説明

動力織機用の軸フレーム及びヘドルシャフト

ほとんど遊びなしで又は遊びなしで保持されたヘドル(3)を有するヘドルシャフト(1)は、少なくとも1つのヘドル保持レール(7)を有する。このヘドル保持レールは、全体的にヘドル(3)を弾性的に張るために移動可能に保持されるか、少なくとも1つの移動可能に保持された部分(55)を有する。ばね手段(16,56)は、遊びなしで前記ヘドルを保持するために各ヘドル(3)のヘドルヘッド(5)に引張力を加える働きをする。これにより、ヘドルがヘドル保持レールに食い込まず、また過度の騒音を作らずに、このようなヘドルシャフトを具備した動力織機の高い操作速度が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には動力織機用の軸フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
動力織機のシャフト(ヘドルシャフトとも呼ばれる)は、ヘドルが保持された軸フレームで形成される。ヘドルはどれも、はと目を通るたて糸用のはと目を有する。ゆえに、ヘドルの長手方向へのシャフトの運動はたて糸をたて糸の面から移し、例えばよこ糸を入れるために杼口(シェッド)が形成される。
【0003】
現代の動力織機では、ヘドルシャフトは前後に高速で動く。加速とブレーキ力が非常に大きく、原則として軸フレームに幾らか遊びをもって保持されたヘドルは軸受に当たり、そこに食い込む。このプロセスは騒音と磨耗を発生させ、動力織機の操作速度を制限する。
【0004】
ゆえに、これまで軸フレーム上のヘドルの遊びを減らす試みがなされてきた。この目的に対して、特許文献1は、各ヘドルのヘドルヘッドに細く寸法決めされた横溝を設けることを提案する。軸フレームの一部である、駆動保持レールのジブ状の突出部はこの溝に属する。しかし、このための必要条件はヘドルヘッドの適切な適合である。さらには、ヘドルヘッドに導かれる力は比較的に選択的である。
【0005】
特許文献2から、柔軟なストッパを具体化するために、減衰特性を有する細長い材料をヘドルヘッドに向いた軸フレームのフランクに配置することが知られている。このストッパは、ヘドルヘッドが周期的にそれに当たるとき磨耗しやすい。
【0006】
特許文献3から、遊びなしでヘドルをヘドルフレームに固定することが知られている。この目的のために、ヘドルヘッドに達するヘドル保持レールが伸張可能な要素を有する。この要素は、例えば流体の影響を受けやすいホースで形成される。伸張していない状態では、ヘドルヘッドはヘドル保持レール上を滑ることができる。この要素が流体の影響で伸張する場合、ヘドルヘッドはヘドル保持レールにしっかり締付けられる。従って、それは遊びなしで取り付けられる。
【0007】
この実施形態は比較的複雑で高価である。
【0008】
【特許文献1】German Utility Model G 9413705
【特許文献2】DE 19962977A1
【特許文献3】EP 0874930B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこを出発点として、本発明の目的は、ほとんど苦労せず安価で、また高い信頼性で、動力織機の操作速度を増加させることができるヘドルシャフトを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1で定められる軸フレームにより達成される。
【0011】
本発明の軸フレームでは、ヘドル保持レールが全体的に弾性的に保持されるか、ヘドルヘッドで1つ又は複数のヘドルを受けるために少なくとも1つの弾性的に保持された部分を有する。結局、ヘドルは予圧により保持される。予圧はヘドルヘッド内でのみ吸収され、ヘドルは休止状態で力なしで保持される。または、弾性的に保持されたヘドル保持レール又は弾性的に保持された部分によって、ヘドルが向かい合ったヘドル保持レールに対して全体的に張られるので、ヘドルを介して力が加えられる。ヘドルに一定に加えられ、またある意味ではへドル保持レールのばね手段で発生する引張力はヘドルを強化するので、後者が好ましい。ゆえに、ヘドルは全体として遊びなしで軸フレームに固定して保持される。それで、高い操作速度でも当たらず、ガタガタ音がすることもない。さらには、キンク耐性のないヘドルを使用することができる。しかしながら、必要ならば、ヘドルに長手方向に延びるエッジやチャネルを設けることによるヘドルの硬化が可能である。
【0012】
