動物用保護カラー
【課題】動物の口部から口部以外の身体を確実に保護し、装着による不快感や負担を軽減した動物用保護カラーを提供する。
【解決手段】保護カラー本体の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を固定または着脱可能に備えた構成の動物用保護カラーにより、動物の首部から頭頂部にかけて、頭部全体を囲む障壁を形成し、動物の口部から、手先、足先、下半身、尻尾など、動物の身体全体を確実に保護できるようにし、さらに、動物の齧る、噛む、舐めるなどの問題行動を未然に防止できるようにして、動物の早期回復を補助する。
【解決手段】保護カラー本体の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を固定または着脱可能に備えた構成の動物用保護カラーにより、動物の首部から頭頂部にかけて、頭部全体を囲む障壁を形成し、動物の口部から、手先、足先、下半身、尻尾など、動物の身体全体を確実に保護できるようにし、さらに、動物の齧る、噛む、舐めるなどの問題行動を未然に防止できるようにして、動物の早期回復を補助する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の口部から動物の身体を保護するために使用する、動物用保護カラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、脳神経疾患や病気、怪我などの後遺症による肢体の麻痺、また、飼育環境によるストレスなどにより、自身の手、足、尻尾などを囓る、噛む、皮膚が破れるほど舐めてしまう動物の数が増えている。
【0003】
動物病院では、このような場合、動物の口部から動物の身体を保護するために保護カラーを使用している。
従来使用されている保護カラーは、一般的にエリザベスカラーと云われているもので、薄い合成樹脂で作成され、使用状態に折り曲げたときに、全体がラッパ状の中空截頭円錐形となるようにしてあり、両端部を着脱できる係止手段で係止させて小径部側を動物の首回りに装着させ、大径部側が動物の顔回りを囲むような姿勢で使用させるようにしてある。
この他にも、保護カラーとして、ドーナツ形状としたもの、首部に装着するコルセット形状のもの、装着感や通気性を考慮したメッシュ素材で形成されたものなどが市販されている。
一方、次のようなものも提案されている。
【0004】
一例を示すと、たとえば、動物の首回りを周回する部位と、動物の顔回りを囲むように首回りを周回する部位より広角に広がるように立上げた部位と、この広角に広がる部位の先端より緩やかな角度修正した部位とを一体にし、小型で動物の口から傷口を守る効果が得られ、脱着を簡単に行えるようにした保護カラーが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、折り曲げたときにラッパ状となるように、内周縁部と外周縁部を有する合成樹脂等よりなるシート状の保護カラー本体と、該保護カラー本体に取り付ける固定用ベルトからなり、保護カラー本体は、両端部に係止手段を有して、両端部を係止させることにより使用状態のラッパ状になり、両端部の係止状態を解くことにより平面状に展開できるようにしてあると共に、さらに、両端部に固定用ベルト係止手段を有しており、全体として保護カラー本体の両端部における内周縁部と外周縁部との間の幅寸法を、中央部や両側部における内周縁部と外周縁部との間の幅寸法に比して小さくするようにしてある。
一方、固定用ベルトは、柔らかな素材の紐状の1本の首輪部と2本の胴輪部からなる構成としてあり、首輪部に、上記保護カラー本体の固定用ベルト係止手段を通すようにするための挿通部を有して、固定用ベルト付動物保護カラーとしたものも提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、上方を開いた伸縮タオル地で構成されるラッパ状のカラー本体と、カラー本体の小径部端部のゴム通し穴に挿通した環状のゴム紐と、カラー本体の大径部の端部の通し穴に取外し可能に挿通した環状のチューブと、カラー本体の小径部から大径部にかけて一定の間隔で放射状に取り付けた可撓性のある芯材とからなり、小径部に通されたゴム紐は犬猫の首の太さに合わせて伸縮可能なため、小径部を犬猫の首に装着して使用し、食事、水飲み時には、カラー本体を反転させることができるようにしてある犬猫用エリザベスカラーが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3108095号公報
【特許文献2】特開2006−230239号公報
【特許文献3】特開2003−9703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記した特許文献1、2、3に記載されているものを含む従来の保護カラーは動物の顔回りまたは首回りを囲む、あるいは首から胴部にかけて覆う障壁を形成し、その障壁の幅を大きくすることで、動物の口部が口部以外の身体の部位に近づくのを防ぐもので、その障壁の幅は動物の歩行が可能な範囲までという制限がある。これは、たとえば、手先、足先を保護しようとした場合など、保護カラーの幅は大きなものとなり、動物が歩行できなくなるということである。
【0009】
また、動物が歩行する際や座った際に顔正面に位置する保護カラーの上部である大径部は動物の呼吸を確保し、歩行するための視野を確保し、飲食を可能にするために開口されている形状である。したがって、開口部を塞ぐという概念はなく、動物の頭部全体を囲む障壁を形成する保護カラーはひとつもないのが現状である。
【0010】
そのため、身体が柔らかく、手足、胴体、あるいは、尻尾が長い動物の場合、身体を曲げたり下を向くことで、保護カラー上部開口部から動物の口部が外に露出してしまう、あるいは開口部内に尻尾や手、足先など身体の一部を取り込めてしまうという問題がある。
実際、考案者の飼っている猫が自傷行為により尻尾を囓ってしまったケースでは、従来の合成樹脂材の保護カラーを3ヶ月間装着させたが、猫は保護カラー内に簡単に尻尾を取り込むことができてしまったため、断尾手術を2回、縫合処置を3回も行う結果となってしまい傷を完治させることができなかった。
つまり、従来の保護カラーでは、動物の頭部や胴部を保護することはできても、手先、足先、下半身や尻尾までを確実に保護することはできなかったのである。
【0011】
そのため、自傷行為を繰り返す動物達の行為を防ぐ方法はなく、動物は大変苦しむことになり、回復に至るまでに長い時間を要することが多く、完治に至らない場合もあり、安楽死を選択せざるをえない場合さえあるのが現状なのである。
【0012】
また、特許文献1や特許文献2に記載されているものを含む従来の保護カラーは、そのほとんどが合成樹脂材で形成されているため、通気性がない、蒸れやすい、清潔が保ちにくい、堅い、重い、滑りやすく外れやすい、長期装着には適さない、などの問題があった。
【0013】
また、特許文献2に記載されているものでは、固定用ベルトを保護カラー本体に係止手段を介し係止させて、固定用ベルトを動物の体に固定するようにしてあるが、固定用ベルトに爪が引掛かりずれてしまうことや、留具が肌にあたるなど、固定用ベルトを装着することによる負担がかかるなどの問題がある。
【0014】
また、特許文献3に記載されているものでは、動物の装着による負担を軽減することができるが、伸縮性のあるタオル材の構成は、ループや織目に爪が引っ掛かること、生地が伸びてしまうこと、破けてしまうことなどの問題がある。また、柔らかいため、芯を用いたとしても、よれやすく変形しやすいという問題がある。
【0015】
なお、治療のために、手、足、尻尾、胴部に保護カバーを装着する考え方もあり、たとえば、尻尾カバーを尻尾の傷部に装着して保護するようにしたものがあるが、動物の頭部の自由は制限されていないため、堅い素材の尻尾カバーであっても、カバーを噛み砕いたり、また、カバーと身体の境目や他の身体の部位を囓る、舐める、噛みきることができてしまうという問題がある。
【0016】
また、一時的に口輪や口紐を利用する場合があるが、口輪や口紐は、動物の口元を覆う、あるいは固定するために、口呼吸がしにくく、嘔吐した場合など、吐き出すことができず、喉につまり窒息してしまう危険性がある。さらに、口輪や口紐は、口元から鼻先が長い動物向きであり、口元から鼻先までが短い動物への装着はできないという問題がある。
【0017】
以上述べたように、従来の保護カラーや保護具は万全とは言えず、獣医師や飼主たちは、保護カラーの外れを防ぎ、動物口部から身体を確実に保護することができて、長期装着が可能で動物の負担を軽減することができる保護カラーを必要としていたのである。
【0018】
そこで、本発明は、前記した従来の保護カラーの問題点を除去すると共に、動物がどのような姿勢をとったとしても、また、どのような行為をしたとしても、動物の口部と手先、足先、尻尾などの他の身体の部位との接触を避けられるようにして、前記した必要性に応え得るような動物用保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために、動物の首部を周回する内径部と、動物の頭部を周回する外径部とを有して、該内径部と外径部との間で動物の頭部側面を囲むことができるように両端部が着脱自在の係止部材で係止できるようにしてある保護カラー本体の外径側の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を、固定または着脱可能に備えた構成とする。
【0020】
また、上記構成において、保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有して動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部端部分を固定接合または着脱可能に接合して備え、保護カラー本体の内径部を動物の首部を周回させると共に、カラーストッパーを動物の首部に装着させるようにした構成としたり、保護カラー本体の内径部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に延びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、且つ上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした構成とする。
【0021】
