、またブレード40が噴流の上方若しくは下方に変位され、又はブレード40がオリフィス34に対して角度傾斜を有する傾向を低減するように使用することができる。このことは、ブレード40とオリフィス34とが適切に整合されておらず、及び/又はこれらの構成要素の一方が他方に対して傾斜している場合、ブレード40が不均等に損耗する(例えば、ブレードの頂部表面及び底部表面が異なって損耗する)傾向を改善し得る。別の実施形態では、所望であれば、構造はブレード40をオリフィス34に対していくつかの他の位置(中心以外)に配向させるのに使用されてもよい。
【0067】
ブレードホルダー50は、装置20の内部との1つ以上の広い接触表面を有する。図に示す実施形態では、ブレードホルダー50は少なくとも2つの円筒形の広い接触表面120A及び120Bを有し、表面当たり少なくとも2つの封止点122及び124が各表面の終端部に隣接して配置されている。図に示す実施形態において、ブレードホルダー50は、上流接触表面120Aにおいて、下流接触表面120Bよりも大きい寸法(例えば、直径)を有する。接触表面120A及び120Bが、機械加工された表面、特に高度に正確に機械加工された表面であることが望ましい場合がある。図8に示すように、ブレードホルダー50は、接触表面それぞれの終端部の付近に、離間した窪み(周方向の溝)128を含む。周方向溝は、内部にOリング130が配置されてもよい。接触表面120A及び120Bの少なくとも一方の長さが、シール(例えば、Oリング130)を保持するそれらの凹部の中心線の間で測定して、接触表面の位置でブレードホルダー50の幅(例えば、直径)以上であることが望ましい場合がある。図に示す実施形態では、下流接触表面120Bの場合に当て嵌まる。ブレードホルダー50の直径より大きい接触表面の長さは、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、...、2.5、3、3.5、...等を含むがこれらに限定されないブレードホルダーの直径の任意の倍数であってもよい。更に、構造的支持を提供し、又は部品と直接液体接触する、装置20の全ての内部部品がOリングシールを有することが望ましい場合がある。
【0068】
装置20及び装置20のための構成要素の多数の他の実施形態も可能である。ブレードホルダー50は、1つより多いブレード40を保持するように構成されてもよい。例えば、ブレードホルダー50は、2つ以上のブレードを保持するように構成されてもよい。そのような実施形態の1つのタイプにおいて、ブレードは、互いにある角度を形成してもよい。そのような実施形態の別のタイプでは、ブレードは交差してもよい。ブレードが交差している場合、それらは任意の好適な角度で交差してよい。ブレードが90°の角度で交差している場合、それらは正面から見た際に十字形態を有してもよい。装置に1つより多いブレードを設けることは、局所乱流散逸率の増大を含むがこれに限定されない任意の好適な目的のために行われることができる。
【0069】
流体中に剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより混合するためのプロセスも、本明細書において企図される。1つの非限定的な実施形態では、プロセスは装置20、例えば上記のものを利用する。プロセスは、下流混合チャンバ26のような混合チャンバ、及びオリフィス34を中に有するオリフィス構成要素システム32のような要素を提供することを含む。
【0070】
プロセスは、少なくとも1つの流体を、任意の上流混合チャンバ24に導入した後、流体がオリフィス構成要素システム32内のオリフィス34を通過するように下流混合チャンバ26への少なくとも1つの入り口内に導入することを更に含む。少なくとも1つの流体は、装置20に、ポンプ及びポンプに電力を供給するモーターの使用が挙げられるがこれに限定されない、任意の好適な方式によって供給され得る。ポンプは、少なくとも1つの流体を、所望の圧力下で注入口22を通して装置に供給することができる。流体(単数又は複数)、又は流体の混合物は、圧力下でオリフィス34を通過する。オリフィス34は、単独又は何らかの他の構成要素との組み合わせのいずれかにより、流体を混合する、及び/又は流体(単数又は複数)若しくは流体の混合物中に剪断力及び/又はキャビテーションを生成するように構成される。
【0071】
流体は、任意の好適な液体又は気体を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体が2つ以上の異なる相、又は多相を含むことが望ましい場合がある。異なる相は、1つ以上の液相、気相、又は固相を含むことができる。液体の場合には、液体がキャビテーションのために十分な溶解気体を含有することが望ましいことが多い。好適な液体には、水、油、溶媒、液化ガス、スラリー、及び室温では通常固体である溶融材料が挙げられるが、これらに限定されない。溶融固体材料には、ワックス、有機材料、無機材料、ポリマー、脂肪族アルコール、及び脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。流体(単数又は複数)はまた、上述したように、該流体中に固体粒子を有することができる。
