説明

動画像復号装置、動画像復号方法、動画像復号プログラム、受信装置、受信方法及び受信プログラム

【課題】隣接ブロックの動き情報を使用して符号化を行う際、処理負荷を抑える。
【解決手段】結合動き情報算出部2605は、復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する。動き情報ビットストリーム復号部2600は、動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する。加算部604は、動き情報候補を示すインデックスにもとづいて動き情報候補リストから選択された動き情報候補を復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して復号対象予測ブロックの画像信号を再生する。結合動き情報算出部2605は、所定の大きさ以下の復号対象予測ブロックでは、動き情報候補に含まれる参照画像の指定情報を同一の値に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動き補償予測を用いた動画像復号技術に関し、特に動き補償予測に利用する動画像復号装置、動画像復号方法及び動画像復号プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MPEG−4 AVC/H.264(以後、AVC)等に代表される動画像符号化では、時間方向の相関を利用した情報圧縮として、符号化対象となる画像信号である符号化対象ピクチャに対して、既に符号化され復号された局部復号信号を参照ピクチャとして用い、所定の符号化処理単位で、対象ピクチャと参照ピクチャとの間での動き量(以後、動きベクトル)を検出し、予測信号を生成する動き補償予測が用いられる。
【0003】
AVCでは、動き補償予測において1つの参照ピクチャから1本の動きベクトルを利用して単一方向に予測信号を生成する片方向予測と、2つの参照ピクチャから2本の動きベクトルを利用して双方向に予測信号を生成する双方向予測が用いられる。これらを所定の符号化処理単位となる16×16画素の2次元ブロック内で処理対象となっているブロック(以後、予測対象ブロック)の大きさを可変にする手法や、複数の参照ピクチャの中から予測に用いる参照ピクチャを選択する手法に適用することで、予測信号の情報量を削減している。符号化側では、予測モード情報や参照画像を指定する情報を選択して伝送し、復号側では、伝送された予測モード情報や参照画像を指定する情報に従って動き補償予測処理が施される。
【0004】
動きベクトルについては、処理対象ブロックに隣接する符号化済みのブロックの動きベクトルから予測動きベクトル(以降、予測ベクトル)を算出し、処理対象ブロックの動きベクトルと予測ベクトルとの差分を求め、差分ベクトルを符号化ベクトルとして伝送することで圧縮効率を向上させている。
【0005】
更に、AVCにおいては、予測対象ブロックと同一位置にある参照ピクチャのブロックの符号化に用いられた動きベクトルを利用して、符号化ベクトルを伝送することなく動き補償予測を実現するダイレクト動き補償予測が用いられている。
【0006】
また、他の符号化ベクトルを伝送しない手法として、処理対象ブロックに隣接するブロックの動き情報を利用して、動き補償予測を実現する動き補償予測が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1のように、符号化ベクトルを伝送しない動き補償予測は、予測対象ブロックと予測対象ブロックに隣接する符号化済ブロックにおける空間方向の動きの連続性に着目することで、他のブロックの動き情報をそのまま利用する。これにより、差分ベクトルを符号化ベクトルとして符号化せずに符号化効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−276439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、隣接ブロックの動き情報である参照画像の指定情報をそのまま用いて動き補償を行う場合、さまざまな参照画像から動き補償予測を行う可能性があり、動き補償予測に必要なメモリバンド幅が増大する。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣接ブロックの動き情報を使用して符号化を行う場合に、処理負荷が少なく、動き情報の符号化効率を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の画像復号装置は、動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号装置であって、復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成部(2605)と、前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号部(2600)と、前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号部(602)と、復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算部(604)とを備える。前記動き情報候補リスト生成部(2605)は、所定の大きさ以下の前記復号対象予測ブロックでは、前記動き情報候補に含まれる参照画像の指定情報を同一の値に設定する。
【0012】
本発明の別の態様もまた、画像復号装置である。この装置は、動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号装置であって、復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成部(2605)と、前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号部(2600)と、前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号部(602)と、復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算部(604)とを備える。前記動き情報候補リスト生成部(2605)は、所定の大きさの領域内の復号順で二番目以降に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報を、前記所定の大きさの領域内の復号順で一番目に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報と同一の値に設定する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、画像復号方法である。この方法は、動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号方法であって、復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成ステップと、前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号ステップと、前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号ステップと、復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算ステップとを備える。前記動き情報候補リスト生成ステップは、所定の大きさ以下の前記復号対象予測ブロックでは、前記動き情報候補に含まれる参照画像の指定情報を同一の値に設定する。
【0014】
本発明のさらに別の態様もまた、画像復号方法である。この方法は、動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号方法であって、復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成ステップと、前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号ステップと、前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号ステップと、復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算ステップとを備える。前記動き情報候補リスト生成ステップは、所定の大きさの領域内の復号順で二番目以降に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報を、前記所定の大きさの領域内の復号順で一番目に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報と同一の値に設定する。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、隣接ブロックの動き情報を利用した動き補償予測を行うことで符号化効率を維持しつつ、動き補償予測のメモリバンド幅削減等により処理の複雑度を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る動画像符号化装置の構成を示す図である。
【図2】符号化対象画像の一例を示す図である。
【図3】予測ブロックサイズの詳細な定義を示す図である。
【図4】図4(a)〜(d)は、動き補償予測の予測方向について説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る動画像符号化装置における符号化処理の動作の流れ示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る動画像復号装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る動画像復号装置における復号処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8(a)、(b)は、本発明の実施の形態1における動き補償予測において使用される動き情報を符号化するための2つの予測モードを説明するための図である。
【図9】動き補償予測および動き補償予測を実施しない画面内予測における、動き補償の予測方向と、参照画像を定義する情報、及び符号化する動きベクトル数の関連に関して説明するための図である。
【図10】実施の形態1の動画像符号化装置におけるモード判定部の詳細な構成を示す図である。
【図11】結合動き情報算出部の構成を示す図である。
【図12】図10の予測モード判定部を介して動作する、図5のステップS502である動き補償予測モード/予測信号生成の動作について説明するためのフローチャートである。
【図13】図12のステップS1200における結合動き情報候補リスト生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】空間結合動き情報候補リスト生成に用いる空間候補ブロック群を示す図である。
【図15】空間結合動き情報候補リスト生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】時間結合動き情報候補リスト生成に用いる時間候補ブロック群を示す図である。
【図17】時間結合動き情報候補リスト生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】時間結合動き情報に対する基準動きベクトル値mvColに対する、L0予測、L1予測に対して登録する動きベクトル値mvL0t、mvL1tの算出手法を説明するための図である。
【図19】図12のステップS1201における結合予測モード評価値生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】実施の形態1に係る、結合動き情報候補数が5の場合のTruncated Unary符号列を示す図である。
【図21】図12のステップS1202の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図22】図12のステップS1203の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図23】図5のステップS504の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】実施の形態1における動き予測フラグの一例を示す図である。