また、保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有して動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部端部分を、固定接合または着脱可能に接合して備え、カラーストッパーの下部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に延びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体表面の両端部側に着脱自在に係止できるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の動物用保護カラーによれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1) 動物の首部を周回する内径部と、動物の頭部を周回する外径部とを有して、該内径部と外径部との間で動物の頭部側面を囲むことができるように両端部が着脱自在の係止部材で係止できるようにしてある保護カラー本体の外径側の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を固定または着脱可能に備えた構成としてあるので、保護カラー本体の上部開口部を蓋で塞ぐことで、動物の首下から頭頂部まで、頭部全体を囲むことができ、これにより、動物がどのような姿勢をとったとしても、開口部から動物の口部が外に出てしまう、あるいは、開口部内に身体の一部を取り込めてしまうことを防ぎ、動物の口部以外の身体を保護することができる。また、蓋を付けた保護カラーは、幅を広くして障壁を形成する必要がないため、全体の形状を小さく軽くすることができ、さらに蓋を着脱自在とすることで動物への装着をより簡単で且つ容易に行わせることができると共に、蓋を取外すことにより飲食を可能にすることができる。
(2) 上記構成において、保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有して動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部端部分を固定接合または着脱可能に接合して備え、保護カラー本体の内径部を動物の首部を周回させると共に、カラーストッパーを動物の首部に装着させるようにした構成とすることにより、保護カラー本体をカラーストッパー全体で支えることができ、首部にかかる負担を軽減することができる。また、保護カラーが首から外れてしまうことを防ぐ効果も得られ、蓋を付けた保護カラーの効果を万全なものとすることができるようになる。
(3) また、(1)の構成において、保護カラー本体の内径部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に延びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、且つ上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした構成とすることにより、胴着で保護カラーを支えることができるようになる。また、保護カラー本体の内径部を動物の首回りにフィットさせる必要がないため、余裕を持たせて装着することができ、首部の負担をさらに軽減することができる。また、保護カラーが首から外れてしまうことを防ぐ効果も得られ、蓋を付けた保護カラーの効果をさらに万全なものとすることができるようになる。
(4) 上記(2)の構成におけるカラーストッパーに、上記(3)の構成における胴着の喉当て部を接合させる構成において、保護カラーの下部にカラーストッパーを装着し、さらに、その下部に胴着を装着することで、上記(2)及び(3)の効果に加え、首の長い動物の場合にも対応することができるようになる。
(5)以上により、動物の口部から口部以外の身体を保護し、装着による負担を軽減した動物用保護カラーを提供することができる。これにより、動物の苦痛を軽減し、早期回復を補助することが可能となる。
【0023】
なお、本発明の動物用保護カラーを先述した考案者の猫に装着させたところ、はじめは、蓋を舐めようとしたりして蓋を気にする様子だったが、すぐに蓋がある状態に慣れた。保護カラーは頭部全体を囲むものなので、猫の問題行為を未然に防止することができて尻尾の傷を完治させることができた。また、保護カラー本体を布材や網状材で作成した効果により、装着による不快感を軽減することができて、5ヶ月間もの長期に渡り猫に装着させることができた。
なお、本発明の保護カラーを動物に装着させると一切の飲食はできなくなるため、時間を決めて、飲食をさせたり、水を与えるようにしたり、また、水をあまり飲まない場合には、餌に適量の水分を含ませるようにした。
蓋が着脱自在な保護カラーを使用させている場合は、その間だけ蓋を取り外すようにしたり、蓋が固定された保護カラーを使用させている場合には、その間だけ蓋のない保護カラーに代えて使用させるようにした。また、グルーミングは考案者がケアーを行うようにしたが、回復期には、監視の下で保護カラーを短時間外し、猫自身で行えるようにした。
いずれにしても、時間を決め短時間で済ませることができたため、従来の保護カラーを使用したときと比べ、考案者は動物をたえず見張る必要がなくなり、また、治療のために何度も動物病院へ通う必要もなくなり、精神的、肉体的、経済的負担は軽減された。
また、猫にとっても、本発明の動物用保護カラーを装着することで、行動は制限されたが早期回復することが苦しむ期間を最短にする唯一の方法なため、これも最低限の負担で済ませることができたと思われる。
【0024】
また、保護カラーを構成する材料は、どれも安価であり簡単に入手できるものである。形状もシンプルな構成のため、簡単に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の動物用保護カラーの実施の一形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図2】本発明の動物用保護カラーの実施の一形態を示すもので(イ)は蓋の斜視図、(ロ)は保護カラー本体の背面からの概略斜視図である。
【図3】図2(イ)の蓋を(ロ)の保護カラー本体に固定した本発明の動物用保護カラーの実施の一形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の動物用保護カラーの実施の他の形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図5】図4に示す状態から折り曲げられて形成された保護カラー本体の上部開口部に、着脱可能に取り付けるための蓋の斜視図である。
【図6】図4に示す状態から折り曲げられて形成された保護カラー本体に、図5に示す蓋を着脱可能に取り付けた本発明の動物用保護カラーの実施の他の形態を示す、概略斜視図である。
【図7】本発明の動物用保護カラーの実施の更に他の形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図8】図7に示す保護カラー本体に図5に示す蓋を着脱可能に取り付けた本発明の動物用保護カラーの実施の更に他の形態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の動物用保護カラーの別の実施の形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図10】図9に示す状態から折り曲げられて形成された保護カラー本体の上部開口部に、図2(イ)に示す蓋を固定した状態を示すもので、(イ)は正面からの概略斜視図、(ロ)は背面からの概略斜視図である。
【図11】本発明の動物用保護カラーの実施の更に別の形態における保護カラー本体に、胴着を固定した状態を展開して示す平面図である。
【図12】図11に示す保護カラー本体に、図2(イ)に示す蓋を固定した本発明の動物用保護カラーを動物に装着した状態を示すもので、(イ)は概略斜視図、(ロ)は背面図である。
【図13】図7に示す形状の保護カラー本体に、カラーストッパーと胴着を固定した状態を展開して示す平面図である。
【図14】図13に示す保護カラー本体に、図5に示す蓋を着脱可能に取り付けた本発明の動物用保護カラーを動物に装着した状態を示すもので(イ)は概略斜視図、(ロ)は背面図である。
【図15】図2、図3の別の形態を示すもので、(イ)は蓋の斜視図、(ロ)は保護カラー本体の斜視図、(ハ)は(イ)に示す蓋を(ロ)に固定して取り付けた本発明の動物用保護カラーを動物に装着させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0027】
図1乃至図3は、本発明の実施の一形態を示すもので、本発明の動物用保護カラーを使用しようとする犬や猫などの動物の首回りに位置させるようにする下端部としての小径の内径部2と動物の顔回りに位置させるようにする上端部としての大径の外径部3を有して、全体として動物の顔回りを囲むようにする保護カラー本体1と、該保護カラー本体1の外径部1b側で形成される上部開口部(先端開口部)4を閉塞させて動物の顔を露出させないようにするための蓋8とからなる構成とする。
【0028】
上記保護カラー本体1は、展開させたときに図1に示す如く、内径部2と外径部3を有する略扇型をなすようにしてあり、一端部1aの表面側と他端部1bの幅方向の略全長に亘るような広い範囲で裏面側に、それぞれ係止部材としての面ファスナー5と6を取り付けて、両端部1a、1bを面ファスナー5、6で強固に係止できるようにする。上記内径部2から外径部3までの幅寸法は、動物の首の部位から顔の部位までの寸法に対応させたものとしてあり、さらに、折り曲げて両端部1a、1b同士を面ファスナー5、6を介して係止させたときに、内径部2が動物の首回りを周回でき、且つ外径部3が動物の顔回りを周回させることができるように、一端部1aから他端部1bまで十分な長さとするようにしてあり、内径部2と外径部3が円形となるように折り曲げて両端部1a、1bの面ファスナー5、6を係止させることによりラッパ形状となり、動物の頭部を取り囲むことができるようにし、面ファスナー5、6による係止位置の調節により首回り、顔回りの大きさを調節できるようにする。
【0029】
上記保護カラー本体1は、通気性、吸水性、速乾性を有する布材、あるいは、弾性のあるポリエチレンなどの合成樹脂製網状材で、軽量のものとするようにし、且つ内径部2と外径部3と両端部1a、1bを巡る周縁部には、布材(綿、ナイロン)や薄いゴム材などからなるテープ7を取り付けた構成とする。
【0030】
一方、上記蓋8は、図2(ロ)に示すように折り曲げられた保護カラー本体1の上部開口部4を、図3に一例を示すように塞ぐようにするために、上記保護カラー本体1の上部開口部4の径に対応する大きさの外径を有すると共に、全体として動物の呼吸作用を阻害することがなく、且つ視界を遮るおそれがないように網目構造または多孔構造とした、弾性のあるポリエチレンなどの合成樹脂からなる構成とする。さらに、周縁部には、図2(イ)に示す如く、布材(綿、ナイロン)または薄いゴム材などのテープ9を取り付けて縁取りした構成とする。
【0031】
本発明の動物用保護カラーは、上記保護カラー本体1を折り曲げて図2(ロ)に示す如くラッパ形状とした保護カラー本体1の上部開口部4の周縁部に取り付けられたテープ7に、図2(イ)に示す如く構成された蓋8の周縁部のテープ9を重ね合わせるように載せ、図3に示す如く、保護カラー本体1と蓋8との間に隙間が生じないように接着または縫着により取り付けて一体構造とするようにする。
【0032】
