加熱器取付座付き蓋体
【課題】構成が簡易で、新たな部品等を必要とせず、送水ポンプの連結口を閉塞し、かつ外枠等の材質にかかわらず凍結を防止できる、送水ポンプの加熱器取付座付き蓋体を提供する。
【解決手段】送水ポンプの配管取付用の吐出口38等に取り付けて吐出口38等を閉塞させる加熱器取付座付き蓋体10を、吐出口38等に取り付けられる台座部12と、台座部12に設けられ、加熱器を着脱可能に取り付ける取付座14とを備え、加熱器が、取付座14に送水ポンプ内部の流体を加熱可能に取り付けられることとして構成した。
【解決手段】送水ポンプの配管取付用の吐出口38等に取り付けて吐出口38等を閉塞させる加熱器取付座付き蓋体10を、吐出口38等に取り付けられる台座部12と、台座部12に設けられ、加熱器を着脱可能に取り付ける取付座14とを備え、加熱器が、取付座14に送水ポンプ内部の流体を加熱可能に取り付けられることとして構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送水ポンプの連結口のフランジ等に取り付け、連結口を閉塞させるとともに、取付座に加熱器を取り付け、送水ポンプ内部を加熱できる加熱器取付座付き蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
冬季等のように送水ポンプ内で水が凍結するおそれがある場合、送水ポンプや配管の途中に加熱装置を設け、送水ポンプ内部の水を加熱して、内部での水の凍結を防止することが行われている(例えば、特許文献1参照)。一方、軽量化やコスト削減等のため、近年外枠体やカバー部分等に合成樹脂材料を用いた送水ポンプが知られている。
【0003】
また送水ポンプは、吸水管や送水管が連結される連結口を複数備え、連結口を選択して吸水管や送水管を取り付け、配管を無理に取り回すことなく各管が送水ポンプに連結できるようにしている。そして、吸水管や送水管等の配管が接続されない連結口には、閉塞用の蓋体をねじ等で取り付け、連結口を閉塞させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−231543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した送水ポンプや蓋体には、次のような問題があった。すなわち、外枠体等に合成樹脂材を用いた送水ポンプで、加熱装置を合成樹脂材部分に取り付けると、加熱により合成樹脂材である外枠体が変質したり、変形や溶融等を引き起こすおそれがある。
【0006】
また合成樹脂材は一般に熱伝導性が低いため、取り付けられた加熱装置から加熱しても、送水ポンプ内部の水が十分に加熱されず、加熱装置の凍結防止機能が有効に作用しないことが考えられる。更に加熱装置が小さい場合、送水ポンプの広い範囲が加熱されず、一部の箇所の温度のみが限定的に上昇してしまうことがある。一方送水ポンプを広く加熱しようとすると、加熱装置が複数に及んだり大型化したり、使用電力が大きくなってコストが増大し、又取付作業に手間がかかることとなっていた。
【0007】
本発明は上記課題を解決し、構成が簡易で、新たな部品等を必要とせず、送水ポンプの連結口に取り付けて閉塞ができ、かつ合成樹脂材が使用されていても加熱器を取り付けて、凍結防止ができる送水ポンプ用の加熱器取付座付き蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、目的を達成するために本発明の加熱器取付座付き蓋体を次のように構成した。
【0009】
送水ポンプの配管取付用の連結口に取り付けられ、連結口を閉塞させる蓋体であり、記連結口に取り付けられる台座部と、台座部に設けられ、加熱器を着脱可能に取り付ける取付座とを備え、加熱器が、取付座に送水ポンプ内部の流体を加熱可能に取り付けられることとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構成が簡易で、新たな部品や加工等を必要とせず、送水ポンプの連結口に取り付けて連結口を閉塞ができ、かつ取付座に取り付けた加熱器により、送水ポンプに合成樹脂材が使用されていても内部の水の凍結防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す側面図。
【図2】同加熱器取付座付き蓋体を示す正面図。
【図3】同加熱器取付座付き蓋体を示す裏面図。
【図4】同加熱器取付座付き蓋体の使用例を示す断面図。
【図5】加熱器取付座付き蓋体を用いた送水ポンプの一例を示す正面図。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す側面図。
【図7】同加熱器取付座付き蓋体を示す正面図。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す側面図。
【図9】同加熱器取付座付き蓋体の使用例を示す断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す正面図。
【図11】同加熱器取付座付き蓋体を示す一部断面側面図。
