説明

動力車

【課題】障害物との衝突を回避する機能を備えながら、従来と比較して運転者がより意図通りに運転することを可能とする。
【解決手段】 この電動車椅子は、運転者の操作が入力される操作入力部と、障害物を検知する障害物検知部と、車体の速度及び進行方向を変更する速度・進行方向変更部と、速度・進行方向変更部を制御する制御部を備えている。制御部は、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向で車体が所定時間だけ移動するときに車体が通過すると予測される車体通過予測領域と、障害物検知部で検出された障害物の位置から、車体と障害物とが衝突すると判定されるときにのみ(ステップS20でYES)、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を修正する(ステップS28)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力車に関する。特に、運転者の操作によって速度及び進行方向を変更可能な動力車(例えば、台車、電動車いす、シニアカー等)に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の動力車においては、車体と障害物との衝突を回避するための機能を備えた動力車が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示された動力車は、障害物を検知する障害物検知センサを備えている。車体の周囲には、障害物と車体との衝突を考慮すべき対象領域が設定されている。障害物検知センサが対象領域内に障害物が存在することを検知すると、制御装置は、検知された障害物と車体との距離に応じて動力車の速度を制限する。これによって、動力車が障害物に接近する速度が制限され、運転者は障害物との衝突を回避する操作を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−341519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の動力車では、車体の周囲に設定された対象領域内に障害物が存在すると、車体と障害物とが衝突するか否かに関係なく、車体の速度が制限される。このため、運転者が速度を落とさずに障害物の近傍を通過したい場合であって、車体と障害物との衝突が生じる可能性が低い場合であっても、車体の速度が制限されてしまう。その結果、特許文献1の動力車は、車体の速度が過度に制限され、運転者が意図通りに運転できないという問題を有している。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、障害物との衝突を回避する機能を備えながら、従来と比較して運転者がより意図通りに運転することができる動力車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の動力車は、操作入力部と、障害物検知部と、速度・進行方向変更部と、制御部を有している。操作入力部は、運転者の操作が入力される。障害物検知部は、障害物を検知する。速度・進行方向変更部は、車体の速度及び進行方向を変更する。制御部は、(1)操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向で車体が所定時間だけ移動するときに車体が通過すると予測される車体通過予測領域と、障害物検知部で検出された障害物の位置とから、車体と障害物とが衝突しないと判定されるときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動し、(2)前記車体通過予測領域と、障害物検知部で検出された障害物の位置とから、車体と障害物とが衝突すると判定されるときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を修正すると共に、その修正した目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動する。
【0007】
この動力車では、障害物検知部で検出された障害物の位置と、操作入力部への入力に基づいて算出される車体通過予測領域とに基づいて、車体と障害物とが衝突するか否かが判定される。そして、車体と障害物とが衝突すると判定されるときは、操作入力部に入力される車体の目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方が変更される。これによって、運転者は障害物との衝突を回避する操作を容易に行うことができる。一方、車体と障害物が衝突しないと判定されるときは、操作入力部に入力された目標速度及び目標進行方向で車体が移動する。したがって、動力車が障害物の近傍を通過する場合であっても、車体が障害物と衝突しないと判定されるときは、車体の速度が制限されない。このため、従来の動力車と比較して、運転者はより意図通りに動力車を運転することができる。
【0008】
