説明

力を指示するトリガー機構を用いた触覚インターフェースハンドル

【課題】マスタ・スレーブロボットシステムにおいて、動作及び/又は触覚フィードバックに関して、ユーザーにとって直感的な操作性を提供すること。
【解決手段】スレーブ装置のテレマティクスによる制御のための方法及びシステムは、細長い本体を有するハンドグリップを含む。ハンドコントローラー式の制御インターフェースを含む。一つ以上のセンサーが、ハンドグリップに配置されるトリガーの物理的な変位を感知するために提供される。アクチュエーター又はモーターは、ハンドグリップの中に配置され、トリガーによって当該ハンドコントロールインターフェースのユーザーに適用される力を動的に制御するための、制御システムからの制御信号に応答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の装置は、ロボット方法及びシステムに関し、特に、そのようなシステムの触覚インターフェースの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
シンプルなユーザーインターフェースのシステムは、ロボット、ロボットマニピュレーター又は他のスレーブ装置のそれぞれの可動式の継手を独立して動作制御し得る。
【0003】
より複雑なシステムは、ユーザーの手の動きを感知するハンドコントローラー(hand controller)を含み得る。ハンドコントローラーは、ロボットの様々な動作(モーション)の操作を始動させるために用いられる、一つ以上の制御信号を生成する。例えば、あるハンドコントローラーは、自由に六次元もの次元で(すなわち、三つの直交軸に関する直線運動及び三つの直交軸の回転に関する回転運動)動作することができる。ロボットの制御システムは、所望のモーションを作り出すために、いくつかのサーボモーター、ソレノイド又はロボットマニピュレーター内の他のデバイスを駆動することにより、これらの制御信号に応答する。ビデオカメラは、ロボットマニピュレーターの周囲のワークピース及び/又は環境を注視する遠隔のオペレータに視覚情報を提供するために用いられることができる。
【0004】
触覚技術又は触覚科学(haptics)は、デバイスによってユーザーに提供される触角のフィードバックを伴う。触覚のフィードバックは、一般的には、ユーザーインターフェース装置の一つ以上の部分に力、振動及び/又は動作を適用することによって提供される。触覚科学は、時に、機械及びデバイスと関連する遠隔制御装置を拡張するために利用される。そのようなシステムにおいて、スレーブ装置の中のセンサーは、時に、そのような装置に働く力を検出するために用いられる。そのような力に関連する情報は制御ユニットに伝えられ、ユーザーに対して適切な触覚のフィードバックを生成するために用いられる。触覚フィードバックシステムの利用の増加に伴って、快適で、頑丈で、信頼性の高いユーザーインターフェース装置に対するニーズが引き続き存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハンドコントローラーの分野において、触覚機能を含むものが存在する。しかしながら、既存のハンドコントローラーは高価である。加えて、もたらされるロボットの動作及び/又は触覚フィードバックに関して、しばしばユーザーにとって直感的な体験を提供するように調整されていない。既存のシステムは、当該分野の用途に相応しい、堅牢な機械設計をも欠く傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スレーブ装置のテレマティクスによる制御のための方法及びシステムに関する。本方法は、一般的に、細長いハンドグリップに配置されるトリガーの物理的な変位を感知する段階を含む。前記物理的な変位は、一般的に、前記ハンドグリップの縦軸に垂直な径方向になされる。前記トリガーの前記物理的な変位に基づいて、一つ以上の第一の動作制御指令が、遠隔から制御されるロボットの把持装置の一つ以上の指の位置を制御するために生成される。力の検出(force sensing)が、前記把持装置おいて、前記指によって把持された物体にもたらされる力を測定するために実行される。前記力の検出に基づいて、前記物理的な変位に対する前記トリガーの抵抗が動的に制御される。いくつかの実施形態において、前記トリガーの前記抵抗は、前記指によって前記把持された物体にもたらされる前記力に比例するように制御される。前記物理的な変位に対する前記トリガーの前記抵抗を制御するための抵抗力は、前記ハンドグリップの中に配置されるモーター又はサーボを用いることによって提供されることができる。
【0007】
当該方法は、また、前記ハンドグリップに配置されるクラッチスイッチの位置を感知する段階も含む。この場合に、第一又は第二の動作制御指令が、前記クラッチスイッチが有効なスイッチ位置にある場合に、ロボットマニピュレーターアーム又は把持装置へ選択的に伝えられる。前記トリガーの位置は、前記ハンドグリップの前側と揃うように選択される。また、クラッチスイッチの位置は、前記前側に、前記トリガーに隣接して選択される。さらに具体的には、前記トリガーと前記クラッチスイッチの位置が、前記トリガーと前記クラッチスイッチのそれぞれが小さな距離をもって相隔たり、一般にグリップの軸と揃うように選択され得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、当該方法は、前記ハンドグリップに配置されるグリップ固定スイッチの有効化に応じて前記把持装置を形成する指の位置を固定する段階を含むことができる。さらに、当該方法は、前記ハンドグリップに配置されたスイッチに応じて、位置に基づく制御方式と速度に基づく制御方式との間で選択的に遷移する段階を含むことができる。
【0009】
さらに、当該方法は、あらゆる複数の制御方向の前記ハンドグリップの物理的な変位を感知する段階を含むことができる。そのような感知に応じて、一つ以上の第二の動作制御指令が、前記把持装置が取り付けられるロボットマニピュレーターアームに、前記ロボットマニピュレーターアーム又は前記把持装置の動作(すなわち、把持動作以外の動作)を生ずるために伝えられる。
【0010】
