説明

創傷または痔疾治療剤

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明は、創傷または痔疾治療剤に関する。
背景技術 プロスタグランジンI2(PGI2)およびプロスタグランジンE1(PGE1)は、強力な血小板凝集阻害作用および末梢血管拡張作用などの多岐にわたる薬理作用を有することが知られており、末梢循環障害の改善薬としての応用が期待されたが、PGI2およびPGE1自体は化学的に不安定であるために薬理効果の持続性に難点があり実用化が困難であった。
しかし、PGI2の誘導体であるベラプロストは、化学的に安定であるため、まず末梢血流障害の治療薬として経口剤としての開発が進められ、慢性動脈閉塞症に伴う虚血性諸症状の改善薬として現在市販されている。
ところで、褥創を含む難治性皮膚潰瘍などの創傷の多くは、末梢血液循環不全により発症することが知られているが、その治療剤を局所投与可能となれば、全身投与に比べて副作用が少ないので、その外用剤の開発が待望されているが、PGI2、PGE1およびそれらの誘導体を有効成分とする創傷治療用外用剤はまだ知られていない。
一方、痔疾は一般に痔核、肛門痔裂、肛門周囲炎、肛門膿瘍、痔瘻等に分類されており、その治療剤はステロイド含有あるいは非含有の局所性痔疾治療剤と局所性あるいは全身性静脈瘤治療剤に大別されている。これら痔疾医療剤の作用機序としては、末梢循環改善作用、血栓生成抑制作用、抗炎症作用、組織修復作用があげられているが、PGI2、PGE1およびそれらの誘導体はいずれの薬理作用をも有していることから、痔疾治療剤としての有用性が示唆されるが、その応用は未だ知られていない。
本発明の目的は、PGI2、PGE1およびそれらの誘導体を有効成分とする創傷または痔疾治療剤、特に外用の創傷または痔疾治療剤、および上記有効成分を投与することによる創傷または痔疾治療方法を提供することにある。
発明の開示 本発明者ら、PGI2、PGE1およびそれらの誘導体を有効成分とし、これを医薬的に許容し得る担体に配合して得られる組成物が創傷または痔疾治療効果を有することを見いだした。
本発明者らは、特にPGI2の誘導体であるベラプロストまたはその塩が化学的に安定で水に可溶性の粉末であることから、疾病の症状に適した外用剤としての製剤化が可能であり、さらにその製剤が、滲出液量の増加、血管新生と肉芽形成および表皮形成の早期化により、強力な創傷治癒促進作用を示すことを見いだした。
また、本発明者らは、ベラプロストまたはその塩を投与することにより、特に強力な痔疾治療効果を示すことをも見いだした。
従って、本発明は、PGI2、PGE1およびそれらの誘導体の少なくとも1種、特にベラプロストまたはその塩を有効成分とし、これに医薬的に許容し得る担体の配合してなる創傷または痔疾治療剤(以下、本発明治療剤と略す。)に関する。
本発明治療剤は、PGI2、PGE1およびそれらの誘導体の少なくとも1種を有効成分とするものである。ここにPGI2の誘導体としては、ベラプロスト、カルバサイクリン(Carbacyclin)、アイロプロスト(Iloprost)、シプロステン(Ciprosten)、ナイルプロスト(Nileprost)、サイカプロスト(Cicaprost)、CG4203、FCE22509、OP−41483、OP2507等またはこれらの塩類が挙げられる。またPGI2それ自体の塩類もPGI2の誘導体に含めるものとする。
PGI2およびそれらの誘導体の塩類としては、たとえばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第1級、第2級または第3級アミン塩、さらには塩基性アミノ酸などの薬理学的に許容しうる塩があげられる。
上記PGI2の誘導体として特に好ましいものは、ベラプロストまたはその塩類(特にナトリウム塩などのアルカリ金属塩)である。
