説明

加熱調理器

【課題】筐体内に出し入れ自在に収納する電池ケースの左右の側壁に銘板を貼り付けることができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】筐体10内に、上方に開口する略矩形箱状をして内部に電池が収納される電池ケース13を出し入れ自在に収納してなる加熱調理器(ガスこんろ1)である。筐体10の前面部12の左右中央部よりも右側又は左側に偏った位置に電池ケース13を収納するケース収納口12aを形成する。電池ケース13の左右の側壁のうち、筐体10の前面部12においてケース収納口12aが偏っている側と反対側の側壁80dの上下長さh1を内部に収納される電池の直径と略等しくすると共に該側壁80dの外面に銘板貼付部96を設け、筐体10の前面部12においてケース収納口12aが偏っている側の側壁80eの上下長さh2を内部に収納される電池の直径よりも短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースを備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、加熱調理器にあっては、従来のように手動で加熱量の調節を行いながら調理を行うのではなく、自動で調理を行うものが普及している。
【0003】
加熱調理器は、筐体内に、こんろバーナを有する加熱部と、こんろバーナでの加熱の開始/加熱量の調節/加熱の停止を制御する制御部と、こんろバーナの加熱の開始/加熱の停止の指令を制御部に与えるための加熱/停止手動操作部と、自動で加熱量の調節/加熱の停止を制御して調理を行わせるための自動調理設定操作部と、を備え、揚げもの、湯わかし、炊飯等の自動調理や、タイマー機能を用いた調理が可能となっている。
【0004】
上述した制御部はマイクロコンピュータからなり、電力を供給されて駆動するのであるが、その電源は商用電源かあるいは筐体内に収納される電池であり、以下、電池の場合について説明する。
【0005】
電池は、加熱調理器の筐体内に出し入れ自在に収納される電池ケースに収納される。電池ケースは、上方に開口する略矩形箱状をしており、内部に電池が収納される。
【0006】
上記のような電池ケースを備えた加熱調理器として、例えば特許文献1に記載されているものがある。この加熱調理器は、特許文献1の図1に示されるように、筐体の前面部の向かって右側に偏った位置に電池ケースを収納するケース収納口を形成し、上方に開口する略矩形箱状をして内部に電池が収納される電池ケースをケース収納口に出し入れ自在に収納している。電池ケースの左右の側壁の上下長さは、内部に収納される電池の直径の約半分となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−016185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、加熱調理器の筐体の前面部には、銘板(法定銘板)を貼り付ける必要があるが、加熱調理器の筐体の前面部に銘板を貼り付けるスペースがない場合には、加熱調理器の筐体の前面部ではなく、電池ケースの左右の側壁の一方に銘板を貼り付けることとなる。これにより、筐体の前面部に銘板を貼り付けるスペースを設ける必要がなくなる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されている電池ケースにあっては、電池ケースの左右の側壁の上下長さが内部に収納される電池の直径の約半分しかないため、銘板を貼り付けるスペースがなく銘板を貼り付けることができなかった。
【0010】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、筐体内に出し入れ自在に収納する電池ケースの左右の側壁に銘板を貼り付けることができる加熱調理器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、筐体10内に、上方に開口する略矩形箱状をして内部に電池が収納される電池ケース13を出し入れ自在に収納してなる加熱調理器(ガスこんろ1)であって、筐体10の前面部12の左右中央部よりも右側又は左側に偏った位置に電池ケース13を収納するケース収納口12aを形成し、電池ケース13の左右の側壁のうち、筐体10の前面部12においてケース収納口12aが偏っている側と反対側の側壁80dの上下長さh