説明

加熱調理器

【課題】載置された被加熱物の外径を検知して被加熱物の外径に応じたバーナの火力に制御でき、バーナ火炎が被加熱物の側方へ噴出することを抑制しながら、効率良く加熱することのできる加熱調理器を提供する。
【解決手段】被加熱物を加熱するためのバーナ10と、該バーナ10の周囲に且つ該バーナ10と同心に配置され、バーナ10の上方に被加熱物を支持する支持部材30とを備え、支持部材30はその中心に向けて低くなっており、さらに、その上方端部が支持部材30の支持面31で支持される被加熱物の底部と接触し得る領域に上方に向けて付勢された状態で鉛直方向に移動自在に配置され、付勢力よりも大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合にその負荷に応じて鉛直下方に向けて移動可能となっている棒部材40と、棒部材40の鉛直下方への移動量に応じてバーナ10に供給される燃焼ガスGのガス流量を減少させるガス流量変更機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器に関し、特に支持部材上に載置された被加熱物の外径に応じてバーナの火力を制御することのできる加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナを備えた加熱調理器は、ガスコンロ等の名称でよく知られている。通常のガスコンロは、天板に形成した1個から複数個の開口部のそれぞれに円環状の火炎口を有するバーナが配置され、該バーナを囲むようにして鍋やフライパン等の被加熱物をバーナ上に支持するための支持部材(ごとく)が設けられている。
【0003】
ところで、上記支持部材に外径の小さい被加熱物を載置してバーナの火力を強くすると、バーナの火炎が被加熱物の側方へ噴出して袖火着火の要因となるため、使用者等は被加熱物の大きさに留意しながらバーナの火力を調整する必要がある。また、被加熱物を加熱する場合にバーナの火力を強くし過ぎると、バーナの火炎が被加熱物の側方へ噴出して被加熱物の加熱効率が低下することが知られている。
【0004】
ここで、図7は、平底の丸鍋(被加熱物)の外径とバーナの火力と加熱効率との関係を示したものである。図示するように、外径の異なるすべての被加熱物の加熱作業において、比較的弱い火力で被加熱物を加熱する場合には、バーナの火力を強くしていくに従ってバーナの加熱効率が良くなるものの、加熱効率はある火力において極大となり、それ以上火力を強くしていくと逆にバーナの加熱効率は低下している。また、相対的に外径の小さい被加熱物を加熱する場合には、外径の大きい被加熱物を加熱する場合と比較してより弱い火力で加熱効率が最大となっている。
【0005】
このような問題に対して、被加熱物の側方へ噴出されるバーナ火炎を抑制し、被加熱物の外径に応じてバーナの加熱効率を高めることを目的とした従来技術が特許文献1,2に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示されているガスコンロは、天板の開口部に配置されたごとく(支持部材)が、被加熱物の底面を支持する土手壁状の隆起部と、この隆起部の内側に当該隆起部で支持することのできない相対的に小さな外径を有する被加熱物の底面を支持する副隆起部とを備え、この副隆起部の高さが隆起部の高さよりも低く設定されているものである。
【0007】
また、特許文献2に開示されているコンロは、被加熱物の底面に沿う燃焼排気の通路部分に、径方向に間隔を置いて燃焼排気の存在を検出する複数のセンサを列設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−291583号公報
【特許文献2】特開平9−264538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されているガスコンロにおいては、外径の大きな被加熱物が載置された場合には当該被加熱物を隆起部で支持する一方で、外径の小さな被加熱物が載置された場合には当該被加熱物を副隆起部で支持することで、被加熱物の外径に応じた燃焼ガスの燃焼空間を該被加熱物の底面とごとくとで画定することができ、バーナの火炎口から噴出された燃焼ガスを当該空間内に滞留させることができる。一方で、外径の異なる被加熱物が隆起部や副隆起部等の支持面上に載置された場合にも、その外径に応じてバーナに供給される燃焼ガスのガス流量を制御することができないため、バーナの加熱効率を効果的に高めることはできない。また、上記するごとくには通気部が設けられているため、使用者等が火力を強くしてしまうとバーナ火炎が通気部を介して被加熱物の側方へ噴出するといった課題がある。
【0010】
また、特許文献2に開示されているコンロにおいては、径方向に列設された複数のセンサの検出値に基づいて被加熱物の外径を判別し、その被加熱物の外径に応じてバーナの最大火力を制御することができるものの、上記するように径方向に複数のセンサを並べて設ける必要があり、部品点数が増加してその構造が複雑となり、製造コストの高騰に繋がるといった課題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、天板上に配置された支持部材上に任意の外径を有する被加熱物を置いても、載置された被加熱物の外径を簡単な構成でもって検知し、該被加熱物の外径に応じてバーナの火力を制御して、該被加熱物の側方へのバーナ火炎の噴出を抑制すると共に、該被加熱物の底部を効率良く加熱することのできる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成すべく、本発明の加熱調理器は、被加熱物を加熱するためのバーナと、該バーナの周囲に且つ該バーナと同心に配置され、該バーナの上方に被加熱物を支持する支持部材と、を備える加熱調理器であって、前記支持部材は、支持される被加熱物の外径が小さくなるに従って該被加熱物の底部と前記バーナとの鉛直方向の距離が近くなるように、前記支持部材の中心に向けて傾斜して若しくは階段状に低くなっている支持面を備え、前記加熱調理器は、前記支持部材の前記支持面で支持される被加熱物の底部とその上方端部が接触し得る領域に、上方に向けて付勢された状態で鉛直方向に移動自在に配置され、付勢力よりも大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合にその負荷に応じて鉛直下方に向けて移動可能となっている棒部材と、該棒部材の鉛直下方への移動量に応じて前記バーナに供給される燃焼ガスのガス流量を減少させることのできるガス流量変更機構と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0013】
