説明

動物体の放射線治療のための放射線治療システムの放射線量分布を計算する方法及び装置

【課題】必要な精度を保持する一方、制限されたデータ量を用いて放射線治療システムの放射線量分布の計算を可能とする下述のような方法及び装置を提供すること。
【解決手段】放射線治療システムの放射線ビームが異なる深度において特定のビームフィールドサイズ及び形状を呈する動物体の放射線治療のための放射線治療システムの放射線量分布を計算する方法と、放射線治療システムの放射線ビームが異なる深度において特定のビームフィールドサイズ及び形状を呈する動物体の放射線治療のための放射線治療システムの放射線量分布を計算する装置とに関する。本発明による方法は、i)使用中の前記放射線ビームを表現する少なくとも1つのビーム品質指数を決定する工程と、ii)前記少なくとも1つのビーム品質指数に基づいてパラメータ化した線量沈着カーネルを用いて前記特定ビームフィールドに於ける前記放射線量分布を計算する工程とを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療システムの放射線ビームが異なる深度において特定のビームフィールドサイズ及び形状を呈する、動物体の放射線治療のための放射線治療システムの放射線量分布を計算する方法に関する。
【0002】
また、本発明は、放射線治療システムの放射線ビームが異なる深度において特定のビームフィールドサイズ及び形状を呈する、動物体の放射線治療のための放射線治療システムの放射線量分布を計算する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療のための放射線量分布の計算精度は、ここ数十年でかなり改善してきた。臨床医の手作業による単純因子計算から市販治療計画システムに組み込まれた高度アルゴリズムを用いた計算へと発展してきた。現在の臨床上の問題は、線量分布計算にあるというよりも、むしろ治療計画システムの結果検証方法の方にある。
【0004】
治療計画システムで使用されるソフトウェアに於ける誤差の危険は、アルゴリズム及びそのアプリケーションの複雑さに応じて増加する。プログラミングコードに於けるバグやユーザーによるエラーが存在し得る。結果の独立検査が望ましく、必要である。また、治療計画システムの精度改善に従い、検証機構もより小さい誤差を見つけなければならない。
【0005】
検査すべき治療パラメータのうち最も重要なパラメータは、目標線量を与えるための、フィールド(セグメント)当たりに割り当てられるモニターユニット(M)数である。特定線量に対するM数の検証は、水等価ファントム形状を用いて行うことができ、測定値テーブルやモデルや組み合わせに基づくことができる。M数計算手順に於ける基本パラメータは、ターゲットに対するM当たりの線量と基準形状に対するM当たりの線量との関係である。この関係は、深度推移、フィールドサイズ及び形状の変化、ウェッジ、及び、ブロックなどのフィールド及びブロックホルダに於ける対象物を含むことができる。
【0006】
特にM数は、例えば、推移数が組織ファントム比(T)、ヘッド散乱係数(S)、ファントム散乱係数(S)などの因子にマップされた、因子系モデルを用いて計算可能である。これらの因子はフィールド設定の関数として作表可能であるが、通常用いられる不規則形状フィールドでは、大きな変動性に対して実際的に対処せねばならない。検査を一般的なフィールド形状に対して適用可能とするには、ある種の散乱積分を用いる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、必要な精度を保持する一方、限られたデータ量を用いて放射線治療システムの放射線量分布の計算を可能とする上述のような方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、その方法は、
i) 使用中の前記放射線ビームを表現する少なくとも1つのビーム品質指数を決定する工程と、
ii) 前記少なくとも1つのビーム品質指数に基づいてパラメータ化した線量沈着カーネルを用いて前記特定ビームフィールドに於ける前記放射線量分布を計算する工程とを特徴とする。
【0009】
本発明の他の様相によれば、前記方法は、
iii) 異なる装置に対して、
a) 異なる深度および異なるエネルギーに於ける、異なるフィールド形状及びサイズに対する測定ファントム線量データと、
b) 算出線量沈着カーネルパラメータと、
c) 対応フィールドサイズに対するファントム散乱係数に変換可能な測定ヘッド散乱係数及び出力係数とからなる、事前に収集した測定放射線ビームデータを使用する工程と、
iv) 工程iii)によって事前に収集した測定放射線ビームデータを用いて工程i)によって前記少なくとも1つのビーム品質指数を決定する工程と、
v) 線量沈着カーネルパラメータを、決定された前記1つ或いは少数のビーム品質指数に関連づける工程とを更なる特徴とする。
【0010】
更なる実施例によれば、本発明の方法は、vi)モンテカルロシミュレーションを用いて工程iii)によって前記測定データをシミュレートする工程を更なる特徴とする。
【0011】
更なる実施例では、前記少なくとも1つの品質指数は、d=20cm及びd=10cmの深度(TPR20,10)で測定した組織ファントム比(TPR)間の比によって決定される。
【0012】
別の実施例では、前記少なくとも1つのビーム品質指数は、d=10cm(PDD10)に於ける百分率深度線量(PDD)によって決定される。
【0013】
別の有利な実施例では、本発明の方法は、線量沈着カーネルがペンシル線量沈着カーネルであることを特徴とする。
【0014】
また別の有利な実施例では、本発明の方法は、線量沈着カーネルが点線量沈着カーネルであることを特徴とする。
【0015】
本発明の装置は、使用中の前記放射線ビームを表現する少なくとも1つのビーム品質指数を計算手段に入力するように構成された入力手段と、前記少なくとも1つのビーム品質指数に基づいてパラメータ化した線量沈着カーネルを用いて前記放射線量分布を計算するように構成された前記計算手段とを更に有することを特徴とする。
【0016】
好適な一実施例では、前記装置はモニターユニット(MU)検査装置であり、別の実施例では、前記装置はIMRT治療MU検査装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を付属図面に示す幾つかの例によって説明する。
【0018】
本発明による方法を実現するため、異なる放射線治療ユニットからのデータが計算モデルを決定するために使用されている。1つの治療ユニット用の各データセットには、4つのフィールドサイズ(5×5cm、10×10cm、15×15cm、及び20×20cm)に於ける表面から35cmの深さまでの深度線量測定値が含まれる。このときの線源表面距離(SSD)は全て90cmである。更に、測定されたヘッド散乱係数及び出力係数も含まれ、これらは、SSD=90cmでの10cm深度に於ける3つのフィールドサイズ(5×5cm、15×15cm、及び20×20cm)に対するファントム散乱係数に変換可能である。データ収集には、計算されたペンシルビームパラメータも含まれる。
【0019】
本発明によってデータパラメータ化を導くために、約800個の放射線治療装置から1000個以上のデータセットを必要とした。
【0020】
TPR20,10の計算は、10cm及び20cmの深度に於ける深度線量値に基づく。放射線は全て同一点(ターゲット)から放出されるものとして、逆二乗訂正を行った。深度20cmに於ける変更フィールドサイズに対する補正は、11×11cmフィールドに対するファントム散乱係数を用いて行った。この値は、5×5cm、10×10cm及び15×15cmのフィールドサイズに対するファントム散乱係数への2次適合(フィッティング)を用いて計算した。
【0021】
公知の市販治療計画システムから使用されるペンシルビームモデルは、線量の一次部及び散乱部をカーネル中心軸への距離の関数として記述する4パラメータカーネルに基づく。実際には、当該治療計画システムでは更に3つのパラメータを用いて、モンテカルロデータによって与えられる一次・散乱比を良好に維持し、微小な機器毎のばらつきに対応するように適合結果を微調整する。
【0022】
単純なモデルを構築するために、本発明の装置で本発明の方法を実現すると、この種の補正は省略される。カーネル中心軸rへの距離の関数としてのカーネル値は次式で表される。
【数9】

