加速度補正装置と加速度補正方法、および加速度補正プログラム
【課題】 本発明は、ドライブレコーダに記録された加速度データに含まれる重力起因の加速度誤差を除いて車両起因による加速度を算出する加速度補正装置と加速度補正方法、および加速度補正プログラムに関するものである。
【解決手段】 本発明の加速度補正装置は、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得部と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出部と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正部と、を有するよう構成する。
【解決手段】 本発明の加速度補正装置は、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得部と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出部と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正部と、を有するよう構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダに記録された加速度データに含まれる加速度誤差を除いて車両起因による加速度を算出する加速度補正装置と加速度補正方法、および加速度補正プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダは、事故を起こした場合や事故につながりそうな操作が行なわれたとき、その前後の映像や速度、加速度等の走行データを記録する装置である。ドライブレコーダにはイベント型と常時録画型とがあり、イベント型はドライブレコーダが内蔵する加速度センサの出力に対する閾値を設定しておき、加速度がこの閾値を超えた場合(これをイベントとして捉える)にその時点の数十秒前から数十秒後のデータをイベント情報として記録するタイプがある。加速度がイベントのトリガーとして用いられる一つの理由は、事故あるいは事故につながりそうな状況が起こる場合に、一般的に急激な加減速操作が行なわれることが多いためである。よって、加減速を加速度センサで検知し、これをトリガーとして用いるのである。一方、常時録画型はデータを常に記録し、メモリが一杯になったら上書きして循環記録するタイプである。常時記録を行いながら、イベント発生時にイベントデータとして記録するハイブリッドタイプもある。
【0003】
ドライブレコーダの設置目的は、事故の検証に用いることを第一義とするが、事故につながりそうな、いわゆるヒャリハットの事例を収集してドライバへの安全運転に対する指導に用いることも目的の一つになっている。ヒャリハットのデータの収集においては、タクシー業界や運送業界、あるいは個人からドライブレコーダのデータを提供してもらうことが行なわれている。そして、提供されたデータの中から、目視により判別された指導用のデータが抽出される。イベント型のドライブレコーダは、常時録画型のドライブレコーダで記録される映像から指導用データを抽出する場合に比べて、イベント発生時の映像のみが記録されているため指導用データの抽出に向いている。しかし、ドライブレコーダにおける加速度の閾値は一般に低めに設定されため、イベント情報として多くのデータが記録されることになる。閾値が低めに設定される理由は、データの記録漏れが起こらないように安全サイドで記録が行なわれるようにするためである。
【0004】
また、もう一つの理由は、加速度センサが検出する加速度の値に、誤差が含まれるためである。
【0005】
誤差の一つとして、速度が「0」であるにも係わらず、加速度センサにより出力される微小な値がある。なお、速度が「0」の場合とは、速度センサの出力が「0」となる場合などである。よって、本来の加速度に微小な値が加算された加算値が、加速度センサから出力される。例えば、車両を水平な位置で停車し、その時に加速度センサから出力される値を差し引くことが知られている。つまり、速度「0」の場合の、加速度センサの出力値を、オフセットとして採用することで、加速度センサが検出する加速度から誤差を排除することができる。
【0006】
また、他の誤差として、温度上昇に伴って、加速度センサの出力値が変化する温度ドリフトによる誤差もある。温度ドリフトは加速度センサを構成する部材の熱膨張差に起因するものであると考えられ、加速度を検出するピエゾ抵抗部を支持基板から離す構造とし、ピエゾ抵抗部に熱膨張の影響が及ばないようにすることが知られている。
【0007】
また、車両が坂道等で傾斜する場合に、重力加速度が加速度センサの出力に重畳することで誤差が生ずる場合がある。この場合の加速度センサのデータ補正に関する技術として、GPSのドップラー効果による周波数の変化に基づいて水平と垂直方向の速度を取得し、取得した速度により傾斜角を算出して重力加速度の誤差成分を求め、加速度データを補正することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−307524号公報
【特許文献2】特開平05−333051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、記録されたデータから、所望のデータを抽出する際に閾値が低めに設定されることにより、イベント型のドライブレコーダであっても、記録されるデータの中には、指導用として不要なデータも存在する。さらに、常時記録型のドライブレコーダから、ヒヤリハットデータを抽出する際に、不要なデータも抽出される。
【0010】
不要なデータを、加速度センサの誤差を補正することで削減する方法が考えられる。例えば、誤差要因のうち、車両の水平停車時に加速度センサから出力される値の補正は、加速度センサの取付け時に出力値を調整することで解消できる。このようにすることで加速度センサが出力する加速度に、停車時でも出力される微小な値を排除した加速度を出力することができる。さらに、従来技術によって、温度ドリフトに対する補正は熱膨張対策を施した加速度センサを用いることで解消できる。
【0011】
不要なデータの抽出を削減する他の方法として、走行環境によって生じる影響を排除することも有効である。例えば、加速度センサが検出する加速度データには、坂道走行中であれば重力加速度の影響を受ける。つまり、坂道では、車両の進行方向に対して、正または負の加速度を生じさせる。
【0012】
一例として、車両が坂道を下る方向に走行しており、次いで停車しようとする場合を考える。このような場合にドライバーは、平地を走行中に比べ、より大きくブレーキを踏む必要がある。なぜなら、停車するためには、進行方向とは逆向きに力を加える必要があるが、重力起因の加速度分、余分に力を加える必要があるためである。つまり、坂道を下っている際に停車するときは、平地を同じスピードで走行中している場合に比べてブレーキ動作が大きくなることは当然である。ひいては加速度センサが検出する加速度(減速度)の値が、平地を同じスピードで走行中している場合に大きくなることも当然である。
【0013】
よって、ドライバーの運転操作による、急発進や急減速にあたるヒヤリハットデータを抽出する際には、加速度センサが検出した加速度から重力起因の加速度の影響を排除した上で、評価する必要がある。なお、坂道走行中以外にも、ドライブレコーダが所定の取り付け姿勢から傾いた場合等にも、重力加速度に起因する加速度は発生する。
【0014】
坂道走行時の加速度を補正する方法として、例えば上記に示したドップラー効果を用いる方法も考えられる。しかし、周波数の変化を検知するための手段をドライブレコーダに設ける必要があり、コスト的に問題がある。
【0015】