本発明は、細長い本体のハンドグリップを有する制御インターフェースを含むスレーブ装置についてのテレマティクスによる制御のシステムにも関する。ある実施形態において、前記グリップは、三つの直交する直線軸と三つの直交する回転軸に関して前記グリップの動きを感知する六軸の制御インターフェースと結合される。一つ以上のセンサーが、前記ハンドグリップに配置されるトリガーの、該ハンドグリップの縦軸に対して径方向の物理的な変位を感知するために提供される。モーター又はサーボモーターのようなアクチュエーターが、前記ハンドグリップの中に配置される。前記アクチュエーターは、前記トリガーがユーザーの指に適用する力を動的に制御するための制御信号に応答する。制御システムが、前記一つ以上のセンサーに動作可能なように結合される。前記制御システムは、前記一つ以上のセンサーからの出力信号に基づいて、前記スレーブ装置の動作を制御するための一つ以上の第一の動作制御指令を生成するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態において、スレーブ装置は、遠隔から制御されるロボットの把持装置である。さらに、第一の動作制御指令は、前記遠隔から制御されるロボットの把持装置の一つ以上の指の位置を制御するように構成されることができる。前記制御システムは、前記トリガーの前記物理的な変位の感知された範囲に基づいて、前記一つ以上の指の一部を可変的に制御するように構成される。さらに、前記制御システムは、前記指によって把持された物体にもたらされる力を表す、一つ以上の握力情報信号を受信するように構成される。前記握力情報信号に基づいて、前記制御システムは、前記トリガーによってユーザーの指にもたらされる力を変化させるために、前記アクチュエーターを動的に制御するための触覚制御信号を生成する。例えば、いくつかの実施形態における制御システムは、前記ロボットの指によって把持される物体にもたらされる力に比例するように、前記トリガーによって適用される力を変動させるよう構成される。前記トリガーによって前記ユーザーに適用される力は、前記ハンドグリップの中に配置されるモーター又はサーボモーターによって提供される。
【0012】
当該システムは、ハンドグリップ位置センサー出力信号を生成するために提供される、複数のハンドグリップ位置センサーもまた含む。前記ハンドグリップ位置センサー出力信号は、あらゆる複数の制御方向の前記ハンドグリップの物理的な変位を表す。前記制御システムは、ロボットマニピュレーターアーム又は把持装置の動作(前記把持動作以外の)を生ずるために、前記出力信号に応じて、一つ以上の第二の動作制御指令を生成するよう構成される。
【0013】
クラッチスイッチは、また、前記ハンドグリップにも配置される。前記制御システムは、前記クラッチスイッチが有効なスイッチ位置にある場合に、前記第一又は第二の動作制御指令を生成するよう構成される。前記トリガーは、前記ハンドグリップの前側に有利に配置される。前記クラッチスイッチの位置は、前記前側であり、前記トリガーに隣接する。前記ハンドグリップの前記前側の前記トリガーと前記クラッチスイッチの位置は、前記グリップの軸に概して揃えられる。グリップ固定スイッチもまた、前記ハンドグリップに配置される。前記制御システムは、前記グリップ固定スイッチの有効化に応じて、前記指の位置を選択的に固定するために前記グリップ固定スイッチに応答する。前記ハンドグリップに配置されるスイッチは、位置に基づく制御方式と速度に基づく制御方式との間で前記制御システムを選択的に遷移するためにも提供される。
【0014】
実施形態は、以下の図面への参照とともに説明される。同様の番号は、図面を通して同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ロボット制御システムの制御インターフェースを表す図。
【図2】図1のロボット制御システムのグリップ内部の拡大図。
【図3】図2のグリップの部品を表すブロック図。
【図4】ロボット制御システムとスレーブ装置ロボットとの相互作用を理解するために有益なブロック図。
【図5】把持装置を有するロボットマニピュレーターアームの特徴を理解するために有益な図。
【図6】図5のロボット制御システムと共に用いられ得るデータ処理システム及びデータリンクの詳細なブロック図。
【図7】ロボット制御インターフェースとクラッチ制御装置を有するロボットマニピュレーターとの間の相互作用を制御するためのテレマティクスによる方法を理解するために有益なフローチャート。
【図8】触覚のトリガー制御を含むロボット制御インターフェースとグリップ固定制御装置との間の相互作用を制御するためのテレマティクスによる方法を理解するために有益なフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、添付される図面への参照と共に説明される。同様の参照番号は、同様又は同等の要素を指定するために図面全体を通して用いられる。図面は、一定の比率の縮尺ではなく、本発明を単に説明する目的で提供される。本発明の複数の実施形態は、説明のための例示的な応用への参照と共に、以下で説明される。多数の特定の内容、関連及び方法が、本発明の完全な理解を提供するために説明されることが理解されるべきである。しかしながら、関連する技術分野において一般的な能力を有する者は、本発明が一以上の特定の内容なしに実施され、あるいは他の方法とともに実施され得ることを容易に認識するだろう。他の例では、既知の構造又は操作は、本発明を曖昧にすることを避けるために、詳細には示されない。本発明は、説明される動作又はイベントの順序によって制限されない。ある動作は、異なる順序で発生し、及び/又は他の動作若しくはイベントと同時に発生し得る。さらに、説明される動作又はイベントの全てが、本発明による手順を実装するために必須とは限らない。
【0017】
本発明は、テレマティクス制御システム、ハンドコントローラーに関係し、より具体的には、グリップの位置に基づいてユーザーの手の位置を測定可能なハンドコントローラーと共に用いられるグリップに関係する。グリップは、その動作、設計及び触覚フィードバック特性に関していくつかの改善を提供する。図1には、ハンドコントローラー101と連結したグリップ102が示されている。ハンドコントローラー101は、グリップの位置に基づいてユーザーの手の位置を測定することができる。いくつかの実施形態において、ハンドコントローラーは、三つの直交する直線軸(x,y,z)と三つの回転軸(ヨー、ピッチ及びロール)に関する動作を検出することができる。ハンドコントローラーは、複数の関節アーム107a、107b、108a、108b及び109a、109bを有する。複数の関節アームは、グリップがx、y及びz軸に関して移動できるように、互いに中枢的に(pivotally)取り付けられている。基部110の中に取り付けられるセンサー(図示されない)は、遠隔のスレーブ装置を制御するために用いられる出力信号を生成するために、関節アームの位置を検出する。出力信号は、基部110の中の電子回路により処理される。例えば、そのような電子回路は、一つ以上のコンピューター処理装置、メモリ装置及び遠隔に配置されるスレーブ装置との通信を支援するためのデータ送受信機を含み得る。アンテナ114が、無線通信のために基部110の上に提供され得る。