【図25】図23のフローチャートで示した、動き情報符号化データ生成処理によって生成される符号化ストリームのシンタックスの一例を示す図である。
【図26】図6に示した実施の形態1の動画像復号装置における動き情報復号部の詳細な構成を示す図である。
【図27】図7のステップS701の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図28】実施の形態2に係る、空間結合予測モード評価値生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図29】実施の形態2に係る、時間結合予測モード評価値生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【図30】結合動き情報候補リストの生成の様子を示す図である。
【図31】実施の形態1に係る、参照画像指定情報の例である。
【図32】実施の形態2に係る、参照画像指定情報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面とともに本発明の実施の形態に係る動画像符号化装置、動画像符号化方法、動画像符号化プログラム、並びに動画像復号装置、動画像復号方法、動画像復号プログラムの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明には同一要素には同一符号を付与して重複する説明を省略する。
【0019】
(実施の形態1)
[動画像符号化装置全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る動画像符号化装置の構成を示す図である。以下、各部の動作について説明する。実施の形態1に係る動画像符号化装置は、入力端子100、減算部101、直交変換・量子化部102、予測誤差符号化部103、逆量子化・逆変換部104、加算部105、復号画像メモリ106、動きベクトル検出部107、動き補償予測部108、予測モード判定部109、動き情報符号化部110、動き情報メモリ111、多重化部112、及び出力端子113を備える。
【0020】
入力端子100より入力される画像信号から符号化処理対象の予測ブロックの画像信号が、予測ブロックの位置情報と予測ブロックサイズに基づいて切り出され、予測ブロックの画像信号は、減算部101、動きベクトル検出部107及び予測モード判定部109に供給される。
【0021】
図2は、符号化対象画像の一例を示す図である。実施の形態1に係る予測ブロックサイズに関しては、図2に示すように符号化対象画像が64×64画素の符号化ブロック(CU)単位で符号化処理され、予測ブロックは符号化ブロックが更に分割された単位で構成される。最大予測ブロックサイズは符号化ブロックと同じ64×64画素で、最小予測ブロックサイズは4×4画素である。符号化ブロックの予測ブロックへの分割構成は、非分割(2N×2N)、水平・垂直への分割(N×N)、水平方向のみへの分割(2N×N)、垂直方向のみへの分割(N×2N)が可能である。水平・垂直への分割の場合のみ、更に分割された予測ブロックを符号化ブロックとして階層的に予測ブロックに分割でき、その階層をCU分割数で表現する。
【0022】
図3は、予測ブロックサイズの詳細な定義を示す図である。CU分割数が0であって最大の予測ブロックサイズである64画素×64画素から、CU分割数が3であって最小の予測ブロックサイズである4画素×4画素までの13の予測ブロックサイズが存在することになる。
【0023】
本発明の実施の形態1に係る予測ブロックの分割構成に関して、この組み合わせに限定されない。また、動画像符号化装置における予測ブロックサイズの選択は、符号化ブロック単位で符号化効率のより良い構造を適応的に選択することが可能であるが、実施の形態1は予測ブロック単位での画面間予測及び画面間動き情報の符号化に注目したものであるため、最適な予測ブロックサイズの選択に関する構成要素及び説明を省略する。以降の動画像符号化装置の動作に関しては、選択した予測ブロックサイズ単位で施される動作を説明する。
【0024】
図1に戻り、減算部101は、入力端子100より供給される画像信号と予測モード判定部109より供給される予測信号を減算して予測誤差信号を算出し、予測誤差信号を直交変換・量子化部102に供給する。
【0025】
直交変換・量子化部102は、減算部101より供給される予測誤差信号に直交変換及び量子化を施し、量子化された予測誤差信号を予測誤差符号化部103及び逆量子化・逆変換部104に供給する。
【0026】
予測誤差符号化部103は、直交変換・量子化部102より供給される量子化された予測誤差信号をエントロピー符号化して、予測誤差信号に対する符号列を生成して、多重化部112に供給する。
【0027】
逆量子化・逆変換部104は、直交変換・量子化部102より供給される量子化された予測誤差信号に対して、逆量子化や逆直交変換などの処理を行い、復号予測誤差信号を生成し加算部105に供給する。
【0028】
加算部105は、逆量子化・逆変換部104より供給される復号予測誤差信号と、予測モード判定部109より供給される予測信号を加算して、復号画像信号を生成し、復号画像信号を復号画像メモリ106に供給する。
【0029】
復号画像メモリ106は、加算部105より供給される復号画像信号を格納する。また、画像全体の復号が完了した復号画像については参照画像として1以上の所定画像数記憶し、参照画像信号を動きベクトル検出部107と動き補償予測部108に供給する。
【0030】
動きベクトル検出部107は、入力端子100より供給される予測ブロックの画像信号と、復号画像メモリ106に記憶された参照画像信号の入力を受けて、各参照画像に対する動きベクトルを検出し、動きベクトル値を予測モード判定部109に供給する。
【0031】
一般的な動きベクトルの検出方法は、画像信号と同一位置より所定の移動量だけ移動させた参照画像に相当する画像信号について誤差評価値を算出し、誤差評価値が最小となる移動量を動きベクトルとする。誤差評価値としては、画素毎の差分絶対値の総和SAD(Sum of Absolute Difference)や、画素毎の二乗誤差値の総和SSE(Sum of Square Error)等を利用する。さらに、動きベクトルの符号化に関わる符号量も誤差評価値に含めることも可能である。
【0032】
動き補償予測部108は、予測モード判定部109より指定される参照画像指定情報と、動きベクトル値に従って、復号画像メモリ106内の参照画像指定情報で示される参照画像を、動きベクトル値だけ予測ブロックの画像信号と同一位置より移動させた位置の画像信号を取得して予測信号を生成する。
【0033】
予測モード判定部109より指定される予測モードが片方向予測の場合には、1つの参照画像から取得した予測信号を動き補償予測信号とし、予測モードが双方向予測の場合には、2つの参照画像から取得した予測信号を重みづけ平均したものを動き補償予測信号とし、動き補償予測信号を予測モード判定部109に供給する。ここでは双方向予測の重みづけ平均の比率を1:1とする。
【0034】
図4(a)〜(d)は、動き補償予測の予測方向について説明するための図である。単一の参照画像からの予測を行う処理を片方向予測と定義し、片方向の場合はL0方向またはL1方向という2つの参照画像管理リストに登録された参照画像のいずれか一方を利用する。
【0035】
図4(a)は片方向であってL0方向の参照画像(RefL0Pic)が符号化対象画像(CurPic)より前の時刻にある場合を示している。図4(b)は片方向であってL0方向の参照画像が符号化対象画像より後の時刻にある場合を示している。同様に、図4(a)および図4(b)のL0方向の参照画像をL1方向の参照画像(RefL1Pic)に置き換えて片方向予測を行うこともできる。
【0036】
2つの参照画像からの予測を行う処理を双方向予測と定義し、双方向の場合はL0方向とL1方向の双方を利用してBI方向と表現する。図4(c)は双方向であってL0方向の参照画像が符号化対象画像より前の時刻にあって、L1方向の参照画像が符号化対象画像より後の時刻にある場合を示している。図4(d)は双方向であってL0方向の参照画像とL1方向の参照画像が符号化対象画像より前の時刻にある場合を示している。このように、L0/L1の予測方向と時間の関係は、L0が過去方向、L1が未来方向とは限定されずに用いることが可能である。
【0037】
実施の形態1では、参照画像及び符号化対象画像の時刻を示す情報としてPOC(Picture Order Count)を用いる。POCはAVCで定義された画像の表示順序を示すカウンタである。画像の表示順序が1増加するとPOCも1増加する。したがって、画像間のPOC差から画像間の時間差(距離)を取得できる。
【0038】
図1に戻り、予測モード判定部109は、動きベクトル検出部107より入力される各参照画像に対して検出された動きベクトル値と、動き情報メモリ111に格納された動き情報(予測方向、動きベクトル値、及び参照画像指定情報)をもとに、実施の形態1において定義した動き補償予測モードのそれぞれに対して用いられる、参照画像指定情報と動きベクトル値を動き補償予測部108に設定する。設定した値によって、動き補償予測部108から供給される動き補償予測信号と、入力端子100より供給される予測ブロックの画像信号を用いて、最適な動き補償予測モードを決定する。
【0039】
予測モード判定部109は、決定した予測モード、及び予測モードに応じた予測方向、動きベクトル、及び予測対象ブロックが所定サイズよりも大きい場合には参照画像指定情報を特定する情報を、動き情報符号化部110に供給し、決定した予測モード及びその予測モードに対する、予測方向、動きベクトル値、及び参照画像指定情報を動き情報メモリ111に供給すると共に、減算部101及び加算部105に決定した予測モードに対応する予測信号を供給する。
【0040】
動画像符号化装置において、基準とする参照画像を符号化するために同一画面内の符号化済画像を用いて予測を行う画面内予測が行われるが、実施の形態1は画面間予測に注目したものであるため、画面内予測に関連する構成要素は省略する。予測モード判定部109の詳細な構成については後述する。
【0041】
動き情報符号化部110は、予測モード判定部109より供給される予測モード、及び予測モードに応じた予測方向、動きベクトル、及び参照画像指定情報を特定する情報を所定のシンタックス構造に従って符号化することで、動き情報の符号列を生成し、多重化部112に供給する。動き情報符号化部110の詳細な構成については後述する。
【0042】
動き情報メモリ111は、予測モード判定部109より供給される動き情報(予測方向、動きベクトル、及び参照画像インデックス)を、最小予測ブロックサイズ単位を基準として所定画像分記憶する。処理対象の予測ブロックの隣接ブロックを空間候補ブロック群とし、復号済みの参照画像ColPic上で処理対象の予測ブロックと同一位置にあるブロックとその周辺ブロックを時間候補ブロック群とする。
【0043】
ColPicとは、処理対象の画像とは別の復号済みの画像であって、復号画像メモリ106に参照画像として記憶されている。実施の形態1では、ColPicは直前に復号した参照画像とする。なお、実施の形態1では、ColPicは直前に復号した参照画像としたが、表示順で直前の参照画像や表示順で直後の参照画像でもよく、符号化ストリーム中に、ColPicに用いる参照画像を直接指定することも可能である。
【0044】
動き情報メモリ111は、空間候補ブロック群と時間候補ブロック群の動き情報を、候補ブロック群の動き情報として予測モード判定部109に供給する。多重化部112は、予測誤差符号化部103から供給される予測誤差の符号化列と、動き情報符号化部110から供給される動き情報の符号化列を多重化することで符号化ビットストリームを生成し、出力端子113経由で、記録媒体・伝送路等に当該符号化ビットストリームを出力する。
【0045】
図1に示した動画像符号化装置の構成は、CPU(Central Processing Unit)、フレームメモリ、ハードディスクなどを備える情報処理装置等のハードウェアによっても実現可能である。
【0046】
図5は、本発明の実施の形態1に係る動画像符号化装置における符号化処理の動作の流れ示すフローチャートである。予測ブロック単位毎に、入力端子100より処理対象の予測ブロック画像を取得する(S500)。動きベクトル検出部107は、処理対象の予測ブロック画像と復号画像メモリ106に格納された複数の参照画像より、参照画像毎の動きベクトル値を算出する(S501)。
【0047】
