説明

包装体およびそれに用いるシュリンクフィルム付台紙の製造方法

【課題】高温になる場所で展示しても、また、その様な状態で下に落としても、台紙から被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが剥がれない包装体を提供する。また、それに用いるシュリンクフィルム付台紙の製造方法を提供する。
【解決手段】台紙の少なくとも一主面に、被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが、反応型ホットメルト接着剤を介し、取り付けられている。また、台紙に、溶融させた反応型ホットメルト接着剤を、吐出して塗布し、その塗布した塗布部に、筒状に形成されたシュリンクフィルムを、取り付けて、接着させてシュリンクフィルム付き台紙を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体およびそれに用いるシュリンクフィルム付台紙の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示やデザインを印刷した台紙とともに、商品となる被包装物を、見えるように収納した包装には、熱成形したプラスチックシートに被包装物を収納して、台紙で塞ぐ、ブリスター包装や、台紙の上に被包装物を載せて、上から加熱したフィルムで直接包装する、スキンパックがある。
【0003】
また、紙、合成樹脂、或いは金属板からなるカード(台紙1)に被包装物を当該してこれらを、合成樹脂の熱収縮性の皮膜で被覆し、皮膜を過熱して熱収縮せしめ全体を緊密一体的に被着させた、カード包装があり、そのひとつとして、図7(A)のように、カード(台紙1)に粘着剤31を塗布して、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を接着させたシュリンクフィルム付台紙に製造して、図7(B)のように、被包装物4を収納し、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を熱収縮させて、被包装物4をカード(台紙1)に固着した、包装体があった(特許文献1)。
【0004】
これと類似した包装に用いるシュリンクフィルム付台紙の製造方法として、(a)台紙1をコンベア上に1枚ずつ供給する台紙供給工程、(b)このコンベア上に供給されて搬送される台紙1の表面に版ロールにより糊32を塗布する接着剤塗布工程および(c)この接着剤(糊32)の塗布された台紙に対して筒状のシュリンクフィルム2を1枚ずつ供給してその台紙1に貼着する筒状フィルム貼着工程を備えるシュリンクフィルム付台紙の製造方法が開示されていて、図8(A)のような、シュリンクフィルム付台紙を製造して、図8(A)のような、包装体を製造することが開示されている(特許文献2)。
【0005】
そして、このシュリンクフィルム付台紙の製造方法では、(b)このコンベア上に供給されて搬送される台紙1の表面に版ロールにより糊32を塗布する接着剤塗布工程、について、外周面に糊付用のスポンジが取り付けられてなる版ロールのスポンジに、糊付ロールで糊を付着させ、版ロールと版受ロールとの間に台紙挟み付けることにより、台紙1の所要部に糊を塗布することが記載されている。
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭49−3796号公報
【特許文献2】特開平成7−45925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記、特許文献1においては、カード(台紙1)に粘着剤31を塗布して、熱収縮性チューブを接着させている。また、特許文献2においては、外周面に糊付用のスポンジが取り付けられてなる版ロールのスポンジに、糊を付着させ、台紙1に糊を塗布することが記載されている。
【0008】
特許文献2の糊についてのどのような糊32であるのか記載されていないが、通常、パッケージ分野において糊といった場合、水系接着剤(グルー)を示すことが多く、また、版ロールの外周面にスポンジを取り付けてあることから、水系接着剤を用いているものと推測される。
【0009】
これらの粘着剤や、水系接着剤でも接着させることは可能であるが、直射日光が当たるなどして高温になる場所で、台紙に設けた吊り下げ孔で展示台のフックなどに吊下げて展示する場合、あるいは、そのように高温になっているときに、下に落としてしまったりするような場合に、台紙から被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが、剥がれてしまう恐れがある。
