説明

動物用噛み物(CHEW)物品

(a)食用噛み物ベース、(b)有効量の抗菌脂質、及び(c)(1)有効量の歯石制御剤又は(2)有効量の長鎖脂肪酸の少なくとも1つを含む、動物用の食用噛み物物品。また、こうした物品を動物が噛むこと又は食べることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットのような動物の歯科衛生を改善する噛み物物品に関する。また本発明は、こうした噛み物物品を噛むことにより、動物の歯上への歯石形成を防止する方法、及び動物の歯から歯石を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯石(Dental calculus)、すなわち時には歯石(tartar)と呼ばれるものは、歯肉縁において歯の表面上に生じる沈着物である。歯肉縁上歯石は、主として唾液管開口部付近の領域、例えば、下顎前歯の舌面上、上顎第一及び第二臼歯の頬面上、並びに後臼歯遠位面上に見られる。歯石は、バイオフィルム前駆体から、石灰化を通して成長する。このバイオフィルムは、歯垢として知られている。成熟した歯石は、骨、エナメル質及び象牙質に類似したヒドロキシアパタイト結晶格子構造中に配置される、主としてリン酸カルシウムである無機部分から成る。有機部分もまた存在し、剥離した上皮細胞、白血球、唾液沈渣、食物の破片、及び様々な種類の微生物から成る。成熟した歯石が成長すると、何らかの外部剤により染色又は変色されない限り、目に見えて白又は黄色がかった色になる。美的観点から醜く、望ましくないことに加えて、成熟した歯石沈着物は、歯肉の炎症の不断の原因であり、それによって、歯肉炎、及び歯の支持構造の他の疾患への要因となり、炎症は内因性(endogeneous)及び外因性有機体への組織の抵抗性を減少させる。
【0003】
歯垢及び歯石がかくまう微生物は、口腔内で感染症を引き起こし得るだけでなく、剥離した上皮細胞、食物の破片等からのイオウ含有タンパク性物質の代謝に起因する息の悪臭も引き起こし得る。息の悪臭は、コンパニオンアニマル所有者の共通の不満であり、この臭いを吸収する又は隠すために、様々な方法が開発されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯石形成を遅らせるため、あるいは、ヒト及び動物、特にペットにおいて歯石が形成された後に歯石を除去するために、当該技術分野において、多種多様な生物・化学剤も提案されてきた。ヒトにおいては、この物質は、日常的に機械的除去されるが、動物に関しては、より問題である。
【0005】
具体的なペット用噛み物物品は、例えば、ドイツ特許第3,426,203号(ハンス(Hans))、米国特許第3,882,257号(ケーグル(Cagle))、同第4,145,447号(フィッシャー(Fisher)ら)、同第5,000,943号(スカリオーネ(Scaglione)ら)、同第5,296,209号(シモン(Simone)ら)、及び同第5,618,518号(ストゥーキー(Stookey))に開示されている。
【0006】
米国特許第3,701,830号(ウェインリッチ(Weinrich)ら)、同第4,364,925号(フィッシャー(Fisher))、同第3,194,738号(ハリソン(Harrison)ら)、及び同第3,686,393号(ウッドラフ(Woodruff)ら)は、歯垢を抑制するために酵素の使用を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、消費する動物の歯科衛生を促進する噛み物物品、並びにこうした噛み物物品を噛むことによって、動物の歯上への歯石形成を抑制し、動物の歯からの歯石除去を容易にするための方法を提供する。本発明は、ペットのオーナーが、彼らのペット動物、例えば、典型的にはネコ及びイヌの口腔衛生を維持するための簡単で効果的な方法を提供する。
【0008】
本発明は、噛むことができる(chewable)物品の形態で供給される、使用する動物の歯科衛生を促進する成分の組合せを採用する。本発明は、抗菌(例えば、抗ウィルス、抗菌、及び抗カビを含む)組成物を採用する。これらの組成物は、例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、あるいはこれらの(エステル又はエーテルのいずれかの)アルコキシル化誘導体のような1以上の抗菌脂質を含む。特定の実施形態では、組成物はまた、抗菌脂質の抗菌作用のためのエンハンサーとして役立つこともできる1以上の歯石制御構成成分も含む。他の実施形態では、組成物はまた、抗菌脂質の活性の範囲を広げることができ、速度を高めることができる、1以上の長鎖脂肪酸を含む。本発明の物品及び方法において使用される組成物は、微生物、特に細菌、真菌、及びウィルスを効果的に減少、防止又は除去することができる。本発明の組成物が、広域範囲の活性を有するように、微生物は、比較的多種多様であることが好ましい。
【0009】
要約すると、本発明の物品は、(a)食用噛み物ベース、(b)有効量の抗菌脂質、及び(c)(1)有効量の歯石制御剤又は(2)有効量の長鎖脂肪酸の少なくとも1つ、好ましくは両方を含む。要約すると、本発明の方法は、請求項1の物品を動物が噛むこと又は食べることを含む。
【0010】
本発明により、ペットなどの動物は、微生物の対象の口腔の少なくとも一部分のコロニー破壊(Decolonizing)を受けるであろう。その結果、動物の歯科衛生は、改善されるであろう。
【0011】
定義
以下の用語は、本明細書において、以下の定義に従って使用される。
【0012】
「苦痛(Affliction)」とは、病気(sickness)、疾患(disease)、怪我、細菌のコロニー化等によって生じる体の状態を意味する。
【0013】
「抗菌脂質」とは、好ましくは水への溶解度が脱イオン水100グラム当たり1.0グラム(1.0g/100g)以下である防腐剤を意味する。好ましい抗菌脂質は、水への溶解度が、脱イオン水100グラム当たり0.5g以下、より好ましくは、脱イオン水100グラム当たり0.25g以下、更により好ましくは、脱イオン水100グラム当たり0.10g以下である。溶解度は、生物化学及び生物物理学公式記録(Biochimica et Biophysica Acta)、1126、135〜142(1992)における、「pH7.4におけるリン酸緩衝液内の長鎖脂肪酸の溶解度(Solubility of Long-Chain Fatty Acids in Phosphate Buffer at pH 7.4)」(ヘンリーク・ボラム(Henrik Vorum)ら)の従来の溶解度評価(Conventional Solubility Estimations)で記載されるように、放射性標識化合物を使用して決定される。好ましい抗菌脂質は、脱イオン水への溶解度が、脱イオン水100グラム当たり少なくとも100マイクログラム(μg)、より好ましくは、脱イオン水100グラム当たり少なくとも500μg、更により好ましくは、脱イオン水100グラム当たり少なくとも1000μgである。抗菌脂質は、好ましくは最高6.2、より好ましくは最高5.8、更により好ましくは最高5.5の親水性/親油性バランス(HLB)を有する。抗菌脂質は、好ましくは少なくとも3、好ましくは少なくとも3.2、更により好ましくは少なくとも3.4のHLBを有する。
【0014】
「防腐剤」とは、病原性及び非病原性微生物を殺す化学剤を意味する。好ましい防腐剤は、「クロルヘキシジン、イソチアゾリノン(カトンCG)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物の生体外抗菌活性(The Antimicrobial Activity in vitro of chlorhexidine, a mixture of isothiazolinones(Kathon CG)and cetyl trimethyl ammonium bromide(CTAB))」、G.ニコレッティ(Nicoletti)ら、院内感染ジャーナル(Journal of Hospital Infection)、23、87〜111(1993)に記載されているような適切な中和剤を使用する、殺す速度(Rate of Kill)の分析において、35℃において濃度0.25重量%でミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton broth)内で試験したとき、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌の両方について、60分間に、初期接種材料1〜3×10cfu/mlから少なくとも4のlog低減を示す。一般に防腐剤は、細胞代謝及び/又は細胞エンベロープに、より広く干渉する。