なお、上記保護カラー本体1への蓋8の接着または縫着による取り付けは、保護カラー本体1の両端部1a、1bを重ね合わせて係止させる部分の領域を除いた領域とする。取り付け領域から除かれた領域は、上記保護カラー本体1と蓋8とを非接着または非縫着の部分とし、保護カラー本体1の両端部1a、1bを係止状態から引き剥して左右に開いたときに、大きな開口が形成されるようにする。
【0033】
本発明の動物用保護カラーを装着させた動物は、蓋8があることにより自身の前足、後足や尻尾などを囓ったり、噛んだりすることはできず、また、尻尾や前後の足を保護カラー内に取り込むようなこともできないことから、動物の口部でその動物の体の負傷部分を囓る、噛む、舐めるなどの行為を未然に防止させることができて、早期に怪我を完治させることが可能となる。
【0034】
次に、図4乃至図6は、本発明の動物用保護カラーの実施の他の形態を示すもので、図1乃至図3に示した実施の形態と同様に、保護カラー本体1と蓋8とからなる構成において、保護カラー本体1に、蓋8aを着脱可能に取り付けることができるようにしたものである。
【0035】
すなわち、図1に示すものと同様に構成されている保護カラー本体1の外側となる表面側の大径側周辺部に、係止部材としての面ファスナー10を一連の帯状として略全長に亘り配置して、接着または縫着により面ファスナー10を保護カラー本体1の表面に一体的に取り付けるようにする。一方、蓋8aは、図2(イ)に示すものと同様に構成されている蓋の外周部に、周方向に所要間隔を隔てた複数箇所に、所要の長さ及び幅を有し且つ先端部に係止部材としての面ファスナー11を取り付けた可撓性のある係止片12をそれぞれ面ファスナー11が下向きとなるようにして、各係止片12の基端側を取り付けるようにし、該各係止片12の先端部の係止部材としての面ファスナー11を、上記保護カラー本体1の大径側外周面に取り付けられている係止部材としての面ファスナー10に係止させることにより、蓋8aを保護カラー本体1に着脱自在に取り付けるようにした構成とする。
その他の構成は図1乃至図3に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0036】
この実施の形態の動物用保護カラーを動物に装着させて使用するときは、先ず、保護カラー本体1を、表面側が外側となるように折り曲げて図2(ロ)に示した場合と同様にラッパ形状にした後、両端部1a、1bの係止部材としての面ファスナー5、6同士を重ね合わせて係止させるようにする。この状態で、保護カラー本体1の外周面の大径側には、図6に示す如く、一連の係止部材としての面ファスナー10が配置された状態となるので、次に、保護カラー本体1の上部開口部端面上に蓋8aの外周縁部を載置させた後、保護カラー本体1と蓋8aとの間に隙間が生じないように、蓋8aを保護カラー本体1側へ伸圧しながら各係止片12を順次下方へ折り曲げて、該係止片12の先端部に取り付けてある係止部材としての面ファスナー11を保護カラー本体1に取り付けてある係止部材としての面ファスナー10に係止させるようにする。これにより、図6に示す如く、保護カラー本体1と蓋8aとを一体にした本発明の動物用保護カラーとすることができる。
【0037】
上記のように構成されている本発明の動物用保護カラーを動物に装着するときは、保護カラー本体1の両端部1a、1bを、面ファスナー5、6による係止を解除させるように引き離すようにする。これにより保護カラー本体1は両端部1a、1b側を大きく開くことができ、この状態で蓋8a付きの保護カラー本体1を動物の顔前から後方向に引き寄せることにより容易に被せることができる。被せ終わると、保護カラー本体1の両端部1a、1bを重ね合わせるように接近させ、動物の首回りの大きさに合わせ内径部の大きさとして、面ファスナー5、6を介し係止させて装着させるようにする。本実施の形態の場合には、保護カラー本体1と蓋8aとが着脱できるようにしてあるので、保護カラー本体1の両端部1a、1b側に位置する蓋8aの係止片12を保護カラー本体1の係止部材としての面ファスナー10から離脱させておくことにより、上記保護カラー本体1の両端部1a、1b側の開口を大きくすることができる。また、動物に装着させる際に、予め保護カラー本体1から蓋8aを取り外しておいて、保護カラー本体1のみを両端部1a、1bの係止状態を解除して展開させた状態で動物に装着させた後、蓋8aを保護カラー本体1の上部開口部に位置させ、各係止片12の面ファスナー11を保護カラー本体1の係止部材としての面ファスナー10に係止させるようにして、保護カラー本体1を動物に装着させてから蓋8aを取り付けるようにすることもできる。
動物から取り外す場合は、上記装着の逆の操作を行うようにすればよい。
【0038】
また、図7及び図8は、図4乃至図6に示す実施の形態の応用例を示すもので、図4に示すように、保護カラー本体1の表面の外周辺部に一連の面ファスナー10を係止部材として取り付けるようにしたことに代えて、図5に示す蓋8aに取り付けた係止片12の位置に対応する保護カラー本体1の外表面の位置に、係止部材としての面ファスナー13を部分的に取り付けるようにし、保護カラー本体1の外表面の各係止部材としての面ファスナー13に、蓋8aの各係止片12の係止部材としての面ファスナー11を係止させることにより、図8に示すように、保護カラー本体1に蓋8aを取り付けるようにしたものである。
その他の構成は図4乃至図6に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0039】
この実施の形態においても、図4乃至図6に示す実施の形態の場合と同様に蓋8aの着脱ができ、動物への装着も保護カラー本体1の係止部となる両端部1a、1b側に位置する係止片12を保護カラー本体1から取り外しておいて、保護カラー本体の両端部1a、1bを大きく開口させるようにしたり、予め蓋8aを取り外した状態の保護カラー本体1を展開させた状態で装置した後、蓋8aを取り付けるようにすることができる。
【0040】
図9及び図10(イ)(ロ)は、本発明の動物用保護カラーの実施のさらに他の形態を示すもので、図1乃至3に示すものと同様に構成されている保護カラー本体1と蓋8とからなる動物用保護カラーにおいて、動物の首に巻きつけるようにする伸縮性を有する布材による襟巻状のカラーストッパー14の中央部分と保護カラー本体1の内径部2との接合部15を接着または縫着により固定するか、着脱できるように取り付け、さらに、カラーストッパー14の一端部と他端側に、係止部材としての面ファスナー16と17を取り付けた構成とし、動物に装着するときには、保護カラー本体1の両端部1a、1bを係止させて内径部2の小径側を動物の首回りに配置させるようにすると同時に、カラーストッパー14を動物の首回りに配置させて面ファスナー16、17を係止させるようにしたものである。
【0041】
上記カラーストッパー14に取り付ける係止部材としての面ファスナー16と17のうち、面ファスナー16は、使用する動物の首回りの太さに合わせて調節できるよう十分な幅(長さ)を用意して取り付けるようにする。
また、カラーストッパー14を保護カラー本体1に着脱自在に取り付ける場合は、接合部15に、それぞれ係止部材としての面ファスナーを取り付けて面ファスナー同士の係止で取り付けられるようにするか、あるいは面ファスナーに代えて、雄雌のホックを相対向させて保護カラー本体1側とカラーストッパー14側に取り付けるようにしてもよい。
その他の構成は図1乃至図3に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0042】
この実施の形態によれば、本発明の動物用保護カラーをカラーストッパー14で支えることができるため、動物の首部の負担を軽減することができ、さらに、保護カラーが動物から外れたりするおそれを有効に防止できるという利点がある。
【0043】
さらに、図11及び図12(イ)(ロ)は、本発明の動物用保護カラーの実施のさらに別の形態を示すもので、図1乃至図3に示すものと同様に構成されている保護カラー本体1と蓋8とからなる動物用保護カラーにおいて、保護カラー本体1に、伸縮性を有し、且つ通気性を有する布材で構成される胴着18を一体的に、または着脱自在に取り付けてなる構成としたものである。
【0044】
すなわち、前端部に、保護カラー本体1の内径部2に沿うように円弧形状とした喉当て部19と、該喉当て部19から後方へ末広がり状に拡大された胸当て部20と、該胸当て部20の後端側の左右両側に突出させた所要長さのベルト部21a、21bとから胴着18を構成し、該胴着18の喉当て部19の前縁部と、保護カラー本体1の内径部との接合部22を、接着または縫着により固定するか、着脱自在に取り付けるようにする。上記胴着18の2本のベルト部21aと21bには、両端部に係止部材としての面ファスナー23と24を取り付けると共に、保護カラー本体1の両端部1a、1b側の外表面に、上記ベルト部21a、21bの面ファスナー23、24に対応する大きさの係止部材としての面ファスナー25と26を取り付け、保護カラー本体1を動物に装着するときに、胴着18を動物の喉部から胸部に沿わせてから、ベルト部21a、21bをその動物の前足の後側を通して動物の背中部分で交叉(たすき掛け)させた後、ベルト部21a、21bの各先端部の係止部材としての面ファスナー23と24を、保護カラー本体1の表面の係止部材としての面ファスナー25と26にそれぞれ係止させるようにして、動物への装着を行わせるようにしたものである。
その他の構成は図1乃至図3に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0045】
上記保護カラー本体1への胴着18の取り付けは、胴着18の前端部にある喉当て部19を、保護カラー本体1の内径部2に沿わせて配置して、接合部22を接着または縫着により一体的に取り付けるようにするか、あるいは、上記胴着18の喉当て部19と保護カラー本体1の内径部2との接合部22にそれぞれ係止部材としての面ファスナーを取り付けて、面ファスナー同士の係止と離脱により自在に着脱できるようにする。
【0046】
この実施の形態によれば、図1乃至図3に示す実施の形態の場合と同様の効果が得られるほかに、胴着18が保護カラー本体1に取り付けてあるため、胴着18を動物に装着させ、ベルト部21a、21bの両端部の面ファスナー23、24を保護カラー本体1に取り付けた係止部材としての面ファスナー25、26に係止させることにより、胴着18を動物の体に安定させて取り付けることができて、首部の負担を軽減することができる。また、その取り付けも容易にできる。さらに、保護カラーが動物から外れたりするおそれを有効に防止できるという利点がある。
【0047】
また、図13及び図14(イ)(ロ)は、上記した図11及び図12(イ)(ロ)に示す実施の形態を応用した一例を示すもので、図7及び図8に示すように、蓋8aが着脱自在に取り付けられるようにしてある保護カラー本体1に、図9及び図10(イ)(ロ)に示すようにカラーストッパー14を取り付けるようにし、さらに、このカラーストッパー14に重ねるようにして、胴着18を取り付けるようにしたものである。