1を内部に収納される電池の直径と略等しくすると共に該側壁80dの外面に銘板貼付部96を設け、筐体10の前面部12においてケース収納口12aが偏っている側の側壁80eの上下長さh2を内部に収納される電池の直径よりも短くして成ることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、筐体10の前面部12においてケース収納口12aが偏っている側の側壁80eの上下長さh2を内部に収納される電池の直径の略半分にして成ることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、電池ケース13の左右の側壁80d、80eの一方又は両方の前後方向の一部の上端縁に、指が挿入可能な切欠97を形成して成ることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、電池ケース13の前面に化粧パネル98を着脱自在に設けて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明においては、電池ケースに収納される電池の直径と同程度の上下長さを有する銘板を電池ケースの側壁に貼り付けることが可能となり、しかも、加熱調理器を壁に向かって右奥隅と左奥隅のいずれに設置した場合でも使用者が銘板を見ることができる。また、銘板貼付部を設けていない一方の側壁側から指を挿入して電池を押し上げて取り出すことが可能となり、電池の出し入れがし易いものである。
【0016】
また、請求項2に係る発明においては、電池の出し入れがし易い上に、電池が、ケース収納口が偏っている側の側壁を乗り越えて転げ落ちることもない。
【0017】
また、請求項3に係る発明においては、切欠から指を挿入して電池を取り出し易くなる。
【0018】
また、請求項4に係る発明においては、電池ケースを複数種類の加熱調理器に適用する際に、加熱調理器の機種に応じて適宜化粧パネルを着脱して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の加熱調理器の全体斜視図である。
【図2】こんろ用の調理設定部の正面図である。
【図3】こんろバーナおよびグリルバーナへのガス供給の説明図である。
【図4】ガス弁ブロックの断面図である。
【図5】ガス弁ブロックの断面図であり、(a)はスライダが前位置にある場合、(b)はスライダが後位置にある場合、(c)はスライダが最後位置にある場合を示す。
【図6】こんろバーナの断面図である。
【図7】制御回路の構成図である。
【図8】同上の加熱調理器から電池ケース(化粧パネルなし)を引出した状態の全体斜視図である。
【図9】同上の電池ケース(化粧パネルなし)を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図10】同上の(化粧パネルなし)電池ケースを示し、(a)は正面図であり、(b)は前斜め下方より見た斜視図である。
【図11】同上の化粧パネルを装着した電池ケースの前斜め下方より見た斜視図である。
【図12】同上の加熱調理器から化粧パネルを装着した電池ケースを引出した状態の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態の加熱調理器として、こんろ部とグリルを備えたビルトイン型のガスこんろ1について、添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、ガスこんろ1の天面部を構成するトッププレート11には複数の加熱部2が設けてある。本実施形態では図1に示すように、向かって左側および右側に加熱部として高火力のこんろバーナ31を備えたこんろ部2aが設けてある。トッププレート11の上面には各こんろバーナ31を中心にして五徳21が設けてあり、前記こんろバーナ31と五徳21と、点火装置23及び点火検知装置24(図3参照)とで、加熱部2としてのこんろ部2aが構成される。
【0022】
なお、点火装置23は、入力回路(高圧トランスの1次側巻き線を含む)が一つに対して出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)が各バーナの数だけ備えられ、一つの前記入力回路への通電により各々の前記出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)に高電圧が発生し、各バーナの全てに点火用放電のための高電圧が供給される。
