包装体
【課題】包装資材や包装工程、包装体のコストを増大させることがなく、簡易な構造で、一次包装体である容器の不用意な移動によって、透明な二次包装体の外部から透視される容器入りの商品の商品価値が損なわれるのを防止することのできる包装体を提供する。
【解決手段】少なくとも正面側1aが透明な包装体本体1の上部と底部にガゼット部が形成され、上部ガゼット部によって開閉自在とされる開口部を形成。包装体本体1はガゼット部によって包装体本体1の正面側1aと背面側1bとが膨出しうるように形成され、且つ被包袋物15を包装体本体1内に収容すると、包装体本体1の正面側1aと背面側1bとが膨出することで復元力が生じ、包装体本体1の正面側1aと背面側1bとで被包装物15が挟持固定されうるような可撓性材料で包装体本体1が構成されている。
【解決手段】少なくとも正面側1aが透明な包装体本体1の上部と底部にガゼット部が形成され、上部ガゼット部によって開閉自在とされる開口部を形成。包装体本体1はガゼット部によって包装体本体1の正面側1aと背面側1bとが膨出しうるように形成され、且つ被包袋物15を包装体本体1内に収容すると、包装体本体1の正面側1aと背面側1bとが膨出することで復元力が生じ、包装体本体1の正面側1aと背面側1bとで被包装物15が挟持固定されうるような可撓性材料で包装体本体1が構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体、さらに詳しくは、化粧品、医薬品、飲料、その他の内容物を収容する容器、特に円筒状、円柱状等の容器を包装し、店頭等に陳列、展示等して容器ごと外部から透視させて展示効果を高めるとともに、化粧品、医薬品等が収容された容器の回転等の不用意な移動を阻止する、いわゆる一次包装保護のための包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧品、医薬品、飲料等は、その種類によって瓶類等の容器に収容され、そのような容器がさらに別の包装体に包装されて製品化され、市場に流通している。このような包装形態の場合、内容物である化粧品、医薬品、飲料等に対して容器は一次包装体であり、その容器を包装する包装体は二次包装体といえる。
【0003】
このような一次包装及び二次包装の形態で化粧品、医薬品、飲料等の商品が市場に流通する場合、搬送時において、一次包装体である容器が二次包装体の内部で不用意に移動することがある。特に一次包装体である容器が円筒状、円柱状等のものである場合には、二次包装体の内部で回転するおそれがあり、そのような回転による不用意な移動は、円筒状、円柱状等の容器の場合に最も可能性が高い。
【0004】
一方、化粧品、医薬品等を容器に収容して商品とする場合には、二次包装体を透明な合成樹脂等の素材で構成し、店頭等に陳列、展示等して容器ごと外部から透視させることがある。この場合には、商品の展示効果を高めることができる。
【0005】
しかしながら、上記のように回転等によって一次包装体である容器が不用意に移動すると、その一次包装体である容器の正面側に付されたラベル等の商品に関する情報表示物が、正面以外の位置に向くこととなり、その結果、透明な二次包装体の外部に透視される状態も正面以外の位置にラベル等の商品に関する情報表示物が位置することとなるので、本来展示効果を高めるために透明な二次包装体に包装された容器入りの化粧品、医薬品等の商品価値が著しく損なわれるという問題がある。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するために、たとえば下記特許文献1のような特許出願がなされている。この特許文献1は、請求項1に記載されているように、少なくとも正面側を透明又は半透明とし背面側に開口部を形成したクリアケースと、このクリアケースの正面側に正面部を配置して収納する化粧料収納容器と、表面に表面粘着層を形成したフィルム本体の一部に切込みを設けて舌片を形成し、このフィルム本体を表面粘着層を介してクリアケースの背面側に止着したときに舌片を開口部を介して化粧料収納容器の背面に止着して化粧料収納容器の回転防止を可能とした固定フィルムとからなる包装化粧品に係るものである。
【0007】
しかし、この特許文献1に開示された包装体は、表面に表面粘着層を形成したフィルム本体の一部に切込みを設けて舌片を形成し、このフィルム本体を表面粘着層を介してクリアケースの背面側に止着する構成としたものであるので、このような粘着層を具備するフィルムが包装体とは別に必要となり、包装資材が増えることになり、また包装体での被包装物の包装工程の他に、粘着層を介してフィルムを包装体に貼着する工程も必要となり、結果として包装体のコストが増大するという問題点がある。
【0008】
【特許文献1】特開2006−240647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、包装資材や包装工程を増加させることなく、従って包装体のコストを増大させることがなく、しかも簡易な構造で、一次包装体である容器の不用意な移動、特に円筒状、円柱状等の容器の回転による不用意な移動によって、透明な二次包装体の外部から透視される容器入りの商品の商品価値が損なわれるのを防止することのできる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、少なくとも正面側が透明な包装体本体1の上部と底部に、ガゼット部9、12が形成され、前記包装体本体1の上部には開口部2が形成されて、該開口部2が前記上部のガゼット部9によって開閉自在とされ、前記包装体本体1は前記上部と底部とに形成されたガゼット部9、12によって該包装体本体1の正面側と背面側とが膨出しうるように形成され、且つ前記包装体本体1の正面側と背面側とが膨出するように被包袋物15を包装体本体1内に収容した状態で前記膨出に対する復元力が生じて前記包装体本体1の正面側と背面側とで前記被包装物15が挟持固定されうるような可撓性材料で前記包装体本体1が構成されていることを特徴とする包装体を提供するものである。
【0011】
包装体本体は、好ましくは、1枚の合成樹脂製シートで構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装体は、上述のように、少なくとも正面側が透明な包装体本体の上部と底部に、ガゼット部が形成され、前記包装体本体の上部には開口部が形成されて、該開口部が前記上部のガゼット部によって開閉自在とされ、前記包装体本体は前記上部と底部とに形成されたガゼット部によって該包装体本体の正面側と背面側とが膨出しうるように形成され、且つ前記包装体本体の正面側と背面側とが膨出するように被包袋物を包装体本体内に収容した状態で前記膨出に対する復元力が生じて前記包装体本体の正面側と背面側とで前記被包装物が挟持固定されうるような可撓性材料で前記包装体本体が構成されているものであるため、上記のような包装体本体の正面側と背面側の膨出に対する復元力により、被包装物が包装体本体によって挟持固定され、それによって被包装物の不用意な移動が阻止されることとなる。
