説明

勤怠管理システム

【課題】低コストで導入及び運用が可能な勤怠管理システムを提供する。
【解決手段】勤務場所に設けられ、位置情報36と、現在時刻情報37と、URL情報35とを含む二次元コード70を表示する契約切れの携帯電話30と、労働者が所持し、携帯電話30の二次元コードを読み取る携帯電話60と、携帯電話60で読み取った二次元コードに含まれるURL情報35に基づいて、携帯電話60からインターネット経由でアクセス可能なサーバコンピュータ50とを備え、サーバコンピュータ50は、携帯電話60から送信される情報に基づいて労働者の勤務場所と、現在時刻情報に基づく出社時刻又は退社時刻とを労働者ごとに記憶させるように制御する打刻制御部78が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、労働現場における労働者、作業者の勤怠管理を実行するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、派遣社員が派遣先に出向いて派遣先で仕事をする場合において、派遣元である人材派遣会社では派遣社員の勤怠管理をどのように行うか種々の問題がある。
【0003】
例えば、高齢者等の要介護者の介護サービスを実施する介護サービス会社においては、派遣スタッフを介護対象者の自宅に直接訪問させているが、派遣スタッフが何時に介護対象者の自宅に到着し、何時に介護対象者の自宅を出たかは、本人、介護対象者本人または介護対象者の家族にしかわからないものである。
このように、管理者や管理システムが存在しない現場へ労働者が出向く場合には、勤怠管理は労働者の自己申告に頼らざるをえなかった。しかし、このような勤怠管理では、労働者の不正申告が可能であるため、労働者による不正申告や労働データの改ざんが行われないようなシステムが望まれていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、以下のような勤怠管理システムが開示されている。
まず、派遣先である介護対象者の自宅に就業先特定用のICカードを配布しておく。派遣スタッフには、携帯電話を所持させておき、この携帯電話で、派遣先のICカードを読み取らせる。ICカードには、派遣先コード、派遣名称、派遣先位置情報などのデータが記憶されており、派遣スタッフの所持する携帯電話には、このような派遣先に関するデータが読み込まれる。ICカードを読み取った時刻が、打刻データとして、携帯電話内で作成・記憶される。また、時刻についてはタイムスタンプ発行機関により時刻認証を行い、データの改ざんがないようにしている。
【0005】
派遣スタッフは、携帯電話を操作してGPS衛星からの位置データを受信する。そして、派遣スタッフは、携帯電話から位置データと打刻データとをデータセンターへ送信する。データセンターは、インターネット等の通信回線によって携帯電話と接続されている。
【0006】
なお、特許文献2には、携帯電話を用いた別の勤怠管理システムが開示されている。
このシステムにおいては、作業者に所持させる携帯電話には、携帯電話の表示部に作業者の識別子と勤務形態の情報をQRコードとして表示させる機能を設けておく。このQRコードは、予めサーバによって作成され、携帯電話に送信されている。
一方、作業者が出勤する現場には、作業者の携帯電話に表示されるQRコードを読み取るための読み取り装置が配置されている。読み取り装置は、読み取ったQRコードに記述されている情報を読み取る管理コンピュータに接続されている。
そして、管理コンピュータが、作業者の識別子と勤務形態の情報をサーバに送信する。サーバでは、受信した作業者の識別子等の情報に基づいて作業者毎に勤怠管理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−310474号公報
【特許文献2】特開2007−293834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1のようなシステムによれば、GPSシステムを使用しているが、高コストであり、なおかつ位置情報としての精度はあまり期待できないという課題がある。また、タイムスタンプ発行機関による時刻認証についてもコスト高の要因となる。
【0009】