【0018】
ソケット部材106は、関節アームに取り付けられ、さらにボール継手を形成するようにソケット部材106に取り付けられているボール105を有する。ピン103はボール105に固定され、さらにボール105から径方向に伸びている。ピンは、グリップの動きがボールに伝えられるように、グリップ102に対する遠心端にしっかりと取り付けられている。ソケット106の中に取り付けられるセンサー(図示されない)は、三つの直交軸に関してボール105の回転運動を検出することができ、回転出力信号を生成することができる。ボール105の回転についての情報と、関節アーム107a、107b、108a、108b及び109a、109bの位置についての情報とは、グリップの位置データを生成するために有利に用いられる。この情報は、次に、スレーブ装置を制御するための制御信号を生成するために用いられる。一つ以上のアクチュエーター、モーター又はサーボモーター112が、関節アーム107a、107b、108a、108b及び109a、109bの動作を生ずるために、基部110の中に配置され得る。
【0019】
図2は、グリップ102の特徴を拡大して詳細に示す図である。グリップ102は、サブフレーム204が提供されるように、ケーシング202の形状をなす。ケーシング202は、金属又はポリマーのような剛体の材料からなり、一般に、握りやすいようにピストルグリップの形状をとり得る。そのようなものとして、ケーシングは、一般的に、グリップの軸246に揃えられ、細長い形状を有利に有する。剛体の支持ブロック244は、フレームに取り付けられる。また、剛体の支持ブロック244は、ピンがケーシング202の前方部203からグリップの軸に対して概して直角の方向に伸びるように、ピン103の遠心端に固定されている。ピン103は、グリップがボール105に固定される留め具の固定点を提供するために用いられる。
【0020】
サブフレーム204は、ケーシングの中にしっかりと取り付けられ、複数の追加の部品を支持する。サブフレーム204は、金属又はポリマーのような剛体の材料からなる、機械加工、鋳造又は成型による物であり得る。トリガー212はケーシング202を通って伸び、チャネル220内部にスライドできるように取り付けられるプランジャー214を含む。トリガーは、好ましくは、ボール105に面するグリップの前側205から伸びる。そのようにして、トリガーは、トリガーの軸248と同じ方向に移動することができる。図2で示されるように、いくつかの実施形態において、トリガーの軸は、トリガーの軸とグリップの軸が互いに概して直角であるように、グリップの軸246に関して定められる径方向と同じであり得る。図2から理解されるように、「径方向」の用語は、トリガーの軸248がグリップの軸246と正しい角度を作ることを要求しない。代わりに、トリガーの軸は、グリップの軸246により定義される直線に関してわずかに傾けられ、あるいは傾斜してもよい。また、トリガーの動作は、完全に直線ではなく、いくらか曲線状の経路に沿っていてもよい。この場合には、トリガーの動きは、グリップの軸246の周りを回転するのではなく、軸246の方向と概して直角であり、グリップの前側205に向かう方向を有する、概して径方向の経路に沿う。
【0021】
いくつかの実施形態において、トリガー212は、トリガーの軸248と概して垂直の方向に伸びる、細長い部材又は曲がり部材として形成される。他の実施形態において、トリガー212は、指によって第一の方向(前側205に向かう)又は第二の方向(前側205から離れる)に押され得るように、円形又はループ状の外形で形成され得る。ループ状のトリガー212は、ユーザーが、制御力を加えることができ、第一の方向及び第二の方向に触覚フィードバックの力を感じることができるため、好適である。それにもかかわらず、本発明はこの点で制限されず、あらゆる適合するトリガーの形状を用いることができる。
【0022】
図2に示される実施形態において、導材230、232は、力がトリガーに働いた場合に、チャネル220の長さに沿ってトリガーを導く。図2に示される実施形態において、チャネル220及びガイド230、232は、トリガーが押し下げられた場合に、グリップの軸に垂直な方向と連携し、概して直線の動作を有するように配置される。より具体的には、トリガーは、ケーシングの前側205からグリップ102の細長い長さに沿って定義される後方部へと概して伸びる方向に動く。さらに、他の実施形態もあり得る。トリガーは、代わりに回転軸について回転してもよい。この場合には、トリガーは、グリップの軸246の周りを円周方向の経路の中で回転するのではなく、グリップの軸246から伸びる放射状の直線と同じ方向に沿って概して動作する。
【0023】
いくつかの実施形態において、ラックギア222がプランジャー214の上に提供される。ラックギア222に関連するギアの歯は、プランジャー214のスライド動作がピニオンギアの回転を生じ、ピニオンギアの回転がプランジャー214のスライド動作を生ずるように、ピニオンギア234のギアの歯とかみあう。ピニオンギア234は、上部出力軸236及び下部出力軸228を有する。上部出力軸236は、サブフレーム204の棚部210の中に形成される開口部238を通って伸びる。上部出力軸は、上部出力軸の回転を感知する角度センサー208の入力軸に固定される。角度センサー208は、ブラケット226及び締め具224のような適切な手段により、サブフレーム204に固定され得る。角度センサー208は、エンコーダー又はメカニカルセンサー、電気センサー若しくは光学角度センサーを含む他の適切なセンサーであり得る。下部出力軸228は、サブフレーム204内部に位置するモーター206に接続される。モーター206は、クリップ218のような、あらゆる適切な手段によってサブフレーム内部の所定の位置に支えられる。いくつかの実施形態によれば、モーター206は、当該分野で既知である、ブラシレスDCモーター又はサーボモーターであり得る。
【0024】