本発明は、ドライブレコーダが記録した走行データのみを用いて、センサが検出したデータから重力加速度に起因する誤差も含めた加速度誤差を差し引くことで、走行環境の影響を排除した補正加速度を算出する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の一観点によれば、本発明の加速度補正装置は、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得部と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出部と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正部と、を有する加速度補正装置が提供される。
【0017】
発明の他の一観点によれば、本発明の加速度補正方法は、コンピュータが、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正手順と、を実行する加速度補正方法が提供される。
【0018】
発明の他の一観点によれば、本発明の加速度補正プログラムは、コンピュータに、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正手順と、を実行させるための加速度補正プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
加速度データに含まれる重力加速度を、計測された加速度データで求まる車両位置とGPS測位による測定位置との差で求めることができる。よって、センサが計測したデータから、走行環境の影響を排除した補正加速度を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】重力起因の加速度を説明する図である。
【図2】加速度補正装置の構成例を示す図である。
【図3】加速度補正装置の機能ブロックを示す図である。
【図4】データ記憶部のデータ例を示す図である。
【図5】加速度補正プログラムの処理フロー例を示す図である。
【図6】速度データと前後加速度データの例を示す図である。
【図7】オフセット導出ルーチンの処理フロー例を示す図である。
【図8】加速度から求める推定位置を示す図である。
【図9】加速度から求めた推定位置とGPS測位位置を示す図である。
【図10】加速度データの補正例を示す図である。
【図11】ドライブレコーダの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を説明する前に、前述した加速度センサから出力される加速度に重力加速度に起因する加速度が含まれる例を説明する。なお、以下、重力加速度に起因する加速度を、重力起因加速度と称する。図1は、重力起因の加速度を説明する図で、傾斜角φの坂道20を下方に向かって走行している車両10に加速度誤差が生じる状態を示している(白抜きの矢印は車両の走行方向を示している)。この場合に、車両10の加速度センサは、車両の補正加速度に重力加速度gの車両の走行方向の成分g*sinφを重畳した値を出力する。なお、補正加速度は、加速度センサが計測した加速度から、重力加速度に起因する加速度成分を減算した結果である。このため本来の車両の加速度を得るには、加速度センサからの出力値から、重力加速度に起因するg*sinφの加速度誤差を分離して差し引く必要がある。本発明では、ヒャリハットのデータとして収集されたデータを対象としており、数秒の走行データ中の傾斜角度φは一定であるものとする。加速度データの補正に当たっては、走行データの計測点毎の加速度データに対して重力加速度に起因する加速度の平均値(即ち、一定値)を差し引くことを行なう。
【0022】
(実施例1)
実施例1は、SDカードに記憶された走行データに基づいて、加速度補正装置を用いて補正加速度を求める例である。SDカードには、イベント型ドライブレコーダ、または常時記録型ドライブレコーダの走行データが記録されているものとする。
【0023】
図2は、本発明の加速度補正装置100のハードウェアの構成例を説明する図で、加速度補正装置100は、装置の全体を制御するCPU110、キーボード121やディスプレイ装置122を制御するIO/IF120、SDカード132が記憶した走行データを読み取るカードリーダ131、カードリーダ131を制御するPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)/IF130、およびSDカード132から読み取った走行データを記憶するHDD140を有する。なお、加速度補正プログラム160は、HDD140,ROM(図示せず)等に記憶され、CPU110は加速度補正プログラム160を、RAM150上に展開して実行する。キーボード121とディスプレイ装置122は、加速度補正プログラム160に対してオペレータの指示(例えば、プログラムの起動指示など)を入力し、加速度補正プログラム160の処理結果などを表示する機器である。なお、図2に示す構成例は、本発明に必要な構成要素のみを示している。
【0024】
次に、加速度補正装置100の機能について図3を用いて説明する。図3に示すように、加速度補正装置100は、データ取得部161、重力起因加速度導出部162、および補正部163の各機能を有する。個々の機能について、走行データを記憶するデータ記憶部164との関連を含めて概要を説明する。なお、データ取得部161〜補正部163の機能は、具体的には加速度補正プログラム160として実現される。また、データ記憶部164は、HDD140の記憶領域の一部がデータ記憶部164として使用される。
【0025】
データ取得部161は、SDカード132に記憶されている走行データを一旦データ記憶部164に記憶し、加速度補正処理に当たりデータ記憶部164から所定時間分のデータを順次取り出すことを行なう。なお、走行データは、車両が備える各種センサが計測したデータを含むデータである。各種センサは、例えば、速度センサ、加速度センサ、イメージセンサ(カメラ)などである。イベント型のデータであれば1イベント情報のデータを順次取り出すことを行い、常時記録型のデータであれば、加速度データがある値を超えた時点前後の数十秒の時間分を切り出すことを行なう。
【0026】
重力起因加速度導出部162は、データ取得部161で取得した速度、加速度およびGPS測位の各データに基づいて重力加速度に起因する加速度をオフセットとして求めることを行なう。オフセットの求め方の詳細は後述するが、重力起因加速度導出部162は、走行データ中の速度データに車両の停車時間がある場合と停車時間がない場合とに分けてオフセット値を求める。
【0027】
補正部163は、重力起因加速度導出部162で導出されたオフセットの値と走行データに含まれる加速度センサが計測した加速度とに基づいて、補正加速度を算出する。そして補正部163は、加速度センサが計測した加速度から重力起因加速度を減算することで、加速度センサが計測した加速度を補正する。なお、車両の進行方向に対して、重力起因加速度が逆方向に働いている場合は、負の加速度を減算することとなる。一方、車両の進行方向に対して、重力起因加速度が同方向に働いている場合は、正の加速度を減算することとなる。また、補正部163は、加速度データを補正したデータファイルを、データ記憶部164に補正済みファイルとして記憶する。
【0028】
次に、データ記憶部164に記録したデータ例を、図4を用いて説明する。図4に示すように、ドライブレコーダの走行データは「時刻」、「速度」、「加速度」および「GPS測位」のフィールドを含んで構成される。
【0029】
「時刻」フィールドには、ドライブレコーダが速度や加速度のデータを各センサからサンプリングした時刻を格納する。「速度」フィールドには、車両の車速パルス等から得られる車両速度のデータを格納する。「加速度」フィールドは、2軸の加速度センサから出力される前後加速度Gxiと左右加速度Gyiの値を記憶する。前後加速度とは車両の進行方向に対する加速度の値であり、左右加速度とは進行方向に直交する横方向の加速度の値である。なお、以降の説明において前後加速度と左右加速度を区別する必要のないときは、単に加速度と言う場合もある。「GPS測位」フィールドは、東西方向位置Pxiと南北方向位置Pyiの値を記憶する。GPSからは緯度と経度のデータが得られるが、ここではそれらのデータを東西方向位置と南北方向位置とに変換し、さらに最初の位置を原点とした相対位置で格納している。各フィールドのデータは、ドライブレコーダにおいてサンプリング周波数の頻度で取得されたデータである。ここでは、サンプリング周波数30Hzでデータ取得されたものとしている。即ち、1/30秒毎に取得されたデータである。なお、図4には走行データとしてn個のデータのセットが記憶されている状態を示している。
