説明

加工システム及びその方法

【課題】「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」の4つのフリーロケーションによる金型管理を行う。例えば、パンチP及びダイDのそれぞれに、複数の種類の金型装着情報が関連付けられて、複数の種類の金型情報の中から特定された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択する。
【解決手段】「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」についてフリーロケーションによる金型管理を行う。パンチPおよびダイDを管理すると共に、加工機3の上部タレットに装着された複数のパンチP、下部タレットに装着された複数のダイDから選択されたパンチP及びダイDの協働により加工を行う加工システム1である。パンチP及びダイDのそれぞれに、複数の種類の金型情報が関連付けられて、複数の種類の金型情報の中から特定された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択する選択手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工システム及びその方法に関し、特に「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」に係るフリーロケーションを利用した加工システム及びその方法に関する。例えば、パンチ及びダイのそれぞれに、複数の種類の金型装着情報が関連付け、複数の種類の金型情報の中から選択された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択する加工システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」の4つの場合に分けて説明する。
【0003】
[1]金型個別管理の場合
(1)金型個別管理では、加工機のタレットに装着し、加工を行う金型の管理は加工プログラムへの記載方法から金型ラックへの保存まで所定の決まりに基づき運用されている。例えば、一例として以下に説明する内容のような運用をしている。
【0004】
(2)加工プログラムに記載する工具指令は工具が装着されているタレットのステーション番号または、ラックに格納されている金型番号を指定している。
【0005】
(3)加工プログラムを作成するとき使用する工具のダイは加工する材料の板厚寸法から、機械の金型装着データ内のダイ寸法を検索して該当のダイ番号を決定している。
【0006】
(4)加工機に装着されている金型は金型番号単位で管理されており、パンチ金型1本とダイ金型2個(クリアランス違い)のセットを管理している。
【0007】
[2]金型番号管理の場合
(1)金型番号管理では、金型の種類又は加工方法によって、タレット上の指定したステーション番号の金型で加工を行う場合がある。加工プログラムを加工機側のタレット上の金型装着状況に応じてT番号を自動変換する機能では、加工機側の金型毎に「挿入先のステーション番号」を設定して、設定した金型で加工する場合は、加工プログラムのT番号を必ず指定したステーション番号に変換して加工プログラムを作成する。
【0008】
(2)「挿入先のステーション番号」設定は、スケジュール運転(複数の加工プログラムを実行順に並べたもの)を行う場合は、スケジュール運転の全加工プログラムに対して同一金型は全て同じ「挿入先のステーション番号」に割り当て、加工プログラム毎に変えることは出来ない。
【0009】
(3)加工プログラム内で同一の金型は同一のステーション番号に割り当てている。
【0010】
(4)T番号自動変換する機能で、ステーション番号を決定する時に挿入先のステーション番号の候補が複数存在する場合は、最終的に加工プログラムの元番号(最後に使用した番号)、元トラック(最後に使用したトラック)に割り当てていた。
【0011】
(5)加工機側に装着出来る金型本数分だけを登録していた。このためPDC(パンチ・ダイ・チェンジャー)機ではラック数、PDC以外のパンチプレスではタレット上のステーション数分金型登録が可能である。そして、装着金型以外の登録はできなかった。
【0012】
[3]バッファ管理の場合
機械内に金型の装着可能な場所は、加工機のタレットと、金型を保管するための金型ラック、また、タレットと金型ラックの中間には金型を一時的に保管するバッファがある。
【0013】
加工に使用する金型(以下、使用金型)は加工プログラムの金型番号指令(T番号またはH番号)で指令され、その指令された金型をタレットのステーションへ装着する。
【0014】
金型の交換は加工プログラムで金型交換指令した(T番号もしくはH番号が発生した)ときと、自動運転が開始したときに実施される。
【0015】
[4]金型ラック管理の場合
金型ラックに装着する金型は金型番号に予め決められたラックのステーションにセットする。金型はラックに装着されているときは必ずそのステーションにある。
【0016】
また、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2003−181568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」の4つの場合に分けて課題を説明する。
【0019】
[1]金型個別管理の場合
(1)従来の運用では、例えば、以下に説明するような問題があった。加工プログラムを作成するとき、使用する工具(パンチ、ダイ)がタレットのどこのステーションに格納されているか事前に確認する必要がある。
【0020】
金型番号を指令の場合は金型番号と装着されている金型番号との一対一なので類似の金型がその機械内にあってもその金型を使用できない。
【0021】
加工機に装着されている金型はパンチとダイのセット管理のため、板厚が変わってもパンチ1本につき、ダイが最大で2個までしか組み合わせることが出来ず加工品質が落ちる。
【0022】
同一の形状を加工するための加工プログラムでも加工する板厚が違う場合にはCAMで機械の装着されているダイの金型情報を検索して決定しなければならない。
【0023】
加工プログラムの作成の際のパンチやダイの決定は事前に機械内の配置を予測して決定しているため実際に加工するときに予測と違う場合は、エラーで停止したりとか、タレットから遠い金型を選択してしまい交換時間が長くなったり、適切なクリアランスのダイで加工できず加工品質が落ちる。
【0024】
[2]金型番号管理の場合((1)〜(5)の課題は、背景技術の[2]の(1)〜(5)に対応する)
(1)使用する金型が変わり、金型を交換すると装着金型の金型情報(例えば、形状、寸法等)を変更する。これに伴い「挿入先ステーション番号」を削除する。また、この交換された金型を次に使用する場合は、金型交換して、再度「挿入先のステーション番号」を設定する必要がある。金型段取りを行う度に、この設定が必要となり工数が掛かるという問題があった。
【0025】
(2)同じ金型でも、加工プログラムによっては、挿入先ステーション番号が必要な場合と必要でない場合とがある。「挿入先のステーション番号」を設定した金型は、スケジュールの全加工プログラムで、常に設定したステーション番号で加工するため常に1ステーション番号を占領してしまう。占領する金型が多ければ多いほど、挿入可能なステーション番号が減るため、金型交換が増えてしまう。
【0026】
(3)加工プログラム内で同一の金型に対して、割り当てるステーション番号は1つである。しかし、加工プログラム中に複数回数T番号指令がある場合は、加工順序の考慮を行わないと、余計な金型交換が増えてしまう場合がある。
【0027】
(4)元T番号だったり、元トラックだったりすると加工プログラムが同じT番号ばかり使用している場合には、自動変換でもステーション番号の割り当てに偏りは出てしまう。よって、タレット上のステーション番号が均等に使用されていない。均等に使用されないと消耗が均等でないため、ステーション番号毎にメンテナンス時期が同時期に行えない。
【0028】
(5)装着されている金型は、加工機(タレットまたはラック)のステーション番号の並びのため、レンジ毎やオペレータの指示する並びでないため、分かり難かった。また、加工機側で装着金型以外(加工機外)の金型の確認が出来ない。
【0029】
[3]バッファ管理の場合