当然のことながら、図2に示されるトリガー、プランジャー、ラックギア、ピニオンギア、サブフレーム、角度センサー及びモーターは、本発明のなし得る一つの実施形態である。しかしながら、その装置は、本発明のトリガーシステムを実装する方法についての可能性のある例を提供する意図で示されるに過ぎない。他の装置もまた可能である。例えば、チャネル内でのスライド動作ではなく、代わりに、トリガーが軸について回転するよう配置されてもよい。当然に、そのような実施形態において、トリガー212と、角度センサー208と、モーター206との間の機械的結合は、スライド動作とは対照的に、トリガーの旋回動作と連動するように変更されるだろう。したがって、発明の装置は、図2に示される機械的な説明に制限されることを意図されていない。代わりに、ハンドグリップ又はトリガーに関してここで説明されるものと同様の機能を実行できる、現在知られていない、あるいは将来知られる、あらゆる他の装置も用いられ得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、ケーシング202は、ユーザーが握ったときに、グリップをより人間工学的に、あるいは快適にする一つ以上の凹凸を含むように形成される形状を有する。スイッチの凹み240、242は、グリップの上の選択された位置で、複数の制御スイッチを受けるために提供される。好ましい実施形態において、クラッチスイッチ217は、グリップの前側205に提供され、トリガー212の下に空間を設ける。トリガーとクラッチスイッチ217との間の空間は、グリップ102がユーザーの手のひらで握られ、かつユーザーの人差し指がトリガーの上で休んでいるときに、ユーザーの中指(人差し指に隣接する指)がクラッチスイッチ217と概して揃うように、有利に選ばれる。あるいは、トリガー212とクラッチスイッチ217との間の空間は、ユーザーの人差し指がトリガー212の上で休んでいるときに、クラッチスイッチ217が前側205の上で休んでいるユーザーの別の指と揃うように、選ばれる。
【0026】
制御スイッチ216a、216bは、人差し指と親指との間のユーザーの手のひら又手の皮膜の部分がグリップ102の後側205に位置する場合に、ユーザーの親指によって容易にアクセスできるように、ケーシング202の上部に配置される。一つ以上の制御スイッチ216a、216bは、議論が進むにつれてさらに詳細に説明される、様々な目的のために提供され得る。例えば、制御スイッチの一つ216aは、グリップ固定制御装置(grip lock control)であってもよく、二つ目の制御スイッチ216bは位置に基づく制御と速度に基づく制御との間で制御システムを切り替えてもよい。
【0027】
図3は、グリップ102内部の様々な部品を表すブロック図である。適切な電気的接続が、示される部品のそれぞれに提供される。部品のそれぞれを接続される配線は、束になって、基部110の中に含まれる電子回路と接続され得る配線用ハーネス302を形成する。あるいは、グリップの中の部品への信号又はグリップの中の部品からの信号が、単一のシリアルバスケーブルを用いて、基部110の中の回路へ/回路から通信し得る場合には、シリアルバスコントローラー(図示されない)がグリップ102内部に提供され得る。当然ながら、本発明はこの点について制限されず、そのような信号を通信するための、あらゆる他の適切な装置も用いられ得る。
【0028】
図2に示されるように、配線用ハーネス302は、支持ブロック244及びピン103の内部で定められる通路を通って、ボール105へと有利に送られる。したがって、配線用ハーネスは、基部110へと送られ得る。先述の装置の利点は、グリップ102の動きを制限し、ユーザーの衣服の上でひっかかり、あるいは誤用により損傷を受ける可能性のある、グリップに接続される外部の配線用ハーネスが存在しないことである。さらに、本発明は、この配線の経路指定方式に制限されず、他の配置もまた可能である。例えば、配線用ハーネスは、ケーシング202の外側において、基部110へと直接送られてもよい。
【0029】
ここで説明されるハンドコントローラーは、無人地上車両(UGV)のようなスレーブ装置を制御するために用いることができる。スレーブ装置は、ロボットマニピュレーターアームもまた有し得る。ハンドコントローラーは、ユーザーの入力制御動作を感知し、ユーザー入力信号を制御システムプロセッサーに伝える。それに応じて、制御システムプロセッサーは、スレーブ装置のマニピュレーターアーム及び/又は把持装置の動きを制御するために、動作制御指令信号をスレーブ装置に伝える。データリンクは、動作制御指令信号を、遠隔に配置されるスレーブ装置に伝えるために使用され得る。ユーザーインターフェース、制御システムプロセッサー及びデータリンクは、全体で、触覚フィードバックを有するテレマティクス制御システムを有する。
【0030】
図4は、制御システム401(ハンドコントローラー101を含む)とスレーブ装置402とを含むロボットシステム400を表す略ブロック図である。制御システム401とスレーブ装置402との間で、データ通信システムが提供される。データ通信システムにより、制御システム401は、スレーブ装置402に指令を伝えることができ、スレーブ装置402からフィードバックを受信することができる。
【0031】
制御システム401は、ハンドコントローラー101、データ処理システム404及びデータリンク406を含む。いくつかの実施形態において、ハンドコントローラーは、直交する軸x、y及びzにより規定される動作についての、一つ、二つ又は三つの直線方向に沿った手の動きを感知することができる。いくつかの実施形態におけるハンドコントローラーは、一つ、二つ又は三つの回転軸の周りで回転する手の動きを感知することもできる。
【0032】
データ処理システム404は、命令のセットでプログラムされたポータブルコンピュータを含み得る。データ処理システム404は、ハンドコントローラー101と分離し得る。そのような実施形態において、ハンドコントローラー101とデータ処理システム404との間で有線又は無線の通信リンクが提供され得る。いくつかの実施形態において、データ処理システム404は、ハンドコントローラー101に完全に統合される。例えば、データ処理システム404は、ハンドコントローラー101に関連する基部110へと統合されてもよい。データ処理システム404は、ビデオ画像を表示するために、図示される統合されたディスプレイユニット405を有し得る。しかしながら、本発明はこの点において制限されず、別個のビデオディスプレイユニット(図示されない)がデータ処理システムと共に用いられてもよい。
【0033】
