説明

包装用フィルムシート

【課題】分離用補強線を介して分離される包装用フィルムが、分離用補強線が延びる方向に複数連続してなる包装用フィルムシートにおいて、包装用フィルム単位に破断される際の破断領域がずれることを考慮しながらも、連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合に裂けにくく、かつ、包装用フィルム単位に破断した後に包装用フィルムを分離用補強線によって分離しやすくする。
【解決手段】ティアテープ6を介して2つに分離される包装用フィルム3が、ティアテープ6が延びる方向に複数連続してなる包装用フィルムシート1において、ティアテープ6の両側に沿う領域のうち複数の包装用フィルム3の境界を含む領域に、ティアテープ6が延びる方向に配列した複数の切り込み7a〜7dを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離用補強線を介して分離される包装用フィルムが連続してなる包装用フィルムシートに関し、特に、包装用フィルム単位に破断された場合に、分離用補強線によって分離を開始する開始端を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、苺や葡萄等の食料品を透明なプラスチック容器に入れて販売することが行われている。このようなプラスチック容器は、開口面を有しており、この開口面から食料品を入れた後、開口面を包装用フィルムでラッピングすることにより、食料品がプラスチック容器からこぼれ落ちないようにして販売される。このような包装用フィルムは、例えば、包装用フィルムが連続した包装用フィルムシートを用い、この包装用フィルムシートを熱によって破断することによって作製されている。
【0003】
上述したような包装用フィルムにおいては、包装後に開封しやすくするために開封用テープを用いて2つに分離可能な構成とすることが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。開封用テープは、分離用補強線として設けられ、包装用フィルムを構成するフィルムにティアテープを貼り付けたり、印刷を施したりすることにより、破断力が強い部分を形成することができ、それにより、包装用フィルムを2つにきれいに分離可能としている。
【0004】
このように開封用テープを用いた場合、開封用テープの端部を摘みやすい構成としておくことが好ましい。そこで、上述したように包装用フィルムが連続した包装用フィルムシートにおいて、開封用テープの両側に沿う領域のうち包装用フィルムの境界部分に予め切り込みを入れておくことが考えられる。
【0005】
図6は、包装用フィルムが連続してなる包装用フィルムシートの一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は表面図である。
【0006】
本例における包装用フィルムシートは図6に示すように、透明な材料からなる複数の包装用フィルム603が連続したウェブ状のものであり、芯材602に巻き取られた状態となっている。包装用フィルムシート601の裏面には、包装用フィルムシート601の連続方向の両側部に沿って粘着剤が塗布されており、それにより、包装用フィルムシート601の連続方向の両側部に沿った領域が貼着部604となっている。また、包装用フィルムシート601の裏面には、包装用フィルムシート601の連続方向に延びた分離用補強線となるティアテープ606が貼着されており、これは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の切断が困難な材料から構成されている。そして、包装用フィルムシート601のティアテープ606の両側に沿う領域のうち包装用フィルム603の境界部分に、包装用フィルムシート601の連続方向に延びたカット部605が形成されている。
【0007】
上記のように構成された包装用フィルムシート601は、包装用フィルム603の境界部分を熱によって破断して包装用フィルム603として用いられる。包装用フィルムシート601が破断されてなる包装用フィルム603は、食料品等が入れられた容器の開口面を覆うようにして貼着部604によって容器に貼着され、その後、包装用フィルム603がティアテープ606によって2つに分離されることにより、容器に入れられた食料品等が取り出されることになる。ここで、包装用フィルム603の境界部分には、ティアテープ606の両側に沿うようにカット部605が形成されているため、包装用フィルムシート601を包装用フィルム603単位に破断すると、包装用フィルム603の破断辺においてティアテープ606が貼着された領域のみを捲り上げることができるようになり、ティアテープ606による包装用フィルム603の分離開始端部が摘みやすくなる。このカット部605においては、包装用フィルムシート601を包装用フィルム603単位に破断する処理を手作業で行う場合等にその破断領域がずれることを考慮して、一定以上の長さをもって形成しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】意匠登録第1382747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7は、図6に示した包装用フィルムシート601に対して包装用フィルムシート601の連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合の作用を説明するための図である。
