説明

包装容器

【課題】本発明の目的は、物品を外部から確認でき、再利用が可能な包装容器を提供することにある。
【解決手段】包装容器10は、物品12の一部を覆う板紙14、物品12および板紙14を収納する袋16を備える。板紙14は折り曲げられ、板紙14が物品12をカバーする。板紙14は、物品12の全てを覆うのではなく、物品12が外部から視認できるように覆う。板紙14は、袋16から取り出された後、箱体20に変形可能である。物品12の購入などの時には物品12を確認することが可能であり、かつ板紙14の再利用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物をはじめとした物品を収納する包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品などを包装するための包装容器が種々開発され、開示されている(下記の特許文献など)。従来の包装容器は板紙を使用して箱体を形成し、箱体の中に物品を収納する。そして、その状態で顧客に販売をおこなう。販売の際、箱体の外面に文字、写真、絵などを使用して内容物が分かるようにしている。
【0003】
しかし、箱体に印刷された写真などよりも、実際の物品が確認できる方が安心して購入できる。また、箱体を別途再利用できる方が環境負荷を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2729597号公報
【特許文献2】実用新案登録第3026669号公報
【特許文献3】実公平4−33221号公報
【特許文献4】実公平2−48337号公報
【特許文献5】実公昭61−3779号公報
【特許文献6】特開2009−107694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、物品を外部から確認でき、再利用が可能な包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装容器は、両端を有し、箱体を形成するための折り曲げ線、切り込み線、および切り取り線が形成された板紙と、前記板紙と共に物品を包装する透視材料からなる袋とを備える。前記物品の包装時に、板紙が物品を囲むように、該板紙の両端が互いに対向するように折り曲げまたは湾曲させ、該両端の間に内容物が露出するように隙間を形成し、物品の取り出し後に板体を箱体に変形できる。板紙は2種類の形状にされる。
【0007】
前記折り曲げ線は、前記物品を囲むように板紙を折り曲げるための第1折り曲げ線と、前記箱体に変形させるための第2折り曲げ線とを備える。板紙は、2種類の折り曲げ線を備える。
【0008】
前記板紙の少なくとも片面に耐水処理および耐油処理が施されている。板紙が物品の水分などで破損しないようにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、板紙の両端で形成された隙間から物品を視認することができ、物品の購入などの時には物品を確認することが可能である。購入時などの安心感を高められる。また、板紙には折り曲げ線、切り込み線、および切り取り線が設けられているため、箱体に容易に変形することが可能である。袋から物品を取り出し後、板紙を箱体に変形させて物品を保管することができる。別途保管容器が必要とならないため、環境への負荷が小さい。袋に入っていた物品の保管以外にも他の物品の収納箱として、再利用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の包装容器の外観を示す図である。
【図2】板紙が箱体に変形した図である。
【図3】板紙の折り曲げ線、切り取り線、切り込み線を示す図である。
【図4】板紙を箱体に変形させる途中の図である。
【図5】天部で蓋をするときの図である。
【図6】箱体の他の状態を示す図であり、(a)は側部を曲面にした箱体の図であり、(b)は天部を曲面にした箱体の図である。
【図7】飲料容器を収納した包装容器の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の包装容器について図面を使用して説明する。図面は模式的に示したものであり、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0012】
図1に示すように、包装容器10は、物品12の一部を覆う板紙14、物品12および板紙14を収納する袋16を備える。収納される物品12は、パンなどの通常の食品、農作物、冷凍食品、飲料が入った容器、日用品など限定されない。
【0013】
板紙14は紙器用板紙などとして用いられる多層抄き(積層紙)の板紙である。食品を収納することを考慮して、板紙14はフッ素系樹脂で耐水処理および耐油処理の施されたものを使用するのが好ましい。少なくとも物品12が接する側の面にこれらの処理を施すが、両面に施しても良い。また、物品12の種類に応じて耐水処理または耐油処理のいずれか一方でも良い。さらに、板紙14は抗菌処理の施されたものであっても良い。
