加工用治具
【課題】工作機械のテーブルに対する加工用治具のレベルが狂っている時に、そのレベルを調整でき、被加工物の加工精度の低下ないし悪化を防き得る加工用治具を提供する。
【解決手段】金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなり、使用にあたり、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上に載置して被加工物固定手段７によって固定するようにしたもの。
【解決手段】金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなり、使用にあたり、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上に載置して被加工物固定手段７によって固定するようにしたもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、被加工物を工作機械等のテーブルに取り付けて機械加工（研削加工や切削加工）する時に、そのテーブルに取り付けて使用される加工用治具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の加工用治具として、特許公報等の具体的な公知文献を挙げることはできないが、従来、工作機械等のテーブルに取り付けられる金属製ベースプレートの上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部を一体的に設けた加工用治具は知られている。このように金属製ベースプレートの上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部を設けることにより、被加工物がアルミニウム等の非鉄金属やステンレス等のようにベースプレートより柔らかい場合に、その被加工物の下面に傷が付くのを防止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記従来の加工用治具では、加工用治具のベースプレートを直接、工作機械のテーブルに取り付けるようにしていることから、ベースプレートや被加工物取付用板部に製作上の誤差があったり、あるいはそれらの使用時に撓みを生じたりして、工作機械のテーブルに対する加工用治具のレベルが狂うようなことになると、被加工物の加工精度が低下ないし悪化するという問題があった。
【０００４】
本発明は、上記の事情に鑑み、ベースプレートや被加工物取付用板部に製作上の誤差があったり、それらの使用時に撓みを生じたりして、工作機械のテーブルに対する加工用治具のレベルが狂っている時に、そのレベルを調整でき、被加工物の加工精度の低下ないし悪化を防ぐことのできる加工用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項１に係る発明の加工用治具は、金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなり、使用にあたって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上に載置して被加工物固定手段７によって固定するようにしたことを特徴とする。
【０００６】
請求項２は、請求項１に記載の加工用治具において、治具本体３の被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けると共に、エア流通溝１１の底部所要箇所からベースプレート１の内部を通ってその外面側に開口するエア孔１２を設け、被加工物６を被加工物取付用板部２から取り外す際に、エア孔１２に圧縮エアを供給するようにしたことを特徴とする。
【０００７】
請求項３は、請求項１又は２に記載の加工用治具において、被加工物固定手段７は、被加工物６を治具本体３に対しネジ締結するネジ具８からなることを特徴とする。
【０００８】
請求項４は、請求項２に記載の加工用治具において、被加工物固定手段７は、前記エア孔１２より被加工物取付用板部２のエア流通溝１１内のエアを吸引することにより被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するようにしたものからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項１に係る発明の加工用治具は、金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなるため、被加工物６の研削加工中にテーブル４に対する加工用治具のレベルが狂うようなことがあれば、ネジ式固定具５によって簡単にレベル調整できる。即ち、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置くなどして、ネジ式固定具５によって、治具本体３の所要部をジャッキアップしたり、ジャッキダウンしながら、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるようにレベル調整を行なうことができる。それによって、被加工物の加工精度の低下ないし悪化を防ぐことのできる。