なお、特許文献2のようなシステムによれば、現場には、読み取り装置と管理コンピュータを設置しておく必要がある。このようなシステムでは、派遣先の数が多数にのぼる派遣元においては、導入コストが極めて高額となってしまうとともに、これら装置の保守管理も必要であるため、現実に導入することは困難であるという課題がある。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、低コストで導入及び運用が可能な勤怠管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる勤怠管理システムによれば、労働者が労働する現場に設置され、設置される場所を特定するための就業先情報、内部に設けられた時計に基づく時刻情報及びアクセス先のURL情報を含むデータ画像としての二次元コードを生成する二次元コード生成手段と、生成された二次元コードを表示する表示手段とを有する二次元コード表示装置と、労働者が所持し、二次元コード表示装置で表示されている二次元コードを読み取る携帯電話と、携帯電話で読み取った二次元コードに含まれるURL情報に基づいて、携帯電話からインターネット経由でアクセス可能であって、且つ二次元コードに含まれる情報とは別に携帯電話又は労働者を特定するための特定情報を取得可能なサーバコンピュータとを備え、前記二次元コード表示装置は、既に契約切れとなって通話不可能な携帯電話機であり、前記サーバコンピュータには、時計と、労働者の就業先と、携帯電話からアクセスしてきた労働者を特定するための特定情報とを予め記憶させておく労働者情報記憶部と、アクセスしてきた携帯電話から取得した特定情報に基づいて労働者を特定する手段と、特定した労働者の就業先と、アクセスしてきた携帯電話から取得した就業先情報とを比較する手段と、労働者の氏名と、労働者の就業先情報と、出社時刻と、退社時刻とを関連づけして記憶するデータベースと、前記時計に基づき、携帯電話がアクセスしてきた時刻を、出社時刻又は退社時刻として、データベースにおける特定された労働者の該当欄に記憶させるように制御する打刻制御部とが設けられていることを特徴としている。
この構成を採用することにより、労働者が出勤する労働現場に設けるハードウェアとしては、契約切れの携帯電話のみであり、低コストでの導入が可能となる。なお、ここでいう時刻情報には、日付情報も含まれているものとする。
【0012】
また、前記二次元コード表示装置の二次元コード生成手段は、予め設定された時間経過ごとに、新たな時刻情報が含まれた新たな二次元コードを生成することを特徴としてもよい。
この構成によれば、時間の経過に伴って二次元コードを更新しているので、二次元コードを携帯電話で撮像して記憶させておくなどの悪用を防止することができる。
【0013】
また、前記二次元コード表示装置の二次元コード生成手段は、新たな二次元コードを生成して表示手段に表示させる前に、二次元コードが変更される旨の表示を生成して表示手段に表示することを特徴としてもよい。
この構成によれば、二次元コードがもうすぐ変更されることについて労働者に注意を促すことができ、例えば二次元コードが変更されている最中において撮影をしてしまうことを防止することができる。
【0014】
さらに、前記サーバコンピュータの打刻制御部は、携帯電話がアクセスしてきた時刻の前後に、予め設定された所定の時間幅を設け、アクセスしてきた携帯電話から取得した時刻情報が所定の時間幅内に含まれていれば打刻について信頼性有りとして、携帯電話がアクセスしてきた時刻を、出社時刻又は退社時刻として、データベースにおける特定された労働者の該当欄に記憶させ、アクセスしてきた携帯電話から取得した時刻情報が所定の時間幅内に含まれていなければ打刻について信頼性無しとしたフラグをたてて、携帯電話がアクセスしてきた時刻を、出社時刻又は退社時刻として、データベースにおける特定された労働者の該当欄に記憶させることを特徴としてもよい。
この構成によれば、打刻をした時刻について信頼性のあるものか否かを判断して記憶させておくことができる。
【0015】
また、前記サーバコンピュータの打刻制御部は、同一の携帯電話からのアクセスについて信頼性無しとした確率を算出し、所定の確率以上の場合については、前記所定の時間幅の前又は後に前記所定の時間幅の初期時刻又は終期時刻をずらすことを特徴としてもよい。
この構成によれば、二次元コード表示装置としての契約切れの携帯電話内の時計がずれる場合があったとしても、そのずれを補正することができ、打刻の時刻を正確なものとして管理することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の勤怠管理システムによれば、低コストでの導入及び運用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の勤怠管理システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】勤怠管理システムの動作概略を示す説明図である。