【0072】
プロセスは、オリフィス34を中に有する要素32に相対する下流混合チャンバ26の中に配置されたブレード40のようなブレードを提供することを更に含んでもよい。ブレード40が使用される場合には、プロセスは、液体を噴流に形成し、流体中にキャビテーションを生み出すために十分な強度でブレードが調和振動するように誘起するのに十分な力を用いて、振動可能なブレードに対して噴流を衝突させる工程を含んでもよい。キャビテーションは、流体力学的でも音響的でもよい。
【0073】
プロセスは、任意の好適な圧力下で実施されることができる。所定の実施形態において、流体がオリフィスを通過する地点の直前の、オリフィスに対する供給部で測定される圧力は、約3.4MPa(500psi(35bar))以上、即ち3.4MPa(500psi)を超える任意の数であり、該数は、約:6.9MPa(1,000(70bar))、10.3kPa(1,500(100bar))、13.8MPa(2,000(140bar))、17.2MPa(2,500(175bar))、20.7MPa(3,000(210bar))、24.1MPa(3,500(245bar))、27.6MPa(4,000(280bar))、31.0MPa(4,500(315bar))、34.5MPa(5,000(350bar))、37.9MPa(5,500(385bar))、41.4MPa(6,000(420bar))、44.8MPa(6,500(455bar))、48.3MPa(7,000(490bar))、51.7MPa(7,500(525bar))、55.2MPa(8,000(560bar))、58.6MPa(8,500(595bar))、62.1MPa(9,000(630bar))、65.5MPa(9,500(665bar))、68.9MPa(10,000psi(700bar))、及び3.4MPa(500psi.)を増分とする68.9MPa(10,000psi(700bar))、103.4MPa(15,000(1,050bar))、137.9MPa(20,000(1,400bar))又はそれ以上を含む68.9MPa(10,000psi(700bar))を超える任意の数を含むが、これらに限定されない。
【0074】
所定の容積の流体は、混合チャンバ26内で任意の好適な滞留時間及び/又は滞留時間分布を有することができる。いくつかの好適な滞留時間には、約1マイクロ秒〜約1秒、又はそれを超えるものが挙げられるが、これらに限定されない。流体(単数又は複数)は、混合チャンバ26を通って任意の好適な流動率で流れることができる。好適な流動率は、約1〜約1,500L/分、若しくはそれを超える範囲であるか、又は約5〜約1000L/分が挙げられるがこれに限定されない範囲内に入る流動率の任意のより狭い範囲である。
【0075】
プロセスはまた、任意の好適な時間の間、連続して実行されることができる。好適な時間には、約30分以上、約45分以上、約1時間以上、及び30分の任意の増分で1時間を超えるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
プロセスは化学工業、日用品産業、パーソナルケア産業、医薬品産業、並びに食品及び飲料産業において、界面活性剤、エマルション、分散液、及びブレンドを含むがこれらに限定されない多数の異なる種類の製品の製造に使用することができる。
【0077】
装置20を洗浄するためのプロセスも、本明細書に提供される。図11は、装置20をフラッシュするための方法の1つのタイプを示す概略図である。図11に示すように、洗浄液(例えば、水、界面活性剤等)を注入器42及び注入口22Bを通して装置20内に供給することができる。この方法で導入された液体流は、上流混合チャンバ24内で混合される。この混合流の一部がオリフィス34を通過する。第2の注入口22Cが排液管でもある場合、この混合流の一部は更に第2の注入口、注入口/排液管の組み合わせである22Cから排液される。所望であれば、注入口/排液管の組み合わせ22Cを上方排出口30Aに交差接続することができ、注入口/排液管の組み合わせ22Cから排液される混合流を上方排出口30A内に導いて下流混合チャンバ26をフラッシュすることができる。下流混合チャンバ26のフラッシュは上流混合チャンバ24のフラッシュと同時に行ってもよく、又は上流混合チャンバ24のフラッシュの前若しくは後のいずれかに(連続して)行ってもよい。下流混合チャンバ26のフラッシュに使用する洗浄液は、下部排出口/排液管30Bを通って下流混合チャンバ26を退出することができる。このことは、装置20が、洗浄液をオリフィス34に通して装置20全体をフラッシュする試みによって洗浄されることに限定されない利点をもたらす。そのようなプロセスの別の実施形態では、装置20は、例えば図11に示す方向を逆にする等の他の方法でフラッシュされてもよい。例えば、洗浄液を下部排出口/排液管30Bを通して導入した後、図11に示す矢印と逆の方向に循環させてもよい。そのようなプロセスの終わりに、注入口/排液管の組み合わせ22C及び下部排出口/排液管30Bを開放して装置20を排液してもよい。