【0010】
図6に示した包装用フィルムシート601においては、上述したように、包装用フィルムシート601を包装用フィルム603単位に破断した際にティアテープ606による分離開始端部を摘みやすくするために、ティアテープ606の両側に沿う領域に、包装用フィルムシート601の連続方向に延びたカット部605が形成されている。ところが、そのカット部605が、上述したように、包装用フィルムシート601を包装用フィルム603単位に破断する際にその破断領域がずれることを考慮して一定以上の長さを有するものとなっているため、包装用フィルムシート601に対して連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合、図7に示すように、包装用フィルムシート601がカット部605から裂けてしまうという問題点がある。
【0011】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、分離用補強線を介して分離される包装用フィルムが、分離用補強線が延びる方向に複数連続してなる包装用フィルムシートにおいて、包装用フィルム単位に破断される際の破断領域がずれることを考慮しながらも、連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合に裂けにくく、かつ、包装用フィルム単位に破断した後に包装用フィルムを分離用補強線によって分離しやすくすることができる包装用フィルムシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、
分離用補強線を介して分離される包装用フィルムが、前記分離用補強線が延びる方向に複数連続してなる包装用フィルムシートにおいて、
前記分離用補強線の両側に沿う領域のうち前記複数の包装用フィルムの境界を含む領域に、前記分離用補強線が延びる方向に配列した複数の切り込みを有する。
【0013】
上記のように構成された本発明においては、包装用フィルムを分離するための分離用補強線の両側に沿う領域のうち複数の包装用フィルムの境界を含む領域に切り込みが設けられているので、包装用フィルムシートが包装用フィルム単位に破断された後、この切り込みによって分離用補強線による分離開始端部から包装用フィルムを分離しやすくなる。また、この切り込みが、分離用補強線が延びる方向に配列して複数設けられているので、包装用フィルム単位に破断される際の破断領域がずれたとしても、分離用補強線による分離開始端部から包装用フィルムを分離しやすくなる効果を維持できる。また、切り込みを複数設けることによって、包装用フィルム単位に破断される際の破断領域のずれが考慮されているので、連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合に裂けにくくすることができる。
【0014】
また、複数の切り込みが、分離用補強線が延びる方向に延びた形状を有し、その一方側の端部から分離用補強線が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、その切り込みに対して前記一方側にて隣接する切り込みに交差するように配置されている構成とすれば、包装用フィルムシートを包装用フィルム単位に破断した場合に、その破断辺には必ず切り込みが存在することとなり、それにより、包装用フィルムの破断辺において分離用補強線が設けられた領域のみを捲り上げることができるようになり、分離用補強線による包装用フィルムの分離開始端部が摘みやすくなる。
【0015】
また、上述した包装用フィルムシートが破断されてなる包装用フィルムとしては、包装用フィルムシートが破断された破断辺には、分離用補強線の両側に沿う領域に複数の切り込みの少なくとも一部が配置されている構成となることが考えられる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明においては、包装用フィルムを分離するための分離用補強線の両側に沿う領域のうち複数の包装用フィルムの境界を含む領域に切り込みを有する構成としたため、包装用フィルムシートが包装用フィルム単位に破断された後、この切り込みによって分離用補強線による分離開始端部から包装用フィルムを分離しやすくすることができ、また、この切り込みが、分離用補強線が延びる方向に配列して複数設けられているため、包装用フィルム単位に破断される際の破断領域がずれたとしても、分離用補強線による分離開始端部から包装用フィルムを分離しやすくなる効果を維持でき、かつ、連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合に裂けにくくすることができる。
【0017】