【図3】二次元データ表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】二次元データ表示装置の外観構成を示す説明図である。
【図5】労働者が所持する携帯電話の内部構成を示すブロック図である。
【図6】サーバコンピュータの内部構成を示すブロック図である。
【図7】データベースの一例を示す説明図である。
【図8】出社か退社かを就業者に選択させるための画面の説明図である。
【図9】打刻制御部が時刻情報を、所定の時間幅に含まれているか否かを判断するところを示す説明図である。
【図10】図9の説明図についてさらに具体的な例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施形態では、人材派遣会社(派遣元)が、登録した就業者を勤務場所(派遣先)へ派遣する場合についてのシステムであり、まずシステム全体の構成及び概略動作について、図1、図2に基づいて説明する。
派遣先としては、工場、事務所、要介護者の自宅など様々な場所が考えられるが、本発明のシステムとしては、派遣先はどのような場所であってもよい。
【0019】
派遣先には、派遣先を特定するための就業先情報と、時刻情報と、アクセスするURL情報とを含むデータ画像としての二次元コードが表示される二次元コード表示装置30が設置されている。
派遣元には、就業者M(請求の範囲では労働者と記載している)が携帯電話60で読み取った二次元コードに含まれるURL情報に基づいて、携帯電話60からインターネット経由でアクセス可能なサーバコンピュータ50が設けられている。
【0020】
二次元コード表示装置30としては、すでに契約が切れた携帯電話を用いる。契約が切れた携帯電話30は、通話はできないが、表示画面及び表示画面を制御する制御部についてはそのまま使用できるので、費用をかけずに二次元コード表示装置として採用できる。また、通話ができないので、この携帯電話が派遣先で盗難にあうなどのおそれも極めて少ない。
【0021】
二次元コードの例としては、QRコード(登録商標)を用いるとよい。QRコードは一般的に携帯電話で読み取る技術が普及しているので好ましい。
【0022】
就業者Mは、カメラ付きの携帯電話60を所持して派遣先に赴くようにする。就業者Mが所持する携帯電話60としては、派遣元から提供されたものであっても就業者M個人の所有であってもどちらでもよい。
就業者Mは、派遣先に設置してある契約切れの携帯電話30に表示されている二次元コードを、カメラ付きの携帯電話60で撮影する。就業者Mの所有する携帯電話60は、撮影された二次元コードからURL情報を読み取り、読み取ったURLに該当するサーバコンピュータ50にアクセス可能になる。
【0023】
サーバコンピュータ50では、就業者Mの氏名と、就業者Mの就業先情報と、出社時刻と、退社時刻とを関連づけして記憶するデータベースが設けられている。このデータベースにより、派遣元では複数の就業者の勤怠管理を実行できる。
サーバコンピュータ50は、WEBサーバであって、インターネット経由で携帯電話60からのアクセスを受け付ける。就業者Mの携帯電話60からのアクセスによって、サーバコンピュータ50は、予めサーバコンピュータ50内の労働者情報記憶部(後述する)に記憶されている就業者Mの携帯電話60の固体識別番号に基づき、就業者氏名または従業員番号によって就業者Mを特定する。
【0024】
また、サーバコンピュータ50は、携帯電話60のアクセスにより、就業先情報と、時刻情報を取得する。
そしてサーバコンピュータ50では、アクセスしてきた時刻に基づいて、データベースの該当する就業者Mの欄に出社時刻又は退社時刻の打刻を行う。
このようにして、派遣元が管理する就業先が多数の場合であっても、導入コストを低く抑えることができ、また契約切れの携帯電話機30が盗難にあったり、場所を移動させられたりしない限り、就業者Mが送信してくる就業先情報を正確なものとして取り扱うことができる。
【0025】
続いて、各構成についての具体的構造について説明する。
まず、二次元コード表示装置である、契約切れの携帯電話について、図3及び図4に基づいて説明する。
以下、本実施形態で二次元コードとしてはQRコード(登録商標)を用いるものであるとする。
