説明

動的なペディクルの完全性評価を実行するシステム及び方法

本発明は、神経生理学の利用を伴う動的なペディクルの完全性評価を実行するためのシステム及び関連方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、外科用のシステム及び方法に係る。より詳細には、本発明は、神経生理学の利用を含む動的なペディクルの完全性評価を実行するシステム及び関連方法に向けられる。
【0002】
関連出願へのクロスレファレンス:これは、参考としてここに全内容を援用する2003年8月5日に出願された「Systems and Methods for Performing Pedicle Integrity Assessment During Spinal Surgery」と題する共通に譲渡された出願中の米国プロビジョナル特許出願第60/493,024号、及び2004年1月28日に出願された「Insulation Sheath for Medical Instruments and Related Methods」と題する米国プロビジョナル特許出願第60/540,083号の35USC119(e)のもとでの優先権の利益を請求する国際特許出願である。
【背景技術】
【0003】
脊髄手術の傾向は、いわゆる切開即ち「直接アクセス」手順のトラウマを回避するために最小限の侵襲性即ち最小限のアクセス形態で手術を行う傾向にある。特定の当該エリアは、脊髄融合手順の後固定を行うために通常使用されるペディクルスクリューを配置するところである(経皮及び切開)。このエリアでは大きなストライドがとられるが、パイロットホール(ペディクルスクリューを受け入れるように設計された)の形成及び/又は準備のために、及び/又はパイロットホールにペディクルスクリューを導入するために、ペディクルが裂けたり、割れたり、その他、駄目になったりすることがある。ペディクル(より詳細には、内壁、横壁、上壁及び/又は下壁の皮質)が裂けたり、割れたり、その他、駄目になったりする場合には、ペディクルスクリューと出て行く神経根との間に望ましからぬ接触があるために患者が痛みや神経学的欠陥を経験することがある。これは、しばしば改善手術を必要とし、不都合なことに患者にとって痛みがあると共に、回復時間及び入院加療の両面で経費もかかる。
【0004】
ペディクルの完全性評価を実行するための種々の試みがなされている。ここで使用する「ペディクルの完全性評価」という語は、パイロットホール(ペディクルスクリューを受け入れるように設計された)の形成及び/又は準備のために、及び/又はパイロットホールにペディクルスクリューを導入するために、ペディクルの一部分が裂けたり、割れたり、その他、駄目になったかどうか検出し、又はその他、決定するものとして定義される。「形成」とは、例えば、ドリル又は他のホール形成素子の使用によりペディクルに初期パイロットホールを設ける行為として定義される。「準備」とは、例えば、初期パイロットホールにタップ又はリーマ素子を導入することによりパイロットホールの内部を改善し又はその他作用を及ぼして、ペディクルスクリューを受け入れるように更に準備する行為として定義される。「導入」とは、例えば、スクリュードライバー又は同様の素子でパイロットホールにペディクルスクリューをねじ込むことにより、最初に形成され及び/又は準備されたパイロットホールにペディクルスクリューを挿入し、又はその他、配する行為として定義される。
【0005】
多くの試みの中で、X線及び他の像形成システムが利用されているが、それらは、通常、極めて高価で、しかも、解像度に関してしばしば制約があり、ペディクルの裂け目を検出できないこともある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
更に別の試みは、骨の(特に、ペディクルの壁の)絶縁特性及び出て行く神経根それ自体の導電率を利用することも含む。即ち、ペディクルの壁が裂けた場合には、ペディクルスクリュー及び/又はパイロットホールに印加される刺激信号(スクリュー導入の前に)が、出て行く神経根に結合された種々の筋肉群を収縮させる。ペディクル壁が裂けない場合には、ペディクルの絶縁特性で、刺激信号が所与の神経根を刺激するのを防止し、その関連筋肉群に痙攣を生じないようにする。このような刺激を検出する能力を高めるために、慣習的なEMG監視システムを使用することができる。このような従来システムに伴う欠点は、ペディクルの完全性を動的に(即ち、切開手順か経皮手順かに関わらず、ペディクルスクリュー固定の形成、準備及び/又は導入段階中に)評価するのに適していないことである。特に、切開の場合には、ペディクルスクリュー固定の形成、準備及び/又は導入段階中に刺激信号が印加されるときに、ペディクルのターゲット場所又はその付近の流体(例えば、血液及び/又は間質性流体)が分路を引き起こし得るような同様の欠点が生じる。
【0007】
本発明は、このような必要性に向けられ、且つ上述した従来技術の欠点の影響を排除するか又は少なくとも減少することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本発明の1つの広い態様に基づき、ペディクルの完全性評価を実行する方法において、(a)パイロットホールの形成、パイロットホールの準備、及びペディクルスクリューの導入の少なくとも1つの間に刺激素子とペディクルホールの内部との間に電気的連通を確立するステップと、(b)前記刺激素子に刺激信号を印加するステップと、(c)前記刺激素子に刺激信号を印加する前記ステップの結果として前記ペディクル付近の神経を刺激するかどうか評価するために監視するステップと、を備えた方法を提供することにより、従来技術の欠点を克服する。
【0009】
本発明は、本発明の別の広い態様に基づきペディクルの完全性評価を実行するシステムにおいて、ペディクルターゲット場所でペディクルホールの形成、ホールの準備、及びペディクルスクリュー挿入の少なくとも1つに使用するための医療器具を備え、前記ペディクルターゲット場所が神経構造の一般的な位置であるようなシステムを提供することにより従来技術の欠点を克服する。前記神経構造に関連した筋肉からの電圧応答を検出するようにセンサが構成される。前記医療器具及びセンサには制御ユニットが結合され、この制御ユニットは、(a)前記医療器具に刺激信号を送信し、(b)前記センサから電圧応答を受信し、そして(c)前記医療器具素子に前記刺激信号を印加した結果として前記神経構造を刺激するかどうか決定するように構成される。
【0010】
本発明のシステム及び方法がないと、患者が解放され、そしてその後に、出て行く神経根と、置き違えたペディクルスクリューとの間に望ましからぬ接触が生じるために痛み及び/又は神経学的欠陥を経験し、これは、別の経費のかかる且つ痛みを伴う手術を必要とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を以下に説明する。明瞭化のため、ここでは、実際の具現化の全ての特徴を説明するのではない。もちろん、このような実施形態の開発において、開発者特有の目標、例えば、具現化ごとに変化し得るシステム関連制約及び企業関連制約との適合性を達成するために、多数の具現化特有の判断をしなければならないことが明らかである。更に、このような開発努力は複雑で且つ時間がかかるが、この開示の利益を得る当業者であれば、日常的に請け負い得るものであることも明らかであろう。ここに開示するシステムは、特許保護を個々に及び組み合せて保証する種々の発明特徴及び要素を誇りとする。
【0012】
本発明は、動的なペディクルの完全性評価の実行に向けられる。本発明は、その最も基本的な形態において、ペディクルスクリュー固定のホール形成、ホール準備及び/又はスクリュー導入ステップの間に刺激ソースとペディクルホール内部との間に電気的連通を確立することを含む。これらのステップ中に刺激信号(例えば、以下に述べる電流制御された信号)を印加し、そしてこの刺激から得られる神経筋肉応答を監視することにより、本発明のシステムは、ホール形成、ホール準備及び/又はスクリュー導入のステップ中に、ペディクルの完全性が駄目になったかどうか自動的に検出してユーザへ通信することができる。これを行う際に、本発明は、好都合にも、外科医が、ペディクルの裂け目又は潜在的な裂け目を直ちに察知してスクリューの配置を修正できるようにする。これは、患者が解放されて、その後に、出て行く神経根と置き違えたペディクルスクリューとの間の望ましからぬ接触による痛み及び/又は神経学的欠陥を経験するだけであるという問題を解消する。