【0048】
すなわち、図9に示す場合と同様に、保護カラー本体1の内径部2への接合部15にカラーストッパー14を取り付け、このカラーストッパー14への接合部22に、胴着18の前端側の喉当て部19をカラーストッパー14に重ねて一体的に、または着脱自在に取り付け、保護カラー本体1を動物に装着するときに、カラーストッパー14の装着と、胴着18の装着が同時にできるようにしたものである。
その他の構成は図9及び図10(イ)(ロ)、図11及び図12(イ)(ロ)に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0049】
この実施の形態によれば、前記した図11及び図12(イ)(ロ)に示す実施の形態により得られる効果のほかに、図9及び図10(イ)(ロ)に示す実施の形態により得られる効果を有し、さらに首の長い動物に装着して使用させることができる利点がある。
【0050】
さらに、図15(イ)(ロ)(ハ)は、図2及び図3の実施の形態を応用した形態を示すもので、図15の保護カラー本体1cは、内径部2と外径部3を有し、両端部1a、1bを係止させると中空の半球状になり、蓋8cは保護カラー本体1cの開口部4を塞ぐ大きさの外径部3を有したドーム形状または中空の半球状からなる構成で、保護カラー本体1cに蓋8cを取付けることにより略球面形状となるようにしたものである。
なお、保護カラー1cと蓋8cの高さは同等か、あるいは保護カラー1cが全体の3分の2の高さを有し、蓋が全体の3分の1の高さを有するように形成してもよい。
【0051】
上記保護カラー本体1cへの蓋8cの取り付けは、保護カラー本体1cの上部開口部4の周縁部に取り付けられたテープ7部位に、図2に示す如く蓋の周縁部のテープ9部位を重ね合わせるように載せて、図3に示す如く保護カラー本体1cと蓋8cとの間に隙間が生じないように接着または縫着により取り付けて一体構造とする構成とする。なお、上記取り付けは、保護カラー本体1cの外径部全域から両端部1a、1bを重ね合わせて係止させる部分を除いた領域とし、取り付け領域から除かれた領域は、上記保護カラー本体1cと蓋8cとを非接着または非縫着の部分とし、保護カラー本体1cの両端部1a、1bを係止状態から引き剥して左右に開いたときに、大きな開口が形成されるようにする。
蓋を着脱自在に装着させる場合は、図5、図6、図8に示した如く、蓋8cの外径部外側に係止片を取り付け、その内側に面テープを備え、保護カラー本体上部外径部の外側に面テープを必要箇所に配置して係止させる構成とすることができる。
【0052】
上記保護カラー本体1cと蓋8cは、弾性を有するポリエチレン合成樹脂の網状材で構成し、周縁部を布テープ7、9で縁取りした場合には、軽量で通気性がよく、広い範囲を見ることができ、装着させる動物に違和感を与えるようなこともない。また、保護カラー1cを布材で構成することもできる。
【0053】
上記保護カラーを使用させる場合は、保護カラー本体1cの両端部1a、1bを左右に開いて動物の顔前から後方へ移動させることにより被着させた後、両端部1a、1bを動物の首の後方で重ね合わせ係止させるようにする。これにより、図1乃至図3に示した実施の形態の場合と同様に動物に装着させることができる。
【0054】
この実施の形態によれば、図1乃至図3に示す実施の形態の場合と同様の効果が得られるほかに、保護カラー本体1cが全体的に外側へ膨らむ球状となっており、蓋8cも半球状、またはドーム形状としてあるため、保護カラーの内部空間を広くすることができて、装着による圧迫感を軽減することができる利点がある。
【0055】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限定されるものではなく、たとえば、図9及び図10(イ)(ロ)に示す実施の形態や、図11及び図12(イ)(ロ)に示す実施の形態では、いずれも図1乃至図3に示す実施の形態における蓋8を一体に取り付けるようにする保護カラー本体1に適用した場合を示したが、いずれも図4乃至図6に示す実施の形態における保護カラー本体や、図7及び図8に示す実施の形態における保護カラー本体のように、蓋8aが着脱できるようにしてあるものに適用するようにしてもよく、図13及び図14(イ)(ロ)に示す実施の形態では、図7及び図8に示すように蓋を着脱自在に取り付けるようにしてある実施の形態における保護カラー本体に適用した場合を示したが、図4乃至図6に示すような実施の形態における保護カラー本体にカラーストッパー14と胴着18を取り付けるようにしてもよく、また、図12(イ)(ロ)と同様に蓋8が一体に取り付けられるようにしてある保護カラー本体に適用するようにしてもよく、それぞれの形態の組み合わせを変えて使用させることができる。
【0056】
また、本発明において保護カラー本体は、外側を綿などの天然繊維または合成繊維布材とし、内側をマイクロファイバー布材とした構成としてもよい。この場合、動物の涎や口周りの汚れを内側のマイクロファイバー布材が吸収し、さらに、速乾性があるために口周りの蒸れによる炎症を防止する効果が得られ、炎症がある場合には完治を早める効果も得られ、また、簡単に洗えて清潔を保つことができる。さらに、軽量で且つ肌触りがやさしく柔らかいために、動物に違和感を与えるようなことはなく、装着による負担を軽減することができて長期間装着させることができる。
【0057】
また、保護カラー本体は、蓋と同様に弾性を有するポリエチレン合成樹脂の網状材で構成してもよく、また、蓋と一体で構成するようにしてもよい。この場合、軽量で通気性がよく、しかも蓋の網目構造と相俟って広い視界を確保することができて、装着させる動物に違和感を与えるようなこともない。また、口輪や口紐を使用できない動物などに口輪・口紐の代わりに使用することもでき、さらに、診療やトリミング、散歩の際に使用することもできる。
また、前記構成の保護カラー本体の外側に通気性、視界性がよく、滑りやすく織目が細かい布材を重ねた構成としてもよい。この場合、猫などの爪が小さく鋭い動物などに長期装着させることができる。
【0058】
本発明において蓋は、透明なものが好適であるが、網目または孔を通して見やすいものであれば色付きのものでもよい。
また、蓋の材質としては、保護カラー本体の内側へ凹んだり、垂れてしまったり、蓋の上から動物が噛むことができてしまうような柔らかい材質や堅く重い金属などの材質は適さない。
また、蓋の形状は実施例の他に、保護カラー本体開口部に被せて使用するキャップ型蓋であってもよい。
【0059】
また、蓋の作成方法としては、網状材の一枚板から保護カラー本体上部開口部4を覆う大きさの円形を切り抜き、その周縁部をテープ9で縁取りするようにしてもよく、また、上部開口部4を覆う大きさの円形板状、ドーム形状、中空の半球状、キャップ型などに成形加工して作成してもよい。
上記作成方法の他、蓋は以下のようにして作成することもできる。
【0060】
まず、外径をSサイズ、Mサイズ、Lサイズ、LLサイズのように、各サイズの最大値で形成した網状円形板状の蓋を用意し、各サイズにおいて、それぞれの最大値の首回りから最小値の首回りに対応する数段階の外径部の大きさを示す円の印しを蓋表面に付しておき、動物の首回りに対応する外径の大きさを選べるようにして、印しを切断して使用できるようにしてもよい。
切断した蓋の外周縁部の処理は、断面形状が凹状となるようにしてあるリング状の伸縮性を有するカバーを嵌着して簡単に縁取りできるようにしてもよい。これにより、簡単に動物の首のサイズに対応する蓋を用意することができて、蓋をつけた保護カラーを容易に構成させることができる。
【0061】
また、上記蓋において、各サイズごとに蓋を作成し、その蓋表面に首回りに対応して変化する蓋の大きさを示すための印しを付けるだけでなく、印を付けた箇所を相互に連結部材で連結する構成とし、連結部材の取り外しや連結部材による連結により、任意のサイズの蓋が簡単に選択、修正できるようにすることもできる。
【0062】
また、本発明においてカラーストッパー14の材質は、伸縮性を有する布材とする他、弾性を有する薄いゴム布材または薄く柔らかいゴム材とするようにしてもよい。また、カラーストッパーの一部、あるいは全体にギャザー、あるいはシャーリングの加工をした布材を使用することもできる。
【0063】
また、本発明における胴着18は、動物用の服を用いるようにしてもよく、胴着型リードなどでもよい。その場合、動物の身体にフィットする材質で、首部がしっかりとした形状のもので脱着が容易なものであればよい。
【0064】
上述した本発明の動物保護カラーは、対象となる動物の種類や体型に合わせて適宜数種類のサイズが作成されるものである。また、構造・形状・手段・方法・材質などについては、上述した内容、実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
1、1c 保護カラー本体
1a、1b 端部
2 内径部
3 外径部
4 上部開口部
5、6 面ファスナー(係止部材)
7、9 縁部テープ
8、8a、8c 蓋
10、11、13 面ファスナー(係止部材)
12 係止片(ヘム部)
14 カラーストッパー
15、22 接合部
16、17 面ファスナー(係止部材)
18 胴着
21a、21b ベルト部
23、24、25、26 面ファスナー(係止部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の口部から動物の身体を保護するために使用する、動物用保護カラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、脳神経疾患や病気、怪我などの後遺症による肢体の麻痺、また、飼育環境によるストレスなどにより、自身の手、足、尻尾などを囓る、噛む、皮膚が破れるほど舐めてしまう動物の数が増えている。
【0003】
動物病院では、このような場合、動物の口部から動物の身体を保護するために保護カラーを使用している。
従来使用されている保護カラーは、一般的にエリザベスカラーと云われているもので、薄い合成樹脂で作成され、使用状態に折り曲げたときに、全体がラッパ状の中空截頭円錐形となるようにしてあり、両端部を着脱できる係止手段で係止させて小径部側を動物の首回りに装着させ、大径部側が動物の顔回りを囲むような姿勢で使用させるようにしてある。
この他にも、保護カラーとして、ドーナツ形状としたもの、首部に装着するコルセット形状のもの、装着感や通気性を考慮したメッシュ素材で形成されたものなどが市販されている。
一方、次のようなものも提案されている。
【0004】
一例を示すと、たとえば、動物の首回りを周回する部位と、動物の顔回りを囲むように首回りを周回する部位より広角に広がるように立上げた部位と、この広角に広がる部位の先端より緩やかな角度修正した部位とを一体にし、小型で動物の口から傷口を守る効果が得られ、脱着を簡単に行えるようにした保護カラーが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、折り曲げたときにラッパ状となるように、内周縁部と外周縁部を有する合成樹脂等よりなるシート状の保護カラー本体と、該保護カラー本体に取り付ける固定用ベルトからなり、保護カラー本体は、両端部に係止手段を有して、両端部を係止させることにより使用状態のラッパ状になり、両端部の係止状態を解くことにより平面状に展開できるようにしてあると共に、さらに、両端部に固定用ベルト係止手段を有しており、全体として保護カラー本体の両端部における内周縁部と外周縁部との間の幅寸法を、中央部や両側部における内周縁部と外周縁部との間の幅寸法に比して小さくするようにしてある。