【００１０】
請求項２に係る発明によれば、治具本体３の被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けると共に、エア流通溝１１の底部所要箇所からベースプレート１の内部を通ってその外面側に開口するエア孔１２を設け、被加工物６を被加工物取付用板部２から取り外す際に、エア孔１２に圧縮エアを供給するようにしたから、被加工物６の加工が終わって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２から取り外す際に、治具本体３のエア孔１２に圧縮エアを供給することによって、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１から圧縮エアが被加工物６下面に噴射され、その噴射圧力によって被加工物６が押し上げられ、被加工物６の取外しが容易となる。また、この場合、治具本体３の被加工物取付用板部２には多数のエア噴出孔を設けるのではなく、被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けているため、このエア流通溝１１には１箇所のエア孔１１からエアを供給すればよいことになり、従って被加工物取付用板部２に多数のエア噴出孔を設けるのに比べ、構造が簡単で製作が容易となる。
【００１１】
請求項３に記載のように、被加工物固定手段７としては、被加工物６を治具本体３に対しネジ締結するネジ具８からなるものを採用することができる。
【００１２】
請求項４に係る発明のように、被加工物固定手段７として、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１内のエアを吸引することによって被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するような構成とすれば、治具本体３のベースプレート１に対する被加工物取付用板部２の取付け・取外し作業が簡単且つ容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図１の(a) は本発明に係る加工用治具を示す縦断面図、(b) は(a) のＸ−Ｘ線断面図、(c) はエア流通溝の作用を説明する断面図であり、図２の(a) は被加工物を加工用治具に取り付ける前の状態を示す説明断面図、(b) は被加工物を加工用治具に取り付けた状態の断面図である。
【００１４】
ここに示される加工用治具は、金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、この治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなるもので、この治具の使用にあたって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上に載置して被加工物固定手段７によって固定するようになっている。
【００１５】
治具本体３のベースプレート１は、所要の板厚を有する例えばステンレス板によって矩形状に形成されたもので、このベースプレート１には、図１及び図２から分かるように、被加工物６を被加工物取付用板部２に固定するための被加工物固定手段７としてのボルト８（ネジ具）をねじ込むネジ孔９が複数個設けられている。このベースプレート１の厚みは、被加工物６の状況によるが、被加工物６の応力に負けない程度の厚みを確保する必要がある。
【００１６】
治具本体３の被加工物取付用板部２は、所定の厚みを有する硬質ポリウレタン製の板材を治具本体３と同じ大きさに切断したもので、治具本体３の上面に焼き付け又は接着剤による張り付けによって固着されている。また被加工物取付用板部２には、図１及び図２に示すように、ベースプレート１のネジ孔９と対応する位置にボルト挿通孔１０が設けられている。
【００１７】
上記被加工物取付用板部２を形成する硬質ポリウレタンの硬度は、ショア硬度（反発式硬さ試験機の一種であるショア硬さ試験機により測定した硬さ）が８０以上であることが望ましい。これは、シェル取付枠３がある程度の硬度を有していないと、被加工物６の加工時に加工用治具が変形し、その変形により被加工物６が変位して、加工精度が大きく低下するからである。
【００１８】
また図１の(b) に示すように、被加工物取付用板部２の上面には矩形枠状に延びる一連のエア流通溝１１が被加工物取付用板部２上面の概ね全体に亘るように設けられ、そしてこのエア流通溝１１の底部所要箇所からベースプレート１の内部を通ってその外側端面に開口するエア孔１２が設けられ、このエア孔１２にはエアホース接続用のプラグ１３が挿着して取り付けてある。しかして、エア流通溝１１は、幅が２ｍｍ程度、深さが１ｍｍ程度であって、加工用治具の使用後に被加工物６を被加工物取付用板部から取り外す際に、エア孔１２に圧縮エアを供給すると、エア流通溝１１から圧縮エアが被加工物６の下面に噴射され、その噴射圧力により被加工物６を押し上げて、被加工物６の取外しを容易にするようにしたものである。
【００１９】