【0013】
刺激ソース及び監視能力を有する特に例示するシステムの環境内で図示して説明するが、当業者であれば、刺激信号を与え、そしてペディクルの裂け目を評価するために監視する多数のシステムが、本発明の範囲から逸脱せずに使用できることが当業者に明らかであろう。
【0014】
図1乃至2は、本発明の広い態様により設けられた外科システム20を一例として示す。この外科システム20は、制御ユニット22と、患者モジュール24と、この患者モジュール24に結合されたEMGハーネス26及び戻り電極28と、ハンドルアッセンブリ36と組み合わされてアクセサリーケーブル32を経て患者モジュール24に結合できる多数のペディクルスクリューテストアクセサリー30とを備えている。ここに示す実施形態では、ペディクルスクリューテストアクセサリー30は、Kワイヤ絶縁体34と、ユニバーサル絶縁アッセンブリ38と、ユニバーサル電気的カプラー35とを備えている(一例に過ぎない)。以下に詳細に述べるように、Kワイヤ37及びタップ部材39は、本発明による例示的な刺激素子として、一例として示されている。Kワイヤ37は、Kワイヤ絶縁体34、ユニバーサル絶縁アッセンブリ38及び/又は電気的カプラー35の使用により(Kワイヤ37が経皮手順に使用される場合にある仕方で絶縁されていれば)、制御ユニット22及び/又は患者モジュール24に電気的に結合することができる(刺激信号を受け取るために)。タップ部材39は、ユニバーサル絶縁アッセンブリ38、電気的カプラー35の使用により(タップ部材39が経皮手順に使用される場合にある仕方で絶縁されていれば)、及び/又は(例えば)タップ部材39内に長手方向のカニューレを設けてその中に電気的結合のKワイヤ37を配置することでタップ部材39に刺激素子を接触させることにより、制御ユニット22及び/又は患者モジュール24に電気的に結合することができる(刺激信号を受け取るために)。
【0015】
制御ユニット22は、タッチスクリーンディスプレイ40及びベース42を備え、これらは、集合的に、外科システム20を制御するための本質的な処理能力を含む。患者モジュール24は、データケーブル44を経て制御ユニット22に接続され、このデータケーブルは、制御ユニット22と患者モジュール24との間に電気的接続及び連通を確立する(デジタル及び/又はアナログ)。制御ユニット22の主たる機能は、タッチスクリーンディスプレイ40を経てユーザコマンドを受け取り、刺激をアクチベートし、定められたアルゴリズム(以下に述べる)に基づいて信号データを処理し、受け取ったパラメータ及び処理されたデータを表示し、システム状態を監視し、そして欠陥状態を報告する。タッチスクリーンディスプレイ40には、ユーザに情報を通信しそしてユーザから命令を受け取ることのできるグラフィックユーザインターフェイス(GUI)が設けられるのが好ましい。ディスプレイ40及び/又はベース42は、患者モジュールインターフェイス回路を含むことができ、これは、刺激ソースにコマンドを発し、患者モジュール24からデジタル信号及び他の情報を受け取り、EMG応答を処理して、各筋肉群に対する特性情報を抽出し、そして処理されたデータを、ディスプレイ40を経てオペレータへ表示する。
【0016】
以下に詳細に述べるように、外科システム20は、動的な形態で、即ち、パイロットホールの形成及び/又は準備中に、及び/又はペディクルスクリューの配置中に、ペディクルの完全性評価を実行することができる。外科システム20は、制御ユニット22及び患者モジュール24を協働させて、種々のペディクルスクリューテストアクセサリー30上の1つ以上の刺激電極又は電極領域へ刺激信号を送信させることで、これを達成する。パイロットホールの形成、パイロットホールの準備、及び/又はペディクルスクリューの導入の影響(即ち、ペディクルを形成する骨に対する)に基づいて、刺激信号は、Kワイヤ37及び/又はタップ部材39に隣接する又は一般的にその付近の神経を刺激し、これは、次いで、EMGハーネス26を経て監視することができる。本発明のペディクルの完全性評価特徴は、外科システム20によりEMGハーネス26を経て監視される種々の筋肉の筋節の誘発反応の評価に基づく。
【0017】
アクセサリーハンドルアッセンブリ36は、患者モジュール24と(アクセサリーケーブル32を経て)電気的連通を確立するためのケーブル55を備えている。好ましい実施形態では、各ペディクルスクリューテストアクセサリー30(即ち、Kワイヤ絶縁体34、ユニバーサル絶縁アッセンブリ38及び電気的カプラー35)は、近位電気的コネクタ56と、遠位電気的コネクタ(以下に述べる)と、それらの間に延びる電気的ケーブル57とを含む。近位電気的コネクタ56は、ねじが切られ、そしてハンドルアッセンブリ36の遠位端59に係合するように設計される。このように、スクリューテストアクセサリー30は、アクセサリーハンドルアッセンブリ36に迅速且つ容易に(電気的及び機械的に)結合することができる。Kワイヤ絶縁体34及びユニバーサル絶縁アッセンブリ38の遠位電気的コネクタは、これを貫通する器具(例えば、Kワイヤ絶縁体34及び/又はユニバーサル絶縁アッセンブリ38を貫通するKワイヤ37、及びユニバーサル絶縁アッセンブリ38を通して延びるタップ部材39)と電気的連通を確立するための多数の適当なメカニズムを含むことができる。好ましい実施形態では、ユニバーサル絶縁アッセンブリ38内の遠位電気的コネクタは、本発明により異なる直径の器具を膨張させ、移動させ、さもなければ、受け入れることができる。カプラー35の遠位電気的コネクタは、カプラー35を形成するクランプアーム61の遠位(又はピンチ)端又はその周りに多数の適当な電極又は電極領域(突起を含む)を備えてもよい。それに対応する領域(電極又は電極領域−これはくぼみを含む)がKワイヤ37、タップ部材39に設けられてもよく、ここで、これら器具は、本発明により、ハンドルアッセンブリ36に直接結合される(即ち、Kワイヤ37及び/又はタップ部材39は、経皮手順の場合に遠位電気的コネクタを含まない絶縁素子を通して配置される)。
【0018】
全ての状況において、ユーザは、ハンドルアッセンブリ36の1つ以上のボタンを操作して、患者モジュール24からペディクルプローブ56へ刺激信号(好ましくは電流信号)を選択的に開始することができる。本発明によれば、この刺激信号は、Kワイヤ37及び/又はタップ部材39がパイロットホールの形成及び/又は準備中に内壁にタッチし、及び/又はKワイヤ37が導入中にペディクルスクリューにタッチする状態で印加される。これは、ペディクルの壁(1つ又は複数)の完全性をテストするように働く。即ち、ペディクルに裂け目があり又はその完全性が駄目になると、刺激信号がペディクルに通流して、その隣接神経根を刺激するのを許す。神経根に関連した筋節を(EMGハーネス26及び記録電極27を経て)監視し、そしてそれにより得られるEMG応答を(制御ユニット22を経て)評価することにより、外科システム20は、ホールの形成中、準備中及び/又はスクリューの導入中にペディクルの裂け目が生じたかどうか評価することができる。裂け目又は潜在的な裂け目が検出された場合には、ユーザは、置き違えたペディクルスクリューを引き抜いて、適正な配置を確保するように向きを直すだけでよい。
【0019】
