説明

創傷被覆材

創傷を被覆するための方法及び装置は、開示されている。該装置は、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、前記吸収層上の液体不透過性及び気体透過性のフィルタ層と、少なくとも1つのオリフィスを備えているカバー層と、前記吸収層の下に載置している液体透過性及び気体透過性の第1の透過層と、を備えている。前記吸収層は、前記フィルタ層と流体連通とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、創傷を被覆するための方法及び装置、並びに創傷被覆材を製造するための方法に関する。特に、制限されるわけではないが、本願発明は、局所的な陰圧(TNP)療法中に使用可能である創傷被覆材に関し、該局所的な陰圧(TNP)療法において、該創傷被覆材自体が創傷部位から取り除かれた創傷滲出液を収集し、且つ貯蔵するように廃物容器として作用する、創傷被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
局所的な陰圧療法の効果を高めるように意図された他の治療プロセスとともに、創傷への、局所的な陰圧(TNP)療法の適用のための装置及びその使用方法の提供に関連している利用可能な多くの先行技術が存在する。そのような先行技術の例は、記載されたそれらの装置及び方法を含み、該装置及び方法が簡潔に以下に記載される。
【0003】
局所的な陰圧療法は、組織浮腫を低減することによって、血流及び肉芽組織を促進することによって、過剰な滲出液を取り除くことによって、創傷の閉鎖及び治癒を手助けし、細菌の供給を低減し、それ故に、創傷に対する感染を低減することができる。さらに、局所的な陰圧療法は、創傷のより少ない外部障害を可能にし、且つより迅速な治癒を促進させる。
【0004】
特許文献1には、創傷を吸引し、潅注し、且つ洗浄するための装置、創傷被覆材、及び方法が記載されている。ごく一般的に言い方をすると、この出願は、創傷を潅注する、且つ/又は創傷を洗浄するための追加の流体のさらなる提供とともに、創傷を吸引するための、局所的な陰圧療法の適用による創傷の治療であって、該流体は、創傷滲出液及び洗浄流体の両方を備えており、次いで有害な材料から該有害な材料内の有益な材料を分離するための吸引手段及び循環手段によって取り除かれる、創傷の治療を記載している。創傷治癒に対して有益である材料は、創傷被覆材を通じて再循環され、創傷治癒に対して有害であるそれらの材料は、廃棄物回収バッグ又は容器に廃棄される。
【0005】
特許文献2には、創傷を吸引し、潅注し、且つ洗浄するための装置、創傷被覆材、及び方法が記載されている。ごく一般的に言い方をすると、この出願は、創傷の吸引、潅注、及び洗浄に関する特許文献1に記載の装置に類似の装置を使用するが、該装置は、創傷部位又は創傷被覆材に戻されるその有益な材料の温度を制御するために加熱手段を提供する、重要な追加のステップをさらに含み、それによって、例えば、最も有効な治療効果を有するように創傷に適切な温度である。
【0006】
特許文献3には、吸引及び潅注を使用し、且つ/又は創傷を洗浄するための装置、創傷被覆材、及び方法が記載されている。また、一般的な言い方をすると、この特許文献3は、以前に記載した2つの特許文献の装置に類似の装置を記載するが、創傷を治癒することを促進するように、創傷部位/創傷被覆材に対する生理活性物質の供給及び塗布のための手段を提供する追加のステップを有する。
【0007】
上記の特許文献の内容は、参照によって本願に含まれる。
【0008】
しかしながら、上記の装置及び方法は、一般的に、使用される装置が複雑であり、該装置の操作方法および保守方法における専門的な知識を有する人間を必要とし、該装置が非常に重く、かさばり、例えば、患者によって病院環境の外側での容易の移動性のために適合されないので、入院している時にのみに患者に適用可能とされる。
【0009】
連続的な入院期間を必要としないが、例えば、それにもかかわらず、局所的な陰圧療法の持続性の適用から利益を得る、あまり重症ではない創傷を有している何人かの患者は、容易に携帯可能であり、且つ容易に保守可能である局所的陰圧療法装置の利用の可能性を条件として、家庭で又は仕事場で治療させることができる。この目的のために、特許文献4には、患者によって運搬されることができ、且つベルト又はハーネスに挟んで取り付けられることができる、局所的な陰圧療法の携帯用治療ユニットが記載されている。陰圧は、それ故に、創傷部位に適用されることができる。
【0010】
局所的な陰圧療法中に、携帯用治療ユニット又は非携帯用治療ユニットは、創傷部位で陰圧を発生させる。空気及び創傷滲出液材料を含んでいる流体が創傷部位から取り除かれると、この流体は、創傷部位から遠くに、いくつかの方法で収集されなければならない。先行技術の治療ユニットとともに、創傷滲出液材料の収集及び蓄積は、該治療ユニットのポンプユニットに接続された廃棄物キャニスタによって従来実行される。しかしながら、キャニスタの使用は、治療ユニット装置自体が非常にかさばり、その製造コストが高いことを結果的にもたらす場合がある。同様に、創傷滲出液が収集されるキャニスタ又はキャニスタにおけるバッグを交換することは、多大な時間を必要とする場合があり、非常に非衛生的なプロセスとされる場合がある。
【0011】
先行技術の療法ユニットはまた、陰圧を発生させるために使用されるポンプを含む傾向がある。そのようなポンプは、製造するのが高価であり、且つ非常に重い。
【0012】
参照によって本願に組み込まれる特許文献5には、マイクロポンプを有する内蔵型の創傷被覆材が開示される。真空空間内に創傷流体を引き入れるためのポンプは、創傷被覆材自体に含まれる。それにもかかわらず、被覆材からの創傷滲出液は、複雑な一連のステップを介してのみ除去されることができる。創傷滲出液除去プロセスはまた、吸収層が創傷滲出液で完全に飽和すると、吸収層及びマイクロポンプが取り除かれることができるように、アクセスドアが創傷被覆材において開口されなければならないので、汚染される傾向がある。そのような滲出液除去及びポンプ除去が、多大な時間を必要とする場合があり、且つ使用者間で相互汚染に導く場合があることは、認識されるであろう。さらなる問題は、創傷被覆材が過膨脹及び破裂の傾向があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2004/037334号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/04670号パンフレット