一方、固定用ベルトは、柔らかな素材の紐状の1本の首輪部と2本の胴輪部からなる構成としてあり、首輪部に、上記保護カラー本体の固定用ベルト係止手段を通すようにするための挿通部を有して、固定用ベルト付動物保護カラーとしたものも提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、上方を開いた伸縮タオル地で構成されるラッパ状のカラー本体と、カラー本体の小径部端部のゴム通し穴に挿通した環状のゴム紐と、カラー本体の大径部の端部の通し穴に取外し可能に挿通した環状のチューブと、カラー本体の小径部から大径部にかけて一定の間隔で放射状に取り付けた可撓性のある芯材とからなり、小径部に通されたゴム紐は犬猫の首の太さに合わせて伸縮可能なため、小径部を犬猫の首に装着して使用し、食事、水飲み時には、カラー本体を反転させることができるようにしてある犬猫用エリザベスカラーが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3108095号公報
【特許文献2】特開2006−230239号公報
【特許文献3】特開2003−9703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記した特許文献1、2、3に記載されているものを含む従来の保護カラーは動物の顔回りまたは首回りを囲む、あるいは首から胴部にかけて覆う障壁を形成し、その障壁の幅を大きくすることで、動物の口部が口部以外の身体の部位に近づくのを防ぐもので、その障壁の幅は動物の歩行が可能な範囲までという制限がある。これは、たとえば、手先、足先を保護しようとした場合など、保護カラーの幅は大きなものとなり、動物が歩行できなくなるということである。
【0009】
また、動物が歩行する際や座った際に顔正面に位置する保護カラーの上部である大径部は動物の呼吸を確保し、歩行するための視野を確保し、飲食を可能にするために開口されている形状である。したがって、開口部を塞ぐという概念はなく、動物の頭部全体を囲む障壁を形成する保護カラーはひとつもないのが現状である。
【0010】
そのため、身体が柔らかく、手足、胴体、あるいは、尻尾が長い動物の場合、身体を曲げたり下を向くことで、保護カラー上部開口部から動物の口部が外に露出してしまう、あるいは開口部内に尻尾や手、足先など身体の一部を取り込めてしまうという問題がある。
実際、考案者の飼っている猫が自傷行為により尻尾を囓ってしまったケースでは、従来の合成樹脂材の保護カラーを3ヶ月間装着させたが、猫は保護カラー内に簡単に尻尾を取り込むことができてしまったため、断尾手術を2回、縫合処置を3回も行う結果となってしまい傷を完治させることができなかった。
つまり、従来の保護カラーでは、動物の頭部や胴部を保護することはできても、手先、足先、下半身や尻尾までを確実に保護することはできなかったのである。
【0011】
そのため、自傷行為を繰り返す動物達の行為を防ぐ方法はなく、動物は大変苦しむことになり、回復に至るまでに長い時間を要することが多く、完治に至らない場合もあり、安楽死を選択せざるをえない場合さえあるのが現状なのである。
【0012】
また、特許文献1や特許文献2に記載されているものを含む従来の保護カラーは、そのほとんどが合成樹脂材で形成されているため、通気性がない、蒸れやすい、清潔が保ちにくい、堅い、重い、滑りやすく外れやすい、長期装着には適さない、などの問題があった。
【0013】
また、特許文献2に記載されているものでは、固定用ベルトを保護カラー本体に係止手段を介し係止させて、固定用ベルトを動物の体に固定するようにしてあるが、固定用ベルトに爪が引掛かりずれてしまうことや、留具が肌にあたるなど、固定用ベルトを装着することによる負担がかかるなどの問題がある。
【0014】
また、特許文献3に記載されているものでは、動物の装着による負担を軽減することができるが、伸縮性のあるタオル材の構成は、ループや織目に爪が引っ掛かること、生地が伸びてしまうこと、破けてしまうことなどの問題がある。また、柔らかいため、芯を用いたとしても、よれやすく変形しやすいという問題がある。
【0015】
なお、治療のために、手、足、尻尾、胴部に保護カバーを装着する考え方もあり、たとえば、尻尾カバーを尻尾の傷部に装着して保護するようにしたものがあるが、動物の頭部の自由は制限されていないため、堅い素材の尻尾カバーであっても、カバーを噛み砕いたり、また、カバーと身体の境目や他の身体の部位を囓る、舐める、噛みきることができてしまうという問題がある。
【0016】
また、一時的に口輪や口紐を利用する場合があるが、口輪や口紐は、動物の口元を覆う、あるいは固定するために、口呼吸がしにくく、嘔吐した場合など、吐き出すことができず、喉につまり窒息してしまう危険性がある。さらに、口輪や口紐は、口元から鼻先が長い動物向きであり、口元から鼻先までが短い動物への装着はできないという問題がある。
【0017】
以上述べたように、従来の保護カラーや保護具は万全とは言えず、獣医師や飼主たちは、保護カラーの外れを防ぎ、動物口部から身体を確実に保護することができて、長期装着が可能で動物の負担を軽減することができる保護カラーを必要としていたのである。
【0018】
そこで、本発明は、前記した従来の保護カラーの問題点を除去すると共に、動物がどのような姿勢をとったとしても、また、どのような行為をしたとしても、動物の口部と手先、足先、尻尾などの他の身体の部位との接触を避けられるようにして、前記した必要性に応え得るような動物用保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために、動物の首部を周回する内径部と、動物の頭部を周回する外径部とを有して、該内径部と外径部との間で動物の頭部側面を囲むことができるように両端部が着脱自在の係止部材で係止できるようにしてある保護カラー本体の外径側の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を、固定または着脱可能に備えた構成とする。
【0020】
また、上記構成において、保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有して動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部端部分を固定接合または着脱可能に接合して備え、保護カラー本体の内径部を動物の首部を周回させると共に、カラーストッパーを動物の首部に装着させるようにした構成としたり、保護カラー本体の内径部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に延びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、且つ上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした構成とする。
【0021】
また、保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有して動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部端部分を、固定接合または着脱可能に接合して備え、カラーストッパーの下部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に延びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体表面の両端部側に着脱自在に係止できるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の動物用保護カラーによれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1) 動物の首部を周回する内径部と、動物の頭部を周回する外径部とを有して、該内径部と外径部との間で動物の頭部側面を囲むことができるように両端部が着脱自在の係止部材で係止できるようにしてある保護カラー本体の外径側の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を固定または着脱可能に備えた構成としてあるので、保護カラー本体の上部開口部を蓋で塞ぐことで、動物の首下から頭頂部まで、頭部全体を囲むことができ、これにより、動物がどのような姿勢をとったとしても、開口部から動物の口部が外に出てしまう、あるいは、開口部内に身体の一部を取り込めてしまうことを防ぎ、動物の口部以外の身体を保護することができる。また、蓋を付けた保護カラーは、幅を広くして障壁を形成する必要がないため、全体の形状を小さく軽くすることができ、さらに蓋を着脱自在とすることで動物への装着をより簡単で且つ容易に行わせることができると共に、蓋を取外すことにより飲食を可能にすることができる。
(2) 上記構成において、保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有して動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部端部分を固定接合または着脱可能に接合して備え、保護カラー本体の内径部を動物の首部を周回させると共に、カラーストッパーを動物の首部に装着させるようにした構成とすることにより、保護カラー本体をカラーストッパー全体で支えることができ、首部にかかる負担を軽減することができる。また、保護カラーが首から外れてしまうことを防ぐ効果も得られ、蓋を付けた保護カラーの効果を万全なものとすることができるようになる。
(3) また、(1)の構成において、保護カラー本体の内径部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に延びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、且つ上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした構成とすることにより、胴着で保護カラーを支えることができるようになる。また、保護カラー本体の内径部を動物の首回りにフィットさせる必要がないため、余裕を持たせて装着することができ、首部の負担をさらに軽減することができる。また、保護カラーが首から外れてしまうことを防ぐ効果も得られ、蓋を付けた保護カラーの効果をさらに万全なものとすることができるようになる。