【0030】
次に、前述した加速度補正プログラム160によるデータ補正の処理フローを、図5を用いて説明する。この処理フローの説明に当たっては、データ記憶部164には図4に示すようにSDカード132に記録された走行データが既に記憶されているものとする。
【0031】
まず、加速度補正プログラム160を実行するCPU110は、データ記憶部164から走行データを取り出す。この処理は、走行データ取得部161によって行なわれ、前述したように、イベント型であれば1ファイル分のイベント情報を取り出し、常時記録型のデータであれば、加速度データがある値を超えたデータの前後の数十秒の時間分を取り出す(ステップ1。以降S1と表す)。
【0032】
次いで、CPU110は取り出した走行データ中の速度データを調べ、速度データが「0」を示す車両の停車時間があるかどうかを調べる。CPU110は、速度データに停車時間がある場合は、その時間の加速度の平均を求め、この平均の値をオフセットの値とする。速度データに停車時間がない場合は、CPU110は後述する「オフセット導出ルーチン」を実行し、オフセットの値を求める(S2〜S5)。
【0033】
CPU110は、加速度データからオフセットの値を差し引き補正する(S6)。補正された走行データは元の走行データと置き換えデータ記憶部164に記憶される。または、元のデータとは別データとして記憶してもよい。
【0034】
上記した内容を、図6を用いて説明する。図6は、イベント情報における速度と前後加速度のデータをグラフ化した例である。図6(a)に示される速度データは、時刻が0〜12秒の間に「速度0」の値を示し、停車している状態があることを示している。この間の前後加速度の値は本来なら「0」の値を示さなければならないが、図に示されるように僅かながらある値を示しており、この前後加速度の平均値をオフセットとする。図6(b)においては、前後加速度のデータに変化があるが速度の停車には至っていない例で、このような無停車の走行データに対しては、CPU110は、「オフセット導出ルーチン」を実行して重力起因加速度を求めることになる。図6では、前後加速度について説明したが、左右加速度についても同様である。
【0035】
次に、オフセット導出ルーチンの処理フローについて説明する。オフセット導出の基本の考え方は、所定の数値を仮定値に設定し、仮定値を含んだ加速度データを2回積分することによって車両が移動すると考えられる推定位置を求め、その推定位置とGPS測位で求めた測位位置との差異を求めることを行い、差異が所定の誤差範囲となるまで仮定値を変化させる。そして、推定位置とGPS測位位置との差異が誤差範囲となったときの仮定値を、図5のS6においてオフセットとして用いる。処理フローを図7を用いて説明する。処理フローの説明においては、図4で示したデータ例を用いている。
【0036】
図7の処理フローにおいて、CPU110は最初に車両の進行方向θと仮定値Ox、Oyの初期値を設定する。進行方向θの初期値は、図4のGPS測位のデータで最初に測位された位置P1(Px1,Py1)から次に測位された位置P2(Px2,Py2)に基づいて、演算する。ここで、前述したようにP1を初期位置(即ち、P1(0,0))としたので進行方向θは、θ=arg(Px2+iPy2)となる(ここでiは複素数の虚数を表す)。また、仮定値Ox、Oyの初期値として、例えば「0」を設定する。即ち、進行方向の加速度に対する仮定値Ox=0、左右方向の加速度に対する仮定値Oy=0を設定する。また、CPU110は初期位置(Q1=P1(0,0))から推定位置Q2に移動する初期速度のx方向特性成分Ux1とy方向の成分Uy1を求める。ここでx方向とは東西方向であり、y方向とは南北方向である。初期速度は、車速パルスで得られる速度V1を用いてUx1=V1cosθ、U1y=V1sinθを求める((S11、S12)。
【0037】
続いて、CPU110は位置算出ループを実行して、加速度データから車両が移動する位置(推定位置)を求めることを行う。即ち、位置算出ループのカウンタパラメタJを1からn−1(nは走行データのデータ数)までカウントアップしながら以下の演算を行う。まず、CPU110は、S12で求めた速度から車両が移動する推定位置Q2(即ち、Qx(j+1)とQy(j+1))を求める。即ち、Qx2=Qx1+Ux1×ΔtとQy2=Qy1+Uy1×Δtを求める。ここで、Q1(Qx1、Qy1)はP1(Px1、Py1)に等しく、それらは共に初期位置(0,0)であるから、Qx2=Ux1×Δt、Qy2=Uy1×Δtを求めることになる。また、Δtはサンプリング周波数における計測時間で、図4のサンプリング周波数は30Hzであるので1/30秒である。
次いで、CPU110は、次の推定位置Q2からQ3へ移動する速度Ux(j+1)とUy(j+1)を加速度データを用いて求める。即ち、Ux2=Ux1+{(Gx1−Ox)cosθ−(Gy1−Oy)sinθ}×Δt、Uy2=Uy1+{(Gx1−Ox)sinθ+(Gy1−Oy)cosθ}×Δtを求める。この段階では仮定値Ox、Oyは共に「0」であるので、Ux2=Ux1+(Gx1cosθ−Gy1sinθ)×Δt、Uy2=Uy1+(Gx1sinθ+Gy1cosθ)×Δtを求めることになる。続いて、CPU110はQ2における進行方向θ(θ=arg(Ux2+iUy2)、ここでiは複素数の虚数を表す)を求めておく。そして、CPU110は位置算出ループの先頭に戻りカウンタパラメタJをカウントアップする。上記と同様に演算してQx3〜Qxn、およびQy3〜Qynの値を求める(即ち、Q3〜Qnの推定位置を求める)。以上で仮定値を含んだ加速度データから車両が移動すると推定される推定位置が求められる(S13)。
【0038】
次に、CPU110はGPS測位による位置と加速度から求めた位置との誤差ExとEyとを初期化(Ex=0、Ey=0)する。その後、誤差算出ループを実行して、S13で求めたQx2〜Qxn、Qy2〜QynとGPS測位で得られたPx2〜Pxn、Py2〜Pynとのそれぞれの距離の差異の自乗和を求める。即ち、誤差算出ループのカウンタパラメタkを2からnまでカウントアップしながら、Ex=Ex+(Pxk−Qxk)2とEy=Ey+(Pyk−Qyk)2を演算する(S14、S15)。
【0039】
CPU110は、上記で得られたExとEyの値を予め設定した誤差Esの値と比較し、ExとEyがそれぞれEsより小さい値であれば、このときの仮定値の値OxとOyとをオフセットとして採用する。逆に、ExとEyのいずれかがEs以上の値であれば、CPU110は仮定値の値を変化させ、S12に戻り同様のことを行う。仮定値の値の変化は、例えばOx1<Ox2<Ox3と変化させ、そのときの誤差がEx1<Ex2<Ex3であった場合は仮定値をOx1より小さい値で変化させることを行う。また、誤差がEx1>Ex2<Ex3であった場合は、CPU110は仮定値をOx2±αに変化させることを行い、誤差が設定値Es未満となるよう合わせ込んで行く(S16〜S18)。
【0040】
上記の処理フローでは、初期の進行方向を固定したままであるが、これを変化させるようにしてもよい。また、上記の処理フローでは、仮定値を変化させても誤差(Ex、Ey)が所定の値(Es)未満とならない場合は、仮定値の変化する回数を予め設定しておいて、その回数を超えた場合は処理を中断する処理を設けておけばよい(この場合のオフセットは「0」とする)。
【0041】