第1実施形態のヘドル保持レールは固定して具体化され、またヘドルの長手方向に一致する方向にばね手段によって全体的にヘドルフレームに予圧される。この予圧により遊びがなくなり、力がヘドルフレームからたて糸に伝わる際、ヘドルが常に張られたままになる。この予圧が生じさせる力は空気圧装置、油圧装置又はばねによって発生する。
【0013】
有利な実施形態では、ばね手段及び/又はヘドル保持レールは、ばね手段の動きを阻止するために配置された調節装置として割り当てられる。調節装置はこのようにして起動すると、ヘドル保持レールを所定の位置にロックする。この位置は、ヘドルがヘドル保持レール上を横に自由に移動できるように選択されるのが好ましい。言い換えれば、この状態では、保持レール間隔は本質的にヘドルヘッド間隔と一致し、ヘドル保持レールはヘドルヘッドの開口に比べて小さい。逆に、調節装置が十分開き、ばね手段が作動すると、ヘドル保持レールの互いの間隔は非常に大きくなるので、両方のヘドルヘッドに存在する遊びがなくなり、ヘドルが張られる。別な選択肢として、ヘドル保持レールの部分だけが移動可能に保持され、ばねで予圧される実施形態では、1つのヘドルヘッドにおいてのみ遊びが取り除かれる。さらにこのバージョンでは、ヘドル保持レールの移動可能に保持された部分をヘドルを全体的に張るために用いることも可能である。
【0014】
ヘドル保持レールは2つのばね足を有する。これらのばね足は互いに離れる方へ向き、また弾性的に変形する際回転運動するリップ(唇)のように具体化される。このバージョンでは、部分が互いに対して張られた分離したヘドル保持レールを有するバージョンと同じく、遊びのないヘドルヘッドの収容が実現できる。この実施形態には、隣接するヘドルのヘドルヘッドの幅の点で複数のバリエーションが補償されるという利点がある。これは、部分が非常に薄い部材で具体化され、従って隣接する点で弾性的に外側に様々に偏向する場合に特に適用できる。
【0015】
ヘドル保持レールが固定して具体化され、ばね手段によりヘドルフレームに対して全体的に加圧(予圧)される実施形態では、ヘドルヘッドが一体化したばね手段を有すると有利である。結局、ヘドルヘッド製造の複数の製造バリエーションが補償され、従って、全てのヘドルヘッドが引張力で張られることが保証される。
【0016】
互いに離れた少なくとも3つの駆動点におけるレバー機構のような駆動手段に軸フレームを連結することが好ましい。駆動点は、ヘドル保持レールと平行に延びる横桁の長さにわたって位置する。駆動点は、動荷重を受けた横桁のたるみが最小になるように選択される。弾性的に保持され又は弾性的に具体化されたヘドル保持レールは好ましくは、駆動点の向かいに位置する軸フレームの面に配置される。従って、ヘドルの固着保持は軸フレームの硬い部分に行われる。力の導入は複数の駆動点に分散するので、この部分は僅かな変形を受けるだけである。向かいの軸フレーム(又は横桁)は、動荷重のために幾らか大きい変形を受けやすい。この軸フレームは、2つの端だけで、適当な支柱を介して前記の第1横桁と結合する。しかしながら、この変形は、弾性的なヘドル保持レール又は弾性的なサスペンションによって素早く補償される。全体として、この特徴も同様に、使用できる動力織機の操作速度を増加させる。
【0017】
ばね手段がヘドル保持レールの部分であり、ヘドル保持レールが全体的に弾性的に具体化され、又は少なくとも1つの弾性的に保持された部分を有する場合、ヘドルヘッドがほんの僅かな遊びを有してヘドル保持レールに着座するように、ヘドル保持レールの寸法とヘドルヘッドの開口の比は決められる。ヘドル保持レールの弾力のある実施形態やその部分の弾性的な保持は、この場合、ヘドルシャフトの往復運動におけるヘドルヘッドのヘドル保持レールへの衝撃を減衰させるのに利用でき、従って衝撃を無害にする。
【0018】
本発明の有利な実施形態の別な詳細は、図面、明細書又は請求項のテーマである。本発明の実施例は図面に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は動力織機(別に図示せず)のヘドルシャフト1を示す。ヘドルシャフト1は軸フレーム2を有する。軸フレームは互いに平行に配置された複数のヘドル3を担持する。説明のために、図1は5つの別個のヘドル3a,3b,3c,3d,3eだけを示す。実際は、近い間隔で非常に多数のヘドルがある。ヘドル3はどれもはと目4(4a,4b,4c,4d,4e)をほぼ中央に有する。それぞれのはと目を、それぞれのたて糸が通る。ヘドル3はどれも各端部にヘドルヘッド5,6(5a,5b,5c,5d,5e;6a,6b,6c,6d,6e)を具備している。それによりヘドル3はヘドル保持レール7,8上に保持される。ヘドル保持レール7,8は軸フレーム2で保持され、互いに間隔を置いて、軸フレーム2の運動の方向Bに対して横に平行に延びる。この方向はヘドル3の長手方向に一致する。ヘドル保持レール8は軸フレーム2に固定して保持される。このフレームは、下側横桁9、上側横桁11及び2つの横支柱12,13を有する。横支柱は横桁9、11の端に結合し、運動の方向Bに延びる。
