加熱調理器
【課題】 一般家庭へ手軽に導入可能な、過熱水蒸気による加熱調理器を提供する。
【解決手段】 本願発明に係る加熱調理器は、コンロの火口の上に配置される支持部と、調理室1と、蒸気発生室2と、排気通路3と、蒸気発生室2で発生させた蒸気を通す蒸気用通路4とを備える。蒸気発生室2は、コンロの燃焼による熱を受けて収容した水を蒸気にする。蒸気用通路4は、蒸気発生室2と調理室1とを連絡し、蒸気発生室2にて発生させた蒸気を調理室1内にて放出する。排気通路3は、熱交換部を介して蒸気用通路4と画されている。熱交換部は、排気通路3の排気の熱を上記の蒸気用通路4に伝えることにより蒸気用通路4中の蒸気を過熱水蒸気とする。
【解決手段】 本願発明に係る加熱調理器は、コンロの火口の上に配置される支持部と、調理室1と、蒸気発生室2と、排気通路3と、蒸気発生室2で発生させた蒸気を通す蒸気用通路4とを備える。蒸気発生室2は、コンロの燃焼による熱を受けて収容した水を蒸気にする。蒸気用通路4は、蒸気発生室2と調理室1とを連絡し、蒸気発生室2にて発生させた蒸気を調理室1内にて放出する。排気通路3は、熱交換部を介して蒸気用通路4と画されている。熱交換部は、排気通路3の排気の熱を上記の蒸気用通路4に伝えることにより蒸気用通路4中の蒸気を過熱水蒸気とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−141881号公報
【0003】
近年、オーブンなどの加熱調理器において、水蒸気を100℃以上の過熱水蒸気にして、食品の加熱調理を行うものが提案されている。例えば、上記特許文献1を始めとして、このような過熱水蒸気を利用して、従来の加熱調理器にない優れた加熱調理を可能とするものが、種々提案されている。
【0004】
しかし、このような過熱水蒸気を発生させる何れの加熱調理器においても、発生させた水蒸気を更に過熱水蒸気とするための強力な熱源を必要とし、そのような熱源を装置内に備えることが前提となるものであった。
このため、構造が複雑で、大掛かりなものとなり、製造コストも高く、また、比較的嵩の高いものとなった。
一方、ボイラーの設置などの、ある程度のスペースが確保されている、食品加工工場や飲食店において、嵩の高い加熱調理器を設置するのは容易であろうが、一般の家庭の厨房においては、そのような調理器の設置場所の確保は容易ではない。特に、食器洗い機や食器乾燥機などの台所用品が普及し台所が手狭になる傾向にあるなか、従来のオーブンやレンジ以上の大型の調理器は望まれない。
しかし、手狭な家庭の厨房に簡単に収まるような大きさものでは、過熱水蒸気を発生させるのに十分な火力を得ることはできない。
【0005】
また、特許文献1に示すもののように、家庭用のオーブンやレンジにこのような過熱水蒸気を発生させる機能を持たせることによって、省スペースを図ることも考えられるが、その場合であっても、従来のオーブンやレンジとして機能する部分の他に、過熱水蒸気を発生させるための熱源(水蒸気を過熱水蒸気とするための熱源)を必要とする点、上記と変わらない。このため、従来のオーブンやレンジのサイズ内で、過熱水蒸気を発生させるのは困難であり、そのような従来のオーブンやレンジの一部の機能として提供される加熱調理器では、調理に必要な量の過熱水蒸気を十分に発生させることはできていなかった。
特にオーブンに過熱水蒸気を発生させる機能を持たせた場合、新たにこのようなオーブンへの買い替えが必要となる。即ち、新しいオーブンを家庭の台所に設置しようとすれば、既にあるオーブンは不要となり、廃棄処分の必要に迫られる場合が往々にして生じる。これは、エコロージが叫ばれる近年の環境への関心に逆行するものである。
以上のことから、食品の加熱調理の上で、好ましいものではあっても、一般家庭において、過熱水蒸気による調理が可能な調理器を簡単に導入することできず、過熱水蒸気を利用した加熱調理の普及を阻む要因となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本願発明は、一般家庭へ手軽に導入可能な、過熱水蒸気による加熱調理器を提供して、上記の課題の解決を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1の発明は、食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、この加熱調理器200は、電磁誘導加熱を利用した調理コンロ又はガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室201と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室202と、上記の蒸気発生室202で発生させた蒸気を通す蒸気用通路204とを備える。蒸気発生室202は、調理器の底部に配設され、水を収容することにより、上記コンロからの電磁誘導又は熱を受けて当該水を蒸気にする。蒸気用通路204は、気密に形成され、蒸気発生室202と調理室201とを連絡し、蒸気発生室202にて発生させた蒸気を上記調理室201内にて放出する。蒸気用通路204は、調理器の底部を経由することにより、蒸気発生室202にて発生し当該蒸気用通路204を通る蒸気を、更に加熱して過熱水蒸気とする。
【0008】
本願願第2の発明は、上記本願第1の発明にあって、次の構成を採る加熱調理器を提供するものである。
蒸気発生室202は、調理室201の下方に配置されている。蒸気発生室202の上方を調理室201から隔する第1隔壁と、金属にて形成され蒸気発生室202の下方を調理器の外部から隔する第2隔壁と、調理室201及び蒸気発生室202の側部を調理器の外部から隔し且つ第1隔壁及び第2隔壁と接続された側壁部と、縦通路とを備える。第2隔壁は、上記の支持部を構成するものであり、第2隔壁には、1つ又は複数の加熱用通路と、加熱用通路が設けられていない中実部とが形成されている。加熱用通路は、第2隔壁を縦通路の下方から側壁部の下方にかけて貫通する。縦通路は、上下に伸び、上端側にて蒸気発生室202と連絡し、下端側にて加熱用通路と連絡する。側壁部には、第2隔壁の加熱用通路と調理室201とを連絡する、中空の導入用通路が形成されている。縦通路と加熱用通路と導入用通路とが、蒸気用通路204を構成する。
【0009】
本願願第3の発明は、上記本願第1又は第2の発明にあって、調理室201内に、蒸気攪拌用のファンが設けられたものであることを特徴とする。
【0010】
本願第4の発明は、食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器100について、次の構成を備えたものを提供する。
即ち、この加熱調理器100は、ガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室1と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室2と、上記コンロの火口から生じる排気を通す排気通路3と、上記の蒸気発生室2で発生させた蒸気を通す蒸気用通路4とを備える。上記の蒸気発生室2は、水を収容することが可能であり且つ上記コンロの燃焼による熱を受けて、収容した水を蒸気にするものである。上記の蒸気用通路4は、少なくとも上記排気通路3に対して気密に形成され、上記の蒸気発生室2と調理室1とを連絡し、蒸気発生室2にて発生させた蒸気を上記調理室1内にて放出するものである。上記の排気通路3の少なくとも一部は、熱交換部を介して上記の蒸気用通路4と画されている。上記の熱交換部は、排気通路3の排気の熱を上記の蒸気用通路4に伝えることにより、当該蒸気用通路4中の蒸気を過熱水蒸気とする。
上記のガスコンロには、家屋に設置されたガス管に接続して使用する、厨房用のガスコンロの他、カートリッジ式のガス缶を用いるコンロも含む。
【0011】
本願第5の発明は、上記本願第4の発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の支持部は、火炎取入部を備える。上記の支持部は、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せることにより、上記の火炎取入部を、当該コンロの火口の上に、配置することが可能なものである。上記の火炎取入部は、コンロの火炎を蒸気発生室2の外壁に当てるための空間部である。上記排気通路3は、上記の火炎取入部に連絡し、コンロの排気を取り入れる。
【0012】
本願第6の発明は、上記本願第5の発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の蒸気発生室2の下方に、蒸気発生室2と金属製の隔壁k2にて画された燃焼室6が設けられている。この燃焼室6の外壁には、上記コンロの火炎を当該燃焼室6内に取り入れる火炎取入口61が設けられている。燃焼室6の外壁を、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せ、上記の火炎取入口61をコンロの火口の上に対応させることにより、上記燃焼室6に上記のコンロの火炎を取り込み、当該火炎を上記隔壁k2に当てることが可能である。上記燃焼室6に、上記の排気通路3が接続されている。
【0013】
本願第7の発明は、上記本願第4乃至6の何れかの発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の排気通路3は、上記調理室1の下方から当該調理室1の上方に掛けて配設され、取り入れた排気を調理器の外部へ排出する排気口を、当該調理室1よりも上方に備える。上記の排気通路は、金属製の配管を内包するものであり、当該配管の内部が、上記の蒸気用通路である。この蒸気用通路は、上記の調理室の上部にて、当該調理室の内部に連絡する。上記配管が、前記熱交換部である。
【0014】
本願第8の発明は、上記本願第7の発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の蒸気用通路は、複数の配管にて構成された区間を備え、この配管の夫々について、蒸気の移動方向と横断する方向の断面形状は矩形であり、当該矩形の4辺が上記排気通路内の排気に曝される。
【0015】
本願第9の発明は、上記の本願第1乃至8の何れかの発明にあって、蒸気発生のための熱源を自らは備えず、手で持ち運べるものである加熱調理器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本願の第1〜9の各発明は、水蒸気の加熱により発生させた過熱水蒸気を用いて食品の加熱調理を行う加熱調理器について、簡単な構造で、低コストに製造可能なものを提供した。
特に、一般家庭で広く普及しているガスコンロや近年普及してきた電磁誘導加熱を利用した調理コンロを利用して、水蒸気を発生させることができる。即ち、この調理器は、必要なときのみ、コンロの上に置いて使用すればよく、オーブンを買い換える(設置スペース確保のために既存のオーブンを廃棄する)必要がない。
特に、本願第2の発明によって、近年家庭に普及しつつあるIHクッキングヒーターなどの電気による電磁誘導加熱を利用した調理コンロの利用に適した調理器を提供し得た。
また、本願第3の発明では、調理室内に蒸気攪拌用のファンが設けられることにより、調理室内の過熱水蒸気を攪拌し、過熱水蒸気を偏りなく食品に当てることができる。
更に、本願第4〜9の発明では、当該コンロの排気の熱を利用して,発生させた水蒸気を過熱水蒸気にすることができる。従って、調理器自身が、水蒸気や過熱水蒸気を発生させるための、熱源を備える必要がない。このため、このような熱源を省くことにより、省コストのみならず、小型軽量に加熱調理器を製造することができる。
【0017】
また、上記本願第5及び第6の発明は、上記のガスコンロを利用するためのより具体的な手段を提供した。
更に、本願第7の発明は、排気通路内の排気の熱を蒸気用通路内の蒸気に伝える熱交換部として、より好ましい手段を提供した。これによって、効率よく、蒸気用通路内の蒸気を過熱水蒸気とすることができる。また、蒸気やコンロの排気が、下方より上方に移動する性質を利用して、円滑に蒸気用通路内にて蒸気を移動させて調理室へ過熱水蒸気を送り込むことができる。従って、ブロアなどの蒸気の移動手段を必要とせず、この点においても、調理器の小型化、軽量化、構造の簡略化を図れ、製造コストの低減にも功を奏する。
また、本願第8の発明によって、より効率の良い熱交換部を提供し得た。
そして、本願第9の発明によって、簡単に厨房に持ち入れ、また持ち出すことが可能な、過熱水蒸気による調理器を提供し得た。
このように、本願の上記各発明の実施によって、一般家庭において、業務用における調理器に近い或いは業務用と同様な、過熱水蒸気による、本格的な加熱調理を容易に行うことを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本願発明の好ましい実施の形態について、説明する。図1乃至図8へ本願発明の一実施の形態を示す。図1は、本願発明に係る加熱調理器の外観を示す全体斜視図である。図2は、図1と異なる角度から見た、上記加熱調理器の一部切欠斜視図である。図3は、上記加熱調理器の底面図である。図4は、上記加熱調理器の略縦断面図である。図5は、上記加熱調理器の表面を構成するハウジングの、上面部分と左右両側面部分とを取り外した状態を示す斜視図である。図6(A)は図5に示す状態の加熱調理器を図5と異なる角度から見せる斜視図であり、図6(B)は上記図1に示す加熱調理器の要部略横断面図である。図7(A)は調理室1の天井部分の下面を示す底面図であり、図7(B)はその要部側面図であり、図7(C)はその略縦断面図である。図8は、この加熱調理器の使用状態を示す略縦断面図である。
各図において、説明の便宜上、Uは上方を、Sは下方を、Fは前方を、Bは後方を、Lは左側を、Rは右側を、夫々示している。
【0019】
図1へ示す通り、この加熱調理器100は、家庭において、利用者が、加熱する食材(食品)を調理器内に収容し、加熱調理を行った後、利用者が調理器100から当該食材を取り出すものである。上記の加熱調理にあって、この加熱調理器100は、食材を過熱水蒸気により加熱調理するものであり、自ら水蒸気及び過熱水蒸気を発生させる熱源を持たず、利用者が、一般家庭のガスコンロの火口の上に配置して使用する。