【特許文献3】国際公開第20005/105180号パンフレット
【特許文献4】英国特許出願公開第2 307 180号明細書
【特許文献5】国際公開第2007/030601号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の問題を少なくとも部分的に緩和することは、本願発明の目的である。
【0015】
創傷閉鎖を促進させるように創傷部位で陰圧を提供し、治癒するための方法であって、該療法中に創傷部位から抜き取られた創傷滲出液が収集され、且つ創傷被覆材内に蓄積される方法を提供することは、本願発明のある実施形態の目的である。
【0016】
創傷部位上に配置されることができ、且つその創傷部位で陰圧を発生させるための一体型のポンプを含む創傷被覆材を提供することは、本願発明のある実施形態の目的である。同様に、特定の実施形態にとって、創傷被覆材は、任意の創傷滲出液を収集することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明の第1の態様によれば、創傷を被覆するための装置であって、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、前記吸収層上の液体不透過性及び気体透過性のフィルタ層と、少なくとも1つのオリフィスを備えているカバー層と、を備えている装置において、前記吸収層は、前記フィルタ層と流体連通とされる装置を提供する。
【0018】
本願発明の第2の態様によれば、創傷部位で局所的な陰圧(TNP)を適用する方法であって、創傷部位及び創傷被覆材と密封された創傷部位の周りの周囲領域から創傷滲出液及び空気を吸い上げるステップと、前記創傷被覆材の吸収層において前記創傷部位から吸い上げた創傷滲出液を収集するステップと、前記吸収層と流体連通する前記創傷被覆材のカバー層及びフィルタ層における少なくとも1つのオリフィスを通じて気体を排出するステップと、を備えている方法を提供する。
【0019】
本願発明の特定の実施形態は、使い捨て可能な創傷被覆材が創傷部位上で固定されることができ、創傷部位で陰圧を提供し、創傷滲出液を収集し、蓄積するために同時に使用されることができるとの利点を提供する。
【0020】
本願発明の特定の実施形態は、別個の治療ユニットが創傷部位で陰圧を発生させ、任意の創傷滲出液を収集し、且つ蓄積する必要がないとの利点を提供する。それどころか、創傷被覆材は、吸上げプロセス及び創傷滲出液収集プロセスの両方を実行することができる。創傷被覆材は、その結果、使用後に廃棄されることができる使い捨てのアイテムとされることができる。これは、汚染のリスクを低減する。
【0021】
本願発明の特定の実施形態は、創傷被覆材が陰圧治療プロセス中に発生した創傷滲出液を収集するために使用されることができる利点を提供する。創傷被覆材から離れたポンプは、創傷被覆材に接続されることができ、創傷被覆材自体が創傷滲出液を収集するために使用される間に、再使用され、且つ次いで使用後に廃棄されることができる。
【0022】
本願発明の実施形態は、添付した図面を参照して、例示のみによってここ以降に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】創傷被覆材を図示する図である。
【図2】創傷被覆材の平面図である。
【図3】創傷被覆材の一部を図示する図である。
【図4】取り付けられたポンプを有する創傷被覆材の拡大図である。
【図5】創傷被覆材を通じた水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面において、類似の参照符号は、類似の部品に言及する。
【0025】
図1は、本願発明の一の実施形態による創傷被覆材100の断面図を図示する。創傷被覆材100の上方から見た平面図は、図1に示された断面図の位置を表示しているラインA−Aとともに、図2に図示される。図1が、装置100の一般化された概略図を図示することは、理解されるであろう。本願発明の実施形態が局所的陰圧(TNP)システムにおいて使用するために実質的に適用可能とされることは、理解されるであろう。簡潔に言えば、陰圧創傷閉鎖法は、組織浮腫を低減することによって、血流及び粒状の組織形成を促進することによって、過剰な滲出液を除去することによって、細菌の供給を低減することによって、(及び、それ故に感染のリスクを低減することによって、)多くの形態の「治癒しづらい」創傷の閉鎖及び治癒を手助けする。さらに、該療法は、創傷のより少ない障害を可能し、より迅速な治癒に導くことを可能にする。
【0026】
創傷被覆材100は、治療されるべき創傷部位上に配置されることができる。創傷被覆材100は、創傷部位上に密封された空洞を形成する。任意に、創傷包装は、創傷被覆材の下で、創傷空洞内で使用されることができる。適切には、創傷包装材料は、ガーゼ又は網状のポリウレタンフォーム材料とされることができる。
【0027】
本願発明を体現する装置のための陰圧の範囲は、約−50mmHgと約−200mmHgとの間とされる(それらの陰圧が通常の周囲大気圧力に対するものであり、それ故に、−200mmHgが、実際的な言い方をするなら、約560mmHgとされるであろうことに留意するべきである)ことは、予想される。適切には、陰圧の範囲は、約−75mmHgと約−150mmHgとの間とされる場合がある。代替的には、−75mmHgまでの陰圧の範囲、−80mmHgまでの陰圧の範囲、又は−80mmHg以上の陰圧の範囲は、使用されることができる。同様に、適切には、−75mmHg以下の陰圧の範囲は、使用されることができる。代替的には、−100mmHg以上の陰圧の範囲は、使用されることができ、又は−150mmHg以上の陰圧の範囲が使用されることができる。
【0028】