上記する形態によれば、本発明による加熱調理器は、被加熱物を支持するための支持部材の支持面が支持部材の中心に向けて低くなっていることで、例えば支持面で支持される被加熱物の外径が小さくなると被加熱物の底部とバーナとの鉛直方向の距離は近くなる。また、この加熱調理器は、支持部材の支持面で支持される被加熱物の底部とその上方端部が接触し得る領域に、上方に向けて付勢された状態で鉛直方向に移動自在に配置されている棒部材を備えており、この棒部材が、その付勢力よりも大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合にその負荷に応じて鉛直下方に向けて移動可能となっていることで、上記するように支持部材の支持面で支持される被加熱物の外径が小さくなると被加熱物の底部とバーナとの鉛直方向の距離が近くなり、棒部材はその被加熱物の重量によって鉛直下方へ大きく移動する。そして、加熱調理器は、棒部材の鉛直下方への移動量に応じてバーナに供給される燃焼ガスのガス流量を減少させるガス流量変更機構を備えているため、たとえば支持部材の支持面で支持される被加熱物の外径が小さくなると、このガス流量変更機構によってバーナに供給される燃焼ガスのガス流量が減少されることとなる。
【0014】
このように、支持部材の支持面がその中心に向かって低くなっていて、支持面で支持される被加熱物の外径に応じて被加熱物の底部とバーナとの鉛直方向の距離が変化するようになっており、使用に際して棒部材が支持部材の支持面上で支持される被加熱物の重量によって鉛直下方に向けて移動可能となっていることで、被加熱物の外径に応じて棒部材の鉛直方向の移動量は変化する。これにより、その棒部材の移動量から被加熱物の外径を容易に検知することができ、その移動量に基づいてバーナに供給される燃焼ガスのガス流量を調整してバーナ火力を調整することができる。
【0015】
ここで、前記棒部材は、外的負荷が作用しない状態では該棒部材の上方端部が前記バーナよりも上方の所定の距離だけ離れた上限位置で位置決めされており、適宜の付勢手段によって上方に向けて付勢されているため、使用者等が被加熱物を支持部材から取り外した場合には、棒部材は付勢手段の付勢力によって再び上方へ移動し、棒部材の上方端部がバーナよりも上方の所定の距離だけ離れた上限位置まで復帰することができる。
【0016】
また、棒部材は、前記バーナの周囲に配置しても良いし、前記バーナの内部に配置しても良い。棒部材がバーナの内部に配置されている場合には、棒部材とバーナ火炎との干渉を抑制することができ、支持部材の支持面で支持された被加熱物を均一且つ効率的に加熱することができる。特に、棒部材がバーナと同心に配置されている場合には、バーナの鉛直方向の軸線に沿って棒部材を移動させることができ、バーナ火炎との距離を確保して棒部材の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0017】
ここで、本発明による加熱調理器は、前記棒部材の移動を検知する検知手段を備えていても良いし、備えていなくても良い。加熱調理器が棒部材の移動を検知する検知手段を備えていない場合には、棒部材の移動と機械的に連動する機構(ガス流量変更機構)によって、直接的にバーナに接続されたガス供給配管に設けられたガス流量調整手段(たとえば開閉弁)の開閉を行うようにすることができる。
【0018】
また、加熱調理器が棒部材の移動を検知する検知手段を備えていている場合には、前記ガス流量変更機構は、前記バーナに接続されたガス供給配管に設けられ、該ガス供給配管を流れる燃焼ガスのガス流量を調整するガス流量調整手段と、前記棒部材の移動を検知する検知手段と、該検知手段によって検知された棒部材の移動量に応じて前記ガス流量調整手段を制御する制御部と、から構成される。このような構成とすることで、検知手段によって検知された棒部材の移動若しくは移動量に関する信号が制御部に送信され、その制御部が、例えば予め制御部等に格納された棒部材の移動量と被加熱物の外径との関係についての情報から被加熱物の外径を検知し、その外径に応じた燃焼ガスのガス流量となるように、バーナに接続されたガス供給配管に設けられたガス流量制御手段を制御することができる。
【0019】
ここで、前記制御部は、前記検知手段によって検知された棒部材の移動量に基づいて、前記ガス供給配管を流れる燃焼ガスのガス流量が所定の量の大きさよりも大きくならないように前記ガス流量調整手段を制御して、前記バーナに供給される燃焼ガスのガス流量を制限することが好ましい。この形態によれば、検知手段によって検知された棒部材の移動量から被加熱物の外径を検知し、バーナに供給される燃焼ガスのガス流量をその被加熱物の外径に応じたガス流量に制限することができ、被加熱物の側方へ噴出するバーナ火炎を確実に防止することができると共に、使用者等が意識することなく被加熱物の加熱効率が最大となるガス流量の燃焼ガスをバーナに供給することができるため、バーナの加熱効率を効率的に高めることができる。
【0020】