以下、この加熱調理器100について、詳しく説明する。
【0020】
図4へ示す通り、この加熱調理器100は、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室1と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室2と、上記のコンロの火炎と排気を取り込む燃焼室6と、上記コンロの火口から生じる排気を通す排気通路3と、上記の蒸気発生室2で発生させた蒸気を通す蒸気用通路4と、排気通路3の排気の熱を上記の蒸気用通路4に伝えることにより蒸気用通路4中の蒸気を過熱水蒸気とする熱交換部と、調理室1内の蒸気(水蒸気又は過熱水蒸気)を調理器の外部へ排出する排出部7と、蒸気発生室2へ供給する水を収容するタンク部8と、吸水機構5とを備える。
【0021】
この実施の形態において、加熱調理器100は、調理器100の表面を構成するハウジング101と、当該ハウジング101内に設けられた金属製の函体110とを備える。ハウジング101は、主として、函体110の上部と側部とを調理器100外部に対して気密に覆う。
函体110の内部は、気密に形成されている。函体110は、上から順に、上記調理室1と、蒸気発生室2と、燃焼室6とを内部に備える。即ち、函体110によって、上記の調理室1と蒸気発生室2と燃焼室6は、函体110の外部と画され、部屋として形成されている。
【0022】
この函体110内において、上記の調理室1とその下方に配置された上記の蒸気発生室2との間は、金属製の第1隔壁k1によって気密に画されており、この蒸気発生室2とその下方に配された燃焼室6との間は、金属製の第2隔壁k2によって気密に画されている。
換言すると、函体110は、内部を調理室1とする第1函体構成部r1と、内部を蒸気発生室2とする第2函体構成部r2と、内部を燃焼室6とする第3函体構成部r3とを備え、これら第1〜第3函体構成部r1…r3は、上下配列された状態で、一つの函体110として一体に形成されている。最下位に位置する第3函体構成部r3の底部は、この加熱調理器100の底部となる。
即ち、この実施の形態において、第3函体構成部r3は、第1及び第2函体構成部r1,r2を支持する支持部である。第3函体構成部r3の底(底側外壁)、即ち調理器100の底には、燃焼室6に通じる火炎取入口61(図3)が設けられている。第3函体構成部r3の内部即ち燃焼室6において、少なくとも当該火炎取入口61とその上方の第2隔壁k2との間の空間は、コンロの火炎の障害となるものが排除された、火炎取入部を構成する。図3へ示す通り、火炎取入口61は、左右方向、及び、前後方向の、何れにおいても、調理器100の中央に設けておくのが好ましく、また、当該火炎取入口61の内径は、ガスコンロの火口又は火口からでる火炎(全体)と外径と同じ大きさとするのが好ましい。
【0023】
ハウジング101の上面には、排気口102が設けらている。また上記燃焼室6に、上記の排気通路3の一端は、上記の燃焼室6に連絡し、排気通路6の他端は、上記の排気口102に連絡する。この実施の形態において、排気通路6は、上記の函体110と、ハウジング101との間の隙間である。即ち、排気通路6は、函体110とハウジング101とにより、他と画され、気密な通路として形成されている。
【0024】
具体的に説明すると、上記の函体110は、図3〜図6へ示す通り、上面部(平面部)111、下面部(底面部)、前面部(正面部)、後面部(背面部)、左側面部115及び右側面部116を備えた略直方体である(この実施の形態において、函体110の右側面部において、第1函体構成部r1に対して、第2及び第3函体構成部r2,r3は、右方へ突出しているので、正確には直方体とはいえないが、概して直方体と呼ぶことができる)。上記のハウジング101も、直方体であるが、函体110の前面部と後面部と下面部とは、ハウジング101の前面部113と後面部114と下面部112の一部となっている。即ち、当該前面部113、後面部114及び下面部112において、函体110とハウジング101とは一体となっている。従って、ハウジング101固有の部分は、調理器100の、左右両側面部104,105と上面部103と、更に前面部113及び後面部114における函体110の前面及び後面より上下左右に延設された部分(以下延設部と呼ぶ)とである。これらハウジング101に固有の部分が、函体110を覆い、調理器100の外面を提供する。図5及び図6は、このようなハウジング101の上面部103と左右側面部104,105を取り外した状態を示している(実際には、函体110の上面部103と左右側面部104,105は取り外せるものとする必要はなく、ハウジング101の他の部分と一体に形成することができる)。
【0025】
この実施の形態において、上記の排気通路3は、函体110の側面部(左側面部115)から上面部111に掛けて設けられている。具体的には、上記函体110の左側面部115とハウジング101の左側面部104と(前面部113と後面部114の)上記延設部とに囲まれた空間、及び、当該空間に連続する、函体110の上面部103とハウジング101の上面部103と(前面部113と後面部115の)上記延設部とに囲まれた空間が、上記の排気通路3を構成している。図5及び図6へ示すように、函体110の上面部113の内側面(下方を臨む面)と、ハウジング110の左側面部104の内側面(右方を臨む面)と、前面部113及び後面部114の上記延設部の内側面には、断熱材が設けられている(斑点で示す部分である)。このような断熱材の配置によって、ハウジング101の加熱が抑制され、調理器100をより安全なものとし、また、排気通路3から熱が蒸気用通路4以外へ逃げるのを抑制することができる。
尚、排気通路3は、函体110の後面部から上面部111に掛けて設けるものとしても実施可能である(図示はしないが、この場合、ハウジング101は、函体110の後面部と独立した、ハウジング101固有の後面部を備える)。
【0026】
上記の排気通路3内には、金属製の配管40…40が設けられている。当該配管40…40の内部が、上記の蒸気用通路4である。この蒸気用通路4は、蒸気発生室6と、調理室1とを連絡する、気密に形成された通路である。図4へ示すように、各配管40…40の一端は、函体110の側部(左側面部115)において、蒸気発生室6内に連絡している。排気通路3内において、各配管40…40は、排気通路3に沿って、函体110の左側面部115上から、上面部111上にかけて設けられている。そして、配管40…40の他端は、函体110の上面部111において函体110内の調理室1と連絡する。具体的には、図7(A)(B)へ示す通り、調理室1の天井部分、即ち函体110の上記上面部111の内側面(下方を臨む面)には、ノズル10…10が設けられており、図7(C)へ示す通り、当該ノズル10…10に、上記蒸気用通路2の他端が接続されている。
【0027】
内部を蒸気用通路4とする上記配管40自身が、前記の熱交換部であり、排気通路3内の排気の熱を、配管40内の水蒸気に伝え、当該水蒸気を過熱水蒸気とする。
また、図6(B)及び上記図7(C)へ示す通り、配管40…40の長手方向、即ち、蒸気の移動方向と交差する方向の断面形状は矩形であり、当該矩形の4辺の表面が上記排気通路3内の排気に曝される。この他、配管40…40の上記の断面形状を円形として実施することも可能である。しかし、このように、配管40…40の横断面の形状を矩形とすることにより、断面が円形の配管に比べて、大きな表面積を確保することができ、熱交換の効率を高めることができる。また、配管40は、四角形以外の多角形の断面を有するものとしても実施可能である。例えば、配管40は、三角形や五角形などの断面を有するものとしても、実施可能である。
【0028】
尚、通常の水蒸気は、100℃以下の白色の湯気であるが、過熱水蒸気は、100℃を超える透明の蒸気である。
また、図5及び図6へ示す通り、この実施の形態において、上記の配管40…40は、排気通路4内に、3本平行に設けている。しかし、このような数量に限定するものではなく、配管40…40は、1本又は2本、或いは4本以上であっても実施可能である。
【0029】
図6(B)へ示す通り、排気通路3の上下に伸びる区間(調理室1の左側)において、蒸気用通路4の蒸気断面が呈する矩形の対角線の幅と、ハウジング101の左面部104(の断熱材)と、函体110の左面部115との間の幅とを、ほぼ同じものとし、上記矩形の対向する2つの頂点の夫々が、ハウジング101の左面部104(の断熱材)と、函体110の左面部115とに接するように配置するのが好ましい。また、図7(C)へ示す通り、排気通路3の水平に延びる区間(調理室1の上方)においても、蒸気用通路4の蒸気断面が呈する矩形の対角線の幅と、ハウジング101の上面部103(の断熱材)と函体110の上面部111の間の幅とをほぼ同じものとし、上記矩形の対向する2つの頂点の夫々が、ハウジング101の上面部103(の断熱材)と、函体110の上面部111とに接するように配置するのが好ましい。上記の排気通路3の各区間において、このように構成することによって、排気通路3内の排気をムラなく配管40…40の表面に接触させることができ、熱効率を向上することができ、より確実に過熱水蒸気を発生されることができる。
【0030】
図1及び図5へ示す通り、調理器100(函体110の)前面113には、食材を調理室1から出し入れするための、扉113aが設けられている(図2において、扉113aは省略して描いてある)。図1へ示す通り、この扉113aの主要部を、ガラスなどの透明体で構成し、調理室1の内部を、外から見えるようにしておくのが好ましい。また、調理室1の内部には、食材を乗せる網やプレートを支持するための、棚状突出部11…11を設けておくのが好ましい(図4及び図8)。
上記の排気部7は、調理室1と排気口102とを連絡する通路である。
【0031】
前記のタンク部8は、蒸気発生室2に供給する水を溜めておくものであり、水の注ぎ口80を備える。上記の吸水機構5は、蒸気発生室2内に設けられた浮き50と、浮き50の上下によって、タンク部8と蒸気発生室2との間を開閉する弁51とを備える。蒸気発生室2内の水の水位が下がり、浮き50が所定位置まで下がった際、上記の弁51が開き、タンク部8内の水を蒸気発生室2内へ自動的に導入する。
【0032】
次にこの調理器100の使用方法について説明する。
利用者は、図8へ示す通り、この調理器100を家庭のガスコンロGのガス台又は五徳gの上に乗せる。
このとき、上記の火炎取入口61をコンロGの火口の上に対応させることにより、上記燃焼室6に上記のコンロGの火炎Hを取り込み、当該火炎Hを直接上記第2隔壁k2へ当てることができる。また、このとき、第3函体構成部r3の前後左右の外壁が、コンロGの火炎の周囲を覆う。
【0033】
コンロGの火炎Hが当てられた金属製の第2隔壁k2は、図4及び図8へ示す通り、火炎Hの熱を蒸気発生室2内の水に伝え、水蒸気を発生させる。この蒸気発生室2内の加熱により、第1隔壁k1を通じて、調理室1内を加熱することができる。一方、蒸気発生室2内にて発生した水蒸気は、その熱気によって蒸気用通路4内に入って、通路4内を上昇する。水蒸気の発生によって、蒸気発生室6内の水の量が減ると、上記の吸水機構5の、浮き50が下がり、弁51が開き、上記の通り、タンク部8内の水が蒸気発生室2内へ自動的に導入される。
【0034】
図8へ示す通り、コンロGの燃焼によって生じた排気は、その熱気によって、燃焼室6から排気通路3内へ入って通路3内を上昇する(図4及び図8において、ガスコンロの燃焼を受けた際に、蒸気発生室2内で発生する蒸気の移動経路を白抜きの矢印で示している。また、図8において、ガスコンロGの排気の移動経路を黒色の矢印で示している)。
【0035】
上記の通り蒸気用通路4を移動する水蒸気は、配管40…40を通じて、排気通路3の排気の熱気を受けて加熱され、過熱水蒸気とされる。この過熱水蒸気は、上記ノズル10…10から、調理室1内の食材に向けて放出される。
このようにして、食材を、過熱水蒸気にて加熱調理することができる。
調理室1内に導入された蒸気(過熱水蒸気)は、排気部7を通じて、排気口102から調理器100の外部へ排出される。また、熱交換に理容された上記の排気通路3内の排気も、上記の排気口102から調理器100の外部へ排出される。
例えば、温野菜を作るとき、100℃の水蒸気で蒸すよりも、150℃の過熱水蒸気で蒸すほうが、栄養分が逃げない。また、殺菌効果も、その温度の高さから、水蒸気に比べて、過熱水蒸気のほうが、優れる。本願発明の上記調理器100を用いることにより、このような過熱水蒸気による加熱調理を、一般家庭でも、簡単に行うことができるのである。
【0036】
上述の通り、本願発明に係る加熱調理器は、水蒸気や過熱水蒸気発生のための熱源を備えず、また、これらの蒸気やコンロの排気を移動させるために、ブロアなどの換気を行う手段を備える必要もないので、利用者が、手で持ち運べる重さや寸法に形成することができる。
具体的には、この調理器100の外形寸法は、高さ(上下の幅)を18〜40cm、横幅(左右の幅)を20〜40cm、奥行き(前後の幅)を18〜40cmに形成することができる。
調理器100の上記外形寸法について、特に、持ち運びに便利な、上記の高さを20〜30cm、横幅を25〜35cm、奥行きを20〜30cmに形成することがきる。このとき、3本の配管40…40夫々の外形寸法について、その断面が呈する矩形の対角線の長さを1.5〜3cm、特に2cmとするのが好ましい。又配管40…40夫々の厚みは、1〜4mmとするのが好ましい。但し、このような配管40の各寸法は、変更可能である。
【0037】
排気通路3の排気の移動方向を横断する断面積は、(配管40…40内部の)蒸気用通路4の当該断面積(上記において配管40は3本あるので、その3つの蒸気用通路4…4の当該断面の合計)の1〜5倍とするのが好ましい。
この場合において、一般的な家庭のガスコンロでの使用を前提とすると、蒸気発生室2と、燃焼室6の内容積は、夫々、調理室1の内容積の1/5〜1/3とするのが好ましい。