【0013】
特に、被包装物が円筒状、円柱状等の場合には、包装体本体の正面側と背面側の復元力が作用して、被包装物の不用意な回転が阻止されることとなる。その結果、被包装物が容器のような一次包装体である場合に、その容器の正面側に付されたラベル等の商品に関する情報表示物が正面以外の位置に向くことを好適に阻止することができ、その結果、透明な二次包装体の外部に透視される状態において、正面にラベル等の商品に関する情報表示物が位置することとなるので、商品の展示効果等を損なうこともないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、一実施形態の包装体について図面に従って説明する。
【0015】
(実施形態1)
一実施形態の包装体は、図4に示すように、透明な1枚の合成樹脂製シートを打ち抜き等の加工を行って所望形状に形成し、その所望形状に形成された1枚の合成樹脂製シートを、図1乃至3のような形態に折り曲げ、所定部位を接着等することによって構成された包装体本体1からなるものである。合成樹脂としては特に限定されるものではないが、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができる。この合成樹脂製シートの素材としては、可撓性を有する硬質の合成樹脂が用いられる。
【0016】
図1乃至4に示すように、包装体本体1は、正面側の一片1aと、背面側の他片1bとを具備し、その一片1aと他片1b間の上部に開口部2を有して構成されている。包装体本体1の一片1aの上部は、前記開口部2から他片1bの上部よりも延長されて延長片3が形成され、頂部の折曲部4を介して下向きに折り曲げられることによって折曲片5が形成されている。前記折曲片5の先端側には、さらにガゼット押え片6が形成され、該ガゼット押え片6には指掛孔7が穿設されている。さらに該ガゼット押え片6の先端側には、突片8が突設されている。
【0017】
一方、包装体本体1の他片1bの上部には、2つの略台形状のガゼット形成片9a、9bが連設され、折曲部9cを介して2つのガゼット形成片9a、9bを折り曲げることによって、上部のガゼット部9が形成されるように構成されている。さらに、ガゼット形成片9bの先端側には、摘み片10が突設されている。さらに、ガゼット形成片9a、9b間の折曲部9c上には、前記ガゼット押え片6の先端側に突設された突片8を差し込み可能なスリット11が形成されている。
【0018】
さらに、包装体本体1の一片1aの下部には、図4に示すように2つの略台形状のガゼット形成片12a、12bが連設され、折曲部12cを介して2つのガゼット形成片12a、12bを外向きに折り曲げることによって、図1に示すように略台形状のガゼット部12が包装体本体1の下側に突出するように形成されている。さらに、包装体本体1の他片1bの下部には、図4に示すようにガゼット形成片12bに接着することができる接着片13が連設されている。そして、この接着片13が、図1のようにガゼット形成片12bの内側に接着されることによって、底部のガゼット部12が形成されることとなる。
【0019】
包装体本体1の一片1aと他片1bは、該包装体本体1の一片1aの一側縁側において連設され、該包装体本体1の一片1aの他側縁側には、図4に示すように該包装体本体1の他片1bとの接着部分となる接着片14が連設されている。
【0020】
そして、包装体本体1の一片1aと他片1bとの連設部分において包装体本体1の一側縁が形成され、図1のように前記接着片14が他片1bの側縁の外側に接着されることによって包装体本体1の他側縁が形成されることとなる。
【0021】
このように、接着片14が他片1bの側縁の外側に接着されることで、包装体本体1の
正面側の一片1aと背面側の他片1bとが構成され、また底部のガゼット形成片12a、12bを折り曲げるとともに、他方のガゼット形成片12bに接着片13を接着し、ガゼット部12が形成されることによって本実施形態の包装体が構成されることとなる。この状態では、ガゼット形成片12a、12bは、内向きに折り込まれているのではなく、外向きに折り曲げられているだけであるので、展開された状態のガゼット部12として形成されているわけではない。また、上部のガゼット形成片9a、9bも折り曲げられてはいない。従って、包装体は、図2及び図3に示すように、全体がほぼシート状の状態とされている。
【0022】
次に、このような構成からなる包袋体を使用する場合には、図5に示すように外向きに折り曲げられていたガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込むことによって、同図のように底部のガゼット部12が少し展開された状態となる。
【0023】
このようにしてガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込み、底部のガゼット部12が少し展開させた状態で、図6に示すように被包装物15を開口部2から包装体本体1内に収容する。このとき、同図に示すように被包装物15の下部が底部のガゼット部12に接触するまで被包装物15を包装体本体1の内部に押し込む。
そして、上部のガゼット形成片9a、9bを内向きに折り込むとともに折曲片5を下向きに折り曲げ、ガゼット押え片6の先端側の突片8をスリット11に差し込むことで、前記ガゼット形成片12a、12bの折り込み状態が維持されることとなる。また、それとともにガゼット形成片12a、12bや折曲片5によって開口部2がほぼ閉じられ、包装体本体1が封緘されたような状態となって、該包装体本体1によって被包装物15が包装されることとなる。この場合、ガゼット形成片9a、9bを内向きに折り込んで形成された上部のガゼット部9が、被包装物15の上部に接触しないように、上部のガゼット部9と下部のガゼット部12間の寸法は予め設定されている。これは、上部のガゼット部9が、被包装物15の上部に接触すると、突片8をスリット11に差し込む作業に支障を生じるおそれがあり、また後述する引張応力が包装体本体1の一片1aと他片1bに好適に生じないおそれがあるからである。
被包装物としては、本実施形態では、図6及び図7に示すように、円柱状の被包装物を包装する場合について説明する。