また、複数の切り込みが、分離用補強線が延びる方向に延びた形状を有し、その一方側の端部から分離用補強線が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、その切り込みに対して前記一方側にて隣接する切り込みに交差するように配置されている構成としたものにおいては、包装用フィルムシートを包装用フィルム単位に破断した場合に、その破断辺には必ず切り込みが存在することとなり、それにより、包装用フィルムの破断辺において分離用補強線が設けられた領域のみを捲り上げることができるようになり、分離用補強線による包装用フィルムの分離開始端部を摘みやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の包装用フィルムシートの実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は表面図、(c)は(a),(b)に示した分離開始端形成部の詳細な構成を示す図である。
【図2】図1に示した包装用フィルムシートを包装用フィルム単位に断裁した時までの作用を説明するための図であり、(a)は包装用フィルムシートに対して包装用フィルムシートの連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合の作用を説明するための図、(b)は包装用フィルムシートを包装用フィルム単位に断裁した際の包装用フィルムの破断辺の状態を示す図である。
【図3】図1に示した包装用フィルムシートが破断された包装用フィルムの使用時の作用を説明するための図であり、(a)は包装用フィルムの使用状態を示す図、(b)は包装用フィルムを2つに分離し始める状態を示す図、(c)は包装用フィルムが2つに分離していく際の分離開始端形成部の状態を示す図、(d)は包装用フィルムがティアテープによって2つに分離していく状態を示す図である。
【図4】図1に示した分離開始端形成部の他の実施の形態を示す図である。
【図5】図4に示した分離開始端形成部にて包装用シートが分離していく状態を示す図である。
【図6】包装用フィルムが連続してなる包装用フィルムシートの一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は表面図である。
【図7】図6に示した包装用フィルムシートに対して包装用フィルムシートの連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の包装用フィルムシートの実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は表面図、(c)は(a),(b)に示した分離開始端形成部5の詳細な構成を示す図である。
【0021】
本形態は図1に示すように、透明な材料からなる複数の包装用フィルム3が連続したウェブ状のものであり、芯材2に巻き取られた状態となっている。包装用フィルムシート1の裏面には、包装用フィルムシート1の連続方向の両側部に沿って粘着剤が塗布されており、それにより、包装用フィルムシート1の連続方向の両側部に沿った領域が貼着部4となっている。また、包装用フィルムシート1の裏面には、包装用フィルムシート1の連続方向、すなわち、包装用フィルム3が連続した方向に延びた分離用補強線となるティアテープ6が貼着されており、これは、PET等の切断が困難な材料から構成されている。そして、包装用フィルムシート1のティアテープ6の両側に沿う領域のうち包装用フィルム3の境界部分に、包装用フィルムシート1の連続方向に延びた分離開始端形成部5が設けられている。この分離開始端形成部5は、包装用フィルムシート1の連続方向、すなわちティアテープ6が延びる方向に配列した4つの切り込み7a〜7dから構成されている。それにより、包装用フィルムシート1のティアテープ6の両側に沿う領域のうち包装用フィルム3の境界部分を含む領域に、ティアテープ6が延びる方向に配列した4つの切り込み7a〜7dが設けられていることになる。これら4つの切り込み7a〜7dはそれぞれ、略ヘの字形状を有し、長辺がティアテープ6と並行しており、短辺はその長辺のティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部からティアテープ6側に斜めに延びて構成されている。それにより、ティアテープ6が延びる方向に延びた形状を有している。また、切り込み7a〜7dは、ティアテープ6が延びる方向についての一方側の端部となる、ティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部、すなわち短辺の長辺とは反対側の端部から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、切り込み7a〜7cに対してティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側にそれぞれ隣接する切り込み7b〜7dに交差するように配置されている。例えば、切り込み7aにおいては、図1(c)中A点から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が切り込み7bと交差するように配置されている。なお、図1においては、包装用フィルム3の境界部分を破線にて示してあるが、この領域にはミシン目等は形成されていない。