【0023】
ただし、zは計算深度、A、B、a及びbは深度依存パラメータである。4つのパラメータは、深度線量測定値及び測定ファントム散乱値から得られるエネルギースペクトルを用いたモンテカルロシミュレーションから算出される。一次部と散乱部が分離され、1番目の指数関数が一次部を担当し、2番目の指数関数が散乱部を担当する。
【0024】
治療計画システムがこのモデルを使用する時、4つのパラメータは、表面下0.075cmから40cmを0.075cm刻みとする深度の関数として作表される。
【0025】
式(1)で策定したカーネルは、中心軸に於けるエネルギーフルエンス当たりの線量を得るために半径Rの円形フィールド上で積分することができる。
【数10】

【0026】
ただし、エネルギーフルエンスは一定とする。
【0027】
比2πA/aは明瞭な物理学的意味を持つ。即ち、無限フィールド半径に対するエネルギーフルエンス当たりの線量の一次部を記述する。同様に比2πB/aは無限フィールドに対する散乱部を記述する。従って、深度パラメータ化しようとするときには、パラメータA/a、B/b、a及びbを用いて操作する方が、A、B、a及びbを直接用いて操作するよりも好都合である。
【0028】
無限フィールドに対する一次部及び散乱部の深度パラメータ化関数は以下である。
【数11】