図3は、本発明によるペディクルの完全性評価を実行する2つの例示的な仕方(一例として両方とも経皮的)を示し、その一方は、Kワイヤ絶縁体34を使用するもので、もう一方は、電気的カプラー35を使用するものである。図6を一緒に参照すれば、本発明によるKワイヤ絶縁体34は、テーパー付き遠位端63を有する細長い絶縁本体60と、開放した遠位端及び近位端と、それらの間に延びてKワイヤ37を受け入れて通過する寸法にされた内腔又はカニューレとを備えている。絶縁本体60の近位端に配置するためにキャップ素子64が設けられている。このキャップ素子64は、その中に、Kワイヤ37を通過する寸法とされた内腔を有し、そして電気的ケーブル57に結合された遠位電気的コネクタ(図示せず)を備えている。図3に示すように、Kワイヤ絶縁体34は、ペディクルターゲット場所への初めての接近を確立するか、又は以前に確立された経皮コリドー(これは、残されてもよいし、又は商業的に入手できる経皮ペディクルスクリュー配置システムにより形成されてもよい)に通すことにより経皮形態でペディクルターゲット場所へ進めることができる。このプロセスは、最初、いわゆるジャム・シード(Jam-Sheede)ニードル(内側の堅牢なニードル素子が外側の堅牢なニードル素子内に配置されたもので構成される)の使用によりパイロットホールを確立し、その後、内側の堅牢なニードル素子を除去して、Kワイヤ37をパイロットホールに導入できるようにすることにより、容易に行うことができる。次いで、ジャム・シード器具の外側の堅牢なニードル素子を除去して、Kワイヤ37をその位置に残すことができる。次いで、Kワイヤ絶縁体34をKワイヤ34の上に進めることができる。Kワイヤ絶縁体34の遠位端63がペディクルパイロットホールの開口に当接すると、ハンドル部材36のボタン64を使用して、Kワイヤ37に刺激信号を印加することができる。このように、Kワイヤ37の大部分が周囲組織から絶縁され、一方、Kワイヤ37の遠位端は、パイロットホールに直接接触するようにされて、本発明の一実施形態によるペディクルの完全性評価を実行することができる。明らかなように、この同じ技術を使用して、Kワイヤ37の刺激電極又は電極領域を、完全に挿入されたペディクルスクリュー(図示せず)の一部分に接触させることもできる。又、明らかなように、ジャム・シード器具の外側の堅牢なニードル素子それ自体を絶縁して、ジャム・シードニードルを通してKワイヤ37を配置し、そして本発明による評価を実行してもよい。
【0020】
又、図3は、電気的カプラー35を使用して、例えば、ペディクルホールの準備中にタップ部材39との間に電気的連通を確立するだけで、ペディクルの完全性評価を実行できることも示している。電気的カプラー35は、対向するクランプアーム61の電極又は電極領域をタップ部材39の近位端の一部分に係合することによりこれを実行する。これを容易に行うために、タップ部材39にくぼみ又は同様の特徴部を設けて、クランプアーム61の遠位領域の対応する特徴部に嵌合式に係合させることもできる。ここに示す実施形態では、タップ部材39の露出した遠位端及び近位端を除く全ての部分を絶縁するために絶縁カニューレ66が設けられる(例えば、図示された経皮解決策であるために)。Kワイヤ絶縁体34の本体60と同様に、絶縁カニューレ66には、テーパー付きの遠位端67を設けるのが好ましい。使用中、タップ部材39は、絶縁カニューレ66を通して前進され(例えば、内部カニューレを経てKワイヤ37上に通すことにより)、そしてパイロットホールの内部に沿ってスクリューを準備するように回転される。このようにパイロットホールを準備する間に、ハンドル部材36を使用して、刺激信号を電気的カプラー35に印加し、このカプラー35は、次いで、この刺激信号をパイロットホールの内部に送信して、本発明の別の実施形態によるペディクルの完全性評価を実行することができる。準備プロセス中にペディクルに裂け目ができなかった場合には、タップ部材39を除去し、そしてペディクルスクリューを、その準備されたパイロットホールに導入することができる。タップ部材39のタッピング部分(遠位部分)とほぼ同じ特性(即ち、ピッチ、スクリューの高さ、直径、長さ等)を有するペディクルスクリューを選択することにより、ペディクルスクリューの導入中に更に別のペディクルの完全性評価を実行する必要性を排除し又は最小限にすることができる。
【0021】
図4は、本発明によるペディクルの完全性評価を実行する更に2つの例示的な仕方(一例として両方とも経皮的)を示し、その一方は、ユニバーサル絶縁アッセンブリ38を使用するもので、もう一方は、電気的カプラー35を使用するものである。図7乃至11を組み合せて参照すると、ユニバーサル絶縁アッセンブリ38は、ハンドルアッセンブリ68と、このハンドルアッセンブリ68の遠位部分から延びる絶縁カニューレ70とを備えている。図7に最も良く示されたように、ハンドルアッセンブリ68は、ハウジング部材71と、電気ケーブル57に接続するための電気的コネクタポート72とを備えている。図8を参照すれば、ハウジング部材71は、例えば、複数のコンタクト素子74(この場合は、ポスト75間に延びるスプリング)を含むユニバーサル電気的カプリングメカニズム73を収容する。上部及び下部ベース部材77のほぼ中央には(それらの間に延びるように)、内腔76が設けられる(一例に過ぎない)。コンタクト素子74は、内腔76の中心と一般的に同じ平面内で交差するように横断式に位置される。このように、内腔76を通過する金属性又は導電性器具は、コンタクト素子74と接触状態にされ、これにより、器具に電気的信号を印加する能力が与えられる。更に、コンタクト素子74は、種々の直径を有する器具を移動させ、膨張させ、さもなければ、受け入れることができる。図9乃至11に最も良く示されたように、絶縁カニューレ70は、これに通す器具に基づいて多数の異なる長さ及び巾をもつものが設けられる。ねじ切りされたベース部材78を各絶縁カニューレ70に結合して、特定の絶縁カニューレ70を、ハウジング部材71の遠位領域における対応するねじ切りされた部分に容易に結合するのが好ましい。このように、外科医は、種々の絶縁カニューレ70間で、その用途(即ち、ペディクルターゲット場所までの深さ)及びそれに通すべき器具(即ち、図4に示すタップ部材39)に基づいて、素早く且つ容易に切り換えることができる。
【0022】
絶縁カニューレ70は、ハンドルアッセンブリ68に器具を通すときに器具の一部分を隔離するように働く。このように、絶縁カニューレ70は、図4に示すペディクルパイロットホールの開口のようなペディクルターゲット場所へ前進させることができる。図示されていないが、本発明は、絶縁カニューレ70の遠位端を、経皮的配置のペディクルスクリューの近位部分を越えて又はそれと一般的に当接するように前進させることも意図していることが容易に明らかであろう。いずれの場合にも、ホールを形成し、ホールを準備し及び/又はスクリューを導入するステップの間に、器具又は装置(例えば、状態に応じてKワイヤ37又はタップ部材39)をハンドル部材68に通すことができる。絶縁カニューレ70は、特定のターゲット場所及び外科用途に基づいて種々のサイズのものであるが、長さが0インチから24インチの範囲で且つ直径が当該器具を通すのに適したものを設けるのが好ましい。
【0023】
又、図4は、図3に示す実施形態の変形例を示すが、絶縁カニューレ66は、図3に示すタップ部材39のような直径の大きな器具ではなく、特にKワイヤを通すような寸法にされている。この例では、電気的カプラー35を使用して、Kワイヤ37とペディクルホールの内部との間に電気的連通を確立することができる。Kワイヤ37の遠位端がパイロットホールの内部とこのように電気的連通した状態で、ハンドルアッセンブリ36を使用して、刺激信号を印加し、本発明によるペディクルの完全性評価を実行することができる。パイロットホール内にKワイヤ37を配置し、そして絶縁カニューレ66を前進させることは、前記ジャム・シード器具を参照して上述したものと同じでよい。
【0024】
図5は、経皮手順(左側)及び切開手順(右側)の両方に使用される前記ユニバーサル電気的カプラー35(明瞭化のために35’で示す)の別の実施形態を示す。図12−13を簡単に参照すると、電気的カプラー35’は、ハウジング部材43内に配置されたコンタクトプランジャー41を備えている。このプランジャー41は、図13A−13Cに最も良く見られるように、一般的に円筒状であり、そして電気的コンタクト領域45をその遠位端に備えている。この電気的コンタクト領域45は、プランジャー41の近位端から延びる(ハウジング部材43の近位端のホールを通して)電気的ケーブル57に電気的に結合される。プランジャー41は、ハウジング部材43に対してスプリング負荷されて、閉位置(図13Aに最も良く見られる)へ通常バイアスされるのが好ましい。ハウジング部材43は、一般的に円筒状の本体47(プランジャー41の全部又は一部分をスライド式に受け入れる寸法にされた)と、遠位アーム49とを備えている。遠位アーム49は、一般的に弧状の内面51を含み、そして電気的コンタクト領域45は、一般的に弧状の面53を含む(両方とも図13Aに最も良く示されている)。