尚、図１及び図２には図示を省略するが、エア孔１２に挿着されたエアホース接続用のプラグ１３には、一端部がコンプレッサに接続されたエアホースの他端部が接続されている。また、被加工物６には、被加工物取付用板部２に設けてあるボルト挿通孔１０と対応する位置にボルト挿入孔１４が設けられている。
【００２０】
治具本体３を前記テーブル４上にレベル調整可能に固定するためのネジ式固定具５は、図１及び図２に示すように、治具本体３のベースプレート１に設けられたネジ孔１５に螺入される雄ねじ部１６ａを上部側に形成した軸体１６と、この軸体１６の下端部を回転可能に保持する固定用ブロック１７とからなる。固定用ブロック１７は、工作機械等のテーブル４に設けてあるＴ溝１８に対して回転不能で溝１８の長手方向にスライド可能に嵌合されていて、このブロック１７の中央部に設けられた嵌合保持孔１７ａに軸体１６の下端側軸部１６ｂが回転のみ可能に保持されている。この実施形態では、ネジ式固定具５は例えば４個設けられている。
【００２１】
そして、ネジ式固定具５の軸体１６には上端側雄ねじ部１６ａと下端側軸部１６ｂとの中間部に角形の回転操作部１６ｃが設けてあって、この角形回転操作部１６ｃにスパナやレンチなどの回転操作具（図示省略）を係合させて軸体１６を正逆回転させるようにしている。
【００２２】
上記のような構成よりなる加工用治具の使用にあたっては、図２の(a) に示すように、例えば研削盤のテーブル４上に治具本体３を複数個のネジ式固定具５によって所要高さに保持固定する。この際に、テーブル４は表面が水平面となるように設定されているから、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置いて、各ネジ式固定具５の軸体１６を適宜回転させながら、このネジ式固定具５をネジジャッキとして使用することにより、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるように治具本体３をテーブル４の上面に固定する。
【００２３】
こうしてテーブル４上に固定した治具本体３の被加工物取付用板部２上に、例えばアルミニウム製の被加工物６を持ち来して、被加工物取付用板部２の上面に載せた状態から、被加工物固定手段７としてのボルト８を被加工物６のボルト挿入孔１４より被加工物取付用板部２のボルト挿通孔１０を通じてベースプレート１のネジ孔９にねじ込み、締め付けることによって、例えばアルミニウム製の被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に固定する。
【００２４】
上記のようにして例えばアルミニウム製の被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上面当接させて被加工物固定手段７のボルト８（ネジ具）で取付け固定した状態で、研削盤によって被加工物６の研削加工を行なう。この場合に、アルミニウム製の被加工物６は、アルミニウムよりも柔らかい硬質ポリウレタン製の被加工物取付用板部２に当接した状態で取り付けられているから、当該被加工物６下面に傷が付くようなことがない。
【００２５】
しかして、研削盤による被加工物６の研削加工中に、テーブル４に対する加工用治具のレベルが狂うようなことがあれば、ネジ式固定具５によって簡単にレベル調整を行なうことができる。即ち、前記したように、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置いて、所要のネジ式固定具５の軸体１６を適宜回転させることにより、治具本体３の所要部をジャッキアップしたり、ジャッキダウンしながら、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるようにレベル調整を行なう。
【００２６】
被加工物６の加工が終わって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２から取り外す際に、その取外し作業に先立ち、コンプレッサを作動させて、このコンプレッサに接続されたエアホースを通じて治具本体３のエア孔１２に、図１の(c) に示すように圧縮エアを供給すると、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１から圧縮エアが被加工物６下面に噴射されて、その噴射圧力により被加工物６が押し上げられ、被加工物６の取外しが容易となる。
【００２７】
この時、治具本体３の被加工物取付用板部２は、図１の(c) に示すような状態には浮き上がらないけれども、それまでベースプレート１の上面に強固に密着していた被加工物取付用板部２は、ベースプレート１の上面との密着状態から解放されて、外れ易くなる。この場合、治具本体３の被加工物取付用板部２には多数のエア噴出孔を設けるのではなく、被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けているため、このエア流通溝１１には１箇所のエア孔１１からエアを供給すればよいことになり、従って被加工物取付用板部２に多数のエア噴出孔を設けるのに比べ、構造が簡単で製作が容易となる。
【００２８】