【0023】
各こんろ部2aには、図6に示すように、五徳21上に載置される調理容器を検知する容器検知手段25と、調理容器の下面の温度を検知する温度センサ26とが設けてある。容器検知手段25は、ガスこんろ1に固定される支持部25aと、支持部25aに上下方向に移動自在に支持される可動部25bと、可動部25bの上下位置を検知する検知スイッチ25cと、で構成される。可動部25bはばね等の付勢手段(図示せず)により上方に付勢され、その上端部は五徳21よりも上方に突出する。この状態で五徳21上に調理容器が載置されると、可動部25bの上端部が調理容器の下面に押し下げられ、可動部25bの下動に伴い検知スイッチ25cにより下動が検知され、後述する制御部4に認識される。そして、可動部25bの上端部に温度センサ26が設けられ、調理容器が五徳21上に載置された時に調理容器の下面に当接して温度を検知し、温度は制御部4に認識される。
【0024】
またガスこんろ1には、図1に示すように、加熱部2としてのグリル2bが設けてある。グリル2bは、ガスこんろ1の本体内の中央部に形成されるグリル庫と、グリル庫内に設けられる加熱手段としてのグリルバーナ(図示せず)と、点火装置23及び点火検知装置24とで構成され、グリル庫2bの前端はガスこんろ1の前面部12に開口していてグリル扉28によって開閉自在に閉塞される。前面部12、側面部、背面部、底面部、天面部となるトッププレート11でガスこんろ1の筐体10が構成される。また、ガスこんろ1の筐体10の前面部12の右下には、電池ケース13が出し入れ自在に収納されるケース収納口12aが設けてあり(図8参照)、ケース収納口12aの内部が電池ケース13の収納空間となる。電池ケース13は、後述する制御部4や安全弁62やラッチ電磁弁LB1、LB2の電源となる電池が収容されるもので、これについては後述する。
【0025】
点火装置23は、イグナイタ(図示せず)で発生させる高圧パルスにより、こんろバーナ31及びグリルバーナの燃料ガスの吐出口に設けられる点火プラグに放電を起こさせて点火するもので、イグナイタは制御部4により制御される。
【0026】
点火検知装置24は、こんろバーナ31及びグリルバーナに設けられる熱電対からなるもので、点火されると火炎の熱により発生する熱起電力が制御部4に認識される。
【0027】
グリル扉28の両側には、図1に示すように、グリル扉28とともにガスこんろ1の前面部12を構成する前面パネルP1、P2が設けてあり、左側の前面パネルP1の上側には、左側のこんろバーナ31を点火/消火するための点消火ボタン14aが設けてあり、右側の前面パネルP2の上側の左側より、グリルバーナを点火/消火するための点消火ボタン14b、右側のこんろバーナ31を点火/消火するための点消火ボタン14cとが設けてある。これら点消火ボタン14(14a〜14c)が、加熱部2での加熱の開始/加熱の停止を手動で行うための加熱/停止手動操作部となっている。また前面部12には、各加熱部2の加熱量を手動で調節するための加熱量手動操作部となる火力調節レバー15(15a〜15c)がそれぞれ各点消火ボタン14a〜14cの上に設けてある。
【0028】
ガス弁ブロック6は、図3、図4に示すように、器具栓本体60に、内部のガス流路61と、ガス流路61の上流端となる導入口61a及び下流端となる導出口61bとが設けてある。内部のガス流路61には、上流側より安全弁62用の弁孔、メイン弁63用の弁孔が設けてある。メイン弁63用の弁孔の下流側は、大火用の流路61cと小火用の流路61dとが並列に設けてあり、大火用の流路61cに大火力/小火力切替用のラッチ電磁弁LB1用の弁孔が設けてあり、小火用の流路61dにラッチ電磁弁LB2用の弁孔が設けてある。
【0029】
ラッチ電磁弁LB1の弁孔の下流側と、ラッチ電磁弁LB2の下流側に位置する小火用オリフィスof2の下流側で大火用の流路61cと小火用の流路61dとが合流し、さらにその下流側には、火力調節レバー15と連動する流量制御弁65用の弁孔が設けてある。
【0030】
上述した容器検知手段25により調理容器が検知されていない時に点消火ボタン14を操作した場合に、制御部4によりラッチ電磁弁LB1及びラッチ電磁弁LB2が閉止されて、加熱を開始しないようにする容器検知制御が行われる。
【0031】
