説明

効果的なティースクリーニングをもたらす駆動力をもつマウスピース

マウスピースアセンプリは、歯に接触してこの歯をクリーニングするための取り付けられた毛24をもつ、歯を受けるためのレセプタクル12を含む。レセプタクル及び毛は、少なくとも4cmをカバーする。駆動系20は、毛が、歯の表面に向かつて前記歯の表面から離れるように略直角で動くように、レセプタクルを駆動させる。駆動系は、6N/cmの最小毛先閾圧力及び85N/cmの最大値をもたらすのに十分な力を生成するモータ22を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、概して、マウスピース型のティースクリーニング器具に関し、より詳細には、効果的なクリーニングのためのマウスピース器具の特定の動作的特徴に関する。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシ及びマウスピースを含む口腔衛生デバイスの現在の実施形態は、効果的なクリーニングを実現するために毛先圧力に対して最適化されていない。これは、歯に対する毛先圧力を実現するための器具の実際の負荷が、ユーザにより完全に制御されるためである。それ故、歯をクリーニングするために効果的である電動ブラッシング器具についての最小の毛先圧力は、これまでに知られていない。しかしながら、効果的なティースクリーニングのための最小の毛先圧力の認識は、ユーザが器具の負荷を超える如何なる制御ももたない、それ故に歯に対する毛先圧力に影響を与え得ない、効果的なマウスピース型のティースクリーニング器具を実装するために非常に重要である。器具の動作は、必要なレベルの毛先圧力を単独でもたらさなければならない。効果的な毛先圧力に加えて、マウスピースの特定の毛フィールドエリア及び毛密度に対する所望の毛先圧力を実現するために器具駆動系の駆動力要件を知ることも必要である。同様に、この駆動力情報は、特にユーザの歯の相当な部分を覆うマウスピースに対して、現在知られていない。
【0003】
非常に短い時間期間において口領域全体又はその相当な部分に対して効果的なティースクリーニングが可能なマウスピース歯垢取り器具の利点は、特定の毛フィールド及び毛密度に対する効果的なクリーニングを実現するために必要な毛先圧力及び駆動力に関する利用可能な情報がない以上、現在得られることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、毛クリーニング要素をもつ効果的なマウスピース器具が開発され得るように、斯様な情報を決定することが望まれるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、効果的なクリーニング能力をもつマウスピースアセンブリは、歯に接触してこの歯をクリーニングするための取り付けられた毛をもつマウスピースレセプラクルと、前記毛フィールドが歯の表面に向かって前記歯の表面から離れるように動くように前記マウスピースを駆動させるための駆動系アセンブリとを有し、前記マウスピースは、歯に接触するための少なくとも4cmの毛フィールドエリアをもち、前記駆動系は、3〜15%の範囲内の毛先密度に対して、6N/cmの最小毛先閾圧力をもたらすのに十分な駆動力を与えるモータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】歯の効果的なクリーニングを達成するためのマウスピース器具の斜視図である。
【図1A】図1の装置の一部の概略図である。
【図2】3%の毛密度の毛先エリアに対するNewtonの駆動力を示すグラフである。
【図3】3%の毛フィールド密度をもつ、種々の毛フィールドエリアの最小及び最大駆動力を示すグラフである。
【図4】15%の毛フィールド密度をもつ、種々の毛フィールドエリアの最小及び最大駆動力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
歯をクリーニングするためのマウスピース器具は、典型的には、ユーザが歯に対する力を器具に与えることを必要としない、即ち典型的にはハンズフリーであり、これは、利点の一つである。図1は、ユーザの歯が配置されたレセプタクルアセンブリ12を含むマウスピース器具10を概ね示している。典型的には、レセプタクル12は、ユーザの上顎及び下顎における歯を受けるための、トレイと呼ばれる、上部14及び下部16を含む。トレイ部分は、それぞれ別個に駆動される、対向する側部17,19及び前部21を有し得る。示されたレセプタクル12は、ユーザの歯の全てを受けることが可能であるが、マウスピースは、歯の一部だけを受けるように設けられ及び構成されてもよい。
【0008】