【図12】同加熱器取付座付き蓋体の使用例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態にかかる送水ポンプの加熱器取付座付き蓋体10について説明する。図1〜図4は、加熱器取付座付き蓋体10を示す図である。
【0013】
図1に、加熱器取付座付き蓋体10を示す。加熱器取付座付き蓋体10は、金属製で、図2にも示すように台座部12と、取付座14と、加熱器16(図4参照)等を備えて構成されている。台座部12は、後述する送水ポンプ30の吐出口(連結口)38等に対応した形状を有する板状部材で、両側にボルト孔18が設けられている。台座部12は、ボルト孔18を介して吐出口38等に取り付けると、吐出口38等を液密に閉塞するように形成されている。
【0014】
取付座14は、台座部12の中央に設けられた有頭筒状の部材で、図1又は図3に示すように吐出口38の開口径より細い外径を有し、内側には図2に示すように円筒形の収納室22が設けられている。収納室22は、加熱器16の外径に等しい内径を有し、加熱器16を収納するのに十分な深さ幅を有している。
【0015】
加熱器16は、図4に示すように円筒状で、通電により発熱する発熱体を内部に備え、収納室22内に適度な抵抗感をもって収納室22の奥まで挿し入れて取り付けられる。加熱器16には、制御回路を介して電源が接続し、温度センサからの計測結果に基づき適宜電源がオンオフされる。
【0016】
なお、加熱器16の発熱体は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータと呼ばれる自己温度制御発熱体が好ましい。PTCヒータは、例えばチタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックスからなり、通電により発熱するとともに所定温度に達すると抵抗値が急激に増加して電流を流し続けても所定の発熱温度を維持する性質を有している。
【0017】
また、加熱器16の発熱体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート又はそれらの共重合体等の結晶性樹脂に、カーボンブラック、グラファイト等の導電性粒子を配合させ、内部に電極を配した自己温度制御ヒータ等でもよい。また加熱器取付座付き蓋体10は、送水ポンプ30に加熱の必要がないと判断される場合には、加熱器16を収納室22から取り外してもよい。加熱器取付座付き蓋体10は、図5に示す送水ポンプ30の吐出口38に固定されている。
【0018】
送水ポンプ30は、図5に示すようにポンプ本体部32と、駆動モータ34とを備え、吸入口(連結口)36と吐出口38と第2吐出口(連結口)39がポンプ本体部32に設けられている。吸入口36には、給水用配管が接続し、第2吐出口39には、送水用配管40が接続されている。
【0019】
給水用配管や送水用配管40には、送水用配管40等の端部から外方に広がった概ね菱形の取付片(フランジ)46が形成されている。送水用配管40の取付片46は、第2吐出口39にボルト50で取り付けられ、送水用配管40を第2吐出口39に連結させている。
【0020】
吸入口36と吐出口38と第2吐出口39は、取付片46に対応して形成してあり、ポンプ本体部32の内部に通じる通水路42(図4参照)を有し、通水路42の開口端の両端にボルトをねじ込むねじ孔44(図1参照)が形成されている。
【0021】
送水ポンプ30は、ポンプ本体部32が駆動モータ34で駆動されると吸入口36から水を吸引し、吐出口38が加熱器取付座付き蓋体10により閉塞されているので、第2吐出口39を通して送水用配管40へ水を吐出する。なお、本発明に用いられる送水ポンプとしては、上記送水ポンプ30に限定されるものではない。
【0022】
次に、加熱器取付座付き蓋体10の作用、効果について説明する。加熱器取付座付き蓋体10は、図1に示すように台座部12のボルト孔18に通したボルト52を吐出口38のねじ孔44にねじ込み、パッキン41を介して吐出口38に取り付ける。台座部12は、吐出口38に液密な状態で取り付けられ、これにより吐出口38は閉塞される。そして、必要に応じてボルト52を外し、加熱器取付座付き蓋体10に代えて吐出口38に送水用配管40を取り付けることができる。
【0023】
また、冬季等、内部の水の凍結が考慮されるときには、取付座14の収納室22に加熱器16を組み付け、電源に接続させる。温度センサが検出した水温、あるいは気温が所定温度まで低下すると、加熱器16への通電が開始される。通電により加熱器16は発熱し、加熱器16で発生した熱は取付座14を通して通水路42内の水に伝達される。取付座14は、通水路42の内部に挿入されているので、これにより、送水ポンプ30内の水の温度が上昇し、内部での水の凍結が防止される。そして、温度センサによる検出温度と閾値とを比較し、通電が適宜オンオフがなされる。
【0024】
したがって、加熱器取付座付き蓋体10は、送水ポンプ30へ容易に取り付けることができ、吐出口38等に取り付け、加熱器16の有無にかかわらず吐出口38を確実に閉塞できる。そして、配管の接続を変更するときは、吐出口38等から取り外し、他の連結口に付け替えることができる。