【0029】
及び
【数12】

【0030】
ただし、A、A、A、A、A、B、B、B、B及びBはフィッティングパラメータである。パラメータA、Bは正規化のためのものであり、線量の一次部と散乱部の間に正しい関係を得るために使用される。パラメータ−Aは一次電子の線形減衰係数に類似であり、−Bは散乱光子のそれである。パラメータ−A及び−Bは一次光子の線形減衰係数と見ることができる。
【0031】
パラメータA及びBはビーム硬化補正を導入する。オリジナルデータと浅い深度に於ける適合データとの不整合のため、2つの目的を持つ補正パラメータA及びBを導入した。それらは後方散乱を導入しビルドアップ領域を僅かに拡大する。この拡張が補正する物理的因子は、深度に対する二次粒子の平均方向の変化である。電子及び散乱光子は、浅い深度では、深い深度においてより前方へと方向づけられる。
【0032】
が導入されると一次部に対する深度パラメータ化関数の形状への影響は制限されるが、散乱部にとってはBに対する変化はかなりなものとなる。パラメータの計算は、パラメータの解釈によって正しい値を得るようにするものではなかった。換言すれば、例えば、「実際の」線形減衰係数に近似するAを得るのに労力を費やすのではなく、関数を表値に適合させるようなパラメータの最良値を見つけるのが目的であった。
【0033】
数式(2)に於ける式1−exp[−a(z)R]は、半径Rの円形フィールドに対する中心軸への一次線量と無限フィールドのそれとの比である。この比は、ビルドアップ領域以外では弱い深度依存に過ぎない。このことは、a(z)が弱い深度依存に過ぎないということを意味する。従って、aは深度の線形関数としてパラメータ化される。
【数13】

【0034】
ただし、a及びaはフィッティングパラメータである。
【0035】
同様に数式(2)に於ける式1−exp[−b(z)R]は、半径Rの円形フィールドに対する中心軸への散乱線量と無限フィールドのそれとの比として解釈可能である。A/a及びB/bに対するものと同じフィッティング関数がbに対しても使用可能であることが分かった。
【数14】

【0036】
ただし、b、b、b、b及びbはフィッティングパラメータである。
【0037】
選択した関数のパラメータは、全ての放射線治療システム及びエネルギーに関する前記事前測定放射線ビームデータを含むデータベースから抽出した表データに適合させた。この適合工程はこの目的のために特別に書かれたスクリプトを用いて段階的手順で行われた。パラメータA及びAは高深度での勾配から決定され、Aは適切な位置で最大点を得るように設定され、Aは深度10cmにおいて正しい値を得るように設定され、Aは表面直下で誤差を最小とするように設定された。
【0038】
がAに等しく且つBがAに等しく設定されていない場合には、同じ方法をB/b及びbに対して使用した。パラメータa及びaは、一次部に対するビルドアップ領域下に於ける最小2乗フィッティングを用いて検出した。
【0039】
電子汚染問題のためモデルは浅い深度での使用を目的としないので、浅い深度に於ける適合曲線とaデータとの不一致(図1)は余り重要ではない。bのパラメータ化は、通常治療よりも深い30cmから40cmのどこかの深度において不一致が始まる。
【0040】
17個の加速器及びエネルギー特有パラメータは明示的には測定できない。このことは、それらのパラメータは何らかの測定可能な量と関連づけなければならないか、或いは、測定値に対する完全なモデルのフィッティングを通じて計算しなければならないという意味である。精度が許すならば、第1の方法は各加速器及びエネルギーに対して大量の測定データを要求しないので好ましい。パラメータは、請求項9に記載のようにビーム品質指数TPR20,10の多項式関数として高精度に計算可能であると分かった。
【0041】
多項式関数に於けるパラメータは、モデルとオリジナルなペンシルビームパラメータで計算した深度線量との偏差を最小化するように調整された。
【0042】
モデルは、異なる深度及びフィールドサイズに対する中心軸に於ける線量と参照点(SSD=90cmで深度10cmに於ける10×10cmフィールド)への線量との比の予測子としてテストした。
【数15】

【0043】
ただし、k(r,z,TPR20,10)はTPR20,10依存性を持つ式(1)によるペンシルビームカーネルである。積分範囲R(z,s)は正方フィールドの一辺長s及び深度の関数として計算される。
【数16】