(4) 上記(2)の構成におけるカラーストッパーに、上記(3)の構成における胴着の喉当て部を接合させる構成において、保護カラーの下部にカラーストッパーを装着し、さらに、その下部に胴着を装着することで、上記(2)及び(3)の効果に加え、首の長い動物の場合にも対応することができるようになる。
(5)以上により、動物の口部から口部以外の身体を保護し、装着による負担を軽減した動物用保護カラーを提供することができる。これにより、動物の苦痛を軽減し、早期回復を補助することが可能となる。
【0023】
なお、本発明の動物用保護カラーを先述した考案者の猫に装着させたところ、はじめは、蓋を舐めようとしたりして蓋を気にする様子だったが、すぐに蓋がある状態に慣れた。保護カラーは頭部全体を囲むものなので、猫の問題行為を未然に防止することができて尻尾の傷を完治させることができた。また、保護カラー本体を布材や網状材で作成した効果により、装着による不快感を軽減することができて、5ヶ月間もの長期に渡り猫に装着させることができた。
なお、本発明の保護カラーを動物に装着させると一切の飲食はできなくなるため、時間を決めて、飲食をさせたり、水を与えるようにしたり、また、水をあまり飲まない場合には、餌に適量の水分を含ませるようにした。
蓋が着脱自在な保護カラーを使用させている場合は、その間だけ蓋を取り外すようにしたり、蓋が固定された保護カラーを使用させている場合には、その間だけ蓋のない保護カラーに代えて使用させるようにした。また、グルーミングは考案者がケアーを行うようにしたが、回復期には、監視の下で保護カラーを短時間外し、猫自身で行えるようにした。
いずれにしても、時間を決め短時間で済ませることができたため、従来の保護カラーを使用したときと比べ、考案者は動物をたえず見張る必要がなくなり、また、治療のために何度も動物病院へ通う必要もなくなり、精神的、肉体的、経済的負担は軽減された。
また、猫にとっても、本発明の動物用保護カラーを装着することで、行動は制限されたが早期回復することが苦しむ期間を最短にする唯一の方法なため、これも最低限の負担で済ませることができたと思われる。
【0024】
また、保護カラーを構成する材料は、どれも安価であり簡単に入手できるものである。形状もシンプルな構成のため、簡単に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の動物用保護カラーの実施の一形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図2】本発明の動物用保護カラーの実施の一形態を示すもので(イ)は蓋の斜視図、(ロ)は保護カラー本体の背面からの概略斜視図である。
【図3】図2(イ)の蓋を(ロ)の保護カラー本体に固定した本発明の動物用保護カラーの実施の一形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の動物用保護カラーの実施の他の形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図5】図4に示す状態から折り曲げられて形成された保護カラー本体の上部開口部に、着脱可能に取り付けるための蓋の斜視図である。
【図6】図4に示す状態から折り曲げられて形成された保護カラー本体に、図5に示す蓋を着脱可能に取り付けた本発明の動物用保護カラーの実施の他の形態を示す、概略斜視図である。
【図7】本発明の動物用保護カラーの実施の更に他の形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図8】図7に示す保護カラー本体に図5に示す蓋を着脱可能に取り付けた本発明の動物用保護カラーの実施の更に他の形態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の動物用保護カラーの別の実施の形態における保護カラー本体を展開させたときの外表面を示す平面図である。
【図10】図9に示す状態から折り曲げられて形成された保護カラー本体の上部開口部に、図2(イ)に示す蓋を固定した状態を示すもので、(イ)は正面からの概略斜視図、(ロ)は背面からの概略斜視図である。
【図11】本発明の動物用保護カラーの実施の更に別の形態における保護カラー本体に、胴着を固定した状態を展開して示す平面図である。
【図12】図11に示す保護カラー本体に、図2(イ)に示す蓋を固定した本発明の動物用保護カラーを動物に装着した状態を示すもので、(イ)は概略斜視図、(ロ)は背面図である。
【図13】図7に示す形状の保護カラー本体に、カラーストッパーと胴着を固定した状態を展開して示す平面図である。
【図14】図13に示す保護カラー本体に、図5に示す蓋を着脱可能に取り付けた本発明の動物用保護カラーを動物に装着した状態を示すもので(イ)は概略斜視図、(ロ)は背面図である。
【図15】図2、図3の別の形態を示すもので、(イ)は蓋の斜視図、(ロ)は保護カラー本体の斜視図、(ハ)は(イ)に示す蓋を(ロ)に固定して取り付けた本発明の動物用保護カラーを動物に装着させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0027】
図1乃至図3は、本発明の実施の一形態を示すもので、本発明の動物用保護カラーを使用しようとする犬や猫などの動物の首回りに位置させるようにする下端部としての小径の内径部2と動物の顔回りに位置させるようにする上端部としての大径の外径部3を有して、全体として動物の顔回りを囲むようにする保護カラー本体1と、該保護カラー本体1の外径部1b側で形成される上部開口部(先端開口部)4を閉塞させて動物の顔を露出させないようにするための蓋8とからなる構成とする。
【0028】
上記保護カラー本体1は、展開させたときに図1に示す如く、内径部2と外径部3を有する略扇型をなすようにしてあり、一端部1aの表面側と他端部1bの幅方向の略全長に亘るような広い範囲で裏面側に、それぞれ係止部材としての面ファスナー5と6を取り付けて、両端部1a、1bを面ファスナー5、6で強固に係止できるようにする。上記内径部2から外径部3までの幅寸法は、動物の首の部位から顔の部位までの寸法に対応させたものとしてあり、さらに、折り曲げて両端部1a、1b同士を面ファスナー5、6を介して係止させたときに、内径部2が動物の首回りを周回でき、且つ外径部3が動物の顔回りを周回させることができるように、一端部1aから他端部1bまで十分な長さとするようにしてあり、内径部2と外径部3が円形となるように折り曲げて両端部1a、1bの面ファスナー5、6を係止させることによりラッパ形状となり、動物の頭部を取り囲むことができるようにし、面ファスナー5、6による係止位置の調節により首回り、顔回りの大きさを調節できるようにする。
【0029】
上記保護カラー本体1は、通気性、吸水性、速乾性を有する布材、あるいは、弾性のあるポリエチレンなどの合成樹脂製網状材で、軽量のものとするようにし、且つ内径部2と外径部3と両端部1a、1bを巡る周縁部には、布材(綿、ナイロン)や薄いゴム材などからなるテープ7を取り付けた構成とする。
【0030】
一方、上記蓋8は、図2(ロ)に示すように折り曲げられた保護カラー本体1の上部開口部4を、図3に一例を示すように塞ぐようにするために、上記保護カラー本体1の上部開口部4の径に対応する大きさの外径を有すると共に、全体として動物の呼吸作用を阻害することがなく、且つ視界を遮るおそれがないように網目構造または多孔構造とした、弾性のあるポリエチレンなどの合成樹脂からなる構成とする。さらに、周縁部には、図2(イ)に示す如く、布材(綿、ナイロン)または薄いゴム材などのテープ9を取り付けて縁取りした構成とする。
【0031】
本発明の動物用保護カラーは、上記保護カラー本体1を折り曲げて図2(ロ)に示す如くラッパ形状とした保護カラー本体1の上部開口部4の周縁部に取り付けられたテープ7に、図2(イ)に示す如く構成された蓋8の周縁部のテープ9を重ね合わせるように載せ、図3に示す如く、保護カラー本体1と蓋8との間に隙間が生じないように接着または縫着により取り付けて一体構造とするようにする。
【0032】
なお、上記保護カラー本体1への蓋8の接着または縫着による取り付けは、保護カラー本体1の両端部1a、1bを重ね合わせて係止させる部分の領域を除いた領域とする。取り付け領域から除かれた領域は、上記保護カラー本体1と蓋8とを非接着または非縫着の部分とし、保護カラー本体1の両端部1a、1bを係止状態から引き剥して左右に開いたときに、大きな開口が形成されるようにする。
【0033】
本発明の動物用保護カラーを装着させた動物は、蓋8があることにより自身の前足、後足や尻尾などを囓ったり、噛んだりすることはできず、また、尻尾や前後の足を保護カラー内に取り込むようなこともできないことから、動物の口部でその動物の体の負傷部分を囓る、噛む、舐めるなどの行為を未然に防止させることができて、早期に怪我を完治させることが可能となる。
【0034】
次に、図4乃至図6は、本発明の動物用保護カラーの実施の他の形態を示すもので、図1乃至図3に示した実施の形態と同様に、保護カラー本体1と蓋8とからなる構成において、保護カラー本体1に、蓋8aを着脱可能に取り付けることができるようにしたものである。
【0035】
すなわち、図1に示すものと同様に構成されている保護カラー本体1の外側となる表面側の大径側周辺部に、係止部材としての面ファスナー10を一連の帯状として略全長に亘り配置して、接着または縫着により面ファスナー10を保護カラー本体1の表面に一体的に取り付けるようにする。一方、蓋8aは、図2(イ)に示すものと同様に構成されている蓋の外周部に、周方向に所要間隔を隔てた複数箇所に、所要の長さ及び幅を有し且つ先端部に係止部材としての面ファスナー11を取り付けた可撓性のある係止片12をそれぞれ面ファスナー11が下向きとなるようにして、各係止片12の基端側を取り付けるようにし、該各係止片12の先端部の係止部材としての面ファスナー11を、上記保護カラー本体1の大径側外周面に取り付けられている係止部材としての面ファスナー10に係止させることにより、蓋8aを保護カラー本体1に着脱自在に取り付けるようにした構成とする。
その他の構成は図1乃至図3に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0036】
この実施の形態の動物用保護カラーを動物に装着させて使用するときは、先ず、保護カラー本体1を、表面側が外側となるように折り曲げて図2(ロ)に示した場合と同様にラッパ形状にした後、両端部1a、1bの係止部材としての面ファスナー5、6同士を重ね合わせて係止させるようにする。この状態で、保護カラー本体1の外周面の大径側には、図6に示す如く、一連の係止部材としての面ファスナー10が配置された状態となるので、次に、保護カラー本体1の上部開口部端面上に蓋8aの外周縁部を載置させた後、保護カラー本体1と蓋8aとの間に隙間が生じないように、蓋8aを保護カラー本体1側へ伸圧しながら各係止片12を順次下方へ折り曲げて、該係止片12の先端部に取り付けてある係止部材としての面ファスナー11を保護カラー本体1に取り付けてある係止部材としての面ファスナー10に係止させるようにする。これにより、図6に示す如く、保護カラー本体1と蓋8aとを一体にした本発明の動物用保護カラーとすることができる。