図1に図示されるように、創傷被覆材100の下部表面101は、任意の創傷接触層102によって提供される。創傷接触層102は、例えば、ホットピンプロセス(hot pin process)を介して穿孔される、又はいくつかの他の方法で穿孔される、又は、液体又は気体に対する透過可能に形成される、ポリウレタン層、ポリエチレン層、又は他の可撓性を有する層とされることができる。創傷接触層は、下部表面101及び上部表面103を有する。複数の穿孔104は、創傷接触層における貫通孔とされ、流体が創傷接触層を通じて流れることができる。創傷接触層は、創傷被覆材の他の材料内へ組織内成長を妨げるのに役に立つ。複数の穿孔は、この要件を満たすために十分小さいが、さらに流体が通過することを可能にする。創傷接触層は、ともに創傷被覆材の全体を保持するのに役立ち、任意の下部接触層及び上部接触層(図示せず)のために、キャリアーとして作用する。例えば、下部感圧性接着剤は、創傷被覆材の下部表面101上に提供されることができる一方、上部感圧性接着剤は、創傷接触層の上部表面103上に提供されることができる。感圧性接着剤は、シリコンベースの接着剤又はアクリルベースの接着剤、又は他のそのような接着剤とされる場合があり、創傷接触層の両側部、又は任意には、選択された一の側部、又はいずれの側部でもない部分で形成されることができる。下部感圧性接着剤が利用される場合に、これは、創傷部位の周りの肌に創傷被覆材を付着するのに役に立つ。
【0029】
フォーム層又は同様のものなどの多孔性材料の任意の層105は、創傷接触層の上方に配置される。この多孔性層は、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層への、液体及び気体を含んでいる流体の透過を可能にする。多孔性層105はまた、以下に詳細に述べられるポンプによって発生した圧力を分配するのに役立ち、それによって創傷部位全体は、均等な陰圧になる。天然又は合成とされる網状のフォーム又は不織布材料は、多孔性層105の多孔性材料として使用されることができる。
【0030】
吸収材料の層110が、該透過層105の上方に設けられる、又は、下部透過層が創傷接触層上に使用されない、又は、該透過層105又は該創傷接触層102が使用されない、又は、吸収層の下部表面が創傷接触層を形成する。吸収材料は、フォーム材料又は天然不織布材料又は人工不織布材料とされる場合があり、且つ任意に超吸収材料を含む場合がある、又は超吸収材料とされる場合があり、該吸収材料は、創傷部位から取り除かれた流体、特に液体のためのリザーバーを形成する。吸収層の材料はまた、創傷被覆材で収集された液体がスロッシング方式における流出することを防止する。吸収層130はまた、流体が創傷部位から抜き取られ、且つ該吸収層の至る所に蓄積されるように、吸上げ作用を介して該吸収層の至る所に流体を分配するのに役立つ。これは、吸収層の領域におけるアグロメレーション(agglomeration)を防止する。使用時に、吸収層が陰圧を経験するので、吸収層の材料は、そのような環境下で液体を吸収するように選択される。超吸収材料は、そのような材料の例である。しかしながら、十分な陰圧が予想される場合でも、超吸収材料ではない材料は使用されることができる。吸収層の材料は、親水性とされる必要はない。適切には、複数の結合性開口空隙(connective open voids)を有する材料が使用されることができる。適切には、陰圧の圧縮力に抵抗することができる材料、例えば、フォームセクニクス社によって製造された与圧されたFT11Mフォームが使用されることができる。適切には、吸収材料は、創傷被覆材が取り除かれる場合に、流体が戻って排出されることを妨げるように選択される。超吸収材料が使用される場合に、そのような材料が陰圧の圧縮力に対して伸張することが可能であることは、留意されるべきである。
【0031】
フォーム材料などの多孔性材料又は同様のものなどの多孔性材料のさらなる任意の層112は、吸収層110の上方に配置される。この多孔性層は、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層への、液体及び気体を含んでいる流体の透過を可能にする。さらなるオプションの層112はまた、創傷部位全体が均一な陰圧になるように、以下により詳細に記載されるようなポンプによって発生した圧力を分配するのに役立つ。網状のフォーム材料又は天然又は人工とされる場合がある不織布材料は、多孔性層112の多孔性材料として使用されることができる。該材料は、多孔性材料の前述された層105と同一の材料又は異なる材料とされる場合がある。
【0032】
フィルタ層130は、吸収層110の上方に設けられる。フィルタ層は、水蒸気及び気体が透過することを可能にするが、液体が透過することができない。フィルタ層130のフィルタ材料のための適切な材料は、MMT範囲(MMT range)から延伸されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる0.2ミクロンのゴア(登録商標)である。より大きい孔の寸法は使用されることもできるが、それらは、十分なバイオバーデン含有(full bioburden containment)を確実にするために第ニのフィルタ層を必要とする場合がある。創傷流体が脂質を含有するので、必須ではないが、例えば、0.2ミクロンのMMT−323の前に、1.0ミクロンのMMT−332の油分をはじくフィルタ膜を使用することが望ましい。これは、脂質が疎水性フィルタを遮断することを妨げる。
【0033】
他の種類の材料が、フィルタ層のために使用され得ることは、理解されるであろう。より具体的は、微孔性の膜には、薄く、平らな高分子材料のシートが使用されることができ、これは、数十億の微細孔を含む。選択された膜に応じて、それらの孔は、0.01マイクロメータから10マイクロメータ以上までのサイズに及ぶことができる。微孔性の膜は、親水性の形態(水濾過)及び疎水性の形態(撥水性)の両方で利用可能とされる。適切には、本願発明の特定の実施形態による創傷被覆材100は、微孔性疎水性膜(MHMs)を使用する。多数のポリマーは、微孔性疎水性膜を形成するために使用される場合がある。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル(PVDF)、及びアクリルポリマーである。それらの任意のポリマーの全ては、疎水性及び油をはじく性質(oleophobic)の両方とされる特定の表面特性を得るために、処理されることができる。そのようなポリマーは、マルチビタミン注入剤、脂質、界面活性剤、オイル、及び有機溶媒などの、低い表面張力を有する液体をはじくであろう。
【0034】