【0010】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、高温になる場所で展示しても、また、その様な状態で下に落としても、台紙から被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが剥がれない包装体を提供する。また、それに用いるシュリンクフィルム付台紙の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、台紙の少なくとも一主面に、被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが反応型ホットメルト接着剤を介し、取り付けられていることを特徴とする包装体である。
【0012】
本発明の包装体は、以上のような構成であって、被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが反応型ホットメルト接着剤を介し、台紙に取り付けられているので、包装体を、高温になる場所で展示しても、また、その様な状態で下に落としても、台紙から被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが剥がれることがない。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、前記反応型ホットメルト接着剤が、湿気硬化型ホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の包装体ある。
【0014】
本発明は、請求項1に記載の包装体において、反応型ホットメルト接着剤が、湿気硬化型ホットメルト接着剤であるので、接着後に特別な処理をしなくても硬化が進み、耐熱性や接着強度が向上する。
【0015】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の包装体に用いるシュリンクフィルム付き台紙の製造方法であって、
前記台紙に、溶融させた前記反応型ホットメルト接着剤を、吐出して塗布し、その塗布した塗布部に、筒状に形成された前記シュリンクフィルムを、取り付けて、接着させることを特徴とするシュリンクフィルム付き台紙の製造方法である。
【0016】
本発明のシュリンクフィルム付き台紙の製造方法によれば、高温になる場所で展示しても、また、その様な状態で下に落としても、台紙から被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが剥がれることがない包装体を得ることができる。
【0017】
本発明の請求項4に係る発明は、前記台紙に、溶融させた前記反応型ホットメルト接着剤を、吐出して塗布し、その塗布した塗布部に、筒状に形成された前記シュリンクフィルムを、前記塗布部の前記反応型ホットメルト接着剤の温度が、50から55℃の時に、取り付けて、接着させることを特徴とする請求項3に記載のシュリンクフィルム付き台紙の製造方法である。
【0018】
本発明のシュリンクフィルム付き台紙の製造方法によれば、塗布した塗布部の前記反応型ホットメルト接着剤の温度が、50から55℃の時に、シュリンクフィルムを、取り付けて、接着させるので、シュリンクフィルムを取り付けて、接着するときに、シュリンク
フィルムが収縮することなく、また、反応型ホットメルト接着剤の初期接着が出て、シュリンクフィルム付き台紙の製造中に、剥がれたり、動いたりすることがない。
【0019】
本発明の請求項5に係る発明は、前記台紙に、溶融させた前記反応型ホットメルト接着剤を、吐出して塗布し、その塗布した前記塗布部に、筒状に形成された前記シュリンクフィルムを、取り付けて、冷却ロールで押圧させて接着させることを特徴とする請求項3または4に記載のシュリンクフィルム付き台紙の製造方法である。
【0020】
本発明のシュリンクフィルム付き台紙の製造方法によれば、反応型ホットメルト接着剤を塗布した塗布部に、シュリンクフィルムを、取り付けて、冷却ロールで押圧させて接着させるので、シュリンクフィルムが、反応型ホットメルト接着剤の熱によって収縮するのを防ぐことができ、また、反応型ホットメルト接着剤3を冷却することによって、その粘性を低下させ、初期接着強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の包装体は、高温になる場所で展示しても、また、その様な状態で下に落としても、台紙から被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが剥がれることはない。また、本発明の包装体を形成するために用いるシュリンクフィルム付台紙の製造方法によれば、上記のように、台紙から被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが剥がれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A)本発明の包装体の一例に用いるシュリンクフィルム付台紙を模式的に示した説明図である。(B)本発明の包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【図2】本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例を模式的に平面で示した説明図である。