加工プログラムで金型交換指令(T番号もしくはH番号)が発生したとき、その該当する金型ラックに装着されていると交換時間が長くなってしまう。
【0030】
[4]金型ラック管理の場合
あらかじめ決められた、ステーションに金型がセットされているため、使用頻度が高い金型が加工機側に遠いとき、移動距離が多くなり交換時間が長くなってしまう。
【0031】
金型番号毎に決められたステーションにセットするため、どこに金型をセットすべきか事前に認識をする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに、複数の種類の金型情報が関連付けられて、前記複数の種類の金型情報の中から特定された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択する選択手段を備えたことを特徴とする。
【0033】
請求項2に係る発明は、前記パンチ及び前記ダイには、少なくとも金型IDと管理名称が関連付けられていて、前記選択手段は、前記管理名称を特定することにより、この特定された管理名称に対応する金型IDを適数選択することを特徴とする。
【0034】
請求項3に係る発明は、前記加工機の動作を制御する加工プログラム中のパンチまたはダイを指定する工具指令は前記金型情報に係る管理名称であることを特徴とする。
【0035】
請求項4に係る発明は、パンチの金型IDに対してダイの金型IDが選択されるものであり、この選択は板厚情報と前記金型情報とに基づくことを特徴とする。
【0036】
請求項5に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに、複数の種類の金型情報が関連付けられて、選択手段が、前記複数の種類の金型情報の中から特定された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択することを特徴とする。
【0037】
請求項6に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶している記憶手段と、
前記金型番号の指令に基づき、パンチ及びダイの所在を特定すると共に、加工に係るステーションの設定を行う設定手段とを備えていることを特徴とする。
【0038】
請求項7に係る発明は、前記設定手段は、加工直前に前記加工に係るステーションを決め、この加工に係るステーションに装着のパンチ及びダイで加工を行うことを特徴とする。
【0039】
請求項8に係る発明は、前記記憶手段には、前記金型番号にそれぞれバッファ上の金型装着バッファステーション番号、上部・下部タレット上の金型装着ステーション番号、またはラック上の金型保管ラック番号が関連付られて記憶され、
前記設定手段は、前記金型番号に基づいてバッファ上の金型装着バッファステーション番号、上部・下部タレット上の金型装着ステーション番号、またはラック上の金型保管ラック番号の決定を行うことを特徴とする。
【0040】
請求項9に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
記憶手段が前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶しており、設定手段が前記金型番号の指令に基づき、パンチ及びダイの所在を特定すると共に、加工に係るステーションの設定を行うことを特徴とする。
【0041】
請求項10に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
前記パンチ及び前記ダイを装着可能なバッファと、
前記バッファに使用済みのパンチ、ダイを移動し装着すると共に、次に使用する使用パンチ、使用ダイを移動し装着する金型交換管理手段とを備えていることを特徴とする。
【0042】
請求項11に係る発明は、前記金型交換管理手段は、前記バッファが有する複数の金型装着バッファステーションのなかで、空きが2つ以上あるときは、使用済みのパンチ及びダイは金型ラックへ戻さないことを特徴とする。
【0043】
請求項12に係る発明は、記憶手段が前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶し、前記金型交換管理手段は前記金型番号の指令に基づき金型交換管理を行うことを特徴とする。
【0044】
請求項13に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
前記パンチ及び前記ダイを装着可能なバッファを備え、
金型交換管理手段が、前記バッファに使用済みのパンチ、ダイを移動し装着すると共に、次に使用する使用パンチ、ダイを移動し装着する金型交換管理を行うことを特徴とする。
【0045】
請求項14に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックと、
前記パンチ、ダイを使用頻度に応じて前記金型ラック内の保管場所を決める保管手段とを備えたことを特徴とする。
【0046】
請求項15に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックと、
加工機が稼働していない時間に、前記金型ラック内に保管されているパンチ及びダイの金型IDを確認する確認手段とを備えていることを特徴とする。
【0047】
請求項16に係る発明は、前記保管手段は、加工機が稼働していない時間において、前記金型ラック内に保管されている金型の再配置を行うことを特徴とする。
【0048】
請求項17に係る発明は、記憶手段が前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶しており、前記保管手段は前記金型番号で金型交換管理することを特徴とする。
【0049】
請求項18に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックを備え、
保管手段が前記パンチ、ダイの使用頻度に応じて金型ラック内の保管場所を決めることを特徴とする。
【0050】
請求項19に係る発明は、パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックを備え、
確認手段が加工機が稼働していない時間に前記金型ラック内に収納されているパンチ及びダイの金型IDを確認することを特徴とする。
【発明の効果】
【0051】
「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」の4つの場合に分けて効果を説明する。
【0052】
[1]金型個別管理の場合
フリーロケーションの運用を可能とし、自由度を増した加工プログラムとの相乗効果により、高い品質確保に加え、歩留まりと生産性に向上するものであり、さらに様々に応用して実施することも可能である。
【0053】
例えば、加工プログラムを作成するときに、使用する工具の形状や寸法で判断し、加工機の金型の格納場所や、加工機の金型番号を意識する必要が無くなるという効果を奏する。
【0054】
加工プログラムを作成するとき、板厚違いによるダイ金型の選択をする必要が無くなるという効果を奏する。
【0055】
パンチ、ダイの決定は加工機側で加工開始時に金型のコンディションや使用頻度、所在位置から決定するので、CAMで事前に予測で作成するより、より効率のよい金型を選択することができ、加工時間の短縮や加工品質の向上、金型の研磨作業も加工に合わせて行うことができるという効果を奏する。
【0056】
[2]金型番号管理の場合
金型交換ごとの「挿入先ステーション番号」の設定が必要なくなり、加工プログラムの指示だけで挿入先ステーション番号が指示できる。
【0057】
また、加工プログラム毎、加工プログラム毎の金型番号にステーションを割り当てることにより、金型交換の削減が出来る。
【0058】
タレット上の距離が近いステーション番号を選択するため、金型交換時間短縮できる。また、使用回数もしくはヒット数の考慮により、タレット上のステーション番号を均等に使用するため、消耗か均等化されメンテナンスを同時期に行える。
【0059】
装着金型以外の金型を登録でき、加工を行える。また、金型番号に対して、オペレータが自分で登録するためオペレータの分かり易いように金型を登録できる。
【0060】
[3]バッファ管理の場合
加工プログラムの金型指令が発生したとき、該当の金型を事前にバッファに装着させることにより交換時間の短縮が可能である。また、現シートを加工中に次のプログラムで使用する金型をバッファに装着できるので次に加工プログラムの金型交換時間が短縮できる。