【0014】
長方形の板紙14が折り曲げられ、物品12をカバーする。板紙14は、物品12の全てを覆うのではなく、物品12の一部を露出させるようにする。図1では、板紙14の3箇所を折り曲げ、かつ板紙14の両端を対向させて隙間dを形成している。両端が重ならないため、隙間dから物品12を視認できる。板紙14で物品12をカバーすることによって物品12を保護するのと同時に、物品12を視認できる。
【0015】
袋16はポリエチレンやポリ塩化ビニルなどの透視材料で形成される。袋16は透明または半透明であり、外部から内部を視認可能である。テープ18やひもなどで袋12を密封する。また、袋12の開口部分を接着剤で閉じるようにしても良い。袋16は、できる限り板紙14にフィットさせて、物品12が板紙14からずれないようにする。
【0016】
板紙14は、袋16から取り出された後、図2に示す箱体20に変形可能である。そのために、板紙14には、板紙14が箱体20になったときに底部22、前側部24、後側部26、右側部28、左側部30、天部32、内フラップ部34、前フラップ部36、第1差し込み部38、第2差し込み部40となる各部がある(図3参照)。前側部24、後側部26、右側部28、および左側部30は、図2のように、箱体20になったときの位置に基づいた名称である。
【0017】
板紙14には、折り曲げ線a、切り込み線b、および切り取り線cを有する。折り曲げ線aで板紙14を簡単に折り曲げることができる。切り込み線bおよび切り取り線cは、ミシン目のような状態の線であり、箱体20にされるときに板紙14の一部が切り取られたり、切り込みが入れられたりされる。袋16に入れられるとき、板紙14の各部は一体となっている。図3では、説明の便宜上、切り込み線bと切り取り線cを太線で表している。
【0018】
箱体20を形成するため、底部22、前側部24、後側部26、右側部28、左側部30、および天部32は長方形である。また、箱体20になったときに対向する部分は、それぞれ同形状である。底部22の四辺に対して前側部24、後側部26、右側部28、左側部30が接続されている。後側部26において、底部22と反対側に天部32が接続されている。底部22、前側部24、後側部26、右側部28、左側部30、および天部32は、折り曲げ線aを介して接続される。
【0019】
右側部28と左側部30には、折り曲げ線aを介して連結部42が接続されている。連結部42は、箱体20に変形する際、切り込み線bによって切り込みを設けることによって、前側部24、後側部26、第1差し込み部38、内フラップ部34から分離される。また、各連結部42には1本の切り込み線bxが設けられている。箱体20にするときに、切り込み線bx同士を交差させながら、連結部42の一部が重ね合わされる(図4参照)。連結部42は、箱体20の状態で前側部24と後側部26と重なる。
【0020】
天部32と第1差し込み部38が折り曲げ線aを介して接続されている。前側部24と内フラップ部34とが折り曲げ線aを介して接続されており、折り曲げ線aの中央部分に切り込み線bが設けられている。右側部28または左側部30と内フラップ部34のエッジとの間に第1差し込み部38が挟み込まれ(図5参照)、簡単に天部32が開かないようになる。第1差し込み部38は2段になっており、内フラップ部34と接する部分の長さを長くし、天部32が抜けにくくしている。また、第1差し込み部38は、テーパーを設けたり、角を円弧状にしたりして、差し込みやすくしている。
【0021】
天部32において、後側部26とは反対側に前フラップ部36が接続されている。前フラップ部36における、天部20との接続部中央に第2差し込み部40が設けられ、前フラップ部36と第2差し込み部40は切り込み線bで分離できる。箱体20の状態では、第2差し込み部40は前側部24と内フラップ部34との境界中央の切り込み線bに差し込まれる。箱体20の状態では前側部24と連結部42とが重なっており、第2差し込み部40は、前側部24と連結部42との間に入り込み、抜けにくくなる。天部32が蓋の役割を果たす。
【0022】
前フラップ部36と第1差し込み部38とで囲まれる角部44は、箱体20に変形させるときに、切り取り線cから分離される。角部44は、箱体20の一部にはならない。
【0023】
図3に示すように、板紙14は、各角を円弧状にして、物品12を傷つけたりしないようにしている。
【0024】