続いて、予測モード判定部109は、動きベクトル検出部107より供給される動きベクトルと、動き情報メモリ111に格納された動き情報を用いて、実施の形態1において定義した各動き補償予測モードに対する予測信号を、動き補償予測部108を用いて取得し、最適な予測モードを選択し、予測信号を生成する(S502)。ステップS502の処理の詳細については後述する。
【0048】
続いて、減算部101は、処理対象の予測ブロック画像と予測モード判定部109より供給された予測信号との差分を予測誤差信号として算出する(S503)。動き情報符号化部110は、予測モード判定部109より供給される予測モード、及び予測モードに応じた予測方向、動きベクトル、及び参照画像指定情報を特定する情報を所定のシンタックス構造に従って符号化し、動き情報の符号化データを生成する(S504)。ステップS504の処理の詳細については後述する。
【0049】
続いて、予測誤差符号化部103は、直交変換・量子化部102で生成された量子化された予測誤差信号をエントロピー符号化して、予測誤差の符号化データを生成する(S505)。多重化部112は、動き情報符号化部110から供給される動き情報の符号化データと、予測誤差符号化部103から供給される予測誤差の符号化データを多重化し、符号化ビットストリームを生成する(S506)。
【0050】
加算部105は、逆量子化・逆変換部104より供給される復号予測誤差信号と、予測モード判定部109より供給される予測信号を加算して、復号画像信号を生成する(S507)。加算部105によって、生成された復号画像信号が復号画像メモリ106に供給、格納され、以降に符号化する符号化画像の動き補償予測処理に用いられる(S508)。動き情報メモリ111は、動きベクトル検出部107より供給される動き情報(予測方向、動きベクトル、及び参照画像指定情報)を最小の予測ブロックサイズ単位で格納する(S509)。
【0051】
[動画像復号装置全体構成]
図6は、本発明の実施の形態1に係る動画像復号装置の構成を示す図である。以下、各部の動作について説明する。実施の形態1に係る動画像復号装置は、入力端子600、多重分離部601、予測差分情報復号部602、逆量子化・逆変換部603、加算部604、復号画像メモリ605、動き情報復号部606、動き情報メモリ607、動き補償予測部608、及び出力端子609を備える。
【0052】
入力端子600より符号化ビットストリームが多重分離部601に供給される。多重分離部601は、供給された符号化ビットストリームの符号列を予測誤差情報の符号化列と、予測モード、並びに予測モードに応じた予測方向、動きベクトル、及び参照画像指定情報を特定する情報で構成される動き情報の符号化列に分離する。当該予測誤差情報の符号化列を予測差分情報復号部602に供給し、当該動き情報の符号化列を動き情報復号部606に供給する。
【0053】
予測差分情報復号部602は、多重分離部601より供給された予測誤差情報の符号化列を復号し、量子化された予測誤差信号を生成する。予測差分情報復号部602は、生成した量子化された予測誤差信号を逆量子化・逆変換部603に供給する。
【0054】
逆量子化・逆変換部603は、予測差分情報復号部602より供給される量子化された予測誤差信号を逆量子化や逆直交変換などの処理を行って予測誤差信号を生成し、復号予測誤差信号を加算部604に供給する。
【0055】
加算部604は、逆量子化・逆変換部603より供給される復号予測誤差信号と、動き補償予測部608より供給される予測信号を加算して復号画像信号を生成し、復号画像信号を復号画像メモリ605に供給する。
【0056】
復号画像メモリ605は、図1の動画像符号化装置における復号画像メモリ106と同じ機能を有し、加算部604から供給された復号画像信号を格納し、参照画像信号を動き補償予測部608に供給する。また、復号画像メモリ605は、格納された復号画像信号を再生時刻に合わせて、画像の表示順序に従い出力端子609に供給する。
【0057】
動き情報復号部606は、多重分離部601より供給される動き情報の符号化列より、予測モード、並びに予測モードに応じた予測方向、動きベクトル、及び参照画像指定情報を特定する情報を動き情報として復号する。復号した動き情報と、動き情報メモリ607より供給される候補ブロック群の動き情報より、動き補償予測に用いる予測方向、動きベクトル及び参照画像指定情報を再生し、動き補償予測部608に供給する。また、動き情報復号部606は再生した動き情報を、動き情報メモリ607に供給する。動き情報復号部606の詳細な構成については後述する。
【0058】
動き情報メモリ607は、図1の動画像符号化装置における動き情報メモリ111と同じ機能を持ち、動き情報復号部606より供給される再生した動き情報を最小予測ブロックサイズ単位を基準として所定画像分記憶する。また、動き情報メモリ607は、空間候補ブロック群と時間候補ブロック群の動き情報を、候補ブロック群の動き情報として動き情報復号部606に供給する。
【0059】
動き補償予測部608は、図1の動画像符号化装置における動き補償予測部108と同じ機能を持ち、動き情報復号部606より供給される動き情報に基づいて、復号画像メモリ605内の参照画像指定情報が示す参照画像を、動きベクトル値だけ予測ブロックの画像信号と同一位置より移動させた位置の画像信号を取得して予測信号を生成する。動き補償予測の予測方向が双方向であれば、各予測方向の予測信号を平均したものを予測信号として生成し、予測信号を加算部604に供給する。
【0060】
出力端子609は、復号画像メモリ605より供給された復号画像信号を、ディスプレイなどの表示媒体に出力することで、復号画像信号が再生される。
【0061】
図6に示した動画像復号装置の構成も、図1に示した動画像符号化装置の構成と同様に、CPU、フレームメモリ、ハードディスクなどを備える情報処理装置等のハードウェアによっても実現可能である。
【0062】
図7は、本発明の実施の形態1に係る動画像復号装置における復号処理の動作の流れを示すフローチャートである。多重分離部601は、入力端子600より供給された符号化ビットストリームを予測誤差情報の符号化列と、動き情報の符号化列に分離する(S700)。分離された動き情報の符号化列は動き情報復号部606に供給され、動き情報メモリ607より供給される候補ブロック群の動き情報を用いて、復号対象ブロックの動き情報を復号する(S701)。
【0063】
分離された予測誤差情報の符号化列は、予測差分情報復号部602に供給され、量子化された予測誤差信号として復号され、逆量子化・逆変換部603で逆量子化や逆直交変換などの処理を施されることで、復号予測誤差信号が生成される(S702)。ステップS702の処理の詳細については後述する。
【0064】
動き情報復号部606より、復号対象ブロックの動き情報が動き補償予測部608に供給され、動き補償予測部608は動き情報にしたがって動き補償予測を行い予測信号を算出する(S703)。加算部604は、逆量子化・逆変換部603から供給された復号予測誤差信号と、動き補償予測部608から供給された予測信号とを加算し、復号画像信号を生成する(S704)。
【0065】
加算部604より供給された復号画像信号は、復号画像メモリ605に格納される(S705)と共に、動き情報復号部606より供給された復号対象ブロックの動き情報が動き情報メモリ607に格納される(S706)。これで、予測ブロック単位の復号処理が終了する。
【0066】
[実施の形態1の詳細機能説明]
本発明の実施の形態1に係る動画像符号化装置の予測モード判定部109及び動き情報符号化部110の動作、図5のフローチャートにおけるステップS502及びステップS504の処理、並びに本発明の実施の形態1に係る動画像復号装置における動き情報復号部606の動作、図7のフローチャートにおけるステップS702の処理の詳細動作を、以下説明する。
【0067】
[実施の形態1における動き補償予測モードの定義]
図8(a)、(b)は、本発明の実施の形態1における動き補償予測において使用される動き情報を符号化するための2つの予測モードを説明するための図である。第一の予測モードは、予測対象ブロックと当該予測対象ブロックに隣接する符号化済ブロックにおける時間方向や空間方向の動きの連続性を用いて、当該予測対象ブロックは自身の動き情報を直接符号化せずに、空間及び時間的に隣接するブロックの動き情報を符号化に使用する手法であり、結合予測モード(マージモード)と呼ぶ。
【0068】
結合予測モードの場合には、複数の隣接ブロック候補より選択的に結合する動き情報が定義でき、動き情報は使用する隣接ブロックを指定する情報(インデックス)を符号化することで、指定情報をもとに取得した動き情報をそのまま動き補償予測に用いる。更に、結合予測モードにおいては、予測差分情報を符号化伝送せずに、結合予測モードで予測された予測信号を復号ピクチャとするSkipモードを定義し、結合した動き情報のみの少ない情報で復号画像が再生できる構成を有する。Skipモードにおいて伝送する動き情報は、結合予測モードと同様に隣接ブロックを定義する指定情報となる。
【0069】
第二の予測モードは、動き情報の構成要素を個別にすべて符号化し、予測ブロックに対して予測誤差の少ない動き情報を伝送する手法であり、動き検出予測モードと呼ぶ。動き検出予測モードは、従来の動き補償予測の動き情報の符号化と同様に、参照画像を特定するための情報(参照画像インデックス)と、動きベクトルを特定するための情報が別々に符号化される。
【0070】
動き検出予測モードには、片方向予測と双方向予測のどちらを使用するか予測モードで指示し、片方向予測の場合には1つの参照画像に対する参照画像を特定する情報と、動きベクトルの予測ベクトルとの差分ベクトルを符号化する。双方向予測の場合には2つの参照画像に対する参照画像を特定する情報と、動きベクトルがそれぞれ個別に符号化される。動きベクトルに対する予測ベクトルは、AVCと同様に隣接ブロックの動き情報から生成されるが、結合予測モードと同様に、複数の隣接ブロック候補より予測ベクトルに用いる動きベクトルを選択できる。動き検出予測モードにおいては、予測ベクトルに使用する隣接ブロックを指定する情報(インデックス)は、結合予測モードにおける動き情報と同一の候補より指定する。ただし、動き検出予測モードの予測ベクトルの候補は結合予測モードと同一のものに限定されない。動き検出予測モードの動きベクトルは予測ベクトルに使用する隣接ブロックを指定する情報(インデックス)と差分ベクトルの2つを符号化することで伝送される。
【0071】
図9は、動き補償予測および動き補償予測を実施しない画面内予測における、動き補償の予測方向と、参照画像を定義する情報、及び符号化する動きベクトル数の関連に関して説明するための図である。
【0072】
動き検出予測モードの内、予測方向が片方向である片方向予測モード(UniPred)の場合は、符号化する動き情報として1つの符号化ベクトル(差分ベクトル)、1つの参照画像インデックス、1つの予測ベクトルインデックスが伝送される。
【0073】
同様に予測方向が双方向である双方向予測モード(BiPred)の場合は、符号化する動き情報として2つの符号化ベクトル(差分ベクトル)、2つの参照画像インデックス、1つの結合動き情報インデックスが伝送される。
【0074】
結合予測モード(マージモード)の場合には、1つの結合動き情報インデックスのみが符号化する動き情報として伝送され、動き情報に基づいて片方向もしくは双方向の動き補償予測が施される。
【0075】
動き補償予測を実施しない予測符号化モードであるイントラモード(Intra)においては、動き情報は符号化されず、画面内予測に用いる情報が符号化される。
【0076】
隣接する動き情報との時間的・空間的な相関性が高い場合には、結合予測モードが有効な動き補償予測モードとして選択される。相関性が低い場合もしくは一部の動き情報のみが有効に予測ブロックの動き情報として利用できる場合には、動き検出予測モードが有効な動き補償予測モードとして選択される。
【0077】
[実施の形態1における動画像符号化装置における予測モード判定部の詳細動作説明]
図10は、実施の形態1の動画像符号化装置における予測モード判定部109の詳細な構成を示す図である。予測モード判定部109は、最適な動き補償予測モードを決定する機能を有する。
【0078】
予測モード判定部109は、片方向動き補償予測生成部1000、双方向動き補償予測生成部1001、予測誤差算出部1002、予測ベクトル算出部1003、差分ベクトル算出部1004、動き情報符号量算出部1005、予測モード評価部1006、結合動き情報算出部1007、及び結合動き補償予測生成部1008を含む。
【0079】