【図3】本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例の台紙供給装置付近を模式的に示した説明図である。
【図4】本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例のホットメルトアプリケーター装置付近を模式的に示した説明図である。
【図5】本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例のシュリンクフィルム装着装置付近を模式的に示した説明図である。
【図6】本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例の押圧冷却装置付近を模式的に示した説明図である。
【図7】(A)従来の包装体の一例に用いるシュリンクフィルム付台紙を模式的に示した説明図である。(B)従来の包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【図8】(A)従来の包装体の一例に用いるシュリンクフィルム付台紙を模式的に示した説明図である。(B)従来の包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1(A)は、本発明の包装体の一例に用いるシュリンクフィルム付台紙を模式的に示した説明図、(B)は、本発明の包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【0024】
本例の包装体は、まず、図1(A)のように、台紙1の一主面に筒状にしたシュリンクフィルム2を反応型ホットメルト接着剤3で取り付けたシュリンクフィルム付台紙を作成する。次に、このシュリンクフィルム付台紙の筒状のシュリンクフィルム2の筒の中に、被包装物4を挿入し、加熱して、シュリンクフィルム2を収縮させるシュリンク包装を行うことで、被包装物4にシュリンクフィルム2を密着させて、図1(B)のように、包装体を作成する。台紙1には店舗などで吊下げて展示するための吊下げ孔5を設けておいて
も良い。
【0025】
本発明の包装体に用いる台紙1には、紙、プラスチックシート、或いは金属板などの板状のものが使用できる。紙としては、厚紙で腰のあるものであれば、特に限定されない。また表面にアルミ蒸着層のあるアルミ蒸着紙なども使用できる。
【0026】
シュリンクフィルム2には、熱で収縮するフィルムであればよく、また、筒が細くなる方向の収縮が、筒が短くなる方向の収縮より大きいフィルムが、シュリンク包装を行う際の収縮時に被包装物がシュリンクフィルム2から外れることがないので、本用途には適している。
【0027】
シュリンクフィルム2の材質としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、或いは、ポリエステル系の樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル系の樹脂として、農産物由来の持続可能な素材である、ポリ乳酸を用いることも可能であり、環境に対応した包装として好ましく用いることができる。
【0028】
本発明の包装体に用いる反応型ホットメルト接着剤3は、ホットメルトに反応系の特性を付与した接着剤である。従来のホットメルト接着剤が、熱可塑性樹脂を成分として、固形のホットメルト接着剤を加熱、融解して塗布し、冷却することにより固化・接着するものである。加熱溶融させて用いるため、熱可塑性樹脂を成分とする従来のホットメルト接着剤は、耐熱性の点では限界がある。
【0029】
一方、反応型ホットメルト接着剤3は、最初は固形であって、これを加熱溶融させて用いることは、従来の可塑性樹脂のホットメルト接着剤と同じであるが、塗布、冷却後に、反応が進み硬化して、耐熱性などの物性の高い接着性が得られるものである。
【0030】
ウレタン樹脂を主成分とした反応型ホットメルト接着剤3は、加熱溶融により生成されたウレタンプレポリマーが、冷却されると末端イソシアネート基を残した状態で固化し、冷却された後も、空気中や被着材に含まれる水分と末端イソシアネート基が反応し、高分子化が進み、より耐熱性の高い接着性を得ることができる。
【0031】
本発明の包装体に用いる反応型ホットメルト接着剤3としては、冷却後も末端イソシアネート基を残した状態で固化し、空気中や被着材に含まれる水分と反応し、高分子化が進む湿気硬化型ホットメルト接着剤が、塗布後に特に硬化を進めるための処理を必要としないので、好ましく用いられる。
【0032】
次に、本発明の包装体の製造方法に付いて説明する。