ここに、ベラプロストとは(±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−〔(E)−(3S)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル〕−1H−シクロペンタ〔b〕ベンゾフラン−5−ブチリックアシッドの一般的名称であり、ラセミ体はもとよりd体および1体を包含するものである。
ベラプロストはたとえば特開昭58−124778号公報に記載されている方法により製造することができる。
またPGE1の誘導体としては、ミソプロストール(Misoprostol)、オルノプロスチル(Ornoprostil)、リマプロスト(Limaprost)等またはこれらの塩類が挙げられる。またPGE1それ自体の塩類もPGE1の誘導体に含めるものとする。
これらの塩類としては、上述のようなアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、塩基性アミノ酸塩などの薬理学的に許容し得る塩類などが挙げられる。
本発明治療剤は、上記の有効成分を医薬的に許容し得る担体と配合してなるものである。
上記担体としては、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガントゴム、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、寒天、キチン、ソルビトール、マルチトール、デキストリン、乳糖、白糖、ブドウ糖、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレンジオール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸などを適宜に組合せて使用するのが好ましい。
上記担体は、本発明治療剤の剤型に応じて適宜選択される。
本発明の治療剤の投与形態としては、経口および非経口投与をあげることができる。投与量は患者の年齢、体重、症状、投与経路および投与回数によるが、1回量0.1μg〜100mgを、好ましくは1μg〜1mgを1日1〜4回投与することが望ましい。
経口投与の場合には、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤などの内服可能な一般的な医薬製剤の形態で用いられる。また、非経口投与の場合には、例えば注射剤、座剤、外用剤などとしても使用できる。
本発明治療剤を外用剤の形態で使用する場合、軟膏、ゲル、クリーム、乳液、液剤、貼付剤、スプレー剤、テープ剤、パッチ剤、坐剤などの外用剤の一般的な医薬製剤の形態で用いられる。
外用剤として使用する場合、製剤中の有効成分の含有量としては0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
なお、本明細書において、「治療」とは最広義に解するものとし、本来の治療以外に予防をも含むものとする。本発明治療剤は創傷または痔疾の治療のみでなく、これら疾病の予防に用いても、その効果を発揮する。
発明を実施するための最良の形態 以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。
〔製剤例1〕液剤 ベラプロストナトリウム塩 0.1g マクロゴール400 5.0g 精製水 85.0g エタノール 適量 全量 100.0ml 精製水にマクロゴール400を混和させた後、ベラプロストナトリウム塩を溶解し、エタノールを加え全量を100mlとすることにより液剤を得る。
〔製剤例2〕軟膏剤 ベラプロストナトリウム塩 0.1g マクロゴール400 55.0g マクロゴール4000 39.9g 精製水 5.0g 全量 100.0g マクロゴール400および4000を80℃で溶解した後、真空下よく練合しながら、冷却して固化させる。常圧にもどした後、精製水にベラプロストナトリウム塩を溶解した液を添加し、再び真空下によく練合することにより軟膏剤を得る。