【0024】
この場合において、包装体本体1を構成する素材として、可撓性を有する硬質の合成樹脂が用いられているため、上記のように被包装物15が包装体本体1内に収容されて包装された状態において、前記包装体本体1の正面側の一片1aと背面側の他片1bとの復元力が生じ、或いは該包装体本体1の一片1aと他片1bとに引張応力が生じ、該包装体本体1の一片1aと他片1b間で被包装物15が圧接されて挟持固定された状態となる。
【0025】
また上部のガゼット部9における折曲部9cと、下部のガゼット部12における折曲部12cとは、可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる包装体本体1の上記のような復元力が被包装物15に対して好適に作用するように、所定の寸法に設定されている。
【0026】
従って、円柱状である被包装物15は、可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる包装体本体1の一片1aと他片1bとの復元力によって前後方向から挟持固定されることとなるので、被包装物15が不用意に回転するのが阻止されることとなる。この結果、被包装物15が、たとえば化粧品、医薬品、飲料などのように、内容物を収容するとともに、その内容物に関する情報を表示する容器のようなものの場合、その容器の正面側に付されたラベル等の情報表示物が正面以外の位置に向くことを好適に阻止することができ、ひいては商品の展示効果等を損なうことも防止できる。
【0027】
(実施形態2)
本実施形態では、図10に示すように可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる透明な1枚の合成樹脂製シートを打ち抜き等の加工を行って所望形状に形成し、その所望形状に形成された1枚の合成樹脂製シートを、図8及び9のような形態に折り曲げ、所定部位を接着等することによって包装体本体1が構成されており、これらの点で実施形態1と共通する。
【0028】
また、図8乃至10に示すように、包装体本体1が正面側の一片1aと背面側の他片1bとを具備し、その一片1aと他片1b間の上部に開口部2を有しており、この点でも実施形態1と共通する。
【0029】
しかし、本実施形態においては、上記実施形態1のような延長片3や折曲片5が包装体本体1の一片1aの上部に形成されてはおらず、図8乃至図10に示すように、ガゼット押え片6が包装体本体1の一片1aの上部に直接連設されており、この点で、延長片3や折曲片5が形成されていた実施形態1と相違する。
【0030】
また本実施形態では、上記実施形態1のような指掛孔7がガゼット押え片6に穿設されてはおらず、包装体本体1の一片1aとガゼット押え片6との連設部分にスリット16が形成されており、この点においても実施形態1と相違する。
【0031】
さらに、本実施形態では、図8乃至図10に示すように、前記ガゼット押え片6の側縁及びガゼット形成片9bの側縁に、略半円状の舌片17、18が形成されており、その点においても上記実施形態1と相違する。
【0032】
ただし、ガゼット押え片6の先端側に突片8が突設されている点は実施形態1と共通する。また、包装体本体1の他片1bの上部にガゼット形成片9a、9bが形成され、該ガゼット形成片9a、9bの折曲部9c上にスリット11が形成されている点も実施形態1と共通する。
【0033】
さらに、包装体本体1の一片1aの下部に、底部のガゼット部12を形成するためのガゼット形成片12a、12bが形成されている点、該ガゼット形成片12bに接着することができる接着片13が包装体本体1の他片1bの下部に連設されている点、包装体本体1の一片1aの他側縁側に接着片14が連設されている点も実施形態1と共通する。
【0034】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、接着片14が他片1bの側縁の外側に接着されることで、包装体本体1の正面側の一片1aと背面側の他片1bとが構成され、また底部のガゼット形成片12a、12bを折り曲げることによって底部のガゼット部12が形成されるが、本実施形態では、接着片13が他方のガゼット形成片12bの外側に接着されており、この点で接着片13がガゼット形成片12bの内側に接着されていた実施形態1と相違する。
【0035】
また、上部のガゼット部9を展開状態とする場合において、上部のガゼット形成片9a、9bを内向きに折り込む点、ガゼット押え片6の先端側の突片8をスリット11に差し込む点は実施形態1と共通するが、本実施形態ではガゼット形成片9bの先端側の差込片19がスリット16に差し込まれ、この点で、実施形態1と相違する。さらに、本実施形態では、ガゼット押え片6の側縁及びガゼット形成片9bの側縁に舌片17、18が形成されており、この点においても上記実施形態1と相違する。尚、この舌片17、18は、開封時、すなわち、上部のガゼット形成片12a、12bや折曲片5、ガゼット押え片6等を引き上げて開口部2を開口状態とするときに、摘み部分として機能するものである。
【0036】
本実施形態の包袋体を使用する場合には、実施形態1と同様に、先ず外向きに折り曲げられていたガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込むことによって底部のガゼット部12が少し展開された状態とする。
【0037】
このようにして底部のガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込み、底部のガゼット部12が少し展開させた状態で、図11に示すように被包装物15を開口部2から包装体本体1内に収容し、上部のガゼット形成片9a、9bを折り曲げつつ、ガゼット形成片9bの先端側の差込片19をスリット16に差し込むとともに、ガゼット押え片6の先端側の突片8をスリット11に差し込むことで開口部2が閉じられる。
【0038】
本実施形態では、実施形態1のような延長片3や折曲片5が設けられていないが、上記図11に示すように、ガゼット押え片6の先端側の突片8がスリット11に差し込まれ、ガゼット形成片9bの先端側の差込片19がスリット16に差し込まれた状態においては、ガゼット押え片6及びガゼット形成片9a、9bによって、ほぼ開口部2が閉じられた状態となり、またガゼット押え片6によってガゼット形成片9a、9bの折り込みが維持された状態となっているので、被包装物15を包装する上において、その被包装物15が包装体本体1から不用意に飛び出す等の支障が生じるようなこともなく、また上部のガゼット部9が展開されて包装体本体1が膨出した状態が確実に維持されることとなる。