微孔性疎水性膜は、液体を遮断する一方、空気が該膜を通じて流れることを可能にする。それらはまた、感染性のエアロゾル及び粒子を潜在的に除去する高い効率的な空気フィルタである。微孔性疎水性膜の単一の部品は、機械的なバルブ又はベントを交換するために、オプションとして周知される。微孔性疎水性膜の組込みは、それ故に、患者への利益、及び費用/利益の割合を改善する製品組立の費用を低減することができる。
【0035】
フィルタ層130は、それ故に、気体が創傷被覆材を通じて上方向に排出されることを可能にする。しかしながら、液体、粒子、及び病原微生物は、創傷被覆材に含まれている。
【0036】
気体不透過性シール層140は、創傷被覆材の幅と交差して延在する。該気体不透過性シール層は、例えば、感圧性接着剤をその両側部に有しているポリウレタンフィルムとされる場合があり、気体に対して透過不可能であり、それ故に、該気体不透過性シール層は、創傷被覆材がその上に配置される創傷空洞を密封するように作用する。この方法において、効果的なチャンバーは、気体不透過性シール層の下に形成され、該気体不透過性シール層と創傷部位との間には、陰圧が確立されることができる。気体不透過性シール層140は、フィルタ層130に密封される。例えば、接着剤又は溶着技術を介して密封される。創傷被覆材から出ている気体は、それ故に、フィルタ層及びシール層を通過する。
【0037】
適切には、該シール層の材料は、高い透湿性を有することができ、例えば、BASF社によって製造されたエラストラン(登録商標)SP9109である。ドットパターン状に塗布されたアクリル接着剤は、透湿性を改善するのに役立つために選択的に使用されることができる。シール層160として高い透湿性を有する材料を使用することの利点は、創傷被覆材の流体処理能力が、フィルムを通じて発散し、大気へ拡散する水蒸気の作用によって、著しく増加されることができることができる点である。有利には、被覆材内で達成される高い湿度、及び大気圧下で、250mmHgまでの陰圧で、該装置の使用中に達成される材料の密接な接触の結果として、3000グラム/平方センチメートル/24時間のオーダーの発散速度は、容易に達成されることができる。
【0038】
図1に図示されるように、複数の貫通孔141のグリッドアレイは、シール層に設けられる。それらの貫通孔は、気体及び液体を含んでいる流体がシール層140を通過することを可能にする。代替的には、別個のカバー層及びシール層が使用される位置において、下に載置している複数の層の周囲領域にのみ延在する場合があり、その周囲領域において、外部層(以下に詳細に記載される)とフィルタ層との間で密封する。結果として、創傷部位から出ている任意の気体は、フィルタ層を介して排出しなければならない。液体は、フィルタ層の下の複数の層内に保持される。
【0039】
フォーム層などの、多孔性材料又は同様のものの層150は、シール層140の上方に配置される。この多孔性材料の層は、創傷部位から離隔する、液体及び気体を含んでいる流体の透過を可能にする。多孔性材料の層150はまた、以下に詳細に記載されるように、ポンプによって発生した圧力を分配するのに役立ち、それによって、創傷部位全体が、均一化された陰圧になる。網状のフォーム又は天然又は人工とされる場合がある不織布材料は、多孔性材料の層150の多孔性材料として使用されることができる。この材料は、下に載置している層105、112の材料と同一とされる、又は異なるとされる場合がある。
【0040】
カバー層160は、創傷被覆材100の吸収層を覆う。カバー層は、例えば、ポリウレタンフィルムとされる場合があり、バクテリアバリアとして作用し、汚れを停止する(stop fouling)ために液体中で保持されるのに役立つ。カバー層はまた、創傷被覆材の一体性を提供し、水蒸気及び気体に対して透過不可能である。カバー層は、一緒に創傷被覆材を保持するのに役立ち、構造的な一体性を提供する。上部表面171はまた、バクテリアフリーの汚れていない表面を提供する。代替物として、カバー層の材料は、高い透湿性を有することができ、例えば、BASF社によって製造されたエラストラン(登録商標)SP9109である。ドットパターン状に塗布されたアクリル接着剤は、透湿性を改善するのに役立つように選択的に使用されることができる。カバー層160として高い透湿性を有する材料を使用することの利点は、創傷被覆材の流体処理能力が、フィルムを通じて発散し、大気へ拡散する水蒸気の作用によって、著しく増加されることができることができる点である。有利には、被覆材内で達成される高い湿度、及び大気圧下で、250mmHgまでの陰圧で、該装置の使用中に達成される材料の密接な接触の結果として、3000グラム/平方センチメートル/24時間のオーダーの発散速度は、容易に達成されることができる。
【0041】
単一孔又は孔の近接配置として形成された単一の開口165は、上部カバー層の中央領域において形成される。単一の開口165は、カバー層の上部表面171上に配置されるポンプ170のインレットと流体連通する。動作中において、ポンプ170は、創傷被覆材を通じて流体を吸い上げる、すなわち、創傷接触層102の下の創傷部位から、第1の透過層105、吸収層110、さらなる透過層112、フィルタ層130、シール層140、及びさらなる透過層150を通じて、上方に流体を吸い上げる。
【0042】
本願発明の実施形態による創傷被覆材100を図示する図2を参照して、創傷被覆材の中央から離隔して、フォーム層及び吸収層110を上に載置している中央隆起領域201を囲んでいる縁部領域200へ、放射状に外側方向に延在する、カバー層170の上部表面171を見ることができる。図2はまた、カバー層上のポンプ170の配置を図示するのに役立つ。図2に示されるように、創傷被覆材の一般的な形状は、丸みを帯びた角領域202とともに、等しい側部長さを有している四角形とされる。本願発明の他の実施形態による創傷被覆材が、矩形形状、円形状、楕円形状の被覆材などのように、異なって形成されることができることは、理解されるであろう。
【0043】