制御システムは、データリンク406もまた有する。データリンク406は、分離したユニットであり得る。あるいは、データ処理システム404がハンドコントローラー101へ統合される場合には、データリンク406をハンドコントローラー101の内部に統合することは有益であり得る。データリンク406は、スレーブ装置402で提供されるデータリンク408とデータを送受信するために適切な、あらゆる種類の有線又は無線送受信機を含み得る。データリンク406、408が無線装置である場合には、無線インターフェースは、あらゆる種類の既知の無線インターフェース規格に基づき得る。そのような既知の無線インターフェース規格の例は、Bluetooth無線規格及びIEEE802.11規格のファミリーを含み得る。しかしながら、本発明はこの点において制限されず、あらゆる他の無線インターフェース標準が用いられてもよい。データリンクにわたって通信されるデータは、スレーブ装置402に向けられる動作制御指令、スレーブ装置402からデータ処理システム404へ伝えられるフィードバックデータ及びスレーブ装置402からデータ処理システム404へ伝えられるビデオデータを含み得る。データリンクは、送信機回路606、受信機回路608、受信/送信スイッチ604及びアンテナ602を含み得る。
【0034】
スレーブ装置402は、制御システム401から受信されるテレマティクスの指令に基づいて、移動、操作及び/又は把持動作を行うことができる、あらゆる種類の遠隔から制御される装置又はロボットシステムであってもよい。スレーブ装置402は、動作制御指令を処理するためのオンボードの回路を含み、フィードバックデータを制御システム401に伝える。例えば、スレーブ装置402は、オンボードのコントローラー410を有利に含むことができる。オンボードのコントローラー410は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のような、あらゆる適切な種類の処理装置であってもよい。オンボードのコントローラー410は、ここで説明される方法を実行するために、ソフトウェア、ファームウェア又は他のプログラムをさらに含んでもよい。オンボードのコントローラー410は、データリンク408に関わる通信処理を実行する。通信処理は、データリンク406に関してここで説明される通信機能と同様の通信機能を提供することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、スレーブ装置402は、遠隔から制御されるマニピュレーター412で構成される。マニピュレーター412は、スレーブ装置と関連する、あらゆる可動の機械式の付属物を含み得る。いくつかの実施形態によれば、マニピュレーターは、一つ以上の機械式継手を含む、遠隔から制御されるマニピュレーターアームであってもよい。図5は、例えば、そのような実施形態のスレーブ装置402を表す。しかしながら、マニピュレーター412の一つの実施形態についての簡単な説明は、本発明の理解を助けるために提供される。
【0036】
マニピュレーター412は、把持装置419及び一つ以上のサーボ4141、4142、・・・、414nあるいは動作制御指令信号により定義された方向及び速度で、マニピュレーターの一つ以上の機械式継手420、422、424を動かすための他の適切な駆動装置(motivating device)を含むことができる。サーボは、物体を握るための把持部419を操作するためにも用いられることができる。スレーブ装置402から制御システム401へ伝えられるフィードバック情報は、マニピュレーター412の一つ以上の可動式の継手に関する位置情報を含むことができる。位置情報は、一つ以上のセンサー4161、4162、・・・416jによって提供されることができる。図5において、例えば、センサー4161、4162、・・・416jは、可動式の継手420、422、424のそれぞれで提供される。いくつかの実施形態において、センサーは、マニピュレーター及び/又は把持装置に加わる力を感知するために、把持装置419の可動部分に提供されることもできる。例えば、一つ以上のセンサー4171、4172、・・・417は、この目的のために用いられ得る。センサーは、把持装置409によって、物体に働く握力(grasping force)を検出することができる。図5において、三つのセンサーが、把持装置419の土台に示されているが、本発明はこの点において制限されない。より多くの、あるいはより少ないセンサーが提供されてもよい。
【0037】
センサー4161、4162、・・・416及び4171、4172、・・・417からのデータは、オンボードのコントローラー410に伝えられる。コントローラー410は、データをデータリンク408に伝える前に、あらゆる必要なデータの整形(formatting)を実行する。その情報は、次にデータリンク408により、制御システム401のデータリンク406に伝えられる。一つ以上のカメラ418がマニピュレーターの一部に取り付けられることができ、カメラからのビデオ情報は、同様に制御システム401へと伝えられることができる。
【0038】
図6は、データ処理システム404をさらに詳細に説明する図である。データ処理システムは、システムインターフェース624、ユーザーインターフェース342、中央演算処理装置(CPU)614、システムバス612、システムバス612を通してデータ処理システム404の他の部分に接続され、さらにそれらの部分からアクセス可能なメモリ616及びシステムバス612に接続されるハードウェアエンティティ(hardware entity)618を含む。システムインターフェース624により、データ処理システム404は、データリンク406、ネットワーク装置及び他のデータリンクと、有線の通信リンクを通じて直接に通信することができる。少なくともいくつかのハードウェアエンティティ618は、メモリ616へのアクセス及びメモリ616の利用を含む動作を実行する。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ディスクドライブ及び/又はCD-ROMであり得る。
【0039】
ハードウェアエンティティ618は、マイクロプロセッサ、ASIC及び他のハードウェアを含み得る。ハードウェアエンティティ618は、本開示書で説明される、データ通信サービス及びスレーブ装置の制御処理の提供を容易にするためにプログラムされる、マイクロプロセッサを含むことができる。この点において、当然ながら、マイクロプロセッサは、本開示書で説明される、剛性評価及びスケーリング操作(scaling operation)を含む、スレーブ装置の制御処理にアクセスして実行することができる。通信処理は、信号受信処理、信号加工処理、信号生成処理及び信号通信処理を含むことができるが、これに制限されない。
【0040】