【0037】
上記のように構成されている本発明の動物用保護カラーを動物に装着するときは、保護カラー本体1の両端部1a、1bを、面ファスナー5、6による係止を解除させるように引き離すようにする。これにより保護カラー本体1は両端部1a、1b側を大きく開くことができ、この状態で蓋8a付きの保護カラー本体1を動物の顔前から後方向に引き寄せることにより容易に被せることができる。被せ終わると、保護カラー本体1の両端部1a、1bを重ね合わせるように接近させ、動物の首回りの大きさに合わせ内径部の大きさとして、面ファスナー5、6を介し係止させて装着させるようにする。本実施の形態の場合には、保護カラー本体1と蓋8aとが着脱できるようにしてあるので、保護カラー本体1の両端部1a、1b側に位置する蓋8aの係止片12を保護カラー本体1の係止部材としての面ファスナー10から離脱させておくことにより、上記保護カラー本体1の両端部1a、1b側の開口を大きくすることができる。また、動物に装着させる際に、予め保護カラー本体1から蓋8aを取り外しておいて、保護カラー本体1のみを両端部1a、1bの係止状態を解除して展開させた状態で動物に装着させた後、蓋8aを保護カラー本体1の上部開口部に位置させ、各係止片12の面ファスナー11を保護カラー本体1の係止部材としての面ファスナー10に係止させるようにして、保護カラー本体1を動物に装着させてから蓋8aを取り付けるようにすることもできる。
動物から取り外す場合は、上記装着の逆の操作を行うようにすればよい。
【0038】
また、図7及び図8は、図4乃至図6に示す実施の形態の応用例を示すもので、図4に示すように、保護カラー本体1の表面の外周辺部に一連の面ファスナー10を係止部材として取り付けるようにしたことに代えて、図5に示す蓋8aに取り付けた係止片12の位置に対応する保護カラー本体1の外表面の位置に、係止部材としての面ファスナー13を部分的に取り付けるようにし、保護カラー本体1の外表面の各係止部材としての面ファスナー13に、蓋8aの各係止片12の係止部材としての面ファスナー11を係止させることにより、図8に示すように、保護カラー本体1に蓋8aを取り付けるようにしたものである。
その他の構成は図4乃至図6に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0039】
この実施の形態においても、図4乃至図6に示す実施の形態の場合と同様に蓋8aの着脱ができ、動物への装着も保護カラー本体1の係止部となる両端部1a、1b側に位置する係止片12を保護カラー本体1から取り外しておいて、保護カラー本体の両端部1a、1bを大きく開口させるようにしたり、予め蓋8aを取り外した状態の保護カラー本体1を展開させた状態で装置した後、蓋8aを取り付けるようにすることができる。
【0040】
図9及び図10(イ)(ロ)は、本発明の動物用保護カラーの実施のさらに他の形態を示すもので、図1乃至3に示すものと同様に構成されている保護カラー本体1と蓋8とからなる動物用保護カラーにおいて、動物の首に巻きつけるようにする伸縮性を有する布材による襟巻状のカラーストッパー14の中央部分と保護カラー本体1の内径部2との接合部15を接着または縫着により固定するか、着脱できるように取り付け、さらに、カラーストッパー14の一端部と他端側に、係止部材としての面ファスナー16と17を取り付けた構成とし、動物に装着するときには、保護カラー本体1の両端部1a、1bを係止させて内径部2の小径側を動物の首回りに配置させるようにすると同時に、カラーストッパー14を動物の首回りに配置させて面ファスナー16、17を係止させるようにしたものである。
【0041】
上記カラーストッパー14に取り付ける係止部材としての面ファスナー16と17のうち、面ファスナー16は、使用する動物の首回りの太さに合わせて調節できるよう十分な幅(長さ)を用意して取り付けるようにする。
また、カラーストッパー14を保護カラー本体1に着脱自在に取り付ける場合は、接合部15に、それぞれ係止部材としての面ファスナーを取り付けて面ファスナー同士の係止で取り付けられるようにするか、あるいは面ファスナーに代えて、雄雌のホックを相対向させて保護カラー本体1側とカラーストッパー14側に取り付けるようにしてもよい。
その他の構成は図1乃至図3に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0042】
この実施の形態によれば、本発明の動物用保護カラーをカラーストッパー14で支えることができるため、動物の首部の負担を軽減することができ、さらに、保護カラーが動物から外れたりするおそれを有効に防止できるという利点がある。
【0043】
さらに、図11及び図12(イ)(ロ)は、本発明の動物用保護カラーの実施のさらに別の形態を示すもので、図1乃至図3に示すものと同様に構成されている保護カラー本体1と蓋8とからなる動物用保護カラーにおいて、保護カラー本体1に、伸縮性を有し、且つ通気性を有する布材で構成される胴着18を一体的に、または着脱自在に取り付けてなる構成としたものである。
【0044】
すなわち、前端部に、保護カラー本体1の内径部2に沿うように円弧形状とした喉当て部19と、該喉当て部19から後方へ末広がり状に拡大された胸当て部20と、該胸当て部20の後端側の左右両側に突出させた所要長さのベルト部21a、21bとから胴着18を構成し、該胴着18の喉当て部19の前縁部と、保護カラー本体1の内径部との接合部22を、接着または縫着により固定するか、着脱自在に取り付けるようにする。上記胴着18の2本のベルト部21aと21bには、両端部に係止部材としての面ファスナー23と24を取り付けると共に、保護カラー本体1の両端部1a、1b側の外表面に、上記ベルト部21a、21bの面ファスナー23、24に対応する大きさの係止部材としての面ファスナー25と26を取り付け、保護カラー本体1を動物に装着するときに、胴着18を動物の喉部から胸部に沿わせてから、ベルト部21a、21bをその動物の前足の後側を通して動物の背中部分で交叉(たすき掛け)させた後、ベルト部21a、21bの各先端部の係止部材としての面ファスナー23と24を、保護カラー本体1の表面の係止部材としての面ファスナー25と26にそれぞれ係止させるようにして、動物への装着を行わせるようにしたものである。
その他の構成は図1乃至図3に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0045】
上記保護カラー本体1への胴着18の取り付けは、胴着18の前端部にある喉当て部19を、保護カラー本体1の内径部2に沿わせて配置して、接合部22を接着または縫着により一体的に取り付けるようにするか、あるいは、上記胴着18の喉当て部19と保護カラー本体1の内径部2との接合部22にそれぞれ係止部材としての面ファスナーを取り付けて、面ファスナー同士の係止と離脱により自在に着脱できるようにする。
【0046】
この実施の形態によれば、図1乃至図3に示す実施の形態の場合と同様の効果が得られるほかに、胴着18が保護カラー本体1に取り付けてあるため、胴着18を動物に装着させ、ベルト部21a、21bの両端部の面ファスナー23、24を保護カラー本体1に取り付けた係止部材としての面ファスナー25、26に係止させることにより、胴着18を動物の体に安定させて取り付けることができて、首部の負担を軽減することができる。また、その取り付けも容易にできる。さらに、保護カラーが動物から外れたりするおそれを有効に防止できるという利点がある。
【0047】
また、図13及び図14(イ)(ロ)は、上記した図11及び図12(イ)(ロ)に示す実施の形態を応用した一例を示すもので、図7及び図8に示すように、蓋8aが着脱自在に取り付けられるようにしてある保護カラー本体1に、図9及び図10(イ)(ロ)に示すようにカラーストッパー14を取り付けるようにし、さらに、このカラーストッパー14に重ねるようにして、胴着18を取り付けるようにしたものである。
【0048】
すなわち、図9に示す場合と同様に、保護カラー本体1の内径部2への接合部15にカラーストッパー14を取り付け、このカラーストッパー14への接合部22に、胴着18の前端側の喉当て部19をカラーストッパー14に重ねて一体的に、または着脱自在に取り付け、保護カラー本体1を動物に装着するときに、カラーストッパー14の装着と、胴着18の装着が同時にできるようにしたものである。
その他の構成は図9及び図10(イ)(ロ)、図11及び図12(イ)(ロ)に示すものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0049】
この実施の形態によれば、前記した図11及び図12(イ)(ロ)に示す実施の形態により得られる効果のほかに、図9及び図10(イ)(ロ)に示す実施の形態により得られる効果を有し、さらに首の長い動物に装着して使用させることができる利点がある。
【0050】
さらに、図15(イ)(ロ)(ハ)は、図2及び図3の実施の形態を応用した形態を示すもので、図15の保護カラー本体1cは、内径部2と外径部3を有し、両端部1a、1bを係止させると中空の半球状になり、蓋8cは保護カラー本体1cの開口部4を塞ぐ大きさの外径部3を有したドーム形状または中空の半球状からなる構成で、保護カラー本体1cに蓋8cを取付けることにより略球面形状となるようにしたものである。
なお、保護カラー1cと蓋8cの高さは同等か、あるいは保護カラー1cが全体の3分の2の高さを有し、蓋が全体の3分の1の高さを有するように形成してもよい。
【0051】
上記保護カラー本体1cへの蓋8cの取り付けは、保護カラー本体1cの上部開口部4の周縁部に取り付けられたテープ7部位に、図2に示す如く蓋の周縁部のテープ9部位を重ね合わせるように載せて、図3に示す如く保護カラー本体1cと蓋8cとの間に隙間が生じないように接着または縫着により取り付けて一体構造とする構成とする。なお、上記取り付けは、保護カラー本体1cの外径部全域から両端部1a、1bを重ね合わせて係止させる部分を除いた領域とし、取り付け領域から除かれた領域は、上記保護カラー本体1cと蓋8cとを非接着または非縫着の部分とし、保護カラー本体1cの両端部1a、1bを係止状態から引き剥して左右に開いたときに、大きな開口が形成されるようにする。
蓋を着脱自在に装着させる場合は、図5、図6、図8に示した如く、蓋8cの外径部外側に係止片を取り付け、その内側に面テープを備え、保護カラー本体上部外径部の外側に面テープを必要箇所に配置して係止させる構成とすることができる。
【0052】
上記保護カラー本体1cと蓋8cは、弾性を有するポリエチレン合成樹脂の網状材で構成し、周縁部を布テープ7、9で縁取りした場合には、軽量で通気性がよく、広い範囲を見ることができ、装着させる動物に違和感を与えるようなこともない。また、保護カラー1cを布材で構成することもできる。
【0053】