契約切れの携帯電話30は、時計31と、QRコード生成手段32と、生成されたQRコードを表示する表示装置33とを備えている。QRコード生成手段32は、場所を特定するための就業先情報36と、時刻情報37と、派遣元のサーバコンピュータ50のURL情報35とを含むQRコードを生成する。ここでいう就業先情報36とは、就業先の具体的な名称ではなく、就業先をコードで表示したものであってもよい。
【0026】
ここで、QRコード70について説明する。
QRコード70は所定の大きさの正方形内に、複数の正方形のセルが白黒何れかの色で表示されているものである。右上、左上、左下に設けられている2重線の正方形72は、位置決め用のシンボルである。
QRコード70を解析するには、縦方向または横方向に各セルを走査して白と黒の配列を読み取って、その配列に基づくデータを解析する必要がある。
【0027】
契約切れの携帯電話30内のQRコード生成手段32は、携帯電話30内の記憶装置38に予め記憶されたQRコード生成プログラムPが、MPU等の処理装置に読み出されて実行されることで実現される。具体的には携帯電話は、大抵JAVA(登録商標)の動作環境が実装されており、JAVA(登録商標)によりプログラミングされたQRコード生成プログラムPが記憶装置38内に記憶されている。
【0028】
QRコード生成手段32は、予め設置される所定の場所が位置情報としてQRコードに反映されるようにプログラミングされている。したがって、この契約切れの携帯電話30を、異なる場所に設置する場合には、QRコード生成手段32について異なる場所についての位置情報がQRコードに反映されるようにプログラムを書き換える必要がある。
【0029】
また、QRコード生成手段32は、携帯電話30内の時計31で計時される時刻を基にして、時刻情報37(日付情報を含むものとする)をQRコードに反映させたQRコードを生成する。ただし、現在時刻といっても、例えば1秒おきに新たな時刻情報が反映されたQRコードを生成して表示するのは困難であるし、勤務時間として秒単位までの時刻情報の必要は無い。
そこで、QRコード生成手段32は、予め設定された所定時間おきに、時刻情報を反映したQRコードを生成するように動作するとよい。例えば、5分おきに新たなQRコードを生成するように、QRコード生成手段32が動作するようにプログラミングしておけば、QRコードを頻繁に生成しなくともすみ、また後述するように勤務時間の信頼性を判断する場合における周期として利便性があるものとなる。
【0030】
また、上記のように所定時間おきにQRコード生成手段32がQRコードを生成する場合には、QRコード生成手段32は、QRコードの生成直前に表示装置33にQRコードが更新される旨の更新表示39を出力する。これは、ちょうど更新中に就業者MがQRコードを撮影してしまうことを防止するために表示されるものであり、就業者に注意を促すための表示である。例えば、QRコード生成手段32は、5分間おきに新たなQRコードを生成するように動作する場合には、新たなQRコードを生成してから4分50秒後(すなわち、新たなQRコードを生成する時刻の10秒前)には、QRコードが更新される旨の更新表示39を出力するのである。ただし、QRコードの更新表示39の出力時間としては更新10秒前に限定するものではない。
【0031】
さらに、QRコード生成手段32は、サーバコンピュータ50のURL(Uniform Resource Locator)情報をQRコードに反映させたQRコードを生成するようにプログラミングされている。
【0032】
なお、QRコード生成手段32には、符号化手段34が設けられており、時刻情報37、就業先情報36のそれぞれを符号化してQRコードを生成するように設けられている。
したがって、QRコードが読み取られたとしても、得た情報を復号化しないと実際のデータとして読み取ることはできない。
【0033】
なお、契約切れの携帯電話30の表示装置33は、液晶ディスプレイ(LCD)を用いることが一般的である。液晶ディスプレイは、携帯電話30内に設けられたLCDドライバ(図示せず)によってその表示が制御される。
すなわち、QRコード生成手段32は、LCDドライバに生成したQRコードの表示データを送信し、LCDドライバがQRコードを液晶ディスプレイ33に表示させるように制御する。
【0034】
次に、就業者が所持している携帯電話について、図5に基づいて説明する。