〔製剤例3〕クリーム剤 ベラプロストナトリウム塩 0.1g 白色ワセリン 2.0g 流動パラフィン 20.0g ステアリルアルコール 4.0g ステアリン酸ポリオキシル40 4.0g モノステアリン酸グリセリン 4.0g マクロゴール400 15.0g 精製水 50.9g 全量 100.0g 油相成分(白色ワセリン、流動パラフィン、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン)を80℃にて溶解し、これに水相成分(ステアリン酸ポリオキシル40、マクロゴール400、精製水45.9g)を80℃にて溶解した後添加する。減圧下冷却しながら撹拌し、乳化および固化させる。常圧にもどした後、ベラプロストナトリウム塩を精製水5gに溶解した液を添加し、減圧下によく練合することによりクリーム剤を得る。
〔製剤例4〕錠剤 ベラプロストナトリウム 0.02mg 乳糖 64.98mg トウモロコシ澱粉 25.00mg 結晶セルロース 7.50mg ヒドロキシプロピルセルロース 2.20mg ステアリン酸マグネシウム 0.30mg 合計 100.00mg 上記処方により常法にしたがって調製し、ベラプロストナトリウム20μgを含有する錠剤を得た。
〔製剤例5〕座剤 ベラプロストナトリウム 0.01g ウィテプゾールH−15 99.99g 合計 100.00g ウィテプゾールH−15を40℃で溶解した後、ベラプロストナトリウムを加え、撹拌および超音波処理して均一に分散させ、座剤用コンテナーに2gずつ分注して冷却することにより座剤を得た。
次に試験例をあげて本発明の効果を説明する。
〔試験例1〕ベラプロストの糖尿病マウス皮膚全層切除モデルにおける創傷治癒に及ぼす影響1.試験方法 遺伝的糖尿病マウス(C57BL/KsJ−dbm系(db+/db+)雌性11〜12週齢1群6匹)の背部を試験前日に剪毛し、エーテル麻酔下に背部皮膚をエタノールにて清拭後、外科用湾曲ハサミを用いて背部正中部に円形の皮膚全層切除創(2cm2)作成した。
被検薬剤としてベラプロスト(ナトリウム塩)は20%エタノールを含む生理食塩水溶液とし、5μg/10μl/cm2×14回(1日1回14日間)滴下投与し、対照として薬剤を含まない溶液(ビヒクル:vehicle)のみを同様に投与した。
被検薬剤による影響は創面を2〜3日間隔でプラスチックシートにトレース後、オスコン・ディジタイザにより創傷面積を測定し、切除直後の面積に対する比率を算出するとともに、皮膚欠損創が肉眼的に表皮形成を完了(完治)するまでに要する日数を指標とした。
さらに、創面の血管新生・肉芽形成の程度を肉眼的にスコアー付けし、経日変化および副作用を観察した。
また、切除9日後の滲出液を採取し、創面を生理食塩水で洗浄した溶液との混合液に存在する白血球数を顕微鏡下で測定した。
また、切除31日目にマウスをエーテル麻酔死させて創傷部皮膚を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン液で固定後、常法に準じてパラフィン切片、Hematoxyrin−EosinおよびMasson trichrome染色標本を作製して鏡検した。
2.試験結果 被検薬剤による影響を創傷面積の変化率とよび完治例について、ビヒクル投与群と比較し表1に示した。
表1に示されるように、ベラプロスト投与群の創面は、ビヒクル投与群と比較して6日後より明らかな縮小を示し、10日および21日後ではそれぞれ平均24.4%および0.1%にまで縮小した。
また、完治例は21日後よりみられ、24日後では全例が完治した。平均完治日数は22日で、ビヒクル投与群と比較して明らかな短縮が認められた。