上記の動力車において、制御部は、車体通過予測領域算出手段と、衝突判定手段と、駆動制御手段を備えることができる。車体通過予測領域算出手段は、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向で車体が所定時間だけ移動するときに、車体が通過すると予測される車体通過予測領域を算出する。衝突判定手段は、障害物検知部で検出された障害物の位置と、車体通過予測領域算出手段で算出された車体通過予測領域とに基づいて、車体と障害物とが衝突するか否かを判定する。駆動制御手段は、衝突判定手段で車体と障害物が衝突しないと判定されたときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動し、衝突判定手段で車体と障害物が衝突すると判定されたときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を修正すると共に、その修正した目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動する。このような構成を採ることによって、上記の動力車を実現することができる。
【0009】
上記の動力車において、制御部は、衝突判定手段で車体と障害物とが衝突すると判定された回数に基づいて運転者の技量を判定する運転者技量判定手段をさらに有することができる。この場合、駆動制御手段は、衝突判定手段で車体と障害物とが衝突すると判定されたときは、運転者技量判定手段で判定される運転者技量に応じて目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を修正することが好ましい。
このような構成によると、目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を、運転者の技量に応じて適切に修正することができる。例えば、運転者の技量が高い場合は修正量を小さくし、運転者の技量が低い場合は修正量を大きくすることができる。その結果、運転者の技量に応じて障害物との衝突の回避を適切に行いながら、運転者の操作にできるだけ忠実に車体が移動することとなる。
【0010】
また、制御部が運転者技量判定手段をさらに有する場合は、車体通過予測領域算出手段は、運転者技量判定手段で判定される運転者技量に応じて車体の大きさを変更して、車体通過予測領域を算出するようにしてもよい。
このような構成によると、車体通過予測領域が運転者の技量に応じて広く又は狭く算出され、障害物との衝突の判定が適切に行われる。例えば、運転者の技量が低いほど車体の大きさを大きくして、車体通過予測領域を算出することができる。これによって、運転者の技量が低い場合は、車体通過予測領域が広く算出され、障害物と衝突すると判定され易くなる。一方、運転者の技量が高い場合は、車体通過予測領域が狭く算出され、障害物と衝突しないと判定され易くなる。その結果、障害物との衝突の判定を適切に行うことができる。
【0011】
上記の車両においては、駆動制御手段は、衝突判定手段で車体と障害物とが衝突すると判定されたときは、操作入力部への入力に応じた目標進行方向と修正後の車体の進行方向とが異なる方向とならないように、目標進行方向を修正することが好ましい。ここで、目標進行方向と修正後の車体の進行方向とが異なるとは、例えば、車体の運動を直進成分と旋回成分に分解したときに、目標進行方向から得られる車体の直進成分が正(すなわち、前進)となるときに修正後の車体の直進成分が負(すなわち、後退)となることをいい、あるいは、目標進行方向から得られる車体の旋回成分が右旋回(又は左旋回)となるときに修正後の車体の旋回成分が左旋回(又は右旋回)となることをいう。
このような構成によると、運転者の意図しない方向への車体の移動が規制される。その結果、運転者の違和感を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動車椅子を模式的に示す側面図。
【図2】電動車椅子の制御系の構成を示すブロック図。
【図3】電動車椅子に装備された障害物検知センサのセンシング領域を説明するための図。
【図4】電動車椅子の制御装置で実行される処理の手順を示すフローチャート。
【図5】操作部に入力された操作力から目標直進速度vx,目標横方向速度vyを算出する手順を説明するための図。
【図6】目標直進速度vx,目標横方向速度vyから車両通過予測領域を算出する手順を説明するための図。
【図7】目標直進速度vx,目標横方向速度vyから車両通過予測領域を算出する手順を説明するための図。
【図8】障害物検知センサの検知結果の一例を示す図。
【図9】障害物までの距離と電動車椅子に発生する斥力との関係を示すグラフ。
【図10】本実施形態の電動車椅子の動作例を説明する図(その1)。
【図11】本実施形態の電動車椅子の動作例を説明する図(その2)。
【図12】本実施形態の電動車椅子の動作例を説明する図(その3)。