【0022】
以下に、上記のように構成された包装用フィルムシート1の使用方法について説明する。
【0023】
まず、包装用フィルムシート1を包装用フィルム3単位に破断した時までの作用について説明する。
【0024】
図2は、図1に示した包装用フィルムシート1を包装用フィルム3単位に断裁した時までの作用を説明するための図であり、(a)は包装用フィルムシート1に対して包装用フィルムシート1の連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合の作用を説明するための図、(b)は包装用フィルムシート1を包装用フィルム3単位に断裁した際の包装用フィルム3の破断辺の状態を示す図である。
【0025】
図1に示した包装用フィルムシート1には、包装用フィルムシート1のティアテープ6の両側に沿う領域のうち包装用フィルム3の境界部分に、包装用フィルムシート1が包装用フィルム3単位に破断された後、包装用フィルム3をティアテープ6を用いて2つに分離しやすくするために包装用フィルムシート1の連続方向に延びた分離開始端形成部5が設けられている。そして、この分離開始端形成部5が、ティアテープ6が延びる方向に配列した4つの切り込み7a〜7dからなるものであるため、包装用フィルムシート1を破断する際にその破断領域がずれた場合であっても、その破断辺に分離開始端形成部5を存在させることができ、また、そのように破断領域がずれた場合を考慮しながらも、分離開始端形成部5を4つの切り込み7a〜7dから構成することによって、図2(a)に示すように包装用フィルムシート1に対して包装用フィルムシート1の連続方向に直交する方向に引っ張り力が加わった場合であっても、包装用フィルムシート1を裂けにくくすることができる。
【0026】
図1に示した包装用フィルムシート1は、包装用フィルム3の境界部分を熱によって破断して包装用フィルム3として用いられる。その際、包装用フィルム3の境界部分には、4つの切り込み7a〜7dがティアテープ6が延びる方向に配列してなる分離開始端形成部5が設けられており、また、これら4つの切り込み7a〜7dが、ティアテープ6が延びる方向について、ティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、その切り込み7a〜7cに対してティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側に隣接する切り込み7b〜7dに交差するように配置されているため、包装用フィルムシート1を包装用フィルム3単位に破断した際にその破断領域がずれた場合であっても、図2(b)に示すように、その破断辺には必ず切り込みが存在することとなる。
【0027】
次に、図1に示した包装用フィルムシート1が破断された包装用フィルム3の使用時の作用について説明する。
【0028】
図3は、図1に示した包装用フィルムシート1が破断された包装用フィルム3の使用時の作用を説明するための図であり、(a)は包装用フィルム3の使用状態を示す図、(b)は包装用フィルム3を2つに分離し始める状態を示す図、(c)は包装用フィルム3が2つに分離していく際の分離開始端形成部5の状態を示す図、(d)は包装用フィルム3がティアテープ6によって2つに分離していく状態を示す図である。
【0029】
図1に示した包装用フィルムシート1は上述したようにして包装用フィルム3単位に破断され、包装用フィルム3は図3(a)に示すように、食料品等が入れられた容器10の開口面にかけられ、貼着部4によって容器10に貼着されて使用される。このように、食料品等が入れられた容器10の開口面を、図1に示した包装用フィルムシート1から1枚ずつに破断された包装用フィルム3でラッピングすることにより、食料品等が容器10からこぼれ落ちないようになる。この際、包装用フィルム3の破断辺には、上述したように分離開始端形成部5によって分離開始端5aが形成されている。
【0030】
その後、容器10に入れられた食料品等を取り出す場合、包装用フィルム3を、分離開始端5aからティアテープ6を持ち上げることによって破断していく。この際、分離開始端5aとなる包装用フィルム3の端部には、上述したように切り込みが必ず存在しているため、図3(b)に示すように、包装用フィルム3の端部においてティアテープ6が設けられた領域のみを捲り上げることができるようになり、ティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端5aを摘みやすくすることができる。なお、本形態においては、分離開始端5aとなる包装用フィルム3の端部に切り込み7cが存在しており、それにより、分離開始端5aが摘みやすくなっている。
【0031】