【0025】
凍結が考慮されるときには、収納室22に加熱器16を組み付け通電することにより、吐出口38を通して内部の水を加熱し、凍結防止ができる。吐出口38に取り付けるため、外枠体等の材質、金属や合成樹脂等を問わず、確実に送水ポンプ30の内部での水の凍結を防止できる。また加熱器16の発熱体をPTCヒータとすることにより、制御回路や温度センサ等を設けることなく、自動温度制御が可能となる。
【0026】
これによれば構成が簡易で、新たな部品や加工等を必要とせず、送水ポンプの連結口に取り付けて連結口を閉塞ができ、かつ取付座に取り付けた加熱器により、送水ポンプに合成樹脂材が使用されていても内部の水の凍結防止が可能となる。
【0027】
なお加熱器取付座付き蓋体10は、金属製でなく、耐熱性合成樹脂、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等で形成してもよい。
【0028】
次に、第2の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体11について説明する。図6、図7に、加熱器取付座付き蓋体11を示す。加熱器取付座付き蓋体11は、取付座15を除き、加熱器取付座付き蓋体10と同等の構成を有している。したがって、加熱器取付座付き蓋体10と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。取付座15は、外周面に突条17が形成されている。突条17は、取付座15の長手方向に複数形成されており、これにより取付座15の断面外周に凹凸が形成されている。
【0029】
加熱器取付座付き蓋体11は、取付座15に突条17が形成されていることから表面積が増加し、加熱器16で発生した熱が通水路42内の水に効率よく伝達される。なお、突条17は取付座15の長手方向に限らず、周方向に形成されていてもよい。また突条17でなく、凹凸により取付座15の表面積が拡大されれば、半球状その他の形状の突部、もしくは凹部を取付座15に形成してもよい。
【0030】
これによれば加熱器取付座付き蓋体10と同様の効果が得られるとともに、加熱器16で発生した熱が通水路42内の水に効率よく伝達される。
【0031】
次に、第3の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体13について説明する。図8、図9に、加熱器取付座付き蓋体13を示す。加熱器取付座付き蓋体13は、取付座19を除き、加熱器取付座付き蓋体10と同等の構成要素を有している。したがって、加熱器取付座付き蓋体10と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。取付座19は、台座部12の中心より下方に位置をずらした位置に取り付けられている。図9に、加熱器取付座付き蓋体13を吐出口38に取り付けた状態を示す。
【0032】
加熱器取付座付き蓋体13は、取付座19が、台座部12の中心より下方に設けられていることから、吐出口38に加熱器取付座付き蓋体13を取り付けると、通水路42の下方に取付座19が位置する。これにより、取付座19から熱を受けた水が通水路42内で上昇し対流を発生させ、通水路42内の水への取付座19の熱の伝達が効率よく行われる。
【0033】
これによれば加熱器取付座付き蓋体10と同様の効果が得られるとともに、通水路42内の水への取付座19の熱の伝達が効率よく行われる。
【0034】
次に、第4の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体21について説明する。図10〜図12に、加熱器取付座付き蓋体21を示す。加熱器取付座付き蓋体21は、取付座14の下方に水抜き孔23を備えている以外、加熱器取付座付き蓋体10と同等の構成要素を有している。したがって、加熱器取付座付き蓋体10と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。水抜き孔23は、台座部12を貫通して形成されており、通常は図12に示すように止めねじ25がねじ込まれて封止されている。
【0035】
加熱器取付座付き蓋体21を、吐出口38に取り付けた状態を図12に示す。水抜き孔23は通水路42に連通し、止めねじ25を取り外すことにより、通水路42内の水を水抜き孔23を通して外部に放出できる。これにより、加熱器16で加熱を行って凍結を防止することに加え、送水ポンプ30を使用しない場合には、止めねじ25を外して内部の水を排出し、送水ポンプ30内での水の凍結を防止することもできる。
【0036】
これによれば加熱器取付座付き蓋体10と同様の効果が得られるとともに、通水路42内の水を水抜き孔23を通して外部に放出できる。
【0037】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。この他、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、構成が簡易で、取り付けが容易にでき、製造コストが低く、また合成樹脂材が用いられた送水ポンプにも使用でき、確実に凍結を防止する加熱器取付座付き蓋体が提供できる。