【図13】本実施形態の電動車椅子の他の動作例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る電動車椅子10について、図面を参照しながら説明する。図1〜3に示すように電動車椅子10は、前輪14と、後輪12と、前輪14及び後輪12が取付けられた車体50を備えている。
【0014】
前輪14a,14bは、キャスタ輪であり、車体50の側面の前端側に取付けられている。後輪12a,12bは、車体50の側面の後端側に取付けられている。後輪12aは、モータ18aと接続されており、モータ18aによって駆動される。後輪12bは、モータ18bと接続されており、モータ18bによって駆動される。すなわち、後輪12a、12bは、それぞれ独立して駆動される。後輪12a,12bを駆動することで、電動車椅子10は床面Fを走行する。また、後輪12aの回転駆動量と後輪12bの回転駆動量を変えることで、電動車椅子10はその進行方向を変えることができる。
【0015】
車体50は、シート20と、後輪12a、12bを駆動するモータ18a、18bと、障害物を検知する障害物検知センサ16と、モータ18a、18bに制御指令値を出力する制御装置30を備えている。
【0016】
シート20は、図示しない車体フレーム上に載置されている。シート20は、肘掛23と、背もたれ21と、フットステップ22を備えている。肘掛23の先端には、操作部24が設けられている。運転者は、シート20に座った状態で肘掛23に腕を掛け、肘掛23の先端の操作部24を手で操作することで、電動車椅子10を運転することができる。
【0017】
図2に示すように、操作部24は、ジョイステック24aと、ジョイステック24aに接続された操作力検知装置24bを備えている。ジョイステック24aは、前後左右に傾けることができるように構成されている。運転者は、電動車椅子10を前方に走行させたいときはジョイステック24aを前方に傾け、電動車椅子10を後方に走行させたいときはジョイステック24aを後方に傾ける。また、電動車椅子10を右側に旋回させたいときはジョイステック24aを右側に傾け、電動車椅子10を左側に旋回させたいときはジョイステック24aを左側に傾ける。これによって運転者は、電動車椅子10を所望の位置に移動させることができる。
【0018】
操作力検知装置24bは、ジョイステックの操作方向(すなわち、前後方向及び左右方向)毎に、ジョイステック24aに入力された力の大きさを検知する。操作力検知装置24bで検知された力は、操作方向毎に電気信号に変換され、制御装置30に入力される。操作力検知装置24bには、公知の力センサを用いることができる。
【0019】
なお、操作部24は、上述した構成に限られず、種々の構成を採用することができる。例えば、本願出願人によって先に出願された特開2009−254220号公報に開示された構成を採ることができる。また、アクセルペダルとハンドルによって、車体の目標速度及び目標進行方向を入力するようにしてもよい。
【0020】
モータ18a、18bは、制御装置30と電気的に接続されている。モータ18a、18bは、制御装置30から入力される制御指令値にしたがって、後輪12a、12bをそれぞれ駆動する。モータ18aには、エンコーダ19aが設けられている。エンコーダ19aは、制御装置30と電気的に接続されている。エンコーダ19aは、モータ18aの回転角速度(すなわち、後輪12aの回転角速度)を検出する。エンコーダ19aが検出した後輪12aの回転角速度は、制御装置30に入力される。また、モータ18bにも、エンコーダ19bが設けられている。エンコーダ19bは、後輪12bの回転角速度を検出する。エンコーダ19bが検出した後輪12bの回転角速度も、制御装置30に入力される。
【0021】
障害物検知センサ16は、2次元スキャン型の距離計測センサである。障害物検知センサ16は、レーザ光を照射すると共に、その照射したレーザ光の反射光が検知可能となっている。障害物検知センサ16の計測範囲内(例えば、障害物検知センサ16からの距離が30.0m以内)で、かつ、レーザ光を照射する方向に障害物が存在している場合は、障害物検知センサ16からレーザ光が照射されると、そのレーザ光が障害物で反射され、その反射光が障害物検知センサ16で検知される。障害物検知センサ16は、レーザ光を照射してからレーザ光を検知するまでの時間によって、障害物までの距離を計測する。一方、障害物検知センサ16の計測範囲内に障害物が存在していない場合は、障害物検知センサ16から照射されたレーザ光は反射されず、障害物検知センサ16では反射光が検知されない。
【0022】
図1に示すように、障害物検知センサ16は、フットステップ22の下方で、床面Fの近傍に設置される。また、図3に示すように、障害物検知センサ16は、車体50の前端で、かつ、車体50の幅方向中央に設置される。障害物検知センサ16から照射されるレーザ光は、その照射面(以下、計測面という)が床面Fと平行となるように設定され、その照射方向は、設定された角度範囲内を一定の角速度で変化するように設定されている。このため、障害物検知センサ16は、図3に示す点線で囲まれた検知領域S(すなわち、電動車椅子10の進行方向)に障害物が存在するか否かを検知する。障害物検知センサ16は、制御装置30に電気的に接続され、障害物検知センサ16の検知結果が制御装置30に入力されるようになっている。