【0078】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0079】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されているように含むと理解されるべきである。本明細書全体にわたって記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載される数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0080】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより液体を混合するための装置であって、前記装置は重力底部を有し、かつ
少なくとも1つの注入口と、
入り口を含み、前記少なくとも1つの注入口と液体連通している混合チャンバと、
中にオリフィスを有し、前記装置の内部において前記混合チャンバの前記入り口に隣接して位置する要素であって、前記オリフィスは、液体を噴流で吹き付け、前記液体中に剪断力又はキャビテーションを生成するよう構成されており、幅及び高さを有する要素と、
前記混合チャンバと液体連通して、前記液体中の剪断力又はキャビテーションの生成後に前記液体を放出する少なくとも1つの排出口と、
を備え、
前記少なくとも1つの排出口は、前記混合チャンバの少なくとも一部の下流に位置し、前記装置は、前記装置の前記重力底部上に前記混合チャンバを排液するための少なくとも1つの排液管を更に含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの排液管が、前記液体中の剪断力又はキャビテーションの生成後に液体を放出する追加の排出口としても機能する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記オリフィスを中に有する前記要素に相対して配置されたブレードを前記混合チャンバ内に更に備え、前記ブレードは2つの相対する表面と、先導縁と、追従縁と、前記先導縁の先端と、を有し、前記先端は、前記オリフィスに最も近接して配置された前記ブレードの部分であり、前記ブレードを前記装置内に保持するブレードホルダーを備え、前記ブレードホルダーは前記オリフィスに関連して可動であり、それにより前記ブレードの前記先端と前記オリフィスとの間の距離を変更することができる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの注入口と前記オリフィスとの間に位置する上流混合チャンバと、前記上流混合チャンバと液体連通している前記装置の前記重力底部上の第2の排液管と、を更に備え、前記少なくとも1つの排出口が、前記下流混合チャンバと液体連通している排出口/フラッシュ注入口の組み合わせを含み、前記第2の排液管が、前記排出口/フラッシュ注入口の組み合わせと接続可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの注入口が、軸方向に配向された第1の注入口を含み、前記第1の注入口は前記上流混合チャンバ内に至り、
前記装置が、
前記上流混合チャンバ内に至る径方向に配向された第2の注入口を更に備え、
前記第2の排液管が注入口/排液管の組み合わせを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記混合チャンバを含む内部を有し、前記装置の前記内部が実質的にいかなるすきまも有さずに、液体が前記装置を通って流れる際の前記装置の前記内部内での物質の蓄積を最小限にする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ブレードホルダーが先導部分を有し、前記先導部分は、前記ブレードホルダーの他の部分よりも前記オフィリスに近接して配置される前記ブレードホルダーの部分であり、前記ブレードホルダーの前記先導部分を通って少なくとも1つの断面が存在し、前記少なくとも1つの断面における前記ブレードホルダーの前記先導部分は高さ及び幅を有し、前記断面における前記ブレードホルダーの前記先導部分の幅が前記断面における高さよりも大きい、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記ブレードが、前記ブレードの先導縁内に少なくとも1つの切り欠きを有する、請求項3又は請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の注入口が、そこから液体が放出され得る開放下流末端部を有し、前記装置が、上流末端部、下流末端部、及び内部に液体通路を画定する内部壁を有するチャネル部分を更に備え、前記チャネル部分の前記内部壁にはテーパが付けられ、それにより前記内部壁はその上流末端部において互いにより離れて離間され、次に前記チャネル部分の前記下流末端部が接近するにつれて互いにより接近し、前記チャネル部分の前記テーパ部分は、前記第2の注入口の下流の、前記第1の注入口の前記開放下流末端部の上流に位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