図2は、本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例を模式的に平面で示した説明図である。図3は、本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例の台紙供給装置6付近を模式的に示した説明図、図4は、本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例のホットメルトアプリケーター装置8付近を模式的に示した説明図、図5は、本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例のシュリンクフィルム装置10付近を模式的に示した説明図、図6は、本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例の押圧冷却装置11付近を模式的に示した説明図である。
【0033】
シュリンクフィルム2は、幅広で長尺のシュリンクフィルムに必要に応じて印刷を施し、スリットして、幅方向の両端を重ね合わせて、封筒貼りして、本発明の包装体に使用する折径になるように筒状にして、長尺のまま紙管100に巻き取っておく。
【0034】
台紙1も、必要に応じて印刷を施した多面付けの台紙用紙から、断裁や、抜き工程によ
って、1枚ずつ切り離された台紙1としておく。
【0035】
図2のように、本発明のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例は、重ねられた複数枚の台紙1を供給する台紙供給装置6と、台紙供給装置6から供給された台紙1を搬送する台紙搬送装置7と、台紙搬送装置7により搬送されてきた台紙1に反応型ホットメルト接着剤3を溶融して塗布するホットメルトアプリケーター装置8と、反応型ホットメルト接着剤3が塗布された台紙1を搬送する工程間搬送装置9とを備えている。
【0036】
更に、工程間搬送装置9で搬送されてきた、反応型ホットメルト接着剤3が塗布された台紙1に、筒状長尺のシュリンクフィルム2を接着させるシュリンクフィルム装着装置10と、台紙1に反応型ホットメルト接着剤3で接着されたシュリンクフィルム2を、押圧しつつ冷却する押圧冷却装置11と、以上によって、製造されたシュリンクフィルム付き台紙を排出させる排出装置12とからなっている。
【0037】
図3のように、1枚ずつに切り離され重ねられた複数枚の台紙1を台紙供給装置6に積載し、台紙供給装置6により、上から1枚ずつ、台紙1を、吸盤61で持ち上げ、反応型ホットメルト接着剤3を塗布する面を上に向けて、台紙搬送装置7に供給する。台紙搬送装置7により台紙1は、反応型ホットメルト接着剤3を塗布するホットメルトアプリケーター装置8に送られる。
【0038】
図4のように、ホットメルトアプリケーター装置8では、反応型ホットメルト接着剤3を溶融させて、吐出ノズル81から吐出して台紙1の所定の位置に塗布する。塗布は搬送しながら行い必要部分にのみ、反応型ホットメルト接着剤3を吐出させて行う。
【0039】
このときホットメルトアプリケーター装置8の反応型ホットメルト接着剤3を吐出する吐出ノズル81の温度は、100から120℃の範囲にして吐出させる。これにより、台紙1に付着したときの反応型ホットメルト接着剤3の温度は、およそ60から80℃の範囲になっている。
【0040】
反応型ホットメルト接着剤3が塗布された台紙1は、工程間搬送装置9によって、シュリンクフィルム装着装置10に送られる。シュリンクフィルム装着装置10では、図5のように、紙管に巻き取られた、筒状長尺のシュリンクフィルム2を巻き出して、断裁装置101によって、本発明の包装体に使用する長さに断裁する。その断裁されたシュリンクフィルム2を、吸盤102によって、持ち上げ、移動させて、台紙1の所定の位置に取り付けて、台紙1に塗布された反応型ホットメルト接着剤3で接着させる。
【0041】
このとき、反応型ホットメルト接着剤3の温度は、40から60℃の範囲の時にシュリンクフィルム2を台紙1に取り付けることが、望ましい。更に好ましくは、50から55℃の範囲である。
【0042】
55℃を越えると取り付けたシュリンクフィルム2が収縮するおそれがあり、60℃を越えるとシュリンクフィルム2が収縮してしまうので、被包装物を収納させるのが難しくなる。また、50℃未満になっていると、反応型ホットメルト接着剤3が固化するおそれがあり、40℃未満だと固化してしまい、初期接着が出ないので、シュリンクフィルム2が、外れてしまう恐れがある。
【0043】
このため、シュリンクフィルムを台紙1に取り付けるときの温度が、50から55℃の範囲になるように、工程間搬送装置9の長さや搬送速度を調整することが望ましい。
【0044】
そのシュリンクフィルム2を、反応型ホットメルト接着剤3で接着させた台紙1は、次
に、図6のように、押圧冷却装置11に送られて、冷却ロール111で押圧して、シュリンクフィルム2と反応型ホットメルト接着剤3の密着性を高めると同時に、シュリンクフィルム2と反応型ホットメルト接着剤3を冷却する。
【0045】
本例では、押圧冷却装置11に、冷却ロール111を用いたが、冷却板をボックス運動させて、シュリンクフィルム2が反応型ホットメルト接着剤3で接着された台紙1の搬送と、冷却板のボックス運動を同調させて、冷却板を押し当て、押圧と冷却を行ってもよい。
