説明

動力機関及び発電システム

【課題】簡素な仕組みで効率よく高粘度油の粘度を低下させることができるようにする。
【解決手段】バイオオイル(高粘度油)とディーゼルエンジン62の排熱を放熱する冷却機構に用いられる冷媒(冷却水)と熱交換させることにより、バイオオイルの粘度を低下させる熱交換器671を設ける。熱交換器671は、冷媒が流通する冷媒流通管6711と、冷媒流通管6711の内部を通り、バイオオイルが流通するバイオオイル流通管6712とを備える。バイオオイル流通管6712は、冷媒流通管6711の内部において螺旋状となる部分を有する。バイオオイルは、バイオオイルが貯留されるバイオオイル貯留タンク61からバイオオイル流通管6712に供給され、バイオオイル流通管6712を流通した後、燃焼室621に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力機関及び発電システムに関し、とくに高粘度油を燃焼させることにより動力を得るエンジンにおいて、簡素な仕組みで効率よく高粘度油の粘度を低下させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対策として、化石燃料に代えてジャトロファなどの植物由来の液体燃料(植物油)を発電所における燃焼システムに利用する試みが行われている。ここで植物油は、元来、粘度が高く、低温下では更に粘度が低下するため、エンジンのノズルにおける油の噴霧が適正に行われず、エンジン内部に不完全燃焼によるカーボンの付着などが生じてしまい、エンジンの駆動に不調をきたしてしまう。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1には、エンジンに供給される植物油をヒータで加熱することで、植物油の粘度を低下させる方法が記載されている。かかる方法によれば、植物油の粘度が低下することで、植物油の噴射が適正に行われ、円滑なエンジンの駆動が実現される。
【0004】
また特許文献2には、バイオ・ディーゼル・フューエル等の高粘度燃料であっても、エンジン始動から短時間で十分に加熱して流動化させることを可能とすべく、液体燃料を吸引作用でディーゼルエンジンに供給する燃料吸引手段と、燃料吸引手段に並列接続され、軽油およびバイオ・ディーゼル・フューエルなどの高粘度燃料の2種類の液体燃料をそれぞれ供給する2系統の燃料供給ラインと、上記燃料吸引手段によりいずれの燃料供給ラインから液体燃料を吸引するかを選択する燃料選択手段とを備え、燃料供給ラインに設けられる高粘度燃料用タンクとディーゼルエンジンとの間に、エンジン潤滑油を循環供給して高粘度燃料を加熱する燃料加熱手段を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―215332号公報
【特許文献2】実用新案登録第3127033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載の方法では、外部からの熱源を確保する必要があるため、コストの上昇を招くという問題がある。
【0007】
また特許文献2記載の方法では、高粘度燃料をタンク内で加熱しているため、植物油由来の高粘度燃料の加熱/冷却が繰り返し行われる可能性があり、高粘度燃料に変質や劣化が生じる可能性がある。
【0008】
またエンジン潤滑油と高粘度燃料とを熱交換させるための熱交換器を高粘度燃料が貯留されるタンク内に設けているため、熱交換器の配管が破損した場合、高粘度燃料にエンジン潤滑油が混合する可能性があり、ディーゼルエンジンの運転に支障を来すおそれがある。また熱交換器をタンク内に設けることで、タンクの構成が複雑化し製造工数や製造コストも増大する。
【0009】
またエンジン潤滑油(エンジンオイル)は、エンジンの潤滑に必要とされる粘度を保つために、その温度が常時適正範囲内に維持されている必要があるが、エンジン潤滑油を高粘度燃料と熱交換させることによりエンジン潤滑油の温度を適正な範囲に維持することが難しくなり、これによりディーゼルエンジンの運転に影響が生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、こうした背景に鑑みてなされたものであり、簡素な仕組みで効率よく高粘度油の粘度を低下させることが可能な動力機関及び発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の一つは、動力機関であって、高粘度油を燃焼させることにより動力を得るエンジンと、冷媒を循環させることにより前記燃焼により生じた熱を放熱する冷却機構と、前記高粘度油と前記冷媒とを熱交換させることにより前記高粘度油の粘度を低下させる熱交換器と、を備えることとする。
【0012】