ここで、前記棒部材は、被加熱物の温度を検知する温度センサを備えていても良いし、前記棒部材を、被加熱物の温度を検知する温度センサとは別に設けても良い。前記棒部材が被加熱物の温度を検知する温度センサを備えていていれば、加熱調理器の部品点数を削減して構造を簡素化することができ、製造コストの高騰を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から理解できるように、本発明の加熱調理器によれば、支持部材上に任意の外径を有する被加熱物を置いても、載置された被加熱物の外径を簡単な構成でもって検知して被加熱物の外径に応じたバーナの火力に制御することができ、バーナ火炎が被加熱物の側方へ噴出することを抑制しながら、該被加熱物を効率良く加熱することのできる加熱調理器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による加熱調理器の実施の形態1の基本構成を示す全体斜視図。
【図2】図1で示す実施の形態1の加熱調理器の縦断面図であって、(a)は支持部材上に被加熱物が置かれていない状態を示す図、(b)は支持部材上に相対的に大きい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図、(c)は支持部材上に相対的に小さい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図。
【図3】図1で示す実施の形態1の加熱調理器のブロック図。
【図4】本発明による加熱調理器の実施の形態2の基本構成を示す全体斜視図。
【図5】図4で示す実施の形態2の加熱調理器の縦断面図であって、(a)は支持部材上に被加熱物が置かれていない状態を示す図、(b)は支持部材上に相対的に大きい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図、(c)は支持部材上に相対的に小さい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図。
【図6】図4で示す実施の形態2の加熱調理器のブロック図。
【図7】被加熱物の外径とバーナの火力と加熱効率との関係を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に基づき説明する。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、本発明による加熱調理器の実施の形態1の基本構成を示したものである。なお、図1は、ガステーブルタイプの加熱調理器(コンロ)を示したものであるが、ビルトインタイプの加熱調理器(コンロ)に本実施の形態1の加熱調理器を適用することもできる。また、図示するバーナや支持部材(ごとく)の基数や形態は、家庭用または業務用、使用場所等の使用環境等や使用用途等に応じて適宜変更することができる。たとえば、長方形の卵焼き器に適用する場合は楕円形状とするなど、鍋の形状に適合した形状の支持部材を使用することができる。
【0025】
図示する加熱調理器100は、天板11に形成した2個の開口部12のそれぞれに円環状の火炎口4を備えたバーナ10を備えると共に、それぞれのバーナ10に隣接して該バーナ10に着火するための着火手段20を備えている。また、加熱調理器100は、それぞれのバーナ10を囲むようにしてこのバーナ10と同心に被加熱物(例えば鍋やフライパン等)をバーナ10の上方に支持するための支持部材(ごとく)30を備えており、この支持部材30は、それぞれが被加熱物をバーナ10の上方に支持するための支持面31を備えた6つの支持爪32と、支持爪32を天板11上に保持するための支持脚33から構成されている。また、加熱調理器100は、この支持部材30の内側に上方に向けて付勢された状態で鉛直方向に移動自在に配置されている棒部材40を備えている。さらに、加熱調理器100は、その前面16に、それぞれのバーナ10の着火および消火と火力調整を行うための点火手段と火力調整手段とを兼ね備えた2つのダイヤルスイッチ13を備えており、使用者の操作に基づいてバーナ10の着火や消火、火力調整等を行うことできるようになっている。また、加熱調理器100は、その内部にバーナ10に供給される燃焼ガスGのガス流量等を制御する制御部50を備えていて、制御部50は各バーナ10や着火手段20、ダイヤルスイッチ13等と制御線(不図示)で接続されており、後述する検知手段やダイヤルスイッチ13の信号に基づいて各バーナ10に供給される燃焼ガスGのガス流量を制御できるようになっている。
【0026】
図2は、図1で示す実施の形態1の加熱調理器の縦断面図であって、図2(a)は支持部材上に被加熱物が置かれていない状態を示す図、図2(b)は支持部材上に相対的に大きい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図、図2(c)は支持部材上に相対的に小さい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図である。なお、図2は、図1で示す実施の形態1の加熱調理器100の片側のバーナや支持部材等を示したものである。
【0027】
まず、図2(a)を参照して実施の形態1の加熱調理器100で使用されるバーナ10と棒部材40の具体的な構成について説明する。
【0028】
バーナ10は内筒1と外筒2とを備え、内筒1と外筒2との間の内部空間がガス流路3とされ、バーナ10の上方端部側が火炎口4とされている。ここで、バーナ10のガス流路3の上端側は閉塞板5により閉鎖されており、バーナ10の外筒2の上方端部には、その周方向に等間隔で縦長の火炎口スリットが適宜の数量設けられて火炎口4が構成されている。このように、火炎口4が外筒2の周方向に設けられていることで、燃焼ガスGを燃焼させたバーナ火炎はバーナ10の軸線に直交する方向へ噴出されるようになっている。また、バーナ10の外筒2の下端側は所定の位置で内筒1と離間するように横方向に曲げられ、それによってバーナ10のガス流路3も横方向へ曲げられていて、バーナ10のガス流路3の終端は、適宜の接続手段によって燃焼ガスGのガス供給配管L1と接続されている。なお、バーナ10のガス流路3には空気Aが取り込まれ、当該ガス流路3内で燃焼ガスGと空気Aとが混合されるようになっている。