上記保護カラーを使用させる場合は、保護カラー本体1cの両端部1a、1bを左右に開いて動物の顔前から後方へ移動させることにより被着させた後、両端部1a、1bを動物の首の後方で重ね合わせ係止させるようにする。これにより、図1乃至図3に示した実施の形態の場合と同様に動物に装着させることができる。
【0054】
この実施の形態によれば、図1乃至図3に示す実施の形態の場合と同様の効果が得られるほかに、保護カラー本体1cが全体的に外側へ膨らむ球状となっており、蓋8cも半球状、またはドーム形状としてあるため、保護カラーの内部空間を広くすることができて、装着による圧迫感を軽減することができる利点がある。
【0055】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限定されるものではなく、たとえば、図9及び図10(イ)(ロ)に示す実施の形態や、図11及び図12(イ)(ロ)に示す実施の形態では、いずれも図1乃至図3に示す実施の形態における蓋8を一体に取り付けるようにする保護カラー本体1に適用した場合を示したが、いずれも図4乃至図6に示す実施の形態における保護カラー本体や、図7及び図8に示す実施の形態における保護カラー本体のように、蓋8aが着脱できるようにしてあるものに適用するようにしてもよく、図13及び図14(イ)(ロ)に示す実施の形態では、図7及び図8に示すように蓋を着脱自在に取り付けるようにしてある実施の形態における保護カラー本体に適用した場合を示したが、図4乃至図6に示すような実施の形態における保護カラー本体にカラーストッパー14と胴着18を取り付けるようにしてもよく、また、図12(イ)(ロ)と同様に蓋8が一体に取り付けられるようにしてある保護カラー本体に適用するようにしてもよく、それぞれの形態の組み合わせを変えて使用させることができる。
【0056】
また、本発明において保護カラー本体は、外側を綿などの天然繊維または合成繊維布材とし、内側をマイクロファイバー布材とした構成としてもよい。この場合、動物の涎や口周りの汚れを内側のマイクロファイバー布材が吸収し、さらに、速乾性があるために口周りの蒸れによる炎症を防止する効果が得られ、炎症がある場合には完治を早める効果も得られ、また、簡単に洗えて清潔を保つことができる。さらに、軽量で且つ肌触りがやさしく柔らかいために、動物に違和感を与えるようなことはなく、装着による負担を軽減することができて長期間装着させることができる。
【0057】
また、保護カラー本体は、蓋と同様に弾性を有するポリエチレン合成樹脂の網状材で構成してもよく、また、蓋と一体で構成するようにしてもよい。この場合、軽量で通気性がよく、しかも蓋の網目構造と相俟って広い視界を確保することができて、装着させる動物に違和感を与えるようなこともない。また、口輪や口紐を使用できない動物などに口輪・口紐の代わりに使用することもでき、さらに、診療やトリミング、散歩の際に使用することもできる。
また、前記構成の保護カラー本体の外側に通気性、視界性がよく、滑りやすく織目が細かい布材を重ねた構成としてもよい。この場合、猫などの爪が小さく鋭い動物などに長期装着させることができる。
【0058】
本発明において蓋は、透明なものが好適であるが、網目または孔を通して見やすいものであれば色付きのものでもよい。
また、蓋の材質としては、保護カラー本体の内側へ凹んだり、垂れてしまったり、蓋の上から動物が噛むことができてしまうような柔らかい材質や堅く重い金属などの材質は適さない。
また、蓋の形状は実施例の他に、保護カラー本体開口部に被せて使用するキャップ型蓋であってもよい。
【0059】
また、蓋の作成方法としては、網状材の一枚板から保護カラー本体上部開口部4を覆う大きさの円形を切り抜き、その周縁部をテープ9で縁取りするようにしてもよく、また、上部開口部4を覆う大きさの円形板状、ドーム形状、中空の半球状、キャップ型などに成形加工して作成してもよい。
上記作成方法の他、蓋は以下のようにして作成することもできる。
【0060】
まず、外径をSサイズ、Mサイズ、Lサイズ、LLサイズのように、各サイズの最大値で形成した網状円形板状の蓋を用意し、各サイズにおいて、それぞれの最大値の首回りから最小値の首回りに対応する数段階の外径部の大きさを示す円の印しを蓋表面に付しておき、動物の首回りに対応する外径の大きさを選べるようにして、印しを切断して使用できるようにしてもよい。
切断した蓋の外周縁部の処理は、断面形状が凹状となるようにしてあるリング状の伸縮性を有するカバーを嵌着して簡単に縁取りできるようにしてもよい。これにより、簡単に動物の首のサイズに対応する蓋を用意することができて、蓋をつけた保護カラーを容易に構成させることができる。
【0061】
また、上記蓋において、各サイズごとに蓋を作成し、その蓋表面に首回りに対応して変化する蓋の大きさを示すための印しを付けるだけでなく、印を付けた箇所を相互に連結部材で連結する構成とし、連結部材の取り外しや連結部材による連結により、任意のサイズの蓋が簡単に選択、修正できるようにすることもできる。
【0062】
また、本発明においてカラーストッパー14の材質は、伸縮性を有する布材とする他、弾性を有する薄いゴム布材または薄く柔らかいゴム材とするようにしてもよい。また、カラーストッパーの一部、あるいは全体にギャザー、あるいはシャーリングの加工をした布材を使用することもできる。
【0063】
また、本発明における胴着18は、動物用の服を用いるようにしてもよく、胴着型リードなどでもよい。その場合、動物の身体にフィットする材質で、首部がしっかりとした形状のもので脱着が容易なものであればよい。
【0064】
上述した本発明の動物保護カラーは、対象となる動物の種類や体型に合わせて適宜数種類のサイズが作成されるものである。また、構造・形状・手段・方法・材質などについては、上述した内容、実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
1、1c 保護カラー本体
1a、1b 端部
2 内径部
3 外径部
4 上部開口部
5、6 面ファスナー(係止部材)
7、9 縁部テープ
8、8a、8c 蓋
10、11、13 面ファスナー(係止部材)
12 係止片(ヘム部)
14 カラーストッパー
15、22 接合部
16、17 面ファスナー(係止部材)
18 胴着
21a、21b ベルト部
23、24、25、26 面ファスナー(係止部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の首部を周回する内径部と、動物の頭部を周回する外径部とを有して、該内径部と外径部との面で動物の頭部側面を囲むことができるように両端部が着脱自在の係止部材で係止できるようにしてある保護カラー本体の外径側の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を固定または着脱可能に備えた構成を有することを特徴とする動物用保護カラー。
【請求項2】
保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有し、動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部を固定接合または着脱可能に接合して備え、保護カラー本体の内径部を動物の首部を周回させると共にカラーストッパーを動物の首部に装着させるようにした、請求項1記載の動物用保護カラー。
【請求項3】
保護カラー本体の内径部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に伸びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、且つ上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした、請求項1記載の動物用保護カラー。
【請求項4】
前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に伸びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を保護カラー本体に接合したカラーストッパー下部に固定接合または着脱可能に接合して備え、上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした、請求項2記載の動物用保護カラー。
【請求項1】
動物の首部を周回する内径部と、動物の頭部を周回する外径部とを有して、該内径部と外径部との面で動物の頭部側面を囲むことができるように両端部が着脱自在の係止部材で係止できるようにしてある保護カラー本体の外径側の上部開口部に、網目構造または多孔構造とした蓋を固定または着脱可能に備えた構成を有することを特徴とする動物用保護カラー。
【請求項2】
保護カラー本体の内径部に、両端部に着脱自在の係止部材を有し、動物の首部に装着できるような長さと所要幅を有する帯状のカラーストッパーの上部を固定接合または着脱可能に接合して備え、保護カラー本体の内径部を動物の首部を周回させると共にカラーストッパーを動物の首部に装着させるようにした、請求項1記載の動物用保護カラー。
【請求項3】
保護カラー本体の内径部に、前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に伸びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を固定接合または着脱可能に接合して備え、且つ上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした、請求項1記載の動物用保護カラー。
【請求項4】
前端部に喉当て部を有する胸当て部の後部に左右に伸びるベルト部を備えてなる胴着の上記喉当て部を保護カラー本体に接合したカラーストッパー下部に固定接合または着脱可能に接合して備え、上記左右のベルト部を交叉させて両端部を保護カラー本体の両端部側に着脱自在に係止できるようにした、請求項2記載の動物用保護カラー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−130684(P2011−130684A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290959(P2009−290959)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【特許番号】特許第4488385号(P4488385)
【特許公報発行日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(309013369)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【特許番号】特許第4488385号(P4488385)
【特許公報発行日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(309013369)
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