【0015】
「コロニー破壊(Decolonization)」とは、即座の臨床症状を必ずしも引き起こすというわけではない組織内又は組織上に存在する微生物(例えば、細菌及び真菌)の数の減少を指す。コロニー破壊(Decolonization)の例としては、口腔のコロニー破壊(Decolonization)が挙げられるが、これらに限定されない。コロニー化された組織内においては、感染した組織内よりも、通常、より少数の微生物が存在する。組織が完全にコロニー破壊(deconolonized)されると、微生物は「絶滅」している。
【0016】
「有効量」とは、組成物内にあるとき、全体として、結果として許容できるレベルの微生物が生じるように、1以上の微生物の種を減少、防止、又は排除する抗菌(例えば、抗ウィルス、抗菌、又は抗カビを含む)活性を提供する、抗菌脂質構成成分及び/又はエンハンサー構成成分の量を意味する。典型的に、これは、臨床症状を引き起こさないために十分に低いレベルであり、望ましくは検出不可能なレベルである。本発明の組成物において、構成成分の濃度又は量は、別個に考えたとき、許容可能なレベルまで殺さなくてもよく、又は、望ましくない微生物をそれほど広い範囲で殺さなくてもよく、若しくはそれほど速く殺さなくてもよいが、一緒に使用されると、こうした構成成分は、強化された(好ましくは相乗的な)抗菌活性を提供する(同一条件下において、単独で使用される同一構成成分と比較して)ことを理解すべきである。
【0017】
「エンハンサー」とは、抗菌脂質構成成分を含まない組成物及びエンハンサー構成成分を含まない組成物が別個に使用されるとき、それらが、全体としての組成物と同じレベルの抗菌活性を提供しない場合に、抗菌脂質構成成分の効果を強化する構成成分を意味する。例えば、抗菌脂質構成成分がない場合、エンハンサー構成成分は、相当の抗菌活性を提供しなくてもよい。増強効果は、殺すレベル、殺す速度、及び/又は殺される微生物の範囲に関わり得、全ての微生物について見られなくてもよい。実際、殺すレベルの強化は、大腸菌のようなグラム陰性菌において、最も頻繁に見られる。エンハンサーは、残りの組成物と組み合わされるとき、組成物が全体として、エンハンサー構成成分を含まない組成物の活性と抗菌脂質構成成分を含まない組成物の活性との合計よりも大きい活性を示すように、共力剤となり得る。
【0018】
本明細書で使用する時、他に規定がなければ、「脂肪族の(Fatty)」とは、7〜22個の(奇数又は偶数)炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルキレン部分を指す。
【0019】
「微生物(microorganism)」又は「微生物(microbe)」とは、細菌、酵母、カビ、真菌、原生動物、マイコプラズマ、並びにウィルス(脂質エンベロープRNA及びDNAウィルスを含む)を指す。
【0020】
「粘膜(Mucous membranes)」、「粘膜(mucosal membranes)」、及び「粘膜組織」は、置き換え可能に使用され、鼻(前鼻孔、鼻咽頭腔(nasoparangyl cavity)等を含む)、口(例えば、口腔)、外耳、中耳、膣腔及び他の同様の組織の表面を指す。例としては、頬、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸、直腸、尿道口、尿管、膣、頚部、及び子宮粘膜のような粘膜が挙げられる。
【0021】
「安定している」とは、物理的に安定している又は化学的に安定していることを意味する。
【0022】
「処置する」又は「処置」とは、典型的に状態の臨床症状に関する苦痛に関して、対象の状態を改善することを意味する。
【0023】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が明細及び請求項で現れる箇所で制限する意味を持たない。
【0024】
本明細書で使用する時、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」及び「1以上」は置き換え可能に使用される。用語「及び/又は」とは、列挙された要素の1又は全てを意味する(例えば、苦痛を予防及び/又は処置するとは、苦痛を予防する、苦痛を処置する、又は苦痛を処置して更に予防することを意味する)。
【0025】
また本明細書において、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数が含まれる(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等が含まれる)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
上記のように、本発明のペット用噛み物物品は、(a)食用噛み物ベース、(b)有効量の抗菌脂質、及び(c)(1)有効量の歯石制御剤又は(2)有効量の長鎖脂肪酸の少なくとも1つ、好ましくは両方を含む。
【0027】
噛み物ベース
噛み物ベースは、いかなる食用又は噛むことができる材料で作製されることもできる。具体例としては、生皮、様々な組成物のビスケット等が挙げられる。
【0028】
噛み物ベースは、ペットが噛んで飲み込むのに安全でなければならない。それは、ペット用噛み玩具として望ましい、適当な強度、質感、及び硬さを持つことが好ましい。
【0029】
典型的に、噛み物ベースの特徴は、噛み物物品の密度、脆さ(frangibility)、剛性、及び強度を実質的に規定することを含む、噛み物物品の物理的特性の多くを規定する。それ故に、典型的に、噛み物物品に所望の形状を形成するのに適した噛み物ベースを選択することが望ましい。本発明の噛み物物品の具体的な形状のいくつかとしては、骨、リング、実質的に円筒形のスティック、ウエファー、ビスケット等が挙げられる。
【0030】
好ましい噛み物ベースは、いわゆる変性小麦グルテンである。こうした噛み物ベースで製造される物品は、望ましい硬さで製造されることができ、ぬれたとき「ねばねば」又は「ぬるぬる」にならない。加えて、こうした噛み物ベースは、所望の形状に容易に成形されることができる。第二の好適な噛み物ベースは、ゼラチン化デンプンである。好適な噛み物ベース組成物の具体例は、米国特許第5,747,648号、同第5,965,708号、及び同第5,977,312号(全てバッシー(Bassi)ら)、並びに米国公開特許出願2004/0086616、同第2004/0197455、同第2005/0008759、及び同第2005/0214349(全てニー(Nie)ら)に開示されている。これらの文献に開示されるように、デンプン及びグルテン製品は、非常に望ましい強さで製造されることができる。更に、こうした製品は、色及び不透明度に関して容易に制御されることができる。
【0031】
噛み物ベースは、それを用いる動物に、歯に対する激しい機械的作用、並びにエンターテイメント価値を提供するであろう、丈夫でしなやかな材料であることが好ましい。
【0032】
物品の他の構成成分は、例えば混合によって、典型的には物品を成形する前又は別の方法で形成する前に、噛み物ベースにブレンドされる。
【0033】
抗菌脂質
本発明の噛み物物品は、抗菌脂質構成成分を含む。特定の実施形態においては、抗菌脂質構成成分は、多価アルコールの脂肪族エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、これらの(エステル又はエーテルのいずれかの)アルコキシル化誘導体、あるいはこれらの組合せを含む。
【0034】