【0046】
シュリンクフィルム2を冷却することによって、シュリンクフィルム2が、反応型ホットメルト接着剤3の熱によって収縮するのを防ぐ。また、反応型ホットメルト接着剤3を冷却することによって、粘性を低下させ、初期接着強度を高める。
【0047】
以上のようにして、シュリンクフィルム付き台紙を製造され、排出装置12で排出される。このシュリンクフィルム付き台紙は、被包装物4を包装するまで、通常の室内雰囲気で、或いは、高湿の雰囲気で保管することによって、反応型ホットメルト接着剤3が、湿気により硬化が進み、耐熱性の高い接着膜となる。
【0048】
シュリンクフィルム付き台紙で、被包装物4を包装するには、シュリンクフィルム付き台紙のシュリンクフィルム2の筒状の中に被包装物4を挿入して、シュリンクトンネルなどで、100℃近辺で加熱して、シュリンクフィルム2を収縮させるシュリンク包装を行うことで、シュリンクフィルム2を被包装物に密着させて、本発明の包装体が得られる。尚、このときには、反応型ホットメルト接着剤3の硬化は進んでいるので、熱によって接着強度が落ちることがない。
【実施例】
【0049】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0050】
<実施例1>
台紙1の用紙として、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム12μmの蒸着面を、坪量310g/mの板紙に貼合した蒸着紙(京王製紙:ブリリアンシルバーSSカード)を用意し、断裁して、200mm×80mmの、表面がポリエチレンテレフタレートフィルムの台紙1を作成した。
【0051】
また、シュリンクフィルム2用に、ポリ乳酸フィルム(三菱樹脂:PB−206S 45μm)を用意し、スリットして、幅方向の両端を重ね合わせて、封筒貼りして、折罫が95mmの筒状にして、長尺のまま紙管に巻き取り、長尺の筒状のシュリンクフィルム2の巻取りを作成した。
【0052】
作成した複数枚の台紙1を積み重ねて、台紙供給装置6に積載し、台紙供給装置6により、上から1枚ずつ、台紙1を、吸盤61で持ち上げ、反応型ホットメルト接着剤3を塗布する面を上に向けて、台紙搬送装置7に供給し、台紙1をホットメルトアプリケーター装置8に搬送した。
【0053】
反応型ホットメルト接着剤3として湿気硬化型ホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン:170−7141)を用意して、ホットメルトアプリケーター装置8で、反応型ホットメルト接着剤3を溶融させて、ホットメルトアプリケーター装置8の吐出ノズル81より吐出して台紙1に搬送しながら塗布した。
【0054】
このときの吐出ノズル81の温度は、100から120℃にして吐出させた。これによ
り、台紙1に付着したときの反応型ホットメルト接着剤3の温度は、60から80℃の範囲であった。
【0055】
この反応型ホットメルト接着剤3が塗布された台紙1を、工程間搬送装置9によって、シュリンクフィルム装着装置10に搬送し、シュリンクフィルム装着装置10で、長尺の筒状のシュリンクフィルム2の巻取りから、シュリンクフィルム2を巻き出して、断裁装置101によって、80mmの長さに断裁し、その断裁されたシュリンクフィルム2を、吸盤102によって、持ち上げ、移動させて、台紙1の所定の位置に取り付けて、台紙1に塗布された反応型ホットメルト接着剤3で接着させた。このとき、反応型ホットメルト接着剤3の温度は、50から55℃の範囲であった。
【0056】
そのシュリンクフィルム2を反応型ホットメルト接着剤3で接着させた台紙1を、押圧冷却装置11の冷却ロール111で、押圧しつつ冷却し、シュリンクフィルム付台紙を得た。
【0057】
このシュリンクフィルム付き台紙に、被包装物4として、水を充填したプラスチックボトル(総重量100g)を用意して、シュリンクフィルム付き台紙のシュリンクフィルム2の筒状の中に被包装物4を挿入して、100℃に設定したシュリンクトンネル通し、シュリンクフィルム2を収縮させるシュリンク包装を行い、被包装物4に密着させて、被包装物4のプラスチックボトルの底面と、台紙1の下端が同一平面になるように、包装体を作成し、実施例1の包装体を得た。
【0058】
<実施例2>
台紙1の用紙として、蒸着紙の代わりに、カード紙(王子製紙:PCグリーン、坪量350g/m)を用意し、台紙1を作成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の包装体を得た。
【0059】
<実施例3>
反応型ホットメルト接着剤3として湿気硬化型ホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン:170−7310)を用意して、塗布した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の包装体を得た。
【0060】
<実施例4>