【0029】
また、棒部材40は、バーナ10の内筒1内に火炎口4側(鉛直上方)に向けて付勢された状態でバーナ10と同心に内筒1の軸線方向に移動自在に配置されている。ここで、付勢手段としては、コイルバネ、空気、磁石等の適宜の付勢手段を適用することができる。また、天板11の開口部12よりも下方の棒部材40の適宜の位置には、その内部にマグネット41が収容されている。なお、棒部材40に外的負荷が作用しない状態、すなわち図2(a)で示すような被加熱物が支持部材30上に置かれていない状態では、棒部材40の上方端部はバーナ10よりも上方の所定の距離だけ離れた上限位置で位置決めされており、たとえば図示するように、支持部材30の支持脚33と同等の高さに設定することができる。なお、棒部材40が被加熱物の温度を検知する温度センサ(不図示)を備え、その温度に関する信号が制御部50に送信されるようになっていても良い。
【0030】
なお、加熱調理器100の内部には、棒部材40の内部に収容されたマグネット41の移動範囲、すなわち後述するような棒部材40が下方に押し下げられることでマグネット41が移動するときの移動範囲をカバーできる寸法の磁気センサ42が取り付けられており、この磁気センサ42に対して相対的にマグネット41が移動することでマグネット41の移動量(沈み込み量)が検知されるようになっている。すなわちこのマグネット41と磁気センサ42により棒部材40の鉛直方向の移動を検知する検知手段45が構成される。この磁気センサ42の棒部材40の移動若しくは移動量に関する信号は制御部50に送信され、この信号に基づいて制御部50は後述するようなガス供給配管L1に設けられたガス流量調整手段(開閉弁)V11の制御を行うことができるようになっている。したがって、ガス流量調整手段(開閉弁)V11と検知手段45と制御部50とから、棒部材40の移動量に応じてバーナ10に供給される燃焼ガスのガス流量を変更させるガス流量変更機構が構成される。なお、制御部50はガス供給配管L1への燃焼ガスGの流入を遮断する遮断弁V12とも接続されている。また、上記磁気センサ42はバーナ10の外筒2よりも下方に延在する内筒1に取り付けることもできる。
【0031】
次に、図2(b)及び図2(c)を参照して、実施の形態1の加熱調理器100の使用に際して、支持部材30上に外径の異なる被加熱物を載置した際の加熱調理器100の構成について説明する。
【0032】
上記するように、棒部材40は、付勢力よりも大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合にその負荷に応じて鉛直下方に向けて移動可能となっている。したがって、図2(b)で示すように、相対的に外径の大きい被加熱物HR1を支持部材30の支持面31上に載置した場合には、棒部材40は、被加熱物HR1の重量によってその付勢力に抗して距離DR1だけ下方へ移動する。ここで、この棒部材40の内部に収容されたマグネット41が磁気センサ42に対して相対的に移動することにより、棒部材40の移動量が磁気センサ42により検知され、その移動量に関する信号が制御部50へ送信される。なお、磁気センサ42により棒部材40の移動が検知され、その移動に関する信号が制御部50へ送信され、その信号から制御部50で棒部材40の移動量を演算してもよい。制御部50では、予め棒部材40の移動量と被加熱物の外径との関係に関する情報が格納されており、この情報と制御部50に送信された棒部材40の移動量に関する信号から被加熱物HR1の外径を検知することができる。そして、制御部50は、その被加熱物HR1の外径に応じた燃焼ガスGがバーナ10に供給されるように、ガス流量調整手段を構成する開閉弁V11の開度を調整する信号を送信して、ガス供給配管L1を流れる燃焼ガスGのガス流量を調整する。
【0033】
また、図2(c)で示すように、例えば鍋径14cmのような相対的に外径の小さい被加熱物HS1を支持部材30の支持面31上に載置した場合には、棒部材40は、被加熱物HS1の重量によって付勢力に抗して距離DS1だけ下方に移動し、この棒部材40の移動が磁気センサ42により検知されて棒部材40の移動量に関する信号が制御部50に送信される。ここで、支持部材30の支持面31は、図示するように、支持部材30の中心に向けて傾斜して低くなっており、支持面31で支持される被加熱物HS1の外径が小さくなると、被加熱物HS1の底部とバーナ10との鉛直方向の距離は近くなる。すなわち、図示するように、支持部材30の支持面31がその中心に向かって傾斜している場合には、相対的に外径の大きい被加熱物HR1を支持部材30の支持面31上に載置した場合の棒部材40の移動量DR1と比較して、棒部材40の移動量DS1は、被加熱物の外径の変化量に対応するように増加する。また、支持面30の傾斜角を略一定とすることで、被加熱物の外径に比例するように棒部材40を移動させることができ、支持部材30や検知手段45、制御部50の構成を簡素化することができる。したがって支持部材30の支持面31上に置かれる被加熱物の外径が変化しても、この棒部材40の移動量に関する信号から被加熱物の外径を容易に検知することができる。そして、制御部50は、図2(c)で示すように相対的に外径の小さい被加熱物HS1が支持部材30の支持面31上に載置された場合には、相対的に外径の大きい被加熱物HR1が支持部材30の支持面31上に載置された場合と比較して、ガス流量調整手段を構成する開閉弁V11の開度を小さくするような信号を送信し、被加熱物の外径に応じた燃焼ガスGがバーナ10に供給されるようにガス供給配管L1を流れる燃焼ガスGのガス流量を調整することができる。
【0034】