この携帯電話60は、二次元コード(QRコード)を撮影するカメラ41と、カメラ41で撮影されたQRコードを解析する解析手段42と、インターネット接続できる通信装置44とを備えている。また、携帯電話60には、液晶ディスプレイ等の表示装置45が設けられている。表示装置45は、液晶ディスプレイ(LCD)を用いることが一般的である。液晶ディスプレイは、携帯電話60内に設けられたLCDドライバ46によってその表示が制御される。
【0035】
携帯電話60内に設けられているQRコードを解析する解析手段42としては、QRコードを解析する機能を有する解析ソフトが該当する。解析ソフトは、予め携帯電話60内の記憶装置(図示せず)内に記憶されており、解析ソフトを実行するMPU等の演算処理装置(図示せず)によって、その解析動作が実行される。
また、解析手段(解析ソフト)42は、撮影されたQRコードの解析を完了すると、LCDドライバ46を介して、解析された結果、QRコードから読み出されたURL情報を表示装置45に表示させる。
【0036】
次に、携帯電話60の動作について説明する。
就業者Mは、携帯電話60のカメラを用いて携帯電話30に表示されているQRコードを撮影する。就業者Mの撮影したQRコードは、携帯電話60内の解析手段42によって自動的に解析される。
解析手段42が自動的にQRコードを解析した結果、表示装置45にURL情報が表示される。表示装置45に表示されるURL情報は、サーバコンピュータ50にリンクされており、就業者Mは、表示されたURL情報にカーソルを合わせ、表示されたURLをクリックすることで、携帯電話60は、就業者Mサーバコンピュータ50にアクセスする。
【0037】
なお、携帯電話60がインターネット経由でサーバコンピュータ50に接続する場合には、セッション管理のために携帯電話ごとに予め割り振られている個体識別番号を自動的にサーバコンピュータ50が取得する。
これは、携帯電話からインターネット経由で所定のWEBサイトに接続する際に行われる一般的動作であり、WEBサーバであるサーバコンピュータ50のCPU74(後述する)が実行する。この個体識別番号により、サーバコンピュータ50では携帯電話60を所持する就業者Mが特定できる。
【0038】
次に、サーバコンピュータの構成について、図6に基づいて説明する。
サーバコンピュータ50は、インターネットに接続するためのインターフェース71、ROMやRAM等のメモリ72、予め記憶されているソフトウェアまたは外部媒体に記憶されているソフトウェアに基づいて各種処理を実行するCPU(中央処理装置)74、HDD等の記憶装置76、時計79等が内部バス77に接続されて構成されている。
【0039】
サーバコンピュータ50は、記憶装置76内にデータベースDを構築している(図7参照)。
データベースDは、派遣元で管理する就業者の勤怠管理を行うためのデータベースであり、携帯電話60の個体識別番号と、就業者氏名と、就業先情報と、出社時刻と、退社時刻とが関連付けして記憶される。
また、図7ではこれらのデータを日付ごとに行うようにしているが、日付のデータとしての位置づけを出社時刻及び退社時刻と一体として、出社時刻及び退社時刻とともに同じ項目欄に記憶させるようにしてもよい。
【0040】
また、サーバコンピュータ50には、携帯電話60から取得した情報に基づいてデータベースDにこれら各情報を記憶させるための打刻制御部78が設けられている。打刻制御部78は、予め記憶装置76に記憶されたソフトウェアがCPU74によって読み出されて動作することにより実現される。
さらに、記憶装置76には、就業者Mの就業先と、携帯電話60を所持する就業者を特定するための特定情報を予め記憶している労働者情報記憶部84が設けられている。ここでいう特定情報とは、各就業者Mの携帯電話60の個体識別番号、又はID若しくはパスワードのことをいう。基本的には、特定情報としては個体識別情報が該当するが、まだ就業者Mからの個体識別番号の提示が無い場合や、携帯電話60が古い機種等であって固定識別番号の取得ができない場合には、IDやパスワードを設定しておき、就業者Mに入力させるようにすればよい。
【0041】
CPU74の一機能として設けられている労働者特定手段86は、アクセスしてきた携帯電話60の個体識別番号を取得する。
個体識別番号は、携帯電話60のキャリアによって異なるが、主として当該携帯電話の製造番号等が該当する。携帯電話60は、サーバコンピュータ50へのアクセス時にHTTPのヘッダ等に個体識別番号を付記して送信するように、予め設定されている。
労働者特定手段86は、取得した個体識別番号に基づいて労働者情報記憶部84に記憶されている就業者名(労働者名)を特定する。
【0042】