図３は本発明に係る他の加工用治具を示すもので、(a) は縦断面図、(b) は(a) のＹ−Ｙ線断面図である。この加工用治具において、治具本体３を工作機械等のテーブル４上にレベル調整可能に固定するためのネジ式固定具５は、治具本体３のベースプレート１に設けられたネジ孔１５に螺入される雄ねじ部１９ａを上部側に形成した軸体１９と、この軸体１９の下端部を回転可能に保持する固定用ブロック２０とからなるもので、固定用ブロック２０は、工作機械等のテーブル４に載置されてテーブル４側のマグネットの磁力により所要位置に吸着固定されるようになっていて、このブロック２０の中央部に設けられた嵌合保持孔２０ａに軸体１９の下端側軸部１９ｂが回転可能に保持されている。
【００２９】
この加工用治具の使用にあたっては、図１及び図２に示す加工用治具と同様に、例えば研削盤のテーブル４上に治具本体３を複数個のネジ式固定具５によって所要高さに保持固定した状態から、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置いて、各ネジ式固定具５の軸体１６を適宜に回転させて、ネジ式固定具５をネジジャッキとして使用しながら、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるように治具本体３をテーブル４の上面に固定する。
【００３０】
また、この加工用治具における被加工物固定手段７は、ベースプレート１に設けられたエア孔１２より被加工物取付用板部２の上面に設けてある一連のエア流通溝１１内のエアを吸引して、その真空吸引力により被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するようにしてなるもので、この場合、エア孔１２に挿着されたエアホース接続用プラグ１３には、真空ポンプとコンプレッサとに対し切り換え自在につながれたエアホースが接続されている。
【００３１】
しかして、加工用治具の使用にあたり、治具本体３の被加工物取付用板部２に被加工物６を取り付ける時には、真空ポンプに接続させたエアホースを通じてベースプレート１のエア流通溝１１内のエアを吸引し、その真空吸引力で被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するようにし、また被加工物６の加工が終わって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２から取り外す時は、コンプレッサと接続するように切り換えたエアホースを通じて、治具本体３のエア孔１２に圧縮エアを供給することにより、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１から圧縮エアう被加工物６下面に噴射させて、その噴射圧力で被加工物６を押し上げ、被加工物６の取外しを容易とするようにしている。
【００３２】
上記のように、被加工物固定手段７を、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１内のエアを吸引することによって被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するような構成とすれば、治具本体３の構造が極めて簡単で、その製作が容易になると共に、治具本体３のベースプレート１に対する被加工物取付用板部２の取付け・取外し作業が簡単且つ容易となる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】(a) は本発明に係る加工用治具を示す縦断面図、(b) は(a) のＸ−Ｘ線断面図、(c) はエア流通溝の作用を説明する断面図である。
【図２】(a) は被加工物を加工用治具に取り付ける前の状態を示す説明断面図、(b) は被加工物を加工用治具に取り付けた状態の断面図である。
【図３】本発明に係る他の加工用治具を示し、(a) は縦断面図、(b) は(a) のＹ−Ｙ線断面図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ ベースプレート
２ 被加工物取付用板部
３ 治具本体
４ 工作機械等のテーブル
５ ネジ式固定具
６ 被加工物
７ 被加工物固定手段
１１ エア流通溝
１２ エア孔
【技術分野】
【０００１】
本発明は、被加工物を工作機械等のテーブルに取り付けて機械加工（研削加工や切削加工）する時に、そのテーブルに取り付けて使用される加工用治具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の加工用治具として、特許公報等の具体的な公知文献を挙げることはできないが、従来、工作機械等のテーブルに取り付けられる金属製ベースプレートの上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部を一体的に設けた加工用治具は知られている。このように金属製ベースプレートの上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部を設けることにより、被加工物がアルミニウム等の非鉄金属やステンレス等のようにベースプレートより柔らかい場合に、その被加工物の下面に傷が付くのを防止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記従来の加工用治具では、加工用治具のベースプレートを直接、工作機械のテーブルに取り付けるようにしていることから、ベースプレートや被加工物取付用板部に製作上の誤差があったり、あるいはそれらの使用時に撓みを生じたりして、工作機械のテーブルに対する加工用治具のレベルが狂うようなことになると、被加工物の加工精度が低下ないし悪化するという問題があった。