【0025】
カプラー35’を使用するために、ユーザは、電気的ケーブル57(これは強化されてもよく及び/又は必要に応じてストレインレリーフを設けてもよい)を引っ張るだけでプランジャー41を引っ込めて、アーム49の面51と電気的コンタクト領域45の面53との間の領域を開放する。プランジャー41がこの引っ込んだ状態にあると、多数の一般的に円筒状の器具(図13B−13Cに65で一般的に示す)をこの開放領域内に位置させることができる。その後、プランジャー41を解除し、スプリング負荷のもとで、プランジャー41の電気的コンタクト領域45を押して、器具65と当接(及び電気的連通)させる。器具65は、ペディクルスクリュー固定のホールの形成、ホールの準備及び/又はスクリュー導入プロセスに使用するための多数の適当な器具(一例として、図5に示すKワイヤ37及び/又はタップ39)を含むことが明らかであろう。
【0026】
図5に戻ると、本発明の電気的カプラー35’が、Kワイヤ37及び/又はタップ39のような特定の器具に結合されると、本発明により次のように使用することができる。経皮手順では、電気的カプラー35’を使用して、ペディクルホールの準備中にタップ部材39との間に電気的連通を確立する。図示された実施形態では、タップ部材39の露出された遠位端及び近位端を除く全ての部分を絶縁するために絶縁カニューレ66が設けられる(一例として示す経皮解決策であるために)。Kワイヤ絶縁体34の本体60と同様に、絶縁カニューレ66には、テーパー付けされた遠位端67が設けられるのが好ましい。使用中に、タップ部材39は、絶縁カニューレ66を通して前進され(例えば、内部カニューレを経てKワイヤ37上に通すことにより)、そしてパイロットホールの内部に沿ってスクリューを準備するように回転される。このようにパイロットホールを準備する間に、ハンドル部材36を使用して、刺激信号を電気的カプラー35’に印加し、このカプラー35’は、次いで、この刺激信号を準備中にパイロットホールの内部に送信して、本発明の別の実施形態によるペディクルの完全性評価を実行することができる。準備の進行につれてペディクルに裂け目がない場合には、タップ部材39を除去し、そしてペディクルスクリューを、その準備されたパイロットホールに導入することができる。タップ部材39のタッピング部分(遠位部分)とほぼ同じ特性(即ち、ピッチ、スクリューの高さ、直径、長さ等)を有するペディクルスクリューを選択することにより、ペディクルスクリューの導入中に更に別のペディクルの完全性評価を実行する必要性を排除し又は最小限にすることができる。
【0027】
切開手順(又は上述した経皮解決策に対して最小限侵襲的な手順)では、電気的カプラー35’を、本発明の更に別の態様に基づいて、絶縁シース110に使用することができる。図14乃至16を簡単に参照すれば、絶縁シース110は、細長いシース120と、成形された膨張可能なシールチップ130とを含み、これらは、集合的に、電気的医療器具(例えば、図5のKワイヤ37又は図14−16の錐180)を絶縁して、本発明のこの態様に基づき、望ましからぬ分路を回避する能力を与える。これを行うために、細長いシース120に形成された近位開口124と、シールチップ130に形成された遠位開口136との間に延びる連続的な内腔が設けられる。錐180を参照して一例として述べるように、使用中に、錐180のチップ186は、近位開口124へ入れられ、内腔を通して、シールチップ130の遠位開口136から出される。このように位置されると、錐180の全ての領域(遠位チップ186を除く)は、ホール形成ステップ中に、シャフト184がシース110の内腔内に配置されそしてハンドル182がシース110の外部に配置された状態で、流体(例えば、血液及び/又は間質性流体)から絶縁される。錐を参照して述べるが、本発明の絶縁シース110は、多数の異なる器具と共に使用でき、そしてホールの準備及び/又はスクリューの導入ステップ中にも使用できることが明らかであろう。
【0028】
細長いシース120は、体液から保護すると共に電流から絶縁する柔軟な層を与えることのできる材料で構成され得る。例えば、細長いシース120は、薄いポリウレタンフィルムで構成されてもよい。細長いシース120の別の実施形態は、種々の絶縁材料で構成することができ、これは、ゴム、プラスチック、弾性ポリマー、エラストマー、ポリエステル、ポリイミド、シリシコーン、フルオロポリマー及びテフロン(登録商標)を含むが、これらに限定されない。又、細長いシース120は、異なるサイズの医療器具、及びそれら器具を使用する本体のエリアを受け容れるために、柔軟で及び/又は圧縮性であるのが好ましい。細長いシース120は、少なくとも1つのフラットなポリウレタン(又は他の適当な材料)のシートをシーム溶接して種々の形状の包囲されたコリドーを作ることにより形成できる。このような場合に、細長いシース120は、コリドーの長さに沿って少なくとも1つのシームを含む。細長いシース120は、医療器具がシース110に完全に挿入されたときに(例えば、器具の遠位チップが遠位開口136から突出するときに)近位端122が束になり始めるに(その柔軟な特性のために)充分な長さであるのが好ましい。遠位開口136は、医療器具のシャフトに対して一般的に平らなままとなって、シース110内の流体の漏れを防止するシールを形成するに充分なほど弾力性があり、しかも、従順であるのが好ましい。
【0029】
上記で一般的に述べたシステム20は、本発明によるペディクルの完全性評価を実行するのに使用するための刺激ソース及び監視能力を備えたシステムの一例である。しかしながら、刺激信号を与えそしてペディクルの裂け目を評価するように監視を行う多数のシステムを、本発明の範囲から逸脱せずに使用できることが当業者に明らかであろう。従って、以下の説明は、本発明による図示された実施形態(図1−2のシステム20)に基づいてペディクルの完全性評価を実行するための神経生理学の背後にある特定のアルゴリズム及び原理について詳述する。
【0030】
図17及び18は、本発明の基本的な態様、即ち刺激信号(図17)及びそれにより誘発される応答(図18)を示す。例えば、刺激信号は、周波数及び振幅がシステムソフトウェアで調整された長方形の単相パルスを有する刺激電流信号(IStim)であるのが好ましい。更に別の好ましい実施形態では、刺激電流(IStim)を適当な形態(即ち、AC又はDC)で結合することができ、200マイクロ秒巾の長方形単相パルスで構成される。電流パルスの振幅は、固定でもよいが、例えば、2乃至100mAの適当な範囲の電流振幅からスイープするのが好ましい。各々の神経及び筋節に対し、刺激電流パルスからEMG応答までの特性遅延が存在する(典型的に、5から20ms)。これを考慮するために、電流パルスの周波数は、適当なレベル、好ましい実施形態では、4Hzから10Hz(そして最も好ましくは4.5Hz)にセットされ、これは、消極から回復する機会をもつ前に神経を刺激するのを防止する。図18に示すEMG応答は、Vpp=Vmax−Vminのピーク−ピーク電圧により特徴付けることができる。
【0031】
図19は、上述したように固定の最大刺激周波数(例えば、4.5Hz)を単に選択するのではなく、最大刺激周波数を、望ましいものにセットする別の仕方を示す。この実施形態によれば、刺激パルスの最大周波数が自動的に調整される。各刺激の後に、Fmaxが次のように計算される。即ち、各々のアクティブなEMGチャンネルからのT2の最大値に対して、Fmax=1/(T2+TSafety Margin)。一実施形態では、安全余裕(Safety Margin)は5msであるが、多数の適当な時間巾に基づいてこれを変更できることが意図される。指定数の刺激の前に、刺激は、ブラケッティング(bracketing)状態の間には100−120msのインターバルで、二分化(bisection)状態の間には200−240msのインターバルで、そして監視状態の間には400−480msのインターバルで実行される。指定数の刺激の後に、刺激は、ブラケッティング状態の間には実際上最も速いインターバル(しかし、Fmax以下)で、二分化状態の間には実際上最も速いインターバル(しかし、Fmax/2以下)で、そして監視状態の間には実際上最も速いインターバル(しかし、Fmax/4以下)で実行される。Fmaxが計算されるまで使用される最大周波数は、10Hzであるのが好ましいが、ある取得アルゴリズムの間には、より低速の刺激周波数を使用してもよい。使用するFmaxは、それが依然適切であることを保証するために周期的に更新される。生理学的な理由で、刺激の最大周波数は、患者ごとにセットされる。全ての筋節から読みが得られ、そして最も低速の周波数(最も高いT2)をもつものが記録される。