【符号の説明】
【0039】
10…加熱器取付座付き蓋体、12…台座部、14…取付座、16…加熱器、17…突条、18…ボルト孔、30…送水ポンプ、32…ポンプ本体部、34…駆動モータ、36…吸入口、38…吐出口、40…送水用配管、42…通水路、44…取付片、50…ボルト孔、52…ボルト。
【技術分野】
【0001】
本発明は、送水ポンプの連結口のフランジ等に取り付け、連結口を閉塞させるとともに、取付座に加熱器を取り付け、送水ポンプ内部を加熱できる加熱器取付座付き蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
冬季等のように送水ポンプ内で水が凍結するおそれがある場合、送水ポンプや配管の途中に加熱装置を設け、送水ポンプ内部の水を加熱して、内部での水の凍結を防止することが行われている(例えば、特許文献1参照)。一方、軽量化やコスト削減等のため、近年外枠体やカバー部分等に合成樹脂材料を用いた送水ポンプが知られている。
【0003】
また送水ポンプは、吸水管や送水管が連結される連結口を複数備え、連結口を選択して吸水管や送水管を取り付け、配管を無理に取り回すことなく各管が送水ポンプに連結できるようにしている。そして、吸水管や送水管等の配管が接続されない連結口には、閉塞用の蓋体をねじ等で取り付け、連結口を閉塞させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−231543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した送水ポンプや蓋体には、次のような問題があった。すなわち、外枠体等に合成樹脂材を用いた送水ポンプで、加熱装置を合成樹脂材部分に取り付けると、加熱により合成樹脂材である外枠体が変質したり、変形や溶融等を引き起こすおそれがある。
【0006】
また合成樹脂材は一般に熱伝導性が低いため、取り付けられた加熱装置から加熱しても、送水ポンプ内部の水が十分に加熱されず、加熱装置の凍結防止機能が有効に作用しないことが考えられる。更に加熱装置が小さい場合、送水ポンプの広い範囲が加熱されず、一部の箇所の温度のみが限定的に上昇してしまうことがある。一方送水ポンプを広く加熱しようとすると、加熱装置が複数に及んだり大型化したり、使用電力が大きくなってコストが増大し、又取付作業に手間がかかることとなっていた。
【0007】
本発明は上記課題を解決し、構成が簡易で、新たな部品等を必要とせず、送水ポンプの連結口に取り付けて閉塞ができ、かつ合成樹脂材が使用されていても加熱器を取り付けて、凍結防止ができる送水ポンプ用の加熱器取付座付き蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、目的を達成するために本発明の加熱器取付座付き蓋体を次のように構成した。
【0009】
送水ポンプの配管取付用の連結口に取り付けられ、連結口を閉塞させる蓋体であり、記連結口に取り付けられる台座部と、台座部に設けられ、加熱器を着脱可能に取り付ける取付座とを備え、加熱器が、取付座に送水ポンプ内部の流体を加熱可能に取り付けられることとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構成が簡易で、新たな部品や加工等を必要とせず、送水ポンプの連結口に取り付けて連結口を閉塞ができ、かつ取付座に取り付けた加熱器により、送水ポンプに合成樹脂材が使用されていても内部の水の凍結防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す側面図。
【図2】同加熱器取付座付き蓋体を示す正面図。
【図3】同加熱器取付座付き蓋体を示す裏面図。
【図4】同加熱器取付座付き蓋体の使用例を示す断面図。
【図5】加熱器取付座付き蓋体を用いた送水ポンプの一例を示す正面図。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す側面図。
【図7】同加熱器取付座付き蓋体を示す正面図。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す側面図。
【図9】同加熱器取付座付き蓋体の使用例を示す断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体を示す正面図。
【図11】同加熱器取付座付き蓋体を示す一部断面側面図。
【図12】同加熱器取付座付き蓋体の使用例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態にかかる送水ポンプの加熱器取付座付き蓋体10について説明する。図1〜図4は、加熱器取付座付き蓋体10を示す図である。
【0013】
図1に、加熱器取付座付き蓋体10を示す。加熱器取付座付き蓋体10は、金属製で、図2にも示すように台座部12と、取付座14と、加熱器16(図4参照)等を備えて構成されている。台座部12は、後述する送水ポンプ30の吐出口(連結口)38等に対応した形状を有する板状部材で、両側にボルト孔18が設けられている。台座部12は、ボルト孔18を介して吐出口38等に取り付けると、吐出口38等を液密に閉塞するように形成されている。