【0044】
ただし、定数は正方フィールドとその等価円形フィールドとの関係による。
【0045】
データセット内に測定値が多数存在するので、臨床測定値とモデルとの予測偏差を信頼性高く推定することが可能となった。図2、3、4は平均偏差を提示しており、平均偏差を取り囲んでいるのは、加速器の50%及び90%の範囲を定める表示である。加速器はそれぞれのTPR20,10比によって5つの群に分類される。
【0046】
I 極低エネルギー − TPR20,10=[0.61,0.645]
II 低エネルギー − TPR20,10=[0.645,0.682]
III 中エネルギー − TPR20,10=[0.682,0.744]
IV 高エネルギー − TPR20,10=[0.744,0.772]
V 極高エネルギー − TPR20,10=[0.772,0.81]
図2、3、4においてモデルとデータとの系統的偏差は誤差中央値によって視覚化可能であるが、ランダム誤差は同一プロットに於ける50%及び90%信頼区間の幅によって視覚化可能である。どちらの種類の誤差も測定値及びモデル自身の両方に由来することができる。測定データは、異なる研究者によって独立に、且つ、変化する装置を用いて得られたものなので、そのデータに於ける系統的誤差がここでの議論ではこれ以上考察しない。
【0047】
電子汚染に対するモデル化の欠如は、高エネルギーにおいて浅い深度に対して線量を過小評価する原因となるのに対して、形状制限は実際上10×10cm以外のフィールドサイズ全てに対して最大1%だけファントム散乱係数を僅かに過大評価する原因となる可能性がある。この影響は全エネルギーに対して存在するが、最低エネルギーに対して最も大きなものとなる。
【0048】
本装置は、同じTPR20,10を持つ2つのビーム間の線量分布の差は小さいという想定に基づく。誤差プロットの解析はこの想定が真であることを示す。信頼区間の幅は、同じTPR20,10を持つ加速器間の個体性及び測定値に於けるランダムな誤差の両方に由来する。線量データは3つの異なる測定値、即ち、深度線量、水中での出力率及び空気中での出力率に由来する。これらの測定値は全て、測定データのランダム誤差に寄与する。
【0049】
深度線量誤差の大きさは、10×10cmフィールドに対する誤差プロットから推定できる(図2b、3b、4a〜c)。プロットは深度10cmを中心とする小区間において正規化され、この区間を中心とする信頼区間の幅は主としてランダム誤差によるものである。この幅を差し引くと、深度線量に対する加速器の個体性はパーセントの10分の1という大きさを持つ(ただし浅い深度及び極低エネルギーを除く)と結論できる。10×10cmフィールドの直ぐ近くには利用可能な測定値が存在しないので、フィールドサイズ依存性に於ける個体性の程度の結論を引き出すのは、より難しいものとなる。
【0050】
しかし、5×5cm、15×15cm及び20×20cmフィールドに対する信頼区間幅がそれらのフィールドの違いほどには違わないという事実は、測定値に於けるランダムな誤差がプロットに於ける拡がりの主因となるということを示す。浅い深度及び極低エネルギーの場合にはTPR20,10は線量計算パラメータの予測子として低品質であると結論することもできる。このような場合、計算線量と計測線量とのランダムな偏差の明瞭な深度依存性が見られるが、浅い深度での深度線量測定値に於ける電子汚染の影響や増大するランダムな誤差の影響も考慮しなければならない。浅い深度側面に対するビーム品質パラメータとしてのTPR20,10を上では別の文脈において論じてきた。
【0051】
図4aから、測定値からの偏差として系統的偏差とランダムな偏差の両方を示す極低エネルギーにおいてモデルの精度は低くなると思われる。注意すべきことは、極低エネルギー群に於ける加速器数は他群よりずっと小さく、少なくとも90%信頼区間は信頼するには少なすぎる加速器数に基づいている。
【0052】
絶対値が線形減衰係数に近いμ(請求項8参照)で全てのパラメータが表現されるので、本モデルの設計では様々なビーム品質仕様が可能となる。μを調整してフィールド内の位置の関数とすれば、軸外し軟化又は金属ウェッジによるビーム硬化に対して一次補正を行うことができる。
【0053】
驚いたことに、本発明の方法を使用すると、TPR20,10が電子汚染の範囲より深い深度に於ける線量計算パラメータの予測子として有用となることが分かった。
【0054】
本発明の方法と装置によるパラメータ化した深度依存性を持つペンシルビームモデルは、最新放射線療法のモニターユニット検証手段としての要件を満たす。積分アルゴリズムを用いた計算ソフトウェアによって、中心軸線量は、ある制限内に於ける任意のフィールド形状及び深度に対して2%の精度(ヘッド散乱を無視する)で計算可能となる。
【0055】
本発明の方法は、5×5cmから20×20cmのフィールドサイズでテストされる。深度は電子汚染の範囲より深くなければならない。殆どの場合、誤差はより小さくなる。所与のモニターユニット数の信頼性及び線量の信頼性は、その結果と共に提示可能となる。この品質は、臨床作業において、検証以外の場合にも有用となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】オリジナルの集計ペンシルビームパラメータと、任意選択した10MV加速器に対して式番号3、4、5、6から計算されたパラメータとの比較である。