このように、支持部材30の支持面31が支持部材30の中心に向けて傾斜して低くなっていることで、支持部材30上に置かれた被加熱物の外径を簡単な構成でもって検知することができる。また、仮に支持部材30に対して偏心して被加熱物が載置された場合には、被加熱物の底面が略水平となるように、上記する支持部材30の傾斜した支持面31によって支持面31上で被加熱物を誘導することができる。
【0035】
次に、図3を参照して、使用の際の実施の形態1の加熱調理器100における各構成の関係について具体的に説明する。図3は、実施の形態1の加熱調理器100のブロック図を示したものである。
【0036】
まず、使用者等が被加熱物を支持部材30の支持面31上に載置すると、棒部材40はその被加熱物の外径に応じた量だけ鉛直方向下方へ移動し、その移動が検知手段45で検知されて棒部材40の移動若しくは移動量に関する信号が制御部50へ送信される。ここで、上記するように支持部材30の支持面31が略一定の傾斜角で傾斜している場合には、棒部材40は被加熱物の外径に応じた量、すなわち被加熱物の外径に比例した量だけ鉛直方向下方へ移動する。
【0037】
次に、使用者等が加熱調理器100に設けられたダイヤルスイッチ13を押圧してON状態にするとそのON信号が制御部50へ送信される。
【0038】
制御部50では、上記2つの信号を受信したことを検知すると、ガス供給配管L1に設けられた開閉弁V11の開度に関する信号を開閉弁V11に送信して開閉弁V11の開度を調整する。なお、この開閉弁V11の開度の調整は該開閉弁V11に設けられたステッピングモータ(不図示)を駆動して行うことができる。また、制御部50では、それと同時に遮断弁V12を開弁する信号を送信し、バーナ10と接続されたガス供給配管L1に燃焼ガスGを流入させてバーナ10に燃焼ガスGを供給する。さらに、制御部50では、バーナ10に隣接して設けられた着火手段20に着火信号を送信し、バーナ10の火炎口4から噴出される燃焼ガスGに着火して燃焼ガスGを燃焼させる。
【0039】
このような構成とすることで、被加熱物の外径に応じてバーナ10に供給される燃焼ガスGのガス流量を制限することができ、例えば小さい外径を有する被加熱物を支持部材30上に載置してバーナ10を着火した場合にも、被加熱物の側方へバーナ火炎が噴出することを確実に防止することができる。
【0040】
また、使用者等が被加熱物の加熱中にダイヤルスイッチ13を時計回りあるいは反時計回りに回転させると、その信号が制御部50に送信され、その信号に基づいて制御部50は例えばステッピングモータに駆動信号を送信してガス供給配管L1に設けられた開閉弁V11の開度を調整する。これにより、使用者等はバーナ10に供給されるガス流量を調整してバーナ10の火力を所望に調整することができる。その際、制御部50は、棒部材40の移動量に関する信号に基づいて、ガス供給配管L1に設けられた開閉弁V11の開度が所定の大きさよりも大きくならないように開閉弁V11の開度を制限しているため、例えば使用者等が火力を強くする方向へダイヤルスイッチ13を大きく回転させたとしても、ガス供給配管L1に所定のガス流量以上の燃焼ガスGが流れないようになっており、バーナ10に供給される燃焼ガスGのガス流量は被加熱物の外径に応じた所定の量以下に制限される。これにより、被加熱物の加熱中にも被加熱物の側方へバーナ火炎が噴出することを確実に防止することができると共に、使用者等が意識しなくても加熱効率の高いバーナ火力を実現することができる(エコモードや省エネモード等とも言う)。なお、上記するように、使用者等のダイヤルスイッチ13の回転量に関わらず、棒部材40の移動量に関する信号に基づいてバーナ10に供給される燃焼ガスGのガス流量を所定の量以上とならないように制限することもできるし、使用者等が認識し易いようにダイヤルスイッチ13に被加熱物の外径に応じた最大火力を規制するためのストッパ(不図示)を設け、ダイヤルスイッチ13の回転量自体を制限することもできる。
【0041】
なお、加熱調理器100には、開閉弁V11の開度の制限を解除するための解除スイッチ15が設けられており、たとえば使用者等が加熱効率に関わらずより迅速に被加熱物を加熱する場合には、この解除スイッチ15を押圧することで、その信号が制御部50へ送信され、開閉弁V11の開度の制限を解除して開閉弁V11の開度をより大きくして、より多くの燃焼ガスGをバーナ10へ供給してバーナ火力を強くすることができる。
【0042】
そして、被加熱物の加熱や保温が完了すると、使用者等はダイヤルスイッチ13を再び押圧してOFF状態とすることで、そのOFF信号が制御部50に送信され、その信号に基づいて制御部50が遮断弁V12に対して閉弁信号を送信し、ガス供給配管L1へのガス流路が遮断されてバーナ10が消火される。
【0043】
なお、図示しないが、マグネット41と磁気センサ42とによる棒部材40の移動量の検知手段45に代えて、棒部材40の下方に適宜の多段階の接触スイッチを配置しておき、この接触スイッチが所定の被接触部と接触したことを検知した場合には制御部50が開閉弁V11に開弁信号を送信し、接触が解除したことを検知した場合には開閉弁V11に閉弁信号を送信するような機構としてもよい。また、バーナ10の上端面に圧力センサ等を取り付け、棒部材40に圧力センサに対する接触部材を取り付けるようにしてもよい。その際、棒部材40の上端部の大径部の裏面を圧力センサに対する接触部材として利用することができる。さらに、従来知られたフォトカップラーによって検知手段を構成することもできる。
【0044】
また、支持部材30上に被加熱物を載置せず、棒部材40の上方端部が上限位置にある場合には、ガス供給配管L1に設けられ遮断弁V12等のガス流路遮断手段でガス供給配管L1のガス流路を遮断することができる。これにより、たとえば使用者等がバーナ10を消火せずに被加熱物を支持部材30から取り外した場合に自動的にバーナ10を消火することができる。
【0045】
[実施の形態2]
図4は、本発明による加熱調理器の実施の形態2の基本構成を示したものである。なお、実施の形態2の加熱調理器200は、図1で示す実施の形態1の加熱調理器100に対して、主として支持部材(ごとく)30の支持面31の形態、ダイヤルスイッチ13、ガス供給配管L1の構成を変更したものである。