抗菌脂質構成成分は、抗菌活性の少なくとも一部を提供する組成物の構成成分である。すなわち、抗菌脂質構成成分は、少なくとも1つの微生物に対して、少なくともいくらかの抗菌活性を有する。一般に、それは、本発明の組成物の主な活性成分と考えられる。
【0035】
一実施形態においては、脂質構成成分としては、多価アルコールのC〜C14飽和脂肪酸エステル、多価アルコールのC〜C22不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールのC〜C14飽和脂肪族エーテル、多価アルコールのC〜C22不飽和脂肪族エーテル、これらのアルコキシル化誘導体、又はこれらの組合せが挙げられ、ここでアルコキシル化誘導体は、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有するが、スクロース以外の多価アルコールにおいては、エステルはモノエステルを含み、エーテルはモノエーテルを含み、スクロースにおいては、エステルは、モノエステル、ジエステル、又はこれらの組合せを含み、エーテルは、モノエーテル、ジエーテル、又はこれらの組合せを含むという条件がある。
【0036】
抗菌脂質構成成分は、少なくとも0.1重量%の量で存在することが好ましい。他に特に規定がなければ、全ての重量%は、「すぐに使用できる(ready to use)」又は「使用時の(as used)」組成物の総重量を基準とする。抗菌脂質構成成分が、多価アルコールのモノエステル、多価アルコールのモノエーテル、又はこれらのアルコキシル化誘導体を含むとき、抗菌脂質構成成分の総重量を基準として、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更により好ましくは25重量%以下、更により好ましくは15重量%以下のジエステル、ジエーテル、トリエステル、トリエーテル、又はこれらのアルコキシル化誘導体が存在する。
【0037】
好ましくは、抗菌脂質構成成分は、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、及びこれらの組合せを含む。
【0038】
好ましくは、抗菌脂質構成成分は、米国食品医薬品局により食品添加物と認められ、FDAにより許容される量を上回らない量で使用される。
【0039】
抗菌脂質は、好ましくは最高6.2、より好ましくは最高5.8、更により好ましくは最高5.5の親水性/親油性バランス(HLB)を有する。抗菌脂質は、好ましくは少なくとも3、好ましくは少なくとも3.2、更により好ましくは少なくとも3.4のHLBを有する。
【0040】
好ましい抗菌脂質は非荷電であり、少なくとも7個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル炭化水素鎖を有する。
【0041】
一実施形態においては、本発明は、微生物の対象の少なくとも一部分の口腔のコロニー破壊(decolonizing)方法を提供する。該方法は、口腔に1以上の微生物を殺すのに有効な量の抗菌組成物を接触させることを含み、ここで抗菌組成物は、以下を含む:多価アルコールのC〜C14飽和脂肪酸エステル、多価アルコールのC〜C22不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールのC〜C14飽和脂肪族エーテル、多価アルコールのC〜C22不飽和脂肪族エーテル、これらのアルコキシル化誘導体、又はこれらの組合せを含む有効な量の抗菌脂質構成成分、ここでアルコキシル化誘導体は、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有するが、スクロース以外の多価アルコールにおいては、エステルはモノエステルを含み、エーテルはモノエーテルを含み、スクロースにおいては、エステルは、モノエステル、ジエステル、又はこれらの組合せを含み、エーテルは、モノエーテル、ジエーテル、又はこれらの組合せを含むという条件である;また所望により、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、キレート剤、C〜Cアルキルカルボン酸、C〜C12アリールカルボン酸、C〜C12アラルキルカルボン酸、C〜C12アルカリルカルボン酸、フェノール性化合物、C〜C10アルキルアルコール、エーテルグリコール、又はこれらの組合せを含む有効量のエンハンサー構成成分。
【0042】
一実施形態においては、本発明は、微生物の対象の口腔の少なくとも一部分をコロニー破壊(Decolonizing)する方法を提供し、該方法は、口腔に1以上の微生物を殺すのに有効な量の抗菌組成物を接触させることを含み、ここで抗菌組成物は、水への溶解度が、脱イオン水100g当たり少なくとも100μg、かつ脱イオン水100g当たり最大1gである有効量の抗菌脂質構成成分を含む。
【0043】
他の実施形態においては、本発明は、微生物を殺す又は不活性化する方法を提供する。本明細書において、「殺す又は不活性化する」とは、微生物(例えば、細菌及び真菌)を殺すことによって無効にする、又は別の方法で微生物(例えば、ウィルス)を不活性にすることを意味する。本発明は、ブドウ球菌種、連鎖球菌種、エシェリキア種、腸球菌種、シュードモナス菌種細菌、及びこれらの組合せのような細菌、より具体的には、対象の口腔内にあることが多いストレプトコッカスミュータンス、アクチノミセスビスコサス、及びフソバクテリウムヌクレアタム、並びにこれらの組合せを殺すための方法を提供する。該方法は、微生物に、1以上の微生物(例えば、細菌及び真菌)を殺す、又は1以上の微生物(例えば、ウィルス)を不活性化するのに有効な量の本発明の抗菌組成物を接触させることを含む。
【0044】
制限された抗菌活性が望まれる特定の用途においては、抗菌脂質構成成分を含有する組成物を使用することができるが、より広い抗菌活性が望まれる他の用途では、抗菌脂質構成成分とエンハンサー構成成分を両方含有する組成物が使用される。例えば、特定の状況においては、存在する全ての微生物ではなく、1種又は1部類の微生物(例えば、グラム陽性)のみを殺す又は不活性化することが望ましい場合がある。こうした状況においては、抗菌脂質構成成分を含有し、エンハンサー構成成分がない本発明の組成物が好適であり得る。
【0045】
当業者は、いつ本発明の組成物が抗菌活性を提供するかを、当該技術分野において周知の分析及び細菌スクリーニング方法を使用して、容易に決定するであろう。容易に実行される分析の1つは、選択された既知の又は容易に利用できる腸球菌種、アスペルギルス種、エシェリキア種、ブドウ球菌種、連鎖球菌種、シュードモナス種、又はサルモネラ菌種のような生存微生物菌株を、適切な温度にて、培地内の所定の細菌の負担水準において、試験組成物に曝露させることを伴う。簡潔に言えば、十分な接触時間の後、曝露された細菌を含有する試料のアリコートを収集し、希釈し、寒天上に広げる。広げられた細菌の試料を48時間インキュベートし、プレート上で成長する生存細菌コロニーの数を数える。一旦、コロニーを数えると、試験組成物に起因する細菌の数の減少が容易に決定される。一般に、細菌減少は、初期接種材料数のlog10と曝露後の接種材料数のlog10との差により決定されるlog10減少として報告される。本発明の好ましい組成物は、10分間に、試験細菌において平均少なくとも4のlog減少を有する。
【0046】
有意に、本発明の特定の実施形態は、微生物抵抗性を生み出すことに関して非常に低い可能性を有する。例えば、本発明の好ましい組成物においては、最終MICレベルと初期MICレベルとの比(すなわち、最少阻害濃度)の増加が16未満、より好ましくは8未満、更により好ましくは4未満である。こうした耐性分析の出現は、微生物が、初めに下位MICレベル(例えば、MICの1/2)の抗菌脂質を受け、24時間後、微生物が、2倍の濃度の抗菌脂質を含有するブロスに移るように、実行されなければならない。これは8日間繰り返され、新しいMICを決定するために、微生物は毎日取り除かれる。従って、こうした組成物は、歯科衛生を改善するため、又は好ましくない細菌(例えば、ストレプトコッカスミュータンスの口腔コロニー化)を絶滅するために、1日以上にかけて数回、動物に提供されることができる。
【0047】