図1における予測モード判定部109に対して、動きベクトル検出部107より入力された動きベクトル値が、片方向動き補償予測生成部1000、及び双方向動き補償予測生成部1001に供給され、動き情報メモリ111より入力された動き情報が、結合動き情報算出部1007に供給される。
【0080】
また、動き補償予測部108に対して、片方向動き補償予測生成部1000、双方向動き補償予測生成部1001、及び結合動き補償予測生成部1008から、動き補償予測に用いる参照画像指定情報と動きベクトルが出力される。また、動き補償予測部108より、生成された動き補償予測画像が予測誤差算出部1002に供給される。予測誤差算出部1002には更に、入力端子100より符号化対象となる予測ブロックの画像信号が供給される。
【0081】
また、予測モード評価部1006から、動き情報符号化部110に対して符号化する動き情報と確定した予測モード情報を供給し、動き情報メモリ111に動き情報を供給し、動き補償予測信号を減算部101及び加算部105に供給する。
【0082】
片方向動き補償予測生成部1000は、片方向予測に使用可能な各参照画像に対して算出された動きベクトル値を受信し、参照画像指定情報を予測ベクトル算出部1003に供給し、参照画像指定情報と動きベクトルを動き補償予測部108に出力する。
【0083】
双方向動き補償予測生成部1001も同様に、双方向予測に使用可能な各参照画像に対して算出された動きベクトル値を受信し、それぞれの参照画像に対する参照画像指定情報を予測ベクトル算出部1003に供給し、それぞれの参照画像に対する参照画像指定情報と動きベクトルを動き補償予測部108に出力する。
【0084】
予測誤差算出部1002は、入力された動き補償予測画像と処理対象の予測ブロック画像より、予測誤差評価値を算出する。誤差評価値を算出するための演算としては、動きベクトル検出における誤差評価値と同様に、画素毎の差分絶対値の総和SADや、画素毎の二乗誤差値の総和SSE等を使用できる。更に、予測残差の符号化を行う際に施される、直交変換・量子化を行うことによって復号画像に生じる歪成分の量を加味することで、より正確な誤差評価値が算出可能である。この場合には、予測誤差算出部1002内に、図1における減算部101、直交変換・量子化部102、逆量子化・逆変換部104、加算部105の機能を有することで実現できる。予測誤差算出部1002は、各予測モードにおいて算出された予測誤差評価値と、動き補償予測信号を予測モード評価部1006に供給する。
【0085】
予測ベクトル算出部1003は、片方向動き補償予測生成部1000及び双方向動き補償予測生成部1001より参照画像指定情報を供給され、結合動き情報算出部1007から供給される結合動き情報候補リストより、登録された結合動き情報候補のそれぞれに対して、動き情報より指定された参照画像に対する動きベクトル値を特定する。そして、複数の予測ベクトルを結合動き情報候補リストと共に生成し、差分ベクトル算出部1004に、参照画像指定情報と共に供給する。
【0086】
差分ベクトル算出部1004は、予測ベクトル算出部1003より供給された、予測ベクトル候補のそれぞれに対して、片方向動き補償予測生成部1000及び双方向動き補償予測生成部1001から供給される動きベクトル値との差分を計算し、差分ベクトル値を算出する。算出された差分ベクトル値と予測ベクトル候補に対する指定情報である予測ベクトルインデックスを符号化した際の符号量が最も少ない情報量で表現出来る、予測ベクトルインデックスと差分ベクトルの組合せが特定される。最も少ない情報量で表現出来る、予測ベクトルインデックスと差分ベクトル値を参照画像指定情報と共に、動き情報符号量算出部1005に供給する。
【0087】
動き情報符号量算出部1005は、差分ベクトル算出部1004より供給される、片方向予測モード及び双方向予測モードの差分ベクトル値、参照画像指定情報、予測ベクトルインデックス、予測モードより、各予測モードにおける動き情報に要する符号量を算出する。また、動き情報符号量算出部1005は、結合動き補償予測生成部1008より、結合予測モードにおいて伝送する必要がある、結合動き情報インデックスと予測モードを示すための情報を受け取り、結合予測モードにおける動き情報に要する符号量を算出する。動き情報符号量算出部1005は、各予測モードにおいて算出された動き情報及び動き情報に要する符号量を予測モード評価部1006に供給する。
【0088】
予測モード評価部1006は、予測誤差算出部1002より供給された各予測モードの予測誤差評価値と、動き情報符号量算出部1005から供給された各予測モードの動き情報符号量を用いて、各予測モードの総合動き補償予測誤差評価値を算出し、最も少ない評価値である予測モードを選択し、選択した予測モードと選択した予測モードに対する動き情報を、動き情報符号化部110及び動き情報メモリ111に出力する。また、予測モード評価部1006は同様に、予測誤差算出部1002より供給された動き補償予測信号に対して、選択した予測モードにおける予測信号を選択して減算部101及び加算部105に出力する。
【0089】
結合動き情報算出部1007は、動き情報メモリ111より供給される隣接ブロックの動き情報における候補ブロック群を用いて、片方向であるか双方向であるかを示す予測方向、参照画像指定情報、動きベクトル値で構成される動き情報として、複数の動き情報を結合動き情報候補リストと共に生成し、結合動き補償予測生成部1008に供給する。
【0090】
図11は、結合動き情報算出部1007の構成を示す図である。結合動き情報算出部1007は、結合動き情報候補リスト生成部1100及び結合動き情報候補リスト削除部1101を含む。結合動き情報算出部1007は、候補ブロック群より所定の順番で動き情報の候補を作成し、その中から、動き情報の各要素(予測方向、参照画像指定情報、及び動きベクトル値)が全て同一の値を示している候補を削除することで、有効な動き情報のみを結合動き情報候補として登録する。結合動き情報算出部1007の詳細動作に関しては、後述する。
【0091】
図10に戻り、結合動き補償予測生成部1008は、結合動き情報算出部1007より供給された結合動き情報候補リストより、登録された結合動き情報候補のそれぞれに対して、動き情報より、予測方向に応じて1つの参照画像(片方向)もしくは2つの参照画像(双方向)の参照画像指定情報と動きベクトル値を動き補償予測部108に指定して、動き補償予測画像を生成すると共に、それぞれの結合動き情報インデックスを動き情報符号量算出部1005に供給する。結合動き補償予測生成部1008の詳細動作に関しては、後述する。
【0092】
図10の構成では、それぞれの結合動き情報インデックスにおける予測モード評価は、予測モード評価部1006で施されるが、予測誤差評価値及び動き情報符号量を予測誤差算出部1002及び動き情報符号量算出部1005より受け取り、結合動き補償予測生成部1008内で、最適な結合動き補償予測の結合動きインデックスを確定させた後に、他の予測モードを含めた最適予測モードの評価を行う構成を取ることも可能である。
【0093】
図12は、図10の予測モード判定部109を介して動作する、図5のステップS502である動き補償予測モード/予測信号生成の動作について説明するためのフローチャートである。最初に、結合動き情報候補リスト生成を行い(S1200)、結合予測モード評価値を生成する(S1201)。
【0094】
続いて、片方向予測モード評価値を生成し(S1202)、双方向予測モード評価値を生成し(S1203)、生成した評価値を比較することで最適な予測モードを選択する(S1204)。ただし、ステップS1201、ステップS1202、及びステップS1203の評価値生成の順序はこの順序に限らない。
【0095】
選択された予測モードに従い予測信号を出力し(S1205)、選択された予測モードに従い動き情報を出力する(S1206)ことで、予測ブロック単位の動き補償予測モード/予測信号生成処理が終了する。ステップS1200、ステップS1201、ステップS1202、及びステップS1203の詳細動作に関しては後述する。
【0096】
図13は、図12のステップS1200における結合動き情報候補リスト生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。この動作は、図10の結合動き情報算出部1007における構成の詳細動作を示している。図11の結合動き情報候補リスト生成部1100は、動き情報メモリ111より供給される空間候補ブロック群から領域外である候補ブロックやイントラモードである候補ブロックを除いた候補ブロック群から、空間結合動き情報候補リストを生成する(S1300)。空間結合動き情報候補リスト生成の詳細な動作は後述する。
【0097】
結合動き情報候補リスト生成部1100は、続いて動き情報メモリ111より供給される時間候補ブロック群から領域外である候補ブロックやイントラモードである候補ブロックを除いた候補ブロック群から、時間結合動き情報候補リストを生成する(S1301)。時間結合動き情報候補リスト生成の詳細な動作は後述する。
【0098】
続いて、結合動き情報候補リスト削除部1101において、生成された空間結合動き情報候補リストと時間結合動き情報候補リストを統合した結合動き情報候補リストより、重複している動き情報を持つ結合動き情報候補が複数存在する場合には1つの結合動き情報候補を残して削除して動き情報候補リストを更新する(S1302)。
【0099】
最後に、上記処理において隣接ブロックに有効な動き情報が存在せず、結合動き情報候補が存在しない場合(S1303:YES)、固定の動き情報を結合動き情報候補リストに追加して(S1304)、処理を終了する。実施の形態1では固定の動き情報として、予測方向が双方向で、参照画像指定情報(インデックス)が0、2つの動きベクトル値が共に(0,0)の値を設定する。実施の形態1における固定の動き情報としては、上記設定には限定されず、暗黙的に指定できる手法で設定されることにより、動画像復号装置においても同じ動き情報が再現できる。なお、上記処理において隣接ブロックに有効な動き情報が存在し、結合動き情報候補が存在する場合(S1303:NO)、ステップS1304をスキップして、処理を終了する。
【0100】
動き情報メモリ111より、結合動き情報算出部1007に供給される動き情報の候補ブロック群には、空間候補ブロック群と時間候補ブロック群が含まれる。まず、空間結合動き情報候補リスト生成について説明する。
【0101】
図14は、空間結合動き情報候補リスト生成に用いる空間候補ブロック群を示す図である。空間候補ブロック群は、符号化対象画像の予測対象ブロックに隣接している同一画像のブロックを示す。ブロック群は、その管理が最小予測ブロックサイズ単位で行われ、図14に示すようなA0〜A4、B0〜B5の位置のブロックが隣接するブロック群となる。候補ブロックの位置は、最小予測ブロックサイズの単位で管理されるが、隣接ブロックの予測ブロックサイズが最小予測ブロックサイズよりも大きな場合には、予測ブロックサイズ内の全ての候補ブロックに同一の動き情報が格納される。実施の形態1においては、これら隣接するブロック群の内、空間候補ブロック群をブロックA1、ブロックB1、ブロックB0、ブロックA0、ブロックB5の5ブロックとする。
【0102】
図15は、空間結合動き情報候補リスト生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。空間候補ブロック群に含まれる5つの候補ブロックであるブロックA1、ブロックB1、ブロックB0、ブロックA0、ブロックB5について以下の処理を繰り返し行う(S1500からS1509)。
【0103】
最初に候補ブロックの有効性を検査する(S1501)。候補ブロックが領域外でなくイントラモードでない場合(S1501:YES)、候補ブロックは有効となる。次に、予測対象ブロックが所定サイズよりも大きい場合(S1502:YES)、候補ブロックの動き情報を空間結合動き情報候補リストに追加する(S1503)。予測対象ブロックが所定サイズよりも大きくない場合(S1502:NO)、動き情報が片方向である場合(S1504:YES)には、L0方向の参照画像インデックスが0であるかどうかを判定し、0である場合(S1505:YES)、候補ブロックの動き情報を空間結合動き情報候補リストに追加する(S1503)。L0方向の参照画像インデックスが0であるかどうかを判定し、0でない場合(S1505:NO)、参照画像インデックスを0として(S1507)、参照画像インデックスを0とした動きベクトルを参照画像距離比率でスケーリングする(S1508)。動きベクトルのスケーリングの詳細については、時間結合動き情報候補リスト生成で説明する。動き情報が片方向でない場合(S1504:NO)には、L0方向の参照画像インデックス及びL1方向の参照画像インデックスが双方とも0であるかどうかを判定し、双方とも0である場合(S1506:YES)、候補ブロックの動き情報を空間結合動き情報候補リストに追加する(S1503)。L0方向の参照画像インデックス及びL1方向の参照画像インデックスが双方とも0であるかどうかを判定し、どちらかが0でない場合(S1506:NO)、0でない参照画像インデックスを0として(S1507)、参照画像インデックスを0とした動きベクトルを参照画像距離比率でスケーリングする(S1508)。