包装用フィルム3の分離開始端5aを摘み上げ、上方もしくは包装用フィルム3の分離開始端5aとは反対側に引っ張っていくと、切り込み7cの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6に沿う領域が破断していくことになるが、切り込み7cの分離開始端5aとは反対側の端部においては、ティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用する。そのため、この状態で分離開始端5aを上方もしくは包装用フィルム3の分離開始端5aとは反対側に引っ張ると、包装用フィルム3は切り込み7cの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6側に向くように破断していく。ところが、この破断方向には、切り込み7cに隣接する切り込み7bが存在するため、図3(c)に示すように、破断部分が切り込み7bと繋がることになる。そして、同様にして切り込み7bと切り込み7aとが繋がり、ティアテープ6に沿う領域が破断していく。
【0032】
そして、ティアテープ6に沿う領域の破断部分が切り込み7aの分離開始端5aとは反対側の端部に達すると、上記同様にティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用するため、その破断部分がティアテープ6に達し、ティアテープ6がPET等の切断が困難な材料からなるものであることから、その後、図3(d)に示すようにティアテープ6に沿う領域が破断し、包装用フィルム3が2つに分離していくことになる。
【0033】
なお、分離開始端5aを引っ張っていく方向によっては、ティアテープ6の沿う領域が破断する力が、ティアテープ6の両側のそれぞれにてティアテープ6側に向くように作用しない場合があるが、その場合でも、ティアテープ6の両側に沿う領域のうち一方においては、破断する力がティアテープ6に向くように作用するため、ティアテープ6の両側のうち、その一方の切り込み7a〜7dが上記のように繋がり、また、その後、破断部分がティアテープ6に達し、ティアテープ6に沿う領域が破断していくことになる。
【0034】
(他の実施の形態)
図4は、図1に示した分離開始端形成部5の他の実施の形態を示す図である。
【0035】
図1に示した分離開始端形成部5としては、図1に示したような、長辺がティアテープ6と並行し、その長辺のティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部からティアテープ6側に斜めに短辺が延びて構成された略ヘの字形状を有する4つの切り込み7a〜7dからなるものに限らない。
【0036】
例えば、図4(a)に示すように、かぎ状の4つの切り込み107a〜107dが、ティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側がティアテープ6に近接するような向きで配列したものや、図4(b)に示すように、略ヘの字形状を有する4つの切り込み207a〜207dが図1に示したものとは反対側の向きに配列したものや、図4(c)に示すように、Y字形状を有する4つの切り込み307a〜307dが、Y字の長辺が、ティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側とは反対側にてティアテープ6に並行して配列したものや、図4(d)に示すように、S字形状を有する4つの切り込み407a〜407dが、ティアテープ6が延びる方向に一部重なるように配列したものや、図4(e)に示すように、ティアテープ6の両側において、4つの直線状の切り込み507a〜507dと切り込み508a〜508dとが互い違いとなるように配置されたもの等が考えられる。なお、図4(a)〜(d)に示した形状においても、図1に示したものと同様に、切り込み107a〜107d,207a〜207d,307a〜307d,407a〜407dが、ティアテープ6が延びる方向について、ティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、切り込み107a〜107c,207a〜207c,307a〜307c,407a〜407cに対して包装用フィルム3の分離開始端側にて隣接する切り込み107b〜107d,207b〜207d,307b〜307d,407b〜407dに交差するように配置されていることにより、包装用フィルムシート1を包装用フィルム3単位に破断した場合に、その破断辺には必ず切り込みが存在することとなる。また、図4(e)に示したものにおいては、切り込み507a〜507d,508a〜508dのそれぞれが、ティアテープ6が延びる方向について、ティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、切り込み507a〜507c,508a〜508cに対して包装用フィルム3の分離開始端側にて隣接する切り込み507b〜507d,508b〜508dに交差するように配置されていないが、ティアテープ6の両側で見た場合、ティアテープ6が延びる方向について、切り込み507a〜507dのティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、切り込み508a〜508dとそれぞれ交差しており、また、ティアテープ6が延びる方向について、切り込み508a〜508cのティアテープ6による包装用フィルム3の分離開始端側の端部から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、切り込み507b〜507dとそれぞれ交差しているため、包装用フィルムシート1を包装用フィルム3単位に破断した場合に、その破断辺には必ず切り込みが存在することとなる。