本発明の好ましい組成物は、歯及び口腔の粘膜上ですばやく微生物を殺す又は不活性化するのに有効量の抗菌脂質構成成分を含有する。特定の実施形態においては、本質的に全ての微生物は、1日当たり1以上の噛むことができる物品を使用して、5日以内、好ましくは3日以内、より好ましくは2日、最も好ましくは24時間以内に、絶滅されるか又は不活性化される。
【0048】
本発明の好ましい組成物は、皮膚、皮膚病変(skin lesions)、及び粘膜(口腔を含む)に対して、概して低い炎症レベルを有する。
【0049】
特定の実施形態においては、好ましくは抗菌脂質構成成分は、1以上の、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、又はこれらの(エステル及びエーテルのいずれか又は両方の)アルコキシル化誘導体、あるいはこれらの組合せを含む。より具体的には、及び好ましくは、抗菌構成成分は、多価アルコールのC〜C14飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールのC〜C12飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールのC〜C22不飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールのC10〜C22不飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールのC〜C14飽和脂肪族エーテル(好ましくは、多価アルコールのC〜C12飽和脂肪族エーテル)、多価アルコールのC〜C22不飽和脂肪族エーテル(好ましくは、多価アルコールのC10〜C22不飽和脂肪族エーテル)、これらのアルコキシル化誘導体、及びこれらの組合せから成る群から選択される。それがスクロースのエステル及びエーテルでない限り、好ましくは、エステル及びエーテルは、モノエステル及びモノエーテルであり、スクロースのエステル及びエーテルである場合は、エステル及びエーテルは、モノエステル、ジエステル、モノエーテル、又はジエーテルであることができる。モノエステル、ジエステル、モノエーテル、及びジエーテルの様々な組合せを、本発明の組成物において使用することができる。
【0050】
多価アルコールの脂肪酸エステルは、好ましくは式(R−C(O)−O)−Rのものであり、式中、Rは、C〜C14飽和脂肪酸(好ましくは、C〜C12飽和脂肪酸)、又はC〜C22不飽和(好ましくは、C10〜C22多不飽和を含む不飽和)脂肪酸の残基であり、Rは、多価アルコール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等を含む多種多様の他のものを使用することができるが、典型的に、及び好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、及びスクロースである)の残基であり、nは1又は2である。R基は、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基(好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、又はスクロースの残基)を含む。多価アルコールの好ましい脂肪酸エステルは、C、C、C、C10、及びC12飽和脂肪酸から誘導されるエステルである。多価アルコールがグリセリン又はプロピレングリコールである実施形態においては、nは1であるが、多価アルコールがスクロースであるときは、nは1又は2である。
【0051】
代表的な脂肪酸モノエステルとしては、ラウリン(モノラウリン)酸、カプリル(モノカプリル)酸、及びカプリン(モノカプリン)酸のグリセロールモノエステル、並びにラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸のプロピレングリコールモノエステル、並びにスクロースのラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸モノエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他の脂肪酸モノエステルとしては、オレイン(18:1)、リノール(18:2)、リノレン(18:3)、及びアラキドン(20:4)不飽和(多不飽和を含む)脂肪酸のグリセリン及びプロピレングリコールモノエステルが挙げられる。一般に知られているように、例えば18:1は、化合物が18個の炭素原子と1つの炭素−炭素二重結合を有することを意味する。好ましい不飽和鎖は、シス異性体形態において少なくとも1つの不飽和基を有する。特定の好ましい実施形態においては、本組成物において使用するのに適した脂肪酸モノエステルとしては、GML又は取引表記ラウリシジン(LAURICIDIN)(商標)(通常、モノラウリン又はグリセロールモノラウレートと称されるラウリン酸のグリセロールモノエステル)として既知のもの、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、及びこれらの組合せのような、ラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸の既知のモノエステルが挙げられる。
【0052】
スクロースの代表的な脂肪酸ジエステルとしては、スクロースのラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸ジエステル、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
多価アルコールの脂肪族エーテルは、好ましくは式(RO)のものであり、式中、Rは、C〜C14飽和脂肪族基(好ましくは、C〜C12飽和脂肪族基)、又はC〜C22不飽和(好ましくは、C10〜C22多不飽和を含む不飽和)脂肪族基であり、Rは、グリセリン、スクロース、又はプロピレングリコールの残基であり、nは1又は2である。グリセリン及びプロピレングリコールにおいては、nは1であり、スクロースにおいては、nは1又は2である。好ましい脂肪族エーテルは、C〜C14アルキル基(より好ましくは、C〜C12アルキル基)のモノエーテルである。
【0054】
代表的な脂肪族モノエーテルとしては、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、及びカプリリルプロピレングリコールエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。他の脂肪族モノエーテルとしては、オレイル(18:1)、リノレイル(18:2)、リノレニル(18:3)、及びアラキドニル(20:4)不飽和及び多不飽和脂肪族アルコールのグリセリン及びプロピレングリコールモノエーテルが挙げられる。特定の好ましい実施形態においては、本組成物において使用するのに適した脂肪族モノエーテルとしては、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、カプリリルプロピレングリコールエーテル、及びこれらの組合せが挙げられる。不飽和鎖は、シス異性体形態において少なくとも1つの不飽和結合を有することが好ましい。
【0055】
総アルコキシレートが比較的低く維持される限り、前述の脂肪酸エステル及び脂肪族エーテルのアルコキシル化誘導体(例えば、残りのアルコール基(単数又は複数)上でエトキシル化及び/又はプロポキシル化されたもの)もまた、抗菌活性を有する。好ましいアルコキシル化レベルは、米国特許第5,208,257号(カバラ(Kabara))に開示されている。エステル及びエーテルがエトキシル化されている場合、エチレンオキシドの総モルは、好ましくは5未満、より好ましくは2未満である。
【0056】
多価アルコールの脂肪酸エステル又は脂肪族エーテルは、従来技術により、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化及び/又はプロポキシル化されることができる。アルコキシル化化合物は、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びこれらの混合物、並びに類似したオキシラン化合物から成る群から選択される。