【0014】
取付座14は、台座部12の中央に設けられた有頭筒状の部材で、図1又は図3に示すように吐出口38の開口径より細い外径を有し、内側には図2に示すように円筒形の収納室22が設けられている。収納室22は、加熱器16の外径に等しい内径を有し、加熱器16を収納するのに十分な深さ幅を有している。
【0015】
加熱器16は、図4に示すように円筒状で、通電により発熱する発熱体を内部に備え、収納室22内に適度な抵抗感をもって収納室22の奥まで挿し入れて取り付けられる。加熱器16には、制御回路を介して電源が接続し、温度センサからの計測結果に基づき適宜電源がオンオフされる。
【0016】
なお、加熱器16の発熱体は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータと呼ばれる自己温度制御発熱体が好ましい。PTCヒータは、例えばチタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックスからなり、通電により発熱するとともに所定温度に達すると抵抗値が急激に増加して電流を流し続けても所定の発熱温度を維持する性質を有している。
【0017】
また、加熱器16の発熱体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート又はそれらの共重合体等の結晶性樹脂に、カーボンブラック、グラファイト等の導電性粒子を配合させ、内部に電極を配した自己温度制御ヒータ等でもよい。また加熱器取付座付き蓋体10は、送水ポンプ30に加熱の必要がないと判断される場合には、加熱器16を収納室22から取り外してもよい。加熱器取付座付き蓋体10は、図5に示す送水ポンプ30の吐出口38に固定されている。
【0018】
送水ポンプ30は、図5に示すようにポンプ本体部32と、駆動モータ34とを備え、吸入口(連結口)36と吐出口38と第2吐出口(連結口)39がポンプ本体部32に設けられている。吸入口36には、給水用配管が接続し、第2吐出口39には、送水用配管40が接続されている。
【0019】
給水用配管や送水用配管40には、送水用配管40等の端部から外方に広がった概ね菱形の取付片(フランジ)46が形成されている。送水用配管40の取付片46は、第2吐出口39にボルト50で取り付けられ、送水用配管40を第2吐出口39に連結させている。
【0020】
吸入口36と吐出口38と第2吐出口39は、取付片46に対応して形成してあり、ポンプ本体部32の内部に通じる通水路42(図4参照)を有し、通水路42の開口端の両端にボルトをねじ込むねじ孔44(図1参照)が形成されている。
【0021】
送水ポンプ30は、ポンプ本体部32が駆動モータ34で駆動されると吸入口36から水を吸引し、吐出口38が加熱器取付座付き蓋体10により閉塞されているので、第2吐出口39を通して送水用配管40へ水を吐出する。なお、本発明に用いられる送水ポンプとしては、上記送水ポンプ30に限定されるものではない。
【0022】
次に、加熱器取付座付き蓋体10の作用、効果について説明する。加熱器取付座付き蓋体10は、図1に示すように台座部12のボルト孔18に通したボルト52を吐出口38のねじ孔44にねじ込み、パッキン41を介して吐出口38に取り付ける。台座部12は、吐出口38に液密な状態で取り付けられ、これにより吐出口38は閉塞される。そして、必要に応じてボルト52を外し、加熱器取付座付き蓋体10に代えて吐出口38に送水用配管40を取り付けることができる。
【0023】
また、冬季等、内部の水の凍結が考慮されるときには、取付座14の収納室22に加熱器16を組み付け、電源に接続させる。温度センサが検出した水温、あるいは気温が所定温度まで低下すると、加熱器16への通電が開始される。通電により加熱器16は発熱し、加熱器16で発生した熱は取付座14を通して通水路42内の水に伝達される。取付座14は、通水路42の内部に挿入されているので、これにより、送水ポンプ30内の水の温度が上昇し、内部での水の凍結が防止される。そして、温度センサによる検出温度と閾値とを比較し、通電が適宜オンオフがなされる。
【0024】
したがって、加熱器取付座付き蓋体10は、送水ポンプ30へ容易に取り付けることができ、吐出口38等に取り付け、加熱器16の有無にかかわらず吐出口38を確実に閉塞できる。そして、配管の接続を変更するときは、吐出口38等から取り外し、他の連結口に付け替えることができる。
【0025】
凍結が考慮されるときには、収納室22に加熱器16を組み付け通電することにより、吐出口38を通して内部の水を加熱し、凍結防止ができる。吐出口38に取り付けるため、外枠体等の材質、金属や合成樹脂等を問わず、確実に送水ポンプ30の内部での水の凍結を防止できる。また加熱器16の発熱体をPTCヒータとすることにより、制御回路や温度センサ等を設けることなく、自動温度制御が可能となる。
【0026】