また、ガス流路61には、前記ラッチ電磁弁LB1及びラッチ電磁弁LB2を設けた部分をバイパスするバイパス流路BPが設けてあり、このバイパス流路BPにバイパス用オリフィスof1が設けてある。バイパス用オリフィスof1は、ガス弁ブロック6を複数器種で共用するために設けられるもので、ガス弁ブロック6を他の機種への応用において使用する時には開口される場合があるが、本実施例においては、バイパス用オリフィスof1は閉塞体(図示せず)により閉塞されている。
【0032】
火力調節レバー15を中火から大火の間の位置に設定しておいたときに、ラッチ電磁弁LB1とラッチ電磁弁LB2の開・閉の組み合わせに応じて、こんろバーナ31の火力は下表の様に制御部により調整制御される。
【0033】
【表1】

【0034】
なお、ラッチ電磁弁LB1、LB2は、開弁用の極性のパルス電流の通電により開放状態に移行し、その後は通電を停止した後にも開放状態を維持し、閉弁用の極性(開弁用とは逆極性)のパルス電流の通電により閉止状態に移行し、その後は通電を停止した後にも閉止状態を維持する。このとき電流のパルス幅は200〜300m秒に設定されており、こんろの火力を種々の状態に維持する場合にも省電力であるから、機器の電源として乾電池が用いられる場合に特に好適に用いられる。
【0035】
流量制御弁65用の弁孔の下流側は、こんろバーナ31にガスを供給するための導出口61bに至る。
【0036】
器具栓本体60には、スライダ66が前後方向に移動自在に取り付けてあり、スライダ66は前端面が点消火ボタン14に組み込まれたチャイルドロック用スライド部(図示せず)により後方に押圧されることで後退するようになっている。
【0037】
チャイルドロック用スライド部が内部に組み込まれた点消火ボタン14は、前後動自在に設けられるもので、前記点消火ボタン14の指で押される部分よりも上側の部分がこんろ本体側に枢支されて指で押される部分が前後動し、スライダ66の前端面を後方に押圧する。スライダ66には、例えば既存のハート型カム等からなる前位置と後位置の切替機構(図示せず)が設けてあり、前記点消火ボタン14を押し操作する毎に、スライダ66が後位置から前進して前位置(図5(a)参照)に位置したり、前位置から後退して後位置(図5(b)参照)に位置して、前位置と後位置とが切り替わって保持される。
【0038】
また、スライダ66の進退に伴って進退するバルブロッド67が設けてある。バルブロッド67の先端側はガス流路61内に挿入され、その先端部は後方すなわち下流側より上流側に向けて、メイン弁63用の弁孔と安全弁62用の弁孔とに挿通されている。バルブロッド67は、スライダ66が前位置から後位置に切り替わる際、一旦後位置よりも後方の最後位置(図5(c)参照)に後退してから後位置にまで前進するが、この最後位置に移動した時に、安全弁62用の弁孔を上流側より閉止している安全弁62の弁体を上流側に移動させて、安全弁62用の弁孔を開放する。安全弁62は電磁弁からなり、弁体が前方すなわち下流側に前進することで安全弁62用の弁孔を後方より閉止し、弁体が後方すなわち上流側に後退することで安全弁62用の弁孔を開放する。
【0039】
安全弁62は、点火検知装置24により火炎が検知されている場合にのみ制御部4により開放状態が維持され、火炎が検知されなくなると制御部4による開放状態の維持が停止して閉止される。これにより、煮こぼれや風により立ち消えが起こって点火検知装置24の火炎が検知されなくなった場合に、燃料ガスの流出が防止される。また、温度センサ26により検知された調理容器の下面の温度が所定の温度(例えば250℃)に達すると、空焚きや焦げ付き等の異常が発生していると判定して、安全弁62を閉止する。このように、安全弁62、点火検知装置24、温度センサ26により異常検知手段が構成されている。
【0040】
バルブロッド67の途中には、メイン弁63用の弁孔を開閉するメイン弁体が設けてある。そして、スライダ66が前位置に位置している時にはメイン弁体がメイン弁63用の弁孔を後方より閉止し、スライダ66が後位置に位置している時にはメイン弁体がメイン弁63用の弁孔より後方に位置してメイン弁63用の弁孔を開放する。
【0041】
流量制御弁65用の弁孔は、火力調整用のニードル65aの前後方向の移動により開度が自在に調節される。ニードル65aは、火力調節レバー15を操作することで、開度の調節がなされ、火力調節レバー15が右に行く程、燃料ガスの供給量が多くなるように調節される。