【0023】
上述した障害物検知センサ16には、例えば、SICK社製のLMS200や、北陽電機社製のUTM−30LX等を用いることができる。なお、障害物検知センサ16には、上記のレーザ光を利用した距離計測センサに限られず、他の方式(例えば、超音波等)を利用したものを用いることもできる。
【0024】
制御装置30は、CPU,ROM,RAMを備えたコンピュータによって構成されている。制御装置30は、車体50に配置されている。制御装置30は、モータ18a、18bと、エンコーダ19a、19bと、障害物検知センサ16と、操作力検知装置24bと、メモリ42に電気的に接続されている。図2に示すように、制御装置30は、その機能として、操作入力変換部32と、車両通過予測領域算出部34と、衝突判定部36と、駆動制御部38と、技量判定部40を備えている。制御装置30に備えられる各部32,34,36,38,40の機能については、後で詳述する。
【0025】
次に、上述した電動車椅子10の制御装置30で行われる処理を、図4のフローチャートに従って説明する。制御装置30は、所定の制御周期毎に、図4に示すステップS10〜S32の処理を繰り返し実行する。これにより、電動車椅子10は床面Fを走行する。
【0026】
図4に示すように、制御装置30は、まず、操作力検知装置24bから、運転者がジョイステック24aに入力している操作力の大きさと方向を取得する(S10)。上述したように操作力検知装置24bは、ジョイステック24aの操作方向毎に、ジョイステック24aに入力される操作力を検知している。このため、制御装置30は、ジョイステック24aの操作方向毎に操作力を取得する。
【0027】
次いで、制御装置30は、操作力検知装置24bから取得した情報に基づいて、操作部24に入力された操作力を変換して、入力された操作力に応じた車体50の目標速度及び目標進行方向を算出する(S12)。具体的な算出手順を、図5を参照して説明する。
【0028】
上述したように、制御装置30は、ジョイステック24aの操作方向毎に操作力を取得する。このため、制御装置30は、まず、取得した操作方向毎の操作力を合成し、その合力Fの大きさ|F|と方向θを算出する。ここで、合力Fの大きさが設定値Fmaxを超えるときは、合力Fの大きさをFmaxとする。一方、合力Fの大きさが設定値Fmax以下となるときは、合力Fの大きさは修正されない。これによって、ジョイステック24aに過大な操作力(Fmaxを超える操作力)が入力されても、電動車椅子10の速度が最大速度に制限される。
【0029】
次に、制御装置30は、合力Fの大きさと方向θから、電動車椅子10の直進方向(x方向)の目標速度vx(=|F|cosθ)と、直進方向に対して横方向(y方向)の目標速度vy(=|F|sinθ)を算出する(図5参照)。これによって、操作部24への入力に応じた車体50の目標速度及び目標進行方向が算出される。なお、本実施形態では、直進方向目標速度vxと横方向目標速度vyによって目標速度及び目標進行方向を表したが、目標速度及び目標進行方向は他のパラメータで与えることができる。
【0030】
ステップS14に進むと、制御装置30は、ステップS12で算出した車体50の目標速度及び目標進行方向(すなわち、直進方向目標速度vx,横方向目標速度vy)を用いて、現在の位置から所定時間Δt(例えば、1秒)が経過するまでに車体50が通過すると予測される車体通過予測領域Psを算出する(S14)。具体的な算出手順を、図6,7を参照して説明する。
【0031】
制御装置30は、まず、車体50の直進方向目標速度vx,横方向目標速度vyから、車体50の合成目標速度vと旋回速度ωと曲率半径ρを算出する(図6参照)。具体的には、車体50の直進方向目標速度vxと横方向目標速度vyから、まず、合成目標速度vと旋回速度ωを算出する(下記の式(1))。ここで、vxmaxは、電動車椅子10の直進方向の最高速度であり、例えば、1.0m/sとすることができる。vymaxは、電動車椅子10の横方向の最高速度であり、例えば、1.0rad/sとすることができる。次いで、算出した合成目標速度vと旋回速度ωから、曲率半径ρを算出する(下記の式(2))。
【0032】
【数1】

【0033】
【数2】

【0034】