また、蒸気発生室2と燃焼室6の夫々の広さ(横幅×奥行き)については、少なくとも調理室1の広さと、同じものとするのが好ましい。
第1及び第2の隔壁k1,k2は、夫々厚みが1〜5mmの、アルミ製又は鉄製(ステンレスを含む。)とするのが好ましい。
但し、調理器100の各部の寸法や、比率、材質は、上記以外に変更可能である。
一般家庭の厨房で用いられるガスコンロについて、火力は、1800kcal(弱火)〜2400kcal(強火)である。熱源として、このようなコンロと同等の熱量を得られものであれば、一般的なガスコンロに代えて使用することも可能である。即ち、1800kcal以上の火力が得られるものであれば、この調理器100の熱源として、使用可能である。但し、一般的な電気コンロ(1.5kw)では、現状において、1400〜1500kcalと火力が低いため、当該調理器100の熱源としては適さない。
【0038】
上記の実施の形態では、図4〜図6へ示す通り、平面視及び側面視において、夫々直線的に伸びる配管40…40にて、熱交換を行うものであった。この他、図9(A)へ示す通り、配管40…40の夫々を、排気通路3の排気の移動方向に沿った第1区間41と、排気通路3の排気の移動方向と交差する第2区間42とを備える、ジクザグに形成されたものとすることができる。このようにすることで、1本の配管40を長くして、排気通路3内にて、蒸気用通路3をより密にすることができ、熱交換の効率を高めることができる。
【0039】
尚、この場合において、配管40の第2区間42が、排気通路3を遮断しないよう、形成しておく必要がある。例えば、図9(B)へ示す通り、第1区間41における、配管40断面の上記矩形の(上下又は左右方向の)対角線の幅t1よりも、第2区間42における同対角線と同じ向きの幅t2を小さいものとすることによって、排気通路3中、配管40の第2区間42が横断する位置に排気の通り抜け口30を形成することができる。これにて、上記配管40の第2区間42のために、排気の移動が遮られない。尚、図9(B)において、排気通路3内を見せるために、ハウジング101及び函体110について断面を示しているが、配管40…40については、断面とせずに側面視した状態に描いている。
この図9に示す実施の形態においても、特に明示した事項以外については、上記図1〜図8に示す実施の形態と同様である。
【0040】
図10〜図13へ更に他の実施を示す。
図10は、この調理器の概要を示す略縦断面図であり、図11〜図13の夫々は、図10に示す調理器を具体的に提供する手段を示すものであり、組み立ての手順の斜視図である。
図10へ示す通り、この加熱調理器200も、上記の各実施の形態と同様、食品を過熱水蒸気により加熱調理するものであり、蒸気発生のための熱源を自らは備えず、手で持ち運べるものである。
【0041】
即ち、この加熱調理器200は、電磁誘導加熱を利用した調理コンロの上面Jに載せられる支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室201と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室202と、上記の蒸気発生室202で発生させた蒸気を通す蒸気用通路204と、排気通路203と、給水通路205とを備える。蒸気発生室202は、調理器の底部に配設され、水を収容することにより、上記コンロからの電磁誘導又は熱を受けて当該水を水蒸気にする。蒸気用通路204は、気密に形成され、蒸気発生室202と調理室201とを連絡し、蒸気発生室202にて発生させた蒸気を上記調理室201内にて放出する。蒸気用通路204は、調理器の底部を経由することにより、蒸気発生室202にて発生し当該蒸気用通路204を通る蒸気を、更に加熱して過熱水蒸気とする。
【0042】
具体的には、加熱調理器200は、金属製の内ケース310と、内ケース310を内包する外ケース320と、両ケース310,320と別体に形成された蓋体330とを有する。
内ケース310は、上端が開口する有底の筒状体であり、外周部を形成する側壁部k30と、側壁部k30の内側に設けられ内ケース310の内部空間を上下に分割する第1隔壁k10と、内ケース310の当該底を構成する第2隔壁k20と、側壁部k30の上端外周に設けられた樋状部311とを備える。上記の蓋体330は、内ケース310の上端の開口部を塞ぐ。
内ケース310の内側において、第1隔壁k10より上方が上記の調理室201であり、第1隔壁k10より下方が上記の蒸気発生室202である。
また、第2隔壁k20が上記の支持部である。より具体的には、調理器200は、コンロの火口に(この実施の形態のように電磁誘導を利用した調理コンロの場合は直接コンロに、また、ガスコンロの場合は五徳の上に)置かれる。第2隔壁K20は、調理器200を上記火口の上に支持する支持部として、調理器200の底を構成すると共に、調理室201より調理器の底側に配置された蒸気発生室202の底を構成する。
【0043】
図10へ示す通り、調理室201内には食品m…mが収容される。この実施の形態では、調理室201内には網状の載置部が設けられ、その上に食品m…mが置かれる。調理室201の上端、即ち、内ケース310の上端開口部は、上記の蓋体330にて塞がれている。蓋体330の外縁は、上記樋状部311内に載置される。樋状部311内には、水が貯められ、調理室201内の水蒸気が蓋体330と内ケース310との間から外部へ急排出されるのを防止している。尚図示はしないが、調理室201内の水蒸気を調理器200の外部へ排出するための排出口を調理室201へ設けて実施するのが好ましい。
蓋体330は、調理室201の上端へ着脱自在に配置される。但し、図示はしないが、蓋体330を、ヒンジにて内ケース310或いは外ケース320に固定することにより、ヒンジを中心として回転させて開閉できるものとしてもよい(図示せず)。
外ケース320は、上端が上記桶状部311に接続され、樋状部311より下方に伸びる、下端が開放された筒状体である。この実施の形態において、外ケース320の下端と内ケースの底である第2隔壁k20の(外部)下面とは、上下方向について同じ高さである。
円柱状の内ケース310の外周面と、外ケース320の内周面との間の空間が、上記の排気通路203である。内ケース310の底と外ケース320の下端との間が、排気の導入口321である。外ケース320には、当該導入口より上方に外ケース310の内側から外側へ貫通する貫通口322…322が設けられている。ガスコンロを利用する場合、当該貫通口322…322から、排気通路内へ導入した排気を調理器200の外部へ排出することができる。電磁誘導加熱を利用した調理コンロのみに使用するのであれば、このような排気通路203は設ける必要はないが、排気通路203を設けておけば、ガスコンロと電磁誘導加熱を利用した調理コンロの何れにおいても使用することができる。
【0044】
上記の樋状部311内は、給水通路205によって、蒸気発生室202と連絡している。具体的には、樋状部311の底と内ケース310の側壁部k30との間に給水管351が接続されている。給水管351の内部が、上記の給水通路205であり、樋状部311に収容された水の一部が、給水通路205(給水管351内)を通って、蒸気発生室202内へ供給される。給水管351は、水量調整弁352を備える。水量調整弁352は、蒸気発生室202内の水が所定量以上あるときは、給水通路205を閉鎖して上記の水の供給を断ち、蒸気発生室202の水が所定量を下回ると、給水通路205を開放し、樋状部311の水を蒸気発生室202へ供給する。水量調整弁352には、図1〜図9へ示す調理器100の吸水機構5と同じものを採用することができる。
【0045】
蒸気用通路204は、縦通路241と、加熱用通路242と、導入用通路243とを備える。縦通路241の一方の端部が蒸気発生室202と連絡し、縦通路241の他方の端部が加熱用通路242の一方の端部と連絡し、加熱用通路242の他方の端部が導入用通路243の一方の端部と連絡し、導入用通路243の他方の端部が調理室201と連絡する。
詳しくは、蒸気発生室202の内側において、第2隔壁k20には内ケース310の内径よりも外径の小さな筒状の中筒部k40が設けられている。この実施の形態において、中筒部k40は、筒状の内ケース310と同心となるよう第2隔壁k20の上面に設けられており、中筒部k40の上端は、第1隔壁k10の下面に接続されている。
中筒部k40は、中筒部k40の内部と上記蒸気発生室202とを隔するものであり、中筒部k40の内側の空間が、上記の縦通路241である。中筒部k40の上端側外周には、中筒部k40の内部を、蒸気発生室202に連絡する連絡口k41…k41が設けられている。
【0046】
上記の加熱用通路242は、第2隔壁k20を、中筒部k40の下方から側壁部の30の下方にかけて貫通する貫通部である。上記の導入用通路243は、側壁部k30を上下に貫通する貫通部であり、上端に調理室201内と連絡する吐出口k31を備える。
金属製の第2隔壁k20の中実部は、電磁誘導加熱を利用した調理コンロに用いる場合は電磁誘導により、ガスコンロに用いる場合は熱伝導により、蒸気発生質202及び加熱用通路k242へ、熱を供給する熱供与部である。
【0047】
この実施の形態において、電磁誘導加熱を利用した調理コンロに、調理器200が載せられ、このとき第2隔壁k20の上記中実部は、調理コンロの電磁誘導により、蒸気発生室202内の水を加熱する。上記の通り、第2隔壁k20を貫通して形成されている加熱用通路k242は、熱供与部である上記中実部に囲まれることにより密閉された空間である。より詳しくは、この実施の形態では第2隔壁k20は、複数の加熱用通路242…242を備え、この複数の加熱用通路242…242が、平面視において、内ケース310の中央即ち縦通路241の直下より、側壁部k30の直下に向けて、放射状に伸びている。一方、側壁部k30は、複数の導入用通路243…243を備え、この複数の導入用通路243が、夫々、側壁部k30の内を、第2隔壁k20側から調理室201の外周にかけて上下に貫通している。上記の吐出口k31も側壁部k30に複数設けられており、夫々、導入用通路243の上端と調理室201の内部とを連絡する。
【0048】
上記の通り、第2隔壁k20の中実部において、平面視放射状に配設された加熱用通路242…242同士の間に位置する部位k21(平面視において加熱用通路242…242が形成されていない部位)が、主として、調理コンロの電磁誘導に供され、蒸気発生室202内の水を加熱し水蒸気とする。ガスコンロを利用する場合も、この加熱用通路242…242同士の間に位置する中実部が、主として蒸気発生室202へコンロからの熱を伝導する。
また、加熱用通路242は、加熱用通路242を取り囲む中実部の夫々の部位から、電磁誘導(或いは熱伝導)を受けることになるが、中実部のうち、とりわけ、加熱用通路242の直下に位置する部位k22から、電磁誘導(ガスコンロの場合は熱伝導)を受けることにより、蒸気発生室202で発生し縦通路241を経て加熱用通路242…242内へ導入された水蒸気を加熱し過熱水蒸気とする。そして、加熱用通路242…242内で発生した過熱水蒸気は、導入用通路243から、調理室201内へ導かれ、食品m…mを加熱調理する。
このように、蒸気発生室201内で、第2隔壁k20の中実部から電磁誘導(熱伝導)を受け加熱されて発生した水蒸気は、縦通路241から加熱用通路242…242内に入り当該加熱用通路242…242にて電磁誘導(熱伝導)により更に加熱され過熱水蒸気となり、導入用通路243を経て、調理室201内に導かれるのである。
【0049】
以下、上記調理器200の要部を形成する具体的な方法について説明する。
図11及び図12へ示す通り、上記の内ケース310は、第1ケース構成部n1と、第2ケース構成部n2と、第1隔壁部材k11とを備える。
図11へ示すように、第1ケース構成部n1は、ステンレス製の有底で上方が開口する筒状体である。第1ケース構成部n1の底部において、第1ケース構成部n1の内部空間を臨む面には、下方に後退する平面視扇形の凹部n11…n11が複数形成されている。この実施の形態において、上記の凹部n11は、4個設けられている。但しこのような数量に限定するものではなく、1〜3個でも5個以上でも実施できる。
平面視扇形の各凹部n11…n11は、扇形の円弧の部分が夫々同心となるように形成されており、夫々等間隔に配置されている。隣接する凹部n11と凹部n11との間は、蒸気発生室202への熱供与部を構成する。
【0050】
筒状の第1ケース構成部n1の(側部の)内周面には、上記の凹部n11…n11と連絡し且つ第1ケース構成部n1の径外方向に後退する副凹部n12…n12が形成されている。副凹部n12…n12の夫々は、第1ケース構成部n1の下端側から上方へ伸びる。第1ケース構成部n1の側部の副凹部n12,n12間の一箇所に、第1ケース構成部n1の側部の内部から外部へ貫通する貫通孔n13が形成されている。
第1ケース構成部n1の上端外周には、前述の樋状部311が形成されている。図示はしないが、樋状部311の底には、内外に貫通する貫通孔が設けられている。
【0051】
上記の第2ケース構成部n2は、図11へ示す通り、ステンレス製の有底で上方が開口する筒状体である。
第2ケース構成部n2の底部の、第2ケース構成部n2の内部空間を臨む面には、当該面の平面視中央に、前述の中筒部k40が設けられている。中筒部k40は上下に伸びる筒状体であり、下端が、第2ケース構成部n2の底に固定されている。中筒部k40の側部上端には、複数の切欠部k42…k42が設けられている。この切欠部k42…k42が前述の連絡口k41…k41を構成する。第2ケース構成部n2の底部において、中筒部k20の内側空間の直下の部分が、第2ケース構成部n2の内外にかけて貫通している。
第2ケース構成部n2の内周面には、棚n20が形成されている。この実施の形態において、棚n20は、第2ケース構成部n2の内径を変えることによって形成された段差である。また、第2ケース構成部n2の側部には、第2ケース構成部n2の内外に貫通する副貫通孔n21が設けられている。