【0061】
[4]金型ラック管理の場合
作業者は使用する金型をラックのどこへ装着するか意識する必要はない。また、使用頻度順に加工機の近いところに配置するため、金型交換時間が短くなる。加工していない時間に金型IDによる金型の確認や再配置を行うことによりラック内の金型の装着防止や加工時間の短縮が常に行える。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】加工システムの概略(全体)を示す概略図である。
【図2】加工システム(金型個別管理)の概略を示す概略図である。
【図3】パンチ選択部の動作(金型個別管理)を説明するフローチャートである。
【図4】ダイ選択部の動作(金型個別管理)を説明するフローチャートである。
【図5】加工システム(金型番号管理)の概略を示す概略図である。
【図6】加工システム(金型番号管理)の動作を説明するフローチャートである。
【図7】加工システム(金型番号管理)の動作を説明するフローチャートである。
【図8】加工システム(金型番号管理)の動作を説明するフローチャートである。
【図9】加工システム(バッファ管理)の概略を示す概略図である。
【図10】加工システム(バッファ管理)の動作を説明する説明図である。
【図11】加工システム(金型ラック管理)の概略を説明する説明図である。
【図12】加工システム(金型ラック管理)の動作を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本実施の形態で、所在場所を指す番地等を「ロケーション」とした場合に、「フリーロケーション」とは、空いている場所(番地)に金型を挿入していくもので、金型と番地等の関係を固定せずに管理する技術思想である。例えば、新たな金型を、空いている場所から適当に入れても、また、同じ金型を別々の場所に保管しても構い。例えば、コンピュータで保管場所を管理し、扱う金型によって、管理の形態や手順は異なり、金型の識別コードと棚番号(番地)の識別コードをスキャナで読み取り、コンピュータ上で金型と番地を対応させて管理する方法がある。保管場所を自由に設定、変更することが可能であるため、たとえば、使用頻度が高い金型は、出口付近の棚に保管していくなど、より柔軟な対応を採りやすくなる。逆に、使用頻度が低くなった金型は、順次奥の方に保管して、保管場所の柔軟な調整による作業面での効率化も図れる。
【0064】
このようなフリーロケーションの技術思想をタレットパンチプレスに適用した例を「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」の4つ実施の形態に分けて説明する。
【0065】
[1]金型個別管理の実施の形態
金型個別管理の場合についてのフリーロケーションの特徴を説明する。特に金型ID(パンチ、ダイに固有に付けられた識別情報であり、同一の金型IDは存在しない。すなわち、市場において全てのパンチ、ダイはそれぞれ異なる金型IDが付与される)の採用により直接金型を指令するフリーロケーションの運用を可能とし、自由度を増した加工プログラムPGとの相乗効果により、高い品質確保に加え、歩留まりと生産性を向上させる技術的思想である。
【0066】
様々な形態で実施することが可能であが、パンチP及びダイDを管理すると共に、タレット6(上部タレット、下部タレットを含む)に装着された複数のパンチP及び複数のダイDから選択されたパンチP及びダイDの協働により加工を行う加工システム1において、パンチP及びダイDのそれぞれに、複数の種類の金型情報(例えば、金型番号、金型ID、管理名称、形状、寸法、所在、ヒット数等)が関連付けられて、複数の種類の金型情報の中から特定された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択する特定手段を備える。
【0067】
図1を参照する。前記加工システム1は、加工プログラム作成部2と、加工機3と、加工プログラムPGを記憶する加工プログラムメモリ4とを備えている。
【0068】
前記プログラム作成部2は、コンピュータにより構成され、本体2Bとして、CPU(Central Processing Unit)及び入出力機能を備え、前記CPU29は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、メモリ(記憶装置)と接続し、CAM(computer aided manufacturing)装置としても機能する。また、本体2Bには表示装置2Aが接続されている。
【0069】
前記加工機3は、フレーム5Aと、加工テーブル5Bと、タレット(上部タレット、下部タレットを含む)6とを備えている。さらに、バッファ(バッファのタレットとして機能する)7と金型ラック8を備えている。
【0070】
この発明に係る加工機3の好適な例としては、タレットパンチプレスでも良いし、タレットパンチプレスとレーザ加工機の複合機でもよい。
【0071】
以下、タレットパンチプレスとレーザ加工機の複合機である場合を説明する。なお、この複合機は既に公知であるため概略を説明する。
【0072】
図1において、紙面に対し上(垂直)方向から見た場合に左右方向をX軸とし、前記X軸に対し直角に交わる上下方向をY軸方向とし、前記紙面に対し垂直な方向をZ軸方向として説明する。
【0073】
前記フレーム5Aは床面に固定されており、前記加工テーブル5B及び前記タレット6を支持する。このタレット6は上下のタレットより構成され、上部タレットが回転割出し自在に支持されている。また、この上部タレットに対向して、下部フレームに下部タレットが回転割出し自在に支持されている。なお、上部フレームの加工位置に対応する場所には、ラムシリンダが設けられており、ラムを下降させて上部タレットのパンチと下部タレットのダイ金型の協働によりワークWに対し加工を行う。この際に、クランプに把持されたワークWは、X軸方向の移動及びY軸方向の移動により上下金型の間にワークWの加工位置を位置決め可能に構成されている。
【0074】
前記フレーム5Aは、レーザ加工部(図示省略)と、レーザ加工ヘッド(図示省略)を支持するものである。レーザ加工部は、フレーム5Aに備えられている。そして、前記レーザ加工部に備えられたレーザ加工ヘッド、レーザ発振装置によりワークWに対しレーザビームが与えられ切断加工が行われる。
【0075】
前記NC装置9はコンピュータにより構成され、CPU(Central Processing Unit)を備える。CPUはROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、記憶装置等に接続され、加工プログラムPGに基づき加工の制御を行う。
【0076】
図2を参照する。コンピュータである金型サーバ10は、メモリ11を有する。このメモリ11には、金型ID(10A)、管理名称10B、形状10C、寸法10D、パンチ・ダイ10E、ヒット数10F等の金型情報がパンチPあるいはダイDのそれぞれに関連づけられて記憶されている。
【0077】
ここで、金型ID(10A)は、パンチ、ダイに固有に付けられた識別情報(例えば、A1234、D1234、AD123等)であり、同一の金型IDは存在しない。すなわち、市場において全てのパンチ、ダイはそれぞれ異なる金型IDが付与される。管理名称10Bは、「MARU」、「KAKU」、「TOKU」等の金型の呼称等であり作業者が金型の形状等をイメージし易いことが望ましい。形状10Cは、「丸」、「角」、「特型」等の金型の形状を表している。寸法10Dは、金型の寸法を示す。パンチ・ダイ10Eは、パンチPかダイDかを識別するものである。ヒット数10Fは、金型が使用された回数である。
【0078】
加工プログラム作成部2は、管理名称選択部12により選択された管理名称を記憶する。そして、加工プログラム作成部2には製品図面13が入力され、作業者によるCAMオペレーション等の処理に基づき、加工プログラムPG(管理名称が使用された加工プログラム)が作成される。
【0079】
そして、加工プログラムPGを作成し加工プログラムメモリ4に記憶する。加工プログラムPGのデータ14を説明する。例えば[G06A1.6B0]、[T MARU]、[X(X軸方向のワークWの移動先の座標値) Y(Y軸方向のワークWの移動先の座標値)]等の命令を実行順に並べたものである。
【0080】