S13で示した車両が移動する推定位置Qj、Q(j+1)・・、速度Uj、U(j+1)・・、および加速度Gj、G(j+1)・・の関係を図8に示す(ここで示した推定位置Q、速度U、加速度Gはx成分とy成分を合成したものである)。即ち、車両の移動距離は速度にサンプリング時間を乗じて求めることができる。更にその速度は、1つ前の位置における速度に、加速度にサンプリング時間を乗じた和として求めることができる。
【0042】
また、上記のようにして得られたGPS測位で得られた測位位置と加速度から求めた推定位置の関係を図9に示した。両者の位置が所定の誤差範囲にあれば、そのとき加速度データに含めた仮定値の値が求めるオフセット(即ち、重力起因の加速度)の値となる。また、図9に示す位置(0,0)は、GPS測位のP1(Px1,Py1)で初期位置を示し、初期進行方向θは、P1(Px1,Py1)からP2(Px2,Py2)に向かう方向である。
【0043】
図10に、データ記憶部164から取得した加速度データのGxと本発明によって導出されたオフセット値0.04(g)で加速度データから重力起因の加速度を除いた補正加速度Gx’の時刻に対する変化の例をグラフに示した。図示していないが、加速度Gyについても同様に補正される。
【0044】
以上のとおり、傾斜部を走行中の車両に備わる加速度センサが計測する加速度(計測加速度)は、重力起因加速度が含まれている。また、走行中は傾斜の状態は確認できない。よって、車両が計測できる走行データを用いることで計測加速度から重力起因加速度を減算し、補正加速度を求めることができる。重力起因加速度は、計測加速度から求めた推定累積走行距離とGPS測位から求めた累積走行距離を比較し、その差分から重力起因加速度を求めることが考えられる。しかし、GPS測位のデータは各計測時点の車両位置であるので、計測時点間に車両がどのような経路で走行したかは不明である。そこで、計測時点毎に計測加速度から求めた推定位置とGPS測位による測位位置との差の累積を比較することで、近似的に走行距離の差分を比較した。なお、本発明はこのように計測加速度から求めた位置をGPS測位値による位置に合わせ込むことで計測加速度の値を補正するようにしたので、前述した加速度センサに温度ドリフトが生じる誤差も補正できる。補正した走行データを用いることで、ヒヤリハットデータを正確に収集することができる。
【0045】
(実施例2)
実施例1では、車両起因の加速度の算出をドライブレコーダとは異なる装置を用いてオフラインで行う例を示した。実施例2では、ドライブレコーダに本発明の加速度補正プログラムを組み込んだ構成である。
【0046】
図11は、実施例2におけるドライブレコーダの構成例を示した図である。ドライブレコーダ200は、装置の全体を制御するCPU210、GPS測位を行うGPS受信装置221と映像を録画するためのカメラであるイメージセンサ222、速度を検出する速度センサ223、および加速度を検出する加速度センサ224を制御するIO/IF220、SDカード232に走行データを書き込むカードライタ231、カードライタ231を制御するPCMCIA/IF230、IO/IF220を介して取得したGPS測位データ、映像データ、速度データ等の走行データを記憶するHDD240、およびCPU210が加速度補正プログラム260を展開し実行するRAM250で構成する。
【0047】
ドライブレコーダ200はイベント型のドライブレコーダであり、イベント情報がHDD240に記憶される毎に、加速度補正プログラム260を実行し車両起因の加速度(補正加速度)求める。補正加速度を求める方法は、実施例1と同様であるので、説明は省略する。重力起因の加速度誤差を除去した走行データ(即ち、補正された走行データ)は、記憶された元のデータと置き換える。なお、図11に示す構成例は、本発明に必要な構成要素のみを示している。
【0048】
以上、本発明の加速度補正装置と加速度補正方法、および加速度補正プログラムの実施例を説明したが、これらは上記した内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
10 車両
20 坂道
100 加速度補正装置
110 CPU
120 IO/IF
121 キーボード
122 ディスプレイ装置
130 PCMCIA/IF
131 カードリーダ
132 SDカード
140 HDD
150 RAM
160 加速度補正プログラム
161 データ取得部
162 重力起因加速度導出部
163 補正部
164 データ記憶部
200 ドライブレコーダ
210 CPU
220 IO/IF
221 GPS受信装置
222 イメージセンサ(カメラ)
223 速度センサ
224 加速度センサ
230 PCMCIA/IF
231 カードライタ
232 SDカード
240 HDD
250 RAM
260 加速度補正プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダに記録された加速度データに含まれる加速度誤差を除いて車両起因による加速度を算出する加速度補正装置と加速度補正方法、および加速度補正プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダは、事故を起こした場合や事故につながりそうな操作が行なわれたとき、その前後の映像や速度、加速度等の走行データを記録する装置である。ドライブレコーダにはイベント型と常時録画型とがあり、イベント型はドライブレコーダが内蔵する加速度センサの出力に対する閾値を設定しておき、加速度がこの閾値を超えた場合(これをイベントとして捉える)にその時点の数十秒前から数十秒後のデータをイベント情報として記録するタイプがある。加速度がイベントのトリガーとして用いられる一つの理由は、事故あるいは事故につながりそうな状況が起こる場合に、一般的に急激な加減速操作が行なわれることが多いためである。よって、加減速を加速度センサで検知し、これをトリガーとして用いるのである。一方、常時録画型はデータを常に記録し、メモリが一杯になったら上書きして循環記録するタイプである。常時記録を行いながら、イベント発生時にイベントデータとして記録するハイブリッドタイプもある。
【0003】
ドライブレコーダの設置目的は、事故の検証に用いることを第一義とするが、事故につながりそうな、いわゆるヒャリハットの事例を収集してドライバへの安全運転に対する指導に用いることも目的の一つになっている。ヒャリハットのデータの収集においては、タクシー業界や運送業界、あるいは個人からドライブレコーダのデータを提供してもらうことが行なわれている。そして、提供されたデータの中から、目視により判別された指導用のデータが抽出される。イベント型のドライブレコーダは、常時録画型のドライブレコーダで記録される映像から指導用データを抽出する場合に比べて、イベント発生時の映像のみが記録されているため指導用データの抽出に向いている。しかし、ドライブレコーダにおける加速度の閾値は一般に低めに設定されため、イベント情報として多くのデータが記録されることになる。閾値が低めに設定される理由は、データの記録漏れが起こらないように安全サイドで記録が行なわれるようにするためである。
【0004】
また、もう一つの理由は、加速度センサが検出する加速度の値に、誤差が含まれるためである。
【0005】
誤差の一つとして、速度が「0」であるにも係わらず、加速度センサにより出力される微小な値がある。なお、速度が「0」の場合とは、速度センサの出力が「0」となる場合などである。よって、本来の加速度に微小な値が加算された加算値が、加速度センサから出力される。例えば、車両を水平な位置で停車し、その時に加速度センサから出力される値を差し引くことが知られている。つまり、速度「0」の場合の、加速度センサの出力値を、オフセットとして採用することで、加速度センサが検出する加速度から誤差を排除することができる。
【0006】