【0052】
第1ケース構成部n1の内径と、第2ケース構成部n2の外径とは、同一であり、図12へ示す通り、第1ケース構成部n1の内側に第2ケース構成部n2が嵌められる。
上記の嵌合により、第1ケース構成部n1の底部上面と第2ケース構成部n2の底部下面とは当接し、凹部n11…n11は、第2ケース構成部n2の底部によって上方が閉ざされる。この凹部n11…n11と第2ケース構成部n2の底部とに囲まれた空間が前述の加熱用通路242を構成する。第1ケース構成部n1において、凹部n11の直下の部分が前述の部位k22、即ち加熱用通路242への熱供与部である。
また、上記の嵌合により、副凹部n12…n12は、第2ケース構成部n2の外周面によって第1ケース構成部n1の径内方向を臨む部位が閉ざされる。この副凹部n12…n12と第2ケース構成部n2の外周面とに囲まれた部位が前述の導入用通路243を構成する。
第2ケース構成部n2の上下の高さは、第1ケース構成部n1の上記副凹部n12…n12の上端よりも低く、第1ケース構成部n1の内側において、副凹部n12…n12の一部が、第2ケース構成部n2の上端より上方に露出する。この露出する部位が上記の吐出口k31を構成する。
また、上記嵌合により、貫通孔n13と副貫通孔n21とは重なる。
【0053】
図12へ示す通り、第1隔壁部材k11は、円盤である。第1隔壁部材k11の外径は、第2ケース構成部n2の棚n20より下方の内径より大きく、棚n20より上方の内径と同じかこれよりも小さい。第1隔壁部材k11の上面中央(平面視において中央)には、摘みk12が設けられている。一旦組み立てた後に、調理器を分解する必要がないのであれば、このような摘みk12は設ける必要はない。
【0054】
図13へ示す通り、この第1隔壁部材k11を、摘みk12を掴んで、第1ケース構成部n1に嵌合している第2ケース構成部n2の内側に挿入し、棚n20の上に載せる。
この状態において、第1隔壁部材k11は、第1隔壁k10を構成する。即ち第1隔壁部材k11に封ぜられた第2ケース構成部n2の内側の空間が蒸気発生室202である。
図13へ示す通り、第1ケース構成部n1の外側に、前述の外ケース320が配置され、外ケース320の上端は、溶接或いはネジ止といった周知の固定手段により、上記第1ケース構成部n1の樋状部311の底部に固定される。
図示はしないが、第1ケース構成部n1の貫通孔n13と樋状部311の前記貫通孔との間に、前述の給水管351が設けられる。また、上記の図13において、蓋体330は省略してある。
【0055】
上記第1ケース構成部n1の凹部n11…n11及び上記の熱供与部の形成について、より具体的には、第1ケース構成部n1の底部の上記第1構成部n1の内部空間を臨む面を平らに形成しておき、別途形成した扇状の板状体n10…n10を放射状に、上記底部の内部空間を臨む面に配設することにより熱供与部を形成することができる。このとき、板状体n10…n10間が、凹部n11…n11となる。また、同様に、第1ケース構成部n1の内周面に、上記板状体n10…n10に連続して上方に伸びるよう複数の板状部材を固定し、当該板状部材間を副凹部n12…n12とすればよい。この場合、上記の板状体n10が、主として前述の部位k21、即ち蒸気発生室202への熱供与部を構成する。
この他、図示はしないが、上記の板状体n10…n10及び板状部材を設けるのではなく、上記の凹部n11…n11と副凹部n12…n12と対応する部分が内外に貫通する、別途有底の第3のケース構成部を用意し、第1ケース構成部n2の内側において底部と内周面に起伏を設けずに、第2ケース構成部n2嵌合前にこの第3のケース構成部を嵌合して、第1ケース構成部n1の内部表面に、上記の凹部n11…n11や副凹部n12…n12を形成するものとしても実施できる。
また、図示はしないが、この実施の形態において、調理室201内に、蒸気の攪拌用のファンを設けておくのが好ましい。ファンは、電池或いは室内の電源より電気の供給を受けて作動する電動機と、電動機の回転軸或いは電動機に間接的に接続された回転軸に設けられた扇とを備えたものを採用することができる。このようなファンは、前述の蓋体330の下面に設けておけばよい。
【0056】
図14及び図15へ、更に他の実施の形態を示す。この実施の形態は、特にガスコンロでの使用に適したものである。
以下、この実施の形態について、図10〜図13へ示す実施の形態との相違点を中心に説明する。従って、特に言及しない事項についは、図10〜図13へ示す実施の形態と同様である。また、図14へ付すべきハッチングは図面の煩雑を避けるため省略する。
【0057】
図14へ示す通り、この調理器200の外ケース320の下端は、第2隔壁k20よりも更に下方に位置する。
この実施の形態において、第2隔壁k20は、加熱用通路242を備えず、また、側壁部k30も導入用通路243を備えない。その代わりに、次の構成を採る。
即ち、蒸気発生室202内に設けられた中筒部k40の下端は有底であり、且つ、第2隔壁k20の底部を貫通して、内ケース310の外部に露出する。内ケース310の外部において、中筒部k40の下端と側壁部k30内の調理室201とを接続する、別途の蒸気導入用管k50が設けられている。
この蒸気導入用管k50は、金属製の管であり、特にステンレスにて形成するのが好ましい。蒸気導入用管k50は、第2隔壁k20の下方を水平に伸びる加熱用区間k51と、側壁部k30の外側に沿って上下に伸びる導入用区間k52とを備える。この加熱用区間のk51は、中筒部k40の下端側部と導入区間k52とを繋ぐ水平な区間である。図15へ示す通り、加熱用区間k51…k51の夫々は、調理器200の径外方向に向けて伸びる区間と、U状字にカーブして調理器200の径内方向に戻る区間とを交互に備えた、全体として蛇行したものである。
【0058】
図14へ示すように、この調理器200においては、第2隔壁k20ではなく、外ケース320が支持部を構成する。外ケース320の下端をガスコンロGの上或いはその五徳gの上に置いて、調理器200の底部をコンロGの火炎で加熱するのである。
上記の通り、加熱用区間k51は、蛇行しているので、蒸気導入用管k50の当該区間k51内部を通る蒸気を効率良く加熱することができる。しかし、加熱用区間k51は、第2隔壁k20の底部を覆い尽くすものではなく、第2隔壁k20の、蒸気導入用管k50の加熱用区間k51間から露出する部位が、ガスコンロGの火炎を受けて加熱される。
使用時、第2隔壁k20が加熱されることにより、蒸気発生室202内の水が水蒸気となり、当該水蒸気は、中筒部k40(縦通路241)から、蒸気導入用管k50の加熱用区間k51に入り、ガスコンロGの火炎により更に加熱されて過熱水蒸気となり、導入用区間k52から調理室201内に導入されるのである。
【0059】
図14に示す通り、この調理器200(正確には蓋体330の下面)には、前述の蒸気攪拌用のファン331が設けられており、使用時効率よく調理室201内の蒸気を攪拌することができる。また、この実施の形態において、図14へ示すように、内ケース310には、調理室201内の蒸気を調理器200の外部へ排出する排出管k6が設けられている。
【0060】
また、上記の全実施の形態において、調理器100,200は、熱源を持たないものとしたが、当該調理器100,200を、カセットコンロと一体に形成することも可能である。図示はしないが、このようにコンロと一体に形成することによって、火力の調整が調理器100,200にて行うことができる。また、この場合、周知のタイマ装置を設けて、所望の加熱(調理)時間を設定し、自動的に、加熱調理を終了するようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本願発明に係る加熱調理器の外観を示す全体斜視図である。
【図2】図1と異なる角度から見た、上記加熱調理器の一部切欠斜視図である。
【図3】上記加熱調理器の底面図である。
【図4】上記加熱調理器の略縦断面図である。
【図5】上記加熱調理器の表面を構成するハウジングの、上面部分と左右両側面部分とを取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】(A)は図5に示す状態の加熱調理器を図5と異なる角度から見せる斜視図であり、(B)は上記図1に示す加熱調理器の要部略横断面図である。
【図7】(A)は調理室1の天井部分の下面を示す底面図であり、(B)はその要部側面図であり、(C)はその略縦断面図である。
【図8】この加熱調理器の使用状態を示す略縦断面図である。
【図9】(A)は他の実施の形態を示す要部斜視図であり、(B)はその要部説明図である。
【図10】また他の実施の形態を略縦断面図である。
【図11】図10に示す調理器の組み立ての手順を示す要部斜視図である。
【図12】図10に示す調理器の組み立ての手順を示す要部斜視図である。
【図13】図10に示す調理器の蓋を取った状態の斜視図である。
【図14】更に他の実施の形態を略縦断面図である。
【図15】図14に示す調理器の略底面である。
【符号の説明】
【0062】
1 調理室
2 蒸気発生室
3 排気通路
4 蒸気用通路
【技術分野】
【0001】
本願発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−141881号公報
【0003】
近年、オーブンなどの加熱調理器において、水蒸気を100℃以上の過熱水蒸気にして、食品の加熱調理を行うものが提案されている。例えば、上記特許文献1を始めとして、このような過熱水蒸気を利用して、従来の加熱調理器にない優れた加熱調理を可能とするものが、種々提案されている。
【0004】
しかし、このような過熱水蒸気を発生させる何れの加熱調理器においても、発生させた水蒸気を更に過熱水蒸気とするための強力な熱源を必要とし、そのような熱源を装置内に備えることが前提となるものであった。
このため、構造が複雑で、大掛かりなものとなり、製造コストも高く、また、比較的嵩の高いものとなった。
一方、ボイラーの設置などの、ある程度のスペースが確保されている、食品加工工場や飲食店において、嵩の高い加熱調理器を設置するのは容易であろうが、一般の家庭の厨房においては、そのような調理器の設置場所の確保は容易ではない。特に、食器洗い機や食器乾燥機などの台所用品が普及し台所が手狭になる傾向にあるなか、従来のオーブンやレンジ以上の大型の調理器は望まれない。
しかし、手狭な家庭の厨房に簡単に収まるような大きさものでは、過熱水蒸気を発生させるのに十分な火力を得ることはできない。
【0005】
また、特許文献1に示すもののように、家庭用のオーブンやレンジにこのような過熱水蒸気を発生させる機能を持たせることによって、省スペースを図ることも考えられるが、その場合であっても、従来のオーブンやレンジとして機能する部分の他に、過熱水蒸気を発生させるための熱源(水蒸気を過熱水蒸気とするための熱源)を必要とする点、上記と変わらない。このため、従来のオーブンやレンジのサイズ内で、過熱水蒸気を発生させるのは困難であり、そのような従来のオーブンやレンジの一部の機能として提供される加熱調理器では、調理に必要な量の過熱水蒸気を十分に発生させることはできていなかった。
特にオーブンに過熱水蒸気を発生させる機能を持たせた場合、新たにこのようなオーブンへの買い替えが必要となる。即ち、新しいオーブンを家庭の台所に設置しようとすれば、既にあるオーブンは不要となり、廃棄処分の必要に迫られる場合が往々にして生じる。これは、エコロージが叫ばれる近年の環境への関心に逆行するものである。
以上のことから、食品の加熱調理の上で、好ましいものではあっても、一般家庭において、過熱水蒸気による調理が可能な調理器を簡単に導入することできず、過熱水蒸気を利用した加熱調理の普及を阻む要因となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本願発明は、一般家庭へ手軽に導入可能な、過熱水蒸気による加熱調理器を提供して、上記の課題の解決を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1の発明は、食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、この加熱調理器200は、電磁誘導加熱を利用した調理コンロ又はガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室201と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室202と、上記の蒸気発生室202で発生させた蒸気を通す蒸気用通路204とを備える。蒸気発生室202は、調理器の底部に配設され、水を収容することにより、上記コンロからの電磁誘導又は熱を受けて当該水を蒸気にする。蒸気用通路204は、気密に形成され、蒸気発生室202と調理室201とを連絡し、蒸気発生室202にて発生させた蒸気を上記調理室201内にて放出する。蒸気用通路204は、調理器の底部を経由することにより、蒸気発生室202にて発生し当該蒸気用通路204を通る蒸気を、更に加熱して過熱水蒸気とする。
【0008】
本願願第2の発明は、上記本願第1の発明にあって、次の構成を採る加熱調理器を提供するものである。
蒸気発生室202は、調理室201の下方に配置されている。蒸気発生室202の上方を調理室201から隔する第1隔壁と、金属にて形成され蒸気発生室202の下方を調理器の外部から隔する第2隔壁と、調理室201及び蒸気発生室202の側部を調理器の外部から隔し且つ第1隔壁及び第2隔壁と接続された側壁部と、縦通路とを備える。第2隔壁は、上記の支持部を構成するものであり、第2隔壁には、1つ又は複数の加熱用通路と、加熱用通路が設けられていない中実部とが形成されている。加熱用通路は、第2隔壁を縦通路の下方から側壁部の下方にかけて貫通する。縦通路は、上下に伸び、上端側にて蒸気発生室202と連絡し、下端側にて加熱用通路と連絡する。側壁部には、第2隔壁の加熱用通路と調理室201とを連絡する、中空の導入用通路が形成されている。縦通路と加熱用通路と導入用通路とが、蒸気用通路204を構成する。