また、CPU74の一機能として、符号化された状態で取得された就業先情報と、時刻情報を復号化するための復号化手段88が設けられている。復号化とは、符号化(デジタル化)された情報をエンコードして元の情報に戻す操作をいう。
さらに、CPU74の一機能として、復号化された就業先情報と、労働者情報記憶部84に記憶されている就業者の就業先とを比較する比較手段89が設けられている。ここでいう就業者情報としては、単に就業先の会社名や場所などを数字やアルファベットなどで表したものであればよい。
比較手段89は、受信した就業先と、予め記憶されている就業先とが一致していれば、その後の打刻動作を打刻制御部78が実行するように動作し、受信した就業先と、予め記憶されている就業先とが一致しない場合には、就業先がエラーである旨のフラグを立て、且つその後の打刻動作を打刻制御部78が実行するように動作すればよい。
【0043】
比較手段89によって就業先の比較が終了すると、打刻制御部78は、携帯電話のアクセス時刻を出社時刻又は退社時刻として打刻する。打刻の時刻は時計79の時刻に基づいている。サーバコンピュータ50の時計79は、インターネット等の通信回線を介してタイムサーバ(図示せず)と同期をとっており、基本的に正確な時刻を表している。
【0044】
アクセス時刻(打刻時刻)を出社時刻、退社時刻の何れとするかは、就業者Mの選択によって行われるようにするとよい。この場合、出社又は退社の何れにするか、携帯電話60の表示装置45に就業者Mが操作可能なボタン又は操作メニューを表示させる。
ボタン又は操作メニューは、サーバコンピュータ50における記憶装置76に、WEBブラウザで閲覧可能なHTML等で予め作成されており、アクセスしてきた携帯電話60がこのボタン又は操作メニューをダウンロードすることにより携帯電話60の表示装置45にこれらが表示され、就業者Mがボタン又は操作メニューを操作することができる。
【0045】
図8に、就業者Mの携帯電話60の表示装置45に選択用のボタンが表示されたところを示す。
ここでは、出勤ボタン90と、退勤ボタン91が表示されている。就業者Mが何れかのボタンを選択してクリックすると、携帯電話60からサーバコンピュータ50へ出勤ボタン90または退勤ボタン91の何れかに対応づけされたアクセスがなされる。
打刻制御部78は、出勤ボタン90と退勤ボタン91の何れかからのアクセスかを判断して、打刻時刻をデータベースDの出社時刻または退社時刻の何れかの欄に記憶させる。
【0046】
打刻制御部78は、データベースDの該当する就業者(労働者特定手段86によって特定されている)の項目に、取得した就業者情報に基づく勤務場所及び、時刻情報に基づく出社時刻又は退社時刻を記憶させる。
このように、サーバコンピュータ50には、各就業者の勤務場所、出社時刻及び退社時刻を打刻できるデータベースDが設けられているので、派遣元である人材派遣会社はこのデータベースDによって各就業者の勤怠管理を行うことができる。勤務場所については、コード化されたものであってもよいし、実際の名称であってもどちらでもよい。
【0047】
図9に基づいて、打刻制御部の他の動作について説明する。
サーバコンピュータ50の打刻制御部78は、打刻した時刻の前後に所定の時間幅80を設けており、携帯電話60から送信されてくる時刻情報が、この時間幅80内に含まれているか否かの判断を行っている。打刻制御部78は、携帯電話60から受信した時刻情報が、この時間幅80内に含まれている場合は、打刻について信頼性有りと判断し、携帯電話60がアクセスしてきた時刻をデータベースDに記憶させる。
【0048】
この時間幅80は、打刻時刻の前何分、後何分というように、打刻時刻を含んでその前後の幅を予め決めている。この時間幅は、契約切れの携帯電話30におけるQRコードの作成間隔よりは広くなるように設けている。時間幅80は、予め設定して時間幅記憶部82に記憶されている。
例として、QRコードの作成間隔を5分間隔とすると、打刻時刻の前をQRコード作成間隔の120%程度に設定し、打刻時刻の前を6分間とする。基本的に打刻時刻よりも時刻情報が後に来ることは考えにくいので、打刻時刻の後の範囲は短くてもよい。例として1分間とする。
【0049】
打刻制御部78は、打刻時刻(携帯電話60がアクセスしてきた時刻:サーバコンピュータ50内の時計79で計時した時刻)に基づく時間幅80内に、携帯電話60から取得した時刻情報が含まれるか否かを計測し、含まれている場合には打刻時刻について信頼性有りと判断する。
信頼性有りの場合には、打刻制御部78は、打刻時刻をそのまま出勤時刻又は退社時刻としてデータベースDに記憶させる。