【図2】10×10cmフィールドにおいて10cmを中心とする小区間に正規化された誤差のプロットで、主として5及び6MVビームの低エネルギー(210加速器)の場合の誤差プロットである。
【図3】10×10cmフィールドにおいて10cmを中心とする小区間に正規化された誤差のプロットで、主として15〜18MVビームの高エネルギー(138加速器)の場合の誤差プロットである。
【図4】10×10cmフィールドにおいて深度10cmを中心とする小区間に正規化された誤差のプロットで、極低エネルギー(3〜5MV、25加速器)、中エネルギー(8〜10MV、173加速器)及び極高エネルギー(18〜25MV、88加速器)の場合の誤差プロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物体の放射線治療のための放射線治療システムの放射線量分布を計算する方法において、前記放射線治療システムの放射線ビームが異なる深度において特定のビームフィールドサイズ及び形状を呈し、
i) 使用中の前記放射線ビームを表現する少なくとも1つのビーム品質指数を決定する工程と、
ii) 前記少なくとも1つのビーム品質指数に基づいてパラメータ化した線量沈着カーネルを用いて前記特定ビームフィールドに於ける前記放射線量分布を計算する工程とを特徴とする方法。
【請求項2】
iii) 異なる装置に対して、
a) 異なる深度および異なるエネルギーに於ける、異なるフィールド形状及びサイズに対する測定ファントム線量データと、
b) 算出線量沈着カーネルパラメータと、
c) 対応フィールドサイズに対するファントム散乱係数に変換可能な測定ヘッド散乱係数及び出力係数とからなる、事前に収集した測定放射線ビームデータを使用する工程と、
iv) 工程iii)によって事前に収集した測定放射線ビームデータを用いて工程i)によって前記少なくとも1つのビーム品質指数を決定する工程と、
v) 線量沈着カーネルパラメータを、決定された前記1つ或いは少数のビーム品質指数に関連づける工程とを更なる特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
vi) モンテカルロシミュレーションを用いて工程iii)によって前記測定データをシミュレートする工程を更なる特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのビーム品質指数は、d=20cm及びd=10cmの深度(TPR20,10)で測定した組織ファントム比(TPR)間の比によって決定されることを更なる特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのビーム品質指数は、d=10cm(PDD10)に於ける百分率深度線量(PDD)によって決定されることを更なる特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
線量沈着カーネルがペンシル線量沈着カーネルであることを更なる特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
線量沈着カーネルが点線量沈着カーネルであることを更なる特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
放射線ビームの中心軸に於けるエネルギーフルエンス当たりの線量は、
【数1】

及び、
【数2】

で決定され、パラメータは、
【数3】

及び
【数4】

及び
【数5】

で定義され、このとき、
【数6】

であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
パラメータは、次式を用いてTPR(d,d)(TPR20,10)の関数であるμで表現されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【数7】

及び、
【数8】

【請求項10】
動物体の放射線治療のための放射線治療システムの放射線量分布を計算する装置において、前記放射線治療システムの放射線ビームが異なる深度において特定のビームフィールドサイズ及び形状を呈し、使用中の前記放射線ビームを表現する少なくとも1つのビーム品質指数を計算手段に入力するように構成された入力手段と、前記少なくとも1つのビーム品質指数に基づいてパラメータ化した線量沈着カーネルを用いて前記放射線量分布を計算するように構成された前記計算手段とを更に有することを特徴とする装置。
【請求項11】
モニターユニット(MU)検査装置であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
IMRT治療MU検査装置であることを特徴とする請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−175239(P2006−175239A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370530(P2005−370530)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500321966)
【氏名又は名称原語表記】Nucletron B.V.
【住所又は居所原語表記】Waardgelder 1,Veenendaal Netherlands
【Fターム(参考)】