【0042】
点消火ボタン14又はスライダ66の位置によりON/OFFが切り替わる器具栓スイッチが設けてある。器具栓スイッチは、点消火ボタン14(又はスライダ66)が前位置に位置している時にはOFFとなり、後位置(最後位置も含む)に位置している時にONとなる。
【0043】
こんろバーナ31、グリルバーナの点火を行うには、点消火ボタン14を押し操作して、スライダ66を前位置から後位置に後退させる。スライダ66とともに後退したバルブロッド67により、安全弁62が開放されると共にメイン弁63が開放され、燃料ガスがこんろバーナ31、グリルバーナに供給される。また、スライダ66が後退することにより器具栓スイッチがONとなり、制御部4への給電がONとなって制御部4が動作を開始する。
【0044】
図7に示すように、制御部4は、正極側の給電端子41がトランジスタTR1を介して電源の正極に接続され、負極側の給電端子42が電源の負極に接続される。トランジスタTR1はPNP型のトランジスタであって、そのエミッタが電源の正極に接続され、コレクタが制御部4の正極側の給電端子41に接続され、ベースが、抵抗R2及び該抵抗R2とそれぞれ直列に接続される二つのトランジスタTR2、TR3を介して電源の負極に接続され、エミッタとベースとの間に抵抗R1が接続される。
【0045】
二つのトランジスタTR2、TR3はNPN型のトランジスタであって、そのコレクタが抵抗R2を介してトランジスタTR1のベースに接続され、エミッタが電源の負極に接続される。そして、トランジスタTR2、TR3のベースはそれぞれ抵抗R3、R4を介して電源の負極に接続される。
【0046】
更に、電源の正極とトランジスタTR2のベースとの間に抵抗R5を介して、スイッチS(S1〜S5)とダイオードD(D1〜D5)とが直列に接続された線が複数並列に接続されるもので、電源の正極、各スイッチS、各ダイオードD、抵抗R5、トランジスタTR2のベースの順に配設される。またトランジスタTR3のベースは、抵抗R6を介して制御部4の電源保持信号出力端子T1に接続される。
【0047】
そして、各線のスイッチSとダイオードDとの間の部分と、制御部4の各信号入力端子とが各抵抗R7を介して接続される。スイッチS1〜S3は器具栓スイッチで、S1は左こんろバーナ31を備えたこんろ部2aの器具栓スイッチS1であり、S2は右こんろバーナ31を備えたこんろ部2aの器具栓スイッチS2であり、S3はグリル2bの器具栓スイッチS3である。スイッチS4、S5は、タクトスイッチからなる容器検知解除スイッチS4、S5で、使用者が前面パネルP1に設けてあるこんろ用の調理設定部7の容器検知解除操作部16(16a、16c)を押し操作している間だけONとなり、押し操作をやめるとOFFとなる。これについては後述する。
【0048】
いずれかの器具栓スイッチS1〜S3がONになると、トランジスタTR2にベース電流が流れてエミッタ−コレクタ間がONとなり、トランジスタTR1にベース電流が流れてエミッタ−コレクタ間がONとなり、電源から制御部4に給電される。制御部4に給電されると、制御部4の電源保持信号出力端子T1から電源保持信号(High出力)が出力され、トランジスタTR3にベース電流が流れてエミッタ−コレクタ間がONとなり、トランジスタTR1にベース電流が流れてエミッタ−コレクタ間がONになる。電源保持信号が出力されている限り、制御部4への給電が継続される。このように、器具栓スイッチS1〜S3が、制御部4への給電をONにする電源スイッチを兼ねている。
【0049】
いずれかの器具栓スイッチS1〜S3がONになると、制御部4が動作を開始し、器具栓スイッチS1〜S3、抵抗R7を介して制御部4の該当する信号入力端子に信号が入力され、いずれかの器具栓スイッチS1〜S3がONになったかが検知される。制御部4は、器具栓スイッチS1〜S3がONとなると全てのこんろバーナ31、グリルバーナの点火装置23を作動させて連続放電を起こし、安全弁62のコイルに通電することにより安全弁62の開放が所定時間(例えば5秒)確保される。点火検知装置24により点火が検知されると安全弁62の開放が維持される。
【0050】
点火検知装置24により点火が検知されない場合には安全弁62のコイルへの通電を停止することにより安全弁62が閉止され、点消火ボタン14を押し込んでバルブロッド67により安全弁62の弁体を後退させない限り安全弁62が開放されない。なお、こんろ部2aの場合には上述した容器検知制御により、調理容器が検知されていない時には、器具栓スイッチS1〜S3がONとなっても点火装置23は作動せず、安全弁62のコイルには通電しない。