また、他の誤差として、温度上昇に伴って、加速度センサの出力値が変化する温度ドリフトによる誤差もある。温度ドリフトは加速度センサを構成する部材の熱膨張差に起因するものであると考えられ、加速度を検出するピエゾ抵抗部を支持基板から離す構造とし、ピエゾ抵抗部に熱膨張の影響が及ばないようにすることが知られている。
【0007】
また、車両が坂道等で傾斜する場合に、重力加速度が加速度センサの出力に重畳することで誤差が生ずる場合がある。この場合の加速度センサのデータ補正に関する技術として、GPSのドップラー効果による周波数の変化に基づいて水平と垂直方向の速度を取得し、取得した速度により傾斜角を算出して重力加速度の誤差成分を求め、加速度データを補正することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−307524号公報
【特許文献2】特開平05−333051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、記録されたデータから、所望のデータを抽出する際に閾値が低めに設定されることにより、イベント型のドライブレコーダであっても、記録されるデータの中には、指導用として不要なデータも存在する。さらに、常時記録型のドライブレコーダから、ヒヤリハットデータを抽出する際に、不要なデータも抽出される。
【0010】
不要なデータを、加速度センサの誤差を補正することで削減する方法が考えられる。例えば、誤差要因のうち、車両の水平停車時に加速度センサから出力される値の補正は、加速度センサの取付け時に出力値を調整することで解消できる。このようにすることで加速度センサが出力する加速度に、停車時でも出力される微小な値を排除した加速度を出力することができる。さらに、従来技術によって、温度ドリフトに対する補正は熱膨張対策を施した加速度センサを用いることで解消できる。
【0011】
不要なデータの抽出を削減する他の方法として、走行環境によって生じる影響を排除することも有効である。例えば、加速度センサが検出する加速度データには、坂道走行中であれば重力加速度の影響を受ける。つまり、坂道では、車両の進行方向に対して、正または負の加速度を生じさせる。
【0012】
一例として、車両が坂道を下る方向に走行しており、次いで停車しようとする場合を考える。このような場合にドライバーは、平地を走行中に比べ、より大きくブレーキを踏む必要がある。なぜなら、停車するためには、進行方向とは逆向きに力を加える必要があるが、重力起因の加速度分、余分に力を加える必要があるためである。つまり、坂道を下っている際に停車するときは、平地を同じスピードで走行中している場合に比べてブレーキ動作が大きくなることは当然である。ひいては加速度センサが検出する加速度(減速度)の値が、平地を同じスピードで走行中している場合に大きくなることも当然である。
【0013】
よって、ドライバーの運転操作による、急発進や急減速にあたるヒヤリハットデータを抽出する際には、加速度センサが検出した加速度から重力起因の加速度の影響を排除した上で、評価する必要がある。なお、坂道走行中以外にも、ドライブレコーダが所定の取り付け姿勢から傾いた場合等にも、重力加速度に起因する加速度は発生する。
【0014】
坂道走行時の加速度を補正する方法として、例えば上記に示したドップラー効果を用いる方法も考えられる。しかし、周波数の変化を検知するための手段をドライブレコーダに設ける必要があり、コスト的に問題がある。
【0015】
本発明は、ドライブレコーダが記録した走行データのみを用いて、センサが検出したデータから重力加速度に起因する誤差も含めた加速度誤差を差し引くことで、走行環境の影響を排除した補正加速度を算出する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の一観点によれば、本発明の加速度補正装置は、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得部と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出部と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正部と、を有する加速度補正装置が提供される。
【0017】
発明の他の一観点によれば、本発明の加速度補正方法は、コンピュータが、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正手順と、を実行する加速度補正方法が提供される。
【0018】
発明の他の一観点によれば、本発明の加速度補正プログラムは、コンピュータに、車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、複数取得した走行データに含まれる加速度データと、取得した時間情報とに基づいて、車両の推定位置を算出するとともに、GPS測位データに基づく測位位置と推定位置との差分に基づいて、車両に働く重力加速度のうち車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、取得した加速度データから重力起因加速度を減算する補正手順と、を実行させるための加速度補正プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
加速度データに含まれる重力加速度を、計測された加速度データで求まる車両位置とGPS測位による測定位置との差で求めることができる。よって、センサが計測したデータから、走行環境の影響を排除した補正加速度を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】重力起因の加速度を説明する図である。
【図2】加速度補正装置の構成例を示す図である。
【図3】加速度補正装置の機能ブロックを示す図である。
【図4】データ記憶部のデータ例を示す図である。
【図5】加速度補正プログラムの処理フロー例を示す図である。
【図6】速度データと前後加速度データの例を示す図である。
【図7】オフセット導出ルーチンの処理フロー例を示す図である。
【図8】加速度から求める推定位置を示す図である。
【図9】加速度から求めた推定位置とGPS測位位置を示す図である。
【図10】加速度データの補正例を示す図である。
【図11】ドライブレコーダの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を説明する前に、前述した加速度センサから出力される加速度に重力加速度に起因する加速度が含まれる例を説明する。なお、以下、重力加速度に起因する加速度を、重力起因加速度と称する。図1は、重力起因の加速度を説明する図で、傾斜角φの坂道20を下方に向かって走行している車両10に加速度誤差が生じる状態を示している(白抜きの矢印は車両の走行方向を示している)。この場合に、車両10の加速度センサは、車両の補正加速度に重力加速度gの車両の走行方向の成分g*sinφを重畳した値を出力する。なお、補正加速度は、加速度センサが計測した加速度から、重力加速度に起因する加速度成分を減算した結果である。このため本来の車両の加速度を得るには、加速度センサからの出力値から、重力加速度に起因するg*sinφの加速度誤差を分離して差し引く必要がある。本発明では、ヒャリハットのデータとして収集されたデータを対象としており、数秒の走行データ中の傾斜角度φは一定であるものとする。加速度データの補正に当たっては、走行データの計測点毎の加速度データに対して重力加速度に起因する加速度の平均値(即ち、一定値)を差し引くことを行なう。
【0022】
(実施例1)
実施例1は、SDカードに記憶された走行データに基づいて、加速度補正装置を用いて補正加速度を求める例である。SDカードには、イベント型ドライブレコーダ、または常時記録型ドライブレコーダの走行データが記録されているものとする。
【0023】