【0104】
図30に実施の形態1における結合動き情報候補リストの生成の様子を示す。図30(a)は、予測対象ブロックが所定サイズより大きい場合の結合動き情報候補リストである。参照画像インデックス隣接ブロックの状態を引き継ぐ。図30(b)は、予測対象ブロックが所定サイズより大きくない場合の結合動き情報候補リストである。参照画像インデックスは0に固定され、隣接ブロックの参照画像インデックスが0でない候補の動きベクトルはスケーリングされる。
【0105】
図15のフローチャートでは、参照画像インデックスが0でない場合に、参照画像インデックスを0として空間結合動き情報候補を生成したが、参照画像インデックスが0でない場合には空間結合動き情報候補として登録しないことも可能である。また、各結合動き情報候補に対してスケーリングを行うことによる処理負荷を抑制するために、参照画像インデックスが0でない場合にも参照画像インデックスを0としてスケーリングを行わずに登録することも可能である。
【0106】
ここでは、空間結合動き情報候補リストには5以下の候補ブロックの動き情報が含まれるとしたが、空間候補ブロック群は、処理対象の予測ブロックに隣接する少なくとも1以上の処理済みのブロックであり、候補ブロックの有効性によって空間結合動き情報候補リストの数が変動すればよく、これに限定されない。なお、候補ブロックが領域外またはイントラモードの場合(S1501:NO)、ステップS1502〜S1508をスキップし、次の候補ブロックの有効/無効判定が行われる。
【0107】
続いて、時間結合動き情報候補リスト生成について説明する。図16は、時間結合動き情報候補リスト生成に用いる時間候補ブロック群を示す図である。時間候補ブロック群は、予測対象ブロックを含む対象画像とは別の復号済みの参照画像ColPicにおける予測対象ブロックと同位置及びその周辺にあるブロックを示す。図16におけるA0〜A4、B0〜B5、F0〜F4、G1〜G4、H、I1〜I16の位置のブロックが、時間的に隣接するブロック群となる。実施の形態1においては、これら時間的に隣接するブロック群の内、時間候補ブロック群をブロックHとブロックI6の2ブロックとする。
【0108】
図17は、時間結合動き情報候補リスト生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。時間候補ブロック群に含まれる2つの候補ブロックであるブロックHとブロックI6について(ステップS1700、ステップS1707)、候補ブロックの有効性を検査する(S1701)。候補ブロックが有効である場合(S1701:YES)、ステップS1702〜ステップS1706の処理が行われ、生成された動き情報が時間結合動き情報候補リストに登録され、処理が終了する。候補ブロックが画面領域外の位置を示す場合や、候補ブロックがイントラ予測ブロックである場合(S1701:NO)、候補ブロックが有効でなく、次の候補ブロックの有効/無効判定が行われる。
【0109】
候補ブロックが有効である場合(S1701:YES)、予測対象ブロックが所定サイズよりも大きい場合(S1702:YES)、候補ブロックの動き情報をもとに結合動き情報候補に登録する参照画像選択候補を確定する(S1703)。実施の形態1ではL0方向の参照画像を、L0方向の参照画像のうち処理対象画像に最も近い距離にある参照画像とし、L1方向の参照画像を、L1方向の参照画像のうち処理対象画像に最も近い距離にある参照画像とする。
【0110】
ここでの参照画像選択候補の確定手法は、L0方向の参照画像とL1方向の参照画像が決定できればよく、これに限定されない。符号化処理と復号処理で同一の手法で参照画像を確定することで、符号化時に意図した参照画像を確定できる。他の確定手法としては、空間隣接ブロックが使用しているL0参照画像及びL1参照画像で、最も多く使用されている参照画像を予測対象ブロックにおける参照画像として選択する手法や、符号化ストリーム中で各方向の参照画像を指定する手法を用いることが可能である。
【0111】
予測対象ブロックが所定サイズよりも大きくない場合(S1702:NO)、L0方向の参照画像及びL1方向の参照画像の参照画像インデックスを0とする(S1704)。
【0112】
次に、候補ブロックの動き情報をもとに結合動き情報候補に登録する動きベクトル値を確定する(S1705)。実施の形態1における、時間結合動き情報は、候補ブロックの動き情報で有効な予測方向である動きベクトル値をもとに、双方向の動き情報を算出する。候補ブロックの予測方向がL0予測もしくはL1予測の片方向の場合には、予測に用いられている方向(L0方向或いはL1方向)の動き情報を選択し、その参照画像指定情報と動きベクトル値を双方向動き情報生成の基準値とする。
【0113】
候補ブロックの予測方向が双方向である場合には、L0予測或いはL1予測のどちらか一方の動き情報を基準値として選択する。基準値の選択方法は、例えばColPicと同じ予測方向に存在する動き情報を選択する、候補ブロックのL0予測、L1予測のそれぞれの参照画像でColPicとの画像間距離が近い方を選択する、或いは候補ブロックのL0予測、L1予測のそれぞれの動きベクトルが符号化処理対象画像と交差する方を選択する、符号化ストリーム中でL0予測或いはL1予測のどちらを基準値として使用するか指定する手法等が挙げられる。
【0114】
双方向動き情報生成の基準とする動きベクトル値が確定したら、結合動き情報候補に登録する動きベクトル値を算出する。
【0115】
図18は、時間結合動き情報に対する基準動きベクトル値mvColに対する、L0予測、L1予測に対して登録する動きベクトル値mvL0t、mvL1tの算出手法を説明するための図である。基準動きベクトル値mvColに対するColPicと候補ブロックの基準とする動きベクトルの対象となる参照画像との画像間距離をColDistとする。L0予測、L1予測の各参照画像と処理対象画像との画像間距離をそれぞれCurrL0Dist、CuurL1Distとする。mvColを、ColDistとCurrL0Dist、CurrL1Distの距離比率でスケーリングした動きベクトルを、それぞれのリストの動きベクトルとして登録する。具体的には、登録する動きベクトル値mvL0t、mvL1tは、下記式1、2で算出される。
mvL0t=mvCol×CurrL0Dist/ColDist ・・・(式1)
mvL1t=mvCol×CurrL1Dist/ColDist ・・・(式2)
となる。
【0116】
ただし、式1及び式2は、L0予測及びL1予測に対して同一のmvColを基準ベクトルとする例であり、L0予測及びL1予測で異なるmvColを使用する場合には、それぞれmvColL0、mvColL1とする。
【0117】
図17に戻り、このようにして生成された、双方向の参照画像選択情報(インデックス)と、動きベクトル値を結合動き情報候補に追加し(S1706)、時間結合動き情報候補リスト作成処理が終了する。
【0118】
図19は、図12のステップS1201における結合予測モード評価値生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。この動作は、図10の結合動き補償予測生成部1008を用いた構成の詳細動作を示している。
【0119】
最初に予測誤差評価値を最大値に設定し、予測誤差が最小となる結合動き情報インデックスを初期化(例えば、−1などのリスト外の値)する(S1900)。結合動き情報候補リスト生成処理により、生成された結合動き情報候補リストの数をnum_of_indexとすると、i=0からnum_of_index−1までの結合動き情報候補について以下の処理を繰り返し行う(S1901からS1909)。
【0120】
先ず、結合動き情報候補リストよりインデックスiに格納された動き情報を取得する(S1902)。続いて動き情報符号量を算出する(S1903)。結合予測モードにおいては、結合動き情報インデックスのみが符号化されるので、結合動き情報インデックスのみが動き情報符号量となる。結合動き情報インデックスの符号列としては、実施の形態1では、Truncated Unary符号列を用いる。
【0121】
図20は、結合動き情報候補数が5の場合のTruncated Unary符号列を示す図である。Truncated Unary符号列を用いて結合動き情報インデックスの値を符号化する場合には、結合動き情報候補数が少ないほど、結合動き情報インデックスに割り当てられる符号ビットが小さくなる。例えば、結合動き情報インデックスが1である場合、結合動き情報候補数が2個であれば'1'の1ビットで表現されるが、結合動き情報候補数が3個であれば'10'の2ビットで表現される。なお、ここでは上記のように結合動き情報インデックスの符号化にTruncated Unary符号列を利用しているが、他の符号列生成手法を用いることも可能であり、これに限定されない。
【0122】
図19に戻り、動き情報の予測方向が片方向である場合(S1904:YES)、1つの参照画像に対する参照画像指定情報と動きベクトルを、図1における動き補償予測部108に設定して、片方向動き補償予測ブロックを生成する(S1905)。動き情報が片方向でない場合(S1904:NO)、2つの参照画像に対する参照画像指定情報と動きベクトルを動き補償予測部108に設定して、双方向動き補償予測ブロックを生成する(S1906)。
【0123】
続いて、動き補償予測ブロックと予測対象ブロックの予測誤差と動き情報符号量より、予測誤差評価値を算出し(S1907)、予測誤差評価値が最小値である場合には評価値を更新すると共に、予測誤差最小インデックスを更新する(S1908)。
【0124】
全ての結合動き情報候補についての予測誤差評価値が比較された結果、選択された予測誤差最小インデックスを、結合予測モードで用いる結合動き情報インデックスとして、予測誤差最小値、動き補償予測ブロックと共に出力し(S1910)、結合予測モード評価値生成処理を終了する。
【0125】
図21は、図12のステップS1202の詳細動作を説明するためのフローチャートである。図12のステップS1202では、片方向予測モード評価値生成処理が行われる。
【0126】
最初に、片方向予測に対する参照画像指定情報(インデックス)と動きベクトル値を取得する(S2100)。ここで、所定ブロックサイズより大きい予測対象ブロックの参照画像指定情報は自由に設定できるが、所定ブロックサイズ以下の予測対象ブロックの参照画像指定情報は、0に固定される。続いて、最小動き情報符号量を最大値に設定し、動き情報符号量が最小となる結合動き情報インデックスを初期化(例えば、−1などのリスト外の値)する(S2101)。結合動き情報候補リスト生成処理により、生成された結合動き情報候補リストの数をnum_of_indexとすると、i=0からnum_of_index−1までの結合動き情報候補について以下の処理を繰り返し行う(S2102からS2108)。ただし、片方向予測モードの予測ベクトル候補数は結合動き情報候補リストの数num_of_indexと同一であることに限定されず、num_of_indexと異なる値に設定することも可能である。
【0127】
先ず、結合動き情報算出部1007より入力された結合動き情報候補リストより、インデックスiに格納された動き情報を取得する(S2103)。続いて、取得した動き情報より参照画像指定情報で指定される参照画像に対する候補インデックスiの予測ベクトル値を生成する(S2104)。
【0128】
続いて、生成された予測ベクトル値と動きベクトル値との水平・垂直成分の差分値を算出し、差分ベクトルを生成する(S2105)。
【0129】
続いて、動き情報符号量を算出する(S2106)。片方向予測モードの場合に、符号化する動き情報としては、1つの参照画像に対する、参照画像指定情報、差分ベクトル値、及び結合動き情報インデックスの3要素となり、各々符号化された符号量の総量が動き情報符号量として算出される。動き情報符号量が、最小動き情報符号量よりも小さい場合には、最小動き情報符号量を更新すると共に、動き情報符号量最小インデックスを更新する(S2107)。すべての候補インデックスに対する動き情報符号量の算出を行うことで(S2108)、最小動き情報符号量と動き情報符号量最小インデックスが算出される。