図3は、図1、図2、及び図3に図示された創傷被覆材100の縁部領域200の拡大図を図示する。見られるように、カバー層160は、フォーム透過層150の上方に縁部領域まで延在する。ここで、カバー層は、シール層140及び創傷接触層102に固着される。図3はまた、創傷接触層102における複数の穿孔104がどのようにフォーム層105及び吸収層110の周りに延在しているのかを図示するのに役立つ。空間301が、図3において、シール層140の下に、且つ創傷接触層102の上方に、透過層105、112及び吸収層110の端部で、示されることに留意されるであろう。空間301は、図示の理由のためのみに示され、実際には、透過層及び吸収層は、いくぶん空間を低減するように傾斜されるであろう。さらなる空間302は同じように、図3において、シール層の上方に、且つカバー層の内側表面の下に図示される。また、これは、図示の理由のためにのみに含まれ、実際には、それらの空間は、製造方法においてニッププロセスに起因して避けられるであろう。使用する場合に、創傷被覆材が、カバー層の内側表面によって画定された領域内で陰圧にさらされるであろうことはまた、当業者によって理解されるであろう。そのような陰圧は、任意の残留空間を崩壊させる傾向があるであろう。
【0044】
本願発明の実施形態によれば、創傷接触層がオプションとされることは、理解されるであろう。使用される場合に、この層は、水に対して浸透性であり、下に載置している創傷部位と対向する。網状のポリウレタンフォーム層などの下部多孔性層105は、気体及び流体除去を分散するために使用され、それによって、創傷の全ての領域が等しい圧力にさらされる。シール層は、フィルタ層とともに創傷に亘って略液密密封を形成する。それ故に、ポンプ170が吸い上げるにつれて、陰圧は、シール層の下で発生する。この陰圧は、それ故に目標となる創傷部位で経験される。空気及び創傷滲出液を含んでいる流体は、創傷接触層及び網状のフォーム層105を通じて抜き取られる。創傷被覆材の下部層を通じて抜き取られた創傷滲出液は、分散され、且つ吸収層内に吸収され、該吸収層において、創傷滲出液が集められ、且つ蓄積される。空気及び水蒸気は、創傷被覆材を通じて上方に抜き取られ、中間透過層112を通じて且つフィルタ層及びシール層を通じて上方に抜き取られる。フィルタ層及びシール層は、水蒸気及び空気以外の任意の物質の創傷被覆材を通じた上方への移動を妨げるように、一緒に固定される。この空気及び水蒸気は、ポンプ170によって上方に、流体インレット300内に抜き取られる。ポンプは、流体出口(図示せず)を通じて、空気及び水蒸気として流体を排出する。
【0045】
上部透過層150及びカバー層160がオプションとされることは、留意されるべきである。それらの使用は、フィルタ層の一部が別の方法で閉塞される状態になる場合に、複数の方向付け中での使用に役立つ。別個のカバー層160が利用されない場合に、シール層はまた、創傷被覆材を覆う別の機能を実施し、それ故にカバー層としてさらに作用するであろう。
【0046】
フィルタ層を上に載置しているカバー層を有するというよりはむしろ、カバー層自体がフィルタ層によって上に載置されていることは、当業者によって理解されるであろう。カバー層はそれ故に、創傷被覆材の最も外側層とされる場合がある、又はフィルタ層は、創傷被覆材の最も外側層とされる場合がある。さらに、複数の外部層(図示せず)は、複数の外部層が気体及び水蒸気に対して透過可能とされる限り、任意に使用される場合がある。
【0047】
さらなるオプションとして、創傷被覆材は、抗菌性、例えば、創傷接触層上に微小結晶性銀物質(nanocrystalline silver agents)及び/又は吸収層内に硫化銀ジアジン(silver sulphur diazine)を含むことができる。これらは、別々に、又は一緒に使用される場合がある。これらは、創傷における微生物及び吸収マトリックスにおける微生物をそれぞれ殺す。さらなる任意の他の有効成分として、例えば、イブプロフェンなどの痛み抑制剤が含まれる場合がある。同様に、例えば、成長因子などの細胞活動を高める物質、又はマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(matrix metalloproteinase inhibitors)、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子(tissue inhibitors of metalloproteinase (TIMPS))、又は亜鉛キレート剤(zinc chelators)などの阻害物質(inhibit enzyme)が使用されることができる。さらなるオプションとして、活性炭(activated carbon)、ジクロデキストリン(cyclodextrine)、ゼオライト(zealite)、又は同様のものなどの臭気分離要素(odour trapping elements)は、吸収層内に含まれでもよく、又はフィルタ層上のさらなる層として含まれてもよい。
【0048】
図4は、図1、図2、及び図3に図示された創傷被覆材の拡大図を図示する。図4に図示されるように、創傷被覆材の最下部層は、穿孔された創傷接触層102とされる。使用する前に、さらなる下部保護層が、創傷接触層の下部表面101に固着される場合があることは、理解されるであろう。保護用紙(図示せず)は、創傷部位上に創傷被覆材の適用より前に、すぐに取り除かれる。製造中に、創傷接触層102の中央領域400は、創傷接触層のために窪んだ上部表面103を提供するように、僅かに窪んだ状態にさせる。
【0049】
透過層105は、創傷接触層の窪んだ中央領域400内に正しく配置される。フォーム層は、まっすぐな複数のカラム402のアレイと一緒に略矩形状のベース領域401を含む。図4に図示されるように、8×8のカラム402のアレイは、使用される場合がある。他の数のカラムが採用される場合があることは、理解されるであろう。複数のカラム402は、略円状の断面を有するけれども、異なる断面形状を有するカラム要素が使用されることができることは、理解されるであろう。カラム要素402及びベース区域401は、適切に一体的に形成されるけれども、それらのカラム要素及びベース区域は、カラム要素が例えば接着技術を介して、適切な方法でベース区域に固着される状態で、別々に形成されることができる。
【0050】
吸収層110は、透過層105の上に配置される。吸収層110は、吸収材料の層とされ、吸収材料の略矩形状のブロック404において形成された複数の貫通孔403を含む。複数の貫通孔は、下に載置している透過層において、まっすぐなカラム402と一致するように、8×8アレイにおいて設計される。複数の貫通孔403の数及びパターンがカラムの形状、数、及び配置と一致するように選択されることは、理解されるであろう。