【０００４】
本発明は、上記の事情に鑑み、ベースプレートや被加工物取付用板部に製作上の誤差があったり、それらの使用時に撓みを生じたりして、工作機械のテーブルに対する加工用治具のレベルが狂っている時に、そのレベルを調整でき、被加工物の加工精度の低下ないし悪化を防ぐことのできる加工用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項１に係る発明の加工用治具は、金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなり、使用にあたって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上に載置して被加工物固定手段７によって固定するようにしたことを特徴とする。
【０００６】
請求項２は、請求項１に記載の加工用治具において、治具本体３の被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けると共に、エア流通溝１１の底部所要箇所からベースプレート１の内部を通ってその外面側に開口するエア孔１２を設け、被加工物６を被加工物取付用板部２から取り外す際に、エア孔１２に圧縮エアを供給するようにしたことを特徴とする。
【０００７】
請求項３は、請求項１又は２に記載の加工用治具において、被加工物固定手段７は、被加工物６を治具本体３に対しネジ締結するネジ具８からなることを特徴とする。
【０００８】
請求項４は、請求項２に記載の加工用治具において、被加工物固定手段７は、前記エア孔１２より被加工物取付用板部２のエア流通溝１１内のエアを吸引することにより被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するようにしたものからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項１に係る発明の加工用治具は、金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなるため、被加工物６の研削加工中にテーブル４に対する加工用治具のレベルが狂うようなことがあれば、ネジ式固定具５によって簡単にレベル調整できる。即ち、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置くなどして、ネジ式固定具５によって、治具本体３の所要部をジャッキアップしたり、ジャッキダウンしながら、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるようにレベル調整を行なうことができる。それによって、被加工物の加工精度の低下ないし悪化を防ぐことのできる。
【００１０】
請求項２に係る発明によれば、治具本体３の被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けると共に、エア流通溝１１の底部所要箇所からベースプレート１の内部を通ってその外面側に開口するエア孔１２を設け、被加工物６を被加工物取付用板部２から取り外す際に、エア孔１２に圧縮エアを供給するようにしたから、被加工物６の加工が終わって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２から取り外す際に、治具本体３のエア孔１２に圧縮エアを供給することによって、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１から圧縮エアが被加工物６下面に噴射され、その噴射圧力によって被加工物６が押し上げられ、被加工物６の取外しが容易となる。また、この場合、治具本体３の被加工物取付用板部２には多数のエア噴出孔を設けるのではなく、被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けているため、このエア流通溝１１には１箇所のエア孔１１からエアを供給すればよいことになり、従って被加工物取付用板部２に多数のエア噴出孔を設けるのに比べ、構造が簡単で製作が容易となる。
【００１１】
請求項３に記載のように、被加工物固定手段７としては、被加工物６を治具本体３に対しネジ締結するネジ具８からなるものを採用することができる。
【００１２】
請求項４に係る発明のように、被加工物固定手段７として、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１内のエアを吸引することによって被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するような構成とすれば、治具本体３のベースプレート１に対する被加工物取付用板部２の取付け・取外し作業が簡単且つ容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図１の(a) は本発明に係る加工用治具を示す縦断面図、(b) は(a) のＸ−Ｘ線断面図、(c) はエア流通溝の作用を説明する断面図であり、図２の(a) は被加工物を加工用治具に取り付ける前の状態を示す説明断面図、(b) は被加工物を加工用治具に取り付けた状態の断面図である。