【0020】
ヘドル保持レール7は横桁11のごく近傍に位置し、運動の方向Bに横桁に対して移動できるように保持される。この目的は、一連の引張要素14(14a〜14n)で満たされる。これらは横桁11を通って延び、それぞれが適切な案内穴15(15a〜15n)を通る。引張要素14はそれぞれ、圧縮ばねの形状の各ばね手段16(16a〜16n)により横桁11に対して張られる。ばね手段16の動きの方向は、ヘドル保持レール7が横桁11に向かって、横桁9と他方のヘドル保持レール8から離れて張られる方向である。
【0021】
ヘドルシャフト1の実施形態は図2の断面図からも分かる。この部分は支柱12のごく近傍に作られる。引張要素14a、ヘドル3a及びばね手段16aは、それらの後ろに位置する各引張要素、ヘドル及びばね手段を隠す。これら要素はどれも同一に具体化され、以下の記述は文字a〜e、a〜nで識別される全ての要素に同様に当てはまる。
【0022】
ヘドルヘッド5は断面がC形に具体化される。ヘッドは長円形の開口17を有する。その端部は一方の面18で開いている。開口17に取り付けられたヘドル保持レール7は、長方形の断面を有する。ヘッドは必要に応じて上部21と下部22を丸められる。それは例えば鋼やアルミニウムででき、図1に見られるように軸フレーム2の幅全体に延びる。
【0023】
ほぼ中央で、すなわち高さの中間で、引張要素14はヘドル保持レール7に取り付けられる。引張要素は、例えばヘドル保持レール7の平らな面から離れて初めに直角に延びる平らな又は丸い断面部分で形成される。引張要素は、ヘドルヘッド5がそれらに接触しないように配置される。ヘドル保持レール7から適当な距離を置いて、断面部分は上方へ鋭く曲がり、横桁11の方向に延びる。ヘドル保持レール7の上で、引張要素14は再び直角に曲がる。それで、案内穴15を通って延びる足23は、ヘドル保持レール7と同じ面に位置する。従って、足23はヘドル3と一直線になる。その端では、足23は圧力板24を有する。ばね要素16はこの圧力板と横桁11の間に支持される。
【0024】
ヘドルヘッド6はヘドル保持レール8に着座している。このレールは長方形断面の鋼断面部分として具体化され、その上部及び下部は好ましくは丸い。ヘドルヘッド6の開口の周囲の縁は横が開いており、ヘドル保持レール8から横に突出した装着部25はヘドルヘッドに接触しない。
【0025】
ばね手段16が緩んでいるとき、ヘドル保持レール7の上部21とヘドル保持レール8の下部26の間隔は、ヘドル3で定められるヘドルヘッド5の上側内部とヘドルヘッド6の下側内部の間隔より幾らか大きい。ヘドル保持レール7及び8の中間をヘドル保持レール間隔の寸法基準として考え、ヘドルヘッド5,6の中間をヘドルの長さの寸法基準として考えると、保持レール間隔Sはヘドルヘッド中央間隔Aより大きい(図2参照)。
【0026】
平らな材料を有する図8に示されたヘドル3は、平らな帯状のヘドル保持レール7,8の間で延びる。少なくとも1つの端、例えば上側の端で、ヘドル3は、ヘドル3をヘドル保持レール7に固定する役割をするヘドルヘッド5を有する。ヘドルヘッド5は、ヘドル3の運動の方向Bに向いた顎状開口17を有する。これにより、ヘドル3はジブ61に保持される。ジブは、上側ヘドル保持レール7に一体結合するのが好ましい。ジブ61は、ヘドル3の長手方向Bに上方へ突出するリブを有し、クロスピース62を介して、ジブ61と平行に向いたヘドル保持レール7の延長部63に結合している。ジブはその上部は丸い。同様にヘドルヘッド5の顎状開口17もこの領域では丸い。
【0027】
ばね手段14は、開口17の反対側のヘドルヘッド5の面に具体化され、このばね手段によって、ヘドルヘッド5はジブ61の向かい側に位置する圧力面65に装着される。圧力面65は例えばヘドル保持レール7に具体化される。
【0028】
ばね手段64は、例えば開口66を具備したヘドルヘッド5の一部で形成される。この開口はヘドルの運動方向に横にヘドルヘッド5を通って延びる。この部分は凹部17と隣接して延び、好ましくは残りのヘドルヘッドと同じ材料である。ばね手段64のために、ヘドルヘッド5とヘドル3は遊びなしでヘドル保持レール7に締付けられる。
【0029】