【0039】
本実施形態においても、被包装物15として、円柱状の被包装物が用いられる。また、包装体本体1が可撓性を有する硬質の合成樹脂で構成されているため、被包装物15が包装体本体1内に収容されて包装された状態において、包装体本体1の一片1aと他片1bとの復元力により、正面側及び背面側から被包装物15が挟持固定されることとなる。
【0040】
従って、円柱状である被包装物15が、可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる包装体本体1の一片1aと他片1bとの膨出に対する復元力や引張応力によって挟持固定され、被包装物15が不用意に回転するのが阻止され、内容物に関する情報を表示する容器のようなものの場合、その容器の正面側に付されたラベル等の情報表示物が正面以外の位置に向くことを好適に阻止することができ、ひいては商品の展示効果等を損なうことを防止できるという効果は、本実施形態においても、実施形態1と同様に生じることとなる。
【0041】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、包装体本体1が、1枚の合成樹脂製シートを打ち抜き等の加工を行って所望形状に形成し、その所望形状に形成された1枚の合成樹脂製シートを、折り曲げ、所定部位を接着等することによって構成されていたため、包装体本体1の構造が簡素化され、また包装資材が不必要に増加するのを防止することができるという好ましい効果が得られたが、1枚の合成樹脂製シートで包装体本体1を構成することは、本発明に必須の条件ではない。
【0042】
また、包装体本体1を構成する合成樹脂の種類も特に限定されるものではなく、上述のようにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができ、その他の合成樹脂も使用することができる。
【0043】
さらに、包装体本体1の上部の形態も、延長片3、折曲片5、ガゼット押え片6、ガゼット形成片9a、9b、摘み片10を具備する上記実施形態1のような形態のもの、或いはガゼット押え片6、ガゼット形成片9a、9b、差込片19を具備する上記実施形態2のような形態のものに限定されず、これら実施形態1、実施形態2のような形態以外のものであってもよい。
【0044】
また、包装体本体1の下部の形態も、上記実施形態1、2のように、ガゼット形成片12a、12bや接着片13を具備するような構成のものに限定されるものではない。
【0045】
要は、包装体本体1の上部及び下部にガゼット部9、12がそれぞれ形成され、該上下のガゼット部9、12によって被包装物15を挟持固定しうるように、包装体本体1が構成されていればよいのである。
【0046】
さらに、上記実施形態では、包装体本体1の一片1aの他側縁側のみに接着片14が連設されていたが、これに限らず、図12に示すように包装体本体1の一片1aの両側縁側に接着片14、14をそれぞれ連設することも可能である。この場合には、包装体本体1の一片1aと他片1bとは、同図のように底部のガゼット部12を介して縦方向に連設されることとなり、この点で一片1aと他片1bとが横方向に連設されていた上記実施形態1、2の場合と相違する。
【0047】
また、この包装体本体1においては、図12に示すように、前記底部のガゼット部12が設けられた他片1bの端部とは反対側の端部に上部のガゼット部9が形成されており、この構成においても上記実施形態1、2と相違している。
【0048】
さらに、上記実施形態1、2においては、接着片14を他片1bの側縁の外側に接着して一片1aと他片1bとを連結したが、これとは逆に、接着片14を他片1bの側縁の内側に接着して一片1aと他片1bとを連結することも可能である。
【0049】
さらに、包装体本体1の一片1aと他片1bとを連結する手段も、上記実施形態のような接着片14を接着することによって連結する手段に限定されるものではなく、他の手段によって連結することも可能である。
【0050】
さらに、上記実施形態では、包装体本体1の全体が透明に構成されていたが、全体が透明に構成されることは必ずしも必要なく、少なくとも包装体本体1の正面側が透明に構成されていればよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、被包装物として、円柱状のものを用いたが、円柱状のもの以外に、円筒状、円盤状等の形態の被包装物を用いることも可能である。尚、本発明は、このような円柱状、円筒状、円盤状等の形態の被包装物に適用することを主眼とし、それによって、可撓性素材からなる包装体本体1の復元力や引張応力により、被包装物を挟持固定することで、被包装物の不用意な回転を阻止するという好ましい効果が得られたが、このような円柱状、円筒状、円盤状等の形態の被包装物に適用することは本発明に必須の条件ではなく、これ以外の形態の被包装物に適用することも可能である。
【0052】
さらに、本発明の包装体の用途も、化粧品、医薬品、飲料等に限定されるものではなく、これ以外の雑貨等のものに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】一実施形態としての包装体の正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】一実施形態としての包装体の展開状態を示す正面図。
【図5】底部のガゼット形成片を内向きに折り込んだ状態を示す断面図。
【図6】被包装物を包装した状態の縦断面図。
【図7】被包装物を包装した状態の横断面図。
【図8】他実施形態の包装体の正面図。
【図9】図8のC−C線断面図。
【図10】他実施形態の包装体の展開状態を示す正面図。
【図11】被包装物を包装した状態の縦断面図。
【図12】さらに他の実施形態の包装体の展開状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0054】
1 包装体本体
2 開口部
9 ガゼット部
12 ガゼット部
15 被包装物
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体、さらに詳しくは、化粧品、医薬品、飲料、その他の内容物を収容する容器、特に円筒状、円柱状等の容器を包装し、店頭等に陳列、展示等して容器ごと外部から透視させて展示効果を高めるとともに、化粧品、医薬品等が収容された容器の回転等の不用意な移動を阻止する、いわゆる一次包装保護のための包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧品、医薬品、飲料等は、その種類によって瓶類等の容器に収容され、そのような容器がさらに別の包装体に包装されて製品化され、市場に流通している。このような包装形態の場合、内容物である化粧品、医薬品、飲料等に対して容器は一次包装体であり、その容器を包装する包装体は二次包装体といえる。