本発明においては、このようにエンジンの熱を放熱する冷却機構の冷媒と熱交換させることにより高粘度油を加熱してその粘度を低下させるので、エンジンの排熱を有効に利用してエンジンの燃料として適切に用いることが可能な粘度まで高粘度油の粘度を低下させることができる。
【0013】
本発明の他の一つは、上記動力機関であって、前記熱交換器は、前記冷媒が流通する第1の流通管と、前記第1の流通管の内部を通り、前記高粘度油が流通する第2の流通管と、を備え、前記第2の流通管は、前記第1の流通管の内部において螺旋状となる部分を有することとする。
【0014】
熱交換器として上記構造のものを採用することで、高粘度油を冷媒と効率よく熱交換させることができる。これによれば、エンジンの排熱を有効に利用してエンジンの燃料として適切な粘度まで高粘度油の粘度を低下させることができる。
【0015】
本発明の他の一つは、上記動力機関であって、前記第2の流通管を流通する前記高粘度油は、前記高粘度油が貯留されているタンクから供給され、前記高粘度油は、前記第2の流通管を流通した後に前記燃焼室に導かれることとする。
【0016】
本発明によれば、高粘度油は、タンクから第2の流通管に供給され、その後に燃焼室に導かれることとなる。このように高粘度油はタンクの外部で加熱されるので、タンクの内部で高粘度油を加熱する場合に比べて加熱の対象となる高粘度油が少なくて済む。これによれば、エンジンの排熱を有効に利用してエンジンの燃料として適切な粘度まで高粘度油の粘度を低下させることができる。
【0017】
本発明の他の一つは、上記動力機関であって、前記エンジンは、軽油と前記高粘度油の少なくともいずれかを燃焼させる燃焼室と、前記冷却機構を構成し前記冷媒を冷却するラジエータとを備えたディーゼルエンジンであり、前記冷媒は、前記燃焼室、前記熱交換器、及び前記ラジエータを順に循環することとする。
【0018】
また本発明の他の一つは、発電システムであって、高粘度油を燃焼させることにより動力を得るエンジンと、冷媒を循環させることにより前記燃焼により生じた熱を放熱する冷却機構と、前記高粘度油と前記冷媒とを熱交換させることにより前記高粘度油の粘度を低下させる熱交換器と、前記高粘度油の原料を焙煎する焙煎装置と、前記焙煎装置により焙煎された後の前記原料から前記高粘度油を抽出する搾油装置と、前記搾油装置により抽出された前記高粘度油を濾過する濾過器と、前記濾過後の前記高粘度油が貯留されるタンクと、前記エンジンの動力により発電を行う発電機とを備えることとする。
【0019】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡素な仕組みで効率よく高粘度油の粘度を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】発電システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】バイオオイル加熱装置67に用いる熱交換器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に一実施形態として説明するバイオオイル発電システム(以下、発電システム1と称する。)の概略的な構成を示している。同図に示すように、発電システム1は、焙煎処理部10、搾油部20、ブリケット部30、脱リン処理部40、濾過部50、及び発電部60を備える。
【0023】
焙煎処理部10は、高粘度油であるバイオオイル燃料(以下、バイオオイルと称する。)の原料となる種子を焙煎(乾燥)するための焙煎装置11を含む。バイオオイルの原料となる種子は、例えば、ジャトロファ(Jatropha curcas)、パーム(Palm)、大豆(Soy bean)、菜種(Rapeseed)、ひまわり(Sunflower)、ココナッツ(Coconut)などであるが、必ずしもこれらに限られるわけではない。また高粘度油の原料は必ずしも種子に限られず、植物油、廃食油等、他の種類の高粘度油であってもよい。
【0024】
搾油部20は、焙煎処理部10にて焙煎された種子から租油を抽出する搾油装置21、搾油装置21によって抽出された租油が貯留される租油容器22、搾油によって生じた残渣が貯留される残渣容器23、及び租油を濾過する租油濾過器24を含む。
【0025】
ブリケット部30は、搾油部20の残渣容器23に貯留された残渣からブリケット(Briquet:豆炭)を生成するブリケット装置31を含む。ブリケット部30にて生成されたブリケットは、例えば、当該発電システム1外に搬出され、燃料用途などに利用される。
【0026】
脱リン処理部40は、搾油部20の租油濾過器24にて濾過された後の租油からリン成分を除去する脱リン処理を行う。脱リン処理によって、後述するディーゼルエンジン62の運転の妨げ(デポジットの生成/堆積、燃料漏れ等)となるリン成分が除去される。
【0027】