【0032】
本発明に使用される神経生理学の背後にある基本的根拠は、各神経が、それが消極するところの特性スレッシュホールド電流レベル(IThresh)を有することである。このスレッシュホールドより低いと、電流刺激は、著しいEMG応答(Vpp)を誘発しない。刺激スレッシュホールド(IThresh)に達すると、誘発される応答が再生可能となり、飽和に達するまで刺激の増加と共に増加する。刺激電流とEMG応答との間のこの関係は、図20に示すように、いわゆる「補充(recruitment)曲線」によりグラフ表示することができ、これは、開始領域、直線領域、及び飽和領域を含む。一例として、本発明は、著しいEMG応答が約100μVのVppを有するように定義する。好ましい実施形態では、このスレッシュホールド電圧(VThresh)を誘発する最低の刺激電流を、IThreshと称する。以下に詳細に述べるように、電流スレッシュホールド(IThresh)の変化は、刺激電極と神経との間の電気的連通の程度の変化を表わすことができる。これは、スクリュー又は同様の器具がペディクルの皮質に偶発的に裂け目を生じたかどうか評価する上で助けとなる。より詳細には、例えば、形成及び/又は準備中にホールの内部に刺激電流を印加することによる(IThresh)の初期の決定が、例えば、挿入中にペディクルスクリューに刺激電流を印加することによる(IThresh)のその後の決定より大きい場合には、IThreshの減少は、それが充分大きい場合に、ペディクルスクリューと神経との間の電気的連通を指示することができる。骨の絶縁特性に基づいて、このような電気的連通は、ペディクルの裂け目を指示する。
【0033】
この有用な情報を得るために、本発明は、最初に、所与の刺激電流(IStim)に対応する各EMG応答のピーク−ピーク電圧(Vpp)を識別しなければならない。しかしながら、既存の刺激及び/又はノイズアーティファクトがあいまって、電気的に誘発されるEMG応答の誤ったVpp測定を生じ得る。この問題を克服するために、本発明の外科システム20は、図21に示す慣習的な刺激アーティファクト拒絶技術を含む多数の適当なアーティファクト拒絶技術を使用することができる。この技術のもとでは、EMG波形の開始に単純なアーティファクト拒絶窓T1WINを設けることにより刺激アーティファクト拒絶が行われる。このT1窓の間に、EMG波形が無視され、Vppは、この窓以外の最大及び最小値に基づいて計算される。(T1は、第1の極端値(最小又は最大)の時間であり、そしてT2は、第2の極端値の時間である。)一実施形態では、アーティファクト拒絶窓T1WINは、約7.3ミリ秒にセットすることができる。これは、一般的に適当であるが、図21のこの刺激アーティファクト拒絶技術が最適でない状況もあり、例えば、大きな刺激アーティファクトが存在することもある(図22を参照)。大きな刺激アーティファクトの存在は、刺激アーティファクトが窓T1WINをクロスオーバーしてEMGと混合するようにさせる。刺激アーティファクト窓を大きくすることは有効ではない。というのは、EMGと刺激アーティファクトとの間に明確な分離がないからである。
【0034】
図23は、慣習的な刺激アーティファクト拒絶に伴う前記問題を解決する本発明による刺激アーティファクト拒絶技術を示す。この技術のもとで、T1窓(T1WIN)の直後にT1確認窓(T1−VWIN)が定義される。決定されたVppが補充のためのスレッシュホールドを越えるが、T1がこのT1確認窓内に入る場合には、刺激アーティファクトが実質的にあると考えられ、そしてEMGは補充していないと考えられる。オペレータは、刺激アーティファクトの実質的な性質に基づいて警告され得る。従って、この刺激アーティファクト拒絶方法は、刺激アーティファクトが充分に大きくてVppが補充スレッシュホールドを越えるようにさせる状態を識別することができる。ノイズを考慮するために、T1確認窓(T1−VWIN)は、巾が0.1msから1ms(好ましくは約0.5ms)の範囲内になければならない。又、T1確認窓(T1−VWIN)は、実際のEMG波形からのT1がその中に入るほど大きくてはならない。
【0035】
図24は、本発明によるノイズアーティファクト拒絶技術を示す。EMG応答が予想される時間窓内にノイズアーティファクトが入るときには、それらの存在を識別することが困難となる。しかしながら、予想される応答窓の外側のアーティファクトは、識別するのが比較的容易である。本発明は、これを利用し、図23を参照して上述したT1確認窓(T1−VWIN)と同様のT2確認窓(T2−VWIN)を定義する。図示されたように、T2は、ある定義された限界の前に生じなければならず、この限界は、本発明の一実施形態では、40msから50msの範囲(好ましくは約47ms)をもつようにセットされる。EMG応答のVppが補充のスレッシュホールドを越えるが、T2がT2確認窓(T2−VWIN)に入らない場合には、ノイズアーティファクトが実質的にあると考えられ、そしてEMGは補充していないと考えられる。オペレータは、ノイズアーティファクトの実質的な性質に基づいて警告され得る。
【0036】
図25は、本発明の別の実施形態により刺激アーティファクト拒絶を実行する更に別の仕方を示す。このアーティファクト拒絶は、刺激電流パルスからEMG応答までの特性遅延を前提としている。各刺激電流パルスに対して、電流パルスから第1極端値(最小又は最大)までの時間は、T1であり、そして第2極端値(最小又は最大)までの時間は、T2である。以下に述べるように、T1、T2の値は、各々、ヒストグラム周期へとコンパイルされる(図26を参照)。T1、T2の新たな値が各刺激に対して取得され、そしてヒストグラムが連続的に更新される。使用するT1及びT2の値は、ヒストグラム内の最大ビンの中心値である。T1、T2の値は、ヒストグラムが変化するにつれて連続的に更新される。最初に、全EMG応答を含む窓を使用してVppが取得される。20個のサンプルの後に、T1、T2の窓の使用が、200個のサンプルの周期にわたって整相される。次いで、例えば、5ミリ秒の巾でT1、T2を中心とする窓の間にのみVmax及びVminが取得される。Vppを取得するこの方法は、T1又はT2がそれらの各窓に入らない場合にアーティファクトを自動的に拒絶する。
【0037】
各VppEMG応答を測定すると(上述した刺激及び/又はノイズアーティファクト拒絶技術により容易にされて)、このVpp情報を刺激電流に対して分析して、神経と、刺激電流を伝送する所与の刺激素子との間の関係を決定する。より詳細には、本発明は、所定のVppEMG応答を生じることのできる最小刺激電流(IThresh)を識別することによりこれらの関係(神経と刺激素子との間の)を決定する。本発明によれば、IThreshの決定は、種々の適当なアルゴリズム又は技術により達成できる。
【0038】
図27A−27Eは、所与の刺激電流(IStim)により刺激される各神経に対してスレッシュホールド電流(IThresh)を迅速に見つけるためのスレッシュホールドハンチングアルゴリズムを一例として示す。スレッシュホールド電流(IThresh)は、ここでも、既知のスレッシュホールド電圧(VThresh)より大きいVppを生じる最小刺激電流(IStim)である。その値は、次のブラケッティング方法により調整される。第1のブラケットは、0.2mA及び0.3mAである。これらの両刺激電流に対応するVppがVThreshより低い場合には、ブラケットのサイズが0.2mA及び0.4mAへと増倍される。ブラケットサイズのこの増倍は、ブラケットの上端が、VThreshより高いVppを生じるまで続けられる。次いで、ブラケットのサイズが二分化方法により減少される。ブラケットの中点における電流刺激値が使用され、そしてこれが、VThreshより高いVppを生じる場合には、下半分が新たなブラケットとなる。同様に、中点VppがVThreshより低い場合には、上半分が新たなブラケットとなる。この二分化方法は、ブラケットサイズがIThreshmAに減少されるまで使用される。IThreshは、ブラケット内に入る値として選択されるが、ブラケットの中点として定義されるのが好ましい。