【0003】
このような一次包装及び二次包装の形態で化粧品、医薬品、飲料等の商品が市場に流通する場合、搬送時において、一次包装体である容器が二次包装体の内部で不用意に移動することがある。特に一次包装体である容器が円筒状、円柱状等のものである場合には、二次包装体の内部で回転するおそれがあり、そのような回転による不用意な移動は、円筒状、円柱状等の容器の場合に最も可能性が高い。
【0004】
一方、化粧品、医薬品等を容器に収容して商品とする場合には、二次包装体を透明な合成樹脂等の素材で構成し、店頭等に陳列、展示等して容器ごと外部から透視させることがある。この場合には、商品の展示効果を高めることができる。
【0005】
しかしながら、上記のように回転等によって一次包装体である容器が不用意に移動すると、その一次包装体である容器の正面側に付されたラベル等の商品に関する情報表示物が、正面以外の位置に向くこととなり、その結果、透明な二次包装体の外部に透視される状態も正面以外の位置にラベル等の商品に関する情報表示物が位置することとなるので、本来展示効果を高めるために透明な二次包装体に包装された容器入りの化粧品、医薬品等の商品価値が著しく損なわれるという問題がある。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するために、たとえば下記特許文献1のような特許出願がなされている。この特許文献1は、請求項1に記載されているように、少なくとも正面側を透明又は半透明とし背面側に開口部を形成したクリアケースと、このクリアケースの正面側に正面部を配置して収納する化粧料収納容器と、表面に表面粘着層を形成したフィルム本体の一部に切込みを設けて舌片を形成し、このフィルム本体を表面粘着層を介してクリアケースの背面側に止着したときに舌片を開口部を介して化粧料収納容器の背面に止着して化粧料収納容器の回転防止を可能とした固定フィルムとからなる包装化粧品に係るものである。
【0007】
しかし、この特許文献1に開示された包装体は、表面に表面粘着層を形成したフィルム本体の一部に切込みを設けて舌片を形成し、このフィルム本体を表面粘着層を介してクリアケースの背面側に止着する構成としたものであるので、このような粘着層を具備するフィルムが包装体とは別に必要となり、包装資材が増えることになり、また包装体での被包装物の包装工程の他に、粘着層を介してフィルムを包装体に貼着する工程も必要となり、結果として包装体のコストが増大するという問題点がある。
【0008】
【特許文献1】特開2006−240647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、包装資材や包装工程を増加させることなく、従って包装体のコストを増大させることがなく、しかも簡易な構造で、一次包装体である容器の不用意な移動、特に円筒状、円柱状等の容器の回転による不用意な移動によって、透明な二次包装体の外部から透視される容器入りの商品の商品価値が損なわれるのを防止することのできる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、少なくとも正面側が透明な包装体本体1の上部と底部に、ガゼット部9、12が形成され、前記包装体本体1の上部には開口部2が形成されて、該開口部2が前記上部のガゼット部9によって開閉自在とされ、前記包装体本体1は前記上部と底部とに形成されたガゼット部9、12によって該包装体本体1の正面側と背面側とが膨出しうるように形成され、且つ前記包装体本体1の正面側と背面側とが膨出するように被包袋物15を包装体本体1内に収容した状態で前記膨出に対する復元力が生じて前記包装体本体1の正面側と背面側とで前記被包装物15が挟持固定されうるような可撓性材料で前記包装体本体1が構成されていることを特徴とする包装体を提供するものである。
【0011】
包装体本体は、好ましくは、1枚の合成樹脂製シートで構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装体は、上述のように、少なくとも正面側が透明な包装体本体の上部と底部に、ガゼット部が形成され、前記包装体本体の上部には開口部が形成されて、該開口部が前記上部のガゼット部によって開閉自在とされ、前記包装体本体は前記上部と底部とに形成されたガゼット部によって該包装体本体の正面側と背面側とが膨出しうるように形成され、且つ前記包装体本体の正面側と背面側とが膨出するように被包袋物を包装体本体内に収容した状態で前記膨出に対する復元力が生じて前記包装体本体の正面側と背面側とで前記被包装物が挟持固定されうるような可撓性材料で前記包装体本体が構成されているものであるため、上記のような包装体本体の正面側と背面側の膨出に対する復元力により、被包装物が包装体本体によって挟持固定され、それによって被包装物の不用意な移動が阻止されることとなる。
【0013】
特に、被包装物が円筒状、円柱状等の場合には、包装体本体の正面側と背面側の復元力が作用して、被包装物の不用意な回転が阻止されることとなる。その結果、被包装物が容器のような一次包装体である場合に、その容器の正面側に付されたラベル等の商品に関する情報表示物が正面以外の位置に向くことを好適に阻止することができ、その結果、透明な二次包装体の外部に透視される状態において、正面にラベル等の商品に関する情報表示物が位置することとなるので、商品の展示効果等を損なうこともないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、一実施形態の包装体について図面に従って説明する。
【0015】
(実施形態1)
一実施形態の包装体は、図4に示すように、透明な1枚の合成樹脂製シートを打ち抜き等の加工を行って所望形状に形成し、その所望形状に形成された1枚の合成樹脂製シートを、図1乃至3のような形態に折り曲げ、所定部位を接着等することによって構成された包装体本体1からなるものである。合成樹脂としては特に限定されるものではないが、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができる。この合成樹脂製シートの素材としては、可撓性を有する硬質の合成樹脂が用いられる。
【0016】