【0051】
また更に、容器検知解除スイッチS4、S5がONになる場合でも、器具栓スイッチS1〜S3がONになる場合と同様に、電源から制御部4への給電が開始されると共に、電源保持信号により制御部4への給電が継続される。図1に示す左側の前面パネルP1に設けたこんろ用の調理設定部7(図2参照)の容器検知解除操作部16aを所定時間(例えば3秒)以上継続して押し操作すると、容器検知解除スイッチS4がONとなると共にその上の表示部17aが点灯し、左側の前面パネルP1に設けたこんろ用の調理設定部7の容器検知解除操作部16cを所定時間(例えば3秒)以上継続して押し操作すると、容器検知解除スイッチS5がONとなると共にその上の表示部17cが点灯する。
【0052】
容器検知解除スイッチS4は、左側こんろバーナ31を備えたこんろ部2aでの容器検知制御を解除するスイッチであり、容器検知解除スイッチS5は、右側の高火力のこんろバーナ31を備えたこんろ部2aでの容器検知制御を解除するスイッチである。容器検知解除スイッチのONが所定時間(例えば3秒)継続し制御部4に認識された時に、容器検知制御が解除されて解除モードに移行する。解除モードでは、容器検知制御がなされないため、こんろ部2aの場合に調理容器が検知されていなくても、器具栓スイッチS1、S2がONとなると点火装置23が作動し、安全弁62のコイルに通電される。更に本実施形態の解除モードでは、上述したように温度センサ26により検知された調理容器の温度が所定の温度(例えば250℃)となった場合に安全弁62を閉止する際の、前記所定の温度をそれよりも高い温度(例えば290℃)とし、所定の温度(例えば250℃)を超えた温度での調理が可能となる。解除モードは、1時間継続されて終了する。
【0053】
加熱が開始されると、火力調節レバー15を操作することで、所望の火力が得られる。なお、左側のこんろバーナ31を備えたこんろ部2aの火力調節レバー15は、該こんろ部2aの操作部を操作して点火を行う時、操作部の操作と連動して火力が中火力側に移動するようになっていて、点火時には中程度の火力となっている。
【0054】
全ての点消火ボタン14のスライダ66を前位置にすると、メイン弁63が閉止して消火し、器具栓スイッチS1〜S3がOFFになり、安全弁62が閉止すると共に電源保持信号の出力が停止して制御部4への給電が終了する。
【0055】
次に、自動調理について説明する。ガスこんろ1の左側の前面パネルの下側には、図2に示すように、こんろ用の調理設定部7が設けてある。なお、ガスこんろ1の右側の前面パネルの右下の左側には、グリル用の調理設定部が設けてあるが細部については詳述しない。
【0056】
こんろ用の調理設定部7は、揚げもの、湯わかし、炊飯の自動調理のメニュー(オートメニュー)を設定するための一組のオートメニュー設定部71及びオートメニュー表示部72と、調理時間を設定するためのタイマ入力部73及びタイマ表示74とを備えている。オートメニュー設定部71として、揚げものスイッチ71aと、湯わかしスイッチ71bと、炊飯スイッチ71cと、が設けてある。揚げものモードは、こんろバーナ31の点火後、使用者により設定された温度に達するようにこんろバーナ31の火力を自動調節する自動調理モードであり、揚げものスイッチ71aは、何回押すかで200℃、180℃、160℃といった複数種類の揚げものの調理の中から目的とする温度の揚げもの調理が設定できると共に、揚げもの表示部72aに前記設定が表示されるようになっている。
【0057】
また、湯わかしモードや炊飯モードは、こんろバーナ31の点火後、予め設定された燃焼条件で燃焼させ、湯わかしや炊飯の完了が予測される時点で自動的にこんろバーナ31を消火する自動調理モードである。湯わかしスイッチ71bは、何回押すかで自動消火、5分保温といった、湯わかし後にすぐ消火するか、あるいは一定時間保温するかといった湯わかしを選択して設定できると共に、湯わかし表示部72bに前記設定が表示されるようになっている。また、炊飯スイッチ71cは、何回押すかでごはん、おかゆといった複数種類の炊飯の調理の中から目的とする炊飯の調理が設定できると共に、炊飯表示部72cに前記設定が表示されるようになっている。
【0058】