【0009】
本願願第3の発明は、上記本願第1又は第2の発明にあって、調理室201内に、蒸気攪拌用のファンが設けられたものであることを特徴とする。
【0010】
本願第4の発明は、食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器100について、次の構成を備えたものを提供する。
即ち、この加熱調理器100は、ガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室1と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室2と、上記コンロの火口から生じる排気を通す排気通路3と、上記の蒸気発生室2で発生させた蒸気を通す蒸気用通路4とを備える。上記の蒸気発生室2は、水を収容することが可能であり且つ上記コンロの燃焼による熱を受けて、収容した水を蒸気にするものである。上記の蒸気用通路4は、少なくとも上記排気通路3に対して気密に形成され、上記の蒸気発生室2と調理室1とを連絡し、蒸気発生室2にて発生させた蒸気を上記調理室1内にて放出するものである。上記の排気通路3の少なくとも一部は、熱交換部を介して上記の蒸気用通路4と画されている。上記の熱交換部は、排気通路3の排気の熱を上記の蒸気用通路4に伝えることにより、当該蒸気用通路4中の蒸気を過熱水蒸気とする。
上記のガスコンロには、家屋に設置されたガス管に接続して使用する、厨房用のガスコンロの他、カートリッジ式のガス缶を用いるコンロも含む。
【0011】
本願第5の発明は、上記本願第4の発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の支持部は、火炎取入部を備える。上記の支持部は、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せることにより、上記の火炎取入部を、当該コンロの火口の上に、配置することが可能なものである。上記の火炎取入部は、コンロの火炎を蒸気発生室2の外壁に当てるための空間部である。上記排気通路3は、上記の火炎取入部に連絡し、コンロの排気を取り入れる。
【0012】
本願第6の発明は、上記本願第5の発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の蒸気発生室2の下方に、蒸気発生室2と金属製の隔壁k2にて画された燃焼室6が設けられている。この燃焼室6の外壁には、上記コンロの火炎を当該燃焼室6内に取り入れる火炎取入口61が設けられている。燃焼室6の外壁を、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せ、上記の火炎取入口61をコンロの火口の上に対応させることにより、上記燃焼室6に上記のコンロの火炎を取り込み、当該火炎を上記隔壁k2に当てることが可能である。上記燃焼室6に、上記の排気通路3が接続されている。
【0013】
本願第7の発明は、上記本願第4乃至6の何れかの発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の排気通路3は、上記調理室1の下方から当該調理室1の上方に掛けて配設され、取り入れた排気を調理器の外部へ排出する排気口を、当該調理室1よりも上方に備える。上記の排気通路は、金属製の配管を内包するものであり、当該配管の内部が、上記の蒸気用通路である。この蒸気用通路は、上記の調理室の上部にて、当該調理室の内部に連絡する。上記配管が、前記熱交換部である。
【0014】
本願第8の発明は、上記本願第7の発明にあって、次の構成を備えた加熱調理器を提供する。
即ち、上記の蒸気用通路は、複数の配管にて構成された区間を備え、この配管の夫々について、蒸気の移動方向と横断する方向の断面形状は矩形であり、当該矩形の4辺が上記排気通路内の排気に曝される。
【0015】
本願第9の発明は、上記の本願第1乃至8の何れかの発明にあって、蒸気発生のための熱源を自らは備えず、手で持ち運べるものである加熱調理器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本願の第1〜9の各発明は、水蒸気の加熱により発生させた過熱水蒸気を用いて食品の加熱調理を行う加熱調理器について、簡単な構造で、低コストに製造可能なものを提供した。
特に、一般家庭で広く普及しているガスコンロや近年普及してきた電磁誘導加熱を利用した調理コンロを利用して、水蒸気を発生させることができる。即ち、この調理器は、必要なときのみ、コンロの上に置いて使用すればよく、オーブンを買い換える(設置スペース確保のために既存のオーブンを廃棄する)必要がない。
特に、本願第2の発明によって、近年家庭に普及しつつあるIHクッキングヒーターなどの電気による電磁誘導加熱を利用した調理コンロの利用に適した調理器を提供し得た。
また、本願第3の発明では、調理室内に蒸気攪拌用のファンが設けられることにより、調理室内の過熱水蒸気を攪拌し、過熱水蒸気を偏りなく食品に当てることができる。
更に、本願第4〜9の発明では、当該コンロの排気の熱を利用して,発生させた水蒸気を過熱水蒸気にすることができる。従って、調理器自身が、水蒸気や過熱水蒸気を発生させるための、熱源を備える必要がない。このため、このような熱源を省くことにより、省コストのみならず、小型軽量に加熱調理器を製造することができる。
【0017】
また、上記本願第5及び第6の発明は、上記のガスコンロを利用するためのより具体的な手段を提供した。
更に、本願第7の発明は、排気通路内の排気の熱を蒸気用通路内の蒸気に伝える熱交換部として、より好ましい手段を提供した。これによって、効率よく、蒸気用通路内の蒸気を過熱水蒸気とすることができる。また、蒸気やコンロの排気が、下方より上方に移動する性質を利用して、円滑に蒸気用通路内にて蒸気を移動させて調理室へ過熱水蒸気を送り込むことができる。従って、ブロアなどの蒸気の移動手段を必要とせず、この点においても、調理器の小型化、軽量化、構造の簡略化を図れ、製造コストの低減にも功を奏する。
また、本願第8の発明によって、より効率の良い熱交換部を提供し得た。
そして、本願第9の発明によって、簡単に厨房に持ち入れ、また持ち出すことが可能な、過熱水蒸気による調理器を提供し得た。
このように、本願の上記各発明の実施によって、一般家庭において、業務用における調理器に近い或いは業務用と同様な、過熱水蒸気による、本格的な加熱調理を容易に行うことを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本願発明の好ましい実施の形態について、説明する。図1乃至図8へ本願発明の一実施の形態を示す。図1は、本願発明に係る加熱調理器の外観を示す全体斜視図である。図2は、図1と異なる角度から見た、上記加熱調理器の一部切欠斜視図である。図3は、上記加熱調理器の底面図である。図4は、上記加熱調理器の略縦断面図である。図5は、上記加熱調理器の表面を構成するハウジングの、上面部分と左右両側面部分とを取り外した状態を示す斜視図である。図6(A)は図5に示す状態の加熱調理器を図5と異なる角度から見せる斜視図であり、図6(B)は上記図1に示す加熱調理器の要部略横断面図である。図7(A)は調理室1の天井部分の下面を示す底面図であり、図7(B)はその要部側面図であり、図7(C)はその略縦断面図である。図8は、この加熱調理器の使用状態を示す略縦断面図である。
各図において、説明の便宜上、Uは上方を、Sは下方を、Fは前方を、Bは後方を、Lは左側を、Rは右側を、夫々示している。
【0019】
図1へ示す通り、この加熱調理器100は、家庭において、利用者が、加熱する食材(食品)を調理器内に収容し、加熱調理を行った後、利用者が調理器100から当該食材を取り出すものである。上記の加熱調理にあって、この加熱調理器100は、食材を過熱水蒸気により加熱調理するものであり、自ら水蒸気及び過熱水蒸気を発生させる熱源を持たず、利用者が、一般家庭のガスコンロの火口の上に配置して使用する。
以下、この加熱調理器100について、詳しく説明する。
【0020】
図4へ示す通り、この加熱調理器100は、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室1と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室2と、上記のコンロの火炎と排気を取り込む燃焼室6と、上記コンロの火口から生じる排気を通す排気通路3と、上記の蒸気発生室2で発生させた蒸気を通す蒸気用通路4と、排気通路3の排気の熱を上記の蒸気用通路4に伝えることにより蒸気用通路4中の蒸気を過熱水蒸気とする熱交換部と、調理室1内の蒸気(水蒸気又は過熱水蒸気)を調理器の外部へ排出する排出部7と、蒸気発生室2へ供給する水を収容するタンク部8と、吸水機構5とを備える。
【0021】
この実施の形態において、加熱調理器100は、調理器100の表面を構成するハウジング101と、当該ハウジング101内に設けられた金属製の函体110とを備える。ハウジング101は、主として、函体110の上部と側部とを調理器100外部に対して気密に覆う。
函体110の内部は、気密に形成されている。函体110は、上から順に、上記調理室1と、蒸気発生室2と、燃焼室6とを内部に備える。即ち、函体110によって、上記の調理室1と蒸気発生室2と燃焼室6は、函体110の外部と画され、部屋として形成されている。
【0022】
この函体110内において、上記の調理室1とその下方に配置された上記の蒸気発生室2との間は、金属製の第1隔壁k1によって気密に画されており、この蒸気発生室2とその下方に配された燃焼室6との間は、金属製の第2隔壁k2によって気密に画されている。
換言すると、函体110は、内部を調理室1とする第1函体構成部r1と、内部を蒸気発生室2とする第2函体構成部r2と、内部を燃焼室6とする第3函体構成部r3とを備え、これら第1〜第3函体構成部r1…r3は、上下配列された状態で、一つの函体110として一体に形成されている。最下位に位置する第3函体構成部r3の底部は、この加熱調理器100の底部となる。
即ち、この実施の形態において、第3函体構成部r3は、第1及び第2函体構成部r1,r2を支持する支持部である。第3函体構成部r3の底(底側外壁)、即ち調理器100の底には、燃焼室6に通じる火炎取入口61(図3)が設けられている。第3函体構成部r3の内部即ち燃焼室6において、少なくとも当該火炎取入口61とその上方の第2隔壁k2との間の空間は、コンロの火炎の障害となるものが排除された、火炎取入部を構成する。図3へ示す通り、火炎取入口61は、左右方向、及び、前後方向の、何れにおいても、調理器100の中央に設けておくのが好ましく、また、当該火炎取入口61の内径は、ガスコンロの火口又は火口からでる火炎(全体)と外径と同じ大きさとするのが好ましい。
【0023】
ハウジング101の上面には、排気口102が設けらている。また上記燃焼室6に、上記の排気通路3の一端は、上記の燃焼室6に連絡し、排気通路6の他端は、上記の排気口102に連絡する。この実施の形態において、排気通路6は、上記の函体110と、ハウジング101との間の隙間である。即ち、排気通路6は、函体110とハウジング101とにより、他と画され、気密な通路として形成されている。
【0024】
具体的に説明すると、上記の函体110は、図3〜図6へ示す通り、上面部(平面部)111、下面部(底面部)、前面部(正面部)、後面部(背面部)、左側面部115及び右側面部116を備えた略直方体である(この実施の形態において、函体110の右側面部において、第1函体構成部r1に対して、第2及び第3函体構成部r2,r3は、右方へ突出しているので、正確には直方体とはいえないが、概して直方体と呼ぶことができる)。上記のハウジング101も、直方体であるが、函体110の前面部と後面部と下面部とは、ハウジング101の前面部113と後面部114と下面部112の一部となっている。即ち、当該前面部113、後面部114及び下面部112において、函体110とハウジング101とは一体となっている。従って、ハウジング101固有の部分は、調理器100の、左右両側面部104,105と上面部103と、更に前面部113及び後面部114における函体110の前面及び後面より上下左右に延設された部分(以下延設部と呼ぶ)とである。これらハウジング101に固有の部分が、函体110を覆い、調理器100の外面を提供する。図5及び図6は、このようなハウジング101の上面部103と左右側面部104,105を取り外した状態を示している(実際には、函体110の上面部103と左右側面部104,105は取り外せるものとする必要はなく、ハウジング101の他の部分と一体に形成することができる)。
【0025】
この実施の形態において、上記の排気通路3は、函体110の側面部(左側面部115)から上面部111に掛けて設けられている。具体的には、上記函体110の左側面部115とハウジング101の左側面部104と(前面部113と後面部114の)上記延設部とに囲まれた空間、及び、当該空間に連続する、函体110の上面部103とハウジング101の上面部103と(前面部113と後面部115の)上記延設部とに囲まれた空間が、上記の排気通路3を構成している。図5及び図6へ示すように、函体110の上面部113の内側面(下方を臨む面)と、ハウジング110の左側面部104の内側面(右方を臨む面)と、前面部113及び後面部114の上記延設部の内側面には、断熱材が設けられている(斑点で示す部分である)。このような断熱材の配置によって、ハウジング101の加熱が抑制され、調理器100をより安全なものとし、また、排気通路3から熱が蒸気用通路4以外へ逃げるのを抑制することができる。
尚、排気通路3は、函体110の後面部から上面部111に掛けて設けるものとしても実施可能である(図示はしないが、この場合、ハウジング101は、函体110の後面部と独立した、ハウジング101固有の後面部を備える)。
【0026】