図2は、本発明の加速度補正装置100のハードウェアの構成例を説明する図で、加速度補正装置100は、装置の全体を制御するCPU110、キーボード121やディスプレイ装置122を制御するIO/IF120、SDカード132が記憶した走行データを読み取るカードリーダ131、カードリーダ131を制御するPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)/IF130、およびSDカード132から読み取った走行データを記憶するHDD140を有する。なお、加速度補正プログラム160は、HDD140,ROM(図示せず)等に記憶され、CPU110は加速度補正プログラム160を、RAM150上に展開して実行する。キーボード121とディスプレイ装置122は、加速度補正プログラム160に対してオペレータの指示(例えば、プログラムの起動指示など)を入力し、加速度補正プログラム160の処理結果などを表示する機器である。なお、図2に示す構成例は、本発明に必要な構成要素のみを示している。
【0024】
次に、加速度補正装置100の機能について図3を用いて説明する。図3に示すように、加速度補正装置100は、データ取得部161、重力起因加速度導出部162、および補正部163の各機能を有する。個々の機能について、走行データを記憶するデータ記憶部164との関連を含めて概要を説明する。なお、データ取得部161〜補正部163の機能は、具体的には加速度補正プログラム160として実現される。また、データ記憶部164は、HDD140の記憶領域の一部がデータ記憶部164として使用される。
【0025】
データ取得部161は、SDカード132に記憶されている走行データを一旦データ記憶部164に記憶し、加速度補正処理に当たりデータ記憶部164から所定時間分のデータを順次取り出すことを行なう。なお、走行データは、車両が備える各種センサが計測したデータを含むデータである。各種センサは、例えば、速度センサ、加速度センサ、イメージセンサ(カメラ)などである。イベント型のデータであれば1イベント情報のデータを順次取り出すことを行い、常時記録型のデータであれば、加速度データがある値を超えた時点前後の数十秒の時間分を切り出すことを行なう。
【0026】
重力起因加速度導出部162は、データ取得部161で取得した速度、加速度およびGPS測位の各データに基づいて重力加速度に起因する加速度をオフセットとして求めることを行なう。オフセットの求め方の詳細は後述するが、重力起因加速度導出部162は、走行データ中の速度データに車両の停車時間がある場合と停車時間がない場合とに分けてオフセット値を求める。
【0027】
補正部163は、重力起因加速度導出部162で導出されたオフセットの値と走行データに含まれる加速度センサが計測した加速度とに基づいて、補正加速度を算出する。そして補正部163は、加速度センサが計測した加速度から重力起因加速度を減算することで、加速度センサが計測した加速度を補正する。なお、車両の進行方向に対して、重力起因加速度が逆方向に働いている場合は、負の加速度を減算することとなる。一方、車両の進行方向に対して、重力起因加速度が同方向に働いている場合は、正の加速度を減算することとなる。また、補正部163は、加速度データを補正したデータファイルを、データ記憶部164に補正済みファイルとして記憶する。
【0028】
次に、データ記憶部164に記録したデータ例を、図4を用いて説明する。図4に示すように、ドライブレコーダの走行データは「時刻」、「速度」、「加速度」および「GPS測位」のフィールドを含んで構成される。
【0029】
「時刻」フィールドには、ドライブレコーダが速度や加速度のデータを各センサからサンプリングした時刻を格納する。「速度」フィールドには、車両の車速パルス等から得られる車両速度のデータを格納する。「加速度」フィールドは、2軸の加速度センサから出力される前後加速度Gxiと左右加速度Gyiの値を記憶する。前後加速度とは車両の進行方向に対する加速度の値であり、左右加速度とは進行方向に直交する横方向の加速度の値である。なお、以降の説明において前後加速度と左右加速度を区別する必要のないときは、単に加速度と言う場合もある。「GPS測位」フィールドは、東西方向位置Pxiと南北方向位置Pyiの値を記憶する。GPSからは緯度と経度のデータが得られるが、ここではそれらのデータを東西方向位置と南北方向位置とに変換し、さらに最初の位置を原点とした相対位置で格納している。各フィールドのデータは、ドライブレコーダにおいてサンプリング周波数の頻度で取得されたデータである。ここでは、サンプリング周波数30Hzでデータ取得されたものとしている。即ち、1/30秒毎に取得されたデータである。なお、図4には走行データとしてn個のデータのセットが記憶されている状態を示している。
【0030】
次に、前述した加速度補正プログラム160によるデータ補正の処理フローを、図5を用いて説明する。この処理フローの説明に当たっては、データ記憶部164には図4に示すようにSDカード132に記録された走行データが既に記憶されているものとする。
【0031】
まず、加速度補正プログラム160を実行するCPU110は、データ記憶部164から走行データを取り出す。この処理は、走行データ取得部161によって行なわれ、前述したように、イベント型であれば1ファイル分のイベント情報を取り出し、常時記録型のデータであれば、加速度データがある値を超えたデータの前後の数十秒の時間分を取り出す(ステップ1。以降S1と表す)。
【0032】
次いで、CPU110は取り出した走行データ中の速度データを調べ、速度データが「0」を示す車両の停車時間があるかどうかを調べる。CPU110は、速度データに停車時間がある場合は、その時間の加速度の平均を求め、この平均の値をオフセットの値とする。速度データに停車時間がない場合は、CPU110は後述する「オフセット導出ルーチン」を実行し、オフセットの値を求める(S2〜S5)。
【0033】
CPU110は、加速度データからオフセットの値を差し引き補正する(S6)。補正された走行データは元の走行データと置き換えデータ記憶部164に記憶される。または、元のデータとは別データとして記憶してもよい。
【0034】
上記した内容を、図6を用いて説明する。図6は、イベント情報における速度と前後加速度のデータをグラフ化した例である。図6(a)に示される速度データは、時刻が0〜12秒の間に「速度0」の値を示し、停車している状態があることを示している。この間の前後加速度の値は本来なら「0」の値を示さなければならないが、図に示されるように僅かながらある値を示しており、この前後加速度の平均値をオフセットとする。図6(b)においては、前後加速度のデータに変化があるが速度の停車には至っていない例で、このような無停車の走行データに対しては、CPU110は、「オフセット導出ルーチン」を実行して重力起因加速度を求めることになる。図6では、前後加速度について説明したが、左右加速度についても同様である。
【0035】
次に、オフセット導出ルーチンの処理フローについて説明する。オフセット導出の基本の考え方は、所定の数値を仮定値に設定し、仮定値を含んだ加速度データを2回積分することによって車両が移動すると考えられる推定位置を求め、その推定位置とGPS測位で求めた測位位置との差異を求めることを行い、差異が所定の誤差範囲となるまで仮定値を変化させる。そして、推定位置とGPS測位位置との差異が誤差範囲となったときの仮定値を、図5のS6においてオフセットとして用いる。処理フローを図7を用いて説明する。処理フローの説明においては、図4で示したデータ例を用いている。
【0036】
図7の処理フローにおいて、CPU110は最初に車両の進行方向θと仮定値Ox、Oyの初期値を設定する。進行方向θの初期値は、図4のGPS測位のデータで最初に測位された位置P1(Px1,Py1)から次に測位された位置P2(Px2,Py2)に基づいて、演算する。ここで、前述したようにP1を初期位置(即ち、P1(0,0))としたので進行方向θは、θ=arg(Px2+iPy2)となる(ここでiは複素数の虚数を表す)。また、仮定値Ox、Oyの初期値として、例えば「0」を設定する。即ち、進行方向の加速度に対する仮定値Ox=0、左右方向の加速度に対する仮定値Oy=0を設定する。また、CPU110は初期位置(Q1=P1(0,0))から推定位置Q2に移動する初期速度のx方向特性成分Ux1とy方向の成分Uy1を求める。ここでx方向とは東西方向であり、y方向とは南北方向である。初期速度は、車速パルスで得られる速度V1を用いてUx1=V1cosθ、U1y=V1sinθを求める((S11、S12)。