[G06A1.6B0]では、これから加工するワークWの板厚が1.6(mm)、材質が鉄であることを設定しており、加工プログラムを理解・実行すると、内部のメモリに板厚と材質を記憶する。
【0081】
[T MARU]では、これからワークWに加工を施すための工具(パンチP、ダイD)を選択しており、実行すると上部タレット、下部タレットを回転させて工具(パンチP、ダイD)を工具駆動軸(例えば、ストライカ)の直下に移動させる。
【0082】
[X(X軸方向のワークWの移動先の座標値) Y(Y軸方向のワークWの移動先の座標値)]では、ワークWの端に対してX方向、Y方向の位置に、現在選択している工具により加工することを意味しており、実行すると、工具駆動軸直下の位置にワークWが移動し、現在選択されているパンチP、ダイDでワークWを加工する。
【0083】
NC装置9は金型情報(加工機3の金型装着情報)を格納するメモリ15を有している。金型情報(加工機3の金型装着情報)は、金型番号15A、金型ID(15B)、管理名称15C、形状15D、寸法15E、所在15F、ヒット数15G等を含みパンチPあるいはダイDのそれぞれに関連づけられて記憶されている。
【0084】
ここで、金型番号15Aは、1セットの金型(パンチ1個、ダイ2個で一組)にまとめ付与した番号である。金型ID(15B)は、パンチ、ダイに固有に付けられた識別情報(例えば、A1234、AD123、AD234等)であり、同一の金型IDは存在しない。すなわち、市場において全てのパンチ、ダイはそれぞれ異なる金型IDが付与される。管理名称15Cは、「MARU」、「KAKU」、「TOKU」等の金型の呼称等であり作業者が金型の形状等をイメージし易いことが望ましい。形状15Dは、「丸」、「角」、「特型」等の金型の形状を表している。寸法15Eは、金型の寸法を示す。所在15Fは、パンチPかダイDの所在を示す情報であり、所在元(タレット6、バッファ7、金型ラック8等)から移動先(タレット6のステーション位置)までの移動の制御データが作成可能な情報である。ヒット数15Gは、金型が使用された回数である。
【0085】
パンチ選択部16は、データ14の工具指令(管理名称)に従いパンチPの金型IDを選択する。また、ダイ選択部17はパンチPの金型IDに対してダイDの金型IDが選択されるものであり、この選択は板厚情報と前記金型情報とに基づく。そして、選択された金型IDと関連する所在に基づき金型ラック8等から取り出したパンチP、ダイDをバッファ7を介して、タレット6へ装着する。
【0086】
図3を参照する。NC装置9が備えるパンチ選択部16の動作を示している。
【0087】
初めに、ステップSA01では、パンチ選択部16は、加工プログラムPGの工具指令(管理名称)に係るパンチPを選択する制御を行う。
【0088】
ステップSA02では、パンチ選択部16が、機械の管理名称と一致する金型は装着されているか否かを判断する。機械の管理名称と一致する金型は装着されていると判断した場合に処理はステップSA03に進む。機械の管理名称と一致する金型は装着されているいないと判断した場合に処理はステップSA06に進む。
【0089】
ステップSA03では、パンチ選択部16が、同一名称が複数あるか否かを判断する。同一名称が複数あると判断した場合に処理はステップSA04に進む。同一名称は複数ないと判断した場合に処理はステップSA05に進む。
【0090】
ステップSA04では、パンチ選択部16が、例えば、使用頻度順(優先順)に特定する。また(1)所在でタレットにより近い。(2)寿命数まで余裕がある。(3)交換回数が多い。この(1)〜(3)の内容に基づき優先順を決めることもできる。
【0091】
ステップSA05ではパンチ選択部16がパンチPを決定する。一方、ステップSA06ではパンチ選択部16がアラームを報知する。なお、上述の説明でパンチP、ダイDというときはパンチP、ダイDの金型IDを含む概念である。
【0092】
図4を参照する。NC装置9のダイ選択部17の動作を示している。
【0093】
初めに、ステップSB01では、ダイ選択部17は、選択されたパンチP(すなわち、パンチPの金型情報)に基づきダイDを選択する制御を行う。
【0094】
ステップSB02では、ダイ選択部17が、パンチPと同一形状はあるか否かを判断する(具体的には、パンチP、ダイDに関連付けられた金型情報を参照し判断される)。パンチPと同一形状があると判断した場合に処理はステップSB3に進む。パンチPと同一形状は無いと判断した場合に処理はステップSA08に進む。
【0095】
ステップSB03では、ダイ選択部17が、ダイDが複数あるか否かを判断する。複数あると判断した場合に処理はステップSB04に進む。複数ないと判断した場合に処理はステップSB07に進む。
【0096】
ステップSB04では、ダイ選択部17が、「G06A」の板厚寸法からダイDの寸法を検索して最も板厚のクリアランス値に近いダイDを決定する。
【0097】
ステップSB05では、ダイ選択部17が、該当するダイDが複数あるか否かを判断する。複数あると判断した場合に処理はステップSB06に進む。複数ないと判断した場合に処理はステップSB07に進む。
【0098】
ステップSB06では、ダイ選択部17が、使用頻度(優先順)に特定する。また(1)所在でタレットにより近い。(2)寿命数まで余裕がある。(3)交換回数が多い。この(1)〜(3)の内容に基づき優先順を決めることもできる。
【0099】
ステップSB07では、ダイ選択部17が、ダイDを決定する。一方、ステップSB08では、ダイ選択部17が、アラームを報知する。なお、上述の説明でパンチP、ダイDというときはパンチP、ダイDの金型IDを含む概念である。
【0100】
[2]金型番号管理の実施の形態
フリーロケーションを金型番号管理に適応した加工システム1の実施の形態である。図1で既に説明したように加工機3は、フレーム5Aと、加工テーブル5Bと、タレット(上部タレット、下部タレットを含む)6とを備えている。さらに、バッファ(バッファのタレットとして機能する)7と金型ラック8を備えている。また、NC装置9を備えている。
【0101】
上記のラックモデル以外にバッファモデルとして機能させることができる。バッファモデルは、バッファとタレットとを備えた加工システムであり、以下の説明ではバッファモデル及びラックモデルの両方に適用する。
【0102】
前記NC装置9はコンピュータにより構成され、CPU(Central Processing Unit)を備える。CPUはROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、メモリ(記憶装置等)に接続され、加工プログラムPGに基づき加工の制御を行う。
【0103】
図5を参照する。タレット装着情報メモリ18には、タレット番号(T番号)18A、金型の大きさを表すレンジ18B、金型番号(H001、H002・・・等)18C、金型の形状18D、金型の寸法18E等が、それぞれが関連付けられて記憶される。
【0104】
ここで、タレット番号18A(Txxxx)はタレットのステーション番号である(以下同様)。金型の大きさを表すレンジ18Bは金型の最大外形である(以下同様)。金型番号18Cは1セットの金型(パンチ1個、ダイ2個で一組)にまとめ付与したシーケンシャルな番号である(以下同様)。形状18Dは「丸」、「角」、「特型」等の金型の形状を表している(以下同様)。寸法18Eは金型の寸法を示す(以下同様)。
【0105】
ヒット数・交換回数情報メモリ19には、タレット番号(Txxxx)19A、金型の大きさを表すレンジ19B、ヒット数19C、交換回数19D等が、それぞれが関連付けられて記憶される。
【0106】
ここで、ヒット数19Cは金型が使用された回数である(以下同様)。交換回数19Dは金型が交換された回数である(以下同様)。
【0107】
バッファ装着情報メモリ20には、バッファステーション番号(B01、B02・・・等)20A、金型の大きさを表すレンジ20B、金型番号(H158、H023・・・等)20C、金型の形状20D、金型の寸法20Eがそれぞれ関連付けられ記憶されている。バッファステーション番号(B01、B02・・・等)20Aはバッファのステーション番号である(以下同様)。
【0108】