【0037】
図5は、図4に示した分離開始端形成部5にて包装用シート3が分離していく状態を示す図である。
【0038】
分離開始端形成部5が図4(a)に示したような構成である場合は、包装用フィルム3の分離開始端5aを摘み上げ、上方もしくは包装用フィルム3の分離開始端5aとは反対側に引っ張っていくと、切り込み107dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6に沿う領域が破断していく。そして、切り込み107dの分離開始端5aとは反対側の端部においては、ティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用するため、図5(a)に示すように、包装用フィルム3が切り込み107dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6側に向くように破断していき、この破断方向に存在する切り込み107cと繋がり、同様にして破断部分が切り込み107a,107bと繋がり、ティアテープ6に沿う領域が破断し、その後、ティアテープ6に沿って包装用フィルム3が2つに分離していく。
【0039】
また、分離開始端形成部5が図4(b)に示したような構成である場合は、包装用フィルム3の分離開始端5aを摘み上げ、上方もしくは包装用フィルム3の分離開始端5aとは反対側に引っ張っていくと、切り込み207dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6に沿う領域が破断していく。そして、切り込み207dの分離開始端5aとは反対側の端部においては、ティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用するため、図5(b)に示すように、包装用フィルム3が切り込み207dの分離開始端5aとは反対側の端部から特にティアテープ6側に向くように破断していき、破断部分がティアテープ6に達し、ティアテープ6に沿って包装用フィルム3が2つに分離していく。この際、ティアテープ6の両側にそれぞれ形成された2つの切り込み207dは、分離開始端5aとは反対側の端部からの延長線が互いに交差するように配置されているが、2つの切り込み207d間にはティアテープ6が設けられていることにより包装用フィルム3が補強された状態となっており、それにより、これら2つの切り込み207dが繋がることはない。
【0040】
また、分離開始端形成部5が図4(c)に示したような構成である場合は、包装用フィルム3の分離開始端5aを摘み上げ、上方もしくは包装用フィルム3の分離開始端5aとは反対側に引っ張っていくと、切り込み307dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6に沿う領域が破断していく。そして、切り込み307dの分離開始端5aとは反対側の端部においては、ティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用するため、図5(c)に示すように、包装用フィルム3が切り込み307dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6側に向くように破断していき、この破断方向に存在する切り込み307cと繋がり、同様にして破断部分が切り込み307a,307bと繋がり、ティアテープ6に沿う領域が破断し、その後、ティアテープ6に沿って包装用フィルム3が2つに分離していく。
【0041】
また、分離開始端形成部5が図4(d)に示したような構成である場合は、包装用フィルム3の分離開始端5aを摘み上げ、上方もしくは包装用フィルム3の分離開始端5aとは反対側に引っ張っていくと、切り込み407dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6に沿う領域が破断していく。そして、切り込み407dの分離開始端5aとは反対側の端部においては、ティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用するため、図5(d)に示すように、包装用フィルム3が切り込み407dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6側に向くように破断していき、この破断方向に存在する切り込み407cと繋がり、同様にして破断部分が切り込み407a,407bと繋がり、ティアテープ6に沿う領域が破断し、その後、ティアテープ6に沿って包装用フィルム3が2つに分離していく。
【0042】