創面の血管新生および肉芽形成を経日的に観察したところ、ベラプロスト投与群はビヒクル投与群と比較して、明らかに血管新生と肉芽形成の早期化を示した。
ベラプロスト投与の創面(投与9日後)の滲出液量と浸潤白血球数に及ぼす影響を表2に示した。表2に示されるように、ベラプロスト投与群はビヒクル投与群に比較して、滲出液量と浸潤白血球数の明らかな増加が認められた。
創傷治癒過程において、乾燥した創面に比較して湿潤した創面では表皮の新生速度が早まることから、ベラプロスト投与後早期にみられる滲出液量の増加は、創傷治癒の促進に寄与している。
さらに、浸潤白血球数の増加は、炎症の修復過程を促進している。さらに、ベラプロスト投与群とビヒクル投与群との間に体重の差を認めなかったことからベラプロスト投与による全身性の副作用は観察されなかった。


皮膚切除31日後の創傷部位の病理組織学的所見を表3に示した。
表3に示したように、ビヒクル投与群の皮膚切除部位は、真皮の線維増殖(肉芽形成)および滲出液が著しく、その創面は組織学的には再生表皮で完全には被覆されていなかった。
一方、ベラプロスト投与群では、皮膚切除部位の全域が再生表皮で覆われ、真皮の滲出液は消失し、さらに線維増殖は線維化へと移行する組織像であり、異常組織の形成や過形成瘢痕を示すことなく、正常な創傷治癒を呈していた。


〔試験例2〕ベラプロストのラット実験的痔疾モデルにおける痔疾予防効果および治療効果試験1.試験材料1)クロトン油混合起炎剤の調製法 蒸留水1容、ピリジン4容、エチルエーテル5容、3%クロトン油エチルエーテル溶液10溶の混合液を用い、ピリジンに蒸留水と少量のエチルエーテルを加えて混和した後、3%クロトン油エチルエーテル溶液を加え、さらに残りのエチルエーテルを加えて激しく撹拌し、クロトン油混合起炎剤とした。本液は用時に調製し、試験中は氷冷保存した。
2)試験液の調製法および用量 ベラプロスト(ナトリウム塩)は、経口投与の場合には蒸留水に溶解し、また直腸内投与の場合には生理食塩水に溶解して調製した。
投与量は、痔疾予防効果試験では経口投与の場合は0.1、3、1.0mg/kg、また直腸内投与の場合は0.01、0.03、0.1、0.3、1.0mg/kgとし、痔疾治療効果試験では経口投与の場合は0.1mg/kg、直腸内投与の場合には0.03mg/kgとした。また、投与液量は経口投与では10ml/kg、直腸内投与では100μl/kgとした。
3)使用動物 7〜8週齢のSLC:Wistar系雄性ラット(日本エスエルシー株式会社)を一晩絶食して体重167〜200gとし、各群7〜8匹を用いた。
2.試験方法 痔疾予防効果試験では、ベラプロストを経口または直腸内投与し、その30分後にクロトン油混合起炎剤100μlを綿棒(#103外科用 山本繃帯材料株式会社)の綿球部に染み込ませ、無麻酔下にラット肛門内に10秒間挿入して炎症を惹起した。
起炎3時間後にエーテル麻酔下にて放血致死させ、肛門上皮の毛の輪状生え際より正確に20mmの長さに摘出した直腸−肛門部の重量を測定した。
さらに直腸内投与群については、摘出した直腸−肛門部を10%中性緩衝ホルマリン液で固定後、常法にしたがいパラフィン切片、Hematoxylin−EosinおよびPhosphotungstic acid hematoxyin染色標本を作製し、光学顕微鏡(Microphot−FXA、ニコン)で観察および写真撮影して、ベラプロストの直腸内投与による組織学的所見について検討した。
また、痔疾治療効果試験では、予防効果試験と同様にクロトン油混合起炎剤で炎症を惹起した。起炎1日後より朝夕1日2回4日間投与し、5日後に予防効果試験と同様に摘出した直腸−肛門部の重量を測定した。
なお、対照群には、経口投与の場合は蒸留水、直腸内投与の場合は生理食塩水(ビヒクル)のみを投与した。さらに比較のために、クロトン油混合起炎剤での処置および薬剤、蒸留水あるいは生理食塩水のビヒクルの投与を行わない無処置群についても同様の試験を実施した。
3.統計学的処理 直腸−肛門部の重量に及ぼすベラプロストの影響の場合はStudentのt検定を、また組織学的所見の場合はKruskal−WallisのH検定を用いて対照群との差を検定した。また、抑制率は各群の直腸−肛門部平均重量から次式により算出した。
抑制率(%)=〔1−[(薬物投与群−無処置群)/(対照群−無処置群)]〕×1004.試験結果 ベラプロストの経口投与による痔疾予防効果試験の結果を表4に示した。
無処置群の直腸−肛門部重量の平均値は165.1mgであったのに対し、ビヒクルのみを投与した後起炎剤処置した対照群では353.2mgで、いずれも無処置群と比較して有意(P<0.01)な増大が認められた。
このような条件下において、ベラプロスト0.1〜1.0mg/kg投与群では、用量に相関した明らかな腫脹抑制作用を示した。