濾過部50は、租油を脱リン処理することにより生成されるバイオオイルを加圧する加圧ポンプ51、加圧されたバイオオイルを脱水/濾過するフィルタープレス52を含む。
【0028】
発電部60は、濾過部50にて脱水/濾過された後のバイオオイルが貯留されるバイオオイル貯留タンク61、軽油又は高粘度油を燃焼させることにより動力を得るディーゼルエンジン62、軽油が貯留される軽油タンク63、後述する燃焼室621に軽油又は高粘度油を噴射する燃料噴射装置64(Fuel Injection System)、燃料噴射装置64に燃料を供給する燃料供給装置65、軽油タンク63と燃料供給装置65との間に設けられる燃料フィルタ66、バイオオイル貯留タンク61から供給されるバイオオイルを加熱(加温)するバイオオイル加熱装置67、バイオオイル加熱装置67と燃料供給装置65との間に設けられるバイオオイルフィルタ68、及びディーゼルエンジン62の動力を利用して発電を行う発電機69を含む。尚、発電部60のうち発電機69を除く構成によって動力機関が構成される。
【0029】
ディーゼルエンジン62は、1つ以上のピストン/シリンダ構成を含む燃焼室621、燃焼室621に燃焼に必要な空気を導く吸気マニホールド622(Intake manifold)、排気を燃焼室621の外部に排出させる排気マニホールド623(Exhaust manifold)、排気マニホールド623から排出される排気のエネルギーを利用して圧縮した外気を吸気マニホールド622に供給する過給器624、及び燃焼室621の排熱を吸収した冷媒を冷却する冷却機構を構成するラジエータ625(Radiator)を備える。
【0030】
過給機624は、例えば、ターボチャージャー(Turbocharger)やスーパーチャージャー(Supercharger)などである。
【0031】
ラジエータ625は、例えば、ディーゼルエンジン62のウォータージャケットに循環させる冷媒が流通しその外面に複数のフィンが設けられた多数の細管を備えて構成される。冷媒は、例えば、ロングライフクーラント(LLC:Long Life Coolant)や不凍液が添加された冷却水である。冷媒は、ラジエータ625、燃焼室621、及びバイオオイル加熱装置67が備える後述の熱交換器を循環する。
【0032】
燃料供給装置65は、ディーゼルエンジン62の動作中に軽油タンク63から供給される軽油、又はバイオオイル貯留タンク61から供給されるバイオオイルを燃料噴射装置64に供給する。燃料供給装置65は、三方弁等を用いて構成され、軽油又はバイオオイルのいずれかを選択して燃料噴射装置64に供給する。尚、燃料供給装置65は、必ずしも軽油又はバイオオイルのいずれか一方のみを択一的に選択するのではなく、両者を混合して燃料噴射装置64に供給するものであってもよい。その場合、燃料供給装置65は、例えば、バイオオイルの温度、外気温、軽油タンク63の軽油残量、バイオオイル貯留タンク61のバイオオイル残量、燃焼室621の外壁温度、燃焼室621内の温度、ディーゼルエンジン62の回転数、発電機69の出力、発電機69の出力を利用する負荷の電力消費量等をパラメータとする制御を行って軽油とバイオオイルの混合比を調節する。
【0033】
バイオオイル加熱装置67は、ディーゼルエンジン62の排熱を利用してバイオオイルを加熱する。具体的には、ラジエータ625を流通する冷媒は、ラジエータ625から配管81を通って燃焼室621に導かれた後、配管82を通ってバイオオイル加熱装置67に流入し、バイオオイル加熱装置67から配管83を通って再びラジエータ625に導かれる。一方、バイオオイルは、バイオオイル貯留タンク61から配管71を通ってバイオオイル加熱装置67に流入し、ここで冷媒と熱交換して加熱された後、配管72を通って燃料供給装置65に導かれる。
【0034】
ここで冷媒の温度はディーゼルエンジン62が備える温度調節機構によって適正範囲内に自動的に維持される。即ちラジエータ625や燃焼室621にて温度センサ等を用いて計測される冷媒の温度が上昇すると、温度調節機構は三方弁の開度を調節してラジエータ625への冷媒の流入量を増大させる。また冷媒の温度が低下すると、温度調節機構は三方弁の開度を調節して燃焼室621への冷媒の流入量を増大させる。
【0035】
このようにディーゼルエンジン62の温度調節機構によって冷媒の温度が適正範囲内に常に自動的に維持されるので、この冷媒と熱交換されるバイオオイルの温度も適正範囲内に維持される。またディーゼルエンジン62の温度調節機構は、例えば、冷却水の温度が危険温度(例えば100°C)を超えるとディーゼルエンジン62を自動停止させるので、バイオオイルの温度が極端に上昇してディーゼルエンジン62の運転に影響を与えるようなこともない。
【0036】