台紙1の用紙として、蒸着紙の代わりに、カード紙(王子製紙:PCグリーン、坪量350g/m)を用意し、台紙1を作成し、反応型ホットメルト接着剤3として湿気硬化型ホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン:170−7310)を用意して塗布した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の包装体を得た。
【0061】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0062】
<比較例1>
反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、熱可塑性樹脂を成分とするホットメルト接着剤(東洋アドレ:P−907T−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の包装体を得た。
【0063】
<比較例2>
台紙1の用紙として、蒸着紙の代わりに、カード紙(王子製紙:PCグリーン、坪量350g/m)を用意し、台紙1を作成し、反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、熱可塑性樹脂を成分とするホットメルト接着剤(東洋アドレ:P−907T−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の包装体を得た。
【0064】
<比較例3>
反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、水系接着剤(サンデン化学:PZ−820)を用い、ホットメルトアプリケーター装置8ではなく、ローラーで塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の包装体を得た。
【0065】
<比較例4>
台紙1の用紙として、蒸着紙の代わりに、カード紙(王子製紙:PCグリーン、坪量350g/m)を用意し、台紙1を作成し、反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、水系接着剤(サンデン化学:PZ−820)を用い、ホットメルトアプリケーター装置8ではなく、ローラーで塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の包装体を得た。
【0066】
<比較例5>
反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、水系接着剤(サンデン化学:PZ−907)を用い、ホットメルトアプリケーター装置8ではなく、ローラーで塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の包装体を得た。
【0067】
<比較例6>
台紙1の用紙として、蒸着紙の代わりに、カード紙(王子製紙:PCグリーン、坪量350g/m)を用意し、台紙1を作成し、反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、水系接着剤(サンデン化学:PZ−907)を用い、ホットメルトアプリケーター装置8ではなく、ローラーで塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の包装体を得た。
【0068】
<比較例7>
反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、水系接着剤(日栄化工:AV−650Y−6)を用い、ホットメルトアプリケーター装置8ではなく、ローラーで塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例7の包装体を得た。
【0069】
<比較例8>
台紙1の用紙として、蒸着紙の代わりに、カード紙(王子製紙:PCグリーン、坪量350g/m)を用意し、台紙1を作成し、反応型ホットメルト接着剤3の代わりに、水系接着剤(日栄化工:AV−650Y−6)を用い、ホットメルトアプリケーター装置8ではなく、ローラーで塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の包装体を得た。
【0070】
<試験方法>
実施例と比較例の包装体を下記の方法で試験し、比較評価した。
【0071】
<落下試験>
実施例と比較例の包装体を、台紙1が下になるように平置きして、5℃、または、60℃に設定された環境試験庫で24時間保存した。保存後、環境試験庫より、1個ずつ取り出して、1mの高さから、コンクリート床面に正立状態で落下させ、台紙1とシュリンクフィルム2の接着状態を調べた。
【0072】