【0057】
本発明の組成物は、望ましい結果を生むために、1以上の脂肪酸エステル、脂肪族エーテル、アルコキシル化脂肪酸エステル、又はアルコキシル化脂肪族エーテルを、適当な濃度で含む。こうした組成物は、好ましくは、「すぐに使用できる(ready to use)」又は「使用時の(as used)」組成物の総重量を基準として、総重量で少なくとも0.01重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも0.1重量%、更により好ましくは少なくとも0.25重量%、更により好ましくは少なくとも0.5重量%、更により好ましくは少なくとも1重量%のこうした材料を含む。好ましい実施形態においては、「すぐに使用できる(ready to use)」又は「使用時の(as used)」組成物を基準として、これらは、20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更により好ましくは10重量%以下、更により好ましくは5重量%以下の総量で存在する。
【0058】
1以上の脂肪酸モノエステル、脂肪族モノエーテル、又はこれらのアルコキシル化誘導体を含む本発明の好ましい組成物は、少量のジ脂肪酸エステル又はトリ脂肪酸エステル(すなわち、脂肪酸ジエステル又はトリエステル)、ジ脂肪族エーテル又はトリ脂肪族エーテル(すなわち、脂肪族ジエーテル又はトリエーテル)、あるいはこれらのアルコキシル化誘導体も含むことができる。好ましくは、こうした構成成分は、抗菌脂質構成成分の総重量を基準として、50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更により好ましくは25重量%以下、更により好ましくは15重量%以下、更により好ましくは10重量%以下、更により好ましくは7重量%以下、更により好ましくは6重量%以下、更により好ましくは5重量%以下の量で存在する。例えば、グリセリンのモノエステル、モノエーテル、又はアルコキシル化誘導体においては、好ましくは、組成物に存在する抗菌脂質構成成分の総重量を基準として、15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更により好ましくは7重量%以下、更により好ましくは6重量%以下、更により好ましくは5重量%以下のジエステル、ジエーテル、トリエステル、トリエーテル、又はこれらのアルコキシル化誘導体が存在する。
【0059】
ある状況においては、出発物質の構成成分として、ジエステル又はトリエステルを避けることが望ましいが、本発明の特定の組成物を調製するために、比較的純粋なトリエステルを使用することが可能であり(例えば、栄養及び風味を強化する脂肪構成成分として)、有効な抗菌活性を有することができる。
【0060】
典型的に、本発明の噛み物物品は、(1)有効量の歯石制御剤又は(2)エンハンサーとしての有効量の長鎖脂肪酸の少なくとも1つを含む。好ましくは、噛み物物品は、両構成成分を含むであろう。
【0061】
歯石制御剤
本明細書において使用できる歯石制御剤の具体例には、長期のチューイング及び歯の表面の機械的洗浄を提供する食用タンパク性物質のマトリックス内のα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、及びキレート剤が挙げられる。
【0062】
特定の実施形態においては、歯石制御構成成分は、カルボン酸を含むことが好ましい。特定の実施形態においては、歯石制御構成成分は、α−ヒドロキシ酸を含むことが好ましい。特定の実施形態においては、歯石制御構成成分は、クエン酸を含むことが好ましい。特定の実施形態においては、歯石制御構成成分は、キレート化剤を含むことが好ましい。特定の実施形態においては、歯石制御構成成分は、ヘキサメタリン酸及びその塩並びにピロリン酸及びその塩を含むことが好ましい。歯石制御構成成分は、特に大腸菌及びシュードモナス種のようなグラム陰性菌に対する抗菌活性を強化するためにも役立つ。
【0063】
望ましい結果を生むために、1以上の歯石制御構成成分を、適当な濃度で本発明の組成物において使用してよい。好ましい実施形態においては、これらは、すぐに使用できる(ready to use)組成物の総重量を基準として、0.01重量%を超える総量、より好ましくは0.1重量%を超える量、更により好ましくは0.2重量%を超える量、更により好ましくは0.25重量%を超える量、最も好ましくは0.4重量%を超える量で存在する。好ましい実施形態においては、それらは、すぐに使用できる(ready to use)組成物の総重量を基準として、20重量%以下の総量で存在する。
【0064】
α−ヒドロキシ酸。α−ヒドロキシ酸は、典型的に式:
(CROH)COOH
により表される化合物であり、式中、R及びRは、それぞれ独立してHあるいはC〜Cアルキル基(直鎖状、分枝状、又は環状)、C〜C12アリール、又はC〜C12アラルキル若しくはアルカリール基であり(ここでアルキル基は、直鎖状、分枝状、又は環状である)、R及びRは、所望により1以上のカルボン酸基で置換されてよく、nは1〜3、好ましくは1〜2である。
【0065】
代表的なα−ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、2−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、グルコン酸、グリコール酸、酒石酸、アスコルビン酸、及びα−ヒドロキシオクタン酸、並びにこれらの誘導体(例えば、ヒドロキシル、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、アルキル基、ハロゲン、並びにこれらの組合せで置換された化合物)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいα−ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、及びクエン酸が挙げられる。これらの酸は、D、L、又はDL形態であることができ、遊離酸、ラクトン、又はこれらの部分的塩として存在していてもよい。全てのこれらの形態は、用語「酸」に包含される。酸は、遊離酸形態で存在することが好ましい。特定の好ましい実施形態においては、本発明の組成物において有用なα−ヒドロキシ酸は、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。他の好適なα−ヒドロキシ酸は、米国特許第5,665,776号(ユー(Yu))に記載されている。
【0066】
1以上のα−ヒドロキシ酸を、望ましい結果を生むために適当な濃度で、本発明の組成物において使用してよい。好ましい実施形態においては、すぐに使用できる(ready to use)組成物の総重量を基準として、少なくとも0.25重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、更により好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態においては、すぐに使用できる(ready to use)組成物の総重量を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更により好ましくは3重量%以下の総量で存在する。より高い濃度は、刺激性になる可能性がある。
【0067】
β−ヒドロキシ酸。β−ヒドロキシ酸は、典型的に式:
(CROH)(CHRCOOH又は
【0068】
【化1】

【0069】
により表される化合物であり、式中、R、R、及びRは、それぞれ独立してHあるいはC〜Cアルキル基(飽和直鎖状、分枝状、又は環状基)、C〜C12アリール、又はC〜C12アラルキル若しくはアルカリール基(ここで、アルキル基は直鎖状、分枝状、又は環状である)であり、R及びRは、所望により1以上のカルボン酸基で置換されてよく、mは0又は1であり、nは1〜3、好ましくは1又は2であり、R21は、H、C1〜C4アルキル、又はハロゲンである。
【0070】