図2にバイオオイル加熱装置67が備える熱交換器671の一例を示している。この熱交換器671は、中空円筒状の冷媒流通管6711と、その一部が冷媒流通管6711の内部に存在し冷媒流通管6711よりも小さな径のバイオオイル流通管6712とを備える。尚、同図は冷媒流通管6711をその中心軸を面内に含む長手方向の切断面で切断した構造図である。同図に示すように、冷媒流通管6711の一方の端面付近の側面には、冷媒流通管6711の管内に冷媒を流入させる流入孔6713が設けられている。また冷媒流通管6711の他方の端面付近の側面には、冷媒流通管6711の管内から管外に冷媒を流出させる流出孔6714が設けられている。
【0037】
バイオオイル流通管6712の管内にはバイオオイルが流通される。バイオオイル流通管6712の一端は、冷媒流通管6711の一方の端面6715を貫通し、バイオオイル流通管6712の他端は冷媒流通管6711の他方の端面6716を貫通する。
【0038】
冷媒流通管6711の管内の少なくとも一部において、バイオオイル流通管6712は、冷媒流通管6711と同軸に螺旋状に延出しており、これによりバイオオイル流通管6712を流通するバイオオイルと冷媒流通管6711を流通する冷媒との間で効率よく熱交換が行われる。尚、このようにバイオオイルと冷媒との間の熱交換効率を向上させることで、排熱が少ない場合(例えば、ディーゼルエンジン62の回転数を下げている場合、ディーゼルエンジン62が小型である場合など)でも、バイオオイルを充分に加熱することができ、バイオオイルの粘性を燃料として利用するために必要な粘度に常時保つことができる。またバイオオイルと冷媒との間の熱交換が効率よく行われることでバイオオイルの熱交換器671内の滞留時間が短くて済み、ディーゼルエンジン62の運転に要求される量のバイオオイルを安定して供給することができる。
【0039】
以上の仕組みによれば、バイオオイルの粘度を低下させるためにヒータ等の加熱装置を別途設ける必要がなく、簡素な仕組みで効率よく高粘度油の粘度を安定して低下させることができる。また加熱に必要なエネルギーを外部から供給する必要がないため、発電システム1全体の発電効率(出力エネルギー/投入エネルギー)を低下させることなく、高粘度油を加熱する仕組みを実現することができる。
【0040】
またバイオオイル貯留タンク61と燃料供給装置65との間に、バイオオイル貯留タンク61とは別体の構成としてバイオオイル加熱装置67を設けているので、バイオオイル貯留タンク61に構成変更を加えることなく、高粘度油を加熱する仕組みを実現することができる。これによれば発電システム1の構築工数や構築コストを低く抑えることができる。
【0041】
また本実施形態の発電システム1では、バイオオイルをバイオオイル貯留タンク61に貯留されている状態で加熱するのではなく、配管71を介してバイオオイル貯留タンク61からバイオオイル加熱装置67に導いた後、バイオオイル加熱装置67において加熱するようにしている。このため、バイオオイルをバイオオイル貯留タンク61にて加熱する場合のように、バイオオイルの加熱/冷却が繰り返されることがなく、バイオオイルの劣化を効果的に防ぐことができる。
【0042】
また加熱されたバイオオイルはバイオオイルフィルタ68を通過して直ちに燃料供給装置65に供給されるので、低粘度を保ったままバイオオイルを燃料供給装置65に供給することができる。またバイオオイル加熱装置67と燃料供給装置65とを結ぶ配管72の長さを短くすることができるので構築コストを低く抑えることができる。
【0043】
また本実施形態の発電システム1では、バイオオイル加熱装置67をバイオオイル貯留タンク61とは別体に設けており、必要量のバイオオイルのみが冷媒と熱交換される構成であるため、熱交換器671に破損等が生じた場合でもバイオオイルへの冷媒の混入量がバイオオイル貯留タンク61内で熱交換する場合に比べて少量で済み、ディーゼルエンジン62の運転に与える影響を抑えることができる。またバイオオイル貯留タンク61に特別な仕組みや構成を設ける必要もない。
【0044】
また冷却機構における冷媒をバイオオイルと熱交換させることで、冷媒の量を増加させる必要があるが、ディーゼルエンジン62の冷却に用いる冷媒(例えば水)は、通常はエンジン潤滑油などに比べて安価であるので、冷媒の量を増加させることにより生じるコストが少なくて済む。
【0045】
また冷却機構における冷媒の主な冷却対象は、燃焼室621など構成及びエンジン潤滑油であるが、本実施形態の発電システム1では、これらの冷却対象からの排熱を吸収した後の冷媒をバイオオイル加熱装置67に導入してバイオオイルと熱交換させている。ここで上記排熱は通常は何ら有効利用されることなくラジエータ625にて放出されてしまうものであるが、本実施形態の発電システム1ではこの排熱を利用してバイオオイルを加熱しており排熱が有効に利用されている。そのため、このことによっても発電システム1全体の効率が向上することになる。