落下試験は、それぞれの包装体について、n1、n2の2個、または、n1、からn3の3個行った。それぞれ、最高10回まで落下させて、接着状態が、落下後も変わらなかったときを○とし、落下後に接着が剥がれた、または、剥がれ始めたものを×として、そのときの落下回数を括弧内に記載した。尚、環境試験庫から取り出したとき、すでに、剥がれた、または、剥がれ始めていたものは、括弧内に0回と記した。また、判定として、5℃、60℃保存のいずれかにおいて、1個でも、接着が剥がれた、または、剥がれ始めたものを、×とした。その結果を表1にまとめた。
【0073】
<高温吊下げ試験>
実施例と比較例の包装体をそれぞれ、吊下げ孔5でフックに吊下げて、50℃に設定された環境試験庫に保存し、シュリンクフィルム2が台紙1より剥がれて落下しているか、否かを観察し、落下せずに残っている個数/試験個数、として記載し、判定として、1個も落下しなかったものを○とし、1個でも落下したものを×とした。その結果を表1にまとめた。
【0074】
【表1】

以下に、実施例と比較例との比較結果について説明する。
【0075】
<比較結果>
本発明の反応型ホットメルト接着剤3を用いた包装体である実施例1〜4は、落下試験で5℃保存後、及び、60℃保存後においても、落下により、接着が剥がれた、または、剥がれ始めたものはなく、良好と判定された。また、高温吊下げ試験でも、剥がれた落下するものはなく、良好と判定され、総合しても、良好であると判断された。
【0076】
熱可塑性樹脂を成分とするホットメルト接着剤を用いた比較例1と比較例2の包装体は、5℃保存後、及び、60℃保存後の落下試験では、1個も接着が剥がれた、または、剥がれ始めたものがなく、良好と判定されたが、高温吊下げ試験では、シュリンクフィルム2が台紙1より剥がれて落下しているが出て、×と判定され、高温時に吊下げて展示することには、不向きである。
【0077】
水系接着剤を用いた、比較例3〜8は、高温吊下げ試験では、シュリンクフィルム2が台紙1より剥がれて落下しないものもあったが、落下試験で5℃保存後と、60℃保存後のいずれか、または、両方で、落下により、接着が剥がれた、または、剥がれ始めたものがあり、落下試験の結果はいずれも、判定が×となり、落下により、シュリンクフィルム2が台紙1より剥がれて落下してしまう恐れがある。
【0078】
尚、台紙1の用紙として、蒸着紙(シュリンクフィルムを接着させる表面は、ポリエチレンテレフタレートフィルム)を用いた場合と、カード紙を用いた場合で、どちらが、良好であるかの傾向は、比較例においても不明であった。いずれにしても、反応型ホットメルト接着剤3を用いた包装体であれば、台紙1が、蒸着紙であっても、カード紙であっても、問題がないこともわかった。
【符号の説明】
【0079】
1・・・台紙
2・・・シュリンクフィルム
3・・・反応型ホットメルト接着剤
31・・・粘着剤
32・・・糊
4・・・被包装物
5・・・吊下げ孔
6・・・台紙供給装置
61・・・吸盤
7・・・台紙搬送装置
8・・・ホットメルトアプリケーター装置
81・・・吐出ノズル
9・・・工程間搬送装置
10・・・シュリンクフィルム装着装置
100・・・紙管
101・・・断裁装置
102・・・吸盤
11・・・押圧冷却装置
111・・・冷却ロール
12・・・排出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙の少なくとも一主面に、被包装物をシュリンク包装したシュリンクフィルムが反応型ホットメルト接着剤を介し、取り付けられていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記反応型ホットメルト接着剤が、湿気硬化型ホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装体に用いるシュリンクフィルム付き台紙の製造方法であって、
前記台紙に、溶融させた前記反応型ホットメルト接着剤を、吐出して塗布し、その塗布した塗布部に、筒状に形成された前記シュリンクフィルムを、取り付けて、接着させることを特徴とするシュリンクフィルム付き台紙の製造方法。
【請求項4】
前記台紙に、溶融させた前記反応型ホットメルト接着剤を、吐出して塗布し、その塗布した塗布部に、筒状に形成された前記シュリンクフィルムを、前記塗布部の前記反応型ホットメルト接着剤の温度が、50から55℃の時に、取り付けて、接着させることを特徴とする請求項3に記載のシュリンクフィルム付き台紙の製造方法。
【請求項5】
前記台紙に、溶融させた前記反応型ホットメルト接着剤を、吐出して塗布し、その塗布した前記塗布部に、筒状に形成された前記シュリンクフィルムを、取り付けて、冷却ロールで押圧させて接着させることを特徴とする請求項3または4に記載のシュリンクフィルム付き台紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−121590(P2012−121590A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272487(P2010−272487)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】