【００１４】
ここに示される加工用治具は、金属製のベースプレート１の上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部２を一体的に設けてなる治具本体３と、この治具本体３のベースプレート１と工作機械等のテーブル４との間に介装され、治具本体３をレベル調整可能に前記テーブル４上に固定するための複数のネジ式固定具５とからなるもので、この治具の使用にあたって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上に載置して被加工物固定手段７によって固定するようになっている。
【００１５】
治具本体３のベースプレート１は、所要の板厚を有する例えばステンレス板によって矩形状に形成されたもので、このベースプレート１には、図１及び図２から分かるように、被加工物６を被加工物取付用板部２に固定するための被加工物固定手段７としてのボルト８（ネジ具）をねじ込むネジ孔９が複数個設けられている。このベースプレート１の厚みは、被加工物６の状況によるが、被加工物６の応力に負けない程度の厚みを確保する必要がある。
【００１６】
治具本体３の被加工物取付用板部２は、所定の厚みを有する硬質ポリウレタン製の板材を治具本体３と同じ大きさに切断したもので、治具本体３の上面に焼き付け又は接着剤による張り付けによって固着されている。また被加工物取付用板部２には、図１及び図２に示すように、ベースプレート１のネジ孔９と対応する位置にボルト挿通孔１０が設けられている。
【００１７】
上記被加工物取付用板部２を形成する硬質ポリウレタンの硬度は、ショア硬度（反発式硬さ試験機の一種であるショア硬さ試験機により測定した硬さ）が８０以上であることが望ましい。これは、シェル取付枠３がある程度の硬度を有していないと、被加工物６の加工時に加工用治具が変形し、その変形により被加工物６が変位して、加工精度が大きく低下するからである。
【００１８】
また図１の(b) に示すように、被加工物取付用板部２の上面には矩形枠状に延びる一連のエア流通溝１１が被加工物取付用板部２上面の概ね全体に亘るように設けられ、そしてこのエア流通溝１１の底部所要箇所からベースプレート１の内部を通ってその外側端面に開口するエア孔１２が設けられ、このエア孔１２にはエアホース接続用のプラグ１３が挿着して取り付けてある。しかして、エア流通溝１１は、幅が２ｍｍ程度、深さが１ｍｍ程度であって、加工用治具の使用後に被加工物６を被加工物取付用板部から取り外す際に、エア孔１２に圧縮エアを供給すると、エア流通溝１１から圧縮エアが被加工物６の下面に噴射され、その噴射圧力により被加工物６を押し上げて、被加工物６の取外しを容易にするようにしたものである。
【００１９】
尚、図１及び図２には図示を省略するが、エア孔１２に挿着されたエアホース接続用のプラグ１３には、一端部がコンプレッサに接続されたエアホースの他端部が接続されている。また、被加工物６には、被加工物取付用板部２に設けてあるボルト挿通孔１０と対応する位置にボルト挿入孔１４が設けられている。
【００２０】
治具本体３を前記テーブル４上にレベル調整可能に固定するためのネジ式固定具５は、図１及び図２に示すように、治具本体３のベースプレート１に設けられたネジ孔１５に螺入される雄ねじ部１６ａを上部側に形成した軸体１６と、この軸体１６の下端部を回転可能に保持する固定用ブロック１７とからなる。固定用ブロック１７は、工作機械等のテーブル４に設けてあるＴ溝１８に対して回転不能で溝１８の長手方向にスライド可能に嵌合されていて、このブロック１７の中央部に設けられた嵌合保持孔１７ａに軸体１６の下端側軸部１６ｂが回転のみ可能に保持されている。この実施形態では、ネジ式固定具５は例えば４個設けられている。
【００２１】
そして、ネジ式固定具５の軸体１６には上端側雄ねじ部１６ａと下端側軸部１６ｂとの中間部に角形の回転操作部１６ｃが設けてあって、この角形回転操作部１６ｃにスパナやレンチなどの回転操作具（図示省略）を係合させて軸体１６を正逆回転させるようにしている。
【００２２】
上記のような構成よりなる加工用治具の使用にあたっては、図２の(a) に示すように、例えば研削盤のテーブル４上に治具本体３を複数個のネジ式固定具５によって所要高さに保持固定する。この際に、テーブル４は表面が水平面となるように設定されているから、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置いて、各ネジ式固定具５の軸体１６を適宜回転させながら、このネジ式固定具５をネジジャッキとして使用することにより、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるように治具本体３をテーブル４の上面に固定する。
【００２３】