【0130】
続いて、1つの参照画像に対する参照画像指定情報と動きベクトルを図1における動き補償予測部108に設定して、片方向動き補償予測ブロックを生成する(S2109)。さらに、動き補償予測ブロックと予測対象ブロックの予測誤差と、算出された最小動き情報符号量より、予測誤差評価値を算出し(S2110)、予測誤差評価値、並びに1つの参照画像に対する動き情報である、参照画像指定情報、差分ベクトル値、及び算出された動き情報符号量最小インデックスである結合動き情報インデックスを動き補償予測ブロックと共に出力し(S2111)、片方向予測モード評価値生成処理を終了する。
【0131】
図22は、図12のステップS1203の詳細動作を説明するためのフローチャートである。図12のステップS1203では、双方向予測モード評価値生成処理が行われる。
【0132】
最初に、L0予測及びL1予測に対する参照画像指定情報(インデックス)と動きベクトル値を取得する(S2200)。ここで、所定ブロックサイズより大きい予測対象ブロックの参照画像指定情報は自由に設定できるが、所定ブロックサイズ以下の予測対象ブロックの参照画像指定情報は、0に固定される。続いて、最小動き情報符号量を最大値に設定し、動き情報符号量が最小となる結合動き情報インデックスを初期化(例えば、−1などのリスト外の値)する(S2201)。結合動き情報候補リスト生成処理により、生成された結合動き情報候補リストの数をnum_of_indexとすると、i=0からnum_of_index−1までの結合動き情報候補について以下の処理を繰り返し行う(S2202からS2210)。ただし、双方向予測モードの予測ベクトル候補数は結合動き情報候補リストの数num_of_indexと同一であることに限定されず、num_of_indexと異なる値に設定することも可能である。
【0133】
先ず、結合動き情報算出部1007より入力された結合動き情報候補リストより、インデックスiに格納された動き情報を取得する(S2203)。続いて、取得した動き情報より参照画像指定情報で指定されるL0参照画像に対する候補インデックスiの予測ベクトル値を生成する(S2204)。
【0134】
続いて、生成された予測ベクトル値と動きベクトル値との水平・垂直成分の差分値を算出し、L0予測に対する差分ベクトルを生成する(S2205)。
【0135】
続いて、取得した動き情報より参照画像指定情報で指定されるL1参照画像に対する候補インデックスiの予測ベクトル値を生成する(S2206)。生成された予測ベクトル値と動きベクトル値との水平・垂直成分の差分値を算出し、L1予測に対する差分ベクトルを生成する(S2207)。
【0136】
続いて、動き情報符号量を算出する(S2208)。双方向予測モードの場合には、符号化する動き情報としては、L0とL1の2つの参照画像に対する、参照画像指定情報、差分ベクトル値と、1つの結合動き情報インデックスの計5要素となり、各々符号化された符号量の総量が動き情報符号量として算出される。そのため、結合予測モードと比較して、符号化される動き情報の符号量は大きくなるが、すべての参照画像を予測対象画像として指定出来、すべての動きベクトルを指定可能であるため、より予測残差の少ない動き補償予測ブロックを生成することができる。動き情報符号量が、最小動き情報符号量よりも小さい場合には、最小動き情報符号量を更新すると共に、動き情報符号量最小インデックスを更新する(S2209)。すべての候補インデックスに対する動き情報符号量の算出を行うことで(S2210)、最小動き情報符号量と動き情報符号量最小インデックスが算出される。
【0137】
続いて、2つの参照画像に対する参照画像指定情報と動きベクトルを図1における動き補償予測部108に設定して、双方向動き補償予測ブロックを生成する(S2211)。さらに、動き補償予測ブロックと予測対象ブロックの予測誤差と、算出された最小動き情報符号量より、予測誤差評価値を算出し(S2212)、予測誤差評価値、並びにL0、L1の2つの参照画像に対する動き情報である、2つの参照画像指定情報、2つの差分ベクトル値、及び算出された動き情報量最小インデックスである、1つの結合動き情報インデックスを動き補償予測ブロックと共に出力し(S2213)、双方向予測モード評価値生成処理を終了する。
【0138】
以上の処理が、実施の形態1における動画像符号化装置における予測モード判定部109の詳細動作となる。
【0139】
[実施の形態1における動画像符号化装置における動き情報符号化部の詳細動作説明]
図23は、図5のステップS504の詳細動作を説明するためのフローチャートである。図5のステップS504の処理は、実施の形態1の動画像符号化装置の動き情報符号化部110における、各動き補償予測モードに対する動き情報を符号化する処理を示す。
【0140】
動き情報符号化部110には、予測モード判定部109において決定された動き補償予測モードにおける、予測モードを示す情報と、各予測モードの動き情報を表現するために必要な情報が供給され、動き情報符号化部110は動き情報符号化データ生成処理を開始する。
【0141】
最初に、予測モードが結合予測モードである場合(S2300:YES)、ステップS2301に進み、対象となる予測ブロックで予測誤差信号を符号化しない(Skipモード)状態である場合(S2301:YES)、Skipフラグを符号化し(S2302)、そうでない場合(S2301:NO)、マージフラグを1として符号化する(S2303)。
【0142】
Skipフラグ或いはマージフラグを符号化した後、結合動き情報候補リストが1より大きい場合(S2304:YES)、結合動き情報インデックスを符号化し(S2305)、処理を終了する。結合動き情報候補リストが1の場合(S2304:NO)、結合動き情報が特定できるため、結合動き情報インデックスは伝送されない。
【0143】
次に、予測モードが結合予測モードでない場合(S2300:NO)、マージフラグを0として符号化する(S2306)。続いて、動き予測フラグを符号化する(S2307)。動き予測フラグは、予測方向が片方向予測であるか双方向予測であるかを指示する情報として符号化される。
【0144】
図24は、実施の形態1における動き予測フラグの一例を示す図である。動き予測フラグ(inter_pred_flag)として、片方向を示す値(Pred_LC)が0、双方向を示す値(Pred_BI)が1で符号化される。
【0145】
図23に戻り、結合動き情報候補リストが1より大きい場合(S2308:YES)、片方向予測もしくは双方向予測に用いられる結合動き情報インデックスを符号化する(S2309)。結合動き情報候補リストが1の場合(S2308:NO)、結合動き情報インデックスは伝送されない。
【0146】
次に、動き予測フラグで示された予測方向が片方向予測である場合(S2310:YES)、片方向予測モードの動き情報伝送が行われる。最初に、予測対象ブロックサイズが所定サイズよりも大きい場合(S2311:YES)、参照画像指定情報(インデックス)を符号化する(S2312)。予測対象ブロックサイズが所定サイズよりも大きくない場合(S2311:NO)、参照画像インデックスは0に固定され伝送されないため、参照画像指定情報は符号化しない。続いて、差分ベクトルを符号化し(S2313)、処理を終了する。
【0147】
一方、動き予測フラグで示された予測方向が片方向予測でない場合(S2310:NO)、予測モードは双方向予測モードとなり、双方向予測モードの動き情報伝送が行われる。最初に、予測対象ブロックサイズが所定サイズよりも大きい場合(S2314:YES)、L0予測の動き情報であるL0参照画像指定情報を符号化する(S2315)。予測対象ブロックサイズが所定サイズよりも大きくない場合(S2314:NO)、参照画像インデックスは0に固定され伝送されないため、L0参照画像指定情報は符号化しない。続いて、L0差分ベクトル値を符号化する(S2316)。
【0148】
続いて、予測対象ブロックサイズが所定サイズよりも大きい場合(S2317:YES)、L1予測の動き情報であるL1参照画像指定情報を符号化する(S2318)。予測対象ブロックサイズが所定サイズよりも大きくない場合(S2317:NO)、参照画像インデックスは0に固定され伝送されないため、L0参照画像指定情報は符号化しない。続いて、L1差分ベクトル値を符号化する(S2319)。以上の処理により、動き情報符号化データの生成が終了する。
【0149】
図25は、図23のフローチャートで示した、動き情報符号化データ生成処理によって生成される符号化ストリームのシンタックスの一例を示す。動き検出モードの片方向予測モード、双方向予測モードそれぞれについて、予測対象ブロックサイズ(curPuSize)が所定ブロックサイズ(sameRefPuSize)より大きい場合にのみ、参照画像指定情報(ref_idx)が伝送される。予測対象ブロックサイズ(curPuSize)が所定ブロックサイズ(sameRefPuSize)以下の場合、参照画像指定情報(ref_idx)は伝送されず値は0となる。
【0150】
図25の符号化シンタックスにおいては、Skipフラグの伝送は予測ブロック単位での動き情報の符号化より上位階層である符号化ブロック単位で行われる。従って、上位の符号化ブロックの単位で、図23の予測誤差信号を符号化しない(Skipモード)状態であるか否かの判定(S2301)が行われる。
【0151】
[実施の形態1における動画像復号装置における動き情報復号部の詳細動作説明]
図26は、図6に示した実施の形態1の動画像復号装置における動き情報復号部606の詳細な構成を示す図である。動き情報復号部606は、動き情報ビットストリーム復号部2600、予測ベクトル算出部2601、ベクトル加算部2602、片方向動き補償予測復号部2603、双方向動き補償予測復号部2604、及び結合動き情報算出部2605、結合動き補償予測復号部2606を含む。
【0152】
図6における動き情報復号部606に対して、多重分離部601より入力された動き情報ビットストリームが、動き情報ビットストリーム復号部2600に供給され、動き情報メモリ607より入力された動き情報が、予測ベクトル算出部2601、及び結合動き情報算出部2605に供給される。
【0153】
また、動き補償予測部608に対して、片方向動き補償予測復号部2603、双方向動き補償予測復号部2604、及び結合動き補償予測復号部2606から、動き補償予測に用いる参照画像指定情報と動きベクトルが出力され、予測方向を示す情報を含めた復号された動き情報が、動き情報メモリ607に格納される。
【0154】
動き情報ビットストリーム復号部2600は、多重分離部601より入力された動き情報ビットストリームを符号化シンタックスに従って復号していくことで、伝送された予測モードと、予測モードに応じた動き情報を生成する。生成した動き情報の中で、結合動き情報インデックスは、予測モードに応じて結合動き補償予測復号部2606又は予測ベクトル算出部2601に供給され、予測対象ブロックのサイズが所定ブロックサイズより大きい場合、参照画像指定情報が予測ベクトル算出部2601に供給され、予測ベクトルがベクトル加算部2602に供給され、差分ベクトル値がベクトル加算部2602に供給される。
【0155】
予測ベクトル算出部2601は、動き情報ビットストリーム復号部2600より供給又は暗黙的に0に固定された参照画像指定情報と、結合動き情報算出部2605より供給された、結合動き情報候補リストとリスト内の構成要素である結合動き情報候補の参照画像指定情報と動きベクトル値から、動き補償予測の対象となる参照画像に対する結合動き情報候補リストに対する予測ベクトルを生成し、参照画像指定情報、結合動き情報候補リストと共にベクトル加算部2602に供給する。予測ベクトル算出部2601の動作に関しては、図10の動画像符号化装置における予測ベクトル算出部1003と同一の動作が行われ、符号化時の予測ベクトルと同一の予測ベクトルが生成される。
【0156】
ベクトル加算部2602は、予測ベクトル算出部2601より供給された結合動き情報候補リストに対する予測ベクトル、結合動き情報候補リスト、及び参照画像指定情報と、動き情報ビットストリーム復号部2600から供給された結合動き情報インデックス及び差分ベクトルより、結合動き情報インデックスで示された位置に登録された予測ベクトル値と差分ベクトル値を加算することで、動き補償予測対象となる参照画像に対しての動きベクトル値が再生される。再生された動きベクトル値は、参照画像指定情報と共に、予測モードに応じて片方向動き補償予測復号部2603、もしくは双方向動き補償予測復号部2604に供給される。
【0157】