また、分離開始端形成部5が図4(e)に示したような構成である場合は、包装用フィルム3の分離開始端5aを摘み上げ、上方もしくは包装用フィルム3の分離開始端5aとは反対側に引っ張っていくと、ティアテープ6の両側のうち一方の側においては、切り込み508dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6に沿う領域が破断していく。そして、切り込み508dの分離開始端5aとは反対側の端部においては、ティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用するため、図5(e)に示すように、包装用フィルム3が切り込み508dの分離開始端5aとは反対側の端部から特にティアテープ6側に向くように破断していき、破断部分がティアテープ6に達する。また、ティアテープ6の両側のうち他方の側においては、切り込み507dの分離開始端5aとは反対側の端部からティアテープ6に沿う領域が破断していく。そして、切り込み507dの分離開始端5aとは反対側の端部においては、ティアテープ6に沿う領域が破断する力がティアテープ6側に向くように作用するため、図5(e)に示すように、包装用フィルム3が切り込み507dの分離開始端5aとは反対側の端部から特にティアテープ6側に向くように破断していき、破断部分がティアテープ6に達する。破断部分がティアテープ6に達すると、ティアテープ6が切断が困難な材料から構成されているため、ティアテープ6に沿って包装用フィルム3が2つに分離していく。
【0043】
なお、上述した実施の形態においては、分離開始端形成部5を構成する切り込み7a〜7d,107a〜107d,207a〜207d,307a〜307d,407a〜407dが、ティアテープ6が延びる方向について、包装用フィルム3の分離開始端側の端部から、ティアテープ6が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、切り込み7a〜7c,107a〜107c,207a〜207c,307a〜307c,407a〜407cに対して包装用フィルム3の分離開始端側にて隣接する切り込み7b〜7d,107b〜107d,207b〜207d,307b〜307d,407b〜407dに交差するように配置されているものを例に挙げて説明したが、分離開始端形成部5として、ただ単にカット部とタイ部とがティアテープ6が延びる方向に並んだミシン目を用いてもよい。
【0044】
また、上述した実施の形態においては、分離開始端形成部5が、ティアテープ6の片側について4つの切り込み7a〜7d,107a〜107d,207a〜207d,307a〜307d,407a〜407d,507a〜507d,508a〜508dからなるものを例に挙げて説明したが、その数は4つに限らない。
【0045】
また、包装用フィルム3を2つに分離するための分離用補強線は、上述したように包装用フィルムシート1の裏面にティアテープ6を貼着した構成に限らず、包装用フィルムシート1の表面に、例えばUV硬化型インクを用いた印刷を施すことによってその領域の破断力を包装用フィルム3よりも強くした構成を有するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 包装用フィルムシート
2 芯材
3 包装用フィルム
4 貼着部
5 分離開始端形成部
5a 分離開始端
6 ティアテープ
7a〜7d,107a〜107d,207a〜207d,307a〜307d,407a〜407d,507a〜507d,508a〜508d 切り込み
10 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離用補強線を介して分離される包装用フィルムが、前記分離用補強線が延びる方向に複数連続してなる包装用フィルムシートにおいて、
前記分離用補強線の両側に沿う領域のうち前記複数の包装用フィルムの境界を含む領域に、前記分離用補強線が延びる方向に配列した複数の切り込みを有する包装用フィルムシート。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用フィルムシートにおいて、
前記複数の切り込みは、前記分離用補強線が延びる方向に延びた形状を有し、その一方側の端部から前記分離用補強線が延びる方向に直交する方向に延びる延長線が、当該切り込みに対して前記一方側にて隣接する切り込みに交差するように配置されている包装用フィルムシート。
【請求項3】
請求項1に記載の包装用フィルムシートが破断されてなる包装用フィルムであって、
前記包装用フィルムシートが破断された破断辺には、前記分離用補強線の両側に沿う領域に前記複数の切り込みの少なくとも一部が配置されている包装用フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240956(P2011−240956A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114249(P2010−114249)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】