上記の排気通路3内には、金属製の配管40…40が設けられている。当該配管40…40の内部が、上記の蒸気用通路4である。この蒸気用通路4は、蒸気発生室6と、調理室1とを連絡する、気密に形成された通路である。図4へ示すように、各配管40…40の一端は、函体110の側部(左側面部115)において、蒸気発生室6内に連絡している。排気通路3内において、各配管40…40は、排気通路3に沿って、函体110の左側面部115上から、上面部111上にかけて設けられている。そして、配管40…40の他端は、函体110の上面部111において函体110内の調理室1と連絡する。具体的には、図7(A)(B)へ示す通り、調理室1の天井部分、即ち函体110の上記上面部111の内側面(下方を臨む面)には、ノズル10…10が設けられており、図7(C)へ示す通り、当該ノズル10…10に、上記蒸気用通路2の他端が接続されている。
【0027】
内部を蒸気用通路4とする上記配管40自身が、前記の熱交換部であり、排気通路3内の排気の熱を、配管40内の水蒸気に伝え、当該水蒸気を過熱水蒸気とする。
また、図6(B)及び上記図7(C)へ示す通り、配管40…40の長手方向、即ち、蒸気の移動方向と交差する方向の断面形状は矩形であり、当該矩形の4辺の表面が上記排気通路3内の排気に曝される。この他、配管40…40の上記の断面形状を円形として実施することも可能である。しかし、このように、配管40…40の横断面の形状を矩形とすることにより、断面が円形の配管に比べて、大きな表面積を確保することができ、熱交換の効率を高めることができる。また、配管40は、四角形以外の多角形の断面を有するものとしても実施可能である。例えば、配管40は、三角形や五角形などの断面を有するものとしても、実施可能である。
【0028】
尚、通常の水蒸気は、100℃以下の白色の湯気であるが、過熱水蒸気は、100℃を超える透明の蒸気である。
また、図5及び図6へ示す通り、この実施の形態において、上記の配管40…40は、排気通路4内に、3本平行に設けている。しかし、このような数量に限定するものではなく、配管40…40は、1本又は2本、或いは4本以上であっても実施可能である。
【0029】
図6(B)へ示す通り、排気通路3の上下に伸びる区間(調理室1の左側)において、蒸気用通路4の蒸気断面が呈する矩形の対角線の幅と、ハウジング101の左面部104(の断熱材)と、函体110の左面部115との間の幅とを、ほぼ同じものとし、上記矩形の対向する2つの頂点の夫々が、ハウジング101の左面部104(の断熱材)と、函体110の左面部115とに接するように配置するのが好ましい。また、図7(C)へ示す通り、排気通路3の水平に延びる区間(調理室1の上方)においても、蒸気用通路4の蒸気断面が呈する矩形の対角線の幅と、ハウジング101の上面部103(の断熱材)と函体110の上面部111の間の幅とをほぼ同じものとし、上記矩形の対向する2つの頂点の夫々が、ハウジング101の上面部103(の断熱材)と、函体110の上面部111とに接するように配置するのが好ましい。上記の排気通路3の各区間において、このように構成することによって、排気通路3内の排気をムラなく配管40…40の表面に接触させることができ、熱効率を向上することができ、より確実に過熱水蒸気を発生されることができる。
【0030】
図1及び図5へ示す通り、調理器100(函体110の)前面113には、食材を調理室1から出し入れするための、扉113aが設けられている(図2において、扉113aは省略して描いてある)。図1へ示す通り、この扉113aの主要部を、ガラスなどの透明体で構成し、調理室1の内部を、外から見えるようにしておくのが好ましい。また、調理室1の内部には、食材を乗せる網やプレートを支持するための、棚状突出部11…11を設けておくのが好ましい(図4及び図8)。
上記の排気部7は、調理室1と排気口102とを連絡する通路である。
【0031】
前記のタンク部8は、蒸気発生室2に供給する水を溜めておくものであり、水の注ぎ口80を備える。上記の吸水機構5は、蒸気発生室2内に設けられた浮き50と、浮き50の上下によって、タンク部8と蒸気発生室2との間を開閉する弁51とを備える。蒸気発生室2内の水の水位が下がり、浮き50が所定位置まで下がった際、上記の弁51が開き、タンク部8内の水を蒸気発生室2内へ自動的に導入する。
【0032】
次にこの調理器100の使用方法について説明する。
利用者は、図8へ示す通り、この調理器100を家庭のガスコンロGのガス台又は五徳gの上に乗せる。
このとき、上記の火炎取入口61をコンロGの火口の上に対応させることにより、上記燃焼室6に上記のコンロGの火炎Hを取り込み、当該火炎Hを直接上記第2隔壁k2へ当てることができる。また、このとき、第3函体構成部r3の前後左右の外壁が、コンロGの火炎の周囲を覆う。
【0033】
コンロGの火炎Hが当てられた金属製の第2隔壁k2は、図4及び図8へ示す通り、火炎Hの熱を蒸気発生室2内の水に伝え、水蒸気を発生させる。この蒸気発生室2内の加熱により、第1隔壁k1を通じて、調理室1内を加熱することができる。一方、蒸気発生室2内にて発生した水蒸気は、その熱気によって蒸気用通路4内に入って、通路4内を上昇する。水蒸気の発生によって、蒸気発生室6内の水の量が減ると、上記の吸水機構5の、浮き50が下がり、弁51が開き、上記の通り、タンク部8内の水が蒸気発生室2内へ自動的に導入される。
【0034】
図8へ示す通り、コンロGの燃焼によって生じた排気は、その熱気によって、燃焼室6から排気通路3内へ入って通路3内を上昇する(図4及び図8において、ガスコンロの燃焼を受けた際に、蒸気発生室2内で発生する蒸気の移動経路を白抜きの矢印で示している。また、図8において、ガスコンロGの排気の移動経路を黒色の矢印で示している)。
【0035】
上記の通り蒸気用通路4を移動する水蒸気は、配管40…40を通じて、排気通路3の排気の熱気を受けて加熱され、過熱水蒸気とされる。この過熱水蒸気は、上記ノズル10…10から、調理室1内の食材に向けて放出される。
このようにして、食材を、過熱水蒸気にて加熱調理することができる。
調理室1内に導入された蒸気(過熱水蒸気)は、排気部7を通じて、排気口102から調理器100の外部へ排出される。また、熱交換に理容された上記の排気通路3内の排気も、上記の排気口102から調理器100の外部へ排出される。
例えば、温野菜を作るとき、100℃の水蒸気で蒸すよりも、150℃の過熱水蒸気で蒸すほうが、栄養分が逃げない。また、殺菌効果も、その温度の高さから、水蒸気に比べて、過熱水蒸気のほうが、優れる。本願発明の上記調理器100を用いることにより、このような過熱水蒸気による加熱調理を、一般家庭でも、簡単に行うことができるのである。
【0036】
上述の通り、本願発明に係る加熱調理器は、水蒸気や過熱水蒸気発生のための熱源を備えず、また、これらの蒸気やコンロの排気を移動させるために、ブロアなどの換気を行う手段を備える必要もないので、利用者が、手で持ち運べる重さや寸法に形成することができる。
具体的には、この調理器100の外形寸法は、高さ(上下の幅)を18〜40cm、横幅(左右の幅)を20〜40cm、奥行き(前後の幅)を18〜40cmに形成することができる。
調理器100の上記外形寸法について、特に、持ち運びに便利な、上記の高さを20〜30cm、横幅を25〜35cm、奥行きを20〜30cmに形成することがきる。このとき、3本の配管40…40夫々の外形寸法について、その断面が呈する矩形の対角線の長さを1.5〜3cm、特に2cmとするのが好ましい。又配管40…40夫々の厚みは、1〜4mmとするのが好ましい。但し、このような配管40の各寸法は、変更可能である。
【0037】
排気通路3の排気の移動方向を横断する断面積は、(配管40…40内部の)蒸気用通路4の当該断面積(上記において配管40は3本あるので、その3つの蒸気用通路4…4の当該断面の合計)の1〜5倍とするのが好ましい。
この場合において、一般的な家庭のガスコンロでの使用を前提とすると、蒸気発生室2と、燃焼室6の内容積は、夫々、調理室1の内容積の1/5〜1/3とするのが好ましい。
また、蒸気発生室2と燃焼室6の夫々の広さ(横幅×奥行き)については、少なくとも調理室1の広さと、同じものとするのが好ましい。
第1及び第2の隔壁k1,k2は、夫々厚みが1〜5mmの、アルミ製又は鉄製(ステンレスを含む。)とするのが好ましい。
但し、調理器100の各部の寸法や、比率、材質は、上記以外に変更可能である。
一般家庭の厨房で用いられるガスコンロについて、火力は、1800kcal(弱火)〜2400kcal(強火)である。熱源として、このようなコンロと同等の熱量を得られものであれば、一般的なガスコンロに代えて使用することも可能である。即ち、1800kcal以上の火力が得られるものであれば、この調理器100の熱源として、使用可能である。但し、一般的な電気コンロ(1.5kw)では、現状において、1400〜1500kcalと火力が低いため、当該調理器100の熱源としては適さない。
【0038】
上記の実施の形態では、図4〜図6へ示す通り、平面視及び側面視において、夫々直線的に伸びる配管40…40にて、熱交換を行うものであった。この他、図9(A)へ示す通り、配管40…40の夫々を、排気通路3の排気の移動方向に沿った第1区間41と、排気通路3の排気の移動方向と交差する第2区間42とを備える、ジクザグに形成されたものとすることができる。このようにすることで、1本の配管40を長くして、排気通路3内にて、蒸気用通路3をより密にすることができ、熱交換の効率を高めることができる。
【0039】
尚、この場合において、配管40の第2区間42が、排気通路3を遮断しないよう、形成しておく必要がある。例えば、図9(B)へ示す通り、第1区間41における、配管40断面の上記矩形の(上下又は左右方向の)対角線の幅t1よりも、第2区間42における同対角線と同じ向きの幅t2を小さいものとすることによって、排気通路3中、配管40の第2区間42が横断する位置に排気の通り抜け口30を形成することができる。これにて、上記配管40の第2区間42のために、排気の移動が遮られない。尚、図9(B)において、排気通路3内を見せるために、ハウジング101及び函体110について断面を示しているが、配管40…40については、断面とせずに側面視した状態に描いている。
この図9に示す実施の形態においても、特に明示した事項以外については、上記図1〜図8に示す実施の形態と同様である。
【0040】
図10〜図13へ更に他の実施を示す。
図10は、この調理器の概要を示す略縦断面図であり、図11〜図13の夫々は、図10に示す調理器を具体的に提供する手段を示すものであり、組み立ての手順の斜視図である。
図10へ示す通り、この加熱調理器200も、上記の各実施の形態と同様、食品を過熱水蒸気により加熱調理するものであり、蒸気発生のための熱源を自らは備えず、手で持ち運べるものである。
【0041】
即ち、この加熱調理器200は、電磁誘導加熱を利用した調理コンロの上面Jに載せられる支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室201と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室202と、上記の蒸気発生室202で発生させた蒸気を通す蒸気用通路204と、排気通路203と、給水通路205とを備える。蒸気発生室202は、調理器の底部に配設され、水を収容することにより、上記コンロからの電磁誘導又は熱を受けて当該水を水蒸気にする。蒸気用通路204は、気密に形成され、蒸気発生室202と調理室201とを連絡し、蒸気発生室202にて発生させた蒸気を上記調理室201内にて放出する。蒸気用通路204は、調理器の底部を経由することにより、蒸気発生室202にて発生し当該蒸気用通路204を通る蒸気を、更に加熱して過熱水蒸気とする。
【0042】
具体的には、加熱調理器200は、金属製の内ケース310と、内ケース310を内包する外ケース320と、両ケース310,320と別体に形成された蓋体330とを有する。
内ケース310は、上端が開口する有底の筒状体であり、外周部を形成する側壁部k30と、側壁部k30の内側に設けられ内ケース310の内部空間を上下に分割する第1隔壁k10と、内ケース310の当該底を構成する第2隔壁k20と、側壁部k30の上端外周に設けられた樋状部311とを備える。上記の蓋体330は、内ケース310の上端の開口部を塞ぐ。
内ケース310の内側において、第1隔壁k10より上方が上記の調理室201であり、第1隔壁k10より下方が上記の蒸気発生室202である。
また、第2隔壁k20が上記の支持部である。より具体的には、調理器200は、コンロの火口に(この実施の形態のように電磁誘導を利用した調理コンロの場合は直接コンロに、また、ガスコンロの場合は五徳の上に)置かれる。第2隔壁K20は、調理器200を上記火口の上に支持する支持部として、調理器200の底を構成すると共に、調理室201より調理器の底側に配置された蒸気発生室202の底を構成する。
【0043】
図10へ示す通り、調理室201内には食品m…mが収容される。この実施の形態では、調理室201内には網状の載置部が設けられ、その上に食品m…mが置かれる。調理室201の上端、即ち、内ケース310の上端開口部は、上記の蓋体330にて塞がれている。蓋体330の外縁は、上記樋状部311内に載置される。樋状部311内には、水が貯められ、調理室201内の水蒸気が蓋体330と内ケース310との間から外部へ急排出されるのを防止している。尚図示はしないが、調理室201内の水蒸気を調理器200の外部へ排出するための排出口を調理室201へ設けて実施するのが好ましい。
蓋体330は、調理室201の上端へ着脱自在に配置される。但し、図示はしないが、蓋体330を、ヒンジにて内ケース310或いは外ケース320に固定することにより、ヒンジを中心として回転させて開閉できるものとしてもよい(図示せず)。
外ケース320は、上端が上記桶状部311に接続され、樋状部311より下方に伸びる、下端が開放された筒状体である。この実施の形態において、外ケース320の下端と内ケースの底である第2隔壁k20の(外部)下面とは、上下方向について同じ高さである。