【0046】
図示する加熱調理器200は、実施の形態1の加熱調理器100と同様に、天板111に形成した2個の開口部112のそれぞれに円環状の火炎口104を備えたバーナ110を備えると共に、それぞれのバーナ110に隣接して該バーナ110に着火するための着火手段120を備えている。また、加熱調理器200は、それぞれのバーナ110を囲むようにしてバーナ110と同心に被加熱物をバーナ110の上方に支持するための支持部材130を備えており、この支持部材130は、それぞれが被加熱物を支持するための支持面131を備えた6つの支持爪132と、支持爪132を天板111上に保持するための支持脚133から構成されている。また、加熱調理器200は、この支持部材130の内側に上方に向けて付勢された状態で鉛直方向に移動自在に配置されている棒部材140を備えている。さらに、加熱調理器200は、その前面116にバーナ110の点火および消火を行うための点火スイッチ(点火手段)113と火力調整を行うための火力調整レバー(火力調整手段)114を備えている。また、加熱調理器200は、その内部にバーナ110に供給される燃焼ガスGのガス流量等を制御する制御部150を備えていて、制御部150は各バーナ110や着火手段120、点火スイッチ113等と制御線(不図示)で接続されており、後述する検知手段や点火スイッチ113の信号に基づいてバーナ110に供給される燃焼ガスGのガス流量を制御できるようになっている。
【0047】
図5は、図4で示す実施の形態2の加熱調理器の縦断面図であって、図5(a)は支持部材上に被加熱物が置かれていない状態を示す図、図5(b)は支持部材上に相対的に大きい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図、図5(c)は支持部材上に相対的に小さい外径を有する被加熱物を置いた状態を示す図である。なお、図5は、図4で示す実施の形態2の加熱調理器200の片側のバーナや支持部材等を示したものである。
【0048】
ここで、本実施の形態2の加熱調理器200に適用されるバーナ110と棒部材140、および棒部材140の内部に収容されるマグネット141と磁気センサ142から構成される検知手段145の構成は、実施の形態1の加熱調理器100で適用されるバーナ10と棒部材40、および検知手段45の構成と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図5(a)に示すように、実施の形態1の加熱調理器100で適用される支持部材30に対して実施の形態2の加熱調理器200で適用される支持部材130は、その支持面131が支持部材130の中心に向かって階段状に低くなっている点で相違している。すなわち、支持面131は、略水平な支持面131A,131B,131Cと略垂直な支持面131a,131bとから構成され、略水平な支持面131A,131B,131Cは、支持部材130の中心方向に向かって漸次低くなっている。なお、略水平な支持面131Aの外径は比較的小さい被加熱物(約14cmの外径を有する)を載置できる寸法であることが好ましいが、その寸法や階段状の支持面131の段数は適宜変更することができる。
【0050】
図5(b)及び図5(c)を参照して実施の形態2の加熱調理器200の使用に際して、支持部材130上に外径の異なる被加熱物を載置した際の加熱調理器200の構成について説明する。
【0051】
実施の形態1の加熱調理器100と同様に、棒部材140は、付勢力よりも大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合にその負荷に応じて鉛直下方に向けて移動可能となっている。したがって、図5(b)で示すように、相対的に外径の大きい被加熱物HR2を支持部材130上に載置した場合には、この被加熱物HR2は、支持部材130の階段状の支持面131のうち支持面131B上に載置され、棒部材140は、被加熱物HR2の重量によってその付勢力に抗して距離DR2だけ下方へ移動する。ここで、この棒部材140の内部に収容されたマグネット141が磁気センサ142に対して相対的に移動することにより、棒部材140の移動量が磁気センサ142により検知され、その移動量に関する信号が制御部150へ送信される。なお、磁気センサ142により棒部材140の移動が検知され、その移動に関する信号が制御部150へ送信され、その信号から制御部150で棒部材140の移動量を演算してもよい。制御部150では、予め棒部材140の移動量と被加熱物の外径との関係に関する情報が格納されており、この情報と制御部150に送信された棒部材140の移動量に関する信号から被加熱物HR2の外径のおおよその外径を検知することができる。そして、制御部150は、その被加熱物HR2の外径に応じた燃焼ガスGがバーナ110に供給されるように、ガス流量調整手段(開閉弁)V21の開度を調整する信号を送信して、ガス供給配管L2を流れる燃焼ガスGのガス流量を調整する。
【0052】