ばね要素64の他の実施形態も可能である。決定的なことは、ヘドル3がヘドル保持レール7,8に弾性的に締付けられることである。
【0030】
図1から分かるように、下側横桁9は3つの駆動点27,28,29で駆動機構と連結している。この駆動機構は本実施例では、3つのベルクランクレバー32,33,34と、押し引きを伝える連結棒状のロッド35,36,37を備えたレバー機構で形成される。ロッド35,36,37はベルクランクレバー32,33,34を駆動点27,28,29に連結する。駆動点27,28,29と隣接する横桁9の部分が総合的にほぼ一様に変形するように、駆動点27,28,29は配置される。ベルクランクレバー32,33,34の他方の端は共通の駆動ロッド38に回転可能に連結している。このロッドの往復運動がヘドルシャフト1を運動の方向Bに移動させる。
【0031】
これまで述べたヘドルシャフト1は以下のように機能する。
【0032】
一度ヘドルシャフト1が全てのヘドル3を具備すると、これらへドルはヘドル保持レール7,8の間で張られる。ヘドル保持レール7は、ヘドルヘッドの5の対応する内側喉部に上部21で当接する。ばね16はヘドル保持レール7をヘドルヘッド5に対して張る。他方のヘドルヘッド6によって、ヘッド3はヘドル保持レール8に保持される。ヘッドはヘッド開口の内部によってヘドル保持レール8の下面26に押し付けられる。ヘドルシャフトが、駆動機構31によって全て素早く連続して、上方へ加速し、またブレーキをかけ、停止し、下方へ加速し、またブレーキをかけ、再び停止するとき、ばね手段16は、ヘドル保持レール7と係合する発生する加速力より大きい引張力をヘドル3に加える。結局、ヘドルヘッド5,6はヘドル保持レール7,8に均一に接触し続ける。ヘドルはガラガラ音をたてない。3つ又はそれ以上の点で力が導入されるので、下側横桁9は極めて僅かに変形するだけである。上側横桁11の動的変形は、ばね手段16による分離のため、ヘドル保持レール7に伝わらない。結局、他のバージョンと比べて、高い操作速度でのヘドルの位置決めの精度が上がる。
【0033】
説明した実施形態では、ヘドルシャフト1がヘドル3を装備しているとき、ヘドル3は張られたままヘドル保持レール7,8上を滑る。逆に、図3に概略を示した有利な実施形態では、ヘドル3を遊びを持ったままヘドル保持レール7,8上を滑らせるためにばね手段16の働きを停止させることもできる。そのためにロック装置41が設けられる。これにより、ヘドル保持レール7は静止の位置でロックされる。静止の位置は、保持レール間隔Sがヘドルヘッド間隔Aとほぼ一致するように定められる。例えばロック装置は、横桁11上を垂直に、すなわち運動の方向Bに移動できるように保持された圧力レール42で形成される。さもなければ、それはヘドル保持レール7の全長にわたって延びる。圧力レール42は上側突出部43を有する。この突出部は、圧力レールの終端位置を定める停止手段として働く。下側突出部44は、ばね要素16を張ったままにするために、ばね要素16の力と逆に直角に曲がった点で引張要素14を下方に押す働きをする。例えば螺子の形状の調節装置45、ウェッジギヤ又は図示したような流体作動する伸張要素が、ヘドル保持レール7を下側位置にロックするために、圧力レール42を制御して下方に移動させる働きをする。調節装置45の働きを停止させると、ヘドル保持レールの運動は再び解放され、ばね手段16がヘドル3を張る。
【0034】
この実施形態では、初めにヘドルを張らず、またオプションで操作速度を減少させて動力織機を始動させることができる。それで全てのヘドル3が自由に横に移動可能である。次いで、ヘドルは徐々にそれら自体の操作位置につく。一度織機が十分な速度まで作動すると、調節装置45は働かなくなり、ばね手段16が機能する。次いで、ヘドルはそれぞれの場所でしっかり締付けられる。その後、ヘドルがガラガラと音をたてず、また軸フレームに当たらずに動力織機の操作速度は所望の程度まで増加する。
【0035】
図4及び5は、上側へドル保持レール7の点でヘドルシャフト1の変形実施形態を示す。前記の実施例と異なり、このヘドル保持レールは固定していないが、代わりに本質的に柔軟である。そのために、図4から分かるように、それはCの形状に曲がった2つのばねレール7a,7bで形成される。これらは水平面Hに対して互いに対称的に具体化される。上部では、ばねレール7aは接触領域としてU字部分を有する。梁領域46から離れて位置するその足47は対称面Hに向かって延びる。この面に達する前に、足47は梁領域46に向かって鈍角で曲がる。次いで、この足47の端は再び曲がり、平らな梁領域46に平らに当接することになる。結局、U字部分と隣接する足47の領域は梁領域46と平行に延びる。連結点48では、足47は、例えば溶接により梁領域46と結合する。