これによれば構成が簡易で、新たな部品や加工等を必要とせず、送水ポンプの連結口に取り付けて連結口を閉塞ができ、かつ取付座に取り付けた加熱器により、送水ポンプに合成樹脂材が使用されていても内部の水の凍結防止が可能となる。
【0027】
なお加熱器取付座付き蓋体10は、金属製でなく、耐熱性合成樹脂、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等で形成してもよい。
【0028】
次に、第2の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体11について説明する。図6、図7に、加熱器取付座付き蓋体11を示す。加熱器取付座付き蓋体11は、取付座15を除き、加熱器取付座付き蓋体10と同等の構成を有している。したがって、加熱器取付座付き蓋体10と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。取付座15は、外周面に突条17が形成されている。突条17は、取付座15の長手方向に複数形成されており、これにより取付座15の断面外周に凹凸が形成されている。
【0029】
加熱器取付座付き蓋体11は、取付座15に突条17が形成されていることから表面積が増加し、加熱器16で発生した熱が通水路42内の水に効率よく伝達される。なお、突条17は取付座15の長手方向に限らず、周方向に形成されていてもよい。また突条17でなく、凹凸により取付座15の表面積が拡大されれば、半球状その他の形状の突部、もしくは凹部を取付座15に形成してもよい。
【0030】
これによれば加熱器取付座付き蓋体10と同様の効果が得られるとともに、加熱器16で発生した熱が通水路42内の水に効率よく伝達される。
【0031】
次に、第3の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体13について説明する。図8、図9に、加熱器取付座付き蓋体13を示す。加熱器取付座付き蓋体13は、取付座19を除き、加熱器取付座付き蓋体10と同等の構成要素を有している。したがって、加熱器取付座付き蓋体10と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。取付座19は、台座部12の中心より下方に位置をずらした位置に取り付けられている。図9に、加熱器取付座付き蓋体13を吐出口38に取り付けた状態を示す。
【0032】
加熱器取付座付き蓋体13は、取付座19が、台座部12の中心より下方に設けられていることから、吐出口38に加熱器取付座付き蓋体13を取り付けると、通水路42の下方に取付座19が位置する。これにより、取付座19から熱を受けた水が通水路42内で上昇し対流を発生させ、通水路42内の水への取付座19の熱の伝達が効率よく行われる。
【0033】
これによれば加熱器取付座付き蓋体10と同様の効果が得られるとともに、通水路42内の水への取付座19の熱の伝達が効率よく行われる。
【0034】
次に、第4の実施形態にかかる加熱器取付座付き蓋体21について説明する。図10〜図12に、加熱器取付座付き蓋体21を示す。加熱器取付座付き蓋体21は、取付座14の下方に水抜き孔23を備えている以外、加熱器取付座付き蓋体10と同等の構成要素を有している。したがって、加熱器取付座付き蓋体10と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。水抜き孔23は、台座部12を貫通して形成されており、通常は図12に示すように止めねじ25がねじ込まれて封止されている。
【0035】
加熱器取付座付き蓋体21を、吐出口38に取り付けた状態を図12に示す。水抜き孔23は通水路42に連通し、止めねじ25を取り外すことにより、通水路42内の水を水抜き孔23を通して外部に放出できる。これにより、加熱器16で加熱を行って凍結を防止することに加え、送水ポンプ30を使用しない場合には、止めねじ25を外して内部の水を排出し、送水ポンプ30内での水の凍結を防止することもできる。
【0036】
これによれば加熱器取付座付き蓋体10と同様の効果が得られるとともに、通水路42内の水を水抜き孔23を通して外部に放出できる。
【0037】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。この他、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、構成が簡易で、取り付けが容易にでき、製造コストが低く、また合成樹脂材が用いられた送水ポンプにも使用でき、確実に凍結を防止する加熱器取付座付き蓋体が提供できる。
【符号の説明】
【0039】
10…加熱器取付座付き蓋体、12…台座部、14…取付座、16…加熱器、17…突条、18…ボルト孔、30…送水ポンプ、32…ポンプ本体部、34…駆動モータ、36…吸入口、38…吐出口、40…送水用配管、42…通水路、44…取付片、50…ボルト孔、52…ボルト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送水ポンプの配管取付用の連結口に取り付けて該連結口を閉塞させる蓋体であり、