片方向動き補償予測復号部2603は、ベクトル加算部2602より1つの参照画像に対する、再生された動きベクトル値と参照画像指定情報が供給され、動きベクトル値と参照画像指定情報を動き補償予測部608に設定することで、動き補償予測信号を生成する。
【0158】
双方向動き補償予測復号部2604は、ベクトル加算部2602より双方向の2つの参照画像に対する、再生された動きベクトル値と参照画像指定情報が供給され、動きベクトル値と参照画像指定情報を動き補償予測部608に設定することで、動き補償予測信号を生成する。
【0159】
結合動き情報算出部2605は、動き情報メモリ607から供給される隣接ブロックの動き情報より、結合動き情報候補リストを生成し、結合動き情報候補リストとリスト内の構成要素である結合動き情報候補の参照画像指定情報と動きベクトル値を、予測モードに応じて予測ベクトル算出部2601、もしくは結合動き補償予測復号部2606に供給する。
【0160】
結合動き情報算出部2605の動作に関しては、図10の動画像符号化装置における結合動き情報算出部1007と同一の動作が行われ、符号化時の結合動き情報候補リストと同一の候補リストが生成される。
【0161】
結合動き補償予測復号部2606は、結合動き情報算出部2605より供給される結合動き情報候補リストとリスト内の構成要素である結合動き情報候補の参照画像指定情報と動きベクトル値と、動き情報ビットストリーム復号部2600より供給される結合動き情報インデックスより、結合動き情報インデックスで示された結合動き情報候補リストにおける参照画像指定情報と動きベクトル値を再生し、動き補償予測部608に設定することで、動き補償予測信号を生成する。
【0162】
図27は、図7のステップS701の詳細動作を説明するためのフローチャートである。動き情報ビットストリーム復号部2600、予測ベクトル算出部2601、及び結合動き情報算出部2605により、図7のステップS701における動き情報復号処理が行われる。
【0163】
動き情報復号処理は、図25のシンタックス構造で符号化された符号化ビットストリームより動き情報を復号する処理である。最初に符号化ブロックの所定単位でSkipフラグを復号する(S2700)。以降は予測ブロック単位の処理となる。SkipフラグがSkipモードを示している場合(S2701:YES)、結合予測動き情報復号を行う(S2702)。結合予測動き情報の復号は、図23のS2304〜S2305の符号化処理を復号処理に置き換えるだけなので詳細な説明を省略する。
【0164】
Skipモードでない場合(S2701:NO)、マージフラグを復号する(S2703)。マージフラグが1を示している場合(S2704:YES)、ステップS2702の結合予測動き情報復号に進む。
【0165】
マージフラグが1でない場合(S2704:NO)、動き予測フラグを復号する(S2705)。動き予測フラグが片方向予測モードである場合(S2706:YES)、即ち図25におけるinter_pred_flagがPred_LCを示す場合、片方向予測動き情報復号を行う(S2707)。片方向予測動き情報の復号は、図23のS2311〜S2313の符号化処理を復号処理に置き換えるだけなので詳細な説明を省略する。
動き予測フラグが片方向予測モードを示していない場合(S2706:NO)、双方向予測動き情報復号が行われる(S2708)。双方向予測動き情報の復号は、図23のS2314〜S2319の符号化処理を復号処理に置き換えるだけなので詳細な説明を省略する。
【0166】
実施の形態1における、動画像符号化装置及び動画像復号装置においては、所定のブロックサイズ以下の予測ブロックについて、参照画像指定情報(ref_idx)を固定し、動き補償予測に用いることができる参照画像を所定ブロックサイズ内で同一の画像に制限することで、所定ブロックサイズ内で複数の参照画像から動き補償予測を行う必要がなくなり、動き補償予測部108、608では所定ブロックサイズ内での復号画像メモリ106または605に格納されている参照画像にアクセスする回数が各予測方向で1回で済むので、メモリバンド幅を削減できる。さらに、動画像符号化装置において、所定ブロックサイズ内で参照画像が固定されることで、動きベクトル検出部107、予測モード判定部109で評価すべき参照画像の枚数が減少するため、処理量を削減することができる。
【0167】
実施の形態1における、動画像符号化装置及び動画像復号装置においては、所定のブロックサイズ以下の予測ブロックの参照画像が、固定の参照画像指定情報で取得できるため符号化・復号化処理が簡略化できる。実施の形態1における、動画像符号化装置及び動画像復号装置においては、参照画像を制限する所定ブロックサイズの指定は、固定的に定義しても良いし、プロファイル、レベルに応じて定義しても良いし、シーケンスレベル、ピクチャレベル、またはスライスレベルで符号化ストリーム内に記述し伝送できるようにして、符号化側で選択できるようにしても良い。
【0168】
実施の形態1における、動画像符号化装置及び動画像復号装置においては、所定のブロックサイズ以下の予測ブロックで固定する参照画像インデックスの値を0としたが、これは、参照画像インデックスの値が0の参照画像が最も選択される確率が高いからである。ただし、参照画像指定の固定方法はこれに限定されない。例えば、参照画像インデックスを0以外の他の値(1、2など)としても良いし、シーケンスレベル、ピクチャレベル、またはスライスレベルで符号化ストリーム内に記述し伝送できるようにして、符号化側で選択できるようにしても良い。
【0169】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2についての説明を行う。実施の形態1においては、所定のブロックサイズ以下で動き補償予測に用いることができる参照画像を参照画像インデックスの値が0の参照画像に固定したのに対して、実施の形態2においては、動き補償予測に用いることができる参照画像の制限を所定のブロックサイズ以下の第二インター予測ブロック以降の予測ブロックに緩和する。具体的には、動画像符号化装置の結合動き情報算出部1007、動画像復号装置の結合動き情報算出部2605の動作、及び空間結合予測モード評価値生成ステップS1300、時間結合予測モード評価値生成ステップS1301の処理が異なり、その他の構成及び処理は実施の形態1と同様である。
【0170】
図28は、実施の形態2における、図13のS1300における空間結合予測モード評価値生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【0171】
第一インター予測ブロックとは、所定のブロックサイズ内の符号化又は復号順で最初のインター予測ブロックである。また、第二インター予測ブロックとは、所定のブロックサイズ内の符号化又は復号順で最初でないインター予測ブロックである。
【0172】
実施の形態1における空間結合予測モード評価値生成のフローチャートである図15との差異は、予測対象ブロックが所定のブロックサイズで最初に発生する予測ブロックである第一インター予測ブロックであるかどうかを判定する処理を追加し(S2802)、参照画像インデックスの判定を参照画像インデックスの値が0かどうかではなく、第一インター予測ブロックの参照画像インデックスと所定のブロックサイズで第一インター予測ブロック以外の予測ブロックである第二インター予測ブロックの参照画像インデックスが同一であるかどうかの判定に変更し(S2806、S2807)、第二インター予測ブロックの参照画像インデックスが第一インター予測ブロックの参照画像インデックスと同一でない場合(S2806、S2807:NO)、第二インター予測ブロックの参照画像インデックスの値を第一インター予測ブロックの参照画像インデックスと同一にする処理に変更する(S2808)。
【0173】
予測対象ブロックが第一インター予測ブロックである場合は(S2802:YES)、候補ブロックの動き情報を空間結合動き情報候補リストに追加する(S2804)。予測対象ブロックが第一インター予測ブロックでない場合(S2802:NO)は、予測対象ブロックが所定サイズよりも大きいかどうか判定する処理(S2803)に進み、以降の処理は図15の実施の形態1のS1505〜S1507処理を2806〜S2808に置き換え、その他の処理は同一である。
【0174】
図29は、実施の形態2における、図13のS1301における時間結合予測モード評価値生成の詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【0175】
実施の形態1における空間結合予測モード評価値生成のフローチャートである図17との差異は、予測対象ブロックが第一インター予測ブロックであるかどうかを判定する処理を追加しているところである(S2902)。予測対象ブロックが第一インター予測ブロックでない場合は(S2902:NO)、予測対象ブロックが所定サイズよりも大きいかどうか判定する処理(S2903)に進み、以降の処理は図17の実施の形態1のS1704の処理をS2905に置き換え、その他の処理は同一である。ステップS2905では、第二インター予測ブロックの参照画像インデックスの値を第一インター予測ブロックの参照画像インデックスと同一の値に変更する。予測対象ブロックが第一インター予測ブロックである場合は(S2902:YES)、実施の形態1と同様にS2904に進む。
【0176】
また、実施の形態2においては、図21の片方向予測に対する参照画像指定情報(インデックス)と動きベクトル値を取得する処理(S2100)の詳細が実施の形態1と異なる。実施の形態1では、所定ブロックサイズ以下の予測対象ブロックの参照画像インデックスは、0に固定していたが、実施の形態2では、第二インター予測ブロックの所定ブロックサイズ以下の予測対象ブロックの参照画像インデックスの値は、第一インター予測ブロックの参照画像インデックスの値に固定される。
【0177】
同様に、実施の形態2においては、図22のL0予測及びL1予測に対する参照画像指定情報(インデックス)と動きベクトル値を取得する処理(S2200)の詳細が実施の形態1と異なる。実施の形態1では、所定ブロックサイズ以下の第二インター予測ブロックの参照画像インデックスの値は、0に固定していたが、実施の形態2では、所定ブロックサイズ以下の第二インター予測ブロックの参照画像インデックスの値は、第一インター予測ブロックの参照画像インデックスの値に固定される。
【0178】
図31に実施の形態1における8x8ブロック以下の予測対象ブロックの参照画像を同一にする場合の、8x8ブロック内の各4x4ブロックの参照画像指定情報の例を示す。図31(a)は、第一インター予測ブロックが結合予測モードの場合の例であり、図31(b)は、第一インター予測ブロックが動き検出モードの場合の例である。実施の形態1では第一インター予測ブロックの予測モードがどちらの場合でも、参照画像指定情報は0に固定される。 一方、図32に実施の形態2における8x8ブロック以下の予測対象ブロックの参照画像を同一にする場合の、8x8ブロック内の各4x4ブロックの参照画像指定情報の例を示す。図31の場合と同様に、図32(a)は、第一インター予測ブロックが結合予測モードの場合の例であり、図32(b)は、第一インター予測ブロックが動き検出モードの場合の例である。実施の形態2においては、第一インター予測ブロックが結合予測モードの場合(図32(a))、参照画像指定情報は、8x8ブロックより大きいサイズのブロックと同様に、すべての参照画像が自由に指定可能である。第二インター予測ブロックでは、予測モードが結合予測モードであろうと、動き検出予測モードであろうと、参照画像指定情報は、第一インター予測ブロックの参照画像指定情報に固定される。また、第一インター予測ブロックが動き検出モードの場合(図32(b))、第一インター予測ブロックの参照画像指定情報は、実施の形態1と同様に0に固定される。第二インター予測ブロックでは、予測モードが結合予測モードであろうと、動き検出予測モードであろうと、参照画像指定情報は、第一インター予測ブロックの参照画像指定情報に固定される。つまり、第一インター予測ブロックが動き検出モードの場合には、8x8ブロック内の各4x4ブロックの参照画像指定情報は0に固定されるため、実施の形態1と同一の結果となる。
【0179】