代表的なβ−ヒドロキシ酸としては、サリチル酸、β−ヒドロキシブタン酸、トロパ酸、及びトレトカン酸が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態においては、本発明の組成物において有用なβ−ヒドロキシ酸は、サリチル酸、β−ヒドロキシブタン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。他の好適なβ−ヒドロキシ酸は、米国特許第5,665,776号(ユー(Yu))に記載されている。
【0071】
1以上のβ−ヒドロキシ酸を、望ましい結果を生むために適当な濃度で、本発明の組成物において使用してよい。好ましい実施形態においては、すぐに使用できる(ready to use)組成物の総重量を基準として、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.25重量%、更により好ましくは少なくとも0.5重量%の総量で存在する。好ましい実施形態においては、すぐに使用できる(ready to use)組成物の総重量を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更により好ましくは3重量%以下の総量で存在する。より高い濃度は、刺激性になる可能性がある。
【0072】
キレート化剤キレート剤(chelating agent)(すなわち、キレート化剤(chelator))は、典型的に、溶液中において金属イオンとの複数の配位部位が可能である有機化合物である。典型的にこれらのキレート剤は、ポリアニオン性化合物であり、多価金属イオンと最善に配位する。代表的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩(例えば、EDTA(Na)、EDTA(Na)、EDTA(Ca)、EDTA(K))、酸性ピロリン酸ナトリウム、アジピン酸、コハク酸、ポリリン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン五酢酸、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホン酸、及びジエチレントリアミンペンタ−(メチレンホスホン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。特定のカルボン酸、特にα−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸、例えばリンゴ酸及び酒石酸もまた、キレート化剤として、機能することができる。
【0073】
1以上のキレート剤を、望ましい結果を生むために適当な濃度で、本発明の組成物において使用してよい。好ましい実施形態においては、すぐに使用できる(ready to use)組成物の重量を基準として、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.05重量%、更により好ましくは少なくとも0.1重量%、更により好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態においては、すぐに使用できる(ready to use)組成物の重量を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更により好ましくは1重量%以下の総量で存在する。
【0074】
長鎖脂肪酸
本明細書において使用できる長鎖脂肪酸の具体例としては、C10〜C22モノ−及び多価不飽和脂肪酸、並びにC〜C16飽和脂肪酸が挙げられる。代表的な不飽和脂肪酸としては、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸(palmitoleic aicd)、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びミリスチン酸、及びパルミチン酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適な長鎖脂肪酸の他の例としては、ヒマワリ脂肪酸及び大豆脂肪酸、例えば、NOURACID(商標)HE30及びNOURACID(商標)SE30(共にアクゾノーベル(Akzo Nobel)から)のような油から誘導された混合物が挙げられる。
【0075】
1以上の長鎖脂肪酸を、望ましい結果を生むために適当な濃度で、本発明の組成物において使用してよい。好ましい実施形態においては、長鎖脂肪酸は、すぐに使用できる(ready to use)組成物を基準として、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.25重量%、更により好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1.0%の総量で存在する。好ましい実施形態においては、該酸は、すぐに使用できる(ready to use)組成物の総重量を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更により好ましくは2重量%以下の総量で存在する。
【0076】
任意の添加剤
ある実施形態においては、本発明の物品は、いくつかの望ましい性能を提供する目的で、任意の添加剤を更に含むであろう。例えば、本発明の噛み物物品は、望ましい芳香、香り、及び風味、色等を付与するために、添加剤を更に含んでよい。
【0077】
本発明の物品は、併用療法のために、適合性のある追加の医薬品由来物質(pharmaceutically active materials)(例えば、補助的抗菌剤、抗う蝕剤、駆虫薬剤、ビタミン、かゆみ止め剤、収れん剤、局所麻酔剤、ステロイド類、非ステロイド性抗炎症剤又は他の抗炎症剤)を含有してよく、あるいは本発明の様々な剤形を物理的に処方するために有用な物質、例えば、賦形剤、染料、香料、潤滑剤、金型離型剤、繊維、可塑剤、安定剤、着香剤、保存剤、又は酸化防止剤を含有してよい。
【0078】
本発明の物品は、セルロース繊維、小麦ふすま、イヌリン、木材繊維、サイザル繊維、及びこれらの混合物などの、繊維を更に含んでよい。繊維は、組成物の60重量%までの量で添加されてよい。繊維は、充填剤として、また、グルテンマトリックスを噛むことの容易さが、通常、繊維の添加によって向上する場合に、噛み物物品の質感を調節するために添加される。繊維含有量は、総重量で、組成物の1%〜20%であることが好ましい。消化に耐えるデンプンを、充填材料として添加することもできる。例えば、米国特許第5,855,946号及び同第6,299,907号(共にセイブ(Seib)ら)に開示される方法により製造される、高度に架橋された小麦デンプンが代表的である。こうした充填剤は、噛み物物品の全体的なカロリー含有量を低減し、動物に関して太らせにくいものにする。
【0079】
追加の防腐剤、消毒剤、又は抗生物質を含んでもよく、これらが熟慮されていることもまた、認識されるであろう。これらは、例えば、銀、銅、亜鉛のような金属又は金属イオン;クロルヘキシジン、及びクロルヘキシジンジグルコネートのようなその様々な塩;ポリヘキサメチレンビグアニド、パラクロロメタキシレノール、トリクロサン、並びにポリマー四級アミンを含む抗菌四級アミンの追加を含む。
【0080】
酵素
ある実施形態においては、本発明の噛み物は、治療用酵素を更に含むであろう。
【0081】
本発明の実施において有用な酵素は、治療用酵素であり、これは、本明細書において、それらが、対象の口内(例えば、口の歯垢及び唾液中)の有害な炭水化物、タンパク質、脂質、及び/又は細菌性基質を分解させる(例えば、触媒作用により)ことを意味する。好ましい酵素の群は、殺菌性生成物を発生させる(例えば、H)。第二の好ましい酵素の群は、歯垢誘発細菌が発生させる炭水化物バイオフィルムの加水分解、及び可溶化が可能である。
【0082】
所望により、1以上の酵素基質を、酵素の治療的機能を強化するために、本発明の物品に組み込むことができる。例えば、活性化のために水を必要とする系においては、系が使用まで無水であり、従って、酵素と基質が相互作用しないように維持されていれば、酵素基質は、酵素と共に組成物内に存在し得る。
【0083】