【0050】
なお、打刻制御部78が、打刻時刻に基づく時間幅80内に、携帯電話60から取得した時刻情報が含まれないことを検出した場合、打刻時刻について信頼性無しと判断する。
信頼性無しの場合でも、打刻制御部78は、打刻時刻をそのまま出勤時刻又は退社時刻としてデータベースDに記憶させるが、信頼性無しのフラグをたてておく。例えばデータベースDの出社時刻及び退社時刻の欄に信頼性無しの項目を設けて、信頼性無しの場合にはこの項目にチェックを入れるなどの操作をすればよい。
もし、信頼性無しの場合には、派遣元の作業者等が、就業先に設置してある契約切れの携帯電話30を確認する。
【0051】
図9の例では、打刻時刻を9:03とした場合、その打刻時刻の前6分間、打刻時刻の後1分間を時間幅としている。
打刻制御部78は、取得した時刻情報が9:00であったとした場合、打刻時刻の前6分以内に時刻情報が含まれているので、信頼性有りと判断する。
もし、取得した時刻情報が8:50であったとした場合、打刻制御部78は、打刻時刻の前6分以内に時刻情報が含まれていないので、信頼性無しと判断する。
【0052】
なお、打刻制御部78は、信頼性無しの判断が頻出する場合には、そのずれを補正するように制御してもよい。
具体的には信頼性無しの確率がどの程度であるかを判断して、ずれを補正する。打刻制御部78は、同一の就業者Mに対して打刻回数と、信頼性無しの回数から、信頼性無しの確率が予め設定された所定の確率以上であれば、ずれ補正を実行する。
すなわち、基本的にサーバコンピュータ50内部の時計79は正確であることが前提であるので、就業場所に設置してある契約切れ携帯電話30の内部の時計31とのずれをここで補正し、とりあえずは契約切れ携帯電話30の時計の調整をしなくても済むようになる。
【0053】
この例では、打刻制御部78は、時刻情報が、予め設定された時間幅80の時間的前方向にずれている確率が、所定の確率以上であれば、その時間幅自体を前方向にずらし、時刻情報が、時間幅80の時間的後方向にずれている確率が、所定の確率以上であれば、その時間幅自体を後方向にずらすように制御する。
【0054】
上述してきた、打刻制御部の動作を、具体的に図10に基づいて説明する。
本実施形態における、契約切れの携帯電話30では所定時間間隔でQRコードが更新される。ここでは、5分間隔でQRコードが更新されるものとする。更新されてから5分経過するまでは、更新時の時刻が維持される。したがって、QRコード70に含まれる時刻情報は、5分間隔おきの時刻となる。
【0055】
例えば、就業者Mが勤務場所に到着した時刻が9:52(この時刻はあくまで携帯電話30により計時された時刻情報である)とすると、契約切れの携帯電話30のQRコード70には、9:50の時刻情報が含まれている(この時刻もあくまで携帯電話30に基づく時刻情報である)。このQRコード70を携帯電話60で撮影すると、9:50という時刻情報が携帯電話60に記憶される。
【0056】
携帯電話60がインターネット経由でサーバコンピュータ50にアクセス時刻は、勤務場所に実際に到着した時刻とほぼ同じか若干遅い時刻となる。
ところが、サーバコンピュータ50内の時計79に基づく時刻と、携帯電話30内の時計31の時刻がずれている場合、アクセス時刻(打刻時刻)が10:00(これはサーバコンピュータ50により計時された時刻)ということもある。
時間幅80は、上記の例と同様に打刻時刻の前6分、後1分とすると、9:54〜10:01が時間幅になる。この時間幅には、携帯電話60から取得した9:50という時刻情報は含まれない。したがって、この打刻時刻10:00は信頼性無しということになる。
【0057】
打刻制御部78は、この信頼性無しが所定の確率以上発生した場合、時間幅80を前方向にずらし、ずれ補正を実行する。
ずらし幅としては、ずれ幅が最も大きい時刻情報が時間幅80に含まれるようにすればよいし、予めずらし幅(例えば5分など)を決めておいてもよい。
【0058】
なお、上述してきた実施形態では、サーバコンピュータ50には、派遣元の社員が操作可能な端末コンピュータ(図示せず)を接続してもよい。
端末コンピュータは、サーバコンピュータ50に接続しサーバコンピュータ50内のデータベースDを閲覧する権限や、所定の時間幅80を修正・変更する権限を有する。このような端末コンピュータを設けることにより、派遣元ではデータセンターと人事機能を有する部署とを切り離して設置することができる。
【0059】