ラック装着情報メモリ21には、ラックアドレス番号(R001、R002・・・等)21A、金型の大きさを表すレンジ21B、金型番号(H036、H052・・・等)21C、金型の形状21D、金型の大きさ21E等が、それぞれ関連付けられて記憶される。ラックアドレス番号(R001、R002等)21Aはラックのアドレス番号である(以下同様)。
【0109】
金型情報メモリ22には、金型番号22A(H036、H052・・・等)、金型の大きさを表すレンジ22B、金型の形状22C、金型の大きさ22D、装着情報(金型が挿入されている場所)22E、挿入先(移動先)ステーション番号22F等が、それぞれ関連付けられて記憶される。
【0110】
装着情報(金型が挿入されている場所)22Eは金型が挿入されている所在であり所在を特定する情報に関連付けられている。挿入先(移動先)ステーション番号22Fは、金型の移動先のタレットステーション番号である。
【0111】
加工プログラムメモリ23に記憶される加工プログラムPGは、例えばNCデータ(工具の交換指令、移動先のXY座標等を指示するもの)である。工具交換指令[Txxxyyyz]において、[xxx]はタレット上ステーション番号を示す。[yyy]は金型番号を示す。[z]はダイ番号(通常パンチPが1つにクリアランスが異なるダイDが2つ用意されているためダイDの指定が必要になる)である。
【0112】
使用金型情報メモリ24は加工プログラムメモリ23から加工プログラムPGを読み込み、使用する金型を記憶したものであり、金型番号24A、金型の大きさを表すレンジ24B、金型の形状24C、金型の大きさ24Dを含む。
【0113】
条件ファイル25はバージョン、プロジェクト名等を格納するファイルである。また、要求ファイル26は、スケジュールデータ、スケジュールに含まれるプログラム名、マシン名、各加工プログラムPGの格納場所等を記憶している。
【0114】
NC装置9は全体制御部27を備え、この全体制御部27は金型段取りチェック部28と、ステーション番号決定部(設定手段)29とを有する。
【0115】
加工プログラム(出力)30は前記全体制御部27により変換された加工プログラムPGでNC装置9の記憶装置に記憶される。
【0116】
図6を参照し全体制御部27の動作を説明する。初めにステップSC01では、全体制御部27が加工プログラムPGの呼出を行う。すなわち、加工機3でこれから加工する加工プログラムPGのデータを呼出し記憶装置に登録する。
【0117】
ステップSC02では、全体制御部27の金型段取りチェック部28が金型段取りチェック(段取り計算)を行う。登録された加工プログラムPGのデータの使用金型(パンチP、ダイD)と加工機3側の装着金型の情報を比較する。
【0118】
ステップSC03では、全体制御部27が金型段取り指示の表示を行う。段取りの結果、加工プログラムPGの使用金型が加工機3側に装着されていない場合は、金型段取り指示の一覧を表示部2A等に出力する。
【0119】
ステップSC04では、金型段取りの実施を行う。金型段取り一覧より加工機3に挿入する金型(パンチP、ダイD。以下同様)を選択する。加工機3側の「段取りスタート」ボタンを押すことにより加工機3の段取りの実行が開始される。
【0120】
ステップSC05では、全体制御部27がバッファモデルではバッファ7の回転の制御を行う。金型を挿入するべきステーション穴が正面(金型の挿入が可能になる)に来るようにバッファ7が回転する。さらに、ステーション穴にランプが点く。ラックモデルでは、金型ラック8の端の段通りステーション(図11の段取りステーション49参照)に金型を挿入する。
【0121】
ステップSC06では、金型のセットを行う。金型を段取りステーション(図13の段取りステーション49参照)へセットし、「段取り完了」ボタンを押す。加工機3側が自動でセットして全体制御部27が金型IDを読む。ラックモデルの場合は、金型IDを読み込み後、金型ラック8に金型をセットする。
【0122】
ステップSC07では、ワーク(材料)Wを加工機3にセットして、全体制御部27が加工をスタートする。続いて、ステップSC08では、全体制御部27が、ステップSC09〜ステップSC11までの処理をスケジュール数分処理する。
【0123】
ステップSC09では、ステーション番号決定部29がステーション番号決定処理を行う。これから加工する加工プログラムPG中の金型番号をタレット上の最適なステーション番号に割り当てて、金型番号をタレット番号(T番号)に変換する。
【0124】
図5を参照し一例を説明する。金型番号(H001、H002・・・等)の指令に基づき、パンチP及びダイDの所在を特定すると共に、加工に係るステーションの設定をステーション番号決定部29(設定手段)が行う。また、ステーション番号決定部29は、加工直前に加工に係るステーションを決め、この加工に係るステーションに装着のパンチP及びダイDで加工を行う。
【0125】
記憶装置(記憶手段)には、金型番号にそれぞれバッファ7上の金型装着バッファステーション番号、タレット(上部・下部タレット)6上の金型装着ステーション番号、またはラック8上の金型保管ラック番号が関連付られて記憶され、ステーション番号決定部29は、金型番号に基づいてバッファ上の金型装着バッファステーション番号、タレット(上部・下部タレット)6上の金型装着ステーション番号、またはラック8上の金型保管ラック番号の決定を行う。
【0126】
具体的には、ステーション番号決定部29が加工プログラムメモリ23からデータを読み込む。そして、使用金型を使用金型情報メモリ24に出力する。ステーション番号決定部29が金型番号24A(H001、H002、H003・・・等)をタレット6のステーション番号(T102、T203、T303・・・等)に変更する。
【0127】
ステップSC10では、全体制御部27が、タレット番号(T番号)に変換した加工プログラムPGをNC装置9に転送する。ステップSC11では、全体制御部27が、加工スタートする。転送した加工プログラムPGにより加工する。ステップSC12では、全体制御部27が、上記の処理が終了した場合にステップSC08〜SC12のループを抜け処理を終了する。
【0128】
図7を参照する。金型段取りチェック部28の詳細な動作を示す(図6においてステップSC02の処理)。初めに、ステップSD01では、金型段取りチェック部28が、スケジュールの全加工プログラムPGの使用金型本数分の処理設定する。
【0129】
ステップSD02では、金型段取りチェック部28が、装着されている金型より同一金型の検索を行う。同一金型がタレット6、バッファ7、またはラック8上に存在するか否かを判断する。同一金型がタレット6、バッファ7、またはラック8上に存在すると判断した場合に処理はステップSD03に進む。同一金型がタレット6、バッファ7、ラック8上に存在しないと判断した場合に処理はステップSD04に進む。
【0130】
ステップSD03では、金型段取りチェック部28が、一致した金型の金型番号(H001、H002・・・等)に決定する。そして、処理をステップSD12に進める。
【0131】
ステップSD04では、金型段取りチェック部28が、加工角度以外一致する金型の検索を行う。加工角度以外一致する金型がタレット6、バッファ7、またはラック8上に存在するか否かを判断する。加工角度以外一致する金型がタレット6、バッファ7、またはラック8上に存在すると判断した場合に処理はステップSD05に進む。加工角度以外一致する金型が、タレット6、バッファ7、ラック8上に存在しないと判断した場合に処理はステップSD06に進む。
【0132】
ステップSD05では、金型段取りチェック部28が、一致した金型の金型番号に決定する。回転段取りとなる。続いて、処理をステップSD12に進める。
【0133】
ステップSD06では、金型段取りチェック部28が、クリアランス以外一致する金型の検索を行う。クリアランス以外一致する金型が、タレット6、バッファ7、またはラック8に存在すると判断した場合に処理はステップSD07に進む。クリアランス以外一致する金型がタレット6、バッファ7、ラック8に存在しないと判断した場合に処理はステップSD08に進む。
【0134】
ステップSD07では、金型段取りチェック部28が、一致した金型の金型番号に決定する。ダイDのみ段取り扱いとなる。そして、処理をステップSD12に進める。
【0135】
ステップSD08では、金型段取りチェック部28が、金型が未登録のバッファステーション、ラックステーションの検索を行う。空きのステーションが存在するか否かの判断を行う。空きのステーションが存在すると判断した場合に処理はステップSD09に進む。空きのステーションが存在しないと判断した場合に処理はステップSD10に進む。