前記連結口に取り付けられる台座部と、
前記台座部に設けられ、前記送水ポンプ内部の流体を加熱する加熱器を着脱可能に取り付ける取付座と、を備えていることを特徴とする加熱器取付座付き蓋体。
【請求項2】
前記取付座は、前記連結口に取り付けられる台座部に、該台座部から突出した状態で設けられ、
前記台座部を前記連結口に取り付けると、前記取付座が、前記連結口の開口部内に進入した状態となることを特徴とする請求項1に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項3】
前記取付座は、外周面に、凹凸が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項4】
前記取付座は、前記台座部を前記連結口に取り付けると、該連結口内部の中心からずれた位置に配置されるように設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項5】
前記台座部は、前記送水ポンプに設けられた複数の前記連結口に取り付け可能で、前記台座部を前記複数の連結口のいずれかに取り付け、前記送水ポンプの所望の連結口を閉塞可能としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項6】
前記台座部は水抜き孔を備え、前記台座部を取り付けた前記連結口の内部を、前記水抜き孔により外部に連通可能としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項7】
前記台座部を、金属、もしくは耐熱性樹脂から形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項8】
前記加熱器は、自己温度制御発熱体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項9】
少なくとも3つの配管取付用の連結口を有する送水ポンプの前記連結口のいずれかに取り付けられ、該連結口を閉塞する台座部と、
前記台座部に設けられ、前記送水ポンプ内部の流体を加熱する加熱器を着脱可能に取り付ける取付部とを備えていることを特徴とする加熱器取付座付き蓋体。
【請求項1】
送水ポンプの配管取付用の連結口に取り付けて該連結口を閉塞させる蓋体であり、
前記連結口に取り付けられる台座部と、
前記台座部に設けられ、前記送水ポンプ内部の流体を加熱する加熱器を着脱可能に取り付ける取付座と、を備えていることを特徴とする加熱器取付座付き蓋体。
【請求項2】
前記取付座は、前記連結口に取り付けられる台座部に、該台座部から突出した状態で設けられ、
前記台座部を前記連結口に取り付けると、前記取付座が、前記連結口の開口部内に進入した状態となることを特徴とする請求項1に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項3】
前記取付座は、外周面に、凹凸が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項4】
前記取付座は、前記台座部を前記連結口に取り付けると、該連結口内部の中心からずれた位置に配置されるように設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項5】
前記台座部は、前記送水ポンプに設けられた複数の前記連結口に取り付け可能で、前記台座部を前記複数の連結口のいずれかに取り付け、前記送水ポンプの所望の連結口を閉塞可能としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項6】
前記台座部は水抜き孔を備え、前記台座部を取り付けた前記連結口の内部を、前記水抜き孔により外部に連通可能としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項7】
前記台座部を、金属、もしくは耐熱性樹脂から形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項8】
前記加熱器は、自己温度制御発熱体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱器取付座付き蓋体。
【請求項9】
少なくとも3つの配管取付用の連結口を有する送水ポンプの前記連結口のいずれかに取り付けられ、該連結口を閉塞する台座部と、
前記台座部に設けられ、前記送水ポンプ内部の流体を加熱する加熱器を着脱可能に取り付ける取付部とを備えていることを特徴とする加熱器取付座付き蓋体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−7213(P2013−7213A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140727(P2011−140727)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】
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