【0037】
続いて、CPU110は位置算出ループを実行して、加速度データから車両が移動する位置(推定位置)を求めることを行う。即ち、位置算出ループのカウンタパラメタJを1からn−1(nは走行データのデータ数)までカウントアップしながら以下の演算を行う。まず、CPU110は、S12で求めた速度から車両が移動する推定位置Q2(即ち、Qx(j+1)とQy(j+1))を求める。即ち、Qx2=Qx1+Ux1×ΔtとQy2=Qy1+Uy1×Δtを求める。ここで、Q1(Qx1、Qy1)はP1(Px1、Py1)に等しく、それらは共に初期位置(0,0)であるから、Qx2=Ux1×Δt、Qy2=Uy1×Δtを求めることになる。また、Δtはサンプリング周波数における計測時間で、図4のサンプリング周波数は30Hzであるので1/30秒である。
次いで、CPU110は、次の推定位置Q2からQ3へ移動する速度Ux(j+1)とUy(j+1)を加速度データを用いて求める。即ち、Ux2=Ux1+{(Gx1−Ox)cosθ−(Gy1−Oy)sinθ}×Δt、Uy2=Uy1+{(Gx1−Ox)sinθ+(Gy1−Oy)cosθ}×Δtを求める。この段階では仮定値Ox、Oyは共に「0」であるので、Ux2=Ux1+(Gx1cosθ−Gy1sinθ)×Δt、Uy2=Uy1+(Gx1sinθ+Gy1cosθ)×Δtを求めることになる。続いて、CPU110はQ2における進行方向θ(θ=arg(Ux2+iUy2)、ここでiは複素数の虚数を表す)を求めておく。そして、CPU110は位置算出ループの先頭に戻りカウンタパラメタJをカウントアップする。上記と同様に演算してQx3〜Qxn、およびQy3〜Qynの値を求める(即ち、Q3〜Qnの推定位置を求める)。以上で仮定値を含んだ加速度データから車両が移動すると推定される推定位置が求められる(S13)。
【0038】
次に、CPU110はGPS測位による位置と加速度から求めた位置との誤差ExとEyとを初期化(Ex=0、Ey=0)する。その後、誤差算出ループを実行して、S13で求めたQx2〜Qxn、Qy2〜QynとGPS測位で得られたPx2〜Pxn、Py2〜Pynとのそれぞれの距離の差異の自乗和を求める。即ち、誤差算出ループのカウンタパラメタkを2からnまでカウントアップしながら、Ex=Ex+(Pxk−Qxk)2とEy=Ey+(Pyk−Qyk)2を演算する(S14、S15)。
【0039】
CPU110は、上記で得られたExとEyの値を予め設定した誤差Esの値と比較し、ExとEyがそれぞれEsより小さい値であれば、このときの仮定値の値OxとOyとをオフセットとして採用する。逆に、ExとEyのいずれかがEs以上の値であれば、CPU110は仮定値の値を変化させ、S12に戻り同様のことを行う。仮定値の値の変化は、例えばOx1<Ox2<Ox3と変化させ、そのときの誤差がEx1<Ex2<Ex3であった場合は仮定値をOx1より小さい値で変化させることを行う。また、誤差がEx1>Ex2<Ex3であった場合は、CPU110は仮定値をOx2±αに変化させることを行い、誤差が設定値Es未満となるよう合わせ込んで行く(S16〜S18)。
【0040】
上記の処理フローでは、初期の進行方向を固定したままであるが、これを変化させるようにしてもよい。また、上記の処理フローでは、仮定値を変化させても誤差(Ex、Ey)が所定の値(Es)未満とならない場合は、仮定値の変化する回数を予め設定しておいて、その回数を超えた場合は処理を中断する処理を設けておけばよい(この場合のオフセットは「0」とする)。
【0041】
S13で示した車両が移動する推定位置Qj、Q(j+1)・・、速度Uj、U(j+1)・・、および加速度Gj、G(j+1)・・の関係を図8に示す(ここで示した推定位置Q、速度U、加速度Gはx成分とy成分を合成したものである)。即ち、車両の移動距離は速度にサンプリング時間を乗じて求めることができる。更にその速度は、1つ前の位置における速度に、加速度にサンプリング時間を乗じた和として求めることができる。
【0042】
また、上記のようにして得られたGPS測位で得られた測位位置と加速度から求めた推定位置の関係を図9に示した。両者の位置が所定の誤差範囲にあれば、そのとき加速度データに含めた仮定値の値が求めるオフセット(即ち、重力起因の加速度)の値となる。また、図9に示す位置(0,0)は、GPS測位のP1(Px1,Py1)で初期位置を示し、初期進行方向θは、P1(Px1,Py1)からP2(Px2,Py2)に向かう方向である。
【0043】
図10に、データ記憶部164から取得した加速度データのGxと本発明によって導出されたオフセット値0.04(g)で加速度データから重力起因の加速度を除いた補正加速度Gx’の時刻に対する変化の例をグラフに示した。図示していないが、加速度Gyについても同様に補正される。
【0044】
以上のとおり、傾斜部を走行中の車両に備わる加速度センサが計測する加速度(計測加速度)は、重力起因加速度が含まれている。また、走行中は傾斜の状態は確認できない。よって、車両が計測できる走行データを用いることで計測加速度から重力起因加速度を減算し、補正加速度を求めることができる。重力起因加速度は、計測加速度から求めた推定累積走行距離とGPS測位から求めた累積走行距離を比較し、その差分から重力起因加速度を求めることが考えられる。しかし、GPS測位のデータは各計測時点の車両位置であるので、計測時点間に車両がどのような経路で走行したかは不明である。そこで、計測時点毎に計測加速度から求めた推定位置とGPS測位による測位位置との差の累積を比較することで、近似的に走行距離の差分を比較した。なお、本発明はこのように計測加速度から求めた位置をGPS測位値による位置に合わせ込むことで計測加速度の値を補正するようにしたので、前述した加速度センサに温度ドリフトが生じる誤差も補正できる。補正した走行データを用いることで、ヒヤリハットデータを正確に収集することができる。
【0045】
(実施例2)
実施例1では、車両起因の加速度の算出をドライブレコーダとは異なる装置を用いてオフラインで行う例を示した。実施例2では、ドライブレコーダに本発明の加速度補正プログラムを組み込んだ構成である。
【0046】
図11は、実施例2におけるドライブレコーダの構成例を示した図である。ドライブレコーダ200は、装置の全体を制御するCPU210、GPS測位を行うGPS受信装置221と映像を録画するためのカメラであるイメージセンサ222、速度を検出する速度センサ223、および加速度を検出する加速度センサ224を制御するIO/IF220、SDカード232に走行データを書き込むカードライタ231、カードライタ231を制御するPCMCIA/IF230、IO/IF220を介して取得したGPS測位データ、映像データ、速度データ等の走行データを記憶するHDD240、およびCPU210が加速度補正プログラム260を展開し実行するRAM250で構成する。
【0047】
ドライブレコーダ200はイベント型のドライブレコーダであり、イベント情報がHDD240に記憶される毎に、加速度補正プログラム260を実行し車両起因の加速度(補正加速度)求める。補正加速度を求める方法は、実施例1と同様であるので、説明は省略する。重力起因の加速度誤差を除去した走行データ(即ち、補正された走行データ)は、記憶された元のデータと置き換える。なお、図11に示す構成例は、本発明に必要な構成要素のみを示している。
【0048】
以上、本発明の加速度補正装置と加速度補正方法、および加速度補正プログラムの実施例を説明したが、これらは上記した内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