板紙14は、袋16に収納された状態と箱体20の状態との2種類の状態になるため、折り曲げ線aも2種類となる。袋16に収納したときの状態にするための第1折り曲げ線a1と箱体20にするための第2折り曲げ線a2である。天部32とその両側の第1差し込み部32の中央を貫くように第1折り曲げ線a1が設けられている。また、後側部26と天部32との境界、底部22と前側部24との境界、前側部24と内フラップ部34との境界となっている折り曲げ線aは、第1折り曲げ線a1と第2折り曲げ線a2が一致している。他の折り曲げ線aは第2折り曲げ線a2となっている。板紙14に2種類の折り曲げ線a1,a2が設けられることによって、板紙14が2種類の形状に変形させることができる。
【0025】
板紙14を箱体20に変形させることによって、板紙14を再利用することが可能となる。袋16の中に収納されていた物品12を箱体20の中に収納しても良いし、他の物品を箱体20に収納しても良い。そのため、板紙14には、袋20に収納された物品12の内容を印刷表示しても良いし、その以外の文字、絵、模様などを印刷表示しても良い。収納された物品12の内容を記載したシールなどを袋16に貼り付けても良い。
【0026】
以上のように、本発明は板紙14を2種類の形態に変形させることが可能であるため、物品12の購入などの時には物品12を確認することが可能であり、かつ板紙14の再利用が可能である。購入時などの内容物に対する安心感と環境への負荷を小さくできる。物品12の保管に箱体20を使用すれば、別途保管容器を購入する必要はない。箱体20に収納する物品は、袋16に入っていた物品12に限定されないため、使用用途が広くなる。
【0027】
以上、本発明について実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。箱体20の形状は、直方体に限定されず、立方体や錐体であっても良い。また、折り曲げ線a1,a2、切り込み線b、および切り取り線cの位置を適宜設定することによって、図6(a)、(b)に示すような曲面を有する箱体20b、20cにすることもできる。
【0028】
図7に示すように、飲料の入った瓶、ペットボトル、缶などの容器12bを収納する場合、板紙14bを容器12bの周囲に巻き付けるように湾曲させても良い。この場合も板紙14bの両端同士が重ならないようにして、容器12bの一部が見えるようにする。板紙14bの折り曲げ線aは、第1折り曲a1げ線が設けられず、箱体20を形成するための第2折り曲げ線a2のみとなる。
【0029】
袋16は物品12を完全に密封できるものではなく、網状の袋であっても良い。隙間から物品12を視認できるようにする。板紙14は、物品12の形状に応じて折り曲げと湾曲を適宜選択して、物品12を囲むようにする。
【0030】
1枚の板紙14から1種類の箱体20が形成されるのではなく、複数の箱体20が形成できるようにしても良い。いずれの箱体20にするかを選択して、板紙14から箱体20に変形させる。そのために、複数の箱体20に応じた折り曲げ線a、切り込み線b、および切り取り線cを設ける。
【0031】
また、1枚の板紙14を複数に分割し、分割された各部で箱体20を形成できるようにしても良い。1枚の板紙14から複数個の箱体20を形成することができる。
【0032】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0033】
10:包装容器
12:物品
14:板紙
16:袋
18:テープ
20:箱体
22:底部
24:前側部
26:後側部
28:右側部
30:左側部
32:天部
34:内フラップ部
36:前フラップ部
38:第1差し込み部
40:第2差し込み部
42:連結部
44:角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装する包装容器であって、
両端を有し、箱体を形成するための折り曲げ線、切り込み線、および切り取り線が形成された板紙と、
前記板紙と共に物品を包装する透視材料からなる袋と、
を備え、
前記物品の包装時に、板紙が物品を囲むように、該板紙の両端が互いに対向するように折り曲げまたは湾曲させ、該両端の間に内容物が露出するように隙間を形成し、物品の取り出し後に板紙を箱体に変形できる包装容器。
【請求項2】
前記折り曲げ線が、
前記物品を囲むように板紙を折り曲げるための第1折り曲げ線と、
前記箱体に変形させるための第2折り曲げ線と、
を備えた請求項1の包装容器。
【請求項3】
前記板紙の少なくとも片面に耐水処理および耐油処理が施されている請求項1または2の包装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−98751(P2011−98751A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254295(P2009−254295)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(309038410)株式会社ハート・フーズ (1)
【Fターム(参考)】