合成目標速度vと旋回速度ωと曲率半径ρを算出すると、これらを用いて、制御装置30は、車体50の4つの角部の頂点a,b,c,dの軌跡を求める。このためには、まず、現在の車体50の角部の頂点a,b,c,dの座標と、所定時間Δtだけ経過した後の車体50の角部の頂点a’,b’,c’,d’の座標を算出する。ここで、頂点a,b,c,dの座標と、頂点a’,b’,c’,d’の座標は、車体50内に設定した制御中心O(0,0)を基準に算出する。現在の車体50の角部の頂点a,b,c,dの座標は、制御中心O(0,0)と頂点a,b,c,dの幾何学的関係によって決まる。例えば、頂点aの座標は、(xoffset,yoffset)と表すことができる。xoffsetは制御中心Oに対する点aの直進方向(x方向)のオフセット量であり、yoffsetは制御中心Oに対する点aの横方向(y方向)のオフセット量である。一方、所定時間Δtだけ経過した後の頂点a’,b’,c’,d’の座標は、制御中心O(0,0)と頂点a,b,c,dの幾何学的関係と、旋回速度ωと、曲率半径ρとを用いて算出することができる。例えば、頂点a’の座標(xa,ya)は、次の式(3)で算出することができる。
【0035】
【数3】

【0036】
頂点a,b,c,dの座標と頂点a’,b’,c’,d’の座標を算出することで、図7に示すように、現在の車体50の位置と、所定時間(Δt)だけ経過した時の車体50の位置を算出することができる。また、頂点aから頂点a’に移動する際の軌跡laと、頂点bから頂点b’に移動する際の軌跡lbと,頂点cから頂点c’に移動する際の軌跡lcと,頂点dから頂点d’に移動する際の軌跡ldが分かるため、これらの軌跡la,lb、lc、ldより車体50が通過すると予測される車体通過予測領域Psを算出することができる。例えば、図7に示すように、電動車椅子10が左方向に旋回する場合は、左後端の頂点aの軌跡laが最も内側の軌跡となり、右前端の頂点cの軌跡lcが最も外側の軌跡lcとなり、軌跡la,lcで挟まれた領域が車両通過予測領域Psとなる。
【0037】
次いで、制御装置30は、障害物検知センサ16から入力する検知結果(すなわち、レーザ光を検知領域Sに1走査することにより得られた結果)から、検知領域Sに障害物が存在するか否かを判定する(S16)。既述したように、障害物検知センサ16は、検知領域Sに障害物が存在すると、その障害物からの反射光のみを検知する。例えば、図8に示すように、障害物検知センサ16の右斜め前方にのみ障害物52が存在する場合は、障害物検知センサ16は、障害物52が存在する方向からのみ反射光を検知し、それ以外の方向からは反射光を検知しない。したがって、制御装置30は、障害物検知センサ16の検知結果に、反射光を受光した方向が存在するか否かを判定する。そして、反射光を受光した方向が存在する場合は、検知領域Sに障害物が存在すると判定する。一方、反射光を受光した方向が存在しない場合は、検知領域Sに障害物が存在しないと判定する。
【0038】
検知領域Sに障害物が存在しないと判定された場合(ステップS16でNO)は、制御装置30はステップS30に進む。一方、検知領域Sに障害物が存在すると判定された場合(ステップS16でYES)は、制御装置30はその障害物の位置を算出する(S18)。障害物検知センサ16の検知結果から障害物の位置を算出する手順は、公知の方法を用いることができる。すなわち、図8に示すように、障害物52は連続する複数の検知点Bによって表される。各検知点Bについては、障害物検知センサ16からの距離と、その検知点Bを検知した時のレーザ光の照射方向が既知である。また、障害物検知センサ16と制御中心Oの相対位置関係も既知である。このため、制御装置30は、これらを用いて、制御中心Oに対する各検知点Bの座標を算出することができる。
【0039】
次に、制御装置30は、ステップS14で算出した車体通過予測領域Psと、ステップS18で算出した障害物の位置とから、車体50と障害物とが衝突するか否かを判定する(S20)。すなわち、ステップS14で算出した車体通過予測領域Ps内に、ステップS18で算出したいずれかの検知点が存在しているか否かによって、車体50と障害物とが衝突するか否かを判定する。なお、車体50と障害物が衝突すると判定した場合は、制御装置30は、メモリ42に記憶されている「衝突すると判定した回数」を更新する。これによって、メモリ42には、車体50と障害物が衝突すると判定された回数がカウントされていくこととなる。
【0040】
車体50と障害物とが衝突しないと判定された場合(ステップS20でNO)は、制御装置30はステップS30に進む。一方、車体50と障害物とが衝突すると判定された場合(ステップS20でYES)の場合は、制御装置30は運転者の技量を判定する(S22)。運転者の技量は、制御装置30が車体50と障害物とが衝突すると判定した回数(メモリ42に記憶)に基づいて算出することができる。例えば、電動車椅子10の全走行時間と、制御装置30が車体50と障害物とが衝突すると判定した回数(すなわち、衝突すると判定された時間)との比によって、運転者の技量を算出することができる(例えば、下記の式(4))。
【0041】
【数4】

【0042】
上記の(式4)で運転者の技量を数値化すると、制御装置30は、その数値によって、運転者を「初心者」と「中級車」と「上級者」に分類する。例えば、技量が0.00〜0.25の者は「初心者」に分類され、技量が0.25〜0.75の者は「中級者」に分類され、技量が0.75〜1.00の者は「上級者」に分類される。なお、運転者を「初心者」、「中級者」、「上級者」に分類する方法は、上記の方法に限られず、種々の方法を採用することができる。