電池ケース13は、図9、図10に示すように、後側の側壁80a、前側の側壁80b、向かって(後方を向いた時に)左側の側壁80d、向かって右側の側壁80e、底壁80cとからなる、前後方向を長手方向とする上方に開口する略矩形箱状をして、内部に電池が収納される合成樹脂製のケース本体80で主体が構成される。なお、本実施形態では前側の側壁80bの前側に更に前壁80fが設けてあり、前側のみ二重壁構造となっている。そして、ケース本体80の側壁の一部には、内部に収納される電池の+極に接触する+極側の接触端子81が設けてある。ケース本体80の側壁の前記+極側の接触端子81と対向する位置には、内部に収納される電池の−極に接触する−極側の接触端子82が設けてある。
【0059】
また、電池ケース13が筐体10内に収納された時に筐体10内の+極側の給電端子(図示せず)と−極側の給電端子(図示せず)とにそれぞれ接続される+極側の接続端子83と−極側の接続端子84とが設けてあるとともに、+極側の接触端子81と+極側の接続端子83とを連結する+極側の中継導体85と、−極側の接触端子82と−極側の接続端子84とを連結する−極側の中継導体86と、が設けてある。
【0060】
+極側の接触端子81と+極側の接続端子83とこれらを連結する+極側の中継導体85とからなる+極側の通電部材は、薄い導体板を打ち抜いて曲げ加工して一体に形成してある。また、−極側の接触端子82と−極側の接続端子84とこれらを連結する−極側の中継導体86とからなる−極側の通電部材も同様に、薄い導体板を打ち抜いて曲げ加工して一体に形成してある。
【0061】
本実施形態では、後側の側壁80aに、−極側の接触端子82と−極側の接続端子84と−極側の中継導体86と、+極側の接続端子83とが設けてあり、前側の側壁80bの内面側に、+極側の接触端子81が設けてある。
【0062】
本発明では、図8に示すように筐体10の前面部12の左右中央部よりも右側又は左側に偏った位置(本実施形態では右側)にケース収納口12aを形成し、このケース収納口12aに収納される電池ケース13は、図9に示すように、ケース収納口12aが偏っている側と反対側の側壁(本実施形態では左側の側壁80d)の上下長さh1を内部に収納される電池の直径と略等しくすると共に該側壁80dの外面に銘板貼付部96を設け、筐体10の前面部12においてケース収納口12aが偏っている側の側壁(本実施形態では右側の80e)の上下長さh2を内部に収納される電池の直径よりも短くすることを特徴としている。
【0063】
銘板貼付部96は、側壁80dの外面に設けられる、銘板以外に何も設けられない部分で、平坦な表面としてある。銘板は、図示はしないが電池ケース13に収納される電池の直径と同程度の上下長さを有するもので、銘板貼付部96は銘板と同じ大きさかそれ以上の大きさに形成される。
【0064】
ガスこんろ1のような加熱調理器は、隅部に設置されることが多く、例えば図8に示す本実施形態のガスこんろ1が壁に向かって右奥隅に設置されている場合、電池ケース13を引き出すと、電池ケース13の右側の側壁80eの外面(右面)と右側の壁との間の距離が短くてこの間に使用者が入り込むことはないため、電池ケース13を取り外さない限り使用者が右側の側壁80eの外面を見ることはない。この時、引き出した電池ケース13の右側の側壁80eの外面に銘板が貼り付けてあっても使用者が銘板を見ることはなく、左側の側壁80dの外面(左面)に銘板が貼り付けてあると、使用者は銘板を見ることができる。
【0065】
また、図8に示す本実施形態のガスこんろ1が壁に向かって左奥隅に設置されている場合、左側の側壁80dの外面に銘板が貼り付けてあると、引き出した電池ケース13の左側の側壁80dの外面と左側の壁との間の距離は、使用者が入れる位に離れていて使用者はこの間に入って作業を行うため、使用者は銘板を見ることができる。
【0066】
仮に、筐体10の前面部12の左右中央部よりも左側に偏った位置にケース収納口12aを形成した場合には、ケース収納口12aが偏っている側と反対側となる右側の側壁80eの上下長さh1を電池の直径と略等しくしてこの外面に銘板貼付部96を設ければよい。
【0067】