図1乃至4に示すように、包装体本体1は、正面側の一片1aと、背面側の他片1bとを具備し、その一片1aと他片1b間の上部に開口部2を有して構成されている。包装体本体1の一片1aの上部は、前記開口部2から他片1bの上部よりも延長されて延長片3が形成され、頂部の折曲部4を介して下向きに折り曲げられることによって折曲片5が形成されている。前記折曲片5の先端側には、さらにガゼット押え片6が形成され、該ガゼット押え片6には指掛孔7が穿設されている。さらに該ガゼット押え片6の先端側には、突片8が突設されている。
【0017】
一方、包装体本体1の他片1bの上部には、2つの略台形状のガゼット形成片9a、9bが連設され、折曲部9cを介して2つのガゼット形成片9a、9bを折り曲げることによって、上部のガゼット部9が形成されるように構成されている。さらに、ガゼット形成片9bの先端側には、摘み片10が突設されている。さらに、ガゼット形成片9a、9b間の折曲部9c上には、前記ガゼット押え片6の先端側に突設された突片8を差し込み可能なスリット11が形成されている。
【0018】
さらに、包装体本体1の一片1aの下部には、図4に示すように2つの略台形状のガゼット形成片12a、12bが連設され、折曲部12cを介して2つのガゼット形成片12a、12bを外向きに折り曲げることによって、図1に示すように略台形状のガゼット部12が包装体本体1の下側に突出するように形成されている。さらに、包装体本体1の他片1bの下部には、図4に示すようにガゼット形成片12bに接着することができる接着片13が連設されている。そして、この接着片13が、図1のようにガゼット形成片12bの内側に接着されることによって、底部のガゼット部12が形成されることとなる。
【0019】
包装体本体1の一片1aと他片1bは、該包装体本体1の一片1aの一側縁側において連設され、該包装体本体1の一片1aの他側縁側には、図4に示すように該包装体本体1の他片1bとの接着部分となる接着片14が連設されている。
【0020】
そして、包装体本体1の一片1aと他片1bとの連設部分において包装体本体1の一側縁が形成され、図1のように前記接着片14が他片1bの側縁の外側に接着されることによって包装体本体1の他側縁が形成されることとなる。
【0021】
このように、接着片14が他片1bの側縁の外側に接着されることで、包装体本体1の
正面側の一片1aと背面側の他片1bとが構成され、また底部のガゼット形成片12a、12bを折り曲げるとともに、他方のガゼット形成片12bに接着片13を接着し、ガゼット部12が形成されることによって本実施形態の包装体が構成されることとなる。この状態では、ガゼット形成片12a、12bは、内向きに折り込まれているのではなく、外向きに折り曲げられているだけであるので、展開された状態のガゼット部12として形成されているわけではない。また、上部のガゼット形成片9a、9bも折り曲げられてはいない。従って、包装体は、図2及び図3に示すように、全体がほぼシート状の状態とされている。
【0022】
次に、このような構成からなる包袋体を使用する場合には、図5に示すように外向きに折り曲げられていたガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込むことによって、同図のように底部のガゼット部12が少し展開された状態となる。
【0023】
このようにしてガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込み、底部のガゼット部12が少し展開させた状態で、図6に示すように被包装物15を開口部2から包装体本体1内に収容する。このとき、同図に示すように被包装物15の下部が底部のガゼット部12に接触するまで被包装物15を包装体本体1の内部に押し込む。
そして、上部のガゼット形成片9a、9bを内向きに折り込むとともに折曲片5を下向きに折り曲げ、ガゼット押え片6の先端側の突片8をスリット11に差し込むことで、前記ガゼット形成片12a、12bの折り込み状態が維持されることとなる。また、それとともにガゼット形成片12a、12bや折曲片5によって開口部2がほぼ閉じられ、包装体本体1が封緘されたような状態となって、該包装体本体1によって被包装物15が包装されることとなる。この場合、ガゼット形成片9a、9bを内向きに折り込んで形成された上部のガゼット部9が、被包装物15の上部に接触しないように、上部のガゼット部9と下部のガゼット部12間の寸法は予め設定されている。これは、上部のガゼット部9が、被包装物15の上部に接触すると、突片8をスリット11に差し込む作業に支障を生じるおそれがあり、また後述する引張応力が包装体本体1の一片1aと他片1bに好適に生じないおそれがあるからである。
被包装物としては、本実施形態では、図6及び図7に示すように、円柱状の被包装物を包装する場合について説明する。
【0024】
この場合において、包装体本体1を構成する素材として、可撓性を有する硬質の合成樹脂が用いられているため、上記のように被包装物15が包装体本体1内に収容されて包装された状態において、前記包装体本体1の正面側の一片1aと背面側の他片1bとの復元力が生じ、或いは該包装体本体1の一片1aと他片1bとに引張応力が生じ、該包装体本体1の一片1aと他片1b間で被包装物15が圧接されて挟持固定された状態となる。
【0025】
また上部のガゼット部9における折曲部9cと、下部のガゼット部12における折曲部12cとは、可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる包装体本体1の上記のような復元力が被包装物15に対して好適に作用するように、所定の寸法に設定されている。
【0026】
従って、円柱状である被包装物15は、可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる包装体本体1の一片1aと他片1bとの復元力によって前後方向から挟持固定されることとなるので、被包装物15が不用意に回転するのが阻止されることとなる。この結果、被包装物15が、たとえば化粧品、医薬品、飲料などのように、内容物を収容するとともに、その内容物に関する情報を表示する容器のようなものの場合、その容器の正面側に付されたラベル等の情報表示物が正面以外の位置に向くことを好適に阻止することができ、ひいては商品の展示効果等を損なうことも防止できる。
【0027】
(実施形態2)
本実施形態では、図10に示すように可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる透明な1枚の合成樹脂製シートを打ち抜き等の加工を行って所望形状に形成し、その所望形状に形成された1枚の合成樹脂製シートを、図8及び9のような形態に折り曲げ、所定部位を接着等することによって包装体本体1が構成されており、これらの点で実施形態1と共通する。