液体を剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより液体を混合するための装置であって、前記装置は長手方向軸を有し、かつ
上流部分、下流部分、内部、及び内部壁を有する上流混合チャンバと、
液体が長手方向に流れるように前記液体を前記装置内に導入するように構成された注入器であって、前記上流混合チャンバの内部に配置された放出末端部を有する注入器と、
前記上流混合チャンバと液体連通している少なくとも1つの注入口であって、中心線を有し、かつ前記装置の前記長手方向軸に対して一定の角度で前記上流混合チャンバ内に液体を導入するよう構成された少なくとも1つの注入口と、
入り口及び排出口を含み、前記上流混合チャンバと液体連通している混合チャンバと、
中にオリフィスを有し、前記装置の内部において前記混合チャンバの前記入り口に隣接して位置する要素であって、前記オリフィスは、液体を噴流で吹き付け、前記液体中に剪断力又はキャビテーションを生成するよう構成されている要素と、
を備え、
前記上流混合チャンバが、前記少なくとも1つの注入口の前記中心線にて測定された直径を有し、前記上流混合チャンバが、前記少なくとも1つの注入口の下流に位置する地点にて狭まり、前記少なくとも1つの注入口の前記中心線から、前記注入口の下流の位置にて前記上流混合チャンバが最初に狭まる地点まで測定した前記上流混合チャンバの前記長手方向における寸法が、前記注入口の前記中心線にて測定された前記上流混合チャンバの前記直径の約1.1倍以上であることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記注入器が可動であり、それにより前記注入器の前記放出末端部と前記オリフィスとの間の距離を調整することができる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記注入口が直径を有し、前記注入口の前記中心線にて測定された前記上流混合チャンバの前記直径の、前記注入口の前記直径に対する割合が2より大きい、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記上流混合チャンバの少なくとも一部にテーパが付けられ、それにより前記上流混合チャンバの直径が、前記チャンバの下流部分に向かって小さくなる、請求項10〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
剪断力及び/又はキャビテーションを生成することにより液体を混合するための2つ以上の装置を含む一組の装置であって、前記一組の装置は、
第1の装置及び第2の装置を含み、前記第1の装置及び第2の装置のそれぞれは、
上流混合チャンバと、
前記上流混合チャンバと液体連通している少なくとも1つの注入口と、
前記上流混合チャンバと液体連通し、入り口及び少なくとも1つの排出口を含む混合チャンバと、
オリフィスをその中に有する要素であって、前記混合チャンバの前記入り口に隣接して前記装置内に配置され、前記オリフィスが液体を噴流にて吹き付け、前記液体中に剪断力又はキャビテーションを生成するように構成されている要素と、
を備え、
前記一組の装置は、前記第1の装置及び前記第2の装置それぞれが最大流れ容量を有し、前記第1の装置の前記最大流れ容量が前記第2の装置の前記最大流れ容量の少なくとも5倍少なく、前記第1の装置及び第2の装置が、異なる流動率で実質的に同一の質量加重滞留時間、質量加重滞留時間分布、流速、材料の分布、及び局部乱流散逸率からなる群より選択される少なくとも1つの加工条件を提供するように構成されており、これらは、異なる流動率において同じであり、前記異なる流動率は、前記第1の装置における第1の流動率及び前記第2の装置における第2の流動率であることを特徴とする一組の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−528988(P2011−528988A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520162(P2011−520162)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/051394
【国際公開番号】WO2010/011741
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】