口内で一般的なpHにおいて実質的に活性である酵素を使用することが有利である。これは、典型的には約pH5.0〜約pH9.0、より典型的には約pH6.0〜約pH8.5、更により典型的には約pH6.4〜約pH7.5である。特定の条件下において、pHは、それよりも著しく低い可能性があり、それにより、より多種多様の酵素を使用することが可能である。
【0084】
酸化還元酵素及び加水分解酵素は、本発明において使用するのに有用な酵素の部類である。所望の効果によっては、特定の実施形態に関して、様々な種類の酵素のいずれもが好ましくあり得る。
【0085】
酸化還元酵素は、国際生化学及び分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(IUBMB)の提案(1992)に従って、酵素分類番号E.C.1に分類されるものである。これらは、酸化還元(すなわち、レドックス反応)を触媒する。酸化還元酵素の群には、オキシダーゼ酵素、ペルオキシダーゼ酵素、及びラッカーゼ酵素がある。
【0086】
オキシダーゼ酵素は、電子の受容体としてOに作用して、過酸化水素を形成することによって、基質の酸化を触媒する。こうした酵素は、酵素分類E.C.1.1.3、E.C.1.2.3、E.C.1.3.3、E.C.1.4.3、E.C.1.5.3、E.C.1.7.3、E.C.1.8.3、E.C.1.9.3に分類される。例としては、グルコースオキシダーゼ、スクロースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、(S)−2−ヒドロキシ酸オキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、L−又はD−アミノ酸オキシダーゼ、キシリトールオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、グリコレートオキシダーゼ、L−ソルボースオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グロノラクトンオキシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。対応する酵素基質としては、β−D−グルコース、スクロース、ラクテート、(S)−2−ヒドロキシ酸、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、マルトース、ラクトース、及びセロビオース等を含む広範囲にわたる炭水化物、L−又はD−アミノ酸、キシリトール、キサンチン、α−ヒドロキシ酸、L−ソルボース、一級アルコール、並びにL−グロノ−1,4−ラクトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
ペルオキシダーゼ酵素は、電子の受容体としてペルオキシドに作用する。これらは、酵素分類E.C.1.11に分類される酵素を含む。異なる種類のペルオキシダーゼ酵素は、それらが過酸化水素に供与するための電子を獲得する供与体分子によって識別される。本発明により、ペルオキシダーゼは、供与体分子からフリーラジカルを発生させるために使用される。典型的に、供与体分子は、こうしたフリーラジカルを発生させる際の、ペルオキシダーゼの基質として機能することが可能である。例としては、ホースラディシュペルオキシダーゼ、大豆ペルオキシダーゼ、ポリフェノールペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、L−アスコルベートペルオキシダーゼ、クロロペルオキシダーゼ、及びヨウ化物ペルオキシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。対応する酵素基質としては、過酸化水素、並びにポリフェノール、マンガン(II)、アスコルビン酸、塩化物、及びヨウ化物のような電子供与体分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
ラッカーゼ酵素は、Oに作用して、ペルオキシドの必要性なく水をもたらす。これらは、酵素分類E.C.1.10.3に分類される酵素を含む。対応する基質としては、O−及びP−キノール、アミノフェノール、並びにフェニレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
加水分解酵素は、国際生化学及び分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(IUBMB)の提案(1992)に従って、酵素分類番号E.C.3に分類されるものである。加水分解酵素の群には、プロテアーゼ酵素、カルボヒドラーゼ酵素、及びリパーゼ酵素がある。好ましい加水分解酵素は、カルボヒドラーゼである。
【0090】
プロテアーゼ酵素は、タンパク質を分解又は加水分解するように作用する。こうした酵素は、分類E.C.3.4.21、E.C.3.4.22、E.C.3.4.23、E.C.3.4.24.に分類される。例としては、トリプシン、パパイン、パンクレアチン、ペプシン(例えば、ペプシンA、ペプシンB)、キモシン、カテプシンE、ガストリクシン、カテプシンD、フィテプシン、シプロシン、カルドシンA、カルドシンB、ネフェンテシン(nephentesin)、ニューロスポラペプシン、サッカロペプシン、レニン、プラスメプシン、ロドルラペプシン(rhodorulapepsin)、アクロサイクリンドロペプシン(acrocyclindropepsin)、ピクノポロペプシン(pycnoporopepsin)、フィサロペプシン(physaropepsin)、アスペルギロペプシン、ペニシロペプシン、リゾプスペプシン、ムコールペプシン、ポリプロペプシン、カンジダパラプシン、カンジダペプシン、ヤプシン1、ヤプシン2、ヤプシン3、シュードモナスペプシン、キサンゾルノンペプシン(xanzhornonpepsin)、サーモプシン、スキタリドペプシン(scytalidopepsin)、アレウライン(aleurain)、オンプチン(omptin)、リゾソメール(lysosomale)、カルボキシペプチダーゼA、カテプシンA、リゾソメール(lysosomale)プロ−Xカルボキシペプチダーゼ、アスパラギニルエンドペプチターゼ、y−グルタミルヒドロラーゼ、バチルスペプスタチン不感受性酸性エンドペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、及びインシュリシンが挙げられるが、これらに限定されない。プロテアーゼに対応する基質は、様々なタンパク質及びペプチドである。プロテアーゼは、抗歯垢機能を強化するために、亜鉛と組み合わせて使用されることができる。プロテアーゼは、唾液タンパク質を分解し、これは歯の表面に吸着され、薄膜(結果として生じる歯垢の第一層)を形成する。プロテアーゼはリパーゼと共に、細菌細胞壁及び膜の構造構成成分を形成するタンパク質及び脂質を溶解することによって、細菌を破壊する。
【0091】
カルボヒドラーゼ酵素は、炭水化物を分解又は加水分解するように機能する。こうした酵素は、分類E.C.3.2.1に分類される。例としては、デキストラナーゼ、ミュータナーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ラクターゼ、インベルターゼ、アミログルコシダーゼ、及びリゾチームが挙げられるが、これらに限定されない。カルボヒドラーゼ酵素に対応する基質としては、デキストラン、セルロース、デンプン、オリゴ糖、β−D−グルコシド、ラクトース、スクロース、多糖類、及び細菌細胞壁が挙げられるが、これらに限定されない。これらのカルボヒドラーゼの中で、デキストラナーゼ、ミュータナーゼ、及びアミラーゼが、単独で又は組み合わせて、使用するのに好ましい。デキストラナーゼ及びミュータナーゼは、細菌付着のためのマトリックスを形成する細菌により作り出される炭水化物バイオフィルム構造を分解する。従って、これらは、歯垢を可溶性にするだけでなく、このマトリックス中で抗菌脂質構成成分が細菌へ接近することを可能にする。アミラーゼはプロテアーゼと組み合わせて、歯垢(plague)形成を防止するだけでなく、カルシウムを結合する炭水化物−タンパク質複合体を分解し、石灰化を防止することにより、歯石の発達も防止する。