図6に示されるように、ハードウェアエンティティ618は、コンピューター読み取り可能な記憶媒体628を有するディスクドライブユニット626を含むことができる。該記憶媒体628は、本開示書で説明される一つ以上の手順、手続き又は機能を実装するよう構成される、一つ以上の命令のセット620(例えば、ソフトウェアコード)を保管する。命令620は、また、データリンク206によってその命令が実行されている間に、メモリ616及び/又はCPU614の内部に、完全に又は少なくとも部分的に存在し得る。メモリ616とCPU614は、機械読み取り可能な媒体を構成することもできる。ここで用いられる「機械読み取り可能な媒体」の語は、一つ以上の命令620のセットを保管する、単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型データベース及び/又は関連するキャッシュ及びサーバー)を指す。ここで用いられる「機械読み取り可能な媒体」の語は、また、データ処理システム204に、本開示書のあらゆる一つ以上の手順を実行させる命令620のセットを保管し、符号化し、又は実行することのできる、あらゆる媒体を指す。
【0041】
図2−8について、本発明の例示的な実施形態を以下で説明する。図7において、クラッチスイッチは、ハンドコントローラーについてのユーザーの操作がスレーブ装置のマニピュレーターアームの動作をもたらすかどうかを決定するために用いられる。図7における処理方法は、ステップ702において開始され、ステップ704に続く。ステップ704において、更新された位置データは、ハンドコントローラーから取得される。更新された位置データは、自由な六つの次元(三つの直交する直線軸及び三つの直交する回転軸)に関するハンドコントローラー101の位置を含むことができる。
【0042】
ステップ706において、システムは、クラッチスイッチ217の状態を決定する。クラッチスイッチ217は、マニピュレーターアームが手の制御の動きに応じるかどうかを制御する。クラッチスイッチ217が有効化された場合には(例えば、スイッチが閉じられる)、マニピュレーターアームは、グリップ102及び/又はトリガー212の動きに応じる。反対に、クラッチスイッチが有効化されない場合には(例えば、スイッチが開かれる)、制御システム401は、マニピュレーターアームがグリップ102の動きに応じないようにする。本発明のいくつかの実施形態において、クラッチスイッチ217は、図2に示されるグリップの前側205のトリガーの下に位置する。しかしながら、本発明はこの点において制限されない。
【0043】
ステップ708において、システムは、クラッチスイッチが有効であるかどうかを決定する。そうでなければ(708:No)、システムはステップ712に進み、マニピュレーターアームの無動作指令(zero motion command)が生成される。しかしながら、クラッチスイッチが有効である場合には(708:Yes)、システムはステップ710に続く。ステップ710において、ハンドコントローラーの動作は、マニピュレーターアームのための動作指令へと変換される。このステップは、ハンドコントローラー101から受信される信号を、マニピュレーターアームの動きを生ずるために適切な形式へと変換する段階を含み得る。いくつかの実施形態において、ステップ710は、ハンドコントローラー101が所定の時間内に動いた距離、そのような動きの方向及び/又はそのような動きの速度を測定する段階を含み得る。当業者に理解されるように、そのような情報は、ハンドコントローラー101の動作を感知するために提供される、一つ以上のセンサーから取得される。
【0044】
ステップ714において、一つ以上の動作制御指令が、データリンク206、208を用いてマニピュレーターアームに伝えられる。コントローラー210は、マニピュレーターアームの、一つ以上のアクチュエーター又は駆動装置(電気モーター、サーボ等)を制御することにより、そのような指令に応答する。それらのアクチュエーターは、ハンドコントローラー101におけるユーザーの入力指令に応答して、マニピュレーターアームの動きを作り出す。例えば、いくつかの実施形態において、動作制御指令は、マニピュレーターアームの動きを生ずる。
【0045】
ステップ718において、触覚フィードバックのデータは、ロボットのマニピュレーターアーム202と関連する一つ以上のセンサーから取得される。より具体的には、ステップ718において、マニピュレーターアーム又はそれに関連する把持装置が物体に接触した場合には、接触力(contact force)が測定される。接触力は、ロボットスレーブ装置402、それに関連するマニピュレーターアーム412又はその把持装置419の力センサー又は圧力センサー4171、4172、・・・417によって取得され得る。ステップ720において、マニピュレーターアーム202からのフィードバックデータは、先に説明したように、データリンクを用いて制御システム201に伝えられる。
【0046】
ステップ722において、クラッチが有効であるかどうかの決定が再度なされる。有効でなければ(722:No)、制御システムは無力(zero force)指令を生成し、ユーザーインターフェース(ハンドコントローラー101)にそのような無力指令を伝える。無力指令は、ユーザーインターフェースによりユーザーに適用される力がないことを示す。あるいは、クラッチが有効であると決定された場合には(722:Yes)、制御システムは、ユーザーインターフェースで力を生成する、一つ以上の力指令(force command)を生成する。測定された力に応じて、ハンドコントローラーで生成されるべき適切な力を決定するための、さらなる処理が実行され得る。
【0047】
ステップ728において、力指令により、ユーザーインターフェースは、ユーザーに力を加える(無力指令でないと仮定する)。その力は、ハンドコントローラー101によって、六つの異なる方向、すなわち直交する三つの直線軸及び三つの回転軸に関して定義されるベクトル方向にもたらされる。ステップ730において、例えばユーザー入力に応じて、その処理が終了すべきかどうかの決定がなされる。終了すべきである場合には(730:Yes)、次にその処理はステップ732で終了する。その処理が終了しない場合には(730:No)、次に処理はステップ704に戻る。
【0048】
図7に関して上で説明された実施形態において、クラッチスイッチは、ロボットアームの動作を制御するためだけに用いられた。しかしながら、当然に、本発明はその点において制限されない。代わりに、クラッチは、ロボットアームに関して説明されたものと同様の方法で、把持装置の動作を制御するために用いられることもできる。例えば、把持装置においてロボットの指の動作を始動する把持動作は、図8に関して以下で説明されるように、トリガーによって制御されることができる。いくつかの実施形態におけるそのような把持動作は、クラッチ制御によって有効化され、あるいは無効化される。
【0049】