円柱状の内ケース310の外周面と、外ケース320の内周面との間の空間が、上記の排気通路203である。内ケース310の底と外ケース320の下端との間が、排気の導入口321である。外ケース320には、当該導入口より上方に外ケース310の内側から外側へ貫通する貫通口322…322が設けられている。ガスコンロを利用する場合、当該貫通口322…322から、排気通路内へ導入した排気を調理器200の外部へ排出することができる。電磁誘導加熱を利用した調理コンロのみに使用するのであれば、このような排気通路203は設ける必要はないが、排気通路203を設けておけば、ガスコンロと電磁誘導加熱を利用した調理コンロの何れにおいても使用することができる。
【0044】
上記の樋状部311内は、給水通路205によって、蒸気発生室202と連絡している。具体的には、樋状部311の底と内ケース310の側壁部k30との間に給水管351が接続されている。給水管351の内部が、上記の給水通路205であり、樋状部311に収容された水の一部が、給水通路205(給水管351内)を通って、蒸気発生室202内へ供給される。給水管351は、水量調整弁352を備える。水量調整弁352は、蒸気発生室202内の水が所定量以上あるときは、給水通路205を閉鎖して上記の水の供給を断ち、蒸気発生室202の水が所定量を下回ると、給水通路205を開放し、樋状部311の水を蒸気発生室202へ供給する。水量調整弁352には、図1〜図9へ示す調理器100の吸水機構5と同じものを採用することができる。
【0045】
蒸気用通路204は、縦通路241と、加熱用通路242と、導入用通路243とを備える。縦通路241の一方の端部が蒸気発生室202と連絡し、縦通路241の他方の端部が加熱用通路242の一方の端部と連絡し、加熱用通路242の他方の端部が導入用通路243の一方の端部と連絡し、導入用通路243の他方の端部が調理室201と連絡する。
詳しくは、蒸気発生室202の内側において、第2隔壁k20には内ケース310の内径よりも外径の小さな筒状の中筒部k40が設けられている。この実施の形態において、中筒部k40は、筒状の内ケース310と同心となるよう第2隔壁k20の上面に設けられており、中筒部k40の上端は、第1隔壁k10の下面に接続されている。
中筒部k40は、中筒部k40の内部と上記蒸気発生室202とを隔するものであり、中筒部k40の内側の空間が、上記の縦通路241である。中筒部k40の上端側外周には、中筒部k40の内部を、蒸気発生室202に連絡する連絡口k41…k41が設けられている。
【0046】
上記の加熱用通路242は、第2隔壁k20を、中筒部k40の下方から側壁部の30の下方にかけて貫通する貫通部である。上記の導入用通路243は、側壁部k30を上下に貫通する貫通部であり、上端に調理室201内と連絡する吐出口k31を備える。
金属製の第2隔壁k20の中実部は、電磁誘導加熱を利用した調理コンロに用いる場合は電磁誘導により、ガスコンロに用いる場合は熱伝導により、蒸気発生質202及び加熱用通路k242へ、熱を供給する熱供与部である。
【0047】
この実施の形態において、電磁誘導加熱を利用した調理コンロに、調理器200が載せられ、このとき第2隔壁k20の上記中実部は、調理コンロの電磁誘導により、蒸気発生室202内の水を加熱する。上記の通り、第2隔壁k20を貫通して形成されている加熱用通路k242は、熱供与部である上記中実部に囲まれることにより密閉された空間である。より詳しくは、この実施の形態では第2隔壁k20は、複数の加熱用通路242…242を備え、この複数の加熱用通路242…242が、平面視において、内ケース310の中央即ち縦通路241の直下より、側壁部k30の直下に向けて、放射状に伸びている。一方、側壁部k30は、複数の導入用通路243…243を備え、この複数の導入用通路243が、夫々、側壁部k30の内を、第2隔壁k20側から調理室201の外周にかけて上下に貫通している。上記の吐出口k31も側壁部k30に複数設けられており、夫々、導入用通路243の上端と調理室201の内部とを連絡する。
【0048】
上記の通り、第2隔壁k20の中実部において、平面視放射状に配設された加熱用通路242…242同士の間に位置する部位k21(平面視において加熱用通路242…242が形成されていない部位)が、主として、調理コンロの電磁誘導に供され、蒸気発生室202内の水を加熱し水蒸気とする。ガスコンロを利用する場合も、この加熱用通路242…242同士の間に位置する中実部が、主として蒸気発生室202へコンロからの熱を伝導する。
また、加熱用通路242は、加熱用通路242を取り囲む中実部の夫々の部位から、電磁誘導(或いは熱伝導)を受けることになるが、中実部のうち、とりわけ、加熱用通路242の直下に位置する部位k22から、電磁誘導(ガスコンロの場合は熱伝導)を受けることにより、蒸気発生室202で発生し縦通路241を経て加熱用通路242…242内へ導入された水蒸気を加熱し過熱水蒸気とする。そして、加熱用通路242…242内で発生した過熱水蒸気は、導入用通路243から、調理室201内へ導かれ、食品m…mを加熱調理する。
このように、蒸気発生室201内で、第2隔壁k20の中実部から電磁誘導(熱伝導)を受け加熱されて発生した水蒸気は、縦通路241から加熱用通路242…242内に入り当該加熱用通路242…242にて電磁誘導(熱伝導)により更に加熱され過熱水蒸気となり、導入用通路243を経て、調理室201内に導かれるのである。
【0049】
以下、上記調理器200の要部を形成する具体的な方法について説明する。
図11及び図12へ示す通り、上記の内ケース310は、第1ケース構成部n1と、第2ケース構成部n2と、第1隔壁部材k11とを備える。
図11へ示すように、第1ケース構成部n1は、ステンレス製の有底で上方が開口する筒状体である。第1ケース構成部n1の底部において、第1ケース構成部n1の内部空間を臨む面には、下方に後退する平面視扇形の凹部n11…n11が複数形成されている。この実施の形態において、上記の凹部n11は、4個設けられている。但しこのような数量に限定するものではなく、1〜3個でも5個以上でも実施できる。
平面視扇形の各凹部n11…n11は、扇形の円弧の部分が夫々同心となるように形成されており、夫々等間隔に配置されている。隣接する凹部n11と凹部n11との間は、蒸気発生室202への熱供与部を構成する。
【0050】
筒状の第1ケース構成部n1の(側部の)内周面には、上記の凹部n11…n11と連絡し且つ第1ケース構成部n1の径外方向に後退する副凹部n12…n12が形成されている。副凹部n12…n12の夫々は、第1ケース構成部n1の下端側から上方へ伸びる。第1ケース構成部n1の側部の副凹部n12,n12間の一箇所に、第1ケース構成部n1の側部の内部から外部へ貫通する貫通孔n13が形成されている。
第1ケース構成部n1の上端外周には、前述の樋状部311が形成されている。図示はしないが、樋状部311の底には、内外に貫通する貫通孔が設けられている。
【0051】
上記の第2ケース構成部n2は、図11へ示す通り、ステンレス製の有底で上方が開口する筒状体である。
第2ケース構成部n2の底部の、第2ケース構成部n2の内部空間を臨む面には、当該面の平面視中央に、前述の中筒部k40が設けられている。中筒部k40は上下に伸びる筒状体であり、下端が、第2ケース構成部n2の底に固定されている。中筒部k40の側部上端には、複数の切欠部k42…k42が設けられている。この切欠部k42…k42が前述の連絡口k41…k41を構成する。第2ケース構成部n2の底部において、中筒部k20の内側空間の直下の部分が、第2ケース構成部n2の内外にかけて貫通している。
第2ケース構成部n2の内周面には、棚n20が形成されている。この実施の形態において、棚n20は、第2ケース構成部n2の内径を変えることによって形成された段差である。また、第2ケース構成部n2の側部には、第2ケース構成部n2の内外に貫通する副貫通孔n21が設けられている。
【0052】
第1ケース構成部n1の内径と、第2ケース構成部n2の外径とは、同一であり、図12へ示す通り、第1ケース構成部n1の内側に第2ケース構成部n2が嵌められる。
上記の嵌合により、第1ケース構成部n1の底部上面と第2ケース構成部n2の底部下面とは当接し、凹部n11…n11は、第2ケース構成部n2の底部によって上方が閉ざされる。この凹部n11…n11と第2ケース構成部n2の底部とに囲まれた空間が前述の加熱用通路242を構成する。第1ケース構成部n1において、凹部n11の直下の部分が前述の部位k22、即ち加熱用通路242への熱供与部である。
また、上記の嵌合により、副凹部n12…n12は、第2ケース構成部n2の外周面によって第1ケース構成部n1の径内方向を臨む部位が閉ざされる。この副凹部n12…n12と第2ケース構成部n2の外周面とに囲まれた部位が前述の導入用通路243を構成する。
第2ケース構成部n2の上下の高さは、第1ケース構成部n1の上記副凹部n12…n12の上端よりも低く、第1ケース構成部n1の内側において、副凹部n12…n12の一部が、第2ケース構成部n2の上端より上方に露出する。この露出する部位が上記の吐出口k31を構成する。
また、上記嵌合により、貫通孔n13と副貫通孔n21とは重なる。
【0053】
図12へ示す通り、第1隔壁部材k11は、円盤である。第1隔壁部材k11の外径は、第2ケース構成部n2の棚n20より下方の内径より大きく、棚n20より上方の内径と同じかこれよりも小さい。第1隔壁部材k11の上面中央(平面視において中央)には、摘みk12が設けられている。一旦組み立てた後に、調理器を分解する必要がないのであれば、このような摘みk12は設ける必要はない。
【0054】
図13へ示す通り、この第1隔壁部材k11を、摘みk12を掴んで、第1ケース構成部n1に嵌合している第2ケース構成部n2の内側に挿入し、棚n20の上に載せる。
この状態において、第1隔壁部材k11は、第1隔壁k10を構成する。即ち第1隔壁部材k11に封ぜられた第2ケース構成部n2の内側の空間が蒸気発生室202である。
図13へ示す通り、第1ケース構成部n1の外側に、前述の外ケース320が配置され、外ケース320の上端は、溶接或いはネジ止といった周知の固定手段により、上記第1ケース構成部n1の樋状部311の底部に固定される。
図示はしないが、第1ケース構成部n1の貫通孔n13と樋状部311の前記貫通孔との間に、前述の給水管351が設けられる。また、上記の図13において、蓋体330は省略してある。
【0055】
上記第1ケース構成部n1の凹部n11…n11及び上記の熱供与部の形成について、より具体的には、第1ケース構成部n1の底部の上記第1構成部n1の内部空間を臨む面を平らに形成しておき、別途形成した扇状の板状体n10…n10を放射状に、上記底部の内部空間を臨む面に配設することにより熱供与部を形成することができる。このとき、板状体n10…n10間が、凹部n11…n11となる。また、同様に、第1ケース構成部n1の内周面に、上記板状体n10…n10に連続して上方に伸びるよう複数の板状部材を固定し、当該板状部材間を副凹部n12…n12とすればよい。この場合、上記の板状体n10が、主として前述の部位k21、即ち蒸気発生室202への熱供与部を構成する。
この他、図示はしないが、上記の板状体n10…n10及び板状部材を設けるのではなく、上記の凹部n11…n11と副凹部n12…n12と対応する部分が内外に貫通する、別途有底の第3のケース構成部を用意し、第1ケース構成部n2の内側において底部と内周面に起伏を設けずに、第2ケース構成部n2嵌合前にこの第3のケース構成部を嵌合して、第1ケース構成部n1の内部表面に、上記の凹部n11…n11や副凹部n12…n12を形成するものとしても実施できる。
また、図示はしないが、この実施の形態において、調理室201内に、蒸気の攪拌用のファンを設けておくのが好ましい。ファンは、電池或いは室内の電源より電気の供給を受けて作動する電動機と、電動機の回転軸或いは電動機に間接的に接続された回転軸に設けられた扇とを備えたものを採用することができる。このようなファンは、前述の蓋体330の下面に設けておけばよい。
【0056】
図14及び図15へ、更に他の実施の形態を示す。この実施の形態は、特にガスコンロでの使用に適したものである。
以下、この実施の形態について、図10〜図13へ示す実施の形態との相違点を中心に説明する。従って、特に言及しない事項についは、図10〜図13へ示す実施の形態と同様である。また、図14へ付すべきハッチングは図面の煩雑を避けるため省略する。
【0057】
図14へ示す通り、この調理器200の外ケース320の下端は、第2隔壁k20よりも更に下方に位置する。
この実施の形態において、第2隔壁k20は、加熱用通路242を備えず、また、側壁部k30も導入用通路243を備えない。その代わりに、次の構成を採る。
即ち、蒸気発生室202内に設けられた中筒部k40の下端は有底であり、且つ、第2隔壁k20の底部を貫通して、内ケース310の外部に露出する。内ケース310の外部において、中筒部k40の下端と側壁部k30内の調理室201とを接続する、別途の蒸気導入用管k50が設けられている。
この蒸気導入用管k50は、金属製の管であり、特にステンレスにて形成するのが好ましい。蒸気導入用管k50は、第2隔壁k20の下方を水平に伸びる加熱用区間k51と、側壁部k30の外側に沿って上下に伸びる導入用区間k52とを備える。この加熱用区間のk51は、中筒部k40の下端側部と導入区間k52とを繋ぐ水平な区間である。図15へ示す通り、加熱用区間k51…k51の夫々は、調理器200の径外方向に向けて伸びる区間と、U状字にカーブして調理器200の径内方向に戻る区間とを交互に備えた、全体として蛇行したものである。
【0058】
図14へ示すように、この調理器200においては、第2隔壁k20ではなく、外ケース320が支持部を構成する。外ケース320の下端をガスコンロGの上或いはその五徳gの上に置いて、調理器200の底部をコンロGの火炎で加熱するのである。