【0136】
ステップSD09では、金型段取りチェック部28が、一致したバッファステーションまたはラックステーション番号に基づいた金型番号(H001、H002・・・等)に決定する。一致したバッファステーションまたはラックステーションに金型の追加段取りとなる。そして、処理をステップSD12に進める。
【0137】
ステップSD10では、金型段取りチェック部28が、未使用金型の検索を行う。金型段取りチェック部28が登録されている金型の中でスケジュールデータ内で未使用の金型が存在するか否かの判断を行う。存在すると判断した場合に処理はステップSD11に進む。存在しないと判断した場合に処理はステップSD12に進む。ステップSD11では、金型段取りチェック部28が、一致した金型の金型番号(H001、H002・・・等)に決定する。一致した金型の金型番号に基づいたバッファステーションまたはラックステーションに金型の交換段取りとなる。
【0138】
ステップSD12では、金型段取りチェック部28が、全使用金型が完了か否かを判断する。全使用金型が完了と判断した場合に処理は終了する。全使用金型が完了でないと判断した場合に処理はステップSD02に戻る。
【0139】
図8を参照する。ステーション番号決定部29の詳細な動作を示す(図6において、ステップSC09の処理)。初めにステップSE01ではステーション番号決定部29が1つの加工プログラムPGの使用金型本数分を処理する。
【0140】
ステップSE02では、ステーション番号決定部29が金型番号を加工順に処理する。
【0141】
ステップSE03では、ステーション番号決定部29がステーション番号指定[Txxx+金型番号指令]か否かを判断する。ステーション番号指定[Txxx+金型番号指令]であると判断した場合に処理はステップSE04に進む。ステーション番号指定[Txxx+金型番号指令]でないと判断した場合に処理はステップSE05に進む。
【0142】
ステップSE04では、ステーション番号決定部29が、[Txxx]金型番号に決定する。
【0143】
ステップSE05では、ステーション番号決定部29がステーション番号指定なし金型番号指令か否かを判断する。指定なし金型番号指令であると判断した場合に処理はステップSE06に進む。指定なし金型番号指令でないと判断した場合に処理はステップSE07に進む。
【0144】
ステップSE06では、ステーション番号決定部29が金型番号がタレット6上に挿入されているか否かを判断する。金型番号がタレット6上に挿入されていると判断した場合に処理はステップSE08に進む。金型番号がタレット6上に挿入されていないと判断した場合に処理はステップSE09に進む。
【0145】
ステップSE07では、ステーション番号決定部29が、全使用金型が完了したか否かを判断する。全使用金型が完了したと判断した場合に処理は終了する。全使用金型が完了していないと判断した場合に処理はステップSE3に戻る。
【0146】
ステップSE08ではステーション番号決定部29がステーション番号を決定する。
【0147】
ステップSE09ではステーション番号決定部29がタレット6上の空きステーションの検索を行う。空きのステーションが存在すると判断した場合に処理はステップSE10に進む。空きのステーションが存在しないと判断した場合に処理はステップSE11に進む。
【0148】
ステップSE10ではステーション番号決定部29がステーション番号を決定する。
【0149】
ステップSE11ではステーション番号決定部29が未使用金型が挿入されているステーションの検索を行う。挿入されている金型を以降の加工で使用しないステーションが存在するか否かを判断する。存在すると判断した場合に処理はステップSE12に進む。存在しないと判断した場合に処理はステップSE07に進む。
【0150】
ステップSE12ではステーション番号決定部29がステーション番号を決定する。
【0151】
ステップSE07では、ステーション番号決定部29が、全使用金型が完了したか否かを判断する。全使用金型が完了したと判断した場合に処理は終了する。全使用金型が完了していないと判断した場合に処理はステップSE3に戻る。
【0152】
[3]バッファ管理の実施の形態
フリーロケーションをバッファ管理に適応した加工システム1の実施の形態である。図1で既に説明したように加工機3は、フレーム5Aと、加工テーブル5Bと、タレット(上部タレット、下部タレットを含む)6とを備えている。さらに、バッファ(バッファのタレットとして機能する)7と金型ラック8を備えている。また、NC装置9を備えている。
【0153】
前記NC装置9はコンピュータにより構成され、CPU(Central Processing Unit)を備える。CPUはROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、メモリ(記憶装置等)に接続され、加工プログラムPGに基づき加工の制御を行う。
【0154】
図9を参照する。加工システム1は加工プログラム作成部2を備え、加工プログラム作成部2は、製品図面2G(CAD/CAM図面等)を読み込み、加工プログラムメモリ4に加工プログラム31を出力する。
【0155】
NC装置9の金型装着情報メモリ32には、金型番号32A、金型ID(32B)、管理名称32C、形状32E、所在32Fがそれぞれ関連づけられて記憶される。
【0156】
金型番号32Aは、H0001、H0002・・・等の番号であり、通常はシーケンシャルな番号がそれぞれ識別可能にパンチP、ダイDを1セットとして振られる。金型ID(32B)は、パンPチ、ダイDに固有に付けられた識別情報(例えば、A1234、D1234、AD123・・・等)であり、同一の金型IDは存在しない。すなわち、市場において全てのパンチP、ダイDはそれぞれ異なる金型IDが付与される。形状32Cは「丸」、「角」、「特型」等の金型の形状を表している。所在32DはパンチP、ダイDの所在番地であり、この所在番地に基づき特定の場所に移動が可能なデータである。
【0157】
NC装置9はタレット番号管理部33と、バッファ金型管理部34と、ラック金型管理部35とを備える。
【0158】
前記タレット番号管理部33は、パンチP、ダイDの出し入れに伴いステーション番号、タレット番号(Txxxx等)及び動作指令等を管理する。前記バッファ金型管理部34は、パンチP、ダイDの出し入れに伴いバッファステーション番号及び動作指令等を管理する。前記ラック金型管理部35は、パンチP、ダイDの出し入れに伴いラック番号及び動作指令等を管理する。そして、タレット番号管理部33と、バッファ金型管理部34と、ラック金型管理部35が連携して、金型交換管理手段として機能する。そして、パンチP及びダイDを装着可能なバッファ7と、バッファ7に使用済みのパンチP、ダイDを移動すると共に、次に使用する使用パンチP、ダイDを移動することによりパンチP及びダイDを管理する。この際に記憶手段がパンチP及びダイDのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶しており金型番号で金型交換を管理する。
【0159】
図10を参照する。バッファ管理の動作を説明する。装着金型情報メモリ36には金型番号36A、金型ID(36B)、管理名称36C、形状36E、所在36F、使用回数36G、ヒット数36H、寿命36Iがそれぞれ関連づけられて記憶される。
【0160】
金型番号36Aは、H0001、H0002、H0003・・・等の番号であり、通常はシーケンシャルな番号がそれぞれ識別可能に振られる。金型ID(36B)は、パンチ、ダイに固有に付けられた識別情報(例えば、A1234、D1234、AD123・・・等)であり、同一の金型IDは存在しない。すなわち、市場において全てのパンチP、ダイDはそれぞれ異なる金型IDが付与される。管理名称36Cは、「MARU」、「KAKU」、「TOKU」等の金型の呼称等であり作業者が金型の形状等をイメージし易いことが望ましい。形状36Dは「丸」、「角」、「特型」等の金型の形状を表している。所在36Fは、パンチP、ダイDの所在番地であり、この所在番地に基づき任意の場所に移動が可能なデータである。使用回数36Gは使用された回数で、ヒット数36HはパンチP、ダイDのヒットした回数である。また、寿命36Iは交換までのヒット回数である。
【0161】