【0046】
またバイオオイル貯留タンク61を濾過部50の後段に設けているため、バイオオイル貯留タンク61内に搾油後の租油に含まれている夾雑物が堆積してしまうのを防ぐことができる。また濾過部50をバイオオイル貯留タンク61の前段に設けているので、濾過済のバイオオイルをバイオオイル貯留タンク61に直接供給することができ、購入等によって取得した濾過済のバイオオイルなどについてもそのまま利用することができる。
【0047】
以上に説明したように、本実施形態の発電システム1によれば、高粘度油を、燃焼により生じた熱を放熱する冷却する冷却機構に用いる冷媒と熱交換させることにより加熱してその粘度を低下させるので、ディーゼルエンジン62の排熱を有効に利用して高粘度油の粘度を低下させることができる。そのため、簡素な仕組みで効率よく高粘度油の粘度を低下させる仕組みを実現することができる。またこれによればディーゼルエンジン62を効率よく安定して動作させることができ、発電機69を安定して動作させることができる。
【0048】
尚、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、本発明の適用対象となる動力機関は、以上に説明した構成のものに限られず、高粘度油を燃焼させることにより動力を得るエンジンに幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 発電システム
10 焙煎処理部
20 搾油部
60 発電部
61 バイオオイル貯留タンク
62 ディーゼルエンジン
625 ラジエータ
63 軽油タンク
64 燃料噴射装置
65 燃料供給装置
66 燃料フィルタ
67 バイオオイル加熱装置
671 熱交換器
6711 冷媒流通管
6712 バイオオイル流通管
6713 流入孔
6714 流出孔
68 バイオオイルフィルタ
69 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高粘度油を燃焼させることにより動力を得るエンジンと、
冷媒を循環させることにより前記燃焼により生じた熱を放熱する冷却機構と、
前記高粘度油と前記冷媒とを熱交換させることにより前記高粘度油の粘度を低下させる熱交換器と、
を備えることを特徴とする動力機関。
【請求項2】
請求項1に記載の動力機関であって、
前記熱交換器は、前記冷媒が流通する第1の流通管と、
前記第1の流通管の内部を通り、前記高粘度油が流通する第2の流通管と、
を備え、
前記第2の流通管は、前記第1の流通管の内部において螺旋状となる部分を有する
することを特徴とする動力機関。
【請求項3】
請求項2に記載の動力機関であって、
前記第2の流通管を流通する前記高粘度油は、前記高粘度油が貯留されているタンクから供給され、前記高粘度油は、前記第2の流通管を流通した後に前記燃焼室に導かれる
ことを特徴とする動力機関。
【請求項4】
請求項1に記載の動力機関であって、
前記エンジンは、軽油と前記高粘度油の少なくともいずれかを燃焼させる燃焼室と、前記冷却機構を構成し前記冷媒を冷却するラジエータとを備えたディーゼルエンジンであり、
前記冷媒は、前記燃焼室、前記熱交換器、及び前記ラジエータを順に循環する
ことを特徴とする動力機関。
【請求項5】
高粘度油を燃焼させることにより動力を得るエンジンと、
冷媒を循環させることにより前記燃焼により生じた熱を放熱する冷却機構と、
前記高粘度油と前記冷媒とを熱交換させることにより前記高粘度油の粘度を低下させる熱交換器と、
前記高粘度油の原料を焙煎する焙煎装置と、
前記焙煎装置により焙煎された後の前記原料から前記高粘度油を抽出する搾油装置と、
前記搾油装置により抽出された前記高粘度油を濾過する濾過器と、
前記濾過後の前記高粘度油が貯留されるタンクと、
前記エンジンの動力により発電を行う発電機と
を備えることを特徴とする発電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の発電システムであって、
前記熱交換器は、前記冷媒が流通する第1の流通管と、
前記第1の流通管の内部を通り、前記高粘度油が流通する第2の流通管と、
を備え、
前記第2の流通管は、前記第1の流通管の内部において螺旋状となる部分を有する
することを特徴とする発電システム。
【請求項7】
請求項6に記載の発電システムであって、
前記第2の流通管を流通する前記高粘度油は、前記高粘度油が貯留されているタンクから供給され、前記高粘度油は、前記第2の流通管を流通した後に前記燃焼室に導かれる
ことを特徴とする発電システム。

【図1】
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【図2】
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