こうしてテーブル４上に固定した治具本体３の被加工物取付用板部２上に、例えばアルミニウム製の被加工物６を持ち来して、被加工物取付用板部２の上面に載せた状態から、被加工物固定手段７としてのボルト８を被加工物６のボルト挿入孔１４より被加工物取付用板部２のボルト挿通孔１０を通じてベースプレート１のネジ孔９にねじ込み、締め付けることによって、例えばアルミニウム製の被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に固定する。
【００２４】
上記のようにして例えばアルミニウム製の被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２上面当接させて被加工物固定手段７のボルト８（ネジ具）で取付け固定した状態で、研削盤によって被加工物６の研削加工を行なう。この場合に、アルミニウム製の被加工物６は、アルミニウムよりも柔らかい硬質ポリウレタン製の被加工物取付用板部２に当接した状態で取り付けられているから、当該被加工物６下面に傷が付くようなことがない。
【００２５】
しかして、研削盤による被加工物６の研削加工中に、テーブル４に対する加工用治具のレベルが狂うようなことがあれば、ネジ式固定具５によって簡単にレベル調整を行なうことができる。即ち、前記したように、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置いて、所要のネジ式固定具５の軸体１６を適宜回転させることにより、治具本体３の所要部をジャッキアップしたり、ジャッキダウンしながら、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるようにレベル調整を行なう。
【００２６】
被加工物６の加工が終わって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２から取り外す際に、その取外し作業に先立ち、コンプレッサを作動させて、このコンプレッサに接続されたエアホースを通じて治具本体３のエア孔１２に、図１の(c) に示すように圧縮エアを供給すると、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１から圧縮エアが被加工物６下面に噴射されて、その噴射圧力により被加工物６が押し上げられ、被加工物６の取外しが容易となる。
【００２７】
この時、治具本体３の被加工物取付用板部２は、図１の(c) に示すような状態には浮き上がらないけれども、それまでベースプレート１の上面に強固に密着していた被加工物取付用板部２は、ベースプレート１の上面との密着状態から解放されて、外れ易くなる。この場合、治具本体３の被加工物取付用板部２には多数のエア噴出孔を設けるのではなく、被加工物取付用板部２の上面に一連のエア流通溝１１を設けているため、このエア流通溝１１には１箇所のエア孔１１からエアを供給すればよいことになり、従って被加工物取付用板部２に多数のエア噴出孔を設けるのに比べ、構造が簡単で製作が容易となる。
【００２８】
図３は本発明に係る他の加工用治具を示すもので、(a) は縦断面図、(b) は(a) のＹ−Ｙ線断面図である。この加工用治具において、治具本体３を工作機械等のテーブル４上にレベル調整可能に固定するためのネジ式固定具５は、治具本体３のベースプレート１に設けられたネジ孔１５に螺入される雄ねじ部１９ａを上部側に形成した軸体１９と、この軸体１９の下端部を回転可能に保持する固定用ブロック２０とからなるもので、固定用ブロック２０は、工作機械等のテーブル４に載置されてテーブル４側のマグネットの磁力により所要位置に吸着固定されるようになっていて、このブロック２０の中央部に設けられた嵌合保持孔２０ａに軸体１９の下端側軸部１９ｂが回転可能に保持されている。
【００２９】
この加工用治具の使用にあたっては、図１及び図２に示す加工用治具と同様に、例えば研削盤のテーブル４上に治具本体３を複数個のネジ式固定具５によって所要高さに保持固定した状態から、被加工物取付用板部２の上面にレベルゲージを置いて、各ネジ式固定具５の軸体１６を適宜に回転させて、ネジ式固定具５をネジジャッキとして使用しながら、被加工物取付用板部２の表面全体がテーブル４と平行となるように治具本体３をテーブル４の上面に固定する。
【００３０】
また、この加工用治具における被加工物固定手段７は、ベースプレート１に設けられたエア孔１２より被加工物取付用板部２の上面に設けてある一連のエア流通溝１１内のエアを吸引して、その真空吸引力により被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するようにしてなるもので、この場合、エア孔１２に挿着されたエアホース接続用プラグ１３には、真空ポンプとコンプレッサとに対し切り換え自在につながれたエアホースが接続されている。
【００３１】