【0028】
また、図8乃至10に示すように、包装体本体1が正面側の一片1aと背面側の他片1bとを具備し、その一片1aと他片1b間の上部に開口部2を有しており、この点でも実施形態1と共通する。
【0029】
しかし、本実施形態においては、上記実施形態1のような延長片3や折曲片5が包装体本体1の一片1aの上部に形成されてはおらず、図8乃至図10に示すように、ガゼット押え片6が包装体本体1の一片1aの上部に直接連設されており、この点で、延長片3や折曲片5が形成されていた実施形態1と相違する。
【0030】
また本実施形態では、上記実施形態1のような指掛孔7がガゼット押え片6に穿設されてはおらず、包装体本体1の一片1aとガゼット押え片6との連設部分にスリット16が形成されており、この点においても実施形態1と相違する。
【0031】
さらに、本実施形態では、図8乃至図10に示すように、前記ガゼット押え片6の側縁及びガゼット形成片9bの側縁に、略半円状の舌片17、18が形成されており、その点においても上記実施形態1と相違する。
【0032】
ただし、ガゼット押え片6の先端側に突片8が突設されている点は実施形態1と共通する。また、包装体本体1の他片1bの上部にガゼット形成片9a、9bが形成され、該ガゼット形成片9a、9bの折曲部9c上にスリット11が形成されている点も実施形態1と共通する。
【0033】
さらに、包装体本体1の一片1aの下部に、底部のガゼット部12を形成するためのガゼット形成片12a、12bが形成されている点、該ガゼット形成片12bに接着することができる接着片13が包装体本体1の他片1bの下部に連設されている点、包装体本体1の一片1aの他側縁側に接着片14が連設されている点も実施形態1と共通する。
【0034】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、接着片14が他片1bの側縁の外側に接着されることで、包装体本体1の正面側の一片1aと背面側の他片1bとが構成され、また底部のガゼット形成片12a、12bを折り曲げることによって底部のガゼット部12が形成されるが、本実施形態では、接着片13が他方のガゼット形成片12bの外側に接着されており、この点で接着片13がガゼット形成片12bの内側に接着されていた実施形態1と相違する。
【0035】
また、上部のガゼット部9を展開状態とする場合において、上部のガゼット形成片9a、9bを内向きに折り込む点、ガゼット押え片6の先端側の突片8をスリット11に差し込む点は実施形態1と共通するが、本実施形態ではガゼット形成片9bの先端側の差込片19がスリット16に差し込まれ、この点で、実施形態1と相違する。さらに、本実施形態では、ガゼット押え片6の側縁及びガゼット形成片9bの側縁に舌片17、18が形成されており、この点においても上記実施形態1と相違する。尚、この舌片17、18は、開封時、すなわち、上部のガゼット形成片12a、12bや折曲片5、ガゼット押え片6等を引き上げて開口部2を開口状態とするときに、摘み部分として機能するものである。
【0036】
本実施形態の包袋体を使用する場合には、実施形態1と同様に、先ず外向きに折り曲げられていたガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込むことによって底部のガゼット部12が少し展開された状態とする。
【0037】
このようにして底部のガゼット形成片12a、12bを内向きに折り込み、底部のガゼット部12が少し展開させた状態で、図11に示すように被包装物15を開口部2から包装体本体1内に収容し、上部のガゼット形成片9a、9bを折り曲げつつ、ガゼット形成片9bの先端側の差込片19をスリット16に差し込むとともに、ガゼット押え片6の先端側の突片8をスリット11に差し込むことで開口部2が閉じられる。
【0038】
本実施形態では、実施形態1のような延長片3や折曲片5が設けられていないが、上記図11に示すように、ガゼット押え片6の先端側の突片8がスリット11に差し込まれ、ガゼット形成片9bの先端側の差込片19がスリット16に差し込まれた状態においては、ガゼット押え片6及びガゼット形成片9a、9bによって、ほぼ開口部2が閉じられた状態となり、またガゼット押え片6によってガゼット形成片9a、9bの折り込みが維持された状態となっているので、被包装物15を包装する上において、その被包装物15が包装体本体1から不用意に飛び出す等の支障が生じるようなこともなく、また上部のガゼット部9が展開されて包装体本体1が膨出した状態が確実に維持されることとなる。
【0039】
本実施形態においても、被包装物15として、円柱状の被包装物が用いられる。また、包装体本体1が可撓性を有する硬質の合成樹脂で構成されているため、被包装物15が包装体本体1内に収容されて包装された状態において、包装体本体1の一片1aと他片1bとの復元力により、正面側及び背面側から被包装物15が挟持固定されることとなる。
【0040】
従って、円柱状である被包装物15が、可撓性を有する硬質の合成樹脂からなる包装体本体1の一片1aと他片1bとの膨出に対する復元力や引張応力によって挟持固定され、被包装物15が不用意に回転するのが阻止され、内容物に関する情報を表示する容器のようなものの場合、その容器の正面側に付されたラベル等の情報表示物が正面以外の位置に向くことを好適に阻止することができ、ひいては商品の展示効果等を損なうことを防止できるという効果は、本実施形態においても、実施形態1と同様に生じることとなる。
【0041】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、包装体本体1が、1枚の合成樹脂製シートを打ち抜き等の加工を行って所望形状に形成し、その所望形状に形成された1枚の合成樹脂製シートを、折り曲げ、所定部位を接着等することによって構成されていたため、包装体本体1の構造が簡素化され、また包装資材が不必要に増加するのを防止することができるという好ましい効果が得られたが、1枚の合成樹脂製シートで包装体本体1を構成することは、本発明に必須の条件ではない。
【0042】
また、包装体本体1を構成する合成樹脂の種類も特に限定されるものではなく、上述のようにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができ、その他の合成樹脂も使用することができる。
【0043】