【0051】
中間透過層112は、ベース区域405の下部表面から下向きに延在しているカラム406のアレイを有する、例えば、網状のフォーム、多孔性材料の略矩形状のベース区域405とされる。複数のカラム406は、吸収層における複数の貫通孔403の配置と一致する。中間透過層112の複数のカラム406が、透過層のベース部分405とともに一体に形成される場合があり、又はそれらにいくつかの様式で固着される場合があることは、理解されるであろう。下部透過層及び中間透過層の複数のカラム402、406の高さはそれぞれ、創傷被覆材が組み立てられる場合に、下部透過層の複数のカラム402の上部接触表面及び中間透過層の複数のカラム406の下部接触表面が接触するようにされる。
【0052】
それ故に、それらは、吸収層を通じて流体の透過経路を提供し、それによって、ポンプ170が動作している場合に、空気及び創傷滲出液を含んでいる流体が、下部領域から吸収層を通じて上方へ抜き取られる。
【0053】
フィルタ材料の矩形状の層130は、中間透過層のベース区域405の上部表面の上に配置される。フィルタ層は、フィルタ層を通じた液体の移動を阻止する。フィルタ層は、適切には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる0.2ミクロンのゴア(登録商標)である。
【0054】
シール層140は、フィルタ層130の上に配置される。シール層は、縁部領域及び略窪んだ中央領域407を有する。シール層140の下側はそれ故に、窪んでいる。5×5のグリッドアレイで設計された複数の孔のアレイは、シール層140を通じて形成される。複数の孔から離隔したシール層は、気密及び液密とされる。高い透湿性を有する材料が任意に使用される場合に、次いで、該シール層は当然ながら、水蒸気に対して透過可能とされることができる。液体及び気体を含んでいる流体は当然ながら、複数の穿孔を通じて浸透することができる。しかしながら、シール層の下側に固着されたフィルタ層130は、複数の孔を通じた液体の浸透を妨げ、ある程度、空気の浸透を妨げる。水蒸気は、複数の孔を通じて浸透することができる。
【0055】
網状のフォームのシートとして形成された上部透過層は、シール層140の上部表面の中央領域の上に配置される。上部透過層は、ポンプ170によって発生した陰圧を広げるのに役立つためのマニフォールド及び散布器として作用する。
【0056】
カバー層160は、シール層及び上部透過層150の上に配置される。カバー層は、縁部領域200及び中央隆起領域201を有する。カバー層の下側は、それ故に、上部透過層、シール層の隆起した中央領域、及びフィルタ層、中間透過層、吸収層、及び下部透過層を受容するために、中央窪み領域を提供する。中央開口165は、カバー層の上部表面の中央に形成される。中央開口165は、ポンプ170の流体インレット300と一致するように配置される。それ故に、使用中に、ポンプ170が使用される場合に、陰圧は、カバー層160の下に発生する。この陰圧は、創傷被覆材の至る所で、及び創傷接触層の下に配置される目標となる創傷で、分配される。陰圧が確立され、維持されるにつれて、創傷滲出液及び空気は、創傷部位から離隔して創傷被覆材を通じて上方に抜き取られる。液体及び空気は、創傷接触層を通じて下部透過層105のベース領域内に上向きに抜き取られ、下部透過層及び中間透過層における接続する複数のカラムを通じて上向きに抜き取られる。吸収層の全体を橋渡しするのに十分な高さを有している複数のカラムが、下部透過層105の上部表面又は中間透過層112の下部表面のいずれかに設けられることができることは、当然ながら理解されるであろう。代替的には、吸収層における複数の孔403は、創傷被覆材が製造される場合に、フォームシリンダーなどの透過材料で満たされる場合がある。創傷被覆材を通じて上方に抜き取られた任意の創傷滲出液は、吸収層の孔領域における吸収層から外側方向に分散される。液体はそれ故に、吸収層内で収集され、且つ吸収層内に蓄積される。空気及び水蒸気は、フィルタ層130及びシール層140を通じて上方に運ばれ、ポンプ170によって排出される。
【0057】
図5は、複数の孔403を含んでいる吸収層の上部表面404を図示している創傷被覆材の水平断面図を図示する。複数の孔403のそれぞれは、下部中間層からのカラム402などの吸収材料で満たされる。
【0058】
本願発明の特定の実施形態によれば、下部透過層から中間透過層へ透過されることができる流体連通経路が、下部領域及び中間領域の周囲領域とともにはさんで締め付けることによって、形成されることができることは、理解されるであろう。流体透過は、それ故に、創傷被覆材の周囲縁部の周りに生じるであろう。そのような流体経路は、吸収層における孔を貫通している複数のカラムによって形成された流体経路を取り換える場合があり、又は代替的には、そのような通路の代わりをすることができる。これは、結果として生じる創傷被覆材における層110における吸収材料の品質を最大限にするであろう。
【0059】
本願発明の特定の他の実施形態によれば、遠隔のポンプが、上部表面ではなく、創傷被覆材の縁部領域に取り付けられる場合があることに留意されるべきである。そのような場合において、チューブは、ポンプに直接的に接続されることができる。単一の使用に続いて、創傷被覆材及びポンプは、廃棄される場合がある。オプションとして、該チューブには、クリックフィットコネクタ(click fit connector)、又は遠隔のポンプに対応するチューブを介して接合された、対応する相手コネクタに接続されることができる他の容易なフィットコネクタが設けられる場合がある。この方法において、遠隔のポンプは、再使用されることができる一方、接続チューブ及びコネクタを含んでいる創傷被覆材自体は、単一の使用後に使い捨てされる。
【0060】
代替的に、チューブが、単一の二重ルーメンチューブによって提供されることができることは、理解されるであろう。さらなる代替物として、それらのチューブは、単一の連続的なループ状のチューブとされることができ、該チューブは蠕動ポンプのためのピンチローラを通過することができる。
【0061】
カバー層又は創傷被覆材の周囲の縁部領域上に取り付けられたポンプを含む本願発明の実施形態のために、一体型の電源及び制御回路が含まれることができることは、理解されるであろう。代替的には、電源がポンプの外部とされ、且つ遠くに取り付けられることができる。遠隔の電源及び/又は制御回路は、創傷被覆材の廃棄可能性を改善し、予備のバッテリーが使用される場合にバッテリーの再チャージを可能にする。