【0039】
この実施形態のスレッシュホールドハンチングアルゴリズムは、ブラケッティング、二分化及び監視の3つの状態をサポートする。刺激電流ブラケットとは、刺激電流スレッシュホールドIThreshをブラケットでくくる刺激電流の範囲である。ブラケットの巾は、上部境界値から下部境界値を引いたものである。チャンネルの刺激電流スレッシュホールドIThreshが最大刺激電流を越える場合には、そのスレッシュホールドは、範囲から外れていると考えられる。ブラケッティング状態の間に、スレッシュホールドハンチングは、以下の方法を使用して、刺激電流を選択すると共に、その範囲の各EMGチャンネルに対して刺激電流ブラケットを識別する。
【0040】
最小刺激電流を見出す方法は、ブラケッティング及び二分化の方法を使用する。充分な応答を誘発しない刺激電流に対して値−1を有する関数について「根(root)」が識別され、この関数は、応答を誘発する刺激電流に対して値+1を有する。根は、刺激電流が増加するにつれてこの関数が−1から+1へジャンプするときに発生し、この関数は、正確にゼロの値を決してもたない。根は、正確には分からず、最小ブラケット巾に関連した精度レベルでしか分からない。根は、根を含まねばならない範囲を識別することにより分かる。この範囲の上限は、関数が値+1に復帰するところの最低の刺激電流IThresh、即ち応答を誘発する最小刺激電流である。この範囲の下限は、関数が値−1に復帰するところの最高の刺激電流IThresh、即ち応答を誘発しない最大刺激電流である。
【0041】
ペディクルの完全性評価機能は、根がブラケットでくくられるまで刺激電流を調整することにより開始できる(図27B)。最初のブラケッティングの範囲は、多数の適当な範囲で与えられてもよい。一実施形態では、最初のブラケッティング範囲は、0.2から0.3mAである。高い刺激電流が応答を誘発しない場合には、範囲の上端を増加しなければならない。範囲の倍率係数は、2である。刺激電流は、1回の繰り返しで10mA以上増加しないのが好ましい。刺激電流は、プログラムされた最大刺激電流を越えないのが好ましい。各刺激に対して、アルゴリズムは、各アクティブなチャンネルの応答を検査して、そのブラケット内に入るかどうか決定する。各チャンネルの刺激電流スレッシュホールドがブラケットでくくられると、アルゴリズムは、二分化状態へと移行する。
【0042】
二分化状態の間に(図27C及び27D)、スレッシュホールドハンチングは、以下に述べる方法を使用して、範囲内スレッシュホールドをもつ各EMGチャンネルに対して刺激電流を選択すると共にブラケットを選択された巾(例えば、0.1mA)に狭める。最小刺激電流がブラケットでくくられた後(図27B)、根を含む範囲は、指定の精度で根が分かるまで改善される。二分化方法は、根を含む範囲を改善するのに使用される。一実施形態では、根は、0.1mAの精度で見出されねばならない。二分化方法の間には、ブラケットの中点における刺激電流が使用される。刺激が応答を誘発する場合には、ブラケットが以前の範囲の下半分へ収縮する。刺激が応答を誘発しない場合には、ブラケットが以前の範囲の上半分へ収縮する。応答スレッシュホールドが、選択された巾(即ち0.1mA)だけ分離された刺激電流によりブラケットでくくられるときには、近接アルゴリズムが電極位置にロックされる。全てのスレッシュホールドが正確に分かるまでアクティブなチャンネルの各々に対してプロセスが繰り返される。そのときに、アルゴリズムが監視状態に入る。
【0043】
スレッシュホールド電流IThreshを識別した後に、この情報を使用して、スクリューテストアクセサリーと神経との間の種々の関係のいずれかを決定することができる。例えば、以下に詳細に述べるように、ペディクルの完全性評価の間に神経の電流スレッシュホールドIThreshを決定するときに、ペディクルテストアッセンブリ36と神経との間の関係は、それらの間に電気的連通が確立されるかどうかである。電気的連通が確立される場合には、これは、パイロットホールの形成、パイロットホールの準備及び/又はスクリューの導入の結果として、ペディクルの内壁が割れ、ストレスを受け、さもなければ、裂けたことを指示する。そうでない場合には、これは、ペディクルの内壁の完全性がそのまま保たれることを指示する。この特性は、骨の絶縁特性に基づく。
【0044】
本発明の顕著な態様において、電流スレッシュホールド決定に基づいて上記で決定された関係は、使い易いフォーマットでユーザに通信することができ、このフォーマットは、ペディクルの完全性評価、刺激レベル、EMG応答、使用器具、ユーザのための設定及び関連インストラクション、に関するアルファニューメリック及び/又はグラフィック情報を含むが、これらに限定されない。これは、好都合にも、慣習的なEMGシステムにおいてユーザに表示される実際のEMG波形ではなく、簡単でしかも意味のあるデータをユーザに提示する能力を与える。EMG波形の解釈は複雑であるために、このような従来システムは、通常、特別に訓練された付加的な要員を必要とし、これは、余計な経費に換算される(更に別の高度に訓練された要員を付き添わせる)と共に、ほとんどの病院がこのような要員を雇っていないのでしばしばスケジューリングの問題を提起するという点で不利である。
【0045】
例えば、腰部脊髄手順に使用するときには、このようなEMG監視は、特定の脊髄手術レベルに関連した出て行く神経根に対応する患者の脚の筋節にEMGハーネス26を接続することにより行われるのが好ましい。(これは、頚部脊髄手順の間にも、本発明のシステムを使用して患者の腕の筋節を監視することにより、同様に行うことができる。)好ましい実施形態では、これは、脚の主要筋肉群の上で皮膚に配置された8対のEMG電極27(片側に4つづつ)と、刺激電流の戻り路を形成するアノード電極29と、患者モジュール24の前置増幅器への接地基準を与える共通電極31とを経て行われる。図示されていないが、種々の電極のいずれを使用することもでき、これは、ニードル電極を含むが、これに限定されないことが明らかであろう。EMGハーネス26を経て測定されたEMG応答は、電気的刺激により生じる神経消極の量的尺度を与える。例えば、EMG電極27の配置は、脊髄手術に対して以下のテーブル1に示す仕方で行うことができる。
【0046】
テーブル1

【0047】
再び図1乃至2を参照すれば、外科システム20は、例えば、ハンドルアッセンブリ36と組み合せてペディクルテストアクセサリー30を使用することにより、ペディクルの完全性評価を実行する。より詳細には、スクリューテストハンドル36のボタンを押すと、ソフトウェアがテストアルゴリズムを実行して、刺激電流を特定のターゲット(即ち、パイロットホール形成器具、及び/又は準備器具、及び/又はペディクルスクリュー導入器具)へ印加し、本発明のペディクルの完全性評価機能を開始する。本発明のペディクルの完全性評価特徴は、例えば、所与の筋節に対して測定された実際の刺激スレッシュホールド91を表示するための「実際」モード(図29−30)と、裸の神経根の基線刺激スレッシュホールド評価93と、所与の筋節に対する実際の刺激スレッシュホールド評価91との間の差92を表示するための「相対的」モード(図31−32)とを含むことができる。いずれの場合も、外科アクセサリーラベル84は、ワード「SCREW TEST(スクリューテスト)」を表示し、ペディクルの完全性評価を実行するためにペディクルテストアッセンブリ36を使用することを示す。本発明によるスクリューテストアルゴリズムは、応答する全てのEMGチャンネルに対して消極(スレッシュホールド)電流を決定するのが好ましい。一実施形態では、EMGチャンネルタブ82は、最も低い刺激スレッシュホールドを有するEMGチャンネルが、このことをユーザに明確に指示するために、自動的に拡大され、及び/又はハイライトされ、及び/又はカラー処理される(図29に示すEMGチャンネルタブR3)ように、構成することができる。図25に示すように、この特徴は、タッチスクリーンディスプレイ40の特定のEMGチャンネルタブ82にタッチすることにより別のEMGチャンネルタブ(例えば、図30のEMGチャンネルタブR1)を手動選択することでオーバーライドすることができる。この場合、最低の刺激スレッシュホールドを有するEMGチャンネルタブ(ここでも、図29のEMGチャンネルタブR3)の次に警報記号94を設けて、刺激スレッシュホールド91が最低の刺激スレッシュホールドでないことをユーザに通知することができる。