また、図5(c)で示すように、相対的に外径の小さい被加熱物HS2を支持部材130の支持面131上に載置した場合には、この被加熱物HS2は、上記する支持面131Bよりも内側の支持面131A上に載置され、棒部材140は、被加熱物HS2の重量によってその付勢力に抗して距離DS2だけ下方へ移動し、この棒部材140の移動量に関する信号が制御部150へ送信される。ここで、支持部材130の支持面131Aは支持面131Bよりも相対的に低くなっており、支持面131Aで支持される被加熱物HS2の底部とバーナ110との鉛直方向の距離は、支持面131Bで支持される被加熱物HR2の底部とバーナ110との鉛直方向の距離よりも近くなる。すなわち、図示するように、支持部材30の支持面31がその中心に向かって階段状に低くなっている場合には、相対的に外径の大きい被加熱物HR2を支持部材130の支持面131上に載置した場合の棒部材140の移動量DR2と比較して、棒部材140の移動量DS2は、被加熱物の外径に応じて段階的に増加する。したがって、支持部材130の支持面131上に置かれる被加熱物の外径が変化しても、この棒部材140の移動量に関する信号から被加熱物の外径を複数の区分に分けて段階的に検知することができる。そして、制御部150は、図5(c)で示すように相対的に外径の小さい被加熱物HS2が支持部材130の支持面131上に載置された場合には、相対的に外径の大きい被加熱物HR2が支持部材130の支持面131上に載置された場合と比較して、ガス流量調整手段を構成する開閉弁V21の開度を小さくするような信号を送信し、被加熱物の外径に応じた燃焼ガスGがバーナ110に供給されるようにガス供給配管L2を流れる燃焼ガスGのガス流量を段階的に調整することができる。
【0053】
このように、支持部材130の支持面131が支持部材130の中心に向けて階段状に低くなっていることで、支持部材130上に置かれた被加熱物のおおよその外径を簡単な構成でもって検知することができる。
【0054】
なお、支持部材130の支持面131が支持部材130の中心に向けて階段状に低くなっていることで、図5(b)や図5(c)で示すように、支持面131Bや支持面131A上に載置された被加熱物の側面を支持部材130の支持面131bや支持面131aで支持することができ、被加熱物の傾きや倒れを確実に防止することができる。
【0055】
また、図5(b)で示すような被加熱物HR2よりも更に大きな外径を有する被加熱物を加熱する場合には、当該被加熱物を支持部材130の支持面131のうち最も外側の支持面131Cで支持することができ、使用者等は支持面131C上に載置された被加熱物を所望の火力で加熱することができる。
【0056】
次に、図6を参照して、使用の際の実施の形態2の加熱調理器200における各構成の関係について具体的に説明する。図6は、実施の形態2の加熱調理器200のブロック図を示したものである。
【0057】
まず、使用者等が被加熱物を支持部材130上の被加熱物の外径に応じた支持面131上に載置すると、棒部材140はその被加熱物の外径に応じた量だけ鉛直方向下方へ移動し、その移動が検知手段145で検知されて棒部材140の移動若しくは移動量に関する信号が制御部150へ送信される。ここで、上記するように支持部材130の支持面131が階段状に低くなっている場合には、棒部材140は被加熱物の外径に応じて段階的に移動する。
【0058】
次に、使用者等が加熱調理器200に設けられた点火スイッチ113を押圧してON状態にするとそのON信号が制御部150へ送信される。
【0059】
制御部150では、上記2つの信号を受信したことを検知すると、ガス供給配管L2に設けられたガス流量調整手段(開閉弁)V21の開度に関する信号を開閉弁V21に送信して開閉弁V21の開度を調整する。具体的には、このガス流量調整手段(開閉弁)V21は、ガス供給配管L2は流量制御用のオリフィスV21Aを備えた第1のガス供給配管L2Aと、それぞれが開閉弁(電磁弁)V21B,V21Cを備えた第2のガス供給配管L2Bと第3のガス供給配管L2Cとから構成されている。したがって、たとえば図5(c)で示すように被加熱物が支持部材130の最も低い支持面131A上に載置され、その棒部材140の移動量DS2に関する信号が制御部150へ送信された場合には、制御部150は双方の開閉弁V21B,V21Cを閉弁する信号を送信し、第2のガス供給配管L2Bと第3のガス供給配管L2Cのガス流路を遮断してバーナ110に供給される燃焼ガスGのガス流量を最小限に抑制する。また、たとえば図5(b)で示すように被加熱物が支持部材130の支持面131B上に載置され、その棒部材140の移動量DR2に関する信号が制御部150へ送信された場合には、制御部150は一方の開閉弁V21Cを閉弁する信号を送信し、一方の開閉弁V21bを開弁する信号を送信し、第3のガス供給配管L2Cのガス流路のみを遮断してバーナ110に供給される燃焼ガスGのガス流量を調整する。さらに、被加熱物が支持部材130の最も高い支持面131C上に載置された場合には、制御部150は双方の開閉弁V21B,V21Cを開弁する信号を送信し、第2のガス供給配管L2Bと第3のガス供給配管L2Cのガス流路を開放する。なお、制御部150から送信される信号に基づいて開閉弁V21B,V21Cの開度を比例的に調整し、第2のガス供給配管L2Bと第3のガス供給配管L2Cを流れる燃焼ガスGのガス流量を比例的に調整することもできる。また、制御部150では、それと同時にガス供給配管L2のガス流量調整手段(開閉弁)V21よりも上流に設けられた遮断弁V22を開弁する信号を送信し、バーナ110と接続されたガス供給配管L2に燃焼ガスGを流入させてバーナ110に燃焼ガスGを供給する。さらに、制御部150では、バーナ110に隣接して設けられた着火手段120に着火信号を送信して、バーナ110の火炎口104から噴出される燃焼ガスGに着火して燃焼ガスGを燃焼させる。
【0060】
このような構成とすることで、被加熱物の外径に応じてバーナ110に供給される燃焼ガスGのガス流量を段階的に制限することができ、例えば小さい外径を有する被加熱物を支持部材130上に載置してバーナ110を着火した場合にも、被加熱物の側方へバーナ火炎が噴出することを確実に防止することができる。
【0061】