【0043】
次に、制御装置30は、車体50と障害物との距離(最短距離)を算出する(S24)。上述したように、障害物検知センサ16は、障害物を複数の検知点として検出している。このため、制御装置30は、障害物を表す複数の検知点のうち、最も制御中心Oに近い検知点までの距離を算出する。
【0044】
次に、制御装置30は、ステップS24で算出した車体50と障害物(すなわち、障害物を表す複数の検知点のうち最も制御中心Oに近い検知点)との距離に応じた斥力を算出する(S26)。ここで、制御装置30は、ステップS12で車体50の直進方向の目標速度vxと、横方向の目標速度vyを算出している。このため、斥力Rについても、車体50の直進方向の斥力Rxと、横方向の斥力Ryを算出する。したがって、制御装置30は、車体50と障害物との直進方向の距離に応じて斥力Rxを算出し、車体50と障害物との横方向の距離に応じて斥力Ryを算出する。この際、図9に示すように、ステップS22で分類した「初心者」と「中級者」と「上級者」の区分に応じて、斥力Rx,Ryの大きさを変化させる。すなわち、「初心者」には大きな斥力Rx,Ryが作用する一方で、「上級者」には小さな斥力Rx,Ryが作用するようにする。なお、図9に示すように、車体50と障害物との距離に応じて斥力を変化させる方法としては、公知の種々の関数(例えば、ガウス関数)を用いることができる。
【0045】
制御装置30は、斥力Rx,Ryを算出すると、その斥力Rx,Ryを用いて、ステップS12で算出した車体50の直進方向の目標速度vxと、横方向の目標速度vyを修正する(S28)。具体的には、車体50の直進方向の目標速度をvx−Rxとし、車体50の横方向の目標速度をvy−Ryとする。ここで、本実施形態では、斥力Rxの絶対値が目標速度vxの絶対値より大きくなる場合は、修正後の目標速度vx−Rxが「0」とされ、運転者の意図しない方向に電動車椅子10が移動することが禁止される。すなわち、運転者が電動車椅子10を前方に移動させるように操作している場合に、電動車椅子10が後方に移動することはない。同様に、斥力Ryの絶対値が目標速度vyの絶対値より大きくなる場合は、修正後の目標速度vy−Ryが「0」とされ、運転者の意図しない方向に電動車椅子10が移動することが禁止される。例えば、運転者が電動車椅子10を右側に旋回するように操作している場合に、電動車椅子10が左側に旋回してしまうことはない。また、運転者が電動車椅子10を直進させるように操作している場合に、横方向の斥力Ryが算出されても、電動車椅子10が旋回動作を行わないようになっている。
【0046】
ステップS30に進むと、制御装置30は、車体50の直進方向の目標速度vxと横方向の目標速度vyに基づいて、モータ18a,18bを駆動するためのモータ駆動指令値を算出する(S32)。上述した説明から明らかなように、障害物検知センサ16が検知領域Sに障害物を検出していない場合(ステップS16でNO)や、検知領域S内の障害物が車体50と衝突しないと判定された場合(ステップS20でNO)は、ステップS12で算出した直進方向の目標速度vx,横方向の目標速度vyに基づいてモータ駆動指令値が算出される。したがって、このような場合は、運転者が操作部24に入力した通りに電動車椅子10が駆動される。一方、検知領域S内の障害物と車体50とが衝突すると判定された場合(ステップS20でYES)は、ステップS28で修正された直進方向の目標速度vx−Rx,横方向の目標速度vy−Ryに基づいて、モータ駆動指令値が算出される。その結果、運転者が障害物を回避する操作を行い易いように、電動車椅子10の速度が減速される。
【0047】
ステップS30でモータ駆動指令値が算出されると、制御装置30は、算出したモータ駆動指令値に基づいてモータ18a,18bを駆動する(S32)。この際、エンコーダ19a,19bからの信号に基づいてモータ18a,18bを駆動することで、電動車椅子10は、ステップS12で算出された直進方向目標速度vx及び横方向目標速度vyとなるように、又は、ステップS28で修正された直進方向目標速度vx−Rx及び横方向目標速度vy−Ryとなるように駆動される。
【0048】