【0062】
使用時において、創傷被覆材が、所定の角度又は垂直で「逆さまに」使用される場合があることは、留意されるべきである。それ故に、上方及び下方に対する参照は、説明の目的のためのみに使用される。
【0063】
別個のカバー層及びシール層が使用される場所において、そのような層は、同一の材料又は異なる材料から製造される場合がある。
【0064】
この明細書の説明及び特許請求の範囲の至る所で、「備える」及び「含む」との用語、それらの変形、例えば「備えている」及び「備える」との用語は、「制限されないが、含んでいる」ことを意味し、他の一部、追加部、コンポーネント、一体部、及びステップを排除するために意図されない(排除されない)。
【0065】
この明細書の説明及び特許請求の範囲の至る所で、単数は、文脈が別な方法で必要とする限り、複数を含んでいる。特に、不定冠詞が使用される明細書は、文脈が別な方法で必要とする限り、単数と同様に複数を考慮するので、理解されるべきである。
【0066】
本願発明の特定の態様、実施形態、又は例と併せて記載された特徴、完全体、特性、混合物、化学成分、又はグループは、それらとともに不適合ではない限り、本願明細書に記載された任意の他の態様、実施形態、又は例に適用可能とされるように、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0067】
100 創傷被覆材
101 下部表面
102 創傷接触層
103 上部表面
105 任意の層、多孔性層、透過層
110 吸収材料の層
112 さらなる任意の層
130 フィルタ層
140 気体不透過性シール層
141 複数の貫通孔
150 多孔性層
160 カバー層
165 開口
170 ポンプ
171 上部表面
200 縁部領域
201 中央隆起領域
202 角領域
301 空間
302 さらなる空間
400 中央領域
401 ベース領域
402 カラム
403 貫通孔
404 ブロック
405 ベース部分
406 カラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷を被覆するための装置であって、
創傷滲出液を吸収するための吸収層と、
前記吸収層上の液体不透過性及び気体透過性のフィルタ層と
少なくとも1つのオリフィスを備えているカバー層と、
を備えている装置において、
前記吸収層は、前記フィルタ層と流体連通とされることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記吸収層の下に載置している液体透過性及び気体透過性の第1の透過層をさらに備え、前記第1の透過層が前記フィルタ層と流体連通することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記吸収層と前記フィルタ層との間に、液体透過性及び気体透過性のさらなる透過層をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記さらなる透過層が前記第1の透過層に接続され、
それによって、前記吸収層を含んでいる前記さらなる透過層と前記第1の透過層との間にポケットを提供し、前記さらなる透過層を介して前記フィルタ層と前記第1の透過層との間の流体経路を提供することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記吸収層は、少なくとも1つの貫通孔を備え、
前記第1の透過層及び/又は前記さらなる透過層は、少なくとも1つのカラム要素を備え、該少なくとも1つのカラム要素は、前記カラム要素を介して前記フィルタ層と前記第1の透過層との間の流体連通経路を提供するために、前記少なくとも1つの貫通孔を通じて少なくとも部分的に延在していることを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
【請求項6】
前記吸収層は、グリッドアレイにおいて配置された複数の貫通孔を備え、
前記第1の透過層は、前記複数の貫通孔の配置に対応している配置で、複数のカラム要素を前記第1の透過層の上部表面に備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記吸収層は、グリッドアレイにおいて配置された複数の貫通孔を備え、
前記さらなる透過層は、前記貫通孔の配置に対応している配置で、複数のカラム要素を前記さらなる透過層の下部表面に備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の透過層の下に穿孔された創傷接触層をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記創傷接触層の下部表面及び/又は上部表面に接着層をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記創傷接触層の下部表面に開放可能な保護層をさらに備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記カバー層と前記フィルタ層との間に液体透過性及び気体透過性の第3の透過層をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタ層と前記カバー層との間に、少なくとも1つの開口を備えている流体不透過性のシール層をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記カバー層は、少なくとも1つの開口を備えている流体不透過性のシール層を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの開口が複数の貫通穿孔を備えることを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記フィルタ層及び前記カバー層が、前記吸収層の縁部領域を超えて放射状に外側方向に延在し、それによって、周囲リップ領域を形成し、前記カバー層及び前記フィルタ層が、前記周囲リップ領域において一緒に密封されていることをさらに備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記カバー層及び前記シール層が、前記吸収層の縁部領域を超えて放射状に外側方向に延在し、それによって、周囲リップ領域を形成し、前記カバー層及び前記シール層が、前記周囲リップ領域において一緒に密封されていることをさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記カバー層にポンプ要素をさらに備え、該ポンプ要素は、前記カバー層におけるオリフィスと流体連通するインレットを備えていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記カバー層にアウトレットバルブをさらに備え、前記アウトレットバルブは、前記カバー層におけるオリフィスと流体連通し、遠隔のポンプ要素と流体連通する抽出導管に接続可能であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