マウスピースは、モータ22を含む駆動系アセンブリ20により駆動される。マイクロプロセッサが含まれてもよいが必須ではない。マイクロプロセッサは、例えば、最大モータ電流により/及び最大モータ力を調節/制御するために使用され得る。完全な(又は部分的な)ティースクリーニングをもたらすために、歯の内表面及び外表面に接触する、24で部分的に示された毛フィールド、及び、咬(合)表面が、歯表面に隣接する、レセプタクルアセンブリ12の内表面上に配置される。種々の駆動系装置及びレセプタクル構成により、レセプタクル12の種々の動作がもたらされ得る一方で、一の効果的なクリーニング動作は、歯の表面に向かって前記歯の表面から離れる、毛の水平(内外)動作である。代替実施形態において、異なる方向の毛動作により、毛圧力がブラダー(bladder)又はスプリング装置により生成され得る。
【0009】
前記で示されたような、任意の電動口腔クリーニング器具による効果的なティースクリーニングのための重要な考察は、歯に対する毛先圧力である。多くの斯様な携帯型ティースクリーニング器具、特に歯ブラシにおける毛先圧力は、ユーザにより制御される。
【0010】
典型的には、歯ブラシは、比較的小さなブラッシングエリア(例えば、一の歯の一の表面)だけをカバーする。これも、ユーザ圧力に加えて、効果的なクリーニングに対する要因となる。前記で示されたように、現在の口腔衛生デバイス、特に歯ブラシは、毛先圧力に対して最適化されていない。実際には、電動歯ブラシの使用の調査は、歯に対してユーザにより与えられた毛先圧力の典型的な量が、効果的なクリーニング及び快適さに関して最適であるものよりずっと少ないことを示す。
【0011】
ユーザ制御を伴わないマウスピースティースクリーニング器具において、効果的なクリーニングをもたらすのに必要な選択された毛密度に関する、マウスピース動作による歯に対する毛先圧力の少なくとも最小又は閾値を与えることは、器具の成功した動作にとって極めて重要である。更に、前記器具のための駆動システム/系は、特定の毛密度及び毛フィールド(毛により覆われたエリア)に対して少なくとも最小閾毛先圧力を生成するために必要な量の力を供給可能でなければならない。前記で示されたように、閾毛先圧力及び駆動力の情報は、これまで知られていなかった。これは、コスト効率のよいマウスピースの設計にとってマイナスとなっていた。しかしながら、ここに記載されたように、歯の効果的なクリーニングをもたらすのに必要な最小毛先圧力の値が発見された。この情報は、後に、マウスピースのための駆動系及びモータ装置の動作可能な要件及び効果的なマウスピース器具の設計を可能にする。
【0012】
最小の効果的な毛先圧力閾値は、毛範囲の約6/cmであることが発明者らにより発見された。マウスピースにおける毛の最小輪郭の範囲内のエリアとして規定される最小の毛フィールドエリアは、効果的なマウスピース装置を生成するために少なくとも4cmであり、典型的には、非常に大きくなり、最大で、ユーザの口における全ての歯の表面エリアになるだろう。また更に、毛フィールドエリアにより分割された毛の全ての断面エリアの合計は、妥当なクリーニングストロークでクリーニングされるべき歯表面の範囲に対して3%の最小値である。毛密度は、3%から上昇して変化し得る。特定の情報は、ユーザの快適さのための最大値になるように思われる15%の毛密度、及び、3%の毛密度の双方に対して与えられる。
【0013】
前記の情報から、毛フィールド密度倍の最小(閾)毛先圧力を用いて、駆動力能力閾値が計算され得る。一例において、マウスピース器具に対して最小になるように示された4cmの毛フィールドエリア、及び、3%の毛密度に関して、モータにより生成されなければならない最小の力は、0.18N/cmである。4cmの毛フィールドエリアは、電動歯ブラシによりカバーされた最も大きな毛フィールドエリアよりも概ね大きいことが認識されるべきであり、これは、ここに開示されたマウスピース装置を典型的な電動歯ブラシと差別化する。
【0014】
図2は、その全体範囲が典型的な電動歯ブラシよりも大きい、4cmから最大100cmまでの、種々の毛フィールドエリアに対する最小の(閾)毛先圧力を実現するための最小駆動力を示すグラフである。図2のグラフは、毛フィールドエリアに対する駆動力をプロットしている。斜線30は、マウスピースの毛フィールドエリアが増大するにつれてのNewtonについての閾駆動力の増大を示している。縦線32は、マウスピースによりカバーされた最小毛フィールドエリア、例えば4cmである。図2は、3%の最小毛密度に基づいている。線30及び32で区切られたエリア34は、マウスピースに関する効果的なクリーニング結果をもたらす動作エリアを反映する。
【0015】