また、上述してきた実施形態では二次元コードの例としてQRコードのみを挙げてきたが、二次元コードであればQRコードに限定することはなく、他のコードであってもよい。
【0060】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
30 二次元コード表示装置(契約切れの携帯電話)
31 時計
32 QRコード生成手段
33 表示装置
35 URL情報
36 位置情報
37 時刻情報
38 記憶装置
39 更新表示
41 カメラ
42 解析手段
44 通信装置
45 表示装置
46 LCDドライバ
50 サーバコンピュータ
60 携帯電話
70 QRコード
71 インターフェース
72 正方形
72 メモリ
76 記憶装置
77 内部バス
78 打刻制御部
79 時計
80 時間幅
82 時間幅記憶部
84 労働者情報記憶部
86 労働者特定手段
88 復号化手段
89 比較手段
90 出勤ボタン
91 退勤ボタン
D データベース
M 就業者
P QRコード生成プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
労働者が労働する現場に設置され、設置される場所を特定するための就業先情報、内部に設けられた時計に基づく時刻情報及びアクセス先のURL情報を含むデータ画像としての二次元コードを生成する二次元コード生成手段と、生成された二次元コードを表示する表示手段とを有する二次元コード表示装置と、
労働者が所持し、二次元コード表示装置で表示されている二次元コードを読み取る携帯電話と、
携帯電話で読み取った二次元コードに含まれるURL情報に基づいて、携帯電話からインターネット経由でアクセス可能であって、且つ二次元コードに含まれる情報とは別に携帯電話又は労働者を特定するための特定情報を取得可能なサーバコンピュータとを備え、
前記二次元コード表示装置は、既に契約切れとなって通話不可能な携帯電話機であり、
前記サーバコンピュータには、
時計と、
労働者の就業先と、携帯電話からアクセスしてきた労働者を特定するための特定情報とを予め記憶させておく労働者情報記憶部と、
アクセスしてきた携帯電話から取得した特定情報に基づいて労働者を特定する手段と、
特定した労働者の就業先と、アクセスしてきた携帯電話から取得した就業先情報とを比較する手段と、
労働者の氏名と、労働者の就業先情報と、出社時刻と、退社時刻とを関連づけして記憶するデータベースと、
前記時計に基づき、携帯電話がアクセスしてきた時刻を、出社時刻又は退社時刻として、データベースにおける特定された労働者の該当欄に記憶させるように制御する打刻制御部とが設けられていることを特徴とする勤怠管理システム。
【請求項2】
前記二次元コード表示装置の二次元コード生成手段は、
予め設定された時間経過ごとに、新たな時刻情報が含まれた新たな二次元コードを生成することを特徴とする請求項1記載の勤怠管理システム。
【請求項3】
前記二次元コード表示装置の二次元コード生成手段は、
新たな二次元コードを生成して表示手段に表示させる前に、二次元コードが変更される旨の表示を生成して表示手段に表示することを特徴とする請求項2記載の勤怠管理システム。
【請求項4】
前記サーバコンピュータの打刻制御部は、
携帯電話がアクセスしてきた時刻の前後に、予め設定された所定の時間幅を設け、
アクセスしてきた携帯電話から取得した時刻情報が所定の時間幅内に含まれていれば打刻について信頼性有りとして、携帯電話がアクセスしてきた時刻を、出社時刻又は退社時刻として、データベースにおける特定された労働者の該当欄に記憶させ、
アクセスしてきた携帯電話から取得した時刻情報が所定の時間幅内に含まれていなければ打刻について信頼性無しとしたフラグをたてて、携帯電話がアクセスしてきた時刻を、出社時刻又は退社時刻として、データベースにおける特定された労働者の該当欄に記憶させることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項記載の勤怠管理システム。
【請求項5】
前記サーバコンピュータの打刻制御部は、
同一の携帯電話からのアクセスについて信頼性無しとした確率を算出し、所定の確率以上の場合については、前記所定の時間幅の前又は後に前記所定の時間幅の初期時刻又は終期時刻をずらすことを特徴とする請求項4記載の勤怠管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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