説明

動物を表現した組木パズル

【課題】従来の組木パズルは、幾何学的な形状が一般的であり、おもしろみに欠ける欠点があった。本発明は、基本的な構成を定めることにより、自由な発想で色々な動物を表現できる組木パズルを提供することである。
【解決手段】伝統的な籠目(かごめ)状平面六角形を基本とした組木において、構成部品である四角柱状棒材の延長部を動物の一部分に似せることにより、全体として動物の形を表現した。
また、構成部品である四角柱状の棒材が、平面六角形方向の太さの2倍以上の厚さを持つことにより、組上がったパズルを自立させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籠目(かごめ)状に六角形を連ねて組む伝統的な組木技術によって動物の形を表現した組木パズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組木によって幾何学的な形状を表現したパズルが提案されている。
例えば、特許文献1では壺に似た形状を、特許文献2では二つの八角錐を底面で連結した形状を、それぞれ数種類〜十数種類の部品を立体的に組み合わせて完成する組木パズルが開示されている。
また、これらの技術をベースとして、立体的な動物を表現した組木細工も提供されている(例えば神奈川県工芸技術所のホームページにおける組木細工の紹介)。
【0003】
また本出願人は、平面状に六角形を連ねて組む伝統的な組木技術を応用した星形の組木パズルを創作した。(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第219334号公報
【特許文献2】意匠登録第272684号公報
【特許文献3】意匠登録第1315198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の組木パズルは、幾何学的な形状が一般的であり、おもしろみに欠ける欠点があった。
また、一部には立体的な動物を表現したものもあるが、それぞれ試行錯誤で開発する必要があり、複雑で高価になりがちであった。
本発明は、基本的な構成を定めることにより、自由な発想で色々な動物を表現可能な組木パズルを提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0006】
伝統的な籠目(かごめ)状平面六角形を基本とした組木において、構成部品である四角柱状棒材の延長部を動物の一部分に似せることにより、全体として動物の形を表現した。
【0007】
構成部品である四角柱状の棒材が、太さの2倍以上の厚さを持つことにより、組上がったパズルを自立させることができるようにした。