【0036】
保持レール部分7a,7bは弾力のあるリップのように具体化され、それぞれ約10°〜30°(実施形態に依存する)の鋭角α,βで枢動する。図5が示すように、変形していないヘドル保持レール7が非常に僅かな遊びS1,S2でヘドルヘッド5を収容するように、寸法は決められる。遊びは1mm未満であるのが好ましく、それは非常に僅かであるので、高い操作速度でも過度の騒音が生じない。柔軟な保持レール部分7a,7bが弾性緩衝材として働き、従ってヘドル3の加速及びブレーキの際の衝撃と震動を保護のために吸収する。
【0037】
別な選択肢として、ヘドル保持レール7は図6,7のように具体化される。図6はこれをほぼ実際の大きさで示す一方、図7は内部構造を示す。このヘドル保持レール7は、梁領域46に固定して保持された上側部分51を有する。この部分は断面がほぼU字であり、1つの短足52と1つの長足53を有する。長足53は梁部分46から間隔を置いて平行に保持される。従って、部分51は非対称なU字チャネルを形成する。開口54が長足53に作られ、その開口を通って第2部分55の延長部が延びる。この第2部分も同様に非対称であり、U字である。この延長部は遊びを有して開口54に取り付けられ、それで部分55はある限られた遊びで部分51に対して上下に移動できる。圧縮ばね56が、可能ならば予圧によって、部分51,55の間に取り付けられる。その外形、すなわちこのようにして形成されたヘドル保持レール7の図7に示された高さhは、ヘドルヘッド5の開口の内側の幅より幾らか大きいのが好ましい。別な選択肢として、非常に僅かな遊びが設けられてもよい。これにより、ヘドルヘッドはヘドル保持レール7上をほとんど横に移動できないが、非常に僅かなので、ヘドルヘッドは保持レール7上でガタガタ音をたてない。
【0038】
図4〜7におけるヘドル保持レール7は、ヘドルを張らないヘドルヘッドの張り収容という基本概念を実行する。保持レール部分7a,7b(ばね足)又は圧縮ばね56の形状のそれぞれのばね手段は、ヘドルヘッド5に完全に保持される。それに対して、ばね手段16は他方のヘドル保持レール8に対してヘドルを張る。保持レール間隔Sとヘドルヘッド間隔Aの比が図2に示されるように記述されれば、これは図5又は7の実施形態によって実現できる。その目的のために、図7のヘドル保持レール7がある程度回転する。すなわち、全体的にヘドル3を張るために、固定して保持された部分51は下方に向き、移動可能に保持された部分55は上方に向く。
【0039】
ほとんど遊びなしで又は遊びなしで保持されたヘドル3を有するヘドルシャフト1は、少なくとも1つのヘドル保持レール7を有する。このヘドル保持レールは、全体的にヘドル3を弾性的に張るために移動可能に保持されるか、少なくとも1つの移動可能に保持された部分55を有する。ばね手段16,56は、遊びなしで前記ヘドルを保持するために各ヘドル3のヘドルヘッド5に引張力を加える働きをする。これにより、ヘドルがヘドル保持レールに食い込まず、また過度の騒音を作らずに、このようなヘドルシャフトを具備した動力織機の高い操作速度が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】駆動機構を備えたヘドルシャフトの概略図である。
【図2】図1のヘドルシャフトを通る概略断面図である。
【図3】図2のヘドルシャフトの一部の細部を示す図である。
【図4】ヘドルシャフト用のヘドル保持レールの変形例を示す図である。
【図5】それに保持されたヘドルを有する図4の駆動点を示す図である。
【図6】ヘドル保持レールの別な実施形態を示す図である。
【図7】図6のヘドル保持レールの拡大部分図である。
【図8】織ヘドルのヘッドに一体化したばね手段を有する織ヘドルを備えたヘドル保持レールの拡大詳細図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ヘドルシャフト
2 軸フレーム
3 ヘドル(3a〜3e)
4 はと目(4a〜4e)
5,6 ヘドルヘッド(5a〜5e、6a〜6e)
7,8 ヘドル保持レール
7a、7b 保持レール部分
9,11 横桁
12,13 支柱
14 引張要素(14a〜14n)
15 案内穴(15a〜15n)
16 ばね手段(16a〜16n)
17 開口
18 面
21 上部
22 下部
23 足
24 圧力板
25 装着部
26 下面
27,28,29 駆動点
31 駆動機構