実施の形態2においても、動き情報符号化データ生成処理によって生成される符号化ストリームのシンタックスは図25に示す実施の形態1と同様である。ただし、動き検出モードの片方向予測モード、双方向予測モードそれぞれについて、予測ブロックのサイズ(curPuSize)が所定ブロックサイズ(sameRefPuSize)以下であり、且つ所定ブロックサイズ内の第一インター予測ブロックである場合は、参照画像指定情報(ref_idx)は伝送されず0であることは実施の形態1と同様であるが、結合予測モードでは所定ブロックサイズ内の第一インター予測ブロックでも参照画像指定情報(ref_idx)が0でない値をとることが可能であり、予測ブロックのサイズ(curPuSize)が所定ブロックサイズ(sameRefPuSize)以下であり、且つ所定ブロックサイズ内の第二インター予測ブロックである場合は、参照画像指定情報(ref_idx)は伝送されず第一インター予測ブロックで使用した参照画像指定情報を引き継ぐことが実施の形態1と異なる。
【0180】
実施の形態2における、動画像符号化装置及び動画像復号装置においては、所定のブロックサイズ以下の第二インター予測ブロックでは、第一インター予測ブロックで使用した参照画像指定情報を引き継ぐことで、動き補償予測に用いる参照画像の制限を緩和することで符号化効率の低下を抑制しつつ、動き補償予測に用いることができる参照画像を所定ブロックサイズ内で同一の画像に制限することで、所定ブロックサイズ内で複数の参照画像から動き補償予測を行う必要がなくなり、1つの参照画像からのみ動き補償予測を行うので、動き補償予測部108、608では所定ブロックサイズ内での復号画像メモリ106または605に格納されている参照画像にアクセスする回数が各予測方向で1回で済むので、メモリバンド幅を削減できる。さらに、動画像符号化装置において、所定ブロックサイズ内で参照画像が固定されることで、動きベクトル検出部107、予測モード判定部109で評価すべき参照画像の枚数が減少するため、処理量を削減することができる。
【0181】
また、実施の形態2における、動画像符号化装置及び動画像復号装置においては、所定のブロックサイズ以下の第一インター予測ブロックでは、所定のブロックサイズよりも大きいサイズのブロックと同様に参照画像制限のない結合予測モードを使用でき、実施の形態1と比較して符号化効率を向上させることができる。
【0182】
以上述べた実施の形態の動画像符号化装置が出力する動画像の符号化ストリームは、実施の形態で用いられた符号化方法に応じて復号することができるように特定のデータフォーマットを有しており、動画像符号化装置に対応する動画像復号装置がこの特定のデータフォーマットの符号化ストリームを復号することができる。
【0183】
動画像符号化装置と動画像復号装置の間で符号化ストリームをやりとりするために、有線または無線のネットワークが用いられる場合、符号化ストリームを通信路の伝送形態に適したデータ形式に変換して伝送してもよい。その場合、動画像符号化装置が出力する符号化ストリームを通信路の伝送形態に適したデータ形式の符号化データに変換してネットワークに送信する動画像送信装置と、ネットワークから符号化データを受信して符号化ストリームに復元して動画像復号装置に供給する動画像受信装置とが設けられる。
【0184】
動画像送信装置は、動画像符号化装置が出力する符号化ストリームをバッファするメモリと、符号化ストリームをパケット化するパケット処理部と、パケット化された符号化データをネットワークを介して送信する送信部とを含む。動画像受信装置は、パケット化された符号化データをネットワークを介して受信する受信部と、受信された符号化データをバッファするメモリと、符号化データをパケット処理して符号化ストリームを生成し、動画像復号装置に提供するパケット処理部とを含む。
【0185】
また、以上の符号化及び復号に関する処理は、ハードウェアを用いた伝送、蓄積、受信装置として実現することができるのは勿論のこと、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等に記憶されているファームウェアや、コンピュータ等のソフトウェアによっても実現することができる。そのファームウェアプログラム、ソフトウェアプログラムをコンピュータ等で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することも、有線あるいは無線のネットワークを通してサーバから提供することも、地上波あるいは衛星ディジタル放送のデータ放送として提供することも可能である。
【0186】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0187】
100 入力端子、 101 減算部、 102 直交変換・量子化部、 103 予測誤差符号化部、 104 逆量子化・逆変換部、 105 加算部、 106 復号画像メモリ、 107 動きベクトル検出部、 108 動き補償予測部、 109 予測モード判定部、 110 動き情報符号化部、 111 動き情報メモリ、 112 多重化部、 113 出力端子、 600 入力端子、 601 多重分離部、 602 予測差分情報復号部、 603 逆量子化・逆変換部、 604 加算部、 605 復号画像メモリ、 606 動き情報復号部、 607 動き情報メモリ、 608 動き補償予測部、 609 出力端子、 1000 片方向動き補償予測生成部、 1001 双方向動き補償予測生成部、 1002 予測誤差算出部、 1003 予測ベクトル算出部、 1004 差分ベクトル算出部、 1005 動き情報符号量算出部、 1006 予測モード評価部、 1007 結合動き情報算出部、 1008 結合動き補償予測生成部、 1100 結合動き情報候補リスト生成部、 1101 結合動き情報候補リスト削除部、 2600 動き情報ビットストリーム復号部、 2601 予測ベクトル算出部、 2602 ベクトル加算部、 2603 片方向動き補償予測復号部、 2604 双方向動き補償予測復号部、 2605 結合動き情報算出部、 2606 結合動き補償予測復号部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号装置であって、
復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成部と、
前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号部と、
前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号部と、
復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算部とを備え、
前記動き情報候補リスト生成部は、所定の大きさ以下の前記復号対象予測ブロックでは、前記動き情報候補に含まれる参照画像の指定情報を同一の値に設定することを特徴とする画像復号装置。
【請求項2】
動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号装置であって、
復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成部と、
前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号部と、
前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号部と、
復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算部とを備え、
前記動き情報候補リスト生成部は、所定の大きさの領域内の復号順で二番目以降に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報を、前記所定の大きさの領域内の復号順で一番目に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報と同一の値に設定することを特徴とする画像復号装置。
【請求項3】
動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号方法であって、
復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成ステップと、
前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号ステップと、
前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号ステップと、
復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算ステップとを備え、
前記動き情報候補リスト生成ステップは、所定の大きさ以下の前記復号対象予測ブロックでは、前記動き情報候補に含まれる参照画像の指定情報を同一の値に設定することを特徴とする画像復号方法。
【請求項4】
動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号方法であって、
復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成ステップと、
前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号ステップと、
前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号ステップと、
復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算ステップとを備え、
前記動き情報候補リスト生成ステップは、所定の大きさの領域内の復号順で二番目以降に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報を、前記所定の大きさの領域内の復号順で一番目に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報と同一の値に設定することを特徴とする画像復号方法。
【請求項5】
動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号プログラムであって、
復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成ステップと、
前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号ステップと、
前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号ステップと、
復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算ステップとをコンピュータに実行させ、
前記動き情報候補リスト生成ステップは、所定の大きさ以下の前記復号対象予測ブロックでは、前記動き情報候補に含まれる参照画像の指定情報を同一の値に設定することを特徴とする画像復号プログラム。
【請求項6】
動画像の各ピクチャを分割したブロック単位で動き補償予測を用いて符号化された符号列を復号する動画像復号プログラムであって、
復号対象予測ブロックに空間的又は時間的に隣接する複数のブロックの有する各動き情報を動き情報候補として登録した動き情報候補リストを生成する動き情報候補リスト生成ステップと、
前記動き情報候補リストから選択すべき動き情報候補を示すインデックスを復号する動き情報復号ステップと、
前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号の符号化データを復号する予測誤差信号復号ステップと、
復号された動き情報候補を示すインデックスにもとづいて前記動き情報候補リストから選択された動き情報候補を前記復号対象予測ブロックの動き情報として使用することにより生成される予測信号と、復号された前記復号対象予測ブロックの予測誤差信号とを加算して前記復号対象予測ブロックの画像信号を再生する加算ステップとをコンピュータに実行させ、
前記動き情報候補リスト生成ステップは、所定の大きさの領域内の復号順で二番目以降に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報を、前記所定の大きさの領域内の復号順で一番目に動き補償予測を用いて復号する前記復号対象予測ブロックの参照画像の指定情報と同一の値に設定することを特徴とする画像復号プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2013−85131(P2013−85131A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223866(P2011−223866)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】