上記の通り、加熱用区間k51は、蛇行しているので、蒸気導入用管k50の当該区間k51内部を通る蒸気を効率良く加熱することができる。しかし、加熱用区間k51は、第2隔壁k20の底部を覆い尽くすものではなく、第2隔壁k20の、蒸気導入用管k50の加熱用区間k51間から露出する部位が、ガスコンロGの火炎を受けて加熱される。
使用時、第2隔壁k20が加熱されることにより、蒸気発生室202内の水が水蒸気となり、当該水蒸気は、中筒部k40(縦通路241)から、蒸気導入用管k50の加熱用区間k51に入り、ガスコンロGの火炎により更に加熱されて過熱水蒸気となり、導入用区間k52から調理室201内に導入されるのである。
【0059】
図14に示す通り、この調理器200(正確には蓋体330の下面)には、前述の蒸気攪拌用のファン331が設けられており、使用時効率よく調理室201内の蒸気を攪拌することができる。また、この実施の形態において、図14へ示すように、内ケース310には、調理室201内の蒸気を調理器200の外部へ排出する排出管k6が設けられている。
【0060】
また、上記の全実施の形態において、調理器100,200は、熱源を持たないものとしたが、当該調理器100,200を、カセットコンロと一体に形成することも可能である。図示はしないが、このようにコンロと一体に形成することによって、火力の調整が調理器100,200にて行うことができる。また、この場合、周知のタイマ装置を設けて、所望の加熱(調理)時間を設定し、自動的に、加熱調理を終了するようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本願発明に係る加熱調理器の外観を示す全体斜視図である。
【図2】図1と異なる角度から見た、上記加熱調理器の一部切欠斜視図である。
【図3】上記加熱調理器の底面図である。
【図4】上記加熱調理器の略縦断面図である。
【図5】上記加熱調理器の表面を構成するハウジングの、上面部分と左右両側面部分とを取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】(A)は図5に示す状態の加熱調理器を図5と異なる角度から見せる斜視図であり、(B)は上記図1に示す加熱調理器の要部略横断面図である。
【図7】(A)は調理室1の天井部分の下面を示す底面図であり、(B)はその要部側面図であり、(C)はその略縦断面図である。
【図8】この加熱調理器の使用状態を示す略縦断面図である。
【図9】(A)は他の実施の形態を示す要部斜視図であり、(B)はその要部説明図である。
【図10】また他の実施の形態を略縦断面図である。
【図11】図10に示す調理器の組み立ての手順を示す要部斜視図である。
【図12】図10に示す調理器の組み立ての手順を示す要部斜視図である。
【図13】図10に示す調理器の蓋を取った状態の斜視図である。
【図14】更に他の実施の形態を略縦断面図である。
【図15】図14に示す調理器の略底面である。
【符号の説明】
【0062】
1 調理室
2 蒸気発生室
3 排気通路
4 蒸気用通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器において、
電磁誘導加熱を利用した調理コンロ又はガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室と、上記の蒸気発生室で発生させた蒸気を通す蒸気用通路とを備え、
蒸気発生室は、調理器の底部に配設され、水を収容することにより、上記コンロからの電磁誘導又は熱を受けて当該水を蒸気にするものであり、
蒸気用通路は、気密に形成され、蒸気発生室と調理室とを連絡し、蒸気発生室にて発生させた蒸気を上記調理室内にて放出するものであり、
蒸気用通路は、調理器の底部を経由することにより、蒸気発生室にて発生し当該蒸気用通路を通る蒸気を、更に加熱して過熱水蒸気とするものである加熱調理器。
【請求項2】
蒸気発生室は、調理室の下方に配置され、
蒸気発生室の上方を調理室から隔する第1隔壁と、金属にて形成され蒸気発生室の下方を調理器の外部から隔する第2隔壁と、調理室及び蒸気発生室の側部を調理器の外部から隔し且つ第1隔壁及び第2隔壁と接続された側壁部と、縦通路とを備え、
第2隔壁は、上記の支持部を構成するものであり、第2隔壁には、1つ又は複数の加熱用通路と、加熱用通路が設けられていない中実部とが形成され、
加熱用通路は、第2隔壁を縦通路の下方から側壁部の下方にかけて貫通するものであり、
縦通路は、上下に伸び、上端側にて蒸気発生室と連絡し、下端側にて加熱用通路と連絡し、
側壁部には、第2隔壁の加熱用通路と調理室とを連絡する、中空の導入用通路が形成され、
縦通路と加熱用通路と導入用通路とが、蒸気用通路を構成するものであることを特徴する請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
調理室内に、蒸気攪拌用のファンが設けられたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の過熱調理器。
【請求項4】
食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器において、
ガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室と、上記コンロの火口から生じる排気を通す排気通路と、上記の蒸気発生室で発生させた蒸気を通す蒸気用通路とを備え、
上記の蒸気発生室は、水を収容することが可能であり且つ上記コンロの燃焼による熱を受けて、収容した水を蒸気にするものであり、
上記の蒸気用通路は、少なくとも上記排気通路に対して気密に形成され、上記の蒸気発生室と調理室とを連絡し、蒸気発生室にて発生させた蒸気を上記調理室内にて放出するものであり、
上記の排気通路の少なくとも一部は、熱交換部を介して上記の蒸気用通路と画され、
上記の熱交換部は、排気通路の排気の熱を上記の蒸気用通路に伝えることにより、当該蒸気用通路中の蒸気を過熱水蒸気とするものである加熱調理器。
【請求項5】
上記の支持部は、火炎取入部を備え、
上記の支持部は、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せることにより、上記の火炎取入部を、当該コンロの火口の上に、配置することが可能なものであり、
上記の火炎取入部は、コンロの火炎を蒸気発生室の外壁に当てるための空間部であり、
上記排気通路は、上記の火炎取入部に連絡し、コンロの排気を取り入れるものであることを特徴とする請求項4記載の加熱調理器。
【請求項6】
上記の蒸気発生室の下方に、蒸気発生室と金属製の隔壁にて画された燃焼室が設けられ、
この燃焼室の外壁には、上記コンロの火炎を当該燃焼室内に取り入れる火炎取入口が設けられ、
燃焼室の外壁を、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せ、上記の火炎取入口をコンロの火口の上に対応させることにより、上記燃焼室に上記のコンロの火炎を取り込み、当該火炎を上記隔壁に当てることが可能であり、
上記燃焼室に、上記の排気通路が接続されたものであることを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
上記の排気通路は、上記調理室の下方から当該調理室の上方に掛けて配設され、取り入れた排気を調理器の外部へ排出する排気口を、当該調理室よりも上方に備え、
上記の排気通路は、金属製の配管を内包するものであり、当該配管の内部が、上記の蒸気用通路であり、
この蒸気用通路は、上記の調理室の上部にて、当該調理室の内部に連絡するものであり、
上記配管が、前記熱交換部であることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
上記の蒸気用通路は、複数の配管にて構成された区間を備え、この配管の夫々について、蒸気の移動方向と横断する方向の断面形状は矩形であり、当該矩形の4辺が上記排気通路内の排気に曝されるものであることを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
【請求項9】
蒸気発生のための熱源を自らは備えず、手で持ち運べるものであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項1】
食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器において、
電磁誘導加熱を利用した調理コンロ又はガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室と、上記の蒸気発生室で発生させた蒸気を通す蒸気用通路とを備え、
蒸気発生室は、調理器の底部に配設され、水を収容することにより、上記コンロからの電磁誘導又は熱を受けて当該水を蒸気にするものであり、
蒸気用通路は、気密に形成され、蒸気発生室と調理室とを連絡し、蒸気発生室にて発生させた蒸気を上記調理室内にて放出するものであり、
蒸気用通路は、調理器の底部を経由することにより、蒸気発生室にて発生し当該蒸気用通路を通る蒸気を、更に加熱して過熱水蒸気とするものである加熱調理器。
【請求項2】
蒸気発生室は、調理室の下方に配置され、
蒸気発生室の上方を調理室から隔する第1隔壁と、金属にて形成され蒸気発生室の下方を調理器の外部から隔する第2隔壁と、調理室及び蒸気発生室の側部を調理器の外部から隔し且つ第1隔壁及び第2隔壁と接続された側壁部と、縦通路とを備え、
第2隔壁は、上記の支持部を構成するものであり、第2隔壁には、1つ又は複数の加熱用通路と、加熱用通路が設けられていない中実部とが形成され、
加熱用通路は、第2隔壁を縦通路の下方から側壁部の下方にかけて貫通するものであり、
縦通路は、上下に伸び、上端側にて蒸気発生室と連絡し、下端側にて加熱用通路と連絡し、
側壁部には、第2隔壁の加熱用通路と調理室とを連絡する、中空の導入用通路が形成され、
縦通路と加熱用通路と導入用通路とが、蒸気用通路を構成するものであることを特徴する請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
調理室内に、蒸気攪拌用のファンが設けられたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の過熱調理器。
【請求項4】
食品を過熱水蒸気により加熱調理する加熱調理器において、
ガスコンロの火口の上に配置される支持部と、加熱調理を行う食品を収容する気密に形成された調理室と、蒸気を発生させる気密に形成された蒸気発生室と、上記コンロの火口から生じる排気を通す排気通路と、上記の蒸気発生室で発生させた蒸気を通す蒸気用通路とを備え、
上記の蒸気発生室は、水を収容することが可能であり且つ上記コンロの燃焼による熱を受けて、収容した水を蒸気にするものであり、
上記の蒸気用通路は、少なくとも上記排気通路に対して気密に形成され、上記の蒸気発生室と調理室とを連絡し、蒸気発生室にて発生させた蒸気を上記調理室内にて放出するものであり、
上記の排気通路の少なくとも一部は、熱交換部を介して上記の蒸気用通路と画され、
上記の熱交換部は、排気通路の排気の熱を上記の蒸気用通路に伝えることにより、当該蒸気用通路中の蒸気を過熱水蒸気とするものである加熱調理器。
【請求項5】
上記の支持部は、火炎取入部を備え、
上記の支持部は、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せることにより、上記の火炎取入部を、当該コンロの火口の上に、配置することが可能なものであり、
上記の火炎取入部は、コンロの火炎を蒸気発生室の外壁に当てるための空間部であり、
上記排気通路は、上記の火炎取入部に連絡し、コンロの排気を取り入れるものであることを特徴とする請求項4記載の加熱調理器。
【請求項6】
上記の蒸気発生室の下方に、蒸気発生室と金属製の隔壁にて画された燃焼室が設けられ、
この燃焼室の外壁には、上記コンロの火炎を当該燃焼室内に取り入れる火炎取入口が設けられ、
燃焼室の外壁を、上記ガスコンロのガス台の上又は当該ガス台の五徳の上に乗せ、上記の火炎取入口をコンロの火口の上に対応させることにより、上記燃焼室に上記のコンロの火炎を取り込み、当該火炎を上記隔壁に当てることが可能であり、
上記燃焼室に、上記の排気通路が接続されたものであることを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
上記の排気通路は、上記調理室の下方から当該調理室の上方に掛けて配設され、取り入れた排気を調理器の外部へ排出する排気口を、当該調理室よりも上方に備え、
上記の排気通路は、金属製の配管を内包するものであり、当該配管の内部が、上記の蒸気用通路であり、
この蒸気用通路は、上記の調理室の上部にて、当該調理室の内部に連絡するものであり、
上記配管が、前記熱交換部であることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
上記の蒸気用通路は、複数の配管にて構成された区間を備え、この配管の夫々について、蒸気の移動方向と横断する方向の断面形状は矩形であり、当該矩形の4辺が上記排気通路内の排気に曝されるものであることを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
【請求項9】
蒸気発生のための熱源を自らは備えず、手で持ち運べるものであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−147268(P2007−147268A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297212(P2006−297212)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(391017447)サン・プラント工業株式会社 (16)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(391017447)サン・プラント工業株式会社 (16)
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