以上、制御装置30の処理について説明した。ここで、制御装置30が上述した処理を行うことによって生じる、電動車椅子10の挙動の一例について図10〜12を参照して説明する。図10〜12に示す例では、電動車椅子10の前方に障害物52があり、運転者が操作部24に直進方向の操作力を作用させているものとする。図10に示すように、操作部24への操作入力に基づいて算出される車体通過予測領域Ps内には、障害物検知センサ16で検知された障害物52の検知点群が位置している。このため、制御装置30は、車体50と障害物52とは衝突すると判定し、車体50に作用させる斥力Rx,Ryを算出する。すなわち、図11に示すように、障害物52を表す検知点群のうち最も近い検知点Bminと制御中心Oとの距離に応じた斥力Rx,Ryを算出する。そして、制御装置30は、操作部24への入力から算出される直進方向目標速度vx,横方向目標速度vyを、算出した斥力Rx,Ryによって修正する。ここで、操作部24へは直進方向の操作力しか入力されていないため、横方向目標速度vyは0となっている。このため、修正された横方向目標速度vy−Ryを用いると、電動車椅子10は障害物52から離れるように移動し、運転者の意図していない方向へ移動してしまう。そこで、横方向の目標速度vyは、「0」として処理される。このため、図12に示すように、電動車椅子10は直進方向の速度のみが修正されて減速される。その結果、電動車椅子10は、障害物52の手前で停止し、電動車椅子10と障害物52との衝突が回避される。
【0049】
また、図13に示すように、電動車椅子10の前方に障害物52a,52bが存在する場合を考える。この場合においても、運転者は操作部24に直進方向の操作力のみを作用させているものとする。この場合は、操作部24への操作入力に基づいて算出される車体通過予測領域Ps内には、障害物検知センサ16で検知された障害物52a,52bの検知点群が位置していない。このため、制御装置30は、車体50と障害物52a,52bとは衝突しないと判定する。そして、操作部24への入力から算出される直進方向の目標速度vxと横方向の目標速度vyでモータ18a,18bを駆動する。このため、電動車椅子10は減速することなく、障害物52a,52bの近傍を通過することができる。
【0050】
上述した説明から明らかなように、本実施形態の電動車椅子10では、電動車椅子10と障害物が衝突すると判定されるときにのみ、電動車椅子10に斥力Rx,Ryを作用させる。すなわち、電動車椅子10と障害物が衝突しないと判定される限り、電動車椅子10に斥力Rx,Ryは作用しない。このため、電動車椅子10は、障害物の近傍を、速度を落とさずに走行することができる。その結果、技量の高い運転者には、自分の意図通りに運転できることによる満足感を与えることができる。
【0051】
また、本実施形態の電動車椅子10では、運転者の技量を判定し、運転者の技量に基づいて斥力Rx,Ryの大きさを変更する。このため、技量の低い初心者には大きな斥力Rx,Ryが作用して、電動車椅子10の速度が大きく制限される。これによって、技量の低い初心者でも、障害物を回避するための操作を容易に行うことができる。一方、技量の高い上級者には小さな斥力Rx,Ryが作用して、電動車椅子10の速度制限量が低く抑えられる。その結果、必要以上に速度が制限されずに、障害物の近傍を走行することができる。これによって、障害物の回避を行いながら、運転者の意図に沿った走行を可能としている。
【0052】
さらに、本実施形態の電動車椅子10では、斥力Rx,Ryが作用する場合でも、運転者の意図しない方向への旋回動作が規制される。このため、運転者は、車体50が意図しない方向に向かないため、安心して電動車椅子10を運転することができる。また、電動車椅子10が狭路を走行する場合においては、車体50のハンチング(車体50の向きが左右に振動すること)が抑えられる。その結果、運転者は快適に電動車椅子10を運転することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、直進方向の斥力Rxと、横方向の斥力Ryを作用させたが、直進方向の斥力Rxのみを作用させるようにしてもよい。このような構成によっても、電動車椅子は、運転者の意図した方向にのみ移動することとなり、運転者に安心感を与えることができる。
【0054】
また、上述した実施形態では、運転者の技量に応じて斥力Rx,Ryの大きさが変化するようにしたが、本発明はこのような形態には限られない。例えば、運転者の技量に応じて、車両通過予測領域Psを算出する際の車両モデル(すなわち、制御中心Oと頂点a,b,c,dの相対位置関係)の大きさを変化させてもよい。例えば、運転者の技量が高いほど車両モデルを小さくして、車両通過予測領域Psを算出することができる。これによって、運転者の技量が高いほど障害物と衝突すると判定され難くなり、運転者の技量が低いほど障害物と衝突すると判定され易くなる。その結果、運転者の技量に応じて適切に斥力Rx,Ryが作用し、障害物の回避を行いながら、運転者の意図通りの走行を可能とする。
【0055】
また、上述した実施形態では、運転者の技量を、電動車椅子10の全走行時間と、車体と障害物とが衝突すると判定された時間によって算出したが、本発明はこのような形態に限られない。例えば、直近の所定時間の走行時間を基準とし、その走行時間内に障害物と衝突すると判定された時間によって、運転者の技量を決めることができる。このように、直近の運転内容に基づいて運転者の技量を判定すると、現在の運転者の技量を適切に評価することができる。
【0056】