図3は、3%の毛密度に関して、毛フィールドが増大するにつれての最大駆動力値(及び図2からの最小駆動力値)を示すグラフである。図3は、横軸が毛フィールドエリアを参照する一方で、縦軸は、モータの駆動力である。図3は、モータの駆動力に対するマウスピースのための完全な動作エリアを示している。線36は、4cm〜80cmの範囲内の毛フィールドエリアに関する効果的なクリーニング結果のための最小駆動力を表す。この線は、図2における線30に相当するが、駆動力部分は異なる(大きい)。小さな縦線38は、マウスピースの4cmの最小毛フィールドエリアである。斜線40は、同様に4cmから(最大で)80cmまでの毛フィールドエリアに対する最大駆動力に言及する。この線は、器具の使用についてのユーザに対する快適さの維持に対する最大駆動力を規定する。任意の毛フィールドエリアに関する線40の上では、モータ力は、典型的にはユーザにとって不快である毛先圧力をもたらす。それ故、エリア42は、4cmから80cmまでの種々の毛フィールドエリアに関する有効性(線36)及び快適さ(線40)により区切られる、マウスピースの所望動作のエリアを規定する。
【0016】
図4は、15%の毛密度に関する同様の情報を示している。見られるように、最大駆動力は、毛フィールド密度が増大するにつれて増大する。図2と同様に、(図2における線30に相当する)線46は、最小駆動力に言及する一方で、線48は、最大駆動力に言及する。4cmと80cmとの間の毛フィールドエリアに関して線46及び48により区切られたエリア50は、ユーザに対する所望の快適さを維持しながらの効果的な動作のエリアである。
【0017】
以下に与えられた表は、毛フィールドエリアの第1の列、並びに、Newtonについての最小駆動力及び3%の毛密度及び15%の毛密度に関する最大駆動力を示す連続する列を示している。最大の力は、毛密度が増大するにつれて変化するが、最大の力は、毛フィールドエリアの全ての値に関して単位エリア毎に同一である。
【表1】

【0018】
図1及び1Aによれば、レセプタクル12は、分割され、歯に向かって歯から離れるような歯の所望の内外運動を与えるために複数のリンクアーム54及び枢軸点56を有する機械駆動系52により機械的に駆動される。レセプタクルの別個のトレイ部分に接続されたリンクアームは、モータ22により駆動される。これは、マウスピースに関する一般的な構成であり、それ故に、ここでは詳細に説明されない。前述した力を供給可能なモータ22は、幾つかのソースから商業的に利用可能である。一例は、Maxon EC45フラットモータである。他の利用可能なモータは、同一の能力を提供することができる。
【0019】
従って、ハンズフリーのマウスピース装置において、効果的なティースクリーニングをもたらすが、ユーザに対する不快を伴わない、マウスピースの動作可能な特性が開示されている。
【0020】
本発明の好ましい実施形態が例示の目的で開示されたが、種々の変更、修正及び置換は、特許請求の範囲により規定された本発明の精神から逸脱することなく、本実施形態に組み込まれ得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果的なクリーニング能力をもつマウスピースアセンブリであって、
歯に接触してこの歯をクリーニングするための取り付けられた毛をもつマウスピースレセプラクルと、
前記毛のフィールドが歯の表面に向かって前記歯の表面から離れるように動くように前記マウスピースを駆動させるための駆動系アセンブリとを有し、
前記マウスピースは、歯に接触するための少なくとも4cmの毛フィールドエリアをもち、
前記駆動系は、3〜15%の範囲内の毛先密度に対して、6N/cmの最小毛先閾圧力をもたらすのに十分な駆動力を与えるモータを含む、マウスピースアセンブリ。
【請求項2】
前記毛フィールドは、歯の表面に向かって前記歯の表面から離れるように略直角で動く、請求項1に記載のマクスピースアセンブリ。
【請求項3】
前記モータは、毛フィールドエリアの少なくとも0.18N/cmの駆動力をもつ、請求項1に記載のマウスピースアセンブリ。
【請求項4】
前記毛フィールドエリアは、4cm〜80cmの範囲内にある、請求項1に記載のマウスピースアセンブリ。
【請求項5】
前記マウスピースレセプタクルは、ユーザの歯の実質的に全てを受けることが可能であり、前記毛フィールドは、前記レセプタクルにより受けられた歯の全てをカバーする、請求項1に記載のマウスピースアセンブリ。
【請求項6】
前記モータにより生成された力は、前記力を約85N/cmのユーザにとって快適である最大値又はそれよりも小さい値に制限する一方で、前記毛が少なくとも6N/cm及びそれよりも大きい毛先圧力で効果的なクリーニングをもたらすように制御される、請求項1に記載のマウスピースアセンブリ。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515539(P2013−515539A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545482(P2012−545482)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055336
【国際公開番号】WO2011/077283
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】