また、使用者等が被加熱物の加熱中に火力調整レバー114を右方向あるいは左方向に可動させると、この火力調整レバー114と機械的に接続され、ガス供給配管L2に設けられた開閉弁(ニードル弁)V23が稼動される。これにより、開閉弁V23の開度が変更され、使用者等はバーナ110に供給されるガス流量を調整してバーナ110の火力を所望に調整することができる。その際、制御部150は、棒部材140の移動量に関する信号に基づいて、開閉弁V23の上流側でガス供給配管L2に設けられた開閉弁V21の開度が所定の大きさよりも大きくならないように開閉弁V21を構成する開閉弁V21B,V21Cを制御しているため、使用者等の火力調整レバー114の可動量に関わらず、開閉弁V23には所定のガス流量以上の燃焼ガスGが流れないようになっており、バーナ110に供給される燃焼ガスGのガス流量は被加熱物の外径に応じた所定の量以下に制限される。これにより、被加熱物の加熱中にも被加熱物の側方へバーナ火炎が噴出することを確実に防止することができると共に、使用者等が意識しなくても加熱効率の高いバーナ火力を実現することができる。
【0062】
なお、加熱調理器200には、実施の形態1の加熱調理器100と同様に、開閉弁V21の開度の制限を解除するための解除スイッチ115が設けられており、たとえば使用者等が加熱効率に関わらずより迅速に被加熱物を加熱する場合には、この解除スイッチ115を押圧することで、その信号が制御部150へ送信され、開閉弁V21の開度の制限を解除して開閉弁V21を構成する開閉弁V21Bや開閉弁V21Cの開度をより大きくして、より多くの燃焼ガスGをバーナ110に供給してバーナ火力を強くすることができる。
【0063】
そして、被加熱物の加熱や保温が完了すると、使用者等は点火スイッチ113を再び押圧してOFF状態とすることで、そのOFF信号が制御部150へ送信され、その信号に基づいて制御部150は遮断弁V21に対して閉弁信号を送信し、ガス供給配管L2へのガス流路が遮断されてバーナ110が消火される。
【0064】
なお、上記する実施の形態1,2においては、被加熱物として一般に使用されている平底鍋を用いて説明したが、中華鍋のような丸底鍋に対しても上記実施の形態1,2の加熱調理器を使用することもできる。丸底鍋の場合には平底鍋と比較して相対的に棒部材の下方への移動量が増加するため、被加熱物の側方へのバーナ火炎の噴出は確実に防止される。なお、加熱調理器に丸底鍋用の切替スイッチ等を設け、制御部が予め丸底の被加熱物の外径と棒部材の移動量との関係に関する情報を格納しておくことで、丸底の被加熱物に適したバーナ火力の制御を実現することもできる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態1,2を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態1,2に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。たとえば、実施の形態1の支持部材30と実施の形態2の支持部材130とを相互に交換して加熱調理器を構成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…内筒、2…外筒、3…ガス流路、4…火炎口、5…閉塞板、10…バーナ、11…天板、12…開口部、13…ダイヤルスイッチ、15…解除スイッチ、16…前面、20…着火手段、30…支持部材、31…支持面、32…支持爪、33…支持脚、40…棒部材、41…マグネット、42…磁気センサ、45…検知手段、50…制御部、100…加熱調理器、A…空気、G…燃焼ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱するためのバーナと、該バーナの周囲に且つ該バーナと同心に配置され、該バーナの上方に被加熱物を支持する支持部材と、を備える加熱調理器であって、
前記支持部材は、支持される被加熱物の外径が小さくなるに従って該被加熱物の底部と前記バーナとの鉛直方向の距離が近くなるように、前記支持部材の中心に向けて傾斜して若しくは階段状に低くなっている支持面を備え、
前記加熱調理器は、前記支持部材の前記支持面で支持される被加熱物の底部とその上方端部が接触し得る領域に、上方に向けて付勢された状態で鉛直方向に移動自在に配置され、付勢力よりも大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合にその負荷に応じて鉛直下方に向けて移動可能となっている棒部材と、該棒部材の鉛直下方への移動量に応じて前記バーナに供給される燃焼ガスのガス流量を減少させることのできるガス流量変更機構と、をさらに備えていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記棒部材は、外的負荷が作用しない状態では該棒部材の上方端部が前記バーナよりも上方の所定の距離だけ離れた上限位置で位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記棒部材は、前記バーナと同心に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記ガス流量変更機構は、前記バーナに接続されたガス供給配管に設けられ、該ガス供給配管を流れる燃焼ガスのガス流量を調整するガス流量調整手段と、前記棒部材の移動を検知する検知手段と、該検知手段によって検知された棒部材の移動量に応じて前記ガス流量調整手段を制御する制御部と、から構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御部は、前記検知手段によって検知された棒部材の移動量に基づいて、前記ガス供給配管を流れる燃焼ガスのガス流量が所定の量よりも大きくならないように前記ガス流量調整手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記棒部材は、被加熱物の温度を検知する温度センサを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−11406(P2013−11406A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144511(P2011−144511)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)