加工に使用する金型交換管理では、スケジュールの中の加工プログラム31(現加工プログラム、次加工プログラム)に付属される使用金型リスト39に記載されている金型番号を読み込む。この結果、現加工プログラム使用金型リスト39と、次プログラム使用金型リスト40を生成する。
【0162】
前記現加工プログラム使用金型リスト39は、現在稼働している加工プログラムPG中に使用されている金型(金型番号)のリストである。次プログラム使用金型リスト40は、次に稼働する加工プログラムPG中に使用されている金型(金型番号)のリストである。これらの情報を読み込み、タレット番号管理部33と、バッファ金型管理部34と、ラック金型管理部35は使用金型を特定すると共に、これに基づき金型交換の制御を行う。
【0163】
タレット番号管理部33に制御され、使用済み金型(パンチP1、ダイD1)は、アーム37に把持されてタレット6からバッファ7へ移動させられる。そして、バッファ金型管理部34に制御されたアーム38により、使用済み金型(パンチP1、ダイD1)はバッファ7から金型ラック8へ移動させられる。
【0164】
一方、ラック金型管理部35に制御されたアーム38により、使用金型(パンチP2、ダイD2)は金型ラック8からバッファ7へ移動させられる。続いて、バッファ金型管理部34に制御されたアーム37により、使用金型(パンチP2、ダイD2)はバッファ7からタレット6へ移動させられる。
【0165】
ここで、使用金型は戻し金型より優先しバッファ7に格納する。金型ラック8に使用金型がある場合は金型交換指令に関係なく、自動運転開始と同時に金型ラック8からバッファ7へ格納する。
【0166】
さらに、次の加工プログラムPGで使用する金型(パンチP、ダイD)が金型ラック8にある場合は、ラック金型管理部35に制御されたアーム38が金型ラック8からバッファ7へ格納する。現在使用している加工プログラムPGの最終シートのとき、次の加工プログラムPGで使用する使用金型を金型ラック8からバッファ7へ格納する。
【0167】
バッファ金型管理部34は、バッファ7が有する複数の金型装着バッファステーションのなかで、空きが2つ以上あるときは、使用済みのパンチP及びダイDは金型ラック8へ戻さない。また、バッファ7には、使用済み金型と、これから使用する金型が平行処理で格納される場合があり2つの空きステーションが必要になる。このため2つの空きステーションを確保する一方で、使用済みのパンチP及びダイDは金型ラック8へ戻さないことにより動作効率の良い制御を実行できる。
【0168】
[4]金型ラック管理の実施の形態
フリーロケーションを金型ラック管理に適応した加工システム1の実施の形態である。図1で既に説明したように加工機3は、フレーム5Aと、加工テーブル5Bと、タレット(上部タレット、下部タレットを含む)6とを備えている。さらに、バッファ(バッファのタレットとして機能する)7と金型ラック8を備えている。また、NC装置9を備えている。
【0169】
前記NC装置9はコンピュータにより構成され、CPU(Central Processing Unit)を備える。CPUはROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、メモリ(記憶装置等)に接続され、加工プログラムPGに基づき加工の制御を行う。
【0170】
図11を参照する。金型装着情報メモリ41には、金型番号41A、金型ID(41B)、管理名称41C、金型の形状41D、金型の寸法41E、金型の所在41F、使用回数41G、ヒット数41H、寿命41I等が、それぞれが関連付けられて記憶される。
【0171】
金型番号41Aは、H0001、H0002、H0003・・・等の番号であり、通常はシーケンシャルな番号がパンチP、ダイDの1対にそれぞれ識別可能に振られる。金型ID(41B)は、パンチ、ダイに固有に付けられた識別情報(例えば、A1234、D1234、AD123・・・等)であり、同一の金型IDは存在しない。すなわち、市場において全てのパンチ、ダイはそれぞれ異なる金型IDが付与される。管理名称41Cは、「MARU」、「KAKU」、「TOKU」等の金型の呼称等であり作業者が金型の形状等をイメージし易いことが望ましい。形状41Dは「丸」、「角」、「特型」等の金型の形状を表している。金型の寸法41Eは金型の大きさを示す。所在41Fは、パンチP、ダイDの所在番地であり、この所在番地に基づき特定の場所に移動が可能なデータである。使用回数41Gは、使用された回数で、ヒット数41Hは、ヒットした回数である。また、寿命41Iはの交換までにヒット回数である。
【0172】
前記NC装置9は配置判断部50を備え、この配置判断部50は複数のパンチP及び複数のダイDを保管可能な金型ラック8と、金型(パンチP、ダイD)を使用頻度に応じて金型ラック8の保管場所へ保管する保管手段として機能する。また、配置判断部50は加工機が稼働していない時間に、金型ラック8内に収納されているパンチP及びダイDの金型IDを確認する確認手段としても機能する。
【0173】
さらに、配置判断部50は、加工機3が稼働していない時間において、金型ラック8内に収納されている金型の再配置の制御を行う。
【0174】
すなわち、使用頻度が高い順に、パンチP3、ダイD3、D3、、パンチP4、ダイD4、D4、パンチP5、ダイD5、D5とする。一方、配置判断部50は、加工機3に近い順に金型ラック8の保管場所(001)、金型ラック8の保管場所(002)、金型ラック8の保管場所(003)と認識すると想定する。
【0175】
この結果、金型ラック8の保管場所(001)には、パンチP3、ダイD3、D3が格納される。また、金型ラック8の保管場所(002)には、パンチP4、ダイD4、D4が格納される。そして、金型ラック8の保管場所(003)には、パンチP5、ダイD5、D5が格納される。これにより、使用頻度が高い金型順に加工機3に近い保管場所に保管されるので、金型交換の時間等が短縮され効率の良い制御ができる。
【0176】
金型ラック8には、ロボットアーム42が備えられている。ロボットアーム42の基部44はY軸方向に延伸したレール43上をY軸方向に移動及び位置決め停止可能に構成されている。基部44上にはZ軸方向に延伸した支持部材45を備え、支持部材45には、パンチアーム46とダイアーム47がZ軸方向に移動位置決め自在に取り付けられている。
【0177】
金型段取りステーション49は、新たな金型(例えばパンチP6、ダイD6、D6)を段取りステーション49にセットして、スタートすることにより金型ID(41B)を読み込む。そして、この金型は金型ラック8に格納される。この際に、金型ID(41B)と、金型ラック8の収納先の所在41F(番地)が関連付けられて金型装着情報メモリ41に記憶される。
【0178】
図12を参照する。初めに、ステップSF01では、配置判断部50が、ロボットアーム42が金型(パンチP、ダイD)を金型ラック8から取り出したか否かの判断を行う。取り出したと判断した場合に処理は進む。
【0179】
ステップSF02では、配置判断部50が、金型IDリーダにより、金型を認識する。ここで、金型(パンチP、ダイD)には、ID番号が付加されて(例えば、IDチップ、バーコード等)、金型IDリーダがこのデータを読みとる。
【0180】
ステップSF03では、配置判断部50が、ステップSF02で読み込んだ金型IDデータと金型装着情報41と照合する。
【0181】
ステップSF04では、配置判断部50が、ステップSF03での照合の結果一致したか否かを判断する。一致したと判断した場合に処理はステップSF05に進む。一致していないと判断した場合に処理はステップSF06に進む。
【0182】
ステップSF05では、配置判断部50が、全て確認完了したか否かを判断する。全て確認完了したと判断した場合に処理はステップSF06に進む。全て確認完了していないと判断した場合に処理はステップSF01に戻る。
【0183】
ステップSF06では、配置判断部50が、アラーム表示を行う。ステップSF07では、配置判断部50が、金型使用頻度を参照する。1:使用回数が多い。2:ヒット数が多い。3:寿命回数まで余裕がある。ステップSF08では、配置判断部50が、金型ラック8内の配置を上記の使用頻度順に加工機に近いところから再配置する。
【0184】
例えば、図13に示すように、加工機に近い順にパンチP3、ダイD3、パンチP4、ダイD4、パンチP5、ダイD5に配置される。