また、複数の運転者が同一の電動車椅子を共同で使用する場合は、運転者毎に技量の判定ができるように、運転者のID等を入力する入力装置を備えるようにしてもよい。この場合は、メモリ42内に運転者毎の走行時間等が記憶され、入力装置に入力されたIDに応じて運転者の走行時間等が制御装置に読み出される。
【0057】
また、上述した実施形態では、本発明を電動車椅子に適用した例であったが、本発明は、台車、買い物カート、ゴルフカート、シニアカー等にも適用することができる。
【0058】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0059】
10:電動車椅子
12a,12b:後輪
14a,14b:前輪
16:障害物検知センサ
18a,18b:モータ
20:シート
24:操作部
24a:ジョイステック
24b:操作力検出装置
30:制御装置
42:メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の操作が入力される操作入力部と、
障害物を検知する障害物検知部と、
車体の速度及び進行方向を変更する速度・進行方向変更部と、
速度・進行方向変更部を制御する制御部と、を備えており、
制御部は、
(1)操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向で車体が所定時間だけ移動するときに車体が通過すると予測される車体通過予測領域と、障害物検知部で検出された障害物の位置とから、車体と障害物とが衝突しないと判定されるときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動し、
(2)前記車体通過予測領域と、障害物検知部で検出された障害物の位置とから、車体と障害物とが衝突すると判定されるときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を修正すると共に、その修正した目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動することを特徴とする動力車。
【請求項2】
制御部は、
操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向で車体が所定時間だけ移動するときに、車体が通過すると予測される車体通過予測領域を算出する車体通過予測領域算出手段と、
障害物検知部で検出された障害物の位置と、車体通過予測領域算出手段で算出された車体通過予測領域とに基づいて、車体と障害物とが衝突するか否かを判定する衝突判定手段と、
衝突判定手段で車体と障害物が衝突しないと判定されたときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動し、衝突判定手段で車体と障害物が衝突すると判定されたときは、操作入力部への入力に応じた目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を修正すると共に、その修正した目標速度及び目標進行方向に基づいて速度・進行方向変更部を駆動する駆動制御手段と、
を有する請求項1に記載の動力車。
【請求項3】
制御部は、衝突判定手段で車体と障害物とが衝突すると判定された回数に基づいて運転者の技量を判定する運転者技量判定手段をさらに有し、
駆動制御手段は、衝突判定手段で車体と障害物とが衝突すると判定されたときは、運転者技量判定手段で判定される運転者技量に応じて目標速度及び目標進行方向の少なくとも一方を修正することを特徴とする請求項2に記載の動力車。
【請求項4】
駆動制御手段は、運転者の技量が低いほど修正量を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の動力車。
【請求項5】
制御部は、衝突判定手段で車体と障害物とが衝突すると判定された回数に基づいて運転者の技量を判定する運転者技量判定手段をさらに有し、
車体通過予測領域算出手段は、運転者技量判定手段で判定される運転者技量に応じて車体の大きさを変更して、車体通過予測領域を算出することを特徴とする請求項2に記載の動力車。
【請求項6】
車体通過予測領域算出手段は、運転者の技量が低いほど車体の大きさを大きくして、車体通過予測領域を算出することを特徴とする請求項5に記載の動力車。
【請求項7】
駆動制御手段は、衝突判定手段で車体と障害物とが衝突すると判定されたときは、操作入力部への入力に応じた目標進行方向と修正後の車体の進行方向とが異なる方向とならないように、目標進行方向を修正することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の動力車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−11886(P2012−11886A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150008(P2010−150008)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】