そして、銘板は一枚貼り付ければよく両側の側壁80d、80eに貼り付ける必要はないため、もう一方の側壁80eには銘板貼付部96を設けず、その上下長さh2を短くしている。すなわち、両側の側壁80d、80eの上下長さが電池の直径と略等しいと、電池の出し入れがし難いが、少なくとも一方の側壁80eの上下長さh2を電池の直径よりも短くしておくと、この側壁80e側から指を挿入して電池の側面の下部を押し上げて電池を取り出すことが可能となり、出し入れがし易い。本実施形態では、側壁80eの上下長さh2を内部に収納される電池の直径の略半分にしているため、出し入れがし易い上に、電池が側壁80eを乗り越えて転げ落ちて脱落することもない。
【0068】
また、電池ケース13の左右の側壁80d、80eの一方又は両方の前後方向の一部の上端縁に、指が挿入可能な切欠97を形成してもよいもので、本実施形態では、図9に示すように上下長さh2を電池の直径よりも短くした側壁80eの前端部に切欠97が形成してある。これにより、切欠97から指を挿入して電池を取り出し易くなるもので、特に上下長さh2を電池の直径よりも短くした側壁80eに設けることで、より一層電池を取り出し易くなる。また、電池の直径と略同じ上下長さh1とした側壁80dに切欠97を設けても勿論よく、切欠97の切り込み深さを深くすれば電池が取り出し易くなる。
【0069】
また本実施形態では、前壁80fの前面に化粧パネル98を着脱自在に設けることができる。化粧パネル98は、その背面の上端部と下端部とに図示しない爪状の上係止部と下係止部とを備える合成樹脂製のもので、一方、図9、図10に示すように前壁80fの下端面に係止突起80gを突設してあり、化粧パネル98の上係止部を前壁80fの上端部に係止させると共に下係止部を係止突起80gに係止させることで、図12に示すように化粧パネル98を電池ケース13に装着することができる。化粧パネル98を電池ケース13から離脱させるには、上係止部や下係止部を撓ませて係止を解除すればよい。
【0070】
これにより、本実施形態の電池ケース13を複数種類の加熱調理器に適用する際に、加熱調理器の機種に応じて、適宜化粧パネル98を装着したりして用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 筐体
13 電池ケース
80 ケース本体
80a 後側の側壁
80b 前側の側壁
80c 底壁
80d 左側の側壁
80e 右側の側壁
80f 前壁
80g 係止突起
81 +極側の接触端子
82 −極側の接触端子
83 +極側の接続端子
84 −極側の接続端
85 +極側の中継導体
86 −極側の中継導体
87 挿通口
88 切欠
89 押さえ片
90 当接片
91 保持片
92 切欠
93 係止部
94 被係止部
95 カバー
96 銘板貼付部
97 切欠
98 化粧パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、上方に開口する略矩形箱状をして内部に電池が収納される電池ケースを出し入れ自在に収納してなる加熱調理器であって、筐体の前面部の左右中央部よりも右側又は左側に偏った位置に電池ケースを収納するケース収納口を形成し、電池ケースの左右の側壁のうち、筐体の前面部においてケース収納口が偏っている側と反対側の側壁の上下長さを内部に収納される電池の直径と略等しくすると共に該側壁の外面に銘板貼付部を設け、筐体の前面部においてケース収納口が偏っている側の側壁の上下長さを内部に収納される電池の直径よりも短くして成ることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
筐体の前面部においてケース収納口が偏っている側の側壁の上下長さを内部に収納される電池の直径の略半分にして成ることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
電池ケースの左右の側壁の一方又は両方の前後方向の一部の上端縁に、指が挿入可能な切欠を形成して成ることを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
電池ケースの前面に化粧パネルを着脱自在に設けて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−47594(P2011−47594A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197327(P2009−197327)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)