図8は、ハンドコントローラー101を用いて実行される把持動作をさらに詳細に説明する。図8における処理の方法は、ステップ802において開始し、ステップ804に進む。ステップ804において、更新された位置データが、ハンドコントローラーのトリガーから取得される。更新された位置情報は、角度センサー208により提供される、トリガー212の位置に関する位置データを含み得る。そのようなデータは、そのようなトリガーに力を加えるユーザーによって決定される、トリガー212の位置を表す。例えば、トリガーは、ユーザーの人差し指とともに動作することができる。
【0050】
ステップ806において、システムは、グリップの固定スイッチ216aの状態を決定する。グリップの固定スイッチ216aは、把持装置419に関連する一つ以上のロボットの指502の位置をロックする。一度グリップの固定スイッチが有効になると、ユーザーは、トリガー212を離すことができ、把持装置は物体に関する握力を保持する。
【0051】
ステップ808において、システムは、グリップの固定スイッチが有効であるかどうかを決定する。有効であれば(808:Yes)、システムはステップ811に進み、把持装置の指の無動作指令が生成される。しかしながら、グリップの固定スイッチが有効でない場合には(808:No)、システムはステップ810に進む。
【0052】
ステップ810において、ハンドコントローラーのトリガー動作は、ロボットの指502の位置を変化させる動作指令に変換される。このステップは、角度センサー208から受信された信号を、ユーザーにより指示された方向にロボットの指を動かすための適切な形式へと変換する段階を含む。いくつかの実施形態において、ステップ810は、プランジャー214が所定の時間内に動いた距離、そのような動きの方向及び/又はそのような動きの速度を測定する段階を含み得る。当業者に理解されるように、そのような情報は、角度センサー208から取得され得る。
【0053】
ステップ812において、一つ以上の動作制御指令が、データリンク206、208を用いて把持装置に伝えられる。ステップ814において、コントローラー210は、制御装置の、一つ以上のアクチュエーター又は駆動装置(電気モーター、サーボ等)を制御することにより、そのような指令に応答する。それらのアクチュエーターは、トリガー212におけるユーザーの入力指令に応答して、ロボットの指の動きを作り出す。
【0054】
ステップ816において、把持装置は物体を握り、その把持力(grip force)が測定される。把持力(gripping force)は、把持装置419の力センサー又は圧力センサー4181、4182、・・・418から取得され得る。その後に、ステップ818において、測定された把持力データは、先述したようにデータリンクを用いて制御システム201に伝えられる。ステップ820において、ステップ816で測定された力は、ハンドコントローラー、特にトリガーのアクチュエーターに向けられる、一つ以上の把持力指令を生成するために用いられる。ステップ822において、把持力指令により、トリガーは、ユーザーに力を加える。例えば、力指令により、モーター206は、ピニオンギア228及びラックギア222を通じてプランジャー214に伝えられる回転力を生成する。力は、把持装置においてセンサーにより測定された力によって、グリップの軸に向かう方向又はグリップの軸から遠ざかる方向に向けられ得る。
【0055】
ステップ824において、例えばユーザー入力に応じて、その処理が終了すべきかどうかの決定がなされる。終了すべきである場合には(824:Yes)、次にその処理はステップ826で終了する。その処理が終了しない場合には(824:No)、次に処理はステップ804に戻る。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態において、制御システム201は、モーター206によりプランジャー214に適用される力が、ユーザーによりトリガー212に適用される力の方向と反対となるように構成される。より具体的には、トリガー212がグリップに向かって押下げられるとともに、把持装置419は、指502の間に位置する物体を徐々に握ることにより、握力を適用する。指502により物体に適用される力は、ユーザーが、トリガーをグリップ102にさらに押し込むにつれて増加する。把持力は、センサー4171、4172、・・・417によって感知され、そのような情報は、上で説明したように、制御システムに送り返される。制御システムは、モーターによりトリガーに適用される触覚の力が、センサーにより検出される力のレベルが高くなるにつれて強くなるように、制御信号をモーター206に適用する。同様の結果は、ユーザーが、トリガー212をグリップから離すように動かした場合に生ずる。センサー4171、4172、・・・417は、ロボットの指に適用されるような、あらゆる力を検出する。それらの感知された力は、トリガー212によってユーザーの指に適用される力を生成するために用いられる。
【0057】
上述の装置は、とても直感的な把持操作及びフィードバックをユーザーに提供する。ユーザーは、トリガー212を押下げることによって、把持動作を生ずる。ユーザーによるそのような動作は、直感的に親しみがある。なぜなら、ユーザーが実際に物体を掴む方法、すなわち、人差し指を親指に向かって動かすことと同様だからである。触覚のフィードバックもまた、ユーザーの観点からとても直感的である。なぜなら、ユーザーは、自らの手で物体を直接掴んだときに体験する方法にとても近い方法で、握力が強くなることを感知することができるためである。ユーザーは、ロボットの指が物体に接触するか、あるいは抵抗する力に出合った場合にも、触覚のフィードバックを受け取る。
【0058】
図2を再度参照すると、制御システムは、ハンドコントローラー101から受信される動作制御入力に応じる方法を変えることにより、スイッチ216bに応答するようにも構成され得る。例えば、ステッチ216bは、位置に基づく制御システムと、速度に基づく制御システムとの間で制御システムを切り替えるために用いられることができる。位置に基づく制御システムにおいては、ユーザーインターフェースの位置の変化が、マニピュレーターアームの所望の位置における、指令による変化(commanded change)をもたらす。速度に基づく制御方式においては、ユーザーインターフェースの位置の変化が、マニピュレーターアームの指令による速度における変化をもたらす。スイッチ216bを押すことにより、制御システムは、これらの二つの制御モードを切り替える。
【0059】