さらに、包装体本体1の上部の形態も、延長片3、折曲片5、ガゼット押え片6、ガゼット形成片9a、9b、摘み片10を具備する上記実施形態1のような形態のもの、或いはガゼット押え片6、ガゼット形成片9a、9b、差込片19を具備する上記実施形態2のような形態のものに限定されず、これら実施形態1、実施形態2のような形態以外のものであってもよい。
【0044】
また、包装体本体1の下部の形態も、上記実施形態1、2のように、ガゼット形成片12a、12bや接着片13を具備するような構成のものに限定されるものではない。
【0045】
要は、包装体本体1の上部及び下部にガゼット部9、12がそれぞれ形成され、該上下のガゼット部9、12によって被包装物15を挟持固定しうるように、包装体本体1が構成されていればよいのである。
【0046】
さらに、上記実施形態では、包装体本体1の一片1aの他側縁側のみに接着片14が連設されていたが、これに限らず、図12に示すように包装体本体1の一片1aの両側縁側に接着片14、14をそれぞれ連設することも可能である。この場合には、包装体本体1の一片1aと他片1bとは、同図のように底部のガゼット部12を介して縦方向に連設されることとなり、この点で一片1aと他片1bとが横方向に連設されていた上記実施形態1、2の場合と相違する。
【0047】
また、この包装体本体1においては、図12に示すように、前記底部のガゼット部12が設けられた他片1bの端部とは反対側の端部に上部のガゼット部9が形成されており、この構成においても上記実施形態1、2と相違している。
【0048】
さらに、上記実施形態1、2においては、接着片14を他片1bの側縁の外側に接着して一片1aと他片1bとを連結したが、これとは逆に、接着片14を他片1bの側縁の内側に接着して一片1aと他片1bとを連結することも可能である。
【0049】
さらに、包装体本体1の一片1aと他片1bとを連結する手段も、上記実施形態のような接着片14を接着することによって連結する手段に限定されるものではなく、他の手段によって連結することも可能である。
【0050】
さらに、上記実施形態では、包装体本体1の全体が透明に構成されていたが、全体が透明に構成されることは必ずしも必要なく、少なくとも包装体本体1の正面側が透明に構成されていればよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、被包装物として、円柱状のものを用いたが、円柱状のもの以外に、円筒状、円盤状等の形態の被包装物を用いることも可能である。尚、本発明は、このような円柱状、円筒状、円盤状等の形態の被包装物に適用することを主眼とし、それによって、可撓性素材からなる包装体本体1の復元力や引張応力により、被包装物を挟持固定することで、被包装物の不用意な回転を阻止するという好ましい効果が得られたが、このような円柱状、円筒状、円盤状等の形態の被包装物に適用することは本発明に必須の条件ではなく、これ以外の形態の被包装物に適用することも可能である。
【0052】
さらに、本発明の包装体の用途も、化粧品、医薬品、飲料等に限定されるものではなく、これ以外の雑貨等のものに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】一実施形態としての包装体の正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】一実施形態としての包装体の展開状態を示す正面図。
【図5】底部のガゼット形成片を内向きに折り込んだ状態を示す断面図。
【図6】被包装物を包装した状態の縦断面図。
【図7】被包装物を包装した状態の横断面図。
【図8】他実施形態の包装体の正面図。
【図9】図8のC−C線断面図。
【図10】他実施形態の包装体の展開状態を示す正面図。
【図11】被包装物を包装した状態の縦断面図。
【図12】さらに他の実施形態の包装体の展開状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0054】
1 包装体本体
2 開口部
9 ガゼット部
12 ガゼット部
15 被包装物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正面側が透明な包装体本体(1)の上部と底部に、ガゼット部(9)、(12)が形成され、前記包装体本体(1)の上部には開口部(2)が形成されて、該開口部(2)が前記上部のガゼット部(9)によって開閉自在とされ、前記包装体本体(1)は前記上部と底部とに形成されたガゼット部(9)、(12)によって該包装体本体(1)の正面側と背面側とが膨出しうるように形成され、且つ前記包装体本体(1)の正面側と背面側とが膨出するように被包袋物(15)を包装体本体(1)内に収容した状態で前記膨出に対する復元力により前記包装体本体(1)の正面側と背面側とで前記被包装物(15)が挟持固定されうるような可撓性材料で前記包装体本体(1)が構成されていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
包装体本体(1)が1枚の合成樹脂製シートで構成されている請求項1記載の包装体。
【請求項1】
少なくとも正面側が透明な包装体本体(1)の上部と底部に、ガゼット部(9)、(12)が形成され、前記包装体本体(1)の上部には開口部(2)が形成されて、該開口部(2)が前記上部のガゼット部(9)によって開閉自在とされ、前記包装体本体(1)は前記上部と底部とに形成されたガゼット部(9)、(12)によって該包装体本体(1)の正面側と背面側とが膨出しうるように形成され、且つ前記包装体本体(1)の正面側と背面側とが膨出するように被包袋物(15)を包装体本体(1)内に収容した状態で前記膨出に対する復元力により前記包装体本体(1)の正面側と背面側とで前記被包装物(15)が挟持固定されうるような可撓性材料で前記包装体本体(1)が構成されていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
包装体本体(1)が1枚の合成樹脂製シートで構成されている請求項1記載の包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−173299(P2009−173299A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11755(P2008−11755)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
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