しかして、加工用治具の使用にあたり、治具本体３の被加工物取付用板部２に被加工物６を取り付ける時には、真空ポンプに接続させたエアホースを通じてベースプレート１のエア流通溝１１内のエアを吸引し、その真空吸引力で被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するようにし、また被加工物６の加工が終わって、被加工物６を治具本体３の被加工物取付用板部２から取り外す時は、コンプレッサと接続するように切り換えたエアホースを通じて、治具本体３のエア孔１２に圧縮エアを供給することにより、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１から圧縮エアう被加工物６下面に噴射させて、その噴射圧力で被加工物６を押し上げ、被加工物６の取外しを容易とするようにしている。
【００３２】
上記のように、被加工物固定手段７を、被加工物取付用板部２のエア流通溝１１内のエアを吸引することによって被加工物６を被加工物取付用板部２の上面に吸着固定するような構成とすれば、治具本体３の構造が極めて簡単で、その製作が容易になると共に、治具本体３のベースプレート１に対する被加工物取付用板部２の取付け・取外し作業が簡単且つ容易となる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】(a) は本発明に係る加工用治具を示す縦断面図、(b) は(a) のＸ−Ｘ線断面図、(c) はエア流通溝の作用を説明する断面図である。
【図２】(a) は被加工物を加工用治具に取り付ける前の状態を示す説明断面図、(b) は被加工物を加工用治具に取り付けた状態の断面図である。
【図３】本発明に係る他の加工用治具を示し、(a) は縦断面図、(b) は(a) のＹ−Ｙ線断面図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ ベースプレート
２ 被加工物取付用板部
３ 治具本体
４ 工作機械等のテーブル
５ ネジ式固定具
６ 被加工物
７ 被加工物固定手段
１１ エア流通溝
１２ エア孔
【特許請求の範囲】
【請求項１】
金属製のベースプレートの上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部を一体的に設けてなる治具本体と、治具本体のベースプレートと工作機械等のテーブルとの間に介装され、治具本体をレベル調整可能に前記テーブル上に固定するための複数のネジ式固定具とからなり、使用にあたって、被加工物を治具本体の被加工物取付用板部上に載置して被加工物固定手段によって固定するようにした加工用治具。
【請求項２】
治具本体の被加工物取付用板部の上面に一連のエア流通溝を設けると共に、エア流通溝の底部所要箇所からベースプレートの内部を通ってその外面側に開口するエア孔を設け、被加工物を被加工物取付用板部から取り外す際に、エア孔に圧縮エアを供給するようにした請求項１に記載の加工用治具。
【請求項３】
被加工物固定手段は、被加工物を治具本体に対しネジ締結するネジ具からなる請求項１又は２に記載の加工用治具。
【請求項４】
被加工物固定手段は、前記エア孔より被加工物取付用板部のエア流通溝内のエアを吸引することにより被加工物を被加工物取付用板部の上面に吸着固定するようにしたものからなる請求項２に記載の加工用治具。
【請求項１】
金属製のベースプレートの上面側に硬質樹脂製の被加工物取付用板部を一体的に設けてなる治具本体と、治具本体のベースプレートと工作機械等のテーブルとの間に介装され、治具本体をレベル調整可能に前記テーブル上に固定するための複数のネジ式固定具とからなり、使用にあたって、被加工物を治具本体の被加工物取付用板部上に載置して被加工物固定手段によって固定するようにした加工用治具。
【請求項２】
治具本体の被加工物取付用板部の上面に一連のエア流通溝を設けると共に、エア流通溝の底部所要箇所からベースプレートの内部を通ってその外面側に開口するエア孔を設け、被加工物を被加工物取付用板部から取り外す際に、エア孔に圧縮エアを供給するようにした請求項１に記載の加工用治具。
【請求項３】
被加工物固定手段は、被加工物を治具本体に対しネジ締結するネジ具からなる請求項１又は２に記載の加工用治具。
【請求項４】
被加工物固定手段は、前記エア孔より被加工物取付用板部のエア流通溝内のエアを吸引することにより被加工物を被加工物取付用板部の上面に吸着固定するようにしたものからなる請求項２に記載の加工用治具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００９−１８４０３３（Ｐ２００９−１８４０３３Ａ）
【公開日】平成２１年８月２０日（２００９．８．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２４０３８（Ｐ２００８−２４０３８）
【出願日】平成２０年２月４日（２００８．２．４）
【出願人】（５０７０５０００１）平井工業株式会社 (8)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年８月２０日（２００９．８．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月４日（２００８．２．４）
【出願人】（５０７０５０００１）平井工業株式会社 (8)
【Ｆターム（参考）】
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