【0048】
多数の前記表示(例えば、基線刺激93、実際の刺激91、差92、及びEMGチャンネルタブ82)は、一般的な安全範囲を示すためにカラーコード化されてもよい(即ち、所定の安全値より上の刺激スレッシュホールドの範囲については「緑」、所定の非安全値より低い刺激スレッシュホールドの範囲については「赤」、及び所定の安全値と非安全値との間の刺激スレッシュホールドの範囲については、注意を示す「黄」)。一実施形態では、「緑」は、9ミリアンペア(mA)以上の刺激スレッシュホールド範囲を示し、「黄」は、6−8mAの刺激スレッシュホールド範囲を示し、そして「赤」は、6mA以下の刺激スレッシュホールド範囲を示す。この情報をグラフで与えることにより、外科医は、ペディクルスクリューホールの形成及び/又は準備、及び/又はペディクルスクリューの導入のための結果としてペディクルの完全性が裂け目又は他の仕方で駄目になったかどうか決定するように素早く且つ容易にテストすることができる。より詳細には、スクリューホール(形成中及び/又は準備中)及び/又はペディクルスクリュー自体(導入中)を刺激した後に、刺激スレッシュホールドが、(a)6mA以下である場合には、スレッシュホールドディスプレイ40が「赤」を示し、ひいては、裂け目がおそらくあることを外科医に指示し、(b)6乃至8mAである場合には、スレッシュホールドディスプレイ40が「黄」を示し、ひいては、裂け目があるかもしれないことを外科医に指示し、及び/又は(c)約8mA以上である場合には、スレッシュホールドディスプレイ40が「緑」を示し、ひいては、裂け目がおそらくないことを外科医に指示する。裂け目があるかもしれない又はおそらくある場合には(即ち、「黄」又は「赤」)、外科医は、ペディクルスクリューを引き抜きそして異なる軌道に沿って向け直すよう選択して、ペディクルスクリューがペディクルの内壁をもはや裂かない(又は裂くほど接近しない)よう保証することができる。
【0049】
本発明は、本発明の目的を達成するための最良の態様について説明したが、当業者であれば、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに、これらの教示に鑑み、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。例えば、本発明は、コンピュータプログラミングソフトウェア、ファームウェア又はハードウェアの組み合せを使用して実施されてもよい。本発明を実施し又は本発明による装置を構成する準備ステップとして、本発明によるコンピュータプログラミングコード(ソフトウェアであるかファームウェアであるかに関わらず)は、通常、1つ以上のマシン読み取り可能な記憶媒体、例えば、固定(ハード)ドライブ、ディスケット、光学的ディスク、磁気テープ、半導体メモリ、例えば、ROM、PROM等に記憶され、これにより、本発明による製造物品が形成される。コンピュータプログラミングコードを含むこの製造物品は、記憶装置から直接コードを実行するか、記憶装置から別の記憶装置、例えば、ハードディスク、RAM等へコードをコピーするか、或いはリモート実行のためにネットワークにコードを送信することにより使用される。又、当業者により明らかなように、前記の多数の異なる組み合せを使用することができ、従って、本発明は、特許請求の範囲のみによって限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による動的なペディクルの完全性評価を実行できる外科システム20を例示する斜視図である。
【図2】図1に示す外科システム20のブロック図である。
【図3】本発明によりペディクルの完全性を評価するための第1及び第2システムの使用を例示する側面図である。
【図4】本発明によりペディクルの完全性を評価するための第3及び第4システムの使用を例示する側面図である。
【図5】本発明によりペディクルの完全性を評価するための第5及び第6システムの使用を例示する側面図である。
【図6】本発明によりペディクルの完全性を評価するための図3に示す第1システムであって、ハンドルアッセンブリに電気的に結合されたKワイヤ絶縁体を備えたシステムの斜視図である。
【図7】本発明によりペディクルの完全性を評価するための図4に示す第3システムであって、本発明により絶縁カニューレに結合されたハンドルアッセンブリを含むユニバーサル絶縁アッセンブリを備えたシステムの斜視図である。
【図8】図7に示すハンドルアッセンブリ内に配置できる電気的結合メカニズムを示す斜視図である。
【図9】本発明により図7のハンドルアッセンブリに使用するための異なるサイズ及び寸法のカニューレを示す斜視図である。
【図10】本発明により図7のハンドルアッセンブリに使用するための異なるサイズ及び寸法のカニューレを示す斜視図である。
【図11】本発明により図7のハンドルアッセンブリに使用するための異なるサイズ及び寸法のカニューレを示す斜視図である。
【図12】本発明によりペディクルの完全性を評価するための図5に示す第5システムであって、スプリング負荷の接触プランジャーと、該接触プランジャーをハンドルアッセンブリに電気的に接続する電気ケーブルとを有するユニバーサル結合アッセンブリを備えたシステムの斜視図である。
【図13A】図5のユニバーサル結合アッセンブリの上面図で、ユニバーサル結合アッセンブリそれ自身を示す図である。
【図13B】図5のユニバーサル結合アッセンブリの側面図で、例示的なツールに結合されたユニバーサル結合アッセンブリを示す図である。
【図13C】図5のユニバーサル結合アッセンブリの側面図で、例示的なツールに結合されたユニバーサル結合アッセンブリを示す図である。
【図14】本発明によりペディクルの完全性を評価するための図5に示す第6システムであって、電気的刺激を与える器具とその周囲の組織及び/又は流体との間の電流分路を防止するために切開手順に使用される大きさにされた絶縁シースを備えたシステムの側面図である。
【図15】本発明によりペディクルの完全性を評価するための図5に示す第6システムであって、電気的刺激を与える器具とその周囲の組織及び/又は流体との間の電流分路を防止するために切開手順に使用される大きさにされた絶縁シースを備えたシステムの側面図である。
【図16】本発明によりペディクルの完全性を評価するための図5に示す第6システムであって、電気的刺激を与える器具とその周囲の組織及び/又は流体との間の電流分路を防止するために切開手順に使用される大きさにされた絶縁シースを備えたシステムの側面図である。
【図17】図18に示す形式の神経筋肉応答(EMG)を発生することのできる刺激電流パルスを示すグラフである。
【図18】所与の筋節に結合された神経束に印加される電流刺激パルス(図17に示すような)に基づいて時間と共に生じる所与の筋節の神経筋肉応答(EMG)をプロットしたグラフである。
【図19】本発明の一実施形態により刺激電流パルスの最大周波数(FMAX)を自動的に決定する方法を示す図(グラフ及び概略図)である。
【図20】本発明により刺激電流パルスを形成する各所与の刺激電流レベル(IStim)に対するEMG応答のピーク対ピーク電圧(Vpp)をプロットしたグラフである(「補充(recruitment)曲線」としても知られている)。
【図21】本発明により各ピーク対ピーク電圧(Vpp)EMG応答を得るのに使用できる慣習的な刺激アーティファクト拒絶技術を示すグラフである。
【図22】大きなアーティファクトの拒絶でEMG応答が駄目になるような図21の慣習的な刺激アーティファクト拒絶技術を示すグラフである。