【0092】
リパーゼ酵素は、脂肪物質、例えば、脂肪酸及び脂肪酸エステルを分解又は加水分解するように機能する。こうした酵素は、分類E.C.3.1.1及びE.C.3.1.4に分類される。例としては、リパーゼ4000、リパーゼB、リパーゼ448、胃リパーゼ、膵リパーゼ、及び植物リパーゼが挙げられるが、これらに限定されない。リパーゼ酵素の対応する基質は、様々な油脂である。
【0093】
酵素と任意の基質との様々な組合せが、治療的機能を強化するために使用され得る。例としては、様々な酸化還元酵素とこれらの対応する基質との組合せ;グルコースオキシダーゼ、グルコース、及びチオシアネートの組合せ;並びにグルコースオキシダーゼ/グルコースデヒドロゲナーゼ及びグルコースの組合せが挙げられる。
【0094】
本発明の噛み物は、所望の治療効果を得るために、所望の量の酵素と共に調製されることができる。噛み物は、酵素製剤の活性並びにその総量の両方を考慮して、1以上の酵素と、所望により1以上の酵素基質とを含んでよい。一般に、処方は、酵素製剤の総重量ではなく、活性に基づく。本発明の実施において使用される酵素の濃度は、酵素の酵素活性及び所望の治療効果に依存するであろう。
【0095】
酵素は、可溶性形態又は不動化形態で使用されることができる。酵素安定性及び反応性を強化するために、不動化酵素を使用してよい。予備作製された担体物質上に結合すること及びその場で調製された担体に組み込むことを含む、不動化のために利用することができる多くの方法がある。作用する結合力は、弱い複数の吸着相互作用と強い共有結合を通じた単一の付着との間でさまざまである。適切な方法は、酵素構造及び用途に依存する。一般に、酵素は、化学反応又は物理的吸収のいずれかを通じて担体に付着することにより、不動化されることができ、W.ティッシャー(Tischer)、F.ベデキント(Wedekind)、現代化学の主題(Topics in Current Chemistry)、200巻、スプリンガー(Springer)、ベルリン、ハイデルベルク(Heidelberg)、1999に記載されるような様々な方法にて使用されることができる。あるいは、酵素は、膜又はリポソーム/ミセル内にカプセル封入されることができる。
【0096】
本発明の上述の概要は、本発明の開示された各実施形態又は全ての実施を記載することを意図しない。出願全体にわたっていくつかの箇所で、実施例のリストを通して指導が提供されるが、実施例は様々な組合せで使用することができる。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ役立つのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【0097】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考することによって組み込まれる。本発明への様々な修正や変更は、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく当業者に明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる具体的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、並びに、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において記述される特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の範囲に関して例示の目的にのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)食用噛み物ベース、(b)有効量の抗菌脂質、及び(c)(1)有効量の歯石制御剤又は(2)有効量の長鎖脂肪酸の少なくとも1つを含む、ペット用噛み物物品。
【請求項2】
前記食用噛み物ベースが、小麦グルテン、ゼラチン化デンプン、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記抗菌脂質が、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、これらの(エステル又はエーテルのいずれかの)アルコキシル化誘導体、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記抗菌脂質が、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記歯石制御剤が、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、キレート剤、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記α−ヒドロキシル酸が、式:
(CROH)COOH
により表され、式中、R及びRは、それぞれ独立してHあるいはC〜Cアルキル基(直鎖状、分枝状、又は環状)、C〜C12アリール、又はC〜C12アラルキル若しくはアルカリール基(ここで、アルキル基は直鎖状、分枝状、又は環状)であり、R及びRは、所望により1以上のカルボン酸基で置換されてよく、nは1〜3である、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記β−ヒドロキシル酸が、式:
(CROH)(CHRCOOH又は
【化1】

により表され、
式中、R、R、及びRは、それぞれ独立してHあるいはC〜Cアルキル基(飽和直鎖状、分枝状、又は環状基)、C〜C12アリール、又はC〜C12アラルキル若しくはアルカリール基であり(ここで、アルキル基は直鎖状、分枝状、又は環状)、R及びRは、所望により1以上のカルボン酸基で置換されてよく、mは0又は1であり、nは1〜3であり、R21は、H、C〜Cアルキル、又はハロゲンである、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、アジピン酸、コハク酸、ポリリン酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性化ヘキサメタリン酸ナトリウム、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン五酢酸、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ−(メチレンホスホン酸)、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項5に記載の物品。
【請求項9】
前記長鎖脂肪酸が、C10〜C22モノ及び多価不飽和脂肪酸、C〜C16飽和脂肪酸、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記長鎖脂肪酸が、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
治療用酵素を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記酵素が、酸化還元酵素、加水分解酵素、又はこれらの混合物から成る群から選択される、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
酵素基質を更に含む、請求項11に記載の物品。
【請求項14】
請求項1に記載の物品をイヌ又はネコが噛むこと又は食べることを含む、イヌ又はネコの歯上への歯石蓄積の防止方法。

【公表番号】特表2009−521274(P2009−521274A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547457(P2008−547457)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/048497
【国際公開番号】WO2007/075726
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)