【0185】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0186】
例えば、「金型個別管理」、「金型番号管理」、「バッファ管理」、「金型ラック管理」を個別に説明したが、これらを、適宜の組み合わせで構成し実施することも可能である。
【符号の説明】
【0187】
1 加工システム 2 加工プログラム作成部 2A 表示部 2B 本体 2G 製品図面 3 加工機 4 加工プログラムメモリ 5A フレーム 5B 加工テーブル 6 タレット 7 バッファ 8 金型ラック 9 NC装置 10 金型サーバ 11 メモリ 12 管理名称選択部 13 製品図面 14 データ 15 メモリ 16 パンチ選択部 17 ダイ選択部 18 タレット装着情報メモリ 19 ヒット数・交換数情報メモリ 20 バッファ装着情報メモリ 21 ラック装着情報メモリ22 金型情報メモリ 23 加工プログラムメモリ 24 使用金型情報メモリ 25 条件ファイル 26 要求ファイル 27 全体制御部 28 金型段取りチェック部 29 ステーション番号決定部 30 出力加工プログラムメモリ 31 加工プログラム 32 金型装着情報(機械側) 33 タレット番号管理部 34 バッファ金型管理部 35 ラック金型管理部 36 装着金型情報 37 アーム 38 アーム 39 現プログラム使用金型リスト 40 次プログラム使用金型リスト 41 金型装着情報 42 ロボットアーム 43 レール 44 移動部 45 レール 46 パンチアーム 47 ダイアーム 48 金型IDリーダ 49 段取りステーション 50 配置判断部 P パンチ D ダイ PG 加工プログラム W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに、複数の種類の金型情報が関連付けられて、前記複数の種類の金型情報の中から特定された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択する選択手段を備えたことを特徴とする加工システム。
【請求項2】
前記パンチ及び前記ダイには、少なくとも金型IDと管理名称が関連付けられていて、前記選択手段は、前記管理名称を特定することにより、この特定された管理名称に対応する金型IDを適数選択することを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記加工機の動作を制御する加工プログラム中のパンチまたはダイを指定する工具指令は前記金型情報に係る管理名称であることを特徴とする請求項1または2に記載の加工システム。
【請求項4】
パンチの金型IDに対してダイの金型IDが選択されるものであり、この選択は板厚情報と前記金型情報とに基づくことを特徴とする請求項2または3に記載の加工システム。
【請求項5】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに、複数の種類の金型情報が関連付けられて、選択手段が、前記複数の種類の金型情報の中から特定された金型情報に応じて、他の種類の金型情報を選択することを特徴とする加工方法。
【請求項6】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶している記憶手段と、
前記金型番号の指令に基づき、パンチ及びダイの所在を特定すると共に、加工に係るステーションの設定を行う設定手段とを備えていることを特徴とする加工システム。
【請求項7】
前記設定手段は、加工直前に前記加工に係るステーションを決め、この加工に係るステーションに装着のパンチ及びダイで加工を行うことを特徴とする請求項6に記載の加工システム。
【請求項8】
前記記憶手段には、前記金型番号にそれぞれバッファ上の金型装着バッファステーション番号、上部・下部タレット上の金型装着ステーション番号、またはラック上の金型保管ラック番号が関連付られて記憶され、
前記設定手段は、前記金型番号に基づいてバッファ上の金型装着バッファステーション番号、上部・下部タレット上の金型装着ステーション番号、またはラック上の金型保管ラック番号の決定を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の加工システム。
【請求項9】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
記憶手段が前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶しており、設定手段が前記金型番号の指令に基づき、パンチ及びダイの所在を特定すると共に、加工に係るステーションの設定を行うことを特徴とする加工方法。
【請求項10】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
前記パンチ及び前記ダイを装着可能なバッファと、
前記バッファに使用済みのパンチ、ダイを移動し装着すると共に、次に使用する使用パンチ、使用ダイを移動し装着する金型交換管理手段とを備えていることを特徴とする加工システム。
【請求項11】
前記金型交換管理手段は、前記バッファが有する複数の金型装着バッファステーションのなかで、空きが2つ以上あるときは、使用済みのパンチ及びダイは金型ラックへ戻さないことを特徴とする請求項10に記載の加工システム。
【請求項12】
記憶手段が前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶し、前記金型交換管理手段は前記金型番号の指令に基づき金型交換管理を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の加工システム。
【請求項13】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
前記パンチ及び前記ダイを装着可能なバッファを備え、
金型交換管理手段が、前記バッファに使用済みのパンチ、ダイを移動し装着すると共に、次に使用する使用パンチ、ダイを移動し装着する金型交換管理を行うことを特徴とする加工方法。
【請求項14】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックと、
前記パンチ、ダイを使用頻度に応じて前記金型ラック内の保管場所を決める保管手段とを備えたことを特徴とする加工システム。
【請求項15】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工システムにおいて、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックと、
加工機が稼働していない時間に、前記金型ラック内に保管されているパンチ及びダイの金型IDを確認する確認手段とを備えていることを特徴とする加工システム。
【請求項16】
前記保管手段は、加工機が稼働していない時間において、前記金型ラック内に保管されている金型の再配置を行うことを特徴とする請求項14に記載の加工システム。
【請求項17】
記憶手段が前記パンチ及び前記ダイのそれぞれに金型番号を関連付けて記憶しており、前記保管手段は前記金型番号で金型交換管理することを特徴とする請求項14または16に記載の加工システム。
【請求項18】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックを備え、
保管手段が前記パンチ、ダイの使用頻度に応じて金型ラック内の保管場所を決めることを特徴とする加工方法。
【請求項19】
パンチ及びダイを管理すると共に、加工機の上部タレットに装着された複数のパンチ及び下部タレットに装着された複数のダイから選択されたパンチ及びダイの協働により加工を行う加工方法において、
複数のパンチ及び複数のダイを保管可能な金型ラックを備え、
確認手段が加工機が稼働していない時間に前記金型ラック内に収納されているパンチ及びダイの金型IDを確認することを特徴とする加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−63461(P2013−63461A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23719(P2012−23719)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】