【図23】本発明による改良された刺激アーティファクト拒絶技術を示すグラフである。
【図24】本発明による改良されたノイズアーティファクト拒絶技術を示すグラフである。
【図25】時間と共に(刺激電流パルスに応答して)神経筋肉応答(EMG)をプロットしたグラフで、時間T1及びT2に電圧極端値(VMAX又はMin)、(VMin又はMax)が各々生じるところを示すグラフである。
【図26】本発明の別の実施形態によりT1、T2アーティファクト拒絶技術の一部分として使用できるヒストグラムを示すグラフである。
【図27A】本発明の一実施形態により電流スレッシュホールドハンチングアルゴリズムを示すグラフである。
【図27B】本発明の一実施形態により電流スレッシュホールドハンチングアルゴリズムを示すグラフである。
【図27C】本発明の一実施形態により電流スレッシュホールドハンチングアルゴリズムを示すグラフである。
【図27D】本発明の一実施形態により電流スレッシュホールドハンチングアルゴリズムを示すグラフである。
【図27E】本発明の一実施形態により電流スレッシュホールドハンチングアルゴリズムを示すグラフである。
【図28】本発明の一実施形態により多チャンネル電流スレッシュホールドハンチングアルゴリズムを示す一連のグラフである。
【図29】本発明のペディクルの完全性評価特徴の一実施形態を示すスクリーン表示である。
【図30】本発明のペディクルの完全性評価特徴の一実施形態を示すスクリーン表示である。
【図31】本発明のペディクルの完全性評価特徴の別の実施形態を示すスクリーン表示である。
【図32】本発明のペディクルの完全性評価特徴の別の実施形態を示すスクリーン表示である。
【図33】本発明のペディクルの完全性評価特徴の別の実施形態を示すスクリーン表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペディクルの完全性評価を実行する方法において、
(a)パイロットホールの形成、パイロットホールの準備、及びペディクルスクリューの導入の少なくとも1つの間に刺激素子とペディクルホールの内部との間に電気的連通を確立するステップと、
(b)前記刺激素子に刺激信号を印加するステップと、
(c)前記刺激素子に刺激信号を印加する前記ステップの結果として前記ペディクル付近の神経が刺激されるかどうか評価するために監視するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記刺激素子を通す絶縁部材を設けるステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記刺激素子とペディクルホールの前記内部との間に電気的連通を確立する前記ステップ(a)は、(i)前記絶縁部材を通してKワイヤを配置して、前記Kワイヤがペディクルスクリューに前記ペディクルホールへの導入中に接触するようにし、(ii)前記絶縁部材を通して前記Kワイヤを配置して、前記Kワイヤが前記ペディクルホールの前記内部にホール形成中に接触するようにし、(iii)前記絶縁部材を通してタップ部材を配置して、前記タップ部材が前記ペディクルホールにホール準備中に接触するようにし、そして(iv)前記絶縁部材を通してペディクルスクリューを配置して、前記ペディクルスクリューが前記ペディクルホールにスクリュー導入中に接触するようにする、の少なくとも1つにより行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(a)は、前記刺激ソースと前記刺激素子との間に電気的接触を確立するための電気的結合メカニズムを設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電気的結合メカニズムは、前記刺激ソースに電気的に結合された電気的接触面を有するプランジャーを備えた、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記刺激素子に前記刺激信号を印加した結果として前記ペディクル付近の神経が刺激されるかどうかに関してアルファニューメリック及びグラフィック情報の少なくとも1つをユーザに表示するステップ(d)を更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、経皮手順、切開医療手順、及び最小侵襲的医療手順の少なくとも1つで実行できる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ペディクルの完全性評価を実行するシステムにおいて、
ペディクルターゲット場所でペディクルホールの形成、ホールの準備、及びペディクルスクリュー挿入の少なくとも1つに使用するための医療器具であって、前記ペディクルターゲット場所が神経構造の一般的な位置であるような医療器具と、
前記神経構造に関連した筋肉からの電圧応答を検出するように構成されたセンサと、
前記医療器具及び前記センサに結合された制御ユニットであって、(a)前記医療器具に刺激信号を送信し、(b)前記センサから電圧応答を受信し、そして(c)前記医療器具素子に前記刺激信号を印加した結果として前記神経構造を刺激するかどうか決定するように構成された制御ユニットと、
を備えたシステム。
【請求項9】
前記医療器具を通す絶縁部材を更に備えた、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記医療器具は、(i)前記絶縁部材を通して配置されたKワイヤであって、ペディクルスクリューに前記ペディクルホールへの導入中に接触するようなKワイヤ、(ii)前記絶縁部材を通して配置されたKワイヤであって、前記ペディクルホールの前記内部にホール形成中に接触するようなKワイヤ、(iii)前記絶縁部材を通して配置されたタップ部材であって、前記ペディクルホールにホール準備中に接触するようなタップ部材、及び(iv)前記絶縁部材を通して配置されたペディクルスクリューであって、前記ペディクルホールにスクリュー導入中に接触するようなペディクルスクリュー、の少なくとも1つである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記刺激ソースと前記刺激素子との間に電気的接触を確立するための電気的結合メカニズムを更に備えた、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記電気的結合メカニズムは、前記刺激ソースに電気的に結合された電気的接触面を有するプランジャーを備えた、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記刺激素子に前記刺激信号を印加した結果として前記ペディクル付近の神経が刺激されるかどうかに関してアルファニューメリック及びグラフィック情報の少なくとも1つをユーザに表示するためのディスプレイを更に備えた、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、経皮手順、切開医療手順、及び最小侵襲的医療手順の少なくとも1つに使用できる、請求項8に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17−18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A−C】
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【図27A】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2007−501077(P2007−501077A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522771(P2006−522771)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/025550
【国際公開番号】WO2005/013805
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(506042058)ヌヴァシヴ インコーポレイテッド (7)