32,33,34 ベルクランクレバー
35,36,37 ロッド
38 駆動ロッド
41 ロック装置
42 圧力レール
43,44 突出部
45 調節装置
46 梁領域
47 足
48 連結点
51 部分
52,53 足
54 開口
55 部分
56 圧縮ばね
61 ジブ
62 クロスピース
63 延長部
64 ばね手段
65 圧力面
66 開口
B 運動の方向
S 保持レール間隔
A ヘドルヘッド間隔
H 水平面
h 高さ
S1,S2 遊び
α,β 角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性的に保持されるか、1つ又は複数のヘドル(3)を収容するために弾性的に保持された部分(7a,7b,55)を備えた少なくとも1つのヘドル保持レール(7)を有する、特に動力織機用の軸フレーム。
【請求項2】
ヘドル保持レール(7)が固定して具体化されることを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。
【請求項3】
ヘドル保持レール(7)が、軸フレーム(2)に対してヘドルの長手方向(B)に移動可能に保持され、
ヘドル保持レール(7)と軸フレーム(2)の間で作用する少なくとも1つのばね要素(16)が設けられ、これが、同じ軸フレーム(2)の向かい合ったヘドル保持レール(8)から離れる方へ向いた方向(B)にヘドル保持レール(7)を張る
ことを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。
【請求項4】
ヘドル保持レール(7)を所定の位置にロックする働きをする調節装置(45)が、ばね手段(16)及び/又はヘドル保持レール(7)に付設されることを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。
【請求項5】
調節装置(45)により予め定められた位置が、ヘドル(3)がヘドルヘッド(5,6)によってヘドル保持レール(7)上を横に自由に移動できるように保持される位置であることを特徴とする請求項4に記載の軸フレーム。
【請求項6】
ヘドル保持レール(7)が固定して保持され、また少なくとも1つの弾性的に変形する部分(7a,7b,55)を有することを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。
【請求項7】
ヘドル保持レール(7)が、ばね足として具体化された、互いに離れる方を向いた2つの保持レール部分(7a,7b)を有することを特徴とする請求項6に記載の軸フレーム。
【請求項8】
ヘドル保持レール(7)が、遊びなしでヘドルヘッド(5,6)を収容するために、互いから離れる方に弾性的に張られる2つの向かい合った収容ジブ(51,55;7a,7b)を有することを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。
【請求項9】
ヘドル保持レール(7)が収容ジブとして具体化された2つの向かい合った部分(51,55)を有し、一方は梁領域(46)に固定して保持され、他方は少なくとも1つのばね要素と反対に移動可能に保持されることを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。
【請求項10】
ヘドル保持レール(7)が、設けられたばね手段(64)を有するヘドル(3)を収容することを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。
【請求項11】
加圧によりヘドル(3)をヘドル保持レール(7,8)に保持するために、ばね手段(64)が張り手段として具体化されることを特徴とする請求項2に記載の軸フレーム。
【請求項12】
軸フレームが、互いに運動の方向に対して横方向に離れた少なくとも3つの駆動点(27,28,29)において駆動手段と結合することを特徴とする請求項1に記載の軸フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−510815(P2006−510815A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561255(P2004−561255)
【出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013972
【国際公開番号】WO2004/057077
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)