同様の方法で、把持部の指の開く動作と閉じる動作は、位置モードか速度モードかで制御されることができる。位置モードにおいては、トリガーの位置における変化が、把持部の指の位置における、指令による変化をもたらす。速度モードにおいては、トリガーの位置における変化が、把持部の指の開く速度又は閉じる速度における、指令による変化をもたらす。ある実施形態において、二つのモードの間の切り替えは、現在のトリガーの位置、前のトリガーの位置、時間及びロボットの指の測定された把持力の関数(function)に基づいて、データ処理システム404により自動的に実行される。一般に、位置モードと速度モードとの間の、このような自動的な切り替えは、ボタンの押下を含む、測定可能なシステムの入力と状態とのあらゆる関数に基づき得る。
【0060】
本発明の実施形態は、UGV及びロボットマニピュレーターアーム412のような、ロボットスレーブ装置202に関して説明されたが、当然ながら本発明はそのように限定されない。代わりに、遠隔から制御されるスレーブ装置202は、テレマティクスシステムの使用を通じて操作者により遠隔から制御されることのできる、あらゆる種類のデバイスであってもよい。ここで用いられたように、テレマティックスシステムの語は、通信装置を介して情報を送信し、受信し、保管することができ、同時に遠隔の物体に関して制御をもたらす、あらゆる技術を含み得る。
【符号の説明】
【0061】
101 ハンドコントローラー
102 グリップ
103 ピン
105 ボール
106 ソケット
107a、107b、108a、108b、109a、109b 関節アーム
110 基部
112 モーター
114 アンテナ
202 ケーシング
203 前方部
204 サブフレーム
205 前側
206 モーター
208 角度センサー
210 コントローラー
212 トリガー
214 プランジャー
216a、216b 制御スイッチ
217 クラッチスイッチ
218 クリップ
220 チャネル
222 ラックギア
224 締め具
226 ブラケット
228、236 出力軸
230、232 導材
234 ピニオンギア
238 開口部
240、242 凹み
244 支持ブロック
246 グリップの軸
248 トリガーの軸
302 配線用ハーネス
400 ロボットシステム
401 制御システム
402 スレーブ装置
404 データ処理システム
405 ディスプレイユニット
406、408 データリンク
410 コントローラー
412 マニピュレーター
414 サーボ
416、417 センサー
418 カメラ
419 把持装置
420、422、424 継手
502 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スレーブ装置のテレマティクスによる制御の方法であって:
細長いハンドグリップに配置されるトリガーの、該ハンドグリップの縦軸と垂直な径方向の物理的な変位を感知する段階と;
前記トリガーの前記物理的な変位に基づいて、遠隔から制御されるロボットの把持装置の一つ以上の指の位置又は速度を制御するための一つ以上の第一の動作制御指令を生成する段階と;
前記指によって把持された物体にもたらされる握力を前記把持装置において検出する段階と;
前記検出に基づいて、前記トリガーによってユーザーにもたらされるトリガーの力を動的に制御する段階と;
を有する、方法。
【請求項2】
前記指によって前記把持された物体にもたらされる前記握力に比例するように前記トリガーの力を制御する段階
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
あらゆる複数の制御方向の前記ハンドグリップの物理的な変位を感知する段階と;
該感知に応じて、前記把持装置が取り付けられるロボットマニピュレーターアームに、前記ロボットマニピュレーターアーム又は前記把持装置の動作を生ずるための一つ以上の第二の動作制御指令を伝える段階と;
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ハンドグリップに配置されるクラッチスイッチの位置を感知する段階と、
前記クラッチスイッチが有効なスイッチ位置にある場合に、前記ハンドグリップの感知された前記物理的な変位に応じて、前記ロボットマニピュレーターアーム又は前記把持装置を動かすための動作制御指令を生成する段階と;
をさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドグリップの中に配置されたモーターを用いることにより前記トリガーの力を生成する段階
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハンドグリップに配置されたグリップ固定スイッチの有効化に応じて前記指の位置を選択的に固定する段階
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
位置に基づく制御方式と速度に基づく制御方式との間で選択的に遷移する段階
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
スレーブ装置のテレマティクスによる制御のシステムであって:
細長い本体を有するハンドグリップを含む制御インターフェースと;
前記ハンドグリップに配置されるトリガーの、該ハンドグリップの縦軸に対して径方向の物理的な変位を感知するために構成される少なくとも一つのセンサーと;
前記ハンドグリップの中に配置され、前記トリガーによってユーザーに適用されるトリガーの力を動的に制御するための制御信号に応答するアクチュエーターと;
を有するシステム。
【請求項9】
前記制御インターフェースと通信し、前記物理的な変化に応答して変化する握力を物体に適用するために構成されるスレーブ装置
をさらに有し、
前記制御信号は、前記スレーブ装置により前記物体に実際に適用される、前記変化する握力を測定するために構成される第二のセンサーの出力に応答して選択的に変化する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも一つのセンサーに動作可能なように結合され、かつ前記少なくとも一つのセンサーからの出力信号に基づいて前記スレーブ装置の動作を制御するための一つ以上の第一の動作制御指令を生成するよう構成される制御システム
をさらに有する、請求項8に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−125918(P2012−125918A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272064(P2011−272064)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】