10 車両
20 坂道
100 加速度補正装置
110 CPU
120 IO/IF
121 キーボード
122 ディスプレイ装置
130 PCMCIA/IF
131 カードリーダ
132 SDカード
140 HDD
150 RAM
160 加速度補正プログラム
161 データ取得部
162 重力起因加速度導出部
163 補正部
164 データ記憶部
200 ドライブレコーダ
210 CPU
220 IO/IF
221 GPS受信装置
222 イメージセンサ(カメラ)
223 速度センサ
224 加速度センサ
230 PCMCIA/IF
231 カードライタ
232 SDカード
240 HDD
250 RAM
260 加速度補正プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、該走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得部と、
複数取得した前記走行データに含まれる前記加速度データと、取得した前記時間情報とに基づいて、前記車両の推定位置を算出するとともに、前記GPS測位データに基づく測位位置と該推定位置との差分に基づいて、該車両に働く重力加速度のうち該車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出部と、
取得した前記加速度データから前記重力起因加速度を減算する補正部と
を有することを特徴とする加速度補正装置。
【請求項2】
前記重力起因加速度導出部は、仮定値を設定し、該仮定値をさらに用いて前記推定位置を算出するとともに、該推定位置と前記測位位置との差分および閾値を比較し、該差分が該閾値未満である場合は、該仮定値を用いて前記重力起因加速度を導出することを特徴とする請求項1記載の加速度補正装置。
【請求項3】
前記重力起因加速度導出部は、前記差分が前記閾値以上である場合は、前記仮定値とは異なる他の仮定値を用いて、他の推定位置を算出することを特徴とする請求項2記載の加速度補正装置。
【請求項4】
前記走行データは、さらに前記車両の走行速度に関する速度データを含み、
前記補正部は、前記速度データに基づいて停車状態を判定し、複数取得した前記走行データに該停車状態が含まれる場合は、複数の前記加速度データの平均を重力起因加速度とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加速度補正装置。
【請求項5】
コンピュータが
車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、該走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、
複数取得した前記走行データに含まれる前記加速度データと、取得した前記時間情報とに基づいて、前記車両の推定位置を算出するとともに、前記GPS測位データに基づく測位位置と該推定位置との差分に基づいて、該車両に働く重力加速度のうち該車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、
取得した前記加速度データから前記重力起因加速度を減算する補正手順と
を実行することを特徴とする加速度補正方法。
【請求項6】
コンピュータに、
車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、該走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、
複数取得した前記走行データに含まれる前記加速度データと、取得した前記時間情報とに基づいて、前記車両の推定位置を算出するとともに、前記GPS測位データに基づく測位位置と該推定位置との差分に基づいて、該車両に働く重力加速度のうち該車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、
取得した前記加速度データから前記重力起因加速度を減算する補正手順と
を実行させるための加速度補正プログラム。
【請求項1】
車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、該走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得部と、
複数取得した前記走行データに含まれる前記加速度データと、取得した前記時間情報とに基づいて、前記車両の推定位置を算出するとともに、前記GPS測位データに基づく測位位置と該推定位置との差分に基づいて、該車両に働く重力加速度のうち該車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出部と、
取得した前記加速度データから前記重力起因加速度を減算する補正部と
を有することを特徴とする加速度補正装置。
【請求項2】
前記重力起因加速度導出部は、仮定値を設定し、該仮定値をさらに用いて前記推定位置を算出するとともに、該推定位置と前記測位位置との差分および閾値を比較し、該差分が該閾値未満である場合は、該仮定値を用いて前記重力起因加速度を導出することを特徴とする請求項1記載の加速度補正装置。
【請求項3】
前記重力起因加速度導出部は、前記差分が前記閾値以上である場合は、前記仮定値とは異なる他の仮定値を用いて、他の推定位置を算出することを特徴とする請求項2記載の加速度補正装置。
【請求項4】
前記走行データは、さらに前記車両の走行速度に関する速度データを含み、
前記補正部は、前記速度データに基づいて停車状態を判定し、複数取得した前記走行データに該停車状態が含まれる場合は、複数の前記加速度データの平均を重力起因加速度とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加速度補正装置。
【請求項5】
コンピュータが
車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、該走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、
複数取得した前記走行データに含まれる前記加速度データと、取得した前記時間情報とに基づいて、前記車両の推定位置を算出するとともに、前記GPS測位データに基づく測位位置と該推定位置との差分に基づいて、該車両に働く重力加速度のうち該車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、
取得した前記加速度データから前記重力起因加速度を減算する補正手順と
を実行することを特徴とする加速度補正方法。
【請求項6】
コンピュータに、
車両走行中に計測された加速度データとGPS測位データとを含む走行データを複数取得するとともに、該走行データの計測に関する時間情報を取得するデータ取得手順と、
複数取得した前記走行データに含まれる前記加速度データと、取得した前記時間情報とに基づいて、前記車両の推定位置を算出するとともに、前記GPS測位データに基づく測位位置と該推定位置との差分に基づいて、該車両に働く重力加速度のうち該車両の進行方向に作用する重力加速度である重力起因加速度を導出する重力起因加速度導出手順と、
取得した前記加速度データから前記重力起因加速度を減算する補正手順と
を実行させるための加速度補正プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−215417(P2012−215417A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79567(P2011−79567)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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