ベラプロストの直腸内投与による痔疾予防効果試験の結果を表5に示した。
起炎剤による直腸−肛門部重量の増大に対し、ベラプロスト0.01〜1.0mg/kg投与群ではいずれも有意(P<0.05〜0.01)な抑制作用を示し、その効果は0.03mg/kg投与群で最大であった。


ベラプロストの直腸内投与による組織学的所見におよぼす影響についての試験結果を表6に示した。
生理食塩水のみを投与した対照群では、起炎剤により直腸は粘膜層の出血、壊死、剥離が広範囲(肛門移行部よりの総長 平均8.0±0.51mm)に見られ、さらに粘膜下組織の浮腫、炎症性細胞浸潤が顕著であった。また、粘膜・粘膜下組織において赤色血栓形成(全視野中に存在する直径500μm以上の血管に認められた総数)を伴ったうっ血状態の拡張毛細血管が多数(平均22.4±2.54)認められた。
一方、ベラプロストの0.03mg/kg直腸内投与群では、粘膜層の出血、壊死、剥離の範囲(平均5.4±0.19mm)が有意(P<0.01)に抑制された。さらに浮腫、炎症性細胞浸潤の程度が減弱し、粘膜上皮細胞の核が正常部位よりも濃く染色され、活性化状態にあると思われる細胞が顕著に認められた。また、うっ血の程度が抑制され、赤色血栓形成血管数(平均6.8±2.35)も有意(P<0.01)に減少した。


以上の結果より、痔疾予防効果試験において、ベラプロストは経口および直腸内投与のいずれの投与経路でも、クロトン油混合起炎剤により惹起される直腸−肛門部の腫脹を明らかに抑制し、病理組織学的所見像においても著しい効果を認めた。
ベラプロストの経口および直腸内投与による痔疾治療効果試験の結果を表7に示した。
その結果、ベラプロストの0.1mg/kg経口投与および0.03mg/kg直腸内投与ではいずれも有意(P<0.05)な腫脹抑制作用を示した。


発明の効果 本発明によれば、強力な創傷治療促進作用、痔疾治療効果を示す有用な創傷または痔疾治療剤、特に外用の創傷または痔疾治療剤および創傷または痔疾治療方法が提供された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ベラプロストおよびその塩類の少なくとも1種を有効成分とし、これに医薬的に許容し得る担体を配合してなる痔疾治療剤。
【請求項2】塩類が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第1級、第2級または第3級アミン塩、および塩基性アミノ酸塩から選ばれる請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】外用剤として使用することを特徴とする請求項1に記載の治療剤。
【請求項4】外用剤中の有効成分の含有量が0.0001〜10重量%である請求項3に記載の治療剤。
【請求項5】外用剤中の有効成分の含有量が0.001〜1重量%である請求項4に記載の治療剤。
【請求項6】ベラプロストまたはその塩類を有効成分として含有する外用創傷または痔疾治療剤。

【特許番号】特許第3209427号(P3209427)
【登録日】平成13年7月13日(2001.7.13)
【発行日】平成13年9月17日(2001.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−513947
【出願日】平成5年2月5日(1993.2.5)
【国際出願番号】PCT/JP93/00151
【国際公開番号】WO93/15739
【国際公開日】平成5年8月19日(1993.8.19)
【審査請求日】平成11年11月5日(1999.11.5)
【出願人】(999999999)科研製薬株式会社
【出願人】(999999999)東レ株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平3−11017(JP,A)
【文献】特開 平5−70354(JP,A)
【文献】特表 平1−503780(JP,A)
【文献】PROSTAGLANDINS,(1975),10(4),p573−579
【文献】愛院大歯誌、(1988)、第26巻第1号、p115−157
【文献】Isr.J.Med.Sci.,(1987),23(7),p841−843