【発明の効果】
【0008】
組み立てルールが一定の平面六角形を基本とした組木をベースにしているので、平面上に作図して設計するだけで様々な動物を表現した組木パズルを創作することができる。
【0009】
棒材に太さの2倍以上の厚さを持たせたので、組木として必要な深い溝を加工しても丈夫であり、出来上がったパズルを立てて飾ることができる。
また、全体的には平面状なので敷物や壁飾りにもなる。
【0010】
形状的に特徴のある部品がヒントになるので、組木のルールを理解すれば完成図だけを見て組み立てることができ、思考力が養われ、手先の運動にもなる。
【0011】
複数種類の動物のパズルを分解したまま混ぜると、高度なパズルとして楽しむことができる。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】組木パズルの完成状態を示す図
【図2】組木パズルの組み立て方法を示す図(1)
【図3】組木パズルの組み立て方法を示す図(2)
【図4】必要な溝深さの説明図
【図5】本発明による組木パズルによって様々な動物を表現した例(棒状材料のみからなる)
【図6】本発明による組木パズルによって様々な動物を表現した例(棒状材料に一部付加した部分がある)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から図6を用いて、本発明による実施形態について説明する。
図1は本発明による組木パズルの完成状態を示した例であり、キンギョの形態を表した最もシンプルな例である。
パズルを構成する部品は、平面上で120度ずつ異なる方向、すなわち図に示したX、Y、Z方向に組み合わされた部品から成り、全体的には六角形を基本としたいわゆる籠目(かごめ)状に組まれている。
ここでいう籠目状とは、六角形を構成する各辺について右回り(又は左回り)に見たときに、重なり方が、あたかも上から下へ上から下へと1周するように見え、且つ1本の材料で見たときは、交差する他の材料との重なり方が、上、下、上、下と交互に見える様子を言う(図5のカメ11等を参照)。
【0014】
図1では、部品を組んでできる1つの六角形をキンギョの胴体とし、構成部品である3aを延長して胸びれ部4を、2aを延長して腹びれ部5を、2bを延長して尾びれの下部6bを、1bを延長して尾びれの上部6aを表現している。
それぞれの部品の他の端部は、必用に応じて丸みを付けたり口の形状になるよう突き合わせに仕上げて、目の位置に穴を貫通させて色の濃い木材の丸棒を挿入し、接着してある。
【0015】
図2、3を用いてパズルの組み立て方法を説明する。
まず、X方向に向いている部品(下材)1aと1bを平行に置き、1a、1bに設けられている上向きの深溝7aに合わせて、Y方向に向いている部品(上材)2a、2bに設けられている下方向の深溝8bが嵌まるように上からかぶせる。
【0016】
下材に設けられた深溝7aと上材に設けられた深溝8bが互いに嵌まった状態で下材1a、1bを上方向に押し、上材2a、2bを下方向に押すと、下材に設けた上向きの深溝7aと上材に設けた下向きの深溝8bとに囲まれたトンネル状の空間ができるので、この空間にZ方向を向いている部品(中間材)3a、3bを挿入すると、図3の状態になる。この状態から、中間材に設けた上方向の浅溝9aと下材に設けた下方向の深溝7bが嵌合し、中間材に設けた下方向の浅溝9bと上材に設けた上方向の深溝8aが嵌合すれば、図1の状態になりパズルが完成する。
【0017】
図4に、部品の厚さBと、Bから深溝の深さを引いた寸法Cの関係を示す。
深溝7aに深溝8bが嵌合した状態で、深溝7bと深溝8aに挟まれた空間に中間材3a又は3bが通る必要があるので、(B−2C)×2>Bとなることが必要である。
つまり、C<B/4を満たす必要があり、Cの寸法が小さくなるので強度的に弱くなりがちである。そこで本発明では、例えば、部品の太さA=11.7mm、B=25mm、C=5.5mmと、Bの寸法を太さAの2倍以上にすることにより、C寸法を大きめにして強度を確保し、同時に、完成したパズルを縦に置いた際に自立できるようにした。
【0018】
図5、図6は、本発明による組木パズルによって様々な動物を表現した例である。
基本的な六角形の木組み構造をベースにして、部品の端部や延長部の形状を各々の動物の一部分に似せることにより、全体として様々な動物を表現することができる。
尚、図5に示した例は、基本となる棒状材料を削るだけで製作可能な例であり、図6に示した例は、削るだけでは表現力が不足するので、部分的に木材を接着し、その後所定の形状に仕上げることにより、動物の特徴を表現した例である。
これらの動物を構成する特徴的な部品は分解した状態でも識別しやすいので、図1〜図3に示した組み立て方法を理解していれば、例えば図5、図6に示した完成図だけを見ながら、複雑な構造のパズルを組み立てることができる。

【符号の説明】
【0019】
1a、1b X方向部品(深溝付き下材)
2a、2b Y方向部品(深溝付き上材)
3a、3b Z方向部品(浅溝付き中間材)
4 胸びれ部
5 腹びれ部
6a 尾びれ部(上)
6b 尾びれ部(下)
7a 下材の上向き深溝
7b 下材の下向き深溝
8a 上材の上向き深溝
8b 上材の下向き深溝
9a 中間材の上向き浅溝
9b 中間材の下向き浅溝
11 カメを表現した組木パズル
12 ウサギを表現した組木パズル
13 イヌを表現した組木パズル
14 キンギョを表現した組木パズル
15 ロバを表現した組木パズル
16 フクロウを表現した組木パズル
17 ニワトリを表現した組木パズル
18 ゾウを表現した組木パズル
19 オウムを表現した組木パズル
20 キリンを表現した組木パズル
21 ペンギンを表現した組木パズル
22 ネズミを表現した組木パズル
23 ダチョウを表現した組木パズル

A 部品の太さ(平面六角形方向の太さ)
B 部品の厚さ
C Bから深溝の深さを引いた寸法



【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝統的な平面六角形の籠目(かごめ)状に組んだ組木において、構成部品である四角柱状棒材の延長部を動物の一部分に似せることにより、全体として動物の形を表現したことを特徴とする組木パズル。
【請求項2】
構成部品である四角柱状の棒材が、前記平面六角形方向の太さの2倍以上の厚さを持つことにより、組上がったパズルを自立させることができることを特徴とする請求項1に記載した組木パズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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