創傷接触層及び/又は前記吸収層に抗菌物質をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
鎮痛物質及び/又は細胞活動強化物質をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記カバー層が前記フィルタ層の上にあり、又は前記フィルタ層が前記カバー層の上にあることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
臭気分離要素をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
創傷部位で局所的な陰圧(TNP)を適用する方法であって、
創傷部位と、創傷被覆材と密封された創傷部位の周りの周囲領域とから創傷滲出液及び空気を吸い上げるステップと、
前記創傷被覆材の吸収層において、前記創傷部位から吸い上げた創傷滲出液を収集するステップと、
前記吸収層と流体連通する前記創傷被覆材のカバー層及びフィルタ層における少なくとも1つのオリフィスを通じて気体を排出するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記創傷被覆材の第1の透過層を通じて、前記創傷部位からの創傷滲出液及び空気を収集するステップをさらに備え、前記フィルタ層及び前記吸収層が前記第1の透過層と流体連通していることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記吸収層とカバー層との間に配置された前記フィルタ層を介して気体を排出するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記吸収層と前記カバー層との間に配置された流体不透過性のシール層を介して気体を排出するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項23又は24に記載の方法。
【請求項27】
前記カバー層を備えている流体不透過性のシール層を介して気体を排出するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項23又は24に記載の方法。
【請求項28】
前記創傷被覆材の前記カバー層に取り付けられ、且つ前記吸収層及び前記カバー層の少なくとも1つのオリフィスと流体連通するポンプ要素を介して創傷滲出液を吸い上げるステップをさらに備えていることを特徴とする請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記創傷被覆材から遠隔の、前記吸収層及び前記カバー層の少なくとも1つのオリフィスと流体連通する、ポンプ要素を介して、前記創傷滲出液を吸い上げるステップをさらに備えていることを特徴とする請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の透過層を介して前記ポンプ要素によって前記創傷部位で発生した陰圧を分散するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記創傷部位からの病原体が前記フィルタ層を介して前記創傷被覆材から出ることを妨げるステップをさらに備えていることを特徴とする請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記フィルタ層の下にさらなる透過層と流体連通する前記第1の透過層を接続することによって、前記創傷部位から前記フィルタ層への流体流れのための流体経路を提供するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
流体透過材料で満たされた前記吸収層における複数の孔を介して、前記さらなる透過層に前記第1の透過層を接続しているステップをさらに備えていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記吸収層の境界を越えて少なくとも1つ又は複数の位置で、前記さらなる透過層に前記第1の透過層を接続するステップとさらに備えていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
0mmHg〜200mmHgの間の陰圧下で、前記吸収層において、創傷滲出液を吸収するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項23〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
添付した図面を参照して明細書に実質的に記載されるような方法。
【請求項37】
添付した図面を参照して明細書に実質的に記載されるように構成され、且つ配置された装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−504127(P2011−504127A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534550(P2010−534550)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/GB2008/051090
【国際公開番号】WO2009/066106
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY